JP2014179537A - 無機・有機ハイブリッド光電変換素子 - Google Patents

無機・有機ハイブリッド光電変換素子 Download PDF

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Abstract

【課題】光電変換効率に優れた無機・有機ハイブリッド光電変換素子を提供する。
【解決手段】第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられており、第1の活性層及び第1の活性層に接触している第2の活性層を有する活性層とを備え、第1の活性層は、第2の活性層と接触する面から第2の活性層の厚さ内に突出し、長さが50nm〜1000nmの範囲であり、アスペクト比が15以下である複数の針状無機酸化物半導体構造を含み、第2の活性層は有機材料を含み、第2の活性層の厚さが前記針状無機酸化物半導体構造の長さの2倍以下である、無機・有機ハイブリッド光電変換素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、無機・有機ハイブリッド光電変換素子及びその製造方法に関する。
有機活性層を有する有機薄膜光電変換素子はシリコン等の無機化合物からなる活性層を有する無機光電変換素子に比べ、製造コストを大幅に低減できる可能性があり、より安価に提供できる可能性がある光電変換素子として注目を集めている。しかしながら、有機活性層において光励起により生ずる励起子は、有機活性層中を10nm〜20nm程度の距離しか移動することができず、励起子が正孔と電子とに分離されるためには、p型の半導体特性(電子受容性)を有する有機材料とn型の半導体特性(電子供与性)を有する有機材料とが接合する界面が必要であるといわれている。このために、p型の半導体特性を有する有機材料とn型の半導体特性を有する有機材料(たとえば、フラーレン誘導体)とが数十nmオーダーでミクロ相分離した構造を生成させることが重要である。
また、特許文献3が開示するような無機・有機ハイブリッド光電変換素子も知られている。この無機・有機ハイブリッド光電変換素子が備える活性層においては、無機材料はn型半導体として作用し、有機材料はp型半導体として作用する。
無機・有機ハイブリッド光電変換素子の活性層に用いられ得る無機材料の例としては、粒状、針状など種々の形態を有し、多様な寸法を有する構造を、電気化学的な方法、水熱合成法などの種々の方法で制御、成長させることにより作成した無機酸化物構造を含む材料(たとえば、特許文献1あるいは2および非特許文献1参照。)が挙げられる。また、このような方法により得られた無機酸化物構造のうち、ナノロッドと呼ばれる針状結晶構造を含む構成を用いれば、p型の半導体特性を有する材料とn型の半導体特性を有する材料とのミクロ相分離を比較的容易に作成することが可能であり、得られる電流が向上するとの報告がされている(たとえば、特許文献3参照。)。
米国特許第7265037号
特開2009−96656号公報
特許第4880597号公報
Journal of Physical Chemistry C、2009年、vol.113、pp.15788〜15782
しかしながら、上記特許文献1〜3および非特許文献1にかかる無機・有機ハイブリッド光電変換素子では、製造工程において針状結晶構造を有する無機材料層に有機材料を浸透させることが困難であり、また、製造された無機・有機ハイブリッド光電変換素子では、無機材料層の表面状態のために、無機材料層と有機材料層との良好な接合特性が得られないなどの理由により、必ずしも高い光電変換効率が実現されていないという課題があった。
従って、本発明の目的は、優れた特性、特に優れた光電変換効率を有する無機・有機ハイブリッド光電変換素子を提供することにある。
本発明は、下記[1]〜[10]を提供する。
[1] 第1の電極と、第2の電極と、該第1の電極と該第2の電極との間に設けられており、第1の活性層及び該第1の活性層に接触している第2の活性層を有する活性層とを備え、
前記第1の活性層は、前記第2の活性層と接触する面から前記第2の活性層の厚さ内に突出し、長さが50nm〜1000nmの範囲であり、アスペクト比が15以下である複数の針状無機酸化物半導体構造を含み、
前記第2の活性層は有機材料を含み、
前記第2の活性層の厚さが前記針状無機酸化物半導体構造の長さの2倍以下である、無機・有機ハイブリッド光電変換素子。
[2] 前記針状無機酸化物半導体構造の材料が、n型の半導体特性を示す、チタン酸化物、錫酸化物、亜鉛酸化物、及びニッケル酸化物からなる群から選ばれる単独の酸化物あるいは混合の酸化物から構成される、請求項1に記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子。
[3] 前記針状無機酸化物半導体構造の表面には、前記第2の活性層の有機材料が接合しており、該有機材料の最低非占有軌道のエネルギー準位の絶対値が、前記針状無機酸化物半導体構造を構成する無機酸化物の伝導帯の下端のエネルギー準位の絶対値より小さい、[1]または[2]に記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子。
[4] 前記第2の活性層に含まれる有機材料が、光励起により生じた励起子が前記第2の活性層内を拡散できる距離を最小でも10nmとする材料である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子。
[5] [1]〜[4]のいずれか1つに記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子を含む、太陽電池モジュール。
[6] [1]〜[4]のいずれか1つに記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子を含む、イメージセンサー。
[7] 前記針状無機酸化物半導体構造が、金属イオンを含む溶液を用いる水熱合成法により形成される、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子の製造方法。
[8] 針状無機酸化物半導体構造が、金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩あるいは有機酸塩、または有機金属化合物を加水分解することで、無機酸化物膜を形成し、該無機酸化物膜上に、前記金属イオンを含む溶液を用いる水熱合成法により形成される、[7]に記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子の製造方法。
[9] [1]〜[4]のいずれか1つに記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子の製造方法において、
有機材料を塗布法により塗布して前記第2の活性層を形成することにより前記活性層を形成する、無機・有機ハイブリッド光電変換素子の製造方法。
[10] 前記塗布法が、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ノズルコート法、インクジェット印刷法又はスピンコート法である、[9]に記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子の製造方法。
本発明によれば、光電変換効率に優れた無機・有機ハイブリッド光電変換素子を提供することができる。
図1は、本発明の実施例1で得られた酸化亜鉛ナノロッド層の断面の走査型電子顕微鏡像を示す写真図である。 図2は、本発明の実施例2で得られた酸化亜鉛ナノロッド層の断面の走査型電子顕微鏡像を示す写真図である。 図3は、本発明の実施例3で得られた酸化亜鉛ナノロッド層の断面の走査型電子顕微鏡像を示す写真図である。 図4は、酸化亜鉛ナノロッド長と短絡電流密度との関係を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
(無機・有機ハイブリッド光電変換素子)
本発明の無機・有機ハイブリッド光電変換素子は、第1の電極と、第2の電極と、該第1の電極と該第2の電極との間に設けられており、第1の活性層及び該第1の活性層に接触している第2の活性層を有する活性層とを備え、第1の活性層は、第2の活性層と接触する面から第2の活性層の厚さ内に突出し、長さが50nm〜1000nmの範囲であり、アスペクト比が15以下である複数の針状無機酸化物半導体構造を含み、第2の活性層は有機材料を含み、第2の活性層の厚さが前記針状無機酸化物半導体構造の長さの2倍以下である。
(基板)
本発明の無機・有機ハイブリッド光電変換素子は、通常、基板上に形成される。該基板は、第1の電極又は第2の電極を形成する際、及び第1の活性層である無機半導体層を形成する際に、熱的または化学的に変化しない基板であればよい。基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム及びシリコンが挙げられる。基板が不透明である場合には、基板とは反対側に位置する電極(即ち、基板から遠い側の電極)が透明又は半透明であることが好ましい。
(電極)
無機・有機ハイブリッド光電変換素子は、互いに対向する第1の電極及び第2の電極を備えている。第1の電極及び第2の電極のうちの少なくとも一方の電極は、透明又は半透明の電極とされる。第1の電極及び第2の電極のうちの一方の電極は陽極として機能し、他方の電極は陰極として機能する。
陽極として機能する電極の材料としては、例えば、金属及び導電性酸化物が挙げられる。当該金属の具体例としては、Au、Pt、Sn、Zn、Cu、Ag、Cu、Mo及びTiが挙げられる。電極の安定性を高めるために、前記金属に、異種金属をさらに添加してもよい。導電性酸化物としては、常温付近で高い導電性を有する導電性酸化物が挙げられる。導電性酸化物の例としては、具体的には、ITO(酸化インジウムを添加した酸化錫)、SnO、ZnO、FTO(フッ素を添加した酸化錫)、IZO(酸化インジウムを添加した酸化亜鉛)、AlドープZnO(AZO)、GaドープZnO(GZO)、及びATO(アンチモンを添加した酸化錫)が挙げられる。電極の作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法及びメッキ法が挙げられる。
陽極として機能する電極の材料として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の中間層やモリブデン酸化物、バナジウム酸化物のp型の金属酸化物を用いてもよい。
有機材料又は金属酸化物を含む中間層を、金属又は金属酸化物からなる第1の電極と活性層との間に設け、活性層からの電荷の引き出しを促進するバッファー層としても使用できる。
無機・有機ハイブリッド光電変換素子の陰極としては、透明または半透明の導電性薄膜が利用できる。金属材料の例としては、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、銀、Pt、Sn、Cu、Ag、及びTiなどが挙げられる。透明電極の材料の例としては、ITO、SnO、ZnO、FTO、IZO、AZO、GZO、及びATOが挙げられる。
本発明の無機・有機ハイブリッド光電変換素子においては、第1電極及び第2電極のうちのいずれが陰極であっても陽極であってもよい。
(活性層)
本発明の無機・有機ハイブリッド光電変換素子は、第1の活性層及び該第1の活性層に接触している第2の活性層を有する活性層を備えている。
<第1の活性層>
以下に説明する無機・有機ハイブリッド光電変換素子の構成においては、第1電極が陰極であって、この陰極に接触する第1の活性層を備える構成例について説明する。しかしながら、本発明の無機・有機ハイブリッド光電変換素子では、第1の活性層が陽極に接触していてもよい。
本発明の無機・有機ハイブリッド光電変換素子は、第1の電極である陰極を備えている。無機・有機ハイブリッド光電変換素子は、この陰極に接合する活性層を備えている。換言すると、この構成例では陰極に第1の活性層が接合している。
第1の活性層は、第2の活性層と接触する面から前記第2の活性層の厚さ内に突出し、長さが50nmから1000nmの範囲であり、アスペクト比が15以下である複数の針状無機酸化物半導体構造を含んでいる。
第1の活性層は、種層である無機酸化物層から該無機酸化物層の略厚さ方向(無機酸化物層が設けられた側の電極と対向する電極に向かう方向)に突出する複数の針状無機酸化物半導体構造を有している。そして、第1の活性層の針状無機酸化物半導体構造は、第2の活性層と接触する面、すなわち種層である無機酸化物層の表面から、対向する電極に向かう方向に第2の活性層の厚さ内に突出している。
針状無機酸化物半導体構造の長尺方向の長さは、より好ましくは100nmから500nmの範囲である。ここで、針状無機酸化物半導体構造の「長さ」とは、種層の表面(平坦面)から、突出する先端部までの長さを意味し、針状無機酸化物半導体構造が後述するように複数存在する場合には、複数の針状無機酸化物半導体構造の長さの平均値を意味する。
針状無機酸化物半導体構造を構成する無機酸化物は、n型の半導体特性を示す金属酸化物により構成され、異方性のある固体を形成できる無機酸化物により構成されるのであれば特に制限はない。工業的に容易に形成できるので、このような無機酸化物としてはチタン酸化物、錫酸化物、亜鉛酸化物、及びニッケル酸化物からなる群から選ばれる単独、混合、積層複合の酸化物が好ましい。また針状無機酸化物半導体構造を構成する材料としては、これらの無機酸化物に、さらに、Al、Gaなどの金属を20モル%以下の濃度でドープした材料も挙げられる。
本発明において、アスペクト比とは、針状無機酸化物半導体構造の長尺方向に対して直交する方向に切断したときの横切断面が円形状又は円形状に近い場合は、その円の直径に対する長さとその長尺方向の長さとの比率をいう。また、針状無機酸化物半導体構造の横切断面が六角形等の角形の場合はその角形の重心を通る直線の長さと針状無機酸化物半導体構造の長尺方向の長さとの比率をいう。なお、針状無機酸化物半導体構造が円錐や角錐形状の場合には、針状無機酸化物半導体構造の長尺方向に対して直交する方向に切断したときの横切断面とは、断面積が最も大きくなるように切断したときの針状無機酸化物半導体構造の底面の重心を通る長さをいう。
針状無機酸化物半導体構造の横切断面及び針状無機酸化物半導体構造の長さは、たとえば走査型電子顕微鏡(SEM)などで観測することができる。得られた画像中の針状無機酸化物半導体構造のうち、たとえば20個の横切断面の長さ及び針状無機酸化物半導体構造の長さを測定し、それらの平均値をアスペクト比の計算に用いる。
針状無機酸化物半導体構造のアスペクト比は、15以下であることが好ましい。アスペクト比は、より好ましくは2以上15以下であり、さらに好ましくは4以上12以下である。
第2の活性層を形成するにあたり、第2の活性層の材料を針状無機酸化物半導体構造に良好に浸透させることができるので、第1の活性層を構成する無機酸化物層から突出する針状無機酸化物半導体構造の数は、第1の活性層をその厚さ方向から見たときの面積100nm×100nmあたり50個以上800個以下であることが好ましい。前記の面積あたりの針状無機酸化物半導体構造の数は、より好ましくは600個以下であり、さらに好ましくは500個以下である。
本発明の針状無機酸化物半導体構造の形成方法には、特に制限はなく、例えば気相から形成する方法、電気化学的に形成する方法、また水熱合成による方法が挙げられる。針状無機酸化物半導体構造の形成方法としては、中でも電気化学的に形成する方法、水熱合成による方法が好ましく、水熱合成による方法がより好ましい。針状無機酸化物半導体構造が、金属イオンを含む溶液を用いる水熱合成法(水熱合成工程)により形成されることが好ましい。
気相からの形成方法では、蒸気圧の比較的低い有機金属、金属のハロゲン化物等を気相中で基板に輸送して、基板上で酸化分解することで針状無機酸化物半導体構造を形成することができる。さらには金属酸化物をスパッタ法等で基板上に直接的に供給することにより針状無機酸化物半導体構造を形成してもよい。
電気化学的な形成方法では、金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩あるいは有機酸塩、または有機金属化合物を陰極として、使用する電極と対極を溶液に浸漬して、電圧を印加することで電気分解させることにより、針状無機酸化物半導体構造を成長させることができる。
気相からの形成方法では、有機金属の気相中での濃度と酸化分解させる時間、スパッタ法ではスパッタ速度と時間、電気化学的な形成方法では、金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩または有機酸塩、有機金属化合物の種類と電圧の強さ、印加時間をおのおの制御することにより、針状無機酸化物半導体構造の長尺方向に対して直交する方向に切断したときの横切断面の長さと、針状無機酸化物半導体構造の長尺方向の長さとを制御することができる。
また、水熱合成法においては、金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩あるいは有機酸塩、または有機金属化合物を加水分解することで、ゾル−ゲルを作成して、それを基板上に塗布することで無機酸化物層を作成する。ついで、得られた無機酸化物層に、アルカリ性とした金属イオンを含む溶液を接触させて加熱することで加水分解反応を起こす水熱合成法により針状無機酸化物半導体構造を形成することができる。このように、針状無機酸化物構造は、金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩あるいは有機酸塩、または有機金属化合物を加水分解することで、無機酸化物層を形成し、該無機酸化物層上に、金属イオンを含む溶液を用いる水熱合成法により形成することが好ましい。
水熱合成法では、金属イオン溶液の濃度や、反応時間を制御することで、針状無機酸化物半導体構造の横切断面の長さと針状無機酸化物半導体構造の長尺方向の長さとを制御することができる。
<第2の活性層>
本発明の無機・有機ハイブリッド光電変換素子が有する第2の活性層は、光吸収層とも称される。第2の活性層は、光吸収により励起状態となり、針状無機酸化物半導体構造を有する第1の活性層に電子注入することで、光電変換することから発電起源となる層であり、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層として機能する。すなわち、無機・有機ハイブリッド光電変換素子が有する第2の活性層は、電子供与性材料を含む電子供与性層として機能し、針状無機酸化物半導体構造を有する第1の活性層は、電子受容性層として機能する。
第2の活性層の厚さは本発明の目的を損なわない範囲で任意好適な厚さとすることができるが、厚さが薄すぎると短絡してしまうおそれがあり、また厚すぎると光電変換効率が低下してしまうおそれがある。第2の活性層の厚さが、針状無機酸化物半導体構造の長さの2倍以下であることが好ましい。
電子供与性材料とは、光吸収により励起子を生成し、隣接する電子受容性層に電子を移動させ得る材料を意味する。電子供与性材料の最低空軌道(LUMO)の真空準位から測定したエネルギー準位は、通常、第1の活性層の電子受容性材料の伝導帯の真空準位から測定したエネルギー準位より大きい。
第2の活性層の励起子から第1の活性層への電子の移動は第2の活性層と第1の活性層との界面で生ずる現象であり、光励起により生成する励起子がこの界面から離れた場所で生ずる場合、そのままでは第1の活性層への電子の移動に寄与できない。しかしながら、生じた励起子は第2の活性層の電子供与性材料の分子に局在化しているのではなく、第2の活性層中で一定の距離を移動することができる。ここで励起子が層中を移動できる距離を励起子の拡散長という。励起子の拡散長が長いほど、第2の活性層と第1の活性層との界面から離れた場所で生成する励起子であっても界面に到達し易くなり、界面での光電荷分離に寄与する励起子の数は増加することになり、光電流は増加することになる。
第2の活性層に含まれる有機材料が、光励起により生じた励起子が第2の活性層内を拡散できる距離を最小でも10nmとする材料であることが好ましい。第2の活性層に用いられる電子供与性材料の励起子の拡散長は10nm以上の場合に優れた変換効率が期待され、励起子の拡散長がより長い光吸収性の電子供与性材料を用いることが好ましい。電子供与性材料は、拡散長が最小でも10nmであればよく、高分子化合物であっても低分子化合物であってもよいが、高分子化合物が好ましく、共役高分子化合物がより好ましい。励起子の拡散長は、10nm以上10μm以下の範囲であり、好ましくは20nm以上1μm以下の範囲であり、より好ましくは20nm以上500nm以下の範囲である。このような励起子の拡散長を有する電子供与性材料としては、下記に示されるp型半導体材料が好ましい。
本発明の無機・有機ハイブリッド光電変換素子の第2の活性層に用いられ得る電子供与性材料としては、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体等のp型半導体材料が挙げられる。
電子供与性材料は、高分子化合物であることが好ましく、電子供与性の構成単位と電子受容性の構成単位との交互共重合体であることがより好ましい。
電子供与性の構成単位は、単環を含んでいてもよく、縮合環を含んでいてもよい。また、電子供与性の構成単位は、2個の単環同士あるいは2個の縮合環同士又は単環及び縮合環が直接結合で結合した構造を有していてもよい。該単環及び縮合環は、芳香環であってもよい。芳香環は、ベンゼン環などの芳香族炭素環であってもよく、芳香族複素環であってもよい。
電子供与性の構成単位としては、例えば、2価の芳香族基、単環の芳香環又は多環の芳香環が一重結合で連結した構造を含む2価の基や環構造を形成して結合した2価の基が挙げられる。2価の芳香族基は、6員環以外にπ電子を供給して6π、10π、14π電子系を形成することができるのであれば、炭素原子以外の原子と−C=C−で表される基とが置換した構造を含んでいてもよい。
電子供与性の構成単位の具体例としては、下記式(1)で表される構成単位、下記式(2)で表される構成単位、及び下記式(3)で表される構成単位が挙げられる。
前記式(1)〜式(3)中、環Arは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素環又は置換基を有していてもよい複素環を表す。Xは、それぞれ独立に、カルコゲン又は2価の基を表す。
Xで表される2価の基としては、例えば、−C(R)−で表される基、−Si(R)−で表される基、−Ge(R)−で表される基、−N(R)−で表される基、及び−P(R)−で表される基が挙げられる。ここでRは、水素原子、炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基、炭素原子数2〜20の1価の脂肪族不飽和炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい1価の複素環基又は6π、10π若しくは14π電子系を形成する1価の環状化合物基を表す。
Rで表される炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、及びシクロヘキシル基が挙げられる。
Rで表される炭素原子数2〜20の1価の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、2−プロペニル基、エチニル基、及び2−プロピニル基が挙げられる。
Rで表される炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基及びオクチルオキシ基が挙げられる。
Rで表される炭素原子数1〜20のアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、及びオクチルチオ基が挙げられる。
Rで表される1価の芳香族炭化水素基とは、芳香族炭化水素から芳香環に結合している水素原子1個を除いた基を意味し、その炭素原子数は通常6〜60である。芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、及び炭素原子数1〜20のアルキルチオ基が挙げられる。該炭素原子数1〜20のアルコキシ基、及び炭素原子数1〜20のアルキルチオ基の具体例は、Rで表される炭素原子数1〜20のアルコキシ基、及び炭素原子数1〜20のアルキルチオ基の具体例と同じである。置換基を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、及び2−ナフチル基が挙げられる。
Rで表される1価の複素環基とは、無置換の複素環式化合物から複素環に結合している水素原子1個を除いた基を意味し、その炭素原子数は通常3〜60である。1価の複素環基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基、炭素原子数2〜20の1価の脂肪族不飽和炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、及び炭素原子数1〜20のアルキルチオ基が挙げられる。該炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基、炭素原子数2〜20の1価の脂肪族不飽和炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、及び炭素原子数1〜20のアルキルチオ基の具体例は、Rで表される炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基、炭素原子数2〜20の1価の脂肪族不飽和炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、及び炭素原子数1〜20のアルキルチオ基の具体例と同じである。置換基を有していてもよい1価の複素環基としては、例えば、フリル基、チエニル基、及びピロリル基が挙げられる。
環Arで表される炭素環は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基、炭素原子数2〜20の1価の脂肪族不飽和炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基、6π、10π若しくは14π電子系を形成する1価の環状化合物基及び置換基を有していてもよい複素環基が挙げられる。該炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基、炭素原子数2〜20の1価の脂肪族不飽和炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基、及び置換基を有していてもよい1価の複素環基の具体例は、Rで表される炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基、炭素原子数2〜20の1価の脂肪族不飽和炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基、及び置換基を有していてもよい1価の複素環基の具体例と同じである。環Arで表される炭素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、シクロヘキサン環及びシクロペンタジエン環が挙げられる。
環Arで表される複素環は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基、炭素原子数2〜20の1価の脂肪族不飽和炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基、6π、10π若しくは14π電子系を形成する1価の環状化合物基及び置換基を有していてもよい1価の複素環基が挙げられる。該炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基、炭素原子数2〜20の1価の脂肪族不飽和炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基、及び置換基を有していてもよい1価の複素環基の具体例は、Rで表される炭素原子数1〜20の1価の飽和炭化水素基、炭素原子数2〜20の1価の脂肪族不飽和炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基、及び置換基を有していてもよい1価の複素環基の具体例と同じである。複素環としては、例えば、チオフェン環、フラン環、及びピロール環が挙げられる。
前記式(1)で表される構成単位、前記式(2)で表される構成単位、及び前記式(3)で表される構成単位としては、例えば、下記式で表される構成単位が挙げられる。
式中、X及びRは、前述と同じ意味を表す。
電子受容性の構成単位としては、例えば、下記式で表される構成単位が挙げられる。
前記式中、Xは、それぞれ独立に、カルコゲン又は−N(R)−で表される基を表し、Xは、それぞれ独立に、=CH−で表される基又は窒素原子を表す。Xは、それぞれ独立に、−N(R)−で表される基、−P(R)−で表される基又は−B(R)−で表される基を表す。Rは、前述と同じ意味を表す。
電子供与性材料である高分子化合物の例としては、具体的には、置換基を有していてもよいフルオレンジイル基、置換基を有していてもよいベンゾフルオレンジイル基、置換基を有していてもよいジベンゾフランジイル基、置換基を有していてもよいジベンゾチオフェンジイル基、置換基を有していてもよいベンゾジチオフェンジイル基、置換基を有していてもよいビチオフェンジイル基、置換基を有していてもよいシクロペンタジチオフェンジイル基、置換基を有していてもよいカルバゾールジイル基、置換基を有していてもよいチオフェンジイル基、置換基を有していてもよいフランジイル基、置換基を有していてもよいピロールジイル基、置換基を有していてもよいベンゾチアジアゾールジイル基、及び置換基を有していてもよいトリフェニルアミンジイル基からなる群から選ばれる1種又は2種以上の2価の基を構成単位として有し、該構成単位同士が直接結合で又は連結基を介して結合した高分子化合物が挙げられる。
電荷輸送特性を高めることができるので、高分子化合物としては共役高分子化合物が好ましい。共役高分子化合物は、(1)二重結合と単結合とが交互に並んだ構造を含む高分子化合物、(2)二重結合と単結合とが窒素原子を介して並んだ構造を含む高分子化合物、(3)二重結合と単結合とが交互に並んだ構造及び二重結合と単結合とが窒素原子を介して並んだ構造を含む高分子化合物等を意味する。共役高分子化合物としては、チオフェン環構造を有する共役高分子化合物、及びビチオフェンの3位の炭素原子と3’位の炭素原子とが、硫黄原子、酸素原子又は窒素原子を介して結合した渡環構造を有する共役高分子化合物が好ましく、構成単位としてチオフェンジイル基を有する共役高分子化合物がより好ましい。
本発明の無機・有機ハイブリッド光電変換素子の活性層に含まれる第2の活性層は、塗布法で形成することができる。換言すると、前記活性層は、有機材料を塗布法により塗布して第2の活性層を形成することが好ましい。塗布法としては、例えば、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ノズルコート法、インクジェット印刷法及びスピンコート法が挙げられる。集積モジュールの作製など、所定のパターンで塗布膜の形成を行なう場合、凹版、凸版、平版及び孔版いずれか1つの刷版を用いた印刷方法を用いることが好ましく、厚さが均一な薄膜が形成できるので、凹版を用いる印刷法の1つであるグラビア印刷法を用いることがより好ましい。大面積の光電変換素子を製造する工程など基材上の大面積である全面に均一な厚さで成膜を行なう必要がある場合には、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法及びスピンコート法が好ましい。また、例えば色彩が豊かな光電変換素子、又はデザイン性の高い光電変換素子の製造を目的とし、同一基材上で色彩の異なる有機層を微細に塗り分ける必要がある場合には、ノズルコート法又はインクジェット印刷法のいずれかを選択することができる。針状無機酸化物半導体構造を有する第1の活性層上への塗布は1回または2回以上繰り返して行ってもよい。
(拡散長とその測定方法)
活性層で光励起により生じた励起子が活性層内を拡散できる距離、すなわち拡散長は、光励起により活性層中に生じる励起状態の電子と正孔との対がクーロン力によって束縛状態となった励起子が、失活するまでに活性層内を拡散(移動)できる距離である。
拡散長は、以下の方法で求めることができる。
複数通りの厚さの模擬的な活性層を形成し、活性層に含まれる活性材料の蛍光強度を測定する。活性材料の蛍光強度を縦軸にとり、活性層の厚さを横軸にとったグラフに、活性層の厚さに対する活性材料の蛍光強度をプロットし、各プロットを結ぶ線を引く。蛍光強度を測定する装置に測定できる蛍光強度の下限の値があれば、該下限の値と該線との交点での活性層の厚さをd0とし、蛍光強度を測定する装置に測定できる蛍光強度の下限の値がなければ蛍光強度が0(ゼロ)である直線と該線との交点での活性層の厚さをd0とする。
次に、複数通りの厚さの活性層を形成した後、活性層上にフラーレンなどの蛍光を消光する材料の層を一定の厚さで形成し、活性材料の蛍光強度を測定する。活性材料の蛍光強度を縦軸にとり、活性層の厚さを横軸にとったグラフに、活性層の厚さに対する活性材料の蛍光強度をプロットし、各プロットを結ぶ線を引く。蛍光強度を測定する装置に測定できる蛍光強度の下限の値があれば、該下限の値と該線との交点での活性層の厚さをd1とし、蛍光強度を測定する装置に測定できる蛍光強度の下限の値がなければ蛍光強度が0である直線と該線との交点での活性層の厚さをd1とする。d1−d0を拡散長と定義する。
(エネルギー準位の測定)
電子供与性材料及び電子受容性材料のHOMOのエネルギー準位は、サイクリックボルタンメトリー(CV)法、光電子分光法又は紫外線光電子分光法により求めることができる。CV法で求める場合、具体的には、CV法で測定したサイクリックボルタモグラム(CV曲線)の酸化電流の立ち上がりの電位から求めることができる。
CV測定は、作用極、対極、参照電極、及び試験溶液からなる3電極系溶液セル、ならびにファンクションジェネレータ、ポテンショスタット、X−Yレコーダー、オシロスコープなどの機器を用い測定することができる。ポテンショスタットにおいて初期電位及び終了電位を0V、折り返し電位を0.6V〜1.5Vとなるように作用電極の電位を走査させ、各電位に対する電流値をプロットすることでCV曲線を得ることができる。
得られたCV曲線より、正の電流値が流れ始める立ち上がり電位ピークに基づいて電子供与性材料及び電子受容性材料のHOMOのエネルギー準位を得ることができる。本発明において、具体的には、以下の方法によりHOMO準位のエネルギーを求めることができる。
まず電子供与性材料又は電子受容性材料を0.8重量%の濃度で溶解させたクロロホルム溶液をスピンコート法によりグラファイト板上に均一に塗布することで作用極を得た。
3電極系溶液セルは、前記作用極及び対極としての白金線、参照電極としての銀−銀イオン電極、電解液としての0.1N−テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート含有アセトニトリル溶液から構成することができる。CV測定は、前記3電極系溶液セルを、内部の雰囲気を窒素ガスで置換したグローブボックス内で保持し、測定機器として電位走印機能付きのポテンショスタットを用いて行なうことができる。
真空準位に対する標準水素電極の電位が−4.44eVとされていることから、銀−塩化銀電極の標準水素電極を基準とした電極電位から−4.8eVとして、CV法で測定した酸化電位から電子供与性材料のHOMOのエネルギー準位を求めることができる。
電子供与性材料のHOMO及び針状無機酸化物半導体構造を有する第1の活性層を構成する電子受容性材料の価電子帯のエネルギー準位は、大気下での光電子分光法や紫外線光電子分光法により求めることもできる。光電子分光法で求める場合、例えば、理研計器製のAC−2等の装置を用いることができる。
本発明における電子供与性材料のLUMO、及び第1の活性層を構成する無機酸化物半導体の価電子帯のエネルギー準位は、それらの光透過スペクトルの長波長側における吸収端波長(λ)から見積もられるバンドギャップ(Eg、算出式:Eg=1240/λ)と、前記CV法等により求められたHOMOのエネルギー準位との和で見積もることができる。光透過スペクトルの測定方法として、例えば、0.8重量%の濃度で電子供与性材料を溶解させたクロロホルム溶液をスピンコート法により透明ガラス板上に成膜した試料を用い、分光光度計を用い測定することができる。また、第1の活性層を構成する無機酸化物半導体のLUMOのエネルギー準位も、光吸収から求めることができる。
または、還元電流を測定するCV法によりLUMOのエネルギー準位を求めることもできる。還元電流の立ち上がり電位を測定することで、酸化電流からHOMOのエネルギー準位を求める方法と同様にしてLUMOのエネルギー準位を求めることができる。
(無機・有機ハイブリッド光電変換素子)
本発明の無機・有機ハイブリッド光電変換素子は、第1の電極と、第2の電極と、該第1の電極と該第2の電極との間に設けられており、第1の活性層及び該第1の活性層に接触している第2の活性層とを備え、前記第1の活性層は、前記第2の活性層と接触する面から前記第2の活性層の厚さ内に突出し、長さが50nm〜1000nmの範囲であり、アスペクト比が15以下である複数の針状無機酸化物半導体構造を含み、前記第2の活性層は有機材料を含み、前記第2の活性層の厚さが前記針状無機酸化物半導体構造の長さの2倍以下である。
本発明の無機・有機ハイブリッド光電変換素子において、第1の活性層の針状無機酸化物半導体構造の表面には、第2の活性層の有機材料が接合しており、該有機材料の最低非占有軌道のエネルギー準位の絶対値が、針状無機酸化物半導体構造を構成する無機酸化物の伝導帯の下端のエネルギー準位の絶対値より小さい。換言すると、第2の活性層から電子が第1の活性層に注入される場合、第2の活性層に用いられる電子供与性材料の最低空軌道のエネルギー準位の絶対値が針状無機酸化物半導体構造を構成する無機酸化物の伝導帯の下端のエネルギー準位の絶対値よりも小さいことが好ましい。
また、第2の活性層に用いられる電子供与性材料の最高占有軌道のエネルギー準位の絶対値は、無機酸化物半導体の価電子帯の上端のエネルギー準位の絶対値よりも大きいことが好ましい。
また、本発明の無機・有機ハイブリッド光電変換素子は、第2の活性層とそれに近接する電極との間に、正孔を第2の活性層から選択的に取り出す特性を有する中間層、第2の活性層上に電極を成膜する際の成膜性、成膜された膜より下層の膜へのダメージを低減する特性を有する中間層など、発電特性、プロセス耐久性などを高める機能を有する中間層を有することも可能である。前記中間層は、蒸着法、スパッタリング法、レーザーアブレーション法などの気相法、ゾルゲル法、スプレーコート法、印刷法、塗布法などの湿式法等を用いて形成することができる。正孔を選択的に取り出す特性を有する中間層としては、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)/ポリスチレンスルホン酸複合体を含む層等が挙げられる。
本発明の無機・有機ハイブリッド光電変換素子は、透明又は半透明である電極側から太陽光等の光を入射させることにより、電極間に光起電力を発生させることができる。無機・有機ハイブリッド光電変換素子を複数集積することにより無機・有機ハイブリッド光電変換素子モジュールとして用いることもできる。
本発明の無機・有機ハイブリッド光電変換素子は、電極間に電圧を印加した状態で、透明又は半透明の電極から光を入射させることにより、光電流を流し、光センサーとして動作させることができる。さらに、前記光センサーを受光部とし、前記光センサーが生成する信号電流による出力を検知し、その信号電荷を読み出す駆動回路部と、前記光センサーと前記駆動回路とを結ぶ配線を備える、イメージセンサーとして用いることができる。
前記光センサーは、検出する光の色選択性を持たせるため、光入射面側にカラーフィルターを具備させて用いることができ、あるいは光の3原色の各々に対して選択性の強い光吸収特性を有する複数種の光センサーを用いることもできる。
前記駆動回路は、単結晶シリコンを用いたトランジスタで形成されたICチップ、又は多結晶シリコン、アモルファスシリコン、セレン化カドミウムなどの化合物半導体、及びペンタセンなどの共役系有機化合物半導体などを用いた薄膜トランジスタで構成される回路を用いることができる。前記イメージセンサーは、スキャナ、デジタルカメラ、デジタルビデオなどの撮影素子として用いることができる。前記イメージセンサーは、電荷結合素子(CCD)、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)を用いた既存のイメージセンサーに比べ、製造コストが安い、設置面積が小さいなどの利点が期待できる。また、活性層に含まれる共役系化合物の多様性により、様々な光感度特性をもつ光センサーを得ることができるため、用途に応じた性能をもつイメージセンサーを提供することができる。
(太陽電池モジュール)
無機・有機ハイブリッド光電変換素子は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造として用い得る。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上に光電変換素子が構成され、その上を充填樹脂、保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上に光電変換素子を形成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明の無機・有機ハイブリッド光電変換素子を適用した太陽電池モジュールでも使用目的、使用場所および環境により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
代表的なスーパーストレートタイプあるいはサブストレートタイプのモジュールは、片側または両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定間隔に無機・有機ハイブリッド光電変換素子が配置され、隣り合う無機・有機ハイブリッド光電変換素子同士が金属リードまたはフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り出す構造となっている。
基板と無機・有機ハイブリッド光電変換素子との間には、光電変換素子の保護、集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルムまたは充填樹脂の形で用いてもよい。また、外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成し、または上記充填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくすことが可能である。支持基板の周囲は、内部の密封およびモジュールの剛性を確保するため金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、光電変換素子自体、支持基板、充填材料および封止材料に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。
ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いた太陽電池モジュールの場合、ロール状の支持体を送り出しながら順次に光電変換素子を形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより太陽電池モジュールを製造できる。また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48,p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太陽電池モジュールは曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示す。本発明は下記実施例に限定されるものではない。
合成例1(高分子化合物Aの製造)
下記式(1)で表される単量体(1)と下記式(2)で表される単量体(2)とを用いて高分子化合物Aを得た。
反応容器に、単量体(1)を0.945g(1.60mmol)、単量体(2)を0.918g(2.00mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を25mg仕込み、反応容器内の空気をアルゴンガスで置換した。該反応容器に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気したトルエンを50g加えた。得られた溶液を、100℃で約10分間攪拌した。次に、得られた溶液に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気した20重量%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を5mL滴下した後、3.5時間還流した。次に、得られた反応溶液に、フェニルホウ酸0.55gを加えた後、8.5時間還流した。なお、反応は、アルゴンガス雰囲気下で行った。
反応終了後、反応溶液を室温(25℃)で冷却した後、得られた反応溶液を静置し、トルエン層を分液した。次いで、得られたトルエン層をメタノール中に注ぎ込み、高分子化合物を再沈させ、生成した高分子化合物を集めた。該高分子化合物を減圧乾燥させた後、クロロホルムに溶解させた。次に、得られたクロロホルム液を濾過し、不溶物を除去した後、アルミナカラムに通し、精製した。次に、得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮させた後、メタノール中に注ぎ込み、高分子化合物を再沈させ、生成した高分子化合物を集めた。該高分子化合物をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、0.93gの高分子化合物を得た。以下、該高分子化合物を高分子化合物Aという。高分子化合物Aのポリスチレン換算の重量平均分子量は2.0×10であり、ポリスチレン換算の数平均分子量は4.7×10であった。
高分子化合物AのHOMO準位及びLUMO準位を大気中光電子分光装置(AC−2、理研計器製)で測定した。高分子化合物AのHOMO準位は−5.5eVであり、LUMO準位は−3.6eVであった。
合成例2(高分子化合物Bの合成)
下記式(1)で表される単量体(1)と下記式(3)で表される単量体(3)とを用いて高分子化合物Bを得た。
単量体(2)に代えて単量体(3)を用いた以外は合成例1と同様に重合を行い、高分子化合物Bを得た。高分子化合物Bのポリスチレン換算の重量平均分子量は1.6×10であった。
高分子化合物BのHOMO準位及びLUMO準位を大気中光電子分光装置(AC−2、理研計器製)で測定した。高分子化合物BのHOMO準位は−5.4eVであり、LUMO準位は−3.1eVであった。
ポリ(3−へキシルチオフェン)は、Aldrich製のポリ(3−へキシルチオフェン)(純度99.95%、レジオレギュラー、ポリスチレン換算の数平均分子量は15000〜45000)を用いた。ポリ(3−へキシルチオフェン)のHOMO準位は−4.7eVであり、LUMO準位は−2.7eVであった。
実施例1
(無機・有機ハイブリッド光電変換素子の作製)
メトキシエタノールに、無水酢酸亜鉛とモノメタノールアミンとをそれぞれ濃度が0.5mol/Lとなるように溶解させた溶液を調製した。ガラス板上にパターン形成されたインジウム錫酸化物(ITO)透明電極上に、得られた溶液を2000rpm、30秒間のスピンコート法により塗布した。この塗布を2回繰り返した。その後170℃で10分間、空気中で加熱処理した。以上の工程により30nm〜38nmの酸化亜鉛膜を形成し、これを種層とした。
次いで、硝酸亜鉛六水物とヘキサンメチレンテトラミンとをそれぞれ濃度が0.05mol/Lとなるように調製した水溶液に、種層を備える基板を浸漬し、90℃で1時間放置する水熱合成工程を行った。
以上の工程により、種層に酸化亜鉛ナノロッドを形成した(以下、酸化亜鉛ナノロッドが形成された種層を総称して酸化亜鉛ナノロッド層という。)。この「酸化亜鉛ナノロッド層」が第1の活性層に相当し、「酸化亜鉛ナノロッド」が針状無機酸化物半導体構造に相当する。
酸化亜鉛ナノロッドの直径は16nm〜25nm(直径の平均値20nm)であり、長さは240nmであった。直径と長さとから求められたアスペクト比は12であった。
図1に、実施例1で得られた酸化亜鉛ナノロッド層の断面の走査型電子顕微鏡像を示す。
形成された酸化亜鉛ナノロッド層に対し、X線回折を行ったところ、(100)面と(200)面との回折強度の比は1.4であった。酸化亜鉛ナノロッドは、C軸の延在方向がガラス板(酸化亜鉛ナノロッド層)の厚さ方向に対して直交する方向となるように配向していた。酸化亜鉛ナノロッドの伝導体の下端のエネルギー準位は−4.4eVであった。
ポリ(3−へキシルチオフェン)(P3HTと称する。)として、Aldrich製のポリ(3−へキシルチオフェン)(純度99.95%、レジオレギュラー、ポリスチレン換算の数平均分子量15000〜45000)を用い、まず、15.1mgのP3HTをクロロホルムに溶解させ、この溶解液を0.2μmのフィルターでろ過したのち、酸化亜鉛ナノロッド膜上に回転数1000rpmでのスピンコート法により塗布して200nmの厚さに成膜した。P3HTのHOMO準位は−4.7eVであり、LUMO準位は−2.7eVであり、その励起子拡散長は13nmであった。
次いで、真空蒸着法により圧力を2×10−5Torrとして、Agを厚さ100nmとして蒸着した。
以上の工程により、実施例1の無機・有機ハイブリッド光電変換素子を得た。
無機・有機ハイブリッド光電変換素子の光電変換効率及び短絡電流密度は、ソーラシミュレーター(分光計器製、商品名「CEP−015型、放射照度100mW/cm」)を用いて一定の光を照射し、発生する電流と電圧とから求めた。短絡電流密度Jscは1.06mA/cmであり、開放電圧VOCは0.323Vであり、曲線因子FFは0.456であり、光電変換効率は0.156%であった。この無機・有機ハイブリッド光電変換素子の暗時の電流・電圧曲線を求めたところ良好な整流性を示した。
実施例2
水熱合成工程を90分間行った以外は実施例1と同様にして、無機・有機ハイブリッド光電変換素子を作成した。形成された酸化亜鉛ナノロッドの直径は20nm〜30nm(平均25nm)であり、長さは約270nmであった。平均直径及び長さから求められたアスペクト比は約11であった。
図2に、実施例2で得られた酸化亜鉛ナノロッド層の断面の走査型電子顕微鏡像を示す。
形成された酸化亜鉛ナノロッド層に対し、X線回折を行ったところ、(100)面と(200)面との回折強度の比は7.44であった。酸化亜鉛ナノロッドは、C軸の延在方向がガラス板の厚さ方向に対して直交する方向となるように配向していた。酸化亜鉛ナノロッドの伝導体の下端のエネルギー準位は−4.4eVであった。
形成された無機・有機ハイブリッド光電変換素子の短絡電流密度Jscは1.441mA/cmであり、開放電圧VOCは0.048Vであり、曲線因子FFは0.28であり、光電変換効率は0.019%であった。実施例2の無機・有機ハイブリッド光電変換素子は、高いJscを示すことを確認した。
実施例3
水熱合成工程を20分間行った以外は実施例1と同様にして、無機・有機ハイブリッド光電変換素子を作成した。形成された酸化亜鉛ナノロッドの平均直径は約30nmであり、長さは約80nmであった。平均直径及び長さから求められたアスペクト比は2.7であった。
図3に、実施例3で得られた酸化亜鉛ナノロッド層の断面の走査型電子顕微鏡像を示す。
形成された酸化亜鉛ナノロッド層に対し、X線回折を行ったところ、(100)面と(200)面との回折強度の比は0.83であった。酸化亜鉛ナノロッドは、C軸の延在方向がガラス板の厚さ方向に対して直交する方向となるように配向していた。酸化亜鉛ナノロッドの伝導体の下端のエネルギー準位は−4.4eVであった。
形成された無機・有機ハイブリッド光電変換素子の短絡電流密度Jscは0.342mA/cmであり、開放電圧VOCは0.544Vであり、曲線因子FFは0.40であり、光電変換効率は0.074%であった。実施例3の無機・有機ハイブリッド光電変換素子は、高い光電変換効率を示すことを確認した。
実施例4
酸化亜鉛ナノロッドを有する基板の上に、高分子化合物Aを塗布し、実施例1と同様に無機・有機ハイブリッド光電変換素子を作成すると、高い短絡電流密度Jscと光電変換効率を示す。
実施例5
酸化亜鉛ナノロッドを有する基板の上に、高分子化合物Bを塗布し、実施例1と同様に無機・有機ハイブリッド光電変換素子を作成すると、高い短絡電流密度Jscと光電変換効率を示す。
酸化亜鉛ナノロッドの長さ(酸化亜鉛ナノロッド長)と短絡電流密度との関係を示すグラフを図4に示す。図4から明らかなように、酸化亜鉛ナノロッド長と短絡電流密度の大きさには相関関係が認められ、酸化亜鉛ナノロッド長が大きくなるに従って短絡電流密度が大きくなっていることが確認された。
比較例1
水熱合成工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして、無機・有機ハイブリッド光電変換素子を作成した。比較例1の無機・有機ハイブリッド光電変換素子では、酸化亜鉛ナノロッド層が生成していないことをSEM観察で確認した。
比較例1の無機・有機ハイブリッド光電変換素子の短絡電流密度Jscは0.14mA/cmであり、開放電圧VOCは0.3Vであった。比較例1の無機・有機ハイブリッド光電変換素子の短絡電流密度Jscは低い値に留まった。
比較例2
水熱合成工程を18時間行った以外は実施例1と同様にして、無機・有機ハイブリッド光電変換素子を作成した。比較例2の酸化亜鉛ナノロッドの長さは約3.3μmであった。形成された酸化亜鉛ナノロッド膜に対し、X線回折を行ったところ、(100)面と(200)面との回折強度の比は42.8であり、酸化亜鉛ナノロッドは、C軸の延在方向がガラス板の厚さ方向に対して直交する方向となるように配向していた。
比較例2の無機・有機ハイブリッド光電変換素子の特性は、電気的な短絡のために測定できなかった。

Claims (10)

  1. 第1の電極と、第2の電極と、該第1の電極と該第2の電極との間に設けられており、第1の活性層及び該第1の活性層に接触している第2の活性層を有する活性層とを備え、
    前記第1の活性層は、前記第2の活性層と接触する面から前記第2の活性層の厚さ内に突出し、長さが50nm〜1000nmの範囲であり、アスペクト比が15以下である複数の針状無機酸化物半導体構造を含み、
    前記第2の活性層は有機材料を含み、
    前記第2の活性層の厚さが前記針状無機酸化物半導体構造の長さの2倍以下である、無機・有機ハイブリッド光電変換素子。
  2. 前記針状無機酸化物半導体構造を構成する無機酸化物が、n型の半導体特性を示す、チタン酸化物、錫酸化物、亜鉛酸化物、及びニッケル酸化物からなる群から選ばれる単独の酸化物あるいは混合の酸化物から構成される、請求項1に記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子。
  3. 前記針状無機酸化物半導体構造の表面には、前記第2の活性層の有機材料が接合しており、該有機材料の最低非占有軌道のエネルギー準位の絶対値が、前記針状無機酸化物半導体構造を構成する無機酸化物の伝導帯の下端のエネルギー準位の絶対値より小さい、請求項1または2に記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子。
  4. 該第2の活性層に含まれる有機材料が、光励起により生じた励起子が前記第2の活性層内を拡散できる距離を最小でも10nmとする材料である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子を含む、太陽電池モジュール。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子を含む、イメージセンサー。
  7. 前記針状無機酸化物半導体構造が、金属イオンを含む溶液を用いる水熱合成法により形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子の製造方法。
  8. 前記針状無機酸化物半導体構造が、金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩あるいは有機酸塩、または有機金属化合物を加水分解することで、無機酸化物膜を形成し、該無機酸化物膜上に、前記金属イオンを含む溶液を用いる水熱合成法により形成される、請求項7に記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子の製造方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子の製造方法において、
    有機材料を塗布法により塗布して前記第2の活性層を形成することにより前記活性層を形成する、無機・有機ハイブリッド光電変換素子の製造方法。
  10. 前記塗布法が、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ノズルコート法、インクジェット印刷法又はスピンコート法である、請求項9に記載の無機・有機ハイブリッド光電変換素子の製造方法。
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