JP2014174018A - 蛍光色素標識用樹脂粒子及びその製造方法並びに該粒子を含む組織免疫染色用キット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂からなる樹脂粒子に蛍光色素が共有結合以外で結合された蛍光色素標識用樹脂粒子であって、(1)前記樹脂がスチレン、メタクリル酸アルキル及びアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1つの単官能モノマーから形成される構成単位を含み、かつその構成単位に含まれる水素の少なくとも一部が電荷を持つ置換基に置き換えられていること、又は、前記樹脂が単官能モノマーとしてのメタクリル酸から形成される構成単位を含んでいること、(2)前記樹脂の架橋度が50%以上であること、及び(3)前記蛍光色素が前記樹脂の有する電荷を持つ置換基の電荷とは反対の電荷を持つ置換基を有することを特徴とする蛍光色素標識用樹脂粒子。
【選択図】図1
Description
[項1]
樹脂からなる樹脂粒子に蛍光色素が共有結合以外で結合された蛍光色素標識用樹脂粒子であって、
(1)前記樹脂がスチレン、メタクリル酸アルキル及びアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1つの単官能モノマーから形成される構成単位を含み、かつその構成単位に含まれる水素の少なくとも一部が電荷を持つ置換基に置き換えられていること、又は、前記樹脂が単官能モノマーとしてのメタクリル酸から形成される構成単位を含んでいること、
(2)前記樹脂の架橋度が50%以上であること、及び
(3)前記蛍光色素が前記樹脂の有する電荷を持つ置換基の電荷とは反対の電荷を持つ置換基を有すること
を特徴とする蛍光色素標識用樹脂粒子。
前記樹脂が、メタクリル酸グリシジルの単官能モノマーから形成される構成単位を更に有する項1に記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
前記樹脂が正電荷を持つ置換基を有しており、前記蛍光色素が負電荷を持つ置換基を有しており、前記蛍光色素1分子中の前記負電荷を持つ置換基の数が分子量400当たり1以上である項1又は2に記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
前記樹脂が正電荷を持つ置換基を有しており、前記蛍光色素が負電荷を持つ置換基を有しており、前記蛍光色素1分子中の前記負電荷を持つ置換基の数が2以上である項1又は2に記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
前記樹脂の電荷を持つ置換基がアミノ基を含む項1〜4のいずれかに記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
前記蛍光色素の電荷を持つ置換基がスルホ基を含む項1〜5のいずれかに記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
前記蛍光色素が、ボディーピー(BODIPY)系色素、ローダミン系色素、スクアリリウム系色素又は芳香族炭化水素系色素である項1〜6のいずれかに記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
前記樹脂がポリスチレンを主鎖とするものであり、前記蛍光色素がローダミン系色素である項1〜7のいずれかに記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
前記樹脂がポリスチレンを主鎖とするものであり、前記蛍光色素が芳香族炭化水素系色素である項1〜7のいずれかに記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
アビジン、ストレプトアビジン又はビオチンが更に結合された項1〜9のいずれかに記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
(1)単官能モノマーとしてメタクリル酸グリシジル及び4−アミノスチレン並びに多官能ポリマーとしてジビニルベンゼンを用いて重合させて樹脂を得る工程であって、メタクリル酸グリシジルの重量(A)と4−アミノスチレンの重量(B)及びジビニルベンゼンの重量(C)が、
(i)AとBとCの合計に対してBとCの合計が、33〜67%、かつ
(ii)BとCの合計に対してCが、20%〜80%
である工程、及び
(2)前記(1)の工程で得られる樹脂が有するアミノ基と蛍光色素が有する負電荷を持つ置換基とを共有結合以外で結合させる工程
を含む項1〜9のいずれかに記載の蛍光色素標識用樹脂粒子の製造方法。
前記(1)及び(2)の工程に、更に
(3)前記(2)の工程で得られる蛍光色素標識用樹脂粒子のメタクリル酸グリシジル由来のエポキシ基をアミノ基へ変換する工程、
(4)前記(3)の工程で得られる蛍光色素標識用樹脂粒子のアミノ基にポリエチレングリコールリンカーを結合する工程、及び
(5)前記(4)の工程で結合したポリエチレングリコールリンカーにアビジン、ストレプトアビジン又はビオチンを結合する工程
を含む項10に記載の色素標識用樹脂粒子の製造方法。
検出対象物質認識用抗体及び項10に記載の蛍光色素標識用樹脂粒子を含む組織免疫染色用キット。
い。
1.本発明の蛍光色素標識用樹脂粒子
本発明の蛍光色素標識用樹脂粒子は、
『樹脂からなる樹脂粒子に蛍光色素が共有結合以外で結合された蛍光色素標識用樹脂粒子であって、
(1)前記樹脂がスチレン、メタクリル酸アルキル及びアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1つの単官能モノマーから形成される構成単位を含み、かつその構成単位に含まれる水素の少なくとも一部が電荷を持つ置換基に置き換えられていること、又は、前記樹脂が単官能モノマーとしてのメタクリル酸から形成される構成単位を含んでいること、
(2)前記樹脂の架橋度が50%以上であること、及び
(3)前記蛍光色素が前記樹脂の有する電荷を持つ置換基の電荷とは反対の電荷を持つ置換基を有すること』
を特徴とする蛍光色素標識用樹脂粒子。
である。
本発明の蛍光色素標識用樹脂粒子を構成する樹脂は、スチレン、メタクリル酸アルキル及びアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1つの単官能モノマーから形成される構成単位を含み、かつその構成単位に含まれる水素の少なくとも一部が電荷を持つ置換基に置き換えられているものである。又は、前記樹脂は、単官能モノマーとしてのメタクリル酸から形成される構成単位を含んでいるものである。
なお、前記に従って得られる本発明の樹脂は、多くの場合、熱可塑性樹脂である。
本発明における樹脂は、架橋度が50%以上であり、更に、より適切な強度の樹脂を得るという点から、好ましくは架橋度が60%〜100%である。ここで架橋度とは、キシレン溶解試験で溶解されなかった樹脂量の比率(%)であり、具体的には、次の通りである。
架橋度(%)=[(w3−w2)/w1]×100
本発明における蛍光色素は、本発明における樹脂の有する電荷を持つ置換基の電荷とは反対の電荷を持つ置換基を有している。ここで電荷を持つ置換基の定義は前記で述べた通りである。本発明における樹脂と蛍光色素は、これらの反対の電荷を持つ置換基によって静電結合していると考えられ、共有結合以外で結合している。ここで、共有結合以外で結合しているとは、樹脂と蛍光色素が実質的に共有結合以外で結合しているということを意味し、樹脂と蛍光色素の結合の一部に共有結合による結合が含まれている場合を除外するものではない。すなわち、本発明における樹脂と蛍光色素との結合は、全ての結合が上記の反対の電荷を持つ置換基による静電結合である場合だけでなく、これらの静電結合に加え、その結合の一部に共有結合、その他の静電結合以外の結合が含まれていてもよい。異なる分子を混合・反応させた場合に、意図した混合生成物・反応生成物以外にも副次的な少量の生成物が意図せずに生じてしまうことは、化学的実験において起こりうると一般的に考えられているとおりである。本発明の蛍光色素標識用樹脂粒子では、通常、樹脂1分子に結合する蛍光色素分子の80%以上、好ましくは90%以上が上記の反対の電荷を持つ置換基によって静電結合している。なお、この値は、樹脂の原料(単官能モノマー、多官能モノマー、等)の化学構造、蛍光色素の化学構造から、両者を反応させた場合に、静電結合が導入される数、共有結合、その他の結合が導入される数を理論的に導き出した割合である。本願実施例1〜5の場合は、理論的には、樹脂1分子に結合する蛍光色素分子の100%が上記の静電結合である。
本発明における蛍光色素は、その分子中に前記の電荷を持つ置換基を有する蛍光色素であれば特に制限をうけず、一般に入手又は作製できるものが使用可能である。このような蛍光色素の分子は、例えば、ローダミン系色素分子、スクアリリウム系色素分子、シアニン系色素分子、芳香族炭化水素系色素分子、オキサジン系色素分子、カルボピロニン系色素分子、ピロメセン系色素分子、等の中から選択することができる。あるいはAlexa Fluor(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、BODIPY(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、Cy(登録商標、GEヘルスケア社製)系色素分子、DY系色素分子(登録商標、DYOMICS社製)、HiLyte(登録商標、アナスペック社製)系色素分子、DyLight(登録商標、サーモサイエンティフィック社製)系色素分子、ATTO(登録商標、ATTO−TEC社製)系色素分子、MFP(登録商標、Mobitec社製)系色素分子等の中から選択することができる。このような色素分子の総称は、化合物中の主要な構造(骨格)または登録商標に基づき命名されており、それぞれに属する蛍光色素の範囲は当業者であれば過度の試行錯誤を要することなく適切に把握できるものである。
カルボピロニン系色素分子の具体例としては、CARBOPYRONIN 149などが挙げられる。
Alexa Fluor系色素分子の具体例としては、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750など(以上インビトロジェン社製)が挙げられる。
DY系色素分子の具体例としては、DY−590、DY−610、DY−615、DY−630、DY−631、DY−632、DY−633、DY−634(以上DYOMICS社製)、などが挙げられる。
DyLight系色素分子の具体例としては、DyLight 594、DyLight633(以上サーモサイエンティフィック社製)などが挙げられる。
その他色素としては、C−Phycocyanin、Phycocyanin、APC(Allophycocyanin)、APC−XL、NorthernLights637(R&D Systems社製)、等が挙げられる。
また、これらの誘導体(蛍光色素として機能しうるもの、例えば、公知の誘導体)を挙げることができる。
本発明の蛍光色素標識用樹脂粒子は、組織切片の検出対象物質の免疫染色に用いることができる。例えば、特定の抗原(検出対象物質)に対して免疫染色を行う際には、蛍光色素標識用樹脂粒子と1次抗体を直接結合した標識(コンジュゲート)を作製し、抗原を染色する方法(1次抗体法)、蛍光色素標識用樹脂粒子と2次抗体を直接結合した標識を作製し、抗原に1次抗体を結合したものを染色する方法(2次抗体法)、蛍光色素標識用樹脂粒子とビオチン(あるいはアビジン又はストレプトアビジン)を直接結合した標識を作製し、抗原に1次抗体とアビジン又はストレプトアビジン(あるいはビオチン)修飾した2次抗体を結合したものを染色する方法(ビオチン−アビジン法またはサンドイッチ法)等を用いることができる。
免疫染色に用いる1次抗体はいかなるものでも構わず、免疫染色を行ないたい対象によって変わる。例えばHER2を抗原とする免疫染色を行なう場合には、抗HER2抗体を用いる。また、2次抗体は如何なるものを用いても構わず、1次抗体によって変わる。例えば抗マウス・ウサギ(ラビット)・牛・ヤギ・羊・犬・チキン抗体が挙げられる。
とも可能である。また、検出の対象とする生体物質は、それと特異的に結合する物質が存
在するものであれば特に限定されるものではない。典型的には、上記のように抗原および
抗体の組み合わせが用いられるが、例えば、核酸分子(オリゴヌクレオチド、ポリヌクレ
オチド)およびそれに相補的に結合しうる配列を有する核酸分子の組み合わせを用いるこ
とも可能である。
本発明の蛍光色素標識用樹脂粒子は、前記の通り特に製造方法は制限されないが、好ましい製造方法の一例は次の通りである。すなわち、
『(1)単官能モノマーとしてメタクリル酸グリシジル及び4−アミノスチレン並びに多官能ポリマーとしてジビニルベンゼンを用いて重合させて樹脂を得る工程であって、メタクリル酸グリシジルの重量(A)と4−アミノスチレンの重量(B)及びジビニルベンゼンの重量(C)が、
(i)AとBとCの合計に対してBとCの合計が、33〜67%、かつ
(ii)BとCの合計に対してCが、20%〜80%
である工程、及び
(2)前記(1)の工程で得られる樹脂が有するアミノ基と蛍光色素が有する負電荷を持つ置換基とを共有結合以外で結合させる工程
を含む本発明の蛍光色素標識用樹脂粒子の製造方法』
である。
『前記(1)及び(2)の工程に加え、更に
(3)前記(2)の工程で得られる蛍光色素標識用樹脂粒子のグリシジルメタクリレート由来のエポキシ基をアミノ基へ変換する工程、
(4)前記(3)の工程で得られる蛍光色素標識用樹脂粒子のアミノ基にポリエチレングリコールリンカーを結合する工程、及び
(5)前記(4)の工程で結合したポリエチレングリコールリンカーにアビジン、ストレプトアビジン又はビオチンを結合する工程
を含む色素標識用樹脂粒子の製造方法』
である。この製造方法によれば、アビジン、ストレプトアビジン又はビオチンが結合した好ましい色素標識用樹脂粒子が得られる。この場合、前記(3)の工程のエポキシ基のアミノ基への変換は、通常用いられている方法、例えば、前記(2)の工程で得られる蛍光色素標識用樹脂粒子にアンモニア水を添加することにより行われる。また、前記(4)及び(5)の工程で使用するポリエチレングリコールリンカーは、例えば、サーモサイエンティフィック社(Thermo Fisher Scientific K.K.)、その他から種々のものが市販されており、目的にあったものを用いることができ、その使用方法も市販されているポリエチレングリコールリンカーの説明書を参照することができる(後記の実施例を参照)。
本発明の組織免疫染色用キットは、
『検出対象物質認識用抗体及びアビジン、ストレプトアビジン又はビオチンが結合された本発明の蛍光色素標識用樹脂粒子を含む組織免疫染色用キット』
である。
蛍光色素としてTexas Redが結合されたポリスチレンナノ粒子を、以下のようなソープフリー乳化重合法により作製した。
蛍光色素としてスルホローダミンBが結合されたポリアクリロニトリルナノ粒子を、実施例1と同様にソープフリー乳化重合法により作製した。すなわち、実施例1で用いたSulforhodamine 101に変えて、スルホローダミンB ナトリウム塩(シグマアルドリッチ製)を使用し、さらにアクリロニトリル0.10gを添加するとともに、グリシジルメタクリレートの添加量を0.10gに変更して作成した。
蛍光色素として芳香族炭化水素系色素(ペリレンジイミドスルホン酸誘導体)を次の通り準備した。N,N'-Bis(2,6-diisopropylphenyl)-1,6,7,12-tetraphenoxyperylene-3,4:9,10-tetracarboxdiimideを濃硫酸で処理し、ペリレンジイミドスルホン酸誘導体を作製した。
N,N'-Bis(2,6-diisopropylphenyl)-1,6,7,12-tetraphenoxyperylene-3,4:9,10-tetracarboxdiimideを、既報のAngew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 1528に従ってアミノエチルベンゼンで修飾し、ペリレンジイミドアンモニウム誘導体を作製した。
蛍光色素としてスルホローダミンBが結合されたポリアクリロニトリルナノ粒子を、実施例1と同様にソープフリー乳化重合法により作製した。すなわち、実施例1で用いたSulforhodamine 101に変えて、スルホローダミンB ナトリウム塩(シグマアルドリッチ製)を使用し、4−アミノスチレンに変えて、メタクリル酸 2−(ジメチルアミノ)エチルエステル(東京化成工業)を使用した。
FluoSpheres(登録商標) Amine-Modified Microspheres, 0.2 μm, Red Fluorescent (580/605), 2% solids(インビトロジェン社製、型番F-8763)を用いて、実施例1と同様にして、マレイミド基が結合した色素結合ナノ粒子を得て、最終的にストレプトアビジンが結合した蛍光色素含有ポリスチレンナノ粒子を得た。なお、上記のFluoSpheres(登録商標) Amine-Modified Microspheres, 0.2 μm, Red Fluorescent (580/605), 2% solids(インビトロジェン社製、型番F-8763)は、ローダミン系色素を含有していると推測される。
サンプル約0.1 g(w1)をあらかじめ質量を測定した400メッシュのステンレス金網(w2)で包み,キシレン100 ml 中で120 ℃ 24 時間抽出する。その後ステンレス金網を取り出し,80 ℃ 16 時間真空乾燥して質量(w3)を測定し,以下の計算式で架橋度を算出した。
架橋度(%)=[(w3 −w2)/w1]×100
実施例1〜5で調製した蛍光色素結合ナノ粒子を用いて、ヒト乳房組織の免疫染色を行なった。染色切片はコスモ・バイオ社製の組織アレイスライド(CB−A712)を用いた。組織アレイスライドを脱パラフィン処理後、水に置換洗浄し、10mMクエン酸緩衝液(pH6.0)中で15分間オートクレーブ処理することで、抗原の賦活化処理を行った。抗原の賦活化処理後の組織アレイスライドをPBS緩衝液を用いて洗浄後、1%BSA含有PBS緩衝液を用いて湿潤箱中で1時間ブロッキング処理を行った。ブロッキング処理後、1%BSA含有PBS緩衝液で0.05nMに希釈した抗HER2ウサギモノクローナル抗体(4B5)(ベンタナ社製)を組織切片と2時間反応させた。PBSで洗浄後、1%BSA含有PBS緩衝液で希釈したビオチン標識抗ウサギ抗体と30分反応させた。さらに、実施例1〜5で調製した蛍光色素結合ナノ粒子と2時間反応させ、その後洗浄を行うことにより、免疫組織化学染色切片が得られた。得られた免疫組織化学染色切片を4%中性パラホルムアルデヒド水系バッファ溶液中に10分間浸漬することにより、固定処理を行った。
蛍光観察の写真を図1に示す。比較例と比較して、シャープな輝点が得られた。
上記のようにして固定処理した免疫組織化学染色切片に対してヘマトキシリン染色を行い、染色後の切片をエタノールに浸漬することにより脱水し、脱水切片をさらにキシレンに浸漬し風乾させることにより透徹を行ったところ、二重染色切片が得られた。ヘマトキシリン染色は、後述の評価において影響は無かった。また、形態染色を行わない場合はエタノール浸漬とキシレン浸漬による透徹のみ行うことができ、形態染色を行う場合にさらにエオシン染色を追加することもできた。
蛍光観察の写真を画像ソフトImageJで解析し、写真上の輝点をカウントした。一方、形態染色で得られた写真から、目視で細胞の数をカウントした。輝点のカウント数を細胞のカウント数で除して、1細胞あたりの輝点数を算出した。
実施例1〜5で調製した蛍光色素結合ナノ粒子及び比較例で調製した蛍光色素含有ポリスチレンナノ粒子を用いて、上記の免疫組織染色を実施した結果を評価すると次の通りであった。
実施例2〜5は、実施例1と同様の輝点が観察された。
Claims (13)
- 樹脂からなる樹脂粒子に蛍光色素が共有結合以外で結合された蛍光色素標識用樹脂粒子であって、
(1)前記樹脂がスチレン、メタクリル酸アルキル及びアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1つの単官能モノマーから形成される構成単位を含み、かつその構成単位に含まれる水素の少なくとも一部が電荷を持つ置換基に置き換えられていること、又は、前記樹脂が単官能モノマーとしてのメタクリル酸から形成される構成単位を含んでいること、
(2)前記樹脂の架橋度が50%以上であること、及び
(3)前記蛍光色素が前記樹脂の有する電荷を持つ置換基の電荷とは反対の電荷を持つ置換基を有すること
を特徴とする蛍光色素標識用樹脂粒子。 - 前記樹脂が、メタクリル酸グリシジルの単官能モノマーから形成される構成単位を更に有する請求項1に記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
- 前記樹脂が正電荷を持つ置換基を有しており、前記蛍光色素が負電荷を持つ置換基を有しており、前記蛍光色素1分子中の前記負電荷を持つ置換基の数が分子量400当たり1以上である請求項1又は2に記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
- 前記樹脂が正電荷を持つ置換基を有しており、前記蛍光色素が負電荷を持つ置換基を有しており、前記蛍光色素1分子中の前記負電荷を持つ置換基の数が2以上である請求項1又は2に記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
- 前記樹脂の電荷を持つ置換基がアミノ基を含む請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
- 前記蛍光色素の電荷を持つ置換基がスルホ基を含む請求項1〜5のいずれかに記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
- 前記蛍光色素が、ボディーピー(BODIPY)系色素、ローダミン系色素、スクアリリウム系色素又は芳香族炭化水素系色素である請求項1〜6のいずれかに記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
- 前記樹脂がポリスチレンを主鎖とするものであり、前記蛍光色素がローダミン系色素である請求項1〜7のいずれかに記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
- 前記樹脂がポリスチレンを主鎖とするものであり、前記蛍光色素が芳香族炭化水素系色素である請求項1〜7のいずれかに記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
- アビジン、ストレプトアビジン又はビオチンが更に結合された請求項1〜9のいずれかに記載の蛍光色素標識用樹脂粒子。
- (1)単官能モノマーとしてメタクリル酸グリシジル及び4−アミノスチレン並びに多官能ポリマーとしてジビニルベンゼンを用いて重合させて樹脂を得る工程であって、メタクリル酸グリシジルの重量(A)と4−アミノスチレンの重量(B)及びジビニルベンゼンの重量(C)が、
(i)AとBとCの合計に対してBとCの合計が、33〜67%、かつ
(ii)BとCの合計に対してCが、20%〜80%
である工程、及び
(2)前記(1)の工程で得られる樹脂が有するアミノ基と蛍光色素が有する負電荷を持つ置換基とを共有結合以外で結合させる工程
を含む請求項1〜9のいずれかに記載の蛍光色素標識用樹脂粒子の製造方法。 - 前記(1)及び(2)の工程に、更に
(3)前記(2)の工程で得られる蛍光色素標識用樹脂粒子のメタクリル酸グリシジル由来のエポキシ基をアミノ基へ変換する工程、
(4)前記(3)の工程で得られる蛍光色素標識用樹脂粒子のアミノ基にポリエチレングリコールリンカーを結合する工程、及び
(5)前記(4)の工程で結合したポリエチレングリコールリンカーにアビジン、ストレプトアビジン又はビオチンを結合する工程
を含む請求項10に記載の色素標識用樹脂粒子の製造方法。 - 検出対象物質認識用抗体及び請求項10に記載の蛍光色素標識用樹脂粒子を含む組織免疫染色用キット。
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