JPH05292990A - 物質の生産方法および該方法に用いる細胞培養器 - Google Patents

物質の生産方法および該方法に用いる細胞培養器

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JPH05292990A
JPH05292990A JP4117972A JP11797292A JPH05292990A JP H05292990 A JPH05292990 A JP H05292990A JP 4117972 A JP4117972 A JP 4117972A JP 11797292 A JP11797292 A JP 11797292A JP H05292990 A JPH05292990 A JP H05292990A
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JP
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cells
space
virus
nutrient
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JP4117972A
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Hidetaka Shimoizu
英貴 下伊豆
Nobuyuki Eto
伸幸 江藤
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Tabai Espec Co Ltd
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  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】少なくとも細胞およびウィルスに対して透過性
を有しない部材により形成された細胞生育空間であっ
て、該部材の一部が栄養物、増殖因子、ガスに対しては
透過性を有する多孔性ポリマーの膜よりなる細胞生育空
間と、該多孔性ポリマーの膜を介して該細胞生育空間に
隣接する栄養物・増殖因子・ガス通過空間を備えた細胞
培養器を用いて、細胞を所望の遺伝子を有するウィルス
に該細胞生育空間内で感染させ、該細胞を培養して所望
の遺伝子を発現させ、発現された所望の物質を回収する
ことよりなる物質の生産方法、および該方法に用いる細
胞培養器。 【効果】ウィルスの細胞培養器外部への拡散がなく、ま
た細胞培養器内でのコンタミネーションの恐れがないの
で、目的とする物質の生産を安全かつ有効に行うことが
可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、物質の生産方法および
該方法に用いる細胞培養器に関する。更に詳しくは、昆
虫細胞等に由来する細胞を所望の遺伝子を挿入したウィ
ルスに感染させると共に、該ウィルスおよび細胞を細胞
培養器外に排出させることなく感染した細胞を培養増殖
し、該培養物中にウィルスより導入された所望の遺伝子
を発現させ、所望の物質を回収することよりなる物質の
生産方法、および該方法に用いる細胞培養器に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】従来、生
体内で微量に生産される酵素、生理活性物質等の所望の
物質を大量生産する方法の1つとして、遺伝子組み換え
技術により所望の物質をコードする遺伝子をウィルスの
DNA内に挿入した後、培養による増殖が容易な細胞に
ウィルスを感染させた後、感染細胞を培養により増殖さ
せて、培養物中に目的とする所望の物質を発現させ、該
物質を回収する方法が知られている。
【0003】即ち、培養細胞として昆虫細胞を選択する
場合、例えば核多角体病ウィルス、昆虫ボックスウィル
ス、虹色ウィルス、濃核病ウィルス、細胞質多角体病ウ
ィルス、麻痺病ウィルス、ノダウィルス等のウィルスの
DNA内に目的とする所望の物質をコードする外来遺伝
子を挿入した後、SIE−MSH−805、BM−N、
Sf−9、Sf−21等の昆虫細胞を前述のウィルスに
感染させ、細胞培養の際に通常用いられるペトリディッ
シュ(シャーレ)、T型フラスコ、スピナーフラスコ、
ローラーボトルまたはタンク型培養器等の細胞培養器内
で感染した細胞を培養することにより、該感染細胞の増
殖が行われている。この際、細胞を培養して生育し増殖
させるためには、水分、無機塩、アミノ酸、グルコース
およびビタミン等の栄養物、増殖因子および酸素や二酸
化炭素等のガスを供給すると共に、培養中の細胞より排
出されたガスや老廃物の除去を適宜行うことが必要とな
る。
【0004】このような栄養物およびガスの供給にあた
っては、培養細胞に対するコンタミネーションの防止、
すなわち培養細胞とは異なる他の細胞やウィルス、細
菌、マイコプラズマ等の微生物が細胞培養器中に侵入す
ることを培養目的である細胞の培養を制御する点から防
止する必要がある。また、培養中の細胞より排出された
ガスや老廃物の除去にあたっては、ウィルスに感染され
た細胞やウィルスがガスや老廃物と共に細胞培養器外に
排出され外部に拡散することにより生産設備および実験
室がウィルスにより汚染されることを防止する必要があ
る。特に生産設備のウィルスによる汚染は、環境汚染の
問題ひいては生産機能の破壊にかかわることから、非常
に大きな問題となっている。
【0005】従来、前記の問題を解決するための対策と
しては、細胞培養器の開閉部分や隙間にエアーフィルタ
ー、メンブレン等を取りつけることによって、これを介
して栄養物およびガスを供給し、またガスや老廃物の除
去を行なっていた。しかしながら、エアーフィルター、
メンブレンの孔の大きさに比して、通常、この手法の培
養に用いるウィルスは非常に微細であり、その構造・性
質上エアーフィルター、メンブレンの孔を通過し得るも
のであったため、生産設備のウィルスによる汚染の恐れ
の問題が常に指摘されており、この問題の解決が当業界
で要請されていたものの未だ有効な解決手段は見出され
ていないのが実情である。
【0006】従って、本発明の目的は、細胞培養器内の
ウィルスが培養器外部に拡散することによる生産設備の
汚染の心配がなく、また培養空間への外部からの微生物
等によるコンタミネーションを防止できる細胞培養器を
用いて細胞を培養し、ウィルスより導入された所望の遺
伝子を発現させ、所望の物質を回収することよりなる物
質の生産方法を提供することにある。本発明の他の目的
は、該方法に用いる細胞培養器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決するために鋭意検討した。その結果、細胞培養
器内に細胞およびウィルスに対して透過性を有しない大
きさの細孔を有する多孔性ポリマーの膜を備えることに
よって、生産設備がウィルスにより汚染されることを有
効に防止できる細胞培養の方法を見いだし、本発明を完
成するに至った。
【0008】即ち、本発明の要旨は、(1)少なくとも
細胞およびウィルスに対して透過性を有しない部材によ
り形成された細胞生育空間であって、該部材の一部が栄
養物、増殖因子、ガスに対しては透過性を有する多孔性
ポリマーの膜よりなる細胞生育空間と、該多孔性ポリマ
ーの膜を介して該細胞生育空間に隣接する栄養物・増殖
因子・ガス通過空間を備えた細胞培養器を用いて、細胞
を所望の遺伝子を有するウィルスに該細胞生育空間内で
感染させ、栄養物・増殖因子・ガス通過空間より供給さ
れる栄養物、増殖因子、ガスにより該細胞を培養して所
望の遺伝子を発現させ、次いで発現された所望の物質を
回収することを特徴とする物質の生産方法、および
(2)開閉調節が可能な開口部を有する細胞培養器であ
って、ウィルスの共存下に細胞を培養する細胞生育空間
と該空間に隣接する栄養物・増殖因子・ガス通過空間を
仕切る多孔性ポリマーの膜を該細胞培養器内に備え、該
栄養物・増殖因子・ガス通過空間に存在する栄養物、増
殖因子、ガスを該細胞生育空間に供給可能とすると共
に、該細胞生育空間内に存在する細胞およびウィルスを
培養中に該細胞生育空間外に排出させないことを可能と
した細胞培養器に関する。
【0009】本発明で用いられる細胞としては、ウィル
スに感染した後、培養による増殖が容易なものであれば
特に限定されるものではなく、例えばSIE−MSH−
805、BM−N、Sf−9およびSf−21等の昆虫
由来の細胞が挙げられる。
【0010】本発明で用いられるウィルスの種類は、こ
れを感染させる細胞の種類にあわせて適宜選択し得るも
のであって、特に限定されるものではないが、外来遺伝
子を容易に挿入できるもの、または既にその遺伝子中に
目的の物質の遺伝子配列をもつものが好ましい。例えば
昆虫由来の細胞を選択する場合であれば、核多角体病ウ
ィルス、昆虫ボックスウィルス、虹色ウィルス、濃核病
ウィルス、細胞質多角体病ウィルス、麻痺病ウィルスお
よびノダウィルス等が好ましいウィルスとして挙げられ
る。
【0011】本発明において所望の遺伝子を発現させる
ための細胞の培養には、従来より使用されている通常の
細胞培養器内に本発明における多孔性ポリマーの膜を設
けて行うことができ、細胞培養器の種類・形状等に何ら
限定されるものではない。即ち、例えば、従来の透析
膜、限外濾過膜、精密濾過膜等の膜を用いることが可能
な細胞培養器や培養袋、またはホローファイバー等の膜
型リアクターであって、栄養物およびガス等の供給のた
めの開閉可能な開口部を持つ容器を本発明における細胞
培養器用の容器として用いることができる。本発明にお
いては、これらの容器内に前記の透析膜、限外濾過膜、
精密濾過膜等の膜の代わりに、本発明における多孔性ポ
リマーの膜を用いて使用することができる。
【0012】本発明でいう多孔性ポリマーの膜とは、栄
養物、増殖因子およびガスに対しては透過性を有する
が、本発明で用いられる細胞およびウィルスに対しては
透過性を有しない大きさの細孔を有する膜であれば特に
制限はなく、感染に用いるウィルスの大きさにより適宜
選択される。即ち、これらのウィルスは通常20nm程
度から数100nm程度の大きさであるため、これらの
大きさを考慮して多孔性ポリマーの孔の大きさを適宜選
択すればよい。例えば、ウィルスの大きさが20nmよ
り少し大きい程度であれば、20nm程度の孔を有する
多孔性ポリマーを使用することができ、この程度の孔径
があれば栄養物、増殖因子およびガスを多孔性ポリマー
の膜に接液させて透過させるのに支障はないため問題な
く使用することができる。このような多孔性ポリマーと
して、例えばポリサルホン、キュプロファン、セルロー
スアセテート等が挙げられる。膜の厚さは通常5μm〜
200μm程度で好ましくは20μm程度である。な
お、前記多孔性ポリマーの膜は単層であっても、また複
数に積層したものであってもよい。
【0013】本発明における多孔性ポリマーの膜は、通
常、細胞生育空間と該空間に隣接する栄養物・増殖因子
・ガス通過空間を仕切る部分に設けられ、栄養物・増殖
因子・ガス通過空間から細胞生育空間へは栄養物、増殖
因子およびガスを該多孔性ポリマーの膜に接液させ、こ
の膜を介して供給することができるが、細胞生育空間か
ら栄養物・増殖因子・ガス通過空間へは培養中に細胞お
よびウィルスが拡散することができないようこれを防止
するという役割を有している。また、細胞生育空間にお
いて培養中の細胞より排出されるガスや老廃物は、多孔
性ポリマーの膜を通過して細胞生育空間から栄養物・増
殖因子・ガス通過空間に排出させるという役割をも有し
ている。
【0014】本発明でいう細胞生育空間とは、ウィルス
の共存下に細胞を培養するための空間をいい、少なくと
も細胞およびウィルスに対して透過性を有しない部材に
より形成された空間であって、該部材の一部が栄養物、
増殖因子およびガスに対しては透過性を有する前記の多
孔性ポリマーの膜よりなるものをいう。また、栄養物・
増殖因子・ガス通過空間とは、栄養物、増殖因子および
ガスを該多孔性ポリマーの膜を介して細胞生育空間内に
供給するための空間をいい、多孔性ポリマーの膜を介し
て細胞生育空間に隣接して設けられる空間をいう。な
お、本発明で供給されるガスは、通常、液状の栄養物中
に溶解した状態で用いられる。
【0015】次に、本発明の細胞培養器について、図面
を用いて説明する。図1は本発明の細胞培養器を配設し
た培養装置の概略構成図である。細胞の培養に必要な栄
養物、増殖因子およびガスは栄養物・増殖因子・ガス供
給部から細胞培養器内に必要に応じて供給される。培養
中の細胞より排出された老廃物および不要なガスは、細
胞培養器外に排出される。培養する細胞および感染に用
いるウィルスは、細胞・ウィルス供給部より細胞培養器
に供給される。
【0016】本発明において用いられる細胞培養器内の
構造は、例えば図2の断面側面概略図(図3はそのA−
A線断面概略図)に示されるものを挙げることができ
る。即ち、多孔性ポリマーの膜としてホローファイバー
を用いたホローファイバーカートリッジを充填した細胞
培養器であり、ウィルスおよび細胞は開閉自在な開口部
27、28から細胞生育空間21に挿入される。栄養物
・増殖因子・ガス通過空間24はホローファイバー23
を介して細胞生育空間21と隣接しており、開閉自在な
開口部25より栄養物、増殖因子およびガスが供給され
る。即ち開口部25は図1で示した栄養物・増殖因子・
ガス供給部と連結しており、必要に応じて栄養物・増殖
因子・ガスが栄養物・増殖因子・ガス供給部から細胞培
養器内の栄養物・増殖因子・ガス通過空間24に供給さ
れる。この例では、細胞生育空間21は一部をホローフ
ァイバー23により、他は細胞培養器の外壁22および
ホローファイバーカートリッジの端部29により囲まれ
ている。細胞培養器の外壁22は、特に制限はないが、
通常ポリカーボネート等の材質よりなり、ウィルスおよ
び細胞に対して透過性を有しないものである。また、細
胞培養器の外壁22の材質を例えば、ウィルスや栄養物
は通過できないが、酸素や二酸化炭素等のガスの通過が
可能な程度の細孔をもつ、有機・無機ポリマー等を用い
ることにより、ガスのみを細胞培養器の容器内外に通過
できるようにしてもよい。また、前記のホローファイバ
ーカートリッジの端部29は通常エポキシ樹脂、ウレタ
ン樹脂等の材質により形成されており、同様にウィルス
および細胞に対して透過性を有しないものである。従っ
て、細胞生育空間21に挿入されたウィルスおよび細胞
は、培養中に細胞生育空間21より外部に排出する恐れ
のない空間である。
【0017】本発明の細胞培養器としては、多孔性ポリ
マーの膜として前記のようなホローファイバーを用いる
代わりに、多孔性の平膜を用いてもよい。図4および図
5にその例として平膜を用いた細胞培養器の断面側面概
略図を示す。即ち、図4は、細胞培養器の上段に細胞生
育空間45を設け、平膜47を介して下段に栄養物・増
殖因子・ガス通過空間48を設けた例である。この場
合、細胞およびウィルスは開閉自在な開口部41または
42より細胞生育空間45内に挿入され、栄養物、増殖
因子およびガスは開閉自在な開口部43または44より
栄養物・増殖因子・ガス通過空間48へ供給される。図
5は、細胞培養器の中間部分に細胞生育空間59を設
け、平膜58を介して上段と下段に栄養物・増殖因子・
ガス通過空間57、60を設けた例である。細胞および
ウィルスは図4の場合と同様に開口部53または54よ
り挿入され、栄養物、増殖因子およびガスは開口部51
または52、開口部55または56より供給される。こ
のように本発明において多孔性ポリマーの膜を配設する
には種々の態様が可能であり、特にこれらに限定される
ものではない。
【0018】このような細胞培養器を用いた本発明の生
産方法について、図2を用いて以下に説明する。まず遺
伝子組み換え等の公知の方法により所望の物質をコード
する遺伝子をウィルスのDNA内に挿入する。次に得ら
れたウィルスを培養する細胞と共に細胞・ウィルス供給
部に供給し、さらに細胞・ウィルス供給部に連結した前
記開口部27または28より細胞培養器中の細胞生育空
間21内に細胞およびウィルスを挿入する。挿入後は開
口部は閉じられ、細胞、ウィルスの外部への排出が防止
される。この場合、細胞のみを先に栄養物、増殖因子、
ガスと共に細胞生育空間21内に挿入し、予め培養増殖
させ、細胞数が所定数に達した時点でウィルスを細胞生
育空間21内に加えて感染させる方法を用いてもよい。
なお、前記細胞培養器は、通常用いられる培養装置の回
路内に予め接続される。このような培養装置としては、
例えば、栄養物タンクやガス交換器等よりなる栄養物・
増殖因子・ガス供給部、送液ポンプ(または循環ポン
プ)、送液チューブ、pHセンサー、DOセンサー、お
よび老廃物の回収用タンク等を有する回路などを使用す
ることができる。培養装置を稼働させて、栄養物・増殖
因子・ガス供給部に連結した細胞培養器の前記開口部2
5より栄養物・増殖因子・ガス通過空間24に栄養物、
増殖因子およびガスが供給され、多孔性ポリマーの膜
(この例ではホローファイバー23)を介して栄養物、
増殖因子およびガス等が細胞生育空間内の細胞に供給さ
れ、これにより細胞の培養増殖が行われる。栄養物・増
殖因子・ガス通過空間への栄養物、増殖因子およびガス
の供給、および細胞生育空間から栄養物・増殖因子・ガ
ス通過空間への不要なガスおよび老廃物の排出・除去等
は、通常の細胞培養の場合と同様に細胞培養器と連結し
た送液チューブ等を通じて行うことができ、培養装置内
のpHセンサー、DOセンサー等により培養状態を管理
しながら細胞の培養増殖が行われる。
【0019】前記の培養により得られる増殖後の細胞
は、ウィルスより導入された遺伝子を発現するので、例
えばクロマトグラフィー、電気泳動等の通常の方法を用
いることにより、所望の物質を容易に回収することがで
きる。
【0020】
【作用】細胞・ウィルス供給部より細胞培養器中の細胞
生育空間に細胞および所望の物質の遺伝子を有するウィ
ルスを挿入するとともに、栄養物・増殖因子・ガス供給
部より細胞培養器中の栄養物・増殖因子・ガス通過空間
に栄養物、増殖因子およびガスを供給する。栄養物、増
殖因子およびガス等が多孔性ポリマーの膜を介して隣接
する細胞生育空間内の細胞に供給されることにより細胞
の培養増殖が行われる。増殖後の細胞は、ウィルスより
導入された遺伝子を発現する。本発明の方法において
は、多孔性ポリマーの膜は細胞、ウィルスの透過性を有
しないものを用いるため、培養中にウィルスが細胞培養
器の外部に拡散することはない。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定
されるものではない。 実施例1 β−ガラクトシダーゼの遺伝子を有するSf−21細胞
の培養によるβ−ガラクトシダーゼの生産 図1〜図3の概略構成図に示される、多孔性ポリマーの
膜としてホローファイバーを用いた細胞培養器を配設し
た培養装置を用いて、前記培養装置の滅菌および洗浄を
行った後、細胞培養器の開口部27および開口部28よ
り、昆虫細胞としてヨトウガ由来のSpodoptera frugipe
rda 細胞21(以下、Sf−21細胞)の4×106
をpH6.4の条件にて細胞培養器内の細胞生育空間に
播種し、同開口部よりIPL−41に血清を10%添加
した培養液を添加し、培養装置を稼働させて前記細胞の
培養を開始した。酸素センサーおよびpHセンサーによ
り、回路内の酸素の消費量およびpH値を指標として前
記細胞の増殖を行ない、酸素消費速度が一定を示した状
態となった時にβ−ガラクトシダーゼの遺伝子を組み込
んだバキュロウィルスを開口部27および開口部28よ
り培養器内の細胞生育空間に挿入し、前記細胞を感染さ
せた。感染78時間後に培養を終了し、β−ガラクトシ
ダーゼの発現を調べた。なお、培養期間は感染後も含め
て550時間であった。培養終了後の最終細胞数は1.
26×109 個細胞であり、うち生細胞は9×108
細胞であった。細胞密度は2×107 個生細胞/mlで
あり、高密度に増殖したことが示された。培養期間中は
酸素消費速度、細胞の増殖(観察)およびpHの値を指
標として細胞培養器の開口部25より水分、無機塩、ア
ミノ酸、グルコースおよびビタミン等よりなる栄養物、
増殖因子およびガスを細胞培養器中の栄養物・増殖因子
・ガス通過空間に供給した。
【0022】培養終了後に、細胞生育空間内の培養液お
よび細胞をとりだして、β−ガラクトシダーゼの発現を
SDS−PAGEにより確認したところ、細胞内および
細胞外それぞれでβ−ガラクトシダーゼのバンドが確認
された。また、全培養細胞がバキュロウィルスに感染し
たか否かを、細胞数測定時にONPGに対する反応で調
べたところ、全細胞で感染が確認された。次に、β−ガ
ラクトシダーゼの活性をミラーらの方法("Experiments
in Molecular Biology" pp352-355(1972) Cold Spring
Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York)
に従って測定を行った。その結果、細胞外で2,20
0,000ユニット、細胞内で3,920,000ユニ
ット、トータルで6,120,000ユニットの活性が
得られた。この結果より、本発明の方法がSf−21細
胞における高密度培養手法の一つとして有用であり、昆
虫細胞等の細胞による物質生産に利用できることが判明
した。なお、バキュロウィルスの細胞培養器外への排出
による汚染は認められなかった。
【0023】
【発明の効果】本発明により、ウィルスが細胞培養器外
部に拡散されて生産設備が汚染されることのない、ま
た、細胞が細胞培養器内でコンタミネーションを起こす
恐れのない細胞培養が可能となり、目的とする物質の生
産を安全かつ有効に行うことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の細胞培養器を配設した培養装置の概略
構成図である。
【図2】本発明の細胞培養器の1例を示す断面側面概略
図である。
【図3】図2に示される本発明の細胞培養器のA−A線
断面概略図である。
【図4】本発明の細胞培養器の1例を示す断面側面概略
図である。
【図5】本発明の細胞培養器の1例を示す断面側面概略
図である。
【符号の説明】
21 細胞生育空間 22 外壁 23 ホローファイバー 24 栄養物・増殖因子・ガス通過空間 29 ホローファイバーカートリッジの端部 45 細胞生育空間 46 外壁 47 平膜 48 栄養物・増殖因子・ガス通過空間 57 栄養物・増殖因子・ガス通過空間 58 平膜 59 細胞生育空間 60 栄養物・増殖因子・ガス通過空間 61 外壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 9/00 7823−4B // C12N 5/10 (C12P 21/00 C12R 1:91)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも細胞およびウィルスに対して
    透過性を有しない部材により形成された細胞生育空間で
    あって、該部材の一部が栄養物、増殖因子、ガスに対し
    ては透過性を有する多孔性ポリマーの膜よりなる細胞生
    育空間と、該多孔性ポリマーの膜を介して該細胞生育空
    間に隣接する栄養物・増殖因子・ガス通過空間を備えた
    細胞培養器を用いて、細胞を所望の遺伝子を有するウィ
    ルスに該細胞生育空間内で感染させ、栄養物・増殖因子
    ・ガス通過空間より供給される栄養物、増殖因子、ガス
    により該細胞を培養して所望の遺伝子を発現させ、次い
    で発現された所望の物質を回収することを特徴とする物
    質の生産方法。
  2. 【請求項2】 多孔性ポリマーの膜がホローファイバー
    である請求項1記載の生産方法。
  3. 【請求項3】 細胞が昆虫細胞である請求項1記載の生
    産方法。
  4. 【請求項4】 開閉調節が可能な開口部を有する細胞培
    養器であって、ウィルスの共存下に細胞を培養する細胞
    生育空間と該空間に隣接する栄養物・増殖因子・ガス通
    過空間を仕切る多孔性ポリマーの膜を該細胞培養器内に
    備え、該栄養物・増殖因子・ガス通過空間に存在する栄
    養物、増殖因子、ガスを該細胞生育空間に供給可能とす
    ると共に、該細胞生育空間内に存在する細胞およびウィ
    ルスを培養中に該細胞生育空間外に排出させないことを
    可能とした細胞培養器。
  5. 【請求項5】 多孔性ポリマーの膜がホローファイバー
    である請求項4記載の細胞培養器。
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Cited By (4)

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