JP2014177074A - 熱可塑性樹脂積層体、表示体用保護板、静電容量タッチパネル保護板 - Google Patents

熱可塑性樹脂積層体、表示体用保護板、静電容量タッチパネル保護板 Download PDF

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Abstract

【課題】環境(温度、湿度)変化時の反りの低減と実用上十分な硬度を有する樹脂積層体を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂(A)からなる熱可塑性樹脂板の片面に熱可塑性樹脂(B)を積層した積層体であって、少なくとも熱可塑性樹脂(B)層側に紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を積層した樹脂積層体で、熱硬化性樹脂(B)層側に積層したハードコート層側から3時間蒸気を吸湿させた際の反りの変化量が、10mm以下となる熱可塑性樹脂積層体。前記熱可塑性樹脂積層体は、表示体用保護板および静電容量タッチパネル保護板等に用いられる。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂積層体、表示体用保護板、静電容量タッチパネル保護板に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、透明性に優れ、耐熱性、耐衝撃性が高いことから、ガラスの代用として、自動車や建材の窓部やディスプレイ部などに利用されている。しかし、ポリカーボネート樹脂は硬度が低く、傷付きやすいという欠点があり、その用途は制限されている。
この欠点を改良するために、紫外線硬化樹脂などで表面をコーティングする方法が提案されている。しかし、コーティングのみでは実用上十分な硬度を得ることができずアクリル樹脂とポリカーボネート樹脂を共押出した基材にハードコートを施す方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
特許文献1に記載の方法では、異なる材料の2層構成となり吸湿時に反りが発生するため、環境変化が想定される用途では反りによる不具合が発生し、使用できなかった。
特開2006−103169号公報
本発明の目的とするところは、環境(温度、湿度)変化時の反りの低減と実用上十分な硬度を有する熱可塑性樹脂積層体を提供することを目的とする。
このような目的は、下記の[1]〜[8]に記載の本発明により達成される。
[1] 熱可塑性樹脂(A)からなる熱可塑性樹脂板の片面に熱可塑性樹脂(B)を積層した樹脂板の少なくとも熱可塑性樹脂(B)層側に紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を積層した樹脂積層体で、熱硬化性樹脂(B)層側に積層したハードコート層側から3時間蒸気を吸湿させた際の反りの変化量が、10mm以下となる熱可塑性樹脂積層体。
[2] 前記熱可塑性樹脂積層体の熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の吸水率の比[(A吸水率)/(B吸水率)]が、0.3以上1.6以下である[1]に記載の熱可
塑性樹脂積層体。
[3] 前記熱可塑性樹脂(B)の曲げ弾性率が、2400MPa以上である[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂積層体。
[4] 前記熱可塑性樹脂積層体の熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の厚みの比[(A厚さ)/(B厚さ)]が、5以上20以下である[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂積層体。
[5] 前記熱可塑性樹脂積層体の熱可塑性樹脂(A)が、ポリカーボネート樹脂である[1]乃至[4]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂積層体。
[6] 前記ハードコート層厚みが、3μm以上20μm以下である[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂積層体。
[7] 前記ハードコート層が、単官能アクリレートと二官能アクリレートを少なくとも1種含み、紫外線硬化樹脂100重量部に対して、その含有量が40重量部以下である[1]乃至[6]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂積層体。
[8] [1]乃至[7]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂積層体を用いて作製した
表示体用保護板および静電容量タッチパネル保護板。
本発明によれば、環境(温度、湿度)変化時の反りの低減と実用上十分な硬度を有する熱可塑性樹脂積層体を提供することができる。
本発明は、熱可塑性樹脂(A)の一方に熱可塑性樹脂(B)を積層した樹脂板の少なくとも熱可塑性樹脂(B)層側に紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を積層した熱可塑性樹脂積層体で、熱硬化性樹脂(B)層側に積層したハードコート層側から3時間蒸気を吸湿させた際の反りの変化量が、10mm以下となる熱可塑性樹脂積層体である。
このような構成の熱可塑性樹脂積層体とすることで、携帯用表示体や静電容量タッチパネル保護板に最適な硬度と環境(温度、湿度)変化時の反りの発生を抑えた熱可塑性樹脂積層体を作製することができる。
本発明に用いられる樹脂板は、熱可塑性樹脂(A)からなる熱可塑性樹脂板の片面に熱可塑性樹脂(B)を積層したものである。さらに、この樹脂板の少なくとも熱可塑性樹脂(B)層側に紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を積層した熱可塑性樹脂積層体で、熱硬化性樹脂(B)層側に積層したハードコート層側から3時間蒸気を吸湿させた際の反りの変化量が、10mm以下となる熱可塑性樹脂積層体であれば特に制限されない。
熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを積層する方法としては、それぞれを単独で押出し、プレスしてもよく、また、マルチマニホールド法、フィードブロック法などの公知の共押出法を用いてもよい。共押出法を用いる方が製造コストの観点から好ましい。
本発明に用いられる紫外線硬化樹脂からなるハードコート層は、紫外線によって硬化する材料であれば特に制限を受けない。好ましくは、アクリレートモノマーおよびまたはオリゴマーに硬化触媒として光重合開始剤が加えられた樹脂組成物を硬化させたものである。
より好ましくは、6官能以上の多官能アクリレートモノマー、オリゴマー、単官能アクリレートモノマー、単官能アクリレートオリゴマー、二官能アクリレートモノマー、および二官能アクリレートオリゴマーを少なくとも1種以上含む樹脂組成物が硬度の観点から好ましい。また、これらのハードコート層に用いる樹脂組成物に、必要に応じて、有機溶剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの各種安定剤や表面調整剤、増粘剤、帯電防止剤などを適宜添加してもよい。
上記の6官能以上のアクリレートモノマーおよびアクリレートオリゴマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートや下記式(1)に示す化合物、例えばトリペンタエリスリトールオクタアクリレート、トリペンタエリスリトールデシルアクリレート、トリペンタエリスリトールドデシルアクリレートなどを含む化合物を用いることができる。

CCH(OCHCRCHOCOCH=CH (1)

(式中、nは2〜4の整数を示す。R:−CHOCOCH=CH
ハードコート層に用いられる樹脂組成物は、6官能以上のアクリレートモノマーおよびアクリレートオリゴマーを少なくとも1種含み、紫外線硬化樹脂100重量部に対して、その含有量が50重量部以上70重量部以下であることが好ましく、より好ましくは、60重量部以下である。このような範囲とすることで、硬度と反りの発生を抑えた樹脂積層体を得ることができる。
上記光重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始させるために樹脂組成物に添加されるものである。
例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインまたはベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸などの芳香族ケトン類、ベンジルなどのアルファージカルボニル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、アセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル-プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ
プロパノン−1などのアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノンなどのアントラキノン類、2,4−ジメチルチ
オキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサント
ンなどのチオキサントン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどのフォスフィンオキサイド類、1−フェニル−1,2−プロパンジオ
ン−2−[o−エトキシカルボニル]オキシムなどのアルファーアシルオキシム類、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルなどのアミン類などを使用することができる。光重合開始剤は、表面硬化性に優れるものと内部硬化性に優れるもの、2種以上を併用することが好ましい。
上記希釈溶剤は、樹脂組成物を透明樹脂基板に塗工しやすくするために必要に応じて樹脂組成物に添加されるものである。
このような希釈溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、メトキシブタノールなどのグリコール系溶剤を単独または混合して使用できる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系やヒドロキシフェニルトリアジン系の化合物などが挙げられる。その含有量は、樹脂組成物100重量部に対して10重量部以下、好ましくは2重量部以上、4重量部以下である。
上記光安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物などが挙げられる。その含有量は、樹脂組成物100重量部に対して2重量部以下、好ましくは1重量部以下である。
上記表面調整剤は、塗膜の基材に対する濡れ性や均一性、塗膜表面の平滑性や滑り性などを付与するものであり、シリコーン系やアクリル共重合物系のものが代表的であるが、特にシリコーン系のものが好ましい。このシリコーン系表面調整剤としては、ポリジメチルシロキサンや、ポリジメチルシロキサンを変性した変性シリコーンなどが挙げられる。
上記変性シリコーンとしては、例えば、ポリエーテル変性体、アルキル変性体、ポリエステル変性体などが挙げられ、これらの中でもポリエーテル変性体が最も好適である。
上記増粘剤としては、塗料を塗工に最適な粘度に調整するために、加えられるものであり、セルロース系や合成クレイ系、などが代表的である。増粘効果から、セルロール系が好ましく、セルロースアセテートやニトロセルロースなどが挙げられる。これらの中でもセルロースアセテートが最も好適である。
上記帯電防止剤としては、紫外線硬化樹脂からなるハードコート層に適度な導電性を与え、例えば埃の付着防止などの効果を得るために加えられるもので、界面活性剤、金属酸
化物、導電性ポリマーなどが挙げられる。
帯電防止効果から、金属酸化物、導電性ポリマーが好ましい。金属酸化物としては、酸化亜鉛や酸化スズ、導電性ポリマーとしてポリエチレンジオキシチオフェンやポリアニリンなどが挙げられる。
紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を熱可塑性樹脂(A)からなる熱可塑性樹脂板の片面に熱可塑性樹脂(B)を積層した樹脂板に積層する方法は、ロールコート、フローコート、バーコートなどの公知の方法を用いることができる。熱可塑性樹脂(A)からなる熱可塑性樹脂板の片面に熱可塑性樹脂(B)を積層した積層体の厚みなどに応じて適当なものを選択すればよい。
本発明に用いられるハードコート層の厚みは、3μm以上20μm以下が好ましい。より好ましくは4μm以上18μm以下、さらに好ましくは4μm以上16μm以下である。前記下限値を下回ると硬度が十分とはいえず、前記上限値を上回ると硬化収縮による反りの発生により実用上不具合が発生する。
さらに、ハードコート層として、単官能アクリレートおよび二官能アクリレートの少なくとも1種を含むものが好ましい。単官能アクリレートおよび二官能アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、イソボロニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化シクロヘサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートなどが挙げられる。
前記紫外線硬化樹脂からなるハードコート層が、単官能アクリレートと二官能アクリレートを少なくとも1種以上含み、紫外線硬化樹脂100重量部に対して、その含有量が、40重量以下が好ましい。この範囲を超えるとハードコート層の硬度が十分とならない。
前記熱可塑性樹脂(B)層側に積層したハードコート層側から3時間蒸気を吸湿させる方法として、60℃の湯浴上の蓋部に50mm×150mmの開口部を設けた後、その開口部上に開口部がふさがるように60mm×200mmの熱可塑性樹脂積層体を熱可塑性樹脂(B)層側に積層したハードコート層面を湯浴側に向け蒸気を吸湿させた。熱可塑性樹脂(B)層側に積層したハードコート層と湯浴上面の距離は40mmとした。吸湿前後の反り量は垂直に設置されたガラス板上に熱可塑性樹脂積層体の60mm辺の一方を固定し、他方の60mm辺とガラス板との距離を金尺にて測定することで求めた。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(A)は、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の吸水率の比[A吸水率/B吸水率]が、0.3以上1.6以下であれば特に制限されな
い。好ましくはポリカーボネート樹脂がよい。
前記吸水率の測定は、JIS K7209 プラスチック―吸水率の求め方に従いA法:23℃の蒸留水に浸漬する方法で測定した。23℃蒸留水に168時間浸漬前後の吸水量を測定することで、吸水率を算出した。吸水率の算出は下式により求めた。
吸水率=(168時間吸水後重量−乾燥後浸漬前重量)/乾燥浸後漬前重量 (1

本発明に用いられる熱可塑性樹脂(B)の曲げ弾性率は、2400MPa以上であれば特に限定されない。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の厚みの比[A厚み/B
厚み]は、5以上20以下が望ましい。5未満では熱可塑性樹脂(B)層の厚み比率が大きく反りの発生量が大きくなる。20を超えると熱可塑性樹脂(B)層の硬度が十分に得られない。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(A)であるポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAと、ホスゲンまたはジフェニルカーボネートとがカーボネート結合されている芳香族系ポリカーボネート樹脂であり、一般に、界面重縮合や、エステル交換反応などで合成される。その作製法は特には限定されないが、ポリカーボネート樹脂(A)としては、例えば三菱エンジニアリングプラスチック株式会社からユーピロンなどとして市販されている。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(B)の曲げ弾性率は、2400MPa以上であれば特に限定されない。熱可塑性樹脂(B)としては、吸水率と弾性率の観点からアクリル変性されたポリカーボネートが好ましく、アクリル変性されたポリカーボネートとして、具体的には、住化スタイロンポリカーボネート(株)製PCX−6611やアクリル変性剤として市販されている三菱レイヨン(株)製メタブレンH−880をポリカーボネートに添加した材料などが好ましい。
以上のようにして得られた熱可塑性樹脂積層体は、実用上十分な硬度と環境変化による反りの発生が低減されており、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、携帯型ゲーム機、携帯型DVD(デジタルビデオディスク)プレイヤーなどの表示体用保護板として、また、静電容量タッチパネルの保護板として最適な材料である。
以下に、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
[実施例1]
熱可塑性樹脂(B)として、三菱レイヨン(株)製メタブレンH−880と三菱エンジニアリング製ユーピロンE−2000を重量比で40/60で二軸混練機にて混練・混合し、熱可塑性樹脂(B)をペレット状にした。このように調整した熱可塑性樹脂(B)を用いてISO178に従い、曲げ弾性率を測定した。曲げ弾性率は、2400MPaであった。また、熱可塑性樹脂(B)の吸水率は0.6%であった。吸水率の測定方法は、以下の熱可塑性樹脂(A)の方法に準じて測定した。
マルチマニホールドダイに、押出機(A)と、押出機(B)を接続し、押出機(A)より、熱可塑性樹脂(A)としてポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック製、ユーピロンE−2000)を押出、押出機(B)より、熱可塑性樹脂(B)を押出することで、熱可塑性樹脂(A)層の厚みを900μm、熱可塑性樹脂(B)層の厚みを100μmにした樹脂板を得た。
熱可塑性樹脂(A)の吸水率は、0.35%であり、測定は、JIS K7209 プラスチック―吸水率の求め方に従いA法:23℃の蒸留水に浸漬する方法で実施した。
23℃蒸留水に168時間浸漬前後の吸水量を測定することで、吸水率を算出した。吸水率は下式により求めた。熱可塑性樹脂(A)のシートを作製し評価した。
吸水率=(168時間吸水後重量−乾燥後浸漬前重量)/乾燥浸後漬前重量 (1

上記により得られた樹脂板に下記紫外線硬化樹脂からなる樹脂組成物をハードコート層として、積層した。
アクリル樹脂として、前記式(1)で示される化合物を60重量部、2官能ウレタンアクリレート(商品名:EB8402、ダイセルサイテック社製)30重量部、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート10重量部を配合し、さらに、濃度が30重量%となる
ようプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈した。ここへ、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを5重量部、表面調整剤(商品名:グラノール450、共栄社化学社製)を紫外線硬化樹脂に対して重量比で0.05重量部添加し、ハードコート層に用いる樹脂組成物を作製した。作製した樹脂組成物は充分に撹拌した後、密閉容器に保存した。
上記樹脂板上に、金属製のバーコーターを用いて、ウェット膜厚が30μmになるように上記樹脂組成物を樹脂板の両面に塗布した。
塗布した樹脂組成物を60℃の熱風循環型オーブンに入れ、10分間乾燥した後、FUSIONシステムズ製無電極UVランプ(Hバルブ)を用い、照射距離50mm、コンベア搬送速度3m/minの条件で紫外線を照射して塗膜を硬化させ、ドライ膜厚9μmのハードコート層を有する熱可塑性樹脂積層体を得た。
上記作製した熱可塑性樹脂積層体を、以下の方法により評価した。
[層厚測定]
上記作製した熱可塑性樹脂積層体の熱可塑性樹脂(B)側に積層したハードコート面を上面に平置きし、裁断した。裁断した面をキーエンス製レーザー顕微鏡VK−9700にて観察し、熱可塑性樹脂層の層厚を測定した。
[鉛筆硬度]
上記作製した熱可塑性樹脂積層体を用いて、熱可塑性樹脂(B)側に積層したハードコート層面の鉛筆硬度を測定した。鉛筆硬度は、JIS−K5600に記載の鉛筆法による引っかき硬度とし、以下の基準により判定した。
○:表面硬度が優れている(鉛筆硬度2H以上)
×:表面硬度が不十分(鉛筆硬度2H未満)
[吸湿反り変化量]
60℃の湯浴上の上面に50mm×150mmの開口部を設けた後、その開口部上に60mm×200mmの熱可塑性樹脂積層体を、開口部がふさがるように熱可塑性樹脂(B)層側に積層したハードコート層面を湯浴側に向け蒸気を吸湿させた。
熱可塑性樹脂(B)層側に積層したハードコート層と湯浴上面の距離は40mmとした。吸湿前後の反り量は垂直に設置されたガラス板上に熱可塑性樹脂積層体の60mm辺の一方を固定し、他方の60mm辺とガラス板との距離を金尺にて最大値を測定することで求めた。吸湿反り変化量は下式にて求めた。
[(吸湿後反り量)−(吸湿前反り量)] (2)
吸湿後反り量は、以下の基準により判定した。
○:吸湿反り量が十分に小さい(10mm以下)
×:吸湿反り量が不十分 (10mmを超える)
[実施例2]
実施例1と同様の方法で、押出機(A)、押出機(B)のスクリュー回転数を変更することで、熱可塑性樹脂(A)層の厚みを940μm、熱可塑性樹脂(B)層の厚みを60μmにした樹脂板を得た。
得られた樹脂板に実施例1と同様の方法で、紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を両面に積層し熱可塑性樹脂積層体を作製した。作製した熱可塑性樹脂積層体を用いて実施例1と同様に評価した。
[実施例3]
実施例1と同様の方法で、押出機(A)、押出機(B)のスクリュー回転数を変更することで、熱可塑性樹脂(A)層の厚みを420μm、熱可塑性樹脂(B)層の厚みを80μmにした樹脂板を得た。
得られた樹脂板に実施例1と同様の方法で、紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を両面に積層し熱可塑性樹脂積層体を作製した。作製した熱可塑性樹脂積層体を用いて実施例1と同様に評価した。
[実施例4]
マルチマニホールドダイに、押出機(A)と、押出機(B)を接続し、押出機(A)より、熱可塑性樹脂(A)としてポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック製、ユーピロンE−2000)を押出、押出機(B)より、住化スタイロンポリカーボネート製PCX−6611を押出することで、熱可塑性樹脂(A)層の厚みを900μm、熱可塑性樹脂(B)層の厚みを100μmにした樹脂板を得た。
熱可塑性樹脂(B)層のISO178に従う曲げ弾性率は3000MPaであった。熱可塑性樹脂(A)の吸水率は、0.35%あり、熱可塑性樹脂(B)の吸水率は0.6%であった。
得られた樹脂板に実施例1と同様の方法で、紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を両面に積層し熱可塑性樹脂積層体を作製した。作製した熱可塑性樹脂積層体を用いて実施例1と同様に評価した。
[実施例5]
実施例4と同様の方法で、押出機(A)、押出機(B)のスクリュー回転数を変更することで、熱可塑性樹脂(A)層の厚みを940μm、熱可塑性樹脂(B)層の厚みを60μmにした樹脂板を得た。
得られた樹脂板に実施例1と同様の方法で、紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を両面に積層しポリカーボネート樹脂積層体を作製した。作製したポリカーボネート樹脂積層体を用いて実施例1と同様に評価した。
[実施例6]
実施例4と同様の方法で、押出機(A)、押出機(B)のスクリュー回転数を変更することで、熱可塑性樹脂(A)層の厚みを420μm、熱可塑性樹脂(B)層の厚みを80μmにした樹脂板を得た。
得られた樹脂板に実施例1と同様の方法で、紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を両面に積層し熱可塑性樹脂積層体を作製した。作製した熱可塑性樹脂積層体を用いて実施例1と同様に評価した。
[実施例7]
実施例4と同様の方法で樹脂板を得た。
得られた樹脂板に実施例1と同様の方法で、紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を両面に積層し、ドライ膜厚6μmのハードコート層を有する熱可塑性樹脂積層体を作製した。作製した熱可塑性樹脂積層体を用いて実施例1と同様に評価した。
[実施例8]
実施例4と同様の方法で樹脂板を得た。
得られた樹脂板に実施例1と同様の方法で、紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を両面に積層し、ドライ膜厚18μmのハードコート層を有する熱可塑性樹脂積層体を作製した。作製した熱可塑性樹脂積層体を用いて実施例1と同様に評価した。
[実施例9]
実施例1で得られた樹脂板に積層する紫外線硬化樹脂からなるハードコート層として、以下の紫外線硬化性樹脂組成物を用いた。
前記式(1)で示される化合物を70重量部、2官能ウレタンアクリレート(商品名:EB8402、ダイセルサイテック社製)25重量部、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート5重量部を配合し、濃度が30重量%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈した。ここへ、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを5重量部、表面調整剤(商品名:グラノール450、共栄社化学社製)を紫外線硬化樹脂に対して重量比で0.05重量部添加したものを実施例1と同様に樹脂板の両面に塗布した。得られた熱可塑性樹脂積層体を実施例1と同様に評価した。
[比較例1]
Tダイに、押出機(A)を接続し、押出機(A)より、熱可塑性樹脂(A)(三菱エン
ジニアリングプラスチック製、ユーピロンE−2000)を押出し、樹脂板を得た。熱可塑性樹脂(A)層をポリカーボネート樹脂とし、単一層であるため熱可塑性樹脂(B)層は、なしとした。
得られた樹脂板を用いて実施例1と同様の方法で、紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を両面に積層し熱可塑性樹脂積層体を作製した。作製した熱可塑性樹脂積層体を用いて実施例1と同様に評価した。
[比較例2]
実施例1と同様の方法で、押出機(A)、押出機(B)のスクリュー回転数を変更することで、熱可塑性樹脂(A)層の厚みを970μm、熱可塑性樹脂(B)層の厚みを30μmにした樹脂板を得た。
得られた樹脂板に実施例1と同様の方法で、紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を両面に積層し熱可塑性樹脂積層体を作製した。作製した熱可塑性樹脂積層体を用いて実施例1と同様に評価した。
[比較例2]
マルチマニホールドダイに、押出機(A)と、押出機(B)を接続し、押出機(A)より、熱可塑性樹脂(A)(三菱エンジニアリングプラスチック製、ユーピロンE−2000)を押出、押出機(B)より、熱可塑性樹脂(B)としてクラレ(株)製パラペットHR−1000Lを押出することで、熱可塑性樹脂(A)層の厚みを900μm、熱可塑性樹脂(B)層の厚みを100μmにした樹脂板を得た。クラレ(株)製パラペットHR−1000LのISO178に従う曲げ弾性率は3300MPa、吸水率は熱可塑性樹脂(A)は0.35%、熱可塑性樹脂(B)は1.7%であった。
得られた樹脂板を用いて実施例1と同様の方法で、紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を両面に積層し熱可塑性樹脂積層体を作製した。作製した熱可塑性樹脂積層体を用いて、実施例1と同様に評価した。
Figure 2014177074

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂(A)からなる熱可塑性樹脂板の片面に熱可塑性樹脂(B)を積層した樹脂板の少なくとも熱可塑性樹脂(B)層側に紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を積層した熱可塑性樹脂積層体で、熱硬化性樹脂(B)層側に積層したハードコート層側から3時間蒸気を吸湿させた際の反りの変化量が、10mm以下となる熱可塑性樹脂積層体。
  2. 前記熱可塑性樹脂積層体の熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の吸水率の比[(A吸水率)/(B吸水率)]が、0.3以上1.6以下である請求項1に記載の熱可塑性
    樹脂積層体。
  3. 前記熱可塑性樹脂(B)の曲げ弾性率が、2400MPa以上である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂積層体。
  4. 前記熱可塑性樹脂積層体の熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の厚みの比[(A厚さ)/(B厚さ)]が、5以上20以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
    熱可塑性樹脂積層体。
  5. 前記熱可塑性樹脂積層体の熱可塑性樹脂(A)が、ポリカーボネート樹脂である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂積層体。
  6. 前記ハードコート層の厚みが、3μm以上20μm以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂積層体。
  7. 前記ハードコート層が、単官能アクリレート、および二官能アクリレートの少なくとも1種を含み、紫外線硬化樹脂100重量部に対して、それらの含有量が40重量部以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂積層体。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂積層体を用いて作製した表示体用保護板および静電容量タッチパネル保護板。
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