JP2014163399A - 潤滑装置 - Google Patents

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Hiroya Takahashi
裕哉 高橋
Kazuya Arakawa
一哉 荒川
Daisuke Tokozakura
大輔 床桜
Keisuke Ichige
敬介 市毛
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Abstract

【課題】暖機時間を短縮でき、かつ暖機完了後の冷却性能を向上させることが可能な潤滑装置を提供する。
【解決手段】潤滑油と冷媒とを混合した複合液をモータ2及びギヤトレーン3に供給する潤滑装置10において、複合液の温度が判定温度以上と判定した場合には、流路切替バルブ18が第3流路17への潤滑油の導入を阻止する阻止状態に切り替えられるとともに第2ポンプ13から吐出される潤滑油の流量が通常流量になるように第2ポンプ18が制御される。一方、複合液の温度が判定温度未満と判定した場合には、流路切替バルブ18が第3流路17に潤滑油が導入される導入状態に切り替えられるとともに第2ポンプ13から吐出される潤滑油の流量が通常流量より多くなるように第2ポンプ13が制御される。
【選択図】図1

Description

本発明は、潤滑油と冷媒とを混合した複合液を供給対象に供給して供給対象の冷却及び潤滑を行う潤滑装置に関する。
車両の動力伝達装置に適用され、潤滑油とその潤滑油より高密度かつ低粘度の冷媒とをオイルパンに溜め、第1の供給手段によってオイルパンの冷媒をモータ・ジェネレータに供給するとともに、第2の供給手段によってオイルパンの潤滑油をギヤトレーンに供給する潤滑装置が知られている(特許文献1参照)。この潤滑装置では、動力伝達装置に湿式摩擦板が設けられている場合、その湿式摩擦板に潤滑油と冷媒とを混合して供給している。
特開2011−202719号公報
周知のように車両に搭載される潤滑装置では、フリクション損失を低減させるために冷間始動時に潤滑油の温度を速やかに上昇させる必要がある。特許文献1の装置では、低粘度の冷媒にてモータ・ジェネレータを冷却し、これによりモータ・ジェネレータの冷却性能を向上させているが、この場合には冷媒からケース等への部材への伝熱性能も向上している。そのため、冷間始動時に冷媒や潤滑油の温度が上昇し難く、暖機に要する時間が増加するおそれがある。また、特許文献1の装置では、冷媒よりも粘度が高い潤滑油のみをギヤトレーンに供給するので、攪拌損失が大きくなり、燃費が悪化するおそれがある。
そこで、本発明は、暖機時間を短縮でき、かつ暖機完了後の冷却性能を向上させることが可能な潤滑装置を提供することを目的とする。
本発明の潤滑装置は、潤滑油と、前記潤滑油に非溶性で前記潤滑油より低粘度かつ前記潤滑油とは密度が異なる冷媒とを混合した複合液を供給対象に供給して前記供給対象の冷却及び潤滑の少なくともいずれか一方を行う潤滑装置において、前記複合液が貯溜される貯溜部と、前記貯溜部から前記冷媒を汲み出す第1ポンプ手段と、前記第1ポンプ手段の吐出側と前記供給対象とを接続する第1流路と、前記供給対象と前記貯溜部とを接続するリターン流路と、前記貯溜部から前記潤滑油を汲み出す第2ポンプ手段と、前記第2ポンプ手段の吐出側と前記第1流路とを接続する第2流路と、前記第2流路と前記リターン流路とを接続する第3流路と、前記第2ポンプ手段から吐出された潤滑油を前記第3流路に導入する導入状態と、前記第3流路への潤滑油の導入を阻止する阻止状態とに切り替え可能な導入切替手段と、前記複合液の温度が所定の判定温度以上と判定した場合には、前記導入切替手段を前記阻止状態に切り替えるとともに前記第2ポンプ手段から吐出される潤滑油の流量が所定の通常流量になるように前記第2ポンプ手段を制御し、前記複合液の温度が前記判定温度未満と判定した場合には、前記導入切替手段を前記導入状態に切り替えるとともに前記第2ポンプ手段から吐出される潤滑油の流量が前記通常流量より多くなるように前記第2ポンプ手段を制御する制御手段と、を備えている(請求項1)。
本発明の潤滑装置では、複合液の温度が判定温度未満の場合に、導入切替手段を導入状態に切り替え、かつ第2ポンプから吐出される潤滑油の流量を増加させる。この場合、複合液の温度が判定温度以上の場合と比較してリターン流路における複合液の冷媒の体積分率が低下する。冷媒は潤滑油より低粘度であるため、このように冷媒の体積分率を低下させることにより複合液の見掛けの粘度が大きくなる。周知のように流体と物体との間の伝熱量は流体の粘度と相関しており、粘度が大きいほど伝熱量が小さくなる。そのため、このように複合液の見掛けの粘度を大きくすることによりリターン流路における複合液からの放熱を抑制できる。これにより複合液の温度を速やかに上昇させることができるので、暖機時間を短縮できる。
一方、複合液の温度が判定温度以上の場合には導入切替手段を阻止状態に切り替えるので、複合液の温度が判定温度未満の場合と比較してリターン流路における複合液の冷媒の体積分率を高くすることができる。この場合、リターン流路における複合液からの放熱を促進できる。そのため、暖機完了後の冷却性能を向上させることができる。
本発明の潤滑装置の一形態において、前記通常流量は、前記供給対象に供給される複合液の冷媒の体積分率が一定になるように前記第1ポンプ手段から吐出される冷媒の流量に基づいて設定されてもよい(請求項2)。この形態によれば、第1ポンプ手段から吐出される冷媒の流量が変化しても、供給対象に供給される複合液の冷媒の体積分率を一定にできる。
本発明における判定温度は適宜に設定してよい。例えば、前記供給対象として、車両の走行用駆動源と駆動輪との間の動力伝達経路中に設けられた動力伝達装置のギヤトレーンが設定され、前記判定温度として、前記動力伝達装置の暖機が完了していると判定できる温度が設定されていてもよい(請求項3)。
以上に説明したように、本発明の潤滑装置によれば、複合液の温度が判定温度未満の場合にはリターン流路を流れる複合液の見掛けの粘度を大きくするので、リターン流路における複合液からの放熱を抑制できる。そのため、暖機時間を短縮できる。一方、複合液の温度が判定温度以上の場合には複合液の見掛けの粘度を小さくするので、リターン流路における複合液からの放熱を促進できる。そのため、暖機完了後の冷却性能を向上させることができる。
本発明の一形態に係る潤滑装置が組み込まれた動力伝達装置の要部を模式的に示す図。 貯溜部を拡大して示す図。 複合液の冷媒の体積分率と、複合液の見掛けの粘度との関係の一例を示す図。 複合液の冷媒の体積分率と、複合液と物体との間の伝熱量との関係の一例を示す図。 制御装置が実行する導入制御ルーチンを示すフローチャート。 潤滑装置における油温の時間変化の一例を示す図。
図1は、本発明の一形態に係る潤滑装置が組み込まれた動力伝達装置の要部を模式的に示している。動力伝達装置1は、走行用駆動源として内燃機関(不図示)及びモータ2を備えたハイブリッド車両に搭載されている。動力伝達装置1は、これら走行用駆動源と駆動輪(不図示)との間の動力伝達経路中に設けられている。動力伝達装置1はギヤトレーン3を備えている。なお、ギヤトレーン3は、複数のギヤにて動力を伝達する周知の機構であるため、説明を省略する。動力伝達装置1には、要冷却部であるモータ2及び要潤滑部であるギヤトレーン3に潤滑油と冷却用液体(以下、冷媒と称することがある。)とを混合した複合液を供給する潤滑装置10が設けられている。なお、以降ではモータ2及びギヤトレーン3をまとめて供給対象と称することがある。
潤滑油には、鉱物油が用いられる。冷媒は、潤滑油に対して非溶性であり、潤滑油より高密度かつ低粘度の液体である。冷媒としては、例えばフッ素系冷媒が用いられる。また、冷媒の固液界面エネルギγSLは、潤滑油の固液界面エネルギγSLより大きい。固液界面エネルギγSLは以下に(1)式として示すYoungの式で算出される値である。
γSL=γ−γcosθ ・・・(1)
なお、この式中のγは固体の表面エネルギであり、γは液体の表面張力である。また、θは接触角である。この固液界面エネルギγSLが小さい液体ほど固体の表面に吸着しやすい。上述したように冷媒の固液界面エネルギγSLは潤滑油の固液界面エネルギγSLより大きいため、ギヤトレーン3等の要潤滑部に複合液が供給された場合にはギヤ等の潤滑部の最表面に潤滑油が吸着する。
潤滑装置10は、複合液が溜められる貯溜部11と、貯溜部11から冷媒を汲み出す第1ポンプ12と、貯溜部11から潤滑油を汲み出す第2ポンプ13とを備えている。貯溜部11は、ギヤトレーン3が収容されているケース(不図示)の底部に設けられる。図2は、貯溜部11を拡大して示している。上述したように冷媒は潤滑油に対して非溶性であり、かつ潤滑油より高密度であるため、貯溜部11において潤滑油と冷媒とは分離する。そして、この図に示すように高密度の冷媒の殆どは下方に移動し、潤滑油の殆どは上方に移動する。第1ポンプ12は、ストレーナ12aを有している。このストレーナ12aは、貯溜部11の底部に配置されている。この図に示すように分離した冷媒は貯溜部11の底部に溜まる。そのため、このようにストレーナ12aを配置することにより、第1ポンプ12で冷媒を汲み出すことができる。第2ポンプ13もストレーナ13aを有している。このストレーナ13aは、この図に示すように貯溜部11において分離した潤滑油が溜まる高さに配置されている。これにより第2ポンプ13で潤滑油を汲み出すことができる。第1ポンプ12は、内燃機関及びモータ2にて駆動される。第2ポンプ13は、不図示の電動モータで駆動される。すなわち、第2ポンプ13は、電動ポンプとして構成されている。
図1に戻って潤滑装置10の説明を続ける。第1ポンプ12の吐出側は、第1流路14を介して供給対象と接続されている。この図に示すように第1流路14は、その途中に設けられた分岐点14aで複数に分岐してモータ2及びギヤトレーン3と接続されている。また、供給対象は、リターン流路15を介して貯溜部11と接続されている。この図に示すようにリターン流路15は、モータ2及びギヤトレーン3に接続されている分岐路が合流点15aで合流して貯溜部11と接続されている。
第2ポンプ13の吐出側は、第2流路16を介して第1流路14と接続されている。この図に示すように第2流路16は、第1流路14のうち分岐点14aよりも上流側の区間に接続されている。第2流路16は、第3流路17を介してリターン流路15と接続されている。この図に示すように第3流路17は、リターン流路15の合流点15aに接続されている。また、第2流路16には、流路切替バルブ18が設けられている。この流路切替バルブ18は、第3流路17に潤滑油を導入する導入状態と、第3流路17への潤滑油の導入を阻止する阻止状態とに切り替えることができる。導入状態では、第2ポンプ13から吐出された潤滑油が第1流路14及びリターン流路15の両方に導入される。一方、阻止状態では、第2ポンプ13から吐出された潤滑油が第1流路14のみに導入される。なお、図1では阻止状態の流路切替バルブ18を示している。
第2ポンプ13及び流路切替バルブ18の動作は、制御装置20にて制御される。制御装置20は、マイクロプロセッサ及びその動作に必要なRAM、ROM等の周辺機器を含んだコンピュータユニットとして構成されている。制御装置20は、潤滑装置10を適切に動作させるための各種制御プログラムを保持している。制御装置20には、潤滑装置10に関する情報を取得するための種々のセンサが接続されている。制御装置20には、例えば油温センサ21等が接続されている。油温センサ21は、貯溜部11に溜められている複合液の温度(以下、油温と称することがある。)に対応した信号を出力する。制御装置20には、この他にも種々のセンサが接続されているが、それらの図示は省略した。
次に、制御装置20が実行する制御について説明する。制御装置20は、動力伝達装置1の状態に応じて第2ポンプ13及び流路切替バルブ18の動作を制御する。潤滑装置10では、第1ポンプ12にて汲み上げられた冷媒と第2ポンプ13にて汲み上げられた潤滑油とが第1流路14にて混合されて複合液となる。そして、その複合液がモータ2及びギヤトレーン3に供給される。これによりこれら供給対象の潤滑及び冷却が行われる。供給対象で使用された複合液は、リターン流路15を介して貯溜部11に戻される。この際に流路切替バルブ18が導入状態であった場合には、合流点15aに潤滑油が供給され、供給対象で使用された複合液に混合される。そして、この潤滑油の体積分率が増加した、言い換えると冷媒の体積分率が低下した複合液がリターン流路15を介して貯溜部11に戻される。この図では、潤滑装置10において冷媒のみが流れる部分を太い実線の矢印で示し、潤滑油のみが流れる部分を細い実線の矢印で示した。そして、複合液が流れる部分を点線の矢印又は一点鎖線の矢印で示した。
この複合液は、冷媒と潤滑油との混合割合に応じて見掛けの粘度が変化する。図3は、複合液の冷媒の体積分率と、複合液の見掛けの粘度との関係の一例を示している。なお、体積分率の単位はパーセント(vol%)である。図中の破線は、冷媒の体積分率が0、すなわち潤滑油のみの場合の粘度を示している。この図に示すように、冷媒の体積分率が0から所定の第1の値VF1に近付くに従って複合液の見掛けの粘度が漸次大きくなる。そして、冷媒の体積分率が第1の値VF1のときに複合液の見掛けの粘度が最大になる。その後、冷媒の体積分率が第1の値VF1から100に近付くに従って複合液の見掛けの粘度が漸次小さくなる。そして、冷媒の体積分率が100、すなわち冷媒のみの場合に見掛けの粘度が最小になる。
周知のように流体と物体との間の伝熱量は流体の粘度と相関している。以下の(2)式は層流の場合の伝熱量と流体の粘度との関係を示し、(3)式は乱流の場合の伝熱量と流体の粘度との関係を示している。
Figure 2014163399
なお、これらの式中のQは伝熱量を示し、ρは流体の密度を示している。また、uは流速を示し、μは流体の粘性係数(粘度)を示している。そして、Cは比熱を示し、λは熱伝導率を示している。これらの式から明らかなように、流体の粘度が大きいほど伝熱量は小さくなる。図4は、複合液の冷媒の体積分率と、複合液と物体との間の伝熱量との関係の一例を示している。この伝熱量はATF比での伝熱量である。なお、ATF比とは、潤滑油(ATF)の伝熱量を1とした場合の複合液の伝熱量である。図中の破線は、冷媒の体積分率が0、すなわち潤滑油のみの場合の伝熱量を示している。この図に示すように伝熱量は、冷媒の体積分率が第1の値VF1のときに最小になる。そして、冷媒の体積分率が100、すなわち冷媒のみのときに最大になる。
図3に示すように複合液の見掛けの粘度は冷媒のみの場合に最小になる。そして、複合液の粘度が小さいほど、ギヤトレーン3における攪拌抵抗が小さくなる。しかしながら、ギヤトレーン3には潤滑のために潤滑油を供給する必要がある。そこで、この潤滑装置10では、複合液の冷媒の体積分率を図3に示した第2の値VF2に調整し、その調整した複合液を供給対象に供給する。そのため、図1において一点鎖線の矢印で示した部分は、冷媒の体積分率が第2の値VF2の複合液が流れる。そして、流路切替バルブ18が阻止状態の場合には、この冷媒の体積分率が第2の値VF2の複合液がリターン流路15を介して貯溜部11に戻る。図4に示すように、冷媒の体積分率が第2の値VF2の複合液は伝熱量が大きい。そのため、リターン流路15において複合液から熱が放出し易い。
周知のように動力伝達装置1や複合液の温度が大気の温度と同程度まで低下している状態から動力伝達装置1の運転を開始した場合、いわゆる冷間始動した場合には、動力伝達装置1を暖機する必要がある。この場合、複合液の温度を速やかに上昇させることにより暖機時間が短縮される。そこで、潤滑装置10では、このような場合に流路切替バルブ18を導入状態に切り替えるとともに第2ポンプ13の吐出量を増加させる。そして、これにより合流点15aに潤滑油を供給し、リターン流路15における複合液の冷媒の体積分率を第1の値VF1に調整する。図4に示すように冷媒の体積分率が第1の値VF1の複合液は、伝熱量が最小になる。そのため、このように複合液の冷媒の体積分率を調整することにより、リターン流路15における複合液からの熱の放出が抑制される。従って、複合液の温度が速やかに上昇し、暖機時間が短縮される。
図5は、このように複合液の冷媒の体積分率を変更すべく制御装置20が実行する導入制御ルーチンを示している。この制御ルーチンは、第1ポンプ12が動作しているとき、すなわち内燃機関又はモータ2が動作しているときに、所定の周期で繰り返し実行される。
この制御ルーチンにおいて制御装置20は、まずステップS11で動力伝達装置1の状態を取得する。動力伝達装置1の状態としては、例えば油温が取得される。次のステップS12において制御装置20は、油温が予め設定した所定の判定温度未満か否か判定する。判定温度には、例えば動力伝達装置の暖機が完了していると判定できる温度が設定される。
油温が判定温度以上と判定した場合はステップS13に進み、制御装置20は流路切替バルブ18を阻止状態に切り替える。続くステップS14において制御装置20は通常制御を実行する。その後、今回の制御ルーチンを終了する。通常制御では、モータ2及びギヤトレーン3に供給される複合液の冷媒の体積分率が第2の値VF2になるように第2ポンプ13の動作が制御される。上述したように第1ポンプ12は内燃機関又はモータ2にて駆動される。そのため、第1ポンプ12から吐出される冷媒の流量はこれら内燃機関又はモータ2の回転数に応じて変化する。従って、複合液の冷媒の体積分率を第2の値VF2にするためには、例えば内燃機関又はモータ2の回転数に基づいて第2ポンプ13を制御すればよい。なお、このように制御した場合に第2ポンプ13から吐出される潤滑油の流量が本発明の通常流量に相当する。
一方、油温が判定温度未満と判定した場合はステップS15に進み、制御装置20は流路切替バルブ18を導入状態に切り替える。続くステップS14において制御装置20は増量制御を実行する。その後、今回の制御ルーチンを終了する。この増量制御では、モータ2及びギヤトレーン3に供給される複合液の冷媒の体積分率が第2の値VF2になり、かつ合流点15a以降のリターン流路15において複合液の冷媒の体積分率が第1の値VF1になるように第2ポンプ13の動作が制御される。すなわち、この増量制御では、通常制御時の吐出量と比較してリターン流路15に供給する潤滑油の分吐出量を増加させる。なお、この場合においても内燃機関又はモータ2の回転数に基づいて第2ポンプ13を制御すればよい。
図6は、潤滑装置10における油温の時間変化の一例を示している。この図の時刻t1は、冷間始動を開始した時刻を示している。なお、この図の実線L1が、潤滑装置10における油温の時間変化を示している。破線L2は、潤滑装置10において潤滑油のみを循環させた場合の油温の時間変化を示している。実線L3は、モータ2には冷媒のみが供給され、ギヤトレーン3には潤滑油のみが供給される潤滑装置の油温の時間変化を示している。この図から明らかなように破線L2及び実線L3で示した比較例と比較して、本発明では油温が速やかに上昇する。そのため、暖機時間を短縮できる。
以上に説明したように、本発明によれば、油温が判定温度未満の場合にはモータ2及びギヤトレーン3に冷媒の体積分率が第2の値VF2の複合液、すなわち伝熱量が大きい複合液が供給される。これにより供給対象から複合液への熱の移動を促進させることができる。そのため、冷却対象の冷却を促進できるとともに複合液の温度を上昇させることができる。また、油温が判定温度未満の場合には流路切替バルブ18を導入状態に切り替え、リターン流路15における複合液の冷媒の体積分率を第1の値VF1にする。そのため、リターン流路15における複合液からの放熱を抑制できる。これにより複合液の温度を速やかに上昇させることができるので、暖機時間を短縮できる。
油温が判定温度以上の場合、すなわち暖機完了後においても、モータ2及びギヤトレーン3には冷媒の体積分率が第2の値VF2の複合液が供給される。そのため、冷却対象の冷却を促進できる。一方、この場合には流路切替バルブ18が阻止状態に切り替えられるので、リターン流路15における複合液の冷媒の体積分率も第2の値VF2になる。この場合、リターン流路15における複合液からの放熱を促進できるので、冷却性能を大きく向上させることができる。
本発明では、モータ2及びギヤトレーン3に冷媒の体積分率が第2の値VF2の複合液が供給される。図3に示したように冷媒の体積分率が第2の値VF2の複合液は、冷媒の体積分率が0すなわち潤滑油のみのときよりも見掛けの粘度が小さい。そのため、モータ2やギヤトレーン3における攪拌損失を低減できる。
上述したように冷媒の固液界面エネルギγSLは潤滑油の固液界面エネルギγSLより大きい。そのため、モータ2やギヤトレーン3に複合液を供給してもこれらの最表面に潤滑油を吸着させることができる。従って、潤滑性を維持できる。
なお、モータ2及びギヤトレーン3に供給される複合液の冷媒の体積分率は、第2の値VF2に限定されない。複合液の粘度が図3の破線未満になる体積分率、すなわち第3の値VF3より大きく、かつ100未満の体積分率であればよい。このような体積分率であれば、潤滑油のみを供給した場合よりも攪拌損失を低減でき、また供給対象の冷却を促進できる。
また、油温が判定温度未満の場合のリターン流路15における複合液の冷媒の体積分率は、第1の値VF1に限定されない。この第1の値VF1を中心とする所定範囲の適宜の値など、リターン流路15における複合液からの放熱を抑制可能な体積分率であればよい。
上述した形態では、油温を用いて動力伝達装置1の暖機が必要か否か判定したが、油温の代わりに冷却水の温度やケースの温度で判定してもよい。また、上述した形態では、流路切替バルブ18を制御装置20で制御したが、流路切替バルブ18はこのような制御弁に限定されない。例えば、油温が判定温度未満の場合には導入状態に切り替わり、油温が判定温度以上の場合には阻止状態に切り替わる形状記憶合金製のバルブを流路切替バルブ18として設けてもよい。
以上の形態では、第1ポンプ12が本発明の第1ポンプ手段に相当し、第2ポンプ13が本発明の第2ポンプ手段に相当する。また、流路切替バルブ18が本発明の導入切替手段に相当する。モータ2及びギヤトレーン3が本発明の供給対象に相当する。図5の制御ルーチンを実行することにより、制御装置20が本発明の制御手段として機能する。
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、第1ポンプは、第2ポンプと同様に電動式ポンプであってもよい。潤滑装置による複合液の供給対象は、モータ及びギヤトレーンに限定されず、冷却及び潤滑の少なくともいずれか一方を行う必要がある種々の装置に供給してよい。例えば、動力伝達装置に湿式摩擦板が設けられている場合には、それに複合液を供給してもよい。
上述した形態では、制御装置で第2ポンプ及び流路切替バルブを制御したが、これらの制御は内燃機関を制御するためのエンジンコントロールユニット(ECU)で行ってもよい。この場合、ECUが本発明の制御手段に相当する。
1 動力伝達装置
2 モータ(走行用駆動源、供給対象)
3 ギヤトレーン(供給対象)
10 潤滑装置
11 貯溜部
12 第1ポンプ(第1ポンプ手段)
13 第2ポンプ(第2ポンプ手段)
14 第1流路
15 リターン流路
16 第2流路
17 第3流路
18 流路切替バルブ(導入切替手段)
20 制御装置(制御手段)

Claims (3)

  1. 潤滑油と、前記潤滑油に非溶性で前記潤滑油より低粘度かつ前記潤滑油とは密度が異なる冷媒とを混合した複合液を供給対象に供給して前記供給対象の冷却及び潤滑の少なくともいずれか一方を行う潤滑装置において、
    前記複合液が貯溜される貯溜部と、
    前記貯溜部から前記冷媒を汲み出す第1ポンプ手段と、
    前記第1ポンプ手段の吐出側と前記供給対象とを接続する第1流路と、
    前記供給対象と前記貯溜部とを接続するリターン流路と、
    前記貯溜部から前記潤滑油を汲み出す第2ポンプ手段と、
    前記第2ポンプ手段の吐出側と前記第1流路とを接続する第2流路と、
    前記第2流路と前記リターン流路とを接続する第3流路と、
    前記第2ポンプ手段から吐出された潤滑油を前記第3流路に導入する導入状態と、前記第3流路への潤滑油の導入を阻止する阻止状態とに切り替え可能な導入切替手段と、
    前記複合液の温度が所定の判定温度以上と判定した場合には、前記導入切替手段を前記阻止状態に切り替えるとともに前記第2ポンプ手段から吐出される潤滑油の流量が所定の通常流量になるように前記第2ポンプ手段を制御し、前記複合液の温度が前記判定温度未満と判定した場合には、前記導入切替手段を前記導入状態に切り替えるとともに前記第2ポンプ手段から吐出される潤滑油の流量が前記通常流量より多くなるように前記第2ポンプ手段を制御する制御手段と、
    を備えている潤滑装置。
  2. 前記通常流量は、前記供給対象に供給される複合液の冷媒の体積分率が一定になるように前記第1ポンプ手段から吐出される冷媒の流量に基づいて設定される請求項1に記載の潤滑装置。
  3. 前記供給対象として、車両の走行用駆動源と駆動輪との間の動力伝達経路中に設けられた動力伝達装置のギヤトレーンが設定され、
    前記判定温度として、前記動力伝達装置の暖機が完了していると判定できる温度が設定されている請求項1又は2に記載の潤滑装置。
JP2013032111A 2013-02-21 2013-02-21 潤滑装置 Pending JP2014163399A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016061340A (ja) * 2014-09-16 2016-04-25 トヨタ自動車株式会社 潤滑制御装置
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CN110529584A (zh) * 2018-05-23 2019-12-03 广州汽车集团股份有限公司 动力系统冷却装置

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