JP2014181334A - ポリイミド前駆体、ポリイミド前駆体組成物、ポリイミド成形体の製造方法、及び、画像形成装置 - Google Patents

ポリイミド前駆体、ポリイミド前駆体組成物、ポリイミド成形体の製造方法、及び、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリイミド成形体を製造する際の加工エネルギーが低減されるポリイミド前駆体の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を含むポリイミド前駆体。

(一般式(1)において、Rは4価の有機基を表し、Rは2価の有機基を表す。X及びXは各々独立に、−CHCH(OH)R11又は水素原子を表す。X及びXが共に水素原子となることはない。R11は、1価の有機基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド前駆体、ポリイミド前駆体組成物、ポリイミド成形体の製造方法、及び、画像形成装置に関する。
ポリイミド樹脂は、高耐久性、耐熱性に優れた特性を有する材料であり、TABフィルムなどの電子材料用途に広く使用されている。ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸を、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMP)などの極性溶媒に溶解したワニスを基材上に塗布して、熱処理によって、乾燥・イミド化することでポリイミド成形体が製造される(例えば、特許文献1参照)。
かかるポリアミック酸を溶解する溶剤としては、NMPの他、ジメチルアセトアミド(DMAc),ジメチルホルムアミド(DMF),ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、などが挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。
従来から、ポリアミック酸の溶解性を向上させるために、ポリイミド前駆体たるポリアミック酸に分子修飾を施し上述した溶媒以外に溶解して用いる試みや、ポリイミド樹脂を溶媒に可溶化させて成形時に溶媒を留去するのみで成形体を得る試みがなされてきた。後者は一般に可溶性ポリイミドと総称される材料で、ポリイミド分子骨格に対称性が低く/会合性の低い、脂肪族環状構造を導入することで、溶媒可溶化を行った(例えば、特許文献2参照)。
前者については、ポリアミック酸のカルボン酸と3級アミンとを反応させて、4級アミン塩とすることで水に可溶化させる技術(例えば、特許文献3乃至特許文献7参照)や、ポリアミック酸の貧溶媒である、水溶性エーテル系化合物、水溶性アルコール化合物及び水、芳香族炭化水素、脂肪族系炭化水素、を組み合わせて可溶化した例(例えば、特許文献8参照)、さらに、低分子量のテトラカルボン酸ジエステルとジアミン化合物との混合物をポリイミド前駆体として、溶媒可溶性を向上させた例(例えば、特許文献9参照)、が挙げられる。
一方、その他のポリアミック酸のカルボン酸変性による、溶媒親和性の改善技術では、レジスト材料用途としてポリアミック酸のカルボン酸をアセタールによってエステル化変性して、アルカリ水溶液への溶解性を制御した技術(例えば、特許文献10参照)、ヘミアセタール化変性したポリアミック酸を用いることで、溶解マージンをコントロールした感光性樹脂組成物(例えば、特許文献11乃至特許文献13参照)、ヘミアセタール化変性したポリアミック酸を含むポリイミド前駆体(例えば、特許文献14乃至特許文献17参照)、が開示されている。
特許文献14乃至特許文献17で開示される発明は、ポリアミック酸のカルボキシル基をビニルエーテル化合物でヘミアセタール化してポリアミック酸溶液の保存安定性向上などを図ったものである。また、ポリアミック酸の溶媒に対する溶解性を変えて、未変性のポリアミック酸では溶解しない溶媒種への溶解を可能とした。
米国特許第4238528号明細書 特開昭58−162659号公報 特公昭47−19710号公報 特開昭61−168669号公報 特開平08−120077号公報 特開平08−015519号公報 特開2003−13351号公報 特開平06−001915号公報 特開2000−319391号公報 特開2000−212216号公報 特開2009−244479号公報 特開2010−85430号公報 特開2009−265637号公報 特開2009−242539号公報 特開2009−242542号公報 特開2010−83920号公報 特開2009−263646号公報 Journal of Polymer Science. Macromolecular Reviews, Vol.11, P164 (1976)
本発明は、ポリイミド成形体を製造する際の加工エネルギーが低減されるポリイミド前駆体を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
即ち、請求項1に係る発明は、
下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を含むポリイミド前駆体である。
(一般式(1)において、Rは4価の有機基を表し、Rは2価の有機基を表す。X及びXは各々独立に、−CHCH(OH)R11又は水素原子を表す。X及びXが共に水素原子となることはない。R11は、1価の有機基を表す。X及びXが共に−CHCH(OH)R11である場合、R11は同じ1価の有機基であってもよいし、互いに異なる1価の有機基であってもよい。)
請求項2に係る発明は、
主鎖末端にアミノ基を有する請求項1に記載のポリイミド前駆体である。
請求項3に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載のポリイミド前駆体と、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、メチルエチルケトン、及び、シクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種の低沸点溶剤と、を含むポリイミド前駆体組成物である。
請求項4に係る発明は、
1気圧下における沸点が150℃以上の高沸点溶剤を更に含み、全溶剤に占める前記高沸点溶剤の割合が20質量%以上60質量%以下である請求項3に記載のポリイミド前駆体組成物である。
請求項5に係る発明は、
請求項3又は請求項4に記載のポリイミド前駆体組成物を被塗布体に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記塗布膜を加熱してポリイミド成形体を得る加熱工程と、を有するポリイミド成形体の製造方法である。
請求項6に係る発明は、
請求項5に記載のポリイミド成形体の製造方法を経て得られたポリイミド成形体を、中間転写ベルト、又は、用紙搬送ベルトとして備える画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、一般式(1)で表わされる繰り返し単位を含まない場合に比較して、ポリイミド成形体を製造する際の加工エネルギーが低減されるポリイミド前駆体が提供される。
請求項2に係る発明によれば、主鎖末端にアミノ基を有さない場合に比較して、溶剤中に存在する状態のポリイミド前駆体の安定性が向上する。また、得られるポリイミド成形体の強度が向上できる。
請求項3に係る発明によれば、ポリイミド前駆体が一般式(1)で表わされる繰り返し単位を含まないか、又は、溶剤としてテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、メチルエチルケトン、及び、シクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種が用いられない場合に比較して、ポリイミド成形体を製造する際の加工エネルギーが低減されるポリイミド前駆体組成物が提供される。
請求項4に係る発明によれば、1気圧下における沸点が150℃以上の高沸点溶剤の全溶剤に占める割合が20質量%以上60質量%以下の範囲外である場合に比較して、ポリイミド成形体の強度が向上する。
請求項5に係る発明によれば、溶剤としてテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、メチルエチルケトン、及び、シクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種が用いられない場合に比較して、被塗布体の寿命が延びる。
請求項6に係る発明によれば、ポリイミド前駆体が一般式(1)で表わされる繰り返し単位を含まないか、又は、溶剤としてテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、メチルエチルケトン、及び、シクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種が用いられない場合に比較して、ポリイミド成形体を製造する際の加工エネルギーが低減されるポリイミド前駆体組成物を用いて製造されたポリイミド成形体を中間転写ベルト、又は、用紙搬送ベルトとして備える画像形成装置が提供される。
本実施形態のポリイミド成形体を中間転写ベルトとして備えた画像形成装置の概略図である。 本実施形態のポリイミド成形体を用紙搬送ベルトとして備えた画像形成装置の概略図である。 本実施形態のポリイミド成形体を中間転写ベルトとして備えた画像形成装置の概略図である。 円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。
以下、本発明のポリイミド前駆体、ポリイミド前駆体組成物、ポリイミド成形体の製造方法、及び、画像形成装置の実施形態について詳細に説明する。
<ポリイミド前駆体>
本実施形態のポリイミド前駆体は、下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を含む。
一般式(1)において、Rは4価の有機基を表し、Rは2価の有機基を表す。X及びXは各々独立に、−CHCH(OH)R11又は水素原子を表す。X及びXが共に水素原子となることはない。R11は、1価の有機基を表す。X及びXが共に−CHCH(OH)R11である場合、R11は同じ1価の有機基であってもよいし、互いに異なる1価の有機基であってもよい。
本実施形態のポリイミド前駆体のうちの一般式(1)で表される繰り返し単位は、ポリアミック酸のカルボキシル基がエステル化された構造[−CO−CHCH(OH)R11]を含む。ポリアミック酸の側鎖に[−CO−CHCH(OH)R11]構造を導入することでポリイミド前駆体の凝集が阻害され、溶剤への溶解性が向上するものと推察される。
一般式(1)で表される繰り返し単位の占める割合は、ポリアミック酸に含まれる全繰り返し単位中50モル%以上100モル%以下の範囲であることが望ましく、80モル%以上100モル%以下であることが更に望ましい。一般式(1)で表される繰り返し単位の占める割合が50モル%未満の場合、ポリイミド前駆体の凝集力が高く、ポリイミド前駆体がテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、メチルエチルケトン、及び、シクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種の低沸点溶剤へ溶解しなくなることがある。
本実施形態のポリイミド前駆体の重量平均分子量Mwは、1,000以上70,000以下であることが望ましく、10,000以上50,000以下であることがより望ましい。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量の測定方法としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法を用いる。測定は、NMP溶剤に、塩化リチウム、リン酸を溶解させた溶液を展開溶剤として、スチレン標準物質との相対評価を行う。
本実施形態のポリイミド前駆体は、ポリアミック酸中のカルボキシル基が単官能のエポキシ化合物によりエステル化変性されたものであってもよい。
また、本実施形態のポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸化合物とジアミン化合物とを溶剤中で反応させた後、又は、反応させながら、生成するポリアミック酸のカルボキシル基をエステル化することで得られたものであってもよい。
本実施形態のポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを溶液中で反応させてポリアミック酸を生成させた後、ポリアミック酸のカルボキシル基にエポキシ化合物を作用させて得てもよい。ポリアミック酸のカルボキシル基にエポキシ化合物を作用させる際の反応温度は、0℃以上80℃以下であることが望ましい。反応温度がこの範囲より低いと、カルボキシル基とエポキシ化合物との反応が進行しないと推察される。一方、反応温度がこの範囲より高いと、エポキシ化合物の開環化合物が脱離してポリアミック酸のイミド化反応が進行してしまい、ゲル化を引き起こすことがあると推察される。反応温度は、更に望ましくは10℃以上60℃以下、特に望ましくは20℃以上55℃以下の範囲である。反応時間は、反応温度により1時間以上24時間以下の範囲で行われる。
なお、本実施形態においてエポキシ化合物の開環化合物は、本実施形態のポリイミド前駆体から脱離した[−CHCH(OH)R11]構造を有する化合物と推定される。
ポリアミック酸のカルボキシル基にエポキシ化合物を作用させる反応には、酸または塩基などの触媒を用いる必要はなく室温(25℃)で定量的に反応する。カルボキシル基にエポキシ化合物を作用させることで得られるエステルは、水酸基を含む構造となる。
エステル化を行うことで、高分子鎖間の相互作用力が下がり、ポリアミック酸溶液の粘度は低下する。また、溶液の経時の粘度変化が小さくなり、塗工液としての安定性は向上する。
エポキシ化合物によりエステル化したポリアミック酸は、60℃程度の加熱では、エステル結合が分解解離することはほとんどなく安定である。エポキシ化合物によりエステル化したポリアミック酸を80℃以上の温度で処理することで、エステル結合が分解解離してポリアミック酸とエポキシ化合物の開環化合物へと変化し、その後にイミド化反応を起こして、ポリイミドへと転化する。脱離したエポキシ化合物の開環化合物は、ポリイミドを成形する際の熱処理温度よりも沸点が低い場合、揮発する。沸点が熱処理温度より高い場合、ポリイミド成形体中に残留して成形体を可塑化するため好ましくない。かかる観点より、本実施形態に使用されるエポキシ化合物としては、その開環化合物が製造するポリイミド成形体の加工温度より低い沸点のエポキシ化合物が使用される。
(ポリアミック酸)
本実施形態のポリイミド前駆体の構成要素であるポリアミック酸は、その主鎖末端にアミノ基を有することが望ましい。主鎖末端にカルボキシル基又はカルボン酸無水物基が存在するとポリアミック酸の加水分解が促進され、ポリイミド成形体の強度が低下する場合がある。本実施形態においては、ポリアミック酸の主鎖末端の両方がアミノ基であることが望ましい。
ポリイミド樹脂の前駆体となるポリアミック酸の主鎖両末端にアミノ基を持たせるには、例えば、重合反応の際に使用するジアミン化合物のモル当量を、テトラカルボン酸のモル当量より過剰に添加することが望ましい。ジアミン化合物とテトラカルボン酸とのモル当量の比は、テトラカルボン酸のモル当量を1に対して、1.0001から1.2の範囲とすることが望ましい。さらに望ましくは、1.001以上1.2以下の範囲とする。
ジアミン化合物とテトラカルボン酸とのモル当量の比が、1.0001未満では、分子量末端のアミノ基の効果が小さく、良好な分散性を得ることができないことがある。また、1.2を超える場合、得られるポリアミック酸の分子量が小さく、ポリアミック酸の反応物であるポリイミド樹脂のフィルム強度(引裂き強度、引張り強度、)が低くなってしまう問題が生ずることがある。
ここで、ポリイミド樹脂の前駆体としてのポリアミック酸は、望ましくは、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族系ジアミンとを重合反応して得られたものである。
(テトラカルボン酸二無水物)
ポリアミック酸の製造に用いられ得るテトラカルボン酸二無水物としては、特に制限はなく、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物を使用してもよい。
芳香族系テトラカルボン酸の具体例としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系テトラカルボン酸二無水物が好ましく、さらに、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、が好適に使用される。
これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
一般式(1)においてRで表される4価の有機基としては、上記テトラカルボン酸二無水物から4個のカルボニル基を除いた残基が挙げられる。
(ジアミン化合物)
ポリアミック酸の製造に用いられ得るジアミン化合物はとしては、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物であれば特に限定されない。
例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等が挙げられる。
ジアミン化合物としては、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、が好ましい。
これらのジアミン化合物は単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
一般式(1)においてRで表される2価の有機基としては、上記ジアミン化合物から2個のアミノ基を除いた残基が挙げられる。
−テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との組み合わせ−
ポリアミック酸の原料となるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との組み合わせとしては、望ましくは、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族系ジアミンとの組み合わせが望ましい。
(ポリアミック酸重合反応に用いる溶剤)
ポリアミック酸は、溶剤中においてテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重合反応により製造される。ポリアミック酸の重合反応に用いられる溶剤については、特段の規定はないが、原料たるテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を溶解し得る溶剤が使用される。
具体的には、以下に示す溶剤を用いてもよい。
ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶剤、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶剤、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましい。更には、キシレン、トルエンの如き芳香族炭化水素も使用される。溶剤は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されない。
(エポキシ化合物)
本実施形態のポリイミド前駆体の合成に使用されるエポキシ化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
一般式(2)において、R11は、1価の有機基を表す。一般式(2)のR11は一般式(1)のR11と同義である。
一般式(2)のR11としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、−(CH−OH、-(CH-OH、シクロヘキシル基、−CH-O-Ar、フェニル基などが挙げられる。なお、Arはアリール基を表す。
一般式(2)で表される化合物としては、酸化プロピレンが好適に使用される。
<ポリイミド前駆体組成物>
本実施形態のポリイミド前駆体組成物は、本実施形態のポリイミド前駆体と、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、メチルエチルケトン、及び、シクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種の低沸点溶剤(以下、特定の低沸点溶剤と称することがある。)と、を含む。本実施形態のポリイミド前駆体組成物は、必要に応じてその他の添加材を含有してもよい。
(溶剤)
本実施形態のポリイミド前駆体組成物に使用する溶剤には、エステル化したポリアミック酸を溶解し得る範囲において、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、メチルエチルケトン、及び、シクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種の低沸点溶剤が使用される。
本実施形態のポリイミド前駆体組成物に含まれる溶剤として特定の低沸点溶剤を用いることで、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)をイミド化する際に、溶剤を揮発させるために必要なエネルギーが低減される。その結果、ポリイミド成形体を製造する際の加工エネルギーが低減される。
また、本実施形態のポリイミド前駆体組成物に含まれる溶剤として特定の低沸点溶剤を用いることで、ポリイミド成形体中における溶剤の残留量が低下し、ポリイミド成形体の強度が向上する。
本実施形態においては、特定の低沸点溶剤を含む限り他の溶剤を併用してもよい。併用する他の溶剤については、特に制限はなく、水、含窒素系、含硫黄系、アルコール系、ケトン系、エーテル系、エステル系(ラクトン系)、炭化水素系溶剤が挙げられる。
本実施形態のポリイミド前駆体組成物に含まれる全溶剤のうちの特定の低沸点溶剤の占める割合は、40質量%以上100質量%以下が望ましく、60質量%以上100質量%以下が更に望ましい。
含窒素系溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、N−ビニルピロリドン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)などが挙げられる。
含硫黄系溶剤としては、ジメチルスルフォキシド(DMSO)などが挙げられる。
アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ジエチレングリコールなどが挙げられる。
ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、DIBK(ジイソブチルケトン)、シクロヘキサノン、が好適に用いられる。
エーテル系溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、などが例示される。
エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、など、ラクトン系溶剤としては、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、などが例示される。
炭化水素系溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ノルマルヘプタン、イソオクタン、ノルマルデカン、などが例示される。
本実施形態においては、ポリイミド前駆体組成物に使用する溶剤として、特定の低沸点溶剤と共に、1気圧下における沸点が150℃以上の高沸点溶剤を更に含んでもよい。ポリイミド前駆体組成物に含まれる全溶剤に占める高沸点溶剤の割合は、10質量%以上60質量%以下が望ましく、20質量%以上50質量%以下が更に望ましく、30質量%以上40質量%以下が特に望ましい。
ポリイミド前駆体組成物に含まれる全溶剤に占める高沸点溶剤の割合が10質量%以上60質量%以下の範囲であると、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)をイミド化する際に、エポキシ化合物の開環化合物が塗膜内から揮発しやすく、ポリイミド成形体中にエポキシ化合物の開環化合物の残留量が低減される。その結果、ポリイミド成形体の強度が向上する。
(ポリイミド前駆体組成物の製造方法)
本実施形態のポリイミド前駆体組成物は、ポリアミック酸のカルボキシル基がエポキシ化合物によりエステル化されたポリイミド前駆体を溶剤に溶解したものであってもよい。かかるポリイミド前駆体組成物の製造は、以下のいずれかの工程により行われる。
[工程1] テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物とを、NMPなどの溶剤中で反応させポリアミック酸を生成した後、エポキシ化合物を作用させてカルボキシル基がエステル化されたポリイミド前駆体を生成する。ポリイミド前駆体を反応溶液中より再沈殿処理などによって取り出した後、特定の低沸点溶剤へ溶解させて、ポリイミド前駆体組成物を得る。
[工程2] テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物とを、NMPなどの溶剤中で反応させポリアミック酸を生成した後、再沈殿処理などによって反応溶液中より取り出す。ポリアミック酸を、上記特定の低沸点溶剤に加え、さらにエポキシ化合物を作用させ、カルボキシル基がエステル化したポリイミド前駆体を生成・溶解して、ポリイミド前駆体組成物を得る。
[工程3] テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物とを、特定の低沸点溶剤中で反応させポリアミック酸を生成した後、エポキシ化合物を作用させて、カルボキシル基がエステル化したポリイミド前駆体を生成させて、ポリイミド前駆体組成物を得る。
上記工程では、工程3がポリアミック酸または、ポリイミド前駆体を取り出す作業を行う必要がなく、好適である。使用するポリアミック酸または、ポリイミド前駆体の、溶剤への溶解性、作業性を勘案して上記工程が選択される。
(ポリイミド前駆体組成物への添加材)
本実施形態のポリイミド前駆体組成物には、これを用いて製造するポリイミド成形体に導電性や、機械強度などの各種機能付与を目的として各種フィラーなどを添加してもよい。また、ポリイミド前駆体のイミド化反応促進のための触媒や、製膜品質向上のためのレベリング材、などを本実施形態のポリイミド前駆体組成物に添加してもよい。
機械強度向上のため添加されるフィラーには、シリカ粉、アルミナ粉、硫酸バリウム粉、酸化チタン粉、マイカ、タルク、など粒子状材料が使用される。
また、ポリイミド成形体表面の撥水性、離型性改善のためには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4 フッ化エチレン- パーフルオロアルコキシエチレンン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂粉末などを添加してもよい。
イミド化反応促進のための触媒には、有機アミン触媒や、酸無水物などの脱水剤、フェノール誘導体、スルホン酸誘導体、安息香酸誘導体などの酸触媒などを使用してもよい。
ポリイミド成形体の製膜品質向上には、界面活性を添加してもよく、使用する界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、のいずれを用いてもよい。
(導電材料)
本実施形態のポリイミド前駆体組成物への添加材として用いられる導電材料について説明する。
導電材料としては、導電性(例えば体積抵抗率10Ω・cm未満、以下同様である)もしくは半導電性(例えば体積抵抗率10Ω・cm以上1013Ω・cm以下、以下同様である)のものが挙げられる。
導電材料として具体的には、例えば、カーボンブラック(例えばケッチエンブラック、アセチレンブラック、表面が酸化処理されたカーボンブラック等)、金属(例えばアルミニウムやニッケル等)、酸化金属化合物(例えば酸化イットリウム、酸化錫等)、イオン導電性物質(例えばチタン酸カリウム、LiCl等)、導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレンなど)等が挙げられる。
導電材料は、その使用目的により選択されるが、電気抵抗の経時での安定性や、転写電圧による電界集中を抑制する電界依存性の観点から、pH5以下(望ましくはpH4.5以下であり、より望ましくはpH4.0以下)の酸化処理カーボンブラック(例えば表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して得られたカーボンブラック)がよく、電気的耐久性付与の観点から、導電性高分子(例えばポリアニリン等)がよい。
導電材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
なお、導電材料がカーボンブラック等の粒子状の場合、その一次粒径が10μm未満、望ましくは1μm以下の粒子であることがよい。
導電材料の含有量は、例えば、全樹脂成分100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下であることがよい。
<ポリイミド成形体の製造方法>
本実施形態のポリイミド成形体の製造方法は、本実施形態のポリイミド前駆体組成物を被塗布体に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記塗布膜を加熱してポリイミド成形体を得る加熱工程と、を有する。
以下、本実施形態のポリイミド前駆体組成物を用いたフィルム状ポリイミド成形体の形成方法の一例について詳細に説明する。
本実施形態のポリイミド前駆体組成物は、被塗布体としての金型の内面もしくは外面に塗布される。金型としては、円筒形金属製金型が用いられる。金属製の代わりに、樹脂製、ガラス製、セラミック製など、従来既知の様々な素材の成形型が、本実施形態の成形型として良好に動作し得る。また、成形型の表面にガラスコートやセラミックコートなどを設けること、また、シリコーン系やフッ素系の剥離剤を使用することで、被塗布体の表面に剥離層を形成してもよい。
本実施形態のポリイミド前駆体組成物に含まれる特定の低沸点溶剤は、被塗布体の表面に形成された剥離層に対する浸食の程度が、通常ポリイミド前駆体組成物に用いられる溶剤であるNMP等に比較して小さい。そのため、本実施形態のポリイミド成形体の製造方法によれば、被塗布体の寿命が延びる。
次に、ポリイミド前駆体組成物を塗布したこの円筒状金属製金型を、加熱もしくは真空環境に置き、含有溶剤の30質量%以上望ましくは50質量%以上を揮発させるための乾燥を行なう。かかる加熱処理により、ポリイミド前駆体は、ポリアミック酸とエポキシ化合物の開環化合物とに分解する。熱処理温度・時間を制御することで、発生するエポキシ化合物の開環化合物が揮発して除かれる。
更に、この円筒状金属製金型を200℃以上450℃以下で加熱し、イミド転化反応を進行させる。イミド化の温度は、原料のテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類によって、それぞれ異なるが、イミド化が完結する温度に設定しなければならない。イミド化が不充分であると、ポリイミド成形体の機械的特性及び電気的特性に劣るものとなる。
その後、円筒状金属製金型から表面に形成された円筒状フィルムを取り外し、ポリイミド成形体を得る。
(ポリイミド成形体の使用例)
本実施形態のポリイミド成形体の製造方法を経て得られたポリイミド成形体(本実施形態のポリイミド成形体)は、電子写真方式による画像形成装置の中間転写体(中間転写ベルト)、転写ベルト、定着ベルト、用紙搬送ベルトなどに好適に適用され得る。
中間転写ベルトとして使用する場合、その外周面の表面抵抗率は、常用対数値で8(LogΩ/□)以上13(LogΩ/□)以下であることが望ましく、8(LogΩ/□)以上12(LogΩ/□)以下であることがより望ましい。表面抵抗率の常用対数値が13(LogΩ/□)を超えると、二次転写の際に記録媒体と中間転写体とが静電吸着し、記録媒体の剥離ができなくなる場合がある。一方、表面抵抗率の常用対数値が8(LogΩ/□)未満であると、中間転写体に一次転写されたトナー像の保持力が不足し画質の粒状性や像乱れが発生する場合がある。尚、前記体積抵抗率の常用対数値は、導電材料の種類、及び導電材料の添加量により制御される。
ここで、表面抵抗率の測定方法は、後述の実施例中に示すようにして行う。
本実施形態のポリイミド成形体が中間転写体(中間転写ベルト)に適用される場合、その全体の体積抵抗率は、常用対数値で8(LogΩcm)以上13(LogΩcm)以下であることが望ましい。前記体積抵抗率の常用対数値が8(LogΩcm)未満であると、像保持体から中間転写体に転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働きにくくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジのフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまい、ノイズの大きい画像が形成される場合がある。一方、前記体積抵抗率の常用対数値が13(LogΩcm)を超えると、電荷の保持力が大きいために、一次転写での転写電界で中間転写体表面が帯電するために除電機構が必要となる場合がある。尚、前記体積抵抗率の常用対数値は、導電材料の種類、及び導電材料の添加量により制御される。
ここで、体積抵抗率の測定方法は、後述の実施例中に示すようにして行う。
本実施形態のポリイミド成形体は、他に、駆動ベルト、ラミネートベルト、電気絶縁材、配管被覆材、電磁波絶縁材、熱源絶縁体、電磁波吸収フィルム、フレキシブル基板、液晶ディスプレイのブラックマトリックス材料、遮光フィルム、などに使用し得る。
<画像形成装置>
本実施形態の画像形成装置は、本実施形態のポリイミド成形体の製造方法を経て得られたポリイミド成形体を、中間転写ベルト、又は、用紙搬送ベルトとして備える。
本実施形態の画像形成装置としては、例えば、感光体ドラム等の像保持体上に保持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像装置を備えた複数の像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置があげられる。
以下に、本実施形態の画像形成装置の1例として、一次転写を繰り返すカラー画像形成装置を示す。図1は、本実施形態の画像形成装置の1例を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、像保持体としての感光体ドラム101、中間転写体としての中間転写ベルト102、転写電極であるバイアスローラ103、記録媒体である用紙を供給する記録媒体収納部104、BK(ブラック)トナーによる現像装置105、Y(イエロー)トナーによる現像装置106、M(マゼンタ)トナーによる現像装置107、C(シアン)トナーによる現像装置108、ベルトクリーナー109、剥離爪113、ベルト支持ロール121、123及び124、背面ローラ122、導電性ローラ125、電極ローラ126、クリーニングブレード131、用紙束141、用紙送りローラ142、並びに搬送ローラ143を備えてなり、中間転写ベルト102として本実施形態のポリイミド成形体が用いられる。
図1に示す画像形成装置において、感光体ドラム101は矢印F方向に回転し、図示しない帯電装置(帯電手段)でその表面が帯電される。帯電された感光体ドラム101にレーザー書込み装置などの画像書き込み手段(潜像形成手段)により第一色(例えば、BK)の静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置(現像手段)105によってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは感光体ドラム101の回転で導電性ローラ125が配置された一次転写部に到り、導電性ローラ125からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより上記トナー像Tを静電的に中間転写ベルト102に吸着されつつ中間転写ベルト102の矢印G方向の回転で一次転写される。導電性ローラ125は、図1に示したように感光体ドラム101の直下に配置していても、図示してはいないが、感光体ドラム101の直下からずれた位置に配置させてもよい。
以下、同様にして第2色のトナー像、第3色のトナー像、第4色のトナー像が順次形成され中間転写ベルト102において重ね合わせられて、多重トナー像が形成される。なお、このときのトナーは一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
中間転写ベルト102に転写された多重トナー像は、中間転写ベルト102の回転でバイアスローラ103が設置された二次転写部に到る。二次転写部は、中間転写ベルト102のトナー像が保持された表面側に設置されたバイアスローラ103と該中間転写ベルト102の裏側からバイアスローラに対向して配置された背面ローラ122及びこの背面ローラ122に圧接して回転する電極ローラ126から構成される。
用紙141は、記録媒体収納部104に収容された用紙束から用紙送りローラ142で一枚ずつ取り出され、搬送ローラ143で二次転写部の中間転写ベルト102とバイアスローラ103との間に予め定められたタイミングで給送される。給送された用紙141には、バイアスローラ103及び背面ローラ122による圧接搬送と中間転写ベルト102の回転により、該中間転写ベルト102に保持されたトナー像が転写される。
トナー像が転写された用紙141は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪113を作動せることにより中間転写ベルト102から剥離され、図示しない定着装置(定着手段)に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。なお、多重トナー像の用紙141への転写の終了した中間転写ベルト102は、二次転写部の下流に設けたベルトクリーナー109で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスローラ103は、ポリウレタン等のクリーニングブレード131が接するように取り付けられており、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
単色画像の転写の場合、一次転写されたトナー像Tを二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が一次転写部で正確に合致するように中間転写ベルト102と感光体ドラム101との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。上記二次転写部では、バイアスローラ103と中間転写ベルト102を介して対向配置した背面ローラ122に圧接した電極ローラ126にトナー像の極性と同極性の電圧を印加することで該トナー像を用紙141に静電反発で転写する。
以上のようにして、画像が形成される。
次に、本実施形態の画像形成装置における他の一例を示す。
図2に示す画像形成装置は、ユニットY、M、C、BKと、用紙搬送ベルト206と、転写ロール(転写手段)207Y、207M、207C、207BKと、用紙搬送ロール208と、定着器(定着手段)209とを備えている。用紙搬送ベルト206として、本実施形態のポリイミド成形体が用いられる。
ユニットY、M、C、BKは、矢印の時計方向に予め定められた周速度(プロセススピード)をもって回転するようにそれぞれ感光体ドラム(像保持体)201Y、201M、201C、201BKが備えられる。感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKの周囲には、スコロトロン帯電器(帯電手段)202Y、202M、202C、202BKと、露光器(潜像形成手段)203Y、203M、203C、203BKと、各色現像装置(現像手段)(イエロー現像装置204Y、マゼンタ現像装置204M、シアン現像装置204C、ブラック現像装置204BK)と、感光体ドラムクリーナー205Y、205M、205C、205BKとがそれぞれ配置されている。
ユニットY、M、C、BKは、用紙搬送ベルト206に対して4つ並列に、ユニットY、M、C、BKの順に配置されているが、ユニットBK、Y、C、Mの順等は、画像形成方法に合わせて適当な順序に設定してもよい。
用紙搬送ベルト206は、ベルト支持ロール210、211、212、213によって、矢印の反時計方向に感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKと同じ周速度をもって回転可能になっており、ベルト支持ロール212、213の中間に位置するその少なくとも一部が感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとそれぞれ接するように配置されている。用紙搬送ベルト206には、ベルト用のクリーニング装置214が備えられている。
転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、用紙搬送ベルト206の内側であって、用紙搬送ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとが接している部分に対向する位置にそれぞれ配置され、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKと、用紙搬送ベルト206を介してトナー画像を用紙(記録媒体)216に転写する転写領域(接触部分)を形成している。転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、図2のように感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKの直下に配置していても、図示してはいないが、直下からずれた位置に配置しても良い。
定着装置209は、用紙搬送ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとのそれぞれの転写領域(接触部分)を用紙216が通過した後に搬送されるように配置されている。
用紙搬送ロール208により、用紙216は用紙搬送ベルト206に搬送される。
図2に示す画像形成装置において、ユニットBKにおいては、感光体ドラム201BKを回転駆動させる。これと連動してコロトロン帯電器202BKが駆動し、感光体ドラム201BKの表面を予め定められた極性・電位に帯電させる。表面が帯電された感光体ドラム201BKは、次に、露光器203BKによって像様に露光され、その表面に静電潜像が形成される。
続いて該静電潜像は、ブラック現像装置204BKによって現像される。すると、感光体ドラム201BKの表面にトナー画像が形成される。なお、このときのトナーは一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
このトナー画像は、感光体ドラム201BKと用紙搬送ベルト206との転写領域(接触部分)を通過するときに、用紙216が静電的に用紙搬送ベルト206に吸着して転写領域(接触部分)まで搬送され、転写ロール207BKから印加される転写電圧により形成される電界により、用紙216の外周面に順次、転写される。
この後、感光体ドラム201BK上に残存するトナーは、感光体ドラムクリーナー205BKによって清掃・除去される。そして、感光体ドラム201BKは、次の転写サイクルに供される。
以上の転写サイクルは、ユニットC、M及びYでも同様に行われる。
転写ロール207BK、207C、207M及び207Yによってトナー画像を転写された用紙216は、さらに定着装置209に搬送され、定着が行われる。
以上のようにして記録紙上に所望の画像が形成される。
次に、本実施形態の画像形成装置における他の一例を示す。
図3は、中間転写ベルト86を用いたタンデム式の画像形成装置の要部部分を説明する模試図である。具体的には、図3において感光体(像保持体)79表面を帯電する帯電ローラ83(帯電装置)、感光体79表面を露光し静電潜像を形成するレーザー発生装置78(露光装置)、感光体79表面に形成された潜像を、現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像器85(現像装置)、現像したトナー像を中間転写ベルト86に転写する転写ロール80、感光体に付着したトナーやゴミ等を除去する感光体クリ−ナー84 (クリーニング装置)、記録用紙(記録媒体)上のトナー像を定着する定着ローラ72等が備えられる。感光体79と転写ロール80は、図3のように感光体直下からずれた位置に配置していても、感光体直下に配置(図示せず)していてもよい。そして、この中間転写ベルト86として本実施形態のポリイミド成形体を備える。
さらに、図3に示す画像形成装置の構成について詳細に説明する。図3に示す画像形成装置は、4つのトナーカートリッジ71、1対の定着ロール72、背面ロール73、張架ロール74、2次転写ロール75、用紙経路76、記録媒体収納部77、レーザー発生装置78、4つの感光体79、4つの1次転写ロール80、駆動ロール81、転写クリーナー82、4つの帯電ロール83、感光体クリーナー84、現像器85、中間転写ベルト86等を主用な構成部材として含んでなる。
まず、感光体79の周囲には、反時計回りに帯電ロール83、現像器85、中間転写ベルト86を介して配置された1次転写ロール80、感光体クリーナー84が配置され、これら1組の部材が、1つの色に対応した現像ユニットを形成している。また、この現像ユニット毎に、現像器85に現像剤を補充するトナーカートリッジ71がそれぞれ設けられており、各現像ユニットの感光体79に対して、帯電ロール83と現像器85との間の感光体79表面に画像情報に応じたレーザー光を照射するレーザー発生装置78が設けられている。
4つの色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した4つの現像ユニットは、画像形成装置内において水平方向に直列に配置されており、4つの現像ユニットの感光体79と1次転写ロール80との接触部分を挿通するように中間転写ベルト86が設けられている。中間転写ベルト86は、その内周側に以下の順序で反時計回りに設けられた、背面ロール73、張架ロール74、及び駆動ロール81により張架されている。また、中間転写ベルト86を介して駆動ロール81の反対側には中間転写ベルト86の外周面をクリーニングする転写クリーナー82が駆動ロール81に対して圧接するように設けられている。
また、中間転写ベルト86を介して背面ロール73の反対側には記録媒体収納部77から用紙経路76を経由して搬送される記録用紙の表面に、中間転写ベルト86の外周面に形成されたトナー像を転写するための2次転写ロール75が、背面ロール73に対して圧接するように設けられている。
また、画像形成装置の底部には記録用紙をストックする記録媒体収納部77が設けられ、記録媒体収納部77から用紙経路76を経由して2次転写部を構成する背面ロール73と2次転写ロール75との圧接部を通過するように記録用紙が供給される。この圧接部を通過した記録用紙は更に1対の定着ロール72の圧接部を挿通するように不図示の搬送手段により搬送され、最終的に画像形成装置外へと排出される。
次に、図3の画像形成装置を用いた画像形成方法について説明する。トナー像の形成は各現像ユニット毎に行なわれ、帯電ロール83により反時計方向に回転する感光体79表面を帯電した後に、レーザー発生装置78(露光装置)により帯電された感光体79表面に潜像を形成し、次に、この潜像を現像器85から供給される現像剤により現像してトナー像を形成し、1次転写ロール80と感光体79との圧接部に運ばれたトナー像を矢印A方向に回転する中間転写ベルト86の外周面に転写する。なお、トナー像を転写した後の感光体79は、その表面に付着したトナーやゴミ等が感光体クリーナー84によりクリーニングされ、次のトナー像の形成に備える。
各色の現像ユニット毎に現像されたトナー像は、画像情報に対応するように中間転写体86の外周面上に順次重ね合わされた状態で、2次転写部に運ばれ2次転写ロール75により、記録媒体収納部77から用紙経路76を経由して搬送されてきた記録用紙表面に転写される。トナー像が転写された記録用紙は、更に定着部を構成する1対の定着ロール72の圧接部を通過する際に加圧加熱されることにより定着され、記録媒体表面に画像が形成された後、画像形成装置外へと排出される。
以下、実施例および比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」および「%」は質量基準である。
[実施例1]
−ポリイミド前駆体組成物(A−1)の作製−
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコ中で、乾燥した窒素ガスを通じながら、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと表記)450gを注入した。液温度を30℃まで加熱した後に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAと表記:分子量200.24)41.23g(205.92ミリモル)を添加して溶解させた。溶解の確認後、溶液温度を30℃に保ちながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAと表記:分子量294.22)58.77g(199.75ミリモル)を添加して、攪拌・溶解した。テトラカルボン酸二無水物の溶解を確認後、さらに、30℃に保持しながら、攪拌を続けて、ポリアミック酸の重合反応を行った。24時間反応を行った後、E型粘度計(E型回転粘度計TV−20H(東機産業株式会社))、測定プローブとしてコーンプレート型ローター3°×R14を用いて22℃におけるポリアミック酸溶液の粘度を測定したところ、500mPasであった。
ポリアミック酸溶液をメタノール中に加え、ポリアミック酸樹脂を析出させた。析出したポリアミック酸樹脂を30℃/10mmHg(1.3kPa)/24時間の条件で乾燥させた。
乾燥したポリアミック酸樹脂50.00g(カルボキシル基当量:202.24ミリモル)を、30℃に保温したメチルエチルケトン(以下、MEKと表記)225g/γ−ブチロラクトン225gに添加して、酸化プロピレン(以下、PrOxと表記:分子量58.1)11.75g(202.24ミリモル:封鎖率1.00)を滴下した。反応の進行に伴い、樹脂は溶解して均一な溶液となった。30℃にて1時間反応を行い、ポリイミド前駆体組成物(A−1)を得た。粘度を測定したところ、500mPasであった。
[実施例2]
−ポリイミド前駆体組成物(A−2)の作製−
次いで、乾燥した導電材料としての酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH4.0、揮発分:14.0%:以下「CB」と略する場合もある))15.0gをポリイミド前駆体組成物(A−1)511.75g(ポリアミック酸50部に対してCBが30部)に添加して、ボールミルにて6時間で処理して、カーボンブラックの分散を行い、本実施形態のポリイミド前駆体組成物(A−2)を得た。
実施例1、実施例2で得られたポリイミド前駆体組成物を用いて以下の試験を行い、特性評価を行った。
(製膜試験)
外径90mm、長さ450mmのステンレス製円筒状金型の外表面にシリコーン系離型剤を塗布・乾燥処理を行った(離型剤処理)。離型剤処置を施した円筒状金型を周方向に10rpmの速度で回転させながら、円筒状金型端部より塗工液であるポリイミド前駆体組成物を口径1.0mmのディスペンサーより吐出しながら、金型上に設置した金属ブレードにて予め定められた圧力で押し付けながら塗布を行った。ディスペンサーユニットを円筒状金型の軸方向に100mm/分の速度で移動させることによって円筒状金型上に螺旋状に塗工液を塗布した。塗布後、ブレードを解除して円筒状金型を2分間回転し続けレベリングを行った。
その後、金型及び塗布物を乾燥炉中で150℃空気雰囲気下、10rpmで回転させながら、30分乾燥処理を行った。乾燥後、塗布物より溶剤が揮発することで塗布物は自己支持性を有するポリアミック酸樹脂成形品となった。
乾燥処理後次いで、クリーンオーブン中で、200℃、30分間焼成処理を行い、溶剤を留去すると共にイミド化反応を完了させた。その後、円筒状金型を25℃にして、円筒状金型から樹脂を取り外し、円筒状ポリイミド成形体を得た。
(製膜性)
得られた円筒状ポリイミド成形体について、以下の観点から目視で製膜性状を評価した。
−ボイド−
円筒状ポリイミド成形体表面のボイド痕の有無を評価した。
◎: ボイド痕の発生が見られない。
○: 成形体表面に1個以上10個未満のボイド痕が確認できる。
△: 成形体表面に10個以上の50未満のボイド痕が点在する。
×: 成形体表面に無数のボイド痕が一様に発生している。
−表面ムラ、模様−
円筒状ポリイミド成形体表面に発生する表面ムラ、模様の有無を評価した。
◎: 表面ムラ、模様の発生が見られない。
○: 成形体表面の一部に表面ムラ、模様が僅かに確認できる。
(成形体表面面積の10%未満)
△: 成形体表面の一部に表面ムラ、模様が確認できる。
(成形体表面面積の10%以上)
×: 成形体表面に表面ムラ、模様が一様に発生している。
(引張り強度・伸び)
作製したポリイミド成形体より、ダンベル3号を用いて試料片を打ち抜き成形した。試料片を引張り試験機に設置し、下記条件で、試料片が引張り破断する印加荷重、破断伸びを測定した。マイクロメーターを用いて測定された膜厚値を基に、破断強度を算出した。
試験装置 : アイコーエンジニアリング社製引張り試験機1605型
試料長さ : 30mm
試料幅 : 5mm
引張り速度 :10mm/min
(表面抵抗特性)
円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「URプローブ」)を用い、JIS K6911に従って測定した。表面抵抗率の測定方法を、図を用いて説明する。図4は、円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。図4に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に試料片Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、試料片Tの転写面の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出した。ここで、下記式中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
なお、表面抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出した。
(体積抵抗特性)
体積抵抗率の測定は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ)を用い、JIS K6911に従って測定する。前記体積抵抗率の測定方法を、図を用いて説明する。測定は表面抵抗率と同一の装置で測定する。但し、図4に示す円形電極において、表面抵抗率測定時の板状絶縁体Bに代えて第二電圧印加電極B’を備える。そして、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと第二電圧印加電極B’との間に試料片Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印加した際に流れる電流I(A)を測定し、下記式により、試料片Tの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出した。ここで、下記式中、tは、試料片Tの厚さを示す。
式ρv=19.6×(V/I)×t
なお、体積抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出した。
また、上記式に示される19.6は、抵抗率に変換するための電極係数であり、円柱状電極部の外径d(mm)、試料の厚さt(cm)より、πd/4tとして算出される。また、試料片Tの厚さは、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR−1500Eを使用し測定した。
(出力画像の画質)
富士ゼロックス社製ApeosPort−III C4400改造機(プロセス速度:250mm/sec、一次転写電流:35μAに改造)に、得られた円筒状ポリイミド成形体を中間転写ベルトとして装着し、低温低湿(10℃15%RH)で、Cyan、Magentaの50%ハーフトーンを富士ゼロックス社製C2紙に5000枚出力し、5000枚目の出力画像の画質について濃度ムラ及び斑点欠陥を目視で評価した。なお、各評価基準は以下の通りである。
−濃度ムラ−
◎:濃度ムラが確認されない。
○:濃度ムラが僅かに確認できたが、問題のないレベルである。
×:濃度ムラがはっきりと確認できた。
−斑点欠陥−
◎:斑点欠陥が確認されない。
○:斑点欠陥が僅かに確認できたが、問題のないレベルである。
×:斑点欠陥がはっきりと確認できた。
得られたポリイミド前駆体組成物の組成と、それから得られるポリイミド成形体の特性評価を表1に示す。
[実施例3乃至実施例8]
−ポリイミド前駆体組成物(B−1)乃至(D−2)の作製−
実施例1及び実施例2において、ポリイミド前駆体組成物の溶剤の種類を表1に示すように変更した以外は実施例1及び実施例2と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(B−1)乃至(D−2)を作製した。実施例1及び実施例2に倣ってポリイミド成形体を作製し、その特性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例9乃至実施例10]
−ポリイミド前駆体組成物(E−1)乃至(E−2)の作製−
実施例1でのODA量を40.00g(199.75ミリモル)、BPDA量を60.59g(205.92ミリモル)とした以外は実施例1と同様にして、酸無水物基末端またはカルボキシル基末端のポリアミック酸を得た。得られたポリアミック酸を析出させた後、実施例1及び実施例2と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(E−1)乃至(E−2)を作製した。実施例1及び実施例2に倣ってポリイミド成形体を作製し、その特性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例11乃至実施例12]
−ポリイミド前駆体組成物(F−1)乃至(F−2)の作製−
実施例1のPrOx添加量を5.88g(101.12ミリモル:封鎖率0.50)、溶剤組成をMEK/NMP=50/50とした以外は、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体組成物(F−1)を得た。粘度を測定したところ、500mPasであった。
得られたポリイミド前駆体組成物(F−1)を用いた以外は実施例2と同様にしてポリイミド前駆体組成物(F−2)を作製した。実施例1及び実施例2に倣ってポリイミド成形体を作製し、その特性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
−ポリイミド前駆体組成物(X−1)の作製−
PrOxを添加しない以外は実施例1と同様に処理を行った。NMP中で重合し、メタノールにて析出させたポリアミック酸については、MEK/BL混合溶剤中に溶解させることはできなかった。そのため、製膜性等の評価を実施することができなかった。
[比較例2]
−ポリイミド前駆体組成物(Y−1)の作製−
実施例1で作製したポリアミック酸NMP溶液にさらにNMPを添加して、固形分10%のポリイミド前駆体組成物(Y−1)を作製した。実施例1に倣ってポリイミド成形体を作製し、その特性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
−ポリイミド前駆体組成物(Y−2)の作製−
ポリイミド前駆体組成物(Y−1)を用い、実施例2に倣ってポリイミド前駆体組成物(Y−2)を作製した。ポリイミド前駆体組成物(Y−2)を用い実施例2に倣ってポリイミド成形体を作製し、その特性を評価した。結果を表1に示す。
表1における略語及び略号の意味は以下の通りである。
封鎖率:(添加したエポキシ化合物当量)/(ポリアミック酸中カルボキシル基当量)。
固形分率:ポリイミド前駆体の固形分率。
略号:MEK(メチルエチルケトン)、THF(テトラヒドロフラン)、CHN(シクロヘキサノン)、DOX(1,4-ジオキサン)、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)、BL(γ-ブチロラクトン)、PrOx(酸化プロピレン)。
ポリアミック酸のカルボキシル基をエステル化することで、特定の低沸点溶剤への溶解安定化が図れたポリイミド前駆体組成物を得ることができ、これを用いて製造されるポリイミド成形体の品質が高めることができるものは、本実施形態にかかる実施例1乃至実施例12のみであった。
102(86) 中間転写ベルト
206 用紙搬送ベルト

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を含むポリイミド前駆体。

    (一般式(1)において、Rは4価の有機基を表し、Rは2価の有機基を表す。X及びXは各々独立に、−CHCH(OH)R11又は水素原子を表す。X及びXが共に水素原子となることはない。R11は、1価の有機基を表す。X及びXが共に−CHCH(OH)R11である場合、R11は同じ1価の有機基であってもよいし、互いに異なる1価の有機基であってもよい。)
  2. 主鎖末端にアミノ基を有する請求項1に記載のポリイミド前駆体。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のポリイミド前駆体と、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、メチルエチルケトン、及び、シクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種の低沸点溶剤と、を含むポリイミド前駆体組成物。
  4. 1気圧下における沸点が150℃以上の高沸点溶剤を更に含み、全溶剤に占める前記高沸点溶剤の割合が20質量%以上60質量%以下である請求項3に記載のポリイミド前駆体組成物。
  5. 請求項3又は請求項4に記載のポリイミド前駆体組成物を被塗布体に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記塗布膜を加熱してポリイミド成形体を得る加熱工程と、を有するポリイミド成形体の製造方法。
  6. 請求項5に記載のポリイミド成形体の製造方法を経て得られたポリイミド成形体を、中間転写ベルト、又は、用紙搬送ベルトとして備える画像形成装置。
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