JP2021052620A - 基材フィルム体の製造方法 - Google Patents

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川端 裕介
Yusuke Kawabata
裕介 川端
俊平 藤内
Shunpei Tonai
俊平 藤内
和弥 金杉
Kazuya Kanasugi
和弥 金杉
裕美 河原
Hiromi Kawahara
裕美 河原
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Abstract

【課題】折り目によりプリーツ形状に折られた基材フィルム体を製造するに際し、表面に施された細胞接着処理の効果を損なうことなく所望のプリーツ形状に容易に形成可能な、細胞培養用に用いて最適な基材フィルム体を製造する方法を提供する。【解決手段】線状に形成された折り目に沿ってプリーツ形状に折られた基材フィルム体の製造方法であって、基材フィルムに、ドット状の切り目が複数線状に配列された折り目形成用線を複数設ける工程1、前記折り目形成用線に沿って基材フィルムを折りたたみ、基材フィルムをプリーツ形状の基材フィルム体にする工程2、及び基材フィルムを電荷処理する工程3をこの順に有する、前記工程1、前記工程3、及び前記工程2をこの順に有する、又は前記工程3、前記工程1、及び前記工程2をこの順に有することを特徴とする、基材フィルム体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、折り目によりプリーツ形状に折られた基材フィルム体の製造方法に関する。
従来、体性幹細胞、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)等の細胞を培養する場合には、滅菌された樹脂製の細胞培養容器が用いられる(特許文献1参照)。より具体的には、細胞の培養は、細胞培養容器に培養する細胞と共に液体の培地を充填し、この細胞及び培地が充填された細胞培養容器を所定の環境下に静置して行われる。
培養される細胞は多くの場合、細胞培養容器の内面に接着して増殖する。特許文献1で提案されたような細胞培養容器を用いて細胞を培養した場合、細胞は、細胞培養容器の底面に接着して増殖していく。そして、増殖させた細胞を採取する場合には、まず、細胞培養容器にトリプシン等の細胞剥離剤を添加して細胞を細胞培養容器から剥離させる。次いで、細胞培養容器から剥離された細胞を培地と共にピペット等を用いて遠心分離用の容器(チューブ)に移した後、遠心分離を行って細胞を沈降させる。これにより、細胞が採取できる。このように、従来の手法では、培養した細胞を採取するために、ピペット等を用いて細胞を他の容器に移す手順が必要であった。また、細胞培養容器の底面にしか細胞を増殖させられなかった。
そこで、細胞培養を効率よく実施するため、一端側に開口部が形成された筒状の容器内部に、表面に培養細胞が接着可能なプリーツ状に折りたたまれた基材フィルム体を設置した細胞培養容器が知られている(特許文献2参照)。具体的には前記筒状容器に前記基材フィルム体を設置し、培養する細胞とともに液体の培地を充填させて、液密性があるガス透過領域を備えたキャップで封を行った細胞培養容器を所定の環境下に静置して行われる。この場合、細胞はプリーツ状に折りたたまれた基材フィルム体表面に接着して増殖していく。その結果、細胞増殖面積が増加され、1度に実施できる細胞増殖の効率が高まる。また、増殖させた細胞を採取する際は、前記細胞培養容器をそのまま遠心分離機で遠心分離することで細胞とフィルム体を分離させ、細胞を端部に集めることができる。そのため、培養容器から遠心分離機に移動させる必要がなくなり細胞にダメージを与える可能性を低くできる。
特開平10−179137号公報 特許第6169869号
しかしながら、上記特許文献2に記載の細胞培養容器においては、以下のようなおそれを除去するために、さらなる改良の余地があることが判明した。すなわち、筒状の容器内にプリーツ状の基材フィルム体を設置する際に基材フィルム体をプリーツ状に折りたたむ必要があるが、細胞接着処理を施した基材フィルム体表面に折り目をつけるため、しっかりと折り目を擦る必要がある。しかし、折り目部分を擦ると、とくに擦りすぎると、擦られた基材フィルム体表面の細胞接着処理の効果が薄くなり、細胞培養の効率が悪くなるおそれがあった。一方で折り目をつけやすくするため、基材フィルム体の厚みを薄くすることが考えられるが、基材フィルム体の厚みが薄くなると基材フィルム体の剛性がなくなることで、培養の際に静置した基材フィルム体のプリーツ形状を保持できず、細胞培養を阻害したり、細胞を採取するため遠心分離を実施した際に細胞が基材フィルム体から分離しにくくなるなどの制約があった。
そこで本発明の課題は、かかる従来技術の背景に鑑み、折り目によりプリーツ形状に折られた基材フィルム体を製造するに際し、表面に施された細胞接着処理の効果を損なうことなく所望のプリーツ形状に容易に形成可能な、細胞培養用に用いて最適な基材フィルム体を製造する方法を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
線状に形成された折り目に沿ってプリーツ形状に折られた基材フィルム体の製造方法であって、
基材フィルムに、ドット状の切り目が複数線状に配列された折り目形成用線を複数設ける工程(以下、工程1という)、前記折り目形成用線に沿って基材フィルムを折りたたみ、基材フィルムをプリーツ形状の基材フィルム体にする工程(以下、工程2という)、及び基材フィルムを電荷処理する工程(以下、工程3という)をこの順に有する、前記工程1、前記工程3、及び前記工程2をこの順に有する、又は前記工程3、前記工程1、及び前記工程2をこの順に有することを特徴とする、基材フィルム体の製造方法。
本発明に係る基材フィルム体の製造方法によれば、プリーツ形状に折る基材フィルム体の折り目を付けたい箇所にドット状の切り目をつけることで折り目をつけやすくでき、所定の細胞接着処理を実施した基材フィルム体表面を擦らずに折り目をつけることができ、細胞接着処理の効果を損なわずに、高い細胞増殖の効率を有する所望のプリーツ形状の基材フィルム体を容易に得ることができる。このような本発明に係る方法により製造された基材フィルム体を細胞培養容器に用いることにより、高い細胞培養率をもって所望の細胞培養を実施することが可能になる。
本発明における基材フィルム体の一例を示す斜視図である。 プリーツ形状に加工する前の基材フィルムの平面図である。 細胞培養容器の一例を示す斜視図である。 図3の細胞培養容器の分解斜視図である。 図3の細胞培養容器により細胞を培養している状態を模式的に示す横断面図である。 図3の細胞培養容器により培養した細胞を集めている状態を模式的に示す部分縦断面図である。
以下に、本発明について、好ましい実施の形態とともに詳細に説明する。本発明の方法により製造される基材フィルム体は、プリーツ形状に折られた基材フィルム体である。
〔基材フィルム体の材質〕
本発明で用いられる基材フィルム体としては、特に制限はないが、寸法安定性や耐久性等の点からプラスチックフィルムが好ましい。
プラスチックフィルムの材質としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ−ρ−フェニレンスルフィド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。また、これらの共重合体やブレンド物やさらに架橋した化合物を用いることもできる。
さらに、上記プラスチックフィルムの中でも、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレート、ポリエチレンα,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレートなどを含むフィルムが好ましく、これらの中で機械的特性、作業性などの品質、経済性などを総合的に勘案すると、ポリエチレンテレフタレートを含むフィルムが特に好ましく用いられる。
本発明に用いる基材フィルム体の厚みは特に限定されないが、基材フィルム体の剛性を確保する観点から25μm以上が好ましく、プリーツ形状の折り目をつけやすくする観点から188μm以下が好ましく、25μm〜188μmの範囲にあることが好ましい。さらに、基材としてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合、剛性の確保や折り目のつけやすさから38μm〜100μmの範囲にあることが好ましい。
〔基材フィルムをプリーツ形状にするための折り目形成用線を複数設ける工程:工程1〕
図1に、線状に形成された折り目2に沿ってプリーツ形状に折られた基材フィルム体1の一例、図2に、折り目2に沿って折る前の基材フィルム9を示す。図2に示すように、基材フィルム9に、ドット状の切り目3が複数線状に(直線状に)配列された折り目形成用線2aが複数設けられる(以下、工程1という)。切り目3の形成方法は特に限定されないが、具体的にはカッティングプロッター装置などを用い、切り目3を入れる刃を基材フィルム9に突き刺し、所定のドット状の切り目3を作成することができる。ドット状の切り目3を複数有することで、基材フィルム9を折り目形成用線2aに沿って容易に折り曲げやすくなり、図1に示すような基材フィルム体1の折り目2をつけやすくなる。前記切り目3の長さ4は、2.0mm〜3.0mmが好ましく、同一の折り目中の隣り合う切り目3の間隔(隣接する切り目3の間隔)は、0.7mm〜1.5mmが好ましい。ここで、同一の折り目中の隣り合う切り目の間隔は同一の折り目中の隣り合う切り目の端部から最も近い切り目の近い側の端部までの間隔5をいう。前記切り目の長さ4が、2.0mm未満、または同一の折り目中の隣り合う切り目の間隔5が、1.5mmより大きい場合、切り目3の効果が薄く、折り目2の形成が困難で基材フィルム体表面を擦らずにプリーツ形状にすることが困難となる場合がある。また前記切り目の長さ4が、3.0mmより大きい、または同一の折り目中の隣り合う切り目の間隔5が、0.7mmより小さい場合、切り目から基材フィルム体が裂けてしまい、プリーツ形状に折りたたむことが困難になる場合がある。
なお、図2において、符号6は、折り目2と隣り合う折り目2の間隔(隣接する折り目の間隔)、符号7は、基材フィルム9の短辺、符号8は、基材フィルム9の長辺、をそれぞれ示している。
〔折り目形成用線に沿って基材フィルムを折りたたみ、基材フィルムをプリーツ形状の基材フィルム体にする工程:工程2〕
前記折り目形成用線2aに沿って基材フィルム9を折りたたみ、基材フィルム9をプリーツ形状の基材フィルム体1にする工程(工程2)は特に限定されないが、具体的には、曲げ加工機を用い、折り目形成用線2aに沿って曲げ加工を行うことができる。その際、折り曲げは山折りと谷折りを交互に繰り返して実施し、プリーツ形状とする。具体的にプリーツ形状に折られているとは、図1に示すとおり、基材フィルム体1が、所定間隔をあけて互いに平行に形成された複数の折り目2において山折りと谷折りを交互に折り返されて、プリーツ形状に折り畳まれて構成されていることを指す。また図1に示す通り前記プリーツ形状を形成するための複数の折り目形成用線2aおよびそれに沿って形成された折り目2はそれぞれが直線であって、複数の直線の折り目2は、互いに略平行に存在している。前記折り目と隣り合う前記折り目の間隔が、5mm〜15mmであることが好ましい。間隔が5mm未満だと、プリーツ形状に折りたたむ作業が困難になる場合があり、また15mmより大きいと、細胞培養容器への設置が難しくなる場合がある。
〔基材フィルムを電荷処理する工程:工程3〕
基材フィルム体1の表面(片面または両面、好ましくは両面)には、細胞の接着性を向上させるための処理(細胞接着処理)として、電荷処理が施されている。つまり、基材フィルム9が電荷処理される(甲定位3)。電荷処理方法は特に限定されないが、基材フィルム体表面を緻密に電荷処理できることからプラズマ処理が好ましく用いられる。プラズマ処理時の原料ガスは特に限定されないが酸素(O2)が好ましく用いられる。また処理強度(電力)は特に限定されないが、基材フィルム体に外観不良が起きない処理強度であればできるだけ処理強度を強めることが好ましい。
また、電荷処理を施したフィルム体の表面における水接触角は、細胞の接着性向上度合を示す指標となり得、細胞の接着性を向上させる観点から、室温(25℃)において、60°以下であることが好ましい。水接触角が60°より大きいと、細胞との親和性や培地との相性が悪く、細胞接着率が低下し、細胞培養効率が下がる場合がある。
〔工程順序〕
本発明では基材フィルムに折り目形成用線を、複数設ける工程(工程1)、前記折り目形成用線に沿って基材フィルムを折りたたみ、基材フィルムをプリーツ形状の基材フィルム体にする工程(工程2)、及び、電荷処理する工程(工程3)をこの順で有する、又は前記工程1、前記工程3、及び前記工程2をこの順に有する、又は前記工程3、前記工程1、及び前記工程2をこの順に有する。このように工程順序に自由度を持たせることができるのは、基材フィルムに、ドット状の切り目が複数線状に配列された折り目形成用線が複数設けられ、それに沿って基材フィルムが折りたたまれることにより所望のプリーツ形状の基材フィルム体が容易に形成されることが大きく寄与している。
〔細胞培養容器〕
本発明に関する一形態として基材フィルム体を容器中に含む細胞培養装置が挙げられる。
本発明の基材フィルム体が設置される細胞培養容器の形状は特に限定されないが、以下に説明する容器形状が好ましく用いられる。例えば、図3及び図4に示すように、細胞培養容器10の容器本体15は、一端側に開口部18が形成され、他端側が閉止された筒状に形成され、この容器本体15は、円筒部16と、縮径部17を備える。円筒部16は、容器本体15の一端側、即ち、開口部18が形成された側に配置される。この円筒部16の開口部18側の端部近傍の外周面には、ねじ山19が形成され、縮径部17は、円筒部16における開口部18が形成された側と反対側(先端側)の端部に配置される。この縮径部17は、基端側から先端側に向かって縮径した円錐形状に形成されていることが好ましい。これにより、細胞を培養した後の細胞培養容器10を遠心分離した場合に、基材フィルム体1が容器本体15の先端側に移動することを防ぎつつ、細胞を縮径部17に集められる。よって、遠心分離した細胞を回収しやすくできるので、細胞培養容器10を用いた細胞培養の効率をより向上させられる。
前記容器本体15は、透明性を有し、合成樹脂、又はガラスにより構成されていることが好ましい。例えば容器本体15の材質としては、上述の透明性、及び細胞の良好な接着性の観点から、通常はポリスチレンにより構成されることが一般的であるが、遠心分離時の強度改善のため、PP(ポリプロピレン)、或いはPET(ポリエチレンテレフタレート)で構成されてもよい。容器本体15は、遠心分離器に使用可能な遠心分離管と同様の形状及び大きさ(例えば、容量50mlの遠心分離管(コニカルチューブ)と同形同大)に形成されることが好ましい。
キャップ11は、キャップ本体12と、このキャップ本体12に設けられたガス透過領域14と、Oリング13を備える。キャップ本体12は、容器本体15の外周面に被嵌される筒状の被嵌部と、この被嵌部の一端側を塞ぐ端面部を備える。被嵌部の内面には、容器本体15(円筒部16)に形成されたねじ山19に対応する形状のねじ溝が形成されることが好ましい。
ガス透過領域14は、液密性を有し、かつ、気体の流通を許容する領域である。このガス透過領域14は、キャップ本体12の端面部に設けられる。ガス透過領域14は、端面部に形成された複数の貫通孔と、キャップ本体12における端面部の内面側に配置されたガス透過膜により構成される。
ガス透過膜は、液体を通さずに、二酸化炭素や酸素等の気体の流通を許容する。ガス透過膜としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリイソプレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合体及びポリスチレン等のフィルムを、厚さ100μm程度の膜状に構成したものが挙げられる。
Oリング13は、キャップ本体12の内面側に配置される。このOリング13は、容器本体15にキャップ11を取り付けた場合に、キャップ11と容器本体15との間の液密性を維持できる。
〔滅菌処理と培養方法〕
本発明の基材フィルム体はプリーツ形状に折りたたんだ後に、基材フィルム体表面に滅菌処理することが好ましい。滅菌処理方法は特に限定されないが、基材フィルム体表面に滅菌灯を当てた状態で一晩保持することが挙げられる。前記滅菌処理後に基材フィルム体を前記細胞培養容器に設置することが好ましい。例えば折り畳まれたフィルム体1を、図3及び図4に示すように、折り目2が容器本体15の長手方向Aに沿うように筒状に丸められて容器本体15の内部に収容される。即ち、基材フィルム体1の表面は、容器本体15の長手方向に沿うように配置されることが好ましい。これにより、遠心分離を行う場合において、基材フィルム体1の表面を遠心分離による分離方向(重力がかかる方向)に沿わせられるので、培養した細胞を容易に分離して筒状の容器本体15の底部に集められる。よって、細胞が接着できる領域の面積を増加させられ、かつ、培養した細胞を容易に集められるので、細胞培養の効率をより向上させられる。また、培養した細胞を別の容器に移すことなく回収できるので、細胞回収時にコンタミネーションを起こしにくくできる。
また、プリーツ形状に折りたたみ、筒状に丸められて細胞培養容器に設置することにより、容器本体15に収容する基材フィルム体1の表面積を増加させられるので、細胞が接着できる領域の面積をより増加させられる。また、折り目2を容器本体15の長手方向に沿うように配置したので、遠心分離を行った場合における細胞の分離性をより高められる。
〔細胞〕
本発明の基材フィルム体により培養される細胞としては、体性幹細胞、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性生殖細胞(EG細胞)、間葉系幹細胞、神経幹細胞、血管内皮幹細胞、造血系幹細胞、肝幹細胞等の幹細胞の他に、骨細胞、軟骨細胞、筋細胞、心筋細胞、神経細胞、腱細胞、脂肪細胞、膵細胞、肝細胞、腎細胞、毛母細胞、血球細胞等の分化した細胞又はその前駆細胞が挙げられる。
〔培地〕
本発明に用いられる液体培地としては、通常、細胞培養に用いられるようなものを、特に制限なく用いることができる。具体的には、アルファα−MEM培地、RPMI−1640培地、MEM基本培地等が挙げられる。なお、これらの液体培地には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、塩素、アミノ酸、ビタミン、ホルモン、抗生物質、脂肪酸、糖等の化学成分に加えて、細胞増殖効果を高めるため、血清や細胞増殖因子(サイトカイン)のような生体成分を含有させてもよい。ただし、血清や細胞増殖因子等の生体成分を加えることにより、BSE等に感染する可能性や、細胞が癌化する可能性があるため、これらの生体成分を用いないことが好ましい。
〔培養方法および遠心分離方法〕
本発明の基材フィルム体は、例えば以下のようにして用いられる。
まず、滅菌された状態の細胞培養容器のキャップ11を取り外し、基材フィルム体1が収容された容器本体15に液体培地を充填し、次いで、細胞を播種する。その後、液体培地が充填され、細胞が播種された容器本体15にキャップ11を取り付ける。次いで、細胞培養容器10を、図5に示すように、基材フィルム体1の表面の少なくとも一部が水平方向にほぼ沿うように容器本体15を寝かせた状態でインキュベータに収容して細胞を培養する。これにより、寝かせた状態の容器本体15の下部に位置する内面及び基材フィルム体1に細胞が接着し、増殖する。
次に、培養して増殖させた細胞を回収する手順につき説明する。
培養した細胞を回収する場合には、まず、細胞培養容器10に充填された液体培地を除去し、その後、容器本体15にトリプシン等の細胞剥離剤を添加して、容器本体15及び基材フィルム体1に接着した細胞を剥離させる。次いで、細胞培養容器10を、そのまま遠心分離器に設置して遠心分離(例えば、1000rpm、4℃、5min)を行う。これにより、剥離された細胞は、図6に示すように、容器本体15の縮径部17に集められる。この際、基材フィルム体1の表面が容器本体15の長手方向に沿うように配置されている。これにより、遠心分離を行う場合において、基材フィルム体1の表面を遠心分離による分離方向に沿わせられるので、培養した細胞を容易に分離して筒状の容器本体15の縮径部17に集められる。また、ひだ状に折り畳まれた基材フィルム体1は、縮径部17により図の下方への移動が制限される。これにより、基材フィルム体1が容器本体15の先端側に移動することを防ぎつつ、細胞を縮径部17に集められ、細胞を採取することができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明を行なうが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例において、試験片の特性の評価方法は、以下のとおりである。
〔細胞培養率〕
基材フィルム体を滅菌処理し、同じく滅菌処理をした培養用の容器に設置した。そこに細胞を潘種し、培地を充填させ、細胞培養容器を作成し、その細胞培養容器を3次元培養システム((Gravite(株式会社スペース・バイオ・ラボラトリーズ製))を用いて、微小重力環境に置き細胞培養を実施した。細胞を潘種した日を0日目としてその5日経過後に遠心分離機(KUBOTA社製、卓上小型遠心機2010)を使用し培養した細胞を採取した。その後トリパンブルー染色を実施し、血球計算盤でその単位面積当たりの細胞数をカウントした。そのカウントした値を0日目に潘種した細胞数で割り、細胞培養率とした。
〔基材フィルム体の水接触角〕
基材フィルム体から、切り目のない箇所から5mm×5mmの大きさのサンプルを3枚切り抜き、接触角計(協和界面科学株式会社製、DMs−401)を用い、その表面(両面)の水接触角をそれぞれ測定し、その平均値を基材フィルム体の水接触角とした。
(実施例1)
〔基材フィルム体1の製造方法〕
PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東レ株式会社製“ルミラー”#50T60)を準備し、80mm×450mmの大きさに切り出しPETフィルム1を準備した。
次に工程1であるカッティングプロッター装置(SINACO社製、ASシリーズ)を用い、PETフィルム1の80mm辺と並列になるように、ドット状の切り目を直線に入れ、折れ目を44本作成し、PETサンプル2を作成した。その際のドット状の切り目の長さは2.5mm、隣り合うドット状の切り目の間隔は1.2mm、折り目と隣り合う折り目の間隔は10mmとした。
次に工程2であるプロッター加工を施したPETサンプル2を曲げ加工機(TRUMPF社製、TruBend 3066)を用い、折り目に沿って曲げ加工を行い、PETサンプル3を作成した。その際、折り曲げは山折りと谷折りを交互に繰り返して実施し、プリーツ形状とした。
次に、PETサンプル3の両面にマイクロ波プラズマ表面処理装置(株式会社ニッシン社製、R220)を用い、原料ガスにOを使用して、サンプル表面の水接触角が55°になるように処理を行って基材フィルム体1を作成した。
(実施例2)
〔基材フィルム体2の製造方法〕
工程1を実施したPETサンプル2の両面にマイクロ波プラズマ表面処理装置(株式会社ニッシン社製、R220)を用い、原料ガスにOを使用して、サンプル表面の水接触角が58°になるように処理を行ってPETサンプル4を作成し、それを曲げ加工機(TRUMPF社製、TruBend 3066)を用い、折り目に沿って曲げ加工を行った以外は基材フィルム体1の製造方法と同様に基材フィルム体2を得た。
(実施例3)
〔基材フィルム体3の製造方法〕
PETサンプル1の両面にマイクロ波プラズマ表面処理装置(株式会社ニッシン社製、R220)を用い、原料ガスにOを使用して、サンプル表面の水の接触角が58°になるように処理を行ってPETサンプル5を作成し、カッティングプロッター装置(SINACO社製 ASシリーズ)を用い、PETフィルム1の80mm辺と並列になるように、ドット状の切り目を直線に入れ、折り目を44本作成し、PETサンプル6を作成した。その際のドット状の切り目の長さは2.5mm、隣り合うドット状の切り目の間隔は1.2mm、折り目と隣り合う折り目の間隔は10mmとした。
次にプロッター加工を施したPETサンプル6を曲げ加工機(TRUMPF社製、TruBend 3066)を用い、折り目に沿って曲げ加工を行い、基材フィルム体1の製造方法と同様に基材フィルム体3を得た。
Figure 2021052620
表1に示すように、実施例1〜3の全てにおいて高い細胞培養率を達成できた。
1:基材フィルム体
2:折り目
2a:折り目形成用線
3:切り目
4:切り目の長さ
5:隣接する切り目の間隔
6:隣接する折り目の間隔
7:基材フィルムの短辺
8:基材フィルムの長辺
9:基材フィルム
10:細胞培養容器
11:キャップ
12:キャップ本体
13:Oリング
14:ガス透過領域
15:容器本体
16:円筒部
17:縮径部
18:開口部
19:ねじ山

Claims (5)

  1. 線状に形成された折り目に沿ってプリーツ形状に折られた基材フィルム体の製造方法であって、
    基材フィルムに、ドット状の切り目が複数線状に配列された折り目形成用線を複数設ける工程(以下、工程1という)、前記折り目形成用線に沿って基材フィルムを折りたたみ、基材フィルムをプリーツ形状の基材フィルム体にする工程(以下、工程2という)、及び基材フィルムを電荷処理する工程(以下、工程3という)をこの順に有する、前記工程1、前記工程3、及び前記工程2をこの順に有する、又は前記工程3、前記工程1、及び前記工程2をこの順に有することを特徴とする、基材フィルム体の製造方法。
  2. 前記基材フィルム体が細胞培養用に使用されるものである、請求項1に記載の基材フィルム体の製造方法。
  3. 前記工程3について、前記電荷処理がプラズマ処理である、請求項1または2に記載の基材フィルム体の製造方法。
  4. 前記複数の折り目形成用線を、それぞれ直線に形成し、
    複数の直線の折り目形成用線に沿って形成される折り目を、互いに略平行に存在させる、請求項1〜3のいずれかに記載の基材フィルム体の製造方法。
  5. 前記切り目の長さが2.0mm〜3.0mmの範囲にあり、
    同一の折り目中の隣り合う切り目の間隔が0.7mm〜1.5mmの範囲にあり、
    隣接する折り目の間隔が5mm〜15mmの範囲にある、請求項1〜4のいずれかに記載の基材フィルム体の製造方法。
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