JP2014171339A - 回転子および永久磁石電動機 - Google Patents

回転子および永久磁石電動機 Download PDF

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Abstract

【課題】遠心力に対する強度の低下を抑制しながら磁束短絡を抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】回転子コア100には、軸方向に直角な断面で見て、径方向に沿って延びている複数の磁石挿入孔111が、周方向に沿って複数形成されている。磁石挿入孔111には、永久磁石が挿入されている。磁石挿入孔111は、径方向に沿って直線状に延びている第1の部分と、第1の部分より内周側に設けられ、周方向に沿って円弧状に延びている第2の部分を有している。永久磁石は、磁石挿入孔111の第1の部分に挿入される四角形状の第1の永久磁石121と、第2の部分に挿入される円弧形状の第2の永久磁石122を有している。周方向に沿って対向する、一方の磁石挿入孔111の第1の部分の側壁111fと、他方の磁石挿入孔111の第2の部分の側壁111gは、径方向に沿って平行に延びている。
【選択図】図3

Description

本発明は、永久磁石が設けられている回転子および永久磁石が設けられている回転子を備える永久磁石電動機に関し、特に、遠心力に対する強度の低下を抑制しながら短絡磁束を抑制する技術に関する。
永久磁石電動機の回転子に設ける永久磁石として、磁束密度が高い、ネオジウム磁石等の希土類磁石が用いられている。しかしながら、希土類磁石は、高価である。このため、希土類磁石より安価であるフェライト磁石等の使用が検討されている。
ここで、フェライト磁石は、希土類磁石に比べて磁束密度が低い。このため、希土類磁石に代えてフェライト磁石を用いる場合には、磁石表面積(N極およびS極の磁極表面積)を大きくし、永久磁石から発生する磁束量を増大させる必要がある。
磁石表面積を大きくすることができる永久磁石電動機として、特許文献1に開示されている永久磁石電動機が知られている。特許文献1に開示されている永久磁石電動機は、図16に示されている回転子コア1000を有する回転子を用いている。なお、図16は、回転子コア1000を軸方向に直角な方向から見た断面図である。図16に示されている回転子コア1000は、回転中心Oから径方向に沿って直線状に延びている磁石挿入孔1011が、周方向に沿って複数形成されている。磁石挿入孔1011には、永久磁石1021が挿入されている。磁石挿入孔1011と永久磁石1021は、断面が四角形状を有している。
特開2010−4722号公報
特許文献1に示されている永久磁石電動機は、永久磁石としてフェライト磁石を用いた場合でも、永久磁石から発生する磁束量を増大させることができる。
しかしながら、図16に破線矢印で示すように、回転子コアの内周面側の部分を介して磁束が短絡する。この磁束の短絡を抑制する方法としては、周方向に隣接する磁石挿入孔1011の、内周面側の間隔Wを小さくすることが考えられる。一方、間隔Wを小さくすると、遠心力に対する強度が低減する。このため、間隔Wを小さくするには限界があり、磁束の短絡を十分に抑制することができなかった。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、遠心力に対する強度の低下を防止しながら磁束の短絡を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
本発明は、以下のように構成することができる。なお、以下では、「平行」という記載は、「略平行である態様」も包含するものとして用いている。
一つの発明は、回転子に関する。
本発明の回転子は、永久磁石が挿入される磁石挿入孔が形成されている回転子コアを有している。回転子コアは、典型的には、電磁鋼板を積層することによって形成される。磁石挿入孔と磁石挿入孔に挿入された永久磁石は、軸方向に直角な断面で見て、径方向に沿って延びているとともに、周方向に沿って間隔を開けて設けられている。磁石挿入孔に挿入されている永久磁石によって主磁束が流れ、d軸(主磁束の方向)とq軸(d軸に対して電気的に直角な方向)が規定される。
本発明では、磁石挿入孔は、q軸に沿って直線状に延びている第1の部分(直線状挿入部分)と、第1の部分より内周側に設けられ、周方向に沿って円弧状に延びている第2の部分(円弧状挿入部分)を有している。また、永久磁石は、磁石挿入孔の第1の部分に挿入され、q軸に沿って直線状に延びている第1の磁石部分(直線状磁石部分)と、磁石挿入孔の第2の部分に挿入され、周方向に沿って円弧状に延びている第2の磁石部分(円弧状磁石部分)を有している。永久磁石の第1の磁石部分と第2の磁石部分は、N極の主磁極とS極の主磁極が周方向に沿って交互に配置されるように着磁される。
磁石挿入孔の第2の部分の、周方向に沿った一方方向側の端部は、当該磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、当該磁石挿入孔に対して周方向に沿った一方方向側に隣接する磁石挿入孔に挿入される永久磁石とにより規定されるd軸と平行に形成されている。また、磁石挿入孔の第2の部分の、周方向に沿った他方方向側の端部は、当該磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、当該磁石挿入孔に対して周方向に沿った他方方向側に隣接する磁石挿入孔に挿入される永久磁石とにより規定されるd軸と平行に形成されている。
そして、周方向に隣接する磁石挿入孔のうち一方の磁石挿入孔の第2の部分の、周方向に沿った一方方向側の端部と、他方の磁石挿入孔の第2の部分の、周方向に沿った他方方向側の端部との間に、磁束の短絡を抑制することができる幅と長さを有するブリッジ部が径方向に沿って延びるように形成されるように、磁石挿入孔が形成されている。
本発明では、磁石挿入孔が、径方向に沿って延びている第1の部分と、第1の部分より内周側に設けられ周方向に沿って延びている第2の部分により構成されるため、磁石表面積を大きくすることができる。また、周方向に隣接する二つの磁石挿入孔の間に、磁束の短絡を抑制することができる幅と長さを有するブリッジ部が形成されているため、磁束の短絡を抑制することができる。また、ブリッジ部を形成する第2の部分の両端部がd軸(径方向)に平行に延びているため、遠心力に対する強度を高めることができる。これにより、永久磁石として、希土類磁石より磁束密度が低いフェライト磁石等を用いた場合でも、永久磁石から十分な磁束量を発生させることができる。特に、永久磁石が、径方向に沿って延びている第1の部分と周方向に沿って延びている第2の部分により構成されているため、永久磁石から発生する磁束量をより高めることができる。
一つの発明の異なる形態では、永久磁石の第1の磁石部分および第2の磁石部分が、それぞれ別体の第1の永久磁石および第2の永久磁石により形成されている。
本形態では、第1の磁石部分と第2の磁石部分を別々に形成することができるため、永久磁石を容易に形成することができる。
一つの発明の他の異なる形態では、磁石挿入孔の第1の部分は、q軸に対して周方向に沿った一方方向側および他方方向側に配置され、q軸に平行に延びている第1の側壁および第2の側壁を有している。また、磁石挿入孔の第2の部分は、q軸に対して周方向に沿った一方方向側および他方方向側に配置されている第3の側壁および第4の側壁を有している。そして、第3の側壁は、当該磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、当該磁石挿入孔に対して周方向に沿った一方方向側に隣接する磁石挿入孔に挿入される永久磁石とにより規定されるd軸と平行に形成されている。また、第4の側壁は、当該磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、当該磁石挿入孔に対して周方向に沿った他方方向側に隣接する磁石挿入孔に挿入される永久磁石とにより規定されるd軸と平行に形成されている。第3の側壁および第4の側壁は、前記第2の部分の周方向に沿ったそれぞれの端部として作用する。好適には、磁石挿入孔の第1の部分は、第1の側壁および第2の側壁に接続される外周壁を有する。また、磁石挿入孔の第2の部分は、第1の側壁と第3の側壁に接続される第1の中間壁、第2の側壁と第4の側壁に接続される第2の中間壁、第3の側壁と第4の側壁に接続される内周壁を有する。
本形態では、永久磁石を容易に形成することができる。
永久磁石の第1の磁石部分と第2の磁石部分の着磁方向(磁化方向)は、N極の主磁極とS極の主磁極が周方向に沿って交互に配置されるように設定される。
他の発明の他の異なる形態では、永久磁石の第1の磁石部分および第2の磁石部分は、周方向に沿って磁化されている。
本形態では、第1の磁石部分と第2の磁石部分を同時に着磁することができる。特に、永久磁石を組み込んだ状態で着磁(組み込み着磁)を行うことができる。
他の発明の他の異なる形態では、永久磁石の第1の磁石部分は、周方向に沿って磁化され、第2の磁石部分は、径方向に沿って磁化されている。
本形態では、永久磁石の磁束量をより増大させることができる。
なお、第1の磁石部分や第2の磁石部分の着磁方法は、平行着磁方法を用いることもできるし、ラジアル着磁方法を用いることもできる。
他の発明は、回転子に関する。
本発明の回転子は、前記一つの発明の回転子と同様に、永久磁石が挿入される磁石挿入孔が形成されている回転子コアを有している。磁石挿入孔と磁石挿入孔に挿入された永久磁石は、軸方向に直角な断面で見て、径方向に沿って延びているとともに、周方向に沿って間隔を開けて設けられている。磁石挿入孔に挿入されている永久磁石によって主磁束が流れ、d軸(主磁束の方向)とq軸(d軸に対して電気的に直角な方向)が規定される。
本発明では、周方向に沿った一方方向側および他方方向側に配置され、q軸に平行に延びている第1の側壁および第2の側壁、径方向に沿った外周側および内周側に配置され、周方向に沿って延びている外周壁および内周壁、第1の側壁と内周壁に接続されている第1の斜壁、第2の側壁と内周壁に接続されている第2の斜壁により形成されている。第1の斜壁は、当該第1の斜壁を有する磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、当該第1の斜壁を有する磁石挿入孔に対して周方向に沿った一方方向側に隣接する磁石挿入孔に挿入される永久磁石とにより規定されるd軸に平行に形成されている。また、第2の斜壁は、当該第2の斜壁を有する磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、当該第2の斜壁を有する磁石挿入孔に対して周方向に沿った他方方向側に隣接する磁石挿入孔に挿入される永久磁石とにより規定されるd軸に平行に形成されている。磁石挿入孔は、これ以外の壁を有していてもよい。例えば、角部に形成されたR状(円弧状)の壁面やテーパー状(直線状)の壁面を含んできてもよい。
そして、本発明では、周方向に隣接する磁石挿入孔のうち一方の磁石挿入孔の第1の斜壁と他方の磁石挿入孔の第2の斜壁によって、磁束の短絡を抑制することができる幅と長さを有するブリッジ部が形成されている。
本発明では、径方向に沿って延びている磁石挿入孔と永久磁石を周方向に沿って複数配置しているため、磁石表面積を大きくすることができる。また、周方向に隣接する二つの磁石挿入孔の間に、磁束の短絡を抑制することができる幅と長さを有するブリッジ部が形成されているため、磁束の短絡を抑制することができる。また、ブリッジ部を形成する第1の斜壁と第2の斜壁が、d軸(径方向)に平行に延びているため、遠心力に対する強度を高めることができる。これにより、永久磁石として、希土類磁石より磁束密度が低いフェライト磁石等を用いた場合でも、永久磁石から十分な磁束量を発生させることができる。
一つの発明および他の発明の異なる他の形態では、回転子の外周面は、軸方向に直角な断面で見て、d軸と交差する第1の外周面と、q軸と交差する第2の外周面が交互に接続されて形成されている。第1の外周面は、d軸上に曲率中心を有する円弧形状に形成され、第2の外周面は、q軸上に曲率中心を有し、第1の外周面の曲率半径より大きい曲率半径を有する円弧形状に形成されている。好適には、第2の外周面の曲率中心は、q軸に沿って、回転子コアの回転中心より第2の外周面と離れる方向の位置に設定される。磁石挿入孔の外周側の端部と回転子コアの外周面との間の部分は、磁束の短絡を抑制するブリッジ部として作用する。
本形態では、回転子コアの第2の外周面が磁石挿入孔の外周側の端部と略平行となるため、回転子コアの第2の外周面と磁石挿入孔の外周側の端部との間の間隔が略等しくなる。これにより、機械強度の低下を防止しながらブリッジ部の径方向の幅を小さくすることができ、磁束の短絡を抑制することができる。
一つの発明および他の発明の他の異なる形態では、永久磁石としてフェライト磁石が用いられている。
本形態では、磁石から発生する磁束量を確保しながら、安価な永久磁石を用いることができる。
他の異なる発明は、固定子と、固定子に対して回転可能に支持された回転子を備える永久磁石電動機に関する。回転子は、回転子コアと、回転子コアに形成された磁石挿入孔と、磁石挿入孔に挿入された永久磁石を有している。そして、本発明では、回転子として、前述した回転子のいずれかが用いられている。
本発明は、前述した各発明の効果を有している。
本発明の回転子および永久磁石電動機を用いることにより、遠心力に対する強度の低下を抑制しながら磁束の短絡を抑制することができる。
第1の実施の形態の永久磁石電動機の概略構成を示す図である。 第1の実施の形態の永久磁石電動機で用いている回転子の断面図である。 図2の部分拡大図である。 第2の実施の形態の永久磁石電動機で用いている回転子の断面図である。 図4の部分拡大図である。 第3の実施の形態の永久磁石電動機で用いている回転子の断面図である。 図6の部分拡大図である。 第4の実施の形態の永久磁石電動機で用いている回転子の断面図である。 第5の実施の形態の永久磁石電動機で用いている回転子の断面図である。 図9の部分拡大図である。 第6の実施の形態の永久磁石電動機で用いている回転子の断面図である。 第7の実施の形態の永久磁石電動機で用いている回転子の断面図の部分拡大図である。 第8の実施の形態の永久磁石電動機で用いている回転子の断面図の部分拡大図である。 第9の実施の形態の永久磁石電動機で用いている回転子の断面図である。 図14の部分拡大図である。 従来の永久磁石電動機で用いている回転子の断面図である。
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
なお、本明細書では、「軸方向」は、回転子が固定子に対して回転可能に支持されている状態において、回転子の中心(回転中心)Oを通る回転中心線の方向を示す。また、「周方向」は、回転子が固定子に対して回転可能に支持されている状態において、軸方向(回転中心線の方向)に直角な断面でみて、回転中心Oを中心とする円周方向を示す。また、「径方向」は、回転子が固定子に対して回転可能に支持されている状態において、軸方向に直角な断面でみて、回転中心Oを通る方向を示す。
また、「d軸」は、軸方向に直角な断面で見て、磁石挿入孔に挿入されている永久磁石によって形成される主磁極(N極、S極)の主磁束が流れる方向を示し、「q軸」は、「D軸」に対して電気的に直角な方向を示している。
また、「平行」という記載は、「略平行」である態様を含むものとして用いている。
また、断面図において、「周方向に沿った一方方向」は右回り方向(時計まわり方向)を示し、「周方向に沿った他方方向」は、左回り(反時計まわり方向)を示している。勿論、逆方向であってもよい。
本発明の永久磁石電動機の第1の実施の形態10が、図1、図2、図3に示されている。なお、図1は、第1の実施の形態の永久磁石電動機10の概略構成を示す図である。また、図2は、第1の実施の永久磁石電動機10で用いられている回転子コア100を軸方向に直角な方向から見た断面図であり、図3は、図2の部分拡大図である。
第1の実施の形態の永久磁石電動機10は、固定子20と、固定子20に対して回転可能に支持されている回転子50により構成されている。
固定子20は、固定子コア30と固定子巻線40により構成されている。固定子コア30は、電磁鋼板を積層して形成されている。固定子コア30は、軸方向に直角な断面で見て、周方向に沿って延びているヨークと、ヨークから径方向に沿って回転子50の回転中心方向に延びている複数のティースと、周方向に隣接するティースによって形成されるスロットを有している。固定子巻線40は、スロット内に挿入されている。
回転子50は、永久磁石が挿入される磁石挿入孔が形成されている回転子コア100と、回転軸60により構成されている。
回転子コア100は、電磁鋼板を積層することによって形成されている。本実施の形態では、回転子コア100は、軸方向に直角な断面で見て、円形の外周面101を有する円形形状に形成されている。
磁石挿入孔に挿入された永久磁石によって主磁極(N極、S極)が形成され、主磁極から主磁束が発生する。「d軸」は、主磁束が流れる方向であり、「q軸」は、d軸に対して電気的に直角な(電気角で90度)方向である。(例えば、図2参照)
回転子コア100には、軸方向に直角な断面で見て、径方向(q軸)に沿って延びている磁石挿入孔111が、周方向に沿って複数形成されている。
本実施の形態では、図2および図3に示されているように、磁石挿入孔111は、径方向(q軸)に沿って直線状に延びている第1の部分(直線状部分)と、第1の部分より内周側(回転中心O側)に設けられ、周方向に沿って円弧状に延びている第2の部分(円弧状部分)を有している。
磁石挿入孔111の第1の部分(直線状部分)は、外周壁111a、第1の側壁111bおよび第2の側壁111cにより形成されている。外周壁111aは、径方向に沿った外周側(外周面101側)に配置され、直線状に延びている。第1の側壁111bおよび第2の側壁111cは、周方向に沿った一方方向側および他方方向側に配置され、q軸に平行に延びている。
磁石挿入孔111の第2の部分(円弧状部分)は、第1の中間壁111d、第2の中間壁111e、第3の側壁111f、第4の側壁111gおよび内周壁111hにより形成されている。第1の中間壁111dは、第1の部分の第1の側壁111bの内周側に接続され、周方向に沿って円弧状に延びている。第2の中間壁111eは、第1の部分の第2の側壁111cの内周側に接続され、周方向に沿って円弧状に延びている。第3の側壁111fは、周方向に沿った一方方向側に配置され、q軸より周方向に沿って一方方向側のd軸に平行に延びている。第4の側壁111gは、周方向に沿った他方方向側に配置され、q軸より周方向に沿って他方方向側のd軸に平行に延びている。
また、本実施の形態では、磁石挿入孔111に挿入される永久磁石は、磁石挿入孔111の第1の部分に挿入され、径方向(q軸)に沿って直線状に延びている第1の永久磁石(直線状永久磁石)121と、磁石挿入孔111の第2の部分に挿入され、周方向に沿って円弧状に延びている第2の永久磁石(円弧状永久磁石)122を有している。第1の永久磁石121が、本発明の「第1の永久磁石部分」に対応し、第2の永久磁石122が、本発明の「第2の永久磁石部分」に対応する。
第1の永久磁石121は、軸方向に直角な断面で見て、径方向に沿った両側で、周方向に沿って直線状に延びている外周面121aおよび内周面121d、周方向に沿った両側で、q軸に平行に直線状に延びている第1の側面121bおよび第2の側面121cにより四角形状に形成されている。第1の永久磁石121の外周面121a、第1の側面121bおよび第2の側面121cは、磁石挿入孔111の第1の部分の外周壁111a、第1の側壁111bおよび第2の側壁111cに対向する位置に配置される。
第2の永久磁石122は、軸方向に直角な断面で見て、径方向に沿った両側で、周方向に沿って円弧状に延びている外周面122aおよび内周面122d、周方向に沿った一方方向側で、q軸に対して周方向に沿った一方方向側のd軸に平行に直線状に延びている第1の側面122b、周方向に沿った他方方向側で、q軸に対して周方向に沿った他方方向側のd軸に平行に直線状に延びている第2の側面122cにより円弧形状に形成されている。第2の永久磁石122の外周面122a、第1の側面122b、第2の側面121cおよび内周面122dは、磁石挿入孔111の第2の部分の第1の中間壁111d、第2の中間壁111e、第3の側壁111f、第4の側壁111gおよび内周壁111hに対向する位置に配置される。
磁石挿入孔111に挿入される第1の永久磁石121および第2の永久磁石122は、隣接する主磁極が異極となるように着磁(磁化)される。
本実施の形態では、図3に示されているように、永久磁石121は、周方向に沿って対向する面(例えば、一方の第1の永久磁石121の第1の側面121bと他方の第1の永久磁石121の第2の側面121c)が同じ極となるように、周方向に沿って着磁されている。すなわち、周方向に沿った一方方向側の面が一方の極(例えば、第1の側面121bがN極)となり、他方側の面が他方の極(例えば、第2の側面121cがS極)となるように着磁される。また、第2の永久磁石122も、第1の永久磁石121と同様に、周方向に沿って対向する面(例えば、一方の第2の永久磁石121の第1の側面121bと他方の第2の永久磁石122の第2の側面121c)が同じ極となるように、周方向に沿って着磁されている。
永久磁石を着磁する方法としては、平行に着磁する平行着磁方法あるいはラジアル方向に着磁するラジアル着磁方法を用いることができる。
本実施の形態では、第1の永久磁石121の着磁方向と第2の永久磁石122の着磁方向が同じであるため、永久磁石121および122を磁石挿入孔111に挿入した状態で固定子巻線あるいは着磁用の専用巻線を用いて着磁する方法(外部着磁方法)を用いることができる。
本実施の形態では、磁石挿入孔111の第1の部分の外周壁111aと回転子コア100の外周面101との間に、周方向に沿って延び、磁束の短絡を抑制することができる幅と長さを有するブリッジ部105が形成されている。
このブリッジ部105によって、回転子コア100の、磁石挿入孔111と回転子コア100の外周面101との間の部分を介して磁束が短絡するのを抑制することができる。
ブリッジ部105は、本発明の「第2のブリッジ部」に対応する。
また、周方向に隣接する2つの磁石挿入孔111のうち一方の磁石挿入孔111の第2の部分の第1の側壁111fと、他方の磁石挿入孔111の第2の部分の第2の側壁111gとによって、d軸に沿って延び、磁束の短絡を抑制することができる幅(周方向に沿った長さ)と長さ(d軸に沿った長さ)を有するブリッジ部106が形成されている。
このブリッジ部106によって、回転子コア100の、周方向に隣接する磁石挿入孔111の間の部分を介して磁束が短絡するのを抑制することができる。
ブリッジ部106は、本発明の「第1のブリッジ部」に対応する。
好適には、ブリッジ部106は、周方向に沿った間隔(幅)が、0.35mm〜0.5mmの範囲内に設定され、径方向に沿った長さ(長さ)が、1.5mm以上に設定される。
本実施の形態では、永久磁石が径方向に沿って延びるように配置されているため、永久磁石の磁石表面積を大きくすることができ、永久磁石から発生する磁束量を増大させることができる。
特に、永久磁石として、径方向(q軸)に沿って直線状に延びている第1の永久磁石(第1の磁石部分)(121)と、第1の永久磁石(121)より内周側に配置され、周方向に沿って円弧状に延びている第2の永久磁石(第2の磁石部分)(122)により構成しているため、第1の永久磁石(121)のみを用いた場合に比べて磁束量を増大させることができる。
また、周方向に隣接する磁石挿入孔(111)のうち、一方の磁石挿入孔(111)の、第2の永久磁石(122)が挿入される第2の部分の第3の側壁(111f)と、他方の磁石挿入孔(111)の、第2の永久磁石(122)が挿入される第2の部分の第4の側壁(111g)との間に、d軸に沿って延びるブリッジ部(106)が形成されている。これにより、回転子コア(100)の、周方向に隣接する磁石挿入孔(111)の間の部分を介して磁束が短絡するのを抑制することができる。さらに、ブリッジ部(106)を形成する第3の側壁(111f)と第4の側壁(111g)がd軸(径方向)に平行に延びている。これにより、回転中に回転子コア(100)に作用する遠心力に対する強度を高くすることができる。
したがって、回転子に設ける永久磁石として、磁束密度が高いが高価である希土類磁石に代えて、磁束密度は低いが安価であるフェライト磁石を用いた場合でも、遠心力に対する強度の低下や磁束の短絡を抑制しながら、十分な磁束量を確保することができる。
次に、本発明の他の実施の形態を以下に説明する。なお、以下の実施の形態では、固定子の構成は第1の実施の形態と同じであるため、回転子の構成についてのみ説明する。また、以下の実施の形態の各構成要素に付されている参照数字と第1の実施の形態の各構成に付されている参照数字のうち、3桁目以外の数字が同じである参照数字が付されている構成要素は同じものを表している。
本発明の第2の実施の形態の回転子の回転子コア200を、図4および図5を参照して説明する。図4は、第2の実施の形態の回転子の回転子コア200を軸方向に直角な方向から見た断面図であり、図5は、図4の部分拡大図である。
本実施の形態の回転子コア200には、第1の実施の回転子コア100と同様に、q軸に沿って直線状に延びている第1の部分(直線状部分)と、第1の部分より内周側に配置され、周方向に沿って円弧状に延びている第2の部分(円弧状部分)を有する磁石挿入孔211が形成されている。
また、磁石挿入孔211に挿入される永久磁石は、第1の実施の形態の回転子コア100と同様に、磁石挿入孔211の第1の部分に挿入され、q軸に沿って直線状に延びている第1の永久磁石(第1の磁石部分)221と、磁石挿入孔211の第2の部分に挿入され、周方向に沿って円弧状に延びている第2の永久磁石(第2の磁石部分)222を有している。
そして、磁石挿入孔211に挿入される第1の永久磁石221および第2の永久磁石222は、隣接する主磁極が異極となるように着磁(磁化)される。
本実施の形態では、永久磁石の着磁方向が第1の実施の形態と異なっている。
すなわち、図5に示されているように、永久磁石221は、第1の実施の形態の第1の永久磁石121と同様に、周方向に沿って対向する面が同じ極となるように、周方向に沿って着磁されている。
一方、第2の永久磁石222は、径方向に着磁されている。例えば、第2の永久磁石222の外周面222aがN極となり、内周面222dがS極となるように着磁される。この時、第2の永久磁石222の外周面222aのうち、第1の永久磁石221の第1の側面221bと対向する部分が第1の側面221bと同じ極性となり、第2の側面221cと対向する部分が第2の側面221cと同じ極性となるように着磁する。すなわち、第2の永久磁石222のうち、周方向に沿った一方方向側の部分と他方側の部分を、径方向に沿った極性が異なるように着磁する。本実施の形態では、第2の永久磁石を周方向に沿った中心線を境に、周方向に沿った一方方向側の部分を、外周面222aがN極、内周面222dがS極となるように着磁し、周方向に沿った他方方向側の部分を、外周面222aがS極、内周面222dがN極となるように着磁している。
本実施の形態では、周方向に沿って円弧状に延びている第2の永久磁石222を径方向に着磁しているため、周方向に隣接する磁石挿入孔221の間の部分を介して磁束が短絡し難くなる。また、第1の実施の形態に比べて、磁束量をより増大させることができる。
本発明の第3の実施の形態の回転子の回転子コア300を、図6および図7を参照して説明する。図6は、第3の実施の形態の回転子の回転子コア300を軸方向に直角な方向から見た断面図であり、図7は、図6の部分拡大図である。
本実施の形態の回転子コア300に形成されている磁石挿入孔311、磁石挿入孔311に挿入される第1の永久磁石321および第2の永久磁石322は、第1の実施の形態の回転子コア100に形成されている磁石挿入孔111、第1の永久磁石121および第2の永久磁石122と同じ構成である。
本実施の形態の回転子コア300は、回転子コア300の外周面311の形状が第1の実施の形態の回転子コア100の外周面101の形状と異なっている。
回転子コア300の外周面301は、軸方向に直角な断面でみて、第1の曲線部分301Aと第2の曲線部分301Bが交互に配置されて構成されている。
第1の曲線部分301Aは、d軸と交差し、回転子コア300の外周方向に飛び出ている第1の曲線形状に形成されている。また、第2の曲線部分301Bは、q軸と交差し、回転子コア300の外周方向に飛び出ている第2の曲線形状に形成されている。第1の曲線形状は、d軸上の回転中心Oを曲率中心とする半径R1の円弧形状である。また、第2の曲線形状は、q軸上の、回転中心Oより第2の曲線部分301Bと反対方向に離れた点Pを曲率中心とする半径R2(>R1)の円弧形状である。
第1の曲線部分301Aが、本発明の「第1の外周面」に対応し、第2の曲線部分301Bが、本発明の「第2の外周面」に対応する。
本実施の形態では、第1の曲線部分(301A)と第2の曲線部分(301B)の切り換わり部分301aがティースと対向する箇所を通過する時に、ティースに流れる磁束量の急激な変化を抑制することができる。これにより、ティースを流れる磁束量の急激な変化によって固定子巻線に誘起される誘起電圧の波形に含まれる高調波成分が増大するのを防止することができる。したがって、固定子巻線の誘起電圧に基づいてインバータを正確に制御することができる。
また、磁石挿入孔311の第1の部分の外周壁311aと回転子コア300の外周面301の第2の曲線部分301Bとの間の間隔が略等しくなるため、外周壁311aと第2の曲線部分301Bとの間の間隔を小さくすることができ、磁束の短絡を抑制することができる。なお、回転子コアの外周面301が円形形状である場合には、外周壁311aの周方向に沿った両端部と外周面301との間の間隔は、周方向に沿った中央部と外周面301との間の間隔より小さい。このため、外周壁311aの両端部と外周面301との間の部分が遠心力に対する強度を有するように設計する必要があり、磁束の短絡を抑制するには限界がある。
本発明の第4の実施の形態の回転子の回転子コア400を、図8を参照して説明する。図8は、第4の実施の形態の回転子の回転子コア400を軸方向に直角な方向から見た断面図である。
本実施の形態の回転子コア400に形成されている磁石挿入孔411、磁石挿入孔411に挿入される第1の永久磁石421および第2の永久磁石422は、第2の実施の形態の回転子コア200に形成されている磁石挿入孔211、第1の永久磁石221および第2の永久磁石222と同じ構成である。
また、回転子コア400の外周面401は、第3の実施の形態の回転子コア300の外周面301と同様に、第1の曲線部分401Aと第2の曲線部分401Bが交互に配置されて構成されている。第1の曲線形状は、d軸と交差し、d軸上の回転中心Oを曲率中心とする半径R1の円弧形状である。第2の曲線形状は、q軸と交差し、q軸上の、回転中心Oより第2の曲線部分401Bから離れた点Pを曲率中心とする半径R2(>R1)の円弧形状である。
本発明の第5の実施の形態の回転子の回転子コア500を、図9および図10を参照して説明する。図9は、第5の実施の形態の回転子の回転子コア500を軸方向に直角な方向から見た断面図であり、図10は、図9の部分拡大図である。
本実施の形態の回転子コア500には、第1の実施の回転子コア100と同様に、q軸に沿って直線状に延びている第1の部分(直線状部分)と、第1の部分より内周側に配置され、周方向に沿って円弧状に延びている第2の部分(円弧状部分)を有する磁石挿入孔511が形成されている。
第1の実施の形態の回転子コア100では、磁石挿入孔111に2つの永久磁石121と122を挿入しているが、本実施の形態の回転子コア500では、1つの永久磁石521を挿入している。
永久磁石521は、図10に示されているように、軸方向に直角な断面で見て、磁石挿入孔511の第1の部分に挿入され、径方向(q軸)に沿って直線状に延びている第1の永久磁石部分(直線状永久磁石部分)と、磁石挿入孔511の第2の部分に挿入され、周方向に沿って円弧状に延びている第2の永久磁石部分(円弧状永久磁石部分)を有している。
永久磁石521の第1の永久磁石部分(直線状永久磁石)は、外周面521a、第1の側面521bおよび第2の側面521cにより形成されている。外周面521aは、径方向に沿った外周側(外周面501側)に配置され、直線状に延びている。第1の側面521bおよび第2の側面521cは、周方向に沿った一方方向側および他方方向側に配置され、q軸に平行に延びている。
永久磁石521の第2の永久磁石部分(円弧状永久磁石部分)は、第1の中間面521d、第2の中間面521e、第3の側面521f、第4の側面521gおよび内周面521hにより形成されている。第1の中間面521dは、第1の永久磁石部分の第1の側面521bの内周側に接続され、周方向に沿って円弧状に延びている。第2の中間面521eは、第1の永久磁石部分の第2の側面521cの内周側に接続され、周方向に沿って円弧状に延びている。第3の側面521fは、周方向に沿った一方方向側に配置され、q軸より周方向に沿って一方方向側のd軸に平行に延びている。第4の側面521gは、周方向に沿った他方方向側に配置され、q軸より周方向に沿って他方方向側のd軸に平行に延びている。
永久磁石521の外周面521a、第1の側面521b、第2の側面521c、第1の中間521d、第2の中間面521e、第3の側面521f、第4の側面521gおよび内周面521hは、磁石挿入孔511の外周壁511a、第1の側壁511b、第2の側壁511c、第1の中間壁511d、第2の中間壁511e、第3の側面511f、第4の側面521gおよび内周面511hに対向する位置に配置される。
また、本実施の形態では、永久磁石521は、周方向に沿って対向する面(例えば、一方の永久磁石521の第1の側面521bおよび第3の側面521fと、他方の永久磁石521の第2の側面521cおよび第4の側面521g)が同じ極となるように、周方向に沿って着磁されている。
本発明の第6の実施の形態の回転子の回転子コア600を、図11を参照して説明する。図11は、第6の実施の形態の回転子の回転子コア600を軸方向に直角な方向から見た断面図である。
本実施の形態の回転子コア600に形成されている磁石挿入孔611、磁石挿入孔611に挿入されている永久磁石621は、第5の実施の形態の回転子コア500に形成されている磁石挿入孔511、磁石挿入孔511に挿入されている永久磁石521と同じ構成である。
また、回転子コア600の外周面601は、第3の実施の形態の回転子コア300の外周面301と同様に、第1の曲線部分601Aと第2の曲線部分601Bが交互に配置されて構成されている。
本発明の第7の実施の形態の回転子の回転子コア700を、図12を参照して説明する。図12は、第7の実施の形態の回転子の回転子コア700を軸方向に直角な方向から見た断面図の部分拡大図である。
本実施の形態の回転子コア700では、軸方向に直角な断面で見て、永久磁石の角部がR状(円弧状)に形成されている。すなわち、第1の永久磁石721の角部にR面(円弧状の面)721eが形成され、第2の永久磁石722の角部にR面722eが形成されている。R面を形成する角部は、適宜選択可能である。
本発明の第8の実施の形態の回転子の回転子コア800を、図13を参照して説明する。図13は、第8の実施の形態の回転子の回転子コア800を軸方向に直角な方向から見た断面図の部分拡大図である。
本実施の形態の回転子コア800では、軸方向に直角な断面で見て、永久磁石の角部がテーパー状(直線状)に形成されている。すなわち、第1の永久磁石821の角部にテーパー面(直線状の面)821fが形成され、第2の永久磁石822の角部にテーパー面822fが形成されている。テーパー面を形成する角部は、適宜選択可能である。
本発明の第9の実施の形態の回転子の回転子コア900を、図14および図15を参照して説明する。図14は、第9の実施の形態の回転子の回転子コア900を軸方向に直角な方向から見た断面図であり、図15は図14の部分拡大図である。
第1〜第8の実施の形態の回転子コア100〜800では、直線状部分と円弧状部分を有する磁石挿入孔および直線状永久磁石部分と円弧状永久磁石部分を有する永久磁石を用いているが、本実施の形態の回転子コア900では、直線状部分を有する磁石祖入孔911および直線状永久磁石部分を有する永久磁石を用いている。
磁石挿入孔911は、図15に示されているように、軸方向に直角な断面で見て、外周壁911a、第1の側壁911b、第2の側壁911c、第1の斜壁911i第2の斜壁911jおよび内周壁911hにより形成されている。
外周壁911aは、径方向に沿った外周側に配置され、直線状に延びている。第1の側壁911bおよび第2の側壁911cは、外周壁911aより内周側で、周方向に沿った一方方向側および他方方向側に配置され、q軸に平行に延びている。内周壁911hは、径方向に沿った内周側に配置され、直線状に延びている。第1の斜壁911iは、第1の側壁911bと内周壁911hに接続され(周方向に沿った一方方向側に配置され)、q軸より周方向に沿って一方方向側のd軸に平行に直線状に延びている。第2の側壁911jは、第2の側壁911cと内周壁911hに接続され(周方向に沿った他方方向側に配置され)、q軸より周方向に沿って他方方向側のd軸に平行に直線状に延びている。
永久磁石921は、径方向に沿った両側で、周方向に沿って直線状に延びている外周面921aおよび内周面921h、周方向に沿った両側で、q軸に平行に直線状に延びている第1の側面921bおよび第2の側面921c、第1の側面921bと内周面921hに接続され、d軸に平行に直線状に延びている第1の斜面921i、第2の側面921cと内周面921hに接続され、d軸に平行に直線状に延びている第2の斜面921jにより形成されている。永久磁石921の外周面921a、第1の側面921b、第2の側面921c、第1の斜面921i、第2の斜面921jおよび内周面921hは、磁石挿入孔911の外周壁911a、第1の側壁911b、第2の側壁911c、第1の斜壁911i、第2の斜壁911jおよび内周壁911hに対向する位置に配置される。
また、永久磁石921は、周方向に沿って対向する面(例えば、一方の永久磁石921の第1の側面921bと他方の永久磁石921の第2の側面921c)が同じ極となるように、周方向に沿って着磁されている。すなわち、周方向に沿った一方側の面が一方の極(例えば、第1の側面921bがN極)となり、他方側の面が他方の極(例えば、第2の側面921cがS極)となるように着磁される。
また、本実施の形態では、磁石挿入孔911の外周壁911aと回転子コア900の外周面901との間に、周方向に沿って延び、磁束の短絡を抑制することができる幅と長さを有するブリッジ部905が形成されている。
このブリッジ部905によって、回転子コア900の、磁石挿入孔911と回転子コア900の外周面901との間の部分を介して磁束が短絡するのを抑制することができる。
ブリッジ部905は、本発明の「第2のブリッジ部」に対応する。
また、周方向に隣接する2つの磁石挿入孔911のうち一方の磁石挿入孔911の第1の斜壁911iと、他方の磁石挿入孔911の第2の斜壁911jとによって、d軸に沿って延び、磁束の短絡を抑制することができる幅(周方向に沿った長さ)と長さ(d軸に沿った長さ)を有するブリッジ部906が形成されている。
このブリッジ部906によって、回転子コア900の、周方向に隣接する磁石挿入孔911の間の部分を介して磁束が短絡するのを抑制することができる。
ブリッジ部906は、本発明の「第1のブリッジ部」に対応する。
好適には、ブリッジ部906の幅は、0.35mm〜0.5mmに設定され、ブリッジ906の長さは、1.5mm以上に設定される。
本実施の形態では、永久磁石が径方向に沿って延びるように配置されているため、永久磁石の磁石表面積を大きくすることができ、永久磁石から発生する磁束量を増大させることができる。
また、周方向に隣接する磁石挿入孔(911)のうち、一方の磁石挿入孔(911)の第1の斜壁(911i)と、他方の磁石挿入孔(911)の第2の斜壁(911j)との間に、d軸に沿って延びるブリッジ部(906)が形成されている。これにより、回転子コア(900)の、周方向に隣接する磁石挿入孔(911)の間の部分を介して磁束が短絡するのを抑制することができる。さらに、ブリッジ部(906)を形成する第1の斜壁(911i)と第2の斜壁(911j)がd軸(径方向)に平行に延びている。これにより、回転中に回転子コア(900)に作用する遠心力に対する強度を高くすることができる。
したがって、回転子に設ける永久磁石として、磁束密度が高いが高価である希土類磁石に代えて、磁束密度は低いが安価であるフェライト磁石を用いた場合でも、遠心力に対する強度の低下や磁束の短絡を抑制しながら、十分な磁束量を確保することができる。
本発明は、実施の形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
実施の形態で説明した各構成は、単独で用いることもできるし、適宜選択して組み合わせて用いることもできる。
永久磁石としては、フェライト磁石に限定されず、希土類磁石を含む種々の永久磁石を用いることができる。
磁石挿入孔や永久磁石の形状は、実施の形態で説明した形状に限定されず、種々の形状に設定することができる。
10 永久磁石電動機
20 固定子
30 固定子コア
40 固定子巻線
50 回転子
60 回転軸
100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000 回転子コア
101、201、301、401、501、601、701、801、901、1001 外周面
102、202、302、402、502、602、702、802、902、1002 内周面
105、205、305、405、505、605、705、805、905、1005 外周ブリッジ部
106、206、306、406、506、606、706、806、906、1006 内周ブリッジ部
111、112、211、212、311、312、411、412、511、512、611、612、711、712、811、812、911、912、1011 磁石挿入孔
111a、211a、311a、511a、911a 外周壁
111b、111c、111f、111g、211b、211c、211f、211g、311b、311c、311f、311g、511b、511c、511f、511g、911b、911c 側壁
111d、111e、211d、212e、311d、311e、511d、511e 中間壁
111h、211h、311h、511h、911h 内周壁
121、122、221、222、321、322、421、422、521、522、621、622、721、722、821、822、921、922、1021 永久磁石
121a、122a、221a、222a、321a、322a、521a、721a、722a、921a 永久磁石の外周面
121b、121c、122b、122c、221b、221c、222b、222c、321b、321c、322b、322c、521b、521c、521f、521g、721b、721c、722b、722c、921b、921c 側面
121d、122d、221d、222d、321d、322d、521h、721d、722d、921h 永久磁石の内周面
301A、401A、601A、701A 第1の外周面
301B、401B、601B、701B 第2の外周面
721e、722e R面
821f、822f テーパー面
521d、521e 中間面
911i、911j 斜壁
921i、921j 斜面

Claims (9)

  1. 回転子コアと、前記回転子コアに形成された磁石挿入孔と、前記磁石挿入孔に挿入された永久磁石を有し、軸方向に直角な断面で見て、前記磁石挿入孔と前記永久磁石が、径方向に沿って延びているとともに、周方向に沿って複数設けられており、前記永久磁石によってd軸とq軸が規定される回転子であって、
    前記磁石挿入孔は、q軸に沿って直線状に延びている第1の部分と、前記第1の部分より内周側に設けられ周方向に沿って円弧状に延びている第2の部分を有し、
    前記永久磁石は、前記磁石挿入孔の第1の部分に挿入される第1の磁石部分と、前記磁石挿入孔の第2の部分に挿入される第2の磁石部分を有し、
    前記磁石挿入孔の第2の部分の、周方向に沿った一方方向側の端部は、当該磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、当該磁石挿入孔に対して周方向に沿った一方方向側に隣接する磁石挿入孔に挿入される永久磁石とにより規定されるd軸に平行に形成されており、
    前記磁石挿入孔の第2の部分の、周方向に沿った他方方向側の端部は、当該磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、当該磁石挿入孔に対して周方向に沿った他方方向側に隣接する磁石挿入孔に挿入される永久磁石とにより規定されるd軸に平行に形成されており、
    周方向に隣接する磁石挿入孔のうち一方の磁石挿入孔の第2の部分の前記一方方向側の端部と他方の磁石挿入孔の第2の部分の前記他方方向側の端部によってブリッジ部が形成されていることを特徴とする回転子。
  2. 請求項1に記載の回転子であって、
    前記永久磁石の第1の磁石部分および第2の磁石部分は、それぞれ別体の第1の永久磁石および第2の永久磁石により形成されていることを特徴とする回転子。
  3. 請求項1または2に記載の回転子であって、
    前記磁石挿入孔の第1の部分は、q軸に対して周方向に沿った一方方向側および他方方向側に配置され、q軸に平行に延びている第1の側壁および第2の側壁を有し、
    前記磁石挿入孔の第2の部分は、q軸に対して周方向に沿った一方方向側および他方方向側に配置される第3の側壁および第4の側壁を有し、
    前記第3の側壁は、当該磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、当該磁石挿入孔に対して周方向に沿った一方方向側に隣接する磁石挿入孔に挿入される永久磁石とにより規定されるd軸に平行に延び、前記第4の側壁は、当該磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、当該磁石挿入孔に対して周方向に沿った他方方向側に隣接する磁石挿入孔に挿入される永久磁石とにより規定されるd軸に平行に延びていることを特徴とする回転子。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の回転子であって、
    前記永久磁石の第1の磁石部分および第2の磁石部分は、周方向に沿って磁化されていることを特徴とする回転子。
  5. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の回転子であって、
    前記永久磁石の第1の磁石部分は、周方向に沿って磁化されており、第2の磁石部分は、径方向に沿って磁化されていることを特徴とする回転子。
  6. 回転子コアと、前記回転子コアに形成された磁石挿入孔と、前記磁石挿入孔に挿入された永久磁石を有し、軸方向に直角な断面で見て、前記磁石挿入孔と前記永久磁石が、径方向に沿って延びているとともに、周方向に沿って複数設けられており、前記永久磁石によってd軸とq軸が規定される回転子であって、
    前記磁石挿入孔は、周方向に沿って一方方向側および他方方向側に配置され、q軸に平行に延びている第1の側壁および第2の側壁、径方向に沿って外周側および内種側に配置され、周方向に沿って延びている外周壁と内周壁、前記第1の側壁と前記内周壁に接続されている第1の斜壁、前記第2の側壁と前記内周壁に接続されている第2の斜壁により形成されており、
    前記第1の斜壁は、当該第1の斜壁を有する磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、当該第1の斜壁を有する磁石挿入孔に対して周方向に沿った一方方向側に隣接する磁石挿入孔に挿入される永久磁石とにより規定されるd軸に平行に形成され、
    前記第2の斜壁は、当該第2の斜壁を有する磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、当該第2の斜壁を有する磁石挿入孔に対して周方向に沿った他方方向側に隣接する磁石挿入孔に挿入される永久磁石とにより規定されるd軸に平行に形成され、
    周方向に隣接する磁石挿入孔のうち一方の磁石挿入孔の前記第1の斜壁と他方の磁石挿入孔の前記第2の斜壁によってブリッジ部が形成されていることを特徴とする回転子。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の回転子であって、
    回転子の外周面は、軸方向に直角な断面で見て、d軸と交差する第1の外周面と、q軸と交差する第2の外周面が交互に接続されて形成されており、前記第1の外周面は、d軸上に曲率中心を有する円弧形状に形成され、前記第2の外周面は、q軸上に曲率中心を有し、前記第1の外周面の曲率半径より大きい曲率半径を有する円弧形状に形成されていることを特徴とする回転子。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の回転子であって、
    永久磁石としてフェライト磁石が用いられていることを特徴とする回転子。
  9. 固定子と、前記固定子に対して回転可能に支持された回転子を備え、前記固定子は、固定子コアと、固定子巻線を有し、前記回転子は、回転子コアと、前記回転子コアに形成された磁石挿入孔と、前記磁石挿入孔に挿入された永久磁石を有している永久磁石電動機であって、前記回転子として請求項1〜8のいずれか一項に記載の回転子が用いられていることを特徴とする永久磁石電動機。
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