JP2014159512A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】低い算術平均粗さ及び低い二乗平均平方根粗さを有し(低粗度)、高いピール強度を有し、かつ線熱膨張係数も低いといった特徴を有する絶縁層を作成するのに適した硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)活性エステル系硬化剤及び/又はシアネートエステル系硬化剤、(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性の樹脂組成物に関する。さらに本発明は、当該硬化性樹脂組成物を含有する、絶縁層用硬化性樹脂組成物、シート状積層材料、多層プリント配線板、半導体装置に関する。
近年、電子機器の小型化、高性能化が進み、多層プリント配線板においては、ビルドアップ層が複層化され、配線の微細化及び高密度化が求められている。
これに対して様々な取組みがなされてきた。例えば、特許文献1は、エポキシ樹脂、活性エステル化合物を含む樹脂組成物を硬化させてなる硬化物を多層プリント基板絶縁材料として用いることにより、誘電特性と耐熱性を両立することができることを開示している(請求項及び段落番号0001等)。しかし、特許文献1の樹脂組成物は、改質剤としてポリエステル樹脂を用いることを開示するものの(段落0049)、絶縁層表面の粗度を大きくしてしまうといった問題があった。特許文献2には、フルオレン骨格を有する化合物で構成されている、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物が開示されている。当該樹脂組成物には、エポキシ樹脂や硬化剤を加えることができるが、具体的にどのようなエポキシ樹脂や硬化剤を加えるかについては検討されていない。また、特許文献3は、フルオレン骨格を有するジオールを含むポリエステル樹脂を光学用に使用することを開示している。しかし、特許文献3は、エポキシ樹脂のような硬化性組成物を開示するものではなく、まして、硬化性組成物を多層プリント配線板等の絶縁層に使用することについて一切検討していない。
特開2009−235165号公報 特開2005−290258号公報 特開2010−285505号公報
本発明は、従来技術の問題点を克服し、低い算術平均粗さ及び低い二乗平均平方根粗さを有し(低粗度)、高いピール強度を有し、かつ線熱膨張係数も低いといった特徴を有する絶縁層を作成するのに適した硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、(A)エポキシ樹脂、(B)活性エステル系硬化剤及び/又はシアネートエステル系硬化剤、(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂を含有する硬化性樹脂組成物が、上述した低粗度、高いピール強度及び低い線熱膨張係数を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を含むものである。
[1]
(A)エポキシ樹脂、(B)活性エステル系硬化剤及び/又はシアネートエステル系硬化剤、(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
[2]
前記(A)エポキシ樹脂が、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、[1]記載の硬化性樹脂組成物。
[3]
前記硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、(A)エポキシ樹脂を3〜50質量%、(B)活性エステル系硬化剤及び/又はシアネートエステル系硬化剤を1〜35質量%、(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂を0.1〜15質量%含むことを特徴とする、[1]又は[2]記載の硬化性樹脂組成物。
[4]
前記(B)活性エステル系硬化剤及び/又はシアネートエステル系硬化剤が、以下の式(I)
Figure 2014159512
(式中、mは0又は1であり、nが平均値として0.25〜1.5である)で表されるジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含み、末端にX−基及びXO−基(ここでXは置換基を有していてもよいフェニル基又はナフチル基である)を有する、重量平均分子量が1500〜4000の活性エステル系硬化剤である、[1]〜[3]のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
[5]
前記(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂が、以下の式(II):

Figure 2014159512
(式(II)中、Xは、直接結合若しくは炭化水素置換基を有していてもよい飽和又は不飽和の炭化水素基である)
で示されるジカルボン酸由来の構成単位と、以下の式(III):

Figure 2014159512
(式(III)中、Y1及びY2は、互いに同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の二価の芳香族炭化水素残基であり、R1及びR2は、互いに同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の、飽和又は不飽和のアルキレン基であり、R3及びR4は、互いに同一又は異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン基、シアノ基又は炭化水素基であり、n及びmは、互いに同一又は異なっていてもよい、0〜3の整数である)
で示されるジオール由来の構成単位とを含むポリマーである、[1]〜[4]のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
[6]
さらに(D)無機充填材を含有する、[1]〜[5]のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
[7]
前記(D)無機充填材の平均粒径が、0.01〜5μmである、[6]記載の硬化性樹脂組成物。
[8]
前記硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、前記(D)無機充填材を30〜90質量%含む、[6]又は[7]記載の硬化性樹脂組成物。
[9]
前記(D)無機充填材が、シリカである、[6]〜[8]のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
[10]
前記(D)無機充填材が、表面処理剤で表面処理されている、[6]〜[9]のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
[11]
[1]〜[10]のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物を含む、多層プリント配線板の絶縁層用硬化性樹脂組成物。
[12]
[1]〜[10]のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物を含む、シート状積層材料。
[13]
接着フィルム又はプリプレグである[12]記載のシート状積層材料。
[14]
[1]〜[11]のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物又は[12]若しくは[13]に記載のシート状積層材料を熱硬化して得られた絶縁層を含む、多層プリント配線板。
[15]
[14]記載の多層プリント配線板を含む、半導体装置。
また、本発明は、好ましくは以下の態様を含むものである。
硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、(A)ビスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択されるエポキシ樹脂を3〜40質量%、(B)以下式(I)
Figure 2014159512

(式中、mは0又は1であり、nが平均値として0.4〜1.2である)で表されるジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含み、末端にX−基及びXO−基(ここでXは置換基を有していてもよいナフチル基である)を有する、重量平均分子量が1500〜4000の活性エステル系硬化剤を1〜30質量%、(C)下式(II-2)で示されるジカルボン酸由来の構成単位と、下式(III-2)で示されるジオール由来の構成単位とを含むフルオレン構造を有する、重量平均分子量20000〜80000のポリエステル樹脂
Figure 2014159512

Figure 2014159512

を0.1〜10質量%、(D)平均粒径が、0.01〜5μmのシリカを30〜90質量%含有することを特徴とする、多層プリント配線板の絶縁層用硬化性樹脂組成物。
本発明の硬化性樹脂組成物を熱硬化して作成された多層プリント配線板の絶縁層は、低粗度、高いピール強度及び低い線熱膨張係数を達成できた。
また、本発明の硬化性樹脂組成物を熱硬化して作成された多層プリント配線板の絶縁層は、更に無機充填材を含んだ場合においても、ピール強度を向上させることが可能である。
[硬化性樹脂組成物]
本発明の態様の一つである硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)活性エステル系硬化剤及び/又はシアネートエステル系硬化剤、(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂を含有する。以下、本発明の硬化性樹脂組成物について、詳細に説明する。
(A)エポキシ樹脂
本発明で使用し得るエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含有するのが好ましい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂のようなビスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂、結晶性2官能エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
これらのエポキシ樹脂の中でも、耐熱性向上という観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、及びこれらの2種以上の混合物が好ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、及びこれらの2種以上の混合物がより好ましい。具体的には、例えば、ビスフェノールA型とF型の混合エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ZX1059」)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「エピコート828EL」、「YL980」)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「jER806H」、「YL983U」)、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」、「EXA4032SS」)、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4700」、「HP4710」)、ナフトール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ESN−475V」)、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製「PB−3600」)、ビフェニル構造を有するエポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、「NC3000L」、「NC3100」、三菱化学(株)製「YX4000」、「YX4000H」、「YX4000HK」、「YL6121」)、アントラセン型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX8800」)、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC(株)製「EXA−7310」、「EXA−7311」、「EXA−7311L」、「EXA7311−G3」)、グリシジルエステル型エポキシ樹脂(ナガセケムテックス(株)製「EX711」、「EX721」、(株)プリンテック製「R540」)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP−7200H」)などが挙げられる。
なお、HP4032SSの主成分の構造式は以下の通りである。
Figure 2014159512
また、NC3000Lの構造式は以下の通りである。
Figure 2014159512
(nは1−20までの整数。)
また、YX4000HKの構造式は以下の通りである。
Figure 2014159512
(式中、Grはグリシジル基。)
また、HP−7200Hの構造式は以下の通りである。
Figure 2014159512
(式中、nは1〜20までの整数。)
エポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂を含むことで硬化性樹脂組成物や硬化性樹脂組成物を含むシート状積層材料の取り扱い性を向上させることができる。更に、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂を併用することが好ましい。ここで、液状エポキシ樹脂とは、20℃で液状のエポキシ樹脂を言う。液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましく、芳香族系エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂とは、20℃で固体状のエポキシ樹脂を言う。固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましく、芳香族系エポキシ樹脂がより好ましい。なお、本発明でいう芳香族系エポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環構造を有するエポキシ樹脂を意味する。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂を併用する場合、樹脂組成物の硬化特性のバランスを備えるという点から、その配合割合(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は質量比で1:0.1〜1:5の範囲が好ましく、1:0.5〜1:4の範囲がより好ましく、1:0.8〜1:4の範囲が更に好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、結晶性2官能エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物中の(A)エポキシ樹脂の含有量は、硬化性樹脂組成物の硬化物(絶縁層)のめっきピール強度を向上させ、かつ、線熱膨張係数を低下させるという観点から、該硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、3〜50質量%であるのが好ましく、5〜40質量%であるのがより好ましく、8〜30質量%であるのが更に好ましく、8〜20質量%が特に好ましい。
(B)活性エステル系硬化剤及び/又はシアネートエステル系硬化剤
本発明で使用し得る硬化剤としては、上記エポキシ樹脂を架橋して硬化することができる硬化剤であって、活性エステル系硬化剤及び/又はシアネートエステル系硬化剤を用いることができる。中でも、活性エステル系硬化剤は、絶縁層の表面粗度をより低下することができる。
本発明で使用し得る活性エステル系硬化剤としては、1分子中に活性エステル基を1個以上有する化合物が挙げられる。ここで、「活性エステル基」とは、エポキシ樹脂と反応するエステル基を意味する。活性エステル系硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応することができ、1分子中に活性エステル基を2個以上有する化合物が好ましい。一般的には、フェノールエステル、チオフェノールエステル、N−ヒドロキシアミンエステル及び複素環ヒドロキシ化合物エステルからなる群より選択される、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が、活性エステル系硬化剤として好ましく用いられる。活性エステル系硬化剤は1種又は2種以上を併用してもよい。
耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物とを縮合反応させたものから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。フェノール化合物、ナフトール化合物及びチオール化合物とから選択される1種又は2種以上と、カルボン酸化合物とを反応させたものから得られる活性エステル系硬化剤が更に好ましい。活性エステル系硬化剤としては、カルボン酸化合物とフェノール性水酸基を有する芳香族化合物とを反応させたものから得られる1分子中に2個以上の活性エステル基を有する芳香族化合物が更に一層好ましい。少なくとも2個以上のカルボン酸を1分子中に有する化合物と、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物とを反応させたものから得られる芳香族化合物であり、かつ該芳香族化合物の1分子中に2個以上の活性エステル基を有する芳香族化合物が、活性エステル系硬化剤として殊更好ましい。活性エステル系硬化剤は、直鎖状または多分岐状であってもよい。また、少なくとも2個以上のカルボン酸を1分子中に有する化合物が脂肪族鎖を含む化合物であれば、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂等の樹脂組成物との相溶性を高くすることができる。芳香族環を有する化合物であれば、硬化性樹脂組成物の耐熱性を高くすることができる。
上記カルボン酸化合物としては、具体的には、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。なかでも耐熱性の観点からコハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、イソフタル酸、テレフタル酸がより好ましい。チオカルボン酸化合物としては、具体的には、チオ酢酸、チオ安息香酸等が挙げられる。
上記フェノール化合物又はナフトール化合物としては、具体的には、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。なかでも耐熱性向上、溶解性向上の観点から、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが好ましく、カテコール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックがより好ましく、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが更に好ましく、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが更に一層好ましく、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジシクロペンタジエニルジフェノールが殊更好ましく、ジシクロペンタジエニルジフェノールが特に好ましい。チオール化合物としては、具体的には、ベンゼンジチオール、トリアジンジチオール等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤として使用できる化合物としては、具体的には、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤、ナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系硬化剤が好ましく、なかでもナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤がより好ましい。市販品としては、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤として、EXB9451、EXB9460、EXB9460S、HPC8000−65T(DIC(株)製)、ナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤としてEXB9416−70BK(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系硬化剤としてDC808(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系硬化剤としてYLH1026(三菱化学(株)製)、などが挙げられる。
特に好ましい活性エステル系硬化剤は、以下の一般式(I)
Figure 2014159512
(式中、mは0又は1であり、nが平均値として0.25〜1.5、好ましくは、0.4〜1.2である)で表されるジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含み、末端にX−基及びXO−基(ここでXは置換基を有していてもよいフェニル基又はナフチル基である)を有する樹脂化合物である。当該活性エステル系硬化剤の重量平均分子量は、1500〜4000であり、好ましくは2000〜3000の活性エステル系硬化剤である。
殊更好ましい活性エステル系硬化剤は、以下の式(1)で表されるジシクロペンタジエニルジフェノール構造を有し、末端にX−基及びXO−基(ここでXは置換基を有していてもよいナフチル基である)を有し、重量平均分子量が約2700の活性エステル樹脂であるHPC8000−65Tである。
Figure 2014159512
(式中、mは0又は1であり、nが平均値として0.4〜1.2である)
シアネートエステル系硬化剤としては、特に制限はないが、ノボラック型(フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型など)シアネートエステル系硬化剤、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル系硬化剤、ビスフェノール型(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型など)シアネートエステル系硬化剤、及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、500〜4500が好ましく、600〜3000がより好ましい。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4'−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4'−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ジシクロペンタジエン構造含有フェノール樹脂等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。市販されているシアネートエステル樹脂としては、下式(2)で表されるフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製、PT30S、シアネート当量124)、下式(3)で表されるビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマーであるビスフェノールA型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製、BA230S75、シアネート当量232)、下式(4)で表されるジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製、DT−4000、DT−7000)等が挙げられる。
Figure 2014159512
[式中、nは平均値として任意の数(好ましくは0〜20、より好ましくは1〜10)を示す。]
Figure 2014159512
Figure 2014159512
(式中、nは平均値として0〜5、好ましくは1〜3の数を表す。)
本発明の硬化性樹脂組成物中の活性エステル系硬化剤及び/又はシアネートエステル系硬化剤の含有量は、特に限定されるものではないが、絶縁層の低粗度化と高ピール強度とを両立させるという観点から、当該硬化樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、1〜35質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましく、5〜25質量%が更に好ましく、7〜20質量%が特に好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合、硬化物の機械特性を向上させるという点から、硬化剤の反応基数は、0.2〜2が好ましく、0.3〜1.5がより好ましく、0.4〜1が更に好ましい。ここで、「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂組成物中に存在する各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値である。また、「反応基」とはエポキシ基と反応することができる官能基のことを意味し、「反応基数」とは、樹脂組成物中に存在する硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値を全て合計した値である。
(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂
本発明のフルオレン構造を有するポリエステル樹脂は、以下に示すフルオレン構造

Figure 2014159512
(式中、R及びR’は、互いに同一又は異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン基、シアノ基又は炭化水素基であり、n及びmは、互いに同一又は異なっていてもよい、0〜3の整数、好ましくは1〜2の整数である)を有するポリエステル樹脂であれば、特に制限はない。本発明において好ましいフルオレン構造を有するポリエステル樹脂の例は、例えば、特許文献3に記載されている。
ここで、上記式中、R及びR’のハロゲン基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子を有する基が挙げられる。炭化水素基としては、例えば、置換又は非置換の、飽和又は不飽和のアルキル基、アリール基が挙げられ、特に、C1〜20、好ましくはC1〜10のアルキル基、並びにC6〜20、好ましくはC6〜10のアリール基が挙げられる。該アルキル基として特に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、及びt−ブチル基である。
より具体的には、(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂は、以下の式(II):

Figure 2014159512
(式(II)中、Xは、直接結合若しくは炭化水素置換基を有していてもよい飽和又は不飽和の炭化水素基である)
で示されるジカルボン酸由来の構成単位と、以下の式(III):

Figure 2014159512
(式(III)中、Y1及びY2は、互いに同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の二価の芳香族炭化水素残基であり、R1及びR2は、互いに同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の、飽和又は不飽和のアルキレン基であり、R3及びR4は、互いに同一又は異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン基、シアノ基又は炭化水素基であり、n及びmは、互いに同一又は異なっていてもよい、0〜3の整数、好ましくは1〜2の整数である)で示されるジオール由来の構成単位とを含むポリマーであり得る。
式(II)中、Xは、C1〜20、好ましくはC1〜10、より好ましくは、C1〜8、さらに好ましくはC1〜6の炭化水素基であってもよい。具体的には、ナフチレン基、フェニレン基、メチレン基が好ましい。
さらにXはアルコキシ基、アシル基、ハロゲン原子、又は炭化水素基等で置換されていてもよい。当該アルコキシ基としては、C1〜20、好ましくはC1〜10、より好ましくはC1〜8のアルキル基を有するアルコキシ基を挙げることができる。当該炭化水素基としては、例えば、C1〜20、好ましくはC1〜10、より好ましくはC1〜8のアルキル基;C5〜8、好ましくはC5〜6のシクロアルキル基;C6〜20、好ましくはC6〜10、より好ましくはC6〜8のアリール基;C7〜15、好ましくはC8〜13のアラルキル基などが挙げられる。具体的には、フェニル基、ベンジル基が好ましい。Xが有する置換基の数は、例えば、0〜8、好ましくは0〜4、さらに好ましくは0〜2であってもよい。
式(II)で示されるジカルボン酸由来の構成単位は、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ベンゼンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸及びこれらのエステル形成性誘導体に由来する構成単位であってもよい。
式(III)中、Y1及びY2は、互いに同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の二価の芳香族炭化水素残基であり、ここで、二価の芳香族炭化水素残基としては、例えば、ベンゼン、インデン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンが挙げられ、ベンゼン、ナフタレンが好ましく、特にベンゼンが好ましい。
1及びR2は、互いに同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の、飽和又は不飽和のアルキレン基であり、例えば、C1〜20、好ましくはC1〜10、より好ましくは、C1〜8、さらに好ましくはC1〜6のアルキレン基であってもよく、また、(−OR5−)p表されるオキシアルキレン基(R5は、C1〜20、好ましくはC1〜10、より好ましくは、C1〜8、さらに好ましくはC1〜6のアルキレン基、pは1以上、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜4の整数)であってもよい。具体的には、メチレン基、エチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
1及びR2は、アルコキシ基、アシル基、ハロゲン原子、又は炭化水素基等で置換されていてもよい。当該炭化水素基としては、例えば、C1〜20、好ましくはC1〜10、より好ましくはC1〜8のアルキル基;C5〜8、好ましくはC5〜6のシクロアルキル基;C6〜20、好ましくはC6〜10、より好ましくはC6〜8のアリール基;C7〜15、好ましくはC7〜13のアラルキル基などが挙げられる。R1及びR2が有する置換基の数は、例えば、0〜8、好ましくは0〜4、さらに好ましくは0〜2であってもよい。
3及びR4は、上述したR及びR’と同一の定義を有する。具体的には、R3及びR4は、互いに同一又は異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン基、シアノ基又は炭化水素基である。
ここで、R3及びR4のハロゲン基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子を有する基が挙げられる。炭化水素基としては、例えば、置換又は非置換の、飽和又は不飽和のアルキル基、アリール基が挙げられ、特に、C1〜20、好ましくはC1〜10のアルキル基、並びにC6〜20、好ましくはC6〜10のアリール基が挙げられる。該アルキル基として特に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、及びt−ブチル基である。
n及びmは、互いに同一又は異なっていてもよい、0〜3の整数、好ましくは1〜2の整数である。
式(III)で示されるジオール由来の構成単位としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類などが挙げられる。当該9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2-4アルコキシフェニル)フルオレン}、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1-4アルキル−ヒドロキシC2-4アルコキシフェニル)フルオレン}、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6-10アリール−ヒドロキシC2-4アルコキシフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン類(前記式(III)において、mが1である化合物);9,9−ビス(ヒドロキシジアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシジC2-4アルコキシフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシフェニル)フルオレン類(前記式(III)において、mが2以上である化合物)が挙げられる。
本発明において好ましい(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂は、具体的には、式(II)中のXが置換基を有していてもよいナフチレン基、フェニレン基、メチレン基であり、置換基としてはフェニル基、ベンジル基が好ましい。式(III)中のY1及びY2は二価の芳香族炭化水素残基としてベンゼンが好ましい。R1及びR2はエチレン基が好ましい。R3及びR4は水素原子が好ましい。
特に式(II)中のXが置換基を有していてもよいナフチレン基であり、式(III)中のY1及びY2は二価の芳香族炭化水素残基としてベンゼンであり、R1及びR2はエチレン基である構成単位を含むことが好ましい。
市販されているフルオレン構造を有するポリエステル樹脂としては、下式(II-2)で示されるジカルボン酸由来の構成単位と、下式(III-2)で示されるジオール由来の構成単位とを含む、フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル(株)製「OKP4HT」、Tg:142℃、重量平均分子量50000、固形分30質量%のシクロヘキサノン溶液、及び、大阪ガスケミカル(株)製「OKP850」、Tg:151℃、重量平均分子量50000、固形分30質量%のシクロヘキサノン溶液)を挙げることができる。
Figure 2014159512

Figure 2014159512
(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂の重量平均分子量は、10000〜100000の範囲が好ましく、20000〜80000の範囲がより好ましい。これにより、硬化性樹脂組成物のシート形態への成形性が向上する。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定することができる。具体的には、フルオレン構造を有するポリエステル樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂のガラス転移温度は、100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。これにより、硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性が向上する。
本発明の(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、絶縁層表面の粗度を低下させるという観点から、当該硬化樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、0.1〜15質量%が好ましく、0.3〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が更に好ましく、0.5〜3質量%が特に好ましい。
(D)無機充填材
本発明で使用し得る無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、雲母、マイカ、珪酸塩、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられ、シリカ、アルミナが好ましく、特に無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ、球状シリカ等のシリカが好ましく、球状シリカ、溶融シリカがより好ましい。プレポリマーシートへの充填性向上の観点から、球状溶融シリカが更に好ましい。1種又は2種以上の無機充填材を使用することができる。市販されている球状溶融シリカとして、(株)アドマテックス製「SOC2」、「SOC1」が挙げられる。
無機充填材の平均粒径は、特に限定されるものではないが、絶縁層上へ微細配線形成を行うという観点から、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましく、0.8μm以下が更に一層好ましく、0.6μm以下が殊更好ましい。一方、硬化性樹脂組成物をワニスとした場合に、ワニスの粘度が上昇し、取り扱い性が低下するのを防止するという観点から、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.07μm以上が更に好ましく、0.1μm以上が更に一層好ましい。上記無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製 LA−950等を使用することができる。
無機充填材の含有量は、特に制限されないが、シート形態の可撓性が低下するのを防止するという観点から、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、無機充填材の量が30〜90質量%であることが好ましく、40〜85質量%がより好ましく、50〜85質量%が更に好ましい。とくに本発明においては、無機充填材を50質量%以上含む硬化性樹脂組成物においても、埋め込み性やピール強度を向上させることが可能となる。
無機充填材は、耐湿性向上、分散性向上のためにカップリング剤等で表面処理(コーティング)されたものが好ましい。表面処理剤(カップリング剤)としては、エポキシシラン系カップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤から選択される1種以上が好ましい。これらのなかでもアミノシラン系カップリング剤は耐湿性、分散性、硬化物の特性などに優れていて好ましく、フェニルアミノシラン系カップリング剤がより好ましい。市販品としては、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)等が挙げられる。
[その他の成分]
本発明の硬化性樹脂組成物には、上述した成分の他、その他の成分として、硬化促進剤;(C)成分以外の熱可塑性樹脂;ビニルベンジル化合物、アクリル化合物、マレイミド化合物、ブロックイソシアネート化合物のような(A)及び(B)成分以外の熱硬化性樹脂;リン系化合物、水酸化金属物等の難燃剤;シリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー、ゴム粒子等の有機充填剤;有機溶媒;オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤;イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤;フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤;添加剤などを適宜配合することができる。
硬化促進剤としては、上記硬化剤による上記エポキシ樹脂の架橋及び硬化を促進することができるものであればいかなる硬化促進剤も使用することができるが、例えば、アミン化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、ホスホニウム化合物及び金属系硬化促進剤などが挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明で使用し得るアミン化合物としては、特に限定されるものではないが、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン(以下、DBUと略記する。)などのアミン化合物などが挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明で使用し得るイミダゾール化合物としては、以下の一般式(5)
Figure 2014159512
(式中、R6〜R9は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C3〜20アリル基、C4〜20アルキルジエニル基、C4〜20ポリエニル基、C6〜20アリール基、C6〜20アルキルアリール基、C6〜20アリールアルキル基、C4〜20シクロアルキル基、C4〜20シクロアルケニル基、(C5〜10シクロアルキル)C1〜10アルキル基、C1〜10炭化水素基を有していてもよいシリル基、エポキシ樹脂に由来するヒドロキシエチル基である)で表される化合物であってもよい。
より具体的には、イミダゾール化合物は、1−ベンジル−2-フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル−(1')]−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−ウンデシルイミダゾリル−(1')]−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−エチル−4'−メチルイミダゾリル−(1')]−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル−(1')]−エチル−S−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体及び2,4−ジアミノ−6−ビニル−S−トリアジンからなる群から選択される化合物であり得る。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明で使用し得る金属系硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体などが挙げられる。有機金属塩としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい
硬化促進剤の含有量は、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分の合計を100質量%とした場合、0.005〜3質量%の範囲で使用することが好ましく、0.01〜1質量%の範囲で使用することがより好ましい。
熱可塑性樹脂としては、(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂以外を用いることができ、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、シクロオレフィンポリマー及びポリスルホン樹脂等が挙げられ、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8000〜70000の範囲が好ましく、10000〜60000の範囲がより好ましく、20000〜60000の範囲が更に好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定することができる。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
熱可塑性樹脂の含有量は、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、0.5〜15質量%が好ましい。
有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、ソルベントナフサ、トルエン、キシレン、等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は2種以上を組みわせて用いてもよい。
[硬化性樹脂組成物の調製]
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記成分を適宜混合し、また、必要に応じて三本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等の混練手段、あるいは高速回転ミキサー、スーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の撹拌手段により混練または混合することにより調製することができる。また、さらに上述した有機溶剤を加えることで樹脂ワニスとしても調製することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物においては、絶縁層表面の算術平均粗さが低いのみならず、二乗平均平方根粗さも低く、その上に十分なピール強度を有するめっき導体層を形成することができ、線熱膨張係数が低いので、多層プリント配線板の製造において、多層プリント配線板の絶縁層用硬化性樹脂組成物として好適に使用することができる。更に、めっきにより導体層を形成するための硬化性樹脂組成物(めっきにより導体層を形成する多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物)として好適に使用することができ、更に多層プリント配線板のビルドアップ層用硬化性樹脂組成物として好適である。
本発明の硬化性樹脂組成物の形態としては、特に限定されないが、接着フィルム、プリプレグ等のシート状積層材料、回路基板(積層板用途、多層プリント配線板用途等)に適用することが出来る。本発明の樹脂組成物は、ワニス状態で回路基板に塗布して絶縁層を形成することもできるが、工業的には一般に、接着フィルム、プリプレグ等のシート状積層材料の形態で用いるのが好ましい。樹脂組成物の軟化点は、シート状積層材料のラミネート性の観点から40〜150℃が好ましい。
[多層プリント配線板]
本発明の硬化性樹脂組成物は、多層プリント配線板の絶縁層用硬化性樹脂組成物として用いることができる。本発明で使用され得る多層プリント配線板は、本発明の硬化性樹脂組成物やシート状積層材料を熱硬化して得られた絶縁層を含む、多層プリント配線板である。
ここで、熱硬化の条件は、硬化性樹脂組成物中のエポキシ樹脂の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよいが、例えば硬化温度は75〜220℃、好ましくは150℃〜210℃であり、硬化時間は20分〜180分、好ましくは30〜120分として加熱されることによって行う。また、2段階に分けて熱硬化を行っても良い。
ここで絶縁層の線熱膨張係数(JIS K7197)は、25〜150℃の平均の線熱膨張係数で測定して、21ppm/℃以下となるのが好ましく、20ppm/℃以下となるのがより好ましい。下限値に特に制限はないが、一般的に4ppm/℃となる。これにより、絶縁層(ビルドアップ層)と導体層(配線)とのひずみを防止し、信頼性の高い多層プリント配線板を得ることができる。
絶縁層表面は粗化処理してもよい。乾式の粗化処理としてはプラズマ処理等が挙げられる。湿式の粗化処理は、例えば、種々の処理液を適用することによって行われる。膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理及び中和液による中和処理をこの順に行う方法が挙げられる。従って、処理液はこれら膨潤液、酸化剤、中和液のキットであってもよい。湿式の粗化処理の方が、大面積や複数枚を一度に処理でき生産性が高い点で好ましい。
膨潤液による膨潤処理は、絶縁層を50〜80℃で5〜20分間(好ましくは55〜70℃で8〜15分間)、膨潤液に浸漬させることで行われる。膨潤液としては、例えばアルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液である。該アルカリ溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等が挙げられる。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガントP(Swelling Dip Securiganth P)、スウェリング・ディップ・セキュリガントSBU(Swelling Dip Securiganth SBU)等を挙げることができる。
酸化剤による粗化処理は、絶縁層を60〜80℃で10〜30分間(好ましくは70〜80℃で15〜25分間)、酸化剤溶液に浸漬させることで行われる。酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等を挙げることができる。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5〜10質量%とするのが好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクト CP、ドージングソリューション セキュリガントP等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
中和液による中和処理は、30〜50℃で3〜10分間(好ましくは35〜45℃で3〜8分間)、中和液に浸漬させることで行われる。中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、アトテックジャパン(株)製のリダクションソリューシン・セキュリガントPが挙げられる。
粗化処理後、絶縁層を50〜120℃で10〜60分間(好ましくは60〜100℃で20〜40分間)乾燥してもよい。
粗化処理後の絶縁層表面の表面粗さは、微細配線形成向上のために、算術平均粗さ(Ra)が250nm以下となるのが好ましく、200nm以下となるのがより好ましく、150nm以下となるのがさらに好ましく、100nm以下となるのが特に好ましい。算術平均粗さ(Ra)の下限値に制限はないが、一般的に10nm以上、40nm以上、50nm以上などとなる。二乗平均平方根粗さ(Rq)は350nm以下となるのが好ましく、300nm以下となるのがより好ましく、250nm以下となるのが更に好ましく、180nm以下となるのが特に好ましい。二乗平均平方根粗さ(Rq)の下限値に制限はないが、一般的に20nm以上、50nm以上、70nm以上などとなる。なお、二乗平均平方根粗さ(Rq)は絶縁層表面の局所的な状態が反映されるため、Rqの把握によってより緻密で平滑な絶縁層表面になっていることが確認でき、ピール強度が安定化する。これは、硬化性樹脂組成物を熱硬化して、粗化処理した後の絶縁層の表面粗さに相当する。
ピール強度は、絶縁層とこれに隣接する層、例えば導体層とを十分に密着させておくために0.4kgf/cm(3.92N/cm)以上が好ましく、0.43kgf/cm(4.22N/cm)以上がより好ましく、0.45kgf/cm(4.41N/cm)以上が更に好ましい。ピール強度の上限値は高いほどよく、特に制限は無いが、一般的に1.5kgf/cm(14.7N/cm)以下、1.2kgf/cm(11.8N/cm)以下、1.0kgf/cm(9.81N/cm)以下、0.8kgf/cm(7.85N/cm)以下などとなる。
[シート状積層材料]
本発明で用いられるシート状積層材料は、上記硬化性樹脂組成物を層形成した、硬化前のシート状材料である。当該シート状積層材料は、当業者に公知の方法、例えば、上述した有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて、支持体に塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて支持体上に樹脂組成物層(シート状積層材料)を形成させることにより支持体付きシート状積層材料として製造することができる。また、樹脂ワニスをガラスクロス等のシート状補強基材にホットメルト法又はソルベント法により含浸、乾燥させることで、シート状積層材料をプリプレグとすることもできる。なお、支持体付きシート状積層材料を接着フィルムという場合もある。
乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層への有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。ワニス中の有機溶剤量、有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスを50〜150℃で3〜10分程度乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
得られたシート状積層材料の厚さは特に限定されないが、例えば1〜150μmの範囲が好ましく、2〜100μmの範囲がより好ましく、3〜50μmの範囲がさらに好ましく、5〜40μmの範囲が特に好ましい。
当該シート状積層材料は、樹脂組成物層が複数層になっていてもよく、樹脂組成物層の一方の面に支持体を有していてもよく、他方の面に保護フィルム有していても良い。
[支持体]
本発明で使用し得る支持体としては、プラスチックフィルムや金属箔が挙げられる。具体的に、プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET 」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース、ポリエーテルサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリイミドなどが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましく、特に安価で入手容易なポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
汎用性の点から、プラスチックフィルムが好ましく、プラスチックフィルムを使用する場合、剥離性を向上させるために、硬化性樹脂組成物を含む層と接する面が離型処理された支持体を使用するのが好ましい。離型処理に使用する離型剤としては、硬化性樹脂組成物を含む層が支持体から剥離可能であれば特に限定されず、例えば、シリコン系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。なお、離型処理された支持体として、市販されている離型層付きプラスチックフィルムを用いてもよく、好ましいものとしては、例えば、アルキッド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムであるSK−1、AL−5、AL−7(リンテック(株)製)などが挙げられる。また、プラスチックフィルムは、マット処理又はコロナ処理を施してあってもよく、当該処理面上に離型層を形成してもよい。一方、金属箔はエッチング溶液により除去することもできるし、除去せずに該金属箔を導体層として利用してもよい。
支持体の厚さは特に限定されないが、10〜150μmの範囲が好ましく、20〜50μmの範囲がより好ましく、25〜45μmの範囲がさらに好ましい。
本発明で使用し得る保護フィルムは、硬化性樹脂組成物を含む層へのごみ等の付着防止等を目的として設けられてもよい。当該保護フィルムとしては、支持体と同様のプラスチックフィルムを使用することができる。また保護フィルムには、マッド処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよく、上記と同様の離型処理が施してあってもよい。保護フィルムの厚みは、3〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。
[シート状積層材料を用いた多層プリント配線板]
次に、上記のようにして製造したシート状積層材料を用いて多層プリント配線板を製造する方法の一例を説明する。
まず、シート状積層材料を、真空ラミネーターを用いて回路基板の片面又は両面にラミネート(積層)する。回路基板に用いられる基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層とを交互に積層してなる多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっているものも、ここでいう回路基板に含まれる。なお導体層表面には、黒化処理、銅エッチング等により予め粗化処理が施されていてもよい。
上記ラミネートにおいて、シート状積層材料が保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、必要に応じてシート状積層材料及び回路基板をプレヒートし、シート状積層材料を加圧及び加熱しながら回路基板にラミネートする。本発明のシート状積層材料においては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネートの条件は、特に限定されるものではないが、例えば、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下に10〜120秒間程度減圧し、その後圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力(ラミネート圧力)を好ましくは0.1〜1.5MPa、より好ましくは0.5〜1.2MPaとし、圧着時間(ラミネート時間)を好ましくは5〜180秒としてラミネートするのが好ましい。また、ラミネートの方法は、バッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。真空ラミネートは、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン(株)製バキュームアップリケーター、(株)名機製作所製真空加圧式ラミネーター、(株)日立インダストリイズ製ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製真空ラミネーター等を挙げることができる。
その後、室温付近に冷却してから、支持体を剥離する場合は剥離し、樹脂組成物を熱硬化して硬化物を形成することで、回路基板上に絶縁層を形成することができる。熱硬化の条件は、樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよいが、たとえば硬化温度は100〜220℃、好ましくは160℃〜210℃であり、硬化時間は20分〜180分、好ましくは30〜120分として加熱されることによって行う。また、2段階に分けて熱硬化を行っても良い。絶縁層を形成した後、硬化前に支持体を剥離しなかった場合は、必要によりここで剥離することもできる。
また、シート状積層材料を、真空プレス機を用いて回路基板の片面又は両面に積層することもできる。減圧下、加熱及び加圧を行う積層工程は、一般の真空ホットプレス機を用いて行うことが可能である。例えば、加熱されたSUS板等の金属板を支持体側からプレスすることにより行うことができる。プレス条件は、70〜250℃、好ましくは100〜230℃の温度で、減圧度を通常0.01MPa以下、好ましくは0.001MPa以下の減圧下とし、プレス圧力が0.5〜4MPaの範囲、プレス時間を30〜150分間として行うのが好ましい。加熱及び加圧は、1段階で行うことも出来るが、樹脂のしみだしを制御する観点から2段階以上に条件を分けて行うのが好ましい。例えば、1段階目のプレスを、温度が70〜150℃、プレス圧力が0.1〜1.5MPaの範囲、2段階目のプレスを、温度が150〜200℃、圧力が0.5〜4MPaの範囲で行うのが好ましい。各段階の時間は20〜120分間で行うのが好ましく、である。このように樹脂組成物層を熱硬化することにより回路基板上に絶縁層を形成することができる。市販されている真空ホットプレス機としては、例えば、MNPC−V−750−5−200((株)名機製作所製)、VH1−1603(北川精機(株)製)等が挙げられる。
次いで、回路基板上に形成された絶縁層に穴開け加工を行ってビアホール、スルーホールを形成してもよい。穴あけ加工は、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけ加工が最も一般的な方法である。穴あけ加工前に支持体を剥離しなかった場合は、ここで剥離することになる。
次いで、絶縁層表面に上述した粗化処理を行い、さらに乾式めっき又は湿式めっきにより絶縁層上に導体層を形成し得る。乾式めっきとしては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の方法を使用することができる。湿式めっきとしては、無電解めっきと電解めっきとを組み合わせて導体層を形成する方法、導体層とは逆パターンのめっきレジストを形成し、無電解めっきのみで導体層を形成する方法、等が挙げられる。その後のパターン形成の方法として、例えば、当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができ、上述の一連の工程を複数回繰り返すことで、ビルドアップ層を多段に積層した多層プリント配線板となる。本発明においては、低粗度、高ピールであるため、多層プリント配線板のビルドアップ層として好適に使用することができる。
[半導体装置]
上述のようにして製造された多層プリント配線板を用いることで半導体装置を製造することができる。本発明で使用され得る多層プリント配線板の導通箇所に、半導体チップを実装することにより半導体装置を製造することができる。「導通箇所」とは、「多層プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、導通するのであれば、導体層の一部であってもそれ以外のコネクタ等の導電部分であってもよい。「半導体チップ」とは、半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
本発明の半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、などが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載中の「部」は、特に断らない限り「質量部」を意味し、「%」は特に断らない限り「質量%」を意味する。
<算術平均粗さ(Ra値)、二乗平均平方根粗さ(Rq値)、ピール強度の測定>
(1)内層回路基板の下地処理
内層回路を形成した、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.3mm、松下電工(株)製R5715ES)の両面をメック(株)製CZ8100にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
(2)接着フィルムのラミネート
実施例及び比較例で作成した接着フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP-500(名機製作所製)を用いて、上記粗化処理したエポキシ樹脂両面銅張積層板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、110℃、圧力0.74MPaで圧着することにより行った。
(3)樹脂組成物の硬化
ラミネートされた接着フィルムを80℃にて30分、次いで170℃にて30分の硬化条件で熱硬化して絶縁層を形成した。その後、支持体であるPETフィルムを剥離した。
(4)粗化処理
絶縁層を形成した内層回路基板を、膨潤液、酸化剤、中和液の表面処理剤のキットを用いて湿式粗化処理した。具体的には、絶縁層を形成した内層回路基板を、膨潤液である、アトテックジャパン(株)のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスウェリング・ディップ・セキュリガントP(グリコールエーテル類、水酸化ナトリウムの水溶液)に60℃で10分間浸漬し、次に酸化剤として、アトテックジャパン(株)のコンセントレート・コンパクトP(KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬、最後に中和液として、アトテックジャパン(株)のリダクションショリューシン・セキュリガントP(硫酸の水溶液)に40℃で5分間浸漬し、その後80℃で30分で乾燥した。得られた基板を評価基板Aとした。
(5)セミアディティブ工法によるめっき
評価基板Aをめっきして導体層を形成した。具体的には、評価基板Aを、PdCl2を含む無電解めっき用溶液に40℃で5分間浸漬し、次に無電解銅めっき液に25℃で20分間浸漬した。浸漬した評価基板Aを、150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後、硫酸銅電解めっきを施し、30μmの厚さで導体層を形成した。得られた導体層を有する評価基板Aを、190℃にて60分間アニール処理し、得られた基板を評価基板Bとした。
(6)算術平均粗さ(Ra値)、二乗平均平方根粗さ(Rq値)の測定
評価基板Aを、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値によりRa値、Rq値を求めた。それぞれ、無作為に選んだ10点の平均値を求めることにより測定した。
(7)めっき導体層の引き剥がし強さ(ピール強度)の測定
評価基板Bの導体層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具(株式会社ティー・エス・イー、オートコム型試験機 AC−50C−SL)で掴み、室温(25℃)中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm(N/cm))を測定した。
<線熱膨張係数の測定>
実施例及び比較例において得られた接着フィルムを200℃で90分間加熱することで熱硬化させ、さらに支持体であるPETフィルムを剥離することによりシート状の硬化物を得た。その硬化物を、幅5mm、長さ15mmの試験片に切断し、熱機械分析装置Thermo Plus TMA8310((株)リガク製)を使用して、引張加重法で熱機械分析を行った。試験片を前記装置に装着後、荷重1g、昇温速度5℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における25℃から150℃までの平均線熱膨張係数(ppm/℃)を算出した。
<実施例1>
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品、エポキシ当量169)10部、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP−7200H」、エポキシ当量280)12部、フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル(株)製「OKP4HT」、Tg:142℃、重量平均分子量50000、固形分30質量%のシクロヘキサノン溶液)10部を、ソルベントナフサ30部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却後、そこへ、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤(DIC(株)製「HPC8000−65T」、重量平均分子量約2700、活性基当量約223の不揮発分65質量%のトルエン溶液)35部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分2質量%のMEK溶液)6部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-ヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイド、平均粒径2μm)2部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」)150部、を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次いで、支持体であるPETフィルム上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが40μmとなるように樹脂ワニスを均一に塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥し、接着フィルムを得た。
<実施例2>
実施例1のフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル(株)製「OKP4HT」、Tg:142℃、重量平均分子量50000、固形分30質量%のシクロヘキサノン溶液)10部を、フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル(株)製「OKP850」、Tg:151℃、重量平均分子量50000、固形分30質量%のシクロヘキサノン溶液)10部に変更したこと以外は実施例1と同様にして接着フィルムを得た。
<実施例3>
ナフタレン型2官能エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032SS」)5部、ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」)5部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000L」)12部、フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル(株)製「OKP850」、Tg:151℃、重量平均分子量50000、固形分30質量%のシクロヘキサノン溶液)6部を、ソルベントナフサ30部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却後、そこへ、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「BA230S75」、ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー、シアネート当量約232、不揮発分75質量%のMEK溶液)20部、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「PT30S」、シアネート当量約133、不揮発分85質量%のMEK溶液)6部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン、固形分2質量%のMEK溶液)1部、硬化促進剤(コバルト(III)アセチルアセトナート(Co(III)Ac)、固形分1質量%のMEK溶液)3部、ゴム粒子(AC3816N)2部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-ヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイド、平均粒径2μm)2部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」)100部、を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次いで、支持体であるPETフィルム上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが40μmとなるように樹脂ワニスを均一に塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥し、接着フィルムを得た。
<比較例1>
実施例1のジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤(DIC(株)製「HPC8000−65T」、重量平均分子量約2700、活性基当量約223の不揮発分65質量%のトルエン溶液)35部をフェノール系硬化剤(DIC(株)製「LA−7054」、水酸基当量125の固形分60%のMEK溶液)33部に変更し、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン、固形分2質量%のMEK溶液)の配合量を3部に変更したこと以外は実施例1と同様にして接着フィルムを得た。
<比較例2>
実施例1のフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル(株)製「OKP4HT」、Tg:142℃、重量平均分子量50000、固形分30質量%のシクロヘキサノン溶液)10部を、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製、ビスフェノールアセトフェノン構造含有、「YL6954BH30」、Tg:130℃、重量平均分子量39000、固形分30質量%のシクロヘキサノン溶液)10部に変更したこと以外は実施例1と同様にして接着フィルムを得た。
<比較例3>
実施例1のフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル(株)製「OKP4HT」、Tg:142℃、重量平均分子量50000、固形分30質量%のシクロヘキサノン溶液)10部を、ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)製「エリーテル UE3200」、Tg:65℃、固形分20質量%のシクロヘキサノン溶液)15部に変更したこと以外は実施例1と同様にして接着フィルムを得た。
<比較例4>
実施例3のフルオレン構造を有するポリエステル樹脂大阪ガスケミカル(株)製「OKP850」、Tg:151℃、重量平均分子量50000、固形分30質量%のシクロヘキサノン溶液)6部を、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製、ビスフェノールアセトフェノン構造含有、「YL6954BH30」、Tg:130℃、重量平均分子量39000、固形分30質量%のシクロヘキサノン溶液)6部に変更したこと以外は実施例3と同様にして接着フィルムを得た。
結果を表1及び2に示す。
Figure 2014159512
Figure 2014159512
表1及び2の結果から、本願発明の硬化性樹脂組成物を用いている実施例1〜3では、低粗度、十分なピール強度、低い線熱膨張係数が得られた。一方、比較例1〜4では本願発明の硬化性樹脂組成物を用いていないため、では、算術平均粗さ、二乗平均平方根粗さが大きくなり、ピール強度も小さく、線熱膨張係数も大きくなった。
絶縁層表面の算術平均粗さが低いのみならず、二乗平均平方根粗さも低く、その上に十分なピール強度を有するめっき導体層を形成することができる樹脂組成物を提供できるようになった。更にそれを用いたシート状積層材料、多層プリント配線板、半導体装置を提供できるようになった。更にこれらを搭載した、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ、テレビ、等の電気製品や、自動二輪車、自動車、電車、船舶、航空機、等の乗物も提供できるようになった。

Claims (15)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)活性エステル系硬化剤及び/又はシアネートエステル系硬化剤、(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(A)エポキシ樹脂が、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、(A)エポキシ樹脂を3〜50質量%、(B)活性エステル系硬化剤及び/又はシアネートエステル系硬化剤を1〜35質量%、(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂を0.1〜15質量%含むことを特徴とする、請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(B)活性エステル系硬化剤及び/又はシアネートエステル系硬化剤が、以下の式(I)
    Figure 2014159512
    (式中、mは0又は1であり、nが平均値として0.25〜1.5である)で表されるジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含み、末端にX−基及びXO−基(ここでXは置換基を有していてもよいフェニル基又はナフチル基である)を有する、重量平均分子量が1500〜4000の活性エステル系硬化剤である、請求項1〜3のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記(C)フルオレン構造を有するポリエステル樹脂が、以下の式(II):

    Figure 2014159512
    (式(II)中、Xは、直接結合若しくは炭化水素置換基を有していてもよい飽和又は不飽和の炭化水素基である)
    で示されるジカルボン酸由来の構成単位と、以下の式(III):

    Figure 2014159512
    (式(III)中、Y1及びY2は、互いに同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の二価の芳香族炭化水素残基であり、R1及びR2は、互いに同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の、飽和又は不飽和のアルキレン基であり、R3及びR4は、互いに同一又は異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン基、シアノ基又は炭化水素基であり、n及びmは、互いに同一又は異なっていてもよい、0〜3の整数である)
    で示されるジオール由来の構成単位とを含むポリマーである、請求項1〜4のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
  6. さらに(D)無機充填材を含有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 前記(D)無機充填材の平均粒径が、0.01〜5μmである、請求項6記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 前記硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、前記(D)無機充填材を30〜90質量%含む、請求項6又は7記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 前記(D)無機充填材が、シリカである、請求項6〜8のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
  10. 前記(D)無機充填材が、表面処理剤で表面処理されている、請求項6〜9のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物を含む、多層プリント配線板の絶縁層用硬化性樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物を含む、シート状積層材料。
  13. 接着フィルム又はプリプレグである請求項12記載のシート状積層材料。
  14. 請求項1〜11のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物又は請求項12若しくは13に記載のシート状積層材料を熱硬化して得られた絶縁層を含む、多層プリント配線板。
  15. 請求項14記載の多層プリント配線板を含む、半導体装置。
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