JP2014166693A - 複合成形体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属成形体10がレーザー光の照射により接合面12に形成された細孔31からなる細孔群を有している。細孔31は、開口部から底面までの間の内径が均一ではなく、かつ開口部から底面までの間に最小内径部分を有している。複合成形体は金属成形体10が有している細孔31内に樹脂20が入り込んだ状態で接合されている。
【選択図】図1
Description
しかしながら、金属成形体と樹脂成形体を工業的に有利な方法で、かつ高い接合強度で接合一体化できる技術は実用化されていない。
特許文献2には、特許文献1の発明において、さらに複数回重畳的にレーザースキャニングするレーザー加工方法の発明が開示されている。
さらにクロス方向へのレーザースキャンにより十分な表面粗し処理ができることから、接合強度は高くできることが考えられるが、表面粗さ状態が均一にならず、金属と樹脂との接合部分の強度の方向性が安定しないおそれがあるという問題がある。
例えば、1つの接合体はX軸方向への剪断力や引張強度が最も高いが、他の接合体は、X軸方向とは異なるY軸方向への剪断力や引張強度が最も高く、さらに別の接合体は、X軸およびY軸方向とは異なるZ軸方向への剪断力や引張強度が最も高くなるという問題が発生するおそれがある。
製品によっては(例えば、一方向への回転体部品や一方向への往復運動部品)、特定方向への高い接合強度を有する金属と樹脂の複合体が求められる場合があるが、特許文献1、2の発明では前記の要望には十分に応えることができない。
実施形態1〜3では、金属長尺コイル表面にレーザー照射して凹凸を形成することが記載されている。そして、段落番号10では、金属長尺コイル表面をストライプ状や梨地状に荒らすこと、段落番号19では、金属長尺コイル表面をストライプ状、点線状、波線状、ローレット状、梨地状に荒らすることが記載されている。
しかし、段落番号21、22の発明の効果に記載されているとおり、レーザー照射をする目的は、金属表面に微細で不規則な凹凸を形成し、それによりアンカー効果を高めるためである。特に処理対象が金属長尺コイルであることから、どのような凹凸を形成した場合でも、必然的に微細で不規則な凹凸になるものと考えられる。
よって、特許文献3の発明は、特許文献1、2の発明のようにクロス方向にレーザー照射して表面に微細な凹凸を形成する発明と同じ技術的思想を開示しているものである。
前記金属成形体が、レーザー光の照射により接合面に形成された細孔の組み合わせからなる細孔群を有しており、
前記細孔が、開口部から底面までの間の内径が均一ではなく、かつ開口部から底面までの間に最小内径部分を有しているものであり、
前記複合成形体が、前記金属成形体が有している細孔群内に樹脂が入り込んだ状態で接合されている複合成形体と、その製造方法を提供する。
金属成形体と樹脂成形体が接合された複合成形体であって、
前記金属成形体が、レーザー光の照射により接合面に形成された溝を有しており、
前記溝が、開口部から底面までの間の幅が均一ではなく、かつ開口部から底面までの間に最小幅部分を有しているものであり、
前記複合成形体が、前記金属成形体が有している溝内に樹脂が入り込んだ状態で接合されている複合成形体と、その製造方法を提供する。
(1)図1の複合成形体
図1の複合成形体1は、平板の金属成形体10と平板の樹脂成形体20が接合されて一体化されたものである。図1では、小さな円で囲んだ部分を拡大した拡大図も合わせて示している。
接合一体化される前の平板の金属成形体10の接合面12は、図1、図4(a)に示すように、レーザー光の照射により形成された独立した細孔31の組み合わせからなる細孔群30を有している。
図5に示すように、細孔31は、開口部32から底面33までの間の内径が均一ではなく、大きくなったり、小さくなったりしている。
細孔31は、開口部32から底面33までの間に最小内径部分(くびれ部分)34を有しており、開口部32の内径(D1)、最小内径部分(くびれ部分)34の内径(D2)、最小内径部分34から底面33までの最大内径部分の内径(D3)の関係においては、D1>D2およびD3>D2を満たしている。
図6(b)は、図4とは異なる断面形状の細孔31を示している。図6(a)の細孔31は、開口部32の内径D1、最小内径部分(くびれ部分)34の内径(D2)、最小内径部分34から底面33までの最大内径部分の内径(D3)の関係において、D3>D1>D2の関係を満たしている。
ここでD1=D3であってもよい。
このとき、図1、図5、図6に示すように、細孔31は最小内径部分(内径D2のくびれ部分)34を有しており、熱可塑性樹脂は最小内径部分34を超えて底面33にまで入り込んだ状態なる。なお、図6(a)、図6(b)に示す異なる断面形状の細孔31が混在されていてもよい。
このため、図1において、開口部32方向に引っ張られるような力が加えられたときでも、最小内径部分34から底面33までの空間35(内径D3部分を含んでいる)に存在する熱可塑性樹脂は、くびれ部分である最小内径部分34を通過し難いため、前記の引張力に対する抗力を発生させることになり、高い接合強度が発現されることになる。
溝群40を形成する溝41は、図5、図6に示すような厚さ方向への断面形状をしている。
図5に示すように、溝41は、開口部42から底面43までの間の幅が均一ではなく、大きくなったり、小さくなったりしている。
溝41は、開口部42から底面43までの間に最小幅部分(くびれ部分)44を有しており、開口部42の内径(W1)、最小幅部分(くびれ部分)44の幅(W2)、最小幅部分44から底面43までの最大幅部分の幅(W3)の関係においては、W1>W2およびW3>W2を満たしている。
図6(b)は、図4とは異なる断面形状の溝41を示している。図6(a)の溝41は、開口部42の幅W1、最小幅部分(くびれ部分)44の幅(W2)、最小幅部分44から底面43までの最大幅部分の幅(W3)の関係において、W3>W1>W2の関係を満たしている。
ここでW1=W3であってもよい。
このとき、図1、図5に示すように、溝41は最小幅部分(内径W2のくびれ部分)44を有しており、熱可塑性樹脂は最小幅部分44を超えて底面43にまで入り込んだ状態なる。なお、図6(a)、図6(b)に示す断面形状の溝41が混在されていてもよい。
このため、図1において、開口部42方向に引っ張られるような力が加えられたときでも、最小幅部分44から底面43までの空間45(幅W3部分を含んでいる)に存在する熱可塑性樹脂は、くびれ部分である最小幅部分44を通過し難いため、前記の引張力に対する抗力を発生させることになり、高い接合強度が発現されることになる。
図2の複合成形体1は、平板の金属成形体10と平板の樹脂成形体20が接合されて一体化されたものである。図2では、小さな円で囲んだ部分を拡大した拡大図も合わせて示している。
接合一体化される前の平板の金属成形体10の接合面12は、図4(a)に示すように、レーザー光の照射により形成された独立した細孔31の組み合わせからなる細孔群30を有しており、さらに図7に示すように細孔群30(細孔31)の開口部32の周囲の全体または一部に形成された突起群(突起)50を有している。
図2に示す複合成形体1は、金属成形体10が有している細孔群30(細孔31)内に樹脂が入り込み、さらに突起群50が樹脂に埋設された状態で接合されている。
溝群40は、レーザー光の照射により形成された独立した溝41の組み合わせからなるものであり、さらに溝群40(溝41)の開口部の両側辺の面上に形成された突起群(突起)50を有している。
複合成形体1は、金属成形体10が有している溝群40(溝41)内に樹脂が入り込み、さらに図7に示すような突起群50が樹脂に埋設された状態で接合されている。
複合成形体は、図1に示す平板同士の接合体に代えて、図3に示すように、丸棒の金属成形体10と丸棒の樹脂成形体20が接合されて一体化されたものにすることができる。
図3の複合成形体1は、接合一体化される前の丸棒の金属成形体10の接合面12において、図4、図5、図6に示すような細孔群30(細孔31)と溝群40(溝41)の一方または両方が形成されたものを使用する。
また図4、図7に示すような細孔群30(細孔31)と突起群50、溝群40(溝41)と突起群50の一方または両方が形成されたものを使用する。
なお、図3の複合成形体1の場合には、実施例に記載の引張試験に準じて測定することができる。
即ち、図3の複合成形体1において、金属成形体10の端部を固定した後、実施例に記載の所定条件にて、金属成形体10と樹脂成形体20の中心軸方向(図14のX1方向に相当する)に引っ張って測定する。
次に図1に示す複合成形体1の製造方法を説明する。
接合一体化される前の金属成形体10の接合面12に対してレーザー光を照射して、図4(a)、(b)に示すように多数の細孔31からなる細孔群30、または多数の溝41からなる溝群40を形成する。
なお、図4(b)では、独立した溝41が複数形成されているが、全体として連続した一続きの溝41(例えば、図8(c)、(d)のような溝)を形成することもできる。この場合には、溝群40は複数の溝41の組み合わせからなるものではなく、一続きの溝41からなるものになる。
接合一体化される前の金属成形体10の接合面12に細孔群30または溝群40を形成するときは、細孔31または溝41はランダムに形成することもできるし、規則性を持つように形成することもできる。
接合一体化される前の金属成形体10の接合面12に細孔群30(細孔31)または溝群40(溝41)を形成するときは、接合面12の全体に形成することもできるし、目的とする接合強度が得られるのであれば、接合面12の一部に形成することもできる。
(a)ショット数が20以上であること、
(b)深さが50μm以上であること、
(c)深さ(F)と開口部の内径(D1)との比率(F/D1)が1〜10の範囲であること、
の(a)〜(c)の要件を満たすようにして1つの細孔31を形成し、これを繰り返して細孔群30を形成する。
(a)ショット数が20以上であること、
(b)深さが50μm以上であること、
(c)深さ(F)と開口部の内径(D1)との比率(F/D1)が1〜10の範囲であること、
の(a)〜(c)の要件を満たすようにして1つの細孔を形成し、前記細孔を連続的に形成して溝41を形成し、これを繰り返して溝群40を形成する。
要件(b)である全スキャン後の細孔または溝の深さ(F)は、50μm以上であり、好ましくは50〜800μm、より好ましくは50〜500μmになるようにする。
但し、1スキャン(1ショット)のレーザー光照射で形成される(穿孔される)細孔または溝の深さが2〜200μmになるようにすることが好ましい。
要件(c)であるF/D1は1〜10の範囲であり、好ましくは1〜7である。
出力は4〜4000Wが好ましい。
波長は300〜1200nmが好ましく、500〜1070nmがより好ましい。
1スキャンのパルス幅(1スキャンのレーザー光の照射時間)は、1〜10,000nsecが好ましく、1〜1000nsecがより好ましく、1〜100nsecがさらに好ましい。
周波数は1〜100kHzが好ましい。
ビーム径(レーザースポット径)は5〜200μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、5〜50μmがさらに好ましい。
焦点位置は-10〜+10mmが好ましく、−6〜+6mmがより好ましい。
加工速度は1〜10,000mm/secが好ましく、100〜10,000m/secがより好ましく、300〜10,000mm/secがさらに好ましい。
上記した条件にて図5、図6に示すような断面形状の細孔31または溝41が形成できる詳細は不明であるが、次のようなものであると考えられる。細孔31を形成する場合について説明する。
金属成形体の表面にレーザー照射して孔を形成するとき、特定ポイントにレーザーを繰り返し照射することで徐々に孔が深くなっていくが、その過程で孔の内部には熱が発生する。
細孔の深さが浅いときは細孔内部の熱は開口部から放出されるが、細孔が次第に深くなっていくと、細孔内部(特に細孔の底部付近)の熱は開口部から放出され難くなり、内部に滞留する。
そして、レーザーの照射回数(1つの細孔を形成するためのレーザーのショット数)が多くなるほど、細孔内部(特に細孔の底部付近)において熱が滞留し易くなる。
このため、細孔の底部付近に滞留する熱の作用により、細孔の底部付近の周囲がえぐられるように溶融する結果、図5、図6に示すように、空間35(D3を含む)が形成され、最小内径部分(くびれ部分;D2)34が形成されるものと考えられる。
よって、要件(a)のショット数と要件(b)の細孔の深さを調整して、細孔の底部付近に熱が滞留し易くすることで、図5、図6に示す断面形状の細孔31または溝41が形成できるようになるものと考えられる。
また開口部径が大きいと細孔内部の熱が放出され易くなり、開口部径が小さくても細孔が浅いと細孔内部の熱が放出され易くなる。
このため、要件(c)の細孔の深さ(F)と細孔の開口部31の内径(D1)との比率(F/D1)を1〜10の範囲にすることで、開口部32から熱が放出し難くなり、細孔31の底部付近に熱が滞留し易くなるため、図5、図6に示す断面形状の細孔31または溝41が形成できるようになる。
図2に示す複合成形体1の製造方法は、上記した図1に示す複合成形体1の製造方法と基本的には同じであるが、細孔(または溝)の開口部の周囲の全部または一部に図2、図7に示すような突起50を形成するための条件が異なる。
突起50は、例えば細孔31を形成したときに溶融した金属が内部からせり上がってきて、開口部32の周縁にバリ状に固着した状態になることで形成されるものと考えられる。
このため、図5、図6に示すような細孔31を形成するときと比べると、D1の大きさは同程度であるが、D2とD3を小さくすることで、溶融金属がせり上がりやすくするようにすると共に、溶融金属量を増大させるためにF/D1も大きめにする。
例えば、多数の細孔31を均等間隔で分散させること、多数の細孔31で所望パターンが形成されるようにすることができる。
図8(a)〜(e)は、間隔をおいて同一方向または異なる方向に対して直線状に形成された複数の溝からなる溝群のパターンである。
図8(f)は、間隔をおいて曲線状に形成された複数の溝(波線状の溝)からなる溝群のパターンである。
溝群は、直線状の溝と曲線状の溝を組み合わせたものでもよい。
図8(g)、(h)は、間隔をおいて形成された円形の溝が複数組み合わされたもの(複数の同心円を組み合わせたもの)からなる溝群のパターンである。
図8(g)、(h)に示す円に代えて複数の多角形を組み合わせた溝群でもよいし、円と多角形を組み合わせた溝群でもよい。
このインサート成形工程によって、図1または図2に示すように、細孔31(細孔群30)または溝41(溝群40)内に樹脂が入り込んだ状態の複合成形体1が得られる。
このように金属成形体10がくびれ部分(最小内径部分)がある細孔群30または溝群40を有していることから、細孔群30または溝群40内に樹脂が入り込むことによって、接合強度が高められる。
さらに細孔群30の配置状態を調整したり、溝群40の形成パターンを調整したりすることで、所望方向への引張強度や曲げ強度が高められた複合成形体を得ることができるようになる。
本発明の複合成形体で使用する金属成形体の成形方法は特に制限されるものではなく、金属の種類に応じて公知の各種成形法を適用して製造することができものであり、例えばダイカスト法で製造したものを使用することができる。
公知の繊維状充填材としては、炭素繊維、無機繊維、金属繊維、有機繊維等を挙げることができる。
炭素繊維は周知のものであり、PAN系、ピッチ系、レーヨン系、リグニン系等のものを用いることができる。
無機繊維としては、ガラス繊維、玄武岩繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維等を挙げることができる。
金属繊維としては、ステンレス、アルミニウム、銅等からなる繊維を挙げることができる。
有機繊維としては、ポリアミド繊維(全芳香族ポリアミド繊維、ジアミンとジカルボン酸のいずれか一方が芳香族化合物である半芳香族ポリアミド繊維、脂肪族ポリアミド繊維)、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリエステル繊維(全芳香族ポリエステル繊維を含む)、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリイミド繊維、液晶ポリエステル繊維などの合成繊維や天然繊維(セルロース系繊維など)や再生セルロース(レーヨン)繊維などを用いることができる。
が、これらの中でも、例えば金属成形体10の接合面11に対して形成されるマーキングパターンの幅(細孔の開口部の大きさ、または溝の幅)より小さな繊維径のものを使用することが好ましい。繊維径は、より望ましくは5〜30μm、さらに望ましくは7〜20μmである。
このようなマーキングパターンの幅より小さな繊維径の繊維状充填材を使用したときには、金属成形体のマーキングパターン内に繊維状充填材の一部が入り込んだ状態の複合成形体が得られ、金属成形体と樹脂成形体の接合強度が高められるので好ましい。
さらにこれらの繊維状充填材は、樹脂成形体の機械的強度を高め、金属成形体との機械的強度差を小さくすることで金属成形体と樹脂成形体との接合強度を高めるため、成形後の樹脂成形体中に含まれる重量平均繊維長が、好ましくは0.1〜5.0mm、より好ましくは0.1〜4.0mm、さらに好ましくは0.2〜3.0mm、もっとも好ましくは0.5〜2.5mmにできるような長さのものを製造原料として使用することが好ましい。 熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー100質量部に対する繊維状充填材の配合量は5〜250質量部が好ましい。より望ましくは、25〜200質量部、さらに望ましくは45〜150質量部である。
図9に示す金属成形体(アルミニウム:A5052)の接合面12に対して、表1に示す条件でレーザー照射して、図9に示すような状態の多数の細孔31(細孔群30)を形成した。レーザー発振器はYAGレーザー(Navigator1064-6YC)を使用した。
上記のようにして金属成形体に細孔群を形成した後、下記の方法でインサート成形して、実施例1の複合成形体を得た。
図9に示す金属成形体(アルミニウム:A5052)の接合面12に対して、表1に示す下記の条件でレーザー照射して、図9に示すような状態の多数の細孔31(細孔群30)を形成した。レーザー発振器はファイバーレーザー(IPG製 YLP-1-50-30-30RA)を使用した。
上記のようにして金属成形体に細孔群を形成した後、下記の方法でインサート成形して、実施例2の複合成形体を得た。
図9に示す金属成形体(アルミニウム:A5052)の接合面12に対して、表1に示す条件でレーザー照射して、図9に示すような状態の多数の細孔31(細孔群30)を形成した。レーザー発振器はファイバーレーザー(IPG製 YLP-1-50-30-30RA)を使用した。
上記のようにして金属成形体に細孔群を形成した後、下記の方法でインサート成形して、比較例1の複合成形体を得た。
図9に示す金属成形体(アルミニウム:A5052)の接合面12に対して、表1に示す条件でレーザー照射して、図9に示すような状態の多数の細孔31(細孔群30)を形成した。レーザー発振器はファイバーレーザー(IPG製 YLP-1-50-30-30RA)を使用した。
上記のようにして金属成形体に細孔群を形成した後、下記の方法でインサート成形して、比較例2の複合成形体を得た。
得られた複合成形体における金属成形体と樹脂成形体の下記試験による接合強度は、15MPaであった。
樹脂:GF60%強化PA66樹脂(プラストロンPA66−GF60−01(L7):ダイセルポリマー(株)製),ガラス繊維の繊維長:11mm
樹脂温度:320℃
金型温度:100℃
射出成形機:FUNAC ROBOSHOT S−2000i−100B
実施例および比較例の複合成形体を用い、引張試験を行って接合強度を評価した。結果を表1に示す。
なお、複合成形体の樹脂成形体中のガラス繊維の繊維長(重量平均繊維長)は0.85mmであった。平均繊維長は、成形品から約3gの試料を切出し、650℃で加熱・灰化させてガラス繊維を取り出した。取り出した繊維の一部(500本)から重量平均繊維長を求めた。計算式は、特開2006−274061号公報の〔0044〕、〔0045〕を使用した。
引張試験は、金属成形体側の端部を固定した状態で、金属成形体と樹脂成形体が破断するまで図14に示すX1方向に引っ張った場合の最大荷重を測定した。
<引張試験条件>
試験機:テンシロンUCT−1T
引張速度:5mm/min
チャック間距離:50mm
10 金属成形体
12 接合面
20 樹脂成形体
Claims (10)
- 金属成形体と樹脂成形体が接合された複合成形体であって、
前記金属成形体が、レーザー光の照射により接合面に形成された細孔の組み合わせからなる細孔群を有しており、
前記細孔が、開口部から底面までの間の内径が均一ではなく、かつ開口部から底面までの間に最小内径部分を有しているものであり、
前記複合成形体が、前記金属成形体が有している細孔群内に樹脂が入り込んだ状態で接合されている複合成形体。 - 前記細孔が、開口部の内径(D1)、最小内径部分の内径(D2)、最小内径部分から底面までの最大内径部分の内径(D3)の関係において、D1>D2およびD3>D2を満たしている、請求項1記載の複合成形体。
- 前記細孔が、開口部の内径(D1)、最小内径部分の内径(D2)、最小内径部分から底面までの最大内径部分の内径(D3)の関係において、D1>D2およびD3>D2であり、かつD1≧D3またはD1≦D3の関係を満たしている、請求項1記載の複合成形体。
- 金属成形体と樹脂成形体が接合された複合成形体であって、
前記金属成形体が、レーザー光の照射により接合面に形成された溝を有しており、
前記溝が、開口部から底面までの間の幅が均一ではなく、かつ開口部から底面までの間に最小幅部分を有しているものであり、
前記複合成形体が、前記金属成形体が有している溝内に樹脂が入り込んだ状態で接合されている複合成形体。 - 前記溝が、開口部の幅(W1)、最小幅部分の幅(W2)、最小幅部分から底面までの最大幅部分の幅(W3)の関係において、W1>W2およびW3>W2を満たしている、請求項1記載の複合成形体。
- 前記溝が、開口部の幅(W1)、最小幅部分の幅(W2)、最小幅部分から底面までの最大幅部分の幅(W3)の関係において、W1>W2およびW3>W2であり、かつW1≧W3またはW1≦W3の関係を満たしている、請求項1記載の複合成形体。
- 前記金属成形体の接合面が平面または曲面である、請求項1〜6のいずれか1項記載の複合成形体。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の金属成形体と樹脂成形体が接合された複合成形体の製造方法であって、
前記金属成形体の接合面に対してレーザー光を照射して細孔群を形成するとき、
(a)ショット数が20以上であること、
(b)深さが50μm以上であること、
(c)深さ(F)と開口部の内径(D1)との比率(F/D1)が1〜10の範囲であること、
の(a)〜(c)の要件を満たすようにして1つの細孔を形成し、これを繰り返して細孔群を形成する工程、
前記細孔群が形成された金属成形体の接合面を含む部分を金型内に配置して、前記樹脂成形体となる樹脂インサート成形する工程を有している、複合成形体の製造方法。 - 請求項4〜6のいずれか1項記載の金属成形体と樹脂成形体が接合された複合成形体の製造方法であって、
前記金属成形体の接合面に対してレーザー光を照射して溝群を形成するとき、
(a)ショット数が20以上であること、
(b)深さが50μm以上であること、
(c)深さ(F)と開口部の内径(D1)との比率(F/D1)が1〜10の範囲であること、
の(a)〜(c)の要件を満たすようにして1つの細孔を形成し、前記細孔を連続的に形成して溝を形成し、これを繰り返して溝群を形成する工程、
前記溝が形成された金属成形体の接合面を含む部分を金型内に配置して、前記樹脂成形体となる樹脂インサート成形する工程を有している、複合成形体の製造方法。 - 前記金属成形体の接合面が平面または曲面である、請求項8または9記載の複合成形体の製造方法。
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