JP2014152208A - 光学材料用重合性組成物の製造方法 - Google Patents

光学材料用重合性組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硫黄、エピスルフィド基を分子内に2個有する化合物およびSH基を2個有する化合物を用い予備重合反応させ、低粘度かつ粘度上昇の小さい光学材料用重合性組成物の生産性を向上させる製造方法の提供。
【解決手段】特定の構造を有するヒンダードアミン化合物を予備重合触媒とした予備重合反応を、メディアン径が5μmから500μmの硫黄を使用すること、および撹拌時のレイノルズ数が1.5×10から1.5×10となるように制御しながら予備反応を行う製造方法により、予備重合反応時の反応温度を室温付近かつ3時間以内で行うこと事が可能となり、低粘度かつ粘度上昇の小さい光学材料用重合性組成物の生産性を向上することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基盤、フィルター、接着剤等の光学部品、中でも、眼鏡用プラスチックレンズ等の光学材料用重合性組成物の製造方法に関するものである。
プラスチック材料は軽量かつ靭性に富み、また染色が容易であることから、各種光学材料、特に眼鏡レンズに近年多用されている。光学材料、中でも眼鏡レンズに要求される主な性能は、低比重、高透明性および低黄色度、光学性等として高屈折率と高アッベ数であり、近年、高屈折率と高アッベ数を達成する為にポリエピスルフィド化合物に硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物を配合する光学材料用重合性組成物が提案されている(例えば、特許文献1)。
これら組成物を重合硬化して得られる光学材料は高屈折率化が達成されているが、硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物は常温で固体で溶解性の低いものが多く、組成物とした場合に析出したり、同化合物を高濃度にすると溶解が不完全となったりする問題があった。
そこで、硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物と、この無機化合物と反応可能なエピスルフィド化合物などの含硫黄有機化合物を予め予備重合反応させる手法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物の含有量が増えると重合性組成物の粘度が高くなり過ぎて、ろ過やモールド注入などの通常の注型重合操作が困難になる為、予備重合反応時に粘度を低下させるため、SH基を一個有する化合物(特許文献3参照)、NH基および/またはNH基を1個以上有する化合物(特許文献4参照)、あるいは、ジスルフィド結合を1個以上有する化合物(特許文献5参照)を添加する製造方法が提案されている。しかしながら、硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物の含有量が10質量部以上の組成物では、これらの粘度を下げる添加剤を加えた場合でも、予備重合反応を過剰に行った場合および/または組成物調合後の温度が高すぎた場合などに組成物の粘度が上昇したり、通常工業的に光学材料を製造する際に必要な注入時間である3時間程度経過後の粘度上昇が大きくなるなど、ろ過やモールド注入などの通常の注型操作が困難となり、ろ過および注入装置の大型化や注入ラインの短縮が必要となるなどの問題点があった。さらに、光学材料の生産性を向上させるために、ろ過や注入操作がより容易なさらなる低粘度の光学材料用重合性組成物を得る製造方法が望まれていた。
また、前記参照文献の予備重合反応は通常50℃〜70℃で行われており、重合性組成物を製造後に重合開始温度である室温程度に冷却する必要があるため、予備重合反応が終了した後あるいは重合性組成物を製造した後で、室温程度までの冷却工程が必要となり、反応スケールを大きくするには冷却装置の大型化や反応装置内への冷却コイルの導入などを行わなければ冷却に要する時間が長くなることで予備反応時間が長くなったり、都度変化したりする事も問題になっている。このため室温に近い反応温度かつ短時間で予備重合反応を完了することが可能な光学材料用重合性組成物の製造方法の開発が望まれていた。
特開2001−2783号公報 特開2004−197005号公報 特開2006−348285号公報 特開2006−348289号公報 特開2006−348286号公報
本発明の課題は、硫黄、エピスルフィド基を分子内に2個有する化合物およびSH基を2個有する化合物を用いた光学材料用重合性組成物を製造する際の予備重合反応において、冷却に要する時間を短縮するために反応温度を室温付近にし、3時間以内の短時間で予備重合反応を完了させ、さらに、低粘度かつ粘度上昇の小さい光学材料用重合性組成物を製造する方法を開発することにより、光学材料の生産性を向上させることである。
本発明者らは、このような状況に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、硫黄、エピスルフィド基を分子内に2個有する化合物およびSH基を2個有する化合物を有する光学材料用重合性組成物を製造する際の予備重合反応において、メディアン径が5μmから500μmの硫黄を使用して特定の構造を有するヒンダードアミン化合物を予備重合触媒として用い、さらに、予備重合反応時の撹拌をレイノルズ数1.5×10から1.5×10に制御することで、予備重合反応時の反応温度を室温付近かつ3時間以内で行うことが可能となり、低粘度かつ粘度上昇の小さい光学材料用重合性組成物を製造できることを見出し本発明に至った。即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]:メディアン径が5μm〜500μmの下記(a)化合物10〜50質量部、下記(b)化合物50〜90質量部(ただし、(a)化合物と(b)化合物との合計は100質量部とする)および下記(c)化合物1〜20質量部とを、下記(d)化合物0.001〜3質量部を予備重合触媒として予備重合反応して予備重合反応液を得る工程、および前記予備重合反応液に重合触媒を添加する工程を有する光学材料用重合性組成物の製造方法であり、前記予備重合反応を反応温度0℃〜45℃、レイノルズ数1.5×10〜1.5×10の攪拌下に行うことを特徴とする光学材料用重合性組成物の製造方法。
(a)硫黄((a)化合物)
(b)下記(1)式で表されるエピスルフィド基を分子内に2個有する化合物((b)化合物)
Figure 2014152208
(ここで、mは0〜4の整数、nは0〜1の整数を表す。)
(c)SH基を2個有する化合物((c)化合物)
(d)下記(2)式で表される化合物((d)化合物)。
Figure 2014152208
(Rは炭素数1〜4のアルキル基、
Xはビニル基、ビニリデン基またはビニレン基のいずれかを有する炭素数2〜11の有機基)
[2]:[1]記載の方法により得られる光学材料用重合性組成物を重合硬化した光学材料。
[3]:[2]記載の光学材料からなる光学レンズ。
本発明により、硫黄、エピスルフィド基を分子内に2個有する化合物およびSH基を2個有する化合物を用いた光学材料用重合性組成物を製造する際の予備重合反応において、予備反応温度を室温付近にすることが可能となり、予備重合反応が終了した後あるいは光学材料用重合性組成物を製造した後で、室温程度までの冷却工程が短時間または不要となり短時間での光学材料用重合性組成物の製造が可能となり、さらに、低粘度かつ粘度上昇の小さい光学材料用重合性組成物を生産性よく製造することが可能となった。
本発明で使用する(a)化合物である硫黄の純度は98%以上である。98%未満の場合、不純物の影響で光学材料にクモリが生じる現象が生じやすくなるが、98%以上の純度であればクモリが生じる現象は解消される。硫黄の純度は、好ましくは99.0%以上であり、より好ましくは99.5%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。一般に入手できる硫黄は、その形状や精製法の違いにより、微粉硫黄、コロイド硫黄、沈降硫黄、結晶硫黄、昇華硫黄等があるが、本発明においては、純度98%以上であれば、いずれの硫黄でもかまわない。本発明において予備重合反応は、固体である(a)化合物と液体である(b)化合物および(c)化合物の固液反応である。そのため短時間で予備重合反応を完了させるために、固体である(a)化合物と反応液との接触面積が大きくなるようにするため(a)化合物のメディアン径は500μm以下である必要がある。しかし、メディアン径が小さすぎる場合には粉塵爆発の危険性が高くなるため(a)化合物のメディアン径が小さすぎる硫黄は用いない方が良い。すなわち、硫黄の粒子径が重要でありメディアン径が5μmから500μmを用い、より好ましくはメディアン径が50μmから400μmであり、さらに好ましくはメディアン径が100μmから300μmである。必要なメディアン径の硫黄を作成する方法は上記記載の硫黄を機械的に粉砕した後、ふるいにより選別することにより得られる。
(a)化合物の添加量は、光学材料用重合性組成物中の硫黄原子含有率が高いほど高屈折率な光学材料が得られるが、添加量が多すぎると組成物に溶け残りが生じたり、組成物の粘度が著しく高くなるため、(a)および(b)化合物の合計質量を100質量部とした場合、10〜50質量部使用するが、好ましくは10〜45質量部、さらに好ましくは15〜40質量部である。
本発明で使用する(b)化合物の添加量は、(a)および(b)化合物の合計を100質量部とした場合、50〜90質量部使用するが、好ましくは55〜90質量部、より好ましくは60〜85質量部である。
(b)化合物の具体例としては、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタンなどのエピスルフィド基を分子内に2個有するエピスルフィド化合物である。(a)化合物は単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。 中でも好ましい具体例は、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド(式(3))および/またはビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド(式(4))であり、最も好ましい具体例は、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドである。
Figure 2014152208
Figure 2014152208
本発明で使用する(c)化合物はSH基を2個有する化合物であるが、SH基が1個の場合は、予備重合反応時の粘度上昇速度は低下するが、得られる光学材料のTgおよび屈折率が低下しやすくなる。一方、SH基が3個以上の場合は予備重合反応時の粘度上昇が著しく大きくなる。
本発明で使用する(c)化合物の添加量は、(a)および(b)化合物の合計を100質量部とした場合、1〜20質量部使用するが、好ましくは2〜18質量部、より好ましくは3〜15質量部、特に好ましくは4〜12質量部、最も好ましくは5〜10質量部である。上記範囲よりも多い場合には、得られる光学材料の耐熱性が低くなるなどの問題が発生する場合がある。
(c)化合物の具体例としては、メタンジチオール、1,2−ジメルカプトエタン、1,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、2,2−ジメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、ビス(メルカプトメチル)エーテル、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)ジスルフィド、1,2−ビス(2−メルカプトエチルオキシ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1−チアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1−チアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)チオフェン、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,2’−ジメルカプトビフェニル、4、4’−ジメルカプトビフェニル、ビス(4−メルカプトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−メルカプトメチルフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテル、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)スルフィド等があげられる。なかでも好ましい具体例としては、メタンジチオール、1,2−ジメルカプトエタン、1,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、2,2−ジメルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)エーテル、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)ジスルフィド、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)チオフェン、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、ビス(4−メルカプトフェニル)メタン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィドである。より好ましくはメタンジチオール、1,2−ジメルカプトエタン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)ジスルフィド、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)チオフェン、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、特に好ましくは1,2−ジメルカプトエタン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンである。なお、これらのSH基を2個有する化合物は単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。
本発明で使用する(d)化合物は、前記(2)式で表される化合物をすべて包括するが、他の組成成分との相溶性や、光学材料用重合性組成物を重合硬化後得られる硬化物の屈折率を低下させないために低分子量の化合物が好ましく、具体的には(2)式のXが下記構造式(5)である化合物である。これら化合物の中でも好ましくは、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレ−ト(下記構造式(6))、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルアクリレ−ト(下記構造式(7))および/ または1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル−4−ビニルベンゾエート(下記構造式(8))が挙げられ、最も好ましい具体例は工業的に入手が容易な1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレ−トである。
Figure 2014152208
Figure 2014152208
Figure 2014152208
Figure 2014152208
(d)化合物の添加量は、(a)および(b)化合物の合計100質量部に対して、0.001〜3質量部であり、好ましくは0.002〜1質量部であり、より好ましくは0.003〜0.5質量部である。
本発明の光学材料用重合性組成物を製造する方法で重要な、予備重合反応について詳細を以下に説明する。本発明は、(a)化合物である硫黄、(b)化合物であるエピスルフィド基を分子内に2個有する化合物と(c)化合物であるSH基を2個有する化合物とを、(d)化合物を予備重合触媒として予備重合反応して予備重合反応液を得る工程を有することを特徴としている。硫黄とチオールとの反応は、通常、触媒の存在の有無に因らず加熱することで促進されるが、塩基性化合物を触媒として使用する方法は反応速度が大きく向上し、反応時間を大幅に短縮できることから好ましい。しかしながら、塩基性化合物はエピスルフィド化合物のエピスルフィド基の重合触媒として好適に作用するため、(a)化合物と(c)化合物とを(b)化合物存在下予備重合反応の触媒として通常の無機塩基、アルカリ金属アルコキシド、有機金属あるいはアミン化合物などの塩基性化合物を用いると、予備重合反応液(プレポリマー)および/または予備重合反応液(プレポリマー)および重合触媒を含んでなる光学材料用重合性組成物の粘度が高くなったり、粘度上昇速度が速く注入操作に必要なポットライフが短くなるなどの問題がある。そこで鋭意検討を行った結果、特定の塩基性化合物である(d)化合物を予備重合触媒として予備重合反応すると、(d)化合物は、そのアミノ基両端の置換基による立体障害に起因してエピスルフィド化合物の重合触媒として活性が著しく低いため、高選択的に(a)化合物と(c)化合物とを予備重合反応できることが判明した。さらに(d)化合物を予備重合触媒とした場合、室温付近の反応温度でも(a)化合物である硫黄の析出のない予備重合反応液(プレポリマー)が得られることが判明した。
(a)化合物10〜50質量部と(c)化合物1〜20質量部とを(b)化合物50〜90質量部存在下、(d)化合物0.001〜3質量部を予備重合触媒として予備重合反応させる具体的な方法は、(a)、(b)、(c)および(d)化合物を0℃〜45℃で、好ましくは5℃〜40℃、より好ましくは10℃〜40℃で撹拌混合する。この際、全ての成分を同一容器内で同時に撹拌下に混合しても、段階的に添加混合しても、数成分を別々に混合後さらに同一容器内で再混合しても良いが、その混合撹拌におけるレイノルズ数が重要であり、ρ×ω×d/μで表されるレイノルズ数が1.5×10から1.5×10で行う必要がある。ただし,ρ=液密度(kg/m),ω=翼回転数(/s),d=翼径(m)、μ=液粘度(Pa・s)である。
本発明における予備重合反応は固体である(a)化合物と液体である(b)化合物および(c)化合物の固液反応である。そのため短時間で予備重合反応を完了させるために、固体である(a)化合物の表面更新を充分に行う必要があるが、レイノルズ数が1.5×10より小さい場合、表面更新が充分に起こらず、反応速度が著しく遅くなる。一方で、レイノルズ数が1.5×10より大きい場合、急速に予備重合反応が進行し、反応の進行を制御することが困難となる場合がある。反応が急速に進行した場合には予備重合反応液の粘度が非常に大きくなり、得られた光学材料用重合性組成物をろ過したり、モールドへの注型作業が困難となり作業性が大きく低下する。好ましくは一般的な注型時温度である20℃での粘度は通常の注型作業に要する3時間経過後においても200mPa・s以下であり、より好ましくは100mPa・s以下である。また、攪拌に用いる撹拌翼は一般に用いられるピッチパドル翼、プロペラ翼、ピッチドタービン翼、アンカー翼、リボン翼、門形翼といった攪拌翼であればよいが、好ましくは、ピッチパドル翼、プロペラ翼、ピッチドタービン翼である。
予備重合反応は窒素、酸素、水素、硫化水素などの気体の存在下、常圧または加減圧による密閉下または減圧下等の任意の雰囲気下で行ってよいが、得られる光学材料の色調、耐熱性、耐光性等の物性を保持するためには酸素等の酸化性気体分圧を可能な限り低減させることが好ましい。
予備重合反応の際には液体クロマトグラフィー、粘度、比重、屈折率および/または発生ガス量を測定する事は、反応進行度を検知し、反応を制御する事により一定の光学材料を製造するうえで好ましい。なお、予備重合反応の停止点は、得られる予備重合反応液(プレポリマー)における(a)化合物の再析出や粘度などを考慮して適宜設定されるが、(a)化合物の50%以上を反応させることが好ましい。
本発明の製造方法は、上記のようにして得られた予備重合反応液に重合触媒を添加して光学材料用重合性組成物を得る工程を有する。この時、必要に応じて重合調節剤を加えることができる。また、本発明の光学材料用重合性組成物には、耐酸化性、耐候性、染色性、強度、屈折率等の各種性能改良を目的として、本発明の組成成分および/または予備重合反応させて得られる予備重合反応液の一部もしくは全部と反応可能な化合物を添加する事も可能である。組成成分の一部もしくは全部と反応可能な化合物として、SH基を有する化合物、エポキシ化合物、イソ(チオ)シアネート化合物、カルボン酸誘導体、カルボン酸無水物誘導体、フェノール誘導体、アミン化合物、ビニル化合物、アリル化合物、アクリル化合物、メタクリル化合物等が挙げられる。
重合触媒としては、アミン化合物、ホスフィン化合物、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、アルデヒドとアミン系化合物の縮合物、カルボン酸とアンモニアとの塩、ウレタン誘導体、チオウレタン誘導体、グアニジン誘導体、チオ尿素誘導体、チアゾール誘導体、スルフェンアミド誘導体、チウラム誘導体、ジチオカルバミン酸塩、キサントゲン酸塩、第3級スルホニウム塩、第2級ヨードニウム塩、鉱酸、ルイス酸、有機酸、ケイ酸、四フッ化ホウ酸、過酸化物、アゾ系化合物、酸性リン酸エステル誘導体を挙げることができる。これら重合触媒は単独でも2種類以上を混合して使用してもかまわない。これらのうち好ましい具体例は、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、1−n−ドデシルピリジニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド等の第4級ホスホニウム塩が挙げられる。これらの中で、さらに好ましい具体例は、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドおよび/またはテトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイドである。重合調節剤は、長期周期律表における第13〜16族元素のハロゲン化物を挙げることができる。これら重合調節剤は、単独でも2種類以上を混合して使用してもかまわない。これらのうち好ましいものはケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモンのハロゲン化物である。より好ましくはケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモンの塩化物であり、さらに好ましくはアルキル基を有するゲルマニウム、スズ、アンチモンの塩化物である。最も好ましいものの具体例はジブチルスズジクロライド、ブチルスズトリクロライド、ジオクチルスズジクロライド、オクチルスズトリクロライド、ジブチルジクロロゲルマニウム、ブチルトリクロロゲルマニウム、ジフェニルジクロロゲルマニウム、フェニルトリクロロゲルマニウム、トリフェニルアンチモンジクロライドである。
光学材料用重合性組成物をモールドに注入する前にあらかじめ脱気処理を行うことは、光学材料の高度な透明性を達成する面から好ましい。脱気処理は、生産性を向上させるために前記の予備重合反応中もしくは重合触媒混合時に行うことが好ましい。脱気処理は減圧下に行う。脱気処理条件は、0.001〜100torrの減圧下、1分間〜24時間、0℃〜45℃で行う。減圧度は、好ましくは0.005〜50torrであり、より好ましくは0.01〜30torrであり、これらの範囲で減圧度を可変しても構わない。脱気時間は、好ましくは5分間〜8時間であり、より好ましくは10分間〜4時間である。脱気の際の温度は、好ましくは5℃〜40℃であり、より好ましくは10℃〜40℃であり、これらの範囲で温度を可変しても構わない。脱気処理の際は、撹拌、気体の吹き込み、超音波などによる振動などによって、光学材料用重合性組成物の界面を更新することは、脱気効果を高める上で好ましい操作である。脱気処理により、除去される成分は、主に硫化水素等の溶存ガスや低分子量のメルカプタン等の低沸点物等であるが、脱気処理の効果を発現するのであれば、特に種類は限定されない。
本発明の光学材料製造方法において、公知の酸化防止剤、ブルーイング剤、紫外線吸収剤、消臭剤、等の各種添加剤を光学材料用重合性組成物に加えて、得られる材料の実用性をより向上させることはもちろん可能である。また、本発明の光学材料は重合中に型から剥がれやすい場合には公知の外部および/または内部密着性改善剤を添加し、または型から剥がれにくい場合には公知の外部および/または内部離型性改善剤を添加して、得られる光学材料と型の密着性または離型性を向上させることも有効である。
光学材料の製造方法は、詳しく述べるならば以下の通りである。(a)化合物、(b)化合物、(c)化合物および(d)化合物を予備重合反応させて得られる予備重合反応液に重合触媒、必要に応じて重合調節剤を加えて光学材料用重合性組成物を得、さらに必要に応じて前記予備重合反応液の組成成分の一部または全部と反応可能な化合物を混合する。この際、密着性改善剤または離型性改善剤、酸化防止剤、ブルーイング剤、紫外線吸収剤、消臭剤、などの各種添加剤等を適宜添加しても構わない。混合にあたり、設定温度、これに要する時間等は基本的には各成分が十分に混合される条件であればよいが、過剰の温度、時間は各原料、添加剤間の好ましくない反応が起こり、さらには粘度の上昇をきたし注型操作を困難にする等適当ではない。混合温度は5℃から40℃程度の範囲で行われるべきであり、好ましい温度範囲は10℃から40℃である。混合時間は、1分から12時間、好ましくは5分から8時間、最も好ましいのは5分から4時間程度である。必要に応じて、活性エネルギー線を遮断して混合してもかまわない。その後、前述の方法で脱気処理を行うことが好ましい。注型操作の直前に、これらの光学材料用重合性組成物をフィルターで不純物等をろ過し精製することは本発明の光学材料の品質をさらに高める上から必要である。ここで用いるフィルターの孔径は0.05〜10μm程度であり、一般的には0.1〜5.0μmのものが使用され、フィルターの材質としては、PTFEやPETやPPなどが好適に使用される。ろ過を行わなかったり、孔径が10μmを超えるフィルターでろ過を行った場合は、光学材料に異物が混入したり、透明性が低下したりするため、通常光学材料として使用に耐えなくなる。このようにして得られた光学材料用重合性組成物は、ガラスや金属製の型に注入後、電気炉や活性エネルギー線発生装置等による重合硬化を行うが、重合時間は0.1〜100時間、通常1〜48時間であり、重合温度は−10〜160℃、通常0〜140℃の範囲であり、特に重合開始温度は0〜40℃が一般的である。重合は所定の重合温度で所定時間のホールド、0.1℃〜100℃/hの昇温、0.1℃〜100℃/hの降温およびこれらの組み合わせで行うことができる。また、重合終了後、材料を40から150℃の温度で5分から5時間程度アニール処理を行う事は、光学材料の歪を除くために好ましい処理である。さらに必要に応じて染色、ハードコート、反射防止、防曇性、防汚性、耐衝撃性付与等の表面処理を行うことができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。光学材料用重合性組成物および重合して得られる光学材料の分析は以下の方法で行った。
[粘度]
B型粘度計(東機産業製、TV10M型)を使用し、粘度を測定した。
[光学材料の耐熱性測定]
サンプルを厚さ3mmに切り出し、0.5mmφのピンに10gの加重を与え、30℃から10℃/分で昇温してTMA測定(セイコーインスツルメンツ製、TMA/SS6100)を行い、軟化点を測定した。
[光学材料の屈折率、アッベ数]
光学材料の屈折率、アッベ数はデジタル精密屈折率計(株式会社島津製作所製、KPR−200)を用い、25℃でのe線での屈折率、d線でのアッベ数を測定した。
[(a)化合物の粒径の測定]
サンプルを粒度分布計(HORIBA製、LA−300)を用い、メディアン径を測定した。
実施例1
メディアン径が100μmである(a)化合物である硫黄16.8質量部、(b)化合物としてビス(β−エピチオプロピル)スルフィド(以下b−1化合物と呼ぶ)83.2質量部、(c)化合物としてビス(2−メルカプトエチル)スルフィド(以下c−1化合物と呼ぶ)8.8質量部に(d)化合物として1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレ−ト(以下d−1化合物と呼ぶ)0.02質量部を加えて、窒素雰囲気常圧下、20℃、羽根径0.078mの4枚羽45℃傾斜ピッチパドル翼を用いて、攪拌速度が5/sとなるように攪拌反応させた。反応開始時の粘度は15mPa・sであり、液密度は1253Kg/mであり、レイノルズ数は2.5×10であった。反応開始から1.2時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は48mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加えた。従って、予備反応時間は1.2時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は50mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は54mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を10Torrで脱気処理して、1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例2
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例2に示す条件にて行った。反応開始から0.75時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は40mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加えた後、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は0.85時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は50mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は62mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例3
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例3に示す条件にて行った。反応開始から1.5時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は62mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は1.6時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は64mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は82mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例4
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例4に示す条件にて行った。反応開始から0.4時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は38mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は0.5時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は40mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は47mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例5
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例5に示す条件にて行った。反応開始から0.35時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は86mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は0.45時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は82mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は96mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例6
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例6に示す条件にて行った。反応開始から1.8時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は52mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は1.9時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は55mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は59mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例7
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例7に示す条件にて行った。反応開始から1.5時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は88mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は1.6時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は84mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は95mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例8
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例8に示す条件にて行った。反応開始から1.2時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は80mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は0.9時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は76mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は86mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例9
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例9に示す条件にて行った。反応開始から1.5時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は88mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は1.6時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は84mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は95mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例10
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例10に示す条件にて行った。反応開始から2.0時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は96mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.5時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は2.5時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は92mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は108mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
比較例1
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例1に示す条件にて行った。反応開始時の粘度は10mPa・sであり、レイノルズ数は1.3×10であった。反応開始から3.0時間後の予備反応物には硫黄の残存が見られた。結果を表2に示す。
比較例2
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例2に示す条件にて行った。反応開始から3.0時間後の予備反応物には硫黄の残存が見られた。結果を表2に示す。
比較例3
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例3に示す条件にて行った。反応開始から3.0時間後の予備反応物には硫黄の残存が見られた。結果を表2に示す。
比較例4
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例4に示す条件にて行った。反応開始から3.0時間後の予備反応物には硫黄の残存が見られた。結果を表2に示す。
比較例5
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例5に示す条件にて行った。反応開始から0.1時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は325mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は1.6時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は420mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は860mPa・sとなった。
比較例6
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例6に示す条件にて行った。反応開始から1時間後の予備反応物にd−2が溶解せずに残存していた。また硫黄の残存も確認された。結果を表2に示す。
比較例7
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例7に示す条件にて行った。反応開始から0.3時間後に予備反応物が急速に重合し、予備反応液は得られなかった。結果を表2に示す。
比較例8
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例8に示す条件にて行った。反応開始から0.2時間後の予備反応物が急速に重合し、予備反応物は得られなかった。結果を表2に示す。
比較例9
(a)化合物としてメディアン径300μmである硫黄20質量部、(b)化合物としてビス(β−エピチオプロピル)スルフィド80質量部を65℃に加温しよく混合し均一となるまでに1.8時間要した。次いで、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール0.5質量部を加え、60℃ で、0.9時間反応させた。その後、得られた樹脂用組成物を20℃に冷却した。このとき2時間を要した。そこへ、ベンジルメルカプタン5質量部、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド0.03質量部、ジn−ブチルスズジクロライド0.2質量部を加えよく混合し均一とした溶液を加えて均一な光学材料用重合製組成物とした。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は4.7時間であった。
Figure 2014152208
b−1:ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド
b−2:ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド
c−1:ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド
c−2:1,3ビス(メルカプトメチル)ベンゼン
d−1:1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレ−ト
d−2:1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルアクリレ−ト
d−3:1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル−4−ビニルベンゾエート
Figure 2014152208
MMI:1−メチル−2−メルカプトイミダゾール
TMPM:2,2,6,6−テトラメチルピペリジルメタクリレ−ト

Claims (3)

  1. メディアン径が5μm〜500μmの下記(a)化合物10〜50質量部、下記(b)化合物50〜90質量部(ただし、(a)化合物と(b)化合物との合計は100質量部とする)および下記(c)化合物1〜20質量部とを、下記(d)化合物0.001〜3質量部を予備重合触媒として予備重合反応して予備重合反応液を得る工程、および前記予備重合反応液に重合触媒を添加する工程を有する光学材料用重合性組成物の製造方法であり、前記予備重合反応を反応温度0℃〜45℃、レイノルズ数1.5×10〜1.5×10の攪拌下に行うことを特徴とする光学材料用重合性組成物の製造方法。
    (a)硫黄((a)化合物)
    (b)下記(1)式で表されるエピスルフィド基を分子内に2個有する化合物((b)化合物)
    Figure 2014152208
    (ここで、mは0〜4の整数、nは0〜1の整数を表す。)

    (c)SH基を2個有する化合物((c)化合物)
    (d)下記(2)式で表される化合物((d)化合物)。
    Figure 2014152208
    (Rは炭素数1〜4のアルキル基、
    Xはビニル基、ビニリデン基またはビニレン基のいずれかを有する炭素数2〜11の有機基)
  2. 請求項1記載の方法により得られる光学材料用重合性組成物を重合硬化した光学材料。
  3. 請求項2記載の光学材料からなる光学レンズ。
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