JP2014181334A - ポリイミド前駆体、ポリイミド前駆体組成物、ポリイミド成形体の製造方法、及び、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を含むポリイミド前駆体。
(一般式(1)において、R1は4価の有機基を表し、R2は2価の有機基を表す。X1及びX2は各々独立に、−CH2CH(OH)R11又は水素原子を表す。X1及びX2が共に水素原子となることはない。R11は、1価の有機基を表す。)
【選択図】なし
Description
前者については、ポリアミック酸のカルボン酸と3級アミンとを反応させて、4級アミン塩とすることで水に可溶化させる技術(例えば、特許文献3乃至特許文献7参照)や、ポリアミック酸の貧溶媒である、水溶性エーテル系化合物、水溶性アルコール化合物及び水、芳香族炭化水素、脂肪族系炭化水素、を組み合わせて可溶化した例(例えば、特許文献8参照)、さらに、低分子量のテトラカルボン酸ジエステルとジアミン化合物との混合物をポリイミド前駆体として、溶媒可溶性を向上させた例(例えば、特許文献9参照)、が挙げられる。
特許文献14乃至特許文献17で開示される発明は、ポリアミック酸のカルボキシル基をビニルエーテル化合物でヘミアセタール化してポリアミック酸溶液の保存安定性向上などを図ったものである。また、ポリアミック酸の溶媒に対する溶解性を変えて、未変性のポリアミック酸では溶解しない溶媒種への溶解を可能とした。
即ち、請求項1に係る発明は、
下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を含むポリイミド前駆体である。
主鎖末端にアミノ基を有する請求項1に記載のポリイミド前駆体である。
請求項1又は請求項2に記載のポリイミド前駆体と、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、メチルエチルケトン、及び、シクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種の低沸点溶剤と、を含むポリイミド前駆体組成物である。
1気圧下における沸点が150℃以上の高沸点溶剤を更に含み、全溶剤に占める前記高沸点溶剤の割合が20質量%以上60質量%以下である請求項3に記載のポリイミド前駆体組成物である。
請求項3又は請求項4に記載のポリイミド前駆体組成物を被塗布体に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記塗布膜を加熱してポリイミド成形体を得る加熱工程と、を有するポリイミド成形体の製造方法である。
請求項5に記載のポリイミド成形体の製造方法を経て得られたポリイミド成形体を、中間転写ベルト、又は、用紙搬送ベルトとして備える画像形成装置である。
本実施形態のポリイミド前駆体は、下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を含む。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量の測定方法としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法を用いる。測定は、NMP溶剤に、塩化リチウム、リン酸を溶解させた溶液を展開溶剤として、スチレン標準物質との相対評価を行う。
また、本実施形態のポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸化合物とジアミン化合物とを溶剤中で反応させた後、又は、反応させながら、生成するポリアミック酸のカルボキシル基をエステル化することで得られたものであってもよい。
なお、本実施形態においてエポキシ化合物の開環化合物は、本実施形態のポリイミド前駆体から脱離した[−CH2CH(OH)R11]構造を有する化合物と推定される。
エステル化を行うことで、高分子鎖間の相互作用力が下がり、ポリアミック酸溶液の粘度は低下する。また、溶液の経時の粘度変化が小さくなり、塗工液としての安定性は向上する。
本実施形態のポリイミド前駆体の構成要素であるポリアミック酸は、その主鎖末端にアミノ基を有することが望ましい。主鎖末端にカルボキシル基又はカルボン酸無水物基が存在するとポリアミック酸の加水分解が促進され、ポリイミド成形体の強度が低下する場合がある。本実施形態においては、ポリアミック酸の主鎖末端の両方がアミノ基であることが望ましい。
ジアミン化合物とテトラカルボン酸とのモル当量の比が、1.0001未満では、分子量末端のアミノ基の効果が小さく、良好な分散性を得ることができないことがある。また、1.2を超える場合、得られるポリアミック酸の分子量が小さく、ポリアミック酸の反応物であるポリイミド樹脂のフィルム強度(引裂き強度、引張り強度、)が低くなってしまう問題が生ずることがある。
ここで、ポリイミド樹脂の前駆体としてのポリアミック酸は、望ましくは、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族系ジアミンとを重合反応して得られたものである。
ポリアミック酸の製造に用いられ得るテトラカルボン酸二無水物としては、特に制限はなく、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物を使用してもよい。
ポリアミック酸の製造に用いられ得るジアミン化合物はとしては、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物であれば特に限定されない。
これらのジアミン化合物は単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
ポリアミック酸の原料となるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との組み合わせとしては、望ましくは、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族系ジアミンとの組み合わせが望ましい。
ポリアミック酸は、溶剤中においてテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重合反応により製造される。ポリアミック酸の重合反応に用いられる溶剤については、特段の規定はないが、原料たるテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を溶解し得る溶剤が使用される。
ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶剤、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶剤、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましい。更には、キシレン、トルエンの如き芳香族炭化水素も使用される。溶剤は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されない。
本実施形態のポリイミド前駆体の合成に使用されるエポキシ化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
一般式(2)のR11としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、−(CH2)2−OH、-(CH2)4-OH、シクロヘキシル基、−CH2-O-Ar、フェニル基などが挙げられる。なお、Arはアリール基を表す。
一般式(2)で表される化合物としては、酸化プロピレンが好適に使用される。
本実施形態のポリイミド前駆体組成物は、本実施形態のポリイミド前駆体と、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、メチルエチルケトン、及び、シクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種の低沸点溶剤(以下、特定の低沸点溶剤と称することがある。)と、を含む。本実施形態のポリイミド前駆体組成物は、必要に応じてその他の添加材を含有してもよい。
本実施形態のポリイミド前駆体組成物に使用する溶剤には、エステル化したポリアミック酸を溶解し得る範囲において、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、メチルエチルケトン、及び、シクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種の低沸点溶剤が使用される。
本実施形態のポリイミド前駆体組成物に含まれる溶剤として特定の低沸点溶剤を用いることで、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)をイミド化する際に、溶剤を揮発させるために必要なエネルギーが低減される。その結果、ポリイミド成形体を製造する際の加工エネルギーが低減される。
また、本実施形態のポリイミド前駆体組成物に含まれる溶剤として特定の低沸点溶剤を用いることで、ポリイミド成形体中における溶剤の残留量が低下し、ポリイミド成形体の強度が向上する。
本実施形態のポリイミド前駆体組成物に含まれる全溶剤のうちの特定の低沸点溶剤の占める割合は、40質量%以上100質量%以下が望ましく、60質量%以上100質量%以下が更に望ましい。
ポリイミド前駆体組成物に含まれる全溶剤に占める高沸点溶剤の割合が10質量%以上60質量%以下の範囲であると、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)をイミド化する際に、エポキシ化合物の開環化合物が塗膜内から揮発しやすく、ポリイミド成形体中にエポキシ化合物の開環化合物の残留量が低減される。その結果、ポリイミド成形体の強度が向上する。
本実施形態のポリイミド前駆体組成物は、ポリアミック酸のカルボキシル基がエポキシ化合物によりエステル化されたポリイミド前駆体を溶剤に溶解したものであってもよい。かかるポリイミド前駆体組成物の製造は、以下のいずれかの工程により行われる。
本実施形態のポリイミド前駆体組成物には、これを用いて製造するポリイミド成形体に導電性や、機械強度などの各種機能付与を目的として各種フィラーなどを添加してもよい。また、ポリイミド前駆体のイミド化反応促進のための触媒や、製膜品質向上のためのレベリング材、などを本実施形態のポリイミド前駆体組成物に添加してもよい。
また、ポリイミド成形体表面の撥水性、離型性改善のためには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4 フッ化エチレン- パーフルオロアルコキシエチレンン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂粉末などを添加してもよい。
イミド化反応促進のための触媒には、有機アミン触媒や、酸無水物などの脱水剤、フェノール誘導体、スルホン酸誘導体、安息香酸誘導体などの酸触媒などを使用してもよい。
ポリイミド成形体の製膜品質向上には、界面活性を添加してもよく、使用する界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、のいずれを用いてもよい。
本実施形態のポリイミド前駆体組成物への添加材として用いられる導電材料について説明する。
導電材料としては、導電性(例えば体積抵抗率107Ω・cm未満、以下同様である)もしくは半導電性(例えば体積抵抗率107Ω・cm以上1013Ω・cm以下、以下同様である)のものが挙げられる。
導電材料として具体的には、例えば、カーボンブラック(例えばケッチエンブラック、アセチレンブラック、表面が酸化処理されたカーボンブラック等)、金属(例えばアルミニウムやニッケル等)、酸化金属化合物(例えば酸化イットリウム、酸化錫等)、イオン導電性物質(例えばチタン酸カリウム、LiCl等)、導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレンなど)等が挙げられる。
導電材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
なお、導電材料がカーボンブラック等の粒子状の場合、その一次粒径が10μm未満、望ましくは1μm以下の粒子であることがよい。
導電材料の含有量は、例えば、全樹脂成分100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下であることがよい。
本実施形態のポリイミド成形体の製造方法は、本実施形態のポリイミド前駆体組成物を被塗布体に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記塗布膜を加熱してポリイミド成形体を得る加熱工程と、を有する。
以下、本実施形態のポリイミド前駆体組成物を用いたフィルム状ポリイミド成形体の形成方法の一例について詳細に説明する。
その後、円筒状金属製金型から表面に形成された円筒状フィルムを取り外し、ポリイミド成形体を得る。
本実施形態のポリイミド成形体の製造方法を経て得られたポリイミド成形体(本実施形態のポリイミド成形体)は、電子写真方式による画像形成装置の中間転写体(中間転写ベルト)、転写ベルト、定着ベルト、用紙搬送ベルトなどに好適に適用され得る。
中間転写ベルトとして使用する場合、その外周面の表面抵抗率は、常用対数値で8(LogΩ/□)以上13(LogΩ/□)以下であることが望ましく、8(LogΩ/□)以上12(LogΩ/□)以下であることがより望ましい。表面抵抗率の常用対数値が13(LogΩ/□)を超えると、二次転写の際に記録媒体と中間転写体とが静電吸着し、記録媒体の剥離ができなくなる場合がある。一方、表面抵抗率の常用対数値が8(LogΩ/□)未満であると、中間転写体に一次転写されたトナー像の保持力が不足し画質の粒状性や像乱れが発生する場合がある。尚、前記体積抵抗率の常用対数値は、導電材料の種類、及び導電材料の添加量により制御される。
ここで、表面抵抗率の測定方法は、後述の実施例中に示すようにして行う。
ここで、体積抵抗率の測定方法は、後述の実施例中に示すようにして行う。
本実施形態の画像形成装置は、本実施形態のポリイミド成形体の製造方法を経て得られたポリイミド成形体を、中間転写ベルト、又は、用紙搬送ベルトとして備える。
本実施形態の画像形成装置としては、例えば、感光体ドラム等の像保持体上に保持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像装置を備えた複数の像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置があげられる。
図1に示す画像形成装置は、像保持体としての感光体ドラム101、中間転写体としての中間転写ベルト102、転写電極であるバイアスローラ103、記録媒体である用紙を供給する記録媒体収納部104、BK(ブラック)トナーによる現像装置105、Y(イエロー)トナーによる現像装置106、M(マゼンタ)トナーによる現像装置107、C(シアン)トナーによる現像装置108、ベルトクリーナー109、剥離爪113、ベルト支持ロール121、123及び124、背面ローラ122、導電性ローラ125、電極ローラ126、クリーニングブレード131、用紙束141、用紙送りローラ142、並びに搬送ローラ143を備えてなり、中間転写ベルト102として本実施形態のポリイミド成形体が用いられる。
以上のようにして、画像が形成される。
図2に示す画像形成装置は、ユニットY、M、C、BKと、用紙搬送ベルト206と、転写ロール(転写手段)207Y、207M、207C、207BKと、用紙搬送ロール208と、定着器(定着手段)209とを備えている。用紙搬送ベルト206として、本実施形態のポリイミド成形体が用いられる。
以上のようにして記録紙上に所望の画像が形成される。
図3は、中間転写ベルト86を用いたタンデム式の画像形成装置の要部部分を説明する模試図である。具体的には、図3において感光体(像保持体)79表面を帯電する帯電ローラ83(帯電装置)、感光体79表面を露光し静電潜像を形成するレーザー発生装置78(露光装置)、感光体79表面に形成された潜像を、現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像器85(現像装置)、現像したトナー像を中間転写ベルト86に転写する転写ロール80、感光体に付着したトナーやゴミ等を除去する感光体クリ−ナー84 (クリーニング装置)、記録用紙(記録媒体)上のトナー像を定着する定着ローラ72等が備えられる。感光体79と転写ロール80は、図3のように感光体直下からずれた位置に配置していても、感光体直下に配置(図示せず)していてもよい。そして、この中間転写ベルト86として本実施形態のポリイミド成形体を備える。
−ポリイミド前駆体組成物(A−1)の作製−
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコ中で、乾燥した窒素ガスを通じながら、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと表記)450gを注入した。液温度を30℃まで加熱した後に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAと表記:分子量200.24)41.23g(205.92ミリモル)を添加して溶解させた。溶解の確認後、溶液温度を30℃に保ちながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAと表記:分子量294.22)58.77g(199.75ミリモル)を添加して、攪拌・溶解した。テトラカルボン酸二無水物の溶解を確認後、さらに、30℃に保持しながら、攪拌を続けて、ポリアミック酸の重合反応を行った。24時間反応を行った後、E型粘度計(E型回転粘度計TV−20H(東機産業株式会社))、測定プローブとしてコーンプレート型ローター3°×R14を用いて22℃におけるポリアミック酸溶液の粘度を測定したところ、500mPasであった。
ポリアミック酸溶液をメタノール中に加え、ポリアミック酸樹脂を析出させた。析出したポリアミック酸樹脂を30℃/10mmHg(1.3kPa)/24時間の条件で乾燥させた。
−ポリイミド前駆体組成物(A−2)の作製−
次いで、乾燥した導電材料としての酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH4.0、揮発分:14.0%:以下「CB」と略する場合もある))15.0gをポリイミド前駆体組成物(A−1)511.75g(ポリアミック酸50部に対してCBが30部)に添加して、ボールミルにて6時間で処理して、カーボンブラックの分散を行い、本実施形態のポリイミド前駆体組成物(A−2)を得た。
外径90mm、長さ450mmのステンレス製円筒状金型の外表面にシリコーン系離型剤を塗布・乾燥処理を行った(離型剤処理)。離型剤処置を施した円筒状金型を周方向に10rpmの速度で回転させながら、円筒状金型端部より塗工液であるポリイミド前駆体組成物を口径1.0mmのディスペンサーより吐出しながら、金型上に設置した金属ブレードにて予め定められた圧力で押し付けながら塗布を行った。ディスペンサーユニットを円筒状金型の軸方向に100mm/分の速度で移動させることによって円筒状金型上に螺旋状に塗工液を塗布した。塗布後、ブレードを解除して円筒状金型を2分間回転し続けレベリングを行った。
得られた円筒状ポリイミド成形体について、以下の観点から目視で製膜性状を評価した。
−ボイド−
円筒状ポリイミド成形体表面のボイド痕の有無を評価した。
◎: ボイド痕の発生が見られない。
○: 成形体表面に1個以上10個未満のボイド痕が確認できる。
△: 成形体表面に10個以上の50未満のボイド痕が点在する。
×: 成形体表面に無数のボイド痕が一様に発生している。
円筒状ポリイミド成形体表面に発生する表面ムラ、模様の有無を評価した。
◎: 表面ムラ、模様の発生が見られない。
○: 成形体表面の一部に表面ムラ、模様が僅かに確認できる。
(成形体表面面積の10%未満)
△: 成形体表面の一部に表面ムラ、模様が確認できる。
(成形体表面面積の10%以上)
×: 成形体表面に表面ムラ、模様が一様に発生している。
作製したポリイミド成形体より、ダンベル3号を用いて試料片を打ち抜き成形した。試料片を引張り試験機に設置し、下記条件で、試料片が引張り破断する印加荷重、破断伸びを測定した。マイクロメーターを用いて測定された膜厚値を基に、破断強度を算出した。
試料長さ : 30mm
試料幅 : 5mm
引張り速度 :10mm/min
円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「URプローブ」)を用い、JIS K6911に従って測定した。表面抵抗率の測定方法を、図を用いて説明する。図4は、円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。図4に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に試料片Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、試料片Tの転写面の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出した。ここで、下記式中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
なお、表面抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出した。
体積抵抗率の測定は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ)を用い、JIS K6911に従って測定する。前記体積抵抗率の測定方法を、図を用いて説明する。測定は表面抵抗率と同一の装置で測定する。但し、図4に示す円形電極において、表面抵抗率測定時の板状絶縁体Bに代えて第二電圧印加電極B’を備える。そして、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと第二電圧印加電極B’との間に試料片Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印加した際に流れる電流I(A)を測定し、下記式により、試料片Tの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出した。ここで、下記式中、tは、試料片Tの厚さを示す。
式ρv=19.6×(V/I)×t
なお、体積抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出した。
また、上記式に示される19.6は、抵抗率に変換するための電極係数であり、円柱状電極部の外径d(mm)、試料の厚さt(cm)より、πd2/4tとして算出される。また、試料片Tの厚さは、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR−1500Eを使用し測定した。
富士ゼロックス社製ApeosPort−III C4400改造機(プロセス速度:250mm/sec、一次転写電流:35μAに改造)に、得られた円筒状ポリイミド成形体を中間転写ベルトとして装着し、低温低湿(10℃15%RH)で、Cyan、Magentaの50%ハーフトーンを富士ゼロックス社製C2紙に5000枚出力し、5000枚目の出力画像の画質について濃度ムラ及び斑点欠陥を目視で評価した。なお、各評価基準は以下の通りである。
◎:濃度ムラが確認されない。
○:濃度ムラが僅かに確認できたが、問題のないレベルである。
×:濃度ムラがはっきりと確認できた。
◎:斑点欠陥が確認されない。
○:斑点欠陥が僅かに確認できたが、問題のないレベルである。
×:斑点欠陥がはっきりと確認できた。
−ポリイミド前駆体組成物(B−1)乃至(D−2)の作製−
実施例1及び実施例2において、ポリイミド前駆体組成物の溶剤の種類を表1に示すように変更した以外は実施例1及び実施例2と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(B−1)乃至(D−2)を作製した。実施例1及び実施例2に倣ってポリイミド成形体を作製し、その特性を評価した。結果を表1に示す。
−ポリイミド前駆体組成物(E−1)乃至(E−2)の作製−
実施例1でのODA量を40.00g(199.75ミリモル)、BPDA量を60.59g(205.92ミリモル)とした以外は実施例1と同様にして、酸無水物基末端またはカルボキシル基末端のポリアミック酸を得た。得られたポリアミック酸を析出させた後、実施例1及び実施例2と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(E−1)乃至(E−2)を作製した。実施例1及び実施例2に倣ってポリイミド成形体を作製し、その特性を評価した。結果を表1に示す。
−ポリイミド前駆体組成物(F−1)乃至(F−2)の作製−
実施例1のPrOx添加量を5.88g(101.12ミリモル:封鎖率0.50)、溶剤組成をMEK/NMP=50/50とした以外は、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体組成物(F−1)を得た。粘度を測定したところ、500mPasであった。
得られたポリイミド前駆体組成物(F−1)を用いた以外は実施例2と同様にしてポリイミド前駆体組成物(F−2)を作製した。実施例1及び実施例2に倣ってポリイミド成形体を作製し、その特性を評価した。結果を表1に示す。
−ポリイミド前駆体組成物(X−1)の作製−
PrOxを添加しない以外は実施例1と同様に処理を行った。NMP中で重合し、メタノールにて析出させたポリアミック酸については、MEK/BL混合溶剤中に溶解させることはできなかった。そのため、製膜性等の評価を実施することができなかった。
−ポリイミド前駆体組成物(Y−1)の作製−
実施例1で作製したポリアミック酸NMP溶液にさらにNMPを添加して、固形分10%のポリイミド前駆体組成物(Y−1)を作製した。実施例1に倣ってポリイミド成形体を作製し、その特性を評価した。結果を表1に示す。
−ポリイミド前駆体組成物(Y−2)の作製−
ポリイミド前駆体組成物(Y−1)を用い、実施例2に倣ってポリイミド前駆体組成物(Y−2)を作製した。ポリイミド前駆体組成物(Y−2)を用い実施例2に倣ってポリイミド成形体を作製し、その特性を評価した。結果を表1に示す。
封鎖率:(添加したエポキシ化合物当量)/(ポリアミック酸中カルボキシル基当量)。
固形分率:ポリイミド前駆体の固形分率。
略号:MEK(メチルエチルケトン)、THF(テトラヒドロフラン)、CHN(シクロヘキサノン)、DOX(1,4-ジオキサン)、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)、BL(γ-ブチロラクトン)、PrOx(酸化プロピレン)。
206 用紙搬送ベルト
Claims (6)
- 下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を含むポリイミド前駆体。
(一般式(1)において、R1は4価の有機基を表し、R2は2価の有機基を表す。X1及びX2は各々独立に、−CH2CH(OH)R11又は水素原子を表す。X1及びX2が共に水素原子となることはない。R11は、1価の有機基を表す。X1及びX2が共に−CH2CH(OH)R11である場合、R11は同じ1価の有機基であってもよいし、互いに異なる1価の有機基であってもよい。) - 主鎖末端にアミノ基を有する請求項1に記載のポリイミド前駆体。
- 請求項1又は請求項2に記載のポリイミド前駆体と、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、メチルエチルケトン、及び、シクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種の低沸点溶剤と、を含むポリイミド前駆体組成物。
- 1気圧下における沸点が150℃以上の高沸点溶剤を更に含み、全溶剤に占める前記高沸点溶剤の割合が20質量%以上60質量%以下である請求項3に記載のポリイミド前駆体組成物。
- 請求項3又は請求項4に記載のポリイミド前駆体組成物を被塗布体に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記塗布膜を加熱してポリイミド成形体を得る加熱工程と、を有するポリイミド成形体の製造方法。
- 請求項5に記載のポリイミド成形体の製造方法を経て得られたポリイミド成形体を、中間転写ベルト、又は、用紙搬送ベルトとして備える画像形成装置。
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