JP2014173049A - 天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
高耐熱でありながら、射出成形品のエッジ部分においても良好な塗膜外観(吸込み、ブリスターの無い)を得ることができ、かつ、天然ゴムを含有する耐熱・耐塗装性ゴム強化スチレン系樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
特定の天然ゴムを含有するゴム状重合体(ア)とビニル系単量体混合物をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(I)15〜50重量部、耐熱ビニル系共重合体(II)10〜38重量部、高シアン化ビニル系共重合体(III)5〜60重量部、およびビニル系共重合体(IV)0〜50重量部を含有してなる天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、天然ゴムを含有しながら耐熱性、流動性、および、耐衝撃性のバランスの取れた特性を有し、さらには良好な塗膜外観の塗装成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
ゴム強化スチレン系樹脂は、優れた加工性、耐衝撃性、機械的特性を有していることから、車両、家電、建材など広範な分野において、各種構成部材の成形材料として使用されている。例えば、近年、車両分野では、ゴム強化スチレン系樹脂の優れた二次加工性、特に塗装性に着目して、四輪内装部材や外装部材への使用展開が図られている。
一方、市場からは常に成形品の塗装不良の低減(耐塗装性)が強く求められている。ゴム強化スチレン系樹脂は、一般的に塗装しやすい材料ではあるが、樹脂組成物の特性、成形品の形状、成形条件、塗装方法、塗装環境などの因子の影響を受け、著しい塗装不良を起こす場合がある。この塗装不良の中でも、塗料に含まれるシンナーなどの溶媒成分が成形品に作用して発生する吸込み現象(塗装表面に微細な凹凸が形成され、光の乱反射によって光沢むらとなって観察される現象)、および、特に射出成形品のエッジ部分に多く見られるブリスター現象(塗装表面に噴火口のような形態の小さな穴が発生する現象)は、代表的な塗装不良に挙げられ、最終製品の商品価値を大きく損なうものである。
過去の塗装不良を低減させるための技術として、以下の技術が開示されている。
特許文献1では、ゴム強化スチレン系樹脂のマトリクス成分としてアクリロニトリルのコンテントの高いAS樹脂を使用することで耐塗装性を高め、吸込み性の改善を図る技術が提案されている。しかしながら、耐熱性のゴム強化スチレン系樹脂に本技術を適用した場合、流動性が低くなってしまうために射出成形には適さず、また、ブリスター現象については何ら解決されていなかった。
特許文献2では、耐メッキ性と耐塗装性を並立かつ、シルバーストリーク低減のため、ゴム成分の粒子径の異なるものを使用する技術が提案されている。ただし、本技術では、樹脂組成物の衝撃性が高く、メッキの外観には有用であるが、塗装の吸込みやブリスター現象を解決できるものではなかった。
特許文献3では、耐メッキ性と耐塗装性を並立するため、ゴム強化スチレン系樹脂中のゴム以外の成分について、アセトン可溶分の分子量分布を特定の範囲に制御したAS樹脂を適用した樹脂組成物が開示されている。本技術でアクリロニトリルのコンテントが高いAS樹脂を使用した場合には、ゴム強化スチレン系樹脂全体の耐塗装性が高められるので、吸込みを低減できるが、特許文献1,2と同様に耐熱性のゴム強化スチレン系樹脂では流動性が低くなってしまうために射出成形には適さず、また、ブリスター現象については何ら解決されていなかった。
特許文献4では、耐塗装性の向上を図るため、ゴム強化スチレン系樹脂のゴム含有グラフト共重合体成分中のゴム以外の成分(AS樹脂)を250000〜400000へ高分子量化し、かつマトリクス成分は、重量平均分子量が10万〜20万でアクリロニトリルコンテントが20〜30%のAS樹脂と重量平均分子量が10万未満でアクリロニトリルコンテントが35〜50%のAS樹脂を使用して耐塗装性を改善した技術が開示されている。しかし、本技術であれば、吸込みはある程度低減できるが、高分子量のAS樹脂を使用しているため、流動性が不足し、射出成形品のエッジ部分での吸込みについては対策不十分であった。また、ブリスター現象については何ら解決されていなかった。
また、近年ではポリ乳酸に代表される天然由来原料を使用した樹脂組成物が、カーボンニュートラルの観点からニーズが高まっており、ゴム状重合体を含む熱可塑性樹脂組成物への天然由来原料の適用の一例として、ゴム状重合体として用いられるポリブタジエン等の合成ゴムを天然ゴムに代替する技術がある。具体例として、特許文献5には、ゴム状重合体の存在下シアン化ビニル化合物、アクリル酸エステル及びメタアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種の化合物及び芳香族ビニル化合物の共重合により得られるゴム変性熱可塑性樹脂あるいは上記ゴム状重合体もしくはゴム変性熱可塑性樹脂と上記単量体よりなる共重合体との混合物40〜97重量%と、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びこれらと共重合可能な多官能性化合物、更に必要に応じて他の重合性ビニル化合物からなる単量体混合物を、有機ハイドロパーオキサイドを開始剤として重合して得られる共重合体であって、且つ高化式フローテスターによるQ値が10×10−3cm/sec以下である共重合体3〜60重量%とからなる組成物により、艶消し能力の高いスチレン系熱可塑性樹脂組成物を提供でき、ゴム状重合体として天然ゴムが使用できることが記載されている。ただし、特許文献5において実際に天然ゴムを適用した例は開示されていない。
特許文献6では、窒素含有率が0.1質量%以下の脱蛋白質化天然ゴムを含有してなるゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含有してなるビニル系単量体を重合して得られるグラフト共重合体からなり、グラフト率が10〜65質量%であり、アセトン可溶分の固有粘度が0.2〜1.5dl/gである樹脂改質剤が芳香族ビニル系樹脂等の各種樹脂の耐衝撃性及び成形品表面外観の改善に使用できると記載されている。
特許文献7では、窒素含有率が0.1質量%以下の脱蛋白化天然ゴム3〜90質量%と合成ゴム10〜97質量%とからなるゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル化合物及び所望により該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含有してなるビニル系単量体を重合して得られるグラフト共重合体を含有してなるゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物が、耐衝撃性や成形品表面外観に優れると記載されている。
また、特許文献8では、下記成分(A1)及び下記成分(A2)を含有してなるゴム変性ビニル系樹脂組成物であり、成分(A1)を窒素含有率が0.1質量%以下の脱蛋白化天然ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物及び所望により該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含有してなるビニル系単量体を重合して得られるグラフト共重合体とし、成分(A2)を合成ゴムの存在化に、芳香族ビニル化合物及び所望により該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含有してなるビニル系単量体を重合して得られるグラフト共重合体とすることで、耐衝撃性や成形品表面外観を向上させることができると記載されている。
なお、特許文献6〜8では、天然ゴム中に存在する不純物、特に蛋白質がグラフト重合反応を阻害するため、公知の脱蛋白化方法による天然ゴムラテックスの脱蛋白化が必要とあり、脱蛋白化処理を施さない天然ゴムラテックスでは、高い耐衝撃性改善効果は得られなかったと記載されている。
特開平9−302197号公報 特開2005−350566号公報 特開2002−256043号公報 特開2000−7877号公報 特開昭59−161459号公報 特開2011−225790号公報 特開2011−225791号公報 特開2011−225792号公報
本発明は、天然ゴムを含有し、かつ、耐熱性、流動性、および、耐衝撃性のバランスの取れた特性を有し、射出成形品のエッジ部分においても良好な塗膜外観(吸込み、ブリスターが無い)を得ることができるような天然ゴム含有耐熱・耐塗装性ゴム強化スチレン系樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のグラフト共重合体、耐熱ビニル系共重合体および高シアン化ビニル系共重合体を含有してなる天然ゴム含有ゴム強化スチレン系樹脂組成物が、天然由来の原料を含有しながらも、耐熱性、流動性、耐衝撃性のバランスに優れ、さらには射出成形品のエッジ部分においても良好な塗膜外観が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(6)で構成される。
(1)粒子径1.0μm以上の天然ゴム粒子を5重量%以上含み、かつ、重量平均粒子径が0.3〜1.2μmの範囲にある天然ゴム10〜70重量%、及び、重量平均粒子径が0.2〜0.4μmの範囲にある合成ゴム30〜90重量%からなるゴム状重合体(ア)の存在下に、少なくとも芳香族ビニル系単量体(イ)を含有するビニル系単量体混合物をグラフト共重合してなり、1.0μm以上の粒子径のゴム状重合体粒子の内部グラフト率が20%以上であるグラフト共重合体(I)15〜50重量部、
芳香族ビニル系単量体(イ)36〜65重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)0〜12重量%およびマレイミド系単量体(エ)35〜52重量%を共重合してなる耐熱ビニル系共重合体(II)10〜38重量部、
芳香族ビニル系単量体(イ)60〜70重量%およびシアン化ビニル系単量体(ウ)30〜40重量%を共重合してなる高シアン化ビニル系共重合体(III)5〜60重量部、ならびに
芳香族ビニル系単量体(イ)70重量%超〜82重量%およびシアン化ビニル系単量体(ウ)18重量%〜30重量%未満を共重合してなるビニル系共重合体(IV)0〜50重量部を含有してなる、天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物。
(2)グラフト共重合体(I)のゴム状重合体(ア)における合成ゴム成分がポリブタジエンであることを特徴とする、(1)に記載の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物。
(3)グラフト共重合体(I)が、ゴム状重合体(ア)40〜60重量%の存在下に、芳香族ビニル系単量体(イ)60〜80重量%およびシアン化ビニル系単量体(ウ)20〜40重量%を含有するビニル系単量体混合物60〜40重量%をグラフト共重合してなることを特徴とする、(1)または(2)に記載の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物。
(4)高シアン化ビニル系共重合体(III)が下記(A)および(B)を満足することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物。
(A)高シアン化ビニル系共重合体(III)の平均シアン化ビニル含有率が30〜40重量%。
(B)高シアン化ビニル系共重合体(III)のシアン化ビニルの組成分布において、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体が高シアン化ビニル系共重合体(III)中に20〜50重量%存在する。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(V)0.5〜10重量部を添加してなる、天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明によれば、天然由来原料を使用しながらも、射出成形品のエッジ部分においても良好な塗膜外観を形成できる耐熱性の高い成形品を射出成形によって得ることができるため、耐熱・塗装成形品の大型化や形状の複雑化に対応することができる。
図1は、塗装用角板成形品の寸法と塗装した面を説明するための図である。
以下、本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物とその成形品について、具体的に説明する。
本発明の耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物に配合されるグラフト共重合体(I)は、粒子径1.0μm以上の天然ゴム粒子を5重量%以上含み、かつ、重量平均粒子径が0.3〜1.2μmの範囲にある天然ゴム10〜70重量%、及び、重量平均粒子径が0.2〜0.4μmの範囲にある合成ゴム30〜90重量%からなるゴム状重合体(ア)に、少なくとも芳香族ビニル系単量体(イ)を含有するビニル系単量体混合物をグラフト共重合して得られるものである。
グラフト共重合体(I)に使用される天然ゴムとは、ゴムノキの樹液に含まれる、主成分がシス−ポリ1,4−イソプレンを主成分とする物質をいう。樹液には生体内での付加重合で生成し天然ゴムの他、微量のタンパク質や脂肪酸などの不純物が含まれており、本発明では、樹液(天然ゴム濃度は30重量%程度)を公知の精製・固液分離の手法により天然ゴム濃度を60%重量以上にした天然ゴムラテックスに含まれる天然ゴムを用いる。また、ここでいう天然ゴムはあらかじめ脱蛋白化処理を施されたものではないが、本発明の天然ゴム含有熱可塑性樹脂組成物を製造する工程で該天然ゴムが脱蛋白化されてしまうことがあっても本発明の態様の一部として許容される。
グラフト共重合体(I)に使用される合成ゴムは、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)(SBR)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)(NBR)、ポリイソプレン、ポリ(ブタジエン−アクリル酸ブチル)、ポリ(ブタジエン−メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸エチル)、エチレン−プロピレンラバー、ポリ(エチレン−イソプレン)又はポリ(エチレン−アクリル酸メチル)などが挙げられる。中でも、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)(SBR)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)(NBR)又はエチレン−プロピレンラバーの使用が耐衝撃性の点で好ましく、さらに好ましくはポリブタジエンである。
グラフト共重合体(I)に使用されるゴム状重合体(ア)は、天然ゴム10〜70重量%、合成ゴム30〜90重量%からなることを特徴とする。天然ゴムが10重量%未満でかつ合成ゴムが90重量%を越える場合には、グラフト共重合体(I)を含む熱可塑性樹脂組成物の流動性に対する耐衝撃性が低下し、一方、天然ゴムが70重量%を越えかつ合成ゴムが30重量%未満の場合には、グラフト共重合体(I)を含む熱可塑性樹脂組成物の流動性に対する耐衝撃性が著しく低下すると共に、色調、表面光沢性が低下するため、好ましくないからである。
グラフト共重合体(I)に使用される天然ゴムは、1.0μm以上の粒子径のものが天然ゴム粒子全体の5重量%以上であり、かつ、重量平均粒子径は0.3〜1.2μmの範囲、好ましくは0.6〜1.0μmにあることを特徴とする。
天然ゴムが含有する1.0μm以上の粒子径の含有量は、グラフト共重合体(I)を含む熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性や表面光沢性の観点より、天然ゴム粒子全体に対して好ましくは5〜50重量%、より好ましくは20〜45重量%である。なお、1.0μm以上の粒子径のものが天然ゴム粒子全体の5重量%未満である場合、耐衝撃性が低下し、1.0μm以上の粒子径のものが、天然ゴム粒子全体の50重量%を超えると、表面光沢性が著しく低下する。
天然ゴムの重量平均粒子径が0.3μm未満のものは天然ゴムとしての採取が難しく、二次加工に手間がかかることに加え、0.3μm未満である場合、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下するおそれがある。一方、天然ゴムの重量平均粒子径が1.2μmを超える場合には、熱可塑性樹脂組成物の流動性に対する耐衝撃性が著しく低下するおそれがあると共に、色調、表面光沢性が低下することがある。
合成ゴムの重量平均粒子径は、0.2〜0.4μmの範囲にあることを特徴とし、好ましくは、0.2〜0.3μmの範囲にある。これは、重量平均粒子径が0.2μm未満の場合は、グラフト共重合体(I)を含む熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性の低下が認められ、一方、0.4μm越える場合はグラフト共重合体(I)を含む熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性の低下に加え、表面光沢性の低下が認められるため、好ましくないからである。
なお、グラフト共重合体(I)は、上記規定の重量平均粒子径を有するゴム状重合体に少なくとも芳香族ビニル単量体を含むビニル系単量体混合物をグラフト重合することにより得られるものであり、ゴム状重合体にビニル系共重合体がグラフトしたものと、グラフトしていないビニル系共重合体が含まれる。
グラフト共重合体(I)におけるゴム状重合体(ア)の重量分率は、40〜60重量%に調整することが好ましく、より好ましいゴム状重合体(ア)の重量分率は、40〜55重量%であり、より好ましくは40〜50重量%である。重量分率が40重量%未満では材料の衝撃が低下し、一方、60重量%を超えるとグラフト共重合体(I)中のゴム状重合体の分散性が低下し、グラフト共重合体(I)を含む熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下することがある。
ビニル系単量体混合物に含まれる芳香族ビニル系単量体(イ)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレンおよびブロモスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましい。なお、これらは1種又は2種以上用いることができる。なお、グラフト共重合体(I)での芳香族ビニル系単量体(イ)と、後述の耐熱ビニル系共重合体(II)での芳香族ビニル系単量体(イ)、高シアン化ビニル系共重合体(III)での芳香族ビニル系単量体(イ)、およびビニル系共重合体(IV)での芳香族ビニル系単量体(イ)は同一の物質であっても、それぞれ異なった物質であってもよいが、同一の物質であることが好ましい。
ビニル系単量体混合物に含まれるシアン化ビニル系単量体(ウ)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。なお、これらは1種又は2種以上用いることができる。なお、グラフト共重合体(I)でのシアン化ビニル系単量体(ウ)、耐熱ビニル系共重合体(II)でのシアン化ビニル系単量体(ウ)、高シアン化ビニル系共重合体(III)でのシアン化ビニル系単量体(ウ)、およびビニル系共重合体(IV)でのシアン化ビニル系単量体(ウ)は同一の物質であっても、それぞれ異なった物質であってもよいが、同一の物質であることが好ましい。
また、ビニル系単量体混合物には、本発明の効果を失わない程度に他の共重合可能な単量体を用いても良い。具体的には、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、不飽和脂肪酸、アクリルアミド系単量体、マレイミド系単量体から選択される単量体であり、それぞれの目的に応じて選択することができる。これらは単独でも複数でも用いることが可能である。
不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、などが挙げられるが、(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。なお、これらは1種又は2種以上用いることができる。
不飽和脂肪酸としては、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ブテン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
アクリルアミド系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
マレイミド系単量体としては、N−メチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。
耐熱性や難燃性を向上させる意図があれば、N−フェニルマレイミドが好ましい。また、硬度向上や透明感を重視させるのであれば、メタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
ビニル系単量体混合物の合計の重量分率は、40〜60重量%に調整することが好ましく、より好ましい重量分率は、45〜60重量%であり、さらに好ましくは、50〜60重量%である。ビニル系単量体混合物の合計の重量分率が40重量%未満では、流動性が低下することで成形加工性が損なわれたり、また、成形品の表面外観が低下することがある。一方、60重量%を超えると樹脂組成物の衝撃性が低下することがある。
また、ビニル系単量体混合物に含有される芳香族ビニル系単量体(イ)およびシアン化ビニル系単量体(ウ)の組成比は、成形加工性の観点から、芳香族ビニル系単量体(イ)60〜80重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)20〜40重量%の範囲とすることが好ましい。
グラフト共重合体(I)の製造方法は特に限定はなく、天然ゴム及び合成ゴムをブレンド後、ビニル系単量体混合物とグラフト重合してもよく、天然ゴム、合成ゴムを各々ビニル系単量体混合物とグラフト重合した後、各々のグラフト共重合体をブレンドしてもよい。
ゴム状重合体(ア)とビニル系単量体混合物のグラフト重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、連続塊状重合法及び溶液連続重合法等の任意の方法を用いることができ、好ましくは乳化重合法又は塊状重合法が用いられる。なかでも、ゴム状重合体(ア)の粒子径を制御しやすく、重合時の除熱による制御のしやすさから乳化重合法が最も好まれる。
乳化重合法には、各種界面活性剤を使用できるが、カルボン酸塩型、硫酸エステル塩型及びスルホン酸塩型などのアニオン系界面活性剤が特に好ましく使用される。
乳化剤の具体例としては、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリル酸塩、ミスチリン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、ロジン酸塩、ベヘン酸塩、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩などが挙げられる。ここで言う塩とは、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、などが挙げられる。これらの乳化剤は、1種又は2種以上を併用して使用される。
グラフト重合に使用される開始剤としては、過酸化物又はアゾ系化合物及び水溶性の過硫酸カリウムなどが用いられる。過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルイソプロピルカルボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオクテート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロへキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロへキサン及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。
アゾ系化合物の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カーボニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、1−t−ブチルアゾ−2−シアノブタン、2−t−ブチルアゾ−2−シアノ−4−メトキシ−4−メチルペンタンなどが挙げられる。これらの開始剤を使用する場合、1種又は2種以上を併用して使用される。なかでも乳化重合には、過硫酸カリウム、クメンハイドロパーオキサイド等が好ましく用いられる。また、開始剤はレドックス系でも用いることができる。
グラフト共重合体(I)の重合度及びグラフト率調整を目的として、メルカプタン、テルペン等の連鎖移動剤を使用することも可能であり、その具体例としては、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、及びテルピノレンなどが挙げられる。これら連鎖移動剤が使用される場合は、1種又は2種以上を併用して使用される。なかでも、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。
乳化重合で製造されたグラフト共重合体ラテックスからは、次いで凝固剤を添加してグラフト共重合体(I)を回収する。凝固剤としては酸又は水溶性塩が用いられ、その例としては硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、及び硫酸アルミニウムナトリウムなどが挙げられる。これらの凝固剤は1種又は2種以上を混合して使用される。なお、色調の優れた樹脂を得るためには、樹脂中に乳化剤を残存させない方が好ましく、乳化剤にはアルカリ脂肪酸塩を用い、酸凝固することが好ましい。
単量体の仕込み方法には、初期一括仕込みするか、共重合体組成の分布を制御するため単量体の一部を連続的に仕込むか、もしくは単量体一部又は全てを分割して仕込んでも良いが、乳化重合開始前に全単量体の10%重量以上のビニル系単量体混合物を仕込む必要がある。
乳化重合開始前に全単量体の10重量%以上のビニル系単量体混合物を仕込むことによって、ビニル系単量体混合物が蛋白質に被服された天然ゴム内部にまで進入、含浸され、目的の構造を有するグラフト共重合体(I)の製造が可能となる。
乳化重合開始前に全ビニル系単量体混合物の10重量%以上を仕込む時間については、特に制限はないが、天然ゴムへのビニル系単量体混合物の含浸を促進させるため、30〜90分程度かけて添加するのが良い。
乳化重合開始前に全ビニル系単量体混合物の10重量%以上を仕込む際の温度は、特に制限はないが、40〜70℃で行うのが良い。仕込み温度が40℃未満の場合は、ビニル系単量体混合物の天然ゴム内部への含浸が十分ではなく、一方、70℃を越える場合にはラテックスの乳化安定性が悪化することがある。
その他、乳化重合の際のpHは特に制限はないが、10〜12の範囲であることが好ましい。pHが10〜12の範囲にすることによりラテックスの乳化状態を安定化することができる。また、一部の蛋白質の加水分解が促進されグラフト重合が進行しやすくなる。pHを10〜12の範囲にするには、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が用いられるが、乳化安定性が良い水酸化カリウムが好まれて用いられる。
グラフト共重合体(I)のグラフト率に特に制限はないが、30%以上であることが好ましく、より好ましくは35%以上であり、さらに好ましくは40%以上である。グラフト率が、30%未満の場合には、熱可塑性樹脂組成物に存在するゴム状重合体の相溶性が低下することによる耐衝撃性の低下が認められることがあるため好ましくない。一方、グラフト率の上限は特に制限はないが、グラフト率が70%を超えるとゴム状重合体による耐衝撃改善効果が不十分になることがあるため、70%以下であることが好ましい。
本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物に含まれるグラフト重合体(I)は、1.0μm以上の粒子径のゴム状重合体粒子の内部グラフト率が20%以上であることを特徴とし、好ましくは30%以上である。内部グラフト率とは、ゴム状重合体内部に存在するビニル系共重合体の含量の、ゴム状重合体及び内部に存在するビニル系共重合体の総量に対する割合を示すものであり、また、ここでいうゴム状重合体は天然ゴムと合成ゴムを区別するものではない。1.0μm以上の粒子径のゴム状重合体粒子の内部グラフト率が20%未満の場合には、グラフト共重合体(I)を含む熱可塑性樹脂組成物に存在するゴム状重合体、主に天然ゴムの相溶性が悪化することによって熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下するため、好ましくない。なお、1.0μm以上の粒子径のゴム状重合体の内部グラフト率の上限については特に制限はないが、50%以下であることが好ましい。
本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(I)の重量は15〜50重量部であり、好ましくは20〜45重量部、より好ましくは23〜40重量部である。グラフト共重合体(I)が15重量部より少ないと樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、50重量部を超えて使用する場合には樹脂組成物の成形加工性や射出成形品での耐塗装性が損なわれるので好ましくない。
本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物に配合される耐熱ビニル系共重合体(II)は、芳香族ビニル系単量体(イ)36〜65重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)0〜12重量%およびマレイミド系単量体(エ)35〜52重量%を共重合して得られたものである。
耐熱ビニル系共重合体(II)の構成成分である芳香族ビニル系単量体(イ)としては、前述のグラフト共重合体(I)での芳香族ビニル系単量体(イ)と同様に、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレンおよびブロモスチレンなどが挙げられる。これらは必ずしも1種類で使用する必要はなく、複数種併用して使用することもできる。これらの中で特にスチレンが好ましく採用される。
耐熱ビニル系共重合体(II)の構成成分であるシアン化ビニル系単量体(ウ)としては、前述のグラフト共重合体(I)でのシアン化ビニル系単量体(ウ)と同様に、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられる。これらは必ずしも1種類で使用する必要はなく、複数種併用して使用することもできる。これらの中で特にアクリロニトリルが好ましく採用される。
耐熱ビニル系共重合体(II)の構成成分であるマレイミド系単量体(エ)としては、N−メチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。これらは必ずしも1種類で使用する必要はなく、複数種併用して使用することもできる。これらの中で特にN−フェニルマレイミドが好まし採用される。
耐熱ビニル系共重合体(II)を構成する単量体組成比率は、芳香族ビニル系単量体(イ)36〜65重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)0〜12重量%、マレイミド系単量体(エ)35〜52重量%の範囲であり、好ましくは37〜50重量%である。特に、マレイミド系単量体の添加量が35重量%を下回ると、樹脂組成物の耐熱性の向上効果が少なく、52重量%を超えると樹脂組成物の成形性を損なったりすることがある。
耐熱ビニル系共重合体(II)の、30℃、0.4g/dlのジメチルスルフォキシド溶液のウベローデ粘度計で測定した還元粘度は0.3〜0.7dl/gであることが好ましく、0.4〜0.6dl/gであることがより好ましい。耐熱ビニル系共重合体(II)の還元粘度が0.3dl/g未満である場合には、樹脂組成物の耐衝撃性が低下することがあり、一方、0.7dl/gを超える場合には、樹脂組成物の流動性が低下し、大型成形品の成形が容易でなくなることがある。
本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物中の耐熱ビニル系共重合体(II)の重量は10〜38重量部であり、好ましくは12〜36重量部、より好ましくは15〜35重量部である。耐熱ビニル系共重合体(II)が10重量部より少ないと、本発明の樹脂組成物がターゲットとしている耐熱レベル(熱変形温度85℃以上)に到達せず、一方、38重量部を超えて使用すると、耐熱性は高くなるが、耐衝撃性が低下するだけでなく、流動性が大幅に低下し、射出成形品の耐塗装性(吸込み現象、エッジ部のブリスター現象)も低下するので好ましくない。
本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物に配合される高シアン化ビニル系共重合体(III)は、芳香族ビニル系単量体(イ)60〜70重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)30〜40重量%を共重合して得られるものである。
高シアン化ビニル系共重合体(III)の構成成分である芳香族ビニル系単量体(イ)は、前述のグラフト共重合体(I)および耐熱ビニル系共重合体(II)での芳香族ビニル系単量体(イ)と同様に、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレンおよびブロモスチレンなどが挙げられる。これらは必ずしも1種類で使用する必要はなく、複数種併用して使用することもできる。これらの中で特にスチレンが好ましく採用される。
高シアン化ビニル系共重合体(III)の構成成分であるシアン化ビニル系単量体(ウ)としては、前述のグラフト共重合体(I)および耐熱ビニル系共重合体(II)でのシアン化ビニル系単量体(ウ)と同様に、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられる。これらは必ずしも1種類で使用する必要はなく、複数種併用して使用することもできる。これらの中で特にアクリロニトリルが好ましく採用される。
高シアン化ビニル系共重合体(III)中のシアン化ビニル系単量体が30重量%未満では、樹脂組成物全体の耐薬品性が低下し、塗装不良(吸込み)が発生しやすくなる傾向になり好ましくなく、一方、40重量%を超える場合には、高シアン化ビニル系共重合体(III)の重合度を高めることが困難であり、また、樹脂組成物全体の耐衝撃性が低下する場合があるため好ましくない。
高シアン化ビニル系共重合体(III)の、30℃、0.2,0.4g/dlのメチルエチルケトン溶液のウベローデ粘度測定から導出される固有粘度は0.3〜0.7dl/gであることが好ましく、0.3〜0.6dl/gであることがより好ましい。高シアン化ビニル系共重合体(III)の還元粘度が0.3dl/g未満である場合には樹脂組成物の耐衝撃性が低下することがあり、一方、0.7dl/gを超える場合には樹脂組成物の流動性が低下し、大型成形品の成形が容易でなくなることがある。
本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物中の高シアン化ビニル系共重合体(III)の重量は5〜60重量部の範囲であり、好ましくは8〜58重量部、より好ましくは9〜56重量部である。高シアン化ビニル系共重合体(III)が5重量部より少ない場合には、射出成形品の耐塗装性(吸込み現象、エッジ部のブリスター現象)が低下し、一方、60重量部を越えて使用すると、樹脂の耐衝撃性が低下するので好ましくない。
本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物に配合される高シアン化ビニル系共重合体(III)は、以下の(A)および(B)の特徴を満足することが好ましい。
(A)高シアン化ビニル系共重合体(III)の平均シアン化ビニル含有率が30〜40重量%。
(B)高シアン化ビニル系共重合体(III)のシアン化ビニルの組成分布において、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体が高シアン化ビニル系共重合体(III)中に20〜50重量%存在する。
高シアン化ビニル系共重合体(III)の平均シアン化ビニル含有率が30重量%未満では、射出成形品のエッジ部分での耐塗装性(吸込みおよびブリスター現象の改善)が十分でない場合があり、一方、40重量%を越えると溶融時の色調安定性が低下することがある。なお、耐塗装性と溶融時の色調安定性のバランスの点から、高シアン化ビニル系共重合体(III)の平均シアン化ビニル含有率が31〜37重量%であることがより好ましい。
同様に、高シアン化ビニル系共重合体(III)のシアン化ビニル単量体の組成分布において、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体が高シアン化ビニル系共重合体(III)中に含まれる比率が20重量%未満では、得られる耐塗装性熱可塑性樹脂組成物の耐塗装性が十分でない場合があり、一方、50重量%を越えると溶融時の色調安定性が低下することがある。なお、耐塗装性と溶融時の色調安定性のバランスの点から、高シアン化ビニル系共重合体(III)のシアン化ビニル単量体の組成分布において、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体が高シアン化ビニル系共重合体(III)中に25〜45重量%存在することがより好ましく、25〜40重量%存在することがさらに好ましい。
高シアン化ビニル系共重合体(III)のシアン化ビニルの組成分布は、高シアン化ビニル系共重合体(III)のメチルエチルケトン溶液にシクロヘキサンを添加していき、分別沈殿したシアン化ビニル系共重合体を乾燥し、重量を測定した後、赤外分光光度計によりシアン化ビニル含有率を求めることにより得られる。また、平均シアン化ビニル含有率は、分別しないで全体を赤外分光光度計によりシアン化ビニル含有率を求めることにより得られる。
本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(I)、耐熱ビニル系共重合体(II)および高シアン化ビニル系共重合体(III)でも成立するが、成形性と衝撃性のバランスからビニル系共重合体(IV)を50重量部以下の範囲で使用することができ、好ましくは0〜45重量部、より好ましくは0〜40重量部の範囲で使用される。ビニル系共重合体(IV)を50重量部を超えて使用すると、樹脂組成物の耐薬品性が低下することで、射出成形品の耐塗装性が低下(吸込み現象、エッジ部のブリスター現象)することがある。
ビニル系共重合体(IV)の構成成分である芳香族ビニル系単量体(イ)は、前述のグラフト共重合体(I)、耐熱ビニル系共重合体(II)および高シアン化ビニル共重合体(III)での芳香族ビニル系単量体(イ)と同様に、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレンおよびブロモスチレンなどが挙げられる。これらは必ずしも1種類で使用する必要はなく、複数種併用して使用することもできる。これらの中で特にスチレンが好ましく採用される。
ビニル系共重合体(IV)の構成成分であるシアン化ビニル系単量体(ウ)としては、前述のグラフト共重合体(I)、耐熱ビニル系共重合体(II)および高シアン化ビニル共重合体(III)でのシアン化ビニル系単量体(ウ)と同様に、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられる。これらは必ずしも1種類で使用する必要はなく、複数種併用して使用することもできる。これらの中で特にアクリロニトリルが好ましく採用される。
また、ビニル系共重合体(IV)には、上記芳香族ビニル系単量体(イ)およびシアン化ビニル系単量体(ウ)以外にも、本発明の効果を失わない程度に他の共重合可能な単量体を用いても良い。具体的には、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、不飽和脂肪酸、アクリルアミド系単量体、マレイミド系単量体から選択される単量体であり、それぞれの目的に応じて選択することができる。これらは単独でも複数でも用いることが可能である。
不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、などが挙げられるが、(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。なお、これらは1種又は2種以上用いることができる。
不飽和脂肪酸としては、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ブテン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
アクリルアミド系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
マレイミド系単量体としては、N−メチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。
耐熱性や難燃性を向上させる意図があれば、N−フェニルマレイミドが好ましい。また、硬度向上や透明感を重視させるのであれば、メタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
ビニル系共重合体(IV)を構成する単量体組成比率は、芳香族ビニル系単量体(イ)70重量%超〜82重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)18重量%〜30重量%未満の範囲であり、好ましくは19重量%以上30重量%未満、更に好ましくは20重量%以上30重量%未満である。ビニル系共重合体(IV)のシアン化ビニル系単量体が18重量%未満である場合には、樹脂組成物全体の耐薬品性が低下し、射出成形品の耐塗装性(吸込み現象、エッジ部のブリスター現象)が低下することがあり好ましくない。
ビニル系共重合体(IV)の、30℃、0.2,0.4g/dLのメチルエチルケトン溶液のウベローデ粘度測定から導出される固有粘度は0.3〜0.8dl/gであることが好ましく、0.3〜0.6dl/gであることがより好ましい。ビニル系共重合体(IV)の固有粘度が0.3dl/g未満である場合には、樹脂組成物の耐衝撃性が低下することがあり、一方、0.8dl/gを超える場合には、樹脂組成物の流動性が低下し、大型成形品の成形が容易でなくなることがある。
本発明において、グラフト共重合体(I)、耐熱ビニル系共重合体(II)、高シアン化ビニル系共重合体(III)およびビニル系共重合体(IV)の製造方法に関しては特に制限はなく、塊状重合、懸濁重合、塊状懸濁重合、溶液重合、乳化重合、沈殿重合およびこれらの組み合わせ等が用いられる。単量体の仕込み方法に関しても特に制限はなく、初期に一括添加してもよく、共重合体の組成分布を付けるため、あるいは防止するために添加方法は数回に分けて重合してもよい。
本発明において、グラフト共重合体(I)、耐熱ビニル系共重合体(II)、高シアン化ビニル系共重合体(III)、ビニル系共重合体(IV)の重合に使用される開始剤としては、過酸化物またはアゾ系化合物などが好適に用いられる。
過酸化物の具体例としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカルボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオクテート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3、3、5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。なかでもクメンハイドロパーオキサイドおよび1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3、3、5−トリメチルシクロヘキサンが、特に好ましく用いられる。
また、アゾ系化合物の具体例としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、1,1′−アゾビスシクロヘキサン−1−カーボニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2′−アゾビスイソブチレート、1−t−ブチルアゾ−1−シアノシクロヘキサン、2−t−ブチルアゾ−2−シアノブタン、および2−t−ブチルアゾ−2−シアノ−4−メトキシ−4−メチルペンタンなどが挙げられる。なかでもアゾビスイソブチロニトリルが特に好ましく用いられる。
これらの開始剤を使用する場合、1種または2種以上を併用して使用される。
重合を行うに際しては、グラフト共重合体(I)、耐熱ビニル系共重合体(II)、高シアン化ビニル系共重合体(III)、ビニル系共重合体(IV)の重合度調節を目的として、メルカプタンやテルペンなどの連鎖移動剤を使用することも可能である。連鎖移動剤の具体例としては、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタンおよびテルピノレンなどが挙げられる。なかでも、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンおよびn−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。これらの連鎖移動剤を使用する場合は、1種または2種以上を併用して使用される。
また、本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性樹脂組成物に使用する高シアン化ビニル系共重合体(III)について、前述の(A)および(B)の特徴を満足させる場合の製造方法としては、例えば、特許第3141707号公報に開示される水系懸濁重合法が挙げられる。
本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物にエチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(V)を添加することも好ましい態様のひとつである。エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(V)を添加することによって、塗装品のブリスター現象をさらに抑制することができる。
エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(V)とは、単量体成分として少なくともエチレン、(メタ)アクリル酸エステルおよび一酸化炭素を含むことを特徴とする共重合体であって、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよいが、好ましくはブロック共重合体である。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等が挙げられるが、好ましくは(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチルである。
エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(IV)の各組成比は、好ましくはエチレンが10〜85重量%、より好ましくは40〜80重量%、(メタ)アクリル酸エステルが好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%、一酸化炭素が好ましくは5〜40重量%、より好ましくは5〜20重量%であり、必要に応じて、その他の共重合可能な単量体と共重合させることもできる。
エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(V)の添加量は、グラフト共重合体(I)、耐熱ビニル系共重合体(II)、高シアン化ビニル系共重合体(III)およびビニル系共重合体(IV)の合計100重量部に対し、好ましくは0.5〜10重量部であり、より好ましくは1〜7重量部である。エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(V)の添加量を0.5〜10重量部の範囲内とすることにより、耐熱性と耐塗装性をバランスよく発現させることができる。
その他、本発明の樹脂組成物には、本発明の特性を損なわない範囲で、異なる樹脂をブレンドして使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンエチレンテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンに代表されるポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン4,6、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン11などのポリアミド樹脂、その他PPS樹脂、ポリアセタール樹脂、結晶性スチレン樹脂、PPE樹脂など目的に応じて使用することが出来る。
さらに、本発明の特性を損なわない範囲で、公知の耐衝撃改良材を使用することができる。使用することができる耐衝撃改良材としては、天然ゴム、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/メチルアクリレート共重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ブチルアクリレート共重合体、エチレン/エチルアクリレート/一酸化炭素共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/メチルアクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/オクテン−1共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体などのエチレン系エラストマ、ポリエチレンテレフタレート/ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート/ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体などのポリエステルエラストマ、MBSまたはアクリル系のコアシェルエラストマ、スチレン系エラストマが例示される。これらは、必ずしも1種類で使用する必要はなく、2種類以上混合して使用することもできる。
さらに、本発明の特性を損なわない範囲で、無機充填剤を添加することも可能である。無機充填剤の種類としては、ガラス繊維が好ましく使用することができる。また、無機充填材の形状としては、繊維状、板状、粉末状、粒状などのいずれの形状であってもよい。具体的には、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ガラス繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填剤、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、モンモリロナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ポリリン酸カルシウム、グラファイトなどの粉状、粒状あるいは板状の充填剤が挙げられる。特にガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。なお、上記無機充填剤はその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。無機充填材は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆または集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤などで処理されていてもよい。
本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性樹脂組成物は、必要に応じて、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、含硫黄化合物系酸化防止剤、含リン有機化合物系酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系などの熱酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サクシレート系などの紫外線吸収剤、デカブロモビフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、塩素化ポリエチレン、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリカーボネート、三酸化アンチモン、縮合リン酸エステルなどの難燃剤・難燃助剤、銀系抗菌剤に代表される抗菌剤、抗カビ剤、カーボンブラック、酸化チタン、離型剤、潤滑剤、顔料および染料などを添加することもできる。
本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性樹脂組成物は、構成する各共重合体成分を溶融混合して得ることができる。溶融混合方法に関しては、特に制限は無いが、加熱装置、ベントを有するシリンダーで単軸または二軸のスクリューを使用して溶融混合する方法などが採用可能である。溶融混合の際の加熱温度は、通常210〜320℃の範囲から選択されるが、本発明の目的を損なわない範囲で、溶融混合時の温度勾配等を自由に設定することも可能である。また、二軸のスクリューを用いる場合は、同一回転方向でも異回転方向でも良い。
本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性樹脂組成物の成形方法については特に限定されないが、射出成形により好適に成形される。射出成形は、好ましくは220〜300℃の通常成形する温度範囲で実施することができる。また、射出成形時の金型温度は、好ましくは30〜80℃の通常成形に使用される温度範囲である。
本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性樹脂組成物は、ISO法1.8MPaの熱変形温度85℃以上の耐熱性を有しているにもかかわらず、大型成形品への成形にも適した流動性と耐衝撃性を併せ持ち、かつ、90°未満のエッジを有する射出成形品に塗装したとしても、吸込みやブリスターといった塗装不良のない塗装部品が得られることを特徴としている。また、本発明の樹脂組成物は成形性が良いので、大型または形状の複雑な成形品に好適である。すなわち、本発明の樹脂組成物は、自動車外装のリアスポイラー、ホイールキャップ、ドアミラー、ラジエータグリルなど、自動車内装用の塗装部品ではパワーウインドパネル、センターコンソール、センタークラスター、レバーコントローラー、コンソールボックスなどに好適に使用することができ、その他、電気電子用途、住宅・建材用途にも好適に使用することができる。
本発明をさらに具体的に説明するため、以下に実施例を挙げるが、これらの実施例は本発明を何ら制限するものではない。
熱可塑性樹脂組成物の樹脂特性の分析方法を下記する。
(1)天然ゴム及び合成ゴムの重量平均粒子径測定
天然ゴム及び合成ゴムラテックスを水媒体で希釈、分散させ、レーザ散乱回折法粒度分布測定装置“LS 13 320”(ベックマン・コールター株式会社)により粒子径分布を測定した。その粒子径分布より、天然ゴム及び合成ゴムの重量平均粒子径を算出した。また、天然ゴムについては、粒子径分布より、1.0μm以上の粒子径を有するものが、天然ゴム粒子全体に占める割合について算出した。
(2)グラフト率測定
グラフト共重合体(I)サンプル1gにアセトン80mlを加え、70℃の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8000r.p.m(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過する。得られたアセトン不溶分を80℃で5時間減圧乾燥させ、その重量(n)を測定し、下記式よりグラフト率を算出した。ここで、Lはグラフト共重合体(A)のゴム状重合体含有率である。
グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/[(m)×L]}×100。
(3)内部グラフト率算出
ゴム状重合体内部に存在するビニル系共重合体の含量(内部グラフト量)の、ゴム状重合体及び内部に存在するビニル系共重合体の総量に対する割合を内部グラフト率として算出した。具体的には、オスミック酸染色法により調整した試料を電子顕微鏡(TEM)観察で2万倍に拡大して撮影した写真より、粒子径1.0μm以上のゴム状重合体を5つ選択し、ゴム状重合体の断面積と該断面積の内部に存在するビニル系共重合体の面積の比率として換算し、平均値として算出した。算出には、三谷商事株式会社製“WinROOF”画像解析ソフトの自動2色化により白黒判別した。全体の8割が白と判別される「しきい値」の1.4倍を境界値とし、白側の割合を内部グラフト量(X)、黒側をゴム状重合体量(Y)として下記式により算出した。
内部グラフト率(%)=(X)/[(X)+(Y)]×100。
(4)グラフト重合様態
グラフト共重合体(I)のグラフト重合時のラテックスの様態については、目視で観察し、以下の規準にて評価した。
○:ラテックス中に凝集物が見られない。
×:ラテックス中に凝集物の発生が多量に見られる。
(5)還元粘度
耐熱ビニル系共重合体(II)の還元粘度について、ウベローデ粘度計を使用し、測定温度30℃、試料濃度0.4g/dlのジメチルスルフォキシド溶液より測定した。
(6)固有粘度
高シアン化ビニル系共重合体(III)、ビニル系共重合体(IV)の固有粘度について、ウベローデ粘度計を使用し、測定温度30℃、試料濃度0.2g,0.4g/dlのメチルエチルケトン溶液より測定し、固有粘度を導出した。
(7)平均シアン化ビニル含有率
高シアン化ビニル系共重合体(III)、ビニル系共重合体(IV)について、加熱プレスにより40μm程度のフィルム状にし、赤外分光光度計により求めた。
(8)シアン化ビニル組成分布
高シアン化ビニル系共重合体(III)、ビニル系共重合体(IV)の各試料2gを80mlのメチルエチルケトンに溶解し、そこへシクロヘキサンを添加していき、沈殿したシアン化ビニル系共重合体を真空乾燥して重量を測定し、そのシアン化ビニル系共重合体のシアン化ビニル含有率を赤外分光分析の吸光度比より求めた。そして、累積重量%とシアン化ビニル含有率をプロットし、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上の割合(%)を求めた。
(9)耐熱性
熱変形温度:ISO75−2(2004年度版、荷重1.8MPa条件)に準拠して測定した。
(10)耐衝撃性
シャルピー衝撃強度:ISO179(1993年度版、ノッチ有)に準拠して測定した。
(11)流動性
メルトフローレート:ISO1133(1997年度版、温度240℃、荷重98N)に準拠して測定した。
(12)吸い込み性評価
射出成形機を使用して、シリンダー温度230℃/金型温度30℃に設定し、70×240×2mmt角板を成形した。その角板に、アクリル−ウレタン2液塗料(レタンPG60/ハードナー、関西ペイント株式会社製、塗装ロボット:川崎重工株式会社製 KE610H、ABB社製 カートリッジベルを用い、塗膜厚み30μmでそれぞれ塗布した後、乾燥温度80℃で30分乾燥させた。得られた塗装成形品の鮮明度と外観を以下基準により目視で判定を行った。◎と○を合格レベルとし、△と×を不合格レベルとした。
◎:高光沢感が確認される。
○:光沢感はあるが高光沢ではない。
△:一部分に若干の塗装ムラがある。
×:全体的に塗装ムラが目立つ。問題あり。
(13)ブリスター評価
射出成形機を使用して、シリンダー温度270℃/金型温度30℃、およびシリンダー温度270℃/金型温度60℃のそれぞれの成形条件に設定し、70×240×3mmtエッジ付き角板(長手方向の一方がエッジ角度45°、他方が60°)を成形した(図1)。その角板に、アクリル−ウレタン2液塗料(レタンPG60/ハードナー、関西ペイント株式会社製、塗装ロボット:川崎重工株式会社製 KE610H、ABB社製 カートリッジベルを用い、塗膜厚み30μmでそれぞれ塗布した後、乾燥温度80℃で30分乾燥させた。得られた塗装成形品のそれぞれのエッジ近傍に発生したブリスターの発生数を目視観察によって評価し、塗装品10枚でエッジ角度45°、60°のそれぞれに発生したブリスターの合計数で評価した。
(参考例1)
[グラフト共重合体(I)の製造]
・グラフト共重合体(I−1)
重量平均粒子径が0.3μmであるポリブタジエンラテックス50重量%(固形分換算)(R−1)存在下、純水130重量%、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4重量%、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1重量%、硫酸第一鉄0.01重量%及びピロリン酸ナトリウム0.1重量%を反応容器に仕込み、窒素置換後、60℃に温調し、攪拌下スチレン6.7重量%、アクリロニトリル2.5重量%及びt−ドデシルメルカプタン0.046重量%の単量混合物(全単量体混合物の18.4重量%)を0.5時間かけて初期添加した。次いで、クメンハイドロパーオキサイド0.32重量%、乳化剤であるラウリン酸ナトリウム1.5重量%及び純水25重量%の開始剤混合物の投入を開始し、重合を開始させた。開始剤混合物は5時間かけて連続滴下し、同時に並行して、スチレン29.8重量%、アクリロニトリル11重量%及びt−ドデシルメルカプタン0.15重量%の混合液を3時間かけて単量体混合物を連続追滴下した。単量体混合物滴下後、1時間、開始剤混合物のみを連続滴下し重合を終了させた。重合を終了したラテックスを1.5重量%硫酸で凝固し、ついで水酸化ナトリウムで中和、洗浄、遠心分離、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体(I−1)を得た。得られたグラフト共重合体(I−1)のグラフト率は40%、内部グラフト率は42%であった。
・グラフト共重合体(I−2)
重量平均粒子径が0.3μmであるポリブタジエンラテックス37.5重量%(固形分換算)、及び重量平均粒子径が0.6μm、1μm以上の天然ゴム粒子含有量が24重量%である天然ゴムラテックス12.5重量%(固形分換算)(R−2)存在下、純水130重量%、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4重量%、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1重量%、硫酸第一鉄0.01重量%及びピロリン酸ナトリウム0.1重量%を反応容器に仕込み、窒素置換後、60℃に温調し、攪拌下スチレン5.84重量%、アクリロニトリル2.16重量%及びt−ドデシルメルカプタン0.03重量%の単量体混合液(全単量体混合物の16重量%)を0.5時間かけて初期添加した。次いで、クメンハイドロパーオキサイド0.25重量%、乳化剤であるラウリン酸ナトリウム1.5重量%及び純水25重量%の開始剤混合物の投入を開始し、重合を開始させた。開始剤混合物は6時間かけて連続滴下し、同時に並行して、スチレン30.66重量%、アクリロニトリル11.34重量%及びt−ドデシルメルカプタン0.16重量%の混合液を4時間かけて単量体混合物を連続追滴下した。単量体混合物滴下後、2時間、開始剤混合物のみを連続滴下し重合を終了させた。重合を終了したラテックスを1.5重量%硫酸で凝固し、ついで水酸化ナトリウムで中和、洗浄、遠心分離、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体(I−2)を得た。得られたグラフト共重合体(I−2)のグラフト率は39%、内部グラフト率は25%であった。
・グラフト共重合体(I−3)
重量平均粒子径が0.3μmであるポリブタジエンラテックス37.5重量%(固形分換算)及び重量平均粒子径が0.6μm、1μm以上の天然ゴム粒子含有量が24重量%である天然ゴムラテックス12.5重量%(固形分換算)(R−2)を用い、初期添加の単量体混合液をスチレン18.25重量%、アクリロニトリル6.75重量%及びt−ドデシルメルカプタン0.1重量%(全単量体混合物の50重量%)とし、連続追添加した単量体混合液をスチレン18.25重量%、アクリロニトリル6.75重量%及びt−ドデシルメルカプタン0.1重量%とした以外は参考例2と同様な方法で、パウダー状のグラフト共重合体(I−3)を得た。得られた・グラフト共重合体(I−3)のグラフト率は45%、内部グラフト率は33%であった。
・グラフト共重合体(I−4)
重量平均粒子径が0.3μmであるポリブタジエンラテックス25重量%(固形分換算)、重量平均粒子径が0.6μm、1μm以上の天然ゴム粒子含有量が24重量%である天然ゴムラテックス25重量%(固形分換算)(R−3)とした以外は参考例2と同様な方法で、パウダー状のグラフト共重合体(I−4)を得た。グラフト率は35%、内部グラフト率は24%であった。
・グラフト共重合体(I−5)
重量平均粒子径が0.2μmの合成ゴムであるポリブタジエンラテックス37.5重量%(固形分換算)及び重量平均粒子径が0.6μm、1μm以上の天然ゴム粒子含有量が24重量%である天然ゴムラテックス12.5重量%(固形分換算)(R−4)を用いた以外は参考例2と同様な方法で、パウダー状のグラフト共重合体(I−5)を得た。得られたグラフト共重合体(I−4)のグラフト率は42%、内部グラフト率は23%であった。
・グラフト共重合体(I−6)
重量平均粒子径が0.2μmの合成ゴムであるポリブタジエンラテックス37.5重量%(固形分換算)及び重量平均粒子径が0.6μm、1μm以上の天然ゴム粒子含有量が24重量%である天然ゴムラテックス12.5重量%(固形分換算)(R−4)を用いた以外は参考例3と同様な方法で、パウダー状のグラフト共重合体(I−6)を得た。得られたグラフト共重合体(I−6)のグラフト率は46%、内部グラフト率は32%であった。
・グラフト共重合体(I−7)
重量平均粒子径が0.3μmであるポリブタジエンラテックス10重量%(固形分換算)、重量平均粒子径が0.6μm、1μm以上の天然ゴム粒子含有量が24重量%である天然ゴムラテックス40重量%(固形分換算)(R−5)とした以外は参考例2と同様な方法で、パウダー状のグラフト共重合体(I−7)を得た。得られたグラフト共重合体(I−7)のグラフト率は38%、内部グラフト率は23%であった。
・グラフト共重合体(I−8)
重量平均粒子径が0.3μmであるポリブタジエンラテックス37.5重量%(固形分換算)、重量平均粒子径が0.9μm、1μm以上の天然ゴム粒子含有量が40.5重量%である天然ゴムラテックス12.5重量%(固形分換算)(R−6)を用いた以外は参考例2と同様な方法で、パウダー状のグラフト共重合体(I−8)を得た。得られたグラフト共重合体(I−8)のグラフト率は36%、内部グラフト率は21%であった。
・グラフト共重合体(I−9)
重量平均粒子径が0.3μmであるポリブタジエンラテックス37.5重量%(固形分換算)、重量平均粒子径が1.5μm、1μm以上の天然ゴム粒子含有量が48重量%である天然ゴムラテックス12.5重量%(固形分換算)(R−7)を用いた以外は参考例2と同様な方法で、パウダー状のグラフト共重合体(I−9)を得た。得られたグラフト共重合体(I−9)のグラフト率は34%、内部グラフト率は16%であった。
・グラフト共重合体(I−10)
重量平均粒子径が0.08μmであるポリブタジエンラテックス37.5重量%(固形分換算)、重量平均粒子径が0.6μm、1μm以上の天然ゴム粒子含有量が24重量%である天然ゴムラテックス12.5重量%(固形分換算)(R−8)を用いた以外は参考例2と同様な方法で、パウダー状のグラフト共重合体(I−10)を得た。得られたグラフト共重合体(I−10)のグラフト率は37%、内部グラフト率は24%であった。
・グラフト共重合体(I−11)
重量平均粒子径が0.3μmであるポリブタジエンラテックス37.5重量%(固形分換算)、重量平均粒子径が0.6μm、1μm以上の天然ゴム粒子含有量が24重量%である天然ゴムラテックス12.5重量%(固形分換算)(R−2)、純水130重量%、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4重量%、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1重量%、硫酸第一鉄0.01重量%及びピロリン酸ナトリウム0.1重量%を反応容器に仕込み、窒素置換後、60℃に温調し、クメンハイドロパーオキサイド0.25重量%、乳化剤であるラウリン酸ナトリウム1.5重量%及び純水25重量%の開始剤混合物の投入を開始し、重合を開始させた。開始剤混合物は6時間かけて連続滴下し、同時に並行して、スチレン36.5重量%、アクリロニトリル13.5重量%及びt−ドデシルメルカプタン0.2重量%の混合液を4時間かけて単量体混合物を連続追滴下した。単量体混合物滴下後、2時間、開始剤混合物のみを連続滴下し重合を終了させた。重合を終了したラテックスを1.5重量%硫酸で凝固し、ついで水酸化ナトリウムで中和、洗浄、遠心分離、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体(I−11)を得た。得られたグラフト共重合体(I−11)のグラフト率は38%、内部グラフト率は10%であった。
・グラフト共重合体(I−12)
重量平均粒子径が0.6μm、1μm以上の天然ゴム粒子含有量が24重量%である天然ゴムラテックス50重量%(固形分換算)(R−9)存在下、純水130重量%、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4重量%、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1重量%、硫酸第一鉄0.01重量%、ピロリン酸ナトリウム0.1重量%及び水酸化カリウム0.25重量%を反応容器に仕込み、窒素置換後、60℃に温調し、攪拌下スチレン18.25重量%、アクリロニトリル6.75重量%及びt−ドデシルメルカプタン0.1重量%の単量体混合液(全単量体混合物の50重量%)を1時間かけて初期添加した。次いで、クメンハイドロパーオキサイド0.25重量%、乳化剤であるラウリン酸ナトリウム1.5重量%及び純水25重量%の開始剤混合物の投入を開始し、重合を開始させた。開始剤混合物は6時間かけて連続滴下し、同時に並行して、スチレン18.25重量%、アクリロニトリル6.75重量%及びt−ドデシルメルカプタン0.1重量%の混合液を4時間かけて単量体混合物を連続追滴下した。単量体混合物滴下後、2時間、開始剤混合物のみを連続滴下し重合を終了させた。重合を終了したラテックスを1.5重量%硫酸で凝固し、ついで水酸化ナトリウムで中和、洗浄、遠心分離、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体(I−12)を得た。得られたグラフト共重合体(I−12)のグラフト率は43%、内部グラフト率は27%であった。
・グラフト共重合体(I−13)
スチレン45重量%、アクリロニトリル15重量%及びt−ドデシルメルカプタン0.25重量%を混合してビニル系単量体を調整した。また、純水10重量%に、ピロリン酸ナトリウム0.25重量%、デキストロース0.35重量%と硫酸第一鉄0.005重量%を溶解した溶液(以下、「RED水溶液−1」と略記する)を調整した。さらに、純水10重量%に不均化ロジン酸カリウム1重量%とジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド0.3重量%を溶解した水溶液(以下、「OXI水溶液−1」と略記する)を調整した。ついで、反応器に純水220重量%、重量平均粒子径が0.6μm、1μm以上の天然ゴム粒子含有量が24重量%である天然ゴムラテックス10重量%(固形分換算)及び重量平均粒子径が0.3μmであるポリブタジエンラテックス30重量%(固形分換算)(R−10)を仕込み、さらに不均化ロジン酸カリウム0.25重量%及びβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩0.75重量%を仕込んで、窒素気流下、攪拌しながら内温を40℃まで昇温した。40℃に達した時点でRED水溶液−1のうち85重量%相当量を反応器に添加した。その直後にビニル系単量体及びOXI水溶液−1の85重量%相当分を、いずれも5時間にわたって連続添加し反応を進めた。重合開始から内温を60℃まで昇温し、その後、この温度で保持した。重合を開始して重合を開始して5時間後、RED水溶液−1の残り15重量%相当分及びOXI水溶液−1の残り15重量%相当分を反応器内に添加し、1時間の間、同じ温度で保持した後に重合を終了させた。重合を終了したラテックスを0.5重量%硫酸マグネシウム水溶液で凝固し、線上、遠心分離、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体(I−13)を得た。得られたグラフト共重合体(I−13)グラフト率は35%、内部グラフト率は8%であった。
参考例1〜13に記載したグラフト共重合体(I)の製造に使用したゴム状重合体の重量平均粒子径、および比率を表1示す。
Figure 2014173049
また、参考例1〜13に記載したグラフト共重合体(I)の製造処方を表2に示す。
Figure 2014173049
(参考例2)[耐熱ビニル系共重合体(II)の製造]
・耐熱ビニル系共重合体(II−1)の調製
N−フェニルマレイミド37重量%、スチレン54重量%とアクリロニトリル9重量%からなる単量体混合物から、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合を行い、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、耐熱ビニル系共重合体(II−1)を調製した。得られた耐熱ビニル系共重合体(II−1)の還元粘度(ηsp/c)は0.55dl/gであった。
・耐熱ビニル系共重合体(II−2)の調製
N−フェニルマレイミド40重量%、スチレン50重量%とアクリロニトリル10重量%からなる単量体混合物から、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合を行い、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、耐熱ビニル系共重合体(II−2)を調製した。得られた耐熱ビニル系共重合体(II−2)の還元粘度(ηsp/c)は0.53dl/gであった。
・耐熱ビニル系共重合体(II−3)の調製
N−フェニルマレイミド50重量%、スチレン50重量%からなる単量体混合物から、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合を行い、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、耐熱ビニル系共重合体(II−3)を調製した。得られた耐熱ビニル系共重合体(II−3)の還元粘度(ηsp/c)は0.46dl/gであった。
(参考例3)[高シアン化ビニル系共重合体(III)の製造]
・高シアン化ビニル系共重合体(III−1)の調製
容量が20lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、0.05重量部のメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)を165重量部のイオン交換水に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に30重量部のアクリロニトリル、12重量部のスチレン、0.46重量部のt−ドデシルメルカプタン、0.39重量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、0.05重量部の2,2’−アゾビスイソブチルニトリルの混合溶液を反応系を攪拌しながら添加し、58℃にて共重合反応を開始した。重合開始から15分が経過した後オートクレーブ上部に備え付けた供給ポンプから58重量部のスチレンを110分かけて断続添加した。この間、反応温度は重合開始時点の58〜65℃まで昇温した。スチレンの反応系への断続添加が終了した後、50分かけて100℃に昇温した。冷却して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、高シアン化ビニル系共重合体(III−1)を調製した。得られた高シアン化ビニル系共重合体(III−1)の固有粘度は0.53dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は31重量%で、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上の割合は26%であった。
・高シアン化ビニル系共重合体(III−2)の調製
容量が20lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、0.05重量部のメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)を165重量部のイオン交換水に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に38重量部のアクリロニトリル、4重量部のスチレン、0.46重量部のt−ドデシルメルカプタン、0.39重量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、0.05重量部の2,2’−アゾビスイソブチルニトリルの混合溶液を反応系を攪拌しながら添加し、58℃にて共重合反応を開始した。重合開始から15分が経過した後オートクレーブ上部に備え付けた供給ポンプから58部のスチレンを110分かけて断続添加した。この間、反応温度は重合開始時点の58〜65℃まで昇温した。スチレンの反応系への断続添加が終了した後、50分かけて100℃に昇温した。冷却して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、高シアン化ビニル系共重合体(III−2)を調製した。得られた高シアン化ビニル系共重合体(III−2)の固有粘度は0.45dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は38重量%で、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上の割合は40重量%であった。
・高シアン化ビニル系共重合体(III−3)の調製
容量が20lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、0.05重量部のメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)を165重量部のイオン交換水に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に42重量部のアクリロニトリル、4重量部のスチレン、0.46重量部のt−ドデシルメルカプタン、0.39重量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、0.05重量部の2,2’−アゾビスイソブチルニトリルの混合溶液を反応系を攪拌しながら添加し、58℃にて共重合反応を開始した。重合開始から15分が経過した後オートクレーブ上部に備え付けた供給ポンプから54重量部のスチレンを110分かけて断続添加した。この間、反応温度は重合開始時点の58〜65℃まで昇温した。スチレンの反応系への断続添加が終了した後、50分かけて100℃に昇温した。冷却して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、高シアン化ビニル系共重合体(III−3)を調製した。得られた高シアン化ビニル系共重合体(III−3)の固有粘度は0.35dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は45重量%で、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上の割合は45%であった。
(参考例4)[ビニル系共重合体(IV)の製造]
・ビニル系共重合体(IV−1)の調製
予熱機および脱モノマ機からなる連続塊状重合装置を用い、スチレン72重量%、アクリロニトリル28重量%からなる単量体混合物を135kg/時で連続塊状重合させた。重合反応混合物は、単軸押出機型脱モノマ機により未反応の単量体をベント口より減圧蒸発回収し、一方脱モノマ機からビニル系共重合体(IV−1)を得た。得られたビニル系共重合体(IV−1)の固有粘度は0.54dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は26重量%で、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上の割合は0重量%であった。
・ビニル系共重合体(IV−2)の調製
スチレン76重量%とアクリロニトリル24重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(IV−2)を調製した。得られたビニル系共重合体(IV−2)の固有粘度は0.42dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は25重量%で、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上の割合は18重量%であった。
(参考例5)エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(V)
・エチレン/アクリル酸エチル/一酸化炭素ブロック共重合体(V−1)
三井・デュポンポリケミカル社製“エルバロイ”EP4051。
・エチレン/アクリル酸エチル/一酸化炭素ブロック共重合体(V−2)
三井・デュポンポリケミカル社製“エルバロイ”HP553。
(実施例1〜19、比較例1〜19)
参考例に記載のグラフト共重合体(I)、耐熱ビニル系共重合体(II)、高シアン化ビニル系共重合体(III)、ビニル系共重合体(IV)およびエチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(V)を、表3に示した比で配合した後に、スクリュー径30mmの同方向回転の二軸押出機(温度範囲:240〜250℃)で溶融混練を行い、ペレットを得た。得られたペレットを各物性評価に適するように、成形機(成形温度250℃、金型温度60℃)にて試験片を作成し、その評価を行った。ただし、吸い込み性評価、およびブリスター評価用の試験片は、前述の(12)吸い込み性評価、および(13)ブリスター評価に記載の条件で作成した。実施例と比較例の結果を表3および4に示す。
Figure 2014173049
Figure 2014173049
実施例1〜19の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性、および流動性のバランスに優れ、吸い込み性が良好でブリスター発生数も少なかった。
一方、比較例1で得られた樹脂組成物は、天然ゴムを含まないものであり、耐衝撃性と流動性のバランスが劣っていた。
比較例2、および6で得られた樹脂組成物は、天然ゴムの含有量が規定範囲外であり、耐衝撃性と流動性のバランスが劣っていた。
比較例3、および4で得られた樹脂組成物は、天然ゴムの重量平均粒子径が規定範囲外であり、耐衝撃性が劣っていた。
比較例5、および7で得られた樹脂組成物は、1.0μm以上の粒子径のゴム状重合体粒子の内部グラフト率が規定範囲よりも低いため、耐衝撃性が劣っていた。
比較例8で得られた樹脂組成物は、グラフト共重合体(I)の添加量が規定範囲よりも少ないため、耐衝撃性が劣っていた。
比較例9で得られた樹脂組成物は、グラフト共重合体(I)の添加量が規定範囲よりも多いため、流動性、吸い込み性が劣っておりブリスター発生数が多かった。
比較例10で得られた樹脂組成物は、耐熱ビニル系共重合体(II)の添加量が規定範囲よりも少ないため、耐熱性が劣っていた。
比較例11で得られた樹脂組成物は、耐熱ビニル系共重合体(II)の添加量が規定範囲よりも多いため、耐衝撃性、流動性、吸い込み性が劣っておりブリスター発生数が多かった。
比較例12、13で得られた樹脂組成物は、高シアン化ビニル系共重合体(III)の添加量が規定量添加されていないため、吸い込み性が劣っておりブリスター発生数が多かった。
比較例14で得られた樹脂組成物は、耐熱ビニル系共重合体(II)の添加量が規定範囲よりも少なく、ビニル系共重合体(IV)の添加量が規定範囲よりも多いため、耐熱性が劣っておりブリスター発生数が多かった。
比較例15で得られた樹脂組成物は、グラフト共重合体(I)の添加量が規定範囲よりも少なく、ビニル系共重合体(IV)の添加量が規定範囲よりも多いため、耐衝撃性が劣っておりブリスター発生数が多かった。
本発明の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物は、自動車外装用の塗装部品ではリアスポイラー、ホイールキャップ、ドアミラー、ラジエータグリルなど、自動車内装用の塗装部品ではパワーウインドパネル、センターコンソール、センタークラスター、レバーコントローラー、コンソールボックスなどに好適に使用することができ、その他、電機・電子用途、住宅・建材用途に使用することができる。

Claims (6)

  1. 粒子径1.0μm以上の天然ゴム粒子を5重量%以上含み、かつ、重量平均粒子径が0.3〜1.2μmの範囲にある天然ゴム10〜70重量%、及び、重量平均粒子径が0.2〜0.4μmの範囲にある合成ゴム30〜90重量%からなるゴム状重合体(ア)の存在下に、少なくとも芳香族ビニル系単量体(イ)を含有するビニル系単量体混合物をグラフト共重合してなり、1.0μm以上の粒子径のゴム状重合体粒子の内部グラフト率が20%以上であるグラフト共重合体(I)15〜50重量部、
    芳香族ビニル系単量体(イ)36〜65重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)0〜12重量%およびマレイミド系単量体(エ)35〜52重量%を共重合してなる耐熱ビニル系共重合体(II)10〜38重量部、
    芳香族ビニル系単量体(イ)60〜70重量%およびシアン化ビニル系単量体(ウ)30〜40重量%を共重合してなる高シアン化ビニル系共重合体(III)5〜60重量部、ならびに
    芳香族ビニル系単量体(イ)70重量%超〜82重量%およびシアン化ビニル系単量体(ウ)18重量%〜30重量%未満を共重合してなるビニル系共重合体(IV)0〜50重量部を含有してなる、天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物。
  2. グラフト共重合体(I)のゴム状重合体(ア)における合成ゴム成分がポリブタジエンであることを特徴とする、請求項1に記載の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物。
  3. グラフト共重合体(I)が、ゴム状重合体(ア)40〜60重量%の存在下に、芳香族ビニル系単量体(イ)60〜80重量%およびシアン化ビニル系単量体(ウ)20〜40重量%を含有するビニル系単量体混合物60〜40重量%をグラフト共重合してなることを特徴とする、請求項1または2に記載の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物。
  4. 高シアン化ビニル系共重合体(III)が下記(A)および(B)を満足することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物。
    (A)高シアン化ビニル系共重合体(III)の平均シアン化ビニル含有率が30〜40重量%。
    (B)高シアン化ビニル系共重合体(III)のシアン化ビニルの組成分布において、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体が高シアン化ビニル系共重合体(III)中に20〜50重量%存在する。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(V)0.5〜10重量部を添加してなる、天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の天然ゴム含有耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物を成形してなる、成形品。
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