JP2014170624A - 非水電解液及びリチウム二次電池 - Google Patents

非水電解液及びリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電池容量の減少を低減でき、電池の寿命を延ばすことができるとともに、内部抵抗の増大を抑制でき、高い充放電速度でも性能が低下することのない非水電解液、及び該非水電解液を用いたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【解決手段】非水溶媒と、リチウム含有塩を含む支持電解質と、を含む非水電解液であって、
前記非水溶媒は、主成分(a)と付加成分(b)とを含み、
前記主成分(a)は、環状の非プロトン性溶媒と鎖状の非プロトン性溶媒との混合物であり、
前記付加成分(b)は、分子内に水酸基を1個有する、炭素数が3個以上のアルコールであり、前記付加成分(b)の含有量は、前記水酸基の量として5×10-5〜0.010[OH]基数/kg非水電解液である、非水電解液。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解液及びリチウム二次電池に関する。
近年の電気、電子技術の発展によるIT技術の進歩により、移動体通信機器やモバイルコンピュータが広く普及してきている。これら機器の電源として高エネルギー密度の二次電池が必要とされている。特に、非水電解質二次電池であるリチウムイオン二次電池は、従来のニッケル水素電池よりも軽い上に、動作電圧が高く、なおかつエネルギー密度も高いことから、移動体通信機器やモバイルコンピュータの電源として採用され、機器の小型化、軽量化に大きく寄与してきた。また、リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度の高さや大きな放電電流を出せる特性から、電動工具に代表される屋外で使用される機器の電源に用いられたり、産業や家庭用のバックアップ電源システムとしての開発が進められたりもしてきた。さらに、近年では、環境問題からハイブリッド自動車や電気自動車への応用も試みられ、積極的に開発が進められている。
リチウムイオン二次電池は、リチウムを吸蔵、放出可能な活物質を主体として構成された正極と負極とがセパレータを介して配された構造を有する。正極は、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiMn1/3Ni1/3Co1/32等の正極活物質と、カーボンブラックや黒鉛等の導電剤と、ポリフッ化ビニリデン、ラテックス、ゴム等のバインダーとを混合したスラリーを、アルミニウム等の正極集電体上に被覆して作製する。また、負極は、コークスや黒鉛等の負極活物質と、ポリフッ化ビニリデン、ラテックス、ゴム等のバインダーとを混合した負極スラリーを、シリコンや銅等の負極集電体上に被覆して作製する。セパレータは、多孔性ポリエチレンや、多孔性ポリプロピレン、アミド系ポリマーからなるフィルムや、このフィルムに無機粒子を付与したものである。セパレータの厚みは数μから数百μと非常に薄い。
正極、負極、及びセパレータは、非水電解液に含浸されている。非水電解液は、非水系の有機溶媒に、ヘキサフルオロリン酸リチウムを代表とするリチウム含有塩を含む支持電解質を混合させたものが用いられる。
このようなリチウムイオン二次電池としては、有機ポリマーをさらに添加して、ゲル状の構造体にしたものや、電池の特性を向上させるための化合物をさらに添加したものも知られている。
上記非水系の有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート類;環状スルホン類、鎖状スルホン類、スルホキシド類、スルファイト類等の硫黄系溶媒類;エステル類;芳香族化合物類が知られている。
このような非水電解液は、リチウムイオンの活物質間での移動を助けるものであると同時に、電池の酸化還元反応に耐えうるものでなくてはならない。しかしながら、電池を長期使用すると、充放電の際に非水溶媒や支持電解質が活物質の表面において酸化又は還元反応を受けて分解し、この際に生じる分解物によって電池特性の劣化が発生してしまうという問題がある。また、電解液に含まれるアルコール類や水分等の不純物が電池の特性を劣化させることも問題である。そのため、これらの分解物や不純物を低減させることが電池特性を向上させるためには非常に重要である。
上記不純物としては、溶媒である環状カーボネートに含まれるジオールや鎖状カーボネートに含まれるモノアルコールや水、又はフッ酸が挙げられる。例えば、特許文献1では、エチレンカーボネート等に含まれるエチレングリコール等を低減し、電池特性に対する悪影響を低減する技術が提案されている。また、特許文献2〜3では、非水溶媒中のジオールやモノアルコールの量の上限値を規定するとともにそこから発生するフッ酸量を低減すること提案がされている。また、非水溶媒中に水が含まれていると、電解液のリチウム塩である、ヘキサフルオロリン酸リチウム(以下、「LiPF6」ともいう。)やテトラフルオロホウ酸リチウム(以下、「LiBF4」ともいう。)と反応を起こしてフッ酸を発生させ、該フッ酸はリチウムを使用する二次電池の特性を劣化させる。そのため、特許文献4では、非水溶媒中の水の量を規定することが提案されている。
一方、電解液に含まれる非水溶媒とリチウム支持電解質は、リチウム二次電池の充放電の際に活物質の表面において酸化または還元反応を受けて分解することが知られている。この際、電解液に含まれる上記のような不純物も電気化学的に酸化、還元を受けることも知られている。上記不純物は非水溶媒よりも分解電位が低いために充放電の初期において電極表面上で分解する。さらに充放電電位が高くなると、溶媒であるカーボネート類の分解が起こり、その分解によってできた分解生成物が電極上に膜を形成しさらなる溶媒やリチウム支持電解質の分解が抑えられる。このような膜はSEI膜(Solid Electrolyte Interface)と呼ばれ、その構成成分は詳細に知られていないが、フッ化リチウムや炭酸リチウムのような無機成分を含むものであることは分かっている(特許文献5)。
このようなSEI膜を積極的に形成する目的で、ある種の添加剤を電解液に加えることによって電池特性の劣化を防止させる試みがなされている。例えば特許文献6ではビニレンカーボネート等の不飽和カーボネートを添加することによって電池特性を向上させることが示されている。この作用は、電極活物質の表面に保護膜(SEI膜)を作製することによって、溶媒やリチウム支持電解質の分解を抑制するのが目的であり、このことが電池特性を向上させることに寄与していると考えられている。しかしながら、添加剤は、負極と正極では動作原理が異なるため、皮膜の形成能力が変わることも知られている。
皮膜中のフッ化リチウムは、電解液中のフッ酸が生成に寄与しており、電解液中には、フッ酸が存在することが好ましいと考えられている。一方、フッ酸の発生しない電解液も存在し、それはリチウム支持電解質を改良することによって、水と支持電解質の反応を低減させたことによる(特許文献7)。このような電解液では、充放電時のフッ酸によるSEI膜が形成しにくいため、電極表面の皮膜の形成が十分でないことが予想され、電池寿命が低下しやすくなったり、電池を長期保存した際に容量が低下しやすくなったりしてしまう。
また、特許文献8では、SEI膜の形成性に着目し、フッ酸の量を特定範囲とした電解液が提案されている。フッ酸は電解液中の水やアルコールとリチウム支持電解質であるLiPF6等と反応し発生する。この反応は、非水溶媒とリチウム支持電解質を混合した直後から始まり、水またはアルコールが消失するまで起こり続ける。一方、急激に発生したフッ酸はその強い酸性度により溶媒を分解することが予想され、このことは急激に電池の特性を劣化させることを意味するので望ましくない。また電解液の保存においても、急激に生成したフッ酸が非水溶媒と反応して電解液を劣化させる。以上のことより、電池特性を良好に保つためには、フッ酸が徐々に、しかも、SEI膜を形成するのに十分な程度だけ発生することが望まれる。
これに対し、特許文献9では、電解液特性を低下させることなく電解液中にフッ酸を発生させることによってSEI膜の継続的な修復形成を目的として、分子内に水酸基を2個以上有し炭素数が4以上の長鎖のアルコールを含む非水電解液が提案されている。
また、特許文献10では、過充電状態においても高い安全性を得ることができるように、水酸基を有する化合物を含有する電解液が提案されている。しかしながら、SEI膜に関する記載はなく、具体的にはメタノールのみが記載されているに過ぎない。
特許3091923号公報 特許3244017号公報 特許3087956号公報 特公平5−1595号公報 特開2001−250535号公報 特許3157152号公報 特許3111927号公報 特開2002−231307号公報 特開2011−86391号公報 特開2001−15157号公報
しかしながら、上記特許文献9で提案された発明では、電池の内部抵抗が増大する傾向があり、高い充放電速度では性能が著しく低下する傾向がある。また、特許文献9に記載の非水電解液を用いた二次電池よりも、電池容量の減少をより低減できることが望ましい。さらに、特許文献10では、過充電状態においても高い安全性が得られることは提案されているが、内部抵抗の増大を抑えることまでは解決されていない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、電池容量の減少を低減でき、電池の寿命を延ばすことができるとともに、内部抵抗の増大を抑制でき、高い充放電速度でも性能が低下することのない非水電解液、及び該非水電解液を用いたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、分子内に水酸基を1個有し炭素数が3以上のアルコール化合物を適量、非水電解液に添加することによって、電解液中に安定的にフッ酸を発生させることができ、充放電サイクルを繰り返す際や、充放電速度が高い場合であっても、電極表面のSEI膜が継続的かつ安定的に修復、形成されることを見出し、これにより上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕
非水溶媒と、リチウム含有塩を含む支持電解質と、を含む非水電解液であって、
前記非水溶媒は、主成分(a)と付加成分(b)とを含み、
前記主成分(a)は、環状の非プロトン性溶媒と鎖状の非プロトン性溶媒との混合物であり、
前記付加成分(b)は、分子内に水酸基を1個有する、炭素数が3個以上のアルコールであり、前記付加成分(b)の含有量は、前記水酸基の量として5×10−5〜0.010[OH]基数/kg非水電解液である、非水電解液。
〔2〕
前記主成分(a)において、前記環状の非プロトン性溶媒と前記鎖状の非プロトン性溶媒との質量比が、1:99〜99:1である、前項〔1〕に記載の非水電解液。
〔3〕
付加成分(c)をさらに含み、
前記付加成分(c)は、分子内に水酸基を2個以上有する、炭素数が4個以上のアルコールであり、前記付加成分(c)の含有量は、前記水酸基の量として4×10−5〜0.015[OH]基数/kg非水電解液である、前項〔1〕又は〔2〕に記載の非水電解液。
〔4〕
前記付加成分(b)及び/又は前記付加成分(c)は、分子内にエステル結合、カーボネート結合、又はエーテル結合をさらに有するアルコールである、前項〔3〕に記載の非水電解液。
〔5〕
前記環状の非プロトン性溶媒が環状カーボネートであり、前記鎖状の非プロトン性溶媒が鎖状カーボネートである、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の非水電解液。
〔6〕
前記環状の非プロトン性溶媒が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、及びフルオロエチレンカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の環状カーボネートを含み、
前記鎖状の非プロトン性溶媒が、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、及びエチルブチルカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の鎖状カーボネートを含む、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の非水電解液。
〔7〕
前記支持電解質が、LiPF6及びLiBF4からなる群より選ばれる少なくとも1種のリチウム含有塩を含む、前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の非水電解液。
〔8〕
フッ酸を0.5〜140ppmさらに含む、前項〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の非水電解液。
〔9〕
環状スルホン酸化合物を0.1〜5質量%さらに含む、前項〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の非水電解液。
〔10〕
前項〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の非水電解液を含む、リチウム二次電池。
本発明により、電池容量の減少を低減でき、電池の寿命を延ばすことができるとともに、内部抵抗の増大を抑制でき、高い充放電速度でも性能が低下することのない非水電解液、及び該非水電解液を用いたリチウム二次電池を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔非水電解液〕
本実施形態の非水電解液は、
非水溶媒と、リチウム含有塩を含む支持電解質と、を含む非水電解液であって、
前記非水溶媒は、主成分(a)と付加成分(b)とを含み、
前記主成分(a)は、環状の非プロトン性溶媒と鎖状の非プロトン性溶媒との混合物であり、
前記付加成分(b)は、分子内に水酸基を1個有する、炭素数が3個以上のアルコールであり、前記付加成分(b)の含有量は、前記水酸基の量として5×10-5〜0.010[OH]基数/kg非水電解液である。
以下、本実施形態の非水電解液についてより詳細に説明する。
〔非水溶媒〕
本実施形態で用いる非水溶媒は、主成分(a)と付加成分(b)と、必要に応じて付加成分(c)とを含む。このように適度な極性を有する付加成分であれば非水溶媒の主成分(a)との相溶性もよい。このような主成分と付加成分とを含むことにより、フッ酸を除々に、しかも十分な量だけ発生させてSEI膜の継続的な修復、形成をさせることが容易となる。より具体的には、SEI膜は非常に薄く弱いものと考えており、充放電中にも一旦できた被膜が溶解又は脱落するなどして、消失することが考えられる。このような場合でも適切な量のフッ酸を継続的に供給することにより、再度良質な被膜を形成又は修復することができると推察される。これにより、電池特性に悪影響を与えることなく、電池容量の減少を低減でき、内部抵抗の増大を抑制でき、高い充放電速度でも電解液の品質が低下することなく、電池のサイクル寿命を延ばすことができる等の電池のサイクル特性改善を果たすことができる。一般的には、非水溶媒中にアルコールが存在すると充放電の際に酸化還元反応を受けて電解液特性が劣化することが知られている。しかしながら、驚くべきことに、分子内に水酸基を1個有し、炭素数が3以上のアルコールを用いた場合には、SEI膜の継続的な修復が可能となり、不要な抵抗増大を抑制しながら、電池特性の低下を抑えることが可能となる。
(主成分(a))
本実施形態で用いる非水溶媒の主成分(a)は、環状の非プロトン性溶媒と鎖状の非プロトン性溶媒との混合物である。環状の非プロトン性溶媒は、主に、良質な被膜形成に寄与するが一般に高粘度、高融点を有する。これに対し、鎖状の非プロトン性溶媒は、主に、環状の非プロトン性溶媒の粘性、融点を低下させて、負荷特性、低温特性を向上させることに寄与をする。そのため、上記主成分(a)を用いることで、電池の負荷特性や低温特性を向上させることができる。
環状の非プロトン性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート等の環状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステルが挙げられる。このなかでも、環状の非プロトン性溶媒が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、及びフルオロエチレンカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の環状カーボネートを含むことが好ましい。このような環状の非プロトン性溶媒を用いることにより、より良質な被膜が形成でき、電解液の電気化学的安定性がより向上する傾向にある。このなかでも、誘電率の高いエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートがより好ましい。また、負極活物質に黒鉛を使用する場合には、エチレンカーボネートがさらに好ましい。これらの環状カーボネートは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
環状の非プロトン性溶媒は、環状カーボネートが不飽和結合を含む不飽和環状カーボネート、及び環状カーボネートにフッ素原子が付加したフッ素化カーボネートを含むことが好ましい。これにより二次電池の電池特性がより向上する傾向にある。
不飽和環状カーボネートとしては、特に限定されないが、例えば、ビニレンカーボネート、1−メチルビニレンカーボネート、1,2−ジメチルビニレンカーボネートが挙げられる。
また、フッ素化カーボネートとしては、特に限定されないが、例えば、フルオロエチレンカーボネートやジフルオロエチレンカーボネートが挙げられる。
上記化合物の添加量としては、非水電解液全体に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜3質量%がより好ましく、0.5〜2質量%がさらに好ましい。含有量が上記範囲内であることにより、電池容量の減少をより低減でき、内部抵抗の増大をより抑制でき、高い充放電速度でも電解液の品質の低下をより抑制でき、その上、電池のサイクル寿命をより延ばすことができる傾向にある。
また、鎖状の非プロトン性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネート、エチルブチルカーボネート等の鎖状カーボネート;酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の鎖状エステルが挙げられる。このなかでも、鎖状の非プロトン性溶媒が、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、及びエチルブチルカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。このような鎖状の非プロトン性溶媒を用いることにより、負荷特性、低温特性をより向上させることができ、電解液の電気化学的安定性がより向上する傾向にある。このなかでも、粘度の低いジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートがより好ましい。これらの鎖状カーボネートは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
環状の非プロトン性溶媒と鎖状の非プロトン性溶媒との質量比(環状の非プロトン性溶媒:鎖状の非プロトン性溶媒)は、1:99〜99:1であることが好ましく、5:95〜70:30であることがより好ましく、10:90〜60:40であることがさらに好ましい。質量比が上記範囲内であることにより、電解液の粘度がより低くなり、且つ、電解質の解離度がより高くなる。これにより、電池の充放電特性に関わる電解液の伝導度がより増加する。この結果、常温から低温の範囲で良好な電気伝導性を示す電解液となり、常温から低温における電池の負荷特性がより向上する。
(付加成分(b))
非水溶媒の付加成分(b)は、分子内に水酸基を1個有する、炭素数が3個以上のアルコールである。付加成分(b)を用いることで、(b)が持つOH基の効果で、フッ酸が徐々に生成し、継続的かつ急激ではない被膜形成が可能となるため、電池容量の減少をより低減し、内部抵抗の増大をより抑制することができる。このような付加成分(b)としては、特に限定されないが、例えば、プロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール等の直鎖状アルコール類;シクロヘキサノール等の環状アルコール類;イソブチルアルコール等の分岐型アルコール類;1−ブテンアルコール等の不飽和アルコール類等が挙げられる。このなかでも直鎖状アルコール類が好ましく、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノールがより好ましい。付加成分(b)は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
付加成分(b)は、分子内にエステル結合、カーボネート結合、又はエーテル結合をさらに有するアルコールであることが好ましい。このような付加成分(b)を用いることにより、主成分(a)および支持電解質との相溶性がより良好になる傾向にある。
分子内にエステル結合をさらに有する付加成分(b)としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられる。
また、分子内にカーボネート結合をさらに有する付加成分(b)としては、特に限定されないが、例えば、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンが挙げられる。
さらに、分子内にエーテル結合をさらに有する付加成分(b)としては、特に限定されないが、例えば、2−メトキシエタノールが挙げられる。
また、付加成分(b)のアルコールとしては、炭素数が3個以上であり、4個以上であることが好ましく、6個以上であることがより好ましい。また、炭素数は20個以下であることが好ましい。炭素数が上記範囲内であることにより、一分子の分子量に占めるOH基の割合が多いため付加成分(b)添加量をより少なくでき、かつ主成分(a)との親和性もより向上し、粘度上昇も抑制できる。
さらに、付加成分(b)のアルコールとしては、比誘電率として20未満の値を示すものが好ましく、18以下がより好ましく、11以下がさらに好ましい。比誘電率が上記範囲内であることにより、LiPF6やLiBF4との反応速度が速すぎないようにより適切に制御することができる傾向にある。なお、例えば、1−オクタノールの比誘電率は10.3であり、1−ブタノールの比誘電率は17.5である。これに対し、メタノール等の短鎖アルコールでは、比誘電率が20以上であり、例えばエタノールの比誘電率は24.6である。このような炭素数が3個未満のアルコールの存在下では、LiPF6やLiBF4と反応が速やかに進行し、HFが高濃度で発生してしまう。誘電比率は、コンデンサーセルにおいて、真空での電気容量C0と測定対象物を満たした場合の電気容量Cを測定し、C/C0から求めることができる。なお、比誘電率は温度により変化する。HFが低濃度であることにより、電池性能に対する悪影響がより小さくなる傾向にある。
付加成分(b)の含有量は、水酸基の量として5×10-5〜0.010[OH]基数/kg非水電解液であり、好ましくは1×10-4〜0.007[OH]基数/kg非水電解液であり、より好ましくは2×10-4〜0.005[OH]基数/kg非水電解液である。含有量が上記範囲内であることにより、電池容量の減少をより低減でき、内部抵抗の増大をより抑制でき、高い充放電速度でも電解液の品質の低下をより抑制でき、その上、電池のサイクル寿命をより延ばすことができる。なお、「[OH]基数/kg非水電解液」とは、酸、塩基の場合に用いるグラム当量/kgに相当する表示である。例えば、水酸基の量が0.05[OH]基数/kg非水電解液とは、1kgの非水電解液中に、1価アルコールであるメタノールの場合は0.05モル存在することを意味し、多価(2価)アルコールであるエチレングリコールの場合は0.025モル存在することを意味する。
(付加成分(c))
本実施形態に用いる非水溶媒は、主成分(a)と付加成分(b)に加え、第3成分として付加成分(c)をさらに含んでもよい。付加成分(c)は、分子内に水酸基を2個以上有する、炭素数が4以上のアルコールである。付加成分(c)のみを単独で使用した場合、充放電サイクル経過に伴い、容量維持率は高く維持される傾向にあるが、電池の内部抵抗が増大する傾向があり、そのような電池では、比較的低い充放電速度では性能を維持できるが、高い充放電速度になると性能が低下する。しかし、付加成分(b)と(c)を併用することで、電池容量の減少をより低減でき、内部抵抗の増大をより抑制でき、高い充放電速度でも電解液の品質の低下をより抑制でき、電池のサイクル寿命をより延ばすことができる傾向にある。
このような付加成分(c)としては、特に限定されないが、例えば、1,5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2−メチル−1,3プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロピレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の直鎖状又は分岐状のアルコール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の環状のアルコールが好ましい。この中でも1、6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の直鎖ジオール類が好ましい。付加成分(c)は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
付加成分(c)は、分子内にエステル結合、カーボネート結合、又はエーテル結合をさらに有するアルコールであることが好ましい。このような付加成分(c)を用いることにより、主成分(a)および支持電解質との相溶性がより良好になる傾向にある。
分子内にエステル結合をさらに有する付加成分(c)としては、特に限定されないが、例えば、3,4−ジヒドロキシジヒドロ−2−フランが挙げられる。
また、分子内にカーボネート結合をさらに有する付加成分(c)としては、特に限定されないが、例えば、3,4−ジヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンが挙げられる。
さらに、分子内にエーテル結合をさらに有する付加成分(c)としては、特に限定されないが、例えば、1,4−ジオキサン−2,3-ジオールが挙げられる。
また、付加成分(c)の長鎖アルコールとしては、炭素数が4個以上であり、6個以上であることが好ましく、8個以上であることがより好ましい。また、炭素数は40個以下であることが好ましい。炭素数が上記範囲内であることにより、一分子の分子量に占めるOH基の割合が多いため付加成分(b)添加量をより少なくでき、かつ主成分(a)との親和性もより向上し、粘度上昇も抑制できる。
さらに、付加成分(c)の長鎖アルコールとしては、分子内に水酸基を2個又は3個有することが好ましい。水酸基数が上記範囲内であることにより、比誘電率がより低く、主成分(a)との親和性がより向上し、非水電解液の粘度をより低下できる傾向にある。
さらに、付加成分(c)のアルコールとしては、比誘電率として20未満の値を示すものが好ましく、18以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。比誘電率が上記範囲内であることにより、LiPF6やLiBF4との反応速度が速すぎないようにより適切に制御することができる傾向にある。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等の短鎖アルコール類は、比誘電率が20以上であり、エチレングリコールの比誘電率は37である。このような炭素数が4個未満のアルコール類の存在下では、LiPF6やLiBF4と反応が速やかに進行し、HFが高濃度で発生してしまう。HFが低濃度であることにより、電池性能に対する悪影響がより小さくなる傾向にある。なお、誘電比率は上記同様の方法により測定することができる。
付加成分(c)の含有量は、水酸基の量として4×10-5〜0.015[OH]基数/kg非水電解液であることが好ましく、より好ましくは8×10-5〜0.01[OH]基数/kg非水電解液であり、さらに好ましくは1×10-4〜0.005[OH]基数/kg非水電解液である。含有量が上記範囲内であることにより、電池容量の減少をより低減でき、内部抵抗の増大をより抑制でき、高い充放電速度でも電解液の品質の低下をより抑制でき、その上、電池のサイクル寿命をより延ばすことができる傾向にある。
〔リチウム含有塩を含む支持電解質〕
次に、本実施形態の非水電解液に含まれるリチウム含有塩を含む支持電解質(以下、単に「支持電解質」ともいう。)ついて詳述する。支持電解質に含まれるリチウム含有塩としては、特に限定されないが、例えば、LiPF6、LiBF4、リチウムフルオロアルキルホスフェート、リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、リチウムビスペンタフルオロメタンスルホンイミド、リチウムビスフルオロメタンスルホンイミド、リチウムビスオキサレートボレート等が挙げられる。このなかでも、LiPF6及びLiBF4からなる群より選ばれる少なくとも1種のリチウム含有塩が好ましい。さらに、LiPF6がより好ましい。このようなリチウム含有塩を用いることにより、電池容量の減少をより低減でき、内部抵抗の増大をより抑制でき、高い充放電速度でも電解液の品質の低下をより抑制でき、その上、電池のサイクル寿命をより延ばすことができる傾向にある。リチウム含有塩は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
このような、本実施形態の非水電解液に用いる支持電解質中のフッ酸は0〜100ppmであることが好ましい。また、本実施形態の非水電解液に用いる支持電解質中の溶解しない固形分は0〜200ppmとすることが好ましい。フッ酸の量、固形分が上記範囲内であることにより、本実施形態の非水電解液を得ることがより容易となる。
このような支持電解質の量は、目的とする電池の要求性能等によって適宜調整することができ、通常非水電解液全体に対して、1〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましく、8〜17質量%であることがさらに好ましい。
(フッ酸)
また、本実施形態の非水電解液はフッ酸をさらに含有していることが好ましい。その含有量は、0.5〜140ppmであることが好ましく、1〜120ppmであることがより好ましく、2〜110ppmであることがさらに好ましい。含有量が上記範囲であることにより、SEI膜の継続的な修復、形成がより容易となる。
(その他の添加剤)
本実施形態では、リチウム二次電池の電池特性低下を改善する目的でその他の添加剤を添加することが好ましい。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、環状スルホン酸化合物が挙げられる。環状スルホン酸化合物としては、特に限定されないが、例えば、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトンが挙げられる。
上記化合物の添加量としては、非水電解液全体に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜3質量%がより好ましく、0.5〜2質量%がさらに好ましい。含有量が上記範囲内であることにより、電池容量の減少をより低減でき、内部抵抗の増大をより抑制でき、高い充放電速度でも電解液の品質の低下をより抑制でき、その上、電池のサイクル寿命をより延ばすことができる傾向にある。
〔非水電解質の調製方法〕
非水電解液の調製方法は特に制限されず、例えば以下の方法により調製することができる。環状の非水プロトン性溶媒と鎖状非水プロトン性溶媒とを混合し、リチウム含有塩を含む支持電解質をさらに混合する。支持電解質は複数回にわたって混合してもよい。その後、付加成分(b)、必要に応じて付加成分(c)を添加し、最後に必要に応じて添加剤を混合して非水電解液を得ることができる。
〔リチウム二次電池〕
次に、本実施形態のリチウムイオン二次電池について、より詳細に説明する。本実施形態に係るリチウム二次電池は、上記非水電解液を含む。より具体的には、本実施形態に係るリチウム二次電池は、負極、正極、それらを互いに分離するセパレータ、及び非水電解液とを有しうる。
(負極)
負極を構成する負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能なシリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金、リチウムイオンのドープ及び脱ドープが可能な酸化スズ、酸化シリコン、リチウムイオンのドープ及び脱ドープが可能な遷移金属酸化物、リチウムイオンのドープ及び脱ドープが可能な遷移金属窒素化合物、リチウムイオンのドープ及び脱ドープが可能な炭素材料、又はこれらの混合物を用いることができる。
これらの中でもリチウムイオンをドープ及び脱ドープすることが可能な炭素材料が好ましい。そのような炭素材料としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、活性炭、黒鉛材料、非晶質炭素材料等を挙げることができる。その形態は、繊維状、球状、ポテト状、フレーク状等が挙げられる。
黒鉛材料としては、天然黒鉛、黒鉛化コークス、黒鉛化MCMB、黒鉛化MCF等、またホウ素を含有するもの、さらに金、白金、銀、銅、Sn、Si等金属で被覆したもの、あるいは非晶質炭素で被覆したもの等が挙げられる。非晶質炭素材料としては、特に限定されないが、具体的には、ハードカーボン、コークス、1500℃以下で焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチカーボンファイバー(MCF)等が挙げられる。また、カーボンブラック、アモルファスウイスカーカーボン等は導電助剤として加えることもできる。これらの炭素材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記炭素材料のなかでも、X線回折法で測定した(002)面の面間隔(d002)が0.340nm以下の炭素材料が好ましく、その上真密度が1.70g/cm3以上である黒鉛又はそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料がより好ましい。このような炭素材料を使用することで、電池のエネルギー密度を高くすることができる。
(正極)
正極を構成する正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、FeS2、MoS2、TiS2、MnO2、V25等の遷移金属硫化物又は遷移金属酸化物;LiCoO2、LiMn1/3Ni1/3Co1/32、LiMnO2、LiMn24、LiNiO2、LiNiXCo(1-X)2、LiNixCoyMn(1-x-y)2、LiNixMn(2-x)O4、LiNixMn(1-x)4等のリチウムと遷移金属との複合酸化物;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアセン、ジメルカプトチアジアゾール、ポリアニリン複合体等の導電性高分子材料;フッ素化炭素、活性炭等の炭素材料等を挙げることができる。
これらの中でも、リチウムと遷移金属との複合酸化物が好ましい。正極活物質は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。正極活物質は、導電性を向上させるために、導電助剤とともに使用することが好ましい。そのような導電助剤としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、アモルファスウィスカーカーボン、グラファイト等の炭素材料が挙げられる。
(セパレータ)
セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁し、かつリチウムイオンが透過可能な膜であれば特に限定されず、多孔性膜や高分子電解質が使用される。多孔性膜としては微多孔性高分子フィルムが好適に使用され、その材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等が挙げられる。このなかでも、多孔性ポリオレフィンフィルムが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、又は多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの多層フィルムを例示することができる。本実施形態では、これら多孔性ポリオレフィンフィルム上に、熱安定性に優れた他の樹脂がコーティングされたセパレータを用いることもできる。
(高分子電解質)
高分子電解質としては、特に限定されないが、例えば、リチウム塩を溶解した高分子物質や、電解液で膨潤させた高分子物質等が挙げられる。本実施形態の非水電解液は、高分子物質を膨潤させて高分子電解質を得る目的に使用することもできる。
本実施形態のリチウム二次電池は、円筒型、コイン型、角型、フィルム型、その他任意の形状に形成することができる。電池の基本構造は形状によらずほぼ同じであり、目的に応じて設計変更を施したものも本発明の範囲内に含まれる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
〔原料〕
非水溶媒の主成分(a)としては、下記化合物を用いた。下記化合物は、いずれもキシダ化学社より購入した高純度溶媒LBG−溶媒をそのまま用いた。
[主成分(a)]
EC : エチレンカーボネート
PC : プロピレンカーボネート
DMC : ジメチルカーボネート
EMC : エチルメチルカーボネート
また、非水溶媒の付加成分(b)及び(c)としては、下記化合物を用いた。下記化合物は、いずれも東京化成社より購入した試薬をそのまま用いた。なお、メタノールは、分子内に水酸基を1個有する、炭素数が3個未満のアルコールの例として示した。
[付加成分(b)]
3−オクタノール
メタノール
[付加成分(c)]
1,9−ノナンジオール
また、添加剤としては下記化合物を用いた。下記化合物は、いずれもいずれもキシダ化学社より購入した高純度LBG−溶媒をそのまま用いた。
[添加剤]
FEC : フルオロエチレンカーボネート
VC : ビニレンカーボネート
PS : プロパンスルトン
[支持電解質]
支持電解質としては、純度99%以上、フッ酸分100ppm以下、水分20ppm以下のLiPF6及びLiBF4を用いた。いずれもキシダ化学社より購入した高純度電解質LBG−電解質をそのまま用いた。
〔実施例1〕
〔非水電解液の調製〕
非水電解液の調製は、露点が−80℃以下となるように管理されたアルゴングローブボックス内で行った。最初に環状カーボネートECと鎖状カーボネートDMCとをECとDMCの体積比が10:20になるように混合し、室温にて溶解した。溶解後しばらく静置して室温になるまで待ち、1mol/LとなるようにLiPF6を溶解し、非水電解液を調製した。LiPF6の投入は数回に分けて行い、温度上昇が著しく高くならないようにした。その後、3−オクタノールを非水電解液に対して100ppmとなるように溶解した。
〔小型電池の組み立て〕
正極活物質として数平均粒子径11μmのリチウムのニッケル、マンガン及びコバルト(元素モル比1:1:1)との複合酸化物と、導電助剤として数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末及び数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、100:4.2:1.8:4.6の質量比で混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドンを固形分68質量%となるように投入してさらに混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて正極(γ)を得た。なお、得られた電極における真空乾燥後の合材について、片面あたりの目付量が12.0mg/cm2±3%、片面での厚さが45μm±3%、密度が2.43g/cm3±3%、塗工幅がアルミニウム箔の幅200mmに対して150mmになるように溶剤量を調整しながら、上記スラリー状の溶液を調製した。
負極活物質として数平均粒子径12.7μmのグラファイト炭素粉末及び数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース溶液(固形分濃度1.83質量%)と、ジエン系ゴム(ガラス転移温度:−5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、分散媒:水、固形分濃度40質量%)とを、90:10:1.44:1.76の固形分質量比で全体の固形分濃度が45質量%になるように混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ10μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて負極(γ)を得た。なお、得られた電極における真空乾燥後の合材について、片面あたりの目付量が5.0mg/cm2±3%、片面での厚さが40μm±3%、密度が1.25g/cm3±3%、塗工幅が銅箔の幅200mmに対して150mmになるように溶剤量を調整しながら、上記スラリー状の溶液を調製した。
上述のようにして作製した正極(γ)と負極(γ)とをポリエチレンからなるセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、SUS製の円盤型電池ケースに挿入した。次いで、その電池ケース内に上記のように作製した実施例1の非水電解液を0.5mL注入して、積層体を非水電解液に浸漬した後、電池ケースを密閉して非水系二次電池(小型電池)を作製した。これを25℃で24時間保持し、積層体に非水電解液を十分馴染ませることにより、1C=3mAとなる小型電池を得た。
(電池特性の測定)
上記条件で構成した小型電池を用いて充放電サイクル試験により電池特性(放電容量維持率とIRドロップ)の測定を行った。充放電サイクル試験は、次の条件にて実施した。まず、初回の充電として、25℃に調整した恒温槽内で1/3Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計3時間充電を行った。10分間の休止後、1/3Cの定電流で放電し、3.0Vに到達した時点で放電を終了した。これに引き続き、25℃に調整した恒温槽内で充放電サイクル試験を行った。1Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計3時間充電を行った。10分間の休止後、1Cの定電流で放電し、3.0Vに到達した時点で放電し、そこで10分間休止した。これを1サイクルとし、200サイクルの充放電を行った。以下の式により放電容量維持率とIRドロップとを求めた。
放電容量維持率(%)
=(200サイクル目の放電容量)/(1サイクル目の放電容量)×100
IRドロップ(Ω)=ΔV/i
(ΔVは、200サイクル目の放電開始時点と10秒後の電圧の差を示し、iは放電開始後10秒後の時点の放電電流を示す。)
〔実施例2〕
付加成分(c)として、1,9−ノナンジオールを3−オクタノールと共に加えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2の非水電解質を得た。この非水電解質を用いて、電池特性の測定をした結果を表1に示す。
〔実施例3〕
実施例2と同様の操作を行い、実施例3の非水電解質を得た。この非水電解質を用いて、恒温槽内の温度を50度として、電池特性の測定をした結果を表1に示す。
〔実施例4〕
環状カーボネートEC、PCと、鎖状カーボネートDMC、EMCとを、EC、PC、DMC、及びEMCの体積比が10:20:35:35になるように混合したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例4の非水電解質を得た。この非水電解質を用いて、恒温槽内の温度を50度として、電池特性の測定をした結果を表1に示す。
〔実施例5〜7〕
ECとDMCの体積比が30:70になるように混合し、3−オクタノールを加えた後に、添加剤として、FEC、VC、又はPSをさらに加えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例5〜7の非水電解質を得た。この非水電解質を用いて、電池特性の測定をした結果を表1に示す。
〔実施例8〕
ECとDMCの体積比が30:70になるように混合し、3−オクタノールを6.5ppm(0.5×10-4[OH]基数/kg非水電解液)加え、LiPF6の代わりにLiBF4を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例8の非水電解質を得た。この非水電解質を用いて、電池特性の測定をした結果を表1に示す。
〔実施例9〕
ECとDMCの体積比が30:70になるように混合し、LiPF6(1mol/L)の代わりにLiPF6(0.8mol/L)及びLiBF4(0.2mol/L)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例9の非水電解質を得た。この非水電解質を用いて、電池特性の測定をした結果を表1に示す。
〔実施例10〕
ECとDMCの体積比が30:70になるように混合し、LiPF6(1mol/L)の代わりにLiPF6(0.8mol/L)及びLiBF4(0.2mol/L)を用い、付加成分(c)として、1,9−ノナンジオールを3−オクタノールと供に加えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例10の非水電解質を得た。この非水電解質を用いて、電池特性の測定をした。結果を表1に示す。
〔実施例11〕
付加成分(c)として2−メトキシエタノールを100ppm(OH数8.7×10-4/kg)用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例11の非水電解質を得た。この非水電解質を用いて、恒温槽内の温度を50度として、電池特性の測定をした結果を表1に示す。
〔比較例1〕
3−オクタノールを加えなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1の非水電解質を得た。この非水電解質を用いて、電池特性の測定をした。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
3−オクタノールを加えず、代わりに1,9−ノナンジオールを加えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例2の非水電解質を得た。この非水電解質を用いて、電池特性の測定をした。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
3−オクタノールを1500ppm(115.4×10-4[OH]基数/kg非水電解液)加えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例3の非水電解質を得た。この非水電解質を用いて、電池特性の測定をした。結果を表1に示す。
〔比較例4〕
3−オクタノールを1ppm(0.08×10-4[OH]基数/kg非水電解液)加え、1,9−ノナンジオールを加えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例4の非水電解質を得た。この非水電解質を用いて、電池特性の測定をした。結果を表1に示す。
〔比較例5〕
3−オクタノールを加えず、代わりにメタノールを加えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例5の非水電解質を得た。この非水電解質を用いて、電池特性の測定をした。結果を表1に示す。
〔比較例6〕
比較例3と同様の操作を行い、比較例6の非水電解質を得た。この非水電解質を用いて、恒温槽内の温度を50度として、電池特性の測定をした結果を表1に示す。
〔比較例7〕
比較例4と同様の操作を行い、比較例7の非水電解質を得た。この非水電解質を用いて、恒温槽内の温度を50度として、電池特性の測定をした結果を表1に示す。
〔実施例12〕
実施例12の非水電解液の調製は、露点が−80℃以下となるように管理されたアルゴングローブボックス内で行った。ECとEMCとを体積比が10:20になるように混合し、室温にて溶解した。溶解後しばらく静置して室温になるまで待ち、1mol/LとなるようにLiPF6を溶解し、非水電解液を調製した。LiPF6の投入は数回に分けて行い、温度上昇が著しく高くならないようにした。その後、非水電解液に対して25ppmの1,9−ノナンジオールと、35ppmの3−オクタノールとを溶解した。上記のようにして作製した非水電解液を用いて、実施例1と同様の操作を行い、小型電池を得た。
<電池性能評価>
得られた小型電池を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、商品名「PLM−73S」)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、商品名「ACD−01」)に接続し、20時間静置した。次いで、その電池を0.2Cの定電流で充電し、4.4Vに到達した後、4.4Vの定電圧で5時間充電し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。その後、50℃に設定した恒温槽中で、その電池を1.0Cの定電流で4.4Vまで充電し、1.0Cの定電流で3.0Vまで放電した。この一連の充放電を1サイクルとし、更に99サイクル充放電を繰り返し、全体で100サイクルのサイクル充放電を行った。1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の値から放電容量維持率を測定した。結果を表1に示す。
〔比較例8〕
1,9−ノナンジオールと3−オクタノールとを用いないこと以外は、実施例12と同様の操作を行い、比較例8の非水電解液を調製した。この非水電解液を用いて、実施例12と同様の操作により電池性能評価を行なった。結果を表1に示す。
〔実施例13〕
実施例12と同様の操作により実施例13の非水電解液を作製した。この非水電解液を用いて、以下のようにして小型電池を作製した。
<正極活物質の合成>
(LiNi0.5Mn1.54の合成)
遷移金属元素のモル比として1:3の割合となる量の硫酸ニッケルと硫酸マンガンとを水に溶解し、金属イオン濃度の総和が2mol/Lになるようにニッケル−マンガン混合水溶液を調製した。次いで、このニッケル−マンガン混合水溶液を、70℃に加温した濃度2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液3000mL中に、12.5mL/minの添加速度で120分間滴下した。なお、滴下中は、攪拌の下、200mL/minの流量の空気を水溶液中にバブリングしながら吹き込んだ。これにより、析出物質が発生し、得られた析出物質を蒸留水で十分洗浄し、乾燥して、ニッケルマンガン化合物を得た。得られたニッケルマンガン化合物と粒径2μmの炭酸リチウムとを、リチウム:ニッケル:マンガンのモル比が1:0.5:1.5になるように秤量し、1時間乾式混合した後、得られた混合物を酸素雰囲気下において1000℃で5時間焼成し、LiNi0.5Mn1.54で表される正極活物質を得た。
上述のようにして得られた正極活物質と、導電助剤としてグラファイトの粉末(TIMCAL社製、商品名「KS−6」)とアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製、商品名「HS−100」)と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン溶液(クレハ社製、商品名「L#7208」)とを、固形分比で80:5:5:10の質量比で混合した。得られた混合物に、分散溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを固形分35質量%となるように投入して更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて正極を得た。
<負極の作製>
負極活物質としてグラファイト粉末(大阪ガスケミカル社製、商品名「OMAC1.2H/SS」)及び別のグラファイト粉末(TIMCAL社製、商品名「SFG6」)と、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース水溶液とを、90:10:1.5:1.8の固形分質量比で混合した。得られた混合物を、固形分濃度が45質量%となるように、分散溶媒としての水に添加して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて負極を得た。
<電池の作製>
上述のようにして作製した正極と負極とをポリプロピレンからなるセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、SUS製の円盤型電池ケースに挿入した。次いで、その電池ケース内に上記のように作製した実施例13の非水電解液を0.5mL注入して、積層体を非水電解液に浸漬した後、電池ケースを密閉して非水系二次電池(小型電池)を作製した。これを25℃で24時間保持し、積層体に非水電解液を十分馴染ませることにより、1C=3mAとなる小型電池を得た。
<電池性能評価>
得られた小型電池を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、商品名「PLM−73S」)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、商品名「ACD−01」)に接続し、20時間静置した。次いで、その電池を0.2Cの定電流で充電し、4.9Vに到達した後、4.9Vの定電圧で8時間充電し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。その後、50℃に設定した恒温槽中で、その電池を1.0Cの定電流で4.9Vまで充電し、1.0Cの定電流で3.0Vまで放電した。この一連の充放電を1サイクルとし、更に29サイクル充放電を繰り返し、全体で30サイクルのサイクル充放電を行った。1サイクル目の放電容量に対する30サイクル目の放電容量の値から放電容量維持率を測定した。
〔比較例9〕
比較例8と同様の操作を行い、比較例9の非水電解液を作製した。この非水電解液を用いて、実施例13と同様の操作により電池性能評価を行なった。結果を表1に示す。
Figure 2014170624
表1に電解液の組成、及びサイクル試験による電池容量評価の結果を示す。表1に示すように、充電電位4.2Vの条件においては、25℃における200サイクル後の容量維持率は87%以上、50℃における200サイクル後の容量維持率は65%以上であることが好ましい。この点において、実施例1〜10に示すように本発明の電解液を用いた場合は、いずれの組成においても十分な容量維持率及びIRドロップを示した。
具体的には、付加成分(b)を含まない比較例1に比べて実施例1は、容量維持率が良いことが分かった。また、付加成分(b)の代わりに付加成分(c)を含む比較例2に比べて実施例1は、容量維持率とIRドロップが良いことが分かった。さらに、付加成分(b)が多い比較例3に比べて実施例1は、容量維持率とIRドロップが良いことが分かった。またさらに、付加成分(b)が少ない比較例4に比べて実施例1は、容量維持率が良いことが分かった。
なお、実施例1と比較例2の比較では充電電圧4.2Vにおける本発明の効果を示しているが、実施例12と比較例8の比較では、充電電圧4.4V、実施例13と比較例9の比較では、充電電圧4.9Vにおけるそれぞれの効果を示す。このように、本発明の非水電解液は一般的なリチウム二次電池の充電電位である約4.2Vに止まらず、さらに高い充電電位を採用したリチウム二次電池においても電池容量の減少を低減でき、電池の寿命を延ばすことができることが示された。
また、容量維持率が高いことにより、本発明の非水電解液であれば、分解しにくく、電池の寿命を延ばすことができることが示され、電解液の品質が維持されることが示された。さらに、IRドロップが良いことにより、本発明の非水電解液であれば、良好な被膜が維持されることが示され、二次電池の性能が維持されることが示された。
本発明によれば、アルコール化合物を適量添加した特殊な電解液を用いることにより、電解液の品質を低下させることなく、電池のサイクル寿命を延ばすことができる、非水電解質として産業上の利用可能性を有する。

Claims (10)

  1. 非水溶媒と、リチウム含有塩を含む支持電解質と、を含む非水電解液であって、
    前記非水溶媒は、主成分(a)と付加成分(b)とを含み、
    前記主成分(a)は、環状の非プロトン性溶媒と鎖状の非プロトン性溶媒との混合物であり、
    前記付加成分(b)は、分子内に水酸基を1個有する、炭素数が3個以上のアルコールであり、前記付加成分(b)の含有量は、前記水酸基の量として5×10-5〜0.010[OH]基数/kg非水電解液である、非水電解液。
  2. 前記主成分(a)において、前記環状の非プロトン性溶媒と前記鎖状の非プロトン性溶媒との質量比が、1:99〜99:1である、請求項1に記載の非水電解液。
  3. 付加成分(c)をさらに含み、
    前記付加成分(c)は、分子内に水酸基を2個以上有する、炭素数が4個以上のアルコールであり、前記付加成分(c)の含有量は、前記水酸基の量として4×10-5〜0.015[OH]基数/kg非水電解液である、請求項1又は2に記載の非水電解液。
  4. 前記付加成分(b)及び/又は前記付加成分(c)は、分子内にエステル結合、カーボネート結合、又はエーテル結合をさらに有するアルコールである、請求項3に記載の非水電解液。
  5. 前記環状の非プロトン性溶媒が環状カーボネートであり、前記鎖状の非プロトン性溶媒が鎖状カーボネートである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解液。
  6. 前記環状の非プロトン性溶媒が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、及びフルオロエチレンカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の環状カーボネートを含み、
    前記鎖状の非プロトン性溶媒が、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、及びエチルブチルカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の鎖状カーボネートを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解液。
  7. 前記支持電解質が、LiPF6及びLiBF4からなる群より選ばれる少なくとも1種のリチウム含有塩を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水電解液。
  8. フッ酸を0.5〜140ppmさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水電解液。
  9. 環状スルホン酸化合物を0.1〜5質量%さらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水電解液。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の非水電解液を含む、リチウム二次電池。
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