JP2014183753A - 細胞培養容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】微小重力環境において、より効率的に細胞を培養できる細胞培養容器を提供すること。
【解決手段】細胞培養容器1は、開口部11を有する容器本体10と、開口部11に着脱可能に取り付けられるキャップ20と、キャップ20に設けられ、液密性を有し、かつ、気体の流通を許容するガス透過領域22と、容器本体10の内部に配置され、培養細胞が接着可能なフィルム体30と、を備える。フィルム体30は、所定間隔をあけて互いに平行に延びる複数の折線31によりひだ状に折り畳まれた状態で容器本体10に収容されることが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、体性幹細胞や、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)等の細胞を効率的に培養できる細胞培養容器に関する。
従来、体性幹細胞や、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)等の細胞を培養する場合には、滅菌された樹脂製の細胞培養容器が用いられる(例えば、特許文献1参照)。より具体的には、細胞の培養は、細胞培養容器に培養する細胞と共に液体の培地を充填し、この細胞及び培地が充填された細胞培養容器を所定の環境下に静置して行われる。
また、近年、重力分散型の模擬微小重力装置を用いた微小重力環境(例えば、10−3G)において幹細胞を培養することにより、幹細胞の分化を抑制しながら細胞を増殖させる技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−179137号公報 特開2003−9852号公報
ところで、細胞は、多くの場合、細胞培養容器の内面に接着して増殖する。通常の重力環境において、特許文献1で提案されたような細胞培養容器を用いて細胞を培養した場合、細胞は、細胞培養容器の底面に接着して増殖していく。
一方、微小重力環境において同様の細胞培養容器を用いて細胞を培養した場合、細胞は、細胞培養容器の内面の全面に接着して増殖する。そのため、微小重力環境においては、細胞の分化を抑制すると共に、細胞の培養効率を向上させることもできる。
幹細胞を用いた再生医療技術が発展していく現状において、より効率的に細胞を培養できる細胞培養容器が求められている。
従って、本発明は、微小重力環境において、より効率的に細胞を培養できる細胞培養容器を提供することを目的とする。
本発明は、開口部を有する容器本体と、前記開口部に着脱可能に取り付けられるキャップと、前記キャップに設けられ、液密性を有し、かつ、気体の流通を許容するガス透過領域と、前記容器本体の内部に配置され、培養細胞が接着可能なフィルム体と、を備える細胞培養容器に関する。
また、前記フィルム体は、所定間隔をあけて互いに平行に延びる複数の折線によりひだ状に折り畳まれた状態で前記容器本体に収容されることが好ましい。
また、前記容器本体は、底壁部、該底壁部の周縁から起立する側壁部、及び該側壁部の起立端に前記底壁部と平行に配置される上壁部を有する本体部と、一端側が前記側壁部に接続され他端側に前記開口部が形成される筒状の首部と、を備え、前記フィルム体における隣り合って配置される2つの前記折線の間の長さは、前記開口部の径以下であることが好ましい。
また、前記容器本体は、一端側に前記開口部が形成される円筒部と、前記円筒部の他端側に配置され、基端側から先端側に向かって縮径する縮径部と、を備えることが好ましい。
また、前記フィルム体は、所定間隔をあけて互いに平行に延びる複数の折線によりひだ状に折り畳まれると共に、該複数の折線が前記容器本体の長手方向に沿って配置されることが好ましい。
また、前記複数の折線が、該細胞培養容器を遠心する際に重力がかかる方向と平行であることが好ましい。
また、前記フィルム体は、筒状に丸められた状態で前記容器本体の内部に収容されることが好ましい。
また、隣り合って配置される2つの前記折線の間の長さは、前記円筒部の半径以下であることが好ましい。
また、前記フィルム体は、ポリエチレンテレフタレートフィルムにより構成されることが好ましい。
また、前記フィルム体の表面には、電荷処理が施されていることが好ましい。
本発明の細胞によれば、微小重力環境において、より効率的に細胞を培養できる。
本発明の細胞培養容器を微小重力環境において培養するために用いる装置の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る細胞培養容器を示す斜視図である。 第1実施形態の細胞培養容器を示す分解斜視図である。 第1実施形態の細胞培養容器を示す平面図である。 図4のA−A線断面図である。 図4のB−B線断面図である。 本発明の第2実施形態に係る細胞培養容器を示す斜視図である。 第2実施形態の細胞培養容器を示す正面図である。 第2実施形態の細胞培養容器を示す分解斜視図である。 図8のC−C線断面図である。 図8のD−D線断面図である。 第2実施形態の細胞培養容器の変形例を示す分解斜視図である。 第2実施形態の細胞培養容器の他の変形例を示す断面図であり、図11に対応する図であり。 第2実施形態の細胞培養容器の更に他の変形例を示す斜視図である。
以下、本発明の細胞培養容器の好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明の細胞培養容器1は、微小重力環境において好適に用いられる。微小重力環境とは、地上に比して極めて重力の小さい環境をいい、例えば、宇宙ステーションにおける環境(10−3G)や、重力分散型の模擬微小重力装置(例えば、特開2003−9852号公報参照)を用いて実現できる環境をいう。或いは、重力の影響を減少するという点から、上記の細胞培養容器は3次元培養システムであるRotary Cell Culture System(RCCS;シンセコン社)にも、好適に使用できる。
微小重力環境、或いはRCCSのような単軸の回転培養容器で実現できる重力の影響を減少する環境においては、細胞は、重力の影響を小さくすることができる。そのため、細胞は、水平面の上面のみではなく、細胞培養容器1の内部におけるすべての面に接着して増殖できる。
重力分散型の模擬微小重力装置100は、図1に示すように、複数、或いは単一の細胞培養容器1を収容可能な容器収容部110と、この容器収容部110を第1の軸125を回転軸として回転可能に支持する第1支持部120と、容器収容部110を第1の軸125に直交する第2の軸135を回転軸として回転可能に支持する第2支持部130と、容器収容部110の回転を制御する制御部(図示せず)と、を備える。そして、模擬微小重力装置100は、容器収容部110を、直交する2つの軸125,135を中心として回転させることで、容器収容部110にかかる重力を分散させて、模擬的に微小重力環境を実現する。
まず、本発明の第1実施形態に係る細胞培養容器1につき、図2〜図6を参照しながら説明する。
第1実施形態の細胞培養容器1は、図2及び図3に示すように、開口部11を有する容器本体10と、この容器本体10に着脱可能に取り付けられるキャップ20と、容器本体10の内部に収容されるフィルム体30と、を備える。
容器本体10は、箱状の本体部12と、首部13と、を備える。
本体部12は、図4〜図6に示すように、平面視六角形形状の底壁部121と、この底壁部121の周縁である六つの辺からそれぞれ起立する側壁部122と、側壁部122の起立端に、底壁部121と平行に配置される上壁部123と、を備える。六つの側壁部122のうちの一の側壁部122には、開口が形成される。
首部13は、筒状に構成される。首部13の一端側は、開口が形成された側壁部122の開口が形成された部分に接続される。首部13の他端側は、容器本体10の開口部11を構成する。首部13における開口部11側の端部近傍の外周面には、ねじ山131が形成される。
第1実施形態では、図2及び図6に示すように、首部13は、側壁部122側の端部よりも開口部11側の端部が上壁部123側に位置するように若干傾斜して延びている。また、首部13の直径は、側壁部122の高さと略等しく構成される。
以上の容器本体10は、透明性を有する、合成樹脂、又はガラスにより構成される。容器本体10の材質としては、上述の透明性、及び細胞の接着良好性の観点から、通常はポリスチレンにより構成されることが一般的である。ただし、遠心時の強度改善のため、PP(ポリプロピレン)、又はPET(ポリエチレンテレフタレート)で構成されてもよい。
また、容器本体10の内面には、細胞の接着性を向上させるために、プラズマ放電等の電荷処理が施されていることが好ましい。
キャップ20は、キャップ本体21と、このキャップ本体21に設けられたガス透過領域22と、Oリング23(図3参照)と、を備える。
キャップ本体21は、容器本体10(首部13)の外周面に被嵌される筒状の被嵌部211と、この被嵌部211の一端側を塞ぐ端面部212と、を備える。被嵌部211の内面には、容器本体10(首部13)に形成されたねじ山131に対応する形状のねじ溝213が形成される。
ガス透過領域22は、液密性を有し、かつ、気体の流通を許容する領域である。このガス透過領域22は、キャップ本体21の端面部212に設けられる。ガス透過領域22は、端面部212に形成された複数の貫通孔221と、キャップ本体21における端面部212の内面側に配置されたガス透過膜222と、により構成される。
ガス透過膜222は、液体を通さずに、二酸化炭素や酸素等の気体の流通を許容する。ガス透過膜222としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリイソプレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合体及びポリスチレン等のフィルムを、厚さ100μm程度の膜状に構成したものが挙げられる。
Oリング23は、キャップ本体21の内面側に配置される。このOリング23は、容器本体10にキャップ20を取り付けた場合に、キャップ20と容器本体10との間の液密性を維持する。
フィルム体30は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムともいう)により構成される。第1実施形態では、フィルム体30は、図4及び図5に示すように、矩形形状のPETフィルムが、所定間隔をあけて互いに平行に形成された複数の折線31において交互に折り返されて、ひだ状に折り畳まれて構成されている。
フィルム体30における隣り合って配置される2つの折線31の間の長さL1(図5参照)は、開口部11の直径以下となっている。この2つの折線31の間の長さL1は、容器本体10に収容するフィルム体30の表面積を多くする観点から、開口部11の直径と略等しいことが好ましい。
フィルム体30の表面(両面)には、細胞の接着性を向上させるために、プラズマ放電等の電荷処理が施されていることが好ましい。このフィルム体30の表面の電荷処理は、折線31が形成される前の状態のPETフィルムに施される。これにより、フィルム体30への電荷処理を容易かつ均一に施せる。
フィルム体30の厚さは、折り畳み性を良好に保つ観点から、好ましくは30μm〜150μm、より好ましくは50μm〜100μmである。
また、電荷処理を施したフィルム体30の表面における水の接触角は、細胞の接着性を向上させる観点から、室温(25℃)において、50度〜70度であることが好ましい。
以上の細胞培養容器1において、フィルム体30は、以下の手順で容器本体10の内部に収容される。まず、ひだ状に折り畳んだフィルム体30のひだ同士が近接するようにフィルム体30を縮める。次いで、縮めた状態のフィルム体30を開口部11から容器本体10の内部に押しこむ。すると、首部13を通過して本体部12に到達したフィルム体30は、縮められた状態から解放されて本体部12の内部で広がる。これにより、容器本体10の内部にひだ状に折り畳まれたフィルム体30が配置された細胞培養容器1が製造される。
以上の細胞培養容器1は、以下のようにして用いられる。
まず、滅菌された状態の細胞培養容器1のキャップ20を取り外し、フィルム体30が収容された容器本体10に液体培地を充填し、次いで、細胞を播種する。その後、液体培地が充填され、細胞が播種された容器本体10にキャップ20を取り付ける。ここで、液体培地は、容器本体10に空気が残存しないように満たして充填することが好ましい。これにより、微小重力環境において細胞を培養する場合に、細胞と空気とが接触することを防げるので、容器本体10の内面の全面及びフィルム体30の全面に細胞を接着させられる。
次いで、細胞培養容器1を、例えば、図1に示すように模擬微小重力装置100に装着する等して微小重力環境におき、細胞を培養する。
尚、細胞培養容器1により培養される細胞としては、体性幹細胞、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性生殖細胞(EG細胞)、間葉系幹細胞、神経幹細胞、血管内皮幹細胞、造血系幹細胞、肝幹細胞等の幹細胞の他に、骨細胞、軟骨細胞、筋細胞、心筋細胞、神経細胞、腱細胞、脂肪細胞、膵細胞、肝細胞、腎細胞、毛母細胞、血球細胞等の分化した細胞又はその前駆細胞が挙げられる。
また、液体培地としては、通常、細胞培養に用いられるようなものを、特に制限なく用いることができる。具体的には、アルファα−MEM培地、RPMI−1640培地、MEM基本培地等が挙げられる。
尚、これらの液体培地には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、塩素、アミノ酸、ビタミン、ホルモン、抗生物質、脂肪酸、糖等の化学成分に加えて、細胞増殖効果を高めるため、血清や細胞増殖因子(サイトカイン)のような生体成分を含有させてもよい。ただし、微小重力環境において細胞を培養することで、血清や細胞増殖因子(サイトカイン)のような生体成分を用いることなく、幹細胞を未分化状態を維持しつつ増速させられる。
次に、培養して増殖させた細胞を回収する手順につき説明する。
培養した細胞を回収する場合には、まず、細胞培養容器1に充填された液体培地を除去し、その後、容器本体10にトリプシン等の細胞剥離剤を添加して、容器本体10及びフィルム体30に接着した細胞を剥離させる。
次いで、剥離させた細胞をピペット等を用いて遠心分離管に移し、例えば、1000rpm、4℃、5minの条件にて遠心分離を行う。
これにより、細胞培養容器1を用いて培養された細胞は回収される。
以上説明した第1実施形態の細胞培養容器1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)細胞培養容器1を、容器本体10の内部に配置されるフィルム体30を含んで構成した。これにより、微小重力環境において細胞を培養した場合に、容器本体10の内面、及びフィルム体30の表面において細胞を接着させられるので、細胞が接着できる領域の面積を増加させられる。また、細胞培養容器1において、細胞が接着可能な領域を増加させる手法、つまり、細胞の接着対象の表面積を増加させる手法としては、容器本体に多孔質材料、中空糸、又はマイクロビーズを収容する手法が考えられる。しかしながら、これらの材料を細胞の接着対象として用いた場合には、これらの材料の滅菌処理や、電荷処理等の表面処理が困難となる。また、増殖させた細胞を剥離させにくく、細胞の回収率が低下してしまう。更には、細胞の増殖性に劣る。そこで、細胞の接着対象としてフィルム体30を用いた。これにより、滅菌処理や表面処理を容易に行え、また、増殖させた細胞を容易に剥離させられる。更に、細胞の接着性に優れるため、細胞の増殖性を向上させられる。
(2)フィルム体30をひだ状に折り畳んで容器本体10に収容した。これにより、細胞が接着できる領域の面積をより増加させられるので、細胞培養の効率をより向上させられる。
(3)容器本体10を、本体部12及び首部13を含んで構成し、フィルム体30の折線31間の長さL1を開口部11の径以下に構成した。これにより、ひだ状に折り畳んだフィルム体30を容器本体10に容易に収容できるので、細胞培養容器1を容易に製造できる。
(4)細胞培養容器1は、細胞の接着性、及び加工の容易性等の観点から、主としてポリスチレンにより製造される。しかしながら、ポリスチレンによりフィルム体を構成した場合、このフィルム体を折り畳むとフィルム体が割れやすく、フィルム体をひだ状に加工することが困難であった。そこで、フィルム体30を、ポリエチレンテレフタレートフィルムにより構成した。これにより、フィルム体30を折り畳んだ場合におけるフィルム体30の割れの発生を防げる。よって、フィルム体30の加工の容易性を向上させられるので、細胞培養に適した形状のフィルム体30を容易に製造できる。
(5)フィルム体30の表面に電荷処理を施した。これにより、フィルム体30の表面に官能基を付与でき、フィルム体30の親水性を高められる。よって、フィルム体30の表面に対する細胞の接着性をより向上させられる。
次に、本発明の細胞培養容器の第2実施形態につき、図7〜図11を参照しながら説明する。
第2実施形態の細胞培養容器1Aは、容器本体10Aの形状、及び容器本体10Aの内部におけるフィルム体30の配置において第1実施形態と異なる。尚、第2実施形態以降の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態の細胞培養容器1Aでは、容器本体10Aは、図10に示すように、一端側に開口部11Aが形成され、他端側が閉止された筒状に形成される。この容器本体10Aは、円筒部14と、縮径部15と、を備える。
円筒部14は、容器本体10Aの一端側、即ち、開口部11Aが形成された側に配置される。この円筒部14の開口部11A側の端部近傍の外周面には、ねじ山141が形成される。
縮径部15は、円筒部14における開口部11Aが形成された側と反対側の端部に配置される。この縮径部15は、基端側から先端側に向かって縮径した円錐形状に形成される。
容器本体10Aは、遠心分離器に使用可能な遠心分離管と同様の形状及び大きさ(例えば、容量50mlの遠心分離管(コニカルチューブ)と同形同大)に形成される。
キャップ20は、キャップ本体21と、このキャップ本体21に設けられたガス透過領域22と、Oリング23と、を備える。
キャップ本体21は、容器本体10の外周面に被嵌される筒状の被嵌部211と、この被嵌部211の一端側を塞ぐ端面部212と、を備える。被嵌部211の内面には、容器本体10(円筒部14)に形成されたねじ山121に対応する形状のねじ溝213が形成される。
Oリング23は、キャップ本体21の内面側に配置される。このOリング23は、容器本体10にキャップ20を取り付けた場合に、キャップ20と容器本体10との間の液密性を維持する。
第2実施形態では、ひだ状に折り畳まれたフィルム体30は、図9及び図11に示すように、折線31が容器本体10Aの長手方向に沿うように容器本体10Aの内部に収容される。即ち、フィルム体30の表面は、容器本体10Aの長手方向に沿うように配置される。
より詳細には、フィルム体30は、ひだ状に折り畳まれた状態で、折線31の延びる方向が高さ方向となるように筒状に丸められて容器本体10に収容される。
第2実施形態では、ひだの高さH、つまり隣り合って配置される2つの折線31の間の長さは、円筒部14の半径r以下であり、より好ましくは、円筒部14の半径rの70%〜90%である(図11参照)。
以上説明した第2実施形態の細胞培養容器1によれば、上述した(1)、(2)、(4)、(5)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
(6)容器本体10Aを筒状に構成すると共に、この容器本体10Aを円筒部14と縮径部15とを含んで構成した。これにより、培養した細胞を回収する場合に、容器本体10A及びフィルム体30の表面で培養した細胞を剥離させた後、この細胞培養容器1Aを遠心分離器に設置して遠心分離することで、培養した細胞を容易に筒状の容器本体10Aの底部に集められる。また、細胞を培養した後の細胞培養容器1Aを遠心分離した場合に、フィルム体30が容器本体10Aの先端側に移動することを防ぎつつ、細胞を縮径部15に集められる。よって、細胞培養容器1Aを用いた細胞培養の効率をより向上させられる。また、培養した細胞を別の容器に移すことなく回収できるので、細胞回収時にコンタミネーションを起こしにくくできる。
(7)フィルム体30を、複数の折線31においてひだ状に折り畳むと共に、この折線が容器本体10Aの長手方向に沿うように容器本体10Aに収容した。これにより、容器本体10Aに収容するフィルム体30の表面積を増加させられるので、細胞が接着できる領域の面積をより増加させられる。また、折線31を容器本体10Aの長手方向に沿うように配置したので、遠心分離を行う場合において、フィルム体30の表面を遠心分離による分離方向(重力がかかる方向)に沿わせられる。よって、培養した細胞を容易に分離して筒状の容器本体10Aの底部に集められる。
(8)フィルム体30を筒状に丸めた状態で容器本体10Aに収容した。これにより、ひだ状に折り畳んだフィルム体30を、より表面積を多くした状態で容器本体10Aに収容できる。また、容器本体10Aの内部において、フィルム体30を均等に配置できるので、細胞培養容器1Aに充填された培地の流動性に偏りを起こしにくくできる。よって、細胞培養の効率を更に向上させられる。
以上、本発明の細胞培養容器の好ましい各実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、容器本体10の内部におけるフィルム体30の配置は、第1実施形態及び第2実施形態の配置に限らない。即ち、図12に示すように、第2実施形態の容器本体10Aに、この容器本体10Aの内径よりも小さい板状のPETフィルム32を厚さ方向に所定間隔をあけて複数枚層状に配置する共に、これら複数枚のPETフィルム32を容器本体10の内径と略等しい円板状の支持板33により一体化させてフィルム体30を構成してもよい。また、図13に示すように、PETフィルムを渦巻き状に丸めた状態で容器本体10に収容してフィルム体30を構成してもよい。また、図14に示すように、ひだ状に折り畳んだフィルム体30を、筒状に丸めることなく容器本体10Aに収容してもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、フィルム体30をPETフィルムにより構成したが、これに限らない。即ち、フィルム体を、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の他の合成樹脂フィルムにより構成してもよい。
また、容器本体10の形状は、第1実施形態及び第2実施形態の形状に限らない。即ち、容器本体を、直方体形状や立方体形状に形成してもよい。
1,1A 細胞培養容器
10,10A 容器本体
11,11A 開口部
12 本体部
13 首部
14 円筒部
15 縮径部
20 キャップ
22 ガス透過領域
30 フィルム体
31 折線

Claims (10)

  1. 開口部を有する容器本体と、
    前記開口部に着脱可能に取り付けられるキャップと、
    前記キャップに設けられ、液密性を有し、かつ、気体の流通を許容するガス透過領域と、
    前記容器本体の内部に配置され、培養細胞が接着可能なフィルム体と、を備える細胞培養容器。
  2. 前記フィルム体は、所定間隔をあけて互いに平行に延びる複数の折線によりひだ状に折り畳まれた状態で前記容器本体に収容される請求項1に記載の細胞培養容器。
  3. 前記容器本体は、
    底壁部、該底壁部の周縁から起立する側壁部、及び該側壁部の起立端に前記底壁部と平行に配置される上壁部を有する本体部と、
    一端側が前記側壁部に接続され他端側に前記開口部が形成される筒状の首部と、を備え、
    前記フィルム体における隣り合って配置される2つの前記折線の間の長さは、前記開口部の径以下である請求項2に記載の細胞培養容器。
  4. 前記容器本体は、
    一端側に前記開口部が形成される円筒部と、
    前記円筒部の他端側に配置され、基端側から先端側に向かって縮径する縮径部と、を備える請求項1に記載の細胞培養容器。
  5. 前記フィルム体は、所定間隔をあけて互いに平行に延びる複数の折線によりひだ状に折り畳まれると共に、該複数の折線が前記容器本体の長手方向に沿って配置される請求項4に記載の細胞培養容器。
  6. 前記複数の折線が、該細胞培養容器を遠心する際に重力がかかる方向と平行である請求項5に記載の細胞培養容器。
  7. 前記フィルム体は、筒状に丸められた状態で前記容器本体の内部に収容される請求項5又は6に記載の細胞培養容器。
  8. 隣り合って配置される2つの前記折線の間の長さは、前記円筒部の半径以下である請求項7に記載の細胞培養容器。
  9. 前記フィルム体は、ポリエチレンテレフタレートフィルムにより構成される請求項1〜8のいずれかに記載の細胞培養容器。
  10. 前記フィルム体の表面には、電荷処理が施されている請求項1〜9のいずれかに記載の細胞培養容器。
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