JP2014164034A - 静電荷像現像用トナー、二成分現像剤および画像形成装置 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、二成分現像剤および画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】メダカの発生及びメダカフィルミングの発生がなく、良好な流動性、保存性を有すると共に、優れた帯電特性、低温定着性、耐ストレス性を兼ね備え、長期に亘って高画質の画像形成が可能なトナーを提供する。
【解決手段】トナー母体粒子表面に体積平均粒径が異なる2種類以上のシリカ粒子を含む外添剤を添加し、シリカ粒子のうち、体積平均粒径が最大であるシリカ粒子Aは一次粒子が複数個合着して形成された二次粒子により構成される非球形の合着粒子であり、体積平均粒径が最小であるシリカ粒子Bは一次粒子により構成される球形粒子であり、シリカ粒子A及びbのトナー母体粒子100質量部に対する添加量をMa及びMbとすると、Maは1〜4質量部、Mbは0.5〜3質量部であり、超音波振動法に基づく遊離シリカ測定により計測されるシリカ粒子A及びBの遊離率の和Xsが5〜20%であり、遊離シリカの体積粒径30nm以下の個数割合R30が15〜30個数%であるように制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真法、静電記録等により形成される静電荷像を現像する際に、現像剤として使用される静電荷像現像用トナーおよび該トナーを使用する画像形成装置に関する。
画像形成装置は、像担持体表面の画像形成領域を均一に帯電させる帯電工程、像担持体への書き込みを行う露光工程、像担持体上に摩擦帯電させたトナーにより画像を形成する現像工程、印刷用紙に直接、あるいは中間転写体を介して間接的に像担持体上の画像を転写する転写工程を経た後、画像を印刷用紙に定着させる。また、像担持体上に転写しきれずに残った転写残トナーは、クリーニング工程により像担持体上から掻き落とされ、次画像形成プロセスに入る。
使用される現像剤としては、トナーとキャリアからなる二成分現像剤と磁性あるいは非磁性トナーのみの一成分現像剤がある。これらのトナーの製造は樹脂、顔料、帯電制御剤、離型剤を溶融混練し、冷却した後に粉砕、分級する混練粉砕法が、一般的であるが、粒径、形状が揃わず、これらを制御するのは困難である。このような状況下で、近年トナー粒子の粒径を意図的に制御し、混練粉砕法における前述の問題を解消しようとする試みがあり、水系での造粒として乳化重合法や溶解懸濁法といった重合トナー工法が盛んになった。
近年、高画質化への要求が高まり、特にカラー画像形成において高精細な画像を実現するため、トナーの小径化かつ粒径均一化の要求も高まっている。すなわち、粒径分布の広いトナーを用いて画像形成を行うと、微粉トナーが現像ローラ、帯電ローラ、帯電ブレード、感光体、キャリアなどを汚染したり、トナー飛散したりするという問題が大きくなり、高画質および高信頼性を同時に果たすことが困難であった。一方、粒径が揃い、粒径分布がシャープになると個々のトナー粒子の現像挙動が揃って、微小ドット再現性が大きく向上する。
前記電子写真法における定着の方式としては、エネルギー効率の良さの点から、加熱ローラを直接記録媒体上のトナー像に圧接して定着する加熱ヒートローラ方式が広く一般に用いられている。前記加熱ヒートローラ方式は、定着のために多大な電力が必要となる。そこで、省エネルギー化を図る観点から、加熱ローラの消費電力を削減することが種々検討されている。例えば、画像を出力しない時には加熱ローラ用のヒータの出力を弱め、画像出力時にヒータの出力を上げて加熱ローラの温度を上昇させる方式が一般によく用いられている。しかしこの場合、スリープ時から加熱ローラの温度を定着に必要な温度に上昇させるためには、数10秒間程度の待機時間が必要となり、ユーザーにとってはこの待機時間がストレスになる。また、画像を出力しない時には、ヒータを完全にオフにすることで、消費電力を抑えることが望まれている。これらの要求を達成するためには、トナー自体の定着温度を下げ、使用可能時のトナーの定着温度を低下させることが必要である。
前記現像剤に用いられるトナーでは、電子写真技術の発展に伴って、優れた低温定着性および保存性(耐ブロッキング性)、耐ストレス性が要求されている。これに対処するため、従来よりトナー用結着樹脂として一般に用いられてきたスチレン系樹脂に比べて記録媒体等との親和性が高く、低温定着性に優れたポリエステルを用いることが種々試みられている。
また、トナーには、静電的、熱的、または強度的な物性、或いは化学的特性、更には流動性、ブロッキング、粒度分布等の粉体特性が要求され、これらを補完するために種々の添加剤が添加されている。上述したように低温定着用のトナーにはいくつもの問題があるが、これらの中でも、トナーの流動性を確保するために添加される外添剤の埋没や遊離の問題がある。基本的には、低温定着用のトナーは結着樹脂の軟化点が下がる傾向となり、外添剤の埋没現象が一層顕著なものになる。このため、トナーの搬送性や帯電性を向上させるため、適度な流動性を付与するための種々の提案がなされている。
例えば、〔1〕小粒径の無機微粒子(平均粒径;約5〜100nm)を添加する方法、〔2〕クリ―ニング性を付与するために平均粒径が約0.5〜5μm程度の無機微粒子を添加する方法(特許文献1、特許文献2参照。なお、BET比表面積から、対象物質の真比重を用いて粒径に換算した。)、〔3〕平均粒径が約0.05〜5μmの有機微粒子を添加する方法(特許文献3、特許文献4参照)などが提案されている。
前記〔1〕〜〔3〕の無機微粒子または有機微粒子を外添して含有させたトナーでは、コピ―数の増加に伴って、これら微粒子がトナー表面から離脱する現象(外添剤の遊離)、或いはトナー表面へ埋め込まれる現象(外添剤の埋没)が発生する。このような外添剤の離脱、または埋没が発生すると、外添剤により付与されていた流動性や帯電制御の効果が消失してしまい、電子写真用トナーとして多くの不具合が生じることになる。特に、外添剤が離脱すると該離脱した外添剤が、感光体表面に細かいキズをつけて、いわゆる「メダカ画像」の発生原因となる。
これら解決策としては、例えば、(a)150nm〜5μmの大粒径無機酸化物を使用する方法(特許文献5参照)、(b)シリカをトナー表面に固着させる方法(特許文献6参照)などが提案されている。しかし、前記(a)では、大粒径外添剤の付着力が弱く、離脱が生じてしまったり、流動性が確保できないといった不具合が生じる。また、前記(b)では、シリカのトナー表面への固着はかえってその埋没を促進させてしまうという問題がある。
また、外添剤の離脱を防止することができるトナーの製造方法としては、例えば、2種類の疎水性金属微粒子とトナーを混合処理することにより、表面に該疎水性金属微粒子が均一に付着した電子写真用トナーを製造する方法が提案されている(特許文献7参照)。しかし、外添剤の離脱を防止するためには、混合機による強い力でトナー母体粒子表面に外添剤を強固に付着させる必要があり、その結果、外添剤が埋没してしまう部分が発生して、所望の効果が得られていないのが現状である。
また、外添剤の埋没抑制、画像濃度安定性の向上として非球形の外添剤を用いることが開示されている(特許文献8、特許文献9参照)。非球形の外添剤により転写効率の向上が達成できるが、非球形微粒子の凝集体が存在するとトナーへの付着量が減少し、遊離した非球形微粒子の凝集体によって感光体への攻撃性が高まり、感光体キズを発生させるといった不具合が生じる問題については触れられていない。さらに埋没しにくいことから、定着工程にてトナーが溶融しかけた状態でもトナー表面に存在しやすくなってしまうため、高光沢性が得られにくいといった欠点がある。
いずれにしても、トナーに要求される諸特性を満たす上では、外添剤の添加が必要であり、この外添剤添加に伴って低温定着用のトナーにおいて顕著になるいわゆる「メダカ画像」の発生が問題となる。
さらに、トナーの流動性、帯電性、転写性などの特性を改善するためにトナー母体粒子と混合される添加剤についても、トナー表面での均一分散性が求められている。
混合される添加剤が、トナー母体粒子表面での均一分散性が悪いと、トナー母体粒子の表面に添加剤が不均一に付着して、帯電の不均一化を招くばかりでなく、トナー母体粒子に付着しない遊離した添加剤の存在が多くなる。この遊離した添加剤が多くなると、以下のような現象が発生する。
(1)遊離した添加剤がキャリア等の帯電部材に付着して、現像剤の帯電を大きく変えてしまう。
(2)遊離した添加剤が感光体に付着して、感光体表面エネルギーが大きくなり、トナーフィルミングが発生する。
(3)遊離した添加剤が現像剤保持部材に付着して、現像剤保持部材の表面エネルギーが大きくなり、トナーフィルミングが発生する。
このような問題に対して、幾つかの提案がなされている。特許文献10、11には、いずれも他の要件と共にパーテイクルアナライザーによる添加剤の遊離率を規定したトナーが提案されている。例えば、特許文献10では、トナー母体粒子に無機微粒子からなる添加剤を添加し、該添加剤の遊離率を0.5〜20%に制御したトナーと磁性キャリアを使用し、高速の複写機に用いてもトナーを十分に帯電することができ、しかも感光体面のトナーフィルミングがなく、かつ、感光体面の傷がつきにくい画像形成装置として、現像剤の層厚が増加した場合に現像剤の増加分の通過を規制することができる現像装置を備えた画像形成装置が開示されている。また、特許文献11では、トナー母体粒子に添加する添加剤の遊離率を1〜20%に制御し、流動性に優れ、長期間使用しても画像濃度低下がないトナーを用いて、潜像担持体上の汚染をクリーニングして、画像上に白抜け、黒点の発生しない良好なベタ画像を得るクリーニング方法が開示されている。前記クリーニング方法では、クリーニングブレードに第1、第2の2つのクリーニングブレードを用いてクリーニングする。
また、特許文献12、13には、超音波振動法によって測定した添加剤の遊離率を規定したトナーが提案されている。例えば、特許文献12では、トナー母体粒子に添加剤として少なくともシリカおよびチタニアを添加し、超音波振動法によるトナーに対するチタニアの遊離率を5〜22%とし、かつトナーの帯電の絶対値を20〜40μC/gに制御することにより、長期間使用してもキャリアスペントを起こさず、スペントによるキャリア摩擦帯電能力の劣化や画像にキャリア付着やトナー落ちによる白斑点、異常画像が発生しないトナーとされることが開示されている。また、特許文献13では、超音波振動法によって測定したトナー母体粒子における添加剤の遊離率を1〜7%に制御することにより、現像剤の帯電量が変化せず、感光体へのトナーフィルミングや、現像剤保持部材へのトナーフィルミングの発生しないトナーとされることが開示されている。
しかしながら、これら従来の方法では十分な効果が得られていない。パーテイクルアナライザーで測定した遊離率は、前記(1)〜(3)の問題に対してはあまり関係していないように思われる。
前述のように、トナー母体粒子表面に添加される小粒径な外添剤(例えば、シリカ)がトナーから離脱し、感光体上に付着した後、それらが凝集、緻密化することで強固な固着シリカとなり、所謂、メダカを発生する。これをきっかけにフィルミングが生じて、メダカフィルミングを形成し、メダカ画像等の異常画像の発生をもたらす。
本発明者らの検討によれば、本発明の課題とするメダカやメダカフィルミングの問題の根本原因となっているのはトナー母体粒子表面に付着させた外添剤のうち、特に30nm程度以下の比較的小粒径なシリカであることが分かってきた。すなわち、小粒径なシリカがトナーから離脱し、感光体上に付着した後、それらが凝集、緻密化することで強固な固着シリカとなる。一方、70nm程度以上の大粒径なシリカは、凝集、緻密化がされにくいため、メダカフィルミングの原因とはなりにくい。むしろ、これらは固着している小粒径シリカの凝集体を感光体から削り取る作用がある。したがって、メダカフィルミング抑制のためには、遊離している小粒径のシリカ、具体的には、粒径が30nm以下のシリカの遊離を抑制することが重要である。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、メダカの発生や、それに伴うメダカフィルミングの発生を防止すると共に、良好な流動性、保存性を有し、優れた帯電特性、低温定着性、耐ストレス性を兼ね備え、長期に亘って高画質の画像形成が可能な静電潜像現像用トナーを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記に着目して鋭意検討した結果、少なくとも2種類の体積平均粒径の異なるシリカ、つまり、体積平均粒径が最大である非球形なシリカ粒子と、体積平均粒径が最小である球形なシリカを用い、それぞれのシリカ粒子の一定量を敢えて遊離させることにより、上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。
すなわち、前記課題は、トナー母体粒子表面に体積平均粒径が異なる少なくとも2種類のシリカ粒子を含む外添剤が添加されてなる静電潜像現像用トナーであって、
前記少なくとも2種類のシリカ粒子のうち、体積平均粒径が最大であるシリカ粒子Aは一次粒子が複数個合着して形成された二次粒子により構成される非球形の合着粒子であり、体積平均粒径が最小であるシリカ粒子Bは一次粒子により構成される球形粒子であり、
前記シリカ粒子Aおよびシリカ粒子Bのトナー母体粒子100質量部に対するそれぞれの添加量をMaおよびMbとすると、Maは1〜4質量部であり、Mbは0.5〜3質量部であると共に、
超音波振動法に基づく遊離シリカ測定により計測されるシリカ粒子Aおよびシリカ粒子Bの遊離率の和Xsが5〜20%であり、該遊離シリカの粒度分布測定により計測される体積粒径における30nm以下の個数割合R30が15〜30個数%であることを特徴とする静電潜像現像用トナーにより解決される。
本発明の静電潜像現像用トナーは、メダカの発生や、それに伴うメダカフィルミングの発生がなく、良好な流動性、保存性を有すると共に、優れた帯電特性、低温定着性、耐ストレス性を兼ね備え、長期に亘って高画質の画像形成を可能とすることができる。
本発明における合着粒子の二次粒子径を計測する際の粒子の最長長さを説明するためのFE−SEM図である。 本発明における合着粒子を構成する一次粒子径を計測する際の予測される粒子全体像の各最長長さを説明するためのFE−SEM図である。 本発明の画像形成装置の一例を示す概略説明図である。 本発明の画像形成装置の他の例を示す概略説明図である。 本発明の画像形成装置の他の例を示す概略説明図である。 図5に示す画像形成装置の一部を示す要部拡大図である。
前述のように本発明における静電潜像現像用トナーは、トナー母体粒子表面に体積平均粒径が異なる少なくとも2種類のシリカ粒子を含む外添剤が添加されてなる静電潜像現像用トナーであって、
前記少なくとも2種類のシリカ粒子のうち、体積平均粒径が最大であるシリカ粒子Aは一次粒子が複数個合着して形成された二次粒子により構成される非球形の合着粒子であり、体積平均粒径が最小であるシリカ粒子Bは一次粒子により構成される球形粒子であり、
前記シリカ粒子Aおよびシリカ粒子Bのトナー母体粒子100質量部に対するそれぞれの添加量をMaおよびMbとすると、Maは1〜4質量部であり、Mbは0.5〜3質量部であると共に、
超音波振動法に基づく遊離シリカ測定により計測されるシリカ粒子Aおよびシリカ粒子Bの遊離率の和Xsが5〜20%であり、該遊離シリカの粒度分布測定により計測される体積粒径における30nm以下の個数割合R30が15〜30個数%であることを特徴とするものである。
以降、「静電潜像現像用トナー」を「トナー」、「体積平均粒径」を「平均粒径」と略称することがある。
上記超音波振動法に基づく遊離シリカの遊離率、および遊離シリカの粒度分布測定による30nm以下の個数割合R30は下記の方法で測定される。
<超音波振動法に基づく遊離シリカの遊離率測定>
500mlビ―カ―に、ポリオキシアルキレンアルキルエ―テル(ノイゲンET−165第一工業製薬社製)10g、純水300ml入れ、1時間超音波にかけて分散を行い分散液Aを得る。その後、2Lのメスフラスコに分散液Aを移しメスアップをし、1時間超音波にかけて溶かし、0.5%分散液Bを得る。
0.5%分散液B50mlを110mlスクリュ―管に注入し、さらにサンプルとなるトナーを3.75g加える。スクリュ―管が分散液になじむまで、30〜90分攪拌する。この時、できるだけ回転を小さくして泡が立たないようにする。
十分にトナーを分散させてから、超音波ホモジナイザ―(VCX750 SONICS社製、750ワット)にて、振動部を液Cに2.5cm進入し、出力エネルギ―40%で、1分間振動させて、液Dを作成する。
上記液Dを50ml遠沈管に入れ、2000回転にて2分間遠心分離を行い、上澄み液Eと沈殿物を得る。沈殿物を60mlの純水で洗い込みながらセパロ―トに注ぎ、吸引ろ過により洗浄水を除去する。
ろ過後のサンプルを再度ミニカップに入れ、水60mlをメスシリンダ―で計りミニカップに注ぎ入れ、スパチュラの柄で5回かき混ぜる。この時あまり激しくかき混ぜない。
再度吸引ろ過により洗浄水を除去し、ろ紙上残ったトナーを回収し、40℃恒温槽で8時間乾燥させる。乾燥後得られたトナー3gを採取し、自動加圧成型機(T―BRB―32Maekawa社製)を使用して、荷重6.0t、加圧時間60secの条件で、直径3mm、厚さ2mmのペレットを成形し、処理後サンプルトナーとする。
一方、処理を施していないトナーをサンプル初期トナーとし、該トナーを、上記と同様に自動加圧成型機を使用して、直径3mm、厚さ2mmのペレットを成形し、処理前サンプルトナーとする。
次いで、蛍光X線装置(ZSX―100e:理学電気社製)により、処理後サンプルトナーと処理前サンプルトナーについて定量分析を行い、それぞれのトナーの金属の部数(質量部)を測定する。金属の部数の算出に使用する検量線は、予めトナーに対して金属含有量を設定(例えば、0.1質量部、1質量部、1.8質量部)したトナーサンプルを作成し、蛍光X線装置で求めた定量分析の結果を参照する。
遊離シリカの遊離率を下記式(1)により算出する。
遊離率=[{処理前サンプルトナー金属含有量(部)―処理後サンプルトナー金属含有量(部)}/処理前サンプルトナー金属含有量(部)]×100・・・(1)
〔式(1)中の金属はケイ素原子を示す。〕
<遊離シリカの粒度分布測定による30nm以下の個数割合R30の測定>
前記上澄み液Eを、超微粒子粒度分布測定装置UPA―EX150(日機装株式会社製)にて計測する。
測定前に超音波ホモジナイザ―にて30秒間30Wにて分散を行う。測定時は、周辺環境:23℃/50%、溶媒屈折率:1.333、粒子屈折率:1.45、チャンネル数:52、測定時間:60秒、粒子形状:非球形、ロ―ディングインデックス:0.200〜0.300となる条件で実施する。32チャンネルに表記される0.03μm以下の頻度の累計を個数割合R30(個数%)とする。
体積平均粒径が最大であるシリカ粒子Aは一次粒子が複数個合着して形成された二次粒子により構成される非球形の合着粒子であり、このような合着粒子は後に詳述するように結晶性シリカおよび/または溶融シリカの一次粒子同士を適当な処理剤(例えば、シラン系処理剤またはエポキシ系処理剤)を用いて化学結合させることにより調製することができる。
合着粒子の二次粒子径および合着粒子を構成する一次粒子径は下記のようにして計測され、合着度が算出される。
<二次粒子径および合着粒子を構成する一次粒子径の計測および合着度の算出>
〈二次粒子径の計測〉
合着シリカを適切な溶媒(THFなど)に分散させた後、基板上で溶媒を除去し乾固させたサンプルをFE−SEMにて観察する。加速電圧5〜8kV、観察倍率8k〜10k倍にて視野中のシリカについて二次粒子径を測定する。二次粒子径は凝集した粒子の最長長さを計測する。図1に例を示す。観察するシリカ個数は100個以上の粒子を計測する。
〈合着粒子を構成する一次粒子径の計測〉
一次粒子径も同様にFE−SEMにて観察する。合着しているシリカの外枠から、埋め込まれている全体像を予測し、全体像の最長長さを計測する。図2に例を示す。それらの平均値を一次粒子径とする。観察するシリカ個数は100個以上の粒子を計測する。
〈合着度の算出〉
計測された二次粒子径と一次粒子径から下記式(2)により合着度を算出する。
合着度=[二次粒子径]/[一次粒子径] ・・・(2)
なお、上述した測定法にて、合着度を算出し、さらに後述のDb50、およびDb10を算出する。
一般的に、トナーからの遊離シリカ個数が多いほどメダカやメダカフィルミングが発生しやすくなる。これを抑制するために、トナーの改良に着目すると流動性の低下など新しい課題が発生する。
電子写真プロセスで発生する、メダカやメダカフィルミングはトナーから遊離したシリカ、特に小粒径のシリカが感光体上に固着して発生する。この課題をトナーとして達成するために有効な手段としては、全体的にトナーからシリカを遊離させないことが最も容易な方法であるが、遊離させないための処置に伴うトナー母体粒子へのシリカ埋没により、流動性の低下、保存性の悪化などの副作用が生じることは自明である。したがって、トナーからシリカを遊離させない処置を単純に実施することは難しい。特に低温定着性を重視した柔らかいトナーでは、シリカがより容易にトナー母体粒子に埋没してしまうため、メダカ抑制と保存性または流動性の両立は困難なものになっている。
前述のように、メダカやメダカフィルミングの根本原因となっているのはトナー母体粒子表面に付着させた外添剤のうち、特に30nm程度以下の比較的小粒径なシリカであると考えられる。小粒径なシリカがトナー母体粒子から離脱し、感光体上に付着した後、それらが凝集、緻密化することで強固な固着シリカとなってメダカを形成し、これに伴ってフィルミングを生じる。したがって、フィルミング抑制のためには、一般的には遊離している小粒径のシリカ、具体的には、粒径が30nm以下のシリカの遊離を抑制することが重要である。一方、70nm以上の大粒径なシリカは、凝集、緻密化がされにくいため、メダカフィルミングの原因とはなりにくい。むしろ、これらは固着している小粒径シリカの凝集体を感光体から削り取る作用がある。
本発明においては、トナー母体粒子表面に少なくとも2種類のシリカ粒子を含む外添剤を添加し、一方の体積平均粒径が最大である非球形(または「異形」)なシリカ粒子Aと、他方の体積平均粒径が最小である球形なシリカBのそれぞれのシリカ粒子の一定量を敢えて遊離させることに特徴がある。
それにより、小粒径シリカの埋没を抑制し、保存性、流動性が確保できる。一方で、遊離したシリカのうち小粒径シリカは感光体上で凝集、固着し、メダカ形成、成長していくが、遊離したシリカのうちの大粒径側のシリカは凝集しにくいため、固着せず、単体にて感光体上で研磨剤のように振舞うため、固着したシリカ凝集体を削り取っていく。これに伴い、メダカの発生を抑えることができる。
さらに、大粒径のシリカに非球形なシリカを用いることで固着したシリカの研磨力を向上させることができるため、小粒径シリカをより多く遊離させることができる。これに伴い、さらに保存性、流動性が向上できる。また、小粒径シリカを遊離させることは、遊離した大粒径シリカの過研磨による感光体寿命の低下を抑制することにもつながる。
すなわち、シリカ粒子Aは一次粒子が複数個合着して形成された二次粒子により構成される非球形の合着粒子であり、このような非球形なシリカを採用することで、より研磨機能が増強されるため、固着する小粒径シリカの凝集体を感光体から削り取る作用が増大し、小粒径シリカの遊離抑制のレベルを低減(遊離量の増加)することができる。すなわち遊離量が多くても従来のようなメダカやメダカフィルミングの発生を抑制して品質問題となりにくくすることができる。これに伴い、小粒径シリカの過度な打ち込みをする必要がなくなり、保存性や流動性をさらに向上することができる。
したがって、小粒径シリカの割合を一定以下と規定することで遊離量自体を抑制する従来の方法に比べ、本発明においては過剰エネルギーでの混合によるシリカ埋没で発生する課題を抑制できる。さらに、非球形の大粒径シリカの一定量を遊離させることで、小粒径シリカにより発生するメダカを削り取ることができるため、非球形の大粒径シリカを不使用の場合に比べ、遊離量の余裕度を上げることができる上に、転写安定性も確保できるようになる。
本発明によれば、粒径の異なる2種類以上のシリカを一定量添加したトナーの、超音波振動法による総シリカ遊離量と小粒径(30nm以下)のシリカ遊離量を一定量にすることでメダカフィルミングを抑制した高画像を提供できるだけでなく、特定のトナー母体粒子を選択することで低温定着性も付与し、さらに高速機で課題となる耐ストレス性も付与できる。
トナーを製造する際に、トナー母体粒子の種類あるいは硬さに応じて、トナー母体粒子と添加剤(体積平均粒径が異なる少なくとも2種類のシリカ粒子を含む)の混合条件、添加剤の投入順序などを適宜変更することでシリカ全体の遊離量を変動させずに小粒径シリカの遊離を抑制できれば、良好な流動性、保存性を有すると共に、優れた帯電特性、低温定着性、耐ストレス性などを兼ね備えた、メダカの発生や、それに伴うメダカフィルミングの発生の無いトナーを提供することができる。
つまり、トナー母体粒子表面に付着させた外添剤粒子(体積平均粒径が異なる少なくとも2種類のシリカ粒子)の遊離を好適に制御してメダカおよびメダカフィルミング問題を解決しつつ、外添剤粒子の埋没を抑制し、良好な流動性、保存性、帯電特性、低温定着性、耐ストレス性などを兼ね備えたトナーが提供される。
本発明のトナーを用いて現像剤、およびフルカラー画像形成装置を構成すれば長期に亘って高画質な画像形成を可能とすることができる。
前述のように本発明のトナーとしては、少なくとも平均粒径が大小2種類のシリカを使用する必要があり、一方の平均粒径が最大であるシリカ粒子Aは一次粒子が複数個合着して二次粒子により構成される非球形の合着粒子(非球形なシリカ粒子)である必要がある。シリカ粒子Aとしては、体積平均二次粒径が75〜250nm程度であるのが好ましく、100〜220nm程度が更に好ましく、120〜200nm程度がより好ましい。75nmを下回ると、粒度分布を持ったシリカ粒子のうち、小粒径側の一部が凝集を起こしてしまう可能性が生じ、研磨能力に若干劣る。一方、250nmを越えると、トナー母体粒子表面にシリカ粒子を適度に付着させるために必要とされる混合エネルギー、例えば、撹拌混合に要する力が大きくなるため、小粒径のシリカがトナー母体粒子に埋没してしまい、トナーとしての流動性に支障が出る可能性がある。
本発明における前記シリカ粒子Aの粒度分布指標として下記式(3)で表されることが好ましい。
[ただし、式(3)中、Db50は、前記合着粒子の粒子径(nm)を横軸とし、前記合着粒子の累積値(個数%)を縦軸としたときの前記合着粒子の累積分布を小径粒子側から描いたときに、前記累積値が50個数%となる前記合着粒子の粒子径を表し、Db10は、前記累積値が10個数%となる前記合着粒子の粒子径を表す。]
すなわち、本発明に使用するシリカ粒子Aは、平均二次粒子径Dbの粒度分布においてDb50/Db10が1.2以下であることが望ましい。ここで、Db50はFE−SEMにより観測される二次粒子径の小粒子側から計測した50%目の平均粒子径を表し、Db10は小粒子側から計測した10%目の平均粒子径を表している。Db50/Db10は、二次粒子径の小粒子と中心径粒子の割合を示しており、この値が大きくなることは二次粒子径の小さい粒子が多いことを表している。
つまり、合着が進んでいない一次粒子の状態で存在している粒子aか、あるいは合着は進んでいるが、一次粒子自体が小さな粒子径である粒子bが多いかのどちらか、あるいは両方であることを意味する。このような粒子aあるいは粒子bはそれぞれ、非球形の合着粒子として期待される十分な機能を有さない。すなわち、粒子aについては非球形の添加剤としての機能が果たしきれず、耐埋没性に劣るため、異常画像発生の懸念がある。一方の粒子bはスペーサー効果の機能を果たすことができず、外部ストレスによる埋没を抑制できない可能性が高い。粒子aあるいは粒子bを低減すれば、Db10は大きくなり、非球形の合着粒子として期待される機能が発揮される。Db50/Db10が1.2を超えると、上記の粒子aおよび/または粒子bが多すぎてDb10が小さくなるため、埋没抑制のために特徴づけている非球形の添加剤としての機能を果たしにくい。
また、シリカ粒子Aの添加量Maとしては、トナー母体粒子100質量部に対して1〜4質量部の範囲である必要がある。1質量部を下回ると、シリカ粒子Aの絶対量が少ないため、シリカ粒子Aの遊離率も少なくなり、研磨効果が得られなくなる。また、スペーサー効果も薄れるため、保存性の悪化をもたらす。一方、添加量Maが4質量部を超えると、シリカ粒子Aの遊離率が多くなり、過研磨により感光体表層を削ってしまうため、感光体寿命を縮めることに繋がる。
平均粒径の小さい方のシリカ(シリカ粒子B)の平均一次粒径としては、10〜50nm程度が好ましく、20〜50nm程度が更に好ましく、20〜40nm程度がより好ましい。10nmを下回ると、シリカBの凝集力が高くなり、研磨しづらくなる。一方で、50nmを超えると粒径分布を持ったシリカ粒子のうち、大粒径側の一部が凝集しなくなる可能性が生じ、過研磨を引き起こす可能性がある。
また、シリカBの添加量Mbとしては、トナー母体粒子100質量部に対して0.5〜3質量部の範囲である必要がある。0.5質量部を下回ると、被覆率の低下に伴う流動性および保存性の確保が困難になる。一方で、3質量部を超えるとシリカBの絶対率が多いため、シリカBの遊離率も多くなり、感光体上のシリカ固着が多くなるため、研磨しきれず、メダカフィルミングを発生しやすくなる。また、被覆率が非常に高くなってしまうため、低温定着性を阻害する。
さらに、超音波振動法に基づく遊離シリカ測定により計測されるシリカ粒子Aおよびシリカ粒子Bの遊離率の和Xsが5〜20%である必要がある。遊離率の和Xsが5%を下回ると全体的にシリカ遊離量が非常に少ないため、シリカが過埋没している可能性が高く、保存性、流動性に支障をきたす。一方、遊離率の和Xsが20%を超えると、シリカ遊離量が高すぎ、現像工程でキャリアや現像ローラなどを汚染しやすくなるため、経時での帯電低下や画質劣化を引き起こす。
また、遊離シリカの粒度分布測定により計測される体積粒径における30nm以下の個数割合R30が15〜30個数%である必要がある。メダカフィルミングは小粒径のシリカが根本原因であるため、これを抑制することが必要である。R30が15個数%未満では非球形シリカによる研磨作用が効き過ぎてしまうため、感光体表層を削ってしまい、感光体寿命を短くしてしまう。一方、R30が30個数%を超えると、小粒径のシリカの割合が大きすぎるため、大粒径のシリカでの研磨が不足し、結果的にメダカを抑制できない。
本発明のトナーにおけるトナー母体粒子の製造方法としては、後に詳述するように特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、粉砕法や重合法である乳化凝集法や溶解懸濁法など油相を水相中で溶解または分散させて製造する(油相/水相法)方法が挙げられる。
ここで、前記結着樹脂および/または結着樹脂前駆体は、少なくともエステル結合単位のみを含む未変性ポリエステル、エステル結合および該エステル結合以外の結合単位を含む変性ポリエステル、および結晶性ポリエステルから選択される樹脂材料を含有すすることができる。変性ポリエステルとしては、該変性ポリエステルを生成可能な樹脂前駆体を用いることができる。樹脂前駆体として、活性水素基含有化合物および、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が含まれる。つまり、このような変性ポリエステルは、活性水素基を有する化合物(活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物の活性水素基と反応可能な官能基を有するポリエステルとの反応により得られる。
例えば、本発明のトナー母体粒子としては、有機溶媒中に、少なくとも、ポリエステルおよび/または結着樹脂前駆体(変性ポリエステル)、着色剤、離型剤を含むトナー材料を溶解乃至分散させて得られる油相を水系媒体(水相)中に分散させて、得られた油相/水相(O/W)型分散液から有機溶媒を除去して造粒されたものが好ましい。
また、前記O/W型分散液(乳化分散液)を得る際に、前記油相に、活性水素基含有化合物および該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を溶解させた後、前記油相を微粒子分散剤の存在する水系媒体からなる水相中に分散させることが好ましい。更に、前記乳化分散液中で前記結着樹脂成分を架橋反応および/または伸長反応させることが好ましい。
つまり、前記トナー母体粒子は、有機溶媒と、分子構造中に少なくともエステル結合と該エステル結合以外の結合単位を含む変性ポリエステルを生成可能な活性水素基含有化合物および該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを含む溶解液または分散液を水相中に分散させて乳化分散液とし、該乳化分散液中で前記活性水素基含有化合物と前記重合体とを架橋反応および/または伸長反応させ、該乳化分散液から有機溶媒を除去して造粒されたものであることが好ましい。なお、有機溶媒除去後、添加剤を外添混合する工程において、トナー母体粒子表面に体積平均粒径が異なる少なくとも2種類のシリカ粒子を含む無機微粒子が外添される。
また、前記結着樹脂および/または結着樹脂前駆体は、結晶性ポリエステルおよび非結晶性ポリエステルから選択される樹脂材料を含むことが好ましい。
本発明の静電潜像現像用トナー(略称、トナー)は、前述のトナー母体粒子表面に体積平均粒径が異なる少なくとも2種類のシリカ粒子を含む外添剤が添加されて製造される。
本発明におけるトナー母体粒子および添加剤などに用いるトナー材料として、結着樹脂および必要に応じてその他の成分(着色剤、離型剤、帯電制御剤、無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、滑剤、等)を含有することができる。
以下に、本発明のトナーにおけるトナー母体粒子の製造に用いられる原料および製造方法について、限定されるものではないが、溶解懸濁法や乳化凝集法など油相を水相中で溶解または分散させて製造する場合(油相/水相法)を例に詳しく説明する。
まず、本発明のトナー製造に用いる原料について概要を記載する。
[本発明のトナーの製造に用いる原料]
〔トナー母体粒子の製造に用いる材料例〕
油相/水相法における乳化乃至分散において溶解、必要に応じて、油滴を安定化させ、所望の形状を得つつ粒度分布をシャープにする観点から、分散剤を用いることが好ましい。分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましく、アニオン性界面活性剤の例として以下に示すようなものが挙げられる。
なお、界面活性剤としては後述の乳化凝集法で示すようなアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の例もある。
[界面活性剤]
(アニオン性界面活性剤)
本発明におけるトナー母体粒子の製造方法で用いられるアニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤が好適に挙げられる。フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸またはその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸またはその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)またはその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸またはその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製);フローラドFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)、等が挙げられる。
[結着樹脂]
本発明のトナーを構成するトナー母体粒子に含有される結着樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリエステル、シリコーン樹脂、スチレン・アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂等が挙げられ、これらを単独または二種以上混合して使用することができる。
この中でも本発明のトナーの製造用のトナー材料である樹脂成分(樹脂相)には、定着時にシャープメルトし、画像表面を平滑化できる点で、低分子量化しても十分な可とう性を有しているポリエステルが好ましく、このようなポリエステルにさらに他の樹脂を組み合せて用いてもよい。ポリエステルとしては、例えば、ウレア変性ポリエステルがより好ましく、ウレア変性ポリエステルと未変性ポリエステルの組み合せ、あるいは、ウレア変性ポリエステルと未変性ポリエステル、結晶性ポリエステルの組み合せも好ましい。
(未変性ポリエステル)
結着樹脂として、エステル結合以外の結合単位を含まない、所謂、変性されていないポリエステル(未変性ポリエステル)を用いることができる。そして、このような未変性ポリエステルと、前記エステル結合を有する結着樹脂前駆体、エステル結合および該エステル結合以外の結合単位を含む変性ポリエステル、もしくは該変性ポリエステルを生成可能な樹脂前駆体、および結晶性ポリエステルなどを組み合せて結着樹脂とすることができる。
本発明で好ましく用いることができるポリエステルとは、下記一般式(1)で表されるポリオールの1種若しくは2種以上と、下記一般式(2)で表されるポリカルボン酸の1種若しくは2種以上のポリカルボン酸とを反応させてポリエステル化したものである。
A−(OH)m ・・・(1)
[式(1)中、Aは炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基若しくはヘテロ環芳香族基を表す。mは2〜4の整数を表す。]
B−(COOH)n ・・・(2)
[式(2)中、Bは炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基若しくはヘテロ環芳香族基を表す。nは2〜4の整数を表す。]
前記一般式(1)で表される具体的なポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールA酸化エチレン付加物、ビスフェノールA酸化プロピレン付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA酸化エチレン付加物、水素化ビスフェノールA酸化プロピレン付加物等が挙げられる。
前記一般式(2)で表される具体的なポリカルボン酸としては、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(トリメリット酸)等が挙げられる。
(非結晶性ポリエステル)
本発明において、結着樹脂成分として非結晶性の未変性ポリエステルを用いることが好ましい。変性ポリエステル系樹脂からなる結着樹脂前駆体を架橋および/または伸長反応させて得られる変性ポリエステルと未変性のポリエステルは、少なくとも一部が相溶していることが好ましい。これにより、低温定着性および耐ホットオフセット性を向上させることができる。このため、変性ポリエステルと未変性のポリエステルのポリオールとポリカルボン酸は、類似の組成であることが好ましい。また、未変性ポリエステルとして、結晶性ポリエステル分散液に用いた非結晶性ポリエステルも未変性であれば、用いることができる。
未変性のポリエステルの酸価は、通常、1〜50KOHmg/gであり、5〜30KOHmg/gが好ましい。これにより、酸価が1KOHmg/g以上であるため、トナーが負帯電性となりやすく、さらには、紙への定着時に、紙とトナーの親和性が良くなり、低温定着性を向上させることができる。しかしながら、酸価が50KOHmg/gを超えると、帯電安定性、特に環境変動に対する帯電安定性が低下することがある。本発明において、未変性のポリエステルは、酸価が1〜50KOHmg/gであることが好ましい。
未変性のポリエステルの水酸基価は、5KOHmg/g以上であることが好ましい。水酸基価は、JIS
K0070−1966に準拠した方法を用いて測定される。
具体的には、まず、試料0.5gを100mlのメスフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mlを加える。次に、100±5℃の温浴中で1〜2時間加熱した後、フラスコを温浴から取り出して放冷する。さらに、水を加えて振り動かして無水酢酸を分解する。次に、無水酢酸を完全に分解させるために、再びフラスコを温浴中で10分以上加熱して放冷した後、有機溶媒でフラスコの壁を十分に洗う。
さらに、電位差自動滴定装置DL−53 Titrator(メトラー・トレド社製)および電極DG113−SC(メトラー・トレド社製)を用いて、23℃で水酸基価を測定し、解析ソフトLabX
Light Version 1.00.000を用いて解析する。なお、装置の校正には、トルエン120mlとエタノール30mlの混合溶媒を用いる。
このとき、測定条件は、以下の通りである。
Stir
Speed[%] 25
Time[s] 15
EQP titration
Titrant/Sensor
Titrant CH3ONa
Concentration[mol/L] 0.1
Sensor DG115
Unit of measurement mV
Predispensing to volume
Volume[mL] 1.0
Wait time[s] 0
Titrant addition Dynamic
dE(set)[mV] 8.0
dV(min)[mL] 0.03
dV(max)[mL] 0.5
Measure mode Equilibrium controlled
dE[mV] 0.5
dt[s] 1.0
t(min)[s] 2.0
t(max)[s] 20.0
Recognition
Threshold 100.0
Steepest jump only No
Range No
Tendency None
Termination
at maximum volume[mL] 10.0
at potential No
at slope No
after number EQPs Yes
n=1
comb.termination conditions No
Evaluation
Procedure Standard
Potential1 No
Potential2 No
Stop for reevaluation No
(変性ポリエステル)
変性ポリエステルは、分子構造中に少なくともエステル結合と該エステル結合以外の結合単位を含むものである。このような変性ポリエステルは、活性水素基を有する化合物(活性水素基含有化合物)、および該化合物の活性水素基と反応可能な官能基を有する重合体(例えば、ポリエステル)を含有する、所謂、変性ポリエステルを生成可能な樹脂前駆体の反応により得ることができる。
(活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)
活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(以下「プレポリマー」)としては、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を少なくとも有しているものであれば特に制限はなく、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、これらの誘導体樹脂、等を用いることができる。これらの中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステルが特に好ましい。なお、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
プレポリマーにおける活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、特に制限はなく、公知の置換基等の中から適宜選択することができるが、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、酸クロリド基、等が挙げられる。これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。これらの中でも、イソシアネート基が特に好ましい。プレポリマーの中でも、高分子成分の分子量を調節し易く、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着特性、特に定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構のない場合でも良好な離型性および定着性を確保できる点で、ウレア結合生成基含有ポリエステル(RMPE)が特に好ましい。
ウレア結合生成基としては、例えば、イソシアネート基、等が挙げられる。ウレア結合生成基含有ポリエステル(RMPE)における該ウレア結合生成基が該イソシアネート基である場合、該ウレア結合生成基含有ポリエステル(RMPE)としては、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)等が特に好適である。
イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物であり、かつ活性水素基含有ポリエステルをポリイソシアネート(PIC)と反応させてなるもの、等が挙げられる。
ポリオール(PO)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール(DIO)、3価以上のポリオール(TO)、ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジオール(DIO)単独、またはジオール(DIO)と少量の3価以上のポリオール(TO)との混合物、が好ましい。ジオール(DIO)としては、例えば、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
アルキレングリコールとしては、炭素数2〜12のものが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。また、脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。また、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、脂環式ジオールに対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物としたもの等が挙げられる。また、ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等が挙げられる。また、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ビスフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物としたもの等が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの混合物が特に好ましい。
3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上のものが好ましく、例えば、3価以上の多価脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、等が挙げられる。また、3価以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。また、3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノール体(本州化学工業株式会社製のトリスフェノールPAなど)、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。また、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、3価以上のポリフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物におけるジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合質量比(DIO:TO)としては、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
ポリカルボン酸(PC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸との混合物、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジカルボン酸(DIC)単独、またはジカルボン酸(DIC)と少量の3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物が好ましい。
ジカルボン酸(DIC)としては、例えば、アルキレンジカルボン酸、アルケニレンジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、等が挙げられる。また、アルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。また、アルケニレンジカルボン酸としては、炭素数4〜20のものが好ましく、例えば、マレイン酸、フマール酸等が挙げられる。また、芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜20のものが好ましく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
3価以上のポリカルボン酸(TC)としては、3〜8価またはそれ以上のものが好ましく、例えば、芳香族ポリカルボン酸、等が挙げられる。また、芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20のものが好ましく、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
ポリカルボン酸(PC)としては、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、および、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸との混合物、から選択されるいずれかの酸無水物または低級アルキルエステル物を用いることもできる。低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物におけるジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合質量比(DIC:TC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)とを重縮合反応させる際の混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリオール(PO)における水酸基[OH]と、ポリカルボン酸(PC)におけるカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が、通常、2/1〜1/1であるのが好ましく、1.5/1〜1/1であるのがより好ましく、1.3/1〜1.02/1であるのが特に好ましい。
ポリオール(PO)のイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が特に好ましい。何故なら、含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがあるからである。
ポリイソシアネート(PIC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらのフェノール誘導体、オキシム、カプローラクタム等でブロックしたもの、などが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。また、脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。また、芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4'−ジイソシアネート、4,4'−ジイソシアナト−3,3'−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4'−ジイソシアネート等が挙げられる。また、芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。また、イソシアヌレート類としては、例えば、トリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート等が挙げられる。これらは、1種単独でも使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネート(PIC)と、活性水素基含有ポリエステル(例えば水酸基含有ポリエステル)とを反応させる際の混合比率としては、ポリイソシアネート(PIC)におけるイソシアネート基[NCO]と水酸基含有ポリエステルにおける水酸基[OH]との混合当量比([NCO]/[OH])が、通常、5/1〜1/1であるのが好ましく、4/1〜1.2/1でるのがより好ましく、3/1〜1.5/1であるのが特に好ましい。何故なら、イソシアネート基[NCO]が、5を超えると、低温定着性が悪化することがあり、1未満であると、耐オフセット性が悪化することがあるからである。
ポリイソシアネート(PIC)のイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。何故なら、含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化するからである。
イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)の1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、1以上が好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4がより好ましい。何故なら、イソシアネート基の平均数が1未満であると、ウレア結合生成基で変性されているポリエステル(RMPE)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化するからである。
活性水素基含有化合物と反応可能な重合体の重量平均分子量(Mw)としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、3,000〜40,000が好ましく、4,000〜30,000がより好ましい。何故なら、重量平均分子量(Mw)が、3,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、40,000を超えると、低温定着性が悪化することがあるからである。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。すなわち、まず、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度でカラム溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度を0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のテトラヒドロフラン試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料における分子量の測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical Co.または東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、および4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが好ましい。なお、検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いることができる。
なお、ウレア変性ポリエステルは、未変性のポリエステル以外に、ウレア結合以外の化学結合で変性されているポリエステル、例えば、ウレタン結合で変性されているポリエステルと併用することができる。
トナー組成物がウレア変性ポリエステル等の変性ポリエステルを含有する場合、変性ポリエステルは、ワンショット法等により製造することができる。
一例として、ウレア変性ポリエステルを製造方法について説明する。
まず、ポリオールとポリカルボン酸を、テトラブトキシチタネート、ジブチルスズオキサイド等の触媒の存在下で、150〜280℃に加熱し、必要に応じて、減圧しながら生成する水を除去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次に、水酸基を有するポリエステルとポリイソシアネートを40〜140℃で反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを得る。さらに、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとアミン類を0〜140℃で反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。ウレア変性ポリエステルの数平均分子量は、通常、1000〜10000であり、1500〜6000が好ましい。
なお、水酸基を有するポリエステルとポリイソシアネートを反応させる場合およびイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとアミン類を反応させる場合には、必要に応じて、溶剤を用いることもできる。溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等);エーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネート基に対して不活性なものが挙げられる。また、未変性のポリエステルを併用する場合は、水酸基を有するポリエステルと同様に製造したものを、ウレア変性ポリエステルの反応後の溶液に混合してもよい。
(結晶性ポリエステル)
本発明のトナー母体粒子のエステル結合を有する結着樹脂として、結晶性ポリエステルを含有することができる。結晶性ポリエステルは、アルコール成分と酸成分の反応により得られたものであり、少なくとも融点を有するポリエステルである。このような結晶性ポリエステルとしては、限定されるものではないが例えば、炭素数2〜12の飽和脂肪族ジオール化合物、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−8オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールまたはこれらの誘導体から選択されるアルコール成分と、二重結合(C=C結合)を有する炭素数2〜12のジカルボン酸、もしくは、炭素数2〜12の飽和ジカルボン酸、特にフマル酸、1,4−ブタン二酸、1,6−ヘキサン二酸、1,8−オクタン二酸、1,10−デカン二酸、1,12−ドデカン二酸またはこれらの誘導体から選択されるジカルボン酸成分との反応により合成される結晶性ポリエステルが好適である。
結晶性ポリエステルを用いることにより、例えば、定着時の離型性機能を劣化させることなく維持したまま、トナー母体粒子表面に存在するワックスによるキャリアや帯電部材への汚染問題を抑制し、良好な結果が得られる。
前記結晶性ポリエステルの含有量は、母体粒子100質量部に対して1質量部〜30質量部であることが好ましい。前記含有量が、1質量部未満であると、低温定着効果が十分に得られないことがあり、30質量部を超えると、トナー最表面に存在する結晶性ポリエステル量が多すぎるために感光体、その他部材の汚染により画像品質が低下したり、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。また、トナーの表面性状が悪化し、キャリアを汚染し長期に渡り十分な帯電性を維持することができず、更に、環境安定性を阻害する恐れもある。
本発明において、油相に含有される結着樹脂成分としては、未変性ポリエステル、変性ポリエステルなどの非結晶性ポリエステル、結晶性ポリエステル、結着樹脂前駆体等を併用してもよいが、さらにこれらの樹脂以外の結着樹脂成分を含有してもよい。
結着樹脂成分としては、ポリエステルを含有することが好ましく、ポリエステルを50質量%以上含有することがさらに好ましい。ポリエステルの含有量が50質量%未満であると、低温定着性が低下することがある。結着樹脂成分のいずれもがポリエステルであることが特に好ましい。
なお、ポリエステル以外の結着樹脂成分としては、ポリスチレン、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリビニルトルエン等のスチレンまたはスチレン置換体の重合体;スチレン‐p‐クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられる。
[その他の成分]
前記トナー母体粒子および添加剤などのトナー組成分におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、離型剤、帯電制御剤、層状無機鉱物、無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、滑剤、等が挙げられる。
(着色剤)
本発明に使用するトナー母体粒子用の着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料および顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤のトナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。着色剤の含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力が低下することがあり、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、およびトナーの電気特性の低下を招くことがある。
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。マスターバッチに用いる樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリエステル、スチレンまたはその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレンまたはその置換体の重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、等が挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレンービニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレンーアクリロニトリルーインデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、等が挙げられる。
マスターバッチは、マスターバッチ用樹脂と、着色剤とを高せん断力をかけて混合または混練して製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶媒を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶媒とともに混合または混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分および有機溶媒成分を除去する方法である。前記混合または混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。着色剤は2樹脂に対する親和性の差を利用することで、第一の樹脂相、第二の樹脂相いずれにも任意に含有させることができる。着色剤はトナー表面に存在した際にトナーの帯電性能を悪化させることが良く知られている。そのため、内層に存在する第一の樹脂相に選択的に着色剤を含有させることで、トナーの帯電性能(環境安定性、電荷保持能、帯電量等)を向上させることができる。
(離型剤)
離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、融点が50〜120℃の低融点の離型剤が好ましい。低融点の離型剤は、前記樹脂と分散されることにより、離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これによりオイルレス(定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布しない)でもホットオフセット性が良好である。
離型剤としては、例えば、ロウ類、ワックス類、等が好適に挙げられる。ロウ類およびワックス類としては、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ローライスワックス等の植物系ワックス;ミツローラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトローラタム等の石油ワックス;などの天然ワックスが挙げられる。また、これら天然ワックスのほか、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス;などが挙げられる。更に、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子、などを用いてもよい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜120℃が好ましく、60〜90℃がより好ましい。融点が、50℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、120℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0〜40質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
離型剤は2樹脂に対する親和性の差を利用することで、第一の樹脂相、第二の樹脂相いずれにも任意に含有させることができる。トナー外層に存在する第二の樹脂相に選択的に含有させることで、離型剤の染み出しが定着時の短い加熱時間でも充分生じるため、充分な離型性を得ることができる。また、離型剤を内層に存在する第一の樹脂相に選択的に含有させることで、感光体、キャリア等の他の部材への離型剤のスペントを抑制させることができる。本発明では、離型剤の配置を比較的自由に設計することがあり、各々の画像形成プロセスに応じて任意の配置を取ることができる。
(帯電制御剤)
帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体またはその化合物、タングステンの単体またはその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、等が挙げられる。
帯電制御剤を内層に存在するトナー粒子本体中の樹脂相に選択的に含有させることで、感光体、キャリア等の他の部材への帯電制御剤のスペントを抑制させることができる。本発明のトナーの製造方法では、帯電制御剤の配置を比較的自由に設計することがあり、各々の画像形成プロセスに応じて任意の配置を取ることができる。
帯電制御剤のトナーに対する含有量としては、前記樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、結着樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。帯電制御剤の含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
(流動性向上剤)
トナー母体粒子および添加剤などのトナー組成分として流動性向上剤が適宜用いられる。流動性向上剤とは、トナー組成分(例えば、粒子)の表面処理を行って疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止する剤のことであり、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、等が挙げられる。シリカや、酸化チタンなどの粒子は、このような流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用するのが特に好ましい。
(クリーニング性向上剤)
クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加される剤のことであり、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
〔層状無機鉱物〕
必要に応じてトナー中に層状無機鉱物を含有させてもよい。層状無機鉱物は厚さ数nmの層が重ね合わさってできている無機鉱物のことを言い、有機物イオンで変性するとはその層間に存在するイオンに有機物イオンを導入することを言う。具体的には、特表2003−515795号公報、特表2006−500605号公報および特表2006−503313号公報に述べられている。これを広義にはインターカレーションと言う。
層状無機鉱物としては、スメクタイト族(モンモリロナイト、サポナイトなど)、カオリン族(カオリナイトなど)、マガディアイト、カネマイトが知られている。変性層状無機鉱物はその変性された層状構造により親水性が高い。その為、層状無機鉱物を変性すること無しに水系媒体中に分散して造粒するトナーに用いると、水系媒体中に層状無機鉱物が移行し、トナーを異形化することができないが、変性することにより、親水性が高くなり、かかる変性層状無機鉱物は、トナーの製造時に微細化すると共に異形化し、トナー粒子の表面部分に特に多く存在し、電荷調節機能を果たすと共に、低温定着にも貢献する。このとき、トナー材料中の変性層状無機鉱物の含有量は、0.05〜5質量%であることが好ましい。
本発明に用いる変性層状無機鉱物は、スメクタイト系の基本結晶構造を持つものを有機カチオンで変性したものが望ましい。また、層状無機鉱物の2価金属の一部を3価の金属に置換することにより、金属アニオンを導入することができる。しかし、金属アニオンを導入すると親水性が高いため、金属アニオンの少なくとも一部を有機アニオンで変性した層状無機化合物が望ましい。
前記層状無機鉱物が有するイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物の、有機物イオン変性剤としては第4級アルキルアンモニウム塩、フォスフォニウム塩やイミダゾリウム塩などが挙げられるが、第4級アルキルアンモニウム塩が望ましい。前記第4級アルキルアンモニウムとしては、トリメチルステアリルアンモニウム、ジメチルステアリルベンジルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウム、オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムなどが挙げられる。
前記有機物イオン変性剤としては、さらに分岐、非分岐または環状アルキル(C1〜C44)、アルケニル(C1〜C22)、アルコキシ(C8〜C32)、ヒドロキシアルキル(C2〜C22)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を有する硫酸塩、スルフォン酸塩、カルボン酸塩、またはリン酸塩が挙げられる。エチレンオキサイド骨格を持ったカルボン酸が望ましい。
層状無機鉱物を、少なくとも一部を有機物イオンで変性することにより、適度な疎水性を持ち、トナー組成物および/またはトナー組成物前駆体を含む油相が非ニュ−トニアン粘性を持ち、トナーを異形化することができる。このとき、トナー材料中の一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物の含有量は、0.05〜5質量%であることが好ましい。
一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物は、適宜選択することができるが、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、セピオライトおよびこれらの混合物等が挙げられる。中でも、トナー特性に影響を与えず、容易に粘度調整ができ、添加量を少量とすることができることから有機変性モンモリロナイトまたはベントナイトが好ましい。
一部を有機物カチオンで変性した層状無機鉱物の市販品としては、Bentone 3、Bentone 38、Bentone 38V(以上、レオックス社製)、チクソゲルVP(United catalyst社製)、クレイトン34、クレイトン40、クレイトンXL(以上、サザンクレイ社製)等のクオタニウム18ベントナイト;Bentone27(レオックス社製)、チクソゲルLG(United catalyst社製)、クレイトンAF、クレイトンAPA(以上、サザンクレイ社製)等のステアラルコニウムベントナイト;クレイトンHT、クレイトンPS(以上、サザンクレイ社製)等のクオタニウム18/ベンザルコニウムベントナイトが挙げられる。特に好ましいのはクレイトンAF、クレイトンAPAがあげられる。また一部を有機アニオンで変性した層状無機鉱物としてはDHT−4A(協和化学工業社製)に下記一般式(3)で表される有機アニオンで変性させたものが特に好ましい。下記一般式(3)は例えばハイテノール330T(第一工業製薬社製)が挙げられる。
(OR)nOSOM ・・・一般式(3)
[式(3)中、Rは炭素数13を有するアルキル基、Rは炭素数2から6を有するアルキレン基を表す。nは2から10の整数を表し、Mは1価の金属元素を表す。]
変性層状無機鉱物を用いることにより、適度な疎水性を持ち、これを有するトナーの製造過程においてトナー組成物を含む油相が非ニュートニアン粘性を持ち、トナーを異形化することができる。
(無機微粒子)
本発明においては、トナー母体粒子表面に体積平均粒径が異なる少なくとも2種類のシリカ粒子、すなわち、非球形な大粒径のシリカ合着粒子および小粒径の球形シリカ粒子が外添剤として適量添加されるが、さらにその他の無機微粒子を用いることができる。
無機微粒子は、トナー粒子に流動性、現像性、帯電性等を付与するための外添剤として適宜使用することができる。このような無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、等からなる微粒子を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明において用いる非球形な大粒径シリカは、例えば、40nm程度〜130nm程度の平均一次粒径を有するシリカおよび/または溶融シリカの一次粒子を二次凝集させた100nm程度〜220nm程度の平均二次粒径を有する非球形の合着シリカ(二次粒子)である。つまり、合着シリカとは、シリカおよび/または溶融シリカの一次粒子同士を、処理剤を用いて化学結合させることにより二次凝集させたシリカのことを指す。
本発明で用いる合着シリカは、結晶シリカおよび/または溶融シリカの一次粒子同士を、処理剤を用いて化学結合させることにより調製するが、処理剤としては、アルコキシシラン類、シラン系カツプリング剤、クロロシラン類、シラザン類などのシラン系処理剤または液状エポキシ樹脂などのエポキシ系処理剤が好ましく用いられる。
アルコキシシラン類、シラン系カツプリング剤などのシラン系処理剤を用いてシリカ一次粒子を処理した場合には、シリカ一次粒子に結合するシラノール基とシラン系処理剤に結合するアルコキシ基が反応し、脱アルコールにより新たなSi−O−Si結合を形成する。すなわち下記式(I)に示すようにシリカ一次粒子はシラン系処理剤を介して、化学結合により二次凝集する。式(I)中、Rはアルキル基を示す。
クロロシラン類を用いてシリカ一次粒子を処理した場合には、クロロシラン類のクロル基とシリカ一次粒子に結合するシラノール基が脱塩化水素反応により新たなSi−O−Si結合を、また系が水に共存する場合には、まずクロロシラン類が水に加水分解してシラノール基を生成し、該シラノール基とシリカ一次粒子に結合するシラノール基が脱水反応によりそれぞれ新たなSi−O−Si結合を生成して二次凝集する。
また、シラザン類はアミノ基とシリカ一次粒子に結合するシラノール基が脱アンモニアすることにより、新たなSi−O−Si結合を生成して二次凝集する。
一方、エポキシ系処理剤を用いてシリカ一次粒子を処理した場合には、シリカ一次粒子に結合するシラノール基が、エポキシ系処理剤のエポキシ基酸素原子およびエポキシ基に結合する炭素原子を付加し、新たなSi−O−C結合を形成する。すなわち下記式(II)に示すようにシリカ一次粒子はエポキシ系処理剤を介して、化学結合により二次凝集する。
本発明で用いる合着シリカは、1次粒子であるシリカを調製後に、該シリカをシラン系処理剤またはエポキシ系処理剤を用いた処理により調製して用いてもよいが、例えば、ゾルゲル法でシリカを合成する際に、シラン系処理剤またはエポキシ系処理剤を共存させて、一段反応にて調製してもよい。
また、処理剤としての使用は、生成するSi−O−Si結合の方がSi−O−Si結合よりも熱に対して安定であるため、シラン系処理剤の方がエポキシ系処理剤よりも望ましい。
前述のシラン系処理剤であるアルコキシシラン類としては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、シラン系処理剤であるシラン系カツプリング剤としては、具体的には、γ−アミノプロピルトルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシランなどが挙げられる。
さらに、アルコキシシラン類またはシラン系カツプリング剤以外のシラン系処理剤としては、具体的にビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、メチルフエニルジクロロシラン、フエニルトリクロロシラン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ヘキサメチルジシラザン、サイクリツクシラザン混合物などが挙げられる。
エポキシ系処理剤としては、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
本発明で用いる合着シリカは、結晶シリカおよび/または溶融シリカの1次粒子を、上記の処理剤を用いて化学結合させて調製するが、その処理は、まずシリカ1次粒子と処理剤を重量比で100:0.01〜100:50にて公知の混合機、例えば、スプレードライヤーなど用いて混合する。その際、処理助剤として、例えば、水または1%酢酸水溶液などを適宜加えてもよい。シリカ1次粒子と処理剤の混合物を、次いで焼成するが、その焼成温度は100〜2500℃の温度範囲から選ばれる。また、焼成時間は0.5〜30時間でよい。
シリカの合着度は、一次粒子径の調整、処理剤の種類および量並びに処理条件によって任意に制御できる。
なお、シリカの合着度は、前述の<合着度の測定>で記載したように、FE−SEMにて観察した粒子の二次粒子径(図1)と一次粒子径(図2)から算出される。合着度=[二次粒子径]/[一次粒子径]で求められる。
すなわち、凝集力は、エポキシ系処理剤よりもシラン系処理剤を用いた方が、また処理剤の量をシリカ1次粒子に対して増加させた方が、また焼成温度が高い方が、それぞれ強くすることができて合着度が高くなる傾向にある。一方で、焼成時間を延ばすことで非合着粒子の割合を低減することができる。しかしながら、過剰な時間延長は合着粒子同士の凝集を助長し、トナーへの付着性に問題が出る恐れが生じる。
(磁性材料)
内添剤としては、トナー特性としての帯電性を阻害しない程度に使用され、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、マンガン、ニッケル等の金属、合金、またはこれら金属を含有する化合物などの磁性体などが使用される。
(滑剤)
滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩等が挙げられる。
[本発明のトナーを構成するトナー母体粒子の製造方法]
本発明のトナー母体粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉砕法や重合法である乳化凝集法や溶解懸濁法など油相を水相中で溶解または分散させて製造する(油相/水相法)方法が挙げられるが、小粒径化、Dv/Dnの小さいトナーを得るためには溶解懸濁法が好適に用いられる。
各々の製法としては、具体的には以下のようにして製造する。
<粉砕法>
前記粉砕法は、例えば、トナー材料を混合した混合物を溶融混練機に仕込んで溶融・混練し、粉砕、分級等することにより、トナー母体粒子を得る方法である。
なお、該粉砕法の場合、トナーの平均円形度を0.97〜1.0の範囲にする目的で、得られたトナー母体粒子に対し、機械的衝撃力を与えて形状を制御してもよい。この場合、該機械的衝撃力は、例えば、ハイブリタイザー、メカノフュージョンなどの装置を用いて付与することができる。
トナー材料を含む油相を水系媒体からなる水相中に分散させて造粒する油相/水相法としては、溶解懸濁法や乳化凝集法などが挙げられ、それぞれ以下のように製造される。
<溶解懸濁法>
本発明のトナーを構成するトナー母体粒子の製造方法においては、結着樹脂または結着樹脂原料と着色剤とを主成分としたトナー材料を有機溶媒中に溶解または分散させて形成した溶解物または分散物(油相)を、水系媒体(水相)中で乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を調製して造粒される。
トナー母体粒子の製造方法においては、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを少なくとも含むトナー材料の溶解乃至分散液(油相)を、水系媒体(水相)中に乳化乃至分散させ、水系媒体中で活性水素基含有化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを反応させて造粒することが好ましい。水系媒体中で活性水素基含有化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを反応させることにより、後述する接着性基材を生成させることが好ましい。
特に、トナー母体粒子としては、有機溶媒と、分子構造中に少なくともエステル結合と該エステル結合以外の結合単位を含む変性ポリエステルを生成可能な活性水素基含有化合物および該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを含む溶解液または分散液を水相中に分散させて乳化分散液とし、該乳化分散液中で前記活性水素基含有化合物と前記重合体とを架橋反応および/または伸長反応させ、該乳化分散液から有機溶媒を除去して造粒されたものであることが好ましい。活性水素基含有化合物と該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を架橋反応および/または伸長反応させたポリマーは変性ポリエステルであり、接着性基材としての機能を有する。
(トナー材料の溶解乃至分散液)
トナー材料の溶解乃至分散液は、トナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させて調製される。トナー材料としては、トナーを形成可能である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性水素基含有化合物、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)のいずれかを含み、さらに必要に応じて、未変性ポリエステルや、離型剤、着色剤、帯電制御剤等の上記その他の成分を含んでいてもよい。トナー材料の溶解乃至分散液は、トナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させて調製することが好ましい。なお、有機溶媒は、トナーの造粒時乃至造粒後に除去することが好ましい。
(有機溶媒)
トナー材料を溶解乃至分散する有機溶媒としては、トナー材料を溶解乃至分散可能な溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーの造粒時乃至造粒後の除去の容易性の点で沸点が150℃未満のものが好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を用いることができる。また、エステル系溶剤が好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー材料100質量部に対し40〜300質量部が好ましく、60〜140質量部がより好ましく、80〜120質量部がさらに好ましい。なお、トナー材料の溶解乃至分散液の調製は、有機溶媒中に、活性水素基含有化合物、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、未変性ポリエステル、離型剤、着色剤、帯電制御剤、等のトナー材料を、溶解乃至分散させることにより行うことができる。また、トナー材料の中で、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)以外の成分は、後述する水系媒体の調製において、水系媒体中に添加混合してもよいし、あるいは、トナー材料の溶解乃至分散液を水系媒体に添加する際に、溶解乃至分散液と共に水系媒体に添加してもよい。
(水系媒体)
水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶剤、これらの混合物、などを用いることができるが、これらの中でも、水が特に好ましい。水と混和可能な溶剤としては、水と混和可能であれば特に制限はなく、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類、などを用いることができる。アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。また、低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(乳化乃至分散)
トナー材料の溶解乃至分散液の水系媒体中への乳化乃至分散は、トナー材料の溶解乃至分散液を水系媒体中で攪拌しながら分散させることが好ましい。分散の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の分散機などを用いて行うことができる。分散機としては、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機などが挙げられる。このトナーの製造方法においては、乳化乃至分散の際、活性水素基含有化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と、を伸長反応乃至架橋反応させると、接着性基材が生成する。
(接着性基材)
接着性基材は、紙等の記録材に対し接着性を示し、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と、を水系媒体中で反応させてなる接着性ポリマーを含むことが好ましい。なお、公知の結着樹脂から適宜選択した結着樹脂を含んでいてもよい。接着性基材の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3,000以上が好ましく、5,000〜1,000,000がより好ましく、7,000〜500,000が特に好ましい。何故なら、重量平均分子量が、3,000未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがあるからである。
接着性基材のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、30〜70℃が好ましく、40〜65℃がより好ましい。何故なら、ガラス転移温度(Tg)が30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が十分でないことがあるからである。本実施形態の電子写真用トナーでは、架橋反応、伸長反応した変性ポリエステルが共存しているので、従来のポリエステル系トナーと比較してガラス転移温度が低くても良好な保存性を示す。
ガラス転移温度(Tg)は、例えば、TG−DSCシステムTAS−100(理学電機社製)を用いて、以下の方法により測定する。まず、トナー約10mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットにのせ、電気炉中にセットする。室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置し、室温まで試料を冷却して10min放置する。その後、窒素雰囲気下、150℃まで昇温速度10℃/minで加熱して示差走査熱量計(DSC)によりDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、TG−DSCシステムTAS−100システム中の解析システムを用いて、ガラス転移温度(Tg)近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点からガラス転移温度(Tg)を算出する。
接着性基材用の樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリエステル系樹脂、などが特に好適である。ポリエステル系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ウレア変性ポリエステル系樹脂などが特に好適なものとして挙げられる。ウレア変性ポリエステル系樹脂は、活性水素基含有化合物としてのアミン類(B)と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体としてのイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)とを水系媒体中で反応させて得られる。ウレア変性ポリエステル系樹脂は、ウレア結合のほかに、ウレタン結合を含んでいてもよい。この場合、該ウレア結合と該ウレタン結合との含有モル比(ウレア結合/ウレタン結合)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が特に好ましい。何故なら、ウレア結合が10未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがあるからである。
ウレア変性ポリエステルの好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
(1)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物およびイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物およびイソフタル酸の重縮合物との混合物
(2)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物およびイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物およびテレフタル酸の重縮合物との混合物
(3)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物およびテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物およびテレフタル酸の重縮合物との混合物
(4)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物およびテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物およびテレフタル酸の重縮合物との混合物
(5)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物およびテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーを、ヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物およびテレフタル酸の重縮合物との混合物
(6)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物およびテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物およびテレフタル酸の重縮合物との混合物(7)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物およびテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをエチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物およびテレフタル酸の重縮合物との混合物
(8)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物およびイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物およびイソフタル酸の重縮合物との混合物
(9)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物およびテレフタル酸/ドデセニルコハク酸無水物の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物およびテレフタル酸の重縮合物との混合物
(10)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物およびイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物およびイソフタル酸の重縮合物との混合物
接着性基材として、例えば、ウレア変性ポリエステルを用いる場合には、例えば、〔1〕活性水素基含有化合物と反応可能な重合体[例えば、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)]を含むトナー材料の溶解乃至分散液を、活性水素基含有化合物[例えば、アミン類(B)]と共に、水系媒体中に乳化乃至分散させて油滴を形成し、該水系媒体中で(A)と(B)の両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよいし、〔2〕トナー材料の溶解乃至分散液を、予め活性水素基含有化合物を添加した水系媒体中で乳化乃至分散させ、油滴を形成し、該水系媒体中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよい。あるいは〔3〕トナー材料の溶解乃至分散液を、水系媒体中に添加混合させた後で、活性水素基含有化合物を添加し、油滴を形成し、該水系媒体中で粒子界面から両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよい。なお、〔3〕の場合、生成するトナー表面に優先的に変性ポリエステルが生成され、該トナー粒子に濃度勾配を設けることが可能となる。
乳化乃至分散により、接着性基材を生成させるための反応条件としては、特に制限はなく、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と活性水素基含有化合物との組み合わせに応じて適宜選択することができる。なお、反応時間としては、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。
水系媒体中において、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、例えば、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)を含む分散体を安定に形成する方法としては、例えば、水系媒体中に、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)、着色剤、離型剤、帯電制御剤、未変性ポリエステル等のトナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させて調製したトナー材料の溶解乃至分散液を添加し、せん断力により分散させる方法、等が挙げられる。
乳化乃至分散において、水系媒体の使用量としては、トナー材料100質量部に対し、50〜2,000質量部が好ましく、100〜1,000質量部がより好ましい。何故なら、使用量が50質量部未満であると、トナー材料の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがあり、2,000質量部を超えると、生産コストが高くなるからである。
高分子系保護コロイドとしては、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アミド化合物またはこれらのメチロール化合物、クローライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類、等が挙げられる。酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。また、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。また、アミド化合物またはこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、またはこれらのメチロール化合物、などが挙げられる。
クローライド類としては、例えば、アクリル酸クローライド、メタクリル酸クローライド等が挙げられる。また、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等ホモポリマーまたは共重合体としては、例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。
ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等が挙げられる。
セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能な分散安定剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法等によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することが可能となる。
(有機溶媒の除去)
乳化乃至分散により得られた乳化スラリーから、有機溶媒を除去する。有機溶媒の除去は、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法、(2)乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法、等が挙げられる。
有機溶媒の除去が行われるとトナー母体粒子が形成される。形成されたトナー母体粒子に対し、洗浄、乾燥等を行い、さらにその後、所望により分級等を行う。該分級は、例えば、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行う。なお、乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよい。
得られたトナー母体粒子表面に体積平均粒径が異なる少なくとも2種類のシリカ粒子を含む外添剤が添加されて静電潜像現像用トナーとされる。
<乳化凝集法>
トナー材料を含む油相、またはモノマー相を、水系媒体(水相)に分散および/または乳化して造粒し、トナー母体粒子を得る乳化重合凝集法がある。
本発明のトナーを構成するトナー母体粒子を製造する場合に、乳化重合凝集融合法を適用すると、本発明の目標とする特性が得やすい。すなわち、乳化重合により作製した樹脂粒子分散液と、少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物、顔料、離型剤等を分散した分散液とを共にヘテロ凝集させ、その後融合合一させる乳化重合凝集融合法(略称、乳化凝集法)で製造すると、本発明の目標とする特性を容易に得ることができる。
乳化重合凝集融合法は、乳化重合法で調製した樹脂粒子分散液と、別途用意した少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物、着色剤分散液と、必要に応じ離型剤分散液を混合し、少なくとも樹脂粒子と少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物と着色剤とを凝集させて、凝集粒子を形成する凝集粒子分散液の調製工程(以下「凝集工程」と称することがある)、および凝集粒子を加熱融合してトナー粒子を形成する工程(以下「融合工程」と称することがある)を含む。
凝集工程においては、樹脂粒子分散液、少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物、着色剤分散液、必要に応じて離型剤分散液を互いに混合し、樹脂粒子などを凝集して凝集粒子を形成する。凝集粒子はヘテロ凝集等により形成され、その際に凝集粒子の安定化、粒径/粒度分布制御を目的として、凝集粒子とは極性が異なるイオン性界面活性剤や、金属塩等の一価以上の電荷を有する化合物を添加することができる。融合工程においては、凝集粒子中の樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱して溶融する。
融合工程の前段で、凝集粒子分散液にその他の微粒子分散液を添加混合して凝集粒子の表面に微粒子を均一に付着して付着粒子を形成する付着工程を設けることができる。さらに凝集粒子分散液に少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物分散液を添加混合して凝集粒子の表面に少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物を均一に付着して付着粒子を形成する付着工程を設けることができる。
また、少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物の付着を強固なものにするために、少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物を付着させた後に、その他の微粒子分散液を添加混合して凝集粒子の表面に微粒子を均一に付着して付着粒子を形成する付着工程を設けることができる。これらの付着粒子はヘテロ凝集等により形成される。この付着粒子分散液も上記と同様に樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して融合し、融合粒子を形成する。
融合工程で融合された融合粒子は、水系媒体中に着色融合粒子分散液として存在しており、これを洗浄工程において水系媒体から融合粒子を取り出すのと同時に、前記各工程において混入した不純物等を除去し、これを乾燥して粉体としてのトナー母体粒子を得る。
洗浄工程においては、酸性、場合によっては塩基性の水を融合粒子に対して数倍の量で加えて攪拌した後、ろ過して固形分を得る。これに純水を固形分に対して数倍加えて攪拌した後、ろ過を行う。これを数回繰り返し、ろ過後のろ液のpHが約7になるまで繰り返し、着色されたトナー粒子を得る。乾燥工程においては、洗浄工程で得たトナー粒子をガラス転移点未満の温度で乾燥する。この時必要に応じて乾燥空気を循環させたり、真空条件下で加熱する等の方法がとられる。
乾燥して得られたトナー母体粒子表面に体積平均粒径が異なる少なくとも2種類のシリカ粒子を含む外添剤を添加して静電潜像現像用トナーを得る。
本発明では、樹脂粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液の分散性の安定化のために、乳化剤である前記有機酸金属塩の脂環式化合物をそのまま用いることができる。しかし、着色剤分散液、離型剤分散液のpHによる安定性等により、必ずしも塩基性条件下で安定でない場合、また樹脂粒子分散液の経時安定性の理由により、若干量の界面活性剤を用いることができる。
その界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
これらの中でもイオン性界面活性剤が好ましく、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤がより好ましい。本発明のトナーにおいて、一般的にはアニオン性界面活性剤は分散力が強く、樹脂粒子、着色剤の分散性に優れているため、離型剤を分散させるための界面活性剤としてはカチオン性界面活性剤が有利である。非イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤と併用されるのが好ましい。界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油ナトリウム等の脂肪酸セッケン類;オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、ノニルフェニルエーテルサルフェート等の硫酸エステル類;ラウリルスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリイソプピルナフタレンスルホネート、ジブチルナフタレンスルホネートなどのアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、モノオクチルスルホサクシネート、ジオクチルスルホサクシネート、ラウリン酸アミドスルホネート、オレイン酸アミドスルホネート等のスルホン酸塩類;ラウリルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ノニルフェニルエーテルホスフェート等のリン酸エステル類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸塩類、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等のスルホコハク酸塩類;などが挙げられる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン酢酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩等のアミン塩類;ラウリルトリメチルアンモニウムクローライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクローライド、ジステアリルアンモニウムクローライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクローライド、ラウリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクローライド、オレイルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクローライド、ラウロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ラウロイルアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパークロレート、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクローライド、アルキルトリメチルアンモニウムクローライド等の4級アンモニウム塩類などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート等のアルキルエステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル、ポリオキシエチレン大豆アミノエーテル、ポリオキシエチレン牛脂アミノエーテル等のアルキルアミン類;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のアルキルアミド類;ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンナタネ油エーテル等の植物油エーテル類;ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のソルビタンエステルエーテル類などが挙げられる。
界面活性剤の各分散液中における含有量は、本発明の特徴を阻害しない程度であれば良く、一般的には少量であり、具体的には樹脂粒子分散液の場合0.01〜1質量%程度であり、好ましくは0.02〜0.5質量%であり、より好ましくは0.1〜0.2質量%である。含有量が0.01質量%未満の場合、特に樹脂粒子分散液のpHが十分に塩基性でない状態で凝集を生じる場合がある。着色剤分散液、離型剤分散液の場合の含有量は、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜0.2質量%である。含有量が0.01質量%未満では、凝集時に各粒子間の安定性が異なるため、特定粒子の遊離が生じるなどの問題があり、また10質量%を超えると粒子の粒度分布が広くなったり、粒子径の制御が困難になるなどの問題があり好ましくない。
本発明のトナーは、トナー母体粒子表面に体積平均粒径が異なる少なくとも2種類のシリカ粒子を含む外添剤が添加されて製造される。本発明におけるトナー母体粒子および添加剤などに用いるトナー材料として、結着樹脂、着色剤および離型剤以外にも、目的に応じて、その他の成分(磁性材料、帯電制御剤、無機微粒子、有機微粒子、滑剤、研磨材、等)を含有することができる。
(磁性材料)
内添剤としては、トナー特性としての帯電性を阻害しない程度に使用され、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、マンガン、ニッケル等の金属、合金、またはこれら金属を含有する化合物などの磁性体などが使用される。
(帯電制御剤)
帯電制御剤には特に制限はないが、特にカラートナーにおいては、無色または淡色のものが好ましく使用される。例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが使用される。
(無機微粒子、有機微粒子)
本発明においては、トナー母体粒子表面に体積平均粒径が異なる少なくとも2種類のシリカ粒子(非球形な大粒径のシリカ合着粒子、および小粒径の球形シリカ粒子)が外添剤として適量添加されるが、さらにその他の無機微粒子を用いることができる。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム等の通常トナー表面の外添剤として使用される全ての粒子が挙げられる。
有機微粒子としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーン樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される全ての粒子が挙げられる。
なお、これらの無機微粒子や有機微粒子は、流動性助剤、クリーニング助剤等として使用することができる。
(滑剤)
滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩等が挙げられる。
(研磨剤)
研磨剤としては、例えば、前述のシリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
前記のように樹脂粒子分散液、少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物分散液、着色剤分散液、および離型剤分散液を混合するときに、着色剤の含有量は50質量%以下であれば良く、2〜40質量%の範囲が好ましい。少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物の含有量は0.05〜10質量%の範囲が好ましい。また、その他の成分の含有量は、本発明の目的を阻害しない程度であればよく、一般的には極少量であり、具体的には0.01〜5質量%範囲であり、0.5〜2質量%の範囲が好ましい。
本発明において、樹脂粒子分散液、少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物分散液、着色剤分散液、離型剤分散液およびその他の成分の分散液の分散媒として、例えば水系媒体などが使用される。水系媒体の具体例としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の凝集粒子分散液を調製する工程においては、乳化剤の乳化力をpHで調整して凝集を発生させ、凝集粒子を調整することができる。同時に粒子の凝集を安定に、また迅速に、より狭い粒度分布を持つ凝集粒子を得る方法ために、凝集剤を添加してもよい。凝集剤としては一価以上の電荷を有する化合物が好ましく、具体的には、前記のイオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の水溶性界面活性剤類、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩、酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩、ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩、アミノ酸の金属塩、トリエタノールアミン塩酸塩、アニリン塩酸塩等の脂肪族、芳香族アミン類の無機酸塩類等が挙げられる。凝集粒子の安定性、凝集剤の熱や経時に対する安定性、洗浄時の除去を考慮するときに、無機酸の金属塩が性能、使用の点で好ましい。
これらの凝集剤の添加量は、電荷の価数により異なるが、いずれも少量であり、一価の場合は3質量%以下、二価の場合は1質量%以下、三価の場合は0.5質量%以下程度である。凝集剤の添加量は少ない方が好ましく、価数の多い化合物の方が添加量を少なくすることができるので好適である。
本発明の現像剤は、本発明の静電潜像現像用トナー(略称、「トナー」)からなる一成分現像剤または本発明のトナーとキャリアからなる二成分現像剤のいずれであってもよいが、情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命等の点で二成分現像剤を用いることが好ましい。本発明の二成分現像剤は前記本発明のトナーを備えることを特徴としており、現像剤に含まれるキャリアは特に限定されるものではない。
キャリアは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有することが好ましい。
芯材の材料は、特に制限はなく、例えば、マンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料、鉄粉、マグネタイト、銅−ジンク(Cu−Zn)系などが挙げられる。樹脂層の材料は、特に制限はなく公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の画像形成装置は、電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、本発明のトナーを用いて、該静電潜像を現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着手段とを有することを特徴とするものである。
つまり、本発明の画像形成装置は、前記本発明のトナーを備えることを特徴としており、静電潜像形成工程(帯電工程と露光工程)と、現像工程と、転写工程と、定着工程と、クリーニング工程を行う手段を有していればよく、必要に応じて、除電工程、リサイクル工程、制御工程等の工程を行う手段をさらに有してもよい。
本発明のトナーを備えることにより、静電潜像担持体の線速が300mm/sec以上であってもメダカの発生や、それに伴うメダカフィルミングの発生がなく、長期に亘って高画質の画像形成が可能である。
静電潜像形成工程は、像担持体上に静電潜像を形成する工程である。像担持体の材質、形状、構造、大きさ等は、公知のものの中から適宜選択することができる。材質は、アモルファスシリコン、セレン等の無機物質、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機物質等が挙げられるが、長寿命であることからアモルファスシリコンが好ましい。また、形状は、ドラム状であることが好ましい。静電潜像は、像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより形成することができ、静電潜像形成手段により行うことができる。静電潜像形成手段は、像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器(帯電手段)と、像担持体の表面を露光する露光器(露光手段)を有することが好ましい。
帯電は、帯電器を用いて像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。帯電器は、目的に応じて適宜選択することができるが、導電性または半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器等が挙げられる。
露光は、露光器を用いて像担持体の表面を露光することにより行うことができる。露光器は、目的に応じて適宜選択することができるが、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光器を用いることができる。なお、像担持体の裏面側から露光を行う光背面方式を採用してもよい。
現像工程は、静電潜像を、本発明のトナーを用いて現像することにより、可視像を形成する工程である。可視像は、現像手段を用いて形成することができる。現像手段は、公知のものの中から適宜選択することができ、本発明のトナーを収容し、静電潜像にトナーを接触または非接触的に付与可能な現像器を有することが好ましい。現像器は、乾式現像方式であってもよいし、湿式現像方式であってもよい。また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよい。具体的には、現像剤を摩擦攪拌することにより帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラを有する現像器等が挙げられる。現像器に収容される現像剤は、本発明のトナーを用いた現像剤であるが、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
二成分現像剤を有する現像器内では、トナーとキャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、像担持体の近傍に配置されているため、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって像担持体の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて像担持体の表面にトナーによる可視像が形成される。
転写工程は、可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、中間転写体上に可視像を一次転写した後、可視像を記録媒体上に二次転写することが好ましい。このとき、用いられるトナーは、モノクロ、フルカラー、あるいは透明トナーを用いることができる。通常二色以上同時に重ねて現像するため、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程を有することがより好ましい。
転写は、転写手段を用いて像担持体を帯電することにより行うことができる。転写手段は、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段を有することが好ましい。なお、中間転写体は、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、転写ベルト等を用いることができる。
転写手段は、像担持体上に形成された可視像を記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を有することが好ましい。転写手段は、一つであってもよいし、複数であってもよい。転写器の具体例としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器等が挙げられる。なお、記録媒体は、公知の記録媒体の中から適宜選択することができ、記録紙等を用いることができる。
定着工程は、定着手段を用いて記録媒体に転写された可視像を定着させる工程であり、各色のトナーが記録媒体に転写される毎に定着してもよいし、各色のトナーを積層した状態で一度に定着してもよい。定着手段は、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段を用いることができる。加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトの組み合わせ等が挙げられる。加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃であることが好ましい。なお、目的に応じて、定着手段と共に、または、これらに代えて、公知の光定着器を用いてもよい。
除電工程は、像担持体に除電バイアスを印加することにより除電する工程であり、除電手段を用いて行うことができる。除電手段は、公知の除電器の中から適宜選択することができ、除電ランプ等を用いることができる。
クリーニング工程は、像担持体上に残留するトナーを除去する工程であり、クリーニング手段を用いて行うことができる。クリーニング手段は、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等を用いることができる。ブレードクリーナを用いることが好ましい。
リサイクル工程は、クリーニング工程により除去したトナーを現像手段でリサイクルする工程であり、リサイクル手段を用いて行うことができる。リサイクル手段は、目的に応じて適宜選択することができ、公知の搬送手段等を用いることができる。
制御工程は、各工程を制御する工程であり、制御手段を用いて行うことができる。制御手段は、目的に応じて適宜選択することができ、シークエンサー、コンピュータ等の機器を用いることができる。
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の画像形成装置に用いるものであり、像担持体と、少なくとも帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる一つの手段を一体に支持し、本発明の画像形成装置本体に着脱自在である。
図3に、本発明で用いられる画像形成装置の一例を示す。画像形成装置100Aは、増担持体としてのドラム状の感光体10と、帯電手段としての帯電ローラ20と、露光手段としての露光装置30と、現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、除電手段としての除電ランプ70とを備える。
中間転写体50は、無端ベルトであり、矢印方向に移動することができるように3個のローラ51で張架されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加することができる転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50の近傍には、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。また、記録媒体としての記録紙95に可視像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加することができる転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部の間に配置されている。
現像装置40は、現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像器45K、イエロー現像器45Y、マゼンタ現像器45Mおよびシアン現像器45Cとから構成されている。なお、ブラック現像器45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kを備えており、イエロー現像器45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像器45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mを備えており、シアン現像器45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、矢印方向に移動することができるように複数のベルトローラで張架され、一部が感光体10と接触している。
画像形成装置100Aにおいて、帯電ローラ20は、感光体10を一様に帯電させた後、露光装置30を用いて感光体10に露光を行い、静電潜像を形成する。次に、感光体10上に形成された静電潜像に、現像装置40から現像剤を供給することにより現像し、トナー像を形成する。さらに、トナー像がローラ51により印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、さらに記録紙95上に転写(二次転写)される。この結果、記録紙95上に転写像が形成される。なお、感光体10上に残存したトナーは、クリーニングブレードを有するクリーニング装置60により除去され、感光体10の帯電電荷は、除電ランプ70により除去される。
図4に、本発明で用いられる画像形成装置の他の例を示す。画像形成装置100Bは、図3において配置された現像ベルト41を備えず、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット(ブラック現像器)45K、イエロー現像ユニット(イエロー現像器)45Y、マゼンタ現像ユニット(マゼンタ現像器)45Mおよびシアン現像ユニット(シアン現像器)45Cが対向して配置されている以外は、画像形成装置100Aと同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図4において、図3におけるものと同じものは、同符号で示した。
図5に、本発明で用いられる画像形成装置の他の例を示す。画像形成装置100Cは、タンデム型カラー画像形成装置である。画像形成装置100Cは、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、図中、時計回りに移動することができるように、支持ローラ14、15および16に張架されている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上に残留したトナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14、15および16により張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色の画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50のタンデム型現像器120が配置された側と反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22は、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写体50は、互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧して配置された加圧ローラ27を備えている。
なお、画像形成装置100Cにおいては、二次転写装置22および定着装置25の近傍に、転写紙を反転させるシート反転装置28が配置されている。これにより、記録紙の両面に画像を形成することができる。
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。まず、原稿自動搬送装置400の原稿台130上に原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿がコンタクトガラス32上へ搬送された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は、直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33および第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により照射された光の原稿面からの反射光は、第2走行体34におけるミラーで反射され、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に受光される。これにより、カラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色の画像情報とされる。各色の画像情報は、タンデム型現像器120における各色の画像形成手段18にそれぞれ伝達され、各色のトナー像が形成される。
ブラック用感光体10K上のトナー像、イエロー用感光体10Y上のトナー像、マゼンタ用感光体10M上のトナー像およびシアン用感光体10C上のトナー像は、中間転写体50上に、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上で各色のトナー像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
図6に示すように、タンデム型現像器120における各色の画像形成手段18は、それぞれ、感光体10と、感光体10を一様に帯電させる帯電器59と、各色の画像情報に基づいて感光体10を露光(図中、L)することにより、感光体10上に静電潜像を形成する露光装置と、各色のトナーを用いて静電潜像を現像することにより、感光体10上に各色のトナー像を形成する現像器61と、各色のトナー像を中間転写体50上に転写する転写帯電器62と、感光体クリーニング装置63と、除電器64を備えている。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142aの一つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の一つから記録紙を繰り出し、分離ローラ145aで1枚ずつ分離して給紙路146に送り出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ142bを回転させて手差しトレイ52上の記録紙を繰り出し、分離ローラ145bで1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用してもよい。
そして、中間転写体50上に形成されたカラー転写像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間に記録紙を送り出すことにより、記録紙上にカラー転写像が形成される。なお、転写後の中間転写体50上に残留するトナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー転写像が形成され記録紙は、二次転写装置22により定着装置25に搬送されて、熱と圧力によりカラー転写像が記録紙上に定着される。その後、記録紙は、切り換え爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。または、切り換え爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を形成した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
以下、本発明を実施例および比較例にて更に詳細に説明する。なお、本発明は、ここに例示される実施例および比較例に限定されるものではない。なお、実施例中の部は、特に記載がなければ質量部を表す。
[トナーの製造]
評価に用いたトナーの具体的な作製例について説明する。本発明で用いるトナーは、これらの例に限定されるものではない。
(実施例1)
《トナー母体粒子Aの製造》
〜結晶性ポリエステルの合成〜
窒素導入管、脱水管、攪拌器および熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,6−アルカンジオール2300g、フマル酸2530g、無水トリメリット酸291g、ハイドロキノン4.9gを入れ、160℃で5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応させて[結晶性ポリエステル1]を得た。
〜非結晶性ポリエステル(低分子ポリエステル)の合成〜
窒素導入管、脱水管、攪拌器および熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で7時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で4時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[非結晶性ポリエステル1]を得た。ここで、非結晶性ポリエステル1は未変性ポリエステルに相当する。
〜ポリエステルプレポリマーの合成〜
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量Mnが2100、重量平均分子量Mwが9500、ガラス転移温度Tgが55℃、酸価が0.5、水酸基価が51であった。ここで、[中間体ポリエステル1]は未変性ポリエステルに相当する。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。ここで、[プレポリマー1]は変性ポリエステルであり「活性水素基含有化合物」に相当する。
〜ケチミンの合成〜
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。ここで、[ケチミン化合物1]は「活性水素基含有化合物と反応可能な重合体に相当する。
〜マスターバッチ(MB)の合成〜
水1200部、カーボンブラック(Printex35デクサ製)〔DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5〕540部、ポリエステル1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕して、[マスターバッチ1]を得た。
〜油相の作成〜
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[非結晶性ポリエステル1]378部、カルナバWAX110部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[非結晶性ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液を1042.3部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
〜結晶性ポリエステルの分散液作製〜
金属製2L容器に[結晶性ポリエステル1]を100g、酢酸エチル400gを入れ、75℃で加熱溶解させた後、氷水浴中で27℃/分の速度で急冷した。これにガラスビーズ(3mmφ)500mlを加え、バッチ式サンドミル装置(カンペハピオ社製)で10時間粉砕を行い、[結晶性ポリエステル分散液1]を得た。
〜有機微粒子エマルションの合成〜
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30:三洋化成工業製)11部、スチレン138部、メタクリル酸138部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し、5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、0.14μmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。
〜水相の調整〜
水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
〜乳化・脱溶剤〜
[顔料・WAX分散液1]664部、[プレポリマー1]を109.4部、[結晶性ポリエステル分散液1]を120.1部、[ケチミン化合物1]4.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数8,000rpmで60秒間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
〜洗浄・乾燥〜
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩いトナー母体粒子Aを得た。
〜シリカ粒子Aとして非球形シリカ粒子a〜pを製造〜
外添剤に用いるシリカ粒子Aとして、非球形シリカ粒子a〜pを製造した。それぞれの非球形シリカ粒子は、表1に記載した種々の平均一次粒子径(平均一次粒径)を有するシリカの一次粒子と、処理剤(ヘキサメチルジシラザン)とをスプレードライヤーにより混合して焼成することにより、一次粒子同士を合着させて製造した。また、外添剤の粒子としてシャープな粒度分布を得るために、分級装置にて分級処理を行い、表1に記載の種々の平均二次粒子径(平均二次粒径)を有する合着粒子(非球形シリカ粒子a〜p)を調製した。以下、「非球形シリカ粒子」を「非球形シリカ」と略称する。
〜外添処理〜
トナー母体粒子Aの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカaを1.1質量部、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)0.6質量部、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサーにて混合した。
混合順として、1段目にシリカ粒子Aのみ添加して混合、2段目に酸化チタンを追加して混合、3段目にシリカBを添加して混合した。混合後は、目開き500meshの篩を通過させ、トナー1を得た。
(実施例2)
実施例1の外添処理工程において、シリカ粒子Aとして非球形シリカbを1.1質量部、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)2.8質量部に変更した以外は同様に作製し、トナー2を得た。
(実施例3)
実施例1の外添処理工程において、シリカ粒子Aとして非球形シリカcを3.8質量部、シリカ粒子BとしてRX50(平均一次粒子径40nm、アエロジル社製)0.6質量部に変更した以外は同様に作製し、トナー3を得た。
(実施例4)
実施例1の外添処理工程において、シリカ粒子Aとして非球形シリカdを3.8質量部、シリカ粒子BとしてRX50(平均一次粒子径40nm、アエロジル社製)2.8質量部に変更した以外は同様に作製し、トナー4を得た。
(実施例5)
実施例1の外添処理工程において、シリカ粒子Aとして非球形シリカeを1.1質量部、シリカ粒子BとしてHDK/2000H(平均一次粒子径19nm、クラリアント社製)0.6質量部に変更した以外は同様に作製し、トナー5を得た。
(実施例6)
実施例1の外添処理工程において、シリカ粒子Aとして非球形シリカfを3.8質量部、シリカ粒子BとしてTG−C413(平均一次粒子径50nm、キャボット社製)0.6質量部に変更した以外は同様に作製し、トナー6を得た。
(実施例7)
実施例1の外添処理工程において、シリカ粒子Aとして非球形シリカgを1.1質量部、シリカ粒子BとしてHDK/2000H(平均一次粒子径19nm、クラリアント社製)2.8質量部に変更した以外は同様に作製し、トナー7を得た。
(実施例8)
実施例1の外添処理工程において、シリカ粒子Aとして非球形シリカhを3.8質量部、シリカ粒子BとしてTG−C413(平均一次粒子径50nm、キャボット社製)2.8質量部に変更した以外は同様に作製し、トナー8を得た。
(実施例9)
実施例1の外添処理工程において、シリカ粒子Aとして非球形シリカiを1.1質量部、シリカ粒子BとしてHDK/2000H(平均一次粒子径19nm、クラリアント社製)0.6質量部に変更した以外は同様に作製し、トナー9を得た。
(実施例10)
実施例1の外添処理工程において、シリカ粒子Aとして非球形シリカjを1.1質量部、シリカBとしてTG−C413(平均一次粒子径50nm、キャボット社製)0.6質量部に変更した以外は同様に作製し、トナー10を得た。
(実施例11)
実施例1の外添処理工程において、シリカ粒子Aとして非球形シリカkを3.8質量部、シリカ粒子BとしてHDK/2000H(平均一次粒子径19nm、クラリアント社製)2.8質量部に変更した以外は同様に作製し、トナー11を得た。
(実施例12)
実施例1の外添処理工程において、シリカ粒子Aとして非球形シリカlを3.8質量部、シリカ粒子BとしてTG−C413(平均一次粒子径50nm、キャボット社製)2.8質量部に変更した以外は同様に作製し、トナー12を得た。
(実施例13)
実施例1の外添処理工程において、シリカ粒子Aとして非球形シリカmを1.1質量部、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)0.6質量部に変更した以外は同様に作製し、トナー13を得た。
(実施例14)
実施例1の外添処理工程において、シリカ粒子Aとして非球形シリカnを3.8質量部、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)2.8質量部に変更した以外は同様に作製し、トナー14を得た。
(実施例15)
実施例1の外添処理工程において、シリカ粒子Aとして非球形シリカoを1.1質量部、シリカ粒子BとしてRX50(平均一次粒子径40nm、アエロジル社製)0.6質量部に変更した以外は同様に作製し、トナー15を得た。
(実施例16)
実施例1の外添処理工程において、シリカ粒子Aとして非球形シリカpを3.8質量部、シリカ粒子BとしてRX50(平均一次粒子径40nm、アエロジル社製)2.8質量部に変更した以外は同様に作製し、トナー16を得た。
(実施例17)
《トナー母体粒子Bの製造》
(トナー材料の溶解液乃至分散液の調製)
〜ポリエステルプレポリマーの合成〜
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で6時間反応した[中間体ポリエステル2]を得た。[中間体ポリエステル2]は、数平均分子量Mnが2100、重量平均分子量Mwが9000、ガラス転移温度Tgが58℃、酸価が0.5、水酸基価が51であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル2]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー2]を得た。
〜乳化・脱溶剤〜
[顔料・WAX分散液1]664部、[プレポリマー2]を109.4部、[ケチミン化合物1]4.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数11,000rpmで5分間混合し[乳化スラリー2]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー2]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[分散スラリー2]を得た。
〜洗浄・乾燥〜
[分散スラリー2]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ2]を得た。
[濾過ケーキ2]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩いトナー母体粒子Bを得た。
〜外添処理〜
トナー母体粒子Bの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカaを1.1質量部と、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)0.6質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とをヘンシェルミキサーにて混合した。
混合順として、1段目にシリカ粒子Aのみ添加して混合、2段目に酸化チタンを追加して混合、3段目にシリカ粒子Bを添加して混合した。混合後は、目開き500meshの篩を通過させ、トナー17を得た。
(実施例18〜32)
実施例2〜16においてトナー母体粒子Aをそれぞれトナー母体粒子Bに変更した以外は、同様に作製し、トナー18〜32を得た。
(実施例33)
《トナー母体粒子Cの製造》
(樹脂エマルジョンの調製)
下記組成のモノマーを均一に混合し、モノマー混合液を作製した。
スチレンモノマー ・・・・・・・・・・71部
アクリル酸n−ブチル ・・・・・・・・25部
アクリル酸 ・・・・・・・・・・・・・・4部
下記組成の水溶液混合物を反応機に入れ、攪拌下で70℃に加熱した。70℃に液の温度を保った攪拌状態で、上記モノマー混合液および過硫酸カリウム1%水溶液5部をそれぞれ同時に4時間で滴下し、さらに70℃で2時間重合させて、固形分50%の樹脂エマルジョンを得た。
水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・100部
ノニオン乳化剤(エマルゲン950) ・・・・1部
アニオン乳化剤(ネオゲンR) ・・・・1.5部
(トナー粒子の調製)
下記組成の混合物をディスパーを用いて25℃を保ち2時間攪拌した。
顔料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20部
帯電制御剤(E−84、オリエント化学工業社製) ・・・1部
アニオン乳化剤(ネオゲンR) ・・・・・・・・・・0.5部
水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・310部
次いでこの分散液に上記樹脂エマルジョンを188部添加し、約2時間攪拌した後60℃まで加熱し、これをアンモニアによってpH7.0に調整した。更に、この分散液を90℃まで加熱し、2時間この温度を保ち、[分散スラリー3]を得た。
[分散スラリー3]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%塩酸を加えpH2.8に調製し、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで10分間)した後濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ3]を得た。
[濾過ケーキ3]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体粒子Cを得た。
〜外添処理〜
トナー母体粒子Cの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカaを1.1質量部と、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)0.6質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とをヘンシェルミキサーにて混合した。
混合順として、1段目にシリカ粒子Aのみ添加して混合、2段目に酸化チタンを追加して混合、3段目にシリカ粒子Bを添加して混合した。混合後は、目開き500meshの篩を通過させ、トナー33を得た。
(実施例34〜48)
実施例2〜16においてトナー母体粒子Aをそれぞれトナー母体粒子Cに変更した以外は、同様に作製し、トナー34〜48を得た。
(実施例49)
《トナー母体粒子Dの製造》
(ポリエステル1、2の合成)
温度計、攪拌機、冷却器および窒素導入管の付いた反応槽中にビスフェノールAのPO付加物(ビスフェノールAにプロピレンオキシドが付加したもの:水酸基価320)443部、ジエチレングリコール135部、テレフタル酸211部、フマル酸211部およびジブチルチンオキサイド2.5部を入れて、150℃〜230℃で反応させて、ポリエステル1、2を得た。
(マスターバッチ1の調整)
トナーの処方に用いるマスターバッチ1(予め一部のポリエステル1中に着色剤を均一に分散したもの)を以下のようにして調製した。
下記マスターバッチ1の処方に示した材料を、ヘンシェルミキサー(ヘンシェル20B;三井鉱山社製)を用いて1500rpmで3分間混合し、得られた混合物を、2本ロールを用いて120℃で45分間混練後、圧延冷却してパルペライザーで粉砕し、マスターバッチ1を得た。
〔マスターバッチ1の処方〕
水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25部
銅フタロシアニン(東洋インキ社製) ・・・50部
ポリエステル1 ・・・・・・・・・・・・・100部
上記で得られたポリエステル1、ポリエステル2、マスターバッチ1、パラフィンワックス(HNP−11、日本精鑞社製)を用いて下記処方により製造した。
ポリエステル1 ・・・・・・・・51部
ポリエステル2 ・・・・・・・・45部
パラフィンワックス ・・・・・・・5部
マスターバッチ1 ・・・・・・・・8部
上記の処方に示した材料を、ヘンシェルミキサー(ヘンシェル20B:三井鉱山社製)を用いて1500rpmで3分間混合し、一軸混練機(小型ブス・コ・ニーダー:Buss社製)にて、設定温度:入口部90℃、出口部60℃、フィード量:10kg/Hrの条件で混練を行い、トナー母体粒子Dを得た。
〜外添処理〜
トナー母体粒子Dの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカaを1.1質量部と、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)0.6質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とをヘンシェルミキサーにて混合した。混合順として、1段目にシリカ粒子Aのみ添加して混合、2段目に酸化チタンを追加して混合、3段目にシリカBを添加して混合した。混合後は、目開き500meshの篩を通過させ、トナー49を得た。
(実施例50〜64)
実施例2〜16においてトナー母体粒子Aをそれぞれトナー母体粒子Dに変更した以外は、同様に作製し、トナー50〜64を得た。
(比較例1)
トナー母体粒子Aの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカaを0.8質量部と、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)0.3質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とを実施例1と同様にヘンシェルミキサーにて混合し、目開き500meshの篩を通過させ、トナー65を得た。
(比較例2)
トナー母体粒子Bの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカbを0.8質量部と、シリカ粒子BとしてRX50(平均一次粒子径40nm、アエロジル社製)3.5質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とを実施例1と同様にヘンシェルミキサーにて混合し、目開き500meshの篩を通過させ、トナー66を得た。
(比較例3)
トナー母体粒子Cの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカaを4.2質量部と、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)0.3質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とを実施例1と同様にヘンシェルミキサーにて混合し、目開き500meshの篩を通過させ、トナー67を得た。
(比較例4)
トナー母体粒子Dの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカbを4.2質量部と、シリカ粒子BとしてRX50(平均一次粒子径40nm、アエロジル社製)3.5質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とを実施例1と同様にヘンシェルミキサーにて混合し、目開き500meshの篩を通過させ、トナー68を得た。
(比較例5)
トナー母体粒子Aの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカbを0.8質量部と、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)0.6質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とを実施例1と同様にヘンシェルミキサーにて混合し、目開き500meshの篩を通過させ、トナー69を得た。
(比較例6)
トナー母体粒子Bの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカaを0.8質量部と、シリカ粒子BとしてRX50(平均一次粒子径40nm、アエロジル社製)2.8質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とを実施例1と同様にヘンシェルミキサーにて混合し、目開き500meshの篩を通過させ、トナー70を得た。
(比較例7)
トナー母体粒子Cの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカbを4.2質量部と、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)0.6質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とをヘンシェルミキサーにて混合し、目開き500meshの篩を通過させ、トナー71を得た。
(比較例8)
トナー母体粒子Dの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカaを4.2質量部と、シリカ粒子BとしてRX50(平均一次粒子径40nm、アエロジル社製)2.8質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とを実施例1と同様にヘンシェルミキサーにて混合し、目開き500meshの篩を通過させ、トナー72を得た。
(比較例9)
トナー母体粒子Aの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカaを1.1質量部と、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)0.3質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とを実施例1と同様にヘンシェルミキサーにて混合し、目開き500meshの篩を通過させ、トナー73を得た。
(比較例10)
トナー母体粒子Bの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカbを1.1質量部と、シリカ粒子BとしてRX50(平均一次粒子径40nm、アエロジル社製)3.5質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とを実施例1と同様にヘンシェルミキサーにて混合し、目開き500meshの篩を通過させ、トナー74を得た。
(比較例11)
トナー母体粒子Cの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカaを3.8質量部と、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)0.3質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とを実施例1と同様にヘンシェルミキサーにて混合し、目開き500meshの篩を通過させ、トナー75を得た。
(比較例12)
トナー母体粒子Dの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカbを3.8質量部と、シリカ粒子BとしてRX50(平均一次粒子径40nm、アエロジル社製)3.5質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とを実施例1と同様にヘンシェルミキサーにて混合し、目開き500meshの篩を通過させ、トナー76を得た。
(比較例13)
トナー母体粒子Aの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカbを1.1質量部と、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)0.6質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とをヘンシェルミキサーにて混合した。
混合順として、1段目にシリカ粒子Aのみ添加して混合、2段目にシリカ粒子Bを追加して混合、3段目に酸化チタンを添加して混合した。混合後は、目開き500meshの篩を通過させ、トナー77を得た。
(比較例14)
トナー母体粒子Bの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカaを1.1質量部と、シリカ粒子BとしてRX50(平均一次粒子径40nm、アエロジル社製)0.6質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とをヘンシェルミキサーにて混合した。
混合順として、1段目にシリカ粒子Aのみ添加して混合、2段目にシリカ粒子Bを追加して混合、3段目に酸化チタンを添加して混合した。混合後は、目開き500meshの篩を通過させ、トナー78を得た。
(比較例15)
トナー母体粒子Cを100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカaを3.8質量部と、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)2.8質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とをヘンシェルミキサーにて混合した。
混合順として、1段目に酸化チタンのみ添加して混合、2段目にシリカ粒子Bを追加して混合、3段目にシリカ粒子Aを添加して混合した。混合後は、目開き500meshの篩を通過させ、トナー79を得た。
(比較例16)
トナー母体粒子Dの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカbを3.8質量部と、シリカ粒子BとしRX50(平均一次粒子径40nm、アエロジル社製)2.8質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とをヘンシェルミキサーにて混合した。
混合順として、1段目に酸化チタンのみ添加して混合、2段目にシリカ粒子Bを追加して混合、3段目にシリカ粒子Aを添加して混合した。混合後は、目開き500meshの篩を通過させ、トナー80を得た。
(比較例17)
トナー母体粒子Aの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカaを1.1質量部と、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)2.8質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とをヘンシェルミキサーにて混合した。それぞれの混合段階での混合時間を3分の1とした。混合後は、目開き500meshの篩を通過させ、トナー81を得た。
(比較例18)
トナー母体粒子Bの100質量部に対して、シリカ粒子Aとして非球形シリカaを1.1質量部と、シリカ粒子BとしてRX50(平均一次粒子径40nm、アエロジル社製)2.8質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とをヘンシェルミキサーにて混合した。それぞれの混合段階での混合時間を2分の1とした。混合後は、目開き500meshの篩を通過させ、トナー82を得た。
(比較例19)
トナー母体粒子Cの100質量部に対して、シリカ粒子AとしてX−24(平均一次粒子径120nm、信越化学社製)3.8質量部と、シリカ粒子BとしてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)2.8質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とをヘンシェルミキサーにて混合した。混合順として、1段目に酸化チタンのみ添加して混合、2段目にシリカ粒子Aを追加して混合、3段目にシリカBを添加して混合した。混合後は、目開き500meshの篩を通過させ、トナー83を得た。
(比較例20)
トナー母体粒子Dの100質量部に対して、シリカ粒子AとしてX−24(平均一次粒子径170nm、信越化学社製)3.8質量部と、シリカ粒子BとしRX50(平均一次粒子径40nm、アエロジル社製)2.8質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部とをヘンシェルミキサーにて混合した。
混合順として、1段目に酸化チタンのみ添加して混合、2段目にシリカ粒子Aを追加して混合、3段目にシリカ粒子Bを添加して混合し、それぞれの混合段階での混合時間を3分の1とした。混合後は、目開き500meshの篩を通過させ、トナー84を得た。
前記で得た実施例および比較例のトナー1〜84に関するトナー構成(シリカ粒子Aおよびシリカ粒子Bの諸元並びに、シリカ粒子Aおよびシリカ粒子Bの遊離率の和Xsおよび、遊離シリカの体積粒径が30nm以下の個数割合R30、等)について、実施例1〜実施例32を表1に、実施例33〜64を表2に、比較例1〜比較例20を表3にまとめて示した。なお、表1〜表3において、「シリカ粒子A」を「シリカA」、「シリカ粒子B」を「シリカB」として記載した。
作製した前記実施例1〜実施例64(トナー番号1〜64)および比較例1〜比較例20(トナー番号65〜84)のトナーに対して以下の評価(メダカフィルミング、転写安定性、低温定着性、保存性)を実施し、総合判断した。
結果を実施例1〜実施例32(トナー番号1〜32)については表4に、実施例33〜64(トナー番号33〜64)については表5に、比較例1〜比較例20(トナー番号65〜84)については表6にまとめて示した。
(メダカフィルミングの評価方法)
1.評価に用いるトナー、装置を全て25[℃]、50%環境室に1日放置。
2.図1に示す構造を有する複写機のPCUのトナーを全て除去し、現像装置61中にキャリアのみを残す。
3.キャリアのみになった現像装置61中に、サンプルとなるブラックトナーを28[g]投入し、トナー濃度7[%]の現像剤を400[g]作製する。
4.上記複写機本体に、現像装置61を装着し、現像スリーブ(現像ローラ61aの表面を形成するスリーブ)線速300[mm/s]で、現像装置61のみを5[分間]空回しさせる。
5.現像スリーブ、感光体10ともに狙いの線速でトレーリングで回転させ、感光体10上のトナー0.4±0.05[mg/cm2]となるように帯電電位、現像バイアスを調整する。
6.上記現像条件において、転写率が96±2[%]となるよう、転写電流を調整。
7.全面ベタ画像を連続10000[枚]出力した。
8.出力した画像の画質を官能評価し、フィルミングによる白抜け数をカウントした。
なお、キャリアは評価に用いた複写機に搭載されているキャリアを使用した。
メダカフィルミングの評価判断基準は以下のとおりとした。
〔評価基準〕
◎:白抜け画像部分が少なくかなり優れる
○:白抜け部分がまれに見られる
△:白抜け部分が目立つ
×:白抜け部分が非常に多い
評価判断基準において◎、○、△を合格とし、×を不合格として判定した。
(転写安定性の評価方法)
図1に示す構造を有する複写機を用いて画像面積率20%チャートを感光体から紙に転写後、クリーニングの直前における感光体上の転写残トナーをスコッチテープ(住友スリーエム株式会社製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で測定し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:ブランクとの差が0.005未満である。
○:ブランクとの差が0.005〜0.010である。
△:ブランクとの差が0.011〜0.02である。
×:ブランクとの差が0.02を超える。
評価判断基準において◎、○、△を合格とし、×を不合格として判定した。
(低温定着性の評価方法)
定着ローラとして、テフロン(登録商標)ローラを使用した複写機MF2200(リコー社製)の定着部を改造した装置を用いて、タイプ6200紙(リコー社製)に複写テストを行った。
具体的には、定着温度を変化させてコールドオフセット温度(定着下限温度)を求めた。
定着下限温度の評価条件は、紙送りの線速度を120〜150mm/秒、面圧を1.2kgf/cm2、ニップ幅を3mmとした。
なお、従来の低温定着トナーの定着下限温度は、140℃程度である。
〔評価基準〕
定着下限温度が、120℃未満である場合を◎、120℃以上130℃未満である場合を○、130℃以上140℃未満である場合を△、140℃以上である場合を×とした。
評価判断基準において◎、○、△を合格とし、×を不合格として判定した。
(保存性の評価方法)
トナーを40℃70%で14日間保管した後、200メッシュの篩で1分間篩い、金網上の残存率を測定した。
このとき、高湿環境下保存性が良好なトナー程、残存率は小さい。
〔評価基準〕
高湿環境下保存性は、残存率が0.1%未満である場合を◎、0.1%〜0.5%を○、0.5%〜1%を△、1%以上である場合を×とした。
評価判断基準において◎、○、△を合格とし、×を不合格として判定した。
(総合判断)
総合判断の基準は次の通りとした。
上記で評価した4項目において1つでも×があるものは総合判断として×、上記4項目において×が1つもないものは総合判断として○、総合判断が○のもののうち上記4項目において◎が2以上かつ△がないものは総合判断として◎と評価した。
表4〜表6の結果から、トナー母体粒子表面に、非球形の合着粒子(粒径:100〜220nm)であるシリカ粒子Aと、球形粒子(粒径:100〜220nm)であるシリカ粒子Bとを含む外添剤が添加され、シリカ粒子Aおよびシリカ粒子Bのそれぞれの添加量MaおよびMbが、トナー母体粒子100質量部に対して、Maは1〜4質量部の範囲、Mbは0.5〜3質量部の範囲に制御され、また、超音波振動法に基づく遊離シリカ測定により計測されるシリカ粒子Aおよびシリカ粒子Bの遊離率の和Xsが5〜20%とされ、かつ、該遊離シリカの粒度分布測定により計測される体積粒径における30nm以下の個数割合R30が15〜30個数%に制御された本発明のトナーは、いずれもメダカフィルミング、転写安定性、低温定着性、保存性の評価において合格であり、総合判断において○(前記評価4項目において×が1つもないもの)または◎(前記評価4項目において◎が2以上かつ△がないもの)であった。
一方、トナー母体粒子表面に、非球形の合着粒子(粒径:100〜220nm)であるシリカ粒子Aと、球形粒子(粒径:100〜220nm)であるシリカ粒子Bとを含む外添剤が添加されているが、トナー母体粒子100質量部に対するシリカ粒子Aの添加量Maが1〜4質量部の範囲外とされた比較例1〜8は、シリカ粒子Bの添加量Mbが0.5〜3質量部の範囲内、外を問わずメダカフィルミングは良好であるが、それ以外の転写安定性、低温定着性、保存性の評価項目のいずれかに×の評価が付いており総合判断において×と評価された。
また、トナー母体粒子表面に、非球形の合着粒子(粒径:100〜220nm)であるシリカ粒子Aと、球形粒子(粒径:100〜220nm)であるシリカ粒子Bとを含む外添剤が添加され、トナー母体粒子100質量部に対するシリカ粒子Aの添加量Maが1〜4質量部の範囲内とされているが、シリカ粒子Bの添加量Mbが0.5〜3質量部の範囲外である比較例9〜12はメダカフィルミングは良好であるが、それ以外の転写安定性、低温定着性、保存性の評価項目のいずれかに×の評価が付いており総合判断において×と評価された。
さらに、トナー母体粒子表面に、非球形の合着粒子(粒径:100〜220nm)であるシリカ粒子Aと、球形粒子(粒径:100〜220nm)であるシリカ粒子Bとを含む外添剤が添加され、トナー母体粒子100質量部に対するシリカ粒子Aの添加量Maが1〜4質量部の範囲内、シリカ粒子Bの添加量Mbが0.5〜3質量部の範囲内であるが、シリカ粒子Aおよびシリカ粒子Bの遊離率の和Xsが5〜20%の範囲外である比較例13〜比較例16や、体積粒径における30nm以下の個数割合R30が15〜30個数%の範囲外である比較例17〜比較例18、あるいはシリカ粒子Aが真球シリカである比較例19〜比較例20では、メダカフィルミングが×(白抜け部分が非常に多い)で不合格となっている。
以上の結果から、いずれの比較例の場合にも前記評価4項目において×が1つもないものはなく、総合判断において×と評価された。
すなわち、本発明の静電潜像現像用トナーは、メダカの発生や、それに伴うメダカフィルミングの発生がなく、良好な流動性、保存性を有すると共に、優れた帯電特性、低温定着性、耐ストレス性を兼ね備えている。本発明のトナーを現像剤(一成分現像剤や二成分現像剤)や画像形成装置に用いれば、長期に亘って高画質の画像形成が可能である。また、高速画像形成においても安定して画像形成ができる。
(図3〜6の符号)
10 感光体
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
14、15、16 支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ベルト
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読み取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K、42Y、42M、42C 現像剤収容部
43K、43Y、43M、43C 現像剤供給ローラ
44K、44Y、44M、44C 現像ローラ
45K ブラック用現像器
45Y イエロー用現像器
45M マゼンタ用現像器
45C シアン用現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 手差しトレイ
53 手差し給紙路
55 切り換え爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
59 帯電器
60 クリーニング装置
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 記録紙
100A、100B、100C 画像形成装置
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142a、142b 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145a、145b 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
L 露光
特開昭60−136752号公報 特開昭60−32060号公報 特開昭60−186854号公報 特開昭60−186859号公報 特公平2−45188号公報 特開平2−167561号公報 特開平9−96923号公報 特許3684074 特開2010−224502号公報 特開2002−278261号公報 特開2004−170440号公報 特開2006−323367号公報 特開2011−002557号公報

Claims (10)

  1. トナー母体粒子表面に体積平均粒径が異なる少なくとも2種類のシリカ粒子を含む外添剤が添加されてなる静電潜像現像用トナーであって、
    前記少なくとも2種類のシリカ粒子のうち、体積平均粒径が最大であるシリカ粒子Aは一次粒子が複数個合着して形成された二次粒子により構成される非球形の合着粒子であり、体積平均粒径が最小であるシリカ粒子Bは一次粒子により構成される球形粒子であり、
    前記シリカ粒子Aおよびシリカ粒子Bのトナー母体粒子100質量部に対するそれぞれの添加量をMaおよびMbとすると、Maは1〜4質量部であり、Mbは0.5〜3質量部であると共に、
    超音波振動法に基づく遊離シリカ測定により計測されるシリカ粒子Aおよびシリカ粒子Bの遊離率の和Xsが5〜20%であり、該遊離シリカの粒度分布測定により計測される体積粒径における30nm以下の個数割合R30が15〜30個数%であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
  2. 前記シリカ粒子Aの粒度分布指標が、下記式(1)で表されることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
    [ただし、式(1)中、Db50は、前記合着粒子の粒子径(nm)を横軸とし、前記合着粒子の累積値(個数%)を縦軸としたときの前記合着粒子の累積分布を小径粒子側から描いたときに、前記累積値が50個数%となる前記合着粒子の粒子径を表し、Db10は、前記累積値が10個数%となる前記合着粒子の粒子径を表す。]
  3. 前記シリカ粒子Aの体積平均二次粒径が100nm〜220nmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 前記シリカBの体積平均一次粒径が20nm〜50nmの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電潜像現像用トナー。
  5. 前記トナー母体粒子は、結着樹脂および/または結着樹脂前駆体を含む油相を水相中に分散させて造粒されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電潜像現像用トナー。
  6. 前記トナー母体粒子は、有機溶媒と、分子構造中に少なくともエステル結合と該エステル結合以外の結合単位を含む変性ポリエステルを生成可能な活性水素基含有化合物および該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを含む溶解液または分散液を水相中に分散させて乳化分散液とし、該乳化分散液中で前記活性水素基含有化合物と前記重合体とを架橋反応および/または伸長反応させ、該乳化分散液から有機溶媒を除去して造粒されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電潜像現像用トナー。
  7. 前記結着樹脂および/または結着樹脂前駆体が、結晶性ポリエステルおよび非結晶性ポリエステルから選択される樹脂材料を含むことを特徴とする請求項5に記載の静電潜像現像用トナー。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の静電潜像現像用トナーと、キャリアとを含有することを特徴とする二成分現像剤。
  9. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、請求項1乃至7のいずれかに記載のトナーを用いて該静電潜像を現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  10. 前記静電潜像担持体の線速が300mm/sec以上であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
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