JP2014155338A - 交流電動機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】制御部15では、電流指令値id*、iq*、および、フィードバックされる1相の電流検出値iw_snsおよび電気角θeから算出される電流推定値id_est、iq_estに基づき、第1の電圧指令値vd*_1、vq*_1を演算する。また、電流指令ベクトルi*の位相角θiに応じた交流電動機2の実際の挙動に関する実機挙動情報である電圧補正係数Kd、Kqに基づき、第2の電圧指令値vd*_2、vq*_2を演算する。回転数Nが判定閾値A以下である場合、第1の電圧指令値vd*_1、vq*_1に基づく第1の制御モードに替えて、第2の電圧指令値vd*_2、vq*_2に基づく第2の制御モードとする。これにより、交流電動機2から出力されるトルクの変動が抑制され、ドラビリが改善する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、交流電動機の回転数が小さい低回転域において、出力されるトルクの精度を改善可能な交流電動機の制御装置を提供することにある。
制御モード切替手段は、回転数が所定の判定閾値より大きい場合、第1の電圧指令値に基づいてインバータの駆動に係る駆動信号を生成する第1の制御モードとし、回転数が判定閾値以下である場合、第2の電圧指令値に基づいて駆動信号を生成する第2の制御モードとする。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態による交流電動機2の制御装置としての電動機制御装置10は、電動車両を駆動する電動機駆動システム1に適用される。
交流電動機2は、例えば電動車両の駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機である。本実施形態の交流電動機2は、永久磁石式同期型の三相交流電動機である。
電動車両には、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池車等、電気エネルギによって駆動輪6を駆動する車両が含まれるものとする。本実施形態の電動車両は、エンジン3を備えるハイブリッド車両であり、交流電動機2は、駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機としての機能、および、エンジン3や駆動輪6から伝わる車両の運動エネルギにより駆動されて発電可能な発電機としての機能を有する、所謂モータジェネレータ(図中、「MG」と記す。)である。
直流電源8は、例えばニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等、充放電可能な蓄電装置である。直流電源8は、電動機制御装置10のインバータ12(図2参照)と接続され、インバータ12を介して交流電動機2と電力の授受可能に構成されている。
インバータ12には、交流電動機2の駆動状態や車両要求等に応じて、直流電源8の直流電圧を図示しない昇圧コンバータにより昇圧したインバータ入力電圧VHが印加される。また、インバータ12は、ブリッジ接続される図示しない6つのスイッチング素子を有する。詳細には、スイッチング素子は、高電位側に設けられる上側スイッチング素子(以下、「上SW」という。)、および、低電位側に設けられる下側スイッチング素子(以下、「下SW」という。)からなる。直列に接続される上SWおよび下SWは、交流電動機2の各相に対応して設けられる。スイッチング素子には、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子は、制御部15のPWM信号生成部28(図3参照)から出力されるPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてオン/オフが制御される。これにより、インバータ12は、交流電動機2に印加される3相交流電圧vu、vv、vwを制御する。交流電動機2は、インバータ12により生成された3相交流電圧vu、vv、vwが印加されることにより駆動が制御される。
<1.正転力行> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が正のとき、電力消費。
<2.正転回生> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が負のとき、発電。
<3.逆転力行> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が負のとき、電力消費。
<4.逆転回生> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が正のとき、発電。
電流指令値演算部21は、車両制御回路9から取得されるトルク指令値trq*に基づき、交流電動機2の回転座標として設定される回転座標系(d−q座標系)におけるd軸電流指令値id*、および、q軸電流指令値iq*を演算する。本実施形態では、d軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*は、予め記憶されているマップを参照することにより演算されるが、数式等から演算するように構成してもよい。
電圧指令基準値演算部22におけるd軸電圧指令基準値vd_refおよびq軸電圧指令基準値vq_refの演算方法、および、電圧指令基準値補正部23における第2のd軸電圧指令値vd*_2および第2のq軸電圧指令値vq*_2の演算方法の詳細については、後述する。
PWM信号生成部28では、インバータ12のスイッチング素子のオン/オフの切り替えに係るPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLを、3相交流の電圧指令値vu*、vv*、vw*、および、インバータ12に印加される電圧であるインバータ入力電圧VHに基づいて演算する。
振幅補正係数演算部40では、W相電流検出値iw_snsおよびW相電流指令値iw*に基づき、振幅補正係数Kaを算出する。
d軸デッドタイム補正値vd_dt、q軸デッドタイム補正値vq_dt、および、振幅補正係数Kaの詳細については後述する。
ここで、電流指令値電流指令ベクトルi*の位相角θiについて、図4に基づいて説明する。図4に示すように、本実施形態では、電気角θeは、U相軸を基準として0[°]から反時計回り方向に定義される。また、W相軸は、U相軸に対し、電気角として240[°]ずれている。
θi=θe+φ+90[°] ・・・(1)
θi=θe+φ+C (ただしCは定数) ・・・(2)
d軸電圧補正係数Kdおよびq軸電圧補正係数Kqの演算については後述する。
これは、図5(c)に示すように、サンプリング間隔Tsが回転数Nによらず同じである場合、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθeおよび電流変化量Δiwが比較的大きな値となっており、推定電流FB制御においても実機情報を反映させやすいためである。
これは、図6(c)に示すように、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθeおよび電流変化量Δiwが、回転数Nが高回転域のときよりも減少し、実機情報が乏しくなることに起因する。
図7(c)に示すように、回転数Nが小さい場合、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθeおよび電流変化量Δiwがゼロに近くなる。本実施形態では、U相電流推定値iu_estとしてU相電流指令値iu*、V相電流推定値iv_estとしてV相電流指令値iv*を用いているため、指令に対して変化する値である電流変化量Δiwが略0[A]となると、フィードバックされるd軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estがほとんど変化しなくなるためである。
まず、電動機の電圧方程式は、一般に式(3.1)、(3.2)で表される。
vd=Ra×id+Ld×(d/dt)id−ω×Lq×iq ・・・(3.1)
vq=Ra×iq+Lq×(d/dt)iq+ω×Ld×id+ω×ψ
・・・(3.2)
vd_ref=Ra×id*−ω×Lq×iq* ・・・(4.1)
vq_ref=Ra×iq*+ω×Ld×id*+ω×ψ ・・・(4.2)
Ra:電機子抵抗
Ld:d軸自己インダクタンス、Lq:q軸自己インダクタンス
ω:電気角速度
ψ:永久磁石の電機子鎖交磁束
電気角速度ωは、電圧指令基準値演算部22にて、電気角θeに基づいて演算される。また、電気角速度ωは、回転数Nから演算してもよい。
vd_ref=Ra×id* ・・・(5)
vq_ref=Ra×iq* ・・・(6)
vd*=Ra×id*+vd_cmp ・・・(7)
vq*=Ra×iq*+vq_cmp ・・・(8)
図10(a)は、U相に対応する上SWおよび下SWのオン/オフの切り替えを示している。図10(a)に示すように、上SWがオンであり下SWがオフである状態から、上SWがオフであり下SWがオンである状態への切り替えに際し、上SWおよび下SWの両方がオンになることによる上下短絡を防ぐために、上SWおよび下SWの両方がオフとなるデッドタイム期間Tdtが設けられている。デッドタイム期間Tdtは、スイッチング素子設計により、予め所定の値に設定されている。なお、下SWがオンであり上SWがオフである状態から、下SWがオフであり上SWがオンである状態への切り替え、および、U相以外のV相、W相についても同様である。
vu_dta=vv_dta=vw_dta=Tdt×fc×VH ・・・(9)
本実施形態では、U相およびV相には電流センサが設けられていないため、各相(特にU相およびV相)電流の正負判定ができない。そこで、本実施形態では、3相電流指令値演算部31にて3相電流指令値iu*、iv*、iw*を演算し、3相電流指令値iu*、iv*、iw*に基づき、各相電流の正負判定を行っている。すなわち、「各相電流指令値の正負に基づき、デッドタイム補正値の正負を決定している」ということである。
算出されたd軸デッドタイム補正値vd_dtをd軸電圧指令基準値vd_refに加算し、q軸デッドタイム補正値vq_dtをq軸電圧指令基準値vq_refに加算することにより、始動に必要な電圧を確保することができ、交流電動機2が停止した状態から駆動を開始することができる。同様に、交流電動機2が駆動している状態から駆動を終了して停止させることができる。
図11(a)に示すように、ある電流指令ベクトルi*(id*、iq*)に基づく電圧ベクトルv*(vd*、vq*)を印加したとき、実際に通電された電流の電流ベクトルi(id、iq)が電流指令ベクトルi*(id*、iq*)と異なっていたとする。ここで、図11(b)に示すように、電流指令ベクトルi*と実際に通電された電流ベクトルiの振幅の比率を電圧指令ベクトルv*に乗じ、補正電圧ベクトルv’*(vd’*、vq’*)に応じた電圧を印加することにより、実際に通電される電流の電流ベクトルi(id、iq)を電流指令ベクトルi*(id*、iq*)に近づけることができる。
Ka=iw*/iw_sns ・・・(10)
vd*_2_int=Ka×(vd_ref+vd_dt) ・・・(11)
vq*_2_int=Ka×(vq_ref+vq_dt) ・・・(12)
vd*_2=Kd×Ka×(vd_ref+vd_dt) ・・・(13)
vq*_2=Kq×Ka×(vq_ref+vq_dt) ・・・(14)
S105では、d軸電圧指令値vd*として第1のd軸電圧指令値vd*_1を選択し、q軸電圧指令値vq*として第1のq軸電圧指令値vq*_1を選択する。
ここで、S106におけるFF制御処理を図15に示すフローチャートに基づいて説明する。
S162では、デッドタイム補正値演算部32にて、d軸デッドタイム補正値vd_dtおよびq軸デッドタイム補正値vq_dtを演算する。
S163では、振幅補正係数演算部40にて、振幅補正係数Kaを演算する。
S165では、電圧補正係数演算部52にて、位相角θiに基づき、d軸電圧補正係数Kdおよびq軸電圧補正係数Kqを演算する。本実施形態では、位相角θiを引数とするマップ演算によりd軸電圧補正係数Kdおよびq軸電圧補正係数Kqを演算する。
S108では、3相電圧指令値演算部27にて、d軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*を電気角θeに基づいて逆dq変換し、3相電圧指令値vu*、vv*、vw*を演算する。
S109では、PWM信号生成部28にて、3相電圧指令値vu*、vv*、vw*をインバータ入力電圧VHに基づいてPWM変調してPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLを算出し、インバータ12へ出力する。
電動機制御装置10の制御部15では、以下の処理が実行される。交流電動機2のいずれか1相(本実施形態ではW相)であるセンサ相に設けられる電流センサ13からW相電流検出値iw_snsを取得する(図14中のS101)。また、交流電動機2の回転角を検出する回転角センサ14から電気角θeを取得する(S101)。また、回転数演算部16では、電気角θeに基づき、交流電動機2の回転数Nを演算する(S101)。
また、d軸電圧補正係数Kdおよびq軸電圧補正係数Kqが「実機挙動情報」および「電圧補正値」に対応する。さらにまた、PWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLが「駆動信号」に対応する。
本発明の第2実施形態を図18〜図20に基づいて説明する。
上記実施形態では、トルク指令値trq*に一致する実トルク値trqが出力されるように、d軸電圧指令基準値vd_refおよびq軸電圧指令基準値vq_refを補正するd軸電圧補正係数Kdおよびq軸電圧補正係数Kqが、位相角θiと対応づけられてマップ化されていた。本実施形態では、例えば図12に示すd軸実電圧値vdおよびq軸実電圧値vqが、第2のd軸電圧指令値vd*_2および第2のq軸電圧指令値vq*_2として位相角θiと直接対応づけられたマップが作成され、当該マップが制御部15の図示しない記憶部に格納されている。すなわち、本実施形態では、第2のd軸電圧指令値vd*_2および第2のq軸電圧指令値vq*_2そのものが、「交流電動機の実際の挙動に関する実機挙動情報」に対応する。
これに替えて、位相演算部51と切替判定部26との間に電圧指令値参照部55が設けられている。
電圧指令値参照部55では、位相角θiに基づき、マップ演算により第2のd軸電圧指令値vd*_2および第2のq軸電圧指令値vq*_2を演算する。
図19に示す駆動制御処理は、図14中のS106にて行われるFF制御に替えて、電圧指令値参照制御(S206)を行っている点が異なる。
回転数Nが判定閾値A以下であると判断された場合(S103:YES)に移行するS206では、推定電流FB制御に替えて、電圧指令値参照制御とする。
ここで、S206における電圧指令値参照制御処理を図20に示すフローチャートに基づいて説明する。
S262では、電圧指令値参照部55にて、位相角θiに基づき、第2のd軸電圧指令値vd*_2および第2のq軸電圧指令値vq*_2を演算する。本実施形態では、位相角θiを引数とするマップ演算により、第2のd軸電圧指令値vd*_2および第2のq軸電圧指令値vq*_2を演算する。
本実施形態では、電圧指令値参照部55が「第2の電圧指令値演算手段」を構成する。また、図20中のS262が「第2の電圧指令値演算手段」の機能としての処理に相当する。さらに、「電圧指令値参照制御」が「第2の制御モード」に対応する。
(ア)上記第1実施形態では、電圧指令基準値は、電動機の理論式である電圧方程式に基づいて演算された。他の実施形態では、電圧指令基準値は、予め記憶されたマップを参照することによるマップ演算等、電流指令値に基づいてどのように演算してもよい。尚、電圧指令基準値の演算においては、電流指令値の他、電流指令値の基となるトルク指令、回転数等を適宜用いてよい。
また、デッドタイム補正値は、例えば、d−q座標におけるデッドタイム補正量v_dtをd軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*の大きさに応じてd軸およびq軸に振り分ける等、上記実施形態にて説明した以外の方法にて演算してもよい。
(ウ)上記第1実施形態では、電圧補正値としてd軸電圧補正係数およびq軸電圧補正係数を用いた。他の実施形態では、電圧補正値は、電圧指令基準値を補正可能な値であれば、d軸電圧補正係数およびq軸電圧補正係数に限らず、どのような値としてもよい。また、電圧補正値を用いた電圧指令基準値の補正処理は、乗除算に限らず、加減算等、他の演算により補正してもよい。
また、例えば等トルクライン上にて電流指令ベクトルを移動させる等により、電流指令を複数有する場合は、それぞれの指令に対し、実機挙動情報に関する補正マップを設けることが望ましい。
電流推定部における演算方法は、これに限らず、電流検出値および電気角に基づいて演算されていれば、どのような方法であってもよく、さらに他のパラメータ等を用いてもよい。また、第1の電圧指令値は、電流指令値、および、フィードバックされた電流推定値に基づいて算出されていれば、どのような方法で算出してもよく、さらに他のパラメータ等を用いてもよい。
(i)電流指令位相を用いた基準角と振幅に基づく演算
例えば、特開2004−159391号公報のように、電流指令位相角と電気角から生成したU相電流基準角(θ’)」で除して電流振幅(Ia)を算出し、この電流振幅を、U相電流基準角から±120[°]ずらした電気角におけるsin値に乗じて他の2相の電流推定値Iv、Iwを算出する(式15.1〜15.3)。
Ia=Iu/[√(1/3)×({−sin(θ’)}] ・・・(15.1)
Iv=√(1/3)×Ia×{−sin(θ’+120[°])}・・・(15.2)
Iw=√(1/3)×Ia×{−sin(θ’+240[°])}・・・(15.3)
(ii)電流指令値を用いたセンサ相基準位相に基づく演算
U相電流指令値iu*およびV相電流指令値iv*の少なくとも一方、W相電流検出値iw_sns、および、電気角θeを用い、センサ相に一致するα軸方向のα軸電流iαおよびセンサ相に直交するβ軸方向のβ軸電流iβを演算し、α軸電流iαおよびβ軸電流iβの逆正接関数(arctan)によりセンサ相基準電流位相θxを算出する。センサ相基準電流位相θxの演算式を式(16)に示す。
θx=tan-1(iβ/iα) ・・・(16)
α軸電流iαとβ軸電流iβが「sin波とcos波」の関係にあり、α軸電流iαとβ軸電流iβとの位相差が90[°]であることに着目し、α軸電流微分値Δiαに基づいてβ軸電流推定値iβ_estを演算する。ここで、制御部における演算が離散系である場合、α軸電流微分値Δiαは、実際のβ軸電流iβに対し、電気角移動量Δθeの半分だけ遅れる。この点を考慮し、α軸電流iαの前回値と今回値との平均値に電気角移動量Δθeの半分(Δθe/2)を乗じた補正量Hにて補正したβ軸電流推定値iβ_estとすることが好ましい。そして、α軸電流iαおよびβ軸電流推定値iβ_estを用いてセンサ相基準電流位相θxを演算する。以降の演算は(ii)と同様である。
回転座標系であるd−q座標上でW相軸が相対的に回転することを利用し、W相推定誤差Δiw_estを積算してd軸実電流値idおよびq軸実電流値iqに漸近させる。
前回のd軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_est、および今回の電気角θeに基づき、センサ相成分であるW相電流基準値iw_bfを演算し、W相電流基準値iw_bfとW相電流検出値iw_snsとの差であるW相推定誤差Δiw_estを算出する。W相推定誤差Δiw_estにフィルタ要素であるゲインKを乗じた補正後誤差KΔiw_estを算出し、Δiu=0、Δiv=0とし、dq変換によりセンサ相方向補正値id_crrおよびq軸補正値iq_crrを演算する。そして算出されたd軸補正値id_crrおよびq軸補正値iq_crrをセンサ相方向の補正ベクトルとし、当該補正ベクトルをd−q座標にて積算することにより、d軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estを演算する。また、センサ相に直交する直交方向補正値をさらに演算し、センサ相方向補正値および直交方向補正値の合成ベクトルを補正ベクトルとし、当該補正ベクトルをd−q座標にて積算するようにしてもよい。
(サ)上記実施形態では、電流センサが1相に設けられている例について説明した。他の実施形態では、例えば制御に用いる電流を検出する電流センサ(以下、制御用センサ)の異常検出をするための独立した電流センサ(以下:異常検出用センサ)がセンサ相またはセンサ相以外の相に設けられていてもよい。例として、1相に制御用センサと異常検出用センサを設けた1相2チャンネルや、1相に制御用センサを設け、それ以外の相のいずれかに1相に異常検出用センサを設けた2相1チャンネルなどのセンサ構成が挙げられるが、どの相にいくつ設けられてもよい。
また、交流電動機の制御装置は、電動車両に適用されていたが、電動車両以外に用いてもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
10・・・電動機制御装置(交流電動機の制御装置)
12・・・インバータ
13・・・電流センサ
14・・・回転角センサ
15・・・制御部(電流取得手段、回転角取得手段、回転数演算手段、電流推定手段、第1の電圧指令値演算手段、第2の電圧指令値演算手段、制御モード切替手段)
Claims (4)
- インバータ(12)によって印加電圧が制御される3相の交流電動機(2)の駆動を制御する交流電動機の制御装置(10)であって、
前記交流電動機のいずれか1相であるセンサ相に設けられる電流センサ(13)から電流検出値を取得する電流取得手段(15)と、
前記交流電動機の回転角を検出する回転角センサ(14)から回転角検出値を取得する回転角取得手段(15)と、
前記回転角検出値に基づき、前記交流電動機の回転数を演算する回転数演算手段(16)と、
前記電流検出値および前記回転角検出値に基づき、電流推定値を演算する電流推定手段(24)と、
前記交流電動機の駆動に係る電流指令値、および、フィードバックされる前記電流推定値に基づき、第1の電圧指令値を演算する第1の電圧指令値演算手段(25)と、
前記回転角検出値または電流指令ベクトルの位相角に応じた前記交流電動機の実際の挙動に関する実機挙動情報に基づき、第2の電圧指令値を演算する第2の電圧指令値演算手段(23、55)と、
前記回転数が所定の判定閾値より大きい場合、前記第1の電圧指令値に基づいて前記インバータの駆動に係る駆動信号を生成する第1の制御モードとし、前記回転数が前記判定閾値以下である場合、前記第2の電圧指令値に基づいて前記駆動信号を生成する第2の制御モードとする制御モード切替手段(26)と、
を備えることを特徴とする交流電動機の制御装置。 - 前記実機挙動情報は、前記電流指令値に基づいて演算される電圧指令基準値を補正する電圧補正値であり、
前記第2の電圧指令値演算手段は、前記電圧指令基準値を前記電圧補正値により補正して前記第2の電圧指令値を演算することを特徴とする請求項1に記載の交流電動機の制御装置。 - 前記実機挙動情報は、前記第2の電圧指令値そのものであり、
前記第2の電圧指令値演算手段は、前記回転角検出値または前記電流指令ベクトルの位相角に基づくマップ演算により前記第2の電圧指令値を演算することを特徴とする請求項1に記載の交流電動機の制御装置。 - 前記実機挙動情報は、前記回転角検出値または前記電流指令ベクトルの位相角に加え、トルク指令値に応じた値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
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