JP6166376B2 - イオンビーム装置およびエミッタティップの調整方法 - Google Patents

イオンビーム装置およびエミッタティップの調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、イオンビーム装置およびエミッタティップの調整方法に関する。例えば、イオン顕微鏡およびイオンビーム加工観察装置などのイオンビーム装置、イオンビーム加工観察装置とイオン顕微鏡との複合装置、ならびにイオン顕微鏡と電子顕微鏡との複合装置に関する。イオン顕微鏡と電子顕微鏡を適用した解析・検査装置に関する。また、これらのイオンビーム装置が有するエミッタティップの調整方法に関する。
電子を走査しながら試料に照射して、試料から放出される二次荷電粒子を検出すれば試料表面の構造を観察することができる。これは走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、 以下「SEM」と略記)と呼ばれる。一方、イオンビームを走査しながら試料に照射して、試料から放出される二次荷電粒子を検出しても試料表面の構造を観察することができる。これは走査イオン顕微鏡(Scanning Ion Microscope、以下「SIM」と略記)と呼ばれる。特に、水素、ヘリウムなどの質量の軽いイオン種を試料に照射すれば、相対的にスパッタ作用は小さくなり、試料を観察するのに好適となる。
イオン顕微鏡のイオン源としてはガス電界電離イオン源が好適である。ガス電界電離イオン源とは、エミッタティップが作る電界によってガスをイオン化してイオンビームとして用いるイオン源である。イオン源は、高電圧が印加できる針状のエミッタティップを内部に持つガスイオン化室を有し、ガスイオン化室にはガス源からガス供給配管を介してイオン化ガスが供給される。高電圧が印加され強電界のかかった針状のエミッタティップ先端にガス供給配管から供給されたイオン化ガス(あるいはガス分子)が近づくと、ガス(ガス分子)内の電子が電界によって低減したポテンシャル障壁をトンネリングすることによって正イオンとなり放出される。これをイオンビームとして利用する。ガス電界電離イオン源は、エネルギー幅が狭いイオンビームを生成することができる。また、イオン発生源のサイズが小さいため、微細なイオンビームを生成することができる。
イオン顕微鏡において、高い信号/ノイズ比で試料を観察するためには、試料上で大きな電流密度のイオンビームを得る必要がある。そのためには、電界電離イオン源のイオン放射角電流密度を大きくする必要がある。イオン放射角電流密度を大きくするためには、エミッタティップ近傍のイオン化ガス(イオン材料ガス)の分子密度を大きくすればよい。単位圧力あたりのガス分子密度は、ガスの温度に逆比例する。そのため、エミッタティップを極低温に冷却し、エミッタティップ周辺のガスの温度を低温化すればよい。それによって、エミッタティップ近傍のイオン化ガスの分子密度を大きくすることができる。また、エミッタティップ近傍のイオン化ガスの圧力を高くすることでもエミッタティップ近傍のイオン化ガスの分子密度を大きくすることができる。例えば、エミッタティップ周辺のイオン化ガスの圧力は10-2〜10Pa程度である。
特許文献1には、タングステンのエミッタティップの先端に白金を真空蒸着し、次に高温加熱下にて白金原子をエミッタティップの先端に移動させて白金原子によるナノメートルオーダのピラミッド型構造(これを「ナノピラミッド」とよぶことにする)を形成する方法と、エミッタティップを真空中で電界蒸発してナノピラミッドを形成する方法と、イオンビーム照射によりナノピラミッドを形成する方法とが開示されている。
国際公開第2009/147894号
本願発明者が、エミッタティップのナノピラミッド形成について鋭意検討した結果、次の知見を得るに至った。
特許文献1では、タングステンの先端に白金の被膜を形成し、高温加熱下にて白金原子をエミッタティップの先端に移動させ、先端に1個の原子を有し、その下に3個または6個の原子の層を有し、さらにその下に10個以上の原子の層を有するナノピラミッドを形成する例が開示されている。このナノピラミッドの形成方法は、常にエミッタティップの先端に1個の原子を有するとは限らない。エミッタティップの先端が1個以上の複数原子を有する場合もある。エミッタティップの先端が複数原子となった場合には、電界蒸発で先端の複数原子の一部を飛ばして、先端原子が1個だけ残るようにする。結果、エミッタティップの先端に1個の原子を有するナノピラミッドとなる。
より高い信号/ノイズ比で試料を観察するには冷却温度を下げればよい。しかし、冷却温度を下げて行くと、前述した電界蒸発でエミッタティップの先端の複数原子の一部を飛ばすとき以下に示す問題が発生することを見出した。
一つは、冷却温度が低いほど先端原子の一部だけを電界蒸発で飛ばすことが難しくなることである。冷却温度が低いほど、先端原子を電界蒸発で飛ばすのにより大きなエネルギーが必要となる。冷却温度が低くなり、先端原子の結合力が強くなりすぎた場合には、除去したい先端原子が蒸発せずに残ってしまうという問題が生じた。また逆に、従来よりも大きなエネルギーを与えるので、複数の先端原子が突然全て蒸発してしまい、残したい先端原子が消失してしまう問題が生じた。
もう一つは、冷却温度が低いほど、先端原子を電界蒸発で飛ばすのにより大きなエネルギーが必要となるため、先端原子が蒸発する前にエミッタティップと引き出し電極間で放電が起きてエミッタティップ自体が消失するという問題が生じた。
本発明の目的は、より高い信号/ノイズ比で試料を観察するために冷却温度を下げた場合でも、安定してエミッタティップの先端に1個の原子を有するナノピラミッドが形成できるイオンビーム装置を提供することである。
本発明は、ガス電界電離イオン源から発生するイオンビームを試料に照射するイオンビーム装置において、エミッタティップの先端に1個の原子を有するナノピラミッドを形成する際、イオンビームを発生させる第1温度よりも高くかつ室温よりも低い第2温度にエミッタティップの温度を保持しつつ、引出電圧をイオンビームを発生させるときの第1電圧より高い第2電圧に設定して、エミッタティップの先端の原子を電界蒸発させることで、前記エミッタティップの先端の原子を1個とすることに関する。
また、本発明は、ガス電界電離イオン源から発生するイオンビームを試料に照射するイオンビーム装置において、エミッタティップの先端に1個の原子を有するナノピラミッドを形成する際、冷却機構により冷却されたエミッタティップを昇温できる昇温機構を備えることに関する。
具体的には、例えば、昇温機構と冷却機構により冷却されたエミッタティップの温度を制御することで、先端が複数原子となったエミッタティップの先端原子の結合力が変えられる。エミッタティップの温度を、イオン化ガスをイオン化する時の温度よりも高い温度にして個々の原子の結合力を弱め、放電が起きない低いエネルギーで一原子ずつ電界蒸発できる。そして、エミッタティップの先端に最も結合の強い原子のみを1個だけ残すことができる。このままエミッタティップの温度が高い状態でもイオン化ガスをイオン化して、イオンビームとして引き出すことはできる。しかし、以下に示す理由で、エミッタティップの先端に1個の原子を残したら昇温機構を停止し、エミッタティップの温度を冷やす。一つは、エミッタティップの温度が低いほど先端原子の結合力は強くなり、エミッタティップ先端原子の寿命が長くなるからである。もう一つは、エミッタティップの温度が低いほど、より高い信号/ノイズ比で試料を観察することができるからである。エミッタティップの温度が低いほど、エミッタティップ周辺のガスの温度が低温化できる。単位圧力当たりのガス分子密度はガスの温度に逆比例するため、エミッタティップ周辺のガスの温度が低温化できると、エミッタティップ近傍のイオン化ガスの分子密度が大きくなる。エミッタティップ近傍のイオン化ガスの分子密度が大きくなると、イオン放射角電流密度が大きくなる。イオン放射角電流密度が大きくなると、試料上で大きな電流密度のイオンビームが得られる。試料上で大きな電流密度のイオンビームが得られると、高信号/ノイズ比で試料を観察することができる。従って、エミッタティップの先端に1個の原子を残したら昇温機構を停止し、エミッタティップの温度を、イオン化ガスをイオン化する時の温度まで冷やすのである。
このように冷却温度に依存しないで安定的にエミッタティップの先端に1個の原子を有するナノピラミッドが形成できる。エミッタティップの形成が冷却温度に依存しないので、イオン化ガスをイオン化する時の温度は所望の温度まで下げることができ、より高い信号/ノイズ比で試料を観察できる。
本発明によれば、より高い信号/ノイズ比で試料を観察するために冷却温度を下げた場合でも、安定してエミッタティップの先端に1個の原子を有するナノピラミッドが形成できるイオンビーム装置を提供することができる。
実施例1にかかるイオンビーム装置の第1の実施例の概略構成図である。 エミッタティップ先端原子の第1の構造観察例である。 エミッタティップ先端原子の第2の構造観察例である。 エミッタティップ先端原子の第3の構造観察例である。 実施例2にかかるイオンビーム装置の第2の実施例の概略構成図である。 実施例3にかかるイオンビーム装置の第3の実施例の概略構成図である。
以下で説明するイオンビーム装置は、電子ビームを用いた装置に比べて試料表面の情報に敏感である。これは、二次荷電粒子の励起領域が電子ビームの照射に比べて試料表面により局在するからである。また、電子ビームでは、電子の波としての性質が無視できないため、回折効果により収差が発生する。一方、イオンビームでは、電子に比べて重いため、回折効果を無視することができる。
これらの特徴を生かしたイオンビーム装置として、例えば走査イオン顕微鏡がある。走査イオン顕微鏡は、イオンビームを走査しながら試料に照射して、試料から放出される二次荷電粒子を検出して試料表面の構造を観察する装置である。特に、水素、ヘリウムなどの質量の軽いイオン種を試料に照射すれば、相対的にスパッタ作用は小さくなり、試料を観察するのに好適となる。
また、イオンビームを試料に照射して試料を透過したイオンを検出すれば、試料内部の構造を反映した情報を得ることもできる。これは透過イオン顕微鏡と呼ばれる。特に、水素、ヘリウムなどの質量の軽いイオン種を試料に照射すれば、試料を透過する割合が大きくなり観察するのに好適となる。
逆に、アルゴン、キセノン、ガリウムなどの質量の重いイオン種を試料に照射すれば、スパッタ作用により試料を加工するのに好適となる。特に、液体金属イオン源(Liquid Metal Ion Source、以下「LMIS」と略記)を用いた集束イオンビーム装置(Focused Ion Beam、以下「FIB」と略記)が集束イオンビーム加工観察装置として知られている。更に、近年では、走査電子顕微鏡(SEM)と集束イオンビーム(FIB)の複合機FIB-SEM装置も用いられている。FIB-SEM装置では、FIBを照射して所望の箇所に角穴を形成することにより、その断面をSEM観察することができる。また、プラズマイオン源やガス電界電離イオン源により、アルゴンやキセノンなどのガスイオンを生成して試料に照射するようにしても試料の加工は可能である。
本発明は、イオン顕微鏡、イオンビーム加工観察装置、イオンビーム加工観察装置とイオン顕微鏡との複合装置、イオン顕微鏡と電子顕微鏡との複合装置において適用可能である。また、イオン顕微鏡と電子顕微鏡を適用した解析・検査装置にも適用可能である。これらを総称してイオンビーム装置とする。本発明のイオンビーム装置とは、ガス電界電離イオン源を用いたイオンビーム装置であれば上記の装置に限られない。
実施例では、ガス電界電離イオン源から発生するイオンビームを試料に照射するイオンビーム装置において、ガス電界電離イオン源が、陽極となるエミッタティップと、陰極となる引き出し電極と、少なくともエミッタティップを収容する真空容器と、エミッタティップの先端部と引出電極との間の空間にガス導入口を通してガスを供給するガス導入部と、ガス排気口を通して真空ポンプによってガスを排気するガス排気部と、ガス電界電離イオン源を冷却するための冷却機構と、冷却機構により冷却されたエミッタティップを昇温できる昇温機構と、を備えることを開示する。
また、実施例では、昇温機構が、ヒーターであることを開示する。尚、使用するイオン化ガスや電界電離イオン源の構造などにより、冷却温度あるいは昇温温度あるいはその両方は最適値が変化する。温度は冷却時と昇温時の二値ではなく、ある温度勾配で変化させ続けたり、複数の温度に変化させたりする場合もある。
また、実施例では、ガス排出口またはガス導入口が、接地電位の構造体に設けられていることを開示する。
以下、上記およびその他の新規な特徴と効果について、図面を参照して説明する。なお、図面はもっぱら発明の理解のために用いるものであり、権利範囲を限縮するものではない。
また、真空容器を真空排気する真空ポンプやバルブなどを含めた真空排気系、試料を載置・移動する試料ステージは図示を省略している。
また、集束レンズ、対物レンズ・ビーム偏向器/アライナー、ブランキング電極、ビーム偏向器の電源は図示を省略している。
また、検出器から出力される信号に基づいて画像を生成する画像生成部は図示を省略している。
図1を参照してイオンビーム装置の第1の実施例を説明する。
イオンビーム装置は、エミッタティップ1、引き出し電極2、ガス供給配管4、ガス排気口52、冷却機構60、冷却伝導機構61、および昇温機構62を有するイオン源室5と、イオン源室5を真空に排気するためのイオン源室真空排気用ポンプ(図示省略)、イオン化ガスのガス源15、エミッタティップ1に電圧を供給する加速電源7、引き出し電極2に電圧を供給する引き出し電源8、ならびに真空容器10を有する。なお、ガス供給配管4とイオン源室5との接続口を総称してガス導入部ということとする。また、本実施例では、ガス排気口52をガス排出部ということとする。イオン源室5と真空容器10は、開口部18を介して繋がっている。イオン源はガス電界電離イオン源(ガスイオン源と略称する)であり、高電圧が印加できる針状のエミッタティップ1を内部に持つガスイオン化室6に、ガス源15からガス供給配管4を介してイオン化ガスを供給する。高電圧が印加され強電界のかかった針状のエミッタティップ1先端にガス供給配管4から供給されたイオン化ガス(あるいはガス分子)が近づくと、ガス(ガス分子)内の電子が電界によって低減したポテンシャル障壁をトンネリングし、正イオンとなり放出される。ガスイオン源は、これをイオンビームとして利用するイオン源である。
冷却機構60で冷やされたエミッタティップ1を効率的に昇温するには、エミッタティップ1の近くに昇温機構62を設置する方が良い。本実施例では、冷却伝導機構61のエミッタティップ1側に昇温機構62を設置した。昇温機構62としては、例えばヒーターなどを用いることが可能である。そこで、昇温機構62としてヒーターを用いたものを説明する。エミッタティップ1は、タングステンの先端に白金あるいはイリジウムの被膜を形成したものとする。なお、エミッタティップ1は、この組み合わせに限らず、例えば特許文献1に開示されている組み合わせでも良い。
冷却機構60が機械的冷凍機の場合には、昇温機構62をヒーターではなく単なる温度測定機構とし、冷却機構60を停止して自然昇温させる方法もある。本方法は、ヒーターやヒーター電源などの構成物を減らせるという利点がある。どの方法を選ぶかは目的により決めればよい。
エミッタティップ1は、加速電源7により電圧が印加され、引き出し電極2は、引き出し電源8により電圧が印加される。また、イオン源室5は、イオンビーム装置の動作如何に関わらず接地電位(GND)に固定されている。イオン源室5は、エミッタティップ1を囲むように構成された真空容器である。本実施例では、このイオン源室5により囲まれた空間が、ガスをイオン化するガスイオン化室6を兼ねている。本実施例では、ガスイオン化室6とは、少なくともエミッタティップ1を囲むように一つまたは複数の部材から構成され、内部にガスが導入される構造物のことをいう。
エミッタティップ1から放出されたイオンは、集束レンズ70と対物レンズ71で試料72上に集束される。両レンズ間にはビーム偏向器/アライナー73、可動ビーム制限絞り74、ブランキング電極75、ブランキングビーム停止板76、ビーム偏向器77がある。試料72から放出される二次電子は、二次電子検出器78で検出される。制御手段79は、昇温機構62、加速電源7、引き出し電源8、集束レンズ70、対物レンズ71、ビーム偏向器/アライナー73、可動ビーム制限絞り74、ブランキング電極75、ビーム偏向器77、二次電子検出器78などを制御する。制御手段79は、専用の回路基板によってハードとして構成されていてもよいし、イオンビーム装置に接続されたコンピュータ(図示省略)で実行されるプログラムによって構成されてもよい。本実施例では、真空容器10の排気口80は一つであるが、複数設けても良い。
図1から図4を参照してエミッタティップの先端に1個の原子を有するナノピラミッド形成方法を説明する。
エミッタティップ先端部の原子構造を観察するには、エミッタティップ1から放出されたイオンをビーム偏向器/アライナー73で走査すればよい。イオンビームの集束状態を集束レンズ70により調整すると、図2のようにエミッタティップ先端部の原子83が画像81(疑似的なFIM像)のように観察できる。視野82は、イオンビームの照射光学系にある開口部の大きさで決まる。図2は、エミッタティップ先端部の原子が3個からなる原子構造の例を示した。
このエミッタティップ1の先端にある3個の原子のうち2個を電界蒸発により飛ばして、エミッタティップ1の先端に最も結合の強い原子のみを1個だけ残す方法を説明する。初めに、昇温機構62のヒーターを通電加熱してエミッタティップ1の温度を、イオン化ガスをイオン化する時の温度よりも高い温度に昇温する。次に、引き出し電源8の出力電圧を下げてゆき、エミッタティップ1と引き出し電極2との電位差を徐々に大きくしてゆく。すると、図2の3個の原子のうち、最も結合の弱い原子が電界蒸発して除去され、図3のようにエミッタティップ先端部の原子が2個からなる原子構造となる。更に引き出し電源8の出力電圧を下げてエミッタティップ1と引き出し電極2との電位差を大きくしてゆくと、次に結合の弱い原子が電界蒸発して除去され、図4のようにエミッタティップ先端部の原子が1個からなる原子構造となる。最後に昇温機構62のヒーターをオフにして、エミッタティップ1の温度を、イオン化ガスをイオン化する時の温度に戻す。その後、画像81(疑似的なFIM像)の輝度が最適値になるように引き出し電源8の出力電圧を調整する。
図5を参照してイオンビーム装置の第2の実施例を説明する。なお、以下においては、実施例1との相違点を中心に説明し、同様の部分については説明を省略する。
図5では、イオン源室5についてのみ記載した。本実施例では、輻射シールド12が設けられている。本実施例では、イオン源室5、レンズ電極3、そして輻射シールド12により囲まれた空間が、ガスをイオン化するガスイオン化室6となっている。輻射シールド12にガス供給配管4が設けられ、また、輻射シールド12はGND電位である。ガス供給配管4は、輻射シールド12に直接固定されていてもよいし、他の部材に固定されていてもよいが、接地電位(GND)となっていることが重要である。輻射シールド12は、冷却伝導機構61と接続され低温に冷却される。これにより、イオン化ガスが室温のイオン源室5の壁面と衝突する確率を減らすことができる。そして、イオン源室5の壁面と衝突して温度上昇したイオン化ガスがエミッタティップ1に衝突し、エミッタティップ1を昇温する確率を減らすことができる。
尚、図示はしないが、輻射シールド12を利用したガスイオン化室6の形成方法は本実施例に限られず、例えば、イオン源室5の中に閉空間となる輻射シールド12を設けてガスイオン化室6としたり、引き出し電極2も冷却したりと様々な形態で実現できる。
図6を参照してイオンビーム装置の第3の実施例を説明する。なお、以下においては、実施例1との相違点を中心に説明し、同様の部分については説明を省略する。
図6では、イオン源室5についてのみ記載した。本実施例では、昇温機構62が相互誘導回路により構成されている。交流電源91とトランス90によりエミッタティップ1と絶縁を保ったまま、エミッタティップ1を通電加熱する。本実施例では、真空中にヒーター部品を設置しないため、不純物ガスの放出源となる可能性がある真空中の構成物を減らすことができる。
尚、図示はしないが、実施例2のように輻射シールド12を追加した構成としても良い。
本実施例では、実施例1に補足的な説明を加えることによって、実施例1の発明をより詳細に説明する。
はじめに、エミッタティップ1の先端を観察する方法について記述する。最も一般的な方法はエミッタティップから放出されるイオンをそのまま加速して、MCP(マイクロチャネルプレート)に照射し、MCP背面側の蛍光板の発光パターンを観察する方法である。ここで、イオンは電子、光へと変換されている。この方法を、FIM(Field Ion Microscope)と呼ぶ。この発光パターンをFIM像と呼ぶ。FIM像の発光スポットがエミッタティップ先端の個別の原子に由来しているため、FIM像によりエミッタティップ先端の原子配列を知ることができる。
ここで、実施例1で記述したようなイオンビーム装置においては、上記のようなMCPを新たに設置しなくても、FIM像と等価な像を得ることができる。その像を擬似FIM像または走査FIM像と呼ぶ。図1を用いて、再度それを説明する。エミッタティップ1から放出されたイオンビームは、その先端原子毎のイオンビームが発散した状態で対物レンズ71に届く。
もし、対物レンズ71の上にMCPを置けば前述のFIM像が得られる。ここで、エミッタティップ1から放出されたイオンビームをビーム偏向器/アライナー73を使って偏向および走査する。対物レンズ71の上部開口が絞りの役割を果たすので、対物レンズ71の試料72側に透過してくるイオンビームの強度は、FIM像の一部を絞りで覗いたものに対応する。透過したイオンビームの強度は、試料72に一様な材料を用いて、そこから放出される二次電子を二次電子検出器78で捕らえることで測定できる。したがって、制御手段79を使って、前記の走査位置と透過イオンビーム強度とを関連づけた2次元像を形成すれば、これがFIM像と等価なもの、すなわち擬似FIM像または走査FIM像となる。なお、使用する絞りの大きさと集束レンズ70の設定により見える範囲と分解能が変化する。
ここで、集束レンズ70の強度を調整することで、走査FIM像を見やすくする方法を説明する。具体的には、エミッタティップ1から放出されたイオンビームのうち任意の一原子から放出された分の広がりが、対物レンズ71の上の絞りの孔径より大きくなるようにする。理由は、一原子からの放出広がりが絞りの孔径より小さいと隣り合う原子からの放出が区別できなくなる、すなわち分解能が不足するからである。ただし、一原子からの放出広がりを大きくするとFIM像が拡大されるので、FIM像の観察可能範囲から必要な原子がはみ出さないように調整することが必要である。これらのことを、図2に示した走査FIM像で説明する。図2は集束レンズ70が適度に調整された状態である。ここから集束レンズ70の強度を上げると、イオンビームの広がりが小さくなり、走査範囲で決まる最大の画像範囲81に対して、エミッタティップ先端の原子のイオン像83は互いに重なりを強めながら小さくなり、やがて原子間の区別ができなくなる。偏向器より上にある絞り孔(例えば集束レンズ70の開口)で決まる視野82も小さくなる。逆に集束レンズ70の強度を下げると、イオンビームの広がりが大きくなり、エミッタティップ先端の原子のイオン像83も視野82も大きくなり、やがて最大の画像範囲81を超えてしまう。なお、本実施例の通常動作では、試料上でのイオンビームの電流密度を最大とするために集束レンズ70と対物レンズ71との間でイオンビームが略平行とするように、集束レンズ70の強度設定を行う。上記のようにFIM像を取得する際は、集束レンズ70の強度を若干弱める。
エミッタティップ1の先端の電界蒸発による調整、すなわち余剰な原子の除去は、FIM像による先端の観察を行いながら行う。または、調整と観察とを交互に行う。調整と観察は好ましくは各1回以上繰り返される。電界蒸発のためには、引き出し電圧(エミッタティップと引出電極との間に印加される電圧)を、所謂ベストイメージ電圧(最も高解像度の画像がとれるビーム条件の引出電圧)よりも高くするので、FIM像は少しぼける。引き出し電圧をベストイメージ電圧にすれば、エミッタティップ1の先端の原子の状況が明確になる。したがって、電界蒸発による調整とFIM像観察を繰り返す場合には、FIM像観察の間はベストイメージ電圧にして、電界蒸発による調整の間はベストイメージ電圧(第1の電圧)より高い電圧(第2の電圧)にする、というように引き出し電圧を制御するとよい。なお、FIM像の観察ではイオン化ガスを使うが、電界蒸発はイオン化ガスを排気しても実行できる。
本実施例では、イオン化ガスにヘリウムを用いた。ガス圧は0.02Paとした。本イオンビーム装置でイオンビームを発生させる際のエミッタティップ1の温度(以下、動作温度と呼ぶ。第1の温度。)は40Kに設定した。この温度は、本実施例で説明する実験に使用した冷却装置で得られる最低温度であり、この条件でイオンビームの電流密度が最も高くなる。これに対して、エミッタティップ1先端の余剰原子を電界蒸発で除去する際の温度を第1の温度より高い温度(第2の温度)とした。具体的には60Kとした。約10Kの昇温でも余剰原子が取れやすくなる効果は得られたが、約20Kの昇温で効果が明確になった。ただし、さらに温度を上げても上記効果は飽和してきた。あまり温度を上げると、イオンビームの電流が減りFIM像が観察できなくなるので、約40Kの昇温までに留めることが望ましい。温度を100K以上にすると、イオンビームが弱すぎてリアルタイムでFIM像を観察できなくなった。上述のようにFIM像の取得と電界蒸発による調整を同時に行うには、電界蒸発する際の温度はFIM像が取得可能なエミッタティップの動作限界の温度より低い必要がある。またはFIM像取得と電界蒸発による調整を交互に行う場合にも、温度の切り替えのための時間をなくすため、電界蒸発する際の温度をFIM像が取得可能なエミッタティップの動作限界の温度より低くすることが望ましい。
ここで、前述のように余剰原子を電界蒸発で除去する際に同時にFIM像を観察しないこともできる。その場合には室温程度まで昇温しても原理的には問題無い。ただし、余剰原子の除去作業に必要な時間が数分から数10分なのに対して、室温まで昇温した後に動作温度まで復帰させるためには数時間から半日を要するため実用的では無い。このため電界蒸発を行うときの温度は少なくとも室温より低いことが望ましい。FIM像を同時観察しないで余剰原子を電界蒸発で除去した後には、少なくとも一度FIM像の観察を行うのが望ましい。除去が不十分であったり、過剰な除去で先端原子を失ったりする可能性があるからである。除去が不十分であれば再度この処理を行えばすむが、過剰な場合には、エミッタティップ先端の基本形状を作り直す処理が必要となる。
なお、間違ってもエミッタティップ1を赤熱(700〜800℃以上)させてはならない。温度が500〜600℃を超えると表面原子の拡散によって先端構造が変化してしまうからである。このような高温の加熱(第3の温度)はエミッタティップの先端の基本形状を作る場合に用いる。実施例1で述べたように、それにより1原子を頂点とするピラミッドの構造を作るのだが、確率的に先端に余剰の原子が残ってしまうので、これを除去する調整が必要になる。本実施例で説明する方法は、高温の加熱によって基本形状が確定した後のエミッタティップにおいて先端に残ってしまった余剰原子を除去するときの方法であるため、本実施例においてエミッタティップの温度を室温以上に加熱してはならない。
なお、エミッタティップ先端の基本形状とは、複数の小結晶面(ファセット)の構成と相対配置のことである。ファセット毎に方向が決まっており、ファセットが十分に成長すると多面体ができあがる。隣り合うファセットの境界は稜線を成し、稜線の合流部は頂点を成す。
本実施例のイオンビーム装置では、液体窒素による冷却を使って動作温度80Kでヘリウムのイオンビームを形成することもできる。ただし、この動作温度では余剰原子の除去が困難になる現象は発生しなかった。動作温度を液体窒素の沸点温度より下げて使おうとして初めて、上記した本願の課題が見えてきたものである。本実施例のイオンビーム装置では、動作温度を液体窒素の温度より下げるために、振動低減の工夫を行った機械式冷凍機によってエミッタティップの冷却を行っている。
また、上述した本実施例のイオンビーム装置では、通常、FIM像を観察しまたは電界蒸発でのエミッタティップ調整する際には、イオン化ガスのガス圧を、イオンビームを形成する際のガス圧(以下、動作ガス圧と呼ぶ。第1の圧力。)と同じにしている。ところが、ガス圧を動作ガス圧より高い圧力(第2の圧力)に高めることと上述したようにエミッタティップを昇温することとを組み合わせると、余剰原子の除去がより短時間で行えることが分かった。例えば動作ガス圧0.02Paに対して、1桁多い0.2Paにすることで、調整時間が数倍短縮された。ガス圧の調整時間が短い装置では、この方法を利用するとよい。
エミッタティップ先端の余剰原子の除去が困難になる温度や、これを改善するのに必要な昇温のレベルは、イオン化ガスの種類に依存する可能性がある。本実施例のようにイオン化ガスの主成分としてヘリウムを用いた場合は、動作温度が約60Kより低いと余剰原子の除去が困難になった。上記に説明した方法によれば動作温度が約60Kより低い場合でも余剰原子を簡単に除去することが可能となる。
別の実施例で、イオン化ガスの主成分として水素ガスを用いた場合には、動作温度が約50Kより低いと余剰原子の除去が困難になった。FIM像は120Kまで観察可能であった。上記に説明した方法によれば動作温度が約50Kより低い場合でも余剰原子を簡単に除去することが可能となる。
本実施例で示した方法は、どのようなイオン化ガスにおいても、多少の条件値変更だけで有効と考えられる。
1 エミッタティップ
2 引き出し電極
4 ガス供給配管
5 イオン源室
6 ガスイオン化室
7 加速電源
8 引き出し電源
10 真空容器
12 輻射シールド
15 ガス源
18 開口部
52 ガス排気口
60 冷却機構
61 冷却伝導機構
62 昇温機構
70 集束レンズ
71 対物レンズ
72 試料
73 ビーム偏向器/アライナー
74 可動ビーム制限絞り
75 ブランキング電極
76 ブランキングビーム停止板
77 ビーム偏向器
78 二次電子検出器
79 制御手段
80 排気口
81 画像
82 視野
83 エミッタティップ先端部の原子
90 トランス
91 交流電源

Claims (18)

  1. 陽極となるエミッタティップと、陰極となる引出電極と、前記エミッタティップの周囲にガスを供給するガス供給口を備え、前記エミッタティップの温度を第1温度にした状態で前記エミッタティップと前記引出電極との間に印加する引出電圧を第1電圧にすることで、第1圧力の前記ガスをイオン化してイオンビームを発生させるガス電解電離イオン源における前記エミッタティップの調整方法であって、
    前記第1温度よりも高くかつ室温よりも低い第2温度に前記エミッタティップの温度を保持しつつ、前記引出電圧を前記第1電圧より高い第2電圧に設定して、前記エミッタティップの先端の原子を電界蒸発させる電界蒸発ステップにより、前記エミッタティップの先端の原子を1個とし、
    前記エミッタティップの先端部分における小結晶面の構成と相対配置は、室温より高い第3温度に加熱して形成されることを特徴とするエミッタティップの調整方法。
  2. 陽極となるエミッタティップと、陰極となる引出電極と、前記エミッタティップの周囲にガスを供給するガス供給口を備え、前記エミッタティップの温度を第1温度にした状態で前記エミッタティップと前記引出電極との間に印加する引出電圧を第1電圧にすることで、第1圧力の前記ガスをイオン化してイオンビームを発生させるガス電解電離イオン源における前記エミッタティップの調整方法であって、
    前記第1温度よりも高くかつ室温よりも低い第2温度に前記エミッタティップの温度を保持しつつ、前記引出電圧を前記第1電圧より高い第2電圧に設定して、前記エミッタティップの先端の原子を電界蒸発させる電界蒸発ステップにより、前記エミッタティップの先端の原子を1個とし、
    前記電界蒸発ステップを行う間、前記ガスの圧力を前記第1圧力より高い第2圧力に設定することを特徴とするエミッタティップの調整方法。
  3. 請求項1又は2に記載のエミッタティップの調整方法において、さらに、
    前記エミッタティップの先端のFIM像を観察する観察ステップを行い、
    前記電界蒸発ステップと前記観察ステップとを一度以上繰り返すことを特徴とするエミッタティップの調整方法。
  4. 請求項に記載のエミッタティップの調整方法において、
    前記第2温度は、前記第1温度より高く、かつ前記FIM像が取得可能な前記エミッタティップの動作限界の温度より低いことを特徴とするエミッタティップの調整方法。
  5. 請求項に記載のエミッタティップの調整方法において、
    前記FIM像が取得可能な前記エミッタティップの動作限界の温度と前記第1温度との差は40K以内であることを特徴とするエミッタティップの調整方法。
  6. 請求項1又は2に記載のエミッタティップの調整方法において、
    前記第1温度が液体窒素の沸点より低いことを特徴とするエミッタティップの調整方法。
  7. 請求項に記載のエミッタティップの調整方法において、
    前記FIM像は、偏向器により前記イオンビームを絞り上で走査して、前記絞りを透過するイオンビームの強度を検出して、前記走査の位置と前記透過イオンビームの強度とを関連づけて形成した2次元の像であって、前記イオンビームのうち前記エミッタティップの任意の一原子から放出された分の広がりを前記絞りの孔より大きくして得られることを特徴とするエミッタティップの調整方法。
  8. 請求項1又は2に記載のエミッタティップの調整方法において、
    前記ガスの主成分はヘリウムであり、
    前記第1温度が60K以下であり、前記第2温度が60K以上100K未満であることを特徴とするエミッタティップの調整方法。
  9. 請求項1又は2に記載のエミッタティップの調整方法において、
    前記ガスの主成分は水素であり、前記第1温度が50K以下であり、前記第2温度が50K以上120K未満であることを特徴とするエミッタティップの調整方法。
  10. 陽極となるエミッタティップと、
    陰極となる引出電極と、
    前記エミッタティップの周囲にガスを供給するガス供給口と、
    前記エミッタティップの温度及び前記引出電極の電圧を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、
    前記ガスをイオン化してイオンビームを発生させる場合には、前記エミッタティップの温度を第1温度にし、前記ガスを第1圧力にした状態で前記エミッタティップと前記引出電極との間に印加する引出電圧を第1電圧にし、
    前記エミッタティップの先端の原子を1個とする場合には、前記第1温度よりも高くかつ室温よりも低い第2温度に前記エミッタティップの温度を保持しつつ、前記引出電圧を前記第1電圧より高い第2電圧に設定して、前記エミッタティップの先端の原子を電界蒸発させ
    前記制御部は、さらに、前記エミッタティップの先端部分における小結晶面の構成と相対配置を形成するために、室温より高い第3温度に加熱するように制御することを特徴とするイオンビーム装置。
  11. 陽極となるエミッタティップと、
    陰極となる引出電極と、
    前記エミッタティップの周囲にガスを供給するガス供給口と、
    前記エミッタティップの温度及び前記引出電極の電圧を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、
    前記ガスをイオン化してイオンビームを発生させる場合には、前記エミッタティップの温度を第1温度にし、前記ガスを第1圧力にした状態で前記エミッタティップと前記引出電極との間に印加する引出電圧を第1電圧にし、
    前記エミッタティップの先端の原子を1個とする場合には、前記第1温度よりも高くかつ室温よりも低い第2温度に前記エミッタティップの温度を保持しつつ、前記引出電圧を前記第1電圧より高い第2電圧に設定して、前記エミッタティップの先端の原子を電界蒸発させ、
    前記制御部は、前記第2の温度でエミッタティップの先端の原子を電界蒸発させる間、前記ガスの圧力を前記第1圧力より高い第2圧力に設定することを特徴とするイオンビーム装置。
  12. 請求項10又は11に記載のイオンビーム装置において、
    前記制御部は、前記エミッタティップの先端のFIM像を取得し、
    前記電界蒸発と前記FIM像の取得とを一度以上繰り返すことを特徴とするイオンビーム装置。
  13. 請求項12に記載のイオンビーム装置において、
    前記第2温度は、前記第1温度より高く、かつ前記FIM像が取得可能な前記エミッタティップの動作限界の温度より低いことを特徴とするイオンビーム装置。
  14. 請求項13に記載のイオンビーム装置において、
    前記FIM像が取得可能な前記エミッタティップの動作限界の温度と前記第1温度との差は40K以内であることを特徴とするイオンビーム装置。
  15. 請求項10又は11に記載のイオンビーム装置において、
    前記第1温度が液体窒素の沸点より低いことを特徴とするイオンビーム装置。
  16. 請求項12に記載のイオンビーム装置において、
    前記FIM像は、偏向器により前記イオンビームを絞り上で走査して、前記絞りを透過するイオンビームの強度を検出して、前記走査の位置と前記透過イオンビームの強度とを関連づけて形成した2次元の像であって、前記イオンビームのうち前記エミッタティップの任意の一原子から放出された分の広がりを前記絞りの孔より大きくして得られることを特徴とするイオンビーム装置。
  17. 請求項10又は11に記載のイオンビーム装置において、
    前記ガスの主成分はヘリウムであり、
    前記第1温度が60K以下であり、前記第2温度が60K以上100K未満であることを特徴とするイオンビーム装置。
  18. 請求項10又は11に記載のイオンビーム装置において、
    前記ガスの主成分は水素であり、前記第1温度が50K以下であり、前記第2温度が50K以上120K未満であることを特徴とするイオンビーム装置。
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