JP2014149919A - イオンビーム装置および不純物ガスの除去方法 - Google Patents

イオンビーム装置および不純物ガスの除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガス電界電離イオン源のエミッタティップを高温加熱下においたとき、ガスイオン化室の最低温部から放出される不純物ガスを減らし、ナノメートルオーダーのピラミッド型構造が形成できるイオンビーム装置を提供する。
【解決手段】エミッタティップ1を冷却するための冷却機構60を有するガス電界電離イオン源において、ガスイオン化室6内の最低温部を昇温する昇温機構62を設ける。エミッタティップを高温に加熱してナノメートルオーダのピラミッド型構造を形成する前に、この昇温機構により最低温部を5K以上昇温させて不純物ガスを放出させ、イオン源真空排気用ポンプ9で外部に排出する。ピラミッド型構造を形成するときに、高温に加熱されたエミッタティップから熱が伝わって最低温部が温度上昇するが、最低温部から放出される不純物ガスが微量となるので、ピラミッド型構造の形成が阻害されなくなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、イオン顕微鏡およびイオンビーム加工観察装置などのイオンビーム装置、イオンビーム加工観察装置とイオン顕微鏡との複合装置、ならびにイオン顕微鏡と電子顕微鏡との複合装置に関する。また、イオン顕微鏡と電子顕微鏡を適用した解析・検査装置に関する。また、これらのイオンビーム装置が有するガス電界電離イオン源の真空容器内の不純物ガスの除去方法に関する。
電子を走査しながら試料に照射して、試料から放出される二次荷電粒子を検出すれば試料表面の構造を観察することができる。これは走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、 以下SEMと略記)と呼ばれる。一方、イオンビームを走査しながら試料に照射して、試料から放出される二次荷電粒子を検出しても試料表面の構造を観察することができる。これは走査イオン顕微鏡(Scanning Ion Microscope、以下SIMと略記)と呼ばれる。特に、水素、ヘリウムなどの質量の軽いイオン種を試料に照射すれば、相対的にスパッタ作用は小さくなり、試料を観察するのに好適となる。
イオン顕微鏡のイオン源としてはガス電界電離イオン源が好適である。ガス電界電離イオン源とは、エミッタティップが作る電界によってガスをイオン化してイオンビームとして用いるイオン源である。イオン源は、高電圧が印加できる針状のエミッタティップを内部に持つガスイオン化室を有し、ガスイオン化室にはガス源からガス供給配管を介してイオン化ガスが供給される。高電圧が印加され強電界のかかった針状のエミッタティップ先端にガス供給配管から供給されたイオン化ガス(あるいはガス分子)が近づくと、ガス(ガス分子)内の電子が電界によって低減したポテンシャル障壁をトンネリングすることによって正イオンとなり放出される。これをイオンビームとして利用する。ガス電界電離イオン源は、エネルギー幅が狭いイオンビームを生成することができる。また、イオン発生源のサイズが小さいため、微細なイオンビームを生成することができる。
イオン顕微鏡において、高い信号/ノイズ比で試料を観察するためには、試料上で大きな電流密度のイオンビームを得る必要がある。そのためには、電界電離イオン源のイオン放射角電流密度を大きくする必要がある。イオン放射角電流密度を大きくするためには、エミッタティップ近傍のイオン化ガス(イオン材料ガス)の分子密度を大きくすればよい。単位圧力あたりのガス分子密度は、ガスの温度に逆比例する。そのため、エミッタティップを極低温に冷却し、エミッタティップ周辺のガスの温度を低温化すればよい。それによって、エミッタティップ近傍のイオン化ガスの分子密度を大きくすることができる。また、エミッタティップ近傍のイオン化ガスの圧力を高くすることでもエミッタティップ近傍のイオン化ガスの分子密度を大きくすることができる。例えば、エミッタティップ周辺のイオン化ガスの圧力は10-2〜10Pa程度である。
特許文献1には、エミッタティップを極低温に冷却する冷却機構を具備し、冷却機構からの振動がエミッタティップの振動を誘起しないよう振動遮断を実施したイオンビーム装置が開示されている。
国際公開第2009/147894号
本願発明者が、エミッタティップの作製について鋭意検討した結果、次の知見を得るに至った。
特許文献1には、抵抗加熱器を具備し、引き出し電極、壁面を脱ガスする機能について言及されている。しかし、ガスイオン化室の最低温部(一般的には、冷却機構と接続されている部位)が、クライオ効果により溜めこんだ不純物ガスについては、何も考慮されていない。ガスイオン化室の最低温部が溜めこむことができる不純物ガスの量には限界がある。ガスイオン化室の最低温部の溜めこんだ不純物ガスの量がクライオ効果で保持できる限界に達すると、例えばエミッタティップを高温加熱したときに熱がガスイオン化室の最低温部に伝わり、ガスイオン化室の最低温部から不純物ガスが放出される。
特許文献1では、エミッタティップの作製方法として、タングステンの先端に白金の被膜を形成し、高温加熱下にて白金原子をエミッタティップの先端に移動させ、白金原子によるナノメートルオーダのピラミッド型構造を形成する例が開示されている。ガスイオン化室の最低温部の溜めこんだ不純物ガスの量がクライオ効果で保持できる範囲内のうちは、例えばエミッタティップの通電加熱によりエミッタティップを高温加熱下において、エミッタティップの熱がガスイオン化室の最低温部に伝わって温度上昇を起こしても、ガスイオン化室の最低温部から放出される不純物ガスの量は微量であるため、ナノメートルオーダのピラミッド型構造の形成を阻害しない。しかし、装置の使用を続けていくうちにガスイオン化室の最低温部の溜めこむ不純物ガスの量が増えてゆき、溜めこめる量を超えると、エミッタティップを高温加熱下においたとき、エミッタティップの熱がガスイオン化室の最低温部に伝わって、少しの温度上昇を起こしただけでもガスイオン化室の最低温部から不純物ガスが放出され、ナノメートルオーダのピラミッド型構造の形成ができなくなることを見出した。
本発明の目的は、装置の使用を続けていてもエミッタティップを高温加熱下においたときガスイオン化室の最低温部から放出される不純物ガスを減らし、ナノメートルオーダのピラミッド型構造が形成できるイオンビーム装置を提供することに関する。
本発明は、ガス電界電離イオン源から発生するイオンビームを試料に照射するイオンビーム装置において、ガス電界電離イオン源を冷却するための冷却機構により冷却された最低温部を昇温できる昇温機構を備えることに関する。好ましくは、エミッタティップにナノメートルオーダのピラミッド型構造を形成する前に、最低温部を5K以上昇温させる。
本発明によれば、エミッタティップを高温加熱下においたとき、ガスイオン化室の最低温部から放出される不純物ガスが減らせるため、何回でもエミッタティップを高温加熱下においてナノメートルオーダのピラミッド型構造を形成できる。
実施例1にかかるイオンビーム装置の概略構成図である。 実施例2にかかるイオンビーム装置の概略構成図である。 実施例3にかかるイオンビーム装置の概略構成図である。 実施例4にかかるイオンビーム装置の概略構成図である。 実施例5にかかるイオンビーム装置の概略構成図である。 実施例6にかかるイオンビーム装置の概略構成図である。 実施例7にかかるイオンビーム装置の概略構成図である。
以下で説明するイオンビーム装置は、電子ビームを用いた装置に比べて試料表面の情報に敏感である。これは、二次荷電粒子の励起領域が電子ビームの照射に比べて試料表面により局在するからである。また、電子ビームでは、電子の波としての性質が無視できないため、回折効果により収差が発生する。一方、イオンビームでは、電子に比べて重いため、回折効果を無視することができる。
これらの特徴を生かしたイオンビーム装置として、例えば走査イオン顕微鏡がある。走査イオン顕微鏡は、イオンビームを走査しながら試料に照射して、試料から放出される二次荷電粒子を検出して試料表面の構造を観察する装置である。特に、水素、ヘリウムなどの質量の軽いイオン種を試料に照射すれば、相対的にスパッタ作用は小さくなり、試料を観察するのに好適となる。
また、イオンビームを試料に照射して試料を透過したイオンを検出すれば、試料内部の構造を反映した情報を得ることもできる。これは透過イオン顕微鏡と呼ばれる。特に、水素、ヘリウムなどの質量の軽いイオン種を試料に照射すれば、試料を透過する割合が大きくなり観察するのに好適となる。
逆に、アルゴン、キセノン、ガリウムなどの質量の重いイオン種を試料に照射すれば、スパッタ作用により試料を加工するのに好適となる。特に、液体金属イオン源(Liquid Metal Ion Source、以下LMISと略記)を用いた集束イオンビーム装置(Focused Ion Beam、以下FIBと略記)が集束イオンビーム加工観察装置として知られている。更に、近年では、走査電子顕微鏡(SEM)と集束イオンビーム(FIB)の複合機FIB-SEM装置も用いられている。FIB-SEM装置では、FIBを照射して所望の箇所に角穴を形成することにより、その断面をSEM観察することができる。また、プラズマイオン源やガス電界電離イオン源により、アルゴンやキセノンなどのガスイオンを生成して試料に照射するようにしても試料の加工は可能である。
本発明は、イオン顕微鏡、イオンビーム加工観察装置、イオンビーム加工観察装置とイオン顕微鏡との複合装置、イオン顕微鏡と電子顕微鏡との複合装置において適用可能である。また、イオン顕微鏡と電子顕微鏡を適用した解析・検査装置にも適用可能である。これらを総称してイオンビーム装置とする。本発明のイオンビーム装置とは、ガス電界電離イオン源を用いたイオンビーム装置であれば上記の装置に限られない。
実施例では、ガス電界電離イオン源から発生するイオンビームを試料に照射するイオンビーム装置において、ガス電界電離イオン源が、陽極となるエミッタティップと、陰極となる引出電極と、少なくともエミッタティップを収容する真空容器と、エミッタティップの先端部と引出電極との間の空間にガス導入口を通してガスを供給するガス導入部と、ガス排気口を通して真空ポンプによってガスを排気するガス排気部と、ガス電界電離イオン源を冷却するための冷却機構と、冷却機構により冷却された最低温部を昇温できる昇温機構と、を備えることを開示する。
また、実施例では、昇温機構が、ヒーターであることを開示する。
また、実施例では、昇温機構が、最低温部を5K以上昇温させることを開示する。
また、実施例では、ガス排出口またはガス導入口が、接地電位の構造体に設けられていることを開示する。また、接地電位の構造体が、エミッタティップを囲むように設けられたガスイオン化室の少なくとも一部を構成していることを開示する。また、ガスイオン化室が、接地電位の構造体のみで構成されている、接地電位の構造体と真空容器とで構成されている、接地電位の構造体と引出電極とで構成されている、接地電位の構造体と引出電極と真空容器とで構成されている、接地電位の構造体とイオンビームを加速または集束するレンズ電極とで構成される、または接地電位の構造体と真空容器とイオンビームを加速または集束するレンズ電極とで構成されていることを開示する。また、接地電位の構造体が、イオンビームを加速または集束するレンズ電極、またはエミッタティップへの熱輻射による熱流入を低減する輻射シールドであることを開示する。
また、実施例では、ガス排気部が、ガスの排気量を調整できるガス流量調整部を備えることを開示する。また、ガス導入部とガス排気部のガスの流量を制御する制御部を備え、制御部が、真空容器にイオンビーム装置の定常動作時のガス圧より高い圧力になるまでガスを導入した後、ガス排気部によるガスの流量を増加させて真空容器内のガスを排出するように制御することを開示する。特徴とするイオンビーム装置。また、制御部が、真空容器内のガスを排出した後、ガス排気部のガスの流量を、イオンビーム装置の定常動作時の流量に制御し、ガス導入部のガスの流量を、真空容器がイオンビーム装置の定常動作時のガス圧となるように制御することを開示する。また、定常動作時が、試料の画像を取得する時であることを開示する。
また、実施例では、ガスが、真空容器に備えられた少なくとも一つ以上の開口部から差動排気によって排気されることを開示する。
また、実施例では、ガス電界電離イオン源から発生するイオンビームを試料に照射するイオンビーム装置におけるエミッタティップを収容する真空容器から不純物ガスを除去する不純物ガスの除去方法において、ナノメートルオーダのピラミッド型構造を形成するためにエミッタティップを高温加熱下におく前に、ガス電界電離イオン源を冷却するための冷却機構により冷却された最低温部を昇温することを開示する。また、実施例では、最低温部を5K以上昇温させることを開示する。
また、実施例では、真空容器にイオンビーム装置の定常動作時のガス圧より高い圧力になるまでガスを導入し、ガスの導入後、ガスの排気量をイオンビーム装置の定常動作時より増加させて真空容器内に設けられたガス排気口を通して真空ポンプによってガスを排出し、真空容器内のガスを排出した後、ガスの排気量をイオンビーム装置の定常動作時の流量に制御し、真空容器がイオンビーム装置の定常動作時のガス圧になるようにガスを導入することを開示する。また、定常動作時が、イオンビーム装置を用いて試料の画像を取得する時であることを開示する。
以下、上記およびその他の新規な特徴と効果について、図面を参酌して説明する。なお、図面はもっぱら発明の理解のために用いるものであり、権利範囲を限縮するものではない。
図1を参照してイオンビーム装置の第1の実施例を説明する。
イオンビーム装置は、エミッタティップ1、引き出し電極2、ガス供給配管4、ガス排気口52、冷却機構60、冷却伝導機構61、および昇温機構62を有するイオン源室5と、イオン源室5を真空に排気するためのイオン源室真空排気用ポンプ9、バルブ30、イオン化ガスのガス源15、エミッタティップ1に電圧を供給する加速電源7、引き出し電極2に電圧を供給する引き出し電源8、ならびに試料室10を有する。なお、ガス供給配管4とガス導入口16を総称してガス導入部ということとする。また、本実施例では、ガス排気口52をガス排出部ということとする。本実施例では、試料室を排気する真空ポンプをイオン源室真空排気用ポンプ9が兼ねているが、別の真空ポンプにより試料室を排気しても良い。イオン源室5と試料室10は、開口部18を介して繋がっている。イオン源はガス電界電離イオン源(ガスイオン源と略称する)であり、高電圧が印加できる針状のエミッタティップ1を内部に持つガスイオン化室6に、ガス源15からガス供給配管4を介してイオン化ガスを供給する。高電圧が印加され強電界のかかった針状のエミッタティップ1先端にガス供給配管4から供給されたイオン化ガス(あるいはガス分子)が近づくと、ガス(ガス分子)内の電子が電界によって低減したポテンシャル障壁をトンネリングし、正イオンとなり放出される。ガスイオン源は、これをイオンビームとして利用するイオン源である。本実施例では、ガスイオン化室6にイオン化ガス(あるいはガス分子)を導入するときにはバルブ30を閉じ、ガスイオン化室6にイオン化ガス(あるいはガス分子)を保持する。開口部18がガス排気口52を兼ねており、ガスイオン化室6のイオン化ガス(あるいはガス分子)は開口部18を介して差動排気される。
また、図には記載していないが、開口部18を通じてイオン源室真空排気用ポンプ9につながっている空間には、イオンビームの照射光学系や、イオンビームの照射により試料から得られる信号を検出する検出器、試料を載置する試料台、および試料を移動させる試料ステージが設置されている。
イオンビーム装置には、このほかにも、各部分の動作を制御する制御部や、検出器から出力される信号に基づいて画像を生成する画像生成部が含まれている(図示省略)。制御部や画像生成部は、専用の回路基板によってハードとして構成されていてもよいし、イオンビーム装置に接続されたコンピュータで実行されるプログラムによって構成されてもよい。
本実施例では、ガスイオン化室6の最低温部は、冷却機構60と冷却伝導機構61との接続部となる。そこで、昇温機構62は、冷却機構60と冷却伝導機構61との接続部に設置されている。昇温機構62としては、例えばヒーターなどを用いることが可能である。
そこで、昇温機構62としてヒーターを用いたものを説明する。エミッタティップ1は、タングステンの先端に白金の被膜を形成したものとする。なお、エミタッティップは、この組み合わせに限らず、例えば特許文献1に開示されている組み合わせでも良い。高温加熱下にて白金原子をエミッタティップの先端に移動させ、白金原子によるナノメートルオーダのピラミッド型構造を形成する前に、昇温機構62のヒーターを通電加熱してガスイオン化室6の最低温部の温度を5K以上昇温する。すると、ガスイオン化室6の最低温部にクライオ効果で溜めこまれた不純物ガスが、最低温部から放出され、イオン源室真空排気用ポンプ9によりガスイオン化室6の外部に排出される。本処理後は、例えばエミッタティップの通電加熱によりエミッタティップを高温加熱下においてエミッタティップの熱がガスイオン化室の最低温部に伝わって温度上昇を起こしても、ガスイオン化室の最低温部から放出される不純物ガスの量は微量となり、ナノメートルオーダのピラミッド型構造の形成を阻害しない。
冷却機構60が機械的冷凍機の場合には、昇温機構62をヒーターではなく単なる温度測定機構とし、冷却機構60を停止して自然昇温させる方法もある。昇温機構62は5K以上温度が上がったか否かを確認するだけである。本方法は、ヒーターやヒーター電源などの構成物を減らせるという利点がある。どの方法を選ぶかは目的により決めればよい。
エミッタティップ1は、加速電源7により電圧が印加され、引き出し電極2は、引き出し電源8により電圧が印加される。また、イオン源室5は、イオンビーム装置の動作如何に関わらず接地電位(GND)に固定されている。イオン源室5は、エミッタティップ1を囲むように構成された真空容器である。本実施例では、このイオン源室5により囲まれた空間が、ガスをイオン化するガスイオン化室6を兼ねている。本実施例では、ガスイオン化室6とは、少なくともエミッタティップ1を囲むように一つまたは複数の部材から構成され、内部にガスが導入される構造物のことをいう。
ガス供給配管4のガス導入口16は、接地電位(GND)のイオン源室5に設置されている。ガス導入口16は、イオン源室5に直接固定されていてもよいし、他の部材に固定されていてもよいが、接地電位(GND)となっていることが重要である。ガス排気口52は、接地電位(GND)のイオン源室5に設置されている。ガス排気口52は、イオン源室5に直接固定されていてもよいし、他の部材に固定されていてもよいが、接地電位(GND)となっていることが重要である。
ガスイオン化室6に着目すると、ガス源15からガス供給配管4を通ってガスイオン化室6に導入されるガスのガス圧は、イオン化ガスのガス導入口16近傍が最も高くなる。ガス圧を上げればイオンビームの電流も増えることは知られているのだが、従来は、電圧の印加される引き出し電極2、すなわち高電圧に浮いている部分、またはその近傍にイオン化ガスのガス導入口16が設置されていたため、ガスイオン化室6のガス圧を高めていくとイオン化ガスのガス導入口16近傍でグロー放電を起してしまい、イオン化ガスのガス圧を高めてイオン電流を増加させることが困難であった。そこで、本実施例では、このイオン化ガスのガス導入口16が接地電位(GND)となるようにした。これによって、ガスイオン化室6に導入するガス圧を高くしても、イオン化ガスのガス導入口16でグロー放電が発生することを抑制できる。したがって、本実施例のイオンビーム装置であれば、イオン化ガスのガス圧を高めてイオン電流を増加させることができる。
また、ガス排気口52の近傍でも排気量が大きくなると局所的にガス圧が大きくなるので、ガス排気口が高電圧である場合にはグロー放電が起きる可能性があった。本実施例では、イオン化ガスの排気手段のガス排気口が接地電位(GND)の構造体に設置されているため、ガス圧力が局所的に高い部分であるイオン化ガスのガス排気口付近に高電圧が印加されず、ガスの排気量を大きくしてもグロー放電を抑制できる。
図2を参照してイオンビーム装置の第2の実施例を説明する。なお、以下においては、実施例1との相違点を中心に説明する。
本実施例は、ガスイオン化室6の内部で発生したイオンビームを加速または集束するレンズ電極3が設けられている点、イオン源室5を構成する真空容器の中にさらにガスイオン化室6が設けられている点、イオン源室5を真空に排気するためのイオン源室真空排気用ポンプ9と試料室10を真空に排気するための試料室真空排気用ポンプ11を有する点、イオン源室真空排気用ポンプ9とイオン源室5とを隔離するバルブ30がない点、レンズ電極開口部17がガス排気口52を兼ねており、ガスイオン化室6のイオン化ガス(あるいはガス分子)はレンズ電極開口部17を介して差動排気される点、後述するガスイオン化室6の最低温部の位置が変わる点で実施例1と異なる。
本実施例では、レンズ電極3がイオンビーム装置の動作如何に関わらず接地電位(GND)に固定されている。レンズ電極3は、エミッタティップ1と引き出し電極2を囲むように構成されており、このレンズ電極3により囲まれた空間が、ガスをイオン化するガスイオン化室6となっている。すなわち、本実施例のガスイオン化室6は、ガス導入口16およびガス排気口52が設けられた接地電位の構造体であるレンズ電極3で構成されている。
本実施例では、ガスイオン化室6の最低温部は、レンズ電極3と冷却伝導機構61との接続部となる。そこで、昇温機構62は、レンズ電極3と冷却伝導機構61との接続部に設置されている。あとは実施例1と同じである。また、図2には示していないが、昇温機構62を実施例1と同じ冷却機構60と冷却伝導機構61との接続部に設置し、冷却伝導機構61を介して熱伝導でガスイオン化室6の最低温部を5K以上昇温してもよい。
ガス供給配管4のガス導入口16は、接地電位(GND)のレンズ電極3に設置されている。ガス導入口16は、イオン源室5に直接固定されていてもよいし、他の部材に固定されていてもよいが、接地電位(GND)となっていることが重要である。ガス排気口52は、接地電位(GND)のレンズ電極3に設置されている。ガス排気口52は、イオン源室5に直接固定されていてもよいし、他の部材に固定されていてもよいが、接地電位(GND)となっていることが重要である。
また、本実施例のレンズ電極3は、冷却しているエミッタティップ1への熱輻射による熱流入を低減する輻射シールドにもなっている。イオン化ガスに水素やヘリウムを使用する場合には極低温にエミッタティップ1を冷却する必要があるため、エミッタティップ1への熱輻射による熱流入を低減する輻射シールドがあったほうがよい。この輻射シールドがエミッタティップ1を囲むように設けられているので、実施例1のようにイオン源室5の室温壁とエミッタティップ1の間に何もない場合に比べて、イオン源室5の室温壁からエミッタティップへの熱輻射による熱流入を効果的に低減することができる。また、レンズ電極3がガスイオン化室6および輻射シールドを兼ねているため、装置の小型化にも貢献している。
イオン源室5においてイオンビームが通る空間に着目すると、ガスイオン化室6に導入されたガスは、エミッタティップ1によりイオン化され、引き出し電極2により引き出された後、レンズ電極3により加速および集束され、イオンビームとして開口部18を抜けて試料室10へ向かう。エミッタティップ1近傍のガス圧は、ガスを効率的にイオン化するためにガス圧が高い状態を維持したい。反対に、イオン化されたガスがイオンビームとなり通過してゆく空間は、イオンビームがガスと衝突し散乱することを防ぐために、ガス圧がより低い状態に維持したい。そこで、ガス導入口16は、エミッタティップ1の先端部と同じ高さ、またはエミッタティップ1の先端部より上部に設置され、ガス排気口52は、エミッタティップ1の先端部よりも下部に設置されている。
本実施例では、レンズはレンズ電極3の一枚のみであったが、レンズ電極は、複数の電極で構成されていても良い。複数の電極で構成されている場合は、ガス導入口16およびガス排気口52が設置された構造物であるガスイオン化室6を構成しないレンズ電極に電圧を印加して、例えば仮想像点位置を調整するようにしても良い。これは、以降の実施例にも適用できる。
また、イオン源室真空排気用ポンプ9は1台であるが、複数設置しても良い。これは、以降の実施例にも適用できる。
図3を参照してイオンビーム装置の第3の実施例を説明する。なお、以下においては、実施例1〜2と相違点を中心に説明する。
イオンビーム装置は、エミッタティップ1、引き出し電極2、ガス供給配管4、ガス排気配管51、冷却機構60、冷却伝導機構61、および昇温機構62を有するイオン源室5と、イオン源室5を真空に排気するためのイオン源室真空排気用ポンプ9、イオン化ガスのガス源15、エミッタティップ1に電圧を供給する加速電源7、引き出し電極2に電圧を供給する引き出し電源8、ならびに試料室10を有する。なお、ガス供給配管4とガス導入口16を総称してガス導入部ということとする。また、ガス排気管51とガス排気口52を総称してガス排出部ということとする。本実施例では、試料室を排気する真空ポンプをイオン源室真空排気用ポンプ9が兼ねているが、別の真空ポンプにより試料室を排気しても良い。イオン源室5と試料室10は、開口部18を介して繋がっている。
また、図には記載していないが、開口部18を通じてイオン源室真空排気用ポンプ9につながっている空間には、イオンビームの照射光学系や、イオンビームの照射により試料から得られる信号を検出する検出器、試料を載置する試料台、および試料を移動させる試料ステージが設置されている。
また、図には記載していないが、エミッタティップ1およびその近傍を冷却するための冷却機構を有する。
本実施例では、ガスイオン化室6の最低温部は、冷却機構60と冷却伝導機構61との接続部となる。そこで、昇温機構62は、冷却機構60と冷却伝導機構61との接続部に設置されている。昇温機構62としては、例えばヒーターなどを用いることが可能である。
従来の差動排気によるガス排気方法では、ガスイオン化室の開口部を通して隣接する空間の真空度によって排気速度が決まってしまっていた。この開口部を通して接続される空間は、通常、一次イオンビームを照射および集束するための光学系や、試料室であることが多い。これらの空間もまた真空排気されているので、差動排気量は少量となってしまう。
さらにこれらの空間の真空度は別の要因により規定されているため、ガスイオン化室からの排気量を積極的に制御することはできない。これに対して、本実施例のガス排気部は、ガス排気口を通して真空ポンプによりガスを排気するので、ガスを強制的に排気することができ、従来に比べて格段に急速にガスを排気することができる。
ガス排気口52の近傍でも排気量が大きくなると局所的にガス圧が大きくなるので、ガス排気口が高電圧である場合にはグロー放電が起きる可能性があった。特に、本実施例のガス排気部では、真空ポンプにより大流量で排気するため、ガス排気口52の近傍ではガス圧が非常に大きくなる。本実施例では、イオン化ガスの排気手段のガス排気口が接地電位(GND)の構造体に設置されているため、ガス圧力が局所的に高い部分であるイオン化ガスのガス排気口付近に高電圧が印加されず、ガスの排気量を大きくしてもグロー放電を抑制できる。
さらに、上記構成によって、ガスイオン化室6へ導入するガス圧を意図的に高くしてガスイオン化室6の壁面に残留する不純物ガスを叩き出してクリーニングすることができる。
このクリーニングについて以下に説明する。
イオン化ガスの圧力を高くすると、イオン化ガスがガスイオン化室の壁面に残存する不純物ガスを叩き出して、イオン化ガス中の不純物ガス濃度が高くなる。これを利用して、ガスイオン化室へのイオン化ガス導入量を意図的に増加させてガス圧を高くすることにより、ガスイオン化室の壁面に残存する不純物ガスを叩き出し、ガスイオン化室をクリーニングすることができる。
このとき、従来のガスイオン化室のようにガスイオン化室の排気がガスイオン化室の壁面の開口部による差動排気のみであると、ガスイオン化室から出てきた不純物ガスをガスイオン化室から排出するのに時間を要した。また、イオン化ガスの排気口を設けていても高電圧に浮いているため、排気量を高くすると排気口付近でグロー放電を起こすので排気量を上げられず、ガスイオン化室から出てきた不純物ガスをガスイオン化室から排出するのに時間を要した。
このため、イオン化ガス室の内部にあるエミッタティップに不純物ガスが吸着する可能性が高かった。そして、エミッタティップに吸着した不純物ガスは、エミッション不良を引き起こしたり、エミッタティップの破壊を引き起こしたりする可能性があるという課題があった。
そこで、本実施例では、この不純物ガスをガス排気口から真空ポンプによって高速に排気することとしている。
次に本実施例でのクリーニング方法を詳細に説明する。
まず、ガスイオン化室6の内壁には不純物が残存している。まず、この不純物をガスイオン化室6の内部に遊離させるため、ガスイオン化室6に装置の定常動作時のガス圧より高い圧力になるまでガスを導入する。ここで、装置の定常動作時とは、装置のユーザーが装置を使用することにより便益が得られる状態である。一例として、イオン顕微鏡を用いて試料の画像を取得する時や、試料を加工したり、試料を分析したりする時が挙げられる。
例えば、イオン化ガスにヘリウムを使用して試料の画像を取得する場合は、定常動作時には、イオン化ガスの圧力は1E-2Paから0.5Pa程になる。
さらに、本実施例では、ガス排気配管51とイオン源室真空排気用ポンプ9とをつなぐ配管に、排気量を調整する排気量調整部材として、可変バルブ50が設置されている。ガスを導入するときには、排気量を調整できるガス流量調整部である可変バルブ50を閉じて排気量をゼロあるいは微小量にして行うことが好ましい。
不純物ガスをガスイオン化室6の壁面から遊離させるために、定常動作時よりガス圧が高い状態に一定時間保つようにしてもよい。装置の定常動作時のガス圧より高い圧力にガスイオン化室6を保持する時間は、例えばエミッタティップを交換するために大気解放した後は保持時間を長くする、ルーチンワークの合間に予防的にクリーニングするときは保持時間を短くするなど、装置の状況により適宜調整してもよい。
次に、不純物ガスを含んだ状態のガスをガスイオン化室6からガス排気口52を通して排気する。ガスイオン化室6の壁面に残留する不純物を含むガスをガスイオン化室6内部にたたき出した後は、不純物を含むガスをガスイオン化室6から短時間で排気する必要がある。排気速度を上げるためにガス排気の流量を上げると、ガス排気口52近傍のガス圧が高くなるが、本実施例では、ガス排気口52が接地電位となっているためガス排気口52近傍のガス圧が高くてもグロー放電が発生することを抑制できる。
さらに、不純物ガスの量に応じて可変バルブ50の開口量を調整することにより、遊離した不純物ガスを効率的に、かつ短時間でガスイオン化室6から排除できる。例えば、不純物ガスを含んだ状態のガスの排気時には、可変バルブ50を全開にして排気量を最大とするとよい。これにより、ガスイオン化室6内のガスを短い時間で排出することができる。
次に、可変バルブ50を調整して排気量を装置の定常動作時の排気量にして、ガス導入口16から定常動作時の圧力になるまで、ガスイオン化室6の内部にイオン化するためのガスを導入する。ここで導入されるガスはガス源15から供給されるものであるので、一定の純度が保証されている。
イオン源室5においてイオンビームが通る空間に着目すると、ガスイオン化室6に導入されたガスは、エミッタティップ1によりイオン化されて引き出し電極2により引き出された後、開口部18を抜けて試料室10へ向かう。エミッタティップ1近傍のガス圧は、ガスを効率的にイオン化するためにガス圧が高い状態を維持したい。反対に、イオン化されたガスがイオンビームとなり通過してゆく空間は、イオンビームがガスと衝突し散乱することを防ぐために、ガス圧がより低い状態に維持したい。そこで、ガス導入口16は、エミッタティップ1の先端部と同じ高さ、またはエミッタティップ1の先端部より上部に設置され、ガス排気口52は、エミッタティップ1の先端部よりも下部に設置されている。
さらに、ガスイオン化室6に導入されたガスを、ガス排気口52から優先的に排気して、エミッタティップ1の周囲のガス圧は高く、かつ、イオンビームの通る経路近傍のガス圧は低い状態をつくる。これにより、イオン化ガスによるイオンビームの散乱を低減する。
また、イオン化ガスの導入圧力を高くした場合でも可変バルブ50をガス圧に応じて開けることにより、イオン化されたガスがイオンビームとなり通過してゆく空間から強制的にガスを排出し、イオンビームが通る経路近傍のガス圧を低い状態に保つことができる。
図4はイオンビーム装置の第4の実施例である。なお、以下においては、実施例1〜3との相違点を中心に説明する。
本実施例は、ガスイオン化室6の内部で発生したイオンビームを加速または集束するレンズ電極3が設けられている点、イオン源室5を構成する真空容器の中にさらにガスイオン化室6が設けられている点、イオン源室5を真空に排気するためのイオン源室真空排気用ポンプ9と試料室10を真空に排気するための試料室真空排気用ポンプ11を有する点、イオン源室5とイオン源室真空法機用ポンプとの間にバルブ30を有する点、後述するガスイオン化室6の最低温部の位置が変わる点で実施例3と異なる。
本実施例では、ガスイオン化室6の最低温部は、レンズ電極3と冷却伝導機構61との接続部となる。そこで、昇温機構62は、レンズ電極3と冷却伝導機構61との接続部に設置する。あとは実施例3と同じである。また、図4には示していないが、昇温機構62を実施例3と同じ冷却機構60と冷却伝導機構61との接続部に設置し、冷却伝導機構61を介して熱伝導でガスイオン化室6の最低温部を5K以上昇温してもよい。
また、本実施例では、イオン源室真空排気用ポンプ9によってイオン源室5の排気とガスイオン化室6内の排気を両方行っている。ガス排気口52とイオン源室真空排気用ポンプ9とをつなぐガス排気配管51には、排気量を調整するガス流量調整部として可変バルブ50が設置されている。
イオン源室5においてイオンビームが通る空間に着目すると、ガスイオン化室6に導入されたガスは、エミッタティップ1によりイオン化され、引き出し電極2により引き出された後、レンズ電極3により加速および集束され、イオンビームとして開口部18を抜けて試料室10へ向かう。エミッタティップ1近傍のガス圧は、ガスを効率的にイオン化するためにガス圧が高い状態を維持したい。反対に、イオン化されたガスがイオンビームとなり通過してゆく空間は、イオンビームがガスと衝突し散乱することを防ぐために、ガス圧がより低い状態に維持したい。そこで、ガス導入口16は、エミッタティップ1の先端部と同じ高さ、またはエミッタティップ1の先端部より上部に設置され、ガス排気口52は、エミッタティップ1の先端部よりも下部に設置されている。さらに、ガスイオン化室6に導入されたガスを、レンズ電極開口部17からの差動排気に加えてガス排気口52から排気することにより、エミッタティップ1の周囲のガス圧は高く、かつ、イオンビームが通るレンズ電極開口部のガス圧は低い状態をつくる。これによりイオン化ガスによるイオンビームの散乱を低減する。
さらに、可変バルブ50をガス圧に応じて開けることにより、イオン化ガスの導入圧力を高くした場合でもイオン化されたガスがイオンビームとなり通過してゆく空間から強制的にガスを排出し、イオンビームが通るレンズ電極開口部のガス圧を低い状態に保つ。
また、ガス排気配管51とイオン源室真空排気用ポンプ9とをつなぐことによりイオン源室を真空排気するポンプを1台に収めたが、ガス排気配管51専用に別の排気機構を設けてもよい。これは以降の実施例にも適用できる。
図5はイオンビーム装置の第5の実施例である。なお、以下においては、実施例1〜4との相違点を中心に説明する。
実施例2および実施例4では、レンズ電極3が、ガスイオン化室6および輻射シールドとなっていたが、本実施例では、レンズ電極3と輻射シールド12が、異なる構造物として設置されている。
ガス排気口52は、実施例2と同じである。ガスイオン化室6にイオン化ガス(あるいは分子)を入れる場合にはバルブ30を閉じ、イオン化ガス(あるいは分子)は、レンズ電極開口部17を介して差動排気される。
輻射シールド12には冷却伝導機構61が接続され、冷却できる構造となっている。昇温機構62は、冷却機構60と冷却伝導機構61との接続部に設置されている。
ガス導入口16は、接地電位(GND)の輻射シールド12に設置されている。ガス導入口16は、輻射シールド12に直接固定されていてもよいし、他の部材に固定されていてもよいが、接地電位(GND)となっていることが重要である。これによって、ガス圧を高くしたときに、イオン化ガスのガス導入口16付近でグロー放電を起こすことを抑制している。
本実施例のガスイオン化室6は、ガス導入口16が設けられた接地電位の構造体である輻射シールド12と、引き出し電極2とで構成されている。
引き出し電極2は、イオンを引き出すだけでなく、例えば熱絶縁して冷却することにより輻射シールドとして機能させることもできる。例えば、エミッタティップ1や引き出し電極2に印加する電圧が比較的低くて絶縁構造が単純な場合は、本実施例を使用することにより、ガスを溜め込むガスイオン化室6を小型化できる。イオンビーム装置自体も小型化できるので、真空排気の効率や省エネの観点で有効である。
ガスイオン化室6に導入されたガスについて、エミッタティップ1の周囲のガス圧は高く、かつ、イオンビームが通るレンズ電極開口部のガス圧は低い状態をつくることは他の実施例と同じである。
図6はイオンビーム装置の第6の実施例である。なお、以下においては、実施例1〜5との相違点を中心に説明する。
本実施例では、実施例5と同じく、レンズ電極3と輻射シールド12が異なる構造物として設置されている。
ガス排気口52は、実施例4と同じである。ガスイオン化室6にイオン化ガス(あるいは分子)を入れる場合にはバルブ30を閉じる。
輻射シールド12は、実施例5と同じく、冷却伝導機構61が接続され、冷却できる構造となっている。昇温機構62は、冷却機構60と冷却伝導機構61との接続部に設置されている。
ガス導入口16は、接地電位(GND)の輻射シールド12に設置されている。ガス導入口16は、輻射シールド12に直接固定されていてもよいし、他の部材に固定されていてもよいが、接地電位(GND)となっていることが重要である。ガス排気口52も、接地電位(GND)の輻射シールド12に設置されている。ガス排気口52は、輻射シールド12に直接固定されていてもよいし、他の部材に固定されていてもよいが、接地電位(GND)となっていることが重要である。これによって、ガス圧を高くしたときに、イオン化ガスのガス導入口16およびガス排気口52の付近でグロー放電を起こすことを抑制している。
本実施例のガスイオン化室6は、ガス導入口16およびガス排気口52が設けられた接地電位(GND)の構造体である輻射シールド12と、引き出し電極2とで構成されている。
図7はイオンビーム装置の第7の実施例である。なお、以下においては、実施例1〜6との相違点を中心に説明する。
本実施例は、基本的な構成については実施例6と同じであるが、ガス排気口52がイオン源室5に設けられている。電位は接地電位(GND)である。
なお、本発明は上記した実施例1〜7に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。本明細書は、これら構成も開示している。
1 エミッタティップ
2 引き出し電極
3 レンズ電極
4 ガス供給配管
5 イオン源室
6 ガスイオン化室
7 加速電源
8 引き出し電源
9 イオン源真空排気用ポンプ
10 試料室
11 試料室真空排気用ポンプ
12 輻射シールド
15 ガス源
16 ガス導入口
17 レンズ電極開口部
18 開口部
19 引き出し電極開口部
30 バルブ
50 可変バルブ
51 ガス排気配管
52 ガス排気口
60 冷却機構
61 冷却伝導機構
62 昇温機構

Claims (16)

  1. ガス電界電離イオン源から発生するイオンビームを試料に照射するイオンビーム装置において、
    前記ガス電界電離イオン源が、
    陽極となるエミッタティップと、
    陰極となる引出電極と、
    少なくとも前記エミッタティップを収容する真空容器と、
    前記エミッタティップの先端部と前記引出電極との間の空間にガス導入口を通してガスを供給するガス導入部と、
    ガス排気口を通して真空ポンプによって前記ガスを排気するガス排気部と、
    前記ガス電界電離イオン源を冷却するための冷却機構と、
    前記冷却機構により冷却された最低温部を昇温できる昇温機構と、
    を備えることを特徴とするイオンビーム装置。
  2. 請求項1記載のイオンビーム装置において、
    前記昇温機構が、ヒーターであることを特徴とするイオンビーム装置。
  3. 請求項1記載のイオンビーム装置において、
    前記昇温機構が、前記最低温部を5K以上昇温させることを特徴とするイオンビーム装置。
  4. 請求項1記載のイオンビーム装置において、
    前記ガス排出口または前記ガス導入口が、接地電位の構造体に設けられていることを特徴とするイオンビーム装置。
  5. 請求項4記載のイオンビーム装置において、
    前記接地電位の構造体が、前記エミッタティップを囲むように設けられたガスイオン化室の少なくとも一部を構成していることを特徴とするイオンビーム装置。
  6. 請求項5記載のイオンビーム装置において、
    前記ガスイオン化室が、
    前記接地電位の構造体のみで構成されている、
    前記接地電位の構造体と前記真空容器とで構成されている、
    前記接地電位の構造体と前記引出電極とで構成されている、
    前記接地電位の構造体と前記引出電極と前記真空容器とで構成されている、
    前記接地電位の構造体と前記イオンビームを加速または集束するレンズ電極とで構成される、または
    前記接地電位の構造体と前記真空容器と前記イオンビームを加速または集束するレンズ電極とで構成されていることを特徴とするイオンビーム装置。
  7. 請求項4に記載のイオンビーム装置において、
    前記接地電位の構造体が、前記イオンビームを加速または集束するレンズ電極、または前記エミッタティップへの熱輻射による熱流入を低減する輻射シールドであることを特徴とするイオンビーム装置。
  8. 請求項1記載のイオンビーム装置において、
    前記ガス排気部が、前記ガスの排気量を調整できるガス流量調整部を備えることを特徴とするイオンビーム装置。
  9. 請求項8に記載のイオンビーム装置において、
    前記ガス導入部と前記ガス排気部のガスの流量を制御する制御部を備え、
    前記制御部が、前記真空容器に前記イオンビーム装置の定常動作時のガス圧より高い圧力になるまでガスを導入した後、前記ガス排気部による前記ガスの流量を増加させて前記真空容器内のガスを排出するように制御することを特徴とするイオンビーム装置。
  10. 請求項9に記載のイオンビーム装置において、
    前記制御部が、前記真空容器内のガスを排出した後、前記ガス排気部のガスの流量を、前記イオンビーム装置の定常動作時の流量に制御し、前記ガス導入部のガスの流量を、前記真空容器が前記イオンビーム装置の定常動作時のガス圧となるように制御することを特徴とするイオンビーム装置。
  11. 請求項9記載のイオンビーム装置において、
    前記定常動作時が、前記試料の画像を取得する時であることを特徴とするイオンビーム装置。
  12. 請求項1記載のイオンビーム装置において、
    前記ガスが、前記真空容器に備えられた少なくとも一つ以上の開口部から差動排気によって排気されることを特徴とするイオンビーム装置。
  13. ガス電界電離イオン源から発生するイオンビームを試料に照射するイオンビーム装置におけるエミッタティップを収容する真空容器から不純物ガスを除去する不純物ガスの除去方法において、
    ナノメートルオーダのピラミッド型構造を形成するために前記エミッタティップを高温加熱下におく前に、前記ガス電界電離イオン源を冷却するための冷却機構により冷却された最低温部を昇温することを特徴とする不純物ガスの除去方法。
  14. 請求項11記載の不純物ガスの除去方法において、
    前記最低温部を5K以上昇温させることを特徴とする不純物ガスの除去方法。
  15. 請求項13に記載の不純物ガスの除去方法において、
    前記真空容器に前記イオンビーム装置の定常動作時のガス圧より高い圧力になるまでガスを導入し、
    前記ガスの導入後、前記ガスの排気量を前記イオンビーム装置の定常動作時より増加させて前記真空容器内に設けられたガス排気口を通して真空ポンプによって前記ガスを排出し、
    前記真空容器内のガスを排出した後、前記ガスの排気量を前記イオンビーム装置の定常動作時の流量に制御し、
    前記真空容器が前記イオンビーム装置の定常動作時のガス圧になるようにガスを導入することを特徴とする不純物ガスの除去方法。
  16. 請求項15に記載の不純物ガスの除去方法において、
    前記定常動作時が、前記イオンビーム装置を用いて前記試料の画像を取得する時であることを特徴とする不純物ガスの除去方法。
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