JP2013252531A - 加熱炉の操業支援システム - Google Patents

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Abstract

【課題】様々に異なる操業条件下でも、加熱炉のオペレータが的確な抽出温度を実現できる加熱炉の操業支援システムを提供する。
【解決手段】粗圧延工程を有する圧延設備に送出される鋼材Sを加熱するための加熱炉2に設けられ、且つ加熱炉2における設定条件の人的な変更作業を支援する加熱炉の操業支援システム1において、複数の鋼材Sの各々について粗圧延工程出側での実績温度(T1)に基づいて取得した第1の加熱炉出側温度(Tc1)と、複数の鋼材Sの各々について加熱炉内部の温度予測モデルに基づいて取得した第2の加熱炉出側温度(Tm1)との差である出側温度偏差(ΔT)のバラツキ分布を構築する。その上で、構築した出側温度偏差(ΔT)のバラツキ分布を、複数の鋼材Sの各々の粗圧延工程出側の目標鋼材温度(T0)に基づいて取得した鋼材Sの基準加熱炉出側温度(Tc0)を基準として、表示器7に表示するように構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱間圧延などに用いられる鋼片を加熱する加熱炉において、この加熱炉の設定条件の一部又は全部を人的判断に基づき変更する際に、その変更作業を支援する操業支援システムに関する。
連続的に薄鋼板等の製造を行う熱間圧延ラインでは、圧延によって薄板等に加工される圧延材(スラブ等の鋼片)が、まず加熱炉において例えば1000℃程度となるように加熱される。加熱された圧延材は、加熱炉から抽出されて圧延工程へと搬送され、粗圧延機及び仕上圧延機によって所定の板厚となるように圧延される。圧延工程が完了した薄鋼板は、冷却されてコイル状に巻き取られる。
ところで、加熱炉から抽出された圧延材は、板温度を低下させつつ粗圧延機に搬送されて粗圧延が施される。圧延材は、粗圧延で板温度をさらに低下させて、続く仕上圧延機に搬送される。このような圧延工程では、機械強度や金属組織的な品質を確保するために、各圧延材ごとに、粗圧延機の出側や仕上圧延機の入側での目標板温度が個別に設定されている。
したがって、熱間圧延ラインにおける加熱炉のオペレータは、上述の板温度の低下分を考慮しつつ炉温や炉内での圧延材の搬送間隔(抽出ピッチ)を調整することによって、加熱炉の出側での板温度はもとより、粗圧延機の出側での板温度なども設定された目標板温度となるように加熱炉内における炉温と圧延材の搬送間隔(抽出ピッチ)を調整している。すなわち、加熱炉のオペレータは、圧延工程における板温度を目標温度とすべく、加熱炉内における炉温と圧延材の搬送間隔(抽出ピッチ)の操作を行なっている。
ところで、熱間圧延ラインにおいて、粗圧延機での板温度を制御する技術としては様々なものが開発されており、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されたものがある。
特許文献1は、圧延機へ与えるべき複数の被処理材を連続的に加熱する連続加熱炉の温度を制御する方法において、圧延時の被処理材の温度を測定し、得られた値を1個体前の値と比較し、比較の結果、当該値が1個体前の値より低いことが所定回連続したときに連続加熱炉の設定温度を所定量だけ上昇させ、その後、下降させることを特徴とする連続加熱炉の温度制御方法を開示している。
この温度制御方法によれば、後工程の圧延時に負荷の増大、圧延機のトリップ等の処理不良が発生することを未然に防止することができるとされている。
また、特許文献2は、複数の過去実績データから誤差パラメータを算出し、算出された誤差パラメータを用いて得られた予測値についてのばらつきを算出する出力値予測方法を開示している。特許文献2は、開示した出力値予測方法を、鋼材の加熱炉工程における鋼材温度の予測値のばらつきを求めることに適用できるとしている。
特開平11−293349号公報 特開2011−39763号公報
加熱炉のオペレータは、鋼材の圧延中の温度(例えば、粗圧延機出側の温度)が目標値となるように、過去の経験に基づいて粗圧延機の上流側に位置する加熱炉内における炉温と圧延材の搬送間隔(抽出ピッチ)を操作することで、加熱炉抽出時の鋼材温度(抽出温度)を調整して操業を行っている。加熱炉抽出時の鋼材温度は、加熱炉内における温度予測モデルにて計算される温度である。
しかし、複雑な操業条件や未知の操業条件では、オペレータが、加熱炉抽出時の鋼材温度をどのような値に調整すればよいか判断に迷う可能性がある。そのような操業条件の場合、オペレータが、鋼材が硬くなって圧延性が低下するのを防ぐために、鋼材の抽出温度
が高めとなるように加熱炉内における炉温と圧延材の搬送間隔(抽出ピッチ)を操作し、鋼材の圧延中の温度を高くしようとすることが考えられる。その結果、鋼材の加熱炉からの抽出温度を高くするために余分な燃料を消費することとなり、燃料費(燃料コスト)の上昇に繋がるといった問題がある。
とはいえ、様々に異なる操業条件下でも、加熱炉のオペレータは、加熱炉抽出時の目標鋼材温度を実現すべく常に適切な加熱炉の操作が要求される。
ここで、加熱炉出側における鋼材温度の予測方法として、加熱炉内における鋼材温度予測モデルに基づいて予測する方法が通常行われているが、炉内および、抽出直後における鋼材の実績温度を測定することは測定環境の観点から困難であるため、加熱炉内における鋼材温度予測モデルの学習を行うことが出来ない。そのため、モデルの精度が劣化し、抽出時における鋼材温度の予測精度を維持していくことは、非常に難しい状況である。そのため、特許文献1では、目標圧延温度と抽出から圧延までの予測温度降下量とを用いて、加熱炉からの目標抽出温度を1つだけ予測しているが、鋼材温度予測モデル(熱伝導方程式)に基づいて予測される1つの目標抽出温度だけでは、オペレータが加熱炉内における炉温と圧延材の搬送間隔(抽出ピッチ)を適切に操作し目標の抽出温度及び圧延温度を確保するのは困難である。
そこで、特許文献2では、予測値についてのバラツキ分布を操業オペレータに表示する旨の記載が開示されている。鋼材の加熱炉工程における鋼材温度の予測値のばらつきを求めることに関する記載がなされているが、具体的な手法は開示されていない。
このような事情から、加熱炉のオペレータは、特許文献1に開示されるような予測値には基づかず、粗圧延機の出側などで実測された板温度を参考にして、加熱炉の設定条件を人的判断に基づき修正することがしばしばある。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、様々に異なる操業条件下でも、加熱炉のオペレータが的確な抽出温度を実現できる加熱炉の操業支援システムを提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明に係る加熱炉の操業支援システムは、粗圧延工程を有する圧延設備に送出される鋼材を加熱するための加熱炉に設けられ、且つ前記加熱炉における設定条件の人的な変更作業を支援する加熱炉の操業支援システムであって、複数の鋼材各々について粗圧延工程出側での実績温度(T1)に基づいて取得した第1の加熱炉出側温度(Tc1)と、前記複数の鋼材各々について前記加熱炉内部の温度予測モデルに基づいて取得した第2の加熱炉出側温度(Tm1)との差である出側温度偏差(ΔT)のバラツキ分布を構築し、前記構築した出側温度偏差(ΔT)のバラツキ分布を、前記複数の鋼材各々の粗圧延工程出側の目標鋼材温度(T0)に基づいて取得した前記鋼材の基準加熱炉出側温度(Tc0)を基準として、表示器に表示するように構成されていることを特徴とする。
好ましくは、前記加熱炉出側温度偏差(ΔT)のバラツキ分布を、前記複数の鋼材各々の鋼材条件及び操業条件に基づいて構築するように構成されていると好ましい。
さらに、前記加熱炉内部に存在する鋼材の加熱炉出側における予測温度を、該鋼材に関連する前記加熱炉出側温度偏差(ΔT)のバラツキ分布と共に表示器に表示するように構成されていると好ましい。
本発明の加熱炉の操業支援システムによれば、様々に異なる操業条件下でも、加熱炉のオペレータが的確な抽出温度を実現できる。
加熱炉の操業支援システムの概念図を示す図である。 加熱炉を含む熱間圧延ラインの一部を模式的に示す図である。 加熱炉及び搬送路の構成を模式的に示す図である。 加熱炉出側における鋼材温度を表示する支援モニタの一例を示す図である。 加熱炉出側における鋼材温度の計算手順を示すフロー図である。 過去実績のデータベースの概略を示す図である。 鋼材温度のバラツキ分布の構築手順を示すフロー図である。 加熱炉出側における鋼材温度のバラツキ分布の一例を示す図である。 加熱炉出側における鋼材温度のバラツキ分布の他の例を示す図である。
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態による加熱炉2の操業支援システム1について説明する。
図1は、本実施形態による操業支援システム1、及び操業支援システム1が設けられた加熱炉2を示す模式図である。
本実施形態による操業支援システム1は、オペレータによる加熱炉2の操業を支援するものである。以下に、操業支援システム1について詳しく説明するが、まず、操業支援システム1の適用対象となる加熱炉2とそれに続く熱間圧延ラインの構成について説明する。
図2は、加熱炉2を含む熱間圧延ラインの一部を模式的に示す図である。
熱間圧延ラインは、圧延材Wとなる鋼材Sを加熱する加熱炉2と、加熱された鋼材Sを圧延し圧延材Wに仕上げる複数の粗圧延機3及び仕上圧延機4と、圧延作業が完了した圧延材Wをコイル状に巻き取るコイラ5を備えている。さらに、熱間圧延ラインは、複数の粗圧延機3の最終スタンドの出側に、例えば放射温度計からなる板温度計6を備えている。本実施形態による熱間圧延ラインでは、板温度の実測値をこの板温度計6によって得る。板温度計6は、板温度の実測値を、加熱炉2の制御を行うプロセスコンピュータ(プロコン)に出力するものである。本実施形態では、加熱炉2内及び粗圧延前のスラブを鋼材Sとよび、粗圧延後のスラブを圧延材Wとよぶ。
加熱炉2は、圧延によって薄板等の圧延材Wに加工される鋼材Sを、例えば1000℃以上となるように加熱する。加熱された鋼材Sは、加熱炉2から抽出されて粗圧延機3へと搬送され、所定の厚みとなるように複数の粗圧延機3によって粗圧延が施される。粗圧延を終え、粗圧延機3の最終スタンドから出た圧延材Wの温度が、板温度計6によって計測される。その後の、仕上圧延機4とコイラ5による圧延材Wの巻き取りには、周知の技術が用いられる。
図3に示すように、加熱炉2は、紙面に向かって左端の搬入口(図示せず)から順に予熱帯、第1加熱帯、第2加熱帯、及び均熱帯といった加熱区画を有している。均熱帯の紙面に向かって右端には、加熱された鋼材Sが加熱炉2から搬出(抽出)される搬出口(図示せず)が設けられている。加熱炉2の内側壁には、炉内を加熱するためのバーナーが複数配置されており、このバーナーの燃焼状態を制御することにより、炉温を変更したり、略一定に保ったりすることができる。
搬入口から加熱炉2内に搬入された鋼材Sは、予熱帯、第1加熱帯、第2加熱帯、及び均熱帯を数時間かけて順に通り、目標の板温度にまで加熱される。搬出口から抽出された鋼材Sは、搬出口に沿って設けられた搬送路によって粗圧延機3に搬送され、圧延される。
予熱帯、第1加熱帯、第2加熱帯、及び均熱帯では、各加熱区画での目的に合わせて鋼材の板温度上昇速度がそれぞれ異なるように、炉温が制御されている。例えば、予熱帯では、急速な加熱によって板に歪みが生じないように緩やかな板温度上昇速度で鋼材Sを加熱する。第1加熱帯及び第2加熱帯では、目標の抽出温度となるように、比較的高い板温度上昇速度で鋼材Sを加熱する。均熱帯では、ほぼ目標の抽出温度となった鋼材Sの温度むらを解消するよう非常に緩やかに鋼材Sを加熱する。
図3に示すように、本実施形態による操業支援システム1では、加熱中の鋼材Sの加熱状態を追跡(トラッキング)している。このトラッキングの対象は、注目すべき鋼材Sとして選定された数本の鋼材S(注目スラブ)が、このトラッキングの対象となる。図3では、記号A〜Fで示される鋼材A〜Fがトラッキングの対象としての注目スラブに選定されている。
これら注目スラブである鋼材A〜Fは、加熱炉2から抽出された後、すなわち圧延工程
においてもトラッキングされる。注目スラブとなった鋼材A〜Fの粗圧延後の板温度は、粗圧延機3の最終スタンド出側に設けられた板温度計6で計測される。
上述の加熱炉2を操業するにあたっては、粗圧延機出側で板温度計6によって計測された板温度が目標の温度(粗圧延機出側温度)となるように、オペレータが、粗圧延機3の上流側に位置する加熱炉2の内部温度(炉温)や鋼材Sの搬送速度(搬送ピッチ)などの操業条件を制御している。
具体的には、加熱炉2では、連続処理を可能とするため、複数の異なる鋼種や板厚の鋼材Sを連続通板させる。この場合、鋼材S毎に目標となる粗圧延機出側温度が異なるため、加熱炉2のオペレータは、注目スラブである鋼材A〜Fの加熱状態を把握して予熱帯〜均熱帯にわたる炉温、及び通板ピッチを適切に制御し、目標となる粗圧延機出側温度を実現する必要がある。
このような炉温、通板ピッチ等の加熱炉操業の条件設定は、経験を積んだオペレータであれば、過去の様々な経験を基に所望される抽出温度を確保できるよう設定可能である。しかしながら、経験の浅いオペレータの場合、適確な加熱炉2の操業が困難となることが十分考えられる。
そこで、本実施形態の操業支援システム1は、粗圧延機3の最終スタンドから出た圧延材Wの温度(粗圧延機出側温度)が所定の目標温度となるように、加熱炉2を操業するオペレータを支援するものである。操業支援システム1は、特に、粗圧延前の鋼材A〜Fに関する情報及び加熱炉2に関する情報を提示する構成を採用することで、オペレータの経験度合いに左右されることなく、適切な操業条件の設定が可能となるようにしている。
以下、図1及び図2を参照し、本実施形態の加熱炉2の操業支援システム1の詳細を述べる。
操業支援システム1は、鋼材A〜Fに関する情報及び加熱炉2に関する情報の少なくとも1つ以上を表示可能な表示器(支援モニタ)7を有している。加えて、加熱炉2から取得した操業データを入力値として加熱炉2に関する情報を計算することが可能な数値モデル(加熱炉温度モデル)、及び粗圧延機3から取得した操業データを入力値として粗圧延機入側の温度に関する情報を計算する数値モデル(粗圧延機温度モデル)を有している。
鋼材A〜Fに関する情報、及び加熱炉2に関する情報を表示する表示器(支援モニタ)7は、液晶モニタやCRTモニタで構成され、コントロール室内に設置されている。オペレータは常にこの表示器7を視聴可能な状態となっている。
加熱炉内の状況をモデル化した加熱炉温度モデルは、伝熱モデルから得られた式を基本とする数値モデルであって、操業支援システム1に設けられたプロコン内にソフトウエアの形で実現されている。
この加熱炉温度モデルで算出され且つ表示器7に表示される鋼材Sに関する情報としては、現在の操業条件下で予測される予測抽出温度(均熱帯出側温度の予測値)などを採用している。オペレータは、表示器7に表示された情報を基に、予測抽出温度が目標の粗圧延機出側温度に対して、例えば所定温度(100℃程度)高くなるように、加熱炉2の炉内温度(炉温)や搬送ピッチを調整することになる。
図4は、本実施形態の表示器7の画面表示の一例を示している。この図に示すように、表示器7に表示される画面には、加熱炉2の構成に従って、紙面に向かって左から予熱帯、第1加熱帯、第2加熱帯、及び均熱帯の加熱炉2の4つの加熱区画(セクション)に対応する表示枠が設けられている。
表示器7には、加熱炉2内の注目スラブである鋼材A〜Fに関して、過去に圧延された同種及び類似鋼種のスラブ(鋼材)の抽出温度(実績値)のバラツキを重み付けによって示す度数分布(バラツキ分布)、及び該注目スラブ(鋼材A〜F)の予測抽出温度などの情報を表示する。なお、鋼材A〜Fの抽出温度及び予測抽出温度は、プロコン内の加熱炉温度モデルに基づいて算出される。
図4に示すように、注目スラブである鋼材A〜Fに関するバラツキ分布及び予測抽出温度の情報は、鋼材A〜Fがそれぞれ実際に存在している加熱区画に対応する表示枠に示される。従って、各表示枠内に表示された鋼材A〜Fに関する情報の位置関係は、実際の各
加熱区画における鋼材A〜Fの位置関係に対応している。
なお、図4内の丸印は、鋼材A〜Fの予測抽出温度の情報であって、加熱炉温度モデルで算出される。図4内の曲線は、鋼材温度のバラツキ分布であって、詳細を後述する粗圧延機温度モデルで算出される粗圧延機入側の温度と、加熱炉温度モデルで算出される予測抽出温度との差として求められる。
言い換えれば、加熱炉温度モデルは、加熱炉内部の状況から加熱炉出側での温度(後述の加熱炉出側温度Tm1)を予測するものであって、粗圧延機温度モデルは、圧延状況から圧延機入側の温度、すなわち加熱炉出側での温度(後述の加熱炉出側温度Tc1)を予測するものである。本実施形態では、加熱炉出側温度Tm1と加熱炉出側温度Tc1といった2つの異なる温度を求め、その差をバラツキ分布として表示するようにしている。
図4を参照すると、例えば、鋼材Fに関するバラツキ分布及び予測抽出温度が予熱帯に表示されている。これは、鋼材Fが、図3に示す加熱炉2において予熱帯に存在するからである。図4において、鋼材Fに関するバラツキ分布は、約1180度から約1240度の範囲で、該範囲のほぼ中央値であるおよそ1210度〜1220度付近の度数が最も高い山型の分布となっている。このバラツキ分布に重ねて表示される予測抽出温度は、およそ1210度〜1220度付近に丸印で表示されている。
また、図4において、鋼材Dに関するバラツキ分布は、約1200度から約1240度の範囲で、該範囲のほぼ中央値であるおよそ1220度付近の度数が最も高い山型の分布となっている。このバラツキ分布に重ねて表示される予測抽出温度は、およそ1240度〜1250度付近に丸印で表示されている。
この予測抽出温度は、各加熱区画においてオペレータが注目すべき鋼材A〜Fに対し、現状の操業条件(在炉時間と炉温)を仮定して、温度予測モデルに基づいて計算される。加熱炉2内には、30本程度の鋼材Sがあるが、表示器7に表示可能な領域や計算負荷を考慮して、表示器7には、一部の鋼材Sのみの情報を表示することとするが、オペレータが注目する鋼材Sを変更することにより、希望する鋼材Sの情報を提供することができるよう構成されている。
オペレータは、鋼材Fに関するバラツキ分布によって、過去に圧延された同種及び類似の鋼種の圧延材の抽出温度の実績値は1210度〜1220度付近が最も多いことを把握でき、また、鋼材Fの予測抽出温度が1210度〜1220度付近であることも把握できる。また、オペレータは、鋼材Dに関するバラツキ分布によって、過去に圧延された同種及び類似の鋼種の圧延材の抽出温度の実績値は1220度付近が最も多いことと、鋼材Dの予測抽出温度がおよそ1240度〜1250度付近であることを把握できる。
図4に示す表示器7には、このような情報をオペレータに提供するバラツキ分布及び予測抽出温度を鋼材A〜Fに関して表示しており、このとき、オペレータは、鋼材A〜Fに関するバラツキ分布と予測抽出温度との差や鋼材A〜Fが存在する加熱区画などを、加熱炉2の操業条件を決定するための条件として勘案する。
以下、図5〜図9を参照しながら、上述のバラツキ分布を求める方法について説明する。
バラツキ分布を求めるには、まず、過去に圧延された複数の圧延材(鋼材S)各々について粗圧延工程出側での実績温度(T1)に基づいて、圧延前の鋼材Sとしての加熱炉抽出温度である第1の加熱炉出側温度(Tc1)を取得する(実績抽出温度取得ステップ)。この実績抽出温度取得ステップでは、粗圧延機温度モデルを用いて、加熱炉出側温度(Tc1)を算出する。この粗圧延機温度モデルもプロコン内にソフトウエアの形で実現されている。
次に、該複数の圧延材各々について加熱炉内部における鋼材温度モデルに基づいて、圧延前の鋼材Sとしての第2の加熱炉出側温度(Tm1)を算出する。
得られた第2の加熱炉出側温度(Tm1)と第1の加熱炉出側温度(Tc1)との差である出側温度偏差(ΔT)を用いてバラツキ分布を構築する(バラツキ分布構築ステップ)。
その上で、構築した出側温度偏差(ΔT)のバラツキ分布を、該複数の圧延材各々の粗
圧延工程出側の目標鋼材温度(T0)に基づいて取得した圧延材の基準加熱炉出側温度(Tc0)を基準として、支援モニタである表示器7に表示する。
図5を参照しながら、粗圧延機温度モデルの詳細、すなわち過去に圧延された圧延材の加熱炉抽出温度である第1の加熱炉出側温度(Tc1)を取得する実績抽出温度取得ステップについて説明する。
第1の加熱炉出側温度(Tc1)を計算するに際しては、加熱炉2からの抽出〜粗圧延機出側までの鋼材S(圧延材)の温度を予測する温度予測モデルを用いる。
鋼材Sの搬送中や圧延中における熱移動現象を表現するモデル式としては、例えば、「“板圧延の理論と実際(日本鉄鋼協会)” 第6章“圧延における温度変化” 6.3節“圧延材の温度変化”(P157〜158)」などに記載されている公知のものを用いる。搬送中の熱移動現象としては、“輻射熱伝達率”や“デスケ冷却による熱伝達率”を、圧延中の熱移動減少としては、“加工発熱”や“圧延ロールからの抜熱”を数式モデルとして表現する。
まず、鋼材Sの大きさには、長さ≫幅≫厚さの関係があるため、最も小さな値で表現される厚さに注目して、厚さ方向の温度分布のみを考慮することとする。そのために、厚さ方向の温度分布を考慮した次式(1)に示す一次元熱伝導方程式を用いて、差分法により計算することとする。
ここで、ρは密度、cは比熱、Tは鋼材温度、tは微少時間、xは微少区間、λは熱伝導率、qは加工発熱量である。
このように、式(1)の一次元熱伝導方程式は、粗圧延による圧延材の加工発熱を考慮した温度予測モデルである。
図5を参照しながら、式(1)の温度予測モデルを用いて、過去に圧延された圧延材Wの第1の加熱炉出側温度(Tc1)を計算する方法を説明する。
まず、過去に圧延された複数の圧延材各々に対して、加熱炉出側における鋼材温度(抽出温度)としてある初期値を与える(ステップS10)。この与えられた初期値を用いて、加熱炉出側から粗圧延機出側まで温度降下計算を式(1)の温度予測モデルに基づいて行い、初期粗圧延機出側温度を取得する(ステップS20)。
ステップS20で計算された初期粗圧延機出側温度と、該初期粗圧延機出側温度の取得対象となった圧延材に関して、プロコン等に格納されている粗圧延機出側温度の実績値(T1)との偏差の値(粗圧延機出側温度偏差)を計算し、計算した粗圧延機出側温度偏差を所定の閾値である閾温度(例えば、3℃)と比較する(ステップS30)。
ステップS30で計算された粗圧延機出側温度偏差が所定の閾温度以下である場合、ステップS10で初期値として与えられた加熱炉出側における鋼材温度(抽出温度)を第1の加熱炉出側温度(Tc1)とする(ステップS40)。
ステップS30で計算された粗圧延機出側温度偏差が所定の閾温度よりも大きい場合、該初期粗圧延機出側温度の取得対象となった圧延材に関して、ステップS10で与えられた初期値を修正した修正値を与える(ステップS50)。
ステップS50で与える修正値は、例えば、ステップS10で与えた初期値に、ステップS30で計算した粗圧延機出側温度偏差に所定のゲインを乗じて得られる値を加えた値とすると良い。
ステップS50で与えられた修正値を用いて、ステップS20と同様に加熱炉出側から粗圧延機出側まで温度降下計算を式(1)の温度予測モデルに基づいて行い、修正粗圧延機出側温度を取得する(ステップS60)。
続いて、ステップS30と同様に、ステップS60で計算された修正粗圧延機出側温度と、データベースに格納されている粗圧延機出側温度の実績値(T1)との偏差の値を計算し、計算した偏差を所定の閾温度と比較する(ステップS70)。
ステップS70で計算された偏差の値が所定の閾温度以下である場合、ステップS50で修正値として与えられた加熱炉出側における鋼材温度(抽出温度)を第1の加熱炉出側温度(Tc1)とする(ステップS40)。
ステップS70で計算された偏差の値が所定の閾温度よりも大きい場合、ステップS50に戻って、前回ステップS50で与えられた修正値をさらに修正した再修正値を与える(ステップS50)。
以降、ステップS70において、粗圧延機出側温度偏差が所定の閾温度以下となるまでステップS50〜ステップS70を繰り返し、第1の加熱炉出側温度(Tc1)を得る。
ここで、ステップS10で与える初期値としては、加熱炉2内の加熱炉温度モデルに基づいて計算された抽出時の鋼材温度予測値(抽出温度)を用いるとよい。初期値として抽出温度を用いることで、ステップS50〜ステップS70の繰り返し計算を少なくし計算負荷を低減することができる。
また、ステップS50では、初期値の修正方法として、ステップS10で与えた初期値に、ステップS30で計算した偏差に所定のゲインを乗じて得られる値を加えているが、このゲインの値は、繰り返し計算の回数が少なくなるように、オフラインで検証を行いつつ、決定するのが好ましい。
以上述べたステップS10〜S70が、粗圧延機温度モデルの計算ステップを表したものである。
さて、上述の手順で第1の加熱炉出側温度(Tc1)が取得されるが、該第1の加熱炉出側温度(Tc1)を取得した圧延材については、圧延前の鋼材Sの段階で、加熱炉温度モデルに基づいて取得した第2の加熱炉出側温度(Tm1)が、既に述べた加熱炉抽出時の鋼材温度(抽出温度)として得られている。
ここで、加熱炉温度モデルによる第2の加熱炉出側温度(Tm1)の計算方法を、以下に詳細に説明する。
既に述べたように、鋼材の大きさには、長さ≫幅≫厚さの関係があるため、厚さ方向の温度分布のみを考慮することとする。そのために、厚さ方向の温度分布を考慮した次式(2)に示す一次元熱伝導方程式を用いて、差分法により計算することとする。
ここで、ρは密度、cは比熱、Tは鋼材温度、tは微少時間、xは微少区間、λは熱伝導率である。
また、加熱炉2内における熱移動を表現するモデル式として、以下の数式を用いる。
q=σ・Φ・{(θ+273)−(θ+273)
ここで、qは熱流束、σはステファン・ボルツマン定数(=4.88×10−8)、Φは総括熱吸収率、θは炉内温度、θは鋼材表面温度であり、総括熱吸収率Φの値は、鋼板上部・下部やスキッド部・非スキッド部それぞれに設定される。
第2の加熱炉出側温度(Tm1)は、式(2)に示す一次元熱伝導方程式に基づく温度予測モデルによって、鋼材が加熱炉2を通過したときに計算される。
ここまでの手順を踏むことで、同一の鋼材Sに関して、粗圧延機出側での鋼材温度に基づく第1の加熱炉出側温度(Tc1)及び加熱炉内部の温度予測モデルに基づく第2の加熱炉出側温度(Tm1)といった2つの異なる加熱炉出側温度が得られる。本実施形態では、第1の加熱炉出側温度(Tc1)と第2の加熱炉出側温度(Tm1)との差である出側温度偏差(ΔT)についての過去実績データベースを作成する。
図6は、過去実績データベースの概略を示す図である。この過去実績データベースは、以下の手順を経て作成される。
粗圧延機出側を通過した鋼材Sの板温度が板温度計6によって取得され次第、取得された板温度を粗圧延機出側の実績温度(T1)として採用し、粗圧延機温度モデルを用いて、加熱炉出側の鋼板温度である第1の加熱炉出側温度(Tc1)を計算する。そして、加
熱炉温度モデルに基づいて計算された当鋼材Sの加熱炉出側における鋼材温度である第2の加熱炉出側温度(Tm1)を用いて、第1の加熱炉出側温度(Tc1)と第2の加熱炉出側温度(Tm1)の偏差である出側温度偏差(ΔT)の値を計算する。
その後、図6に示すように、得られた出側温度偏差(ΔT)を鋼材Sの条件(幅や長さ等のサイズや鋼種など)、操業条件(炉装入温度、在炉時間など)、圧延日などと紐付けて、鋼材S毎にデータベースとして格納する。このデータベースに格納された出側温度偏差(ΔT)を用いれば、バラツキ分布を得ることができる。
上述した出側温度偏差(ΔT)の分布をそのまま利用して、バラツキ分布とすることもできるが、本実施形態では、以下のように、鋼材条件や操業条件などを加味した上で、バラツキ分布を構築する。
以下、本実施形態によるバラツキ分布を構築する手順について説明する。
まず、加熱炉2内で加熱中である鋼材Sの鋼材条件(サイズ、鋼種など)や操業条件(炉装入温度、在炉時間など)と、図6に示す過去実績データベース内の鋼材条件(サイズ、鋼種など)や操業条件(炉装入温度、在炉時間など)との間の類似度を計算する。この類似度を計算するために、過去実績データベース内の各鋼材の鋼材条件や操業条件を示す変数を導入して、例えば、次式(3)で定義する計算式に基づいて、加熱中鋼材の鋼材条件及び操業条件と過去実績データベース内の鋼材条件及び操業条件との間の距離の値djを計算する。
ここで、xは鋼材条件や操業条件を示す変数、Nは変数xの項目数、aは変数xに対する重み変数、jは加熱中の対象鋼材からの距離計算が行われる過去実績データベース内のある一つの鋼材(ただし、1≦j≦M,M:過去実績データの個数)である。
重み変数aの値は、計算されるバラツキ分布の形状などを考慮して、ランダムに変化させながら決定する。
式(3)によって計算される値djが小さいほど、より近い鋼材条件や操業条件であるといえ、値djが大きいほどより遠い鋼材条件や操業条件であるといえる。この式(3)で計算される値djを用いて、過去実績データベース内のそれぞれの鋼材に対して、例えば、次式(4)の関数で表現される類似度wjを計算する。
ここで、σは正規化パラメータ(=dj(j=1,2,・・・、M)の標準偏差の値。ただし、Mは過去実績データの個数)、gは調整パラメータである。
調整変数gの値は、計算されるバラツキ分布の形状などを考慮して、ランダムに変化させながら決定する。
次に、ΔT=0℃を中心に、ある温度範囲(−T(℃)〜T(℃))を定義し、K(℃)≦yj<(K+1)(℃)を満足するjの集合をS(K)とする。ここで、Kの値は、−T≦K≦(T−1)を満足する整数値である。よって、集合S(K)は、温度範囲(−T(℃)〜T(℃))にて1℃区分ごとの集合となる。また、値yjは、過去実績データベース内の各鋼材における第1の加熱炉出側温度(Tc1)と第2の加熱炉出側温度(Tm1)の出側温度偏差(ΔT)である。
そして、1℃区分ごとの集合S(K)のそれぞれについて、式(4)で算出した類似度(wj)の値を式(5)に基づいて、足し合わせる。
式(5)によって算出される値F(K)を温度(Tc0+K)のそれぞれに対応させて得られる分布を、加熱炉出側における鋼材温度のバラツキ分布とする。繰り返しになるが、値Kは、−T(℃)〜(T−1)(℃)の範囲における1℃区分毎の値である。
このように過去実績データベースに保存された出側温度偏差(ΔT)の値を用いて構築されたバラツキ分布において、出側温度偏差(ΔT)が0℃となるときの集合S(K)に関する値F(K)に、該バラツキ分布に関連する鋼材の粗圧延機出側の目標温度(T0)を用いて計算した基準加熱炉出側温度(Tc0)を基準値として対応させることで、当鋼材の加熱炉出側における鋼材温度のバラツキ分布を構築することができる。なお、粗圧延機出側の目標温度(T0)は、仕上圧延出側の目標温度や、仕上げ圧延中の圧延材Wの強度、スケールの発生具合などを考慮して決定されている。本実施形態による操業支援システム1は、基準加熱炉出側温度(Tc0)を基準値として構築した鋼材温度のバラツキ分布を操業オペレータに表示する。
ところで、上記の説明中に頻出する「加熱炉出側の基準加熱炉出側温度(Tc0)」は、以下の方法で算出している。
基準加熱炉出側温度(Tc0)の計算方法には、図5を参照して説明した第1の加熱炉出側温度(Tc1)と同様の方法を用いる。
まず、加熱炉出側における鋼材温度(抽出温度)としてある初期値を与える(ステップS110)。この与えられた初期値を用いて、加熱炉出側から粗圧延機出側まで温度降下計算を温度予測モデルに基づいて行い、初期加熱炉出側温度を取得する(ステップS120)。
ステップS120で計算された初期加熱炉出側温度と該初期加熱炉出側温度の取得対象となった圧延材に関する粗圧延機出側の目標温度(T0)との偏差(目標温度偏差)の値を計算し、計算した偏差を所定の閾値である閾温度(例えば、3℃)と比較する(ステップS130)。
ステップS130で計算された偏差の値が所定の閾温度以下である場合、ステップS110で初期値として与えられた加熱炉出側における鋼材温度(抽出温度)を基準加熱炉出側温度(Tc0)とする(ステップS140)。
ステップS130で計算された偏差の値が所定の閾温度よりも大きい場合、初期加熱炉出側温度の取得対象となった圧延材に関して、ステップS10で与えられた初期値を修正した修正値を与える(ステップS150)。
ステップS150で与える修正値は、例えば、ステップS130で計算した偏差に所定のゲインを乗じて得られる値に、ステップS110で与えた初期値を加えた値とすると良い。
ステップS150で与えられた修正値を用いて、ステップS120と同様に加熱炉出側から粗圧延機出側まで温度降下計算を温度予測モデルに基づいて行い、修正加熱炉出側温度を取得する(ステップS160)。
続いて、ステップS130と同様に、ステップS160で計算された修正加熱炉出側温度と該初期加熱炉出側温度の取得対象となった圧延材に関する粗圧延機出側の目標温度(T0)との偏差(目標温度偏差)の値を計算し、計算した偏差を所定の閾温度と比較する(ステップS170)。
ステップS170で計算された目標温度偏差の値が所定の閾温度以下である場合、ステップS150で修正値として与えられた加熱炉出側における鋼材温度(抽出温度)を基準加熱炉出側温度(Tc0)とする(ステップS140)。
ステップS170で計算された目標温度偏差の値が所定の閾温度よりも大きい場合、ステップS150に戻って、前回のステップS150で与えられた修正値をさらに修正した再修正値を与える(ステップS150)。
以降、ステップS170において、粗圧延機出側温度偏差が所定の閾温度以下となるまでステップS150〜ステップS170を繰り返し、基準加熱炉出側温度(Tc0)を得る。
ここで、ステップS110で与える初期値としては、加熱炉2内の鋼板温度モデルに基づいて計算された抽出時の鋼材温度予測値(抽出温度)を用いるとよい。初期値として抽出温度を用いることで、ステップS150〜ステップS170の繰り返し計算を少なくし計算負荷を低減することができる。
また、ステップS150では、初期値の修正方法として、ステップS110で与えた初期値に、ステップS130で計算した偏差に所定のゲインを乗じて得られる値を加えているが、このゲインの値は、繰り返し計算の回数が少なくなるように、オフラインで検証を行いつつ、決定するのが好ましい。
以上のバラツキ分布構築ステップとしての手順によって、第2の加熱炉出側温度(Tm1)との差である出側温度偏差(ΔT)のバラツキ分布を構築し、その上で、構築した出側温度偏差(ΔT)のバラツキ分布を、基準加熱炉出側温度(Tc0)を基準として構築することができる。本実施形態による操業支援システム1は、このように構築したバラツキ分布を、支援モニタである表示器7に表示する。
以上の処理をまとめると、図7に示すフローチャートとなる。
まず、オペレータが選択した加熱炉内部の鋼材A〜Fに対して、現状の鋼材温度を初期値として、現状設定された在炉時間と炉温を用いて、加熱炉2内の温度予測モデルに基づいて、加熱炉出側における鋼材予測温度(抽出温度)を計算する(処理P1)。
処理P1で計算された抽出温度を初期値として、粗圧延機出側まで温度降下計算を行い、計算された粗圧延機出側における温度と粗圧延機出側の目標温度(T0)の偏差の値がある閾値以下となるまで、加熱炉出側における鋼材予測温度(抽出温度)を変化させ、閾値以下となったときの抽出温度を基準加熱炉出側温度(Tc0)とする(処理P2)。
過去実績データベースを活用して、処理P2で計算された基準加熱炉出側温度(Tc0)からのバラツキ分布を計算する(処理P3)。
処理P3で計算されたバラツキ分布を加熱炉2の運転台にある表示器7に転送して表示する(処理P4)。
図8及び図9は、構築されたバラツキ分布を例示している。図8及び図9とも、縦軸は加熱炉出側の鋼材温度(抽出温度)(℃)を示し、横軸は上述の式(5)で得られる値F(K)である頻度を百分率で示している。
図8では、目標温度を確保する加熱炉出側の鋼材温度は、破線で示す1215℃〜1235℃程度の範囲であることを示している。図9では、目標温度を確保する加熱炉出側の鋼材温度は、破線で示す1240℃〜1245℃程度の範囲であることを示している。
注目スラブである鋼材A〜Fについて、図8及び図9に示すバラツキ分布を構築し、このバラツキ分布と共に、現在の操業条件下で予測される予測抽出温度を重ねて表示することで、図4に示す表示器7の表示を実現することができる。
以上述べた本発明に係る加熱炉2の操業支援システム1を用いることで、加熱炉2を操業するに際して、オペレータの経験度合いに左右されることなく、適切な操業条件を設定可能とすることができる。具体的には、オペレータは、鋼材A〜Fに関するバラツキ分布と予測抽出温度との差や鋼材A〜Fが存在する加熱区画などを勘案して、加熱炉2の操業条件を決定することができる。例えば、経験の浅いオペレータであっても、加熱炉の均熱帯において、バラツキ分布(図4の曲線)の最頻値に予想抽出温度(図4の丸印)が一致するように、加熱炉を操業するなどの措置を選択することが可能となる。
また、本発明に係る加熱炉2の操業支援システム1を活用することにより、粗圧延機出側における鋼材温度を目標温度とするための加熱炉出側の鋼材温度を明確に示すことができる。これにより、抽出温度を必要以上に上げる必要がなくなり燃料費を低減することができる。また、適正な抽出温度の実現により、安定した仕上げ圧延が実現できるなどの効果をえることができる。また、複数のオペレータの操業方法が収斂するという効果も得られる。
ところで、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、動作条件や測定条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
例えば、オペレータに各種情報を提示する支援モニタとして、視覚に訴える表示器7を例示したが、オペレータに対し音声で情報を伝える機器を表示器として採用してもよい。
1 操業支援システム
2 加熱炉
3 粗圧延機
4 仕上圧延機
5 コイラ
6 板温度計
7 表示器(支援モニタ)

Claims (3)

  1. 粗圧延工程を有する圧延設備に送出される鋼材を加熱するための加熱炉に設けられ、且つ前記加熱炉における設定条件の人的な変更作業を支援する加熱炉の操業支援システムであって、
    複数の鋼材各々について粗圧延工程出側での実績温度に基づいて取得した第1の加熱炉出側温度と、前記複数の鋼材各々について前記加熱炉内部の温度予測モデルに基づいて取得した第2の加熱炉出側温度との差である出側温度偏差のバラツキ分布を構築し、前記構築した出側温度偏差のバラツキ分布を、前記複数の鋼材各々の粗圧延工程出側の目標鋼材温度に基づいて取得した前記鋼材の基準加熱炉出側温度を基準として、表示器に表示するように構成されていることを特徴とする加熱炉の操業支援システム。
  2. 前記加熱炉出側温度偏差のバラツキ分布を、前記複数の鋼材各々の鋼材条件及び操業条件に基づいて構築するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の加熱炉の操業支援システム。
  3. 前記加熱炉内部に存在する鋼材の加熱炉出側における予測温度を、該鋼材に関連する前記加熱炉出側温度偏差のバラツキ分布と共に表示器に表示するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱炉の操業支援システム。
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