JP2014144471A - 加熱炉の操業支援システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る加熱炉1の操業支援システム10は、粗圧延工程及び仕上圧延工程を有する圧延設備に送出される圧延材Wを加熱するための加熱炉1に設けられ、且つ加熱炉1における設定条件の人的な変更作業を支援する操業支援システム10であって、操業支援システム10は、オペレータMが(目視)確認可能な表示器を有し、表示器11は、加熱炉1に関する情報及び加熱炉1を通過する圧延材Wに関する情報を表示するように構成されている。
【選択図】図1
Description
特許文献1は、独立して炉温の設定が可能な複数の帯を備え、連続して装入される鋼材が、該鋼材の目標抽出温度及び目標抽出均熱度になるようにそれぞれの前記帯の炉温を設定及び調整する連続式加熱炉の炉温制御方法であって、前記帯からの抽出位置及び前記帯からの抽出位置以外の位置に目標温度及び目標均熱度を設定する目標位置を有し、前記鋼材が前記目標位置において前記目標温度及び前記目標均熱度となるようにそれぞれの前記帯の炉温を設定する制御方法を開示している。
しかしながら、工場の設備によっては、加熱炉の出側における板温度を実測できないことがあり、このような場合であっても、圧延工程における板温度、例えば、粗圧延機の出側での板温度が目標値となるように加熱炉抽出時の板温度を制御しなくてはならない。
て、特許文献1に開示の制御モデルが常に最適に機能するとは限らず、圧延材の板温度が目標抽出温度とならない場合もある。
このような事情から、加熱炉のオペレータは、特許文献1のような自動制御によらず、粗圧延機の出側などで実測された板温度を参考にして、スラブの搬送間隔(搬送ピッチ)や炉温などの加熱炉の設定条件を人的判断に基づき修正することがしばしばある。この場合、経験を積んだオペレータであれば、実測された板温度を考慮しつつ、適切に加熱炉の炉温や搬送ピッチを変更して、圧延材ごとに適切な抽出温度を実現することができる。ところが、経験の浅いオペレータでは、炉温や搬送ピッチの適切な変更量を決定することが困難となることが多い。
本発明に係る加熱炉の操業支援システムは、粗圧延工程及び仕上圧延工程を有する圧延設備に送出される圧延材を加熱するための加熱炉に設けられ、且つ前記加熱炉における設定条件の人的な変更作業を支援する操業支援システムであって、前記支援システムは、オペレータが(目視)確認可能な表示器を有し、前記表示器は、加熱炉に関する情報及び/又は加熱炉を通過する圧延材に関する情報を表示するように構成されていることを特徴とする。
前記表示器は、前記各セクションに、加熱炉に関する情報及び/又は当該セクションに存在する圧延材に関する情報を表示するように構成されているとよい。
また、前記加熱炉を通過する圧延材に関する情報を、温度予測モデルなどの数値モデルを用いて算出するように構成されていると好ましい。
ここで好ましくは、前記圧延材に関する情報として、
・現在の設定条件に類似した条件を有する圧延材の過去実績値(粗圧延機出側の過去実績温度計測値)から算出された均熱帯出側温度の分布、
・均熱帯出側温度における圧延材の上面温度と下面温度の温度差の予測値、
・現在の設定条件を維持した場合における均熱帯出側温度の予測値、
・現在の設定条件に類似した条件を有する圧延材の過去実績値から算出された粗圧延工程後の出側温度の分布、の少なくとも一つ以上を採用しているとよい。
・各セクションの炉内温度の実績値、
・現在の設定条件に類似した条件を有する圧延材を加熱した際における各セクションの炉内温度の過去実績値の分布、の少なくとも一つ以上を採用していると好ましい。
さらに、前記表示器は、設定条件を入力するための入力部を備えており、前記入力部に新たな設定条件が入力されると、入力された設定条件を基に温度予測モデルなどの数値モデルにて加熱炉を通過する圧延材に関する情報を算出し、算出された加熱炉を通過する圧延材に関する情報を、前記表示器に表示するよう構成されていると好ましい。
また、粗圧延を終えた圧延材の粗圧延機出側温度を、粗圧延を終えた順番に表示すると好ましい。
図1は、本実施形態による操業支援システム10、及び操業支援システム10が設けられた加熱炉1を示す模式図である。
本実施形態による操業支援システム10は、オペレータMによる加熱炉1の操業を支援するものである。以下に、操業支援システム10について詳しく説明するが、まず、操業支援システム10の適用対象となる加熱炉1とそれに続く熱間圧延ライン2の構成について説明する。
熱間圧延ライン2は、圧延材Wを加熱する加熱炉1と、加熱された圧延材Wを圧延する複数の粗圧延機3及び仕上圧延機4と、圧延作業が完了した鋼をコイル状に巻き取るコイラ5を備えている。さらに、熱間圧延ライン2は、複数の粗圧延機3の最終スタンドの出側に、例えば放射温度計からなる板温度計6を備えている。本実施形態による熱間圧延ライン2では、板温度の実測値をこの板温度計6によって得る。
図3に示すように、加熱炉1は、紙面に向かって左端の搬入口(図示せず)から順に予熱帯、第1加熱帯、第2加熱帯、及び均熱帯を有している。均熱帯の紙面に向かって右端には、加熱された圧延材Wが加熱炉1から搬出(抽出)される搬出口(図示せず)が設けられている。加熱炉1の内側壁には、炉内を加熱するためのバーナー8が複数配置されており、このバーナー8の燃焼状態を制御することにより、炉温を変更したり、略一定に保ったりできる。
第1加熱帯、第2加熱帯、及び均熱帯では、圧延材Wの板温度上昇速度が目的に合わせてそれぞれ異なるように、炉温が制御されている。第1加熱帯及び第2加熱帯では、目標の抽出温度となるように、比較的高い板温度上昇速度で圧延材Wを加熱する。均熱帯では、ほぼ目標の抽出温度となった圧延材Wの温度むらを解消するよう非常に緩やかに圧延材Wを加熱する。
。図3では、A〜Fの記号で示す圧延材がトラッキングの対象としての注目スラブに選定されている。
上記の加熱炉1を操業するに際しては、粗圧延機出側で計測された板温度が目標の温度(粗圧延機出側温度)となるように、オペレータMが、加熱炉1内の温度(炉温)や圧延材Wの搬送速度(搬送ピッチ)などの操業条件を調整している。
そこで、本実施形態の操業支援システム10は、圧延材A〜Fに関する情報及び加熱炉1に関する情報を提示する構成を採用することで、オペレータMの経験度合いに左右されることなく、適切な操業条件の設定が可能となるようにしている。
操業支援システム10は、圧延材A〜Fに関する情報及び加熱炉1に関する情報の少なくとも1つ以上を表示可能な表示器(支援モニタ)11を有している。加えて、操業データを入力値として圧延材A〜Fに関する情報及び加熱炉1に関する情報を計算することが可能な温度予測モデルなどの数値モデルや均熱帯出側温度や粗圧延工程出側温度などの分布を計算するプログラムを有している。
温度予測モデルは、伝熱方程式に基づく数値モデルであって、本操業支援システム10に設けられたコンピュータ12乃至はプロコン内にソフトウエアの形で実現されている。
矢印Wで示す上段部分は板温度表示部であり、加熱炉1内の注目スラブに関して、温度予測モデルから算出される予測抽出温度、予測均熱帯入側温度、粗圧延機出側温度などの情報を表示する。板温度表示部には、加熱炉1の構成に従って、紙面に向かって左から予熱帯、第1加熱帯、第2加熱帯、及び均熱帯の各区分帯(セクション)に対応する表示枠が設けられている。
板温度表示部の左側上部に示される「RHDT」は、温度予測モデルによる加熱炉出側のスラブ抽出温度を表し、板温度表示部の左側下部に示される「R5DT」は、粗圧延機出側温度を表している。
温表示部であり、注目スラブに関する現在の炉温と過去の炉温の実績値の情報が示されている。
炉温表示部には、板温度表示部と同様に第1加熱帯、第2加熱帯、及び均熱帯の各区分帯に対応する表示枠が設けられている。均熱帯に対応する表示枠は、粗圧延機に近い帯を均熱帯東、粗圧延機から遠い帯を均熱帯西として2つに分けられている。
支援モニタ11に表示される画面の下段部分、すなわち、図中の矢印Zで示す下段部分は実績表示部であり、過去の粗圧延機出側温度の実績値の情報が示されている。
図5は、注目スラブに関して、図4に矢印Wで示される板温度表示部の一部である第1加熱帯における情報を示している。図5では、紙面に向かって左側に圧延材Eに関する情報が示されており、紙面に向かって右側に圧延材Dに関する情報が示されている。
まず、第1加熱帯の上段部分には、圧延材A〜Fの基本情報Sが示されている。基本情報Sの最上段には、圧延材Dについての情報であることを識別するための符号Dが示されている。その下には順に、鋼種を表現する「XH1005S」、粗圧延機出側温度の目標値「1040(度)」、予熱帯入側からの実績在炉時間「100(分)」、第1加熱帯入側からの実績在炉時間「60(分)」、及び現在のスラブ温度推定値「900(度)」が示されている。
これら4つの分布のうち、実線で示される分布(実線分布)は、圧延材Wの抽出温度のヒストグラムである。このヒストグラムにより、圧延材Dに類似した圧延材Wは、過去に1170℃〜1180℃で抽出されたものが最も多かったことがわかる。二点鎖線で示される分布(二点鎖線分布)は、圧延材Wの先端部分での粗圧延機出側温度において目標値を実現した抽出温度の分布である。破線で示される分布(破線分布)は、圧延材Wの中間部分での粗圧延機出側温度において目標値を実現した抽出温度の分布である。一点鎖線で示される分布(一点鎖線分布)は、圧延材Wの後端部分での粗圧延機出側温度において目標値を実現した抽出温度の分布である。これら分布は、圧延材Dとの類似度を算出してその類似度に応じた重み付けをして作成されている。
最後に、第1加熱帯の下段部分には、粗圧延機出側温度の目標値が実線の横線で示され、粗圧延機出側温度の上限値が破線で示されている。鋼種によっては、圧延材Eに関して示すように、粗圧延機出側温度の下限値が破線で示される。粗圧延機出側温度の目標値を示す実線及び上限値を示す破線に重なるように、過去に圧延材Dと類似した操業条件で加熱された圧延材Wの粗圧延機出側温度の分布(現在の設定条件に類似した条件を有する圧延材Wの過去実績値から算出された粗圧延工程後の出側温度の分布)が4つ示されている。これら4つの分布のうち、実線で示される分布(実線分布)は、粗圧延機出側温度のヒストグラムである。このヒストグラムにより、圧延材Dに類似した圧延材Wは、過去に1060度〜1070度の粗圧延機出側温度であったものが最も多かったことがわかる。
出側温度の分布である。一点鎖線で示される分布(一点鎖線分布)は、圧延材Wの後端部分での粗圧延機出側温度の分布である。これらの分布は、圧延材Dとの類似度を算出してその類似度に応じた重み付けをして作成されている。
図6は、炉温表示部(図4の矢印X)の一部である第1加熱帯における情報を示している。第1加熱帯についての炉温表示部は、次に第1加熱帯に搬入される圧延材Fに関する情報と、既に第1加熱帯に存在する圧延材Eに関する情報が示される。
図6の炉温表示部の上半分には、第1加熱帯の上部の炉温に関する情報が示され、下半分には、第1加熱帯の下部の炉温に関する情報が示されている。第1加熱帯の上部に示される破線は、第1加熱帯上部の現在の炉温を示し、下部に示される破線は、第1加熱帯下部の現在の炉温を示している。第1加熱帯上部の現在の炉温は約1250℃で、第1加熱帯下部の現在の炉温は約1180℃である。
つまり、過去に圧延材Eと類似した操業条件で加熱された圧延材Wが第1加熱帯に存在した際には、第1加熱帯の上部炉温が約1200℃で、下部炉温が約1150℃であったものが最も多かったことが示される。
均熱帯の炉温表示部は、均熱帯東と均熱帯西に分けられており、それぞれに、次に均熱帯に搬入される注目スラブである圧延材Bに関する情報が表示されている。表示されている情報は、第1加熱帯のものと略同様であるため、説明を省略する。
次に、図7を参照しつつ、設定変更入力部について説明する。図7は、図4に矢印Yで示される設定変更入力部を示している。
される実績表示部を示している。
実績表示部は、粗圧延を終えた圧延材Wの粗圧延機出側温度(R5DT)を、粗圧延を終えた順番に表示する。
図4の実績表示部では、実績表示部の右端に「過去時刻:0分前」と表示されており、過去0分以前、つまり直近の7つの圧延材Wの粗圧延機出側温度の実績値が表示されている。この7つの実績値のうち、最も左側に表示された圧延材Wが最も直近の実績値である。
各楕円の上部に示されている四角形の表示は、粗圧延前のオシレーション(時間調整のための待機動作)をしなかったと仮定したときの粗圧延機出側温度の推定値を示している。楕円の表示と同様に、グレースケールで表す四角形は圧延材Wの先端部分の粗圧延機出側温度、黒色で表す四角形は圧延材Wの中間部分の粗圧延機出側温度、X印が付された四角形は圧延材Wの後端部分の粗圧延機出側温度を示している。
オペレータMは、このような実績表示部を参照することで、自身が行った制御が適正であったか否かを検証することができる。
ところで、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 熱間圧延ライン
3 粗圧延機
4 仕上圧延機
5 コイラ
6 板温度計
7 搬送路
8 バーナー
10 操業支援システム
11 支援モニタ
12 コンピュータ
M オペレータ
Claims (9)
- 粗圧延工程及び仕上圧延工程を有する圧延設備に送出される圧延材を加熱するための加熱炉に設けられ、且つ前記加熱炉における設定条件の人的な変更作業を支援する操業支援システムであって、
前記支援システムは、オペレータが(目視)確認可能な表示器を有し、
前記表示器は、加熱炉に関する情報及び/又は加熱炉を通過する圧延材に関する情報を表示するように構成されていることを特徴とする加熱炉の操業支援システム。 - 前記加熱炉は、圧延材が搬入されてから抽出されるまでに通過する順に、予熱帯、加熱帯、及び均熱帯の各セクションで構成されており、
前記表示器は、前記各セクションごとに、加熱炉に関する情報及び/又は当該セクションに存在する圧延材に関する情報を表示するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の加熱炉の操業支援システム。 - 前記加熱炉を通過する圧延材に関する情報を、温度予測モデルなどの数値モデルを用いて算出するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱炉の操業支援システム。
- 前記圧延材に関する情報として、現在の設定条件を維持した場合における均熱帯出側温度の予測値を採用していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加熱炉の操業支援システム。
- 前記圧延材に関する情報として、
・現在の設定条件に類似した条件を有する圧延材の過去実績値から算出された均熱帯出側温度の分布、
・均熱帯出側温度における圧延材の上面温度と下面温度の温度差の予測値、
・現在の設定条件を維持した場合における均熱帯出側温度の予測値、
・現在の設定条件に類似した条件を有する圧延材の過去実績値から算出された粗圧延工程後の出側温度の分布、
の少なくとも一つ以上を採用していることを特徴とする請求項4に記載の加熱炉の操業支援システム。 - 前記加熱炉に関する情報として、
・各セクションの炉内温度の実績値、
・現在の設定条件に類似した条件を有する圧延材を加熱した際における各セクションの炉内温度の過去実績値の分布、
の少なくとも一つ以上を採用していることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の加熱炉の操業支援システム。 - 前記表示器は、設定条件を入力するための入力部を備えており、
前記入力部に新たな設定条件が入力されると、入力された設定条件を基に温度予測モデルなどの数値モデルにて加熱炉を通過する圧延材に関する情報を算出し、
算出された加熱炉を通過する圧延材に関する情報を、前記表示器に表示するよう構成されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の加熱炉の操業支援システム。 - 前記入力部に入力される設定条件として、各セクション内における圧延材の搬送ピッチの変更値と、各セクションでの炉内温度の変更値を採用していることを特徴とする請求項7に記載の加熱炉の操業支援システム。
- 粗圧延を終えた圧延材の粗圧延機出側温度を、粗圧延を終えた順番に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱炉の操業支援システム。
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