JP2014181243A - 半芳香族ポリアミドおよびその成形体 - Google Patents

半芳香族ポリアミドおよびその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】高分子量でありつつも従来よりも結晶性が高い半芳香族ポリアミドの提供。
【解決手段】芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジアミン成分および脂肪族モノカルボン酸成分からなり、以下の条件(a)および(b)を満たすことを特徴とする半芳香族ポリアミドとそれからなる成形体。(a)96%硫酸中、25℃、濃度1g/dLで測定した場合の相対粘度が1.6以上である。(b)広角X線解析より求めた結晶化度が50%以上である.
【選択図】なし

Description

本発明は、結晶性が向上した半芳香族ポリアミドに関する。
芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンを用いて重合される半芳香族ポリアミドは、耐熱性が高く、機械的特性や耐薬品性に優れていることから、自動車分野や電気電子分野において広く用いられている(特許文献1、2)。半芳香族ポリアミドは、結晶性を向上させることにより、さらなる耐薬品性や耐熱性の向上が期待できる。
国際公開2011/118441号パンフレット 特開2012−028798号公報
一般に、高分子化合物は、分子量が低ければ結晶性は高くなる一方、強度等の機械的特性が低下し、高分子としての実用性が損なわれる傾向がある。
本発明は、かかる従来技術に鑑み、実用的な分子量を有し、かつ、結晶性が高まった半芳香族ポリアミドを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成を要旨とするものである。
[1]芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジアミン成分および脂肪族モノカルボン酸成分からなり、以下の条件(a)および(b)を満たすことを特徴とする半芳香族ポリアミド。
(a)96%硫酸中、25℃、濃度1g/dLで測定した場合の相対粘度が1.6以上である。
(b)広角X線解析より求めた結晶化度が50%以上である。
[2]脂肪族モノカルボン酸成分の含有量が、半芳香族ポリアミドを構成する全モノマーに対して、0.3〜3.5モル%であることを特徴とする請求項1に記載の半芳香族ポリアミド。
[3]脂肪族モノカルボン酸成分が、ステアリン酸であることを特徴とする[3]記載の半芳香族ポリアミド。
[4]脂肪族モノカルボン酸成分として、ステアリン酸を含有することを特徴とする[3]記載の半芳香族ポリアミド。
[5]脂肪族ジアミン成分が、1,10−デカンジアミンまたは1,12−ドデカンジアミンであることを特徴とする[1]〜[4]いずれかに記載の半芳香族ポリアミド。
[6]芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸であることを特徴とする[1]〜[5]いずれかに記載の半芳香族ポリアミド。
[7]半芳香族ポリアミドの融点が300℃以上であることを特徴とする[1]〜[6]いずれかに記載の半芳香族ポリアミド。
[8][1]〜[7]いずれかに記載の半芳香族ポリアミドと繊維状強化材からなることを特徴とする樹脂組成物。
[9][1]〜[7]いずれかに記載の半芳香族ポリアミドまたは請求項7に記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
本発明によれば、実用的な高分子量を有し、かつ従来よりも結晶性が高まった半芳香族ポリアミドを提供することができる。本発明の半芳香族ポリアミドは、従来用いられている広範な用途に用いることができるが、中でも、耐薬品性に優れていることから、チューブ関連部品、タンク関連部品等に好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジアミン成分およびモノカルボン酸成分から構成される。
半芳香族ポリアミドを構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が挙げられ、中でも、テレフタル酸が好ましい。芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含有することにより、耐熱性を向上させることができる。芳香族ジカルボン酸成分は、2種以上の芳香族ジカルボン酸を併用してもよい。
本発明においては、ジカルボン酸成分として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸や、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸を含有してもよい。脂肪族ジカルボン酸や脂環式ジカルボン酸を含有させる場合、その含有量は、原料モノマーの総モル数に対し、5モル%以下であることが好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
半芳香族ポリアミドを構成する脂肪族ジアミン成分としては、例えば、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミンが挙げられ、中でも、結晶性ならびに耐薬品性向上の効果が大きいことから、1,10−デカンジアミンまたは1,12−ドデカンジアミンが好ましい。脂肪族ジアミン成分は、2種以上の脂肪族ジアミンを併用してもよいが、単独であることがより好ましい。
脂肪族ジアミン成分として、1,10−デカンジアミンまたは1,12−ドデカンジアミンを用いた場合に特に結晶性向上の効果が大きくなる理由は明らかではないが、脂肪族ジアミン成分が、1,10−デカンジアミンまたは1,12−ドデカンジアミンの場合、得られる半芳香族ポリアミドにおいて、複数の脂肪族ジアミン残基が規則的に並びやすいとともに、アミド基濃度が低くなるため、これらの効果が相まって、結晶性ならびに耐薬品性が向上するものと推測される。
本発明においては、ジアミン成分として、シクロヘキサンジアミン等の脂環式ジアミンや、キシリレンジアミン、ベンゼンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン成分を含有してもよい。脂環式ジアミンや芳香族ジアミンを含有させる場合、その含有量は、原料モノマーの総モル数に対し、5モル%以下とすることが好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
半芳香族ポリアミドには、必要に応じて、カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸や11−アミノウンデカン酸等のω−アミノカルボン酸を含有してもよい。
半芳香族ポリアミドを構成する脂肪族モノカルボン酸成分としては、例えば、カプリル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられる。中でも、汎用性が高いことから、ステアリン酸が好ましい。モノカルボン酸成分としては、2種以上のモノカルボン酸を併用してもよい。
本発明において、モノカルボン酸成分の含有量は、半芳香族ポリアミドを構成する全モノマーに対して、0.3〜3.5モル%であることが好ましい。含有量が3.5モル%を超える場合、得られる半芳香族ポリアミドの分子量が小さくなり機械的特性が低下する場合がある。一方、含有量が0.3モル%未満の場合、分子量の制御が困難になる場合がある。
本発明において、モノカルボン酸成分の分子量は、140以上であることが好ましく、170以上であることがより好ましい。モノカルボン酸の分子量が140未満である場合、結晶性の向上効果が小さい場合がある。なお、本発明において、モノカルボン酸の分子量は、原料のモノカルボン酸の分子量を指す。
本発明の半芳香族ポリアミドの広角X線解析より求めた結晶化度は、50%以上であることが必要で、53%以上であることが好ましい。結晶化度を50%以上とすることにより、耐薬品性や耐熱性が向上する。
半芳香族ポリアミドは、融点が300℃以上であることが好ましく、310℃以上であることがより好ましい。半芳香族ポリアミドの融点を高くすることにより、より高温環境下における成形体として使用することができる。
半芳香族ポリアミドは、分子量の指標となる、96%硫酸中、25℃、濃度1g/dLで測定した場合の相対粘度が、1.6以上であることが必要で、1.8以上であることが好ましく、1.8〜2.8であることがより好ましく、1.9〜3.5であることがさらに好ましい。相対粘度が1.6未満の場合、実用的な機械的特性が得られないので好ましくない。
本発明の半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸成分と、脂肪族ジアミン成分と、モノカルボン酸成分とからナイロン塩を得る工程(i)と、得られたナイロン塩を重合する工程(ii)からなる方法により製造することができる。
工程(i)としては、例えば、芳香族ジカルボン酸粉末とモノカルボン酸とを混合し、予め脂肪族ジアミンの融点以上、かつ芳香族ジカルボン酸の融点以下の温度に加熱し、この温度の芳香族ジカルボン酸粉末とモノカルボン酸とに、芳香族ジカルボン酸の粉末の状態を保つように、実質的に水を含有させずに、脂肪族ジアミンを添加する方法が挙げられる。あるいは、別の方法としては、溶融状態の脂肪族ジアミンと固体の芳香族ジカルボン酸とからなる懸濁液を攪拌混合し、混合液を得た後、最終的に生成する半芳香族ポリアミドの融点未満の温度で、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとモノカルボン酸の反応による塩の生成反応と、生成した塩の重合による低重合物の生成反応とをおこない、塩および低重合物の混合物を得る方法が挙げられる。この場合、反応をさせながら破砕をおこなってもよいし、反応後に一旦取り出してから破砕をおこなってもよい。工程(i)としては、反応物の形状の制御が容易な前者の方が好ましい。
工程(ii)としては、例えば、工程(i)で得られた反応物を、最終的に生成する半芳香族ポリアミドの融点未満の温度で固相重合し、所定の分子量まで高分子量化させ、半芳香族ポリアミドを得る方法が挙げられる。固相重合は、重合温度180〜270℃、反応時間0.5〜10時間で、窒素等の不活性ガス気流中でおこなうことが好ましい。
工程(i)および工程(ii)の反応装置としては、特に限定されず、公知の装置を用いればよい。工程(i)と工程(ii)を同じ装置で実施してもよいし、異なる装置で実施してもよい。
半芳香族ポリアミドの製造において、重合の効率を高めるため重合触媒を用いてもよい。重合触媒としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩が挙げられ、重合触媒の添加量は、通常、原料モノマーの総モル数に対して、2モル%以下で用いることが好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドは、必要に応じて、各種添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えば、繊維状強化材、板状強化材、耐衝撃改良材、帯電防止剤、導電付与剤、熱伝導性充填材、脂肪族ポリアミド、非晶性ポリアミド、熱安定剤、光安定剤、摺動性改良材、難燃剤、難燃助剤、顔料が挙げられる。添加剤は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
繊維状強化材としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アスベスト繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ケナフ繊維、竹繊維、麻繊維、バガス繊維、高強度ポリエチレン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、玄武岩繊維、セピオライト、パリゴルスカイトが挙げられる。繊維状強化材を添加することにより、機械的強度を向上させることができる。中でも、耐熱性が高く、入手しやすいことからガラス繊維、炭素繊維、金属繊維が好ましい。繊維状強化材は2種以上併用してもよい。繊維状強化材は、シランカップリング剤で表面処理されていてもよい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルシラン系、アクリルシラン系、エポキシシラン系、アミノシラン系が挙げられ、半芳香族ポリアミドとの密着性が高いことから、アミノシラン系カップリング剤が好ましい。
繊維状強化材の平均繊維長は、0.1〜7mmであることが好ましく、0.5〜6mmであることがより好ましい。繊維状強化材の平均繊維長が0.1〜7mmであることにより、成形性に悪影響を及ぼすことなく、半芳香族ポリアミドの機械的特性を向上させることができる。また、平均繊維径は3〜20μmであることが好ましく、5〜13μmであることがより好ましい。平均繊維径を3〜20μmとすることにより、溶融混練時に折損を減らしながらも、半芳香族ポリアミドの機械的特性を向上させることができる。断面形状は、円形断面であることが好ましいが、必要に応じて、長方形、楕円(偏平)、それ以外の異形断面であってもよい。
繊維状強化材を用いる場合、その含有量は、半芳香族ポリアミド100質量部に対し、5〜200質量部とすることが好ましく、10〜180質量部とすることがより好ましく、20〜150質量部とすることがさらに好ましく、30〜130質量部とすることが最も好ましい。
上記添加剤の添加方法は特に限定されないが、二軸混練機を用いた溶融混練法が好適に用いられる。混練温度は、半芳香族ポリアミドの融点以上とすることが必要であり、(融点+100℃)未満とすることが好ましい。混練温度を半芳香族ポリアミドの融点以上、(融点+100℃)未満とすることにより、混練機が過負荷となり、ベントアップすることを抑制しながらも、半芳香族ポリアミドの分解、黄変を抑制することができる。混練した樹脂組成物はストランドとし、ペレット化することが好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドやそれを用いてなる樹脂組成物を射出成形することにより、成形体とすることができる。射出成形に用いる射出成形機としては、特に限定されないが、例えば、スクリューインライン式射出成形機、プランジャ式射出成形機が挙げられる。射出成形機のシリンダー内で加熱溶融された半芳香族ポリアミドやその樹脂組成物は、ショットごとに計量され、金型内に溶融状態で射出され、所定の形状で冷却、固化された後、成形体として金型から取り出される。射出成形時の樹脂温度は、半芳香族ポリアミドの融点以上とすることが必要であり、(融点+100℃)未満とすることが好ましい。なお、半芳香族ポリアミドを射出成形に用いる場合は、半芳香族ポリアミドは十分に乾燥していることが好ましい。射出成形に用いる半芳香族ポリアミドの水分率は、0.3質量%未満であることが好ましく、0.1質量%未満であることがより好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドは、自動車部品、電気電子部品、家庭用品、土木建築用品等の後半な用途に用いることができる。中でも、結晶性が高く、耐薬品性や耐熱性が向上していることから、チューブ関連部品、タンク関連部品等に好適に用いることができる。チューブ関連部品としては、燃料チューブ、エンジン冷却液(LLC)用チューブ、リザーバータンクチューブ、ブレーキチューブ、ウインドウォッシャー液用チューブ、冷却水・冷媒等用クーラーチューブ、エアコン冷媒用チューブ、床暖房用チューブ、消火器、消火設備用チューブ、ガスチューブ、医療用冷却機材用チューブ、塗料散布用チューブ、薬液輸送用チューブ、石油掘削用チューブ、ロードヒーティングチューブ、床暖房用チューブ、インフラ供給用チューブ等が挙げられる。タンク関連部品としては、燃料タンク、薬剤タンク等が挙げられる。その他、燃料経路コネクタ等、燃料フィルター、燃料フィルターハウジング、オイルフィルターキャップ、燃料カットオフバルブ、オイルレベルゲージ、エンジンカバー等にも好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
1.分析方法
半芳香族ポリアミドの物性測定は以下の方法によりおこなった。
(1)結晶化度
リガク社製X線回折装置RINT−TTR III(CBO)を用い、WAXD粉末反射法で測定をおこない、得られた回折パターンから多重ピーク分離法により結晶部面積と非晶部面積を計算した。その後、下記式から、結晶部面積比率を求め、結晶化度とした。
(結晶部面積比率)=(結晶部面積)/((結晶部面積)+(非晶部面積))×100
(2)融点
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7を用い、昇温速度20℃/分で350℃まで昇温した後、350℃で5分間保持し、降温速度20℃/分で25℃まで降温した。25℃で5分間保持後、再び昇温速度20℃/分で昇温測定した際の吸熱ピークのトップを融点とした。
(3)相対粘度
96%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dL、25℃で、相対粘度を測定した。
(4)耐薬品性
半芳香族ポリアミドを十分に乾燥した後、東芝機械社製射出成形機EC100を用いて射出成形をおこない、20mm×20mm×2mmの成形試験片を作製した。その際、シリンダー温度は350℃、射出圧力は100MPa、射出時間は10秒、取り出し時間は5秒とした。
得られた成形試験片を用いて、以下の薬品に23℃で7日間浸漬後、試験片を取り出し、以下の評価基準に従い、試験片の表面を目視にて観察した。
<薬品>
1.非極性溶媒
・ガソリン
・エンジンオイル
2.極性溶媒
・メタノール
・メタクレゾール
・ヘキサフルオロイソプロパノール
3.酸
・硫酸水(40質量%)
・蟻酸
4.アルカリ
・水酸化ナトリウム水溶液(40質量%)
・塩化カルシウム水溶液(50質量%)
<評価基準>
◎:完全に溶解せず、形状が保持された。
○:完全に溶解しなかったが、変形した。
×:完全に溶解した。
(5)曲げ強度
上記(4)と同様にして、127mm×12.7mm×3.2mmの成形体を作製した。得られた成形体を用いて、ASTM D790に従って測定した。
(6)L値
上記(4)と同様にして、100mm×40mm×2mmの成形体を作製した。得られた成形体を用いて、JIS Z8730に従い、ハンターの色差式による明度(L値)を算出した。
(7)荷重たわみ温度
上記(5)で作製した成形体を用いて、ASTM D648に従い、荷重1.8MPaで荷重たわみ温度を測定した。
2.原材料
用いた原材料を以下に示す。
(1)芳香族ジカルボン酸成分
・TPA:テレフタル酸
・IPA:イソフタル酸
(2)脂肪族ジアミン成分
・DDA:1,10−デカンジアミン
・HMDA:1,6−ヘキサンジアミン
・NDA:1,9−ノナンジアミン
・DDDA:1,12−ドデカンジアミン
(3)モノカルボン酸成分
・STA:ステアリン酸(分子量:284)
・CP:カプリル酸(分子量:144)
・LA:ラウリン酸(分子量:200)
・BHA:ベヘン酸(分子量:341)
・BA:安息香酸(分子量:122)
・CA:カプロン酸(分子量:116)
(4)ガラス繊維
・GF:旭ファイバーグラス社製03JAFT692、平均繊維径:10μm、平均繊維長:3mm
実施例1
芳香族ジカルボン酸成分として粉末状のテレフタル酸(TPA)4.70kgと、モノカルボン酸成分として分子量284のステアリン酸(STA)0.32kgと、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物9.3gとを、ダブルヘリカル翼を備えた反応装置に入れ、窒素密閉下、回転数40rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を40rpmに保ったまま、液注装置を用いて、脂肪族ジアミン成分として100℃に加温した1,10−デカンジアミン(DDA)4.98kgを、3時間かけて連続的(連続液注方式)に添加し反応物を得た。なお、原料モノマーのモル比は、TPA:DDA:STA=49:50:1であった。
続いて、得られた反応物を、同じ反応装置で、窒素気流下、255℃、回転数40rpmで8時間加熱して重合し、半芳香族ポリアミドの粉末を作製した。
その後、得られた半芳香族ポリアミドの粉末を、二軸混練機を用いてストランド状とし、ストランドを水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングして半芳香族ポリアミド(P−1)ペレットを得た。
実施例2〜9、比較例1〜6
樹脂組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、半芳香族ポリアミドのペレット(P−2〜P−15)を得た。
実施例1〜9、比較例1〜6で得られた半芳香族ポリアミドの樹脂組成およびその特性値を表1に示す。
実施例10
半芳香族ポリアミド(P−1)100質量部を、クボタ社製ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1を用いて計量し、スクリュー径37mm、L/D40の東芝機械社製同方向二軸押出機TEM37BSの主供給口に供給し、サイドフィーダーより繊維状強化材(GF)30質量部を供給し、溶融混練をおこなった。押出機のシリンダー温度は320〜340℃、スクリュー回転数は250rpm、吐出量は35kg/時間であった。
次いで、溶融樹脂組成物をダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングして半芳香族ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
実施例11〜20、比較例7〜12
半芳香族ポリアミド樹脂組成物の樹脂組成を表2に示すように変更した以外は、実施例11と同様の操作をおこなって、半芳香族ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
実施例10〜20、比較例7〜12で得られた半芳香族ポリアミド樹脂組成物の樹脂組成およびその特性値を表2に示す。
実施例1〜9の半芳香族ポリアミドは、比較例1〜6の半芳香族ポリアミドと対比すると、耐薬品性が向上していることがわかる。
実施例1〜9の半芳香族ポリアミドに繊維状強化材を配合した実施例10〜20の樹脂組成物も、同様に、耐薬品性に優れていることがわかる。
比較例1、2、4〜6の半芳香族ポリアミドは、用いるモノカルボン酸の分子量や含有量が本発明で規定する好ましい範囲でなかったため、結晶性が低く、耐薬品性に劣っていた。
比較例3の半芳香族ポリアミドは、用いるモノカルボン酸の含有量が多かったため、相対粘度が低かった。また、耐薬品性にも劣っていた。

Claims (9)

  1. 芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジアミン成分および脂肪族モノカルボン酸成分からなり、以下の条件(a)および(b)を満たすことを特徴とする半芳香族ポリアミド。
    (a)96%硫酸中、25℃、濃度1g/dLで測定した場合の相対粘度が1.6以上である。
    (b)広角X線解析より求めた結晶化度が50%以上である。
  2. 脂肪族モノカルボン酸成分の含有量が、半芳香族ポリアミドを構成する全モノマーに対して、0.3〜3.5モル%であることを特徴とする請求項1に記載の半芳香族ポリアミド。
  3. 脂肪族モノカルボン酸成分として、分子量が140以上の脂肪族モノカルボン酸を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の半芳香族ポリアミド。
  4. 脂肪族モノカルボン酸成分が、ステアリン酸であることを特徴とする請求項3記載の半芳香族ポリアミド。
  5. 脂肪族ジアミン成分が、1,10−デカンジアミンまたは1,12−ウンデカジアミンであることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の半芳香族ポリアミド。
  6. 芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の半芳香族ポリアミド。
  7. 半芳香族ポリアミドの融点が300℃以上であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の半芳香族ポリアミド。
  8. 請求項1〜7いずれかに記載の半芳香族ポリアミドと繊維状強化材からなることを特徴とする樹脂組成物。
  9. 請求項1〜7いずれかに記載の半芳香族ポリアミドまたは請求項7に記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
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