JP2014179288A - 蓄電素子および蓄電素子の製造方法 - Google Patents

蓄電素子および蓄電素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】封止栓を注液部に溶接する際に、封止栓が浮くことを防止する。
【解決手段】蓄電素子は、発電要素が収容された容器と、容器の一側面に設けられ、電解液を注入する注液孔111を有する注液部110と、注液孔111を封止する封止栓120とを備える。注液孔111は、容器の一側面に凹設された凹部112の底面に設けられている。封止栓120は、注液孔111に挿入される挿入部121と、凹部112に嵌合される嵌合部122とを有している。少なくとも嵌合部122の周縁部および凹部112の開口周縁部のいずれか一方における所定位置1Aには塑性変形部127が形成されている。封止栓120は注液部110に対して塑性変形部127の反対側に偏心して配置され、嵌合部122の外周側面122oと凹部112の内周側面112iとは全周に亘って溶接されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、蓄電素子および蓄電素子の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池などの二次電池は、電池缶内に発電要素が収容され、電解液が注入されている。電池缶は、電池蓋により密封されている。電解液は電池蓋に設けられた注液部から電池缶内に注入され、注入後、注液部は封止栓により封止される。封止栓は、注液部に挿入され、通常、レーザ溶接などにより注液部に接合される。
封止栓の注液部への挿入性を考慮した場合、注液部と封止栓との間には隙間が必要となる。しかしながら、この隙間が大きすぎると、隙間を封止するための溶接金属が不足して、溶接金属に割れ等の溶接欠陥が生じる可能性がある。
特許文献1には、封止栓の外表面などに溶接時に溶融される突起が設けられた電池が開示され、溶接の際に、突起の溶融金属(溶融池)を利用して封止栓を注液部に溶接する方法が開示されている。
特開2012−18861号公報
レーザ溶接や電子ビーム溶接等により封止栓を注液部に溶接する方法では、所定の位置を溶接開始点として、封止栓の外周に沿って溶接が行われる。このため、周方向に溶接が行われる過程において、溶接開始点において溶融された金属が凝固収縮を起こし、これに伴い封止栓が浮いてしまうおそれがある。
請求項1に記載の蓄電素子は、発電要素が収容された容器と、容器の一側面に設けられ、電解液を注入する注液孔を有する注液部と、注液孔を封止する封止栓とを備え、注液孔は、容器の一側面に凹設された凹部の底面に設けられ、封止栓は、注液孔に挿入される挿入部と、凹部に嵌合される嵌合部とを有し、少なくとも嵌合部の周縁部および凹部の開口周縁部のいずれか一方の所定位置に塑性変形部が形成され、封止栓が注液部に対して塑性変形部の反対側に偏心して配置され、嵌合部の外周側面と凹部の内周側面とが全周に亘って溶接されていることを特徴とする。
請求項4に記載の蓄電素子の製造方法は、容器内に発電要素を収容する収容工程と、容器の一側面に凹設された凹部の底面に設けられた注液孔から容器内に電解液を注入する注液工程と、封止栓により注液孔を封止する封止工程とを含む蓄電素子の製造方法であって、封止工程は、封止栓に設けられた挿入部を注液孔に挿入し、封止栓に設けられた嵌合部を凹部に嵌合する配置工程と、少なくとも嵌合部の周縁部および凹部の開口周縁部のいずれか一方における第1の位置を容器の外方から押圧して塑性変形部を形成するとともに、封止栓を注液部に対して塑性変形部の反対側に偏心させて仮止めする仮止め工程と、嵌合部の外周側面と凹部の内周側面とを、全周に亘って溶接する溶接工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、封止栓を注液部に溶接する際に、封止栓が浮くことが防止され、封止の信頼性を向上することができる。
本発明に係る蓄電素子の一実施の形態としての角形二次電池の外観斜視図。 図1に示された角形二次電池の分解斜視図。 図2に示された発電要素を、その捲回終端部側を展開した状態の斜視図。 封止栓と注液部とを示す封止構造の拡大分解斜視図。 (a)は封止栓が注液部に配置された状態を示す断面模式図、(b)は封止栓が注液部に仮止めされた状態を示す断面模式図。 (a)は封止栓が注液部にレーザ溶接される様子を示す断面模式図、(b)は封止栓が注液部に溶接された後の状態を示す断面模式図。 (a)は封止栓が注液部に配置された状態を示す平面模式図、(b)は封止栓が注液部に仮止めされた状態を示す平面模式図。 (a)および(b)は封止栓が注液部にレーザ溶接される様子を示す平面模式図。 封止栓が注液部に溶接された後の状態を示す平面模式図。 第2の実施の形態に係る蓄電素子における封止栓による注液孔の封止方法を説明する断面模式図。 第3の実施の形態に係る蓄電素子における封止栓による注液孔の封止方法を説明する平面模式図。 第1の実施の形態の変形例に係る蓄電素子における封止栓による注液孔の封止方法を説明する断面模式図。 第2の実施の形態の変形例に係る蓄電素子における封止栓による注液孔の封止方法を説明する断面模式図。 変形例に係る蓄電素子において、複数の塑性変形部が形成された封止栓と、注液部とを示す図。
以下、この発明の蓄電素子および蓄電素子の製造方法の一実施形態を図面を参照して説明する。
−第1の実施の形態−
図1は本発明に係る蓄電素子の一実施の形態としての角形二次電池の外観斜視図であり、図2は図1に示された角形二次電池の分解斜視図である。以下の説明では、角形二次電池をリチウムイオン角形二次電池として説明する。なお、説明の便宜上、図示するように上下方向を規定する。
図1に示すように、角形二次電池100は、電池缶101と電池蓋102とから構成される角形の電池容器(容器)103を備えている。電池缶101および電池蓋102の材質は、たとえば、アルミニウムまたはアルミニウム合金などのアルミニウム系金属である。
電池蓋102は、矩形平板状であって、電池缶101の開口部101d(図2参照)を塞ぐように接合されている。つまり、電池蓋102は、電池缶101を封止している。電池蓋102には、正極端子141および負極端子151が配設されている。電池蓋102には、ガス排出弁104が設けられている。ガス排出弁104は、たとえば、プレス加工によって電池蓋102を部分的に薄肉化することで形成される。ガス排出弁104には、開裂時に大きな開口が形成されるように開裂溝が形成されている。ガス排出弁104は、角形二次電池100が過充電等の異常により発熱して内部にガスが発生し、電池容器103内の圧力が上昇して所定圧力に達したときに開裂して、内部からガスを排出することで電池容器103内の圧力を低減させる。
電池蓋102には、電池容器103内に電解液を注入する注液孔111を有する注液部110(図4参照)が形成されている。電解液としては、たとえば、エチレンカーボネート等の炭酸エステル系の有機溶媒に6フッ化リン酸リチウム(LiPF)等のリチウム塩が溶解された非水電解液を用いることができる。
注液孔111は、電池容器103の内外を連通する貫通孔であって、電解液が注入された後に封止栓120により封止される。封止栓120による注液孔111の封止構造ならびに封止方法の詳細については後述する。
図2に示すように、電池缶101には発電要素170が収容されている。電池缶101は、一対の幅広面101aと一対の幅狭面101bと底面101cとを有し、上面が開口された矩形箱状に形成されている。発電要素170は、絶縁ケース108に覆われた状態で電池缶101内に収容されている。絶縁ケース108の材質は、ポリプロピレン等の絶縁性を有する樹脂である。これにより、電池缶101と、発電要素170とは電気的に絶縁されている。
正極端子141は正極集電体181を介して発電要素170の正極電極174に電気的に接続され、負極端子151は負極集電体182を介して発電要素170の負極電極175に電気的に接続されている。これにより、正極端子141および負極端子151を介して外部負荷に電力が供給され、あるいは、正極端子141および負極端子151を介して外部発電電力が発電要素170に供給されて充電される。
電池蓋組立体107は、電池蓋102と、電池蓋102に設けられた一対の貫通孔102hのそれぞれに取り付けられた正極端子141および負極端子151と、正極集電体181および負極集電体182と、一対のガスケット150と、一対の絶縁部材160とを含んで構成されている。
正極端子141および正極集電体181の材質はアルミニウムまたはアルミニウム合金である。負極端子151および負極集電体182の材質は銅または銅合金である。絶縁部材160およびガスケット150の材質は、ポリブチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイド、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂等の絶縁性を有する樹脂である。
図3を参照して、発電要素170について説明する。図3は、図2に示された発電要素170を、その捲回終端部側を展開した状態の斜視図である。
蓄電要素でもある発電要素170は、図3に示すように、長尺状の正極電極174および負極電極175を、セパレータ173を介在させて捲回軸Uの周りに扁平形状に捲回することで積層構造とされている。すなわち、発電要素170は、断面が半円弧形状の円弧部が両端に形成され、両端部間がほぼ平坦な平坦部とされた扁平形状の捲回電極群である。
正極電極174は、正極箔171と、正極活物質に結着材(バインダ)を配合した正極活物質合剤が正極箔171の両面に塗工されて形成された正極活物質合剤層176とを有する。負極電極175は、負極箔172と、負極活物質に結着材(バインダ)を配合した負極活物質合剤が負極箔172の両面に塗工されて形成された負極活物質合剤層177とを有する。正極活物質と負極活物質との間では、充放電が行われる。
正極箔171は、厚さ20〜30μm程度のアルミニウム合金箔であり、負極箔172は、厚さ15〜20μm程度の銅合金箔である。セパレータ173の素材は多孔質のポリエチレン樹脂である。正極活物質はマンガン酸リチウム等のリチウム含有遷移金属複酸化物であり、負極活物質はリチウムイオンを可逆に吸蔵、放出可能な黒鉛等の炭素材である。
発電要素170の幅方向(捲回方向に直交する捲回軸U方向)の両端部は、一方は正極活物質合剤層176が形成されていない未塗工部(正極箔171の露出部)が積層された部分とされている。また、他方は負極活物質合剤層177が形成されていない未塗工部(負極箔172の露出部)が積層された部分とされている。正極側未塗工部の積層体および負極側未塗工部の積層体は、それぞれ予め押し潰され、それぞれ、電池蓋組立体107の正極集電体181および負極集電体182(図2参照)と超音波接合により接続され、電池蓋組立体107に一体化される。
封止栓120と注液部110の形状について説明する。図4は封止栓120と注液部110とを示す封止構造の拡大分解斜視図である。
注液部110は、電池蓋102の外表面に凹設された円形の凹部112と、凹部112の底面112bから電池蓋102の厚さ方向に貫通して形成された円形の注液孔111とを有する。凹部112と注液孔111とは同心円に形成されている。換言すれば、注液部110は、大径開口部を構成する凹部112と、小径開口部を構成する注液孔111とを有する段付き孔である。凹部112は、電池容器103の一側面を構成する電池蓋102の上面(電池容器103の外部)側において、電池容器103の内方に向かって窪むように設けられている。凹部112は、たとえば、座ぐり加工により形成される。凹部112は、底面112bと、底面112bの外周端から立ち上がる側面(以下、内周側面112iと記す)とを有する。凹部112の底面112bは、封止栓120の鍔部(嵌合部)122の下面が当接される面とされる。
封止栓120は、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金等のアルミニウム系金属により形成される。封止栓120は、底部121aを有する円筒状の筒部121と、筒部121の上部外周に形成された円環状の鍔部122とを有する。鍔部122と筒部121とは同心円に形成されている。換言すれば、封止栓120は、大径部を構成する鍔部122と、小径部を構成する筒部121とを有する段付き形状を呈している。鍔部122の周縁部は、封止栓120が注液部110に配置されたときに、電池蓋102の外表面から上方(電池容器103の外方)に向かって突出する突起部122aとされ(図5参照)、突起部122aは鍔部122の全周に亘って設けられている。封止栓120の筒部121および鍔部122の中央部には、鍔部122側が開口された中空部125が形成され、封止栓120はほぼハット型形状を呈している。
第1の実施の形態に係る角形二次電池100の製造方法について説明する。角形二次電池100の製造方法は、電池容器内に発電要素170を収容する収容工程と、注液孔111から電池容器内に電解液を注入する注液工程と、封止栓120により注液孔111を封止する封止工程とを含む。
−収容工程−
電池蓋組立体107に一体化された発電要素170を、電池缶101内に収容された絶縁ケース108内に収容する。このとき、捲回軸Uが電池缶101の底面101cに平行となるように、かつ、一対の平坦部が電池缶101の幅広面101aに平行となるように、発電要素170を電池缶101内に収容する。電池缶101の開口部101dを、電池蓋組立体107の電池蓋102によって閉塞し、電池蓋102の周縁をレーザ溶接等により電池缶101の開口周縁に接合する。
−注液工程−
電池蓋102が上側になるように電池容器103を図示しない平面台上に載置し、電池容器内部の減圧と電解液注入の2つの機能を持った注液用治具(不図示)を注液孔111に取り付ける。電池容器103の内圧がたとえば27kPa程度になるまで減圧し、その後、所定量の電解液を注入する。
−封止工程−
封止栓120により注液孔111を封止する封止工程は、封止栓120を注液部110に配置する配置工程と、封止栓120を注液部110に仮止めする仮止め工程と、注液部110に封止栓120を溶接して注液孔111を封止する溶接工程とを含んでいる。
図5〜図9を参照して、注液孔111を封止栓120で封止する封止方法、ならびに、封止構造の詳細について説明する。図5および図6は注液孔111の封止構造を示す断面模式図であり、図1のV−V線切断断面を示している。図7〜図9は、電池蓋102を上方から見た平面模式図である。図5(a)および図7(a)は封止栓120が注液部110に配置された状態を示し、図5(b)および図7(b)は封止栓120が注液部110に仮止めされた状態を示している。図6(a)および図8(a),(b)は封止栓120が注液部110に溶接される様子を示している。図6(b)および図9は封止栓120が注液部110に溶接された後の状態を示している。なお、便宜上、図示するように、上下方向をZ方向とし、捲回軸U方向をY方向とし、Z方向およびY方向のそれぞれに直交する方向をX方向として説明する。
−配置工程−
封止栓120を注液部110に配置する配置工程では、図5(a)および図7(a)に示すように、注液孔111に封止栓120の筒部(挿入部)121を挿入し、凹部112に鍔部(嵌合部)122を嵌合する。図5(a)に示すように、封止栓120の大径部を構成する鍔部122の外径do1は、注液部110の大径開口部を構成する凹部112の内径Di1よりも僅かに短い(do1<Di1)。封止栓120の小径部を構成する筒部121の外径do2は、注液部110の小径開口部を構成する注液孔111の内径Di2よりも僅かに短い(do2<Di2)。このため、封止栓120が注液部110に配置された状態では、鍔部(大径部)122の外周側面122oと凹部(大径開口部)112の内周側面112iとの間に隙間c1が形成され、筒部(小径部)121の外周側面121oと注液孔(小径開口部)111の内周側面111iとの間に隙間c2が形成される。なお、隙間c2の長さは、隙間c1の長さと同一か僅かに長くなるように設定される(Di1−do1≦Di2−do2)。
−仮止め工程−
封止栓120を注液部110に仮止めする仮止め工程では、図5(a)および図5(b)に示すように、鍔部122の周縁部を構成する突起部122aの所定位置(以下、第1の位置1Aと記す)を、押圧治具190によって上方(電池容器103の外方)から押圧して塑性変形部127を形成する。
押圧治具190は、立方体形状の押圧部191を有し、押圧部191の下面は平坦な面とされている。押圧部191の下面を突起部122aの上面に当接させて下方に押圧すると、図5(b)および図7(b)に示すように、第1の位置1Aにおいて、突起部122aが上下方向(Z方向)に圧縮されるとともに径方向外方(+X方向)に張り出すように変形し、塑性変形部127が形成される。突起部122aが変形し、+X方向に張り出すと、塑性変形部127の外周側面が凹部112の内周側面112iに当接し、塑性変形部127の外周側面に凹部112の内周側面112iからの反力が作用する。封止栓120の鍔部122と凹部112との間には隙間c1が形成され、筒部121と注液孔111との間には隙間c2が形成されているため、凹部112の内周側面112iからの反力が塑性変形部127の外周側面に作用すると、封止栓120が−X方向に移動する。
図7(b)に示すように、封止栓120が−X方向に所定距離だけ移動すると、注液孔111を挟んで塑性変形部127に対向する位置(以下、第2の位置1Bと記す)において、封止栓120の外周側面122oと凹部112の内周側面112iとが当接する。つまり、第2の位置1Bにおける鍔部122の外周側面122oと凹部112の内周側面112iとが線接触される。
押圧治具190による押圧作業が完了すると、塑性変形部127の外周側面は凹部112の内周側面112iに密着される。つまり、第1の位置1Aにおける鍔部122の外周側面122oを構成する塑性変形部127の外周側面は、凹部112の内周側面112iに面接触されている。
このように、封止栓120の鍔部122の外周側面122oと、注液部110の凹部112の内周側面112iとが、第1の位置1Aにおいて面接触し、第2の位置1Bにおいて線接触し、封止栓120が注液部110に対して塑性変形部127の反対側(−X方向)に偏心して配置された状態で、封止栓120は仮止めされる。換言すれば、図7(b)に示すように、封止栓120は、封止栓120の中心軸O1が注液孔111の中心軸O2に対して線接触部CP側に位置し、第1の位置1Aおよび第2の位置1Bにおいて注液部110により挟持された状態で固定されている。
−溶接工程−
電池蓋102に封止栓120を溶接する溶接工程では、たとえば、図示しないYAGパルスレーザ溶接機を用い、1パルスのエネルギーを6J、パルス周波数を60パルス/sec、平均出力を360W、溶接速度を10mm/secとしてレーザ光196を照射する。レーザ溶接の開始点(以下、溶接開始点SPと記す)は、図6(a)および図8(a)に示すように、第2の位置1Bに設定され、第2の位置1Bにおける鍔部122の外周側面122oと凹部112の内周側面112iとの境界に向けて、電池蓋102の外表面に対して垂直方向(−Z方向)にレーザ光196が照射される。つまり、第1の実施の形態では、溶接開始点SPと、線接触部CPとが一致している。
図8(b)に示すように、溶接開始点SPから鍔部122の外周側面122oに沿って、鍔部122の外周側面122oと凹部112の内周側面112iとを全周に亘って溶接する。溶接開始点SPから鍔部122の外周側面122oに沿ってレーザ光の照射領域197を移動させると、その移動中に溶接作業が終了した部分における溶融池が徐々に凝固する。本実施の形態では、封止栓120が注液部110に仮止めされているため、溶融池が生成される際の膨張や溶融池が凝固する際の収縮によって、封止栓120が浮いてしまうことが防止され、図9に示すように封止栓120の全周に亘って良好な溶接金属Wを形成することができる。
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)鍔部122の周縁部の第1の位置1Aを電池容器103の外方から押圧して塑性変形部127を形成するとともに、封止栓120を注液部110に対して塑性変形部127の反対側に偏心させて仮止めし、鍔部122の外周側面122oと凹部112の内周側面112iとを、全周に亘って溶接した。これにより、封止栓120を注液部110に溶接する際に、封止栓120が電池蓋102から浮くことが防止され、注液部110に対する封止栓120の封止の信頼性を向上することができる。
これに対して、たとえば、図5(a)に示す封止栓120が注液部110に遊嵌されている状態でレーザ溶接を行う場合は、溶接開始点において溶融池が生成される際の膨張や溶融池が凝固する際の収縮によって、封止栓120が電池蓋102から浮き上がるおそれがある。この場合、浮き上がり部分で封止栓120と電池蓋102との間に充分な溶融池を生成することができず、溶接金属に割れ等の溶接欠陥が生じるおそれがある。本実施の形態では、塑性変形部127を形成することにより、注液部110に対して封止栓120が固定され、溶接の際に封止栓120が浮き上がることが防止されるので、封止栓120と電池蓋102との間に充分な溶融池が生成され、溶接金属Wに溶接欠陥が生じることが防止される。
(2)鍔部122の周縁部は、電池蓋102の外表面から電池容器103の外方に向かって突出する突起部122aとされている。このため、鍔部122の外周側面122oと凹部112の内周側面112iとの隙間c1に充填すべき溶融金属(溶融池)が不足することが防止される。換言すれば、突起部122aを設けることによって、突起部122aを設けない場合に比べて隙間c1を大きく設定することができ、製作性の向上を図ることができる。
−第2の実施の形態−
図10を参照して第2の実施の形態に係る蓄電素子における封止栓による注液孔の封止方法について説明する。図中、第1の実施の形態と同一または相当部分には同一符号を付し、相違点について主に説明する。図10(a)および図10(b)は、図5(a)および図6(a)と同様の図であり、第2の実施の形態に係る蓄電素子における封止栓220による注液孔111の封止方法を説明する断面模式図である。
第1の実施の形態では、鍔部122に突起部122aを設け、第1の位置1Aにおける突起部122aを押圧して、塑性変形部127を形成した(図5参照)。これに対して、第2の実施の形態では、封止栓220の鍔部222には突起部が設けられていない。第2の実施の形態では、電池蓋102における凹部212の開口周縁部が、電池蓋102から+Z方向(電池容器103の外方)に向かって突出する突起部212aとして、凹部212の全周に亘って設けられている。円環状の突起部212aの内周側面は、凹部212の内周側面212iの一部を構成している。
第2の実施の形態では、第1の位置1Aにおける電池蓋102の凹部212の開口周縁部を構成する突起部212aを押圧治具190により押圧することで、塑性変形部227が形成される。突起部212aは、押圧治具190により押圧されると、Z方向に圧縮されるとともに注液部110の径方向外方に向かう変形量が抑えられつつ主に径方向内方に向かって変形し、塑性変形部227の内側側面が封止栓220の鍔部222の外周側面222oを押圧し、封止栓220が−X方向に移動する。封止栓220が所定距離だけ移動すると、第2の位置1Bにおいて鍔部222の外周側面222oが凹部212の内周側面212iに突き当てられる。
これにより、第1の位置1Aで塑性変形部227が封止栓220の鍔部222の外周側面222oに面接触され、かつ、第2の位置1Bで鍔部222の外周側面222oが凹部212の内周側面212iに線接触された状態で、封止栓220が仮止めされる。
このような第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
−第3の実施の形態−
図11を参照して第3の実施の形態に係る蓄電素子における封止栓による注液孔の封止方法について説明する。図中、第1の実施の形態と同一または相当部分には同一符号を付し、相違点について主に説明する。図11は、図8と同様の図であり、第3の実施の形態に係る蓄電素子における封止栓120による注液孔111の封止方法を説明する平面模式図である。
第1の実施の形態では、溶接開始点SPを第2の位置1Bの線接触部CPに設定した(図8(a)参照)。これに対して第3の実施の形態では、図11(a)に示すように、溶接開始点SPが第2の位置1Bの線接触部CPから周方向に所定距離だけ離れた位置に設定されている。溶接開始点SPの位置は、封止栓120の外周のどの位置であってもよいし、溶接方向も平面視で時計方向、反時計方向のいずれであってもよい。しかしながら、溶接開始点SPの位置は、隙間c1の寸法ができるだけ小さい位置とすることが好ましい。隙間c1の寸法が小さい位置に溶接開始点SPを設定することで、溶融池の凝固収縮の際に封止栓120が溶接開始点SP側に引っ張られ、位置がずれてしまうことを効果的に防止することができるためである。したがって、封止栓120の浮きをより効果的に抑制するためには、次のようにして溶接開始点SPの位置、および、溶接方向を決定することが好ましい。
図11に示すように、塑性変形部127と注液孔111の中心軸O2とを結ぶ線分Lを含む仮想平面を第1平面S1とし、第1平面S1に直交し、かつ、注液孔111の中心軸O2を含む仮想平面を第2平面S2として定義する。
溶接開始点SPは、第2平面S2で2分される領域A1,A2のうち塑性変形部127を有しない第1領域A1に設定される。換言すれば、溶接開始点SPは、溶接開始点SPと第1の位置1Aの塑性変形部127との離間距離よりも、溶接開始点SPと第2の位置1Bの線接触部CPとの離間距離が短くなるような位置に設定される。
第3の実施の形態における溶接工程では、図11(a)に示すように、第1領域A1に設定された溶接開始点SPから第2の位置1Bに向かって、すなわち図示R1方向に、鍔部122の外周側面122oに沿って、鍔部122の外周側面122oと凹部112の内周側面112iとの溶接を行う。第3の実施の形態における溶接工程では、図11(b)に示すように、第2の位置1Bにおける鍔部122の外周側面122oと凹部112の内周側面112iとを溶接した後に、第1の位置1Aにおける鍔部122の外周側面122oと凹部112の内周側面112iとを溶接する。
このような第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。また、第3の実施の形態によれば、溶接開始点SPを第2領域A2に設定した場合や、溶接開始点SPからR2方向に溶接を行う場合に比べて、溶融池が生成される際の膨張や溶融池が凝固する際の収縮に起因する封止栓120の移動量を抑えることができる。
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(1)第1の実施の形態では、鍔部122の周縁部の第1の位置1Aを押圧して塑性変形部127を形成し、第2の実施の形態では、凹部212の開口周縁部の第1の位置1Aを押圧して塑性変形部227を形成したが、本発明はこれに限定されない。鍔部122,222の周縁部、および、凹部112,212の開口周縁部の両者を押圧治具190により同時に押圧して、鍔部122,222と凹部112,212のそれぞれに塑性変形部127,227を形成するようにしてもよい。
(2)第1の実施の形態では、鍔部122の周縁部が電池蓋102から電池容器103の外方に向かって突出した突起部122aとされ、第2の実施の形態では、凹部212の開口周縁部が電池蓋102から電池容器103の外方に向かって突出した突起部212aとされていた。なお、突起部122a,212aの幅、高さは、隙間c1の寸法公差が最大になったときにおいても、隙間c1が溶接金属で埋められるように、充分な溶融池が生成される大きさに設定されている。しかしながら、突起部122a,212aを設けなくても、充分な溶融池を生成できる場合には、突起部122a,212aを省略してもよい。図12に示すように、第1の実施の形態において、突起部122aを省略した場合でも、鍔部122の周縁部の第1の位置1Aに塑性変形部327を形成することにより、封止栓120を注液部110に固定することができ、溶接の際に封止栓120が浮き上がることを防止できる。同様に、図13に示すように、第2の実施の形態において、突起部212aを省略した場合でも、凹部212の開口周縁部の第1の位置1Aに塑性変形部427を形成することにより、封止栓220を注液部110に固定することができ、溶接の際に封止栓220が浮き上がることを防止できる。
(3)封止栓120,220の全周に亘って形成される溶接金属Wの幅や深さは、上記した実施の形態に限定されない。図9では、塑性変形部127のX方向長さ(径方向の長さ)や突起部122aの幅(径方向の長さ)に比べて、平面視円環状の溶接金属Wの幅(径方向の長さ)が短くなるように、溶接金属Wが形成されているが、たとえば、塑性変形部127のX方向長さ(径方向の長さ)や突起部122aの幅(径方向の長さ)に比べて、溶接金属Wの幅(径方向の長さ)が長くなるように、溶接金属Wを形成してもよい。
(4)蓄電素子として、リチウムイオン二次電池を一例に説明したが本発明はこれに限定されない。ニッケル水素電池などの他の二次電池や、リチウムイオンキャパシタや電解二重層コンデンサなど、種々の蓄電素子に本発明を適用できる。また、容器の形状も角形に限定されない。
(5)溶接条件は、上記した例に限定されない。また、レーザ溶接に代えて、電子ビーム溶接により封止栓120,220を電池蓋102に溶接してもよい。
(6)さらに、塑性変形部を形成する第1の位置1Aは、上記した例に限定されない。
(7)上記した実施の形態では、塑性変形部127,227,327,427を1カ所設ける場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。2カ所以上、塑性変形部を設けてもよい。たとえば、図14(a)に示すように、塑性変形部527を3カ所設けてもよいし、図14(b)に示すように、塑性変形部627を4カ所設けてもよい。塑性変形部527,627を複数設ける場合、図14に示すように、注液孔の中心軸O2を含む所定の仮想平面S5によって2分される領域E1,E2のうちの一方の領域E2のみに塑性変形部527,627を設け、他方の領域E1には塑性変形部527,627を設けないようにする。これにより、領域E1側に封止栓120を偏心させて、封止栓120を仮止めすることができる。
塑性変形部527,627を2カ所以上設ける場合、第1平面S1および第2平面S2は、次のように定義する。領域E2において周方向両端の塑性変形部間の任意の位置を基準位置BPとし、基準位置BPから注液孔の中心軸O2とを結ぶ線分Lを含む仮想平面を第1平面S1とする。たとえば、基準位置BPは、図14(a)に示すように、周方向両端の塑性変形部527間に設けられる中央の塑性変形部527に設定することができる。また、基準位置BPは、図14(b)に示すように、周方向両端の塑性変形部627間のほぼ中央の位置を基準位置BPとして設定することができる。第2平面S2は、第1平面S1に直交し、かつ、注液孔の中心軸O2を含む仮想平面とする。第1平面S1および第2平面S2を上記のように定義したとき、第2平面S2で2分される領域F1,F2のうち、基準位置BPを有しない領域F1に溶接開始点SPを設定することが好ましい。なお、図14(a)および図14(b)では、第2平面S2と仮想平面S5とを同一平面とし、仮想平面S5により2分される領域E1,E2と、第2平面S2により2分される領域F1,F2とを、それぞれ同一の領域とした場合について説明したが、仮想平面S5と第2平面S2とは、同一平面とする場合に限定されない。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
1A 第1の位置、1B 第2の位置、100 角形二次電池、101 電池缶、101a 幅広面、101b 幅狭面、101c 底面、102 電池蓋、102h 貫通孔、103 電池容器、104 ガス排出弁、107 電池蓋組立体、108 絶縁ケース、110 注液部、111 注液孔、111i 内周側面、112 凹部、112b 底面、112i 内周側面、120 封止栓、121 筒部、121a 底部、121o 外周側面、122 鍔部、122a 突起部、122o 外周側面、125 中空部、127 塑性変形部、141 正極端子、150 ガスケット、151 負極端子、160 絶縁部材、170 発電要素、171 正極箔、172 負極箔、173 セパレータ、174 正極電極、175 負極電極、176 正極活物質合剤層、177 負極活物質合剤層、181 正極集電体、182 負極集電体、190 押圧治具、191 押圧部、196 レーザ光、197 照射領域、212 凹部、212a 突起部、212i 内周側面、220 封止栓、222 鍔部、222o 外周側面、227 塑性変形部、327 塑性変形部、427 塑性変形部、527 塑性変形部、627 塑性変形部

Claims (8)

  1. 発電要素が収容された容器と、
    前記容器の一側面に設けられ、電解液を注入する注液孔を有する注液部と、
    前記注液孔を封止する封止栓とを備え、
    前記注液孔は、前記容器の一側面に凹設された凹部の底面に設けられ、
    前記封止栓は、前記注液孔に挿入される挿入部と、前記凹部に嵌合される嵌合部とを有し、
    少なくとも前記嵌合部の周縁部および前記凹部の開口周縁部のいずれか一方の所定位置に塑性変形部が形成され、
    前記封止栓が前記注液部に対して前記塑性変形部の反対側に偏心して配置され、
    前記嵌合部の外周側面と前記凹部の内周側面とが全周に亘って溶接されていることを特徴とする蓄電素子。
  2. 請求項1に記載の蓄電素子において、
    前記塑性変形部と前記注液孔の中心軸とを結ぶ線分を含む仮想平面を第1平面とし、
    前記第1平面に直交し、かつ、前記注液孔の中心軸を含む仮想平面を第2平面としたとき、
    前記第2平面で2分される領域のうち前記塑性変形部を有しない領域に、前記嵌合部の外周側面と前記凹部の内周側面との溶接開始点が設けられていることを特徴とする蓄電素子。
  3. 請求項1または2に記載の蓄電素子において、
    少なくとも前記嵌合部の周縁部および前記凹部の開口周縁部のいずれか一方は、前記容器の一側面から前記容器の外方に向かって突出していることを特徴とする蓄電素子。
  4. 容器内に発電要素を収容する収容工程と、前記容器の一側面に凹設された凹部の底面に設けられた注液孔から前記容器内に電解液を注入する注液工程と、封止栓により前記注液孔を封止する封止工程とを含む蓄電素子の製造方法であって、
    前記封止工程は、
    前記封止栓に設けられた挿入部を前記注液孔に挿入し、前記封止栓に設けられた嵌合部を前記凹部に嵌合する配置工程と、
    少なくとも前記嵌合部の周縁部および前記凹部の開口周縁部のいずれか一方における第1の位置を前記容器の外方から押圧して塑性変形部を形成するとともに、前記封止栓を前記注液部に対して前記塑性変形部の反対側に偏心させて仮止めする仮止め工程と、
    前記嵌合部の外周側面と前記凹部の内周側面とを、全周に亘って溶接する溶接工程とを含むことを特徴とする蓄電素子の製造方法。
  5. 請求項4に記載の蓄電素子の製造方法において、
    前記仮止め工程は、少なくとも前記嵌合部の周縁部および前記凹部の開口周縁部のいずれか一方における第1の位置を前記容器の外方から押圧して、前記第1の位置における前記嵌合部の外周側面と前記凹部の内周側面とが面接触される塑性変形部を形成するとともに、前記注液孔を挟んで前記塑性変形部に対向する第2の位置における前記嵌合部の外周側面と前記凹部の内周側面とを線接触させることを特徴とする蓄電素子の製造方法。
  6. 請求項5に記載の蓄電素子の製造方法において、
    前記塑性変形部と前記注液孔の中心軸とを結ぶ線分を含む仮想平面を第1平面とし、
    前記第1平面に直交し、かつ、前記注液孔の中心軸を含む仮想平面を第2平面としたとき、
    前記溶接工程は、前記第2平面で2分される領域のうち前記塑性変形部を有しない領域に溶接開始点を設定し、前記溶接開始点から前記嵌合部の外周側面に沿って、前記嵌合部の外周側面と前記凹部の内周側面とを溶接することを特徴とする蓄電素子の製造方法。
  7. 請求項6に記載の蓄電素子の製造方法において、
    前記溶接工程は、前記第2の位置における前記嵌合部の外周側面と前記凹部の内周側面とを溶接した後に、前記第1の位置における前記嵌合部の外周側面と前記凹部の内周側面とを溶接することを特徴とする蓄電素子の製造方法。
  8. 請求項4または5に記載の蓄電素子の製造方法において、
    少なくとも前記嵌合部の周縁部および前記凹部の開口周縁部のいずれか一方は、前記容器の一側面から前記容器の外方に向かって突出した突起部であり、
    前記仮止め工程では、前記第1の位置における前記突起部を押圧して塑性変形部を形成することを特徴とする蓄電素子の製造方法。
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