JP2014152208A - 光学材料用重合性組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定の構造を有するヒンダードアミン化合物を予備重合触媒とした予備重合反応を、メディアン径が5μmから500μmの硫黄を使用すること、および撹拌時のレイノルズ数が1.5×103から1.5×104となるように制御しながら予備反応を行う製造方法により、予備重合反応時の反応温度を室温付近かつ3時間以内で行うこと事が可能となり、低粘度かつ粘度上昇の小さい光学材料用重合性組成物の生産性を向上することができる。
【選択図】なし
Description
これら組成物を重合硬化して得られる光学材料は高屈折率化が達成されているが、硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物は常温で固体で溶解性の低いものが多く、組成物とした場合に析出したり、同化合物を高濃度にすると溶解が不完全となったりする問題があった。
そこで、硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物と、この無機化合物と反応可能なエピスルフィド化合物などの含硫黄有機化合物を予め予備重合反応させる手法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物の含有量が増えると重合性組成物の粘度が高くなり過ぎて、ろ過やモールド注入などの通常の注型重合操作が困難になる為、予備重合反応時に粘度を低下させるため、SH基を一個有する化合物(特許文献3参照)、NH基および/またはNH2基を1個以上有する化合物(特許文献4参照)、あるいは、ジスルフィド結合を1個以上有する化合物(特許文献5参照)を添加する製造方法が提案されている。しかしながら、硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物の含有量が10質量部以上の組成物では、これらの粘度を下げる添加剤を加えた場合でも、予備重合反応を過剰に行った場合および/または組成物調合後の温度が高すぎた場合などに組成物の粘度が上昇したり、通常工業的に光学材料を製造する際に必要な注入時間である3時間程度経過後の粘度上昇が大きくなるなど、ろ過やモールド注入などの通常の注型操作が困難となり、ろ過および注入装置の大型化や注入ラインの短縮が必要となるなどの問題点があった。さらに、光学材料の生産性を向上させるために、ろ過や注入操作がより容易なさらなる低粘度の光学材料用重合性組成物を得る製造方法が望まれていた。
また、前記参照文献の予備重合反応は通常50℃〜70℃で行われており、重合性組成物を製造後に重合開始温度である室温程度に冷却する必要があるため、予備重合反応が終了した後あるいは重合性組成物を製造した後で、室温程度までの冷却工程が必要となり、反応スケールを大きくするには冷却装置の大型化や反応装置内への冷却コイルの導入などを行わなければ冷却に要する時間が長くなることで予備反応時間が長くなったり、都度変化したりする事も問題になっている。このため室温に近い反応温度かつ短時間で予備重合反応を完了することが可能な光学材料用重合性組成物の製造方法の開発が望まれていた。
(a)硫黄((a)化合物)
(b)下記(1)式で表されるエピスルフィド基を分子内に2個有する化合物((b)化合物)
(c)SH基を2個有する化合物((c)化合物)
(d)下記(2)式で表される化合物((d)化合物)。
Xはビニル基、ビニリデン基またはビニレン基のいずれかを有する炭素数2〜11の有機基)
[2]:[1]記載の方法により得られる光学材料用重合性組成物を重合硬化した光学材料。
[3]:[2]記載の光学材料からなる光学レンズ。
(a)化合物の添加量は、光学材料用重合性組成物中の硫黄原子含有率が高いほど高屈折率な光学材料が得られるが、添加量が多すぎると組成物に溶け残りが生じたり、組成物の粘度が著しく高くなるため、(a)および(b)化合物の合計質量を100質量部とした場合、10〜50質量部使用するが、好ましくは10〜45質量部、さらに好ましくは15〜40質量部である。
(b)化合物の具体例としては、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタンなどのエピスルフィド基を分子内に2個有するエピスルフィド化合物である。(a)化合物は単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。 中でも好ましい具体例は、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド(式(3))および/またはビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド(式(4))であり、最も好ましい具体例は、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドである。
本発明で使用する(c)化合物の添加量は、(a)および(b)化合物の合計を100質量部とした場合、1〜20質量部使用するが、好ましくは2〜18質量部、より好ましくは3〜15質量部、特に好ましくは4〜12質量部、最も好ましくは5〜10質量部である。上記範囲よりも多い場合には、得られる光学材料の耐熱性が低くなるなどの問題が発生する場合がある。
(c)化合物の具体例としては、メタンジチオール、1,2−ジメルカプトエタン、1,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、2,2−ジメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、ビス(メルカプトメチル)エーテル、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)ジスルフィド、1,2−ビス(2−メルカプトエチルオキシ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1−チアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1−チアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)チオフェン、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,2’−ジメルカプトビフェニル、4、4’−ジメルカプトビフェニル、ビス(4−メルカプトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−メルカプトメチルフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテル、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)スルフィド等があげられる。なかでも好ましい具体例としては、メタンジチオール、1,2−ジメルカプトエタン、1,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、2,2−ジメルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)エーテル、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)ジスルフィド、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)チオフェン、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、ビス(4−メルカプトフェニル)メタン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィドである。より好ましくはメタンジチオール、1,2−ジメルカプトエタン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)ジスルフィド、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)チオフェン、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、特に好ましくは1,2−ジメルカプトエタン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンである。なお、これらのSH基を2個有する化合物は単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。
本発明における予備重合反応は固体である(a)化合物と液体である(b)化合物および(c)化合物の固液反応である。そのため短時間で予備重合反応を完了させるために、固体である(a)化合物の表面更新を充分に行う必要があるが、レイノルズ数が1.5×103より小さい場合、表面更新が充分に起こらず、反応速度が著しく遅くなる。一方で、レイノルズ数が1.5×104より大きい場合、急速に予備重合反応が進行し、反応の進行を制御することが困難となる場合がある。反応が急速に進行した場合には予備重合反応液の粘度が非常に大きくなり、得られた光学材料用重合性組成物をろ過したり、モールドへの注型作業が困難となり作業性が大きく低下する。好ましくは一般的な注型時温度である20℃での粘度は通常の注型作業に要する3時間経過後においても200mPa・s以下であり、より好ましくは100mPa・s以下である。また、攪拌に用いる撹拌翼は一般に用いられるピッチパドル翼、プロペラ翼、ピッチドタービン翼、アンカー翼、リボン翼、門形翼といった攪拌翼であればよいが、好ましくは、ピッチパドル翼、プロペラ翼、ピッチドタービン翼である。
重合触媒としては、アミン化合物、ホスフィン化合物、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、アルデヒドとアミン系化合物の縮合物、カルボン酸とアンモニアとの塩、ウレタン誘導体、チオウレタン誘導体、グアニジン誘導体、チオ尿素誘導体、チアゾール誘導体、スルフェンアミド誘導体、チウラム誘導体、ジチオカルバミン酸塩、キサントゲン酸塩、第3級スルホニウム塩、第2級ヨードニウム塩、鉱酸、ルイス酸、有機酸、ケイ酸、四フッ化ホウ酸、過酸化物、アゾ系化合物、酸性リン酸エステル誘導体を挙げることができる。これら重合触媒は単独でも2種類以上を混合して使用してもかまわない。これらのうち好ましい具体例は、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、1−n−ドデシルピリジニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド等の第4級ホスホニウム塩が挙げられる。これらの中で、さらに好ましい具体例は、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドおよび/またはテトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイドである。重合調節剤は、長期周期律表における第13〜16族元素のハロゲン化物を挙げることができる。これら重合調節剤は、単独でも2種類以上を混合して使用してもかまわない。これらのうち好ましいものはケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモンのハロゲン化物である。より好ましくはケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモンの塩化物であり、さらに好ましくはアルキル基を有するゲルマニウム、スズ、アンチモンの塩化物である。最も好ましいものの具体例はジブチルスズジクロライド、ブチルスズトリクロライド、ジオクチルスズジクロライド、オクチルスズトリクロライド、ジブチルジクロロゲルマニウム、ブチルトリクロロゲルマニウム、ジフェニルジクロロゲルマニウム、フェニルトリクロロゲルマニウム、トリフェニルアンチモンジクロライドである。
[粘度]
B型粘度計(東機産業製、TV10M型)を使用し、粘度を測定した。
[光学材料の耐熱性測定]
サンプルを厚さ3mmに切り出し、0.5mmφのピンに10gの加重を与え、30℃から10℃/分で昇温してTMA測定(セイコーインスツルメンツ製、TMA/SS6100)を行い、軟化点を測定した。
[光学材料の屈折率、アッベ数]
光学材料の屈折率、アッベ数はデジタル精密屈折率計(株式会社島津製作所製、KPR−200)を用い、25℃でのe線での屈折率、d線でのアッベ数を測定した。
[(a)化合物の粒径の測定]
サンプルを粒度分布計(HORIBA製、LA−300)を用い、メディアン径を測定した。
メディアン径が100μmである(a)化合物である硫黄16.8質量部、(b)化合物としてビス(β−エピチオプロピル)スルフィド(以下b−1化合物と呼ぶ)83.2質量部、(c)化合物としてビス(2−メルカプトエチル)スルフィド(以下c−1化合物と呼ぶ)8.8質量部に(d)化合物として1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレ−ト(以下d−1化合物と呼ぶ)0.02質量部を加えて、窒素雰囲気常圧下、20℃、羽根径0.078mの4枚羽45℃傾斜ピッチパドル翼を用いて、攪拌速度が5/sとなるように攪拌反応させた。反応開始時の粘度は15mPa・sであり、液密度は1253Kg/m3であり、レイノルズ数は2.5×103であった。反応開始から1.2時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は48mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加えた。従って、予備反応時間は1.2時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は50mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は54mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を10Torrで脱気処理して、1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例2に示す条件にて行った。反応開始から0.75時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は40mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加えた後、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は0.85時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は50mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は62mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例3に示す条件にて行った。反応開始から1.5時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は62mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は1.6時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は64mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は82mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例4に示す条件にて行った。反応開始から0.4時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は38mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は0.5時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は40mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は47mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例5に示す条件にて行った。反応開始から0.35時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は86mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は0.45時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は82mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は96mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例6に示す条件にて行った。反応開始から1.8時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は52mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は1.9時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は55mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は59mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例7に示す条件にて行った。反応開始から1.5時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は88mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は1.6時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は84mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は95mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例8に示す条件にて行った。反応開始から1.2時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は80mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は0.9時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は76mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は86mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例9に示す条件にて行った。反応開始から1.5時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は88mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は1.6時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は84mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は95mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例10に示す条件にて行った。反応開始から2.0時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は96mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.5時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は2.5時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は92mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は108mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例1に示す条件にて行った。反応開始時の粘度は10mPa・sであり、レイノルズ数は1.3×103であった。反応開始から3.0時間後の予備反応物には硫黄の残存が見られた。結果を表2に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例2に示す条件にて行った。反応開始から3.0時間後の予備反応物には硫黄の残存が見られた。結果を表2に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例3に示す条件にて行った。反応開始から3.0時間後の予備反応物には硫黄の残存が見られた。結果を表2に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例4に示す条件にて行った。反応開始から3.0時間後の予備反応物には硫黄の残存が見られた。結果を表2に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例5に示す条件にて行った。反応開始から0.1時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は325mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は1.6時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は420mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は860mPa・sとなった。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例6に示す条件にて行った。反応開始から1時間後の予備反応物にd−2が溶解せずに残存していた。また硫黄の残存も確認された。結果を表2に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例7に示す条件にて行った。反応開始から0.3時間後に予備反応物が急速に重合し、予備反応液は得られなかった。結果を表2に示す。
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例8に示す条件にて行った。反応開始から0.2時間後の予備反応物が急速に重合し、予備反応物は得られなかった。結果を表2に示す。
(a)化合物としてメディアン径300μmである硫黄20質量部、(b)化合物としてビス(β−エピチオプロピル)スルフィド80質量部を65℃に加温しよく混合し均一となるまでに1.8時間要した。次いで、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール0.5質量部を加え、60℃ で、0.9時間反応させた。その後、得られた樹脂用組成物を20℃に冷却した。このとき2時間を要した。そこへ、ベンジルメルカプタン5質量部、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド0.03質量部、ジn−ブチルスズジクロライド0.2質量部を加えよく混合し均一とした溶液を加えて均一な光学材料用重合製組成物とした。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は4.7時間であった。
b−2:ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド
c−1:ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド
c−2:1,3ビス(メルカプトメチル)ベンゼン
d−1:1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレ−ト
d−2:1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルアクリレ−ト
d−3:1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル−4−ビニルベンゾエート
Claims (3)
- メディアン径が5μm〜500μmの下記(a)化合物10〜50質量部、下記(b)化合物50〜90質量部(ただし、(a)化合物と(b)化合物との合計は100質量部とする)および下記(c)化合物1〜20質量部とを、下記(d)化合物0.001〜3質量部を予備重合触媒として予備重合反応して予備重合反応液を得る工程、および前記予備重合反応液に重合触媒を添加する工程を有する光学材料用重合性組成物の製造方法であり、前記予備重合反応を反応温度0℃〜45℃、レイノルズ数1.5×103〜1.5×104の攪拌下に行うことを特徴とする光学材料用重合性組成物の製造方法。
(a)硫黄((a)化合物)
(b)下記(1)式で表されるエピスルフィド基を分子内に2個有する化合物((b)化合物)
(c)SH基を2個有する化合物((c)化合物)
(d)下記(2)式で表される化合物((d)化合物)。
Xはビニル基、ビニリデン基またはビニレン基のいずれかを有する炭素数2〜11の有機基) - 請求項1記載の方法により得られる光学材料用重合性組成物を重合硬化した光学材料。
- 請求項2記載の光学材料からなる光学レンズ。
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