以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1〜図6は、本発明に係る定着装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像形成装置をタンデム型カラープリンタに適用した例を示している。
図1は、画像形成装置の構成を示す図である。図1において、画像形成装置1は、各色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kと、給紙部12と、定着装置20と、中間転写ユニット85と、ボトル収容部101とを備えている。
ボトル収容部101は、画像形成装置1の上方に設けられており、ボトル収容部101内には、各色に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱自在に設置されている。
中間転写ユニット85は、ボトル収容部101の下方に設けられており、中間転写ベルト78と、4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kと、中間転写クリーニング部80と、2次転写バックアップローラ82とを備えている。また、中間転写ユニット85は、クリーニングバックアップローラ83と、テンションローラ84とを備えている。
作像部4Y、4M、4C、4Kは、それぞれ中間転写ベルト78に対向するように並んで設けられている。作像部4Y、4M、4C、4Kは、それぞれ感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kと、帯電部75Y、75M、75C、75Kと、現像部76Y、76M、76C、76Kと、クリーニング部77Y、77M、77C、77Kと、除電部(不図示)とを備えている。
感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、駆動モータ(不図示)によって図1中時計方向に回転駆動される。感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上では、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程と、クリーニング工程との作像プロセスが実行される。
まず、帯電工程において、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、帯電部75Y、75M、75C、75Kの位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に一様に帯電される。
次いで、露光工程において、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、露光部3から発せられるレーザ光Ly、Lm、Lc、Lkの照射位置で、露光走査により感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に各色に対応した静電潜像が形成される。
次いで、現像工程において、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、現像装置76Y、76M、76C、76Kとの対向位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の静電潜像が現像される。これにより、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、各色のトナー像が形成される。
次いで、1次転写工程において、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、中間転写ベルト78および第1転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、わずかではあるが未転写トナーが残る。
次いで、クリーニング工程において、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、クリーニング部77Y、77M、77C、77Kとの対向位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に残った未転写トナーがクリーニング部77Y、77M、77C、77Kのクリーニングブレードによって機械的に回収される。
そして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、除電部との対向位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。
以上の作像プロセスを経ることにより、各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に形成される。
中間転写ベルト78は、2次転写バックアップローラ82と、クリーニングバックアップローラ83と、テンションローラ84とによって張力を有した状態で支持される。
4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kは、それぞれ、中間転写ベルト78を感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。また、1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kには、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
中間転写ベルト78は、2次転写バックアップローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に移動され、各1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。
これにより、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像は、中間転写ベルト78上に重ねて1次転写される。その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト78は、2次転写ローラ89との対向位置に達する。
中間転写ベルト78上に形成された4色のトナー像は、2次転写バックアップローラ82と2次転写ローラ89との間に中間転写ベルト78を挟み込んで形成された2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体P上に転写される。
そして、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80の位置に達し、中間転写ベルト78上に残る記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが回収される。
給紙部12は、画像形成装置1の下方に設けられており、給紙部12には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。
なお、記録媒体Pは、普通紙から構成されているが、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート等であってもよい。
次に、給紙部12から記録媒体Pを搬送するプロセスについて説明する。
まず、給紙部12に収納された中で一番上に位置する記録媒体Pは、給紙ローラ97が図1中反時計方向に回転駆動することにより、レジストローラ98a、98bの間に向けて搬送される。
次に、記録媒体Pは、レジストローラ98a、98bの間に設けられたローラニップの位置で一旦停止する。
そして、記録媒体Pは、中間転写ベルト78上のトナー像がくるタイミングに合わせて、レジストローラ98a、98bが回転駆動することで、2次転写ニップに向けて搬送される。これにより、記録媒体P上には、トナー像が転写される。
2次転写ニップの位置でトナー像が転写された記録媒体Pは、定着装置20の位置に搬送される。そして、記録媒体P上に転写されたトナー像は、ベルト部材としての定着ベルト21および回転体としての加圧ローラ22による熱と圧力によって記録媒体P上に定着され、これによりカラー画像が記録媒体Pに定着する。
カラー画像が定着した記録媒体Pは、排紙ローラ99a、99bの間を経て、画像形成装置1の外に排出され、出力画像として、スタック部100上にスタックされる。
以上で、画像形成装置1における、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2は、定着装置20の構成について説明する図である。
図2に示すように、定着装置20は、定着ベルト21と、加圧ローラ22と、熱源としてのヒータ23と、ニップ部形成部材24と、支持部材としてのステー25と、反射部材26と、温度センサ27と、分離部材28とを備える。また、定着装置20は、低摩擦部材としての低摩擦シート29と、潤滑剤供給部材30とを備える。
定着ベルト21は、薄肉で可撓性を有する無端状ベルトであり、図2中の矢印方向に回転する。ここで、無端状とは、ベルトの両端部を接合し、かつ、つなぎ目が存在しない状態をいう。
定着ベルト21は、低熱容量化を図るために厚さが薄型でかつ小径の積層構造であり、内周面側から、基材層、離型層が順次積層されていて、全体の厚さが1mm以下に設定され、直径が20〜40mmに設定されている。なお、これは例示であって、本発明は、これに限定されるものではない。
定着ベルト21の基材層は、層厚が20〜50μmであり、ニッケル、SUS等の金属材料やポリイミド(PI)等の樹脂材料で形成されている。なお、これは例示であって、本発明は、これに限定されるものではない。
定着ベルト21の離型層は、層厚が10〜50μmであり、PFA(テトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の材料で形成されている。離型層を設けることで、定着ベルト21は、記録媒体P上のトナー像Tに対する離型性が確保される。なお、これは例示であって、本発明は、これに限定されるものではない。また、離型とは、接着している物体同士が剥離することを意味し、離型性とは、物体同士の剥離しやすさを意味する。
ヒータ23は、ハロゲンヒータによって構成され、その両端部が定着装置20の側板(不図示)に固定されていて、プリンタ本体に設けられた電源部によって出力制御されることで発熱するように構成されている。ヒータ23の出力制御は、定着ベルト21の表面温度が定着ベルト21の表面に対向する温度センサ27に検知された結果に基づいて行われる。
また、定着装置20は、このようなヒータ23の出力制御によって、記録媒体P上のカラー画像を定着させる定着ベルト21の定着温度を、所望の温度に設定することができる。ここで、温度センサ27は、サーミスタ等によって構成されている。
ヒータ23は、定着ベルト21および後述する反射部材26と対向しており、輻射熱を発することでニップ部N以外の場所において定着ベルト21を直接加熱するように構成されている。
これにより、定着装置20は、ヒータ23による定着ベルト21の加熱効率が向上するため、省エネ性に優れるととともに、ファーストプリントタイムを短縮することができる。なお、ファーストプリントタイムとは、プリント開始指示を受けてから最初の1枚を記録媒体に印刷し、記録媒体を画像形成装置外に排出するのに必要な時間を意味する。
ニップ部形成部材24は、耐熱温度200℃以上の耐熱性部材であるポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱樹脂材料で構成されている。なお、これは例示であって、本発明は、これに限定されるものではない。
ニップ部形成部材24が耐熱樹脂材料で構成されることにより、定着装置20は、トナー定着温度域において、熱によるニップ部形成部材24の変形が防止され、安定したニップ部Nの状態を確保することができ、出力画質の安定化を図ることができる。
ニップ部形成部材24は、定着ベルト21の軸方向が長手方向になるように設けられ、基部24aから記録媒体Pの厚さ方向(以下、単に「厚さ方向」という。)に突出した接触部24bがステー25に接触することで、ステー25に固定支持されている。
ニップ部形成部材24がステー25に固定支持されることにより、定着装置20は、加圧ローラ22による圧力でニップ部形成部材24に撓みが生じるのが防止され、長手方向に渡って均一なニップ幅を得ることができる。
ニップ部形成部材24は、ステー25の機械的強度を確保するためにステー25と比して小型に形成されている。ニップ部形成部材24およびステー25の詳細な構造については、後述する。
また、ニップ部形成部材24は、ニップ部Nにおいて、表面の摩擦係数が小さい低摩擦シート29を介して定着ベルト21の内周面と接触する。低摩擦シート29を設けることで、定着装置20は、ニップ部形成部材24と定着ベルト21との間に生じる摩擦力が軽減されるため、定着ベルト21が回転する場合に生じる駆動トルクが軽減される。
これにより、ニップ部形成部材24は、定着ベルト21との間に生じる摩擦力によって摩耗することが防止される。
ニップ部形成部材24は、ステー25と対向し、かつ、ステー25と接触しない空間24c内に、後述する潤滑剤供給部材30が設けられている。なお、ニップ部形成部材24および潤滑剤供給部材30の詳細な構造ついては、後述する。
ステー25は、ニップ部Nを形成するニップ部形成部材24を補強、支持するものであり、後述するベルト保持部材40に固定されて位置決めされている。ステー25は、ニップ部形成部材24、低摩擦シート29および定着ベルト21を介して加圧ローラ22に接触することで、ニップ部Nにおいてニップ部形成部材24が加圧ローラ22の加圧力を受けて撓みを生じ、大きく変形する不具合の発生を抑止している。
ステー25は、上述した機能を満足するために、ステンレスや鉄合金等の機械的強度が高い金属材料で形成することが望ましいが、樹脂材料によって形成することも可能である。なお、ステー25の詳細な構造については、後述する。
反射部材26は、ステー25に固定されることで、ステー25とヒータ23との間に設けられている。反射部材26は、ヒータ23から反射部材26に向けて発せられる輻射熱および輻射光(以下、単に「輻射熱」とする。)を定着ベルト21に向けて反射するヒータ23を中心とする同心円状に形成された反射面26aを有する。また、反射部材26は、ヒータ23によって直接加熱されることから、融点が高い金属材料等によって形成されている。
反射部材26の反射面26aは、反射率が90%以上に設定されている。なお、これは例示であり、本発明は、これに限定されるものではない。
反射部材26を設けることで、定着装置20は、定着ベルト21に照射される輻射熱を多くすることができ、定着ベルト21を効率よく加熱することできる。また、定着装置20は、ヒータ23からの輻射熱がステー25等に伝達されるのを抑制できるため、省エネルギー化を図ることができる。
分離部材28は、定着装置20に固定されており、ニップ部Nにおいてカラー画像が定着した記録媒体Pと接触することにより、記録媒体Pを定着ベルト21の表面から分離させる。
加圧ローラ22は、ニップ部Nの位置で定着ベルト21の外周面に接触するように設けられた直径が20〜40mm程度のローラであり、耐熱性中実構造の芯金22a上に弾性層22bが形成され、弾性層22bの表面に薄肉の離型層22cが形成されている。なお、これは例示であって、本発明は、これに限定されるものではない。
加圧ローラ22は、図示しない加圧機構によって、定着ベルト21、低摩擦シート29およびニップ部形成部材24に押付けられることで、弾性層22bが押しつぶされる。これにより、定着装置20は、加圧ローラ22と定着ベルト21との間に記録媒体Pが搬送される所望のニップ部Nが形成される。
加圧ローラ22は、画像形成装置本体に設けられた図示しないモータ等の駆動機構によって、図2中の矢印方向に回転駆動され、ニップ部Nにおいて定着ベルト21に駆動力を伝達し、定着ベルト21を従動回転させる。
加圧ローラ22の弾性層22bは、発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の材料で形成され、厚さが100μm以上に設定されている。また、加圧ローラ22の離型層22cは、PFA、PTFE等の材料で形成されている。なお、これは例示であって、本発明は、これに限定されるものではない。
弾性層22bの厚さが100μm以上のため、定着装置20は、弾性層22bの弾性変形によって定着ベルト21の表面の微小な凹凸を吸収し、記録媒体Pにカラー画像を定着する場合に、柚子肌画像が発生することを防止することができる。ここで、柚子肌画像とは、表面に多数の微小な凹凸が形成された画像のことを意味する。
次に、上述のように構成された定着装置20の、通常時の動作について簡単に説明する。
画像形成装置1の電源スイッチが投入されると、ヒータ23に電力が供給されるとともに、加圧ローラ22の図2中の矢印方向の回転駆動が開始される。
これにより、定着ベルト21は、加圧ローラ22との摩擦力によって図2中の矢印方向に従動回転する。その後、給紙部12から記録媒体Pが給送されて、2次転写ローラ89の位置で、記録媒体P上に未定着のトナー像Tが転写される。
未定着のトナー像Tが転写された記録媒体Pは、不図示のガイド板に案内されながら図2の矢印A1方向に搬送されて、押付けられた状態にある定着ベルト21および加圧ローラ22のニップ部に搬入される。
そして、ヒータ23によって加熱された定着ベルト21による加熱と、ステー25によって補強されたニップ部形成部材24と加圧ローラ22とによる押付ける力とによって、記録媒体Pの表面のカラー画像は、記録媒体Pに定着される。
カラー画像が定着された記録媒体Pは、ニップ部Nから矢印A2方向に搬送される、記録媒体Pの先端が分離部材28の先端に接触することにより、定着ベルト21から分離する。その後、分離された記録媒体Pは、排紙ローラ99a、99bによって、画像形成装置1の外に排出され、出力画像として、スタック部100上にスタックされる。
図3(a)〜(c)は、定着装置20の定着ベルト21の端部の構成を示す図である。なお、図3(a)〜(c)では、片側の端部の構成のみを図示しているが、単体側の端部も同様の構成となっている。
図3(a)、(b)に示すように、定着装置20は、定着ベルト21の端部にベルト保持部材40と、定着ベルト21の端部を保護する保護部材としてのスナップリング41と、図示しない遮蔽部材とを備えている。
図3(c)に示すように、ベルト保持部材40は、ニップ部形成部材24が取付けられるニップ部Nの位置が開口した略円筒形状に形成されており、定着ベルト21の端部を回転可能に保持する。
図3(a)、(b)に示すように、スナップリング41は、定着ベルト21の端面とそれに対抗するベルト保持部材40の対向面との間に設けられ、ベルト保持部材40の外周に対して余裕を持った状態で定着装置20に嵌められている。
また、スナップリング41は、耐熱性に優れたPEEK、PPS、PAI等のいわゆるスーパーエンジニアプラスチックによって形成されている。なお、これは例示であり、本発明は、これに限定されるものではない。
スナップリング41は、定着ベルト21に軸方向の寄りが生じた場合に、定着ベルト21の端部とベルト保持部材とが直接接触するのを防止し、定着ベルト21の端部の摩耗および劣化を防止する。
また、スナップリング41は、ベルト保持部材40の外周に対して余裕を持った状態で定着装置20に嵌められているため、定着ベルト21の端部が接触した場合に、定着ベルト21とともに回転することが可能になっている。
遮蔽部材は、定着ベルト21とヒータ23との間に設けられ、ヒータ23からの輻射熱を遮蔽する。これにより、定着装置20は、記録媒体Pが連続して搬送された場合に、定着ベルト21の記録媒体Pが通過しない非通過領域における過剰な温度上昇を抑制することができ、定着ベルト21の熱による劣化を防止することができる。
図4は、ニップ部形成部材24およびステー25の構成について説明する図である。
図4に示すように、ステー25は、基部25aと、突出部25bとを有する。
基部25aは、記録媒体Pの搬送方向(以下、単に「搬送方向」という。)の幅がニップ部形成部材24の搬送方向の幅よりも大きく形成されており、ニップ部形成部材24の接触部24bと接触している。
基部25aと接触部24bとが接触することで、ニップ部形成部材24は、ニップ部Nにおいて加圧ローラ22の加圧力を受けた場合に、加圧ローラ22の加圧力によって撓みを生じ大きく変形することが抑止される。
突出部25bは、基部25aの搬送方向上流側および下流側の各端部に設けられており、基部25aの各端部から厚さ方向に突出し、突出部25bの先端が定着ベルト21の内周面に近接している。
また、搬送方向上流側の突出部25bには、反射部材26が設けられている。そのため、各突出部25bの端部は、反射部材26によってヒータ23から発せられる輻射熱から保護されている。
突出部25bの突出量は、突出部25bの先端を覆う反射部材26と定着ベルト21の内周面との厚さ方向における間隔dが所定値の範囲内に収まり、反射部材26および定着ベルト21が接触しないように設定されている。
ステー25は、突出部25bの先端を定着ベルト21の内周面に近接するように形成することで、突出部25bを厚さ方向に長く設けることができる。これにより、ステー25は、突出部25bが厚さ方向に延びて存在する横長の断面積を有するため、断面係数が大きくなり、機械的強度を向上させることができる。
ここで、ニップ部形成部材24は、基部24aの搬送方向上流側の端部の厚さ方向高さh1と、基部24aの搬送方向下流側の端部の厚さ方向高さh2とは、基部24aおよび接触部24bの厚さ方向高さを合わせた高さh3以下になるように構成されている。
このようなニップ部形成部材24の基部24aの構成により、定着装置20は、ステー25の基部25aの搬送方向上流側および下流側の各端部と定着ベルト21の内周面との間にニップ部形成部材24が介在しない構成となる。
これにより、定着装置20は、定着ベルト21内の限られたスペース内で大きなステー25を設けることができるようになり、ステー25の機械的強度を向上させることができる。
また、定着ベルト21は、端部がニップ部形成部材24およびベルト保持部材40によってガイドされ、端部以外がニップ部形成部材24にガイドされるよう構成されている。
すなわち、定着装置20は、定着ベルト21とステー25との間にニップ部形成部材24以外のガイド部材を設けていないため、定着ベルト21により近接できる大きさのステー25を設けることができ、ステー25の機械的強度を向上させることができる。
また、定着装置20は、ステー25の両突出部25bの内側または両突出部25bの内面の延長線Lよりも内側に、ヒータ23を設けている。これにより、定着装置20は、ヒータ23およびステー25を定着ベルト21内にコンパクトに収容することができる。
ここで、一般に、熱源によって直接ベルト部材を加熱する定着装置は、熱源と近い部分においてベルト部材の温度が高くなる一方、熱源と遠い部分においてベルト部材の温度が低くなる傾向にある。このような定着装置は、ベルト部材の温度が局所的に急上昇し、ベルト部材が劣化するといった問題がある。
本実施の形態に係る定着装置20は、ヒータ23をステー25の内側に収容して、定着ベルト21への輻射熱の照射範囲を比較的距離のばらつきの少ない範囲に絞ることで、加熱温度のばらつきを抑制している。これにより、定着装置20は、定着ベルト21の温度が局所的に急上昇することを防ぎ、画像品質を向上させることができる。
このように、ステー25の突出部25bの先端を定着ベルト21の内周面に近接するように形成することで、定着装置20は、ステー25の機械的強度を向上させることができる。これにより、定着装置20は、加圧ローラ22の加圧力によってニップ部形成部材24に撓みが生じ大きく変形することを抑止することができる。
また、ニップ部形成部材24の撓みによる変形が抑止されることにより、定着装置20は、ニップ部Nをニップ部形成部材24の長手方向に渡って均一に形成することができるようになり、良好な画像を得ることができる。
また、定着ベルト21を小径化した構成においては、ステー25を設けるスペースも小さくなるが、上記構成を適用することで、突出部25bを厚さ方向に長く設けることができ、ステー25の機械的強度を向上させることができる。
また、定着装置20は、ニップ部形成部材24が小さく形成されるとともに、定着ベルト21およびステー25の間に別途ガイド部材を設けない構成のため、定着ベルト21内にステー25を設けるスペースを大きく確保することができる。
これにより、定着装置20は、ステー25を十分な大きさに形成することができ、加圧ローラ22の加圧力によってニップ部形成部材24に撓みが生じ大きく変形することをより確実に抑止することができる。
図5、図6は、ニップ部形成部材24、低摩擦シート29および潤滑剤供給部材30の構成について説明する図である。
図5、図6に示すように、ニップ部形成部材24は、基部24aと、接触部24bと、空間24cと、表面部24dと、流路24eと、穴部24fと、溝部24gとによって構成されている。
基部24aは、長手方向に渡って設けられており、ステー25と対向する面に接触部24bを有し、ニップ部Nと対向する面に表面部24dを有し、内部に流路24eを有している。
接触部24bは、基部24aの搬送方向上流側および下流側の各端部の近傍に設けられ、基部24aから厚さ方向に突出している。ニップ部形成部材24は、接触部24bがステー25の基部25aに接触することによって、加圧ローラ22の加圧力による変形が抑止されるように構成されている。
空間24cは、基部24aの搬送方向上流側および下流側の各端部の近傍に設けられた2つの接触部24bと基部24aとの間に形成されており、内部に潤滑剤供給部材30が収納されている。
表面部24dは、定着ベルト21および低摩擦シート29を介して加圧ローラ22と接触することでニップ部Nを形成する基部24aの面に設けられており、低摩擦シート29と接触するとともに、加圧ローラ22による加圧力を受けている。表面部24dには、複数の溝部24gが形成されている。
流路24eは、基部24aの内部に設けられており、複数の穴部24fと、複数の溝部24gを有している。ニップ部形成部材24は、潤滑剤供給部材30から供給される潤滑剤を、流路24eを通して表面部24dに供給する。
複数の穴部24fは、ニップ部形成部材24の長手方向に渡って溝部24gに設けられており、穴部24f同士の長手方向の間隔が等間隔になるように形成されている。また、穴部24fの直径は、潤滑剤供給部材30の内部に保持されている潤滑剤が毛細管現象によって穴部24f内を通過できる直径に形成されている。なお、図6において、穴部24fが22箇所に設けられているが、穴部24fの数は、これに限定されるものではない。
複数の穴部24fがニップ部形成部材24の長手方向に渡って設けられているため、ニップ部形成部材24は、表面部24dの長手方向に渡って潤滑剤供給部材30から供給される潤滑剤を供給することができる。
複数の溝部24gは、表面部24dに基部24aの長手方向に渡って設けられており、潤滑剤供給部材30から供給される潤滑剤が穴部24fを介して溝部24g内に満たされるよう構成されている。なお、図6において、溝部24gが2箇所に設けられているが、溝部24gの数は、これに限定されるものではない。
複数の溝部24gがニップ部形成部材24の長手方向に渡って設けられているため、ニップ部形成部材24は、表面部24dの長手方向に渡って潤滑剤供給部材30から供給される潤滑剤を供給することができる。
低摩擦シート29は、表面部24dと定着ベルト21との間に設けられており、摩擦係数が小さい材料によって形成されている。また、低摩擦シート29は、潤滑剤供給部材30から供給される潤滑剤を保持することで、定着ベルト21とニップ部形成部材24との間に生じる摩擦力を小さくしている。
これにより、定着装置20は、ニップ部Nにおいて定着ベルト21とニップ部形成部材24との間に生じる摩擦力によって定着ベルト21およびニップ部形成部材24が劣化、摩耗することを防止することができる。
潤滑剤供給部材30は、内部に潤滑剤を保持しており、ニップ部形成部材24の長手方向に渡って空間24cに設けられている。また、潤滑剤供給部材30は、シリコンスポンジ材や、フッ素系スポンジ材といった潤滑剤を多く蓄えることが可能なスポンジ状の弾性材料によって形成されている。
潤滑剤供給部材30は、内部に保持している潤滑剤を毛細管現象によって穴部24fを介して溝部24gに供給し、溝部24g内に潤滑剤を充満させる。溝部24g内に潤滑剤が充満することにより、ニップ部形成部材24は、表面部24dに潤滑剤を供給することができる。
そのため、定着装置20は、低摩擦シート29の定着ベルト21の内周面と接触する面の潤滑剤が定着ベルト21との接触により減少した場合に、毛細管現象によって潤滑剤供給部材30から流路24eを介して低摩擦シート29に潤滑剤が供給される。
これにより、定着装置20は、表面部24dと接触する低摩擦シート29に潤滑剤を絶えず補給することができ、時間の経過によって枯渇することなく、常に低摩擦シート29の表面の摩擦係数を抑制することができる。
また、定着装置20は、潤滑剤供給部材30に保持されている潤滑剤が枯渇した場合、潤滑剤が枯渇した潤滑剤供給部材30に潤滑剤を補給することで再度利用できるため、部品の交換を行う必要がなく、部品交換にかかるコストを低減することができる。
以上のように、本実施の形態に係る定着装置20は、内部にヒータ23を有し両端が接合された定着ベルト21と、定着ベルト21に接触して回転する加圧ローラ22とを備える。
また、定着装置20は、定着ベルト21の内周面側に設けられ、定着ベルト21を介して加圧ローラ22と接触することで定着ベルト21および加圧ローラ22の間にニップ部Nを形成するニップ部形成部材24を備える。
また、定着装置20は、定着ベルト21の内周面側に設けられ、ニップ部形成部材24の定着ベルト21を介して加圧ローラ22と接触する表面部24dに供給される潤滑剤を保持する潤滑剤供給部材30を備える。また、定着装置20は、ニップ部Nに搬送された記録媒体Pを加熱することによって記録媒体Pに画像を定着するようにする。
そして、ニップ部形成部材24は、潤滑剤供給部材30から供給される潤滑剤を表面部24dに供給するための流路24eを有する。
このため、定着装置20は、表面部24dに潤滑剤を絶えず供給することができ、時間の経過によって潤滑剤を枯渇することがなく、常に定着ベルト21の内周面とニップ部形成部材24との間に生じる摩擦力を小さくすることができる。
また、定着装置20は、潤滑剤供給部材30に保持されている潤滑剤が枯渇した場合、潤滑剤が枯渇した潤滑剤供給部材30に潤滑剤を補給することで再度利用できるため、部品の交換を行う必要がなく、部品交換にかかるコストを低減することができる。
また、本実施の形態に係る定着装置20の流路24eは、潤滑剤を表面部24dに供給するための複数の穴部24fを有する。
このため、定着装置20は、複数の穴部24fがニップ部形成部材24の長手方向に渡って設けられているため、ニップ部形成部材24の表面部24dの長手方向に渡って潤滑剤供給部材30から供給される潤滑剤を供給することができる。
また、本実施の形態に係る定着装置20の流路24eは、潤滑剤を表面部24dに供給するための複数の溝部24gを有する。
このため、定着装置20は、複数の溝部24gがニップ部形成部材24の長手方向に渡って設けられているため、ニップ部形成部材24の表面部24dの長手方向に渡って潤滑剤供給部材30から供給される潤滑剤を供給することができる。
また、本実施の形態に係る定着装置20は、定着ベルト21の内周面側に設けられ、ニップ部形成部材24に接触してニップ部形成部材24を支持するステー25を備えている。また、定着装置20は、定着ベルト21の内周面側に設けられ、定着ベルト21およびニップ部形成部材24の間に生じる摩擦抵抗を軽減する低摩擦シート29を備えている。そして、低摩擦シート29は、潤滑剤供給部材30から供給される潤滑剤を保持する。
このため、定着装置20は、ステー25とニップ部形成部材24とが接触することで、ニップ部Nにおいて加圧ローラ22の加圧力によってニップ部形成部材24に撓みが生じ大きく変形することを抑止することができる。
また、定着装置20は、表面の摩擦係数が小さい低摩擦シート29がニップ部Nにおいて定着ベルト21およびニップ部形成部材24と接触する。これにより、定着装置20は、定着ベルト21の内周面とニップ部形成部材24との間に生じる摩擦力によって定着ベルト21およびニップ部形成部材24が劣化、摩耗することを防止することができる。
なお、本実施の形態において、定着ベルト21は、基材と離型層から構成されているが、これに限らず、例えば基材と離型層との間に弾性層を設けてもよい。また、弾性層は、層厚が100〜300μmであり、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料で形成されていてもよい。なお、これは例示であり、本発明は、これに限定されるものではない。
弾性層を設けることで、定着装置20は、定着ベルト21と加圧ローラ22との間に形成されるニップ部において記録媒体Pにカラー画像を定着する場合に、定着ベルト21の表面の微小な凹凸が形成されなくなり、記録媒体P上のトナー像Tに均一に熱が伝わる。これにより、定着装置20は、記録媒体Pに柚子肌画像が発生することを抑止することができる。
また、本実施の形態において、定着ベルト21は、全体の厚さが1mm以下に設定されているが、0.2mm以下にすることが望ましく、0.16mm以下の厚さにすることがさらに望ましい。
また、本実施の形態において、定着ベルト21は、直径が20〜40mmに設定されているが、30mm以下にすることが望ましい。
また、本実施の形態において、ヒータ23は、ハロゲンヒータによって構成されているが、これに限らず、例えば誘導加熱方式のヒータ、抵抗発熱体またはカーボンヒータによって構成されていてもよい。
また、本実施の形態において、定着装置20は、反射部材26を設けているが、これに限らず、例えばステー25のヒータ23と対向する面に、研磨または塗装等の鏡面処理を施し、反射率が90%以上の反射面を形成してもよい。なお、これは例示であり、本発明は、これに限定されるものではない。
ただし、ステー25は、強度を確保するために形状や材質を自由に選択できないため、本実施形態のように反射部材26を別途設けた方が、形状や材質の選択の自由度が広がり、反射部材26およびステー25の双方をそれぞれの機能に特化することができる。
また、反射部材26をステー25とヒータ23との間に設けた場合、定着装置20は、ヒータ23の輻射熱を反射する反射部材26がステー25よりも近くに設けられる。これにより、定着装置20は、反射部材26を設けない場合よりも、定着ベルト21を効率よく加熱することができるため、反射部材26を設けることが望ましい。
また、本実施の形態において、反射部材26の反射面26aは、ヒータ23aを中心とする同心円状に形成されているが、これに限らず、例えば反射面26aの一部または全部をヒータ23以外の方向で定着ベルト21側へ輻射熱を反射する向きに形成してもよい。
ここで、図7(a)に示すように、反射面26aは、ヒータ23aを中心とする同心円状に形成された場合、ヒータ23から発せられる輻射熱をヒータ23に向けて反射してしまう。
一方、図7(b)に示すように、反射面26aは、一部または全部がヒータ23以外の方向で定着ベルト21側へ輻射熱を反射する向きに形成されることで、ヒータ23の方向へ反射する輻射熱を少なくできる。これにより、定着装置20は、反射面26aの輻射熱の反射による定着ベルト21の加熱効率をより向上させることができる。
また、本実施の形態において、加圧ローラ22の芯金22aは、中実構造となっているが、これに限らず、中空構造であってもよい。また、その場合、加圧ローラ22は、芯金22aの内部にハロゲンヒータ等の加熱源を有する構成としてもよい。
また、本実施の形態において、加圧ローラ22は、弾性層22bを有しているが、これに限らず、弾性層22bを有しない構成であってもよい。この場合、加圧ローラ22の熱容量が小さくなることから、定着装置20は、記録媒体Pにカラー画像を定着させる定着性が向上する。
ただし、加圧ローラ22が弾性層22bを有しないため、定着装置20は、記録媒体Pにカラー画像を定着する場合に、定着ベルト21の表面の微小な凹凸が画像に転写されて、柚子肌画像が発生する可能性がある。これを防止するため、定着装置20は、弾性層22bを設けることが望ましい。
また、弾性層22bを発泡性シリコーンゴム等のスポンジ状の材料で形成した場合には、ニップ部Nに作用する加圧力を減ずることができるために、ニップ部形成部材24に生じる撓みを軽減することができる。この場合、定着ベルト21の加熱効率は、定着ベルト21の熱が加圧ローラ22側に移動しにくくなるため向上する。
また、本実施の形態において、定着装置20は、加圧ローラ22によって定着ベルト21を加圧するよう構成されているが、これに限らず、加圧ローラ22が定着ベルト21を加圧することなく接触するだけの構成であってもよい。
また、本実施の形態において、定着ベルト21の直径は、加圧ローラ22の直径と同等になるように形成したが、これに限らず、定着ベルト21の直径が加圧ローラ22の直径よりも小さくなるように形成してもよい。
この場合、ニップ部Nにおける定着ベルト21の曲率は、加圧ローラ22の曲率よりも小さくなるため、ニップ部Nから送り出される記録媒体Pが定着ベルト21から分離されやすくなる。
また、本実施の形態において、スナップリング41は、定着ベルト21の端部が接触した場合に、定着ベルト21とともに回転可能に構成されているが、これに限らず、定着ベルト21の端部が接触した場合に静止するよう構成されていてもよい。
また、本実施の形態において、ステー25は、突出部25bが基部25aに対して略直交するように設けられているが、これに限らず、図8(a)に示すように、突出部25bを基部25aに対して傾斜させてもよい。また、図8(b)に示すように、突出部25bは、1つであってもよい。
突出部25bの形状がいずれの場合であっても、ステー25は、突出部25bの先端を定着ベルト21の内周面に近接するように形成することで、突出部25bの突出量を増やすことができ、ステー25の強度を向上させることができる。また、ステー25の形状は、これら以外の形状に形成することも可能である。
また、本実施の形態において、ヒータ23は、定着ベルト21内に1本設けられているが、これに限らず、複数個設けられていてもよい。以下に、ヒータ23を3本設けた例を説明するが、ヒータ23の数は、これに限定されるものではない。
図9に示すように、定着装置20は、ヒータ23a、23b、23cの3本を備えている。ヒータ23a、23b、23cを設けることで、定着装置20は、ヒータ毎に発熱領域を異ならせることができ、種々の幅の記録媒体Pの幅に対応した範囲で定着ベルト21を加熱することができる。
また、ヒータ23を3本設けた場合も、ステー25の突出部25bは、先端を定着ベルト21の内周面に近接するように形成されている。また、図7において、ニップ部形成部材24の各高さ寸法h1、h2、h3は、いずれも図5に示すh1、h2、h3と同じ寸法であり、h1およびh2がh3以下になるように設定されている。
また、本実施の形態において、潤滑剤供給部材30は、スポンジ状の弾性部材によって形成されていたが、これに限らず、例えば不織布や織物といった布材料でもよい。また、潤滑剤供給部材30は、潤滑剤を直接保管できるオイルタンク形状であってもよい。
また、本実施の形態において、潤滑剤供給部材30は、ニップ部形成部材24の空間24cに設けられているが、これに限らず、例えば図10に示すように、ニップ部形成部材24の基部24aの搬送方向上流側の側面部24hに設けられていてもよい。
この場合、図10に示すように、ニップ部形成部材24の流路24eは、複数の穴部24fと、複数の溝部24gと、側面部24hに設けられた搬送方向上流側から下流側に向けた非貫通の穴部24iとを有する。
また、本実施の形態において、穴部24fは、各穴部24fの長手方向の間隔が等間隔に複数設けられているが、これに限らず、等間隔でなくてもよい。穴部24fの間隔は、例えば、図11に示すように、ニップ部形成部材24の長手方向外方における第1の所定の間隔L1と、ニップ部形成部材24の長手方向中央部における第1の所定の間隔L1よりも短い第2の所定の間隔L2とによって構成されていてもよい。
これにより、定着装置20は、ニップ部形成部材24の長手方向外方よりも長手方向中央部に潤滑剤を多く供給することができる。そのため、定着装置20は、定着ベルト21の内周面とニップ部形成部材24との間に生じる摩擦力が大きくなる長手方向中央部において、より摩擦力を軽減することができる。
また、定着装置20は、ニップ部形成部材24の長手方向外方よりも長手方向中央部に潤滑剤を多く供給することで、長手方向外方から潤滑剤がニップ部形成部材24の外に漏洩してしまうことを防ぐことができる。
また、本実施の形態において、穴部24fは、各穴部24fの直径が同じ大きさで形成されているが、これに限らず、直径がそれぞれ異なる大きさでもよい。穴部24fは、例えば、図12に示すように、ニップ部形成部材24の長手方向中央部に設けられた穴部24fの直径が、ニップ部形成部材24の長手方向外方に設けられた穴部24fの直径よりも大きく形成されていてもよい。
これにより、定着装置20は、ニップ部形成部材24の長手方向外方よりも長手方向中央部に潤滑剤を多く供給することができる。そのため、定着装置20は、定着ベルト21の内周面とニップ部形成部材24との間に生じる摩擦力が大きくなる長手方向中央部において、より摩擦力を軽減することができる。
また、定着装置20は、ニップ部形成部材24の長手方向外方よりも長手方向中央部に潤滑剤を多く供給するため、長手方向外方から潤滑剤がニップ部形成部材24の外に漏洩してしまうことを防ぐことができる。
また、本実施の形態において、溝部24gは、ニップ部形成部材24の表面部24dに長手方向に渡って設けられているが、これに限らず、例えば搬送方向に渡って設けられていてもよい。また、溝部24gは、斜行状や網目状に設けられていてもよい。
また、本実施の形態において、ニップ部形成部材24は、耐熱樹脂材料によって構成されているが、これに限らず、例えば複数の微細孔を有する多孔質材料から構成されていてもよい。また、ニップ部形成部材24は、潤滑剤を保持した多孔質材料から構成されていてもよい。
これにより、定着装置20は、ニップ部形成部材24の流路24eに加えて、ニップ部形成部材24自身の多孔質な隙間から潤滑剤を低摩擦シート29に供給することが可能になり、より多量の潤滑剤を供給することができるようになる。
また、本実施の形態において、流路24eは、厚さ方向に平行に設けられているが、これに限らず、例えば、図13に示すように、流路24eの上流側が流路24eの下流側よりも搬送方向上流側に形成されていてもよい。
これにより、定着装置20は、流路24eに傾斜がつくため、潤滑剤供給部材30に保持される潤滑剤を、毛細管現象に加えて重力によってニップ部形成部材24の表面部24dに供給することができ、より確実に潤滑剤を供給することができるようになる。
また、本実施の形態では、定着装置20をタンデム型カラープリンタに適用した例を示しているが、定着装置20は、ファクシミリ装置、複写機、またはファクシミリ装置および複写機の複合機等の画像形成装置に適用してもよい。