JP2014158527A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】木材パルプ繊維を原料としてコスト低減を図ると共に、吸収速度に優れ、液戻り量が少ない吸収性物品を提供する。
【解決手段】身体接触側表面を形成する液透過性のトップシート202と、液不透過性のバックシート204と、トップシートとバックシートの間に配置され、吸水性樹脂と接着剤とを有する吸収層207xがシート状のコアラップシート207a、207bと積層されてなるシート状吸収体207と、を含む吸収性物品200であって、コアラップシートは、パルプを主成分とし、坪量が15〜45g/mであり、吸水量が60〜230 water-g/mであり、かつ旧JIS−S3104法に規定する吸水度が25.0秒/0.1ml以下であり、コアラップシートの表面の凹凸の高低差が100〜600μmであり、かつ表面の凹部の面積率が2〜12%である。
【選択図】図2

Description

本発明は、尿とりパッド、使い捨ておむつ、軽失禁パッド及びライナーなどの吸収性物品に関する。
尿とりパッド、使い捨ておむつ等の吸収性物品は、尿や汚物を吸収させる吸収コアを備えており、吸収コアはフラッフパルプと吸水性樹脂とを有している。又、この吸収コアは、コアラップシートで被覆されており、コアラップシートには水分を吸収コアへ速やかに透過できると共に水分が外部に滲み難いよう、吸水度が高く、液戻り量が少ないことが要求されている。
このようなコアラップシートとしては、従来から安価な木材パルプ繊維を原料としたクレープ紙が汎用されている。しかしながら、クレープ紙は、吸収コアのフラッフパルプと比較して密度が高く、吸収速度(吸水度)が低いという問題がある。
そこで、繊度が1.0dtex以下の極細な合成繊維をシート状にしたコアラップシートや、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布からなるコアラップシートが開発されている(特許文献1,2)。又、繊維粗度の異なる2種の親水性セルロース繊維を抄紙し、坪量及び密度を比較的低くして、液透過性を向上させたコアラップシートが開発されている(特許文献3)。
さらに、コアラップシートには、ある程度の嵩高さ(高バルク)も必要とされる。
さらに、薄型の吸収性物品に適した吸収体として、実質的にフラッフマットを含まず、吸水性樹脂と接着剤とを有する吸収層をシート状支持体に積層したシート状吸収体(シート状SAP(吸水性樹脂))が提案されている(特許文献7)。このシート状SAPはフラッフマットを含まないため、比較的多量の排尿があった時には吸収速度が追いつかず、尿モレを発生する可能性がある。
そこで、特許文献7記載の技術においては、吸水性樹脂(SAP)を固定するためのシート状支持体として、吸収速度が高く、嵩高な親水性不織布を使用している。
一方、高バルクな紙製品を得るための機械的処理として、抄紙工程の脱水乾燥工程において、湿紙をプレス脱水せずに通風乾燥する方法TAD(through air drying;通風乾燥)方式(特許文献4)や、湿紙形成から乾燥工程の間において湿紙ウェブに凹凸処理を行う方法がある。
さらに、抄造後のウェブにエンボスなどにより機械的に凹凸処理を行う方法がある。さらに、これら方法を組み合わせる場合もある。
しかしながら、上記したTAD方式の場合、乾燥エネルギーのコストが膨大になる。さらに、抄紙後に凹凸処理する方法では、繊維間の結合や紙層構造が破壊されてウェブ強度が低下したり、ウェブの見かけ嵩は高くなるがウェブ自体の紙層嵩(キャリパー)を高くする(ふんわり感をだす)ことが難しいという問題がある。
一方、従来の紙製品の抄造においては、湿紙ウェブを、フェルトを介して1又は2つのロールプレスニップでヤンキードライヤーに押し付けて脱水し、さらにヤンキードライヤー(シリンダー)に貼り付けて乾燥し、次いでヤンキードライヤーからウェブを剥がす際にクレープ付け(しわ付け)を行っている。又、プレスパートにおいて、ダブルフェルトマシンのようにウェットパートのトップとボトムロールでプレスして脱水し、その後ロールプレスニップでヤンキードライヤーに押し付けることもある。
しかしながら、このヤンキードライヤーへの押付けによって、ウェブが相対的に低バルクになるという問題がある。そして、上記した嵩高剤をパルプ原料に添加してクレープ付けによるバルク低下を抑制しようとしても、せいぜい3〜5%程度の嵩高効果しか得られず、一方で強度が著しく低下する。
又、上記したTAD方式は、ヤンキードライヤーで最終的に仕上げの乾燥及びクレープ付けを行う前にバキュームにより脱水し、通風ドライヤーで予備乾燥する技術であり、ロールプレスニップによる脱水工程が無いためにバルクロスが無く、高バルクなウェブが得られる。ところが、TAD方式はプレスニップ脱水相当の水分を通風熱で除去するため、従来のロールプレスニップ方式に比べて約2倍の乾燥エネルギーが必要になるとされている。
そこで、TAD方式を用いずに、湿紙工程で高バルクな処理を行う方法として、シュープレス方式と呼ばれる広いプレスニップにより、加圧脱水を調整する方法も提案されている(特許文献5)。シュープレス方式は、従来のロールプレスニップ方式に比べて、より高いバルク及び柔らかさを得ることができるが、TAD方式ほど高いバルクは得られない。
さらに、これらの諸問題を解決する方法として、ファブリックプレス方式と呼ばれる抄紙機械が開発されている(特許文献6)。ファブリックプレス方式は、従来のプレス技術を踏襲するが、脱水と同時に凹凸付けベルト又はファブリックによりウェブに凹凸付けを行うものである。この脱水及び凹凸付けは、湿紙ウェブがフェルトから凹凸付けベルトに送られる間に、1又は2つ以上のプレスニップで行なわれ、次いでウェブがヤンキードライヤーに運ばれて乾燥される。
ファブリックプレス方式によれば、従来のロールプレスニップ方式と乾燥エネルギーが同等でありつつ、TAD方式に匹敵する高いバルクが得られる。
なお、ファブリックプレス方式によるウェブの構造は、織物ではないが、織物に似た3次元パターンを形成する。これは、ウェブの凹凸付けが以下のように行われるためと考えられる。つまり、プレス処理の間、繊維性の網状組織が凹凸付けベルトの3次元の模様(パターン)を詰めるように満たすが、そのとき、凹凸付け層の三次元の模様が湿った繊維性のウェブに付与される。湿った繊維性のウェブは互いに相対的に可動であり、そのため、プレスフェルトが弾性的に圧縮する作用により、それらのウェブは互いに新しい位置及び方向を取る。プレスフェルトは、湿った繊維性のウェブを凹凸付けベルトの3次元の模様に押し付け、それによって、同じ坪量でバルク及び柔らかさを増し、かつ、改良された構造になる。
そして、ウェブのバルクは、プレスニップで脱水する間、ベルトの組織中のキャビティ(空洞)で、繊維性の網状構造(ネットワーク)を受けることで、圧縮されずに維持される。
特開2010-148751号公報 特開2012-105962号公報 特開2012-148060号公報 特開平8-3890号公報 特開平6-158578号公報 特表2001-521999号公報 特開2004-106554号公報
しかしながら、上記特許文献1、2記載のコアラップシートは、合成繊維や不織布を用いているためにコストが高く、又、木材パルプを原料としたコアラップシートに比べて吸水度が劣るという問題がある。又、特許文献3記載のコアラップシートは、既存のクレープ紙と同様に抄紙して製造されており、やはり吸水度が十分高いとはいえない。
又、上記特許文献6記載の技術を用いて抄紙した場合であっても、坪量が低くなると吸水性が低下するという問題がある。
又、上記特許文献7記載の技術の場合、嵩高な親水性不織布を支持体として用いているため、吸収性物品のコストが高くなるという問題がある。
従って本発明は、木材パルプ繊維を原料としてコスト低減を図ると共に、吸収速度に優れ、液戻り量が少ない吸収性物品の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の吸収性物品は、身体接触側表面を形成する液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートの間に配置され、吸水性樹脂と接着剤とを有する吸収層がシート状のコアラップシートと積層されてなるシート状吸収体と、を含み、前記コアラップシートは、パルプを主成分とし、坪量が15〜45g/mであり、吸水量が60〜230 water-g/mであり、かつ旧JIS−S3104法に規定する吸水度が25.0秒/0.1ml以下であり、前記コアラップシートの表面の凹凸の高低差が100〜600μmであり、かつ表面の凹部の面積率が2〜12%である。
前記コアラップシートの比容積が4.5〜9.0cm3/gであることが好ましい。
前記コアラップシートの、旧JIS S3104に基づく湿潤時の縦方向の引張強さWMDTと、湿潤時の横方向の引張強さWCDTとの積の平方根である(WMDT×WCDT)1/2(WGMT)が2.0〜6.0N/25mmであることが好ましい。
前記トップシートと前記シート状吸収体の身体側との間に配置され、液体の拡散性を向上させる液拡散性シートを備えることが好ましい。
前記シート状吸収体は、前記トップシート側から順に、上部コアラップシートと、吸水性樹脂及び接着剤を含有する吸収層と、下部コアラップシートと、を積層してなり、前記上部コアラップシート及び前記下部コアラップシートは、いずれも前記コアラップシートからなり、前記シート状吸収体に含まれる前記吸水性樹脂の量が100〜1000g/mであることが好ましい。
前記上部コアラップシートから前記下部コアラップシートに至る積層部分であって、前記シート状吸収体の面方向の一部の領域が、エンボスにより一体化されていることが好ましい。
前記第1の吸水性樹脂の吸収速度がVortex法吸収速度で20〜70秒であることが好ましい。
この発明によれば、木材パルプ繊維を原料としてコスト低減を図ると共に、吸収速度に優れ、液戻り量が少ない吸収性物品が得られる。
本発明の実施形態に係る吸収性物品の外観を示す斜視図である。 図1のA−A線に沿う断面図である。 形状測定レーザマイクロスコープにより得られた画像の一例を示す図である。 画像の観察視野を横切る線分Lの高さプロファイルの一例を示す図である。 コアラップシート表面をイメージスキャナで取り込んだ画像を示す図である。 コアラップシートの吸水量の測定方法を示す図である。 本発明の実施形態に係るコアラップシートのウェブの製造装置の一例を示す図である。 シート状吸収体の構成を示す断面図である。
以下に本発明の実施形態について説明する。
図1、図2に示すように、本発明の実施形態に係る吸収性物品200は細長い片状をなし、身体接触側表面(図2の上面)を形成する液透過性のトップシート202と、液不透過性のバックシート204と、トップシート202とバックシート204の間に配置され、吸水性樹脂と接着剤とを有する吸収層がシート状のコアラップシートと積層されてなるシート状吸収体207と、を含んで構成されている。又、トップシート202とシート状吸収体207の身体側(図2の上面側)との間には、液体の拡散性を向上させる液拡散性シート208が配置され、シート状吸収体207とバックシート204との間には、吸水性繊維層210が配置されている。
吸収性物品200は、長手方向を使用者の股部の前後に渡され、トップシート202が使用者の肌(股部)に触れるようにして装着され、吸収性物品200の両側部が立体ギャザー212として立ち上がって尿等の横漏れを防止する。又、吸収性物品200は、トップシート202の中央部付近がやや幅狭になっていて、股部に装着し易いようになっている。
シート状吸収体207は、吸収層207xを上部コアラップシート207aと下部コアラップシート207bで挟持して積層してなる(図8参照)。
各コアラップシート207a、207b(後述する図8参照)は、パルプを主成分とし、坪量が15〜45g/mであり、吸水量が60〜230 water-g/mであり、かつ旧JIS−S3104法に規定する吸水度が25.0秒/0.1ml以下である。コアラップシート207a、207bをこのように構成することにより、吸収速度に優れ、液戻り量が少ないと共に、各コアラップシート207a、207b(及び各コアラップシートと積層される吸収層207x(後述する図8参照))が硬くならないので使用感にも優れる。
各コアラップシート207a、207bの坪量が15g/m未満であると強度が低下し、吸収性物品の使用時に破れたり、液漏れが発生する恐れがある。坪量が45g/mを超えると各コアラップシート207a、207bが硬くなり、吸収層207xも硬くなって使用者への密着性や使用感が劣る。上記坪量は、好ましくは15〜45g/m、更に好ましくは15〜40g/m、最も好ましくは15〜35g/mである。
各コアラップシート207a、207bの吸水量が60water-g/m未満であると、吸収層207xからの液戻り量が多くなり、水分が外部に滲み易くなる。一方、吸水量が230water-g/mを超えると、各コアラップシート207a、207bが硬くなり、吸収層207xも硬くなって使用者への密着性や使用感が劣る。各コアラップシート207a、207bの吸水量が60〜230water-g/mであることが好ましく、80〜230water-g/mであることがより好ましく、100〜230water-g/mであることが最も好ましい。
なお、吸水量は、図6に示すようにして測定する。まず、コアラップシート206(吸水量試験のため、コアラップシート207a、207bの中から選んだいずれかを符号206で表す)を、一片が7.62cm(3インチ)の正方形の型版を用いてカットし、一辺7.62cmの矩形の試験片を作成する。吸水前の試験片の質量を電子天秤で測定しておく。試験片をホルダー(試験片の3点を固定するジグで、ジグは水分を吸収しない金属からなる)にセットする。
次に、市販のバットに、蒸留水を深さ1cm入れ、ホルダーにセットした試験片をバットの蒸留水中に2分間浸漬する。2分浸漬後に試験片をホルダーと共に水中から取り出し、図6に示すように、試験片206Tの1つの隅部206dに帯310を貼り付ける。帯310は、1plyの一般的なコアラップシート製品を幅2mm×長さ15mmの大きさに切り、試験片の隅部206dから中心に向かって6mmの部分に貼り付ける。次に、ホルダーと試験片206Tを、隅部206dに対向する隅部206aが上になるようにして空の水槽内に設置した棒にぶら下げ、水槽の蓋を閉めて30分間、放置する。その後、ホルダー320と試験片206Tを水槽から取り出し、帯310とホルダー320を外し、電子天秤で試験片206Tの質量を測定する。水に浸す前後での試験片206Tの質量変化から、試験片1m2当たりの吸水量(Water-g/m2)を計算する。測定は各サンプル5回ずつ行い、平均値を採用した。
なお、本測定は、JIS−P8111法に従い、温度23±1℃、湿度50±2%の状態で行う。また、蒸留水は23±1℃に保持する。
各コアラップシート207a、207bの旧JIS−S3104法に規定する吸水度は吸水度が25.0秒/0.1ml以下であり、その値が小さいほどよい。吸水度が25.0秒/0.1mlを超えると、吸収性物品の吸収速度が低下する。なお、吸水度は旧JIS−S3104法に規定されており、「0.1ml」は、各コアラップシート207a、207bへの水の滴下量(ミリリットル)である。
吸水度が2.3〜25秒/0.1mlであることが好ましく、2.3〜20秒/0.1mlであることがより好ましく、2.3〜15秒/0.1mlであることが最も好ましい。
各コアラップシート207a、207bは木材パルプ100%から成っていてもよく、古紙パルプ、非木材パルプを含んでも良い。目標とする品質を得るためには、NBKP:LBKP=10:90〜90:10(質量比)の木材パルプを原料とすることが好ましく、より好ましい範囲はNBKP:LBKP=20:80〜80:20、更に好ましい範囲はNBKP:LBKP=30:70〜70:30である。上記LBKPの材種としてユーカリグランディス、及びユーカリグロビュラスに代表される、フトモモ科ユーカリ属から製造されるパルプが好ましい。又、古紙パルプ配合を100質量%とすることもできる。古紙パルプは品質的バラツキが大きく、配合割合が増えると製品の品質、特に柔らかさに大きく影響するので、木材パルプに対して60質量%以下に配合するのが望ましい。
なお、各コアラップシート207a、207bに適正な強度を確保するために、通常の手段で原料配合し、パルプ繊維の叩解処理にて強度調整を行うことができる。目標の品質を得るための叩解としては、市販のバージンパルプに対して、JIS P8121で測定されるカナダ標準ろ水度で0〜300ml、より好ましくは0〜250ml、更に好ましくは50〜250ml濾水度を低減させる。
又、各コアラップシート207a、207bの製造方法の詳細については後述する。
本発明の実施形態に係るコアラップシートにおいて、表面の凹凸の高低差の平均値が100〜600μm、好ましくは100〜550μm、より好ましくは150〜500μm、表面の凹部の面積率の平均値が2〜12%、好ましくは3〜12%、より好ましくは4〜12%であると、上記した吸水量及び吸水度が確実に得られるので好ましい。
なお、表面とは、1枚のシートの両面をいう。
表面の凹凸の高低差は、形状測定レーザマイクロスコープを用いて測定する。形状測定レーザマイクロスコープは、点光源であるレーザ光源を、対物レンズを介して観察視野内のX−Y平面を複数に分割したピクセルにスキャンし、各ピクセル毎の反射光を受光素子で検出する。そして、対物レンズを高さ(Z軸)方向に駆動し、最も反射光量の高いZ軸位置を焦点として、高さ情報と反射光量を検出する。このようにしてスキャンを繰り返すことにより、全体に焦点の合った光量超深度画像と高低画像(情報)が得られる。レーザ光源は、ピンホール共焦点光学系であるので、測定精度が高い。
形状測定レーザマイクロスコープとしては、KEYENCE社製の製品名「超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK-9510」を使用することができる。観察・測定ソフトウェアとしては、製品名「VK Viewer」を使用することができる。又、測定条件は、倍率200倍(標準対物レンズは倍率10倍を使用)、測定モードはカラー超深度とし、Autoセットによりゲインをオートで調整し、測定ピッチ1μm、ディスタンス(Z軸方向の範囲 μm)をサンプルの紙厚以上に設定し、測定する。なお、測定は、抄紙機以外の工程(例えば、インターフォルダー等)で機械的にエンボス処理を行った部分以外の箇所を測定する。
その後、画像解析ソフトウェア(VK Analyzer)を用い、得られた画像から高さプロファイルを取得する。まず、図3に示す画像の観察視野を横切る線分Lを、目視で画像内に白い部分と黒い部分が隣接するように引く。なお、図3の白い部分が凸部、黒い部分が凹部に相当するので、白が強い部分と黒が強い部分が隣接している部分を横切るように線分Lを決めればよい。高さプロファイルの取得は各画像につき線分Lを1つ選んで行う。線分Lの長さは1.0-1.4mmとする。そして、図4のように高さプロファイルが得られる。ここで、図4の高さプロファイルは、実際の試料表面の凹凸を表す(測定)断面曲線Sであるが、ノイズ(コアラップシートの表面に繊維塊があったり、繊維がヒゲ状に伸びていたり、繊維のない部分に起因した急峻なピーク)をも含んでおり、凹凸の高低差の算出に当たっては、このようなノイズピークを除去する必要がある。
そこで、高さプロファイルの断面曲線から「輪郭曲線」Wを計算し、この「輪郭曲線」の最大値MAXと最小値MINの差を「凹凸の高低差」と規定する。ここで、「輪郭曲線」は、断面曲線からλc:250μm(但し、λcはJIS-B0601「3.1.1.2」に記載の「粗さ成分とうねり成分との境界を定義するフィルタ」)より短波長の表面粗さの成分を低域フィルタによって除去して得られる曲線である。
又、図4の縦軸(凹凸プロファイルの高さ)の値は、形状測定レーザマイクロスコープに試料を載置する台座の高さを基準としている。なお、線分Lにて、例えば山(凸部)が1つで、それに隣接する2つの谷(凹部)が得られた場合、最も小さい凹部のMINを用いる。山(凸部)が2つの場合は、最も大きい凸部のMAXを用いる。
なお、上述のように高さプロファイルの視野(Lの長さ)は1.0-1.4mmであり、測定に際しては表面のエンボスを十分に避けることができる。
表面の凹部の面積率は、コアラップシートの表面を画像解析し、所定の閾値以下の暗い部分を凹部とみなし、その面積率を計算して得られる。
具体的には、コアラップシートの表面を市販のイメージスキャナ(例えば、エプソン社製GT-X770)で、図5に示すような画像データとして取り込み、所定の画像解析装置(例えば、日本製紙ユニテック社製の「きょう雑物測定装置(Easy Scan)」)により分解能800dpi、スキャン面積6cm×6cmの条件で、所定の閾値以下の暗部の面積率を求める。ここで、上記閾値を、黒を0ビット、白を255ビットとしたときの白側に近い98%に設定して画像処理し、得られたそれぞれの暗部(陰部)を粒子(きょう雑物)とみなし、その粒径(円相当径)(μm)を計測する。その後、粒径が200〜999μmの粒子について、各粒子の面積を積算し、画像面積1m当たりの暗部(凹部)の面積率に換算した(例えば、測定面積が0.0036m2、200-999μmの粒子の積算面積が500mm2の場合、面積率(%)は500mm2÷0.0036m2×100=13.9%となる)。
面積率の測定は、コアラップシートのサンプルにシワやミシン目、折り目等が入らないようにしてスキャナの一辺にコアラップシートの一辺を沿わせて設置し、画像データを取り込む。次に、このコアラップシートの一辺をスキャナに対して90度ずつ回転させてそれぞれ画像データを取り込む(合計4つの画像データ)。この操作を2回繰り返し、合計8個の画像データを取り込む。さらに、コアラップシートのサンプルのもう一方の表面についても、同様の操作を8回行う。このようにして得られた製品の2つの表面(両面)の16個の画像データにつき、上記した画像解析を行い、暗部(凹部)の面積率を測定し、これら16個の面積率の平均値を採用する。
なお、コアラップシートのサンプルにミシン目や折り目が入っている等、6cm×6cmのスキャン面積(0.0036m2)を確保できない場合は、一度で測定する測定面積を小さくしても良いが、この場合は測定面積が最低0.0036m2となるように、測定箇所を増やす。例えば、3cm×6cm(0.0018m2)を2箇所測定すれば、測定面積は0.0036m2となる。
凹凸の高低差、及び凹部の面積率を上記範囲とすると、コアラップシートの表面に適度な凹凸が生じ、坪量が低くても水を吸収しやすくなる。
一方、凹凸の高低差及び凹部の面積率が上記範囲未満であると、コアラップシートの表面の凹凸が低くなって水を吸収し難くなり、吸水量が上記範囲未満となることがある。
凹凸の高低差及び凹部の面積率が上記範囲を超えると、水を吸収しやすくなるが、コアラップシートが硬くなり、使用感が劣ることがある。
なお、凹凸の高低差、及び凹部の面積率を上記範囲に管理する方法の一例としては、後述する凹凸付けファブリックを湿紙ウェブに押付け、脱水と同時に凹凸付けを行うことが挙げられる。
又、コアラップシートは、抄紙後に抄紙機以外の工程(例えば、インターフォルダー等)で機械的にエンボス処理を施すことがある。これらのエンボスの大きさ(凹凸の高低差および凹凸の周期)は数mmと大きいため、吸水度や吸水量の向上効果は生じ難い。
コアラップシートの比容積が4.5〜9.0cm/gであることが好ましく、5.0〜9.0cm/gであることがより好ましい。比容積が4.5cm/g未満であると、ふんわり感が乏しく、使用感が劣ることがある。一方、比容積が9.0cm/gを超えると、バルク(嵩高さ)は高くなるが、ゴワゴワして使用感が悪くなることがある。
又、コアラップシートのWGMTが2.0〜6.0N/25mmであることが好ましく、2.5〜6.0N/25mmであることがより好ましい。WGMTが2.0N/25mm未満であると、やぶれ易くて液漏れが生じることがある。WGMTが6.0N/25mmを超えると硬くなり、吸水度及び吸水量が低下することがある。
なお、コアラップシートのWGMTは、旧JIS S3104に基づく湿潤時の縦方向の引張強さWMDT(Wet Machine Direction Tensile strength)と、湿潤時の横方向の引張強さWCDT(Wet Cross Direction Tensile strength)との積の平方根であり、(WMDT×WCDT)1/2(WGMT:Wet Geometric Tensile Strength)で表される。
次に、吸収性物品200のその他の構成部分について説明する。
トップシート202は、液透過性の親水性不織布であればよく、使用者の肌に接するため、感触が柔らかで、皮膚に刺激を与えない繊維材料から形成されている。トップシート202の坪量は20g/m以上が好ましい。トップシート202の坪量が20g/m未満であると、液戻り量が多くなり、着用者に不快感を与え、さらにはかぶれの原因になる。トップシート202は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなどの合成繊維による、エアースルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布などが使用できる。特に液戻り量の少ないエアースルー不織布が好適である。
バックシート204は、シート状吸収体207内において保持している液体などが下着に漏れないような防水性を有する液不透過性の材料から形成されていればよく、通気性のポリエチレンフィルムなどの薄いプラスチックフィルムとすることができるが、着用中にカサカサした音がしにくく、柔らかさを付与するよう、バックシート204にマイクロエンボスを施したり、プラスチックフィルムの外側に不織布を貼合わせたクロスライクバックシートを用いることもできる。
又、バックシート204としては、通気性のフィルムを用いてムレを低減することが好ましい。
吸水性繊維層210は、シート状吸収体207で吸収し切れなかった液を吸収し、上部への液戻りを防止する。吸水性繊維層210としては、木材パルプベースのエアレイド不織布、またはフラッフパルプを積層し、5g/g以上の吸水量を持つものとすることができる。さらに、吸水性繊維層210として、フラッフパルプを積層したものに50質量%以下の吸水性樹脂を含ませたものは吸水性能の点でより優れたものとなる。
シート状吸収体207は、吸水性樹脂(高吸水性ポリマー;SAP)と接着剤とを有する吸収層がシート状のコアラップシートと積層されてなる。吸水性樹脂とコアラップシートはいずれも接着剤により接着され、吸収層をコアラップシートの表面に担持可能になっている。このため、吸収層を比較的薄くすることができ、シート状吸収体207全体の厚みを薄くできる。
図8は、シート状吸収体207の構成の一例を示す。シート状吸収体207は、上部コアラップシート207a、吸収層207x、下部コアラップシート207bをこの順で積層して構成されている。
吸収層207xは吸水性樹脂及び接着剤を含む。接着剤は、各吸水性樹脂と各コアラップシートのいずれとも接着する。このため、上部コアラップシート207a、吸収層207x、及び下部コアラップシート207bが相互に接着される。
SAPとしては、破砕タイプと、パールタイプ(逆相懸濁重合法により得られるもの)のどちらでも選択できる。吸水性樹脂(SAP)は網目状の分子構造を有し、自重の数百倍の水を吸収してゲル状に膨潤し、その水を保持する機能を有するポリマーである。SAPには、合成ポリマー系と天然物由来系とがあり、合成ポリマー系としては、ポリアクリル酸系、ポリスルホン酸系、アクリルアミド系、ポリビニルアルコール系等が利用でき、天然物由来系としては、デンプン系、セルロース系等が利用できるが、特に限定されずにこれらを適宜用いることができる。
吸収層207xは、吸収した液の滞留を回避し、液を吸収層207xの面方向及び下層側へ速やかに拡散させるものが好ましい。そこで、吸収層207xに用いられる第1の吸水性樹脂のVortex法による生理食塩水の吸収速度が20〜70秒であることが好ましく、より好ましくは30〜60秒であり、さらに好ましくは30〜55秒である。
Vortex法による生理食塩水の吸収速度は以下のように行う。まず、回転子(8mmφ×30mmのリング無し)を入れた100mlのビーカーに、生理食塩水を50±0.1g加え、マグネチックスターラーを使用して600rpmで撹拌し、渦を発生させる。吸水性樹脂2.0±0.002gを精秤して攪拌渦中に投入する。吸水性樹脂粒子の添加後から液面の渦が収束する時点までの時間(秒)を測定する。吸収速度(時間)が小さいほど吸収速度が速いことを表す。
上記吸水性樹脂の中位粒子径(50%粒子径)は、いずれも100〜600μmが好ましく、200〜500μmがより好ましい。吸水性樹脂の中位粒子径が100μm未満であると、流動性が低い微粉末を多く含み、吸収層の基本性能(液体の保持能力(吸収量、液戻り量))が劣る場合がある。吸水性樹脂の中位粒子径が600μmを超えると、吸収層、ひいてはシート状吸収体207が硬くなったりゴツゴツし、触感が劣る場合がある。
シート状吸収体に含まれる吸水性樹脂の量は、要求される吸収性能によっても変化するが、100〜1000g/mが好ましく、より好ましくは200〜800g/mであり、さらに好ましくは250〜600g/mである。吸水性樹脂の量が100g/m未満であると、シート状吸収体207が十分な吸収性能を得られず、吸収後のさらさら感が劣る場合がある。吸水性樹脂の量が1000g/mを超えると、シート状吸収体207が厚くなり、柔らかさ及び動きやすさが劣る場合がある。
吸収層207xにおける接着剤の含有割合は、吸水性樹脂 (質量基準)に対して0.05〜2.0倍であることが好ましい。接着剤の含有割合が0.05倍未満であると、吸水性樹脂の固定が不十分であり、2.0倍を超えると吸水性樹脂の吸水性を阻害したり、シートが硬くなる場合がある。接着剤の含有割合は、より好ましくは0.1〜1.5倍の範囲である。
吸水性樹脂としては、公知のものが使用できるが、例えばポリアクリル酸系、でんぷん系、セルロース系の樹脂が挙げられる。
接着剤としては、融点が100〜180℃程度のホットメルト接着剤であって、スチレンーブタジエン−スチレン系共重合体、スチレンーイソプレン−スチレン系共重合体などの合成ゴム系接着剤;エチレン−酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系接着剤が例示される。ホットメルト接着剤の塗布方法としては、ノズルから溶融状態の接着剤を非接触で塗布するカーテンコート法及びスパイラル法、接触式で塗布するスロット法などが挙げられ、公知の方法が使用できる。
さらに、上部コアラップシート207a、吸収層207x、及び下部コアラップシート207bを上述の接着剤によって一体化してシート状吸収体207を積層した後、全体に熱エンボスを施すことによって、上部コアラップシート207aから下部コアラップシート207bに至る積層部分であって、シート状吸収体207の面方向の一部の領域を、エンボスにより一体化することができる。これにより、シート状吸収体207全体への液体の拡散を効率よく行うと共に、吸水性樹脂の固定が強くなる。個々のエンボスパターンは、直線、曲線、ドット状など特に限定されず、またパターン形状も格子状、波状、エイコンパターン(どんぐりの連続形状)など、液体の拡散を効率よくするためのものを適宜選択することができる。
液拡散性シート208は、トップシート202の下側に配置されて尿や汚物の拡散を促し、液体を広範囲にシート状吸収体207に移動させて効率よく吸収させることができる。液拡散性シート208は、親水性であり、厚さ0.5mm以上で、目付けが25g/m以上のポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなどの合成繊維による、エアースルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布などが使用できる。特に液戻り量の少ないエアースルー不織布が好適である。
立体ギャザー212は、スパンボンド不織布、スパンボンド/メルトブローの複合素材等の撥水性不織布から構成することができ、その目付けは特に限定されない。
そして、トップシート202とバックシート204との間に、シート状吸収体207を挟持し、さらに適宜液拡散性シート208や立体ギャザー212を配置した後、トップシート202とバックシート204とを全周にわたってホットメルト接着剤を用いて固定することで、吸収性物品200を製造することができる。接着剤としては、融点が100〜180℃程度の、スチレンーブタジエン−スチレン系共重合体、スチレンーイソプレン−スチレン系共重合体などの合成ゴム系;又はエチレン−酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系のホットメルト接着剤を使用できる。ホットメルト接着剤の塗布方法には、ノズルから溶融状態の接着剤を糸状に非接触で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法などがあり、公知のあらゆる方法が利用できる。
次に、図7を用いて、本発明の実施形態に係るコアラップシートのウェブの製造方法について説明する。図7はコアラップシートのウェブの製造装置50の一例を示す。
図7の装置50は、ファブリックプレス方式の抄紙機であり、予備的に脱水するための通風乾燥(TAD)設備を用いず、プレス手段のみで凹凸付けしたウェブ103を製造することができる。装置50は、連続するウェブを形成するウェット部2、ウェブを脱水して模様付け又は凹凸付けするプレス部3、及びウェブを最終乾燥する乾燥部4を備えている。
ウェット部2は、クレセントフォーマー形式で湿紙を形成するものであり、繊維及び水からなる紙料をフォーミング領域に供給するヘッドボックス6、ウェブの水の一部を脱水するフォーミングフェルト8及びフォーミングワイヤー9、複数のガイドロール10、並びにフォーミングロール7を有する。
ヘッドボックス6は、フォーミングワイヤー9とフォーミングフェルト8との間の成型部5にて紙料ジェットを吐出する。フォーミングワイヤー9はエンドレスのループ形態であり、複数のガイドロール10及びフォーミングロール7の周りを走行し、フォーミングロール7にてフォーミングフェルト8に接触する。従って、位置5に吐出された紙料はフォーミングワイヤー9によって脱水されて繊維性ウェブ101を形成し、この繊維性ウェブ101がフォーミングフェルト8にてプレス部3に搬送される。フォーミングフェルト8も複数のガイドロール18の周りを走行するエンドレスのループ形態となっている。
なお、成型部5をサクションブレストロールフォーマーとすることもできる。
プレス部3はメインプレス11及び凹凸付けファブリック14を備え、メインプレス11は第1のプレス要素12と第2のプレス要素13とからなる。第1及び第2のプレス要素12,13は、互いに圧着してそれらの間にプレスニップN1を形成する。図7の例では、メインプレス11はロールプレスであり、第1及び第2のプレス要素12,13が対向する双ロールをなす。そして、第1のプレス要素(ロール)12が凹凸付けファブリック14のループ内に位置し、第2のプレス要素(ロール)13がフォーミングフェルト8のループ内に位置し、プレスニップN1にてフォーミングフェルト8と凹凸付けファブリック14が接触する。メインプレス11は、長いニッププレス又はシュープレス(図示しない)でも良い。
凹凸付けファブリック14は、エンドレスのループ形態をなし、複数のガイドロール15、及び乾燥部4に対向するスムーズな転送ロール16の周りを走行する。凹凸付けファブリック14は、第1のプレス要素(ロール)12の周りを走行したときにメインプレス11のプレスニップN1を通り、フォーミングフェルト8で搬送された繊維性ウェブ101と接触する。そして、プレスニップN1にて、凹凸付けファブリック14が繊維性ウェブ101の脱水及び凹凸付けを行って、凹凸付け繊維性ウェブ102を形成する。凹凸付け繊維性ウェブ102は、凹凸付けファブリック14によって転送ロール16まで搬送される。
転送ロール16は、後述する乾燥部4の乾燥シリンダー19と対向し、両者の間に転送ニップN2を形成する。そして、転送ニップN2に搬送された凹凸付け繊維性ウェブ102は、プレス及び脱水を施されずに乾燥にのみ供される。
なお、プレス部3(プレスニップN1)において、フォーミングフェルト8は、z−方向(厚み方向)に弾性変形可能で圧縮可能な受水プレスフェルト17として働く。受水プレスフェルト17は、プレスニップN1を通過した凹凸付け繊維性ウェブ102をすぐに離し、ウェブ102を再び湿らさないようにする。
プレス部3を通る間、各ウェブ101、102の乾燥度は、繊維濃度15〜30%の範囲から42〜52%の範囲とすることができる。
乾燥部4は、乾燥シリンダー19、クレープ付けドクター21、及び乾燥シリンダー19を覆うフード22を備えている。なお、図7の例では、乾燥シリンダー19はヤンキードライヤーであるが、他のタイプの乾燥部(たとえばエアースルードライヤー、金属製の乾燥ベルト)を適用することができる。又、乾燥部は、単一の乾燥部(例えば、図7のように1つのシリンダー)であってもよく、複数の乾燥部で構成することもできる。
乾燥シリンダー19の表面は、転送ニップN2近傍にて、凹凸付け繊維性ウェブ102を乾燥する乾燥表面20を形成する。又、クレープ付けドクター21は乾燥表面20の下流に配置され、乾燥表面20によって乾燥した凹凸付け繊維性ウェブ102にクレープ付けを行い、それによって、凹凸付け及びクレープ付けの両方を施された最終ウェブ103が得られる。クレープ付は、紙を縦方向(マシン走行方向)に機械的に圧縮し、クレープと称される波状の皺を形成する公知の方法であり、紙に嵩(バルク感)、柔らかさ、吸水性、表面の滑らかさ、美観(クレープの形状)などを付与する。
そして、転送ニップN2にて、凹凸付け繊維性ウェブ102が凹凸付けファブリック14から離れて乾燥シリンダー19の乾燥表面20に転送される。転送ニップN2の圧力は1MPa以下であり、この圧力ではウェブ102の脱水は生じない。
なお、凹凸付けファブリック14から乾燥表面20側にウェブ102を確実に転送させるため、スプレー装置23によって乾燥表面20に接着剤を塗布するようにすると良い。スプレー装置23は、クレープ付けドクター21と転送ニップN2との間であって、乾燥表面20が開放された位置に配置することができる。
凹凸付けファブリック14としては、金属又は合成樹脂(プラスチック)の線を経糸及び緯糸として縦横に編み込んだ網目状のワイヤが挙げられる。このワイヤの目数としては、経糸及び緯糸の目数がそれぞれ20〜70本/2.54cm、好ましくは20〜60本/2.54cm、より好ましくは20〜50本/2.54cmとすることができる。又、このワイヤの線径としては、経糸及び緯糸の線径が0.21〜0.80mm、好ましくは0.25〜0.80mm、より好ましくは0.30〜0.80mmとすることができる。
経糸及び緯糸の目数が上記範囲未満である場合、又は経糸及び緯糸の線径が上記範囲を超える場合、凹凸付けファブリック14の表面の凹凸が強過ぎ、得られたウェブの表面の凹凸も強くなり過ぎ、触感(滑らかさ)が劣ることがある。
経糸及び緯糸の目数が上記範囲を超える場合、又は経糸及び緯糸の線径が上記範囲未満である場合、凹凸付けファブリック14の表面の凹凸が低くなり過ぎ、得られたウェブの表面の凹凸も低くなって、吸水量が上記範囲未満となる。
なお、凹凸付けファブリックでない一般的なファブリックは、経糸及び緯糸の目数がそれぞれ、70〜200本/2.54cm程度である。また、経糸及び緯糸の線径はそれぞれ、0.08〜0.20mm程度である。
上記で示したワイヤの目数や線径は、ワイヤのトップ面(湿紙とワイヤーが接触する面)の値である。
なお、コアラップシートとする加工において、カレンダ加工及びエンボス加工の有無、印刷の実施の有無は、適宜選択できる。
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
<コアラップシートの製造>
パルプ組成(質量%)をNBKP50%、LBKP50%とし、それぞれ表1、表2に示す特性を有する1枚重ねのコアラップシートとして、図7に示すファブリックプレス方式の抄紙機50を用い、凹凸付け繊維性ウェブ103を製造し、所定の大きさに切断した。
凹凸付けファブリック14としては、経糸及び緯糸として縦横に編み込んだ網目状のプラスチック製ワイヤを用い、ワイヤの経糸及び緯糸の目数及び線径を表1、表2のように規定した。
コアラップシートにつき、以下の評価を行った。
WGMT(Wet Geometric Tensile Strength):旧JIS S3104に基づいて湿潤時の縦方向引張り強さWMDTと湿潤時の横方向引張り強さWCDTとを測定し、これらの積の平方根を算出した。
坪量:JIS P8124に基づいて測定した。
厚さ:シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重250gf、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm 以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。なお、測定は試料を10枚重ねて異なる10ヶ所で測定し、測定結果を平均した。そして、得られた平均値を枚数で割って1枚当りの紙厚とした。
比容積:1枚当たりの厚さを坪量で割り、単位gあたりの容積cm3で表した。
吸水度:旧JIS−S3104法に従い、温度23±1℃、湿度50±2%の状態で、0.1mlの精製水を滴下し、水滴がコアラップシートに吸収される時間(秒)を測定した。
吸水量:上述の通りに測定した。
コアラップシート表裏面の凹凸の高低差及び凹部の面積率:上述の通りに測定した。なお、各コアラップシート表裏面の値の平均値を採用した。
<吸収性物品の製造>
次に、上記コアラップシートを用い、図1、図2に示す吸収性物品200を製造した。トップシート202は、25g/m2のエアースルー不織布とし、バックシート204は32g/m2 の通気性ポリエチレンシートとし、液拡散性シート(実施例10のみ)は25g/m2 のエアースルー不織布とした。吸水性繊維層210は、木材パルプベースの75g/m2 のエアレイド不織布とした。
シート状吸収体207は、以下の吸収層と上記コアラップシートとを、図8に示すように積層して製造した。又、吸収性樹脂として、Vortex法による生理食塩水の吸収速度が42秒、中位粒子径380μmのものを用いた。吸収性樹脂の量を290g/mとした。
シート状吸収体207の長さ420mm、幅150mmとし、シート状吸収体207を囲むトップシート202及びバックシート204の外寸を、長さ480mm、幅195mmとした。
得られた吸収性物品200につき、以下の評価を行った。
吸収性物品の吸収速度:重さ755.6gで中央に内径19mmの穴が開いている底面積16.8cmの円筒状の測定冶具を、吸収性物品200の中央の上に置き、測定冶具上部の穴から生理食塩水20mlを注入した。生理食塩水が吸水性物品200に接触した時から治具中央穴の縁に生理食塩水が完全に吸い込まれるまでの時間を計測した(1回目)。そして、3分経過後に再度20mlの生理食塩水を注入し、同様に吸収するまでの時間を計測し(2回目)、さらに3分経過後に再度20mlの生理食塩水を注入し、同様に吸収するまでの時間を計測した(3回目)。なお、上記した1回目、2回目、3回目の各吸収速度の測定は、いずれもN=3サンプルについて行ったものの平均値とした。又、1回目〜3回目の各吸収速度の合計値も算出した。上記合計値は、好ましくは50〜120秒で、より好ましくは50〜100秒、最も好ましくは50〜80秒である。
液戻り量:吸収性物品200の中央に生理食塩水120mlを注入し、10分経過後に、予め重量を測定したろ紙(ADVANTEC社製No.2ろ紙、直径55mm)を注入部の中心に置き、ろ紙の上に687gの錘を載せた(圧力;35g/cm)。錘を載せてから1分経過後に、ろ紙の重量を測り、試験前後のろ紙の重量差(g)を液戻り量とした。液戻り量は、N=3サンプルについて行ったものの平均値とした。液戻り量は、好ましくは0〜0.8g、より好ましくは0〜0.4gである。
吸収性物品200の厚さ:ダイヤルゲージ(尾崎製作所製の「ピーコックダイヤルゲージ」)を用いて、3432Paの加重がかかるようにダイヤルゲージに錘を乗せ、吸収性物品の長手方向、かつ幅方向の中央部の厚さを測定した。
シート状吸収体207の柔らかさ:モニター20人による官能評価によって行った。評価方法はシート状吸収体自体を手で触れ、その触感を以下の基準で評価した。評価が○であれば実用上問題はない。
○:柔らかい
△:やや硬い
×:硬い
なお、坪量、引張強さ(WGMT)、厚さ、比容積の測定は、JIS-P8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。
得られた結果を表1、表2に示す。
表1〜表2から明らかなように、坪量が15〜45g/m、吸水量が60〜230 water-g/m、吸水度が25.0秒/0.1ml以下のコアラップシートを用いて吸収性物品を製造した各実施例の場合、得られた吸収性物品の吸収速度(1〜3回目までの合計値が小さいことを意味する)が高く、さらに液戻り量(g/120ml)が少なかった。
なお、各実施例の場合、湿紙ウェブに、所定の凹凸付けファブリックを押付けて脱水と同時に凹凸付けを行ってコアラップシートを抄紙したため、表裏面の凹凸の高低差が100〜600μmであり、表裏面の凹部の面積率の平均値が2〜12%であった。
又、各実施例のうち、凹凸付けファブリックの経糸及び緯糸の目数を最も多くし、線径を最も細くした実施例5の場合、他の実施例に比べて表面の凹凸が低く、凹凸の高低差及び凹部の面積率の値が他の実施例に比べて小さくなったが、得られた吸収性物品の吸収速度と液戻り量は実用上問題ないレベルであった。
凹凸付けファブリックの経糸及び緯糸の目数を最も少なくし、線径を最も太くした実施例9の場合、他の実施例に比べて表面の凹凸が高く、凹凸の高低差及び凹部の面積率の値が他の実施例に比べて大きくなったが、得られた吸収性物品の吸収速度と液戻り量は実用上問題ないレベルであった。
又、実施例1の吸収性物品に対し、さらに液拡散性シート(図2参照)を設けた実施例10の場合、実施例1に比べて吸収性物品の吸収速度及び液戻り量がさらに向上した。
一方、コアラップシートの坪量が15g/m未満である比較例1の場合、コアラップシートの吸水量が60water-g/m未満となり、このコアラップシートを用いて製造した吸収性物品の液戻り量が0.8gを超えた。なお、比較例1の場合、コアラップシートの強度(WGMT)も2.0N/25mm未満に低下し、破れやすくなった。
コアラップシートの坪量が45g/mを超えた比較例2の場合、コアラップシートの吸水量が230water-g/mを超え、このコアラップシートを用いて製造した吸収性物品において、シート状吸収体が硬くなり、使用感が劣った。
凹凸付けファブリックの経糸及び緯糸の目数を実施例より多くし、線径を実施例より細くした比較例3の場合、コアラップシートの表面の凹凸が低くなり過ぎ、凹凸の高低差及び凹部の面積率の値が上記範囲未満となり、コアラップシートの吸水量と吸水度が劣ると共に、得られた吸収性物品の吸収速度(1回目〜3回目までの合計値)が120秒/60mlを超え(つまり、吸収速度自体が遅くなり)、液戻り量が0.8gを超えた。
凹凸付けファブリックの経糸及び緯糸の目数を実施例より少なくし、線径を実施例より太くした比較例4の場合、コアラップシートの表面の凹凸が高くなり過ぎ、凹凸の高低差及び凹部の面積率の値が上記範囲を超え、得られた吸収性物品の液戻り量が0.8gを超えた。
凹凸ファブリックを使用せず、従来の抄紙方法によりコアラップシートを製造した比較例5の場合、コアラップシートの表面の凹凸が低くなり過ぎ、凹凸の高低差が上記範囲未満となり、コアラップシートの吸水量と吸水度が劣ると共に、得られた吸収性物品の液戻り量が0.8gを超えた。
なお、WGMT(強度)は、例えばパルプの原料及びその配合量、叩解度、紙力剤の添加の有無、抄紙条件等によって適宜調整することができる。
14 凹凸付けファブリック
101 繊維性ウェブ
200 吸収性物品
202 トップシート
204 バックシート
207 シート状吸収体
206、207a、207b コアラップシート
207x 吸収層
208 液拡散性シート

Claims (7)

  1. 身体接触側表面を形成する液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートの間に配置され、吸水性樹脂と接着剤とを有する吸収層がシート状のコアラップシートと積層されてなるシート状吸収体と、を含む吸収性物品であって、
    前記コアラップシートは、パルプを主成分とし、坪量が15〜45g/mであり、吸水量が60〜230 water-g/mであり、かつ旧JIS−S3104法に規定する吸水度が25.0秒/0.1ml以下であり、
    前記コアラップシートの表面の凹凸の高低差が100〜600μmであり、かつ表面の凹部の面積率が2〜12%である吸収性物品。
  2. 前記コアラップシートの比容積が4.5〜9.0cm3/gである請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記コアラップシートの、旧JIS S3104に基づく湿潤時の縦方向の引張強さWMDTと、湿潤時の横方向の引張強さWCDTとの積の平方根である(WMDT×WCDT)1/2(WGMT)が2.0〜6.0N/25mmである請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記トップシートと前記シート状吸収体の身体側との間に配置され、液体の拡散性を向上させる液拡散性シートを備えた請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性物品。
  5. 前記シート状吸収体は、前記トップシート側から順に、上部コアラップシートと、吸水性樹脂及び接着剤を含有する吸収層と、下部コアラップシートと、を積層してなり、
    前記上部コアラップシート及び前記下部コアラップシートは、いずれも前記コアラップシートからなり、
    前記シート状吸収体に含まれる前記吸水性樹脂の量が100〜1000g/mである請求項1〜4のいずれかに記載の吸収性物品。
  6. 前記上部コアラップシートから前記下部コアラップシートに至る積層部分であって、前記シート状吸収体の面方向の一部の領域が、エンボスにより一体化されている請求項5に記載の吸収性物品。
  7. 前記第1の吸水性樹脂の吸収速度がVortex法吸収速度で20〜70秒である請求項5又は6に記載の吸収性物品。
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