しかし、従来の炊飯器では、次のような問題があった。
本体内から発生する蒸気は、蒸気に含まれるうまみ成分も含めて、送風手段の送風や内蓋の加熱により、最終的には炊飯器の外部に放出される。つまり、炊飯時には被炊飯物のうまみ成分が一方的に外部へ放出されてしまい、うまみのあるしっかりとした炊き上がりが得られない不満があった。
内釜内の気体は、被炊飯物から発生する蒸気が多く含まれている。そのため、ポンプから気体が排出されるまでの間に蒸気が結露し、この結露による液体がポンプを通過しながら、音をジュルジュルと発生させる現象が起きていた。
現在時刻だけを基準として予約希望時刻を予測する場合は、例えば現在時刻より20分先に炊き上がるような予約推定ができない。また、記憶手段に記憶する予約時刻をそのまま表示させる場合は、現在時刻を基準として予約時刻を設定することができず、次に設定したい予約時刻が大きく異なる場合に、表示された予約時刻を希望の時刻に設定するのに煩わしさを生じる。
そこで本発明は、蒸気温度を下げて安全性を向上させると共に、うまみのあるしっかりとした炊き上がりとなる炊飯器を提供することを目的とする。
また本発明は、簡単な装置を付加するだけで、ポンプで発生したジュルジュル音を低減させることが可能な炊飯器を提供することを目的とする。
また本発明は、現在時刻が予測用に記憶された予約時刻と接近していても、最適な予約希望時刻を予測して表示することが可能となり、予約時刻の設定を簡単に行なえる炊飯器を提供することを目的とする。
請求項1の発明では、送風が行われる熱交換器で蒸気経路を強制的に冷却することにより、蒸気経路を通過する蒸気の温度を下げて安全性を向上させつつ、蒸気に含まれるうまみ成分を、戻し路で積極的に本体側に戻すことができ、うまみの多いしっかりとした炊き上がりが可能になる。また、従来は殆ど炊飯器の外部に放出していた蒸気を本体内に戻すため、炊飯に必要となる液体を少なく済ますことができる。
請求項2の発明では、送風の流れと蒸気の流れが同一方向であると、蒸気経路と送風経路の始めは温度差が大きいが、後半には温度差が小さくなって熱交換しにくくなるが、送風の流れと蒸気の流れがほぼ反対であれば、熱交換器のどの箇所でも送風温度と蒸気温度との差が大きく、熱交換器による効率的な熱交換が可能になる。
請求項3の発明では、蒸気経路の出口から放出される蒸気に、送風経路の出口からの送風を当てることにより、蒸気温度を効果的に下げて安全性を更に高めることができる。
請求項4の発明では、ヒンジを中心にして蓋を開けたときに、蒸気経路からの露が送風手段にかかることがなく、漏電の可能性をなくして安全性を高めることができる。
請求項5の発明では、ポンプからの気体排出経路の途中に拡張室を付加することで、ポンプで発生したジュルジュル音は、拡張室での音の拡張と拡張室内の反射波干渉により、その音の力が減衰するので、簡単な装置を付加するだけで、ポンプで発生したジュルジュル音を低減させることが可能になる。
請求項6の発明では、拡張室を別体で設けていないので、少ない部品点数で且つ簡単な構成により、安価で信頼性の高い実施が可能となる。
請求項7の発明では、被炊飯物から発生した栄養分を含む残液が、拡張室の出口から排出しやすくなり、拡張室内の残液を少なくすることができるので、カビや菌の発生を抑えて、炊飯器からの異臭の発生を低減できる。
請求項8の発明では、拡張室の出口から結露による残液が排出されるときに、液体の膜が出口の上部にまで到達しにくいので、その膜による吸込み音が発生し難くなり、残液の排出時における騒音を低減できる。
請求項9の発明では、経路の幅が音の波長よりも短い場合、拡張室に到達する音が平面波となるが、少なくとも経路の長さが経路の幅よりも長い寸法であれば、十分な平面波となって、拡張室内で音が完全反射するので、進行波と反射波とによる干渉でジュルジュル音の低減効果を増加させることが可能になる。
請求項10の発明では、拡張室に壁を設けることで、拡張室の入口から拡張室の出口に直接音が伝わらないので、拡張室内での音の伝わりを低減させることができ、ポンプで発生したジュルジュル音をさらに低減させることが可能になる。
請求項11の発明では、蓋を開けたときに、拡張室内に溜まった結露による液体が出口付近に集まり、そこから蓋の外部に排出されるので、拡張室内に残液がなくなって衛生的になり、炊飯器からの異臭の発生を低減できる。
請求項12の発明では、蓋を開けたときに、拡張室内に溜まった結露による液体が出口付近に集まるが、出口の穴の直径を1.5mm以下にすると、液体の張力により出口から液体は排出されない。その後、使用者により蓋を閉じて、保温などでポンプが運転されるモードになると、ポンプからの排気により液体は出口より排出される。このとき、蓋は閉じられているので、蓋の外に垂れ落ちる液体の状態は使用者に見えず、不快感を与えることなく液体を排出させることができる。
請求項13の発明では、拡張室内に溜まった液体が出口に集まろうとするときに、傾斜した壁を伝って出口に向けてスムースに流れ出すので、拡張室内に残液がなくなって衛生的になり、炊飯器からの異臭の発生を低減できる。
請求項14の発明では、拡張室内の断面形状を略S字状にすることで、拡張室の入口から拡張室の出口に直接音が伝わらないので、拡張室内での音の伝わりを低減させることができ、ポンプで発生したジュルジュル音をさらに低減させることが可能になる。
請求項15の発明では、現在時刻と、既に記憶している予約時刻の両方から、使用者の希望する予約希望時刻を予測して表示するので、予約時刻を変更しない場合は即座に予約設定が可能となり、予約時刻を変更する場合でも、その変更分だけを操作するだけで済む。したがって、現在時刻が予測用に記憶された予約時刻と接近していても、最適な予約希望時刻を予測して表示することが可能となり、また予約時刻の設定を簡単に行なうことができる。
請求項16の発明では、現在時刻が予測用に記憶された予約時刻と接近している場合であっても、記憶された予約時刻までに最も近い時刻で炊飯が可能となる最長の所要時間の炊飯コースがあれば、その炊飯コースを複数の炊飯コースの中から抽出すると共に、記憶された予約時刻をそのまま予約希望時刻として表示できるので、使用者の希望する予め記憶された予約時刻に、できるだけ炊飯を完了させることができる。
請求項17の発明では、一般には炊飯開始から炊き上がりまでの所要時間が短くなると、おいしさが悪くなるので、まず記憶された予約時刻までに最も近い時刻で炊飯が可能となる炊飯コースを表示しておき、その炊飯コースが気に入らなければ、より所要時間の長い炊飯コースへの設定変更を行なうことができる。また、炊飯コースの設定変更に伴い、予約希望時刻も変更されるので、予約希望時刻と炊飯コースとの関係が確認できる。この結果、使用者が予約希望時刻を優先させるか、或いはおいしさの目安となる炊飯コースを優先させるのかを判断しやすくなる。
請求項18の発明では、記憶手段に記憶される通常の予約時刻から、たまたま別な予約時刻で炊飯を行なった場合は、その次に第1表示手段で表示される予約希望時刻は、別な予約時刻であるよりも通常の予約時刻である方が使い勝手が良いことから、工場出荷後の1回目の上書きを除き、2回連続して同じ予約時刻に変更して炊飯を行なった場合に、記憶手段への予約時刻の上書きを行なうことで、使い勝手の良い炊飯器を提供できる。
請求項1の発明によれば、蒸気温度を下げて安全性を向上させると共に、うまみのあるしっかりとした炊き上がりとなり、しかも炊飯時の液体を少なく済ますことが可能な炊飯器を提供できる。
請求項2の発明によれば、熱交換器による効率的な熱交換が可能な炊飯器を提供できる。
請求項3の発明によれば、蒸気温度を効果的に下げて安全性を更に高めることができる。
請求項4の発明によれば、漏電の可能性をなくして安全性を高めることができる。
請求項5の発明によれば、簡単な装置を付加するだけで、ポンプで発生したジュルジュル音を低減させることが可能な炊飯器を提供できる。
請求項6の発明によれば、少ない部品点数で且つ簡単な構成により、安価で信頼性の高い実施が可能となる。
請求項7の発明によれば、炊飯器からの異臭の発生を低減できる。
請求項8の発明によれば、拡張室の出口での残液の排出時における騒音を低減できる。
請求項9の発明によれば、拡張室内におけるジュルジュル音の低減効果を増加させることが可能になる。
請求項10の発明によれば、ポンプで発生したジュルジュル音をさらに低減させることが可能になる。
請求項11の発明によれば、炊飯器からの異臭の発生を低減できる。
請求項12の発明によれば、使用者に不快感を与えることなく、液体を排出させることができる。
請求項13の発明によれば、炊飯器からの異臭の発生を低減できる。
請求項14の発明によれば、ポンプで発生したジュルジュル音をさらに低減させることが可能になる。
請求項15の発明によれば、現在時刻が予測用に記憶された予約時刻と接近していても、最適な予約希望時刻を予測して表示することが可能となり、予約時刻の設定を簡単に行なえる炊飯器を提供できる。
請求項16の発明によれば、使用者の希望する予め記憶された炊き上がりの予約時刻に、できるだけ炊飯を完了させることができる。
請求項17の発明によれば、使用者が炊き上がり時刻を優先させるか、或いはおいしさの目安となる炊飯コースを優先させるのかを判断しやすい炊飯器を提供できる。
請求項18の発明によれば、使い勝手の良い炊飯器を提供できる。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における炊飯器の好ましい実施例を説明する。
図1は各実施例に共通して、被炊飯物である米や水からご飯などを炊き上げる炊飯器の概要構成を示している。同図において、1は炊飯器の外郭をなす本体で、この本体1は、ご飯を収納し炊飯および保温する有底筒状の内釜2を着脱可能に備え、本体1の上面開口部は開閉可能な蓋3で覆われる。
蓋3は、その上面外殻をなす外観部品としての外蓋4と、蓋3の内面である下面を形成する外蓋カバー5と、外蓋カバー5に設けられ、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属製の放熱板6とにより構成され、放熱板6の上面には蓋ヒータ7が設けられる。また、外蓋カバー5の下面には、蓋3を閉じたときに内釜2内を密閉可能にすると共に、内釜2の上部開口に蓋をする内蓋8が着脱自在に取付けられる。蓋ヒータ7は、主に放熱板6や内蓋8を加熱する蓋加熱手段として設けられている。放熱板6には、蓋3に装着される内蓋8の温度を検知する蓋温度検知手段として、蓋ヒータ7による内蓋8の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ9が設けられる。
内釜2は、熱伝導性のよいアルミニウムを母材10とし、この母材10の外側面下部から外底面部にかけてフェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体11を接合して構成される。この発熱体11に対向して、本体1内には内釜2を電磁誘導加熱する加熱手段としての加熱コイル12が設けられる。そして、加熱コイル12に高周波電流を供給すると、加熱コイル12から発生する交番磁界によって内釜2の発熱体11が発熱し、炊飯時と保温時に内釜2ひいては内釜2内の被炊飯物を加熱するようになっている。
また、本体1内には内釜温度検出手段としてサーミスタ式の内釜温度センサ13が配置され、本体1に内釜2を装着すると、内釜2の底部外面に内釜温度センサ13が弾発的に接触するようになっている。これにより、内釜温度センサ13で検出した内釜2の温度に応じて加熱コイル12の加熱量を調節し、内釜2を一定温度に保持する構成になっている。
本体1の後方には、蓋3と連結するヒンジ15が設けられる。このヒンジ15は、蓋3を常時開方向に付勢するヒンジバネ16を収納して構成され、蓋3の前方上面に露出して配設した蓋開ボタン17を押すと、蓋3と本体1との係合が解除され、蓋3がヒンジ15を中心として本体1の後方へ自動的に開く構成となっている。その他に蓋3には、炊飯時に内釜2内の被炊飯物から発生する蒸気を蓋3の外側へ導くために、内釜2の内部空間と炊飯器の外部とを連通させる蒸気経路18を備えた蒸気口19が着脱可能に配設される。
本体1の正面部には操作パネル21が設けられている。この操作パネル21の内側には、時刻や選択した炊飯コースを表示するLCD22や、各種の動作を指示するための操作ボタン23(図2参照)などを配置した基板が配設される。なお、操作パネル21は後述のように蓋3の上面側に設けてもよい。
25は、内蓋8を閉じたときに内釜2内に形成される密閉空間26の気体すなわち空気を、炊飯器の外部に排出して内釜2内を減圧するための減圧手段である。この減圧手段25は、本体1の後方に設けた減圧駆動源としてのポンプ27と、密閉空間26とポンプ27との間を連通させる空気吸込み経路28と、ポンプ27と炊飯器の外部とを連通させる空気排出経路29とを備えており、空気吸込み経路28の途中には、必要に応じて当該空気吸込み経路28を開閉する開閉弁30が配設される。なお、ポンプ27は後述のように、本体1にではなく蓋3の例えば内部後方に設けてもよい。また、空気吸込み経路28の一端は、内蓋8に設けた穴24に接続すると共に、空気吸込み経路28の他端は、ポンプ27の吸込口に接続する。
本体1の内部には、蒸気口19と密閉空間26との間の連通路31を開閉するボール状の調圧弁32を備えた調圧部33が設けられる。また、蓋3の内部には、調圧弁32を動かして内釜2の内圧を調節するソレノイド34が設けられており、ソレノイド34の非通電状態では、その先端部を進出位置に保持して、調圧弁32を連通路31から退避させる一方、ソレノイド34の通電状態では、その先端部を退避させ、調圧弁32を連通路31に自重で転動させることで、当該連通路31を塞いで内釜2内の密閉空間26を密閉状態に維持する構成となっている。
35は本体1の内部に設けられた制御手段制御手段である。この制御手段35は、蓋温度センサ9および内釜温度センサ13からの各温度情報や、操作ボタン23からの操作信号などを受け付けて、炊飯時および保温時に内釜2の底部を加熱する加熱コイル12と、内釜2の側部を加熱するコードヒータ36と、蓋3を加熱する蓋ヒータ7とを各々制御すると共に、前述した減圧手段25を構成するポンプ27および開閉弁30や、LCD22などの表示手段や、調圧部33の駆動源となるソレノイド34や、その他の電気部品を各々制御するものである。特に本実施例の制御手段35は、内釜温度センサ13の検出温度に基づいて主に加熱コイル12が制御されて内釜2の底部を温度管理し、蓋温度センサ9の検出温度に基づいて主に蓋ヒータ25が制御されて放熱板6ひいては内蓋8を温度管理するようになっている。制御手段35は、自身の記憶手段(図示せず)に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、炊飯時に内釜2内の被炊飯物である米や水を炊飯加熱する炊飯制御手段37と、保温時に内釜2内の被炊飯物であるご飯を所定の保温温度に保温加熱する保温制御手段38と、操作ボタン23からの予約炊飯開始の指令を受けて、予め設定された予約時刻に内釜2内の被炊飯物が炊き上がるように、炊飯制御手段37を制御する予約炊飯制御手段39を備えている。
そして、炊飯制御手段37による炊飯時、および保温制御手段38による保温時には、内釜温度センサ13と蓋温度センサ9からの各温度検出により、加熱コイル12による内釜2の底部への加熱と、コードヒータ36による内釜2の側面への加熱と、蓋ヒータ7による蓋3への加熱を行なうように制御する。また、炊飯制御手段37による炊飯が終了し、内釜2内の被炊飯物がご飯として炊き上がった後は、保温制御手段38による保温に自動的に移行し、内釜温度センサ13の検知温度に基づき、加熱コイル12やコードヒータ32による内釜2への加熱を調節することで、ご飯を所定の保温温度(約70℃〜76℃)に保温するように構成している。
次に、本実施例における炊飯器の詳細な構成と、それによる作用について、図2〜図11を参照しながら説明する。なお、図1で示した炊飯器と共通する構成には共通する符号を付し、重複する説明は極力省略する。
図2は、本実施例の炊飯器を上面から見た外観図で、ここでは蒸気口19の側方に位置して、蓋3の内部に送風手段としての送風器41が内蔵され、送風器41から蒸気口19に向けて送風することが可能となっている。送風器41自体は周知のように、モータ42を駆動源として回転するファン43と、そのファン43を取り囲んで内部に風洞を形成するケーシング44とにより構成され、ファン43の回転に伴い、蓋3の側面に開口形成した空気取入口45から炊飯器外周辺の空気を取込み、ケーシング43の一側より延設した筒状の排気部46から、その空気を蒸気口19へ強制的に送り出す構造を有している。なお、モータ42ひいてはファン43の動作は、前述した加熱制御手段31により制御されるようになっている。
図3〜図5は、蒸気口19の断面構造をそれぞれ示しており、これらの各図において、蒸気口19は、有底状に形成されたケース部材としての蒸気口下部材48と、蒸気口下部材48の上面開口を塞ぐキャップ部材としての蒸気口上部材49と、蒸気口下部材48と蒸気口上部材49との間に介在する例えばステンレス板製の熱交換器50とを組み合わせて構成され、蓋3の上面側から着脱可能な一つの独立したユニットとして形成される。蒸気口19の内部には、前述の蒸気経路18と、送風器41からの空気が流れる送風経路51が、熱交換器50により上下に区画形成される。
図3に示すように、蒸気経路18は、内釜2から発生する蒸気を取入れるために、蒸気口下部材48の底部に設けた蒸気入口52から始まり、蒸気経路18の内部で、白抜きの矢印Sのように蒸気が流れていく。その後、図4に示すように、蒸気経路18内の蒸気は白抜きの矢印Sのように流れていき、蒸気経路18の終点であって、蒸気口上部材49の上部でスリット状に開口する蒸気出口53を通過して、蓋3の外部に排出されるようになっている。
前述の熱交換器50は、蒸気経路18の上部に設けられており、送風器41から送風経路51に導かれた送風によって、熱交換器50の上部が冷却されることにより、蒸気経路18を通過する蒸気が熱交換器50により冷却されて結露する。蒸気口下部材48は、蒸気経路18の下面をなす内底面を、蒸気入口52に連通する戻し口54に向けて下方に傾斜させた傾斜部55を有しており、蒸気経路18内で結露したうまみ成分を含む水滴は、図3の黒矢印Wのように傾斜部55を流れていき、戻し口54を通過して蒸気入口52から本体1側へ戻っていく。また、板状の熱交換器50の周縁には、例えばゴムなどの弾性に富むパッキン56が全周にわたって装着され、このパッキン56がケース48と蒸気口上部材49との間に密着挟持されるようになっている。熱交換器50には、蒸気口19内で蒸気経路18の蒸気を蒸気出口53に導くための連通穴57が、当該蒸気出口53に臨む位置に開口形成され、パッキン56は熱交換器50の外周のみならず、連通孔57の回りにも装着される。
図6〜図8は、蒸気口下部材48,熱交換器50および蒸気口上部材49の各構成をそれぞれ示している。蒸気口19の構成は、図6に示す蒸気口下部材48の上面開口に、図7に示す熱交換器50を載置し、その上に図8に示す蒸気口上部材49を被せて、(図示しない)嵌め込みなどで蒸気口下部材48と蒸気口上部材49を固定している。図6に示す蒸気経路18は、蒸気口19の上面側から見て、略U字状に形成される。同様に、図8に示す送風経路51も、蒸気口19の上面側から見て、略U字状に形成される。
送風器41から排出する冷風は、図4に示す蒸気口上部材49の側部に設けた穴58から入り、蒸気口上部材49と熱交換器50で囲まれる送風経路51内に導かれ、蒸気口上部材49の上部に開口する送風出口59を通過して、蓋3の外部に排出される。一方、蒸気口下部材48と熱交換器50で囲まれる蒸気経路18内の蒸気の流れは、前述したように蒸気入口52から始まり、蒸気出口53までとなっているが、熱交換器50を介して送風経路51を流れる送風の向きとは、略反対方向となっている。この場合、仮に蒸気口19内における蒸気の流れと送風流れが同一方向であると、経路の始めでは温度差が大きいものの、経路の終わりになると温度差が小さくなって熱交換がしにくくなるが、本実施例のように、熱交換器50で区画された蒸気経路18内の蒸気の流れと、送風経路51内の送風の流れが、蒸気口19の内部で略逆方向となるように、蒸気経路18および送風経路51をそれぞれ形成すれば、熱交換器50のどの箇所でも送風温度と蒸気温度との差が大きくなり、熱交換器50を介しての効率的な熱交換が可能になる。
図5に示すように、蒸気口19の上面部に設けた送風出口59は、同じく蒸気口19の上面部に設けた蒸気出口53に向けて開口しており、蒸気出口53は送風出口59の近傍に設けられる。そのため、図5の矢印Tで示したように、蒸気口19の外部で蒸気出口53からの蒸気と送風出口59からの送風が混合して、蒸気口19から排出する蒸気温度を下げることが可能になる。
また、蒸気入口52の下端面を基準として、蓋3の上面と略面一な蒸気口19の上面H1は、平行に形成される一方で、熱交換器50の上面H2や、蒸気出口53が位置する蒸気口19の他側底面H3は、蒸気入口52や送風出口59が位置する蒸気口19の一側に向けて、所定の角度で下方に傾斜している。
図2に示すように、本体1の後方(本図の右側が、本体1の後方側)にはヒンジ15が設けられ、このヒンジ15を中心にして、蓋3が本体1の後方へ開くように構成してあり、送風器41は蓋3が開く支点となる本体1の後方側にではなく、本体1の側面側に設けられる。本実施例では、送風器41を本体1の側方に設け、送風器41の排気部46に臨んで、蒸気口19の側方に穴58を開口形成しているため、蒸気経路18内の結露水が送風経路51に侵入するようなことがあっても、本体1に対し蓋3を開けたときに、結露水はヒンジ15に近い蒸気口19の後方に移動し、孔58から送風器41に露がかかるのを効果的に防ぐことができる。
次に、上記構成について、本実施例における作用を説明すると、炊飯を行なう場合には、所定量の米と水を内釜2に投入して本体1にセットし、蓋3を閉じて例えば炊飯ボタンなどの操作ボタン23を押動操作すると、制御手段35の炊飯制御手段37による炊飯が開始する。炊飯制御手段37は、内釜2内の米に対する吸水を促進させるために、内釜温度センサ13による内釜2の底部の温度検知に基づいて、加熱コイル12とコードヒータ36で内釜2の底部と側面部をそれぞれ加熱し、内釜2内の水温を約45〜60℃に15〜20分間保持するひたしを行なう。
ひたし時には、内釜2内の圧力が大気圧よりも低くなるように、制御手段35によりポンプ27を駆動させると共に、このポンプ27の駆動に同期して開閉弁30を開弁動作させ、空気吸込み経路28を開放する。これにより、内釜2内の密閉空間26から、空気吸込み経路28,開閉弁30,空気排出経路29の順に空気が排出される。また、この内釜2の減圧時には、制御手段35がソレノイド34を通電状態にして、調圧弁32により連通路31を塞ぐので、内釜2内の密閉が確保される。そのため、ひたし時に密閉状態で内釜2内を減圧でき、内釜2内において米に水を十分に吸水させることが可能になる。
やがて、所定時間のひたしが終了すると、制御手段35による減圧制御は中断し、ポンプ27および開閉弁30は、保温が安定した状態になるまでオフ状態となる。また、制御手段35はソレノイド34を非通電にして、調圧弁32を連通路31から退避させ、内釜2内をほぼ大気圧に維持する。
ひたしが終了して実質的な炊飯工程に移行すると、炊飯制御手段37は加熱コイル12により内釜2を強加熱し、被炊飯物への沸騰加熱を行なう。そして、蓋温度センサ9と内釜温度センサ13からの検知温度により、内釜2内の沸騰状態を検知すると、炊き上げ(沸騰継続加熱)とむらしを続けて行なう。炊飯制御手段37は、むらしの途中までは内釜2内を大気圧以上にするために、ポンプ27および開閉弁30を引き続きオフ状態にしたまま、制御手段35がソレノイド34を通電状態にして、調圧弁32により連通路31を塞ぐ。これにより、内釜2内と外部との連通が遮断される。
また、沸騰継続加熱に移行すると、炊飯制御手段37は蓋ヒータ7による蓋加熱を開始させる。ここでの蓋加熱は、内蓋8の温度が100〜110℃になるように、蓋温度センサ9の検知温度により検知される。また、沸騰継続加熱に移行したら、制御手段35がソレノイド34を周期的に通断電させて、内釜2内に通じる調圧部33の密閉度を最適なものに可変してもよい。
そして、内釜2の底部が所定の温度上昇を生じたら、内釜2内の炊上がりを検知して、炊飯制御手段37による炊飯工程を終了し、保温制御手段38による保温工程に移行して、最初のむらしを実行する。むらし中は、蓋温度センサ9の検知温度による温度管理によって蓋ヒータ7を通断電し、内蓋8への露付きを防止すると共に、ご飯が焦げない程度に高温(98〜100℃)が保持されるように、内釜2の底部の温度を管理する。また、むらしの途中で、制御手段35はソレノイド34を非通電にして、調圧弁32を連通路31から退避させ、内釜2内をほぼ大気圧に維持する。むらしは所定時間(15〜20分)続けられ、むらしが終了したら保温制御手段38による保温に移行する。
保温になると、加熱コイル12にて内釜2の底部と側面下部を加熱すると共に、内釜2内のご飯の温度よりも僅かに高く、蓋ヒータ7により蓋3の下面を加熱し、さらに内釜2の側面を、コードヒータ36でご飯が乾燥せず、且つ露が大量に付着しないように温度管理する。これにより、内釜2内のご飯の温度を70〜76℃に維持する。また、保温制御手段38は保温の経過時間が予め設定した時間に達すると、内釜2内の圧力が大気圧よりも低くなるように、ポンプ27を駆動させると共に開閉弁30を開弁動作させる。
上記一連の炊飯工程では、調圧弁32が連通路31から退避しているときに、内釜2内の被炊飯物から発生する蒸気が、連通路31を通して蓋3に装着された蒸気口19内の蒸気経路18に進入する。この蒸気発生時に、制御手段35が送風器41のモータ42に駆動信号を供給すると、ファン43が回転して蒸気口19の送風経路51に冷風が強制的に送り出される。
そのため、蒸気口19の内部では、金属製の板状部材からなる熱交換器50を介して、蒸気経路18を通過する蒸気と送風経路51を通過する風との間で熱交換が行われ、蒸気経路18の壁面を形成する熱交換器50の下面には、蒸気が冷やされたことによる露が付着する。この露は、内釜2内から発生するうまみ成分を含んだ水滴として、蒸気経路18内の傾斜部55に滴下し、当該傾斜部55から戻し口54を通過して本体1側の内釜2内に戻される。このように、蒸気経路18を送風器41で強制的に冷却して、炊飯中の蒸気に含まれるうまみ成分を、傾斜した底面を有する蒸気経路18で積極的に本体1側に戻すことで、うまみの多い炊飯が可能になる。また、従来は殆ど炊飯器の外部に排出していた蒸気を本体1に戻すため、炊飯に必要となる水を減らすことができる。
さらに、蒸気経路18内の蒸気の流れと、送風経路51内の送風の流れに着目すると、本実施例では蒸気経路18の入口が送風経路51の出口に略対向しており、また蒸気経路18の出口が送風経路51の入口に略対向していて、熱交換器50を挟んで蒸気経路18と送風経路51が並んで配置される。つまり、蒸気口19内における蒸気の流れと送風の流れは略逆方向となっており、熱交換器50のどの箇所でも送風温度と蒸気温度との差が大きくなる。そのため、熱交換器50の全体にわたって、効率的な熱交換が可能になる。
蒸気経路18を通過する蒸気は、冷風が触れる熱交換器50により結露するが、一部は蒸気のまま蒸気出口53を通して蓋3の外部に排出される。本実施例では、蒸気口19の上面部において、送風器41からの風を排出する送風出口59は蒸気出口53に向けて開口しており、送風出口59の近傍に蒸気出口53が設けられているので、蒸気口19の外部に排出される蒸気と送風はすぐに混合する。つまり、蒸気出口53からの蒸気に、送風出口59からの送風を当てることにより、蒸気口19から排出する蒸気温度を効果的に下げることが可能になり、高温の蒸気に触れる虞を少なくして、安全性を更に高めることができる。
さらに本実施例では、蓋3のヒンジ15を取付けた後方側以外の部位に送風器41を設けているので、ヒンジ15を中心にして蓋3を開けたときに、蒸気経路18内に残留する露(水滴)が送風経路51に侵入するようなことがあっても、露は自重でヒンジ15に近い蒸気口19の後方側に移動して、蒸気口19の側方側に位置する送風器41には達しない。
ここで比較のために、送風器41を蓋3の後方側に設けた炊飯器の構成を、図9および図10に示す。図10に示すように、蓋3を図中一点鎖線の閉じた状態から、図中実線の開けた状態にすると、蒸気口19の下方に送風器41が位置するので、例えばパッキン56の一部が熱交換器50から外れていると、蒸気経路18に残留する露が、自重により熱交換器50の周縁と蒸気口下部材48との間を通って送風経路51に侵入し、蓋3の後方側に開口する穴58から送風器41の排気部46に滴下する。そのため、この場合は送風器41に入り込んだ露によって漏電が発生し、安全性が著しく損なわれる。
一方、図2で示したように、蓋3の後方側以外の部位に送風器41を設けていれば、蓋3を開けたときに、蒸気口19の下方に送風器41が位置せず、パッキン56が不完全な状態で熱交換器50に装着されていても、蒸気経路41からの露が送風器41にかかることがないので、漏電の可能性をなくして安全性を高めることができる。
以上のように、本実施例における炊飯器は、炊飯を行なう本体1と、本体1の上面開口部を覆う蓋3と、炊飯時に本体1内で発生する蒸気を蓋3の外側へ導く蒸気経路18を内部に有する蒸気口19と、を備えた炊飯器において、蒸気経路18に熱交換器50を設け、この熱交換器50の蒸気通路18とは反対側の上面に向けて送風を行なう送風手段としての送風器41を設けると共に、熱交換器50により結露した蒸気経路18内の液体である露を、本体1内へ戻す戻し路として、戻し口54や傾斜部55を設けている。
この場合、送風が行われる熱交換器50で蒸気経路18を強制的に冷却することにより、蒸気経路18を通過する蒸気の温度を下げて安全性を向上させつつ、蒸気に含まれるうまみ成分を、例えば傾斜した蒸気経路18による戻し路で積極的に本体1側に戻すことができ、うまみの多いしっかりとした炊き上がりが可能になる。また、従来は殆ど炊飯器の外部に放出していた蒸気を本体1の内釜2内に戻すため、炊飯に必要となる液体を少なく済ますことができる。したがって、蒸気温度を下げて安全性を向上させると共に、うまみのあるしっかりとした炊き上がりとなり、しかも炊飯時の液体を少なく済ますことが可能な炊飯器を提供できる。
また本実施例では、送風器41からの送風を熱交換器50へ導くための送風経路51を蒸気口19内に設け、蒸気経路18内の蒸気の流れと、送風経路51内の送風の流れを、略反対方向とした構成を採用している。
送風の流れと蒸気の流れが同一方向であると、蒸気経路18と送風経路51の始めは温度差が大きいが、後半には温度差が小さくなって熱交換しにくくなるが、本実施例のように、送風の流れと蒸気の流れがほぼ反対であれば、熱交換器50のどの箇所でも送風温度と蒸気温度との差が大きく、熱交換器50による効率的な熱交換が可能になる。
また本実施例では、蒸気経路18からの蒸気の出口である蒸気出口53を、送風経路51からの送風の出口である送風出口59の近傍に設け、送風出口59を蒸気出口53に向けて開口させている。
この場合、蒸気出口53から放出される蒸気に、送風出口59からの送風を当てることにより、蒸気温度を効果的に下げて安全性を更に高めることができる。
さらに本実施例では、蓋3を本体1に対し回動可能に開閉させるヒンジ15を設け、送風器41を蓋3のヒンジ15を取付けた後方側以外へ設けている。
この場合、ヒンジ15を中心にして本体1に対して蓋3を開けたときに、蒸気経路18からの露が送風器41にかかることがなく、漏電の可能性をなくして安全性を高めることができる。
次に、本実施例に関連する好ましい変形例を列記すると、制御手段35により制御される送風器41からの送風量は、任意に可変する構成としてもよい。例えば、炊飯制御手段37が行なう炊飯の後半で、モータ42への駆動信号の供給を中断して、送風器41からの送風を止めたり、モータ42への駆動信号を周期的に供給して、送風器41を間欠運転させたり、モータ42の回転数をそれまでよりも減らす駆動信号を供給して、送風器41からの送風を弱めたりすることで、送風器41からの送風量を減らすと、本体1側への戻り水が少なくなり、べたつきの少ない炊き上がりが可能になる。
また、気温が低い場合には蒸気の冷却効果が高くなるので、図2に示すように、外気温を測定する外気温検知手段として温度センサ61を配設し、温度センサ61で検知した外気温が低くなるほど、送風器41からの送風量が少なくなるように構成すれば、蒸気を効果的に冷却しつつ、電力の節約を図ることが可能になる。
温度センサ61は、空気取入口45から送風器41の吸込口(図示せず)に至る経路中に配設される。温度センサ61を送風器41の近傍に設けることで、送風温度を少ない誤差で測定できる。
送風器41からの送風を外部操作により停止できるようにするために、例えば操作パネル21などに操作体としての送風停止スイッチを設けてもよい。送風による騒音が気になる場合、送風停止スイッチを操作することで、送風器41からの送風を簡単に停止できる。また、特定のスイッチを操作すると、送風器41からの送風を行なわないコースを設定できるように構成しても、同様の効果が得られ、送風器41からの送風をユーザの意志で簡単に停止することが可能になる。
図7で示したように、熱交換器50の断面形状は、蒸気経路18に向けて突出した略V字形状とするのが好ましい。このようにすると、蒸気経路18内で冷やされた結露水が、熱交換器50の突出部に集まりやすくなり、効率的にうまみ成分を本体1内へ戻すことができる。
また、熱交換器50はステンレスを使うと耐食性に優れたものとすることができる。代わりに、銅,アルミニウムなどの金属を使用して、腐食防止用に表面をクリア塗装すれば、熱交換の効率が高くなる。図7に示すように、熱交換器50には蒸気経路18に向けて複数の凸部62が設けられているが、金属製の熱交換器50のプレスなどで凹凸を設けることにより、安価に熱交換効率を高めることが可能になる。
前述したように、熱交換器50の周縁にはパッキン56が装着されるが、金属製の熱交換器50で、その外周や連通穴57の回りを樹脂やシリコーンによるパッキン56で覆えば、金属エッジを保護できる。また、熱交換器50の外周などを覆うのに、シリコーンのような弾性材としてのパッキン56を使えば、蒸気口19を組み立てたときに密着がよくなり、蒸気経路18からの蒸気の漏れを防止できる。
蒸気口19は蓋体3から取外し、蒸気口下部材48と蒸気口上部材49との嵌合を解除することで、蒸気口下部材48,蒸気口上部材49および熱交換器50の各部品に分解し、それぞれ単独で清掃を行なうことが可能になる。ここで、熱交換器50を蒸気口下部材48と蒸気口上部材49との間に挟む構成とすれば、お手入れ(清掃性)が簡単になる。
制御手段35が、炊飯中に送風器41を動作させる空冷コースと、炊飯中に送風器41を動作させないようにする非空冷コースの何れかを選択的に行なう構成である場合、空冷コースでは、蒸気経路18内の結露水が本体1側に戻るので、炊飯前に内釜2に投入する水の量を、非空冷コースよりも少なくできる。そこで、図11に示すように、内釜2の内面に空冷コース用の水位線目盛部63と、非空冷コース用の水位線目盛部64をそれぞれ並設すると、節水効果がどれだけあるのかを、水位線目盛部63,64の違いによりユーザに分かりやすく示すことが可能になる。なお、空冷を行なう空冷コースの水位線目盛部63は、空冷を行なわない非空冷コースの水位線目盛部64に対して、10%程度低い目盛位置とするのが好ましい。
また、制御手段35が複数の調理メニューの中から一つの調理メニューを選択して、その調理メニューに従って各部を制御する構成の場合、空冷コース用の水位線目盛部63を、調理メニューの一つである白米すしを炊飯する調理メニューの水位線目盛部と共通にすれば、目盛の数を少なくできて製造性が向上し、また見やすい表示とすることができる。
本発明の第2実施例における炊飯器の詳細な構成と、それによる作用について、図12〜図20を参照しながら説明する。なお、上記第1実施例と共通する箇所には共通の符号を付し、重複する構成や作用効果の説明は極力省略する。
図12は、外蓋カバー5上部の外観を示したものであり、本実施例では、前述の開閉弁30を含むユニット化された弁組立71の他に、真空ポンプとしてのポンプ27も、蓋3の内部に配設される。円筒状をなすポンプ27の一端には、排出口72と吸込口73がそれぞれ設けられ、吸込口73には弁組立71とを導通可能につなぐ可撓性のシリコーンチューブ74が取付けられる。一方、排出口72には別な可撓性のシリコーンチューブ75が取付けられており、機外である炊飯器の外部に導通する外蓋カバー5の穴(図示せず)までを導通可能につないでいる。したがって、シリコーンチューブ74は前述の空気吸込み経路28を形成し、シリコーンチューブ75は前述の空気排出経路29を形成する。
そして、ひたしや保温の際に、調圧弁32が連通路31を塞いだ状態で、制御手段35からの駆動信号によってポンプ27を運転させ、且つ弁組立71の開閉弁30を空気吸込み経路28から退避させると、密閉状態にある内釜2内の空気が、内蓋8に設けた穴24、弁組立71、シリコーンチューブ74を順に介して、ポンプ27の吸込口73から吸い込まれる。ポンプ27に吸込んだ空気は、ポンプ27の排出口72から、シリコーンチューブ75、外蓋カバー5の穴を順に介して、炊飯器の外部へ放出し、内釜2内が大気圧よりも低い気圧に減圧されるようになっている。
図13は、本実施例で使用する拡張室76を示したものである。この拡張室76は、別な図14に示すようにポンプ27の排出口72につないだシリコーンチューブ75の途中に設けられる。拡張室76は、有底状の拡張容器77と、拡張容器77の開口を塞ぐ蓋78とから構成され、拡張容器77と蓋78との間には、例えばゴムなどの弾性に富むパッキン79を挟み込んで、拡張室76からの気体の漏れを防いでいる。また、拡張容器77の左右両側にはコ字状に突出した嵌合部81が形成されると共に、蓋78の左右両側には下方に延びる爪82が設けられ、拡張容器77の開口を蓋78で覆う際に、爪82を弾性変形させて嵌合部81に嵌め込むことで、拡張容器77に対して蓋78が所定の位置に取付け固定される。拡張容器77は、ポンプ27につながる入口83と、炊飯器の外部へつながる出口84がそれぞれ設けられている。
拡張室76内の空気の移動方向に対して直交する垂直面の断面積S1は、シリコーンチューブ75の断面積S2よりも大となるように形成される。図14では、拡張室76内における音の膨張と、進行波および反射波の様子が矢印で示されている。
なお、図14では、拡張容器77の一側面に設けた入口83の位置が、拡張容器77の他側面に設けた出口84と同一直線上に対向して配置しないように、例えば上下方向にずらすことで、音が入口83から出口84に到達しにくいように配置しているが、入口83と出口84は左右方向にずらしてもよい。また、本実施例では入口83と出口84を拡張容器77の対向する面に設けているが、拡張容器77ひいては拡張室76の同じ面に入口83と出口84を配置したり、90度違う直交する面に入口83と出口84をそれぞれ配置したりしてもよい。
上記構成において、保温制御手段38によるご飯の保温中に、調圧弁32が連通路31を塞いだ状態でポンプ27を運転すると、内釜2内の空気の量が減って、酸化によるご飯の黄ばみや臭いを防ぐことができるが、内釜2内の空気には、ご飯から出る水蒸気が多く含まれているので、ポンプ27から空気が排出されるまでの間に冷やされて結露し、この結露水がポンプ27を通過しながら、ジュルジュルと音を発生させる現象が起きる。そこで本実施例では、空気排出経路29中に上述した拡張室76を設けることで、ポンプ27で発生したジュルジュル音が拡張室76に達すると、図14で示すように、シリコーンチューブ75よりも広い断面積S1を有する拡張室76内で音が拡張すると共に、入口83から出口84に向かう音の進行波に対して、拡張室76内で音の反射波が干渉することで、音の力が減衰するので、発生したジュルジュル音を拡張室76により低減させることができる。
拡張容器77から吐出して設けられる筒状の出口84は、拡張器76内に連通する基端から、シリコーンチューブ75に連通する先端に向けて、その経路の断面積が徐々に小さくなる形状を有するように、出口84の基端側にR付け部85を形成している。本実施例では面取り部として、出口84の基端側内面を丸面取りしたR付け部85を示しているが、他にこの基端側内面を角面取りしたものでも構わない。このようにすると、拡張室76の出口84から結露水が排出されるときに、水の膜が出口84の上部まで到達しにくいので、水膜の吸込み音が発生し難くなり、結露水を排出する際の騒音が低減できる。
拡張室76から空気を排出する出口84は、拡張室76の略底部に設けられており、拡張室76の底面と出口84の底面は面一に形成される。このようにすると、米から発生した栄養分を含む残水が、拡張室76内に留まることなく出口84へ円滑に移動し、拡張室76内の残水を少なくすることができる。そのため、拡張室76内でカビや菌の発生を少なくすることが可能になり、炊飯器からの異臭の発生を低減できる。
図15は、拡張室76の別な変形例を示すものである。同図において、拡張室76はポンプ27の排出口72が設けてあるポンプカバー86を利用しており、当該ポンプカバー86と、ポンプカバー86によりその開口が覆われる有底状のカバー87と、により構成される。また本変形例では、拡張室76からの気体の漏れを防ぐために、ポンプカバー86とカバー87との間にパッキン79を挟み込み、固着具であるネジ88により、カバー87をポンプ27のポンプカバー86に取付け固定している。拡張室76の入口となる排出口72から出口84に音が到達しにくくなるように、拡張室76の一側面に設けた排出口72は、拡張容器77の他側面に設けた出口84と同一直線上に対向して配置せずに、上下方向にずらして配置される。
そして本変形例でも、ポンプ27で発生したジュルジュル音が拡張室76に達すると、排出口72よりも広い断面積S1を有する拡張室76内で音が拡張すると共に、排出口72から出口84に向かう音の進行波に対して、拡張室76内で音の反射波が干渉することで、音の力が減衰するので、発生したジュルジュル音を拡張室76により低減させることができる。
図15に示す拡張室76は、カバー87の開口を塞ぐ部材が、ポンプ27のポンプカバー86として設けられており、しかもそのポンプカバー86に設けた排出口72は、拡張室76の入口を兼用している。このように、拡張室76をポンプ27と別体で設けずに、ポンプ27と一体に構成することで、図13や図14に示す拡張室76よりも部品点数が少なく、簡単な構成とすることができ、安価で信頼性の高い実施が可能となる。
また、図15に示すように、拡張室76内に向けて突出し、ポンプ27から拡張室76に至る排出口72の管路の長さL1は、その管路の直径(内径)D1よりも長い寸法を有する。排出口72で構成される管路の直径D1が、ポンプ27からの音の波長よりも短い場合は、拡張室76に到達する音が平面波となるが、少なくとも管路の長さL1が管路の直径D1よりも長くならないと、十分な平面波とはならない。拡張室76に到達する音が十分な平面波であれば、拡張室76内で音が完全反射し、図14に示す音の模式図のように、音の反射波が干渉することによる騒音の低減効果が増加する。
以上のように、図13や図14に示す例では、被炊飯物を保温する本体1と、本体1内を密閉可能な内蓋8と、密閉された本体1内の気体を吸込み可能なポンプ27と、を備えた炊飯器において、ポンプ27からの気体排出経路である空気排出経路29の途中に、その断面積が空気排出経路29の断面積よりも大となる拡張室76を設けている。
この場合、ポンプ27からの空気排出経路29の途中に拡張室76を付加することで、ポンプ27で発生したジュルジュル音は、拡張室76での音の拡張と拡張室76内の反射波干渉により、その音の力が減衰するので、簡単な装置を付加するだけで、ポンプ27で発生したジュルジュル音を低減させることが可能になる。
また、図15に示す拡張室76は、ポンプ27の出口である排出口72を覆うカバー87を、ポンプ27に取付けることで構成される。
この場合、拡張室76を別体で設けずに、ポンプ27と一体に構成することで、少ない部品点数で且つ簡単な構成により、安価で信頼性の高い実施が可能となる。
また、図14や図15に示すように、拡張室76から気体である空気を排出する出口84は、拡張室76の略底部に設けるのが好ましい。
この場合、被炊飯物から発生した栄養分を含む残液が、拡張室76の出口84から排出しやすくなり、拡張室84内の残液を少なくすることができるので、カビや菌の発生を抑えて、炊飯器からの異臭の発生を低減できる。
また、図14に示すように、拡張室76から空気を排出する出口84は、例えばR付け部85により、その断面積が徐々に小さくなる形状を有するのが好ましい。
この場合、拡張室76の出口84から結露による残液が排出されるときに、液体の膜が出口84の上部にまで到達しにくいので、その膜による吸込み音が発生し難くなり、残液の排出時における騒音を低減できる。
さらに、図15に示すように、ポンプ27から拡張室76に至る排出口72の経路の長さL1は、その経路の幅である直径D1よりも長い寸法を有するのが好ましい。
この場合、経路の直径D1が音の波長よりも短い場合、拡張室76に到達する音が平面波となるが、少なくとも経路の長さL1が経路の直径D1よりも長い寸法であれば、十分な平面波となって、拡張室76内で音が完全反射するので、進行波と反射波とによる干渉でジュルジュル音の低減効果を増加させることが可能になる。
図16〜図19では、さらに別な拡張室76の例を示している。これらの各図において、拡張室76は、ポンプ27の排出口72につないだシリコーンチューブ75の先端に設けられる。ここでの拡張室76は、外蓋カバー5と一体に構成した有底状の拡張容器77と、拡張容器77の開口を塞ぐ蓋78とから構成され、拡張容器77と蓋78との間には、例えばゴムなどの弾性に富むパッキン79を挟み込んで、拡張室76からの気体の漏れを防いでいる。また、蓋78の周縁にはコ字状に突出した嵌合部89が形成され、この嵌合部89を弾性変形させて拡張容器77の開口端部に嵌め込むことで、拡張容器77に対して蓋78が所定の位置に取付け固定される。蓋78にはポンプ27につながる入口83が設けられると共に、拡張容器77には外蓋カバー5の外部へつながる出口84が設けられる。
本例では、拡張室76内における入口83から出口84の間に、拡張室76内の空間の一部を遮る壁91A,91Bを2枚設けている。壁91A,91Bは、何れも拡張室76の拡張容器77内に立設し、入口83からの結露水が出口84に円滑に移動できるように、一方の壁91Aは拡張室76の一側内壁より出口84に向けて傾斜して延びており、他方の壁91Bは、拡張室76の他側内壁より出口84に向けて傾斜して延びていて、これらの壁91A,91Bにより、拡張室76内には、入口83から出口84に至る非直線状の通路92が形成される。なお、壁91A,91Bの数や形状については、本例で示したものに特に限定されない。
本例においても、空気排出経路29中に上述した拡張室76を設けることで、ポンプ27で発生したジュルジュル音が拡張室76に達すると、図14で示すように、シリコーンチューブ75よりも広い断面積S1を有する拡張室76内で音が拡張すると共に、入口83から出口84に向かう音の進行波に対して、拡張室76内で音の反射波が干渉することで、音の力が減衰するので、発生したジュルジュル音を拡張室76により低減させることができる。
さらに本例では、拡張室76の内部で、入口83と出口84との間に、拡張室76の一部を遮る壁91A,91Bを設けているので、入口83から出口84に音が直接伝わることがなく、音の伝わりを低減させることができる。
図16〜図18は、何れも炊飯器の蓋3を閉じた状態での拡張室76を示しているが、外蓋カバー5を含む蓋3は、前述のヒンジ15を構成する回動軸93を中心に、矢印Rの方向へ90度開くことができる。図19は、蓋3を開いた状態を示しているが、このときの拡張室76の出口84は、入口83や壁91A,91Bよりも、拡張室76の下側に位置している。
炊飯器の蓋3を閉じたときに、ポンプ27からシリコーンチューブ75を通過して拡張室76に導かれる結露水は、拡張室76に設けた入口83から落下して、図18に示す拡張容器77の底面に水滴Wとして溜まる。その後、蓋3が開けられると、図19に示すように、水滴Wは出口84付近に集まり、拡張室76の出口84から排出される。そのため、拡張室76内に残水がなくなって衛生的になり、炊飯器からの異臭の発生を低減できる。前述のように壁91A,91Bは、出口84の方向に向けて傾斜して設けられているので、蓋3が開けられて、水滴Wが出口84付近に集まろうとするとき、傾斜した壁91A,91Bによって、水滴Wが出口84に向けてスムースに流れ出るので、この点でも拡張室76内の残液をなくして衛生的にすることができる。
さらに、出口84の穴の直径を1.5mm以下にすると、蓋3を開けたときに出口84付近に集まった水滴Wは、水の張力により排出できなくなる。しかし、その後に使用者が蓋3を閉じて、保温などで内釜2内を減圧するために、ポンプ27が運転されるモードになると、ポンプ27からの排気により、水滴Wは出口84から外蓋ケース5の外部へ排出される。このとき、蓋3は閉じられているので、蓋3の外に垂れ落ちる水の状態は使用者に見えない。
以上のように、本例での拡張室76は、この拡張室76に気体である空気を取り入れる入口83と、拡張室76から空気を排出する出口84が設けられ、入口83と出口84との間に、拡張室76の一部を遮る壁91A,91Bを設けている。
この場合、拡張室76に壁91A,91Bを設けることで、拡張室76の入口83から拡張室76の出口84に直接音が伝わらないので、拡張室76内での音の伝わりを低減させることができ、ポンプ27で発生したジュルジュル音をさらに低減させることが可能になる。
また本例では、本体1に対し開閉する蓋3を設け、前述の出口84は蓋3の出口として設けられており、蓋3を開けたときに拡張室76の下側に位置する構成となっている。
この場合、蓋3を開けたときに、拡張室76内に溜まった結露による液体である結露水が出口84付近に集まり、そこから蓋3の外部に排出されるので、拡張室76内に残水がなくなって衛生的になり、炊飯器からの異臭の発生を低減できる。
また本例では、出口84の穴の直径を1.5mm以下としている。この場合、蓋3を開けたときに、拡張室76内に溜まった結露による液体である水が出口付近に集まるが、出口84の穴の直径を1.5mm以下にすると、水の張力により出口84から水は排出されない。その後、使用者により蓋3を閉じて、保温などでポンプ27が運転されるモードになると、ポンプ27からの排気により水は出口84より排出される。このとき、蓋3は閉じられているので、蓋3の外に垂れ落ちる水の状態は使用者に見えず、不快感を与えることなく水を排出させることができる。
また本例では、拡張室76内に設けた壁91A,91Bを、出口84に向けて傾斜させている。
この場合、拡張室76内に溜まった液体である水滴Wが出口84に集まろうとするときに、傾斜した壁91A,91Bを伝って出口84に向けてスムースに流れ出すので、拡張室76内に残水がなくなって衛生的になり、炊飯器からの異臭の発生を低減できる。
図20は、前述の図15に示す拡張室76の別な変形例である。図15に示す例では、拡張室76の入口となるポンプ27の排出口72の先端よりも前方に、拡張室76の出口84の基端が位置しているが、図20に示す例では、ポンプ27の排出口72の先端よりも後方に、拡張室76の出口84の基端が位置していて、拡張室76内における排出口72から出口84に至る通路92の断面形状が略S字形状になっている点が注目される。なお、その他の構成は、図15に示した例と共通している。
本例でも、ポンプ27で発生したジュルジュル音が拡張室76に達すると、排出口72よりも広い断面積を有する拡張室76内で音が拡張すると共に、排出口72から出口84に向かう音の進行波に対して、拡張室76内で音の反射波が干渉することで、音の力が減衰するので、発生したジュルジュル音を拡張室76により低減させることができる。また、拡張室76内の断面形状を略S字状にすることで、拡張室76内で排出口72から出口84に直接音が伝わらず、音の伝わりを低減させることができ、ポンプ27で発生したジュルジュル音をさらに低減させることが可能になる。
以上のように、ここでの拡張室76内は、その入口である排出口72から出口84に至る通路92の断面形状が略S字状になっている。
この場合、拡張室76内の断面形状を略S字状にすることで、拡張室76の入口である排出口72から拡張室76の出口84に直接音が伝わらないので、拡張室76内での音の伝わりを低減させることができ、ポンプ27で発生したジュルジュル音をさらに低減させることが可能になる。
本発明の第3実施例における炊飯器の詳細な構成と、それによる作用について、図21と図22を参照しながら説明する。なお、上記各実施例と共通する箇所には共通の符号を付し、重複する構成や作用効果の説明は極力省略する。
図21は、本実施例における操作パネル21の外観を示したものである。同図において、表示手段たるLCD22は、現在時刻を表示する現在時刻表示部22Aと、炊き上がり時刻を表示する炊き上がり時刻表示部22Bと、設定されたコースを表示するコース表示部22Cと、をそれぞれ備える。図21に示す例では、LCD22の外側に設定が可能な「普通」,「急行」,「特急」の各コースが印刷形成され、その中で設定された何れか一つのコースに対応して、バー状のコース表示部22Cが表示されるようになっている。
LCD22の周囲には、操作手段たる操作ボタン23として、「コース」ボタン23Aと、「予約」ボタン23Bと、「炊飯」ボタン23Cと、「すすむ」ボタン23Dと、「もどる」ボタン23Eと、「切」ボタン23Fと、「保温」ボタン23Gと、時計合わせボタン23Hと、複数の「炊き上がりメモリー」ボタン23I,23J,23Kがそれぞれ配置され、使用者の入力を受け付けるようになっている。
図22は、制御手段35とその周辺の主な構成を示すブロック図である。第1実施例で説明したように、制御手段35は、内釜2内の被炊飯物を炊飯する炊飯制御手段37と、内釜2内のご飯を保温する保温制御手段38と、予約時刻である炊き上がり時刻に、内釜2内の被炊飯物が炊き上がるように、炊飯制御手段37を制御する予約炊飯制御手段39を備えている。また、制御手段35の入力ポートには操作ボタン23が接続され、制御手段35の出力ポートにはLCD22が接続される。なお、ここでは図示しないが、前述の蓋温度センサ9や、内釜温度センサ13や、温度センサ61が、それぞれ制御手段35の入力ポートに接続され、蓋ヒータ7や、加熱コイル12や、ポンプ27や、開閉弁30や、ソレノイド34や、コードヒータ36や、モータ42が、それぞれ制御手段35の出力ポートに接続される。
制御手段35はその他に、現在時刻を計時する計時手段94と、炊き上がり時刻を記憶する炊き上がり時刻記憶手段95と、炊飯のコースを記憶するコース記憶手段96と、をそれぞれ備えている。制御手段35は、計時手段94からの計時信号をLCD22の現在時刻表示部22Aに現在時刻として表示させる表示制御機能を有するが、時計合わせボタン23Hの押動操作に引き続いて、「すすむ」ボタン23Dや「もどる」ボタン23Eを押動操作することにより、これらのボタン23H,23D,23Eからの各操作信号を受け付けて、現在時刻表示部22Aに表示する現在時刻を変更できる構成となっている。
また、ここでの炊き上がり時刻記憶手段95は、炊き上がり時刻を固定して記憶する上書き不可能な第1領域部と、炊き上がり時刻を可変して記憶できる上書き可能な第2領域部を備える。特に第2領域部では、「炊き上がりメモリー」ボタン23I,23J,23Kにそれぞれ対応する3つの炊き上がり時刻を、それぞれ上書き可能に記憶する構成となっており、「炊き上がりメモリー」ボタン23I,23J,23Kの何れかを押動操作すると、制御手段35がその操作信号を受け付けて、炊き上がり時刻記憶手段95から対応する炊き上がり時刻を呼び出し、LCD22の炊き上がり時刻表示部22Bに炊き上がり希望時刻として表示させる構成となっている。また、炊き上がり時刻表示部22Bに表示する炊き上がり時刻は、「すすむ」ボタン23Dや「もどる」ボタン23Eを押動操作すると、制御手段35がその操作信号を受け付けて変更できるようになっており、その後で「予約」ボタン23Bを押動操作すると、制御手段35がその操作信号を受け付けて予約を確定し、予約炊飯制御手段39による予約炊飯が開始するようになっている。
炊飯制御手段37は、「炊飯」ボタン23Cが押動操作されると、その操作信号を受け付けて開始し、コース記憶手段96に記憶された炊飯コースに基づいて、炊飯器の各部を制御する。コース記憶手段96には、炊飯開始から内釜2内の被炊飯物が炊きあがるまでの所要時間がそれぞれ異なる「普通」,「急行」,「特急」のコースの中で、何れか一つのコースが記憶されている。本実施例では、「普通」コースで所要時間が40分、「急行」コースで所要時間が30分、「特急」コースで所要時間が20分となるように、炊飯制御手段37が炊飯器の各部を制御するが、これらの炊飯コースの名称,数,所要時間などは適宜変更してよい。炊飯制御手段37による炊飯が終了し、内釜2内の被炊飯物がご飯として炊き上がると、保温制御手段38による保温に自動的に移行するが、この保温は「保温」ボタン23Gを押動操作することでも開始できる。さらに、炊飯中や保温中に「切」ボタン23Fを押動操作すると、制御手段35がその操作信号を受け付けて、炊飯や保温を終了する構成となっている。
本実施例における予約炊飯制御手段39は、後述する炊飯コースや炊き上がり希望時刻を決定した後に、「予約」ボタン23Bを押動操作することで起動するが、計時手段94からの計時信号により得られる現在時刻と、炊き上がり時刻記憶手段95に記憶される炊き上がり時刻の両方から、最適な炊き上がり希望時刻を予測して、炊き上がり時刻表示部22Bに表示させる時刻予測手段97を備えた点が注目される。ここでの炊き上がり時刻表示部22Bは、保温制御手段38による保温時以外は、常に炊き上がり時刻を表示する構成となっている。
時刻予測手段97は、計時手段94による現在時刻と、炊き上がり時刻表示部22Bに記憶されるそれぞれの炊き上がり時刻とを比較し、現在時刻と直前の炊き上がり時刻との差が、炊飯制御手段37による予め設定された炊飯の所要時間未満の第1設定時間以上であり、且つ現在時刻と直後の炊き上がり時刻との差が、前記炊飯の所要時間以上である場合は、直後の炊き上がり時刻をそのまま炊き上がり希望時刻として炊き上がり時刻表示部22Bに表示させる一方で、現在時刻と直前の炊き上がり時刻との差が、前記第1設定時間未満である場合、或いは現在時刻と直後の炊き上がり時刻との差が、炊飯制御手段37による炊飯の所要時間未満である場合は、現在時刻に前記炊飯の所要時間を加えた時刻を、炊き上がり希望時刻として炊き上がり時刻表示部22Bに表示させる構成を備えている。
次に、上記構成において、計時手段94に基づく現在時刻の表示と、時刻予測手段97に基づく炊き上がり希望時刻の表示の関係を詳しく説明する。先ず、炊飯器の初期設定の一例として、炊き上がり時刻記憶手段95の第1領域部には、炊き上がり時刻推定用の3つの固定した炊き上がり時刻、すなわち(1)06:00、(2)12:00、(3)18:00が予め記憶され、炊飯制御手段37は、コース記憶手段96に記憶される3つのコースの中から、所要時間が40分である「普通」コースを選択設定して炊飯を行なうものとする。
現在時刻表示部22Aに表示される現在時刻が12:30〜17:20である場合、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻は18:00となる。この場合、時刻予測手段97は、現在時刻と、現在時刻に対して直前の炊き上がり時刻(2)との差が、初期設定された炊飯の所要時間である40分未満の第1設定時間である30分以上であり、且つ現在時刻と、現在時刻に対して直後の炊き上がり時刻(3)との差が、炊飯の所要時間である40分以上であることから、直後の炊き上がり時刻(3)である18:00を、炊き上がり時刻表示部22Bに表示させる。つまり現在時刻が、(炊き上がり時刻(2)+30分)〜(炊き上がり時刻(3)−炊飯コースの所要時間)の範囲にある場合は、炊き上がり時刻(3)を表示する。
現在時刻表示部22Aに表示される現在時刻が17:21〜18:29である場合、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻は、現在時刻に40分を加算した時刻となる。この場合、時刻予測手段97は、現在時刻と、現在時刻に対して直前の炊き上がり時刻(3)との差が、第1設定時間である30分未満であり、或いは現在時刻と、現在時刻に対して直後の炊き上がり時刻(3)との差が、炊飯の所要時間である40分未満であることから、現在時刻に炊飯の所要時間である40分を加えた時刻を、炊き上がり時刻表示部22Bに表示させる。つまり現在時刻が、(炊き上がり時刻(3)−コースの所要時間+1分)〜(炊き上がり時刻(3)+29分)の範囲にある場合は、現在時刻に40分を加算した時刻を表示する。
同様にして、現在時刻表示部22Aに表示される現在時刻が18:30〜05:20である場合、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻は06:00となる。この場合、時刻予測手段97は、現在時刻と、現在時刻に対して直前の炊き上がり時刻(3)との差が、第1設定時間である30分以上であり、且つ現在時刻と、現在時刻に対して直後の炊き上がり時刻(1)との差が、炊飯の所要時間である40分以上であることから、直後の炊き上がり時刻(1)である06:00を、炊き上がり時刻表示部22Bに表示させる。つまり現在時刻が、(炊き上がり時刻(3)+30分)〜(炊き上がり時刻(1)−炊飯コースの所要時間)の範囲にある場合は、炊き上がり時刻(1)を表示する。
また、現在時刻表示部22Aに表示される現在時刻が05:21〜06:29である場合、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻は、現在時刻に40分を加算した時刻となる。この場合、時刻予測手段97は、現在時刻と、現在時刻に対して直前の炊き上がり時刻(1)との差が、第1設定時間である30分未満であり、或いは現在時刻と、現在時刻に対して直後の炊き上がり時刻(1)との差が、炊飯の所要時間である40分未満であることから、現在時刻に炊飯の所要時間である40分を加えた時刻を、炊き上がり時刻表示部22Bに表示させる。つまり現在時刻が、(炊き上がり時刻(1)−コースの所要時間+1分)〜(炊き上がり時刻(1)+29分)の範囲にある場合は、現在時刻に40分を加算した時刻を表示する。
同様にして、現在時刻表示部22Aに表示される現在時刻が06:30〜11:20である場合、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻は12:00となる。この場合、時刻予測手段97は、現在時刻と、現在時刻に対して直前の炊き上がり時刻(1)との差が、第1設定時間である30分以上であり、且つ現在時刻と、現在時刻に対して直後の炊き上がり時刻(2)との差が、炊飯の所要時間である40分以上であることから、直後の炊き上がり時刻(2)である06:00を、炊き上がり時刻表示部22Bに表示させる。つまり現在時刻が、(炊き上がり時刻(1)+30分)〜(炊き上がり時刻(2)−炊飯コースの所要時間)の範囲にある場合は、炊き上がり時刻(2)を表示する。
また、現在時刻表示部22Aに表示される現在時刻が11:21〜12:29である場合、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻は、現在時刻に40分を加算した時刻となる。この場合、時刻予測手段97は、現在時刻と、現在時刻に対して直前の炊き上がり時刻(2)との差が、第1設定時間である30分未満であり、或いは現在時刻と、現在時刻に対して直後の炊き上がり時刻(2)との差が、炊飯の所要時間である40分未満であることから、現在時刻に炊飯の所要時間である40分を加えた時刻を、炊き上がり時刻表示部22Bに表示させる。つまり現在時刻が、(炊き上がり時刻(2)−コースの所要時間+1分)〜(炊き上がり時刻(2)+29分)の範囲にある場合は、現在時刻に40分を加算した時刻を表示する。
このように、計時手段94による現在時刻と、炊き上がり時刻記憶手段95に記憶される炊き上がり時刻の両方から、最適な炊き上がり希望時刻を予測して表示できるので、炊き上がり時刻を変更しない場合には、そのまま「予約」ボタン23Bを押動操作すれば、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される最適な炊き上がり希望時刻を実際の炊き上がり時刻として、ご飯を炊き上げる予約設定が簡単に可能になる。また、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される最適な炊き上がり希望時刻に対して、実際の炊き上がり時刻を変更したい場合は、炊き上がり希望時刻からの変更分を、「すすむ」ボタン23Dや「もどる」ボタン23Eで押動操作するだけでよく、炊き上がり時刻の変更に要する操作が少なく済む。この場合、炊き上がり時刻を変更した後に、「予約」ボタン23Bを押動操作すれば、炊飯制御手段37と予約炊飯制御手段39とにより、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される変更後の炊き上がり時刻に、ご飯を炊き上げることが可能になる。
また本実施例のように、所要時間の異なる複数のコースの中から、炊飯制御手段37が一つのコースを選択して炊飯制御を行なう場合には、使用者の希望する炊き上がり時刻にできるだけ炊飯を完了させるために、時刻予測手段97は、現在時刻と直後の炊き上がり時刻までの時間内で、炊飯が可能になるコースが存在するか否かを判断し、炊飯が可能になるコースが存在するならば、そのコースの中で最長の所要時間となるコースを抽出し、当該抽出したコースをコース表示部22Cで示すと共に、直後の炊き上がり時刻をそのまま炊き上がり希望時刻として炊き上がり時刻表示部22Bに表示させる一方で、炊飯が可能になるコースが存在しなければ、現在時刻に予め設定された炊飯の所要時間を加えた時刻を、炊き上がり希望時刻として炊き上がり時刻表示部22Bに表示させる抽出手段98としての機能を備えるのが好ましい。つまり上述した例では、現在時刻表示部22Aに表示される現在時刻が17:21〜17:40のときでも、抽出手段98により所要時間の短いコースを抽出して、その抽出したコースをコース表示部22Cで点滅表示させると共に、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻が18:00となる。
次に、上記抽出手段98を備えた構成で、計時手段94に基づく現在時刻の表示と、時刻予測手段97に基づく炊き上がり希望時刻の表示の関係を詳しく説明する。先ず、炊飯器の初期設定の一例として、炊き上がり時刻記憶手段95の第1領域部には、炊き上がり時刻推定用の3つの固定した炊き上がり時刻、すなわち(1)06:00、(2)12:00、(3)18:00が予め記憶され、炊飯制御手段37は、コース記憶手段96に記憶される上記3つのコースの中から、所要時間が40分である「普通」コースを選択設定して炊飯を行なうものとする。
現在時刻表示部22Aに表示される現在時刻が12:30〜17:20である場合、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻は18:00となり、「普通」コースに対応したコース表示部22Cのバーを点灯表示させる。この場合、時刻予測手段97は、現在時刻と、現在時刻に対して直前の炊き上がり時刻(2)との差が、初期設定された炊飯の所要時間である40分未満の第1設定時間である30分以上であり、且つ現在時刻と、現在時刻に対して直後の炊き上がり時刻(3)との差が、炊飯の所要時間である40分以上であることから、直後の炊き上がり時刻(3)である18:00を、炊き上がり時刻表示部22Bに表示させ、初期設定された「普通」コースをコース表示部22Cに表示させる。つまり、現在時刻が、(炊き上がり時刻(2)+30分)〜(炊き上がり時刻(3)−「普通」コースの所要時間)の範囲にある場合は、炊き上がり時刻(3)を表示すると共に、初期設定された「普通」コースで炊飯が行われることを点灯表示する。
現在時刻表示部22Aに表示される現在時刻が17:21〜17:30である場合、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻は18:00となり、コースが変更したことを使用者に示すために、「急行」コースに対応したコース表示部22Cのバーを点滅表示させる。この場合、時刻予測手段97は、現在時刻と、現在時刻に対して直後の炊き上がり時刻(3)との差が、初期設定された炊飯の所要時間である40分未満であることから、抽出手段98により現在時刻から直後の炊き上がり時刻(3)までの時間内で、炊飯が可能になるコースが存在するか否かを判断する。抽出手段98は、炊飯が可能になるコースの中で、最長の所要時間となる「急行」コースを抽出し、その抽出した「普通」コースをコース表示部22Cに表示させる。ここでは、抽出手段98で抽出されたコースと予め設定したコースが異なるので、抽出した「普通」コースに対応するコース表示部22Cのバーが点滅する。つまり現在時刻が、(炊き上がり時刻(3)−「普通」コースの所要時間+1分)〜(炊き上がり時刻(3)−「急行」コースの所要時間)の範囲にある場合は、炊き上がり時刻(3)を表示すると共に、「急行」コースに変更して炊飯が行われることを点滅表示する。
現在時刻表示部22Aに表示される現在時刻が17:31〜17:40である場合、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻は18:00となり、コースが変更したことを使用者に示すために、「特急」コースに対応したコース表示部22Cのバーを点滅表示させる。この場合、時刻予測手段97は、現在時刻と、現在時刻に対して直後の炊き上がり時刻(3)との差が、初期設定された炊飯の所要時間である40分未満であることから、抽出手段98により現在時刻から直後の炊き上がり時刻(3)までの時間内で、炊飯が可能になるコースが存在するか否かを判断する。抽出手段98は、炊飯が可能になるコースの中で、最長の所要時間となる「特急」コースを抽出し、その抽出した「特急」コースをコース表示部22Cに表示させる。ここでは、抽出手段98で抽出されたコースと予め設定したコースが異なるので、抽出した「特急」コースに対応するコース表示部22Cのバーが点滅する。つまり現在時刻が、(炊き上がり時刻(3)−「急行」コースの所要時間+1分)〜(炊き上がり時刻(3)−「特急」コースの所要時間)の範囲にある場合は、炊き上がり時刻(3)を表示すると共に、「特急」コースに変更して炊飯が行われることを点滅表示する。
現在時刻表示部22Aに表示される現在時刻が17:41〜18:29である場合、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻は、現在時刻に40分を加算した時刻となる。この場合、時刻予測手段97は、現在時刻と、現在時刻に対して直前の炊き上がり時刻(3)との差が、第1設定時間である30分未満であり、或いは現在時刻と、現在時刻に対して直後の炊き上がり時刻(3)との差が、炊飯の所要時間である40分未満であることから、抽出手段98により現在時刻から直後の炊き上がり時刻(3)までの時間内で、炊飯が可能になるコースが存在するか否かを判断する。しかし、この時間帯では炊飯が可能になるコースが存在しないので、現在時刻に予め設定された炊飯の所要時間である40分を加えた時刻を、炊き上がり時刻表示部22Bに表示させ、初期設定された「普通」コースをコース表示部22Cに表示させる。つまり現在時刻が、(炊き上がり時刻(3)−「特急」コースの所要時間+1分)〜(炊き上がり時刻(3)+29分)の範囲にある場合は、現在時刻に40分を加算した時刻を表示すると共に、初期設定された「普通」コースで炊飯が行われることを点灯表示する。
それ以外の時間帯(18:30〜06:29,06:30〜12:29)についても、上記と同様の表示を行なう。
また、炊飯の所要時間が30分である「急行」コースが初期設定された場合は、現在時刻が12:30〜17:20の場合と、現在時刻が17:21〜17:30の場合は、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻が18:00となり、「急行」コースに対応したコース表示部22Cのバーが点灯表示し、現在時刻が17:31〜17:40の場合は、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻が18:00となり、「特急」コースに対応したコース表示部22Cのバーが点灯表示し、現在時刻が17:41〜18:29の場合は、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻が、現在時刻に30分を加算した時刻となり、「急行」コースに対応したコース表示部22Cのバーが点灯表示する。
このように、抽出手段98を時刻予測手段97に組み込むことにより、現在時刻が炊き上がり時刻記憶手段95に記憶された直後の炊き上がり時刻と接近している場合であっても、その炊き上がり時刻までに最も近い時刻で炊飯が可能となる最長の所要時間の炊飯コースがあれば、当該炊飯コースを複数の炊飯コースの中から抽出すると共に、記憶された直後の炊き上がり時刻をそのまま炊き上がり希望時刻として表示できるので、使用者の希望する予め記憶された炊き上がり時刻に、できるだけ炊飯を完了させることができる。
さらに上記の例では、抽出手段98により抽出された炊飯コースをコース表示部22Cが表示しているときに、その炊飯コースよりも所要時間の長い炊飯コースを、コース記憶手段96に記憶された複数の炊飯コースの中から、設定手段である「コース」ボタン23Aで選択して設定すると、この設定した炊飯コースの所要時間に現在時刻を加えた時刻を、炊き上がり時刻表示部22Bに変更後の炊き上がり希望時刻として表示させる機能を、時刻予測手段97に備えるのが好ましい。
具体的には、現在時刻表示部22Aに表示される現在時刻が17:21〜17:30の場合、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻は、現在時刻に対して直後の炊き上がり時刻(3)である18:00となり、「急行」コースに対応したコース表示部22Cのバーが点滅表示するが、ここで使用者が「コース」ボタン23Aを押動操作して、「普通」コースを選択すると、この「普通」コースが新たな炊飯コースとして設定され、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻は、現在時刻に「普通」コースの所要時間である40分を加算した時刻となり、変更後の「普通」コースに対応したコース表示部22Cのバーが点灯表示する。したがって、現在時刻が例えば17:25であれば、「コース」ボタン23Aにより炊飯コースを「急行」コースから「普通」コースに変更することで、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻は、18:00から18:05に変更される。
このように、本例では現在時刻から直後の炊き上がり時刻(3)までの時間内で、炊飯が可能になるコースの中で、最長の所要時間となる炊飯コースをコース表示部22Cで表示させた状態で、その炊飯コースが気に入らなければ、「コース」ボタン23Aを操作することで、コース表示部22Cで表示された炊飯コースよりも所要時間の長い別な炊飯コースへの設定変更を行なうことができる。また、炊飯コースの設定変更に伴い、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻も変更されるので、変更された炊き上がり希望時刻と炊飯コースとの関係が確認できる。この結果、使用者が炊き上がり希望時刻を優先させるか、或いは炊飯コースを優先させるのかを判断しやすくなる。
次に、本実施例における炊き上がり時刻の記憶の仕方について説明する。
炊き上がり時刻記憶手段95の第2領域部には、工場出荷時の初期値として、例えば(1)06:00、(2)12:00、(3)18:00の3つの炊き上がり時刻がそれぞれ記憶される。ここで、使用者が炊き上がり時刻を18:30に変更して予約炊飯をした場合、炊き上がり時刻(3)は18:30に上書きされる。なお、炊き上がり時刻記憶手段95への上書きは、予約設定された炊き上がり時刻に応じて、02:01〜10:30のときには、朝用の炊き上がり時刻(1)に対応する記憶領域に行ない、10:31〜15:00のときには、昼用の炊き上がり時刻(2)に対応する記憶領域に行ない、15:01〜02:00のときには、夜用の炊き上がり時刻(3)に対応する記憶領域に行なう。
この上書き記憶された炊き上がり時刻と、次回の予約時刻である炊き上がり希望時刻が同じであれば、次回の予約炊飯時に、使用者は表示された炊き上がり時刻を確認するだけで、簡単に予約設定を行なうことが可能になる。
しかし本実施例では、工場出荷後の1回目の初期値上書きを除いて、2回連続して同じ炊き上がり時刻に設定した場合に、その炊き上がり時刻を炊き上がり時刻記憶手段95に上書き記憶する構成を採用している。
具体的には、例えば夕食の時刻を18:00に決めている家庭の場合、普段は炊き上がり時刻(3)に対応する「炊き上がりメモリー」ボタン23Kを押動操作して、炊き上がり時刻記憶手段95に記憶する炊き上がり時刻(3)を呼び出し、炊き上がり時刻表示部22Bで炊き上がり希望時刻となる18:00の炊き上がり時刻(3)を確認した後で、そのまま「予約」ボタン23Bを押動操作すれば、炊き上がり時刻を変更することなく、炊飯制御手段37と予約炊飯制御手段39とにより、18:00に内釜2内のご飯を炊き上げる予約炊飯を行なうことができる。
ここで、たまたま帰宅が遅くなり、炊き上がり時刻(3)を呼び出した後に、「すすむ」ボタン23Dや「もどる」ボタン23Eを押動操作して、炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻を18:00から18:30に変更して、「予約」ボタン23Bの押動操作により18:30に内釜2内のご飯を炊き上げる予約炊飯を行なった場合、翌日の炊き上がり時刻表示部22Bに表示される炊き上がり希望時刻は、前日に設定した18:30となるより、普段の18:00となる方が使い勝手がよい。
そこで、「すすむ」ボタン23Dや「もどる」ボタン23Eの押動操作により、炊き上がり希望時刻を変更して予約炊飯を行なった場合には、その炊き上がり希望時刻をすぐに炊き上がり時刻(3)として炊き上がり時刻記憶手段95に記憶するのではなく、別な領域に前回の炊き上がり希望時刻として一時的に記憶させて、次に予約炊飯が行われる際の炊き上がり希望時刻と比較し、前回の炊き上がり希望時刻と今回の炊き上がり希望時刻が一致したら、その一致した炊き上がり希望時刻を炊き上がり時刻(3)として炊き上がり時刻記憶手段95に記憶させるように構成する。つまり本実施例では、工場出荷後の1回目の初期値上書きを除いて、2回連続して同じ炊き上がり希望時刻に設定した場合に、その炊き上がり希望時刻を新たな炊き上がり時刻として炊き上がり時刻記憶手段95に上書き記憶するので、たまたま設定した炊き上がり希望時刻が次に表示されることがなく、普段の炊き上がり希望時刻が炊き上がり時刻表示部22Bに表示され、使い勝手の良い炊飯器を提供できる。
その他、好ましい例として、前述の炊き上がり時刻記憶手段95に記憶される炊き上がり時刻推定用の炊き上がり時刻は、いつも同じ時刻に炊飯を行なう場合に有効であるが、例えば通常は06:00に予約炊飯を行なうが、特定の日である例えば水曜日にだけ、ご飯を早く炊くことがある場合は、上述した炊き上がり時刻を可変して記憶できる炊き上がり時刻記憶手段95の第2領域部と、それに対応する「炊き上がりメモリー」ボタン23I,23J,23Kが便利である。
例えば、「炊き上がりメモリー」ボタン23Iに対応する朝用の炊き上がり時刻(1)に、05:00を記憶させておけば、「炊き上がりメモリー」ボタン23Iを押動操作すれば、05:00の炊き上がり時刻を呼び出すことができ、予約炊飯を簡単に行なうことが可能になる。この「炊き上がりメモリー」ボタン23I,23J,23Kに対応する炊き上がり時刻の記憶と、炊き上がり時刻推定用の炊き上がり時刻の記憶を別々に行なえるようにすれば、翌日には炊き上がり時刻推定用の炊き上がり時刻に基づき、普段の炊き上がり希望時刻である06:00が表示されるので、いつものように予約炊飯を簡単に行なうことが可能になる。
以上のように本実施例では、現在時刻を計時する計時手段94と、予約時刻である炊き上がり時刻を記憶する記憶手段としての炊き上がり時刻記憶手段95と、予約希望時刻である炊き上がり希望時刻を表示する第1表示手段としての炊き上がり時刻表示部22Bと、計時手段94で計時している現在時刻と、炊き上がり時刻記憶手段95に記憶する炊き上がり時刻とから、炊き上がり希望時刻を演算して炊き上がり時刻表示部22Bに表示させる演算制御手段としての時刻予測手段97と、を備えている。
この場合、現在時刻と、既に記憶している炊き上がり時刻の両方から、使用者の希望する炊き上がり希望時刻の初期値を予測して表示するので、炊き上がり時刻を変更しない場合は即座に予約設定が可能となり、炊き上がり時刻を変更する場合でも、その変更分だけを操作するだけで済む。したがって、現在時刻が予測用に記憶された炊き上がり時刻と接近していても、最適な炊き上がり希望時刻を予測して表示することが可能となり、また予約時刻の設定を簡単に行なうことができる。
また本実施例では、炊飯開始から炊き上がりまでの所要時間が異なる複数の炊飯コースを複数備え、計時手段94で計時している現在時刻から、炊き上がり時刻記憶手段95に記憶する炊き上がり時刻までの時間内で、最長の所要時間となる炊飯コースを、複数の炊飯コースの中から抽出する抽出手段98を備えている。
この場合、現在時刻が予測用に記憶された炊き上がり時刻と接近している場合であっても、記憶された炊き上がり時刻までに最も近い時刻で炊飯が可能となる最長の所要時間となる炊飯コースがあれば、その炊飯コースを複数の炊飯コースの中から抽出すると共に、記憶された炊き上がり時刻をそのまま炊き上がり希望時刻として表示できるので、使用者の希望する予め記憶された炊き上がり時刻に、できるだけ炊飯を完了させることができる。
また本実施例では、炊飯コースを表示する第2表示手段としてのコース表示部22Cと、炊飯コースを任意に設定する設定手段としての「コース」ボタン23Aと、を備え、抽出手段98により抽出された炊飯コースをコース表示部22Cが点滅表示しているときに、当該炊飯コースよりも所要時間の長い炊飯コースを「コース」ボタン23Aで設定すると、この設定した炊飯コースの所要時間にあわせて炊き上がり時刻表示部22Bに表示する炊き上がり希望時刻を変更するように、時刻予測手段97を構成している。
この場合、一般には炊飯開始から炊き上がりまでの所要時間が短くなると、おいしさが悪くなるので、まず記憶された炊き上がり時刻までに最も近い時刻で炊き上がりが可能となる炊飯コースを表示しておき、その炊飯コースが気に入らなければ、より所要時間の長い炊飯コースへの設定変更を行なうことができる。また、炊飯コースの設定変更に伴い、炊き上がり時刻表示部22Bに表示する炊き上がり希望時刻も変更されるので、炊き上がり希望時刻と炊飯コースとの関係が確認できる。この結果、使用者が炊き上がり希望時刻を優先させるか、或いはおいしさの目安となる炊飯コースを優先させるのかを判断しやすくなる。
また本実施例では、炊き上がり時刻記憶手段95に記憶する炊き上がり時刻を変更可能にする変更手段として、「炊き上がりメモリー」ボタン23I,23J,23Kを備え、「炊き上がりメモリー」ボタン23I,23J,23Kを操作することにより、複数回連続して同じ炊き上がり時刻に変更して炊飯を行なった場合に、その変更した炊き上がり時刻を炊き上がり時刻記憶手段95に上書き記憶させる構成を備えている。
この場合、炊き上がり時刻記憶手段95の第2領域部に記憶される通常の炊き上がり時刻から、たまたま別な炊き上がり時刻で炊飯を行なった場合は、その次に炊き上がり時刻表示部22Bで表示される炊き上がり希望時刻は、別な炊き上がり時刻であるよりも通常の炊き上がり時刻である方が使い勝手が良いことから、工場出荷後の1回目の上書きを除き、2回連続して同じ炊き上がり時刻に変更して炊飯を行なった場合に、炊き上がり時刻記憶手段95への予約時刻の上書きを行なうことで、使い勝手の良い炊飯器を提供できる。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、上述した各実施例における構成を適宜組み合わせたものとしてもよい。また、上述した時間や時刻はあくまでも一例にすぎない。