JP2014152294A - 画像表示装置構成用積層体の製造方法、及びこの積層体を用いてなる画像表示装置 - Google Patents

画像表示装置構成用積層体の製造方法、及びこの積層体を用いてなる画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】接着性シートを貼合面の段差部に追従して隅々まで充填することができるような、画像表示装置構成用積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】透明両面接着性シートの少なくとも片面に、画像表示装置構成部材が積層してなる構成を備えた画像表示装置構成用積層体の製造方法であって、少なくとも次の(1)及び(2)の工程を有することを特徴とする画像表示装置構成用積層体の製造方法。(1)未架橋状態の接着剤組成物を単層又は多層のシート状に成形し、可視光線を前記接着剤組成物に照射して、当該接着剤組成物を可視光線架橋させることにより、Bステージ状態の透明両面接着性シートを形成する工程。(2)前記Bステージ状態の透明両面接着性シートの少なくとも片面に、画像表示装置構成部材を積層し、当該画像表示装置構成部材を介して、前記透明両面接着性シートに紫外線を含む光線を照射して紫外線架橋させる工程。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えばパソコン、モバイル端末(PDA)、ゲーム機、テレビ(TV)、カーナビ、タッチパネル、ペンタブレットなどのような画像表示装置の構成部材として用いることができる画像表示装置構成用積層体の製造方法に関する。
近年、画像表示装置の視認性を向上させるために、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)又はエレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示パネルと、その前面側(視認側)に配置する保護パネルやタッチパネル部材との間の空隙を、接着性シートや液状の接着剤等で充填し、入射光や表示画像からの出射光の空気層界面での反射を抑えることが行われている。
このような画像表示装置用構成部材間の空隙を、粘着剤を用いて充填する方法として、紫外線硬化性樹脂を含む液状の接着樹脂組成物を該空隙に充填した後、紫外線を照射し硬化せしめる方法が知られている(特許文献1)。
しかし、このような方法では、液状の接着樹脂組成物を充填する際の作業が煩雑で生産性に劣るばかりか、印刷隠蔽層に隠蔽される部分など、紫外線の到達し難い箇所は粘着剤を硬化させることが困難であり、安定した品質を得ることが難しいという課題を抱えていた。
そこで、画像表示装置用構成部材間の空隙を、粘着剤シートを用いて充填することが行われている。例えば特許文献2には、画像表示パネルに保護パネルやタッチパネル等の透明パネルを貼り合わせるのに好適に用いることができる透明接着性シートとして、異なる粘弾性挙動を有する第1粘着層及び第2粘着層をそれぞれ1層以上有し、且つ、これらの層を積層し一体化してなる構成を備えた接着性シートであって、周波数1Hzの温度分散で測定した動的剪断貯蔵弾性率G’の値が、特定の範囲内であることを特徴とする透明接着性シートが開示されている。
特許文献3には、中間樹脂層(A)と、表裏面層としての感圧接着剤層(B)とを有する透明両面粘着シートであって、各層はいずれも、1種類以上の(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体をベース樹脂とする層であり、温度範囲0℃〜100℃において、周波数1Hzにおける中間樹脂層(A)の貯蔵剪断弾性率(G’(A))が、感圧接着剤層(B)より高く、且つ、シート全体の押込硬度(アスカーC2硬度)が10〜80であることを特徴とする透明両面粘着シートが開示されている。
特許文献4には、段差又は隆起を有する表面に適用可能な、薄い(例えば30〜50μm厚)粘着シートとして、紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーの(メタ)アクリル共重合体を含んでなる、紫外線架橋性粘着シートであって、紫外線架橋前の粘着シートの貯蔵弾性率が、30℃、1Hzにおいて、5.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下、かつ80℃、1Hzにおいて、5.0×10Pa以下であり、さらに、紫外線架橋後の粘着シートの貯蔵弾性率が、130℃、1Hzにおいて、1.0×10Pa以上である、紫外線架橋性粘着シートが開示されている。
さらに特許文献5には、透明両面接着性シートの少なくとも片側に、画像表示装置構成部材が積層してなる構成を備えた画像表示装置構成用積層体の製造方法として、紫外線によって1次架橋した粘着シートを画像表示装置構成部材に貼合後、画像表示装置構成部材を介して粘着シートに紫外線照射し2次硬化させる方法が開示されている。
特許文献6では、ラジカル重合モノマーをポリマー転嫁率30〜60%となるよう部分重合して得られた1000〜125000mPa・sのシロップとラジカル重合開始剤とを混合した組成物を基材に被着後化学線照射を施して硬化し粘着シートを得る方法が開示されている。
国際公開第2010/027041号公報 国際公開第2010/044229号公報 国際公開第2011/129200号公報 特開2011−184582号公報 特許第4971529号公報 特表2007−510035号公報
携帯電話や携帯端末などを中心に画像表示装置の分野では、薄肉化、高精密化に加えて、デザインの多様化が進んでおり、それに伴って新たな課題が生じてきている。例えば、表面保護パネルの周縁部には、枠状に黒色の隠蔽部を印刷するのが従来は一般的であったが、デザインの多様化に伴って、この枠状の隠蔽部を黒色以外の色で形成することが行われ始めている。黒色以外の色で隠蔽部を形成する場合、黒色以外の色では隠蔽性が低いため、黒色に比べて隠蔽部、すなわち印刷部の高さが高くなる傾向がある。そのため、そのような印刷部を備えた構成部材を貼り合わせるための接着性シートには、大きな印刷段差に追従して隅々まで充填することができる印刷段差追従性が求められる。
また、印刷部の厚さが大きくなることによって、画像表示装置の印刷部に接する部分には他の部分に比べて大きな応力が掛かるようになり、歪みを生じて光学特性に悪影響を及ぼす可能性があるため、このような歪みを抑制することも求められる。
このため接着性シートなどの充填部材には、より高い応力緩和性(流動性)が求められるが、流動性を高めるだけでは接着性シートの保管安定性や取り回し時の作業性が損なわれる上に、貼合した積層部材の耐発泡信頼性が低下する虞がある。
また、画像表示装置の構成部材の中には、プラスチック製保護パネル等のように、高温や高湿環境下において経時的にガス(「アウトガス」とも称する)を発生する部材が含まれているため、これら画像表示装置の構成部材を透明両面接着性シートで貼り合せる場合には、アウトガスのガス圧に対して十分に対抗できるだけの粘着力と凝集力を透明両面接着性シートに持たせることができるようにする必要もある。
そこで、本発明は、貼合面に段差部を備えた画像表示装置構成部材を貼合する際、透明両面接着性シートを貼合面の段差部に追従して隅々まで充填することができ、接着性シート内に生じる歪みを緩和することもでき、さらには、取り回し時の作業性を損なうことなく、高温や高湿環境下での耐発泡性を維持することができる画像表示装置構成用積層体の製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、透明両面接着性シートの少なくとも片面に、画像表示装置構成部材が積層してなる構成を備えた画像表示装置構成用積層体の製造方法であって、少なくとも次の(1)及び(2)の工程を有することを特徴とする画像表示装置構成用積層体の製造方法を提案する。
(1) 未架橋状態の接着剤組成物を単層又は多層のシート状に成形し、可視光線を前記接着剤組成物に照射して、当該接着剤組成物を可視光線架橋させることにより、Bステージ状態の透明両面接着性シートを形成する工程。
(2) 前記Bステージ状態の透明両面接着性シートの少なくとも片面に、画像表示装置構成部材を積層し、当該画像表示装置構成部材を介して、前記透明両面接着性シートに紫外線を含む光線を照射して紫外線架橋させる工程。
前記工程(1)で得られるBステージ状態の透明両面接着性シートは、さらに紫外線架橋される余地を残しており、少なくともその余地分だけ柔軟であるから、被着体の表面に印刷段差による凹凸があったり、粘着界面に異物等が存在することにより凹凸があったりしても、これらの凹凸に柔軟に追従して隅々まで入り込むことができる。また、接着性シート内に生じる歪みを緩和することもできる。
よって、前記工程(2)において、このようなBステージ状態の透明両面接着性シートを画像表示装置構成部材に好適に密着させることができる。
また、前記工程(2)においては、画像表示装置構成部材を介して、前記Bステージ状態の透明両面接着性シートに紫外線を含む光線を照射して紫外線架橋させることにより、当該透明両面接着性シートをしっかりと架橋させることができ、当該透明両面接着性シートを当該画像表示装置構成部材にしっかりと接着させることができるから、例えば保護パネル等から発生するアウトガスのガス圧に対して十分に対抗できるだけの粘着力と凝集力を持たせることができる。
以上のように、本発明が提案する画像表示装置構成用積層体の製造方法によれば、一般的にはトレードオフの関係にある凹凸追随性と、耐発泡信頼性とを同時に実現することができる。
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。但し、本発明が下記実施形態の例に制限されるものではない。
<本接着性シート1>
本発明の第1の実施形態に係る透明両面接着性シート(以下、「本接着性シート1」と称する。)は、1種以上の(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体と、紫外線領域の光によって架橋を開始する紫外線重合開始剤(A)と、可視光領域の光によって架橋を開始する可視光重合開始剤(B)とを含有し、必要に応じて架橋剤(C)、必要に応じて粘着付与剤(D)、必要に応じてその他の成分(E)をさらに含有する接着剤組成物(以下、「本接着剤組成物1」と称する。)を1次硬化させて得られる、単層構成からなるBステージ状態の透明両面接着性シートである。
本接着性シート1は、紫外線重合開始剤(A)と可視光重合開始剤(B)とを含有しているから、未架橋の本接着剤組成物1に対して可視光を照射して可視光架橋させることにより、1次硬化させてBステージ状態の透明両面接着性シートとすることができる。また、未架橋の本接着剤組成物1に対して紫外線を含む光線を照射して紫外線架橋させることにより、1次硬化させてBステージ状態の透明両面接着性シートとすることもできる。
中でも、本接着性シート1の凹凸追随性を高める観点からは、未架橋の接着剤組成物1に対して可視光を照射して可視光架橋させて、紫外線反応性を残したBステージ状態の透明両面接着性シートとするのが好ましい。
よって、本接着性シート1の好ましい製法の一例としては、1種以上の(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体と、紫外線領域の光によって架橋を開始する紫外線重合開始剤(A)と、可視光領域の光によって架橋を開始する可視光重合開始剤(B)とを含有し、必要に応じて架橋剤(C)、必要に応じて粘着付与剤(D)、必要に応じてその他の成分(E)をさらに含有する本接着剤組成物1を、離型シート上でシート状に成形し、可視光線の照射によって1次硬化させて、本接着性シート1を得る方法を挙げることができる。但し、このような製法に限定するものではない。
上記の製法において、可視光線を照射する場合には、紫外線重合開始剤(A)が反応するのを避けるため、紫外線領域の光、例えば380nm未満の波長領域の光を実質的に含まない可視光線を照射するのが好ましい。
ここで、実質的に含まないとは、紫外線領域の光を意図してカットしても多少含まれる場合があるため、このような場合を包含する意図であり、例えば380nm以上の波長領域(例えば410nm波長)の光線強度に対して、380nm未満の波長領域の光線強度(例えば350nm波長)が10%未満であれば、実施的に含まれないとするものである。
<本接着性シート2>
本発明の第2の実施形態に係る透明両面接着性シート(以下、「本接着性シート2」と称する。)は、1種以上の(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体と、可視光領域の光によって架橋を開始する可視光重合開始剤(B)とを含有し、必要に応じて架橋剤(C)、必要に応じて粘着付与剤(D)、必要に応じてその他の成分(E)をさらに含有する接着剤組成物(以下、「本接着剤組成物2」と称する。)を1次硬化させて得られる中間層S1と、
1種以上の(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体と、紫外線領域の光によって架橋を開始する紫外線重合開始剤(A)とを含有し、必要に応じて架橋剤(C)、必要に応じて粘着付与剤(D)、必要に応じてその他の成分(E)をさらに含有する接着剤組成物(以下、「本接着剤組成物3」と称する。)から形成される最外層S2と、
を備えた、Bステージ状態の透明両面接着性シートである。
本接着性シート2は、上記中間層S1及び最外層S2を備えていればよいから、中間層S1と最外層S2との間に他の層が介在してもよいし、また、中間層S1の表裏両側に最外層S2を備えた構成であってもよいし、また、中間層S1の一側に最外層S2を備え、中間層S1の他側には他の層を備えた構成であってもよい。
中でも、中間層S1の表裏両側に最外層S2を備えた構成(S2/S1/S2)を有する構成であるのが好ましい。
本接着性シート2の作製工程では、例えば、可視光を照射して、可視光重合開始剤(B)を含有する本接着剤組成物3を可視光架橋させることにより中間層S1を硬化させることができる。この際、最外層S2は未架橋の状態を維持することができるから、柔軟で流動的な状態を維持させることができる。よって、本接着性シート2は、中間層S1の硬化によって取扱い(ハンドリング性)を維持しつつ、貼合面に凹凸段差などがあっても、最外層S2が該凹凸に流動的に追従することができる。このように、表面層をより柔軟にして凹凸信頼性を高めることができるという観点から、本接着性シート1よりも本接着性シート2の方が優れていると言える。
Bステージ状態の本接着性シート2において、最外層S2の本接着剤組成物3は、未架橋状態すなわち未硬化状態であってもよいし、また、紫外線反応性が残っていれば、一部が架橋すなわち硬化してなる状態であってもよい。
(最外層S2)
最外層S2を形成する本接着剤組成物3におけるベース樹脂は、本接着性シート1と同様のベース樹脂、すなわち(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体を使用することができる。詳しくは後述する。
なお、最外層S2は、可視光重合開始剤(B)を含有していてもよいが、中間層S1を可視光によって架橋する際に架橋が進まないように、可視光重合開始剤(B)の含有量は少ない方が好ましい。
具体的には、中間層S1における(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体100質量部あたりの可視光重合開始剤(B)の質量部数(中間Bm)に対する、最外層S2における(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体100質量部あたりの可視光重合開始剤(B)の質量部数(最外Bm)の比率(最外Bm/中間Bm)が1よりも低い、特に0.5よりも低い、中でも特に0.05よりも低いことが好ましい。
(中間層S1)
中間層S1を形成する本接着剤組成物2におけるベース樹脂としては、本接着性シート1のベース樹脂、すなわち(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体を使用することができる。詳しくは後述する。
但し、中間層S1を形成する本接着剤組成物2におけるベース樹脂は、最外層S2を形成する本接着剤組成物3におけるベース樹脂と同じ樹脂であっても、異なる樹脂であってもよい。透明性の確保や作製し易さ、さらには中間層S1と最外層S2との境界面での屈折を防ぐ観点からは、互いのベース樹脂は同じ樹脂であるのが好ましい。
また、本接着剤組成物2における可視光重合開始剤(B)、架橋剤(C)、粘着付与剤(D)及びその他の成分(E)についてもそれぞれ、本接着性シート1と同様のものを使用することができる。詳しくは後述する。
Bステージ状態の中間層S1は、他の電磁波によっては架橋しないように形成してもよいし、他の電磁波によってさらに架橋するように形成してもよいし、或いは、熱によってさらに架橋するように形成してもよい。
例えば、中間層S1は、可視光重合開始剤(B)のほかに、紫外線重合開始剤(A)を含んでいてもよい。中間層S1が、紫外線重合開始剤(A)を含んでいれば、紫外線照射によって中間層S1をさらに架橋させることができる。
但し、架橋開始剤の含有量が多くなると、光透過率が低下するため、中間層S1における架橋開始剤の量は、最外層S2における含有量よりも低い割合とするのが好ましい。
(各層のせん断法による動的貯蔵弾性率(G’))
本接着性シート2において、50μm以上の高さを有する印刷部による段差(「高印刷段差」と称する)などの凹凸部へ貼合する際の追従性や、貼合後の平滑性、加工性をバランスさせる観点から、中間層S1の60℃におけるせん断法による動的貯蔵弾性率(G’)は、最外層S2の60℃におけるせん断法による動的貯蔵弾性率(G’)より低い値となることが好ましい。
中でも、最外層S2の60℃におけるせん断法による動的貯蔵弾性率(G’)に対する中間層S1の60℃におけるせん断法による動的貯蔵弾性率(G’)の比率が1.5〜1000であることが好ましく、中でも2以上或いは500以下であるのがさらに好ましい。
中間層S1の60℃におけるせん断法による動的貯蔵弾性率(G’)は、1.0×103Pa〜1.0×107Paであることが好ましい。1.0×103Pa以上であることで、接着性シートとしての寸法安定性に優れ、1.0×107Pa以下であることで、凹凸面へ貼合後に接着性シート内に歪みが生じにくいため、好ましい。
このような観点から、中間層S1の60℃におけるせん断法による動的貯蔵弾性率(G’)は、中でも5.0×103Pa以上或いは5.0×106Pa以下、その中でも特に1.0×104Pa以上或いは1.0×106Pa以下であることが好ましい。
中間層S1及び最外層S2のいずれも、各層の上記せん断法による動的貯蔵弾性率(G’)を調整するには、例えばベースポリマーであるアクリル酸(共)重合体を形成する共重合モノマーの種類や組成比率を調整したり、光の照射条件を調整して架橋度を調整したりすればよい。
(層厚さ)
本接着性シート2において、最外層S2の層総厚みに対する中間層S1の層総厚みの比率((S1)/(S2))は、0.1<(S1)/(S2)<10であるのが好ましい。
中間層S1と最外層S2の厚さの比率が上記範囲であれば、後述する画像表示装置構成用積層体及び画像表示装置において、本接着性シート2の厚みの寄与が大きくなり過ぎないため、柔軟すぎて裁断や取回しに係る作業性が劣るようになることがなく、好ましい。また、凹凸や屈曲した面への追随性に劣ることもなく、被着体への接着力や濡れ性を維持することができるから、好ましい。
印刷段差への追従性や貼合後の凹凸近傍の光学的な歪を低減させる観点からは、0.1<(S1)/(S2)<1であるのがより一層好ましい。
(製法)
本接着性シート2は、次のような方法で製造することができる。
例えば、2枚の透明離型シート間に、本接着剤組成物2及び本接着剤組成物3をそれぞれ共押出して2層の積層シートを作製し、この積層シートに可視光線を照射することにより中間層S1を一次硬化させて、Bステージ状態の本接着性シート2を得ることができる。
最外層S2、中間層S1及び最外層S2からなる3層構成の場合には、例えば、2枚の透明離型シート間に、本接着剤組成物2及び本接着剤組成物3をそれぞれ共押出して3層の積層シートを作製し、この積層シートに可視光線を照射することにより中間層S1を一次硬化させて、Bステージ状態の本接着性シート2を得ることができる。
上記の製法において、積層シートに可視光線を照射する場合、紫外線重合開始剤(A)を含有する本接着剤組成物3が紫外線架橋するのを避けるため、紫外線領域の波長の光を実質的に含まない可視光線、例えば380nm未満の波長領域の光を実質的に含まない可視光線を照射するのが好ましい。
紫外線領域の波長の光を実質的に含まない可視光線を照射する方法としては、紫外線領域の波長の光を含まない可視光線のみを出射する光源を用いてもよいし、紫外線領域の波長の光を透過しないフィルターを介した光源を用いて照射するようにしてもよい。また、本接着性シート1,2の片面又は両面に、紫外線領域の波長の光を透過しないフィルムを積層して、該フィルムを介して光照射することで、紫外線領域の波長が本接着性シート1,2に到達しないようにしてもよい。
なお、実質的に含まないとは、紫外線領域の光を意図してカットしても多少含まれる場合があるため、このような場合を包含する意図であり、例えば380nm以上の波長領域(例えば410nm波長)の光線強度に対して、380nm未満の波長領域の光線強度(例えば350nm波長)が10%未満であれば、実施的に含まれないとするものである。
本接着性シート2の製法は、上記製法に限定されるものではない。例えば、中間層S1を形成するためのシートS1に可視光線を照射して架橋させて中間層S1を形成した後、該中間層S1の片側又は両側に、本接着剤組成物3からなる最外層S2を積層するようにして、本接着性シート2を作製するようにしてもよい。
<本接着性シート1、2の特徴>
本接着性シート1、2は、1種以上の(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体をベース樹脂として含有し、紫外線領域の光によって架橋を開始する紫外線重合開始剤(A)と、可視光領域の光によって架橋を開始する可視光重合開始剤(B)とを含み、必要に応じてさらに、架橋剤としての多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂(C)と、必要に応じてさらに、粘着付与剤(D)とを含有する、Bステージ状態の透明両面接着性シートである点で共通している。
ここで、「Bステージ状態」とは、接着性乃至粘着性を有する接着性シートの硬化中間状態、すなわち、最終的な硬化はしていない状態を意味し、光照射するとさらに硬化(架橋)して接着性がさらに高い状態とすることができる状態を意味する。この際、加熱してさらに柔らかくした後、光照射して硬化(架橋)させるホットメルト型を包含する。また、加熱しないで光照射して硬化(架橋)させる感圧型も包含する。
紫外線架橋によって透明両面接着性シートを1次硬化させた後、紫外線架橋によって2次硬化させる従来の接着性シートでは、1次硬化での反応残渣が2次硬化の開始原因となるため、2次硬化前後での物性変化量に制限があった。例えばBステージ状態での柔軟性乃至流動性や、2次硬化後の接着性乃至耐発泡性などを、2次硬化前後で大きく変化させることが困難であった。これに対し、本接着性シート1,2では、1次硬化に寄与する架橋開始剤と、2次硬化に寄与する架橋開始剤の種類が異なるため、少なくとも前者に比べて、2次硬化前後での物性変化量を大きくすることができる。よって、1次硬化後(2次硬化前)のBステージ状態では、より高い流動性を持たせることができ、凹凸面への貼合信頼性を高めることができる。他方、2次硬化後には、紫外線照射によってしっかりと硬化させることができるから、貼合後の耐発泡性を高めることができる。
また、光硬化性と熱硬化性を併せ持つ接着材料を使用して、1次硬化後に2次硬化する従来の方法では、有機過酸化物やイソシアネート化合物、エポキシ化合物やアミン化合物等の熱硬化剤が、組成物を加工する際にゲル化の原因となるばかりか、反応完了までに数日の養生期間を要するため、生産性に劣るという課題を抱えていた。これに対し、本接着性シート1,2では、1次硬化、2次硬化のいずれも光架橋によって行うため、このような熱硬化工程での課題を無くすことができるという利点を有している。
また、1次架橋処理を施さない接着性シートや、ホットメルト接着樹脂シートを用いて被着部材同士を貼合後、熱や紫外線照射などで架橋処理を施す方法と比較すると、これらの方法では、前記架橋処理を施す前の段階では、架橋によってシート形状の保持が為されないため、シートとしての加工性や保管安定性に劣る問題があった。これに対し、本接着性シート1,2では、可視光線を選択的に用いて1次架橋を施すことで形状を保持した状態のBステージ状態とすることができるため、前者に比べて、優れた加工性や保管安定性を得ることができるという利点を有している。
(E’/G’)
本接着性シート1,2はいずれも、引張り法で求める60℃における動的貯蔵弾性率(E’)を、せん断法で求める60℃における動的貯蔵弾性率(G’)で除した値(E’/G’)が10以上とすることができる。
本接着性シート1,2のE’/G’が10以上であるということは、シート面に対して平行方向に伸長乃至圧縮応力をかけた場合に比べて、シート面の垂直方向すなわちシート面を通して応力をかけた場合の方が変形し易いことを意味している。一般的に、引張り方向の動的貯蔵弾性率(E’)と、ずり方向の動的貯蔵弾性率(G’)との関係は、材料を理想弾性体(変形時に体積変化がない)と仮定した場合、E’/G’=3となる。一般的な樹脂部材においても、E’/G’は約3前後となるのが通常である。よって、本接着性シート1,2の60℃におけるE’/G’の値が10以上であれば、本接着性シート1,2は、従前の接着乃至接着性シートよりも、寸法安定性が高く、かつ面方向への応力による変形感度が高い、すなわち貼合時の凹凸追従性に優れることになる。
かかる観点から、本接着性シート1,2のE’/G’は、10以上であるのが好ましく、中でも15以上、その中でも20以上であるのが特に好ましい。他方、上限については特段の制限はない。但し、前記E’/G’が100以下である場合には、貼合後の積層体を高温や高湿度環境下に保管した際の保管安定性や耐発泡信頼性が得られる点で好ましいから、E’/G’は、100以下であるのが好ましく、中でも70以下、その中でも50以下であるのがより一層好ましい。
本接着性シート1,2のE’/G’を10以上とする方法としては、例えば、(I)・・60℃における剛性の異なるフィラーを接着組成物中に充填して調整する方法、(II)・・60℃における剛性の異なる樹脂層を積層して調整する方法、(III)・・シート内(で垂直方向に)架橋度を異ならしめ、引張方向とせん断方向における応力への感度を異ならしめることによって調整する方法等を挙げることができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
前記(I)の方法では、弾性率の異方性を発現させるにはフィラーを多量に配合せねばならず、分散不良などによる外観不良などを起こす可能性がある。また、前記(II)の方法では、剛性の異なる層を積層することにより、光学特性が損なわれたり、コストや生産性に劣ったりするなどの課題がある。これに対し、前記(III)の方法、すなわちシートの厚さ方向で架橋度を異ならしめる方法は、これらの課題が無いため、本接着シート1の製法としては前記(III)の方法を採用するのが好ましい。
(引張り法で求める60℃における動的貯蔵弾性率(E’))
本接着性シート1,2は、引張り法で求める60℃における動的貯蔵弾性率(E’)が、1.0×104Pa〜1.0×105Paであるのが好ましく、中でも5.0×104Pa以上或いは5.0×105Pa以下であるのがより好ましい。但し、これらの範囲に限定するものではない。
前記引張り法による動的貯蔵弾性率(E’)が1.0×104Pa以上であれば、接着性シートの裁断加工性の点で好ましい。また、前記引張り法による動的貯蔵弾性率(E’)が1.0×105Pa以下であれば、凹凸面へ貼合後に接着性シート内に生じる歪みを緩和することができる点で好ましい。
本接着性シート1,2の引張り法で求める60℃における動的貯蔵弾性率(E’)は、例えば、動的粘弾性測定装置を用いて、引張モード:振動周波数1Hz、測定温度:0℃から100℃、昇温速度:3℃/分の速度で、60℃における前記引張り法による動的貯蔵弾性率E’を測定することによって求めることができる。
本接着性シート1,2に関して、引張り法で求める60℃における動的貯蔵弾性率(E’)を調整する方法としては、例えばベースポリマーである(メタ)アクリル酸エステル共重合体を形成する共重合モノマーの種類や組成比率などを調整したり、架橋モノマーの添加量を調整したり、光線照射量等の調整によって架橋度を調整したりする方法等を挙げることができる。但し、このような方法に制限されるものではない。
(せん断法で求める60℃における動的貯蔵弾性率(G’))
本接着性シート1,2は、せん断法で求める60℃における動的貯蔵弾性率(G’)が、5.0×102Pa〜1.0×105Paであるのが好ましく、中でも5.0×103Pa以上或いは5.0×104Pa以下であるのが特に好ましい。但し、これらの範囲に限定するものではない。
前記せん断法による動的貯蔵弾性率(G’)が5.0×102Pa以上であれば、接着性シートの保管安定性の点で好ましい。また、前記せん断法動的貯蔵弾性率(G’)が1.0×105Pa以下であれば、凹凸をもつ被着面への追従性の点で好ましい。
本接着性シート1,2のせん断法で求める60℃における動的貯蔵弾性率(G’)は、例えば、レオメータを用いて、接着性シートを1mm〜2mm厚みとなるよう積層したものを測定試料とし、歪み:0.5%、周波数:1Hz、温度:−50〜200℃、昇温速度:3℃/minで、60℃におけるせん断法による動的貯蔵弾性率(G’)を測定することによって求めることができる。
本接着性シート1,2に関して、せん断法で求める60℃における動的貯蔵弾性率(G’)を調整する方法としては、例えばベースポリマーである(メタ)アクリル酸エステル共重合体を形成する共重合モノマーの種類や組成比率などを調整したり、架橋モノマーの添加量を調整したり、光線照射量等の調整によって架橋度を調整したりする方法等を挙げることができる。但し、この方法に限定するものではない。
(透明性)
本接着性シート1,2は、透明であるという特徴を有している。発泡樹脂などからなる接着性シートのように非透明な接着性シートとは区別されるものである。
<厚さ>
本接着性シート1,2の総厚みは、50μm〜1mmであるのが好ましく、より好ましくは100μm以上或いは500μm以下である。
本接着性シート1,2の総厚みが50μm以上であれば、高印刷段差等の凹凸への追従することが可能であり、1mm以下であれば、薄肉化の要求にこたえることができる。
さらに、従来の画像表示装置における周縁の隠蔽層の印刷高さがより高く、具体的には50μm程度の段差までをも埋める観点からは、本接着性シート1,2の総厚みは100μm以上であるのがより一層好ましく、特に150μm以上であるのがさらに好ましい。他方、薄肉化の要求にこたえる観点からは、500μm以下、特に350μm以下であるのがさらに好ましい。
<ベース樹脂>
本接着剤組成物1,2,3のベース樹脂としては、粘着性、透明性及び耐候性などの観点から、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(共重合体を含む意で、以下「アクリル酸エステル系(共)重合体」と称する。)を用いるのが好ましい。
ベース樹脂としてのアクリル酸エステル系(共)重合体は、これを重合するために用いるアクリルモノマーやメタクリルモノマーの種類、組成比率、さらには重合条件等を適宜選択することによって、ガラス転移温度(Tg)や分子量等の物性を適宜調整して調製することが可能である。
アクリル酸エステル(共)重合体を重合するために用いるアクリルモノマーやメタクリルモノマーとしては、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリート、イソオクチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルアクリレート等を挙げることができる。これらに親水基や有機官能基などをもつヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、グリシジルアクリレート、アクリルアミド、アクリルニトリル、メタクリロニトリル、フッ素アクリレート、シリコーンアクリレートなども用いることができる。
また、上記アクリルモノマーやメタクリルモノマーと共重合可能な酢酸ビニルやアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル等の各種ビニルモノマーも適宜重合に用いることができる。
これらのモノマーを用いた重合処理としては、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などの公知の重合方法が採用可能であり、その際に重合方法に応じて熱重合開始剤や光重合開始剤などの重合開始剤を用いることによりアクリル酸エステル共重合体を得ることができる。
本接着剤組成物1,2,3が、非溶剤系、すなわち溶剤を含まず、且つ、ホットメルト成形可能であり、しかも、1次硬化させた段階で、適当な粘着力を発揮し、かつ、被着体表面の凹凸や異物に追随できる柔軟性を有しているのが好ましい。
また、本接着剤組成物1,2,3のベース樹脂は、その分子量が小さ過ぎると、1次硬化させても、粘着力を発揮しなかったり、柔らか過ぎてハンドリング性に劣っていたりする可能性があり、逆に分子量が大き過ぎると、1次硬化させた段階で硬くなり、被着体表面の凹凸や異物に追随できる柔軟性を有さなくなってしまう。
このような観点から、該ベース樹脂の質量平均分子量(Mw)は、10万〜70万、特に20万以上或いは60万以下、中でも特に25万以上或いは50万以下であるのが好ましい。
本接着剤組成物1,2,3のベース樹脂は、数平均分子量(Mn)に対する、質量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)が5〜10、中でも6以上或いは9以下のアクリル酸エステル系(共)重合体を用いるのがさらに好ましい。
質量平均分子量/数平均分子量が大きいということは、分子量分布が広いことを意味しており、この値が5〜10程度であれば、低分子量成分及び高分子量成分のそれぞれが流動性や濡れ性、凝集力といった分子量に見合った性能を発揮するため、分子量分布が狭い(均一の)ものより、加工性や粘着性能が良くなる傾向があり、好ましい。
また、アクリル酸エステル系(共)重合体の中でも、アクリル酸エステルランダム共重合体、その中でも、ランダム共重合体を構成する各モノマー成分のガラス転移温度(Tg)、すなわちアクリルエステルランダム共重合体を構成する各モノマー成分について、其々単一のモノマーだけで重合させたポリマーのガラス転移温度(「Tg」とも称する)の差が大きい2種類のモノマーを含むアクリル酸エステルランダム共重合体を用いるのが好ましい。
この際、2種類のモノマー成分の示差走査熱量測定(DSC)法で求められるガラス転移温度(Tg)の差は25〜300℃であるのが好ましく、特に40℃以上或いは200℃以下、中でも特に60℃以上或いは180℃以下、さらには100℃以上或いは180℃以下であるのがよりいっそう好ましい。具体的には、一方のモノマーのガラス転移温度(Tg)が−100℃〜0℃、特に−80℃〜−20℃であり、他方のモノマー成分のガラス転移温度(Tg)が0〜250℃、特に20〜180℃であるのが好ましい。
ガラス転移温度の差が大きい2種類のモノマーを含む共重合体とすることにより、ガラス転移温度が低い成分が流動性成分として、ガラス転移温度の高い成分が凝集成分として各々機能し、柔軟性と凝集力を兼ね備えた接着性シートを得ることが出来る。
示差走査熱量測定(DSC)法で求められるガラス転移温度(Tg)が−100〜0℃である共重合成分としては、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリート、デシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレートなどのアルキルアクリレートの他、2−エトキシエトキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、カプロラクトンアクリレートなどの有機官能基をふくむアクリルモノマーを挙げることができる。
他方、示差走査熱量測定(DSC)法で求められるガラス転移温度(Tg)が0〜250℃である共重合成分としては、例えば酢酸ビニル、スチレン、メチルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、4−エトキシ化クミルフェノール(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ネオペンチルアクリレート、セチルアクリレート、フェニルアクリレート、トルイルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−メトキシカルボニルフェニルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、エトキシ化ノニルフェノールメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェネチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、アクリロニトリルなどを挙げることができる。
ベース樹脂としてのアクリル酸エステル共重合体において、Tgが高いモノマー成分(すなわち、そのモノマーを単独でポリマー化した時のガラス転移温度が高いモノマー)と、Tgが低いモノマー成分(すなわち、そのモノマーを単独でポリマー化した時のガラス転移温度が低いモノマー)との比率を調整することで、本接着性シート1,2の流動性や凝集力を適宜調整することが出来る。例えば、本接着性シート1,2に感圧接着シートとしてのタックや被着体表面の凹凸面や異物への濡れ易さを付与するためには、Tgが低いモノマー成分の量を増やせばよい。また、本接着性シート1,2の取回しやカット性を得るためには、Tgが高いモノマー成分の量を増やせばよい。
可塑剤によって本接着性シート1,2を柔軟化して硬度を下げたり、オリゴマー等の添加剤を本接着性シート1,2の硬度を適宜調整したりすることもできる。
<紫外線重合開始剤(A)>
紫外線重合開始剤(A)としては、紫外線、例えば波長300nm〜380nm領域の光線の照射によって、ラジカルを発生してベース樹脂の重合反応の起点となるものであればよい。
よって、本接着性シート1,2は、紫外線重合開始剤(A)を含有することにより、紫外線、例えば波長300nm〜380nmの範囲の何れかにおいて紫外線架橋反応を開始させる波長吸収域を有することになる。
Bステージ状態の本接着性シート1,2が、従来の両面接着性シートに比べて、より一層柔軟性を有するためには、紫外線重合開始剤(A)は、可視光領域の光には反応しない紫外線重合開始剤であるのが好ましい。その場合、可視光線、例えば波長300nm〜380nmの波長領域の光線の照射によって、可視光重合開始剤(B)のみを選択的に反応させることができるから、可視光架橋のみによる1次硬化を施すことができる。この時、紫外線重合開始剤(A)は、光励起されず、1次硬化反応の開始に寄与しないため、1次硬化を施した後も、紫外線による反応の余地を十分に残したBステージ状態とすることができる。
かかる観点から、紫外線重合開始剤(A)としては、可視光での波長領域(波長380nm以上の領域)の光線の照射でラジカル発生が生じにくい性質を有するものが好ましい。具体的には、波長365nmのモル吸光係数が10以上であるものが好ましい。
紫外線重合開始剤(A)は、(メタ)アクリル酸エステルやビニルエステル系中のラジカル発生機構によって大きく2つに分類され、光重合性開始剤自身の単結合を開裂分解してラジカルを発生させることができる「分子内開裂型光重合性開始剤」(「分子内開裂型」とも称する)と、光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させることができる「分子間水素引抜型光重合性開始剤」(「分子間水素引抜型」とも称する)と、に大別される。
このうち、紫外線重合開始剤(A)としては、分子間水素引抜型が特に好ましい。
分子間水素引抜型は、一度励起されても、開始剤のうち反応しなかったものは基底状態に戻るため、反応開始剤として再度利用可能である。このため、分子内開裂型と比較して、分子間水素引抜型は反応後も活性種として残存し易い。よって、貼合後に紫外線を照射し、さらに架橋(2次硬化)させる際の反応開始剤として用いるのに好適である。また、分子間水素引抜型は、分子内開裂型と比較して、低分子量の分解生成物が少なく、分解物由来のアウトガスや溶出物の発生が少ないという点でも優れている。
紫外線重合開始剤(A)としては、好ましくは波長365nmのモル吸光係数が10以上であり、且つ、波長405nmのモル吸光係数が0.1以下である紫外線重合開始剤(A)であり、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-[4-{4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)ベンジル}フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、フェニルグリオキシリック酸メチル、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、ベンゾフェノン、4-メチル-ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、3,3‘-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-(1,3-アクリロイル-1,4,7,10,13-ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン等を挙げることができる。これらは、これらのうちの何れか一種またはその誘導体を用いてもよいし、又、これらのうちの二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、分子間水素引抜型であるベンゾフェノンおよびその誘導体は、反応後も分解生成物がなく、また組成物をBステージ状態とするための反応活性種として潜在させ易いため好ましい。
<可視光重合開始剤(B)>
可視光重合開始剤(B)としては、可視光線、例えば380nm〜700nmの波長領域の光線の照射によって、ラジカルを発生させてベース樹脂の重合反応の起点となるものであればよい。
可視光重合開始剤(B)は、可視光線の照射のみによってラジカルを発生させるものであってもよいし、また、可視光領域以外の波長領域の光線の照射によってもラジカルを発生させるものであってもよい。
可視光重合開始剤(B)は、波長405nmのモル吸光係数が10以上である光開始剤であるのが好ましい。
可視光重合開始剤の反応性ラジカル発生機構も大きく2つに分類され、自身の単結合を開裂し分解してラジカルを発生させる分子内開裂型と、系中の水酸基などから水素を励起させラジカルを発生させる分子間水素引抜型(「水素引抜型」とも称する)とに分類される。
このうち、可視光重合開始剤(B)としては、分子内開裂型を特に好ましい。
分子内開裂型は、光照射によってラジカルを発生する際に分解して別の化合物となり、一度励起されると反応開始剤としての機能をもたなくなる。このため、可視光線域に吸収波長をもつ可視光重合開始剤(B)として該分子内開裂型を用いると、分子間水素引抜型を用いる場合に比べて、可視光線照射によって接着性シートに1次架橋を施した後、可視光線反応性の光重合性開始剤(「可視光線硬化型光重合性開始剤」とも称する)が接着組成物中に未反応残渣として残り、接着性シートの予期せぬ経時変化や架橋の促進を招く可能性が低いため好ましい。また、可視光線硬化型光重合性開始剤特有の着色についても、反応分解物となることで、可視光線域の吸収がなくなり、消色するものを適宜選択することができるため好ましい。
可視光重合開始剤(B)としては、好ましくは、波長405nmのモル吸光係数が10以上であり、かつ波長365nmのモル吸光係数が10以上である可視光重合開始剤であり、例えば、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-(4-メチルベンジル)-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、3-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、1,2-オクタンジオン,1−(4−(フェニルチオ),2−(o−ベンゾイルオキシム))等を挙げることができる。これらは、これらのうちの何れか一種またはその誘導体を用いてもよいし、又、これらのうちの二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
この中でも、分子内開裂型光重合性開始剤で、反応後に分解物となり消色する点で、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドが好ましく、さらに樹脂に対する溶解性の点からは、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドが好ましい。
(架橋開始剤の含有量)
紫外線重合開始剤(A)及び可視光重合開始剤(B)を含めた架橋開始剤の含有量は、特に制限されるものではない。目安としては、各層を構成するベース樹脂100質量部に対し0.1〜10質量部、特に0.2質量部以上或いは5質量部以下、その中でも0.5質量部以上或いは3質量部以下の割合で調整するのが好ましい。但し、他の要素とのバランスでこの範囲を超えてもよい。
本接着性樹脂組成物1において、紫外線重合開始剤(A)と可視光重合開始剤(B)との含有量比は、2次硬化前後での物性変化を大きくすることができる観点から、100:1〜1:1、中でも50:1〜1.5:1、さらに好ましくは30:1〜2:1であるのが特に好ましい。但し、他の要素とのバランスでこの範囲を超えてもよい。
中間層S1における可視光重合開始剤(B)の含有率に対する、最外層S2における可視光重合開始剤(B)の含有比率は1よりも低いことが好ましく、より好ましくは0.5以下であり、特に好ましくは0.3以下である。
前記含有比率は、中間層S1を可視光線によって1次硬化させた後、最外層S2は紫外線反応の余地を十分に残したBステージ状態とすることができる点で好ましい。
<架橋剤(C)>
ベース樹脂の種類によっては、架橋剤が無くても、可視光による架橋及び紫外線による架橋を行うことが可能である。よって、架橋剤(C)は、必要に応じて添加すればよい。但し、2次硬化前後での物性変化を大きくすることができる観点から、架橋剤を含有するのが好ましい。
本粘着剤組成物1,2,3に配合する架橋剤(C)としては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2ーヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の紫外線硬化型の多官能モノマー類のほか、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の多官能アクリルオリゴマー類を挙げることができる。
中でも、反応性や得られる硬化物の強度の点で、アクリル酸エステル系(共)重合体を架橋する際に用いる架橋モノマー(架橋剤)としては、例えば(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
架橋剤(C)の量に関しては、架橋剤の量が多いと反応が急速に進み反応制御が困難となるため、架橋剤の量を調整して、架橋を途中でも止められるようにするのが好ましい。
かかる観点から、架橋剤(C)の量は、各層を構成するベース樹脂100質量部に対して0〜30質量部、特に20質量部以下、中でも10質量部以下、その中でも特に5質量部以下とするのが好ましい。
<粘着付与剤(D)>
本粘着剤組成物1,2,3は、必要に応じて、粘着付与樹脂粘着付与剤(D)を含有してもよい。
粘着付与樹脂(D)は、本接着性シート1、2の弾性率やガラス転移温度を調整し、剥離力やタックなどの粘着特性を調整する作用がある。剥離抵抗は、引き剥がし時に粘着材が変形する際のエネルギー損失が最も高い時、すなわちTanδ曲線の分散ピーク付近で高い値を示す。一般的に粘着組成物は、室温より低いTanδのピーク温度をもつことから、粘着付与樹脂(D)を添加して組成物全体のガラス転移温度を上げることで、常温から高温域にかけてのみかけの剥離抵抗を高めることが出来る。
よって、みかけの剥離抵抗を得たい時に粘着付与樹脂(D)を含有してもよい。
粘着付与樹脂(D)の軟化温度は、60℃〜150℃、特に60℃〜130℃であるのが好ましい。軟化温度が高すぎると、粘着主剤である(メタ)アクリル酸エステル共重合体との相溶性に劣る傾向があり、軟化温度が低すぎると、粘着特性を調整する効果が得難く、また、高温環境下における接着性シートの耐久性を損なう虞がある。
軟化温度が60℃〜150℃の粘着付与樹脂としては、透明性や入手し易さ、(メタ)アクリル酸エステル共重合体との相溶性などの観点から、スチレン樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂及び脂肪族炭化水素系樹脂などの粘着付与樹脂を挙げることができる。これらのうちの一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
その中でも、耐熱黄変性や幅広い配合比における相溶性を有するという観点から、水添ロジンエステル樹脂が好ましい。
水添ロジンエステル樹脂は、荒川化学社(パインクリスタル)、パイノバ社(ピコライト)などから入手可能である。
<その他>
本粘着剤組成物1,2,3は、上記以外の成分として、通常の粘着剤組成物に配合されている公知の成分を含有してもよい。例えば、必要に応じて、酸化防止剤、老化防止剤、吸湿剤などの各種の添加剤を適宜配合することも可能である。
また、必要に応じて反応触媒(三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物など)を適宜添加してもよい。
<本接着性シート1、2の用途>
本接着性シート1,2はいずれも、透明で、接着性を備えているばかりか、貼合面の段差部に追従して隅々まで充填することができ、接着性シート内に生じる歪みを緩和することもでき、さらには、取り回し時の作業性を損なうことなく、高温や高湿環境下での耐発泡性を維持することができる。よって、例えばパソコン、モバイル端末(PDA)、ゲーム機、テレビ(TV)、カーナビ、タッチパネル、ペンタブレットなど、LCD、PDP又はELなどの画像表示パネルを用いた平面型画像表示装置において、画像表示パネルに対して保護パネルやタッチパネル等の透明パネルを貼り合わせるのに好適に用いることができる。
例えば、携帯電話の表示画面などでは、液晶パネルディスプレイ(LCD)上に偏光フィルム等を積層し、その上に接着性シートを介してプラスチック製の保護パネルを積層する構成が採用されている。この際、該保護パネルの裏面には、周縁部に隠蔽用印刷部(厚さ5μm〜80μm程度)が付設され、隠蔽用印刷部の縁に形成される段差部の入隅部内にまで接着剤が十分に入り込まないと、気泡が残留して画面の視認性が低下することになる。
本接着性シート1,2は、このような5μm〜20μm程度の段差はもちろん、50〜80μm程度の段差があっても、段差に追従して隅々まで充填して気泡を残留させることなく貼着することができる。しかも、例えば85℃程度の高温環境下においても発泡することがないように貼着することができ、凹凸追従性に極めて優れている。そのため、本接着性シート1,2は、貼合面に高印刷段差などの段差部や凹凸部を備えた画像表示装置構成部材を貼合するのに好適に用いることができる。
また、本接着性シート1,2は、形状保持性に優れ、事前に任意の形状に加工しておくことが可能であることから、画像表示パネルに合わせて予めカットしておくのが好ましい。
この際のカット方法は、トムソン刃による打ち抜き、スーパーカッターやレーザーでのカットが一般的であり、離型フィルムを剥がし易いように表裏どちらか一方の離型フィルムを額縁状に残してハーフカットするのがより好ましい。
より具体的には、本接着性シート1,2を用いて、保護パネルと画像表示パネル、或いは、タッチパネル体と画像表示パネル、或いは、タッチパネル体と保護パネルとを直接貼り合わせて画像表示装置構成用積層体或いは画像表示装置を作製することができる。
<画像表示装置構成用積層体の製造方法>
次に、本接着性シート1又は2の少なくとも片面に、画像表示装置構成部材が積層されてなる構成を備えた画像表示装置構成用積層体(「本画像表示装置構成用積層体」と称する)の製造方法について説明する。
本画像表示装置構成用積層体は、本接着性シート1又は2の両面に画像表示装置構成部材が積層されてなる構成を備えたもののほか、本接着性シート1又は2の片面に画像表示装置構成部材が積層され、他方の面に離型シートなどが積層されてなる構成を備えたものなども包含する。
本画像表示装置構成用積層体は、少なくとも次の(1)及び(2)の工程を経て製造することができる。
(1) 未架橋状態の接着剤組成物を単層又は多層のシート状に成形し、可視光線を前記接着剤組成物に照射して、当該接着剤組成物を可視光線架橋させることにより、Bステージ状態の本接着性シート1又は2を形成する工程。
(2) 前記Bステージ状態の本接着性シート1又は2の少なくとも片面に、画像表示装置構成部材を積層し、当該画像表示装置構成部材を介して、前記透明両面接着性シートに紫外線を照射して紫外線架橋させる工程。
(工程(1))
工程(1)では、前述した方法によって、本接着性シート1又は2を作製すればよい。例えば、2枚の透明離型シートの間に、未架橋状態の本接着剤組成物1,2,3を単層又は多層のシート状に成形し、少なくとも一方の透明離型シートを介して可視光線を前記接着剤組成物に照射して、当該接着剤組成物を可視光線架橋させるようにすればよい。
この際、例えば本接着剤組成物1,2,3を加熱溶融(ホットメルト)し、これを透明離型樹脂シート上に塗布して単層又は多層のシート状に成形することもできる。
可視光線を照射する際は、紫外線領域の波長の光、例えば380nm未満の波長の光を実質的に含まない可視光線を照射するのが好ましい。
紫外線領域の波長の光を実質的に含まない可視光線を照射する方法としては、前述したように、紫外線領域の波長の光を含まない可視光線のみを出射する光源を用いてもよいし、紫外線領域の波長の光を透過しないフィルターを介して照射するようにしてもよい。
例えば波長380nmの光線透過率が10%未満であって、且つ、波長405nmの光線透過率が80%以上である透明離型シートを介して、可視光線を接着剤組成物に照射する方法を挙げることができる。
なお、実質的に含まないとは、紫外線領域の光を意図してカットしても多少含まれる場合があるため、このような場合を包含する意図であり、例えば380nm以上の波長領域(例えば410nm波長)の光線強度に対して、380nm未満の波長領域の光線強度(例えば350nm波長)が10%未満であれば、実施的に含まれないとするものである。
工程(1)において、可視光架橋の程度を調整するには、可視光の照射量を制御する方法のほか、透明離型シートを介して可視光を照射することで、可視光の透過を一部遮断するようにして可視光架橋の程度を調整することも可能である。
ここで、このような目的に使用可能な透明離型シート、すなわち可視光の透過を一部遮断する作用を有する透明離型シートとしては、例えばポリエステル系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系のキャストフィルムや延伸フィルムに、シリコーン樹脂を塗布して離型処理したものなどを適宜選択して用いることができ、特に剥離力の異なる離型フィルムや厚さの異なる離型フィルムを挙げることができる。
なお、透明両面接着性シートの厚さ、可視光の照射量、照射波長、照射装置などは適宜調整すればよい。
(工程(2))
工程(2)では、工程(1)で得られたBステージ状態の本接着性シート1又は2の少なくとも片面に、画像表示装置構成部材を積層し、当該画像表示装置構成部材を介して、前記透明両面接着性シートに紫外線を照射して紫外線架橋させる。
このように、画像表示装置構成部材を介して、前記Bステージ状態の透明両面接着性シートに紫外線を照射して紫外線架橋させることにより、当該透明両面接着性シートをしっかりと架橋させることができ、当該透明両面接着性シートを当該画像表示装置構成部材にしっかりと接着させることができる。
ここで、上記画像表示装置構成部材としては、例えばタッチパネル、画像表示パネル、表面保護パネル及び偏光フィルムなどを挙げることができ、これらのうちの何れか、或いは2種類以上の組み合わせからなる積層体であってもよい。
なお、上述したように、本接着性シート1又は2の片面に画像表示装置構成部材が積層され、他方の面に離型シートなどを積層してもよい。
工程(2)では、画像表示装置構成部材を介して紫外線を照射して、紫外線架橋反応を起こさせる必要がある。そのためには、本接着性シート1,2内の光開始剤が励起され、ラジカルを発生させるために有効な波長の光が十分量届く必要があるため、画像表示装置構成部材を介して透明両面接着性シートに紫外線を照射する際の当該画像表示装置構成部材は紫外線透過率が一定以上であるのが好ましい。
具体的に言えば、例えば紫外線を照射する側の本接着性シート1又は2の片面に、画像表示装置構成部材としてガラス板を積層する場合、当該ガラス板の紫外線透過率が一定以上であることが好ましい。また、例えば本接着性シート1又は2の一側の片面にガラス板を積層し、他側の片面に保護シートを積層する場合には、少なくともガラス板若しくは保護シートのいずれかの紫外線透過率が一定以上であることが好ましい。
よって、画像表示装置構成部材を介して透明両面接着性シートに紫外線を照射する際の当該画像表示装置構成部材の紫外線透過率、すなわちUV−A波の波長範囲300nm〜380nmにおける光線透過率が20%以上であることが好ましく、特に30%以上、中でも特に40%以上であるのがより一層好ましい。
このような光線透過率を備え得る部材としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂などから構成されるものを挙げることができる。本発明の画像表示装置構成用積層体の製造方法によれば、プラスチック部材の温湿度変化による寸法変化やアウトガスの放出や透過に起因する発泡を抑えることができるため、積層体を構成する樹脂部材として、前記ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂および環状ポリオレフィン樹脂のほか、トリアセチルセルロース樹脂などから構成される樹脂部材にも使用することが可能である。
(本画像表示装置構成用積層体)
上記製造方法で使用することができる画像表示装置構成部材としては、例えばパソコン、モバイル端末(PDA)、ゲーム機、テレビ(TV)、カーナビ、タッチパネル、ペンタブレットなど、LCD、PDP又はELなどの画像表示装置の構成部材を挙げることができる。
具体的な一例を挙げれば、携帯電話の画像表示装置においては、液晶パネルディスプレイ(LCD)上に偏光フィルム等を積層し、その上に粘着剤乃至シートを介してプラスチック製の保護パネルが積層される場合がある。この際、該偏光フィルムの構成材料として、PVA(ポリビニルアルコール)やトリアセチルセルロース樹脂が用いられる場合があり、これらはアウトガスを放出しやすいことが判明している。
そこで、保護パネル/本接着性シート1,2/偏光フィルムの構成から成る積層体を作製すれば、高温下で使用された場合であっても、保護パネルや偏光フィルムから放出されるアウトガスによる発泡を効果的に抑制することができる。
そのほか、例えば離型シート/本接着性シート1,2/タッチパネル、離型シート/本接着性シート1,2/保護パネル、離型シート/本接着性シート1,2/液晶パネル、液晶パネル/本接着性シート1,2/タッチパネル、液晶パネル/本接着性シート1,2/保護パネル、液晶パネル/本接着性シート1,2/タッチパネル/本接着性シート1,2/保護パネル、偏光フィルム/本接着性シート1,2/タッチパネル、偏光フィルム/本接着性シート1,2/タッチパネル/本接着性シート1,2/保護パネルなどの構成を本積層体の構成例として挙げることができる。
<語句の説明など>
なお、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、画像表示パネル、保護パネル等のように「パネル」と表現する場合、板体、シートおよびフィルムを包含するものである。
本明細書において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
以下、実施例及び比較例によりさらに詳しく説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(中間組成物A)
2−エチルヘキシルアクリレート(Tg−70℃)75質量部と、酢酸ビニル(Tg32℃)20質量部と、アクリル酸(Tg105℃)5質量部とをランダム共重合してなるアクリル酸エステル共重合体(Mw:40万、Mn:9万、Mw/Mn:4.4)1kgに対し、架橋剤としての紫外線硬化樹脂プロポキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学社製「ATM−4PL」)250gと、可視光線重合開始剤としての2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製「ルシリンTPO」、365nmモル吸光係数160、405nmモル吸光係数60)3gと、紫外線重合開始剤としての4−メチルベンゾフェノン(Lambson社製SpeedCureMBP、365nmモル吸光係数30、405nmモル吸光係数0.1以下)10gとを均一混合し、中間層組成物Aを調製した。
(中間層組成物B)
中間層組成物Aにおいて、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド及び4−メチルベンゾフェノンの代わりに、光重合性開始剤として、紫外線重合開始剤である4−メチルベンゾフェノン(Lambson社製SpeedCureMBP、365nmモル吸光係数30、405nmモル吸光係数0.1以下)20gを用いた以外は、中間層組成物Aと同様にして中間層組成物Bを作成した。
(中間層組成物C)
中間層組成物Aにおいて、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド及び4−メチルベンゾフェノンの代わりに、光重合性開始剤として、可視光線重合開始剤としての2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製「ルシリンTPO」、365nmモル吸光係数160、405nmモル吸光係数60)10gを用いた以外は、中間層組成物Aと同様にして中間層組成物Bを作成した。
(接着層組成物A)
2−エチルヘキシルアクリレート(Tg−70℃)75質量部と、酢酸ビニル(Tg32℃)20質量部と、アクリル酸(Tg105℃)5質量部とをランダム共重合してなるアクリル酸エステル共重合体(Mw:50万、Mn:9万、Mw/Mn:5.6)1kgに対して、架橋剤としての紫外線硬化樹脂プロポキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学社製「ATM−4PL」)50gと、紫外線重合開始剤としての4−メチルベンゾフェノン(Lambson社製SpeedCureMBP、365nmモル吸光係数30、405nmモル吸光係数0.1以下)15gとを混合し、接着層組成物Aを調製した。
(接着組成物B)
ブチルアクリレート(Tg−55℃)69質量部と酢酸ビニル(Tg32℃)30質量部とアクリル酸(Tg105℃)1質量部とをランダム共重合してなるアクリル酸エステル共重合体(Mw:35万、Mn:7万、Mw/Mn:5.0)1kgに対し、架橋剤としてプロポキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学社製「ATM−4PL」)70gと、粘着付与剤として水添ロジン樹脂(荒川化学社製「パインクリスタルKR311」:軟化温度77℃)100gと、紫外線重合開始剤としての4−メチルベンゾフェノン(Lambson社製SpeedCureMBP、365nmモル吸光係数30、405nmモル吸光係数0.1以下)20gとを混合し、接着層組成物Bを調製した。
(接着組成物C)
2−エチルヘキシルアクリレート(Tg−70℃)75質量部と、酢酸ビニル(Tg32℃)20質量部と、アクリル酸(Tg105℃)5質量部とをランダム共重合してなるアクリル酸エステル共重合体(Mw:40万、Mn:9万、Mw/Mn:4.4)1kgに対して、紫外線重合開始剤としての4−メチルベンゾフェノン365nmモル吸光係数30、405nmモル吸光係数0.1以下)20gを混合し、接着層組成物C調製した。
(接着組成物D)
接着組成物Aの4−メチルベンゾフェノンの代わりに、光重合性開始剤として、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製「ルシリンTPO」、365nmモル吸光係数160、405nmモル吸光係数60)10gを配合した以外は、接着組成物Aと同様にして接着組成物Dを作成した。
(接着組成物E)
2−エチルヘキシルアクリレート(Tg−70℃)88質量部とアクリル酸(Tg105℃)11.5質量部と4−アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン0.5質量部とをランダム共重合してなるアクリル酸エステル共重合体(Mw:15万、Mn:5万、Mw/Mn:3.0)1kgに対し、光重合性開始剤2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製「ルシリンTPO」、365nmモル吸光係数160、405nmモル吸光係数60)1gを添加し接着層組成物Eを作製した。
<実施例1>
剥離処理を施したUVカットポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂製「O700E100」)(波長380nmにおける光線透過率が0.7%かつ、波長405nmにおける光線透過率87%)を作製した。
前記剥離可能に処理した上記離型フィルムの当該片側面に、接着層組成物A/中間層組成物A/接着層組成物A=50μm/50μm/50μmとなるように共押出してシート状に成形し、その表面に前述の離型フィルムを積層して積層体を作製した。
前記積層体の表裏両側から、離型フィルム1,2を介して、波長405nmの積算光量が1000mJとなるように、高圧水銀ランプにて光線を照射して可視光線架橋させて、Bステージ状態の透明両面接着性シート1(総厚み150μm)を作製した。このとき、UVカットポリエチレンテレフタレートフィルムによって波長380nm以下の光が遮断されるため、透明両面粘着シートには、実質波長380nm以上の光(可視光)のみが到達していることになる。
<実施例2>
実施例1において、接着層組成物B/中間層組成物A/接着層組成物B=50μm/50μm/50μmとなるよう共押出してシート状に成形した以外は、実施例1と同様にして、Bステージ状態の透明両面接着性シート2(総厚み150μm)を作製した。
<比較例1>
剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(藤森工業社製「バイナ100GT」:波長365nmにおける光線透過率が87%かつ、波長405nmにおける光線透過率90%)の片側面に、接着層組成物C/中間層組成物B/接着層組成物C=40μm/70μm/40μmとなるよう共押出してシート状に成形し、表面に、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂製「MRF75」:波長365nmにおける光線透過率が88%かつ、波長405nmにおける光線透過率90%)を積層して積層体を作製した。
前記積層体の表裏両側から、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムを介して、波長365nmの積算光量が1000mJとなるよう高圧水銀ランプにて照射して紫外線架橋させて、Bステージ状態の透明両面接着性シート1(総厚み150μm)を作製した。
<比較例2>
実施例1において、接着組成物D/中間組成物C/接着組成物D=50μm/50μm/50μmとなるよう共押出してシート状に成形した以外は、実施例1と同様にして、Bステージ状態の透明両面接着性シート4(総厚み150μm)を作製した。
<比較例3>
剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(藤森工業社製「バイナ100GT」)の当該片側面に、接着組成物D=150μmとなるよう押出してシート状に成形し、表面に剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂製「MRF75」)を積層して、硬化前透明両面接着性シート5(総厚み150μm)を作製した。
<画像表示装置構成用積層体の作製>
高印刷段差を有する画像表示装置構成部材の代替部材として、60mm×90mm×厚さ0.5mmのソーダライムガラスの周縁部に、幅10mm、厚み80μmの白色の印刷を施し、周縁部に80μmの印刷段差を形成してなる評価用ガラス基板(波長300nm〜380nmの範囲における光線透過率90%以上)を作製した。
そして、所定の大きさに裁断した透明両面接着性シート1〜4の一方の剥離フィルムを剥がし、露出した粘着面に、上記ガラス基板の印刷段差部を覆うように、減圧下(絶対圧5kPa)にて80℃に加熱してプレス貼合した後、当該ガラス基板を介して、前記透明両面接着性シート1〜4に、波長365nmの積算光量が1000mJとなるよう高圧水銀ランプにて、紫外線架橋させて、画像表示装置構成用積層体1〜4を作製した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた透明両面接着性シート1〜5について、次のような評価を行った。
(引張り法で求める60℃における動的貯蔵弾性率(E’))
引張り法で求める60℃における動的貯蔵弾性率(E’)は、実施例及び比較例で得られた透明両面接着性シート1〜5を試料寸法:巾4mm×長15mmに裁断し、動的粘弾性測定装置(アイティ計測制御株式会社製、itkDVA-200)を用いて、引張モード:振動周波数1Hz、測定温度:0℃から100℃、昇温速度:3℃/分の速度で、60℃における引張り法による動的貯蔵弾性率E’を測定した。
(せん断法で求める60℃における動的貯蔵弾性率(G’))
せん断法で求める60℃における動的貯蔵弾性率(G’)は、実施例及び比較例で得られた透明両面接着性シート1〜5をそれぞれ複数枚使用して、1mm〜2mmの厚みになるように積層し、直径20mmの円状に打ち抜いたものを測定試料とし、レオメータ(英弘精機株式会社製「MARS」)を用いて、粘着治具:Φ25mmパラレルプレート、歪み:0.5%、周波数:1Hz、温度:−50〜200℃、昇温速度:3℃/minで、60℃におけるせん断法による動的貯蔵弾性率G’を測定した。
(裁断加工性・保管安定性評価)
上記透明両面接着性シート1〜5を、剥離フィルムを積層したままトムソン打抜機を用いて55mm×85mmのトムソン刃で100枚カットした。裁断直後と、裁断品100枚を積層して25℃、50%湿度環境下にて1週間保管した後の端部の形状を観察した。
貼合直後もしくは保管後に、糊のはみ出しや端部の潰れが10枚以上みられたものを「×」と評価し、糊のはみ出しや端部の潰れが10枚以上無かったものを「○」と判定した。
(印刷段差追随性試験)
前述のように画像表示装置構成用積層体1〜4を作製した際、当該積層体1〜4の外観を目視観察し、印刷段差付近に透明両面接着性シートの浮きもしくは剥離が発生したものを「×」と評価し、浮きはないものの印刷段差近傍の開口部に筋ムラや光学ムラがみられるものを「△」、浮きもしくは剥離が無かったものを「○」と評価した。
(耐発泡性試験)
高印刷段差を有する画像表示装置構成部材の代替部材として、60mm×90mm×厚さ0.5mmのソーダライムガラスの周縁部に、幅10mm、厚み80μmの白色の印刷を施し、周縁部に80μmの印刷段差を形成してなる評価用ガラス基板(開口部の波長300nm〜380nmの範囲における光線透過率90%以上)を作製した。
このようにして評価用ガラス基板を50枚づつ作製し、印刷を施したガラス基板を介して、365nmの紫外線が積算光量にて2000mJ/cm到達するように、透明両面接着性シート1〜5に紫外線照射し、耐発泡性試験のサンプルを作製した。
各サンプルを、常態(温度23℃湿度50%)で一日静置した後、温度85℃湿度25%の恒温恒湿機にて6時間養生し、養生後の外観を目視観察した。
養生後に新たな浮きや発泡が5枚以上生じたものを「×」、発生したものの5枚以下だったものを「△」新たな浮きや発泡が生じなかったものを「○」と評価した。
Figure 2014152294
<考察>
上記接着性シート1、2(実施例1,2)はいずれも、可視光線に感度の高い光重合性開始剤(A)と紫外線に反応する重合開始剤(B)とを併用してE’/G’の値を10以上に調整したことにより、優れた裁断加工性や保管安定性をもちながらも段差部に接する部分に生じる歪みを緩和することができ、光学特性への悪影響を抑えることができることが分かった。さらに、紫外線架橋の余地を十分に残したBステージ状態とする事が出来るため、貼合後に部材を介して紫外線照射することで耐発泡信頼性に優れた積層体が得られた。
接着性シート3(比較例1)は、可視光硬化型の光重合性開始剤(B)を含有しておらず、紫外線1次架橋することで優れた加工性や保管安定性が得られるものの貼合時の流動性は損なわれるため、印刷段差へ気泡なく貼合出来たものの実施例と比較すると段差部に接する部分に生じる歪みを十分に緩和することができず、凹凸部近傍に若干の筋ムラを残す結果となった。
また、紫外線による2次架橋反応の感度が1次架橋により損なわれるため、耐発泡信頼性は実施例と比較すると劣る結果となった。
接着性シート4(比較例2)は、可視光硬化型の光重合性開始剤のみを含有しており、1次硬化の時点で架橋反応が進行しすぎて貼合時の柔軟性が損なわれ、結果凹凸追従性に劣るものであった。また、2次架橋の余地を殆ど残しておらず、耐発泡信頼性が得られなかった。
接着性シート5(比較例3)は、E’/G’の値が10以下であるためハンドリング性と凹凸追従性が両立しがたく、柔軟性に優れ印刷段差取込み性には優れるものの、裁断加工性に劣るものであった。また1次架橋を施していないため、保管時にはシート全体の永久変形を起こし易く安定性に劣るものであった。

Claims (8)

  1. 透明両面接着性シートの少なくとも片面に、画像表示装置構成部材が積層してなる構成を備えた画像表示装置構成用積層体の製造方法であって、
    少なくとも次の(1)及び(2)の工程を有することを特徴とする画像表示装置構成用積層体の製造方法。
    (1) 未架橋状態の接着剤組成物を単層又は多層のシート状に成形し、可視光線を前記接着剤組成物に照射して、当該接着剤組成物を可視光線架橋させることにより、Bステージ状態の透明両面接着性シートを形成する工程。
    (2) 前記Bステージ状態の透明両面接着性シートの少なくとも片面に、画像表示装置構成部材を積層し、当該画像表示装置構成部材を介して、前記透明両面接着性シートに紫外線を含む光線を照射して紫外線架橋させる工程。
  2. 未架橋状態の前記接着剤組成物は、紫外線領域の光のみによって架橋を開始する紫外線重合開始剤と、可視光領域の光によって架橋を開始する可視光重合開始剤と、を含有することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置構成用積層体の製造方法。
  3. 前記工程(1)では、380nm未満の波長の光を実質的に含まない可視光線を前記接着剤組成物に照射して、当該接着剤組成物を可視光線架橋させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示装置構成用積層体の製造方法。
  4. 前記工程(1)では、2枚の透明離型シートの間に、未架橋状態の接着剤組成物を単層又は多層のシート状に成形し、少なくとも一方の透明離型シートを介して可視光線を前記接着剤組成物に照射して、当該接着剤組成物を可視光線架橋させることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像表示装置構成用積層体の製造方法。
  5. Bステージ状態の透明両面接着性シートは、波長300nm〜380nmの範囲の何れかにおいて紫外線架橋反応を開始させる波長吸収域を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の画像表示装置構成用積層体の製造方法。
  6. 前記工程(2)において、画像表示装置構成部材を介してBステージ状態の透明両面接着性シートに紫外線を照射する際の当該画像表示装置構成部材は、波長300nm〜380nmの範囲における光線透過率が20%以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の画像表示装置構成用積層体の製造方法。
  7. 前記画像表示装置構成部材が、タッチパネル、画像表示パネル、表面保護パネル及び偏光フィルムからなる群のうちの何れか、或いは2種類以上の組み合わせからなる積層体であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の画像表示装置構成用積層体の製造方法。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載の製造方法によって製造された積層体を用いて構成された画像表示装置。
JP2013024751A 2013-02-12 2013-02-12 画像表示装置構成用積層体の製造方法、及びこの積層体を用いてなる画像表示装置 Active JP6126857B2 (ja)

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