JP2014166102A - 平角線の巻線構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】奇数層の平角線12は、バックヨーク10から鍔部34に向かって巻回されると共に、偶数層の平角線12は、鍔部34からバックヨーク10に向かって巻回され、各層のスロット60へ平角線12が巻き始められる位置をそれぞれ始線位置とし、各層の巻胴部37を中心にして始線位置とは線対称の位置をそれぞれ終線位置としたとき、奇数層の終線位置に平角線12一本分の空きスペースが形成されるように、平角線12を多層に巻回してコイル8を形成する。
【選択図】図5
Description
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、ブラシレスモータ1の断面図、図2は、ステータ3の斜視図である。
図1、図2に示すように、ブラシレスモータ1は、ヨークハウジング2に圧入されたステータ3と、ステータ3に対して回転自在に設けられたロータ4とを有し、例えば、電動パワーステアリング(EPS;Electric Power Steering)の電動機として用いられるものである。
ヨークハウジング2は、略有底円筒形状を有し、筒状部分の内周にステータ3が圧入されている。ヨークハウジング2のエンド部(底部)2Aは、径方向中央部に軸受5を圧入してある。この軸受5には、ロータ4の回転軸6の一端側が回転自在に支持されている。ヨークハウジング2の開口部は、ブラケット7で閉鎖されている。
ロータ4は、回転軸6に不図示のロータコアが圧入固定されており、このロータコアの外周面に設けられた複数の永久磁石13と、回転軸6に圧入固定された位置検出用のレゾルバ14を構成するレゾルバロータ14Aとから構成されている。永久磁石13は、周方向に磁極が順番に変わるように配置されている。
さらに、レゾルバ14を構成するレゾルバステータ14Bがレゾルバロータ14Aの位置に合わせて固定されており、回転軸6と一体に回転するレゾルバロータ14Aの回転位置を検出可能になっている。
ここで、バックヨーク10は、周方向に分割可能な分割コア方式が用いられている。すなわち、バックヨーク10は、周方向に複数に分割された分割コア30を環状に連結して構成されている。
同図に示すように、分割コア30は、例えば金属板を複数積層してなるものであって、周方向に延びるコア本体31を有している。コア本体31は、分割コア30を環状に連結したときにバックヨーク10の環状の磁路を形成する部分であり、且つヨークハウジング2の内周面に固定される部分であって、断面略円弧状に形成されている。
また、コア本体31の内周面31Aには、周方向略中央部からティース33が径方向内側(回転中心側)に向かって突出形成されている。ティース33は、径方向に沿って延びる巻胴部37と、巻胴部37の径方向内側の端部、つまり、巻胴部37の先端部に一体形成され、周方向両側に沿って延びる鍔部34とにより構成されている。
図4は、分割コア30に平角線12を巻回した状態を示す斜視図、図5は、図4のB−B線に沿う断面図である。
図3〜図5に示すように、インシュレータ11は、第1インシュレータ11aと第2インシュレータ11bとからなり、ティース33を分割コア30の長さ方向(軸方向)の両方の端部30A,30Bから挟み込むように装着されている。各インシュレータ11a,11bは、ティース33のスロット60に面する部位、及びティース33の端部30A(端部30B)とを被覆するインシュレータ本体40と、インシュレータ本体40におけるティース33の端部30A(端部30B)に対応する部位から軸方向に沿って立設する外壁部41A及び内壁部41Bとが一体成形されたものである。
また、一対のインシュレータ11のうち、分割コア30の軸方向一端部30A側(図3、図4における上端側)に装着された第1インシュレータ11aの外壁部41Aには、ティース33に巻回されている平角線12の巻き始め端部12Aと巻き終わり端部12Bとが引き出されるスリット42A,42Bが形成されている。
次に、図5〜図10に基づいて、平角線12の巻回作業について説明しながら平角線12の巻線構造について説明する。尚、以下の説明において、平角線12に、ティース33に巻回される順番に番号を付して説明する。また、図5〜図10において、ティース33の左側に形成されているスロット60を単に左側のスロット60と称し、ティース33の右側に形成されているスロット60を単に右側のスロット60と称して説明する。
同図に示すように、1層目の平角線12は、1番目の平角線12が左側のスロット60におけるティース33の根元部33A側に挿入される。この後、1番目の平角線12は、右側のスロット60から引き出される。このとき、右側のスロット60におけるティース33の根元部33Aには、ティース33の軸方向一端部30A側に、平角線12の一本分の第1空きスペースS1が形成されるように巻回される(図6(a)参照)。
そして、1番目の平角線12を巻回した後、2番目、3番目、4番目、5番目の平角線12をコア本体31側から鍔部34側に向かって巻回していく。このとき、右側のスロット60には、ティース33の根元部33Aに第1空きスペースS1が形成されているので、5番目の平角線12が4番目の平角線12の上に巻回される。
同図に示すように、2層目の平角線12は、6番目の平角線12が左側のスロット60におけるティース33の鍔部34側に挿入される。そして、鍔部34側からコア本体31側に向かって、6番目、7番目、8番目、9番目、10番目の平角線12を、この順番で巻回していく。ここで、右側のスロット60には、ティース33の根元部33Aに第1空きスペースS1が形成されているので、この第1空きスペースS1に9番目の平角線12が挿入される(図7(a)参照)。
この後、右側のスロット60では、9番目の平角線12の上に10番目の平角線12が巻回された状態になる。また、10番目の平角線12は、インシュレータ11を介してコア本体31の内周面31Aに当接した状態になる。
同図に示すように、3層目の平角線12は、11番目の平角線12が左側のスロット60におけるコア本体31の内周面31A側に挿入される。この後、11番目の平角線12は、右側のスロット60から引き出される。このとき、右側のスロット60におけるコア本体31の内周面31A側には、ティース33の軸方向一端部30A側に、平角線12の一本分の第2空きスペースS2が形成されるように巻回される(図8(a)参照)。この一本分の第2空きスペースS2も、巻線機80に設けられている治具51により形成される。
同図に示すように、4層目の平角線12は、16番目の平角線12が左側のスロット60におけるティース33の鍔部34側に挿入される。そして、鍔部34側からコア本体31側に向かって、16番目、17番目、18番目、19番目の平角線12を、この順番で巻回していく。ここで、右側のスロット60には、コア本体31の内周面31A側に第2空きスペースS2が形成されているので、この第2空きスペースS2に18番目の平角線12が挿入される(図9(a)参照)。
この後、右側のスロット60では、18番目の平角線12の上に19番目の平角線12が巻回された状態になる。また、19番目の平角線12は、インシュレータ11を介してコア本体31の内周面31Aに当接した状態になる。
同図に示すように、5層目の平角線12は、20番目の平角線12が左側のスロット60におけるコア本体31の内周面31A側に挿入される。そして、コア本体31側から鍔部34側に向かって、20番目、21番目の平角線12を、この順番で巻回していく。この後、平角線12の巻き終わり端部12Bを、ティース33の軸方向一端部30A側から引き出し、平角線12の巻回作業が完了する。
このように巻回された平角線12は、各層の最もコア本体31側に配置されているものが、それぞれインシュレータ11を介してコア本体31の内周面31Aに当接されている。
次に、図11、図12に基づいて、平角線12の成形方法について説明する。
図11は、平角線成形装置70の構成図、図12は、平角線12の成形方法の説明図である。
図11、図12に示すように、平角線成形装置70は、断面円形の丸素線71を巻回した巻線リール72と、平角線を形成するための平角線成形ローラ73を備えている。巻線リール72は、回転自在に支持されている。平角線成形ローラ73は、第1ローラ74、第2ローラ75、及び第3ローラ76の3つのローラ74,75,76で構成されている。
この後、第3ローラ76によって仮平角線12Aが所定の厚さに押し潰され、仮平角線12Aから所定の扁平率の平角線12に形成される。つまり、第3ローラ76によって、平角線12の扁平率を決定するようになっている。そして、所定の扁平率に形成された平角線12は、分割コア30のスロット60へと巻回されていく。
次に、図13に基づいて、巻線機80について説明する。
図13は、巻線機80の主要部を示す構成図であって、(a)、(b)は、巻線機80による平角線12の巻回手順について示す。
図13(a)に示すように、巻線機80は、分割コア30のティース33を挟んで両側のスロット60に対してそれぞれ配置されている一対のガイド50a,50bからなるガイド装置50と、ティース33への平角線12の巻回途中に空きスペースS1,S2(図6(a)、図8(a)参照)を形成するための治具51とを有している。
また、アーム52がコア本体31のスロット対向面(スロット外側壁部)36と略平行に延びているので、コア本体31がいわゆるオーバーハングした状態になっていても、スロット60内に平角線12をスムーズに案内することができる。
このような構成のもと、図13(a)に示すように、1層目の平角線12をティース33に巻回するときには、初めに、左側のスロット60において、ガイド50aのアーム52のガイド面53とコア本体31のスロット対向面(スロット外側壁部)36との隙間が、平角線12がガイド面53に沿ってほぼ隙間なく摺動可能な大きさとなるようにする。さらに、1層目の径方向最外側の平角線12をインシュレータ11に接触させて巻回したときに、アーム52の先端部54がこの平角線12の側面の一部を径方向内側から受けるように、ガイド50aを配置する。また、右側のスロット60においては、第1空きスペースS1に対応する位置に、治具51の先端を突出させると共に、ガイド50bのアーム52の先端部54と治具51との隙間が、平角線12の幅寸法と略等しくなるようにガイド50bをセットする。
そして、これを順次繰り返すことにより、平角線12の巻回作業が完了する。
一方、偶数層(2層目と4層目)のガイド50a,50bの動き、及び治具51の動きは、互いに同様になる。
したがって、上述の実施形態によれば、ティース33に平角線12を巻回する際、奇数層である1層目と3層目の右側のスロット60に、それぞれ第1空きスペースS1、第2空きスペースS2を形成し、第1空きスペースS1に、偶数層である2層目における9番目の平角線12を挿入すると共に、第2空きスペースS2に、偶数層である4層目における18番目の平角線12を挿入するようになっているので、スロット60内に無駄なスペースが形成されることを防止でき、平角線12の占積率を効率よく、且つ十分に高めることができる。また、平角線12の平角線の巻崩れを確実に防止できる。
また、第1空きスペースS1及び第2空きスペースS2を形成するにあたって、巻線機80にガイド装置50と治具51を設けている。さらに、この治具51を、分割コア30の軸方向一端部30A上を径方向(X方向)に沿ってスライド自在としている。このため、効率よく、確実に空きスペースS1,S2を形成しつつ、これら空きスペースS1,S2に偶数層に巻回される平角線12を挿入させることができる。
例えば、上述の実施形態では、平角線12の巻線層の数を5層としたが、これに限るものではなく、4層以下であってもよいし、6層以上であってもよい。また、各層における平角線12の巻回数も前述した実施形態のものに限るものではない。要するに、スロット60の形状、大きさに応じて層数も巻回数も適宜設定されるものである。
3 ステータ
8 コイル
10 バックヨーク
12 平角線
22 バスバーユニット
30 分割コア
31 コア本体
33 ティース
34 鍔部
37 巻胴部
50 ガイド装置
51 治具
60 スロット
E11,E21 始線位置
E12,E22 終線位置
S1 第1空きスペース(空きスペース)
S2 第2空きスペース(空きスペース)
Claims (6)
- 周方向に沿って延在するコア本体を構成するバックヨークと、
このバックヨークから径方向に沿って延出する複数の巻胴部と、
これら巻胴部の先端から周方向に沿って延在する鍔部とを備え、
前記バックヨークと前記巻胴部と前記鍔部とに囲まれて形成されるスロットに平角線を多層に巻回してコイルが形成される平角線の巻線構造であって、
奇数層の前記平角線は、前記バックヨークから前記鍔部に向かって巻回されると共に、偶数層の前記平角線は、前記鍔部から前記バックヨークに向かって巻回され、
各層の前記スロットへ前記平角線が巻き始められる位置をそれぞれ始線位置とし、各層の前記巻胴部を中心にして前記始線位置とは線対称の位置をそれぞれ終線位置としたとき、
奇数層の終線位置に前記平角線一本分の空きスペースが形成されるように、前記平角線を多層に巻回して前記コイルを形成することを特徴とする平角線の巻線構造。 - 前記コア本体は、前記バックヨークを周方向に複数分割してなり、
各コア本体に、前記巻胴部がそれぞれ1つずつ設けられ、
前記スロットは、各コア本体と、このコア本体に設けられた巻胴部と、この巻胴部の先端に設けられた鍔部とに囲まれて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の平角線の巻線構造。 - 前記奇数層の前記空きスペースには、この空きスペースが形成されている奇数層の上に巻回される偶数層の前記平角線のうち、最後から2番目に巻回される前記平角線が挿入され、
さらに、この平角線の上に、最後に巻回される前記平角線が巻回されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の平角線の巻線構造。 - 前記コア本体の内周面は、前記巻胴部の根元から前記バックヨークの延在方向に沿うように断面弧状に形成されており、
各層の最も前記コア本体側に配置されている前記平角線は、前記コア本体の内周面に当接した状態になっていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の平角線の巻線構造。 - 前記奇数層の前記空きスペースは、前記平角線による前記奇数層の巻回時に、前記空きスペースに対応する位置に治具を配置することにより形成されることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の平角線の巻線構造。
- ブラシレスモータのステータにおけるコイルの形成に適用されたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の平角線の巻線構造。
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