JP4897752B2 - 細胞培養装置および使用方法 - Google Patents
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Description
本発明は、フレームと;ガス透過性である少なくとも1つの膜、且つ少なくとも1つの膜は、培養チェンバーを形成して、前記フレームに対して(非漏洩シール状態として)確実にシールされる、と;そして前記フレームを通り、物質が、前記培養チェンバー内に導入され、またはそこから引き抜かれる、ことを許容する少なくとも1つの再シール可能な開口部とを備える細胞培養装置を提供する。 1つの好ましい実施形態では、前記細胞培養装置は、その上にガス透過性膜が延ばされ、確実にそれに対してシールされ、それの間に培養チェンバーを形成する際に固定プラスティック表面を含む付加的表面を含むフレームを備えている。前記フレームは、本発明の前記細胞培養装置を組み立てるためのハウジングを提供すべく充分にリジッドである。前記膜は、前記チェンバー内における細胞成長に適合するために充分なガス透過性を提供し、且つ前記装置を取り扱うために充分な構造的完全性を提供すべく、適切な厚みからなる。さらに、前記膜は、前記細胞培養(例えば、組織培養基の色;および顕微鏡に観察され得るような、細胞の成長および形態のような細胞の特性)を観察するように充分な光学的透明性および明瞭性(clarity)からなる。前記フレームは、物質を細胞チェンバー内に導入し、またはそこから引き抜くことを可能とさせる、少なくとも1つの再シール可能な開口部、そして好ましくは少なくとも2つの再シール可能な開口部を、有する。各開口部は、その中で前記培養チェンバー内に物質を導入しまたは該培養チェンバーから物質を引き抜くための器具(例えば、針またはピペットまたはピペット先端)の一部が案内される通路として役立つフレームを通る開口を備えている。好ましい実施形態においては、前記器具の部分が、前記フレームの再シール可能な開口部を通して挿入されたときに、培養チェンバーの膜により形成される壁のいずれかに孔をあけるのを防止するために、前記フレームは充分な厚みからなり且つ前記開口部は充分に制限した直径からなる。
定義
用語「ガス透過性膜」は、ここでより詳細に説明されるであろうように、ここでは、明細書および特許請求の範囲の目的のために、細胞培養チェンバー内へおよびその外部へのガスの転移を許可し得て、そして(例えば、孔サイズが、細胞培養の汚染に通例遭遇する微生物の通過を除外するために必要なほど充分に小さい)微生物汚染を除外し得て、そして細胞培養の(例えば、pHインジケーターを含む組織培養基の色の;並びに光顕微鏡により検出し得るような細胞の成長および形態のような培養される細胞の特性の)観察を許容するための光学的透明性および明瞭性を有する液体不浸透性の生体適合物質を意味すべく用いられている。前記ガス透過性膜の厚みは、それに限定されないが、構造的完全性、ガス透過性の度合い、およびガスの転送レートを含む所望される結果特性に依存するであろう。一般に、ガス透過性膜の厚みは、約0.0318mm未満から約0.127mmまでの範囲とすることができる。好ましい実施形態においては、前記膜の厚みは、約0.0508mmから約0.102mmまでの範囲内にあり、そしてより好ましい実施形態においては、0.102mmである。前記ガス透過性膜は、当該技術において知られる1つまたはそれ以上の膜からなっていてもよい。膜は、一般的には、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリオレフィン、エチレンビニールアセテート、ポリプロピレン、ポリスルフォン、ポリテトラフルオロエチレン、またはシリコーンコーポリマーを含む適切なポリマーからなる。前記ガス透過性膜の組成の選定は、培養されるべき細胞のタイプ(例えば、付着されて生育する(付着依存性)細胞、懸濁浮遊して生育する(付着非依存性)細胞、および付着されまたは懸濁浮遊して生育するであろう細胞)、ガス透過性の程度、ガスの転送のレート、並びに光学的透明性および明瞭性に依存するであろう。より好ましい実施形態においては、前記ガス透過性膜は、培養における付着依存性細胞の付着のための面として役立つであろう前記膜の一方の面上で、付着依存性細胞に対して該処理された膜面の粘着力を改善するためのイオン化により、処理された。前記膜のイオン化は、該処理された膜面をより親水性とし、且つプラズマ放電、コロナ放電、ガスプラズマ放電、イオン衝撃、イオン化放射、および高強度UV光を含む当該技術において知られた方法を用いて実行され得る。付着非依存性細胞の成長を助長するための好ましい実施形態においては、前記ガス透過性膜は、イオン化によって処理されることはない。好ましい実施形態においては、前記ガス透過性膜は、ポリスチレン、またはポリプロピレンからなる1つの膜であり、少なくとも1つの面上で、コロナ処理によって、処理され、そして約0.102mmである。好ましい実施形態において、本発明に従った前記細胞培養装置の少なくとも1つのガス透過性膜は、酸素および二酸化炭素ガスに対して下記のガス透過性特性を有し:O2に対し1気圧、37℃での透過性性能は、約15Barrersから約40Barrersまでの範囲内であり、そしてより好ましくは、約23Barrersであり;またCO2に対し1気圧、37℃での透過性性能は、約80Barrersから約95Barrersまでの範囲内であり、そしてより好ましくは、約88Barrersである。
この実施例においては、本発明に従った細胞培養装置の種々の実施形態が説明されている。しかしながら、ここでこの実施例およびそれに続く実施例に説明される本発明に従った細胞培養装置の全ての実施形態において、必須の特徴は、そこに形成される培養チェンバーが、少なくとも1つのガス透過性膜からなることである。さて、図1から図7を参照すると、細胞培養装置12は、フレーム18を備えている。フレーム18は、それによってその意図される目的のために必要とされる構造の完全性を達成する、フレームワーク構造に製作され得る適切な可塑性の、熱可塑性の、合成の、または天然材料を含み得る基本的な生体適合性のある組成からなるであろう。フレーム18の形成および/製造に適する材料の選択において、広い選定の許容範囲が、行使し得ることは当業者にとっては明らかであるはずである。細胞培養装置12、およびフレーム18、の寸法は、それに限定されるわけではないが、そこに形成される培養チェンバーの所望の液体容量、および該培養チェンバーの寸法を含む1つまたはそれ以上のファクターに依存するであろう。好ましい実施形態においては、細胞培養装置12は、顕微鏡のための標準の機械的ステージ試料ホルダーによって、適合され、且つ実質的に適正位置に保持されることを可能とするために、一般的な形状およびサイズである。さらに好ましい実施形態においては、細胞培養装置12(およびフレーム18)は、約10cmから約13.5cmまでの範囲の長さ、約7cmから約9cmまでの範囲の幅、および約0.2cmから約2.0cmまでの範囲の高さ;またより好ましくは、約12.6cmの長さ×約8.4cmの幅×約0.5cmの高さであり、従来の細胞培養デバイスを用いて対応する成長レートまたは対応する細胞密度にて、細胞を培養するために必要とされるよりも少ないインキュベーター空間による細胞の培養を許容させる細胞培養装置を提供する。好ましい実施形態においては、および図1、および図4から図7を参照するにおいては、フレーム18の傾斜した部分は、少なくとも1つのガス透過性膜の平面に対して、角度で(例えば、約25゜から約40゜までの範囲の度合いで)傾いている。
この実施例においては、細胞が個別の細胞であるか(組織のような構造を形成することとは独立に生育される細胞;実例となる実施例は細胞ラインである)、または組織を形成する細胞であるか(一般的には、構成されたまたは組織化された組織を形成するのにそれらの組織間物質を有する細胞のメッシュまたはネットワークである)、あるいはそれらの組み合わせであるのかの、細胞を培養するための本発明に従った細胞培養装置を用いる種々の実施形態が説明されている。細胞培養装置において培養され得る個別の細胞は、それに限定されるわけではないが、動物細胞、昆虫細胞、哺乳類細胞、人間細胞、トランスジェニック細胞、異電子工学による細胞、形質転換された細胞、細胞ライン、付着依存性細胞、および付着非依存性細胞、を含む1つまたはそれ以上の細胞タイプを有することは当業者には明らかであろう。培養において細胞により形成された組織も、本発明に従った細胞培養装置において培養され得ることも当業者には明らかであろう。本発明の細胞培養装置は、一般に、培養される特定のタイプの細胞にも、該培養基が、細胞成長を維持させ且つサポートするために充分な栄養分および特性(例えば、浸透圧)を提供する限り、細胞成長を維持させることの可能な組織培養基にも限定されないことは当業者にはさらに明らかであろう。さらに、細胞を培養するために使用する前に、滅菌された細胞培養装置は技術において従来の方法を用いることは当業者には明らかであろう。好ましい実施形態においては、前記細胞培養装置は、ガンマ放射線への露呈によって滅菌される。
前記細胞培養装置は、磁気分離アプリケーションのために使用してもよい。この実施例においては、細胞培養装置が、そこに脱離可能に固定された磁気シートをさらに備える種々の実施形態が説明されている。一つの実施形態においては、そして図8を参照すれば、磁気シートアセンブリ51は、該磁気シートが、前記細胞培養装置の前記少なくとも1つのガス透過性膜31の表面の実質的に全て(全てまたは培養チェンバー40の壁部を形成する部分)に粘着接触するような位置に配置されるように、対向して、細胞培養装置12上に延在され且つそれに離脱可能に固定される。前記磁気シートアセンブリ51は、培養チェンバー40内に配置される磁性粒子が、前記脱離可能に固定される磁気シートアセンブリ51の磁界強度によって吸引され、そして適正な位置(膜31の内面からなる培養チェンバー40の内壁に沿って)に保持されるような方法で、細胞培養装置12に脱離可能に固定されるであろう。好ましい実施形態において、磁気シートアセンブリ51は、それに粘着接触して配置される前記表面32とおおむね共通の寸法の形状を有している。磁気シートアセンブリ51が脱離可能に固定された細胞培養装置12を用いる磁気分離の方法において、そしてここに従前の実施例にて説明された方法を用いて、培養チェンバー内に導入されるのは;(a)対象細胞の集団(例えば、細胞タイプの混交集団(mixed population)を含む液体から隔離されることが所望される細胞タイプ)をその中に有する細胞の混交集団を含む液体;および(b)リガンドによってコーティングされた磁性粒子を有する磁気分離反応物であり、前記リガンドは、分離されることが所望される細胞についてのおよび磁気分離を達成するために充分な結合特異性および親和性を有する。磁気分離反応物と対象細胞の間の接触および結合の相互作用が生じるために充分な時間について内容を混合した後、前記磁気分離反応物は、前記リガンドコーティングを介して、合成物を形成して流体内に存在する対象細胞と接触し且つ結合する。細胞混交集団を含む流体、および磁気分離反応物は、まず混合され、そしてそれから該混合物が前記磁気分離を実行するために前記細胞培養装置に導入されることは当業者にとって明らかであろう。いずれの実施形態においても、形成された合成物が、(磁気吸引力によって)引きつけられ、そして、そこに前記磁気シートが脱離可能に固定されている細胞培養装置12の平面に沿って、膜の内面を含む培養チェンバー40の壁部に接触する。合成物が膜31に沿う適正位置に保持されるのを充分な時間について許容した後は、前記流体は、細胞培養装置から除去される。ネガティヴ選択の方法においては、特定の細胞集団が涸渇されているので前記除去された流体が利用される。ポジティヴ選択のプロセスにおいては、分離されることが所望されている細胞タイプが、磁気吸引力により且つ培養チェンバー内における合成物として適性位置に保持されるので、除去された流体は、前記混交細胞集団の実質的に全ての(不要な)残余を含んでいる。このポジティヴ選択プロセスにおいては、培養チェンバー40は、前記対象細胞が、磁気吸引力を介して、磁気分離反応物との合成物の一部として結合される場合、結合されずに残った細胞をも除去するために、溶液(例えば、組織培養基または生理的な溶液)によって洗浄されるであろう。ポジティヴに選択された細胞を培養することが所望される一つの実施形態においては、当該細胞タイプに関する適切な量およびタイプの組織培養基が、そこで培養チェンバー40内に導入されて;それから磁気シートアセンブリ51が、前記細胞培養装置12から(例えば、図8に図示されるように、引き出しまたは引きはがし動作によって)除去され、それによって細胞培養チェンバー40内で適正位置に前記合成物を保持する磁力を取り除き、且つそれによって該合成物を前記培養基内に解放して;そしてそれから前記細胞培養装置12が、細胞培養インキュベーター内に配置され且つ保温される。
本発明に従った細胞培養装置12は、組み換えDNA分子が培養される細胞に導入されたアプリケーションにも用いられてよい。この実施例においては、細胞培養装置12の培養チェンバー40内に収容された培養される細胞にベクターが接触するように(培養される細胞内への導入のために)有効な量のベクターが細胞培養装置12内に導入されることによってベクターが細胞内に導入された細胞培養装置12の使用が説明されている。細胞培養装置12内に物質を導入するための方法が、この中で実施例2において説明されたように、ベクターを細胞培養装置12内に導入するためにも用いられてよい。当業者には明らかであろうように、前記ベクターは、プラスミドベクター、ウィルス性ベクター、エクスプレッションベクター、またはそれらの組合せを含んでいてもよい。当業者には明らかなように、前記ベクターは、ベクターを含む細胞によって表現されるべく所望のDNA分子に、影響を及ぼすように(例えば、プロモーターに)リンクされたベクターを備える組み換えDNA分子を含んでいてもよい。分子生物学の技術における熟達者には知られているように、動物細胞(そしてより好ましくは、哺乳類細胞)または植物細胞は、細胞における遺伝子生成への所望の遺伝子の表現を助長するエクスプレッションベクターのような組み換えDNA分子がその中に導入されることが望まれる一般的な細胞である。
Claims (8)
- フレームを通る開口を定める少なくとも1つの開口部を含む前記フレームと;
前記開口部の中に配置され、隔膜上に表面コーティングを形成する殺菌剤を組み込んでいる前記隔膜であって、前記殺菌剤は前記表面コーティングを回復するために隔膜を介して移動するものと;
少なくとも1つのガス透過性膜が培養チェンバーの第1の壁の少なくとも一部を形成する前記フレームを非漏洩シール状態として確実にシールされる、前記少なくとも1つのガス透過性膜であって、前記少なくとも1つのガス透過性膜が、1気圧、37℃で、酸素に対しては、15Barrerから40Barrerまでの範囲内である透過性能を有し、炭酸ガスに対しては、80Barrerから95Barrerまでの範囲内である透過性能を有するものと;
前記少なくとも1つのガス透過性膜から離間され、並列であり、および、前記フレームに固定されている第2の面であって、前記第2の面が前記培養チェンバーの第2の壁の少なくとも一部を形成し、前記培養チェンバーが前記少なくとも1つのガス透過性膜、前記第2の面、および、前記フレームの内部の間に形成されるものと、を具備する細胞培養装置。 - 前記フレームは、2つ以上の開口部を備えている請求項1に記載の細胞培養装置。
- 前記一部は、10%から100%までの範囲内の量である請求項1に記載の細胞培養装置。
- 前記一部は、10%から60%までの範囲内の量である請求項1に記載の細胞培養装置。
- 前記少なくとも1つのガス透過性膜は、細胞付着を改善すべく処理された表面を備えている請求項1に記載の細胞培養装置。
- 細胞は、個別の細胞、組織を形成する細胞およびそれらの組み合わせからなるグループから選択された請求項1に記載の細胞培養装置。
- 前記少なくとも1つのガス透過性膜および前記第2の面は、2.54mmから12.7mmまでの範囲内の距離だけ離隔されている請求項1に記載の細胞培養装置。
- 前記フレームは、前記少なくとも1つのガス透過性膜の平面に対して傾斜している斜面部分を備える請求項1に記載の細胞培養装置。
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