JP2014182303A - 能動型消音システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】消音対象とする特定周波数範囲における第1マイクロホン1の検出信号の強度が所定の消音判定値を超えたときに、消音制御の実行を開始し、消音制御部61による消音制御の実行中において、特定周波数範囲における第2マイクロホン7の検出信号の強度が所定の更新判定値を超えたときに、消音制御の実行を停止してスピーカ4から所定の更新音を発生させた状態で、消音制御部61における制御パラメータbk[n]、ck[n]を更新する制御パラメータ更新処理を実行する。
【選択図】図1
Description
消音制御フィルタを用いて前記第1マイクロホンの検出信号から前記スピーカに対して前記騒音と逆位相の干渉音を前記制御音として発生させる干渉音信号を出力する消音制御を実行する消音制御部を備えた能動型消音システムに関する。
この種の能動型消音システムは、騒音を検出する第1マイクロホンの検出信号に基づいて、デジタルフィルタである消音制御フィルタ(適応フィルタ)を用いて、スピーカが干渉音を発生するための干渉音信号を生成する。また、この消音制御フィルタのフィルタ係数は、騒音やそれと干渉音との合成音を検出する第1マイクロホン及び第2マイクロホンの検出信号に基づいて常時更新されるので、騒音の状況に応じた消音が可能となる。
例えば、周囲に設けられる障害物の大きさや位置の変化、気温の変化、マイクロホンやスピーカの劣化等の環境変化が発生した場合には、消音制御フィルタのフィルタ係数の更新だけでは対応しきれなくなってしまうという問題があった。
騒音発生源が発生する騒音を検出する第1マイクロホンと、制御音を出力するスピーカと、前記騒音と前記制御音との合成音を検出する第2マイクロホンとを備え、
消音制御フィルタを用いて前記第1マイクロホンの検出信号から前記スピーカに対して前記騒音と逆位相の干渉音を前記制御音として発生させる干渉音信号を出力する消音制御を実行する消音制御部を備えた能動型消音システムであって、
その第1特徴構成は、
前記消音制御部が、消音対象とする特定周波数範囲における前記第1マイクロホンの検出信号の強度である第1特定周波数範囲強度が所定の消音判定値を超えたときに、前記消音制御の実行を開始し、
前記消音制御部による消音制御の実行中において、前記特定周波数範囲における前記第2マイクロホンの検出信号の強度である第2特定周波数範囲強度が所定の更新判定値を超えたときに、前記消音制御の実行を停止して前記スピーカから所定の更新音を前記制御音として発生させた状態で、前記消音制御部における制御パラメータを更新する制御パラメータ更新処理を実行する制御パラメータ更新部を備えた点にある。
そして、このように消音制御部が消音制御の実行を開始する場合において、上記制御パラメータ更新部が、騒音と干渉音との合成音において消音対象とした特定周波数範囲の強度を示す上記第2特定周波数範囲強度を用いて、上記消音制御部における制御パラメータを更新する。よって、上記第2特定周波数範囲強度が十分に低いものでない場合には、周囲に設けられる障害物の大きさや位置の変化、気温の変化、マイクロホンやスピーカの劣化等のような上記消音制御では対応しきれない環境変化が発生したと判断して、消音制御に代えて制御パラメータ更新処理を実行する形態で消音制御における制御パラメータを更新し、消音制御において特定周波数範囲の騒音を適切に低下させるようにすることができる。
従って、本発明により、環境変化に適宜対応して十分な消音効果を発揮することができる能動型消音システムを実現することができる。
前記第1特定周波数範囲強度及び前記第2特定周波数範囲強度が、夫々のマイクロホンの検出信号を周波数領域の信号に変換し、当該変換した周波数領域の信号における前記特定周波数範囲のオーバーオール値である点にある。
前記制御パラメータ更新部が、前記第2特定周波数範囲強度が所定の設定遅延時間連続して前記更新判定値を超えたときに、前記制御パラメータ更新処理の実行を開始する点にある。
前記更新判定値が、前記消音制御の実行中における前記第2特定周波数範囲強度の最小値を基準にして当該最小値から所定の設定増加幅分増加した値に設定されている点にある。
前記制御パラメータ更新部が、前記制御パラメータ更新処理において、前記第1特定周波数範囲強度又は前記第2特定周波数範囲強度が所定の設定増加幅分増加するまで前記更新音を漸次増加させる形態で、当該更新音の発生を開始する点にある。
前記消音制御部が、前記第1特定周波数範囲強度が所定の設定遅延時間連続して前記消音判定値を超えたときに、前記消音制御を実行する点にある。
前記消音制御部が、前記第1マイクロホンの検出信号から前記スピーカが干渉音を発生するための干渉音信号を生成する消音制御フィルタと、前記第1マイクロホン及び前記第2マイクロホンの検出信号に基づいて前記消音制御フィルタのフィルタ係数を更新する消音制御フィルタ係数更新部とを備えると共に、前記消音制御において、前記消音制御フィルタのフィルタ係数が所定回数に亘って所定の設定値を超えた場合には、当該消音制御を停止する点にある。
本実施形態に係る能動型消音システム100の全体構成について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、能動型消音システム100は、エンジンの排気管などのような騒音発生源が発生する騒音が伝播する消音対象空間において、騒音発生源に近い側から順に、騒音を検出する第1マイクロホンとしての参照マイクロホン1と、制御音を出力するスピーカ4と、騒音と制御音との合成音を検出する第2マイクロホンとしての誤差マイクロホン7とを配置して備える。
尚、消音対象空間において、参照マイクロホン1から誤差マイクロホン7に至る経路を一次経路P(z)と呼び、スピーカ4から誤差マイクロホン7に至る経路を二次経路C(z)と呼び、スピーカ4から参照マイクロホン1に至る経路を帰還経路B(z)と呼ぶ。ここで、これらの経路に付した符号は、夫々の経路における伝達関数を示すものとする。
参照マイクロホン1の検出信号は、増幅器2で増幅され、A/D変換器3でアナログ信号からデジタル信号に変換された上で、消音制御部61及び制御パラメータ更新部62の帰還経路フィルタ係数更新部12等に入力される。以下、このA/D変換器3から出力されるデジタル信号を、参照マイクロホン1の検出信号と呼ぶ場合がある。
誤差マイクロホン7の検出信号は、増幅器8で増幅され、次にA/D変換器9でアナログ信号からデジタル信号に変換された上で、消音制御部61及び制御パラメータ更新部62の二次経路フィルタ係数更新部13等に入力される。以下、このA/D変換器9から出力されるデジタル信号を、誤差マイクロホン7の検出信号、若しくは誤差信号と呼ぶ場合がある。
以下に、消音制御部61と制御パラメータ更新部62の構成について夫々説明する。
まず、消音制御部61の詳細構成について、図1、図2、図3に基づいて説明する。
消音制御部61は、デジタルフィルタである消音制御フィルタh(z)を用いて参照マイクロホン1の検出信号からスピーカ4に対して騒音と逆位相の干渉音を制御音として発生させる干渉音信号を出力する消音制御を実行する。尚、当該消音制御の詳細については、後に説明する。
消音制御部61には、消音制御フィルタh(z)に加えて、当該消音制御フィルタh(z)のフィルタ係数hk[n]を更新する消音制御フィルタ係数更新部15が設けられており、更に、二次経路C(z)の音響伝達特性を模擬したデジタルフィルタである二次経路フィルタc(z)と、帰還経路B(z)の音響伝達特性を模擬したデジタルフィルタである帰還経路フィルタb(z)とが設けられている。ここで、これらのフィルタに付した符号は、夫々のフィルタにおける伝達関数を示すものとする。
二次経路フィルタc(z)は、参照マイクロホン1の検出信号から帰還経路フィルタb(z)が出力した信号を減算器10により減算した信号が入力され、当該入力信号をフィルタリングして出力する。
尚、x[n]は、参照マイクロホン1の検出信号から帰還経路フィルタb(z)が出力した信号を減算器10により減算して生成された入力信号であり、e[n]は、誤差マイクロホン7で検出される誤差信号である。
また、x’[n]は、参照マイクロホン1の設置位置において騒音発生源が発生する騒音に相当する信号である。即ち、参照マイクロホン1で検出信号は、この信号x’[n]に、スピーカ4の干渉音信号y[n]が帰還経路B(z)を伝達して検出されたB(z)・y[n]とを加えた信号x’[n]+B(z)・y[n]となる。
そして、かかる消音制御では、誤差マイクロホン7の設置位置に到達する騒音が0となった場合に、消音が良好に行われたこととなる。
そして、これら式(1)及び式(2)の関係から、下記の式(3)の関係を導くことができる。
尚、消音制御フィルタh(z)の最適なフィルタ係数hk[n]を求めるためにLMSアルゴリズムは、下記の[数4]で示される。
図3から判明するように、入力信号x[n]にフィルタ係数hk[n]をかけた出力信号y[n]を生成し、その出力信号y[n]と入力信号x[n]との合成信号(具体的には和信号で、この信号が誤差信号e[n]である)が0となるようなhk[n]が生成される。
次に、制御パラメータ更新部62の詳細構成について、図1、図4、図5に基づいて説明する。
制御パラメータ更新部62は、スピーカ4から全ての周波数で同じ強度となる所定のホワイトノイズ(更新音の一例)を制御音として発生させた状態で、参照マイクロホン1及び誤差マイクロホン7の検出信号を参照して、制御パラメータとしての二次経路フィルタc(z)及び帰還経路フィルタb(z)の夫々のフィルタ係数を決定し更新する制御パラメータ更新処理を実行する。
具体的に、制御パラメータ更新部62には、制御部20が生成したホワイトノイズ信号z[n]をスピーカ4に入力して当該スピーカ4からホワイトノイズを発生させた状態で、帰還経路フィルタb(z)のフィルタ係数bk[n]を更新する帰還経路フィルタ係数更新部12、及び、二次経路フィルタc(z)のフィルタ係数ck[n]を更新する夫々の二次経路フィルタ係数更新部13が設けられている。
一方、二次経路フィルタ係数更新部13は、図5に示すように、ホワイトノイズ信号z[n]と誤差マイクロホン7(図1参照)の検出信号とを参照して、二次経路フィルタc(z)の伝達関数c[n]が二次経路C(z)の実際の伝達関数c[n]に略一致するように、二次経路フィルタc(z)のフィルタ係数ck[n]を最適なものに更新する。
次に、消音制御部61による消音制御及び制御パラメータ更新部62による制御パラメータ更新処理の実行タイミングなどに関する能動型消音システムの動作状態について、図6、図7も参照して説明する。
時間領域の信号を周波数領域で表した信号に変換する形態で、参照マイクロホン1及び誤差マイクロホン7の夫々の検出信号に対して高速フーリエ変換を行う夫々のFFT演算部11、14が設けられており、これらFFT演算部11,14が出力した周波数領域の信号が、制御部20に入力される。
一方、誤差マイクロホン7の検出信号を変換するFFT演算部14が出力した周波数領域の信号から求められたオーバーオール値は、特定周波数範囲における誤差マイクロホン7の検出信号の強度に対応するものであると言え、以下、この値を「第2特定周波数範囲強度」と呼ぶ。
また、上記特定周波数範囲は、消音対象としたい周波数の範囲として任意に設定することができ、例えば、騒音発生源がエンジンの場合には、その排気音の状態に合わせて50Hz〜200Hzの周波数範囲を特定周波数範囲として設定することができる。
また、本実施形態では、参照マイクロホン1の検出信号に対して設定する特定周波数範囲と、誤差マイクロホン7の検出信号に対して設定する特定周波数範囲とは、同じ周波数範囲とするが、例えば、後者の周波数範囲を前者の周波数範囲を一部に含んだ広いものするなど、夫々を異なる周波数範囲とすることもできる。
一方、特定周波数範囲の騒音が増加していない場合には無用に干渉音を発生させることが無くなる。
そこで、制御部20は、図7(b)に示すように、この第2特定周波数範囲強度が、所定の設定遅延時間連続して更新判定値を超えたときに、上記消音制御の実行を停止してスピーカ4からホワイトノイズを制御音として発生させた状態で、制御パラメータ更新処理の実行を開始する。この設定遅延時間や更新判定値は、人が通過したなどの一時的な環境変化による制御パラメータ更新処理の無用な実行を回避できる範囲内で、任意に設定することができる。
具体的に、この更新判定値は、図7(b)に示すように、消音制御の実行中における第2特定周波数範囲強度の最小値を基準にして、当該最小値である基準値から所定の設定増加幅分増加した値に設定されている。そして、このように設定することで、第2特定周波数範囲強度が十分に消音された場合の最小値に対して経時的に増加して十分な消音効果が得られなくなったことを適切に把握でき、制御パラメータ更新処理を適切なタイミングで実行することができる。尚、この更新判定値は、上記のような基準値に対する相対値とするのではなく、絶対値として設定しても構わない。
即ち、制御部20は、制御パラメータ更新処理の実行が開始されると、スピーカ4に対してホワイトノイズを発生させるためのホワイトノイズ信号を出力すると共に、そのホワイトノイズ信号の強度を、0から漸次増加させる。
同時に、制御部20は、例えば、特定周波数範囲における誤差マイクロホン7の検出信号の強度を示す第2特定周波数範囲強度を監視し、その第2特定周波数範囲強度が制御パラメータの更新に必要な設定増加幅分まで増加したときに、そのホワイトノイズ信号の強度の増加を終了して、そのときの強度のホワイトノイズ信号を継続して出力する。
4 :スピーカ
7 :誤差マイクロホン(第2マイクロホン)
12 :帰還経路フィルタ係数更新部
13 :二次経路フィルタ係数更新部
15 :消音制御フィルタ係数更新部
20 :制御部
60 :制御装置
61 :消音制御部
62 :制御パラメータ更新部
100 :能動型消音システム
B(z) :帰還経路
C(z) :二次経路
P(z) :一次経路
b(z) :帰還経路フィルタ
bk[n] :フィルタ係数(制御パラメータ)
c(z) :二次経路フィルタ
ck[n] :フィルタ係数(制御パラメータ)
h(z) :消音制御フィルタ
hk[n] :フィルタ係数
Claims (7)
- 騒音発生源が発生する騒音を検出する第1マイクロホンと、制御音を出力するスピーカと、前記騒音と前記制御音との合成音を検出する第2マイクロホンとを備え、
消音制御フィルタを用いて前記第1マイクロホンの検出信号から前記スピーカに対して前記騒音と逆位相の干渉音を前記制御音として発生させる干渉音信号を出力する消音制御を実行する消音制御部を備えた能動型消音システムであって、
前記消音制御部が、消音対象とする特定周波数範囲における前記第1マイクロホンの検出信号の強度である第1特定周波数範囲強度が所定の消音判定値を超えたときに、前記消音制御の実行を開始し、
前記消音制御部による消音制御の実行中において、前記特定周波数範囲における前記第2マイクロホンの検出信号の強度である第2特定周波数範囲強度が所定の更新判定値を超えたときに、前記消音制御の実行を停止して前記スピーカから所定の更新音を前記制御音として発生させた状態で、前記消音制御部における制御パラメータを更新する制御パラメータ更新処理を実行する制御パラメータ更新部を備えた能動型消音システム。 - 前記第1特定周波数範囲強度及び前記第2特定周波数範囲強度が、夫々のマイクロホンの検出信号を周波数領域の信号に変換し、当該変換した周波数領域の信号における前記特定周波数範囲のオーバーオール値である請求項1に記載の能動型消音システム。
- 前記制御パラメータ更新部が、前記第2特定周波数範囲強度が所定の設定遅延時間連続して前記更新判定値を超えたときに、前記制御パラメータ更新処理の実行を開始する請求項1又は2に記載の能動型消音システム。
- 前記更新判定値が、前記消音制御の実行中における前記第2特定周波数範囲強度の最小値を基準にして当該最小値から所定の設定増加幅分増加した値に設定されている請求項3に記載の能動型消音システム。
- 前記制御パラメータ更新部が、前記制御パラメータ更新処理において、前記第1特定周波数範囲強度又は前記第2特定周波数範囲強度が所定の設定増加幅分増加するまで前記更新音を漸次増加させる形態で、当該更新音の発生を開始する請求項1〜4の何れか1項に記載の能動型消音システム。
- 前記消音制御部が、前記第1特定周波数範囲強度が所定の設定遅延時間連続して前記消音判定値を超えたときに、前記消音制御を実行する請求項1〜5の何れか1項に記載の能動型消音システム。
- 前記消音制御部が、前記第1マイクロホンの検出信号から前記スピーカが干渉音を発生するための干渉音信号を生成する消音制御フィルタと、前記第1マイクロホン及び前記第2マイクロホンの検出信号に基づいて前記消音制御フィルタのフィルタ係数を更新する消音制御フィルタ係数更新部とを備えると共に、前記消音制御において、前記消音制御フィルタのフィルタ係数が所定回数に亘って所定の設定値を超えた場合には、当該消音制御を停止する請求項1〜6の何れか1項に記載の能動型消音システム。
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