JP2014162294A - 車両用燃料タンクへの塗膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タンク本体への塗料の付着効率を向上させることによる製造コストダウンと共に軽量化を果たし、且つ、産業廃棄物となる塗料を少なくして産廃処理費用を軽減し、環境保全に寄与すべくなす。
【解決手段】燃料を蓄えるべくタンク本体1を一方のタンク半体1aと他方のタンク半体1bとで構成する場合、一方のタンク半体1aを、比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物5−1が充填された第1の塗装槽5内に浸漬することにより、一方のタンク半体1aの表面に薄膜塗装層2を形成し、次に、タンク本体1を反転させることによって、他方のタンク半体1bを、比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物6−1を充填した第2の塗装槽6内に浸漬することにより、他方のタンク半体1bの表面に厚膜塗装層3を形成した。
【選択図】図3
【解決手段】燃料を蓄えるべくタンク本体1を一方のタンク半体1aと他方のタンク半体1bとで構成する場合、一方のタンク半体1aを、比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物5−1が充填された第1の塗装槽5内に浸漬することにより、一方のタンク半体1aの表面に薄膜塗装層2を形成し、次に、タンク本体1を反転させることによって、他方のタンク半体1bを、比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物6−1を充填した第2の塗装槽6内に浸漬することにより、他方のタンク半体1bの表面に厚膜塗装層3を形成した。
【選択図】図3
Description
この発明は、自動車等の車両における防錆機能並びに耐チッピング機能を備えるべく表面に塗膜を施した車両用燃料タンクへの塗膜形成方法に関する。
この種の燃料タンクは、通常自動車等における車両の例えばフロアパネル等の車体下面側に設置されていることから、通常、防錆処理が施されている上に、車両の走行中の石跳ね等により発生したチッピングから保護するために、耐チッピング機能を備えている必要がある。
そこで、従来においては、この種の燃料タンクは、タンク本体の車体側対向部に防錆機能を果たすべく防錆塗膜層が施されていると共に、路面に対向する路面側対向部には防錆機能と共に耐チッピング機能を果たすべく耐ピッチング塗膜を施すことによって構成している。
かかる従来の防錆塗膜層及び耐チッピング塗膜層は、通常水性SBR或いはアクリルエマルジョン塗料等の水性塗料組成物をタンク本体表面にスプレーガンを使用して噴射することにより塗布し形成している(特許文献1及び特許文献2を参照)。
そして、防錆塗膜層は、防錆性能を果たすべく、上記水性塗料組成物について高希釈度にすることにより粘土を比較的低くして薄膜厚に形成するのに対して、耐チッピング塗膜層は、車両の走行中の石跳ね等からタンク本体の損傷を確実に防止すべく、上記水性塗料組成物について低希釈度にすることにより粘土を比較的高くして比較的厚膜の膜厚に形成する必要がある。
しかしながら、従来の車両用燃料タンクでは、タンク本体への塗膜の形成は、上記したように、スプレーガンにより塗料を噴射することにより行っている。
かかることから、従来の燃料タンクにおいては、耐チッピング塗膜層の耐チッピング性能を確実に発揮するための必要膜厚を確保しようとすることに引きずられて、防錆塗膜層のみを必要とする部分にも耐チッピング塗膜層が飛散して形成されてしまうことがあって、防錆塗膜層側に要求性能以上の過剰膜厚部が形成されてしまう傾向にあった。
このように、耐チッピング塗膜層を形成するに際して、スプレーガンによる噴射方式では、必要以上の厚膜が形成されてしまうことから、塗布使用量が多くなってしまい、大量塗料の使用による塗料のコストアップ、延いては燃料タンクのコストアップの要因となっているとともに、燃料タンクの重量増大による車両重量アップの要因となって燃費性能が低下して、省エネ対策に悖ることになってしまうおそれがあった。
また、従来の燃料タンクにおいては、防錆塗膜層の形成及び耐チッピング塗膜層の形成のいずれも、スプレーガンを噴射することにより行っていることから、燃料タンク本体への塗料の付着効率が悪く、燃料タンクに塗布されずに周囲に飛散して両塗膜の形成に寄与しなかった塗料は産業廃棄物となってしまい、廃棄費用が嵩むばかりでなく、環境保全にも悪影響を及ぼし兼ねないことにもなってしまう。
この発明は、かかる従来の技術における未解決課題に鑑み、タンク本体への塗料の付着効率を向上させることによる製造コストダウンと共に軽量化を果たし、且つ、産業廃棄物となる塗料を少なくして産廃処理費用を軽減し、環境保全に寄与すべくなした車両用燃料タンクへの塗膜形成方法を提供することを目的としている。
この発明に係る車両用燃料タンクへの塗膜形成方法は、第1に、燃料を蓄えるべくタンク本体が一方のタンク半体と他方のタンク半体とから構成されている場合、前記一方のタンク半体を、比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物が充填された第1の塗装槽内に浸漬することにより、前記一方のタンク半体の表面に薄膜塗装層を形成し、次に、前記タンク本体を反転させることによって、前記他方のタンク半体を、比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物を充填した第2の塗装槽内に浸漬することにより、前記他方のタンク半体の表面に厚膜塗装層を形成するようにしたことを特徴とする。
かかる構成により、この発明は、燃料を蓄えるべくタンク本体が一方のタンク半体と他方のタンク半体とから構成されている場合に、第1の工程において、一方のタンク半体の全体を比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物を充填した第1の塗装槽内に浸漬させることによって、一方のタンク半体の表面を薄膜塗装層から成る防錆塗膜層で被覆することができ、第2の工程において、他方のタンク半体の全体を比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物を充填した第2の塗装槽内に浸漬させることによって、他方のタンク半体の表面を厚膜塗装層から成る防錆機能をも有した耐チッピング塗膜層で被覆することができることになる。
かかる結果、この発明は、従来におけるスプレーガンによる塗料噴射により防錆並びに耐チッピング塗膜層を形成する方式に比して、タンク本体への塗料の付着効率を格段に良好にし、タンク本体に塗布されずに周囲に飛散してしまって両塗膜の形成に寄与せず産業廃棄物となってしまう塗料を極減させて、環境保全の健全化と共に製造コストの低減に寄与することができる。
加えて、この発明は、タンク本体の表面に被覆される防錆並びに耐チッピング塗膜層が塗装槽内で形成されることから、膜厚管理が当該塗料の希釈度や温度などを適宜選定することにより的確に行うことができ、しかも、従来のような耐チッピング塗膜層を形成するに際して塗料の塗布を必要としない箇所まで塗布されてしまうということを防止でき、車両の軽量化による燃費性能の向上が期待できる。
また、この発明に係る車両用燃料タンクへの塗膜形成方法は、第2に、燃料を蓄えるべくタンク本体が一方のタンク半体と他方のタンク半体とから構成されている場合、前記一方のタンク半体を、比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物を充填した第1の塗装槽内に浸漬することにより、前記一方のタンク半体の表面に薄膜塗装層を形成し、次に、前記タンク本体を反転させることによって、前記他方のタンク半体を、前記第1の塗装槽内に浸漬することにより、前記他方のタンク半体の表面に薄膜塗装層を形成し、更に、該薄膜塗装層が形成された前記他方のタンク半体を、比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物を充填した第2の塗装槽内に更に浸漬することにより、前記他方のタンク半体の前記薄膜塗装槽の上に厚膜塗装層を形成するようにしたことを特徴とする。
かかる構成により、この発明は、燃料を蓄えるべくタンク本体が一方のタンク半体と他方のタンク半体とから構成されている場合に、第1の工程において、一方のタンク半体の全体を比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物を充填した第1の塗装槽内に浸漬させることによって、一方のタンク半体の表面を薄膜塗装層から成る防錆塗膜層で被覆することができ、第2の工程において、タンク本体を反転させて、他方のタンク半体を前記第1の塗装槽内に浸漬することによって、他方のタンク半体の表面に薄膜塗装槽を形成した上で、第3の工程において、当該他方のタンク半体を比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物を充填した第2の塗装槽内に浸漬させることによって、他方のタンク半体の表面に厚膜塗装層を形成して、防錆機能をも有した耐チッピング塗膜層を形成することができることになる。
かかる結果、この発明は、従来におけるスプレーガンによる塗料噴射による防錆並びに耐チッピング塗膜を形成する方式に比して、塗料付着効率を格段に良好にし、タンク本体に塗布されずに周囲に飛散してしまって両塗膜の形成に寄与せず産業廃棄物となってしまう塗料を極減させて、環境保全の健全化と共に製造コストの低減に寄与することができる。
しかも、この発明は、他方のタンク半体の表面には、一旦形成した薄膜塗装層の上に更に厚膜塗装層が形成されることになって、確実なる耐チッピング機能を果すことができる耐チッピング塗膜層が施されることになる。
加えて、この発明は、タンク本体の表面に被覆される防錆並びに耐チッピング塗膜層が塗装槽内で形成されることから、膜厚管理が当該塗料の希釈度や温度などを適宜選定することにより的確に行うことができ、しかも、従来のような耐チッピング塗膜層を形成するに際して塗料の塗布を必要としない箇所まで塗布されてしまうということを防止でき、車両の軽量化による燃費性能の向上が期待できる。
また、この発明に係る車両用燃料タンクへの塗膜形成方法は、第3に、燃料を蓄えるべくタンク本体が一方のタンク半体と他方のタンク半体とから構成されている場合、前記タンク本体全体を、比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物を充填した第1の塗装槽内に浸漬することにより、前記タンク本体の全表面に薄膜塗装層を形成し、次に、該薄膜塗装層が形成された前記他方のタンク半体を、比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物を充填した第2の塗装槽内に浸漬することにより、前記他方のタンク半体の前記薄膜塗装槽の上に厚膜塗装層を形成するようにしたことを特徴とする。
かかる構成により、この発明は、燃料を蓄えるべくタンク本体が一方のタンク半体と他方のタンク半体とから構成されている場合に、第1の工程において、タンク本体を比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物を充填した第1の塗装槽内に浸漬させることによって、タンク本体の表面を薄膜塗装層から成る防錆塗膜層で被覆することができ、第2の工程において、他方のタンク半体を、比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物を充填した第2の塗装槽内に浸漬させることによって、厚膜塗装層から成る防錆機能をも有した耐チッピング塗膜層で被覆することができることになる。
かかる結果、この発明は、従来におけるスプレーガンによる塗料噴射により防錆並びに耐チッピング塗膜層を形成する方式に比して、タンク本体への塗料の付着効率を格段に良好にし、タンク本体に塗布されずに周囲に飛散してしまって両塗膜の形成に寄与せず産業廃棄物となってしまう塗料を極減させて、環境保全の健全化と共に製造コストの低減に寄与することができる。
しかも、この発明は、他方のタンク半体の表面には、一旦形成した薄膜塗装層の上に更に厚膜塗装層が形成されることになって、確実なる耐チッピング機能を果すことができる耐チッピング塗膜層が施されることになる。
加えて、この発明は、タンク本体の表面に被覆される防錆並びに耐チッピング塗膜層が塗装槽内で形成されることから、膜厚管理が当該塗料の希釈度や温度などを適宜選定することにより的確に行うことができ、しかも、従来のような耐チッピング塗膜層を形成するに際して塗料の塗布を必要としない箇所まで塗布されてしまうということを防止でき、車両の軽量化による燃費性能の向上が期待できる。
この発明は、燃料を蓄えるべくタンク本体が一方のタンク半体と他方のタンク半体とから構成されている場合に、比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物又は比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物がそれぞれ充填された互いに異なる塗装槽内において、防錆塗膜層を構成する薄膜塗装層及び耐チッピング塗膜層を構成する厚膜塗装層をそれぞれ形成するようにしたことから、従来におけるスプレーガンによる塗料噴射による防錆並びに耐チッピング塗膜層を形成する方式に比して、タンク本体への塗料の付着効率を格段に良好にし、タンク本体に塗布されずに周囲に飛散してしまって両塗膜の形成に寄与せず産業廃棄物となってしまう塗料を極減させて、環境保全の健全化と共に製造コストの低減に寄与することができる。
加えて、この発明は、タンク本体の表面に被覆される防錆並びに耐チッピング塗膜層が塗装槽内で形成されることから、膜厚管理が当該塗料の希釈度や温度などを適宜選定することにより的確に行うことができ、しかも、従来のような耐チッピング塗膜層を形成するに際して塗料の塗布を必要としない箇所まで塗布されてしまうということを防止でき、車両の軽量化による燃費性能の向上が期待できる。
この発明の実施例に係る車両用燃料タンクへの塗膜形成方法は、タンク本体への塗料の付着効率を向上させることにより軽量化と共にコストダウンを果たし、且つ、産業廃棄物となる塗料を少なくして産廃処理費用の軽減し、環境保全に寄与すべくなすべく構成している。
先ず、一般的な車両用、たとえば、自動車用燃料タンクの概略を説明する。すなわち、図1及び図2に示すように、自動車用燃料タンクは、燃料を蓄えるべく、一方のタンク半体(例えば、アッパータンク)1aと他方のタンク半体(例えば、ロアタンク)1bとを互いのタンクフランジ1a−1、1b−1同士を接合することによって構成されたタンク本体1を有して構成されている。
一方のタンク半体1aには、不図示の燃料給油管を接続される給油口が設けられている。また、他方のタンク半体1bは、タンク本体1が車両の車体(不図示)に取付けられた状態において、その表面が通常下面となって路面対向部1b−2を構成することになる。
また、図2に明確に示すように、タンク本体1を構成する一方のタンク半体1aにおけるタンクフランジ1a−1を含めた表面全体には、薄膜塗装層2により被覆されている。薄膜塗装層2は、比較的に高希釈度にて希釈した低粘度の水性SBR或いはアクリルエマルジョン塗料等の水性塗料組成物を塗布することにより形成されており、かかる薄膜塗装層2の膜厚は、防錆機能を果たす防錆塗膜層を構成している。
更に、タンク本体1を構成する他方のタンク半体1bにおけるタンクフランジ1b−1を含めた表面全体には、厚膜塗装層3により被覆されている。厚膜塗装層3は、比較的に低希釈度にて希釈した高粘度の水性SBR或いはアクリルエマルジョン塗料等の水性塗料組成物を塗布することにより形成されており、かかる厚膜塗装層3の膜厚は、防錆機能と共に耐チッピング機能を果たす耐チッピング塗膜層を構成している。
次に、この発明に係る実施例として、タンク本体1に防錆塗膜層を構成する薄膜塗装層2並びに耐チッピング塗膜層を構成する厚膜塗装層3を形成する方法について、図3〜図5を用いて説明する。
先ず、この発明の第1の実施例に係る薄膜塗装層2並びに厚膜塗装層3を形成する方法について、図3を用いて、説明する。
すなわち、図3において、燃料を蓄えるべくタンク本体1が一方のタンク半体1aと他方のタンク半体1bとから構成されている場合、たとえばコンベア4に一方のタンク半体1aが下方向にして吊り下げられたタンク本体1を、比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物5−1を充填した第1の塗装槽5の上まで搬送する(符号(a)で示す状態)。次に、コンベア4に設けたクレーン(不図示)によってタンク本体1を下降させて、一方のタンク半体1aの全体を第1の塗装槽5内に充填した低粘度の水性塗料組成物5−1内に浸漬して、一方のタンク半体1aの表面に、薄膜塗装層2を形成する(符号(b)で示す状態)。この際、他方のタンク半体1bは、第1の塗装槽5の低粘度の水性塗料組成物5−1には浸漬されていない。
次に、タンク本体1全体を、他方のタンク半体1bが不図示のロボットなどにより下方向に向くように、反転させることによって再びコンベア4に吊り下げて、他方のタンク半体1bの全体が浸るまで、第2の塗装槽6内に充填した比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物12a内に浸漬して、他方のタンク半体1bの表面に厚膜塗装層3を塗布形成する(符号(c)で示す状態)。
次に、第2の塗装層12から薄膜塗装層2及び厚膜塗装層3が形成されたタンク本体1を引き揚げて(符号(d)で示す状態)、たとえば、不図示の乾燥装置によって、塗布された塗膜を乾燥した後、タンク本体1が完成する。
従って、この発明の第1の実施例に係る薄膜塗装層2並びに厚膜塗装層3を形成する方法は、燃料を蓄えるべくタンク本体1が一方のタンク半体1aと他方のタンク半体1bとから構成されている場合に、第1の工程において、一方のタンク半体1aの全体を比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物を充填した第1の塗装槽5内に浸漬させることによって、一方のタンク半体1aの表面を薄膜塗装層2から成る防錆塗膜層で被覆することができ、第2の工程において、他方のタンク半体1bの全体を比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物を充填した第2の塗装槽6内に浸漬させることによって、他方のタンク半体1bの表面を厚膜塗装層3から成る防錆機能をも有した耐チッピング塗膜層で被覆することができることになる。
かかる結果、第1の実施例は、従来におけるスプレーガンによる塗料噴射により防錆並びに耐チッピング塗膜層を形成する方式に比して、タンク本体1への塗料の付着効率を格段に良好にし、タンク本体1に塗布されずに周囲に飛散してしまって両塗膜の形成に寄与せず産業廃棄物となってしまう塗料を極減させて、環境保全の健全化と共に製造コストの低減に寄与することができる。
加えて、第1の実施例は、タンク本体1の表面に被覆される防錆並びに耐チッピング塗膜層が第1の塗装槽5並びに第2の塗装槽6内で形成されることから、膜厚管理が当該塗料の希釈度や温度などを適宜選定することにより的確に行うことができ、しかも、従来のような耐チッピング塗膜層を形成するに際して塗料の塗布を必要としない箇所まで塗布されてしまうということを防止でき、車両の軽量化による燃費性能の向上が期待できる。
次に、この発明の第2の実施例に係る薄膜塗装層2並びに厚膜塗装層3を形成する方法について、図4を用いて、説明する。
すなわち、図4において、燃料を蓄えるべくタンク本体1が一方のタンク半体1aと他方のタンク半体1bとから構成されている場合、たとえばコンベア4に一方のタンク半体1aが下方向にして吊り下げられたタンク本体1を、比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物5−1を充填した第1の塗装槽5の上まで搬送し、コンベア4に設けたクレーン(不図示)によってタンク本体1を下降させることによって、一方のタンク半体1aの全体を第1の塗装槽5内に充填した低粘度の水性塗料組成物5−1内に浸漬して、一方のタンク半体1aの表面に、薄膜塗装層2を形成する(符号(e)で示す状態)。この際、他方のタンク半体1bは、第1の塗装槽5の低粘度の水性塗料組成物5−1には浸漬されていない。
次に、タンク本体1全体を、他方のタンク半体1bが不図示のロボットなどにより下方向に向くように、反転させることによって再びコンベア4に吊り下げて、他方のタンク半体1bの全体が浸るまで、第1の塗装槽5内に充填した比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物5−1内に浸漬して、他方のタンク半体1bの表面に薄膜塗装層2を塗布形成する(符号(f)で示す状態)。
次に、タンク本体1を、コンベア4によって第1の塗装槽5より引き上げた後、比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物6−1を充填した第2の塗装槽6まで搬送し下降させて、他方のタンク半体1bを高粘度の水性塗料組成物6−1内に浸漬して、他方のタンク半体1bの表面に厚膜塗装層3を塗布形成する(符号(g)で示す状態)。
その後、第2の塗装層12から薄膜塗装層2及び厚膜塗装層3が形成されたタンク本体1を引き揚げて(符号(h)で示す状態)、たとえば、不図示の乾燥装置によって、塗布された塗膜を乾燥した後、タンク本体1が完成する。
従って、この発明の第2の実施例に係る薄膜塗装層2並びに厚膜塗装層3を形成する方法は、燃料を蓄えるべくタンク本体が一方のタンク半体と他方のタンク半体とから構成されている場合に、第1の工程において、一方のタンク半体1aの全体を比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物を充填した第1の塗装槽内に浸漬させることによって、一方のタンク半体の表面を薄膜塗装層2から成る防錆塗膜層で被覆することができ、第2の工程において、タンク本体1を反転させて、他方のタンク半体1bを第1の塗装槽5内に浸漬することによって、他方のタンク半体1bの表面に薄膜塗装槽2を形成した上で、第3の工程において、他方のタンク半体1bを比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物6−1を充填した第2の塗装槽6内に浸漬させることによって、他方のタンク半体1bの表面に厚膜塗装層3を形成して、防錆機能をも有した耐チッピング塗膜層を形成することができることになる。
かかる結果、第2の実施例は、従来におけるスプレーガンによる塗料噴射による防錆並びに耐チッピング塗膜を形成する方式に比して、塗料付着効率を格段に良好にし、タンク本体1に塗布されずに周囲に飛散してしまって両塗膜の形成に寄与せず産業廃棄物となってしまう塗料を極減させて、環境保全の健全化と共に製造コストの低減に寄与することができる。
しかも、第2の実施例は、他方のタンク半体1bの表面には、一旦形成した薄膜塗装層2の上に更に厚膜塗装層3が形成されることになって、確実なる耐チッピング機能を果すことができる耐チッピング塗膜が施されることになる。
加えて、第2の実施例は、 タンク本体1の表面に被覆される防錆並びに耐チッピング塗膜層が第1の塗装槽5並びに第2の塗装槽6内で形成されることから、膜厚管理が当該塗料の希釈度や温度などを適宜選定することにより的確に行うことができ、しかも、従来のような耐チッピング塗膜層を形成するに際して塗料の塗布を必要としない箇所まで塗布されてしまうということを防止でき、車両の軽量化による燃費性能の向上が期待できる。
次に、この発明の第3の実施例に係る薄膜塗装層2並びに厚膜塗装層3を形成する方法について、図5を用いて、説明する。
すなわち、図5において、燃料を蓄えるべくタンク本体1が一方のタンク半体1aと他方のタンク半体1bとから構成されている場合、たとえばコンベア4に他方のタンク半体1bが下方向にして吊り下げられた状態のタンク本体1を、比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物5−1を充填した第1の塗装槽5の上まで搬送した後(符号(i)の状態)、コンベア4に設けたクレーン(不図示)によってタンク本体1を下降させることによって、タンク本体1の全体を第1の塗装槽5内に充填した低粘度の水性塗料組成物5−1内に浸漬して、タンク本体1の表面全体に、薄膜塗装層2を形成する(符号(j)で示す状態)。
次に、コンベア4によって、タンク本体1を比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物6−1が貯蔵された第2の塗装槽6まで搬送し下降させて、他方のタンク半体1b全体を水性塗料組成物12a内に浸漬して、他方のタンク半体1bの表面に厚膜塗装層3を塗布形成する(符号(k)で示す状態)。
その後、第2の塗装層12から薄膜塗装層2及び厚膜塗装層3が形成されたタンク本体1を引き揚げて(符号(m)で示す状態)、たとえば、不図示の乾燥装置によって、塗布された塗膜を乾燥した後、タンク本体1が完成する。
従って、この発明の第3の実施例に係る薄膜塗装層2並びに厚膜塗装層3を形成する方法は、燃料を蓄えるべくタンク本体が一方のタンク半体と他方のタンク半体とから構成されている場合に、第1の工程において、一方のタンク半体1aの全体を比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物を充填した第1の塗装槽内に浸漬させることによって、一方のタンク半体の表面を薄膜塗装層2から成る防錆塗膜層で被覆することができ、第2の工程において、タンク本体1を反転させて、他方のタンク半体1bを第1の塗装槽5内に浸漬することによって、他方のタンク半体1bの表面に薄膜塗装槽2を形成した上で、第3の工程において、他方のタンク半体1bを比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物6−1を充填した第2の塗装槽6内に浸漬させることによって、他方のタンク半体1bの表面に厚膜塗装層3を形成して、防錆機能をも有した耐チッピング塗膜層を形成することができることになる。
かかる結果、第3の実施例は、従来におけるスプレーガンによる塗料噴射による防錆並びに耐チッピング塗膜を形成する方式に比して、塗料付着効率を格段に良好にし、タンク本体1に塗布されずに周囲に飛散してしまって両塗膜の形成に寄与せず産業廃棄物となってしまう塗料を極減させて、環境保全の健全化と共に製造コストの低減に寄与することができる。
しかも、第3の実施例は、他方のタンク半体1bの表面には、一旦形成した薄膜塗装層2の上に更に厚膜塗装層3が形成されることになって、確実なる耐チッピング機能を果すことができる耐チッピング塗膜が施されることになる。
加えて、第3の実施例は、 タンク本体1の表面に被覆される防錆並びに耐チッピング塗膜層が第1の塗装槽5並びに第2の塗装槽6内で形成されることから、膜厚管理が当該塗料の希釈度や温度などを適宜選定することにより的確に行うことができ、しかも、従来のような耐チッピング塗膜層を形成するに際して塗料の塗布を必要としない箇所まで塗布されてしまうということを防止でき、車両の軽量化による燃費性能の向上が期待できる。
以上説明したこの発明は、タンク本体への塗料の付着効率を向上させることによる製造コストダウンと共に軽量化を果たし、且つ、産業廃棄物となる塗料を少なくして産廃処理費用を軽減し、環境保全に寄与すべくなしたことから、自動車等の車両における防錆機能並びに耐チッピング機能を備えた車両用燃料タンク等に好適であるといえる。
1 タンク本体
1a 一方の半体
1b 他方の半体
2 薄膜塗装層
3 厚膜塗装槽
5 第1の塗装槽
5−1 低粘度の水性塗料組成物
6 第2の塗装槽
6−1 高粘度の水性塗料組成物
1a 一方の半体
1b 他方の半体
2 薄膜塗装層
3 厚膜塗装槽
5 第1の塗装槽
5−1 低粘度の水性塗料組成物
6 第2の塗装槽
6−1 高粘度の水性塗料組成物
Claims (3)
- 燃料を蓄えるべくタンク本体が一方のタンク半体と他方のタンク半体とから構成されている場合、前記一方のタンク半体を、比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物が充填された第1の塗装槽内に浸漬することにより、前記一方のタンク半体の表面に薄膜塗装層を形成し、次に、前記タンク本体を反転させることによって、前記他方のタンク半体を、比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物を充填した第2の塗装槽内に浸漬することにより、前記他方のタンク半体の表面に厚膜塗装層を形成するようにしたことを特徴とする車両用燃料タンクへの塗膜形成方法。
- 燃料を蓄えるべくタンク本体が一方のタンク半体と他方のタンク半体とを各フランジ部同士とから構成されている場合、前記一方のタンク半体の全体が浸るまで、比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物を充填した第1の塗装槽内に浸漬することにより、前記一方のタンク半体の表面に薄膜塗装層を形成し、次に、前記タンク本体を反転させることによって、前記他方のタンク半体の全体が浸るまで、前記第1の塗装槽内に浸漬することにより、前記他方のタンク半体の表面に薄膜塗装層を形成し、更に、該薄膜塗装層が形成された前記他方のタンク半体の全体が浸るまで、比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物を充填した第2の塗装槽内に浸漬することにより、前記他方のタンク半体の前記薄膜塗装槽の上に厚膜塗装層を形成するようにしたことを特徴とする車両用燃料タンクへの塗膜形成方法。
- 燃料を蓄えるべくタンク本体が一方のタンク半体と他方のタンク半体とから構成されている場合、前記タンク本体全体を比較的高希釈度にて希釈した低粘度の水性塗料組成物を充填した第1の塗装槽内に浸漬することにより、前記タンク本体の全表面に薄膜塗装層を形成し、次に、該薄膜塗装層が形成された前記他方のタンク半体の全体が浸るまで、比較的低希釈度にて希釈した高粘度の水性塗料組成物を充填した第2の塗装槽内に浸漬することにより、前記他方のタンク半体の前記薄膜塗装槽の上に厚膜塗装層を形成するようにしたことを特徴とする車両用燃料タンクへの塗膜形成方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN114042594A (zh) * | 2021-11-17 | 2022-02-15 | 蚌埠通达汽车零部件有限公司 | 应用于汽车油箱的表面处理装置及处理方法 |
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2013
- 2013-02-22 JP JP2013033355A patent/JP2014162294A/ja active Pending
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