JP2014162652A - リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスおよびその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属リチウムに対して比較的安定であり、イオン伝導度を向上させた新規のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】カチオン%表記で、Li:7〜15%、X2+:0超〜4%(ただし、X2+はCa2+、Ba2+、Sr2+、およびRa2+からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。)、Mg2+:20〜50%、Al3+:5〜20%、およびSi4+:30〜60%、を含有するとともに、アニオン%表記で、F:5〜35%、およびO2−:35〜95%、を含有することを特徴とするリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスである。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池等に使用されるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスおよびその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、自動車、パーソナルコンピュータ、および携帯電話等、様々な分野において小型で高容量の駆動電源として使用されている。
現在、リチウムイオン二次電池用の電解質には、炭酸エチレン、炭酸ジエチル、または炭酸エチルメチル等の有機溶媒系の液体電解質が使用されている。しかしながら、有機溶媒系の液体電解質は可燃性であり、発火する恐れがある。また、有機溶媒系の液体電解質は、高電圧を印加すると、電解質が分解または変質してしまう問題がある。
そこで、次世代のリチウムイオン二次電池用の電解質として、不燃性で、電圧印加に対して高い安定性を有する無機固体電解質が期待されている。
例えば、リチウムイオン二次電池用として、セラミックス製の無機固体電解質、およびガラスセラミックス(結晶質物質を有するガラス、結晶化ガラスともいわれる)製の無機固体電解質が提案されている。しかしながら、セラミックス製の無機固体電解質は、成形性に劣るため、薄膜化および大型化が容易でない問題がある。これに対して、ガラスセラミックス製の無機固体電解質は、成形性に優れ、薄膜化および大型化に対応可能である利点を有する。このため、ガラスセラミックス製の無機固体電解質が有望視されている。
ガラスセラミックス製の無機固体電解質として、例えば、Li1+x+y(Al,Ga)(Ti,Ge)2−xSi3−y12(ただし、0≦a≦1、0≦y≦1である)で構成される材料が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1のガラスセラミックス製の無機固体電解質は、チタンおよびゲルマニウムを有する。チタンおよびゲルマニウムのイオンは、複数の価数状態を取りうる。そのため、リチウムイオン二次電池の充放電時において、チタンイオンおよびゲルマニウムイオンは価数状態が変化する恐れがあり、サイクル特性等の電池特性が不安定になりやすい問題がある。特に、チタンおよびゲルマニウムは、金属リチウムを用いた時、還元反応により価数状態が変化しやすく、電位窓が狭くなって不安定になりやすい問題がある。
特開2007−66703号公報
上述のような問題があり、サイクル特性などの電池特性の安定性およびイオン伝導度をより向上させたリチウムイオン二次電池用のガラスセラミックスが求められている。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、本発明では、金属リチウムに対して比較的安定であり、イオン伝導度を向上させた新規のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを提供することを目的とする。また、本発明では、そのようなリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明では、カチオン%表記で、Li:7〜15%、X2+:0超〜4%(ただし、X2+はCa2+、Ba2+、Sr2+、およびRa2+からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。)、Mg2+:20〜50%、Al3+:5〜20%、およびSi4+:30〜60%、を含有するとともに、アニオン%表記で、F:5〜35%、およびO2−:35〜95%、を含有するリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスが提供される。
本発明によるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスは、雲母型の結晶構造を有することが好ましい。
本発明によるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスは、イオン伝導度が1.0×10−7S/cm以上であることが好ましい。
本発明では、前述のようなリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを含む固体電解質が提供される。
本発明では、正極、負極、および両極の間に配置された固体電解質を有するリチウムイオン二次電池であって、固体電解質が、前述のような特徴を有する固体電解質であるリチウムイオン二次電池が提供される。
また、本発明では、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの製造方法であって、(a)酸化物またはフッ化物に換算したモル%単位で、40〜55%のSiO、3〜8%のAl、20〜35%のMgO、0超〜4.5%のXO(ただし、XはCa、Sr、BaおよびRaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)、7〜20%のAF(ただし、AはNa、K、RuおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属元素を示す。)、0〜6%のMgFを含む原料混合物を用いて被処理体(A)を形成する工程と、(b)前記被処理体(A)を熱処理して、被処理体(B)を形成する工程と、(c)前記被処理体(B)を、リチウムイオンを含む溶融塩中でイオン交換処理して、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを形成する工程と、を有するリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの製造方法が提供される。
本発明では、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスが、カチオン%表記で、Li:7〜15%、X2+:0超〜4%(ただし、X2+はCa2+、Ba2+、Sr2+、およびRa2+からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。)、Mg2+:20〜50%、Al3+:5〜20%、およびSi4+:30〜60%、を含有するとともに、アニオン%表記で、F:5〜35%、およびO2−:35〜95%、を含有することが好ましい。
本発明では、前記リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスが、雲母型の結晶構造を有することが好ましい。
本発明では、前記リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスのイオン伝導度(S/cm)が、前記被処理体(B)のイオン伝導度より1桁以上増加することが好ましい。
本発明では、金属リチウムに対して比較的安定であり、イオン伝導度を向上させた新規のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを提供することができる。また、本発明では、そのようなリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの製造方法を提供することができる。
本発明によるリチウムイオン二次電池を模式的に示した図である。 例1の熱処理済サンプルのXRDスペクトルおよび例1の評価用サンプルのXRDスペクトルである。 例2の熱処理済サンプルのXRDスペクトルおよび例2の評価用サンプルのXRDスペクトルである。 例3の熱処理済サンプルのXRDスペクトルおよび例3の評価用サンプルのXRDスペクトルである。 例4の評価用サンプルのXRDスペクトルである。 例5の評価用サンプルのXRDスペクトルである。 例6の評価用サンプルのXRDスペクトルである。 例7の評価用サンプルのXRDスペクトルである。
以下、本発明について、より詳しく説明する。
(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス)
本発明のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスは、カチオン成分としてLi、X2+(ただし、X2+はCa2+、Ba2+、Sr2+、およびRa2+からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。)、Mg2+、Al3+、およびSi4+を含有し、アニオン成分としてFおよびO2−を含有する。Li、X2+、Mg2+、Al3+、およびSi4+を含む全カチオン成分の合計含有量を100モル%とし、カチオン%表記において、下記の範囲で各カチオン成分を含有する。FおよびO2−を含む全アニオン成分の合計含有量を100モル%として、アニオン%表記において、下記の範囲で各アニオン成分を含有する。
[カチオン成分]
Liを7〜15%、好ましくは7〜13%、より好ましくは7〜9%含有する。X2+を0超〜4%、好ましくは0超〜3%、より好ましくは0超〜2%含有する。Mg2+を20〜50%、好ましくは25〜45%、より好ましくは35〜45%含有する。Al3+を5〜20%、好ましくは5〜15%、より好ましくは5〜10%含有する。Si4+を30〜60%、好ましくは35〜55%、より好ましくは40〜50%含有する。
なお、本発明において、「X2+」は、Ca2+、Ba2+、Sr2+、およびRa2+からなる群より選ばれる複数種であってもよい。複数種の場合は、Ca2+、Ba2+、Sr2+、およびRa2+からなる群より選ばれる複数種の含有量の合計が、カチオン%表記で0超〜4%、好ましくは0超〜3%、より好ましくは0超〜2%の範囲を満たす。
[アニオン成分]
を5〜35%、好ましくは10〜30%、より好ましくは15〜30%含有する。O2−を35〜95%、好ましくは45〜90%、より好ましくは50〜80%含有する。
なお、本明細書において、「カチオン%」および「アニオン%」とは、以下のとおりである。ガラスセラミックスの構成成分をカチオン成分とアニオン成分に分離する。「カチオン%」とは、ガラスセラミックス中に含まれるカチオン成分の合計含有量を100モル%としたときに、各カチオン成分の含有量を百分率で表記する際の単位である。「アニオン%」とは、ガラスセラミックス中に含まれるアニオン成分の合計含有量を100モル%としたときに、各アニオン成分の含有量を百分率で表記する際の単位である。
本発明によるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスは、カチオン%表記で、Li:7〜15%、X2+:0超〜4%、Mg2+:20〜50%、Al3+:5〜20%、およびSi4+:30〜60%、を含有するとともに、アニオン%表記で、F:5〜35%、およびO2−:35〜95%、を含有する。
本発明によるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスは、カチオン%表記で、Li:7〜13%、X2+:0超〜3%、Mg2+:25〜45%、Al3+:5〜15%、およびSi4+:35〜55%、を含有するとともに、アニオン%表記で、F:10〜30%、およびO2−:45〜90%、を含有することが好ましい。
本発明によるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスは、カチオン%表記で、Li:7〜9%、X2+:0超〜2%、Mg2+:35〜45%、Al3+:5〜10%、およびSi4+:40〜50%、を含有するとともに、アニオン%表記で、F:15〜30%、およびO2−:50〜80%、を含有することがより好ましい。
本発明によるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスは、雲母型の結晶構造を有することが好ましい。本願における「雲母型の結晶構造」は、対象物のX線回折(CuKα線)の測定を行い、雲母型の結晶構造に特徴的な2θ=9°付近に現れる(001)面の回折ピーク、2θ=19°付近に現れる(002)面の回折ピーク、2θ=28°付近に現れる(003)面の回折ピークにより、同定できる。
本発明によるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスは、イオン伝導度が1.0×10−8(S/cm)以上が好ましく、1.0×10−7(S/cm)以上がより好ましい。本明細書において、イオン伝導度は、室温(20℃〜25℃。以下同じ)での交流インピーダンス測定によって得られた値を意味する。すなわち、イオン伝導度は、両面に電極を形成したサンプルを用いて、交流インピーダンス法による測定により求められる。本発明におけるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスのイオン伝導度は、測定条件を印加電圧50mV、測定周波数域1Hz〜1MHzとし、交流インピーダンス測定により得られたcole−coleプロットの円弧径から算出する。
本発明によるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスは、リチウムイオン二次電池用の無機固体電解質に有意に適用できる。本発明による固体電解質は、金属空気電池または全固体電池用の固体電解質に適用できる。
本発明によるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスは、組成式(Li1.5−2a,X)MgAlSi4.513.25(ただし、式中、XはCa、Sr、BaおよびRaからなる群より選ばれる少なくとも1種の原子であり、aは0<a≦0.25)で表わされる結晶を有すると推定される。前述の組成式は、混合した原料の組成比、X線回折による類似の回折パターンを有するJCPDSカードとの照合、および誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)分析の結果から推定することができる。
本発明によるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスは、X(XはCa、Sr、BaおよびRaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)を含有することで、水分に対する安定性を高めることができると推定される。
(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの製造方法)
次に、本発明によるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの製造方法について説明する。
(工程(a))
酸化物またはフッ化物に換算したモル%単位で、40〜55%のSiO、3〜8%のAl、20〜35%のMgO、0超〜4.5%のXO(ただし、XはCa、Sr、BaおよびRaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)、7〜20%のAF(ただし、Aは、Na、K、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属元素を示す。)、0〜6%のMgFを含む原料混合物を用いて被処理体(A)を形成する。
被処理体(A)は、以下の手順を経て形成することが好ましい。
原料混合物を準備する。具体的には、原料混合物は、酸化物またはフッ化物に換算したモル%単位で、SiOを40〜55%、好ましくは42〜53%、より好ましくは45〜50%含み、Alを3〜8%、好ましくは4〜7%、より好ましくは5〜6%含み、MgOを20〜35%、好ましくは22〜33%、より好ましくは25〜30%含み、XOを0超〜4.5%、好ましくは0超〜3%、より好ましくは0超〜2%含み、AFを7〜20%、好ましくは10〜18%、より好ましくは13〜16%含み、MgFを0〜6%、好ましくは1〜5%、より好ましくは2〜4%含む。
なお、本発明において、「X」は、Ca、Sr、BaおよびRaからなる群より選ばれる複数種であってもよい。「X」が複数種の場合は、CaO、SrO、BaOおよびRaOからなる群より選ばれる複数の含有量の合計が、0超〜4.5%、好ましくは0超〜3%、より好ましくは0超〜2%の範囲を満たす。
また、本発明において、「A」は、Na、K、RbおよびCsからなる群より選ばれる複数種であってもよい。「A」が複数種の場合は、NaF、KF、RbFおよびCsFからなる群より選ばれる複数の含有量の合計が、7〜20%、好ましくは10〜18%、より好ましくは13〜16%の範囲を満たす。
本発明は、酸化物またはフッ化物に換算したモル%単位で、42〜53%のSiO、4〜7%のAl、22〜33%のMgO、0超〜3%のXO、10〜18%のAF、1〜5%のMgFを含む原料混合物を用いることが好ましい。
本発明は、酸化物またはフッ化物に換算したモル%単位で、45〜50%のSiO、5〜6%のAl、25〜30%のMgO、0超〜2%のXO、13〜16%のAF、2〜4%のMgFを含む原料混合物を用いることがより好ましい。
SiOが40〜55モル%であると、均質な非晶質物質が得られ、ガラス化が容易であり、高イオン伝導度を有するガラスセラミックスの製造が容易となるため、好ましい。
Alが3〜8%であると、均質な非晶質物質が得られ、ガラス化が容易となり、高イオン伝導度を有するガラスセラミックスの製造が容易となるため、好ましい。
MgOが20〜35モル%であると、次工程(b)で熱処理をしたときに雲母型の結晶構造を有する結晶が析出しやすくなり、イオン伝導度が高くなるため、好ましい。
XOが0超〜4.5モル%であると、水分に対する安定性が高まり、イオン伝導度が高くなるため、好ましい。
AFが7〜20モル%であると、次工程(b)で熱処理をしたときに雲母型の結晶構造を有する結晶が析出しやすくなり、イオン伝導度が高くなるため、好ましい。
MgFが0〜6モル%であると、次工程(b)で熱処理をしたときに雲母型の結晶構造を有する結晶が析出しやすくなり、イオン伝導度が高くなるため、好ましい。
原料は、通常のガラスセラミックスの製造に用いる原料であれば特に限定されない。原料としては、例えば、珪砂、炭酸ナトリウム、五酸化二燐、酸化ジルコニウム、珪酸ソーダ、リン酸三ナトリウム、リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、二ケイ酸ナトリウム・n水和物、二リン酸ナトリウム十水和物、メタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、および水酸化ジルコニウムなどを使用することができる。
次に、一般的な方法で、原料を加熱溶解して溶融物を得る。加熱溶解する温度(溶融温度)は1400〜1650℃が好ましく、1450〜1600℃がより好ましい。
次に、溶融物を固化することにより被処理体(A)を形成する。固化により、被処理体(A)として、非晶質物質のみからなるガラス、または非晶質物質の一部が結晶化したガラスセラミックスが形成される。被処理体(A)の非晶質物質の歪みを除去するために、徐冷して固化することが好ましい。冷却速度は0.5℃/分〜5℃/分が好ましい。
被処理体(A)は、いかなる形態であってもよい。被処理体(A)は、例えば、板状、粉末状、および/または粉末等であってもよい。
(工程(b))
前記被処理体(A)を熱処理して、被処理体(B)を形成する。熱処理は、被処理体(A)の少なくとも一部を結晶化させて、結晶を含む被処理体(B)を形成するために実施される。熱処理の条件は、被処理体(A)の結晶化に適した条件であれば、いかなる条件であってもよい。
熱処理の条件は、例えば、2段階の熱処理であってもよい。すなわち、例えば、約700℃〜900℃の温度範囲で、約1時間〜10時間、熱処理(第1熱処理)を行い、さらに、約900℃〜1050℃の温度範囲で、約30分〜2時間、熱処理(第2熱処理)を行えばよい。
ただし、前述の熱処理の条件は、一例であって、その他の熱処理条件で、結晶を析出させてもよい。例えば、単段階の熱処理で、結晶を析出させてもよい。
被処理体(B)に含まれる結晶は、雲母型の結晶構造であることが好ましい。被処理体(B)は、結晶のみで構成されても良く、あるいは非晶質物質と結晶の混合物であってもよい。例えば、後者の場合、被処理体(B)は、非晶質物質のマトリクス中に、結晶が分散されたガラスセラミックスで構成されてもよい。被処理体(B)としてガラスセラミックスを用いることにより、界面抵抗を低く抑えることができ、成形性が高くなる。
被処理体(B)のイオン伝導度は、1×10−13(S/cm)以上が好ましく、1×10−12(S/cm)以上がより好ましく、1×10−11(S/cm)以上がよりいっそう好ましく、1×10−10(S/cm)以上がさらに好ましく、1×10−9(S/cm)以上がさらにいっそう好ましい。
被処理体(A)の一部がすでに結晶化している場合、工程(b)を省いてもよい。すなわち、工程(a)において被処理体(A)を形成し、後述する工程(c)において前記被処理体(A)を、リチウムイオンを含む溶融塩中でイオン交換処理してリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを形成してもよい。しかし、被処理体(A)を熱処理して、被処理体(B)を形成する工程(b)を経る方が、よりイオン伝導を向上させることができるため、好ましい。
以上の工程(a)、(b)を経て、被処理体(B)が形成される。被処理体(B)は、「雲母型の結晶構造」を有することが好ましい。被処理体(B)の形状は、例えば、ブロック状、板状、およびディスク状等であってもよい。
(工程(c))
被処理体(B)を、リチウムイオンを含む溶融塩中でイオン交換処理して、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを形成する。
イオン交換処理により、被処理体(B)中のNa、K、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属イオンの一部または全部がリチウムイオンと置換される。イオン交換されたリチウムイオンは、アルカリ金属イオンが占有していたサイトに導入されると考えられる。Na、K、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属イオンが占有していたサイトに導入されたリチウムイオンは、移動に対して大きな自由度を有する。リチウムイオンは、Na、K、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属イオンに比べてイオン半径が小さいためである。すなわち、イオン交換処理により、大きなイオン伝導度が付与されたリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを形成できる。例えば、本発明では、被処理体(B)をイオン交換処理することで、被処理体(B)のイオン伝導度を、約1桁以上、好ましくは2桁以上、上昇させたリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを形成することができる。
ここで、雲母型の結晶構造は、アルカリ金属イオンの伝導度が比較的高い。そのため、雲母型の結晶構造を有する被処理体(B)をイオン交換処理することで、イオン伝導度が高いリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを得ることができる。
なお、被処理体(B)が、Na、K、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属イオンを含む非晶質物質と結晶の混合材料、すなわちガラスセラミックスである場合、イオン交換処理により、非晶質物質中のNa、K、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属イオンも、リチウムイオンと置換される。これにより、非晶質物質におけるイオン伝導度も向上するため、よりイオン伝導度が高いリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを得ることができると考えられる。
イオン交換処理の処理条件は、被処理体(B)のNa、K、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属イオンが占めるサイトの一部または全部に、リチウムイオンを導入することができれば、特に限定されない。例えば、イオン交換処理は、リチウムイオンを含む溶融塩中に、被処理体(B)を所定時間浸漬することにより行われてもよい。リチウムイオンを含む溶融塩としては、例えば、硝酸リチウム、亜硝酸リチウム、硫酸リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウム、およびこれらの混合塩等を使用してもよい。
イオン交換処理の温度条件は、使用する溶融塩によっても変化するが、例えば、200〜500℃とすればよい。また、イオン交換処理の処理時間は、温度条件によっても変動するが、例えば、24時間〜120時間とすればよい。上述の温度条件および処理時間とすることで、被処理体(B)の90%以上のアルカリ金属イオンをリチウムイオンに置換したリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを得ることができる。
本発明では、従来に比べて、イオン伝導度がより向上したリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを提供できる。イオン伝導度の高い結晶を有する被処理体(B)を準備しておき、さらに前記被処理体(B)をリチウムイオンでイオン交換処理してリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを得るという、2段階のイオン伝導度向上効果を利用しているからである。
また、本発明の製造方法は、工程(c)の前に、被処理体(B)の厚さを薄くする工程(d)を有してもよい。例えば、被処理体(B)の厚さが1.0mm以下となるように加工することが好ましく、0.6mm以下となるように加工することがより好ましく、0.2mm以下となるように加工することがよりいっそう好ましい。また、被処理体(B)の厚さは、0.1mm以上とすることが好ましい。被処理体(B)の厚さを0.1mm〜1.0mmとすることで、被処理体(B)のハンドリング性が良好になり、被処理体(B)のイオン交換処理時間を短くできる。なお、被処理体(B)は、工程(c)の段階で薄く加工されていればよい。すなわち、工程(b)の後で被処理体(B)を薄く加工してもよく、工程(a)の後で被処理体(A)を薄く加工し、薄く加工した被処理体(A)を熱処理して、被処理体(B)を形成してもよい。
被処理体(A)または被処理体(B)を薄くする加工方法としては、研磨等が挙げられる。被処理体(B)の厚さを薄くしておくことで、工程(c)でより迅速かつ効率的に、Na、K、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属イオンを、リチウムイオンとイオン交換することが可能となる。したがって、イオン交換の処理時間を短縮する、および/または処理温度を抑制できる。
(リチウムイオン二次電池)
本発明の製造方法により製造されたリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスは、例えば、リチウムイオン二次電池、金属空気電池、または全固体電池に使用することができる。図1に、リチウムイオン二次電池の構成の一例を概略的に示す。
図1に示すように、リチウムイオン二次電池100は、カソード電極110、アノード電極150、および電極間の電解質120を有する。
カソード電極110には、例えば、LiCoO、LiMn、またはLiFePO等が使用される。アノード電極150には、例えば、金属リチウム、グラファイトまたはLiTi12等が使用される。ただし、これは、一例であって、両電極に、その他の電極材料を使用してもよいことは、当業者には明らかである。
ここで、電解質120には、本発明におけるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスが使用されている。
電解質120として、本発明におけるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを使用した場合、従来の有機溶媒系の液体電解質を使用した場合に比べて、リチウムイオン二次電池に高い安全性を提供できる。また、本発明におけるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスはセラミックス系の固体電解質であり、従来の有機溶媒系の液体電解質に比べて、電圧印加に対して高い安定性を有する。このため、リチウムイオン二次電池に大きな電圧を印加した際に、電解質が分解または変質してしまうという従来の問題が軽減される。
さらに、本発明におけるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスは、高いリチウムイオン伝導度を有する。したがって、本発明のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスで構成された電解質120を有するリチウムイオン二次電池100は、従来のガラス製の固体電解質を使用したリチウムイオン二次電池に比べて、良好な特性を発揮することができる。
本発明の実施例および比較例を表1、2に示す。例1〜3は実施例であり、例4〜10は比較例である。表1、2には、原料混合物組成(モル%)、イオン交換処理の有無、評価用サンプルの成分(カチオン%表記、アニオン%表記)、イオン伝導度、アルカリ金属の置換量を示す。
(例1)
(評価用サンプルの作製)
以下の方法で、評価用サンプルを作製し、その特性を評価した。評価用サンプルは、以下の手順で作製した。
まず、下記の表1に示す組成(表1では原料混合物組成(モル%)と記す)となるように、各原料粉を秤量、混合した。次に、混合した原料を、白金坩堝に入れ、1450℃で60分間加熱し、混合した原料を溶解させた。次に、溶解した原料を用いて、カーボン板上に流しだしを行った。ガラス中の歪みを除去するため、560℃で1時間加熱した後、12時間で室温まで冷却し、ブロック状の非晶質サンプルを作製した。
Figure 2014162652
次に、前記非晶質サンプルを、大気中、750℃で3時間保持し、その後室温まで冷却し、熱処理済みサンプルを得た。
例1の熱処理済みサンプルについて、X線結晶回折を行った。図2にX線回折結果を示す。図2に示される2つのスペクトルのうち、下側に例1の熱処理済みサンプルのXRDスペクトルを示す。
図2において、熱処理済みサンプルのXRDスペクトルには明瞭な回折ピークが認められることから、熱処理済みサンプルには結晶が含まれていることを確認した。
熱処理済みサンプルのXRDスペクトルは、雲母型の結晶構造に特徴的な2θ=9°付近に現れる(001)面の回折ピーク、2θ=19°付近に現れる(002)面の回折ピーク、2θ=28°付近に現れる(003)面の回折ピーク、および2θ=60°付近に現れる(060)面の回折ピークが認められることから、雲母型の結晶構造を有することを確認した。
次に、前記熱処理済みサンプルを、厚さが0.6mmになるまで研磨した。
次に、研磨後の熱処理済みサンプルを用いて、イオン交換処理を行った。イオン交換処理は、熱処理済みサンプルを、400℃の硝酸リチウム溶融塩中に浸漬することにより実施した。処理期間は、72時間とした。これにより、評価用サンプルが得られた。
例1の評価用サンプルについて、熱処理済みサンプルと同じくX線結晶回折を行った。図2に示される2つのスペクトルのうち、上側が例1の評価用サンプルのXRDスペクトルである。図2において、評価用サンプルのXRDスペクトルは、熱処理済みサンプルと同じく明瞭な回折ピークが認められ、且つ、2θ=9°付近、2θ=19°付近、2θ=28°付近、および2θ=60°付近に現れる回折ピークが認められた。すなわち、例1の評価用サンプルは結晶が含まれ、雲母型の結晶構造を有することを確認した。
例1の評価用サンプルは、混合した原料の組成比およびICP分析の結果から、カチオン%表記でLi:8.8%、Ca2+:0.02%、Mg2+:38.7%、Al3+:5.9%、およびSi4+:46.5%、を含有するとともに、アニオン%表記で、F:25.2%、およびO2−:74.8%含有することを確認した。
例1の評価用サンプルは、(Li1.498Ca0.001)MgAlSi4.513.25であると推定される。
また、ICP分析法により、例1の評価用サンプルに含まれる実際のリチウム量を分析したところ、含有リチウム量は、LiO換算で4.4質量%であった(含有ナトリウム量は、NaO換算で0.08質量%)。例1の評価用サンプルにおいて、イオン交換処理前のナトリウムが、イオン交換処理によって100%リチウムに置換されたと仮定すると、理論上、含有リチウム量は、LiO換算で4.6質量%となる。今回のICP分析結果は、理論値と極めて接近しており、イオン交換処理によって、熱処理済みサンプル中のナトリウムイオンのほとんどがリチウムイオンに置換された評価用サンプルが得られたことを確認した。
(特性評価)
得られた例1の評価用サンプルを用いて、以下の方法でイオン伝導度を測定した。
まず、例1の評価用サンプルの両面に、蒸着法により金膜(厚さ約200nm)を形成した。
前記金膜を電極として、両電極間に50mVの測定電圧を印加し、交流インピーダンス法により、インピーダンス測定を行った。測定には、FRA(周波数応答アナライザ)を備えるソーラトロン1260(Solartron社製)を使用し、測定周波数は、10Hz〜10Hzとした。Cole−Coleプロットで求められる円弧径より、例1の評価用サンプルのイオン伝導度を算定した。
測定の結果、イオン伝導度は、2.9×10−7S/cmであった。
(例2)
例2では、上記の表1における例2の「原料混合物組成」の欄に示す組成となるように、各原料粉を秤量、混合した。その他の作製条件は、例1の場合と同様であり、非晶質サンプルを作製し、該非晶質サンプルを熱処理して熱処理済みサンプルを作製し、該熱処理済みサンプルをイオン交換処理して評価用サンプルを作製した。
例2の熱処理済みサンプルおよび評価用サンプルについて、X線結晶回折を行った。図3にX線回折結果を示す。図3に示される2つのスペクトルのうち、下から順に熱処理済みサンプルのXRDスペクトル、評価用サンプルのXRDスペクトルである。図3に示す2つのスペクトルは、例1の熱処理済みサンプルのXRDスペクトルおよび評価用サンプルのXRDスペクトルと同様の結果であり、例2の熱処理済みサンプルおよび評価用サンプルは結晶が含まれ、雲母型の結晶構造を有することを確認した。
例2の評価用サンプルは、混合した原料の組成比およびICP分析の結果から、カチオン%表記でLi:8.7%、Ca2+:0.17%、Mg2+:38.8%、Al3+:5.9%、およびSi4+:46.5%、含有するとともに、アニオン%表記で、F:25%、およびO2−:75%含有することを確認した。
例2の評価用サンプルは、(Li1.48Ca0.01)MgAlSi4.513.25であると推定される。
ICP分析法により、例2の評価用サンプルに含まれる実際のリチウム量を分析したところ、含有リチウム量は、LiO換算で4.4質量%であった(含有ナトリウム量は、NaO換算で0.07質量%)。例2の評価用サンプルにおいて、イオン交換処理前のナトリウムが、イオン交換処理によって100%リチウムに置換されたと仮定すると、理論上、含有リチウム量は、LiO換算で4.6質量%となる。今回の分析結果は、理論値と極めて接近しており、イオン交換処理によって、サンプル中のナトリウムイオンのほとんどがリチウムイオンに置換されたことを確認した。
例2の評価用サンプルを用いて、前述の方法でイオン伝導度を測定した。評価の結果、例2の評価用サンプルのイオン伝導度は、2.7×10−7S/cmであった。
(例3)
例3は、上記の表1における例3の「原料混合物組成」の欄に示す組成となるように、各原料粉を秤量、混合した。その他の作製条件は、例1と同様であり、非晶質サンプルを作製し、該非晶質サンプルを熱処理して熱処理済みサンプルを作製し、該熱処理済みサンプルをイオン交換処理して評価用サンプルを作製した。
例3の熱処理済みサンプルおよび評価用サンプルについて、X線結晶回折を行った。図4にX線回折結果を示す。図4に示される2つのスペクトルのうち、下から順に熱処理済みサンプルのXRDスペクトル、評価用サンプルのXRDスペクトルである。図4に示す2つのスペクトルは、例1の熱処理済みサンプルのXRDスペクトルおよび評価用サンプルのXRDスペクトルと同様の結果であり、例3の熱処理済みサンプルおよび評価用サンプルは結晶が含まれ、雲母型の結晶構造を有することを確認した。
例3の評価用サンプルは、混合した原料の組成比およびICP分析の結果から、カチオン%表記でLi:7.7%、Ca2+:1.6%、Mg2+:38.5%、Al3+:5.9%、およびSi4+:46.3%、含有するとともに、アニオン%表記で、F:24%、およびO2−:76%含有することを確認した。
例3の評価用サンプルは、(Li1.3Ca0.1)MgAlSi4.513.25であると推定される。
ICP分析法により、例3の評価用サンプルに含まれる実際のリチウム量を分析したところ、含有リチウム量は、LiO換算で3.7質量%であった(含有ナトリウム量は、NaO換算で0.08質量%)。例3の評価用サンプルにおいて、イオン交換処理前のナトリウムが、イオン交換処理によって100%リチウムに置換されたと仮定すると、理論上、含有リチウム量は、LiO換算で4.0質量%となる。今回の分析結果は、この理論値と極めて接近しており、イオン交換処理によって、サンプル中のナトリウムイオンのほとんどがリチウムイオンに置換されたことを確認した。
例3の評価用サンプルを用いて、前述の方法でイオン伝導度を測定した。評価の結果、例3の評価用サンプルのイオン伝導度は、1.0×10−7S/cmであった。
(例4)
例4は、上記の表1における例4の「原料混合物組成」の欄に示す組成となるように、各原料粉を秤量、混合した。例4では、NaFの代わりに、同モル比のLiFを使用した。また、イオン交換処理は行わなかった。すなわち、非晶質サンプルを作製し、該非晶質サンプルを熱処理して熱処理済みサンプルを作製し、該熱処理済みサンプルをそのまま評価用サンプルにした。その他の作製条件は、例1と同様にした。
例4の評価用サンプルについて、X線結晶回折を行った。図5にX線回折結果を示す。図5に示す評価用サンプル(熱処理済みサンプル)のXRDスペクトルは、例1の熱処理済みサンプルのXRDスペクトルと同様の結果であり、例4の評価用サンプルは結晶が含まれ、雲母型の結晶構造を有することを確認した。
例4の評価用サンプルは、混合した原料の組成比およびICP分析の結果から、カチオン%表記でLi:8.8%、Mg2+:38.7%、Al3+:5.9%、およびSi4+:46.5%、含有するとともに、アニオン%表記で、F:25.2%、およびO2−:74.8%の含有であった。
例4の評価用サンプルは、Li1.5MgAlSi4.513.25であると推定される。
例4の評価用サンプルを用いて、前述の方法でイオン伝導度を測定した。評価の結果、例4の評価用サンプルのイオン伝導度は、1.0×10−11S/cm以下と低かった。
(例5)
例5は、上記の表1における例5の「原料混合物組成」の欄に示す組成となるように、各原料粉を秤量、混合した。その他の作製条件は、例1と同様であり、非晶質サンプルを作製し、該非晶質サンプルを熱処理して熱処理済みサンプルを作製し、該熱処理済みサンプルをイオン交換処理して評価用サンプルを作製した。
例5の評価用サンプルについて、X線結晶回折を行った。図6にX線回折結果を示す。図6に示す評価用サンプルのXRDスペクトルは、例1の評価用サンプルのXRDスペクトルと同様の結果であり、例5の評価用サンプルは結晶が含まれ、雲母型の結晶構造を有することを確認した。
例5の評価用サンプルは、混合した原料の組成比およびICP分析の結果から、カチオン%表記でLi:3.0%、Ca2+:8.0%、Mg2+:36.5%、Al3+:5.9%、およびSi4+:46.6%、含有するとともに、アニオン%表記で、F:18.4%、およびO2−:81.4%の含有であった。
例5の評価用サンプルは(Li0.5Ca0.5)MgAlSi4.513.25であると推定される。
ICP分析法により、例5の評価用サンプルに含まれる実際のリチウム量を分析したところ、含有リチウム量は、LiO換算で0.9質量%であった(含有ナトリウム量は、NaO換算で0.4質量%)。例5の評価用サンプルにおいて、イオン交換処理前のナトリウムが、イオン交換処理によって100%リチウムに置換されたと仮定すると、理論上、含有リチウム量は、LiO換算で1.5質量%となる。今回の分析結果は、理論値と分析値が乖離しており、イオン交換処理によって、サンプル中のナトリウムイオンの約6割しかリチウムイオンと置換していないことを確認した。アルカリ土類イオンが雲母結晶中の層間に配位することによりイオン交換が進みにくくなったためと推定される。
例5の評価用サンプルを用いて、前述の方法でイオン伝導度を測定した。評価の結果、例5の評価用サンプルのイオン伝導度は、3.0×10−10S/cmであった。
(例6)
例6は、上記の表1における例6の「原料混合物組成」の欄に示す組成となるように、各原料粉を秤量、混合した。その他の作製条件は、例1と同様であり、非晶質サンプルを作製し、該非晶質サンプルを熱処理して熱処理済みサンプルを作製し、該熱処理済みサンプルをイオン交換処理して評価用サンプルを作製した。
例6の評価用サンプルについて、X線結晶回折を行った。図7にX線回折結果を示す。図7に示す評価用サンプルのXRDスペクトルは、例1の評価用サンプルのXRDスペクトルと同様の結果であり、例6の評価用サンプルは結晶が含まれ、雲母型の結晶構造を有することを確認した。
例6の評価用サンプルは、混合した原料の組成比およびICP分析の結果から、カチオン%表記でLi:2.9%、Sr2+:9.3%、Mg2+:36.0%、Al3+:5.8%、およびSi4+:45.9%、含有するとともに、アニオン%表記で、F:18.6%、およびO2−:81.4%の含有であった。
例6の評価用サンプルは(Li0.5Sr0.5)MgAlSi4.513.25であると推定される。
ICP分析法により、例6の評価用サンプルに含まれる実際のリチウム量を分析したところ、含有リチウム量は、LiO換算で0.8質量%であった(含有ナトリウム量は、NaO換算で0.8質量%)。例6の評価用サンプルにおいて、イオン交換処理前のナトリウムが、イオン交換処理によって100%リチウムに置換されたと仮定すると、理論上、含有リチウム量は、LiO換算で1.4質量%となる。今回の分析結果は、理論値と分析値が乖離しており、イオン交換処理によって、サンプル中のナトリウムイオンの約6割しかリチウムイオンと置換していないことを確認した。アルカリ土類イオンが雲母結晶中の層間に配位することによりイオン交換が進みにくくなったためと推定される。
例6の評価用サンプルを用いて、前述の方法でイオン伝導度を測定した。評価の結果、例6の評価用サンプルのイオン伝導度は、2.6×10−10S/cmであった。
(例7)
例7は、上記の表1における例7の「原料混合物組成」の欄に示す化学組成となるように、各原料粉を秤量、混合した。その他の作製条件は、例1と同様であり、非晶質サンプルを作製し、該非晶質サンプルを熱処理して熱処理済みサンプルを作製し、該熱処理済みサンプルをイオン交換処理して評価用サンプルを作製した。
例7の評価用サンプルについて、X線結晶回折を行った。図8にX線回折結果を示す。図8に示す評価用サンプルのXRDスペクトルは、例1の評価用サンプルのXRDスペクトルと同様の結果であり、例7の評価用サンプルは結晶が含まれ、雲母型の結晶構造を有することを確認した。
例7の評価用サンプルは、混合した原料の組成比およびICP分析の結果から、カチオン%表記でLi:3.1%、Ba2+:10.5%、Mg2+:31.5%、Al3+:6.2%、およびSi4+:48.8%、含有するとともに、アニオン%表記で、F:9.4%、およびO2−:90.6%の含有であった。
例7の評価用サンプルは(Li0.5Ba0.5)MgAlSi4.513.25であると推定される。
ICP分析法により、例7の評価用サンプルに含まれる実際のリチウム量を分析したところ、含有リチウム量は、LiO換算で0.9質量%であった(含有ナトリウム量は、NaO換算で0.6質量%)。例7の評価用サンプルにおいて、イオン交換処理前のナトリウムが、イオン交換処理によって100%リチウムに置換されたと仮定すると、理論上、含有リチウム量は、LiO換算で1.4質量%となる。今回の分析結果は、理論値と分析値が乖離しており、イオン交換処理によって、サンプル中のナトリウムイオンの約6割しかリチウムイオンと置換していないことを確認した。アルカリ土類イオンが雲母結晶中の層間に配位することによりイオン交換が進みにくくなったためと推定される。
例7の評価用サンプルを用いて、前述の方法でイオン伝導度を測定した。評価の結果、例7の評価用サンプルのイオン伝導度は、8.1×10−9S/cmであった。
(例8)
例8は、下記の表2における例8の「原料混合物組成」の欄に示す組成となるように、各原料粉を秤量、混合した。例4と同じく、NaFの代わりに同モル比のLiFを使用し、イオン交換処理は行わなかった。すなわち、非晶質サンプルを作製し、該非晶質サンプルを熱処理して熱処理済みサンプルを作製し、該熱処理済みサンプルをそのまま評価用サンプルにした。その他の作製条件は、例1と同様にした。
例8の評価用サンプルは、混合した原料の組成比から、例1と同じ(Li1.498Ca0.001)MgAlSi4.513.25であると推定される。
例8の評価用サンプルを用いて、前述の方法でイオン伝導度を測定した。評価の結果、例8の評価用サンプルのイオン伝導度は、1.0×10−11S/cm以下と低かった。
Figure 2014162652
(例9)
例9は、下記の表2における例9の「原料混合物組成」の欄に示す組成となるように、各原料粉を秤量、混合した。その他の作製条件は、例8と同様にした。
例9の評価用サンプルは、混合した原料の組成比から、例2と同じ(Li1.48Ca0.01)MgAlSi4.513.25であると推定される。
例9の評価用サンプルを用いて、前述の方法でイオン伝導度を測定した。評価の結果、例8の評価用サンプルのイオン伝導度は、1.0×10−11S/cm以下と低かった。
(例10)
例10は、下記の表2における例10の「原料混合物組成」の欄に示す組成となるように、各原料粉を秤量、混合した。その他の作製条件は、例8と同様にした。
例10の評価用サンプルは、混合した原料の組成比から、例3と同じ(Li1.3Ca0.1)MgAlSi4.513.25であると推定される。
例10の評価用サンプルを用いて、前述の方法でイオン伝導度を測定した。評価の結果、例10の評価用サンプルのイオン伝導度は、1.0×10−11S/cm以下と低かった。

Claims (9)

  1. カチオン%表記で、
    Li:7〜15%、
    2+:0超〜4%(ただし、X2+はCa2+、Ba2+、Sr2+、およびRa2+からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。)、
    Mg2+:20〜50%、
    Al3+:5〜20%、および
    Si4+:30〜60%、
    を含有するとともに、
    アニオン%表記で、
    :5〜35%、および
    2−:35〜95%、
    を含有することを特徴とするリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス。
  2. 雲母型の結晶構造を有する請求項1に記載のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス。
  3. イオン伝導度が1.0×10−7S/cm以上である請求項1または2に記載のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを含む固体電解質。
  5. 正極、負極、および両極の間に配置された固体電解質を有するリチウムイオン二次電池であって、
    前記固体電解質は、請求項4に記載の固体電解質であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  6. リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの製造方法であって、
    (a)酸化物またはフッ化物に換算したモル%単位で、40〜55%のSiO、3〜8%のAl、20〜35%のMgO、0超〜4.5%のXO(ただし、XはCa、Sr、BaおよびRaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)、7〜20%のAF(ただし、AはNa、K、RuおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属元素を示す。)、0〜6%のMgFを含む原料混合物を用いて被処理体(A)を形成する工程と、
    (b)前記被処理体(A)を熱処理して、被処理体(B)を形成する工程と、
    (c)前記被処理体(B)を、リチウムイオンを含む溶融塩中でイオン交換処理して、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを形成する工程と、
    を有することを特徴とするリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの製造方法。
  7. 前記リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスが、
    カチオン%表記で、
    Li:7〜15%、
    2+:0超〜4%
    (ただし、X2+はCa2+、Ba2+、Sr2+、およびRa2+からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。)
    Mg2+:20〜50%、
    Al3+:5〜20%、および
    Si4+:30〜60%、
    を含有するとともに、
    アニオン%表記で、
    :5〜35%、および
    2−:35〜95%、
    を含有する請求項1に記載のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの製造方法。
  8. 前記リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスが、雲母型の結晶構造を有する請求項6または7に記載のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの製造方法。
  9. 前記リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスのイオン伝導度(S/cm)が、前記被処理体(B)のイオン伝導度より1桁以上増加する請求項6〜8のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導度ガラスセラミックスの製造方法。
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