JP2014142004A - アルミ合金ダイカスト製分割型コンロッドの加工方法 - Google Patents

アルミ合金ダイカスト製分割型コンロッドの加工方法 Download PDF

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正広 日下
Hironobu Kinoshita
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Abstract

【課題】アルミ合金ダイカスト製コンロッドの破断分割を実施可能にして、製造コストを低減し、また、エンジンやコンプレッサーへの組み込みが容易で作業時間を短縮できるようにする。
【解決手段】アルミ合金材をコンロッドの形状にダイカスト成型するとともに、そのダイカスト成型時あるいはダイカスト成型後に、大端部6の破断分割線に沿って左右各4面に破断分割線上においてそれぞれ連続するV字状の切欠き溝を設けた素材コンロッドを製作し、その素材コンロッドにボルト穴10を加工し、大端孔5の内径の仕上げ加工を実施し、その後、分割用治具20を介して大端部6に引張荷重を加え、左右各4面の切欠き溝12に沿ってコンロッド本体7とキャップ8とに破断分割する。
【選択図】図1

Description

レシプロ式のエンジンやコンプレッサーに使用されるアルミ合金製分割型コンロッドの加工方法に関するものである。
レシプロ式のエンジンやコンプレッサーのピストンとクランクシャフトを連接してピストンの往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換するコネクティングロッド(一般に、コンロッドと呼ばれている。)は、通常、ロッド部の一端側にピストンピンに組み付ける小端孔(ピストンピン孔とも呼ばれる。)を有する少端部が連接され、他端側にクランクピンに組み付ける大端孔(クランクピン孔とも呼ばれる。)を有する大端部が連接されたもので、一般には、大端部がクランクピンに組み付けるためにロッド部に連続する側とその反対側とに半割り状態で分割され、ロッド部側の半割り部分とロッド部と小端部とが一体の部材(ロッド側部材)となってコンロッド本体を構成し、反対側の半割り部分が、コンロッド本体(ロッド側部材)に位置合わせして締結ボルトで結合するキャップを構成する分割型コンロッドである。そして、その分割型コンロッドは一般には鉄鋼鍛造材製である。また、軽量化の観点からアルミ合金ダイカスト製のコンロッドも使用されている。
そして、その分割型コンロッドの加工方法として、例えば鉄鋼鍛造材製のコンロッドの場合に、鍛造加工による加工硬化や低温脆性を利用した破断分割加工が行われている(例えば、特許文献1、2参照)。この加工方法は、例えば一対の半円柱体からなり、それら一対の半円柱体が対向して全体として円柱状形状となり、コンロッドの大端孔に嵌まり込んで、ロッド側とその反対側とに分割移動可能な分割用治具を使用するもので、素材コンロッドの大端孔にこの治具を嵌め込み、一対の半円柱体の間にくさびを打ち込むことにより大端部をロッド側とキャップ側とに破断分割させるというものである。
分割用冶具は、例えば、一対の半円柱体の対向面の中央に、大端孔の軸心方向へ傾斜するテーパー面が形成され、それらのテーパー面が対向して円柱状形状の治具の中央に破断分割用のくさびを打ち込むくさび孔を構成するものである。
そして、大端部を破断分割する際に破断を誘発させるための破断起点溝として、素材コンロッドには大端孔の内周面の径方向対向位置に大端孔の軸心方向へロッド幅一杯に延びる一対の例えばV字状の切欠き溝が機械加工によって予め形成される。
こうして切欠き溝を形成した素材コンロッドの大端孔に、一対の半円柱体からなる分割用冶具を嵌め込み、一対の半円柱体の間のくさび孔にくさびを打ち込むことで、鉄鋼鍛造材製のコンロッドは切欠き溝に沿って大端部が破断する。
しかし、従来の破断分割加工は、鍛造加工による加工硬化や低温脆性を利用したものであって、加工硬化や低温脆性を生じないアルミ合金ダイカスト製のコンロッドの場合は適用困難であった。そのため、アルミ合金ダイカスト製分割型コンロッドは、従来、切断加工により分割加工を行っていた。
切断加工によるアルミ合金ダイカスト製分割型コンロッドの加工方法は、ロッド側とキャップ側とを一体としてダイカスト鋳造で成型した成型素材である素材コンロッドを製作し(ダイカスト成型工程)、その素材コンロッドにボルト穴加工を行い(ボルト穴加工工程)、ボルト穴加工後に機械加工によりロッド側とキャップ側の二つの部材に分割する切断加工を行い(切断加工工程)、ロッド側部材とキャップ側部材のそれぞれの接合面に機械加工により凸および凹のハメコミ部を形成し(ハメコミ面加工工程)、その後、ロッド側部材とキャップ側部材とをボルト締結して大端孔の内径の仕上げ加工を行う(内径加工工程)、というものである。こうして加工された分割型コンロッドは、クランクシャフトへ組み付ける時にいったんボルトを外し、クランクピンに組み付けた後、規定トルクで再度ボルト締結を行うので、ハメコミ面加工において特に精度の良い加工が必要である。
特開2005−106271号公報 特開2011−127661号公報
このように、アルミ合金ダイカスト製のコンロッドは、従来の方法では破断分割が困難で、そのため、切断加工により分割する加工方法が用いられているが、その加工方法は、ダイカスト成型、ボルト穴加工、切断加工、ハメコミ面加工、内径加工の各工程からなるものであって、分割のための切断加工や切削によるハメコミ面加工の加工代(削り代)が必要で、材料使用量が多くなり、また、加工箇所が多く、加工工程が多く、ハメコミ面加工において特に精度の良い加工が必要で、加工時間が長いため、製造コストが高くなるものであった。また、この加工方法では、コンロッドをエンジンに組み込む時に、ハメコミ面の位置合わせ等が面倒で、作業時間が長い。
本発明は、アルミ合金ダイカスト製コンロッドの破断分割を可能とし、切断加工により分割していた従来の加工方法に比べて、切断・切削の加工代を低減して材料使用量を低減するとともに、加工箇所並びに加工工程を低減し加工時間を短縮して、製造コストを低減することができ、また、エンジンやコンプレッサーへの組み込み時にコンロッド本体とキャップの位置合わせが容易で作業時間の短縮が可能となるようにすることを目的とする。
本発明のアルミ合金ダイカスト製分割型コンロッドの加工方法は、アルミ合金素材をロッド部の一端側に小端孔を有する小端部を有し他端側に大端孔を有する大端部を有するコンロッドの形状にダイカスト成型するとともに、そのダイカスト成型時あるいはダイカスト成型後に前記大端部の前記大端孔の径方向対向位置を通る破断分割線に沿って左右各4面に前記破断分割線上においてそれぞれ連続するV字状の切欠き溝を設けた素材コンロッドを製作し、その素材コンロッド素材に機械加工により前記大端部の先端から前記大端孔を挟む左右両側を前記破断分割線に直交する方向に延びる一対のボルト穴を形成するとともに、前記大端孔の内径の仕上げ加工を実施し、その後、前記大端孔に分割用治具を嵌め込んで、該分割用治具を介して前記大端部に前記破断分割線に直交する方向の引張荷重を加えることにより、前記左右各4面の切欠き溝に沿って前記大端部をロッド部側とその反対側とに破断分割することを特徴とするものである。
前記分割用治具は、例えば、全体として円柱状形状となる一対の半円柱体からなり、それら一対の半円柱体の対向面の中央に、大端孔の軸心方向へ傾斜するテーパー面が形成され、それらのテーパー面が対向して円柱状形状の治具の中央に破断分割用のくさびを打ち込むくさび孔を構成し、素材コンロッドの大端孔に嵌め込んで、くさびを打ち込むことにより、ロッド側とその反対側とに分割移動可能なものであってよい。
この加工方法によれば、大端部の左右各4面に設けた破断分割線上においてそれぞれ連続するV字状の切欠き溝に沿って破断分割させ、素材コンロッドの大端孔をコンロッドの軸方向に開いてアルミ合金ダイカスト製コンロッドを破断分割することが可能で、従来の、ダイカスト成型、ボルト穴加工、切断加工、ハメコミ面加工、内径加工の各工程からなる加工方法が、分割のための切断加工や切削によるハメコミ面加工の加工代(削り代)が必要で、材料使用量が多くなり、また、加工箇所が多く、加工工程が多く、ハメコミ面加工において特に精度の良い加工が必要で、加工時間が長く、それらが要因で製造コストが高く、また、コンロッドをエンジンに組み込む時に、ハメコミ面の位置合わせ等が面倒で、作業時間が長くなるのに比べて、切断・切削の加工代を低減してダイカスト材を節減することができるとともに(約3%の節減が可能)、加工箇所並びに加工工程が減少して(2/3の加工工数となる)加工時間が短縮されるため、製造コストを低減することができ、また、エンジンへの組み込み時にコンロッド本体とキャップの位置合わせが容易で作業時間の短縮が可能となり、また、破断分割前にボルトを取り付けることなく内径加工を実施するだけで組み立て後の大端孔内径の真円度を確保することが可能である。
そして、この加工方法でアルミ合金ダイカスト製の素材コンロッドの大端孔をコンロッドの軸方向(ボルト穴と平行方向)に開いて破断分割を行うと、大端孔は切欠き溝の底付近のわずかな領域で塑性変形し、ロッド軸方向に伸びて、ロッド軸方向の内径が大きくなる。その伸び量は、切欠き溝の形状(開口量:角度と深さ)とロッド軸方向に開く際の引張荷重の負荷速度(くさびの押込み速度から算出可能)により変化する。一方、分割成型したコンロッドは、ロッド側とキャップ側とをボルト締結して組み立てると(ボルトの締め付けトルクは規定されている。)、締結面付近が圧縮されてロッド軸方向に縮む。そして、アルミ合金ダイカスト材の場合、切欠き溝の形状(角度と深さ)や破断分割のための引張荷重の負荷速度を調整することで、破断による伸び量と締結による縮み量が相殺されるようにすることができる。そのため、鉄鋼鍛造材製のコンロッドの場合に破断分割後にボルト締結して内径加工を行う必要があるのに対し、破断分割する前の素材コンロッドの状態でボルトを取り付けることなく内径加工を実施するだけで、組み立て後の大端孔内径の真円度を確保することができる。
本発明の加工方法は、より具体的には、アルミ合金素材をロッド部の一端側に小端孔を有する小端部を有し他端側に大端孔を有する大端部を有するコンロッドの形状を有するとともに、前記大端部の前記大端孔の径方向対向位置を通る破断分割線に沿って左右各4面の内の前記大端孔の内面を除く左右各3面に前記破断分割線上においてそれぞれ連続するV字状の切欠き溝を有する素材コンロッドの形状にダイカスト成型し、そのダイカスト成型後の素材コンロッドの前記大端孔の内面に機械加工により前記破断分割線に沿って前記左右各3面の切欠き溝に連続するV字状の切欠き溝を形成するとともに、機械加工により前記大端部の先端から前記大端孔を挟む左右両側を前記破断分割線に直交する方向に延びる一対のボルト穴を形成し、次いで、前記大端孔の内径の仕上げ加工を実施し、その後、前記大端孔に分割用治具を嵌め込んで、該分割用治具を介して前記大端部に前記破断分割線に直交する方向の引張荷重を加えることにより、前記左右各4面の切欠き溝に沿って前記大端部をロッド部側とその反対側とに破断分割するものであってよい。
本発明の加工方法は、また、アルミ合金素材をロッド部の一端側に小端孔を有する小端部を有し他端側に大端孔を有する大端部を有するコンロッドの形状を有するとともに、前記大端部の前記大端孔の径方向対向位置を通る破断分割線に沿って左右各4面に前記破断分割線上においてそれぞれ連続するV字状の切欠き溝を有する素材コンロッドの形状にダイカスト成型し、そのダイカスト成型後の素材コンロッドに機械加工により前記大端部の先端から前記大端孔を挟む左右両側を前記破断分割線に直交する方向に延びる一対のボルト穴を形成するとともに、前記大端孔の内径の仕上げ加工を実施し、その後、前記大端孔に分割用治具を嵌め込んで、該分割用治具を介して前記大端部に前記破断分割線に直交する方向の引張荷重を加えることにより、前記左右各4面の切欠き溝に沿って前記大端部をロッド部側とその反対側とに破断分割するものであってもよい。
そして、いずれの場合も、大端孔の内径側(内面)の切欠き溝には、必要に応じて、破断分割を一層確実且つ高精度なものとするための追加V型溝加工を施すことができる。
そして、前記左右各4面の切欠き溝の形状は、Vの角度が20°〜120°、溝底R部の半径が0.1mm〜1.0mm、切り込み深さが、前記大端孔の内面を除く左右各3面の切欠き溝については0.5mm〜2mm、前記大端孔の内面の切欠き溝については0.5mm〜2mmに内径仕上げ加工代を加えた寸法の範囲のものであるのがよい。
また、前記引張荷重の負荷速度(引張速度)は毎分0.2mm〜270mmであるのがよい。
本発明によれば、アルミ合金ダイカスト製コンロッドの破断分割が可能となり、切断加工により分割していた従来の加工方法に比べて、切断・切削の加工代を低減してダイカスト材を節減することができるとともに(約3%の節減が可能)、加工箇所並びに加工工程が減少して(2/3の加工工数となる)加工時間が短縮されるため、製造コストを低減することができ、また、エンジンやコンプレッサーへの組み込み時にコンロッド本体とキャップの位置合わせが容易で作業時間の短縮が可能となり、また、破断分割前にボルトを取り付けることなく内径加工を実施するだけで組み立て後の大端孔内径の真円度を確保することが可能となる。
本発明の実施の形態の一例に係るアルミ合金ダイカスト製分割型コンロッドを示すもので、(a)は組み立て図、(b)は展開図である。 本発明の実施形態の一例に係るダイカスト成型後の素材コンロッドを示すもので、(a)は平面図、(b)はA−A断面図、(c)はB−B断面図、(d)はC矢視部拡大図である。 本発明の実施の形態の一例に係る破断分割前のコンロッドを示すもので、(a)は一部破断平面図、(b)はA−A断面図、(c)はB−B断面図、(d)はC矢視部拡大図である。 本発明の実施の形態の一例に係る破断分割治具の要部概略構造並びに破断分割の動作をコンロッドとともに側面図にて示すもので、(a)は破断分割前の状態で示す側面視説明図、(b)は破断分割時の状態で示す側面視説明図である。 本発明の実施形態の一例に係る破断分割治具の要部概略構造並びに破断分割の動作を治具単体にて斜視図で示すもので、(a)は破断分割前の状態で示す斜視説明図、(b)は破断分割時の状態で示す斜視説明図である。
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1に示すコンロッド1は、レシプロ式のエンジンのピストンとクランクシャフトを連接してピストンの往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換するアルミ合金製分割型コンロッド(コネクティングロッド)の一例である。
このコンロッド1は、ロッド部2の一端側にピストンピンに組み付ける小端孔3(ピストンピン孔)を有する小端部4が連接され、他端側にクランクピンに組み付ける大端孔5(クランクピン孔)を有する大端部6が連接され、大端部6がクランクピンに組み付けるためにロッド部2に連続する側とその反対側とに半割り状態で分割されて、ロッド部側の半割り部分6aとロッド部2と小端部4とが一体の部材(ロッド側部材)となってコンロッド本体7を構成し、反対側の半割り部分6bが、コンロッド本体7(ロッド側部材)に位置合わせして締結ボルト9で結合するキャップ8を構成している。なお、図1において、10はボルト穴、11は座金を示している。また、12は後述するV字状の切欠き溝(12a,12b)である。
この実施の形態では、例えば図1に示すコンロッドを、破断分割工法を適用して次のように加工する。
この加工方法は、図2に示すように、アルミ合金素材をロッド部2の一端側に小端孔3を有する小端部4を有し他端側に大端孔5を有する大端部6を有するコンロッドの形状を有するとともに、大端部6の大端孔5の径方向対向位置を通る破断分割線D(破断分割予定線)に沿って左右各4面の内の大端孔5の内面を除く左右各3面に破断分割線D上においてそれぞれ連続するV字状の切欠き溝12aを有する素材コンロッド1aの形状にダイカスト成型し、次いで、そのダイカスト成型後の素材コンロッド1aの大端孔5の内面に、図3に示すように機械加工により破断分割線Dに沿って左右各3面の切欠き溝12aに連続するV字状の切欠き溝12bを形成するとともに、機械加工により大端部6の先端から大端孔5を挟む左右両側を破断分割線Dに直交する方向に延びる一対のボルト穴10を形成し、次いで、大端孔5の内径の仕上げ加工を実施し、その後、図4および図5に示すように、大端孔5に分割用治具20を嵌め込んで、分割用治具20を介して大端部6に破断分割線Dに直交する方向の引張荷重を加え、左右各4面の切欠き溝12(12a,12b)に沿って大端部6をロッド部側(コンロッド本体7)とその反対側(キャップ8)とに破断分割するものである。
ここに示す分割用治具20は、全体として円柱状形状となる一対の半円柱体21a,21b(スライダ)を有し、それら一対の半円柱体21a,21bの対向面の中央に、大端孔5の軸心方向へ傾斜するテーパー面22a,22bが形成され、それらのテーパー面22a,22bが対向して円柱状形状の治具20の中央に破断分割用のくさび23を打ち込むくさび孔24を構成し、一対の半円柱体21a,21bは、ロッド受け板25aとキャップ受け板25bにそれぞれ固定されていて、一対の半円柱体21a,21bを円柱状に合わせた状態で素材コンロッド1bの大端孔5に嵌め込んで、くさび23を打ち込むことにより、ロッド側とその反対側とに分割移動させて大端孔5を開くようにするスライダ型治具である。
素材コンロッド1bの大端孔5にこの治具20を嵌め込み、くさび孔24にくさび23を打ち込むと、大端部6に破断分割線Dに直交する方向の引張荷重がかかり、大端部6の左右各4面に設けた連続する左右一対のV字状の切欠き溝12(12a,12b)に沿って大端孔5が開き、大端部6がロッド部側(コンロッド本体7)とその反対側(キャップ8)とに破断分割する。
この加工方法で破断分割を行うと、大端孔5は切欠き溝12(12a,12b)の底付近のわずかな領域で塑性変形し、ロッド軸方向に伸びて、ロッド軸方向の内径が大きくなる。その伸び量は、切欠き溝12(12a,12b)の形状(開口量:角度と深さ)とロッド軸方向に開く際の引張速度(くさびの押込み速度から算出可能)により変化する。一方、分割成型後のコンロッド1のロッド部側(コンロッド本体7)とその反対側(キャップ8)とを規定トルクでボルト締結して組み立てると、大端孔5は締結面付近が圧縮されてロッド軸方向に縮む。そして、切欠き溝12(12a,12b)の形状(角度と深さ)と破断分割のための引張速度を調整することで、破断による伸び量と締結による縮み量が相殺されるようにすることができ、そうすることで、組み立て後の大端孔5内径の真円度を確保することができる。
左右各4面の切欠き溝12(12a,12b)の形状は、Vの角度(θ)が20°〜120°(例えば90°)、溝底R部の半径が0、1mm〜1.0mm、切り込み深さが、大端孔5の内面を除く左右各3面の切欠き溝12aについては0.5mm〜2mm、大端孔5の内面の切欠き溝12bについては0.5mm〜2mmに内径仕上げ加工代(例えば0.5mm)を加えた寸法の範囲のものであるのがよい。また、引張荷重の負荷速度は毎分0.2mm〜270mmであるのがよい。
また、上記実施の形態では、左右各4面の内の大端孔5の内面を除く左右各3面の切欠き溝12aはダイカスト成型時に形成し、大端孔5の内面の切欠き溝12bはダイカスト成型後に機械加工により形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、左右各4面の切欠き溝12(12a,12b)をダイカスト成型時に一度に形成することもできる。そして、いずれの場合も、必要に応じ、大端孔5の内径側(内面)の切欠き溝12bには必要に応じて追加V型溝加工を施してよい。本発明はその他様々な形態で実施することができる。
また、本発明はエンジンのコンロッドの他に往復動式のコンプレッサーのコンロッドにも適用できる。
1 コンロッド
1a、1b 素材コンロッド
2 ロッド部
3 小端孔
4 小端部
5 大端孔
6 大端部
6a 半割り部分(大端部のロッド側)
6b 半割り部分(大端部のキャップ側)
7 コンロッド本体
8 キャップ
9 締結ボルト
10 ボルト穴
11 座金
12(12a,12b) 切欠き溝
20 分割用治具
21a,21b 半円柱体
22a,22b テーパー面
23 くさび
24 くさび孔
25a ロッド受け板
25b キャップ受け板

Claims (5)

  1. アルミ合金素材をロッド部の一端側に小端孔を有する小端部を有し他端側に大端孔を有する大端部を有するコンロッドの形状にダイカスト成型するとともに、そのダイカスト成型時あるいはダイカスト成型後に前記大端部の前記大端孔の径方向対向位置を通る破断分割線に沿って左右各4面に前記破断分割線上においてそれぞれ連続するV字状の切欠き溝を設けた素材コンロッドを製作し、
    その素材コンロッド素材に機械加工により前記大端部の先端から前記大端孔を挟む左右両側を前記破断分割線に直交する方向に延びる一対のボルト穴を形成するとともに、前記大端孔の内径の仕上げ加工を実施し、
    その後、前記大端孔に分割用治具を嵌め込んで、該分割用治具を介して前記大端部に前記破断分割線に直交する方向の引張荷重を加えることにより、前記左右各4面の切欠き溝に沿って前記大端部をロッド部側とその反対側とに破断分割することを特徴とするアルミ合金ダイカスト製分割型コンロッドの加工方法。
  2. アルミ合金素材をロッド部の一端側に小端孔を有する小端部を有し他端側に大端孔を有する大端部を有するコンロッドの形状を有するとともに、前記大端部の前記大端孔の径方向対向位置を通る破断分割線に沿って左右各4面の内の前記大端孔の内面を除く左右各3面に前記破断分割線上においてそれぞれ連続するV字状の切欠き溝を有する素材コンロッドの形状にダイカスト成型し、
    そのダイカスト成型後の素材コンロッドの前記大端孔の内面に機械加工により前記破断分割線に沿って前記左右各3面の切欠き溝に連続するV字状の切欠き溝を形成するとともに、機械加工により前記大端部の先端から前記大端孔を挟む左右両側を前記破断分割線に直交する方向に延びる一対のボルト穴を形成し、
    次いで、前記大端孔の内径の仕上げ加工を実施し、
    その後、前記大端孔に分割用治具を嵌め込んで、該分割用治具を介して前記大端部に前記破断分割線に直交する方向の引張荷重を加えることにより、前記左右各4面の切欠き溝に沿って前記大端部をロッド部側とその反対側とに破断分割することを特徴とするアルミ合金ダイカスト製分割型コンロッドの加工方法。
  3. アルミ合金素材をロッド部の一端側に小端孔を有する小端部を有し他端側に大端孔を有する大端部を有するコンロッドの形状を有するとともに、前記大端部の前記大端孔の径方向対向位置を通る破断分割線に沿って左右各4面に前記破断分割線上においてそれぞれ連続するV字状の切欠き溝を有する素材コンロッドの形状にダイカスト成型し、
    そのダイカスト成型後の素材コンロッドに機械加工により前記大端部の先端から前記大端孔を挟む左右両側を前記破断分割線に直交する方向に延びる一対のボルト穴を形成するとともに、前記大端孔の内径の仕上げ加工を実施し、
    その後、前記大端孔に分割用治具を嵌め込んで、該分割用治具を介して前記大端部に前記破断分割線に直交する方向の引張荷重を加えることにより、前記左右各4面の切欠き溝に沿って前記大端部をロッド部側とその反対側とに破断分割することを特徴とするアルミ合金ダイカスト製分割型コンロッドの加工方法。
  4. 前記左右各4面の切欠き溝の形状は、Vの角度が20°〜120°、溝底R部の半径が0.1mm〜1.0mm、切り込み深さが、前記大端孔の内面を除く左右各3面の切欠き溝については0.5mm〜2mm、前記大端孔の内面の切欠き溝については0.5mm〜2mmに内径仕上げ加工代を加えた寸法の範囲のものである請求項1〜3のいずれか1項記載のアルミ合金ダイカスト製分割型コンロッドの加工方法。
  5. 前記引張荷重の負荷速度が毎分0.2mm〜270mmである請求項1〜4のいずれか1項記載のアルミ合金ダイカスト製分割型コンロッドの加工方法。
JP2013010353A 2013-01-23 2013-01-23 アルミ合金ダイカスト製分割型コンロッドの加工方法 Pending JP2014142004A (ja)

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