JP2014153667A - 電子写真用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性および耐熱保存性に優れ、部材からの剥離性・離型製が良好なトナーを提供すること。
【解決手段】少なくとも離型剤と樹脂と着色剤とからなる電子写真用トナーにおいて、該離型剤がDSCで測定された吸熱ピークが45度以上80℃以下、100℃における動粘度が1cSt以上15cSt以下であるモノエステルワックス(A)とDSCで測定された吸熱ピークが60℃以上85℃以下、100℃における動粘度が15cSt以上25cSt以下であるワックス(B)であり、その混合組成比がワックス(A):ワックス(B)=45:55〜10:90であることを特徴とする電子写真用トナー。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真用トナーに関する。
トナーの結着樹脂中にワックス成分を含有させることは従来から知られている。例えば特許文献1の特開2012−83714号公報には、結着樹脂と、165℃における質量減少が10質量%以下のミクロクリスタリンワックスのような炭化水素系ワックスを含有するケミカルトナーが開示されている。しかし、ミクロクリスタリンワックスは石油系ワックスであって、合成ワックスではなく、融点も200〜450℃と比較的高い。
特許文献2の特開2011−138120号公報には、100℃における動粘度が3〜15cSt、5重量%減量温度が280℃以上で融点が45〜80℃の離型剤(A)を含有し、105℃における損失弾性率G”が1×10〜1×10Pa・sであるトナーであって、前記離型剤(A)は、炭素数36〜60のエステル系離型剤、炭素数36〜64のエーテル系離型剤、炭素数32〜60のケトン系離型剤、炭素数28〜60のカルボキシル系離型剤及び炭素数32〜60のアルコール系離型剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の離型剤(A1)であることが好ましいトナー、が記載されている。しかし、加熱により5重量%減量する程度に揮発性成分(夾雑物としての低分子化合物)を含有するワックスは、合成ワックス(POワックス、PEOワックス、PPP樹脂の熱分解によるPPPワックス等の重合度の異なる分子の集合からなる特殊なものを除き、合成原料自体に単一化合物を使用するのが普通で、わざわざ雑多な混合物原料を用いるのは特殊例)とは云い難い。
特許文献3の特開2011−64960号公報には、トナー像の定着における消費エネルギーを低減するため、未定着トナー画像に光重合組成物を塗布した後、遠赤外領域に発光波長帯を持たず且つ極大発光波長が360nm以上420nm以下の領域にある光をLEDを用いて照射し、光重合組成物を硬化させて定着することが記載されている。しかし、この公報記載の技術におけるトナーは、離型剤ワックスを含有しないことが好ましい(従属項の請求項4)ことを説明しているので、特定のワックスの組合せを用いることを意図するものではない。
特許文献4の特開2008−262094号公報には、低温定着性と、保存安定性を両立させることができ、かつ耐オフセット性に優れたトナーを提供するため、離型剤として、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線における70〜90℃の領域に最大吸熱ピークPを有し、最大吸熱ピークPを示す最大吸熱ピーク温度Tと、最大吸熱ピーク温度Tより低温側であって、最大吸熱ピーク深さの10%の深さとなる温度Tとの差(T−T)が9℃以下のライスワックス(即ち還元すれば、夾雑物が少ないワックス)を含有させることが記載されている。しかし、この公報には、当該ライスワックスと、揮発性成分、低分子成分の夾雑物を製法原理からして含み難い合成ワックス、それも特定の合成ワックスとを併用することについては示唆するところがない。
特許文献5の特許第3943791号公報には、構造的に分岐構造があるイソパラフィン或いはナフテン構造(シクロパラフィン構造)の炭化水素や芳香族炭化水素が存在すると、より可塑作用が大きくなるという欠点を回避するため、ノルマルパラフィンを92質量%以上含有するワックスをトナーに添加することが記載されている。しかしパラフィンワックスは、石油系ワックスであって雑多なパラフィン化合物の混合物にすぎない。
特許文献6の特許第3176297公報には、ワックス成分としてE型粘度計で測定される120℃における熔融粘度電荷像現像用トナー電荷像現像用トナー電荷像現像用トナー電荷像現像用トナー電荷像現像用トナー電荷像現像用トナー電荷像現像用トナーが22mPa・s未満のワックスAと、120℃における熔融粘度が22〜100mPa・sのワックスBとを有し、該ワックスAがパラフィンワックスであり、該ワックスBがフィッシャートロプシュワックスを用いることを内容とする静電荷像現像用トナーが提案されている。しかしパラフィンワックスは、前述のとおり、石油系ワックスであって雑多な分子量のパラフィン化合物の混合物にすぎない。フィッシャートロプシュワックスも、石炭の炭化水素化又は石油精製の際に生じる留分複生物の水素添加により製造されるものであって、純粋な合成ワックスではなく、石油ワックスと合成ワックスの中間のものである。また、当該特許公報にフィッシャートロプシュワックスとして記載されている3つのワックス、つまり例示の「ワックスE」、「ワックスF」、「ワックスG」は、具体的にはどのようなものか融点や落下点さえ不明なものである。しかし、例えばフィッシャートロプシュワックスの典型的(代表的)な例であるサゾール社のサゾールワックスHI(登録商標)の場合でさえも、低分子量の夾雑成分の含有云々の点を別にしても、軟化点(Ring&Ball法)が109℃、落下点が107℃、凝固点が98℃とかなり高融点のものでもある。さらに、フィッシャートロプシュワックスは直鎖状の炭化水素であり、結晶性が高いために結晶が大きくなりすぎ、トナー中への分散不良となる。また硬度も高いために、感光体を傷つけ、画質不良を招くという欠点があるという報告(特許文献7の特許第3572490号公報)もある。
トナーにおいて結着樹脂中でワックス成分が溶解することで様々な効果を発揮し、色々な挙動を示す。ワックスの動粘度が低い場合、低温定着性が向上するが、その弊害としてトナー流動性・耐ブロッキング性が悪化する。一方、ワックスの動粘度が高い場合はトナーの定着時の剥離効果・離型効果は発揮されるが、低温定着性が悪化し、低温定着と剥離・離型効果はトレードオフとなる。
この問題の克服のため、2種以上のワックスを併用する試みが従来から知られている。前記特許文献6に、「低温領域から高温領域にかけて、よりワックス添加の効果を発揮させるために2種類以上のワックスを含有するトナーが、特公昭52−3305号公報、特開昭58−215659号公報、特開昭62−100775号公報、特開平4−124676号公報、特開平4−299357号公報、特開平4−358159号公報、特開平4−362953号公報、特開平6−130714号公報、特開平6−332244号公報等に開示されている」と記載されるとおりである。しかし、これら従来技術は、DSCで測定された吸熱ピークが45℃以上80℃以下、100℃における動粘度が1cSt以上15cSt以下であるモノエステルワックス(A)とDSCで測定された吸熱ピークが60℃以上85℃以下、100℃における動粘度が15cSt以上25cSt以下であるワックス(B)との併用、例えばライスワックスと特定の合成ワックスとの併用を志向するものとは云えない。
また、TEC値(Typical Electricity Consumptionの略で、財団法人省エネルギーセンターの「国際エネルギースタープログラム」に適合するための基準となる値。具体的には、プリンタなどのオフィス機器における「概念的1週間(稼働とスリープ/オフが繰り返される5日間+スリープ/オフ状態の2日間)の消費電力量(TEC消費電力量)(Wh)を指す値」。)を下げるために、トナーの定着温度を低減させる手法がとられている。
オフィス環境での消費電力である。印刷速度が高速なほど値は高い。TEC値が低いほど、技術力の高さがうかがえる。
低温でトナーを定着させる場合、結着樹脂だけでなく離型剤も低温で溶融することが求められる。低分子量化されたワックスによって低温での溶融が可能になるが、低分子量成分が揮発して機内を汚染してしまう課題が生じる。また、低分子成分はワックスの硬度(常温時)を低下させる因子として作用し勝ちである。この成分は、前記「トナー流動性・耐ブロッキング性」と「低温定着性」の双方を同時に満たし難くなる要因でもあることを意味している。さらに、プリンタ/複合機の高線速化が進み、単位時間当たりのトナー消費量が多くなり、ワックスの揮発量が多くなることが懸念される。
揮発成分量の少ない合成ワックスとして、エステルワックスをトナーに用いること自体は、従来公知に属する(例えば特許文献8の特許第3287733号公報、特許文献9の特開2002−212142号公報、特許文献10の特開2010−102024号公報、特許文献11の特開2011−32996号公報、特許文献12の特開2011−81262号公報、特許文献13の特開2011−8251号公報、特許文献14の特開2012−173622号公報、特許文献15の特開2011−195528号公報、特許文献16の特開2012−32479号公報、特許文献17の特開2012−78009号公報、特許文献18の特開2012−203051号公報参照)。
しかしながら、これら従来技術は、DSCで測定された吸熱ピークが45℃以上80℃以下、100℃における動粘度が1cSt以上15cSt以下であるモノエステルワックス(A)とDSCで測定された吸熱ピークが60℃以上85℃以下、100℃における動粘度が15cSt以上25cSt以下であるワックス(B)の併用による予想外の著しい作用効果、利点を認識させるものではなかった。
本発明は、従来技術における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、低温定着性および耐熱保存性に優れ、部材からの剥離性・離型製が良好なトナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、DSCで測定された吸熱ピークが45℃以上80℃以下、100℃における動粘度が1cSt以上15cSt以下であるモノエステルワックス(A)とDSCで測定された吸熱ピークが60℃以上85℃以下、100℃における動粘度が15cSt以上25cSt以下であるワックス(B)との併用は、上記課題の解決のため非常に有効であることを知得し、この知得を基に更に検討を重ねた結果、本発明に到達するに至った。
而して、上記課題は、本発明の下記の発明により解決される。
(1)「少なくとも離型剤と樹脂と着色剤とからなる電子写真用トナーにおいて、該離型剤がDSCで測定された吸熱ピークが45℃以上80℃以下、100℃における動粘度が1cSt以上15cSt以下であるモノエステルワックス(A)とDSCで測定された吸熱ピークが60℃以上85℃以下、100℃における動粘度が15cSt以上25cSt以下であるワックス(B)であり、その混合組成比がワックス(A):ワックス(B)=45:55〜10:90であることを特徴とする電子写真用トナー。」
(2)「前記ワックス(A)が、合成ワックスであることを特徴とする前記(1)に記載のトナー。」
(3)「前記ワックス(B)が、ライスワックスであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のトナー。」
(4)「前記モノエステルワックス(A)の平均炭素数が36以上48個以下であることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載のトナー。」
(5)「前記モノエステルワックス(A)およびワックス(B)が前記結着樹脂100重量部当り3重量部以上6重量部以下含有されていることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のトナー。」
(6)「前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の電子写真用トナー及び外添剤を含む静電荷像現像剤。」
(7)「少なくとも、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を前記(6)に記載の現像剤により現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置。」
(8)「少なくとも、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を前記(6)に記載の現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを経て、画像を得ることを特徴とする画像形成方法。」
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明によれば、低温定着性および耐熱保存性に優れ、部材からの剥離性・離型製が良好なトナー、該トナーを含む現像剤、画像形成装置、画像形成方法が提供されるという極めて優れた効果が発揮される。
このような効果を齎らす理由は未だ充分明らかではないが、本発明におけるワックス(A)とワックス(B)の偶然の相性の良さが幸いしたものと思われる。
すなわち、モノエステルワックスは一般的に、直鎖状の炭化水素部位を有し、結晶性が高いので、また、低分子夾雑物が少ないこともあって、高硬度であるため、トナーの保存性に大きく寄与すること、反面、エステルワックスは一般的には溶融のための吸熱量が多い難点があり勝ちであるが、本発明におけるモノエステルワックス(A)は、これに反してエステルワックスのうち、吸熱ピークが45℃以上80℃以下、100℃における動粘度が1cSt以上15cSt以下という特定のものであり、そのような難点がなく、むしろワックス(B)よりも動粘度が低いこと、適正定着温度範囲が広いこと、本発明で用いるライスワックスのような特定のワックス(B)は一般的に、トナーに多用されてきたカルナバウワックス(融点、硬度が比較的高い)と、キャンデリアワックス(融点及び硬度がより低く展性に優れるため肌用化粧品原料として多用される)との間の性質を有するため、ワックス(A)と併用したときに相補性が更によく、かつ、ワックス(A)の高結晶性に起因する結晶が大きくなり過ぎる問題(分散性不充分等の問題)を抑制すること、ワックス(B)がワックス(A)の難点を補ないつつトナーの低温迅速な溶融を保持すること、ワックス(B)例えばその典型例としてのライスワックス等は、そのエステルを構成する脂肪酸はricw Bran Waxの場合C22とC24、rice waxの場合C16、C18がほとんど80%以上を占め、アルコールは両ライスワックスともC24〜C32が大部分であり、かなり炭素数の範囲のせまいワックスであり、かつ、米糠油から充分な精製工程を得たものであるため、ワックス(A)と同様に低分子夾雑物が少ないこと、得られたトナーの適正定着温度範囲、特に高温方向へ温度範囲を副次的な支障なしに拡げるものあること、100℃における動粘度が1cSt〜15cStのワックス(A)と15cSt〜25cStのワックス(B)との加熱溶融時の一時的な製膜性に差があること、両ワックスは共同してトナー結着樹脂のための可塑剤効果をていすること、かつ常温時には双方とも結晶性があるため少なくとも一部非相溶、一部相溶性であること、等々が複合的に作用したものと考えている。
本発明の画像形成方法に用いられるローラ式帯電装置の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成方法に用いられるブラシ式帯電装置の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成方法に用いられる現像装置の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成方法に用いられる定着装置の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成方法に用いられる定着装置におけるベルトの層構成の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成方法に用いられるプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。 本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の構成の他の一例を示す概略図 実施例、比較例におけるトナーの定着特性評価のため、リコー製imagio Neo 450に搭載したベルト加熱定着装置を示す図である。 実施例、比較例におけるトナーを用い画像形成された記録媒体の定着ベルトからの剥離に必要な力(分離抵抗力)を測定するために用いた測定装置を示す図である。
本発明において、該離型剤がDSCで測定された吸熱ピークが45℃以上80℃以下、100℃における動粘度が1cSt以上15cSt以下であるモノエステルワックス(A)とDSCで測定された吸熱ピークが60℃以上85℃以下、100℃における動粘度が15cSt以上25cSt以下であるワックス(B)であり、その混合組成比がワックス(A):ワックス(B)=45:55〜10:90であることが好ましい。
本発明において、該ワックス(B)が、ライスワックスであることが好ましい。また、該モノエステルワックス(A)が合成ワックスであることが好ましく、特に平均炭素数が36〜48個であることが好ましい。
更に、該モノエステルワックス(A)およびワックス(B)が該結着樹脂100重量部当り3重量部以上6重量部以下含有されていることが好ましい。
以下に、本発明に関し詳細に説明する。
動粘度・融点によってワックスが発揮する効果は異なる。即ち、発揮される効果に応じてワックスを組み合わせることで課題を解決することが可能となる。動粘度の低いワックスA(モノエステルワックス)で低温定着性を、動粘度の高いワックスB(ライスワックス)で剥離効果・離型効果等をそれぞれ補うことができる。
DSCで測定された吸熱ピークが80℃以下、100℃における動粘度が15cSt以下であるワックス、好ましくはDSCで測定された吸熱ピークが45℃以上80℃以下、100℃における動粘度が1cSt以上15cSt以下であるワックスは融点が低いため、低温定着性に寄与する。溶融時に動粘度が低いので、トナー粒子表面に出たワックス膜は弱く、剥離効果・離型効果を発揮することができない。定着時の揮発分が少ない点、及び低温定着性の向上の点で、低融点を有するモノエステルワックスが好ましい。公知技術で使用されているようなパラフィンワックスでは、定着時のトナーからのブリードが大きいため、コールドオフセットが悪い。この理由は定かではないが、定着時にワックスの粘度が低すぎると、トナー表面に多量のワックスがブリードし、トナー間の凝集力を妨げるためにコールドオフセットが悪くなっていると推定される。また、ワックスの低分子成分による機内汚染のさらなる悪化が考えられる。
DSCで測定された吸熱ピークが60℃以上、100℃における動粘度が15cSt以上であるワックス、好ましくはDSCで測定された吸熱ピークが60℃以上85℃以下、100℃における動粘度が15cSt以上25cSt以下であるワックスは適度な熔融粘度を有するために、トナー粒子表面に出たワックス膜は強度が向上し、優れた離型効果、剥離効果が得られる。更に、トナー粒子表面近傍のワックスは、相分離をし、トナー粒子中に染み込むこともないので、トナー像が冷却固化したときに、ワックス層が存在するため、滑り性に優れ、画像に擦れに対する耐久性が出来、部材や他の画像を汚すことが無くなる。
ワックスとしては、C−H、C−C結合のみで分子鎖を形成する長鎖炭化水素を用いるため、炭素鎖が長く100℃における動粘度が15cSt以上25cSt以下のワックスを合成することは難しい。入手しやすい点、適度な動粘度を有する点で、ライスワックスが好ましい。
粘度・動粘度の低く低温定着性を示すワックスA(モノエステルワックス)と、粘度・動粘度が高く剥離効果・離型効果を有すワックスB(例えばライスワックス)を組み合わせるので、混合組成比がその性質に大きく関与する。その混合組成比がワックス(A):ワックス(B)=45:55〜10:90であり、ライスワックスの方が多く含有されている。モノエステルワックスの混合組成比が高いほど、低温定着性が良好となる。それに対し、ライスワックスの混合組成比が高くなるほど剥離効果・離型効果が改善される。混合組成比がワックス(A):ワックス(B)=30:70であることでより効果を発揮できる。
低温でのトナー画像定着のためには、トナーの溶融粘度を下げる必要がある。そのため、融点および100℃での動粘度が低いモノエステルワックスが、トナー表面で溶融するために低温定着性に大きく貢献する。したがって、モノエステルワックス融点・動粘度が低いほど、混合組成比が高いほど低温定着が可能となる。しかし、過剰に動粘度が低下するとトナー表面にワックスが染み出し、高温保管時輸送時のトナーの凝集につながる。ワックスの含有量が増加すると同様にトナー表面にワックスが染み出しやすくなるため、耐熱保存性が悪化する。
また、剥離効果・離型効果を向上させるためには、トナー表面のワックス膜が強固になり、ワックスが溶け出す高温側でもそのワックス膜が保持される必要がある。そのため、融点および100℃での動粘度の高いライスワックスが、トナー表面でワックス膜を形成し、剥離効果・離型効果に大きく作用する。したがって、ライワックスの融点・動粘度および混合組成比が高いほど高温での剥離効果・離型効果が向上する。
本発明のトナーにおける可塑効果は、トナーの熔融粘度を下げ、トナーの定着性を上げるのは勿論のこと、トナー表面近傍の可塑効果がより大きいので、表面近傍のトナーの動粘度はより下がり、記録媒体へのアンカー効果が働き、定着性向上に大きく貢献する。
本発明のトナーにおける離型性は、トナーの離型性をあげ、耐オフセット性を向上させるのは当然のこととして、トナーが加熱ローラーに付着しても、クリーニング部材で綺麗にクリーニングされる。また、クリーニング部材から再移行によるローラー汚れに基因する画像汚れが発生することがない。また、トナーが、感光ドラム上で十分にクリーニングされなかったとき、トナーがクリーニングブレードで摩擦されると一部が溶け、融着を発生するようになる。この時、本発明のトナーは、ワックス膜が効果的に働き、優れた離型性を示すため、これらの融着がクリーニングブレードで取られるようになり、融着を消失することが出来るようになる。したがって、本発明のトナーにおいては、たとえ融着が発生しても、画像欠陥として現われる前に、解消される。
本発明のトナーにおける剥離効果は、定着ローラーからの剥離効果に優れ、容易に定着ローラーから、記録媒体が分離される。従って排紙分離爪に頼ることなく、定着ローラーから分離されるので、分離爪を汚すことがなく、この分離爪が他の画像を汚すこともなく、またこの分離爪に、記録媒体がひっかかり定着排紙ジャムを起こすことがなくなる。
本発明のトナーの滑り効果は、擦れに対し定着トナー像が強くなるので、画像が接触する部材を汚染することが少なくなり、これらの汚染からくる他の画像への汚れを防ぐことができる。複写機、プリンタのシステム化、高速化に伴ない画像が擦られる機会が多くなり、その強さも大きくなるので、よりトナー像には負担が大きくなり、擦れに対する耐久性が必要となってくるが、本発明のトナーにおいては、滑り性に優れているので、マシンの高機能化、高速化に耐え得るようになる。
本発明に用いられるエステルワックス(A)は、高級アルコール成分と同じく高級カルボン酸成分から合成されるのが一般的である。これら高級アルコールや高級カルボン酸成分は、通常天然物から得られることが多く一般的には、偶数の炭素数を有する混合物から構成されている。これら混合物をそのままエステル化した場合、目的とするエステル化合物の他に各種の類似構造物を持つ副生成物を副生するために、トナーの各特性に悪影響を及ぼしやすい。そのため原材料や生成物を溶剤抽出や減圧蒸留操作を用いて精製することで、本発明で使用するエステルワックスを得ることができる。
ワックス(B)の典型例であるライスワックスを得る方法は、ライスワックスの精製時にエステル化を促進させる方法、ライスワックスに多価アルコールを添加してエステル化せしめる方法、ライスワックスを加熱減圧下で融解させる方法、ライスワックスにアルカリ水溶液等の溶媒を添加し、アルコール分を抽出せしめる方法等、公知のライスワックスの精製方法を繰り返したり、それら精製方法を組み合わせることによって遊離脂肪酸と不純物の低融点のトリグリセリド類及び脂肪族炭化水素を除去、低減することで得ることができる。
また、米ぬかから抽出される粗ワックスとエタノールとの混合物を加温下で攪拌することにより、ワックスを含むコロイド粒子と、ソフトワックスを含むエタノール分とに分離した後、上記コロイド含有液からワックスを含むコロイド粒子を回収する精製方法なども好適に適用できる。
[結着樹脂]
−樹脂成分−
前記樹脂成分は、トナーにおいて前記結着樹脂を形成し得るものであり、該結着樹脂が紙等の記録媒体に対し接着性を示すものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結着樹脂(結着樹脂A)及び結着樹脂前駆体の少なくともいずれかであることが好ましい。また、前記結着樹脂前駆体が、活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体であることが好ましい。
本発明のトナーは、結着樹脂として、結着樹脂A、並びに前記活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)を水系媒体中で反応させてなる接着性ポリマー(結着樹脂B)の少なくともいずれかを含んでいることが好ましい。
前記トナー材料液が、結着樹脂前駆体を含むことにより、容易にトナー中にゲル分を添加することが可能となる。
−−結着樹脂A−−
前記結着樹脂Aとしては、特に制限はなく、目的に応じて公知の結着樹脂から適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、変性されていないポリエステル樹脂(未変性ポリエステル樹脂)が好ましい。これにより、低温定着性及び光沢性を向上させることができる。前記未変性ポリエステル樹脂としては、ポリオールと多官能カルボン酸との重縮合物等が挙げられる。
前記結着樹脂Aの重量平均分子量としては、3,000〜30,000が好ましく、4,000〜20,000がより好ましい。前記重量平均分子量が3,000未満であると、耐ホットオフセット性が低下することがある。このため、前記重量平均分子量が3,000未満である成分の前記結着樹脂における含有量は、0質量%〜28質量%であることが好ましい。一方、前記重量平均分子量が30,000を超えると、低温定着性が低下することがある。
前記結着樹脂Aのガラス転移温度としては、30℃〜70℃が好ましく、35℃〜65℃がより好ましい。前記ガラス転移温度が、30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が十分でないことがある。なお、結着樹脂として、架橋反応又は伸長反応したポリエステル樹脂を含有するトナーは、ガラス転移温度が低くても良好な保存性を有する。
前記未変性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、5mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g〜120mgKOH/gがより好ましく、20mgKOH/g〜80mgKOH/gが更に好ましい。前記水酸基価が、5mgKOH/g未満であると、耐熱保存性と低温定着性とが両立しにくくなることがある。前記未変性ポリエステル樹脂の酸価としては、10mgKOH/g〜30mgKOH/gが好ましい。これにより、トナーは、負帯電しやすくなる。
−−結着樹脂前駆体−−
前記結着樹脂Bを形成する結着樹脂前駆体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(以下「プレポリマー」と称することがある)であることが好ましい。
前記活性水素基を有する化合物と反応可能な重合体としては、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びこれらの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂が好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記プレポリマーが有する活性水素基と反応可能な官能基としては、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基などが挙げられるが、これらの中でも、イソシアネート基が好ましい。プレポリマーは、このような官能基の1種を有してもよいし、2種以上を有してもよい。
前記プレポリマーとしては、高分子成分の分子量を調節し易く、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着特性、特に、定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構の無い場合でも良好な離型性及び定着性を確保できることから、ウレア結合を生成することが可能なイソシアネート基等を有するポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
前記イソシアネート基を含有するポリエステルプレポリマーとしては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールと多官能カルボン酸を重縮合することにより得られる活性水素基を有するポリエステル樹脂と、多官能イソシアネートとの反応生成物などが挙げられる。なお、イソシアネート基含有ポリエステル樹脂と活性水素基を有する化合物を反応させる際にアルコール類を添加することにより、ウレタン結合を形成してもよい。
前記ポリオールは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、三価以上のアルコール、ジオールと三価以上のアルコールの混合物などが挙げられる。これらの中でも、ジオール又はジオールと少量の三価以上のアルコールの混合物が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン基を有するジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;脂環式ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ビスフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。これらの中でも、炭素数が2〜12であるアルキレングリコール又はビスフェノール類のアルキンオキシド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物、又はビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物と炭素数が2〜12のアルキレングリコールとの混合物が特に好ましい。
前記三価以上のアルコールとしては、例えば、三価以上の脂肪族アルコール、三価以上のポリフェノール類、三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。
前記三価以上の脂肪族アルコールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。
前記三価以上のポリフェノール類の具体例としては、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが挙げられる。前記三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物の具体例としては、三価以上のポリフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したものなどが挙げられる。
前記ジオールと前記三価以上のアルコールとを混合して用いる場合、ジオールに対する三価以上のアルコールの質量比率としては、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜1質量%がより好ましい。
前記多官能カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジカルボン酸、三価以上のカルボン酸、ジカルボン酸と三価以上のカルボン酸の混合物などが挙げられるが、ジカルボン酸、又はジカルボン酸と少量の三価以上の多官能カルボン酸との混合物が好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジカルボン酸としては、例えば、二価のアルカン酸、二価のアルケン酸、芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
前記二価のアルカン酸の具体例としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられる。前記二価のアルケン酸の炭素数は、4〜20であることが好ましく、具体的には、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸の炭素数は、8〜20であることが好ましく、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸の中でも、炭素数が4〜20の二価のアルケン酸又は炭素数が8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
前記三価以上のカルボン酸としては、三価以上の芳香族カルボン酸等を用いることができる。三価以上の芳香族カルボン酸の炭素数は、9〜20であることが好ましく、具体的には、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
前記多官能カルボン酸としては、ジカルボン酸、三価以上のカルボン酸、及びジカルボン酸と三価以上のカルボン酸との混合物のいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステルを用いることもできる。前記低級アルキルエステルの具体例としては、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなどが挙げられる。
前記ジカルボン酸と前記三価以上のカルボン酸とを混合して用いる場合、ジカルボン酸に対する三価以上のカルボン酸の質量比率としては、0.0質量1%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜1質量%がより好ましい。
前記ポリオールと前記多官能カルボン酸とを重縮合させる際の混合比としては、多官能カルボン酸のカルボキシル基に対するポリオールの水酸基の当量比で、1〜2が好ましく、1〜1.5がより好ましい。
前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー中のポリオール由来の構成単位の含有量としては、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が低下し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が低下することがある。
前記多官能イソシアネートは、目的に応じて適宜選択することができるが、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、及びこれらをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたものなどが挙げられる。
前記脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトカプロン酸メチル、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネートなどが挙げられる。前記脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3−メチルジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト−ジフェニルエーテルなどが挙げられる。前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記イソシアヌレート類としては、例えば、トリス(イソシアナトアルキル)イソシアヌレート、トリス(イソシアナトシクロアルキル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記活性水素基を有する化合物は、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が水系媒体中で伸長乃至架橋反応する際の伸長乃至架橋剤として作用する。
前記活性水素基の具体例としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。なお、活性水素基は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記活性水素基を有する化合物は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体がイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーである場合には、ポリエステルプレポリマーと伸長乃至架橋反応により高分子量化できることから、アミン類が好適である。
前記アミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジアミン、三価以上のアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸及びこれらのアミノ基をブロックしたものなどが挙げられる。これらの中でも、ジアミン及びジアミンと少量の三価以上のアミンの混合物が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジアミンとしては、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン等が挙げられる。
前記芳香族ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。前記脂環式ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどが挙げられる。前記脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。
前記三価以上のアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。前記アミノアルコールとしては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。前記アミノメルカプタンとしては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。前記アミノ酸としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。前記アミン類のアミノ基をブロックしたものとしては、例えば、前記アミン類のアミノ基を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類でブロックすることにより得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物などが挙げられる。
なお、前記活性水素基を有する化合物と、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体との伸長乃至架橋反応を停止させるために、反応停止剤を用いることができる。反応停止剤を用いると、接着性ポリマー(結着樹脂B)の分子量等を所望の範囲に制御することができる。前記反応停止剤としては、例えば、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等のモノアミン及びこれらのアミノ基をブロックしたケチミン化合物などが挙げられる。
前記アミン類のアミノ基の当量に対する前記ポリエステルプレポリマーのイソシアネート基の当量の比としては、1/3〜3が好ましく、1/2〜2がより好ましく、2/3〜1.5が更に好ましい。前記比が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがあり、3を超えると、ウレア変性ポリエステル系樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が低下することがある。
前記ポリエステルプレポリマーが一分子当たりに有するイソシアネート基の平均数(計算官能基数;以下、「f」と称する。)としては、1以上が好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4が更に好ましい。前記平均数が、1未満であると、ウレア変性ポリエステル系樹脂の分子量が低くなり、トナーのtanδがピーク値を示す温度における複素粘度ηが低くなり、耐ホットオフセット性が低下することがある。一方、前記平均数が5を越えると、ウレア変性ポリエステル系樹脂の分子量が大きくなり、ηも大きくなりすぎるので、コールドオフセットが発生する定着下限温度が高くなる。
なお、計算官能基数fは、前記多官能イソシアネートを反応させ変性する前のポリエステル樹脂の水酸基価(OHV)と、変性前のポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)を求めた後、以下の計算式(1)から求めることができる。
f=OHV/56.1/1,000×Mn・・・計算式(1)
また、前記ポリエステルプレポリマーが一分子当たりに有するイソシアネート基の平均数は、三価以上の多官能カルボン酸や三価以上の多官能アルコールを適宜高分子骨格に導入することにより制御できる。
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体の重量平均分子量としては、10,000〜60,000が好ましく、20,000〜50,000がより好ましい。前記重量平均分子量が、10,000未満であると、耐熱保存性が低下することがあり、60,000を超えると、低温定着性が低下することがある。
ここで、前記重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてテトラヒドロフラン可溶分を測定することにより求めることができる。前記GPC測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
まず、測定サンプルの作製方法について記す。未変性ポリエステル樹脂については、0.2gをテトラヒドロフラン5mlに溶解させた後、メンブレンフィルターを通し測定サンプルとする。
一方、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体については、0.5gをジメチルホルムアミド2mlに溶解させた後、メタノール0.5mlを更に加え完全に溶かす。50℃で2時間加熱し十分イソシアネート基をつぶし、テトラヒドロフランを4ml加えて薄めた後、メンブレンフィルターを通し測定サンプルとする。
機器の準備に関しては、まず、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させる。この温度でカラム溶媒として、テトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、試料濃度を0.05質量%〜0.6質量%に調整したテトラヒドロフラン溶液を50μl〜200μl注入して測定する。なお、分子量の測定に当たっては、数種の標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準試料としては、分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10及び4.48×10の単分散ポリスチレン(Pressure Chemical社製又は東洋ソーダ工業株式会社製)を用いることができる。このとき、10種類程度の標準試料を用いることが好ましい。なお、検出器としては、屈折率検出器を用いることができる。
トナーが前記未変性ポリエステル樹脂及び前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを含有する場合、前記未変性ポリエステル樹脂に対する前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーの質量比としては、5/95〜25/75が好ましく、10/90〜25/75がより好ましい。前記質量比が、5/95未満であると、耐ホットオフセット性が低下することがあり、25/75を超えると、低温定着性や画像の光沢性が低下することがある。
本発明の結着樹脂A又は結着樹脂Bを重合により作製するにあたって、重合触媒を用いることができる。触媒の具体例としては、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート等が挙げられる。
上述の伸長反応の条件は、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と活性水素基を有する化合物の組合せに応じて適宜選択することができる。反応時間は、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。反応温度は、150℃以下が好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。
前記トナーが含有する前記結着樹脂(結着樹脂Bと結着樹脂Aとの混合物)としては、例えば、(1)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物;(2)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;(3)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;(4)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;(5)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーを、ヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;(6)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;(7)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをエチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;(8)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物;(9)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、テレフタル酸及びドデセニルコハク酸無水物の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;(10)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物;(11)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、テレフタル酸、及びトリメット酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、テレフタル酸、及びアジピン酸の重縮合物との混合物などが挙げられる。
<帯電制御剤>
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色又は白色に近い材料を用いることが好ましい。具体的には、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、フッ素変性四級アンモニウム塩を含む四級アンモニウム塩、アルキルアミド、リンの単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系界面活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、市販品としては、四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体のLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子等が挙げられる。
前記帯電制御剤は、マスターバッチと共に溶融混練された後に溶解乃至分散してもよく、トナーの各成分と共に溶媒中で溶解乃至分散してもよく、トナーを製造した後にトナーの表面に固定してもよい。
トナー中の帯電制御剤の含有量は、結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、結着樹脂に対して、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.2質量%〜5質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量%を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、現像ローラーとの静電引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
<樹脂粒子>
前記樹脂粒子は、水系媒体中で水性分散液を形成しうる樹脂であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂であってもよい。具体的には、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。中でも、微細な球状の樹脂粒子の水性分散液が得られやすいことから、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選択される一種以上の樹脂であることが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合又は共重合することにより得られる樹脂であり、具体的には、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
また、樹脂粒子としては、複数の不飽和基を有するモノマーを重合することにより得られる共重合体を用いることもできる。複数の不飽和基を有するモノマーは、目的に応じて適宜選択することができ、具体的には、メタクリル酸エチレンオキシド付加物硫酸エステルのナトリウム塩エレミノールRS−30(三洋化成工業社製)、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
前記樹脂粒子は、公知の方法を用いて重合することにより得ることができるが、樹脂粒子の水性分散液として用いることが好ましい。樹脂粒子の水性分散液の調製方法としては、ビニル樹脂の場合、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法又は分散重合法を用いてビニルモノマーを重合することにより、樹脂粒子の水性分散液を製造する方法;ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加又は縮合系樹脂の場合、モノマー、オリゴマー等の前駆体又はその溶液を適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱又は硬化剤を添加して硬化させて、樹脂粒子の水性分散液を製造する方法、モノマー、オリゴマー等の前駆体又はその溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法;樹脂を機械回転式、ジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕、分級することにより、樹脂粒子を得た後、適当な分散剤の存在下で水中に分散させる方法、樹脂の溶液を霧状に噴霧することにより樹脂粒子を得た後、樹脂粒子を適当な分散剤の存在下で水中に分散させる方法、樹脂の溶液に貧溶剤を添加するか、溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより、樹脂粒子を析出させ、溶媒を除去して樹脂粒子を得た後、樹脂粒子を適当な分散剤の存在下で水中に分散させる方法、樹脂の溶液を、適当な分散剤の存在下で水性媒体中に分散させた後、加熱、減圧等により溶剤を除去する方法、樹脂の溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法等が挙げられる。
<無機粒子>
前記無機粒子は、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、無機粒子のBET法による比表面積は、20m/g〜500m/gであることが好ましい。
トナー中の無機粒子の含有量は、0.01質量%〜5.0質量%であることが好ましく、0.01質量%〜5.0質量%がより好ましい。
流動性向上剤を用いて表面処理すると、トナー表面の疎水性が向上し、高湿度下においても流動特性や帯電特性の低下を抑制することができる。流動性向上剤の具体例としては、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。
クリーニング性向上剤をトナーに添加すると、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤が除去されやすくなる。クリーニング性向上剤の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメタクリル酸メチル粒子、ポリスチレン粒子等のソープフリー乳化重合を用いて得られる樹脂粒子等が挙げられる。樹脂粒子は、粒度分布が狭いことが好ましく、体積平均粒子径が0.01μm〜1μmであることが好ましい。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、鉄粉、マグネタイト、フェライト等が挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色の磁性材料が好ましい。
<トナーの製造方法>
前記トナーの製造方法としては、少なくとも結着樹脂と、着色剤とを含有する油相を水系媒体中で懸濁、造粒する。
前記重合法によるトナーの製造方法としては、接着性基材を生成しながら、トナー母体粒子を形成する方法を以下に示す。このような方法においては、水系媒体相の調製、トナー材料を含有する液体の調製、トナー材料の乳化又は分散、接着性基材の生成、溶媒の除去、活性水素基に対する反応性を有する重合体の合成、活性水素基を有する化合物の合成等を行う。
水系媒体の調製は、樹脂粒子を水系媒体に分散させることにより行うことができる。樹脂粒子の水系媒体中の添加量は、0.5質量%〜10質量%が好ましい。
トナー材料を含有する液体の調製は、溶媒中に、活性水素基を有する化合物、活性水素基に対する反応性を有する重合体、顔料、離型剤、帯電制御剤、未変性ポリエステル樹脂等のトナー材料を、溶解又は分散させることにより行うことができる。
なお、トナー材料の中で、活性水素基に対する反応性を有する重合体以外の成分は、樹脂粒子を水系媒体に分散させる際に水系媒体中に添加混合してもよいし、トナー材料を含有する液体を水系媒体に添加する際に、水系媒体に添加してもよい。
トナー材料の乳化又は分散は、トナー材料を含有する液体を、水系媒体中に分散させることにより行うことができる。そして、トナー材料を乳化又は分散させる際に、活性水素基を有する化合物と活性水素基に対する反応性を有する重合体を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより、接着性基材が生成する。
ウレア変性ポリエステル系樹脂等の接着性基材は、例えば、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー等の活性水素基に対する反応性を有する重合体を含有する液体を、アミン類等の活性水素基を含有する化合物と共に、水系媒体中で乳化又は分散させ、水系媒体中で両者を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより生成させてもよく、トナー材料を含有する液体を、予め活性水素基を有する化合物を添加した水系媒体中で乳化又は分散させ、水系媒体中で両者を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより生成させてもよく、トナー材料を含有する液体を水系媒体中で乳化又は分散させた後で、活性水素基を有する化合物を添加し、水系媒体中で粒子界面から両者を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより生成させてもよい。なお、粒子界面から両者を伸長反応及び/又は架橋反応させる場合、生成するトナーの表面に優先的にウレア変性ポリエステル樹脂が形成され、トナー中にウレア変性ポリエステル樹脂の濃度勾配を設けることもできる。
接着性基材を生成させるための反応条件は、活性水素基に対する反応性を有する重合体と活性水素基を有する化合物の組み合わせに応じて適宜選択することができる。反応時間は、10分間〜40時間であることが好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。反応温度は、150℃以下であることが好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。
水系媒体中において、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー等の活性水素基と反応可能な重合体を含有する分散液を安定に形成する方法としては、水系媒体相中に、活性水素基に対する反応性を有する重合体、顔料、顔料分散剤、離型剤、帯電制御剤、未変性ポリエステル樹脂等のトナー材料を溶媒に溶解又は分散させて調製した液体を添加し、せん断力により分散させる方法等が挙げられる。
分散は、公知の分散機等を用いて行うことができ、分散機としては、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機等が挙げられるが、分散体の粒子径を2〜20μmに制御することができることから、高速せん断式分散機が好ましい。
高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度等の条件は、目的に応じて適宜選択することができる。回転数は、1,000〜30,000rpmであることが好ましく、5,000〜20,000rpmがより好ましい。分散時間は、バッチ方式の場合、0.1〜5分であることが好ましく、分散温度は、加圧下において、150℃以下であることが好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。なお、分散温度は、高温である方が一般に分散が容易である。
トナー材料を乳化又は分散させる際の、水系媒体の使用量は、トナー材料100質量部に対して、50質量部〜2000質量部であることが好ましく、100質量部〜1000質量部がより好ましい。前記使用量が、50質量部未満であると、トナー材料の分散状態が悪くなって、所定の粒子径のトナー母体粒子が得られないことがあり、2000質量部を超えると、生産コストが高くなることがある。
トナー材料を含有する液体を乳化又は分散する工程においては、油滴等の分散体を安定化させ、所望の形状にする共に粒度分布をシャープにする観点から、分散剤を用いることが好ましい。
前記分散剤は、目的に応じて適宜選択することができ、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド等が挙げられるが、界面活性剤が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するものが好適に用いられる。前記フルオロアルキル基を有する陰イオン界面活性剤としては、炭素数が2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
前記フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えばサーフロンS−111、S−112、S−113(以上、旭硝子社製)、フローラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(以上、住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(以上、ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(以上、大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(以上、トーケムプロダクツ社製)、フタージェント100、150(以上、ネオス社製)、などが挙げられる。
前記陽イオン界面活性剤としては、例えばアルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等好ましい。
陽イオン界面活性剤の市販品としては、例えばサーフロンS−121(旭硝子社製);フローラードFC−135(住友3M社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製);エクトップEF−132(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)等を用いることが好ましい。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
前記難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えばリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等が挙げられる。
高分子系保護コロイドとしては、例えばカルボキシル基を有するモノマー、水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキル、ビニルエーテル、カルボン酸ビニル、アミドモノマー、酸塩化物のモノマー、窒素原子又はその複素環を有するモノマー等を重合することにより得られるホモポリマー又はコポリマー、ポリオキシエチレン系樹脂、セルロース類等が挙げられる。なお、上記のモノマーを重合することにより得られるホモポリマー又はコポリマーは、ビニルアルコール由来の構成単位を有するものも含む。
前記カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、グリセリンモノアクリレート、グリセリンモノメタクリレート等が挙げられる。ビニルエーテルの具体としては、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。カルボン酸ビニルとしては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。アミドモノマーとしては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。酸塩化物のモノマーとしては、例えばアクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド等が挙げられる。窒素原子又はその複素環を有するモノマーとしては、例えばビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。ポリオキシエチレン系樹脂としては、例えばポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリン酸フェニル、ポリオキシエチレンペラルゴン酸フェニル等が挙げられる。セルロース類としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
トナー材料を乳化又は分散させる際に、必要に応じて、分散剤を用いることができる。
前記分散剤としては、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能なもの等が挙げられる。分散剤として、リン酸カルシウムを用いた場合は、塩酸等でカルシウム塩を溶解させて、水洗する方法、酵素で分解する方法等を用いて、リン酸カルシウム塩を除去することができる。
接着性基材を生成させる際の伸長反応及び/又は架橋反応には、触媒を用いることができる。触媒の具体例としては、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート等が挙げられる。
乳化スラリー等の分散液から有機溶媒を除去する方法としては、反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶媒を蒸発させる方法、分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の有機溶媒を除去する方法等が挙げられる。
有機溶媒が除去されると、トナー母体粒子が形成される。トナー母体粒子に対しては、洗浄、乾燥等を行うことができ、更に分級等を行うことができる。分級は、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行ってもよいし、乾燥後に分級操作を行ってもよい。
得られたトナー母体粒子は、着色剤、離型剤、帯電制御剤等の粒子と混合してもよい。
このとき、機械的衝撃力を印加することにより、トナー母体粒子の表面から離型剤等の粒子が脱離するのを抑制することができる。
機械的衝撃力を印加する方法としては、高速で回転する羽根を用いて混合物に衝撃力を印加する方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させて粒子同士又は粒子を適当な衝突板に衝突させる方法等が挙げられる。この方法に用いる装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢等が挙げられる。
本発明のトナーは、各種分野において使用することができるが、電子写真法による画像形成に、好適に使用することができる。
本発明のトナーの体積平均粒子径は、3μm〜8μmであることが好ましく、4μm〜7μmがより好ましい。前記体積平均粒子径が、3μm以上未満であると、二成分現像剤では、現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがある。また、一成分現像剤では、現像ローラーへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するブレード等の部材へのトナー融着が発生することがある。一方、前記体積平均粒子径が、8μm以下を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが容易となり難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
本発明のトナーの個数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比は、1.00〜1.25であることが好ましく、1.05〜1.25がより好ましい。これにより、二成分現像剤では、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。また、一成分現像剤では、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラーへのトナーのフィルミングやトナーを薄層化するブレード等の部材へのトナーの融着を抑制し、現像装置の長期使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性が得られるため、高画質の画像を得ることができる。この比が1.25を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合に、トナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
ここで、前記体積平均粒子径及び個数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比は、粒度測定器マルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)を用いて、以下のようにして測定することができる。まず、約1質量%塩化ナトリウム水溶液等の電解質水溶液100〜150ml中に、分散剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤を0.1〜5ml添加する。次に、測定試料を約2〜20mg添加する。試料が懸濁した電解質水溶液に、超音波分散機を用いて約1〜3分間分散処理を行った後、100μmのアパーチャーを用いて、トナーの体積及び個数を測定し、体積分布及び個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒子径及び個数平均粒子径を求めることができる。
トナーの針入度は、15mm以上であることが好ましく、20mm〜30mmがより好ましい。前記針入度が15mm未満であると、耐熱保存性が悪化する。
ここで、前記針入度は、針入度試験(JIS K2235−1991)により測定することができる。具体的には、50mlのガラス容器にトナーを充填し、50℃の恒温槽に20時間放置した後、トナーを室温まで冷却して、針入度試験を行う。なお、針入度の値が大きい程、耐熱保存性が優れることを示している。
本発明のトナーは、低温定着性と剥離効果を両立させる観点から、定着下限温度が低く、剥離効果の指標である分離抵抗力が低いことが好ましい。このためには、定着下限温度が140℃未満であると共に、分離抵抗力が400gf以下であることが好ましい。ここで、定着下限温度は、画像形成装置を用いて複写テストを行い、得られた画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着温度の下限である。また、記録媒体の定着ベルトからの剥離に必要な力である分離抵抗力は、記録媒体の押し付け力を測定する測定装置を用いて評価することができる。
トナーの熱特性は、フローテスター特性とも言われ、軟化温度、流出開始温度、1/2法軟化点等として評価される。これらの熱特性は、適宜選択した方法により測定することができ、高架式フローテスターCFT500型(島津製作所製)を用いて測定することができる。
トナーの軟化温度は、30℃以上であることが好ましく、50℃〜90℃がより好ましい。前記軟化温度が、30℃未満であると、耐熱保存性が悪化することがある。
本発明のトナーの流出開始温度は、60℃以上であることが好ましく、80℃〜120℃がより好ましい。流出開始温度が、60℃未満であると、耐熱保存性及び耐オフセット性の少なくとも一方が低下することがある。
本発明のトナーの1/2法軟化点は、90℃以上であることが好ましく、100℃〜170℃がより好ましい。1/2法軟化点が、90℃未満であると、耐オフセット性が悪化することがある。
本発明のトナーのガラス転移温度は、40℃〜70℃であることが好ましく、45℃〜65℃がより好ましい。前記ガラス転移温度が、40℃以上未満であると、トナーの耐熱保存性が良好であり悪化することがなく、70℃以下であるとを超えると、低温定着性が十分なものとなるでないことがある。なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量計DSC−60(島津製作所製)等を用いて測定することができる。
本発明のトナーを用いて形成される画像の濃度は、1.40以上であることが好ましく、1.45以上がより好ましく、1.50以上が更に好ましい。前記画像濃度が、1.40未満であると、画像濃度が低く、高画質が得られないことがある。前記画像濃度は、タンデム型カラー画像形成装置(imagio Neo 450、株式会社リコー製)を用いて、定着ローラーの表面温度を160±2℃として、複写紙タイプ 6200(株式会社リコー製)に現像剤の付着量が0.35±0.02mg/cmであるベタ画像を形成し、得られたベタ画像における任意の5箇所の画像濃度を、分光計938 スペクトロデンシトメータ(X−ライト社製)を用いて測定し、その平均値を算出することにより、求めることができる。
本発明のトナーの色は、目的に応じて適宜選択することができ、ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーからなる群より選択される一種以上とすることができ、各色のトナーは、着色剤を適宜選択することにより得ることができる。
[画像形成方法、画像形成装置]
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、少なくとも、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、一次転写工程と、二次転写工程と、定着工程と、クリーニング工程とを含み、さらに、必要に応じて適宜選択した、その他の工程を含む。
また、本発明の画像形成方法において、プロセスカートリッジ、タンデム方式の画像形成装置、などを用いることが好ましい。
<帯電工程>
前記帯電工程は、静電潜像担持体表面を帯電させる工程である。
前記帯電工程において使用される帯電装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図1に示した接触式のローラ式帯電装置、図2に示した接触式のファーブラシ式帯電装置、接触式の磁気ブラシ式帯電装置、などが挙げられる。
<<ローラ式帯電装置>>
図1は、ローラ式帯電装置500の一例の概略構成を示す図である。
図1において、被帯電体である静電潜像担持体としての感光体505は、矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。感光体505に接触させた帯電部材である帯電ローラ501は、芯金502と、この芯金502の外周に同心一体にローラ上に形成した導電ゴム層503とを基本構成とし、芯金の両端を不図示の軸受け部材などで回転自由に保持させるとともに、不図示の加圧手段によって感光ドラムに所定の加圧力で押圧させており、この帯電ローラ501は、感光体505の回転駆動に従動して回転する。
帯電ローラ501は、直径9mmの芯金上に100,000Ω・cm程度の中抵抗の導電ゴム層503を被膜して、直径16mmに形成されている。帯電ローラ501の芯金502と、電源504とは、電気的に接続されており、電源504により帯電ローラ501に対して所定のバイアスが印加される。これにより感光体505の周面が所定の極性、電位に一様に帯電処理される。
<<ファーブラシ式帯電装置>>
前記ファーブラシ式帯電装置を用いる場合、ファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属、及び金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり、張り付けたりする。
図2は、ブラシ式帯電装置510の一例の概略構成を示す図である。
図2において、被帯電体としての像担持体としての感光体515は、矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。感光体515に対して、ファーブラシによって構成されるファーブラシローラ511が、ブラシ部513の弾性に抗して所定の押圧力をもって所定のニップ幅で接触させてある。
ファーブラシローラ511は、電極を兼ねる直径6mmの金属製の芯金512に、ブラシ部513としてユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維REC−Bをパイル地にしたテープをスパイラル状に巻き付けて、外径14mm、長手方向長さ250mmのロールブラシとしたものである。ブラシ部513のブラシは300デニール/50フィラメント、1平方ミリメートル当たり155本の密度である。このロールブラシを内径が12mmのパイプ内に一方向に回転させながらさし込み、ブラシと、パイプが同心となるように設定し、高温多湿雰囲気中に放置してクセ付けで斜毛させた。
ファーブラシローラ511の抵抗値は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印加電圧100Vにおいて1×105Ωである。前記抵抗値は、金属製の直径φ30mmのドラムにファーブラシローラをニップ幅3mmで当接させ、100Vの電圧を印加したときに流れる電流から換算した。このブラシ式帯電装置510の抵抗値は、被帯電体である感光体515上にピンホール等の低耐圧欠陥部が生じた場合にもこの部分に過大なリーク電流が流れ込んで帯電ニップ部が帯電不良になる画像不良を防止するために104Ω以上必要であり、感光体515表面に十分に電荷を注入させるために、107Ω以下である必要がある。
前記ブラシの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ユニチカ(株)製のREC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10、東レ(株)製のSA−7、日本蚕毛(株)製のサンダーロン、カネボウ製のベルトロン、クラレ(株)のクラカーボ、レーヨンにカーボンを分散したもの、三菱レーヨン(株)製のローバル、などが挙げられる。また、前記ブラシは、一本が3デニール〜10デニールで、10フィラメント/束〜100フィラメント/束、80本/mm〜600本/mmの密度が好ましい。毛足は1mm〜10mmが好ましい。
このファーブラシローラ511は、感光体515の回転方向と逆方向(カウンター)に所定の周速度(表面の速度)をもって回転駆動され、感光体面に対して速度差を持って接触する。そして、このブラシローラ511に電源514から所定の帯電電圧が印加されることで、回転感光体面が所定の極性・電位に一様に接触帯電処理される。
本実施形態において、該ファーブラシローラ511による感光体515の接触帯電は、直接注入帯電が支配的となって行なわれ、回転感光体表面はファーブラシローラ511に対する印加帯電電圧とほぼ等しい電位に帯電される。
前記帯電部材の形状としては、ファーブラシローラ511の他にも、帯電ローラ、ファーブラシなど、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。帯電ローラを用いる場合、芯金上に100,000Ω・cm程度の中抵抗ゴム層を被膜して用いるのが一般的である。
<<磁気ブラシ式帯電装置>>
前記磁気ブラシ式帯電装置において、磁気ブラシは、例えば、Zn−Cuフェライト、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。
図2は、磁気ブラシ式帯電装置の例の概略構成を示した図でもある。被帯電体、静電潜像担持体としての感光体515は、矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。この感光体515に対して、磁気ブラシによって構成されるブラシローラ511が、ブラシ部513の弾性に抗して、所定の押圧力をもって所定のニップ幅で接触させてある。
前記接触帯電部材としての磁気ブラシとしては、平均粒径25μmのZn−Cuフェライト粒子と、平均粒径10μmのZn−Cuフェライト粒子を、質量比1:0.05で混合して、それぞれの平均粒径の位置にピークを有する、平均粒径25μmのフェライト粒子を、中抵抗樹脂層でコートした磁性粒子を用いた。前記接触帯電部材は、上述で作製された被覆磁性粒子、及び、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成され、前記被覆磁性粒子をスリーブ上に、厚さ1mmでコートして、感光体との間に幅約5mmの帯電ニップを形成した。また、前記磁性粒子保持スリーブと感光体との間隙は、約500μmとした。さらに、マグネットロールは、スリーブ表面が、感光体表面の周速に対して、その2倍の速さで逆方向に摺擦するように、回転され、感光体と磁気ブラシとが均一に接触するようにした。
<露光工程>
前記露光工程は、前記帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する工程である。
前記露光に用いる露光手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<現像工程>
前記現像工程は、前記静電潜像を本発明のトナーを用いて現像してトナー像を形成する工程である。
前記感光体の潜像を現像するに際しては、交互電界を印加することが好ましい。図3に示した現像器600において、現像時、現像スリーブ601には、電源602により現像バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳した振動バイアス電圧が印加される。背景部電位と画像部電位は、前記振動バイアス電位の最大値と最小値の間に位置している。これによって現像部603に向きが交互に変化する交互電界が形成される。この交互電界中で現像剤のトナーとキャリアが激しく振動し、トナー605が現像スリーブ601及びキャリアへの静電的拘束力を振り切って感光体604に飛翔し、感光体の潜像に対応して付着する。なお、トナー605は、本発明のトナーである。
前記振動バイアス電圧の最大値と最小値の差(ピーク間電圧)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.5kV〜5kVが好ましい。前記ピーク間電圧が、0.5kVよりも小さいと、画像濃度が低くなることがあり、5kVよりも大きいと、字汚れが悪化することがある。
前記振動バイアス電圧の周波数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1kHz〜10kHzが好ましい。
前記振動バイアス電圧の周波数が1kHzよりも小さいと、字汚れが悪化することがあり、10kVよりも大きいと、トナー飛散が悪化することがある。
前記振動バイアス電圧の波形は、矩形波、サイン波、三角波、などが使用できる。振動バイアスの直流電圧成分は、背景部電位と画像部電位の間の値であるが、画像部電位よりも背景部電位に近い値である方が、背景部電位領域へのかぶりトナーの付着を防止する上で好ましい。
前記振動バイアス電圧の波形が矩形波の場合、デューティ比を50%以下とすることが好ましい。ここで、前記デューティ比とは、振動バイアスの1周期中でトナーが感光体に向かおうとする時間の割合である。このようにすることにより、トナーが感光体に向かおうとするピーク値とバイアスの時間平均値との差を大きくすることができるので、トナーの運動がさらに活発化し、トナーが潜像面の電位分布に忠実に付着してざらつき感や解像力を向上させることができる。また、トナーと逆極性の電荷を有するキャリアが、感光体に向かおうとするピーク値とバイアスの時間平均値との差を小さくすることができるので、キャリアの運動を沈静化し、潜像の背景部にキャリアが付着する確率を大幅に低減することができる。
<一次転写工程>
前記一次転写工程は、前記トナー像を中間転写体上に転写する工程である。
<二次転写工程>
前記二次転写工程は、前記中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体上に転写する工程である。
前記トナー像の記録媒体への転写の線速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300mm/sec〜1,000mm/secが好ましい。
前記二次転写工程における、二次転写手段のニップ部での転写時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5msec〜20msecが好ましい。
<定着工程>
前記定着工程は、前記記録媒体上に転写されたトナー像を前記記録媒体上に定着させる工程である。
<<定着装置>>
前記定着工程において用いられる定着装置としては、例えば、図4に示した定着装置700が挙げられる。図4に示す定着装置700は、誘導加熱手段760の電磁誘導により加熱される加熱ローラ710と、加熱ローラ710と平行に配置された定着ローラ720(対向回転体)と、該加熱ローラ710と定着ローラ720とに張り渡され、該加熱ローラ710により加熱されるとともに少なくともこれらの何れかのローラの回転により矢印A方向に回転する無端帯状の定着ベルト(耐熱性ベルト、トナー加熱媒体)730と、該定着ベルト730を介して定着ローラ720に圧接されるとともに定着ベルト730に対して順方向に回転する加圧ローラ740(加圧回転体)とから構成されている。
加熱ローラ710は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、又は、これら金属の合金等の中空円筒状の磁性金属部材からなり、外径を、例えば、20mm〜40mmとし、肉厚を、例えば、0.3mm〜1.0mmとして、低熱容量で昇温の早い構成となっている。
定着ローラ720(対向回転体)は、例えば、ステンレススチール等の金属製の芯金721と、耐熱性を有するシリコーンゴムをソリッド状または発泡状にして芯金721を被覆した弾性部材722とからなる。そして、加圧ローラ740からの押圧力でこの加圧ローラ740と定着ローラ720との間に所定幅の接触部を形成するために外形を20mm〜40mm程度として加熱ローラ710より大きくしている。弾性部材722は、その肉厚を4mm〜6mm程度としている。この構成により、加熱ローラ710の熱容量は、定着ローラ720の熱容量より小さくなるので、加熱ローラ710が急激に加熱されてウォームアップ時間が短縮される。
加熱ローラ710と定着ローラ720とに張り渡された定着ベルト730は、誘導加熱手段760により加熱される加熱ローラ710との接触部位(W1)で加熱される。そして、加熱ローラ710と定着ローラ720の回転によって定着ベルト730の内面が連続的に加熱され、結果としてベルト全体に渡って加熱される。図4中、符号742は、弾性部材を示し、符号750は、温度検知部材を示す。
図5に定着ベルト730の層構成を示す。ベルト730の構成は、内層から表層に向かって下記4層であり、以下のようにすることができる。
・基体731:ポリイミド(PI)樹脂などの樹脂層
・発熱層732:Ni、Ag、SUS等の導電材料層
・中間層733:均一定着のための弾性層
・離型層734:離型効果とオイルレス化のための弗素樹脂材料等の樹脂層
離型層734の厚さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10μmから300μm程度が好ましく、特に、200μm程度が好ましい。このようにすれば、図4に示すような定着装置700において、記録媒体770上に形成されたトナー像(T)を定着ベルト730の表層部が十分に包み込むため、トナー像(T)を均一に加熱溶融することが可能になる。離型層734の厚さ、即ち、表面離型層は、経時耐磨耗性を確保するためには最低10μmは必要である。また、離型層734の厚さが300μmよりも大きい場合には、定着ベルト730の熱容量が大きくなってウォームアップにかかる時間が長くなる。さらに、トナー像定着工程において定着ベルト730の表面温度が低下しにくくなって、定着部出口における融解したトナーの凝集効果が得られず、定着ベルト730の離型性が低下してトナー像(T)のトナーが定着ベルト730に付着し、いわゆるホットオフセットが発生する。なお、定着ベルト730の基体として、上記金属からなる発熱層732としてもよいが、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、などの耐熱性を有する樹脂層を用いてもよい。
加圧ローラ740は、例えば、銅又はアルミ等の熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金741と、この芯金741の表面に設けられた耐熱性およびトナー離型性の高い弾性部材742とから構成されている。芯金741には、上記金属以外にSUSを使用してもよい。加圧ローラ740は、定着ベルト730を介して定着ローラ720を押圧して定着ニップ部(N)を形成しているが、本実施形態では、加圧ローラ740の硬度を定着ローラ720に比べて硬くすることによって、加圧ローラ740が定着ローラ720(及び定着ベルト730)へ食い込む形となり、この食い込みにより、記録媒体770は加圧ローラ740表面の円周形状に沿うため、記録媒体770が定着ベルト730表面から離れやすくなる効果を持たせている。この加圧ローラ740の外径は、定着ローラ720と同じ20mm〜40mm程度であるが、肉圧は、0.5mm〜2.0mm程度で定着ローラ720より薄く構成されている。
電磁誘導により加熱ローラ710を加熱する誘導加熱手段760は、図4に示すように、磁界発生手段である励磁コイル761と、この励磁コイル761が巻き回されたコイルガイド板762とを有している。コイルガイド板762は、加熱ローラ710の外周面に近接配置された半円筒形状をしており、励磁コイル761は、長い一本の励磁コイル線材をこのコイルガイド板762に沿って加熱ローラ710の軸方向に交互に巻き付けたものである。なお、励磁コイル761は、発振回路が周波数可変の駆動電源(図示せず)に接続されている。励磁コイル761の外側には、フェライト等の強磁性体よりなる半円筒形状の励磁コイルコア763が、励磁コイルコア支持部材764に固定されて励磁コイル761に近接配置されている。
<画像形成装置>
前記画像形成装置は、少なくとも、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、一次転写手段と、二次転写手段と、定着手段と、クリーニング手段とを含み、さらに、必要に応じて適宜選択した、その他の手段を有する。
図7において、画像形成装置100は、電子写真方式によるカラー画像形成を行なうための画像書込部120Bk、120C、120M、120Y、画像形成部130Bk、130C、130M、130Y、給紙部140から主に構成されている。画像信号を元に、画像処理部(図示せず)で画像処理を行ない、画像形成用の黒(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色信号に変換し、画像書込部120Bk、120C、120M、120Yに送信する。画像書込部120Bk、120C、120M、120Yは、例えば、レーザ光源、回転多面鏡等の偏向器、走査結像光学系及びミラー群(いずれも図示せず)からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部130Bk、130C、130M、130Yに各色信号に応じた画像書込を行なう。
画像形成部130Bk、130C、130M、130Yは、黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の各感光体210Bk、210C、210M、210Yを備え、これらの各色用の感光体210Bk、210C、210M、210Yには、通常OPC感光体が用いられる。各感光体210Bk、210C、210M、210Yの周囲には、帯電装置215Bk、215C、215M、215Y、上記画像書込部120Bk、120C、120M、20Yからのレーザ光の露光部、各色用の現像装置200Bk、200C、200M、200Y、1次転写装置230Bk、230C、230M、230Y、クリーニング装置300Bk、300C、300M、300Y、除電装置(図示せず)等が配設されている。
なお、現像装置200Bk、200C、200M、200Yには、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。また、中間転写ベルト220が各感光体210Bk、210C、210M、210Yと1次転写装置230Bk、230C、230M、230Yとの間に介在し、この中間転写ベルト220に各感光体から各色のトナー像が順次重ね合わせて転写され、各感光体上のトナー像を担持する。
場合によっては、この中間転写ベルト220の外側で、最終色の1次転写位置通過後で2次転写位置通過前の位置に転写前帯電手段としてのプレ転写チャージャ(不図示)が配設されるのが好ましい。このプレ転写チャージャ(不図示)は、上記1次転写部で感光体210に転写された中間転写ベルト220上のトナー像を記録媒体としての転写紙に転写する前に、トナー像をトナー像と同極性に均一に帯電するものである。
各感光体210Bk、210C、210M、210Yから転写された中間転写ベルト220上のトナー像は、ハーフトーン部及びベタ部を含んでいたりトナーの重ね合せ量が異なる部分を含んでいたりするため、帯電量がばらついている場合がある。また、中間転写ベルト移動方向における1次転写部の隣接下流側の空隙に発生する剥離放電により、1次転写後の中間転写ベルト220上のトナー像内に帯電量のばらつきが発生する場合もある。
このような同一トナー像内の帯電量のばらつきは中間転写ベルト220上のトナー像を転写紙に転写する2次転写部における転写余裕度を低下させてしまう。そこで、プレ転写チャージャで転写紙へ転写する前のトナー像をトナー像と同極性に均一に帯電することにより、同一トナー像内の帯電量のばらつきを解消し、2次転写部における転写余裕度を向上させている。図中、符号250Bk、250C、250M、250Yは、各色のトナー移送管を示す。
以上、この画像形成方法によれば、各感光体210Bk、210C、210M、210Yから転写した中間転写ベルト220上のトナー像をプレ転写チャージャ(不図示)で均一に帯電することにより、中間転写ベルト220上のトナー像内に帯電量のばらつきがあっても、2次転写部における転写特性を、中間転写ベルト220上のトナー像の各部に渡ってほぼ一定にすることができる。従って、転写紙へ転写する時の転写余裕度の低下を抑え、トナー像を安定して転写できる。
なお、この画像形成方法において、プレ転写チャージャで帯電される帯電量は、帯電対象物である中間転写ベルト220の移動速度に依存して変化する。例えば、中間転写ベルト220の移動速度が遅ければ、中間転写ベルト220上のトナー像の同一部分がプレ転写チャージャによる帯電領域を通過する時間が長くなるので、帯電量が大きくなる。逆に、中間転写ベルト220の移動速度が速いと、中間転写ベルト220上のトナー像の帯電量が小さくなる。従って、中間転写ベルト220上のトナー像がプレ転写チャージャによる帯電位置を通過している途中に中間転写ベルト220の移動速度が変化するような場合には、その中間転写ベルト220の移動速度に応じて、トナー像に対する帯電量が途中で変化しないようにプレ転写チャージャを制御することが好ましい。
1次転写装置230Bk、230C、230M、230Yの間に導電性ローラ241、242、243が設けられている。そして、転写紙は給紙部140から給紙された後、レジストローラ対160を介して転写ベルト(不図示)に担持され、中間転写ベルト220と転写ベルト(不図示)が接触するところで2次転写ローラ170により中間転写ベルト220上のトナー像が転写紙に転写され、カラー画像形成が行なわれる。
そして、画像形成後の転写紙は2次転写ベルト180で定着装置150に搬送され、画像が定着されてカラー画像が得られる。転写されずに残った中間転写ベルト220上のトナーは、中間転写ベルトクリーニング装置(不図示)によってベルトから除去される。
転写紙への転写前の中間転写ベルト220上のトナー極性は、現像時と同じマイナス極性であるため、2次転写ローラ170にはプラスの転写バイアス電圧が印加され、トナーは転写紙上に転写される。この部分でのニップ圧が転写性に影響し、定着性に大きく影響する。また、転写されずに残った中間転写ベルト220上のトナーは、転写紙と中間転写ベルト220とが離れる瞬間にプラス極性側に放電帯電され、0〜プラス側に帯電される。
なお、転写紙のジャム時や非画像域に形成されたトナー像は、2次転写の影響を受けないため、もちろんマイナス極性のままである。
感光体層の厚みを30μmとし、光学系のビームスポット径を50μm×60μm、光量を0.47Mwとしている。感光体(黒)210Bkの帯電(露光側)電位V0を−700V、露光後電位VLを−120Vとして現像バイアス電圧を−470Vすなわち現像ポテンシャル350Vとして現像工程が行なわれるものである。感光体(黒)210Bk上に形成されたトナー(黒)の顕像はその後、転写(中間転写ベルト及び転写紙)、定着工程を経て画像として完成される。転写は最初、1次転写装置230Bk、230C、230M、230Yから中間転写ベルト220へ全色転写された後、更に別の2次転写ローラ170へのバイアス印加により転写紙へ転写される。
次に、感光体クリーニング装置について詳細に説明する。図7において、各現像装置200Bk、200C、200M、200Yと各クリーニング装置300Bk、300C、300M、300Yとは、各々トナー移送管250Bk、250C、250M、250Yで接続されている(図7中の破線)。そして、各トナー移送管250Bk、250C、250M、250Yの内部には、スクリュー(図示せず)が入っており、各クリーニング装置300Bk、300C、300M、300Yで回収されたトナーが、各現像装置200Bk、200C、200M、200Yへ移送されるようになっている。
従来の4つの感光体ドラムとベルト搬送との組合せによる直接転写方式では、感光体と転写紙が当接することにより紙粉が付着しトナーを回収すると紙粉が含有しているので、画像形成時にトナー抜け等の画像劣化をきたし使用することができなかった。更に、従来の一つの感光体ドラムと中間転写とを組合せたシステムでは、中間転写体の採用で転写紙転写時の感光体への紙粉付着はなくなったが、感光体への残トナーのリサイクルを行おうした場合、混色したトナーを分離することは実用上不可能である。また、混色トナーを黒トナーとして使用する提案があるが、全色混合しても黒にならず、プリントモードにより色が変化するため1つの感光体の構成ではトナーリサイクルは不可能であった。
これに対して、このフルカラーが造形性装置では、中間転写ベルト220を使用するので紙粉の混入が少なく、かつ、紙転写時の中間転写ベルト220への紙粉の付着も防止される。各感光体210Bk、210C、210M、210Yが独立した色のトナーを使用するので各感光体クリーニング装置300Bk、300C、300M、300Yを接離する必要もなく、確実にトナーのみを回収することができる。
上記中間転写ベルト220上に残ったプラス帯電されたトナーは、マイナス電圧が印加された導電性ファーブラシ262でクリーニングされる。導電性ファーブラシ262への電圧印加方法は、導電性ファーブラシ261と極性が異なるだけで全く同一である。転写されずに残ったトナーも2つの導電性ファーブラシ261、262でほとんどクリーニングされる。ここで、導電性ファーブラシ262でクリーニングされずに残ったトナー、紙粉、タルク等は、導電性ファーブラシ262のマイナス電圧により、マイナス帯電される。次の黒色の1次転写は、プラス電圧による転写であり、マイナス帯電したトナー等は中間転写ベルト220側に引き寄せられるため、感光体(黒)210Bk側への移行は防止できる。
次に、この画像形成装置に使用される中間転写ベルト220について説明する。中間転写ベルトは前述のとおり、単層の樹脂層であることが好ましいが、必要に応じて、弾性層や、表層を保有してもよい。
上記樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
また、上記弾性層を構成する弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)としては、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)、などからなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
また、上記表層の材料は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、中間転写ベルト表面へのトナーの付着力を小さくして2次転写性を高めるものが要求される。
例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上を使用し表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、例えば、フッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、二酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上または粒径を異ならしたものを分散させ使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行なうことで表面にフッ素リッチな層を形成させ表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
上記樹脂層や弾性層には、抵抗値調節用導電剤が添加される。この抵抗値調節用導電剤は特に制限はないが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。上記導電剤に限定されるものではないことは当然である。
図8は、本発明の画像形成方法において使用される画像形成装置の他の例を示すもので、タンデム型間接転写方式の電子写真式の画像形成装置を備えた複写装置100である。図8中、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写装置本体110上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。複写装置本体110には、中央に、無端ベルト状の中間転写体50を設ける。そして、図8に示すとおり、この例では3つの支持ローラ14、15、16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。この図示例では、3つのなかで第の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体50上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設ける。また、3つのなかで第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写体50上には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム型現像器120を構成する。
このタンデム型現像器120の上には、図8に示すように、さらに露光装置21を設ける。一方、中間転写体50を挟んでタンデム型現像器120と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写体50を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写体50上の画像をシートに転写する。2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合はこのシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
なお、図示例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム型現像器120と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
さて、タンデム型間接転写方式の電子写真式の画像形成装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台130上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14、15、16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体50を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体10を回転して各感光体10K、10Y、10M、10C上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体50の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体50上に合成カラー画像を形成する。
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ142の1つを選択回転し、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシートを繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に入れ、搬送ローラ147で搬送して複写装置本体110内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
または、手差給紙ローラ(不図示)を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ58で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写体50上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体50と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
一方、画像転写後の中間転写体50は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体50上に残留する残留トナーを除去し、タンデム型現像器120による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は、一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例中、各例における「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものであり、「モル」はモル比を意味する。
まず、実施例、比較例で用いた材料及び得られたトナーについての各種物性等の測定方法について述べる。
<平均炭素数>
平均炭素数の測定方法は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィGPC−150C(WATERS社製)を用い、カラムとしてSHODEX HT−806を使用、溶媒として0.1%のアイオノールを添加したo−ジクロロベンゼン、温度=135℃、流速=1ml/minにより数平均分子量を測定し、12で除した値である。
また、直鎖状の炭化水素含有率は、水素炎イオン化型ガスクロマトグラフ5890A(ヒューレットパッカード社製)を用い、分離用カラムとして35%ジメチルスルホラン2m×5mmφ、カラム温度250℃、キャリアーガスとしてヘリウム、キャリアーガス流速35ml/minの条件により測定した。
<トナーの平均粒子径>
トナーの体積平均粒子径(Dv)、個数平均粒子径(Dn)、Dv/Dnは、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Mutlisizer3 Version3.51)にて解析を行った。具体的には、ガラス製100mlビーカーに10%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬株式会社製)を0.5ml添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II;本多電子株式気社製)で10分間分散処理した。前記分散液を前記マルチサイザーIIIを用い、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター社製)を用いて測定を行った。測定は装置が示す濃度が8±2%になるように前記トナーサンプル分散液を滴下した。本測定法は粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。
<ガラス転移温度、融点の測定>
本発明におけるガラス転移点(Tg)、融点とは、具体的に次のような手順で決定される。
測定装置として島津製作所製TA−60WS、及びDSC−60を用い、次に示す測定条件で測定した。
(測定条件)
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50ml/min)
温度条件
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
測定した結果は前記島津製作所製データ解析ソフト(TA−60、バージョン1.52)を用いて解析を行った。
ガラス転移温度の解析方法は2度目の昇温のDSC微分曲線であるDrDSC曲線のもっとも低温側に最大ピークを示す点を中心として±5℃の範囲を指定し、解析ソフトのピーク解析機能を用いてピーク温度を求める。次にDSC曲線で前記ピーク温度+5℃、及び−5℃の範囲で解析ソフトのピーク解析機能をもちいてDSC曲線の最大吸熱温度を求める。ここで示された温度がトナーのTgに相当する。
融点の解析方法は2度目の昇温のDSC微分曲線であるDrDSC曲線のもっとも低温側に最大ピークを示す点を中心として±5℃の範囲を指定し、解析ソフトのピーク解析機能を用いてピーク温度を求める。ここで示された温度が融点に相当する。
ガラス転移点と融点の判別方法はDSC曲線において吸熱後DSC曲線が発熱方向に戻らない場合はガラス転移点であり、吸熱後DSC曲線が吸熱前のDSC曲線(ベースライン)に戻る場合融点と判別できる。
<動粘度>
動粘度は、JIS K2283の方法で測定した。
<定着特性>
トナーの定着特性は、以下のようにして評価した。リコー製imagio Neo 450に図9に示すベルト加熱定着装置を搭載した改造機にて評価を行った。なお、ベルトの基体は100μmのポリイミド、中間弾性層が100μmのシリコンゴム、表面のオフセット防止層が15μmのPFA、定着ローラーがシリコン発泡体、加圧ローラーの金属シリンダーがSUSで厚さ1mm、加圧ローラーのオフセット防止層がPFAチューブ+シリコンゴムで厚さ2mm、加熱ローラーが厚さ2mmのアルミ、面圧1×10Paの構成のものを用いた。
各特性評価の基準は以下のとおりである。
〔低温定着性−評価基準〕
5;120℃未満
4;120〜130℃
3;130〜140℃
2;140〜150℃
1;150℃以上
<分離性>
記録媒体の定着ベルトからの剥離に必要な力(すなわち、分離抵抗力)を、図2に示す記録媒体の押し付け力を測定する測定装置を用いて測定し、得られた結果に基づいて、分離性を評価した。図10において、記録媒体Sは、測定爪28に押し付けられる形で搬送される。この時の押し付け力を測定爪28他端に支点29を介して設けたロードセル27により読み取る。測定爪28は、図2に示すように、定着ローラー25及び加圧ローラー26の間のニップ部30直後、定着ローラー25側に設けられる。
ロードセル27により読み取られた値が、記録媒体Sを定着ローラー25から剥離するのに必要な力(分離抵抗力)であり、分離抵抗力の小さいほうが分離性が好ましい状態である。
この所定の条件の基に測定された分離抵抗力の大小により、定着ローラーからの記録媒体の分離が可能か否かを判断した。本評価では、定着温度160℃の分離抵抗力を該トナーの分離抵抗力とし、下記評価基準に基づいて分離性を評価した。
なお、測定時のトナー付着量は0.9g/cmとした。
〔分離抵抗力−評価基準〕
◎:0〜50gf
○:50〜200gf
△:200〜400gf
×:400gf以上
分離抵抗力が50gfである場合、余白が0mmであっても分離可能であり、200gf以下であれば、余白が2mm以上あれば分離可能であり、400gf以下であれば余白が4mm以上あれば分離可能であり、400gf超えは分離不可能で紙詰まりを起こす。
<耐熱保存性>
トナーを10gずつ計量し、20mlのガラス容器に入れ、150回ガラス瓶をタッピングした後、温度55℃、湿度80%にセットした恒温槽に24時間放置した後、針入度計で針入度を測定した。また低温低湿(10℃、15%)環境に保存したトナーも同様に針入度を評価し、高温高湿、低温低湿環境で、より針入度が小さい方の値を採用して評価した。良好なものから、5:25mm以上、4:20mm以上25mm未満、3:15mm以上〜20mm未満、2:10mm以上〜15mm未満、1:10mm未満、とした。
<総合評価>
低温定着性、分離抵抗力、耐熱保存性の三項目を評価し、評価ランクの合計から総合評価をした。良好なものから、◎:合計12点以上、○:合計9点〜10点以上、△:合計9点未満、×:合計9点未満かつ評価ランク1が含まれているもの、とした。
次に実施例に用いられたワックスについて、具体的に説明する。
<ワックスの製造>
〔ワックス1(モノエステルワックス1)〕
導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた4つロフラスコに、イコサノール(炭素数20)およびベヘニルミリステート(炭素数14)809.1gを加え、窒素気流下、220℃で反応水を留去しつつ、15時間常圧で反応させモノエステルワックス1を得た。
[ワックス2(モノエステルワックス2)]
イコサノール(炭素数20)の代わりに、ワックス2ではベヘニルアルコール(炭素数22)を用いてワックス1と同様にモノエステルワックス2を作成した。
[ワックス3(モノエステルワックス3)]
イコサノール(炭素数20)の代わりに、ワックス3ではトリアコンタニルアルコール(炭素数30)を用いてワックス1と同様にモノエステルワックス3を作成した。
[ワックス4(モノエステルワックス4)]
イコサノール(炭素数20)の代わりに、ワックス4ではテトラトリアコンタノール(炭素数34)を用いてワックス1と同様にモノエステルワックス4を作成した。
[ワックス5(モノエステルワックス5)]
イコサノール(炭素数20)の代わりに、ワックス5ではヘキサトリアコンタノール(炭素数36)、を用いてワックス1と同様にモノエステルワックス5を作成した。
[ワックス6(ライスワックス1)]
ライスワックスを得る方法は、ライスワックスの精製時にエステル化を促進させる方法、ライスワックスに多価アルコールを添加してエステル化せしめる方法、ライスワックスを加熱減圧下で融解させる方法、ライスワックスにアルカリ水溶液等の溶媒を添加し、アルコール分を抽出せしめる方法等、公知のライスワックスの精製方法を繰り返したり、それら精製方法を組み合わせることによって遊離脂肪酸と不純物の低融点のトリグリセリド類及び脂肪族炭化水素を除去、低減することで得ることができる。
また、米ぬかから抽出される粗ワックスとエタノールとの混合物を加温下で攪拌することにより、ワックスを含むコロイド粒子と、ソフトワックスを含むエタノール分とに分離した後、上記コロイド含有液からワックスを含むコロイド粒子を回収する精製方法なども好適に適用できる。
また、本発明におけるライスワックス1は、すでに市販されており、後述の比較例で用いたワックス6(ライスワックス1)にはそれを採用した。
[ワックス7(ライスワックス2)]
後述の実施例で用いたワックス7(ライスワックス2)には市販品を採用した。
[ワックス8(ライスワックス3)]
後述の実施例、比較例で用いたワックス8(ライスワックス3)には市販品を採用した。
[ワックス9(ライスワックス4)]
後述の実施例で用いたワックス9(ライスワックス4)には市販品を採用した。
[ワックス10(ライスワックス5)]
後述の比較例で用いたワックス10(ライスワックス5)には市販品を採用した。
[ワックス11(パラフィンワックス1)]
後述の比較例で用いたワックス11(パラフィンワックス1)には市販品を採用した。
これら各モノエステルワックス、ライスワックスの物性仕様を表1に示す。
Figure 2014153667
<トナー材料液調製>
−−未変性ポリエステル(低分子ポリエステル)の合成−−
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229質量部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物529質量部、テレフタル酸208質量部、アジピン酸46質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を投入し、常圧下、230℃にて8時間反応させた。次いで、該反応液を10〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸44質量部を添加し、常圧下、180℃にて2時間反応させて、未変性ポリエステルを合成した。
得られた未変性ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,500、重量平均分子量(Mw)が6,700、ガラス転移温度(Tg)が47℃、酸価が18mgKOH/gであった。
−−マスターバッチ(MB)の調製−−
水600質量部、前記着色剤としてのカーボンブラック(「Printex35」;デグサ社製、DBP吸油量=42ml/100g、pH=9.5)400質量部、及び前記未変性ポリエステル600質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。該混合物を二本ロールで150℃にて30分混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、マスターバッチを調製した。
−−ワックス分散剤の合成−−
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン600部、低分子量ポリエチレン(三洋化成工業(株)製 サンワックスLEL−400:軟化点128℃)300部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン2310部、アクリロニトリル270部、アクリル酸ブチル150部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート78部およびキシレン455部の混合溶液を175℃で3時間かけて滴下して重合し、さらにこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、ワックス分散剤を得た。
[実施例1]
−−ワックス分散液(1)の調製−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、前記未変性ポリエステル378質量部、ワックス2とワックス7からなるワックス総量110質量部、ワックス分散剤50質量部、及び酢酸エチル947質量部を仕込み、攪拌下80℃まで昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間かけて30℃まで冷却しワックス分散液(1)を得た。このとき混合組成比はワックス2:ワックス7=30:70で調製した。
−−有機溶剤相の調製−−
前記ワックス分散液(1)を2493質量部に、前記マスターバッチ500質量部、及び酢酸エチル1012質量部を仕込み、1時間混合して原料溶解液を得た。
得られた原料溶解液1324質量部を反応容器に移し、ビーズミル(「ウルトラビスコミル」;アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、及び0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスして、前記カーボンブラック及び前記ワックスの分散を行った。次いで、該分散液に前記未変性ポリエステルの65質量%酢酸エチル溶液1324質量部を添加した。上記同様の条件のビーズミルで1パスし、分散させ、有機溶剤相を調製した。
得られた有機溶剤相の固形分濃度(測定条件:130℃、30分の加熱による)は、50質量%であった。
−−プレポリマーの合成−−
−−−中間体ポリエステル1の合成−−−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下230℃で7時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2200、重量平均分子量9700、ピーク分子量3000、Tg54℃、酸価0.5mgKOH/g、水酸基価52mgKOH/gであった。
−−−プレポリマー1の合成−−−
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート質量%は、1.53質量%、固形分が49.1重量%であった。
−−ケチミン(活性水素基含有化合物)の合成−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170質量部及びメチルエチルケトン75質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(活性水素基含有化合物)を合成した。
得られたケチミン化合物(活性水素機含有化合物)のアミン価は418mgKOH/gであった。
−−トナー材料液の調製−−
反応容器中に、前記有機溶剤相749質量部、前記プレポリマー115質量部、及び前記ケチミン化合物2.9質量部、第3級アミン化合物(U−CAT660M 三洋化成工業社製)0.4質量部を仕込み、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて7.5m/sにて1分間混合してトナー材料液を調製した。
−有機樹脂微粒子分散液の調製−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」;三洋化成工業製)20質量部、スチレン78質量部、メタクリル酸78質量部、アクリル酸ブチル120質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌し、白色の乳濁液を得た。該乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温して5時間反応させた。次いで、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を添加し、75℃にて5時間熟成して、ビニル樹脂粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(有機樹脂微粒子分散液)を調製した。
得られた有機樹脂微粒子分散液に含まれる有機樹脂微粒子の体積平均粒子径(Dv)を、粒度分布測定装置(「nanotrac UPA−150EX」;日機装株式会社製)により測定したところ、55nmであった。また、該有機樹脂微粒子分散液の一部を乾燥して樹脂分を単離し、該樹脂分のガラス転移温度(Tg)を測定したところ、48℃であり、重量平均分子量(Mw)を測定したところ450,000であった。
−水系媒体相の調製−
水990質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業製)37質量部、前記有機樹脂微粒子分散液15質量部、及び酢酸エチル90質量部を、混合撹拌し、乳白色の液体(水系媒体相)を得た。
<トナー造粒工程>
−乳化乃至分散−
前記トナー材料液中に前記水系媒体相1200質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)で、周速15m/sにて20分間混合し、水中油滴型分散液(乳化スラリー)を調製した。
−有機溶剤の除去−
攪拌機及び温度計をセットした反応容器中に、前記粒径制御後の乳化スラリーを仕込み、30℃にて8時間脱溶剤した後、45℃にて4時間熟成を行い、分散スラリーを得た。
−洗浄及び乾燥−
前記分散スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数10.0m/sにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数10.0m/sにて10分間)した。このときのpHは6.3であった。
その後減圧濾過した。得られた濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数10.0m/sにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数10.0m/sにて10分間)した後濾過する操作を2回行った。そのときの水分散体は1回目pH6.2、2回目6.4であった。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数10.0m/sにて10分間)した後、10質量%塩酸溶液にてpH4に調整後1時間撹拌し濾過を行った。
得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数10.0m/sにて10分間)した後濾過する操作を2回行い最終濾過ケーキを得た。得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmのメッシュで篩い、実施例1のトナー母体粒子を得た。
−外添剤処理−
得られた実施例1のトナー母体粒子100質量部に対し、外添剤としての疎水性シリカ1.5質量部と、疎水化酸化チタン0.5質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合処理し、目開き35μmのメッシュで篩い、実施例1のトナーを製造した。
[実施例2]
ワックス分散液の調製において、ワックス7の代わりにワックス9を用いて実施例1と同様にトナーを作成した。このとき混合組成比はワックス2:ワックス9=30:70で調製した。
[実施例3]
ワックス分散液の調製において、ワックス2の代わりにワックス4を用いて実施例1と同様にトナーを作成した。このとき混合組成比はワックス4:ワックス7=30:70で調製した。
[実施例4]
ワックス分散液の調製において、ワックス2の代わりにワックス4、ワックス7の代わりにワックス9を用いて実施例1と同様にトナーを作成した。このとき混合組成比はワックス4:ワックス9=30:70で調製した。
[実施例5]
ワックス分散液の調製において、ワックス2の代わりにワックス3、ワックス7の代わりにワックス8を用いて実施例1と同様にトナーを作成した。このとき混合組成比はワックス3:ワックス8=45:55で調製した。
[実施例6]
ワックス分散液の調製において、ワックス2の代わりにワックス3、ワックス7の代わりにワックス8を用いて実施例1と同様にトナーを作成した。このとき混合組成比はワックス3:ワックス8=30:70で調製した。
[実施例7]
ワックス分散液の調製において、ワックス2の代わりにワックス3、ワックス7の代わりにワックス8を用いて実施例1と同様にトナーを作成した。このとき混合組成比はワックス3:ワックス8=30:70で調製した。また、該結着樹脂100重量部当りワックスを3重量部用いていたのに代わり、6重量部で調製した。
[実施例8]
ワックス分散液の調製において、ワックス2の代わりにワックス3、ワックス7の代わりにワックス5を用いて実施例1と同様にトナーを作成した。このとき混合組成比はワックス3:ワックス5=30:70で調製した。
[実施例9]
ワックス分散液の調製において、ワックス2の代わりにワックス3、ワックス7の代わりにワックス8を用いて実施例1と同様にトナーを作成した。このとき混合組成比はワックス3:ワックス8=10:90で調製した。
[比較例1]
ワックス分散液の調製において、ワックス2の代わりにワックス1、ワックス7の代わりにワックス6を用いて実施例1と同様にトナーを作成した。このとき混合組成比はワックス1:ワックス6=30:70で調製した。
[比較例2]
ワックス分散液の調製において、ワックス2の代わりにワックス1、ワックス7の代わりにワックス10を用いて実施例1と同様にトナーを作成した。このとき混合組成比はワックス1:ワックス10=30:70で調製した。
[比較例3]
ワックス分散液の調製において、ワックス2の代わりにワックス5、ワックス7の代わりにワックス10を用いて実施例1と同様にトナーを作成した。このとき混合組成比はワックス5:ワックス10=30:70で調製した。
[比較例4]
ワックス分散液の調製において、ワックス2の代わりにワックス3、ワックス7の代わりにワックス8を用いて実施例1と同様にトナーを作成した。このとき混合組成比はワックス3:ワックス8=44:56で調製した。
[比較例5]
ワックス分散液の調製において、ワックス2の代わりにワックス3、ワックス7の代わりにワックス8を用いて実施例1と同様にトナーを作成した。このとき混合組成比はワックス3:ワックス8=9:91で調製した。
[比較例6]
ワックス分散液の調製において、ワックス3のみを用いて実施例1と同様にトナーを作成した。
[比較例7]
ワックス分散液の調製において、ワックス8のみを用いて実施例1と同様にトナーを作成した。
[比較例8]
ワックス分散液の調製において、ワックス2の代わりにワックス11、ワックス7の代わりにワックス8を用いて実施例1と同様にトナーを作成した。このとき混合組成比はワックス11:ワックス8=45:55で調製した。
[比較例9]
ワックス分散液の調製において、ワックス11のみを用いて実施例1と同様にトナーを作成した。実施例及び比較例のトナーの評価結果を表2及び表3に示す。
Figure 2014153667
Figure 2014153667
(図1〜8について)
10 感光体
10Y、10C、10M、10K 各感光体
14 第1の支持ローラ
15 第2の支持ローラ
16 第3の支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
21 露光装置
22 2次転写手段
23 ローラ
24 2次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 手差しトレイ
53 給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
58 分離ローラ
62 1次転写装置(転写帯電器)
100 画像形成装置(複写装置)
120Bk 画像書込部(黒)
120C 画像書込部(シアン)
120M 画像書込部(マゼンダ)
120Y 画像書込部(イエロー)
130 原稿台
130Bk 画像形成部(黒)
130C 画像形成部(シアン)
130M 画像形成部(マゼンダ)
130Y 画像形成部(イエロー)
140 給紙部
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 定着装置
160 レジストローラ対
170 2次転写ローラ
180 転写ベルト
200 給紙テーブル
200Bk 現像装置(黒)
200C 現像装置(シアン)
200M 現像装置(マゼンダ)
200Y 現像装置(イエロー)
210Bk 感光体(黒)
210C 感光体(シアン)
210M 感光体(マゼンダ)
210Y 感光体(イエロー)
215Bk 帯電装置(黒)
215C 帯電装置(シアン)
215M 帯電装置(マゼンダ)
215Y 帯電装置(イエロー)
220 中間転写ベルト
230Bk 1次転写装置(黒)
230C 1次転写装置(シアン)
230M 1次転写装置(マゼンダ)
230Y 1次転写装置(イエロー)
241 導電性ローラ
242 導電性ローラ
243 導電性ローラ
250Bk トナー移送管(黒)
250C トナー移送管(シアン)
250M トナー移送管(マゼンダ)
250Y トナー移送管(イエロー)
260 中間転写ベルトクリーニング装置
261 導電性ファーブラシ
262 導電性ファーブラシ
300 スキャナ
300Bk クリーニング装置(黒)
300C クリーニング装置(シアン)
300M クリーニング装置(マゼンダ)
300Y クリーニング装置(イエロー)
400 原稿自動搬送装置(ADF)
500 ローラ式帯電装置
501 帯電ローラ
502 芯金
503 導電ゴム層
504 電源
505 感光体
510 ブラシ式帯電装置
511 ブラシローラ(ファーブラシローラ又は磁気ブラシローラ)
512 芯金
513 ブラシ部
514 電源
515 感光体
600 現像装置(現像器)
601 現像スリーブ
602 電源
603 現像部
604 感光体
605 トナー
700 定着装置
710 加熱ローラ
720 定着ローラ(対向回転体)
721 芯金
722 弾性部材
730 定着ベルト(耐熱性ベルト、トナー加熱媒体)
731 基体
732 発熱層
733 中間層
734 離型層
740 加圧ローラ(加圧回転体)
741 芯金
742 弾性部材
750 温度検知部材
760 誘導加熱手段
761 励磁コイル
762 コイルガイド板
763 励磁コイルコア
764 励磁コイルコア支持部材
770 記録媒体(記録材)
800 プロセスカートリッジ
801 感光体
802 帯電手段
803 現像手段
804 トナー
805 現像ローラ
806 クリーニング手段
A ベルトの回転方向
N 定着ニップ部
W1 接触部位
T トナー像
(図9について)
R1 定着ローラ
R2 加圧ローラ
R3 加熱ローラ
R4 クリーニングローラ
B 定着ベルト
P 加圧バネ
H 加熱源
G ガイド
(図10について)
25 定着ローラ
26 加圧ローラ
27 ロードセル
28 記録爪
29 支点
30 ニップ部
S 記録媒体
特開2012−83714号公報 特開2011−138120号公報 特開2011−64960号公報 特開2008−262094号公報 特許第3943791号公報 特許第3176297号公報 特許第3572490号公報 特許第3287733号公報 特開2002−212142号公報 特開2010−102024号公報 特開2011−32996号公報 特開2011−81262号公報 特開2011−8251号公報 特開2012−173622号公報 特開2011−195528号公報 特開2012−32479号公報 特開2012−78009号公報 特開2012−203051号公報

Claims (8)

  1. 少なくとも離型剤と樹脂と着色剤とからなる電子写真用トナーにおいて、該離型剤がDSCで測定された吸熱ピークが45度以上80℃以下、100℃における動粘度が1cSt以上15cSt以下であるモノエステルワックス(A)とDSCで測定された吸熱ピークが60℃以上85℃以下、100℃における動粘度が15cSt以上25cSt以下であるワックス(B)であり、その混合組成比がワックス(A):ワックス(B)=45:55〜10:90であることを特徴とする電子写真用トナー。
  2. 前記ワックス(A)が、合成ワックスであることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ワックス(B)が、ライスワックスであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記モノエステルワックス(A)の平均炭素数が36以上48個以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
  5. 前記モノエステルワックス(A)およびワックス(B)が前記結着樹脂100重量部当り3重量部以上6重量部以下含有されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真用トナーと外添剤を含む静電荷像現像剤。
  7. 少なくとも、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を請求項6に記載の現像剤により現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  8. 少なくとも、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を請求項6に記載の現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを経て、画像を得ることを特徴とする画像形成方法。
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