JP2014184616A - 包装材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】一般内容物に対しては無論のこと、浸透性成分含有ペースト状物質に対しても優れた耐内容物性を有する包装材料提供すること。
【解決手段】浸透性成分含有ペースト状物質を含む内容物のための包装材料であって、バリア層、接着層及びシーラント層がこの順に積層されてなる構成を有し、前記接着層が、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有する酸変性ポリオレフィン樹脂およびポリビニルアルコールを含有し、該酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対してポリビニルアルコールの含有量が0.1〜10質量部であることを特徴とする包装材料。
【選択図】なし
【解決手段】浸透性成分含有ペースト状物質を含む内容物のための包装材料であって、バリア層、接着層及びシーラント層がこの順に積層されてなる構成を有し、前記接着層が、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有する酸変性ポリオレフィン樹脂およびポリビニルアルコールを含有し、該酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対してポリビニルアルコールの含有量が0.1〜10質量部であることを特徴とする包装材料。
【選択図】なし
Description
本発明は、包装材料に関するものであり、詳しくは浸透性成分含有ペースト状物質に対する優れた耐性を発現する包装材料に関するものである。
従来から液状物質を密封包装する包装材料として、アルミニウム箔などのバリア層の上にシーラント層としてポリオレフィン系樹脂フィルムを積層したものが多く使用されている。この場合、シーラント層は、接着層(プライマー、アンカーコートなどとも呼ばれる)を介して積層されるのが一般的である。
しかし、こうした包装材料を用いて、化粧品、医薬品、調味料、食品などの浸透性成分含有ペースト状物質を包装した場合、保存中にそれらの物質や成分がバリア層とシーラント層との間の接着層に作用しバリア層とシーラント層との間の接着強度が経時的に低下したり、両層が剥がれたりする(デラミ)といった問題があった。ここで浸透性成分含有ペースト状物質とは、シーラント層および/または接着層に浸透し接着性を悪化させうる浸透性成分を含有する粘性流動体を意味する。
そこで、このような問題を解決するため、特許文献1〜3に、包装材料において内容物に対する耐性(保存中にバリア層とシーラント層との間の接着強度低下を抑制する性能。以下、耐内容物性と示すことがある)を向上させるための技術が提案されている。
また、本願出願人もこのような問題を解決するために特許文献4にて、特定組成の水性分散体をバリア層に塗布、乾燥することで接着層を形成し、接着層を介してシーラント層を積層する方法を提案している。
しかしながら、上記特許文献1〜3記載の技術では、包装材料において、一般内容物に対しては十分な耐内容物性が認められるものの、浸透性の強い内容物に対しては十分な耐内容物性が期待できず、包装材料の適用範囲が限られる点で改良の余地を残していた。
また、特許文献4に記載される水性分散体は、バリア層に塗布、乾燥して接着層を形成した場合、バリア層に反りが発生し、取り扱いが悪くなるため、その結果としてシーラント層を形成して積層体とした場合にしわを生じる問題があった。さらには、記載される水性分散体は、グラビアコーターなどの公知のコーターで塗布できるものであるが、一般的な製造現場で使われているコーターは、水系塗料や溶剤系塗料など多種類の塗料が適応されており、使用目的によってこのような塗料を毎回置き換えて使用している。この塗料の置き換え作業の際に、コーターの備え付けの塗料貯蔵タンクや塗料供給ライン、塗料供給パンなどに、少量の非水溶性の溶剤が残存した場合、記載される水性分散体は微細な凝集物が発生することがあり、その様な場合ではバリア層への均一な塗布が困難となる問題があった。即ち、かかる水性分散体は非水溶性の溶剤(例えばトルエン)が混在した場合の分散安定性に問題があった。
また、一般的に包装材料に用いられる接着層やシーラント層には、内容物成分の吸着が少ないことを望まれるが、特許文献1〜4に用いられる接着層は、内容物成分の吸着性について改善の余地があった。
本発明は、上記のような問題点を解決するものであって、一般内容物に対しては無論のこと、化粧品、医薬品、調味料、食品などの浸透性成分含有ペースト状物質に対しても優れた耐内容物性を発揮する包装材料であって、バリア層の反りを抑制し、且つ内容物成分の吸着も抑制された包装材料を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定組成のポリオレフィン樹脂とポリビニルアルコールとを特定の割合で含有する包装材料用接着層を用いることにより、上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、特定内容物のための包装材料であって、バリア層、接着層及びシーラント層がこの順に積層されてなる構成を有し、前記接着層が、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有する酸変性ポリオレフィン樹脂およびポリビニルアルコールを含有し、該酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対してポリビニルアルコールの含有量が0.1〜10質量部であることを特徴とする包装材料である。
本発明の包装材料は、一般内容物に対しては無論のこと、化粧品、医薬品、調味料、食品などの浸透性成分含有ペースト状物質を内容物としても優れた耐内容物性を発揮する。さらに、内容物成分の接着層への吸着が少ない。よって長期にわたり、内容物の品質維持に資するところが大きい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の包装材料の接着層に含まれるポリオレフィン樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(以下、酸変性ポリオレフィン樹脂と示すこともある)およびポリビニルアルコールを含有する。
酸変性ポリオレフィン樹脂の主成分たるオレフィン成分としては、特に限定されないが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどの炭素数2〜6のアルケンが接着性の観点から好ましく、これらの混合物を用いてもよい。この中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテンなどの炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、エチレン、プロピレンがさらに好ましく、エチレンが最も好ましい。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸成分により酸変性されている。不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、フマル酸、クロトン酸などのほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミドなどがあげられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸がバリア層との接着性の観点から好ましく、特にアクリル酸、(無水)マレイン酸が好ましい。また、不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などがあげられる。なお、「(無水)〜酸」とは、「〜酸または無水〜酸」を意味する。すなわち、(無水)マレイン酸とは、マレイン酸または無水マレイン酸を意味する。
不飽和カルボン酸成分の含有量としては、バリア層とシーラント層との接着性のバランスから、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.5〜4質量%がさらに好ましく、1〜4質量%が特に好ましい。含有量が0.01質量%未満になると、バリア層としてアルミニウム箔などを使用した場合において十分な接着性が得難い傾向にある。一方、10質量%を超えると、シーラント層との接着性が低下する傾向にある。
さらに、接着層に用いられる酸変性ポリオレフィン樹脂には、(メタ)アクリル酸エステル成分が含有されている必要がある。この成分を含有していないと、バリア層やシーラント層との十分な接着性が得られない。(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物があげられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、入手の容易さと接着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがより好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。
酸変性ポリオレフィン樹脂における(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量としては、耐内容物性が向上する点から、0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、2〜18質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが特に好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が0.1質量%未満の場合は、アルミニウム箔やポリオレフィン樹脂系フィルムとの接着性が低下する傾向にあり、25質量%を超える場合は、耐内容物性が低下する傾向にある。また、(メタ)アクリル酸エステル成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などがあげられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂の具体例としては、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(無水)マレイン酸共重合体が最も好ましい。共重合体の形態はランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいずれでもよいが、入手が容易という点でランダム共重合体、グラフト共重合体が好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、分子量が高くなるにつれ耐内容物性が向上する傾向にある。したがって分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートとしては、100g/10分以下が好ましく、30g/10分以下がより好ましく、0.001〜20g/10分がさらに好ましく、0.01〜10g/10分が特に好ましい。メルトフローレートが100g/10分を超える場合は、耐内容物性が低下する傾向にあり、0.001g/10分未満の場合は、樹脂を高分子量化する際の製造面に制約を受けることがある。
次に、ポリビニルアルコールについて説明する。
本発明に使用するポリビニルアルコールとしては、ビニルエステルの重合体を完全又は部分ケン化したものなどが使用できる。ケン化方法としては、公知のアルカリケン化法や酸ケン化法を採用することができる。中でも、メタノール中で水酸化アルカリを使用して加アルコール分解する方法が好ましい。
ビニルエステルとしては、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどがあげられる。中でも酢酸ビニルが工業的に最も好ましい。
ポリビニルアルコールのケン化度としては、塗膜の耐薬品性向上の観点から、80〜99.9モル%が好ましく、90〜99.9モル%がより好ましく、95〜99.9モル%がさらに好ましい。80モル%未満であると、接着層とした際の内容物成分の吸着抑制効果が低下する傾向があったり、バリア層に接着剤を塗布した場合の反り抑制効果が低下する傾向があったりする。
ポリビニルアルコールの平均重合度としては、100〜3000が好ましく、300〜2000がより好ましく、500〜1500がさらに好ましく、500〜1000が特に好ましい。100未満であると耐内容物性が悪化する場合があり、3000を超えると水性分散体とした場合の粘度が高くなりすぎる傾向がある。
また、本発明の効果を損ねない範囲で、ビニルエステルに対し他のビニル化合物を共重合することも可能である。他のビニル化合物であるビニル系モノマーとしては、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和モノカルボン酸及びそのエステル、塩、無水物、アミド、ニトリル類や;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸及びその塩;エチレンなど炭素数2〜30のα−オレフィン類;アルキルビニルエーテル類;ビニルピロリドン類、ジアセトンアクリルアミドなどがあげられる。エチレンを共重合した場合、即ち、エチレン−ビニルアルコール共重合体の場合のエチレンの含有量としては、耐内容物性の観点から50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましい。
なお、ポリビニルアルコールとしては、市販のものが使用できる。具体的には、日本酢ビ・ポバール社製の「J−ポバール」、クラレ社製の「クラレポバール」「エクセバール」、電気化学工業社製の「デンカ ポバール」などが好適に用いることができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂およびポリビニルアルコールは、後述するような方法で、水性媒体中に分散または溶解させることで水性分散体に加工することが可能であり、両者を適量で混合したものが本発明の接着層に用いる包装材料用接着剤である。詳しくは、本発明の接着層に用いる接着剤は、水性媒体中に、酸変性ポリオレフィン樹脂は主に分散した状態で、ポリビニルアルコールは主に溶解した状態で含有した水性分散体のことを示す。ここで、水性媒体とは、水または、水を含む液体からなる媒体であり、酸変性ポリオレフィン樹脂の分散安定化に寄与する中和剤や水溶性の有機溶媒などが含まれていてもよい。
包装材料用接着剤の製造方法は、特に限定されないが、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体とポリビニルアルコールの水溶液を、個別に作成しておいてからそれぞれを混合する方法や、水性媒体に固形の酸変性ポリオレフィン樹脂とポリビニルアルコールとを一括して仕込み、同一の系内で両者を分散、溶解する方法などを採用することができる。
次に酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体について説明する。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、水性媒体中に分散し水性分散体に加工することが可能である。分散させる方法としては、自己乳化法や強制乳化法など公知の分散方法を採用すればよい。なお、上述したように、酸変性ポリオレフィン樹脂の分散の際に、予めポリビニルアルコールを原料として特定量仕込み、酸変性ポリオレフィン樹脂と一括して水性分散化させる方法を採用しても良い。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体は、水性媒体中で酸変性ポリオレフィン樹脂の不飽和カルボン酸成分を塩基性化合物によって中和することで得られるアニオン性の水性分散体を使用することが、接着性の観点から好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂を水性分散化させる際に用いる水性媒体は、水または、水を含む液体からなる媒体であり、分散安定化に寄与する中和剤や水溶性の有機溶媒などが含まれていてもよい。水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体;さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル等が挙げられる。なお、これら有機溶媒は2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、沸点が140℃以下の揮発性の水溶性有機溶媒を用いることが、接着層を形成する際に残存を少なくするために好ましい。具体的には、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどが挙げられる。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂の不飽和カルボン酸成分を中和するのに用いる塩基性化合物としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどのアミン類;アンモニア;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。なお、塩基性化合物は2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、沸点が140℃以下の揮発性の塩基性化合物を用いることが、接着層を形成する際に残存を少なくするために好ましい。具体的には、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。
ポリビニルアルコールの水性媒体への溶解方法としては、公知の方法を採用すればよく、具体的には、水性媒体として水を用い、ポリビニルアルコールを水に仕込み攪拌しながら加熱し溶解させる方法が一般的である。このようにして得られたポリビニルアルコールの溶液を、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体に特定量添加することで、本発明の包装材料用接着剤(酸変性ポリオレフィン樹脂とポリビニルアルコールと水性媒体とを含有する水性分散体)を得ることが可能である。ポリビニルアルコールの溶液の添加の際は、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体を攪拌しながら添加することが好ましい。
本発明で用いる包装材料用接着剤のポリビニルアルコールの含有量としては、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部である必要があり、0.1〜5質量部が好ましく、0.1〜4質量部がより好ましく、0.2〜4質量部がさらに好ましく、0.3〜3質量部が特に好ましい。ポリビニルアルコールの含有割合が0.1質量部未満では、本発明の効果は小さく、10質量部を超える場合は、基材との密着性や接着層の耐水性が低下する傾向にある。
包装材料用接着剤中のポリオレフィン樹脂の数平均粒子径は、500nm以下であることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。数平均粒子径が500nmを超えると、包装材料用接着剤の保存安定性が低下する傾向にあったり、薄く均一な厚みの塗布が困難となりその結果安定した効果が得られなくなったりすることがある。
本発明で用いる包装材料用接着剤の固形分濃度(不揮発性成分濃度)は、包装材料用接着剤全体に対して1〜50質量%の範囲であることが好ましい。
包装材料用接着剤は、本発明の効果を損ねない限りにおいて酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール以外の樹脂が含有されていてもよく、具体的には酸変性ポリオレフィン樹脂に対して30質量%以下の範囲で含有されていることが好ましい。その他の樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などがあげられる。その他の樹脂の数平均分子量としては、耐内容物性の観点から、10000以上が好ましく、30000以上がより好ましい。
さらに包装材料用接着剤には、酸変性ポリオレフィン樹脂またはポリビニルアルコールを架橋するための架橋剤が含有されていてもよい。架橋剤としては、多価イソシアネート化合物、多価メラミン化合物、尿素化合物、多価エポキシ化合物、多価カルボジイミド化合物、多価オキサゾリン基含有化合物、多価ヒドラジド化合物、多価ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤などがあげられる。これらの含有量は、耐内容物性を考慮して、適宜決定すればよいが、具体的には酸変性ポリオレフィン樹脂とポリビニルアルコールの総和100質量部に対して20質量%以下の範囲で含有されていることが好ましい。
上記のような、その他の樹脂や架橋剤は、包装材料用接着剤への添加、混合のしやすさの観点から、水溶性または水性分散性のものを用いることが好ましい。
次に、本発明の包装材料について説明する。
本発明の包装材料はバリア層、接着層及びシーラント層がこの順に積層されてなる包装材料である。
バリア層としては、液体や気体を遮断できる材料であればどのような材料から構成されていてもよく、具体的には、アルミニウム箔などの軟質金属箔の他、アルミ蒸着、シリカ蒸着、アルミナ蒸着、シリカアルミナ2元蒸着などの蒸着層、さらには塩化ビニリデン系樹脂、変性ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、MXDナイロンなどからなる有機バリア層などが採用できる。
バリア層として蒸着層を適用する場合には、市販の蒸着フィルムを使用することが簡便である。そのような蒸着層を有するフィルムとしては、例えば、大日本印刷社製の「IBシリーズ」、凸版印刷社製の「GL、GXシリーズ」、東レフィルム加工社製の「バリアロックス」、VM−PET、YM−CPP、VM−OPP、三菱樹脂社製「テックバリア」、東セロ社製「メタライン」、尾池工業社製「MOS」「テトライト」、「ビーブライト」などが例示できる。なお、蒸着層の上には保護コート層を設けてもよい。
また、バリア層として有機バリア層を適用する場合にも、有機バリア層を有するフィルムを使用することが簡便である。この場合、当該フィルムとして、バリア性を有する樹脂を含む塗剤をフィルムにコーティングする方法、前記樹脂を共押し出し法により積層する方法などを採用して別途作製したものを用いてもよいが、市販の有機バリア層を有するフィルムを使用することが簡便であり、好ましい。そのような有機バリア層を有するフィルムとしては、クラレ社製の「クラリスタ」、「エバール」、呉羽化学工業社製の「ベセーラ」、三菱樹脂社製の「スーパーニール」、興人社製の「コーバリア」、ユニチカ社製の「セービックス(登録商標)」、「エンブロンM」、「エンブロンE」、「エンブレムDC」、「エンブレットDC」、「NV」、東セロ社製の「K−OP」、「A−OP」、ダイセル社製の「セネシ」などが例示できる。
本発明では、バリア層として、バリア性の点から、アルミニウム箔の他、アルミニウム、シリカ、アルミナなどの蒸着層が一般に好ましく、特に安価である点から、アルミニウム箔、アルミニウムの蒸着層といったアルミニウムから構成されるバリア層が好ましい。バリア層の厚みとしては、特に限定されないが、例えばアルミニウム箔の場合には、経済的な面から3〜50μmの範囲が好ましい。
バリア層におけるバリア性については、包装する内容物や保存期間などに応じて最適範囲を適宜選択すればよいが、おおむね、水蒸気透過度として、100g/m2・day(40℃、90%RH)以下が好ましく、20g/m2・day以下がより好ましく、10g/m2・day以下がさらに好ましく、1g/m2・day以下が特に好ましい。酸素透過度としては、100ml/m2・day・MPa(20℃、90%RH)以下が好ましく、20ml/m2・day・MPa以下がより好ましく、10ml/m2・day・MPa以下がさらに好ましく、1ml/m2・day・MPa以下が特に好ましい。
接着層は、後述するように、包装材料用接着剤をバリア層の少なくとも一方の面に塗布し乾燥することで形成することが可能である。
接着層の量としては、接着面の面積に対して、0.001〜5g/m2の範囲とすることが好ましく、0.01〜3g/m2であることがより好ましく、0.02〜2g/m2であることがさらに好ましく、0.03〜1g/m2であることが特に好ましく、0.05〜1g/m2であることが最も好ましい。0.001g/m2未満では、十分な耐内容物性が得られない傾向にあり、一方、5g/m2を超える場合には、経済的に不利となる傾向にある。
シーラント層としては、従来から知られたシーラント樹脂が使用できる。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)などポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのポリオレフィン樹脂などがあげられ、中でも低温シール性からポリエチレン系樹脂が好ましく、安価であることからポリエチレンが特に好ましい。シーラント層の厚みとしては、特に限定されないが、包装材料への加工性やヒートシール性などを考慮して10〜60μmの範囲が好ましく、15〜40μmの範囲がより好ましい。また、シーラント層に5〜20μmの凸凹を設けることで、シーラント層の滑り性や包装材料の引き裂き性を付与することが可能である。
本発明において、接着層を形成する方法としては、本発明の包装材料用接着剤をバリア層の少なくとも一方の面に塗布して水性媒体の一部または全てを乾燥し塗膜を形成させる方法、剥離紙上に、本発明の包装材料用接着剤を塗布し、水性媒体の一部または全てを乾燥させて一旦塗膜を形成し、後にバリア層の少なくとも一方の面にこれを転写する方法などがあげられる。中でも、環境面や性能面、接着層の量を調整しやすくする点などから、本発明の包装材料用接着剤を、バリア層の少なくとも一方の面に塗布して水性媒体の一部または全てを乾燥させる方法が好ましい。この場合には、バリア層の少なくとも一方の面に包装材料用接着剤を塗布、乾燥して接着層を形成し、次いで接着層の上にインラインでシーラント樹脂を溶融押出(押出ラミネート)することによってシーラント層を積層する方法が簡便であり、且つ耐内容物性の効果を向上させるために、特に好ましい方法である。
包装材料用接着剤の塗布方法としては、公知の方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などにより基材表面に均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理又は乾燥のための加熱処理に供することにより水性媒体の一部または全てを乾燥し、均一な塗膜、即ち接着層をバリア層表面に密着させて形成することができる。乾燥の際は、水性媒体の全てを乾燥させることが、接着性や耐内容物性を良好にする観点から好ましい。
なお、バリア層は接着層を形成する前に、予め、後述するような基材層などをどちらか一方の面に積層してから、他方のバリア層面の少なくとも一部に、包装材料用接着剤を塗布、乾燥することが可能である。
本発明において、接着層上にシーラント層を積層する方法としては、特に限定されないが、例えば、接着層とシーラント樹脂フィルムとを熱によってラミネートする方法(熱ラミネート、ドライラミネート)、シーラント樹脂を溶融させて接着層上に押出し、冷却固化させて積層する方法(押出ラミネーション法)などがあげられる。中でも、接着層を薄くできること、耐内容物性を向上させ易いことなどの点から、押出ラミネーション法が好ましい。押出しの際の溶融シーラント樹脂温度としては、接着性や耐内容物性を良好にする観点から、200〜400℃の範囲が好ましく、250〜350℃の範囲がより好ましく、280〜330℃の範囲がさらに好ましい。また、押出しの際の溶融シーラント樹脂には、接着性や耐内容物性を向上させたりライン速度を向上させるために、オゾン処理などの処理を施したりしても構わない。
本発明の包装材料は、通常、バリア層を外側、シーラント層を内側(内容物側)として使用される。また、包装材料としての用途、必要な性能(易引裂性やハンドカット性)、包装材料として要求される剛性や耐久性(例えば、耐衝撃性や耐ピンホール性など)などを考慮した場合、必要に応じてバリア層の外側又は内側に他の層を積層することもできる。通常は、バリア層の外側に基材層、紙層、第2のシーラント層、不職布層などを伴って使用される。他の層を積層する方法としては公知の方法、たとえば、他の層との層間に接着剤層を設けてドライラミネート法、熱ラミネート法、ヒートシール法や押出しラミネート法などを採用すればよい。接着剤としては、1液タイプのウレタン系接着剤、2液タイプのウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性ポリオレフィンの水性分散体などを用いることが可能である。また、本発明の包装材料用接着剤を他の層の接着に用いても特に構わない。
具体的な積層体構成としては、一般な包装材料や蓋材、詰め替え容器などに好適に用いることが可能な、基材層/バリア層/接着層/シーラント層や、紙容器、紙カップなどに好適に用いることが可能な、第2のシーラント層/紙層/バリア層/接着層/ヒートシール層、第2のシーラント層/紙層/ポリオレフィン樹脂層/基材層/バリア層/接着層/シーラント層、紙層/バリア層/接着層/ヒートシール層、基材層/紙層/バリア層/基材層/接着層/ヒートシール層や、チューブ容器などに好適に用いることが可能な、第2のシーラント層/バリア層/接着層/ヒートシール層などが挙げられる。これら積層体は必要に応じて、印刷層やトップコート層などを設けてあっても構わない。
基材層としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、6−ナイロン、ポリ−p−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)などのポリアミド樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリアクリルニトリル樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD/ナイロン6、ナイロン6/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体などが用いられ、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。特に、これらの中で二軸方向に任意に延伸されたフィルムが好ましく用いられる。紙層としては、紙や合成紙などが挙げられる。第2のシーラント層としては、シーラント樹脂層と同様の材料が挙げられる。
これら他の層は、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、易接着コート剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよく、その他の材料と積層する場合の密着性を向上させるために、前処理としてフィルムの表面をコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理などしてもよい。
他の層の厚さは、包装材料としての適性、積層する場合の加工性を考慮して決定すればよく、特に制限されないが、実用的には1〜300μmの範囲であり、用途によっては300μm以上のものを採用すればよい。
本発明の包装材料は様々な内容物に対して良好な耐性を有していることから、特に、浸透性成分含有ペースト状物質の包装材料として好適である。具体的には、歯磨剤、洗顔料、クレンジング剤、化粧下地、保湿剤、コールドクリーム、ナリシングクリーム、バニシングクリーム、ナイトクリーム、アイクリーム、ハンドクリーム、リップクリーム、シェービングクリーム、ボディクリーム、日焼け止めクリーム、整髪料などの化粧品;ヘアカラーリング剤;鎮痛薬、鎮痒薬、収れん薬、消炎薬、化膿性疾患用薬、しもやけ用薬、あかぎれ用薬、かぜ薬、虫よけ薬などの医薬品;義歯安定剤;からし、わさび、おろしにんにく、おろし生姜、梅肉、柚子胡椒、練り胡麻、バジルペースト、味噌、豆板醤、ジャムなどの調味料;あんこ、練乳、チョコペースト、カスタードクリーム、離乳食、ゼリー飲料などの食品;ペットフード;接着剤;潤滑剤;研磨剤;靴墨;絵具;浸透性塩基性物質を含んだペースト状物質;浸透性酸性物物質を含んだペースト状物質の包装材料に好適に使用される。
本発明の包装材料の態様としては、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット包装袋、ピロー包装袋、ゲーベルトップ型の有底容器、テトラクラッシク、ブリュックタイプ、チューブ容器、紙カップ(胴部と底部のブランク板を作製し、該ブランク板をカップ成形機で筒状の胴部と、該胴部の一方の開口端に底部を成形、熱接着してなる紙カップ容器など)、蓋材、など種々あり、最内層のシーラント層にポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂製チャックを設けて、チャック付き包装袋とすることもできる。本発明に用いられる包装材料用接着剤はその様なチャックとの接着性にも優れる。さらに深絞り成型にも適している。また、内容物の浸透性成分含有ペースト状物質の取り扱いの観点から、チューブ容器とすることが好適である。チューブ容器は、例えば、積層体を筒状に形成し、その一方の開口部をヒートシール等で封をし、他方の開口部に、肩部と口部とを備えた頭部を設けることにより製造できる。口部にはさらにノズル、ヒンジキャップ、逆止弁、シール材などを設けても良い。
バリア性の包装材料において層間の接着強度が低下する原因の詳細は不明であるが、内容物の浸透性成分がバリア層に遮蔽され、バリア層と接着層の界面付近に蓄積されることにより接着層が膨潤、溶解などの劣化を起すためと考えられる。本発明の包装材料のような特定組成の接着層を用いることにより、その劣化が軽減され、結果として良好な耐内容物性が得られたものと推定される。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1、包装材料用接着剤の特性
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂の構成
1H−NMR分析装置(日本電子社製、ECA500、500MHz)より求めた。テトラクロロエタン(d2)を溶媒とし、120℃で測定した。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂の構成
1H−NMR分析装置(日本電子社製、ECA500、500MHz)より求めた。テトラクロロエタン(d2)を溶媒とし、120℃で測定した。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)
JIS K7210:1999記載の方法に準じて、190℃、2160g荷重で測定した。
JIS K7210:1999記載の方法に準じて、190℃、2160g荷重で測定した。
(3)ポリビニルアルコールのケン化度および平均重合度
JIS K6726:1994記載の方法に準じて測定した。
JIS K6726:1994記載の方法に準じて測定した。
(4)水性分散体の分散粒子の数平均粒子径
マイクロトラック粒度分布計(日機装社製、UPA150、MODEL No.9340、動的光散乱法)を用いて求めた。粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
マイクロトラック粒度分布計(日機装社製、UPA150、MODEL No.9340、動的光散乱法)を用いて求めた。粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
(5)非水溶性の溶剤との分散安定性
内容量30mlの透明ガラス瓶に、20gの包装材料用接着剤および0.5gのトルエン(非水溶性の溶剤)をいれガラス瓶を封し、激しく振り包装材料用接着剤およびトルエンを混合した。混合後、容器内の包装材料用接着剤の状態を目視で以下の指標で評価した。
○:凝集物なし
△:微かに凝集物あり
×:凝集物あり
内容量30mlの透明ガラス瓶に、20gの包装材料用接着剤および0.5gのトルエン(非水溶性の溶剤)をいれガラス瓶を封し、激しく振り包装材料用接着剤およびトルエンを混合した。混合後、容器内の包装材料用接着剤の状態を目視で以下の指標で評価した。
○:凝集物なし
△:微かに凝集物あり
×:凝集物あり
(6)内容物成分の吸着性
ポリテトラフルオロエチレン製シートの上で、包装材料用接着剤を120℃、5時間で乾燥して接着層(包装材料用接着剤から得た塗膜)を形成した後、接着層をポリテトラフルオロエチレン製シートから剥がした(接着層の厚みは100〜120μmの間であった)。次いで、接着層の質量が0.3gになるように切り出し、リモネン20gが入った内容量100mlのガラス容器に入れ、容器を封し50℃で保持した。なおリモネンと接着層は直接接触しないようにステンレスメッシュで上下に区切った。50℃で5日間リモネンガスに暴露した後、接着層の質量を測定し下記式(1)にて吸着率を算出した(吸着率が小さいほど接着層の吸着性が少ないことを示す)。
吸着率(%)=〔暴露後接着層質量(g)−0.3(g)〕÷0.3(g)×100 式(1)
ポリテトラフルオロエチレン製シートの上で、包装材料用接着剤を120℃、5時間で乾燥して接着層(包装材料用接着剤から得た塗膜)を形成した後、接着層をポリテトラフルオロエチレン製シートから剥がした(接着層の厚みは100〜120μmの間であった)。次いで、接着層の質量が0.3gになるように切り出し、リモネン20gが入った内容量100mlのガラス容器に入れ、容器を封し50℃で保持した。なおリモネンと接着層は直接接触しないようにステンレスメッシュで上下に区切った。50℃で5日間リモネンガスに暴露した後、接着層の質量を測定し下記式(1)にて吸着率を算出した(吸着率が小さいほど接着層の吸着性が少ないことを示す)。
吸着率(%)=〔暴露後接着層質量(g)−0.3(g)〕÷0.3(g)×100 式(1)
(7)積層体のしわ
ラミネートフィルムからランダムで10点のサンプル選び、積層体のしわを目視で以下の指標で評価した。
○:しわが確認されない
△:1〜2サンプルでしわが確認される
×:3サンプル以上でしわが確認される
ラミネートフィルムからランダムで10点のサンプル選び、積層体のしわを目視で以下の指標で評価した。
○:しわが確認されない
△:1〜2サンプルでしわが確認される
×:3サンプル以上でしわが確認される
2、包装材料の特性
(1)接着層の量(塗工量)
予め面積及び質量を計測した基材に酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体を所定量塗工し、100℃で2分間乾燥した。得られた積層体の質量を測定し、塗工前の基材の質量を差し引くことで塗工量を求めた。塗工量と塗工面積から単位面積当りの層量(g/m2)を計算した。
(1)接着層の量(塗工量)
予め面積及び質量を計測した基材に酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体を所定量塗工し、100℃で2分間乾燥した。得られた積層体の質量を測定し、塗工前の基材の質量を差し引くことで塗工量を求めた。塗工量と塗工面積から単位面積当りの層量(g/m2)を計算した。
(2)ラミネート強度(耐内容物試験前)
ラミネートフィルムから幅15mmの試験片を採取し、引張り試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、Tピール法により試験片の端部からバリア層とシーラント層との界面を剥離して強度を測定した。測定は20℃、65%RHの雰囲気中、引張速度200mm/分で行った。なお、包装材として使用される場合のラミネート強度としては2.0N/15mm以上が好ましく、3.0N/15mm以上がより好ましい。また、ラミネート強度が高い場合には、測定時にシーラントフィルムに伸び、切れなどが発生して剥離が不可能となることがあるが、このような現象はラミネート状態として最も好ましい。
ラミネートフィルムから幅15mmの試験片を採取し、引張り試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、Tピール法により試験片の端部からバリア層とシーラント層との界面を剥離して強度を測定した。測定は20℃、65%RHの雰囲気中、引張速度200mm/分で行った。なお、包装材として使用される場合のラミネート強度としては2.0N/15mm以上が好ましく、3.0N/15mm以上がより好ましい。また、ラミネート強度が高い場合には、測定時にシーラントフィルムに伸び、切れなどが発生して剥離が不可能となることがあるが、このような現象はラミネート状態として最も好ましい。
(3)耐内容物試験
10cm角のラミネートフィルムを2枚用い、ラミネートフィルムのシーラント層を内側とし、各種の内容物1gを入れ、シール幅10mmで四方をヒートシールして密封し包装材料を得た。これを50℃で2週間保存した。その後、密封した各包装材料を開封し、前記(4)と同様にして、包装材料のラミネートフィルムから試験片を採取して、ラミネート強度を測定した。なお、試験に用いた内容物は以下に示す。なお、耐内容物試験中にシーラント層とバリア層とが剥離してしまい、ラミネート強度測定を実施できなかった場合は試験結果を「デラミ」と表現した。
・歯磨剤(ライオン社製、デントヘルス薬用ハミガキSP)
・洗顔料(花王社製、ビオレ スキンケア洗顔料 モイスチャー)
・クレンジング剤(コーセー社製、Predia クレンジング クリーム)
・鎮痛薬(興和社製、バンテリンコーワ クリームLT)
・鎮痒薬(池田模範堂社製、ムヒS)
・わさび(S&B社製、本生本わさび)
・マスタード(キューピー社製、マスタード あらびき)
・おろし生姜(S&B社製、本生生しょうが)
・練乳(雪印社製、北海道コンデンスミルク)
・ゼリー飲料(森永製菓製、ウィダーinゼリー エネルギーイン)
10cm角のラミネートフィルムを2枚用い、ラミネートフィルムのシーラント層を内側とし、各種の内容物1gを入れ、シール幅10mmで四方をヒートシールして密封し包装材料を得た。これを50℃で2週間保存した。その後、密封した各包装材料を開封し、前記(4)と同様にして、包装材料のラミネートフィルムから試験片を採取して、ラミネート強度を測定した。なお、試験に用いた内容物は以下に示す。なお、耐内容物試験中にシーラント層とバリア層とが剥離してしまい、ラミネート強度測定を実施できなかった場合は試験結果を「デラミ」と表現した。
・歯磨剤(ライオン社製、デントヘルス薬用ハミガキSP)
・洗顔料(花王社製、ビオレ スキンケア洗顔料 モイスチャー)
・クレンジング剤(コーセー社製、Predia クレンジング クリーム)
・鎮痛薬(興和社製、バンテリンコーワ クリームLT)
・鎮痒薬(池田模範堂社製、ムヒS)
・わさび(S&B社製、本生本わさび)
・マスタード(キューピー社製、マスタード あらびき)
・おろし生姜(S&B社製、本生生しょうが)
・練乳(雪印社製、北海道コンデンスミルク)
・ゼリー飲料(森永製菓製、ウィダーinゼリー エネルギーイン)
(4)引き裂き性
マスタードを使用した耐内容物試験後の袋を開封する際、切り目を入れて手で引き裂いた場合の状況を目視で評価した。
○:引き裂き性良好でありフィルム間の剥離なし
×:引き裂き性不良でありフィルム間の剥離あり
マスタードを使用した耐内容物試験後の袋を開封する際、切り目を入れて手で引き裂いた場合の状況を目視で評価した。
○:引き裂き性良好でありフィルム間の剥離なし
×:引き裂き性不良でありフィルム間の剥離あり
(参考例1)
〔酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の製造〕
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂〔アルケマ社製「ボンダインTX−8030(以下、TX8030と示す)」〕、90.0gのイソプロパノール、3.0gのトリエチルアミン及び147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。
〔酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の製造〕
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂〔アルケマ社製「ボンダインTX−8030(以下、TX8030と示す)」〕、90.0gのイソプロパノール、3.0gのトリエチルアミン及び147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。
(参考例2)
〔酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2の製造〕
酸変性ポリオレフィン樹脂としてアルケマ社製「ボンダインHX−8290(以下、HX8290と示す)」を用い、水性分散体E−1の製造と同様の操作を行って、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を得た。
〔酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2の製造〕
酸変性ポリオレフィン樹脂としてアルケマ社製「ボンダインHX−8290(以下、HX8290と示す)」を用い、水性分散体E−1の製造と同様の操作を行って、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を得た。
(参考例3)
〔酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3の製造〕
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのエチレン−アクリル酸共重合体樹脂(ダウケミカル社製プリマコール5980I、以下5980Iと示す)、16.8gのTEA、および223.2gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の水性分散体E−3を得た。この際、フィルター上に樹脂は殆ど残っていなかった。
〔酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3の製造〕
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのエチレン−アクリル酸共重合体樹脂(ダウケミカル社製プリマコール5980I、以下5980Iと示す)、16.8gのTEA、および223.2gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の水性分散体E−3を得た。この際、フィルター上に樹脂は殆ど残っていなかった。
水性分散体E−1〜E−3の製造に使用した酸変性ポリオレフィン樹脂の組成を表1に示す。
〔ポリビニルアルコールの水溶液PVA1〜3の製造〕
ポリビニルアルコールとして日本酢ビ・ポバール社製「VC−10」「JF−03」「JL−25E」を用い、水との加熱、攪拌によって8質量%ポリビニルアルコール水溶液を得た。「VC−10」、「JF−03」、「JL−25E」の各水溶液を、それぞれ、PVA1、PVA2、PVA3とした。
ポリビニルアルコールとして日本酢ビ・ポバール社製「VC−10」「JF−03」「JL−25E」を用い、水との加熱、攪拌によって8質量%ポリビニルアルコール水溶液を得た。「VC−10」、「JF−03」、「JL−25E」の各水溶液を、それぞれ、PVA1、PVA2、PVA3とした。
原料に用いたポリビニルアルコールの特性を以下に示した。
VC−10:重合度1000、ケン化度99.5モル%
JF−03:重合度300、ケン化度99.0モル%
JL−25E:重合度2500、ケン化度79.0モル%
VC−10:重合度1000、ケン化度99.5モル%
JF−03:重合度300、ケン化度99.0モル%
JL−25E:重合度2500、ケン化度79.0モル%
〔ポリビニルアルコールの水溶液PVA4の製造〕
ポリビニルアルコールとしてエチレンビニルアルコール共重合体である日本合成化学社製「ソアノール16D(以下、16Dと示す)」(エチレン含有量29質量%)を用い、50質量%イソプロパノール水溶液との加熱、攪拌によって8質量%エチレンビニルアルコール共重合体水溶液(イソプロパノールを含む)を得た。この水溶液をPVA4とした。
ポリビニルアルコールとしてエチレンビニルアルコール共重合体である日本合成化学社製「ソアノール16D(以下、16Dと示す)」(エチレン含有量29質量%)を用い、50質量%イソプロパノール水溶液との加熱、攪拌によって8質量%エチレンビニルアルコール共重合体水溶液(イソプロパノールを含む)を得た。この水溶液をPVA4とした。
(包装材料用接着剤AD1)
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−1」と、ポリビニルアルコールの水溶液「PVA1」を用いて、「E−1」中の酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して「PVA1」中のポリビニルアルコールの含有量が0.1質量部になるように「E−1」と「PVA1」とを攪拌しながら混合し、酸変性ポリオレフィン樹脂とポリビニルアルコールとを含有する水性分散体を得た。さらに、水性分散体の固形分濃度が8質量%となるように水を加え攪拌した。以上で得られた水性分散体を包装材料用接着剤AD1とした。なお、以上のように予め、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体とポリビニルアルコールの水溶液を調整しておいてから両者を混合して包装材料用接着剤を製造する方法を「ブレンド法」とした。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−1」と、ポリビニルアルコールの水溶液「PVA1」を用いて、「E−1」中の酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して「PVA1」中のポリビニルアルコールの含有量が0.1質量部になるように「E−1」と「PVA1」とを攪拌しながら混合し、酸変性ポリオレフィン樹脂とポリビニルアルコールとを含有する水性分散体を得た。さらに、水性分散体の固形分濃度が8質量%となるように水を加え攪拌した。以上で得られた水性分散体を包装材料用接着剤AD1とした。なお、以上のように予め、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体とポリビニルアルコールの水溶液を調整しておいてから両者を混合して包装材料用接着剤を製造する方法を「ブレンド法」とした。
(包装材料用接着剤AD2〜5)
ポリビニルアルコールの含有量が表2に示した質量部となるように「PVA1」の混合量を変えた以外は、実施例1と同様の操作で、水性分散体を製作した。得られた水性分散体を、包装材料用接着剤AD2〜5とした。
ポリビニルアルコールの含有量が表2に示した質量部となるように「PVA1」の混合量を変えた以外は、実施例1と同様の操作で、水性分散体を製作した。得られた水性分散体を、包装材料用接着剤AD2〜5とした。
(包装材料用接着剤AD6〜8)
ポリビニルアルコールの種類が表2に示した種類となるように、ポリビニルアルコール水溶液の種類を変えた(実施例6は「PVA2」、実施例7は「PVA3」、実施例8は「PVA4」)以外は、実施例1と同様の操作で、水性分散体を製作した。得られた水性分散体をAD6〜8とした。
ポリビニルアルコールの種類が表2に示した種類となるように、ポリビニルアルコール水溶液の種類を変えた(実施例6は「PVA2」、実施例7は「PVA3」、実施例8は「PVA4」)以外は、実施例1と同様の操作で、水性分散体を製作した。得られた水性分散体をAD6〜8とした。
(包装材料用接着剤AD9)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの「TX−8030」、0.6gの「VC−10」(TX8030の100質量部に対して1質量部)、90.0gのイソプロパノール、3.0gのトリエチルアミン及び147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、水を456.9g投入し固形分濃度8質量%に調整した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な水性分散体を得た。この水性分散体を包装材料用接着剤AD9とした。なお、以上のように、酸変性ポリオレフィン樹脂とポリビニルアルコールを、一括して溶解及び水性分散化して包装材料用接着剤を製造する方法を「一括分散法」とした。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの「TX−8030」、0.6gの「VC−10」(TX8030の100質量部に対して1質量部)、90.0gのイソプロパノール、3.0gのトリエチルアミン及び147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、水を456.9g投入し固形分濃度8質量%に調整した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な水性分散体を得た。この水性分散体を包装材料用接着剤AD9とした。なお、以上のように、酸変性ポリオレフィン樹脂とポリビニルアルコールを、一括して溶解及び水性分散化して包装材料用接着剤を製造する方法を「一括分散法」とした。
(包装材料用接着剤AD10)
酸変性ポリオレフィン樹脂の種類がTX8030となるように、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体として「E−2」を用いた以外は、実施例1と同様の操作で、水性分散体を製作した。得られた水性分散体を包装材料用接着剤AD10とした。
酸変性ポリオレフィン樹脂の種類がTX8030となるように、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体として「E−2」を用いた以外は、実施例1と同様の操作で、水性分散体を製作した。得られた水性分散体を包装材料用接着剤AD10とした。
(接着剤N1)
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体「E−1」の固形分濃度が8質量%となるように水を加え攪拌し水性分散体を得た。この水性分散体を接着剤N1とした。
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体「E−1」の固形分濃度が8質量%となるように水を加え攪拌し水性分散体を得た。この水性分散体を接着剤N1とした。
(接着剤N2、3)
ポリビニルアルコールの含有量が表2に示した質量部となるように「PVA1」の混合量を変えた以外は、実施例1と同様の操作で、水性分散体を製作した。得られた水性分散体を接着剤AD2〜5とした。
ポリビニルアルコールの含有量が表2に示した質量部となるように「PVA1」の混合量を変えた以外は、実施例1と同様の操作で、水性分散体を製作した。得られた水性分散体を接着剤AD2〜5とした。
(接着剤N4)
酸変性ポリオレフィン樹脂の種類が5980Iとなるように、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体として「E−3」を用いた以外は、実施例1と同様の操作で、水性分散体を製作した。得られた水性分散体を接着剤N4とした。
酸変性ポリオレフィン樹脂の種類が5980Iとなるように、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体として「E−3」を用いた以外は、実施例1と同様の操作で、水性分散体を製作した。得られた水性分散体を接着剤N4とした。
包装材料用接着剤AD1〜10および接着剤N1〜4について評価(数平均粒子径、非水溶性の溶剤との分散安定性、内容物成分の吸着性、積層体のしわ)を行った。接着剤組成および製法、評価結果を表2に示す。
(実施例1)
厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムと厚さ7μmのアルミニウム箔を二液硬化型のポリウレタン系接着剤でラミネートしてバリア層を有した積層体を得た。この積層体のアルミニウム箔面に、乾燥後の接着層の量が0.5g/m2となるように、「AD1」を塗布し、100℃で120秒間乾燥させ、接着層を形成させた。
厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムと厚さ7μmのアルミニウム箔を二液硬化型のポリウレタン系接着剤でラミネートしてバリア層を有した積層体を得た。この積層体のアルミニウム箔面に、乾燥後の接着層の量が0.5g/m2となるように、「AD1」を塗布し、100℃で120秒間乾燥させ、接着層を形成させた。
次いで、押出機を備えたラミネート装置を用いて、接着層の表面にシーラント樹脂としてLDPE(住友化学社製「L211」)を320℃で溶融押出して、25μmのLDPE層からなるシーラント層を備えたラミネートフィルムを得た。
(実施例2〜9)
包装材料用接着剤の種類を表3に示したものを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、ラミネートフィルムを得た。
包装材料用接着剤の種類を表3に示したものを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、ラミネートフィルムを得た。
(実施例10)
乾燥後の接着層の量が3g/m2となるように「AD3」を塗布した以外は、実施例3と同様の操作を行って、ラミネートフィルムを得た。
乾燥後の接着層の量が3g/m2となるように「AD3」を塗布した以外は、実施例3と同様の操作を行って、ラミネートフィルムを得た。
(実施例11)
バリア層を有した積層体として、市販のアルミニウム蒸着フィルム(東セロ社製「メタラインML−PET」)を用い、アルミニウム蒸着面に「AD3」を塗布したこと以外は、実施例11と同様の操作を行って、ラミネートフィルムを得た。なお、「メタラインML−PET」のガスバリア性能は、酸素透過度10ml/m2・day・MPa(JIS K7126)、水蒸気透過度1g/m2・day(JIS Z0208)であった。
バリア層を有した積層体として、市販のアルミニウム蒸着フィルム(東セロ社製「メタラインML−PET」)を用い、アルミニウム蒸着面に「AD3」を塗布したこと以外は、実施例11と同様の操作を行って、ラミネートフィルムを得た。なお、「メタラインML−PET」のガスバリア性能は、酸素透過度10ml/m2・day・MPa(JIS K7126)、水蒸気透過度1g/m2・day(JIS Z0208)であった。
(比較例1〜3)
包装材料用接着剤の変わりに表3に示した接着剤「N2〜4」を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、ラミネートフィルムを得た。
包装材料用接着剤の変わりに表3に示した接着剤「N2〜4」を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、ラミネートフィルムを得た。
(比較例4)
包装材料用接着剤の変わりに、ポリウレタン樹脂水性分散体(三井化学社製「タケラックW−6010」、固形分濃度30質量%)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、ラミネートフィルムを得た。
包装材料用接着剤の変わりに、ポリウレタン樹脂水性分散体(三井化学社製「タケラックW−6010」、固形分濃度30質量%)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、ラミネートフィルムを得た。
実施例1〜11及び比較例1〜4で得られた各ラミネートフィルムおよび包装材料について、評価(耐内容物試験の前後においてラミネート強度、引き裂き性)を行った。評価結果を表3に示す。
実施例1〜11のように、接着層として、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対してポリビニルアルコールの含有量が0.1〜10質量部を含んでいる包装材料は、様々な内容物に対する耐性、引き裂き性、内容物成分の吸着性、バリア層の反りに関して優れた効果を有していた。
一方、本発明で規定する接着層以外の構成を接着層として有する包装材料(比較例1〜4)は、耐内容物性や引き裂き性に劣っていた。
Claims (8)
- 浸透性成分含有ペースト状物質を含む内容物のための包装材料であって、バリア層、接着層及びシーラント層がこの順に積層されてなる構成を有し、前記接着層が、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有する酸変性ポリオレフィン樹脂およびポリビニルアルコールを含有し、該酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対してポリビニルアルコールの含有量が0.1〜10質量部であることを特徴とする包装材料。
- 前記内容物が、浸透性成分含有ペースト状物質として、化粧品、医薬品、調味料および食品から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1記載の包装材料。
- 接着層の量が0.001〜5g/m2の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2記載の包装材料。
- バリア層がアルミニウムから構成されることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の包装材料。
- シーラント層がポリオレフィン樹脂から構成されることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の包装材料。
- ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分とする樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の包装材料。
- バリア層の少なくとも一方の面に(メタ)アクリル酸エステル成分を含有する酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部およびポリビニルアルコール0.1〜10質量を含有する接着層を形成した後、接着層の上に溶融したシーラント樹脂を押出ラミネーションにより積層することを特徴とする請求項1記載の包装材料の製造方法。
- 請求項7において、接着層を形成するに際して、数平均粒子径が500nm以下の該酸変性ポリオレフィン樹脂と、ポリビニルアルコールとを水性媒体中に含む接着剤を塗布し乾燥することを特徴とする包装材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013060190A JP2014184616A (ja) | 2013-03-22 | 2013-03-22 | 包装材料 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016188337A (ja) * | 2015-03-30 | 2016-11-04 | 東ソー株式会社 | 樹脂組成物、接着剤及びその成形体 |
-
2013
- 2013-03-22 JP JP2013060190A patent/JP2014184616A/ja active Pending
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