JP2014154350A - 燃料電池とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】CNTを用いた電極を有するMEAにおいて、電極とガス拡散層とのズレを抑制する。
【解決手段】膜電極接合体10は、アノード13とカソード14とにおいて、触媒担持済みのカーボンナノチューブ40を電解質膜12の膜面に対して傾斜して配向させ、隣接するカーボンナノチューブ40を傾斜したままアイオノマー42にて保持する。しかも、アノード13におけるカーボンナノチューブ40を、カソード14においてカーボンナノチューブ40が電解質膜12の膜面の側からガス拡散層16に向けて傾斜して延びる傾斜方向と略同方向となるに合致するよう、アノード13における電解質膜12の膜面の側からガス拡散層15に向けて傾斜して延びている。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池とその製造方法に関する。
燃料電池に用いられる膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly/MEA)は、電解質膜の各膜面に、電気化学反応を促進させるための触媒を担持させたアノードおよびカソードの電極を接合させている。MEAを構成する電解質膜は、MEAの発電運転に伴う生成水やガス中に含まれる水分の影響を受け、膨潤と収縮を繰り返す。こうした膨潤と収縮の繰り返しは、電解質膜に接合済みの電極の損傷やガス拡散層に対するズレを誘発しかねないので、電極およびガス拡散層の表面を平滑化して真空密着状態とし密着性を高めることが提案されている(例えば、特許文献1)。その一方、MEAを構成する電極での電子伝導性やガス拡散性の向上を図るため、近年では、カーボンナノチューブ(以下、CNT(Carbon nanotube)と適宜略称する)に触媒を担持させ、これを傾斜して配向した上で、アイオノマーにて保持することも提案されている(例えば、特許文献2)。
特開2010−153093号公報 特開2007−257886号公報
特許文献2で提案されたCNTを電極に用いたMEAであっても、ガス拡散層とのズレを抑制することが望ましい。ところが、このMEAは、電極形成に当たり、触媒電極のペーストを用いないことから、ペーストのスプレー塗布を行わないので、特許文献1で提案された手法は適用できない。このため、CNTを電極に用いたMEAにあっては、MEAに面圧を掛けて電極とガス拡散層との拘束を高めることが有益ではあるものの、MEAにおけるCNT自体が面圧を受けて潰れてしまい、CNTで構成される電極でのガスの拡散性の低下や生成水の排出低下、延いては発電性能の低下が危惧される。ところで、特許文献2では、触媒担持済みのCNTを傾斜させているものの、電解質膜から離れた位置の触媒の有効利用を図るべくCNTを傾斜させているのであって、CNTを用いた電極とガス拡散層との拘束に対しての配慮に欠けているのが実情である。このため、CNTを用いた電極を有するMEAにあっても、面圧を高めることなく電極とガス拡散層との拘束性を高めて電極とガス拡散層とのズレを抑制することが要請されるに到った。この他、CNTを用いた電極を有するMEAとこれを挟持するガス拡散層とを有する燃料電池の生産効率の向上や、低コスト化を可能とすることも要請されている。
上記した課題の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態として実施することができる。
(1)本発明の一形態によれば、燃料電池が提供される。この燃料電池は、電解質膜と、該電解質膜の各膜面に配設された一対の電極と、該一対の電極のそれぞれに接合されるガス拡散層とを備え、前記一対の電極は、触媒を担持済みのカーボンナノチューブを前記電解質膜の膜面に傾斜させて配向し、隣接する前記カーボンナノチューブを傾斜したままアイオノマーにて保持してそれぞれ形成され、前記一対の電極の一方の電極において前記電解質膜の膜面の側から前記ガス拡散層に向けた前記カーボンナノチューブの傾斜方向と、前記一対の電極の他方の電極において前記電解質膜の膜面の側から前記ガス拡散層に向けた前記カーボンナノチューブの傾斜方向とを、略同方向としている。上記形態の燃料電池では、電解質膜を挟んだ一方の電極と他方の電極とにおいて、傾斜したカーボンナノチューブの先端をガス拡散層に斜めに押し当ててガス拡散層に引っかかっているので、電解質膜に掛かる力或いはガス拡散層に掛かる力がカーボンナノチューブの傾斜が緩む側に作用する力であれば、こうした力に対して、カーボンナノチューブはその先端のガス拡散層への引っかかりにより大きな摩擦力を生じて抗することができる。そして、大きな摩擦力を生じるに当たり、面圧を高めることを要しない。このため、電極を介在させた電解質膜とガス拡散層との間にズレを起こさせるような力がカーボンナノチューブの傾斜が緩む側に作用しても、面圧を高めることなく効果的にズレを抑制できる。しかも、上記形態の燃料電池では、一方の電極と他方の電極とで個別にカーボンナノチューブを傾斜配向させた上で、一方の電極におけるカーボンナノチューブと他方の電極におけるカーボンナノチューブとを、電解質膜の膜面の側からガス拡散層に向けて延びる傾斜方向が略同方向となるように揃えて、それぞれ傾斜させている。このため、一方の電極の側におけるカーボンナノチューブの傾斜が緩む側と、他方の電極の側におけるカーボンナノチューブの傾斜が緩む側とは、相反することになり、その向きが逆となる。この結果、カーボンナノチューブがその先端をガス拡散層に斜めに押し当てることに起因した大きな摩擦力が生じる向きにあっても、一方の電極の側と他方の電極の側とでは逆になるので、電解質膜とガス拡散層との間にズレを起こさせるような力に対する耐性が高まることから、より効果的に電解質膜とガス拡散層とのズレを面圧を高めることなく抑制できる。この場合、一方の電極と他方の電極とにおけるカーボンナノチューブの傾斜方向は、傾斜角度を含めて実質的にほぼ同方向とされていればよい。
(2)上記した形態の燃料電池において、前記カーボンナノチューブは、燃料電池の面方向における長手方向に沿って傾斜しているようにできる。燃料電池の面方向における長手方向は、これに沿った辺の長さが増すので、ズレによる寸法変化が大きくなりがちとなる。しかしながら、上記形態の燃料電池では、燃料電池の面方向における長手方向に沿ったカーボンナノチューブの傾斜により、燃料電池の長手方向に沿ってズレを起こすような力が作用しても、その力に対して高い耐性を発揮するので、長手方向に沿ったズレや寸法変化をより効果的に抑制できる。
(3)本発明の他の形態によれば、燃料電池の製造方法が提供される。この燃料電池の製造方法は、触媒を担持済みのカーボンナノチューブをアイオノマーで被覆した上で突出させて配向した基板に電解質膜を加熱ロールプレスして、前記カーボンナノチューブが前記電解質膜の膜面から傾斜して配向して前記アイオノマーにて保持されるよう前記カーボンナノチューブを前記基板から前記電解質膜の前記膜面に転写し、前記電解質膜の各膜面に電極を形成する工程(1)と、前記形成済みの電極にガス拡散層を接合する工程(2)とを備え、前記工程(1)では、前記電解質膜の一方の膜面に前記カーボンナノチューブを傾斜して配向させて転写した後に、前記電解質膜の他方の膜面に前記カーボンナノチューブを傾斜して配向させて転写する際に、前記一方の膜面の側に既に転写済みの前記カーボンナノチューブが前記電解質膜の膜面の側から前記ガス拡散層に向け延びる傾斜方向と略同方向となるように、前記他方の膜面に前記カーボンナノチューブを傾斜させて前記基板から転写する。上記形態の燃料電池の製造方法によれば、加熱ロールプレスによるカーボンナノチューブの傾斜およびその転写と、電極へのガス拡散層の接合という簡便な工程にて、一方の電極と他方の電極とで個別にカーボンナノチューブを傾斜配向させた上で、一方の電極におけるカーボンナノチューブと他方の電極におけるカーボンナノチューブとを、電解質膜の膜面の側からガス拡散層に向けて延びる傾斜方向が略同方向となるように揃えて、それぞれ傾斜させた燃料電池を容易に製造できる。しかも、その製造した燃料電池では、電解質膜とガス拡散層とのズレを効果的に抑制できる。
(4)本発明のまた別の形態によれば、燃料電池の製造方法が提供される。この燃料電池の製造方法は、触媒を担持済みのカーボンナノチューブをアイオノマーで被覆した上で突出させて配向した基板に電解質膜を加熱ロールプレスして、前記カーボンナノチューブが前記電解質膜の膜面から傾斜して配向して前記アイオノマーにて保持されるよう前記カーボンナノチューブを前記基板から前記電解質膜の前記膜面に転写し、前記電解質膜の各膜面に電極を形成する工程(1)と、前記形成済みの電極にガス拡散層を接合する工程(2)とを備え、前記工程(1)では、接合することで前記電解質膜を形成する電解質膜パーツを二つ準備する工程と、該準備した一方の電解質膜パーツを前記基板に加熱ロールプレスして、前記カーボンナノチューブが前記電解質膜パーツの膜面から傾斜して配向して前記アイオノマーにて保持されるよう前記カーボンナノチューブを前記基板から前記一方の電解質膜パーツの前記膜面に転写し、前記一方の電解質膜パーツに一方の電極を形成する工程と、前記準備した他方の電解質膜パーツを前記基板に加熱ロールプレスして、前記カーボンナノチューブが前記電解質膜パーツの膜面から傾斜して配向して前記アイオノマーにて保持されるよう前記カーボンナノチューブを前記基板から前記他方の電解質膜パーツの前記膜面に転写し、前記他方の電解質膜パーツに他方の電極を形成する工程と、前記電極を形成済みの前記一方の電解質膜パーツと前記他方の電解質膜パーツとを接合する工程とを備え、前記電解質膜パーツを接合する工程では、前記一方の電解質膜パーツの前記カーボンナノチューブが前記電解質膜パーツの膜面の側から前記ガス拡散層に向けて延びる傾斜方向と、前記他方の電解質膜パーツの前記カーボンナノチューブが前記電解質膜パーツの膜面の側から前記ガス拡散層に向けて延びる傾斜方向とが略同方向となるように、前記一方の電解質膜パーツと前記他方の電解質膜パーツとを接合する。上記形態の燃料電池の製造方法によっても、加熱ロールプレスによるカーボンナノチューブの傾斜およびその転写と、カーボンナノチューブ転写済みの電解質膜パーツの接合と、電極へのガス拡散層の接合という簡便な工程にて、一方の電極と他方の電極とで個別にカーボンナノチューブを傾斜配向させた上で、一方の電極におけるカーボンナノチューブと他方の電極におけるカーボンナノチューブとを、電解質膜の膜面の側からガス拡散層に向けた傾斜方向が略同方向となるように揃えて、それぞれ傾斜させた燃料電池を容易に製造できる。しかも、その製造した燃料電池では、電解質膜とガス拡散層とのズレを効果的に抑制できる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池とガス供給系とを有する燃料電池システムや当該システム搭載の車両等の形態で実現することができる。
本発明の実施形態としての燃料電池100の概略構成を示す説明図である。 図1におけるA部を拡大して模式的に示す説明図である。 アノード13とカソード14を構成するカーボンナノチューブ40の傾斜の様子を示す説明図である。 燃料電池の製造工程を示す説明図である。 カーボンナノチューブ40を配向済みの基板準備の様子を示す説明図である。 膜電極接合体10の製造工程を示す説明図である。 膜電極接合体10の性状を説明する説明図である。 比較例1の膜電極接合体の製造手法を模式的に示す説明図である。 比較例2の膜電極接合体の製造手法を模式的に示す説明図である。 比較例2の膜電極接合体の性状を説明する説明図である。 比較例3の膜電極接合体の製造手法を模式的に示す説明図である。 比較例3の膜電極接合体の性状を説明する説明図である。 摩擦係数指標算出装置MSの概要を示す説明図である。 本実施形態の膜電極接合体10と比較例1〜3の膜電極接合体とについての順方向・逆方向の摩擦力の大きさを示す指標を表すグラフである。 膜電極接合体10の他の実施形態としての製造工程を示す説明図である。 また別の実施形態における膜電極接合体10を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。図1は本発明の実施形態としての燃料電池100の概略構成を示す説明図、図2は図1におけるA部を拡大して模式的に示す説明図である。燃料電池100は、膜電極接合体10をアノード側およびカソード側のガス拡散層15、16で挟持した上で、アノード側セパレーター20、および、カソード側セパレーター30で挟持することによって構成されている。
膜電極接合体10は、プロトン伝導性を有する電解質膜12の両面に、電極触媒層としてのアノード13とカソード14を接合することによって構成されている。電解質膜12は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。アノード13およびカソード14は、例えば白金、あるいは白金合金等の触媒を担持したカーボンナノチューブ40をアイオノマー(電解質樹脂)で保持した電極触媒層であり、電解質膜12と共に膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly/MEA)を形成する。通常、アイオノマーは、電解質膜12と同質の固体高分子材料である高分子電解質樹脂(例えばフッ素系樹脂)であり、その有するイオン交換基によりプロトン伝導性を有する。本実施形態のアノード13は、触媒担持済みのカーボンナノチューブ40を電解質膜12の膜面に傾斜させて配向し、隣接するカーボンナノチューブ40を傾斜したままアイオノマー42にて保持して形成されている。カソード14も同様であるが、アノード13におけるカーボンナノチューブ40は、カソード14においてカーボンナノチューブ40が電解質膜12の膜面の側からガス拡散層16に向けて延びる傾斜方向と略同方向となるように、アノード13における電解質膜12の膜面の側からガス拡散層15に向けて傾斜して延びている。図3はアノード13とカソード14を構成するカーボンナノチューブ40の傾斜の様子を示す説明図である。図示するように、カーボンナノチューブ40は、アノード13およびカソード14において、燃料電池100の面方向における長辺方向に沿って傾斜している。アノード13とカソード14の形成の様子については、後述する。
ガス拡散層15、16は、ガス透過性を有する導電性部材、例えば、カーボンペーパやカーボンクロス等のカーボン多孔質体や、金属メッシュや発泡金属等の金属多孔質体によって形成され、対応する電極にガスを拡散透過する。本実施形態では、電解質膜12とアノード13およびカソード14で形成されるMEAをガス拡散層15、16で挟持することで、両ガス拡散層を含めたMEGA(Membrane-Electrode&Gas. Diffusion Layer Assembly)を形成する。
アノード側セパレーター20は、アノード13のガス拡散層15の側に、水素を含有する燃料ガスを流すセル内燃料ガス流路20pを備える。カソード側セパレーター30は、カソード14のガス拡散層16の側に、酸素を含有する酸化ガス(本実施形態では、空気)を流すセル内酸化ガス流路30pを備える。なお、図には記載していないが、隣り合う燃料電池100の間には、例えば、冷媒が流れるセル間冷媒流路を形成することができる。これらセパレーターは、ガス不透過な導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンや、焼成カーボン、あるいはステンレス鋼などの金属材料により形成されている。
次に、燃料電池100の製造工程について説明する。図4は燃料電池の製造工程を示す説明図、図5はカーボンナノチューブ40を配向済みの基板準備の様子を示す説明図、図6は膜電極接合体10の製造工程を示す説明図である。燃料電池100の製造に当たっては、図4に示すように、まず、カーボンナノチューブ40を配向済みの基板を準備し(ステップS100)、この基板からカーボンナノチューブ40を電解質膜12に転写してMEAを形成し(ステップS200)、このMEAをガス拡散層15とガス拡散層16とで挟持する(ステップS300)。これにより、燃料電池100が得られる。
カーボンナノチューブ40を配向済みの基板を準備するに当たっては、カーボンナノチューブ40を垂直に配向済みの基板を購入すれば良いほか、次のように製造しても良い。この手順は図5に示されており、シリコン製の基板kpの上面に、カーボンナノチューブ40の成長核となる鉄触媒を、スパッタリング等によってほぼ均一に付着させ、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、基板kpに、カーボンナノチューブ40を、基板表面に対して垂直に配向するとともに、波型形状にて成長させる(ステップS110)。ここで、「垂直に配向した」とは、厳密に垂直に配向している必要はなく、例えば、基板kpの表面とカーボンナノチューブ40の根元と先端とを結ぶ直線とのなす角度が90・10・の範囲内であってもよい。予め基板kpにカーボンナノチューブを成長させるための成長核(例えば、鉄触媒)を高密度に形成しておくことによって、基板kpには、基板表面に対してほぼ垂直に配向し、隣接するカーボンナノチューブ同士が互いに接触する密度で、ブラシ状のカーボンナノチューブが成長する。なお、本実施形態では、カーボンナノチューブ40の成長条件を制御することによって、カーボンナノチューブ40の波型形状における波長が、0.5〜1.8(μm)となるように成長させるものとした。なお、カーボンナノチューブ40を直線状に延びるよう、成長させるようにしてもよい。
次に、ブラシ状に成長させたカーボンナノチューブ40の全面に白金塩溶液を滴下して、乾燥・焼成還元することによって、カーボンナノチューブ40に触媒金属としての白金(Pt)を担持させる(ステップS120)。その後、白金担持済みのカーボンナノチューブ40に、アイオノマー分散溶液(例えば、ナフィオン分散溶液(「ナフィオン」は、登録商標))を滴下して、乾燥させることによって、白金を担持したカーボンナノチューブ40の表面をアイオノマー(電解質)によって被覆する(ステップS130)。以上の工程によって、カーボンナノチューブ40を配向済みの基板kpの準備が完了する。
続く電極転写では、図6に示すように、アイオノマーにて被覆済みで白金についても担持済みのカーボンナノチューブ40が垂直配向したシート状の基板kpと、シート状の電解質膜12とを加熱ロールプレスに処する。基板kpは、カーボンナノチューブ40を垂直配向したまま、第1群加熱駆動ローラー200と第1群加熱従動ローラー202との間に送られる。電解質膜12は、バックフィルムBFに形成された状態で、バックフィルムBFと共に、第1群加熱駆動ローラー200と第1群加熱従動ローラー202との間に送られる。第1群加熱駆動ローラー200は、電解質膜12を加熱しながら基板kpの側に押し付けるので、基板kpに垂直配向されていたカーボンナノチューブ40は、電解質膜12に対して傾斜する。第1群加熱駆動ローラー200は、カーボンナノチューブ40を被覆していたアイオノマー42をも加熱するので、このアイオノマー42は、一旦溶融し、下流側の案内ローラー210、212に達する間において、カーボンナノチューブ40を傾斜させたまま保持する。カーボンナノチューブ40の傾斜は、第1群加熱駆動ローラー200と第1群加熱従動ローラー202とによる押圧の状況により定まり、本実施形態では、電解質膜12の膜面に対してカーボンナノチューブ40がなす角(傾斜角)が30〜80度となるようにした。
案内ローラー212では、基板kpは水平搬送され、案内ローラー210では、電解質膜12は基板kpから引き剥がされるよう搬送されるので、カーボンナノチューブ40は、基板kpから離れて電解質膜12に傾斜した状態で転写される。こうしてカーボンナノチューブ40を傾斜転写済みの電解質膜12は、反転装置300にて反転され、第2群加熱駆動ローラー220と第2群加熱従動ローラー222との間に送られる。反転装置300は、カーボンナノチューブ40を傾斜転写済みの電解質膜12を一旦巻き取った後に、電解質膜12を送り出し、その際には、電解質膜12の裏面、即ちカーボンナノチューブ40の未転写側表面が第2群加熱従動ローラー222の側となるように反転する。或いは、反転装置300は、ツイストローラーを用いて電解質膜12を搬送過程で反転して、カーボンナノチューブ40の未転写側の面が第2群加熱従動ローラー222の側となるよう、電解質膜12を送り出す。
第2群加熱駆動ローラー220と第2群加熱従動ローラー222との間には、一方の膜面にカーボンナノチューブ40を傾斜転写済みの電解質膜12と、カーボンナノチューブ40を垂直配向した基板kpとが送り込まれる。第2群加熱駆動ローラー220は、電解質膜12を加熱しながら基板kpの側に押し付けるので、基板kpに垂直配向されていたカーボンナノチューブ40は、電解質膜12に対して傾斜する。第2群加熱駆動ローラー220は、カーボンナノチューブ40を被覆していたアイオノマー42をも加熱するので、このアイオノマー42は、一旦溶融し、下流側の案内ローラー240、242に達する間において、カーボンナノチューブ40を傾斜させたまま保持する。カーボンナノチューブ40の傾斜は、第2群加熱駆動ローラー220と第2群加熱従動ローラー222とによる押圧の状況により定まり、本実施形態では、電解質膜12の膜面に対してカーボンナノチューブ40がなす角(傾斜角)が30〜80度となるようにした。
案内ローラー242では、基板kpは水平搬送され、案内ローラー240では、電解質膜12は基板kpから引き剥がされるよう搬送されるので、カーボンナノチューブ40は、基板kpから離れて電解質膜12に傾斜した状態で転写される。これにより、電解質膜12は、その各膜面にカーボンナノチューブ40を傾斜転写して備えることになり、図示しない膜切断装置において、膜電極接合体10が得られる。こうして得られた膜電極接合体10は、図4に示したステップS300にて、ガス拡散層15とガス拡散層16とがホットプレスにて接合され、MEGAを構成する。このMEGAは、アノード側セパレーター20とカソード側セパレーター30とで挟持されて、燃料電池100が得られる。
図7は膜電極接合体10の性状を説明する説明図である。図示するように、膜電極接合体10は、アノード13とカソード14とにおいて、触媒担持済みのカーボンナノチューブ40を電解質膜12の膜面に対して傾斜して配向させ、隣接するカーボンナノチューブ40を傾斜したままアイオノマー42にて保持する。しかも、アノード13におけるカーボンナノチューブ40を、カソード14においてカーボンナノチューブ40が電解質膜12の膜面の側からガス拡散層16に向けて延びる傾斜方向と略同方向となるように、アノード13における電解質膜12の膜面の側からガス拡散層15に向けて傾斜して延ばしている。このため、本実施形態の燃料電池100では、電解質膜12を挟んだアノード13とカソード14とにおいて、傾斜したカーボンナノチューブ40の先端をガス拡散層15とガス拡散層16に斜めに押し当ててガス拡散層15或いはガス拡散層16に引っかかっているので、電解質膜12に掛かる力(以下、この力を図においては、ズレ誘起力A、ズレ誘起力Bとして示す)がカーボンナノチューブ40の傾斜が緩む側に作用する力であれば、こうした力に対して、カーボンナノチューブ40は、その先端のガス拡散層15或いはガス拡散層16への引っかかりにより、大きな摩擦力を生じて抗する。こうした大きな摩擦力を生じるに当たり、面圧を高めることを要しない。この結果、電解質膜12とガス拡散層15或いはガス拡散層16との間にズレを起こさせるような力がカーボンナノチューブ40の傾斜が緩む側に作用しても、面圧を高めることなく効果的にズレを抑制できる。しかも、本実施形態の燃料電池100では、アノード13とカソード14とで個別にカーボンナノチューブ40を傾斜配向させた上で、アノード13におけるカーボンナノチューブ40とカソード14におけるカーボンナノチューブ40とを、電解質膜12の膜面の側からガス拡散層15或いはガス拡散層16に向けて延びる傾斜方向が略同方向となるように揃えて、それぞれ傾斜させている。このため、アノード13の側におけるカーボンナノチューブ40の傾斜が緩む側と、カソード14の側におけるカーボンナノチューブ40の傾斜が緩む側とは、図7に示すように、その向きが逆となる。この結果、カーボンナノチューブ40がその先端をガス拡散層15やガス拡散層16に斜めに押し当てることに起因した大きな摩擦力が生じる向きを、アノード13の側とカソード14の側とで逆にする。具体的説明すると、図示するズレ誘起力Aに抗してガス拡散層16で図中右向きの大きな摩擦力を生じ、ズレ誘起力Bに抗してガス拡散層15で図中左向きの大きな摩擦力を生じるので、電解質膜12とガス拡散層15或いはガス拡散層16との間にズレを起こさせるような力に対する耐性が高まることから、面圧を高めることなく、より効果的に電解質膜12とガス拡散層15、16とのズレを抑制できる。
なお、電解質膜12に掛かる力(ズレ誘起力A、B)は、ガス拡散層15或いはガス拡散層16から見れば、これらガス拡散層を電解質膜12に対してズレるように掛かることになる。よって、ガス拡散層15或いはガス拡散層16に掛かる力に対しても、大きな摩擦力により抗することができる。
アノード13とカソード14とにおいてカーボンナノチューブ40を上記のように傾斜配向させるに当たり、アノード13の側とカソード14の側とで、傾斜の様子が一致することが望ましい。しかしながら、アノード13の側とカソード14の側とで、傾斜の様子が相違しても、カーボンナノチューブ40がその先端をガス拡散層15やガス拡散層16に斜めに押し当てることに起因した大きな摩擦力が生じる向きがアノード13の側とカソード14の側とで逆となればよい。具体的に説明すると、アノード13の側では、カーボンナノチューブ40は電解質膜12の膜面に対して60度程度で傾斜し、カソード14の側では、カーボンナノチューブ40が40〜50度で傾斜したとしても、カーボンナノチューブ40がその先端をガス拡散層15やガス拡散層16に斜めに押し当てることに起因した大きな摩擦力が生じる向きがアノード13の側とカソード14の側とで逆となればよい。
本実施形態の燃料電池100では、アノード13とカソード14とにおいてカーボンナノチューブ40を傾斜させるに当たり、カーボンナノチューブ40を燃料電池100の長手方向に沿って傾斜させた。本実施形態の燃料電池100では、燃料電池100の長手方向に沿ったカーボンナノチューブの傾斜により、燃料電池100の長手方向に沿ってズレを起こすような力が作用しても、その力に対して高い耐性を発揮する。このため、本実施形態の燃料電池100によれば、燃料電池100の長手方向に沿ったズレや寸法変化をより効果的に抑制できる。
本実施形態では、燃料電池100を製造するに当たり、図6に示すように、電解質膜12の一方の膜面にカーボンナノチューブ40を傾斜して配向させて基板kpから転写する。その後、電解質膜12の他方の膜面にカーボンナノチューブ40を傾斜して配向させて転写する際に、既に転写済みの一方の膜面の側のカーボンナノチューブ40が電解質膜12の膜面の側から例えばガス拡散層15に向けて傾斜して延びる傾斜方向と略同方向となるように、他方の膜面にカーボンナノチューブ40を基板kpから傾斜させて転写する。そして、この転写には、既存の転写手法の一つである加熱ロールプレスを利用するので、第1群加熱駆動ローラー200等を用いた加熱ロールプレスによるカーボンナノチューブ40の傾斜およびその転写と、膜電極接合体10のアノード13およびカソード14へのガス拡散層15、16の接合という簡便な工程にて、アノード13とカソード14とで個別にカーボンナノチューブ40を傾斜配向させた上で、アノード13におけるカーボンナノチューブ40とカソード14におけるカーボンナノチューブ40とが、電解質膜12の膜面の側からガス拡散層15或いはガス拡散層16に向けて延びる傾斜方向が略同方向となるように揃えて、それぞれ傾斜した燃料電池100を容易に製造できる。
次に、本実施形態の燃料電池100の効果について説明する。図8は比較例1の膜電極接合体の製造手法を模式的に示す説明図、図9は比較例2の膜電極接合体の製造手法を模式的に示す説明図、図10は比較例2の膜電極接合体の性状を説明する説明図、図11は比較例3の膜電極接合体の製造手法を模式的に示す説明図、図12は比較例3の膜電極接合体の性状を説明する説明図である。
図8に示す比較例1の膜電極接合体は、電解質膜12の各膜面にアノード13aおよびカソード14aを第1群加熱駆動ローラー200と第1群加熱従動ローラー202にて転写して製造される。アノード13aとカソード14aとは、白金等の触媒をカーボン粒子と共に分散配合した触媒インクのスプレー塗布を経て形成され、電解質膜12にローラー転写される。図9に示す比較例2の膜電極接合体は、アノード13aにあっては、触媒インクのスプレー塗布と転写を経て形成され、カソード14にあっては、カーボンナノチューブ40の傾斜配向転写を経て製造される。この比較例2の膜電極接合体は、図10に示すように、カソード14においてのみ、傾斜したカーボンナノチューブ40の先端をガス拡散層16に斜めに押し当てるので、カーボンナノチューブ40の傾斜が緩む側に作用する力(ズレ誘起力A)に対しては、カソード14の側にて、カーボンナノチューブ40の先端のガス拡散層16への引っかかりにより大きな摩擦力を生じて抗する。図11に示す比較例3の膜電極接合体は、電解質膜12の各膜面にカーボンナノチューブ40の傾斜配向転写を経て製造される。この比較例3の膜電極接合体は、図12に示すように、アノード13aとカソード14aとにおいて、傾斜したカーボンナノチューブ40の先端をガス拡散層16に斜めに押し当てるので、カーボンナノチューブ40の傾斜が緩む側に作用する力に対しては、カーボンナノチューブ40の先端のガス拡散層15或いはガス拡散層16への引っかかりにより大きな摩擦力を生じて抗する。そして、この比較例3では、アノード13aでのカーボンナノチューブ40は、カソード14aにおけるカーボンナノチューブ40の傾斜方向と略同方向に傾斜するのではなく、カソード14aにおけるカーボンナノチューブ40の傾斜と逆の方向に傾斜する。このため、図12に示すように、アノード13aとカソード14aとで、カーボンナノチューブ40の傾斜が緩む方向が同じとなるので、ズレ誘起力Aに対しては、アノード13aとカソード14aのそれぞれの側にて、カーボンナノチューブ40の先端のガス拡散層15或いはガス拡散層16への引っかかりにより大きな摩擦力を生じて抗するものの、ズレ誘起力Bに対しては、アノード13aとカソード14aのそれぞれの側にて、小さな摩擦力しか生じない。
こうして得られた比較例1〜3の膜電極接合体と、図7に示す本実施形態の膜電極接合体10とについて、図7や図10、図12における左右方向を、順方向・逆方向と規定して、電解質膜12に生じる摩擦係数指標を求めた。図13は摩擦係数指標算出装置MSの概要を示す説明図である。図示するように、MEA、即ち電解質膜12をアノード・カソードの電極で挟持した膜電極接合体10をガス拡散層15とガス拡散層16で挟持し、これを被検体とする。そして、ガス拡散層15の側から加重を掛けた状態で、電解質膜12に順方向・逆方向の荷重を掛け、電解質膜12に生じる力をオートグラフにて計測し、その計測した力から、順方向・逆方向の摩擦係数指標を算出した。電解質膜12に掛かる順方向・逆方向の荷重は、既述したズレ誘起力A、ズレ誘起力Bに相当する。図14は本実施形態の膜電極接合体10と比較例1〜3の膜電極接合体とについての順方向・逆方向の摩擦力の大きさを示す指標を表すグラフである。
この図14から明らかなように、本実施形態の膜電極接合体10では、順方向・逆方向の両方向とも、比較例1の膜電極接合体より大きな摩擦力指標となるので、順方向・逆方向のいずれの方向のズレに対しても、これを抑制できる。これに対し、カソード14についてのみカーボンナノチューブ40を傾斜配向した比較例2(図10参照)では、順方向、即ちカソード14のカーボンナノチューブ40の傾斜を緩める側の方向についてのみ大きな摩擦係数指標となるが、逆方向、カソード14のカーボンナノチューブ40の傾斜を進める方向については、比較例1と同程度であった。比較例3(図12参照)では、アノード13とカソード14とをカーボンナノチューブ40の傾斜配向で形成したものの、アノード13とカソード14とでカーボンナノチューブ40の傾斜が緩む方向が同じなため、比較例2と同様に、順方向、即ちカーボンナノチューブ40の傾斜を緩める側の方向についてのみ大きな摩擦力指標となるが、逆方向、カーボンナノチューブ40の傾斜を進める方向については、比較例1と同程度であった。以上の結果から、本実施形態の膜電極接合体10によれば、アノード13とカソード14とで個別にカーボンナノチューブ40を傾斜配向させた上で、アノード13の側におけるカーボンナノチューブ40の傾斜が緩む側と、カソード14の側におけるカーボンナノチューブ40の傾斜が緩む側とを逆としたことに起因して、電解質膜12とガス拡散層15、ガス拡散層16とのズレを高い実効性で抑制できる。
次に、他の実施形態である膜電極接合体10、延いては燃料電池100の製造方法について説明する。図15は膜電極接合体10の他の実施形態としての製造工程を示す説明図である。図示するように、この実施形態では、アイオノマー42にて被覆済みのカーボンナノチューブ40を垂直配向した基板kpから、電解質膜パーツ12pに、第1群加熱駆動ローラー200と第1群加熱従動ローラー202とで転写する。電解質膜パーツ12pは、電解質膜12のほぼ半分の厚みでシート状に形成され、2枚の電解質膜パーツ12pが接合することで電解質膜12を形成する。そして、この実施形態では、一方の膜面にカーボンナノチューブ40を傾斜配向転写した電解質膜パーツ12pを二つ製造し、この二つの電解質膜パーツ12pを、反転装置300から第2群加熱駆動ローラー220と第2群加熱従動ローラー222との間に送り出す。この場合、二つの電解質膜パーツ12pは、一方の電解質膜パーツ12pに傾斜配向転写済みのカーボンナノチューブ40と、他方の電解質膜パーツ12pに傾斜配向済みのカーボンナノチューブ40とが、電解質膜パーツ12pの膜面の側からガス拡散層15或いはガス拡散層16に向けて傾斜して延びる傾斜方向が略同方向となるように、それぞれ第2群加熱駆動ローラー220と第2群加熱従動ローラー222に送り出される。これにより、二つの電解質膜パーツ12pは、第2群加熱駆動ローラー220と第2群加熱従動ローラー222とで接合され、膜電極接合体10が得られる。こうして得られた膜電極接合体10にあっても、アノード13とカソード14とで個別にカーボンナノチューブ40を傾斜配向させた上で、アノード13におけるカーボンナノチューブとカソード14におけるカーボンナノチューブとを、電解質膜12の膜面の側からガス拡散層15或いはガス拡散層16に向けて延びる傾斜方向が略同方向となるように揃えて、それぞれ傾斜させた形態となる。よって、図15に示す実施形態の製造方法によっても、電解質膜12とガス拡散層15、ガス拡散層16とのズレを効果的に抑制できる膜電極接合体10および燃料電池100を容易に製造できる。
図16はまた別の実施形態における膜電極接合体10を示す説明図である。図示するように、この実施形態では、電解質膜12の各膜面において、傾斜方向が異なるカーボンナノチューブ40を配向させており、電解質膜12を挟んだ一部のカーボンナノチューブ40は、アノード13におけるカーボンナノチューブとカソード14におけるカーボンナノチューブとが、電解質膜12の膜面の側からガス拡散層15或いはガス拡散層16に向けて延びる傾斜方向が略同方向となるように揃えて、傾斜している。これらの膜電極接合体10によれば、図における左右方向に対して、大きな摩擦力を生じ得るので、より高い実効性でズレを抑制できる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…膜電極接合体(MEA)
12…電解質膜
12p…電解質膜パーツ
13…アノード
13a…アノード
14…カソード
14a…カソード
15…ガス拡散層
16…ガス拡散層
20…アノード側セパレーター
20p…セル内燃料ガス流路
30…カソード側セパレーター
30p…セル内酸化ガス流路
40…カーボンナノチューブ
42…アイオノマー
100…燃料電池
200…第1群加熱駆動ローラー
202…第1群加熱従動ローラー
210…案内ローラー
212…案内ローラー
220…第2群加熱駆動ローラー
222…第2群加熱従動ローラー
240…案内ローラー
242…案内ローラー
300…反転装置
MS…摩擦係数指標算出装置
kp…基板

Claims (4)

  1. 燃料電池であって、
    電解質膜と、
    該電解質膜の各膜面に配設された一対の電極と、
    該一対の電極のそれぞれに接合されるガス拡散層とを備え、
    前記一対の電極は、触媒を担持済みのカーボンナノチューブを前記電解質膜の膜面に傾斜させて配向し、隣接する前記カーボンナノチューブを傾斜したままアイオノマーにて保持してそれぞれ形成され、
    前記一対の電極の一方の電極において前記電解質膜の膜面の側から前記ガス拡散層に向けた前記カーボンナノチューブの傾斜方向と、前記一対の電極の他方の電極において前記電解質膜の膜面の側から前記ガス拡散層に向けた前記カーボンナノチューブの傾斜方向とを、略同方向とした
    燃料電池。
  2. 前記カーボンナノチューブは、燃料電池の面方向における長手方向に沿って傾斜している請求項1に記載の燃料電池。
  3. 燃料電池の製造方法であって、
    触媒を担持済みのカーボンナノチューブをアイオノマーで被覆した上で突出させて配向した基板に電解質膜を加熱ロールプレスして、前記カーボンナノチューブが前記電解質膜の膜面から傾斜して配向して前記アイオノマーにて保持されるよう前記カーボンナノチューブを前記基板から前記電解質膜の前記膜面に転写し、前記電解質膜の各膜面に電極を形成する工程(1)と、
    前記形成済みの電極にガス拡散層を接合する工程(2)とを備え、
    前記工程(1)では、
    前記電解質膜の一方の膜面に前記カーボンナノチューブを傾斜して配向させて転写した後に、前記電解質膜の他方の膜面に前記カーボンナノチューブを傾斜して配向させて転写する際に、前記一方の膜面の側に既に転写済みの前記カーボンナノチューブが前記電解質膜の膜面の側から前記ガス拡散層に向け延びる傾斜方向と略同方向となるように、前記他方の膜面に前記カーボンナノチューブを傾斜させて前記基板から転写する
    燃料電池の製造方法。
  4. 燃料電池の製造方法であって、
    触媒を担持済みのカーボンナノチューブをアイオノマーで被覆した上で突出させて配向した基板に電解質膜を加熱ロールプレスして、前記カーボンナノチューブが前記電解質膜の膜面から傾斜して配向して前記アイオノマーにて保持されるよう前記カーボンナノチューブを前記基板から前記電解質膜の前記膜面に転写し、前記電解質膜の各膜面に電極を形成する工程(1)と、
    前記形成済みの電極にガス拡散層を接合する工程(2)とを備え、
    前記工程(1)では、
    接合することで前記電解質膜を形成する電解質膜パーツを二つ準備する工程と、
    該準備した一方の電解質膜パーツを前記基板に加熱ロールプレスして、前記カーボンナノチューブが前記電解質膜パーツの膜面から傾斜して配向して前記アイオノマーにて保持されるよう前記カーボンナノチューブを前記基板から前記一方の電解質膜パーツの前記膜面に転写し、前記一方の電解質膜パーツに一方の電極を形成する工程と、
    前記準備した他方の電解質膜パーツを前記基板に加熱ロールプレスして、前記カーボンナノチューブが前記電解質膜パーツの膜面から傾斜して配向して前記アイオノマーにて保持されるよう前記カーボンナノチューブを前記基板から前記他方の電解質膜パーツの前記膜面に転写し、前記他方の電解質膜パーツに他方の電極を形成する工程と、
    前記電極を形成済みの前記一方の電解質膜パーツと前記他方の電解質膜パーツとを接合する工程とを備え、
    前記電解質膜パーツを接合する工程では、
    前記一方の電解質膜パーツの前記カーボンナノチューブが前記電解質膜パーツの膜面の側から前記ガス拡散層に向けて延びる傾斜方向と、前記他方の電解質膜パーツの前記カーボンナノチューブが前記電解質膜パーツの膜面の側から前記ガス拡散層に向けて延びる傾斜方向とが略同方向となるように、前記一方の電解質膜パーツと前記他方の電解質膜パーツとを接合する
    燃料電池の製造方法。
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