JP2014141648A - 液晶組成物、酸化防止剤および液晶表示素子 - Google Patents

液晶組成物、酸化防止剤および液晶表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】
酸化防止剤を含有し、そして高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性、大きな弾性定数などの特性において、少なくとも1つの特性を充足する、または少なくとも2つの特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物、およびこの組成物を含有する液晶表示素子を提供する。
【解決手段】
液晶組成物への高い溶解度を有し、組成物の劣化を防止するために有用な特定の酸化防止剤を含有し、第一成分として高い上限温度または小さな粘度を有する特定の化合物、第二成分として高い上限温度または大きな誘電率異方性を有する特定の化合物、第三成分として負に大きな誘電率異方性を有する特定の化合物を含有してもよく、そしてネマチック相を有する液晶組成物、およびこの組成物を含有する液晶表示素子である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶組成物、この組成物を含有する液晶表示素子などに関する。酸化防止剤を含有する液晶組成物、この組成物を含有するAM(active matrix)素子などにも関する。
液晶表示素子において、液晶分子の動作モードに基づいた分類は、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)、FFS(fringe field switching)、PSA(polymer sustained alignment)、FPA(field induced photo-reactive alignment)などのモードである。素子の駆動方式に基づいた分類は、PM(passive matrix)とAM(active matrix)である。PMはスタティック(static)とマルチプレックス(multiplex)などに分類され、AMはTFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。TFTの分類は非晶質シリコン(amorphous silicon)および多結晶シリコン(polycrystal silicon)である。後者は製造工程によって高温型と低温型とに分類される。光源に基づいた分類は、自然光を利用する反射型、バックライトを利用する透過型、そして自然光とバックライトの両方を利用する半透過型である。
これらの素子は適切な特性を有する液晶組成物を含有する。この液晶組成物はネマチック相を有する。良好な一般的特性を有するAM素子を得るには組成物の一般的特性を向上させる。2つの一般的特性における関連を下記の表1にまとめる。組成物の一般的特性を市販されているAM素子に基づいてさらに説明する。ネマチック相の温度範囲は、素子の使用できる温度範囲に関連する。ネマチック相の好ましい上限温度は約70℃以上であり、そしてネマチック相の好ましい下限温度は約−10℃以下である。組成物の粘度は素子の応答時間に関連する。素子で動画を表示するためには短い応答時間が好ましい。したがって、組成物における小さな粘度が好ましい。低い温度における小さな粘度はより好ましい。
Figure 2014141648
組成物の光学異方性は、素子のコントラスト比に関連する。組成物の光学異方性(Δn)と素子のセルギャップ(d)との積(Δn×d)は、コントラスト比を最大にするように設計される。適切な積の値は動作モードの種類に依存する。TNのようなモードの素子では、適切な値は約0.45μmである。VAモードの素子では約0.30μmから約0.40μmの範囲であり、IPSモード、またはFFSモードの素子では約0.20μmから約0.30μmの範囲である。この場合、小さなセルギャップの素子には大きな光学異方性を有する組成物が好ましい。組成物における正または負に大きな誘電率異方性は素子における低いしきい値電圧、小さな消費電力と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、正または負に大きな誘電率異方性が好ましい。
組成物における大きな比抵抗は、素子における大きな電圧保持率と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、初期段階において室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。長時間使用したあと、室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。紫外線および熱に対する組成物の安定性は、素子の寿命に関連する。この安定性が高いとき、この素子の寿命は長い。組成物における大きな弾性定数は素子における大きなコントラスト比と短い応答時間に寄与する。したがって、大きな弾性定数が好ましい。このような特性は、液晶プロジェクター、液晶テレビなどに用いるAM素子に好ましい。
TNモードを有するAM素子においては正の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。一方、VAモードを有するAM素子においては負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。IPSモードまたはFFSモードを有するAM素子においては正または負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。PSAモードまたはFPAモードを有するAM素子においては正または負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。
液晶表示素子を長時間使用すると、組成物が酸化により劣化する傾向がある。そこで、組成物が酸化されるのを防止するために、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)など酸化防止剤を添加することがある(特許文献1および2)。組成物への溶解度などの観点から、さらに有用な酸化防止剤が求められている。
特開2002−256267号公報 特開2010−180266号公報 特表2008−507580号公報
望ましいAM素子は、使用できる温度範囲が広い、応答時間が短い、コントラスト比が大きい、しきい値電圧が低い、電圧保持率が大きい、寿命が長い、などの特性を有する。1ミリ秒でもより短い応答時間が望ましい。したがって、組成物の望ましい特性は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、正または負に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性、大きな弾性定数などである。
本発明の1つの目的は、酸化防止剤を含有し、そしてネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、正または負に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性、大きな弾性定数などの特性において、少なくとも1つの特性を充足する液晶組成物である。他の目的は、少なくとも2つの特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物である。別の目的は、高い上限温度、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性のような特性を有する液晶組成物である。別の目的は、このような組成物を含有する液晶表示素子である。別の目的は、短い応答時間、大きな電圧保持率、低いしきい値電圧、大きなコントラスト比、長い寿命などの特性を有するAM素子である。別の目的は、液晶組成物への高い溶解度を有し、組成物の劣化を防止するために有用な化合物である。
添加物として、式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、ネマチック相を有する液晶組成物、およびこの組成物を含有する液晶表示素子である。
Figure 2014141648

式(1)において、
、L、L、およびWは独立して、水素、ハロゲン、−COOH、または炭素数1から10のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
は炭素数1から30のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、または−NH−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CHCH−は−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CHは、−OH、−SH、−C≡N、−COOH、−NO、または−NHで置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
本発明の1つの長所は、酸化防止剤を含有し、そしてネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、正または負に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性、大きな弾性定数などの特性において、少なくとも1つの特性を充足する液晶組成物である。他の長所は、少なくとも2つの特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物である。別の長所は、高い上限温度、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性のような特性を有する液晶組成物である。別の長所は、このような組成物を含有する液晶表示素子である。別の長所は、短い応答時間、大きな電圧保持率、低いしきい値電圧、大きなコントラスト比、長い寿命などの特性を有するAM素子である。別の長所は、液晶組成物への高い溶解度を有し、組成物の劣化を防止するために有用な化合物である。
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。液晶組成物または液晶表示素子をそれぞれ「組成物」または「素子」と略すことがある。液晶表示素子は、液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。「液晶性化合物」は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物または液晶相を有さないが、上限温度、下限温度、粘度、誘電率異方性のような組成物の特性を調節する目的で添加する化合物を意味する。これらの化合物は、1,4−シクロヘキシレンや1,4−フェニレンのような六員環を有し、その分子構造は棒状(rod like)である。このような液晶性化合物を混合することによって液晶組成物が調製される。液晶性化合物の割合(含有量)は、この液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。この組成物に、重合可能な化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性な化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消泡剤、色素のような添加物が必要に応じて添加される。添加物の割合(添加量)は、液晶性化合物と同様に、液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。重量百万分率(ppm)が用いられることもある。ただし、重合開始剤および重合禁止剤の割合は、重合可能な化合物の重量を基準にして表される。添加物を含む液晶組成物の重量を基準にする場合は、「液晶組成物の全重量に基づいた」の表現を用いる。
ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。「比抵抗が大きい」は、組成物が初期段階において室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな比抵抗を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな比抵抗を有することを意味する。「電圧保持率が大きい」は、素子が初期段階において室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を有することを意味する。「誘電率異方性を上げる」の表現は、誘電率異方性が正である組成物のときは、その値が正に増加することを意味し、誘電率異方性が負である組成物のときは、その値が負に増加することを意味する。
成分化合物の化学式において、末端基Rの記号を複数の化合物に用いた。これらの化合物において、任意の2つのRが表す2つの基は同一であってもよいし、または異なってもよい。例えば、化合物(2−1)のRがエチルであり、化合物(2−2)のRがエチルであるケースがある。化合物(2−1)のRがエチルであり、化合物(2−2)のRがプロピルであるケースもある。このルールは、他の末端基、側鎖基などの記号にも適用される。式(2)において、nが2のとき、2つの環Aが存在する。この化合物において、2つの環Aが表す2つの基は、同じであってもよいし、または異なってもよい。このルールは、nが2より大きいときの任意の2つの環Aにも適用される。このルールは、他の環、結合基などの記号にも適用される。
「少なくとも1つの“A”は、“B”で置き換えられてもよい」の表現は、“A”が1つのとき、“A”の位置は任意であり、“A”の数が2つ以上のときも、それらの位置は制限なく自由に選択できることを意味する。例えば、「アルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−または−S−で置き換えられてもよい」の表現には、−OCH、−CHOCH、−CHOCHCHOCH、−SCHCHCH、−CHCHSCH、−CHOCHCHSCHなどの基が含まれる。
2−フルオロ−1,4−フェニレンは、下記の2つの二価の環を意味する。化学式において、フッ素は左向き(L)であってもよいし、右向き(R)であってもよい。このルールは、テトラヒドロピラン−2,5−ジイルのような、非対称の二価の環にも適用される。
Figure 2014141648
本発明は、下記の項などである。
1. 添加物として、式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、ネマチック相を有する液晶組成物。
Figure 2014141648

式(1)において、
、L、L、およびWは独立して、水素、ハロゲン、−COOH、または炭素数1から10のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
は炭素数1から30のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、または−NH−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CHCH−は−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CHは、−OH、−SH、−C≡N、−COOH、−NO、または−NHで置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
2. 添加物が、式(1−1)から式(1−5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項1に記載の液晶組成物。
Figure 2014141648

式(1−1)から式(1−5)において、
、L、L、およびWは独立して、水素、フッ素、塩素、−COOH、または炭素数1から10のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
は炭素数1から20のアルキルまたは炭素数2から20のアルケニルであり、このアルキルまたはアルケニルにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
は−NOまたは−NHであり;
は炭素数1から5のアルキレンまたは単結合であり;
は0または1である。
3. 添加物が、L、LおよびLが独立して、水素、フッ素、または−CHであり;Wが水素または炭素数1から10のアルキルであり;Vが炭素数1から20のアルキルまたは炭素数2から20のアルケニルであり、このアルキルまたはアルケニルにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;Vが−NOまたは−NHであり;Zが炭素数1から5のアルキレンまたは単結合であり;mが0または1である;式(1−1)から式(1−5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項2に記載の液晶組成物。
4. 添加物が、L、LおよびLが−CHであり;Wが−CHであり;Vが−(CH−CH(CH(ここで、jは0から17の整数である)であり;Zが単結合である;式(1−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項2に記載の液晶組成物。
5. 添加物が、L、LおよびLが−CHであり;Wが−CHであり;Vが炭素数1から20のアルキルまたは炭素数2から20のアルケニルであり;Zが単結合である;式(1−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項2に記載の液晶組成物。
6. 項1に記載の式(1)で表される化合物とは異なる少なくとも1つの酸化防止剤を添加物として含有する、項1から5のいずれか1項に記載の液晶組成物。
7. 液晶組成物の重量に基づいて、項1に記載の式(1)で表される化合物の割合が0.005重量%から3重量%の範囲である、項1から6のいずれか1項に記載の液晶組成物。
8. 式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を第一成分として含有する、項1から7のいずれか1項に記載の液晶組成物。
Figure 2014141648

式(2)において、
およびRは独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;
環Aおよび環Bは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;
は、単結合、エチレン、水素がフッ素で置き換えられたビニレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;
nは、1、2、または3である。
9. 第一成分が、式(2−1)から式(2−13)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項8に記載の液晶組成物。
Figure 2014141648

式(2−1)から式(2−13)において、RおよびRは独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。
10. 第一成分が、項9に記載の式(2−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物と、式(2−2)から式(2−13)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物との混合物である、項9に記載の液晶組成物。
11. 液晶組成物の重量に基づいて、第一成分の割合が10重量%から90重量%の範囲である、項8から10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
12. 式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を第二成分として含有する、項8に記載の液晶組成物。
Figure 2014141648

式(3)において、
は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり;
環Cは、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり;
およびXは独立して、水素またはフッ素であり;
は、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり;
は、単結合、エチレン、カルボニルオキシ、またはジフルオロメチレンオキシであり;
pは、1、2または3である。
13. 第二成分が、式(3−1)から式(3−18)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項12に記載の液晶組成物。
Figure 2014141648

Figure 2014141648

式(3−1)から式(3−18)において、
は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり;
、X、X、X、X、X、X、およびXは独立して、水素またはフッ素であり;
は、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシである。
14. 第二成分が、項13に記載の式(3−6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物と、式(3−1)から式(3−5)および式(3−7)から式(3−18)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物との混合物である項13に記載の液晶組成物。
15. 液晶組成物の重量に基づいて、第二成分の割合が10重量%から90重量%の範囲である、項12から14のいずれか1項に記載の液晶組成物。
16. 式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を第三成分として含有する、項8に記載の液晶組成物。
Figure 2014141648

式(4)において、
およびRは独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;
環Dおよび環Fは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、またはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり;
環Eは、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、または7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルであり;
およびZは独立して、単結合、エチレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;
qは、1、2または3であり、rは0または1であり、そしてqとrとの和は、1、2または3である。
17. 第三成分が、式(4−1)から式(4−19)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項16に記載の液晶組成物。
Figure 2014141648
Figure 2014141648

式(4−1)から式(4−19)において、RおよびRは独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。
18. 第三成分が、項17に記載の式(4−4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物と、式(4−1)から式(4−3)および式(4−5)から式(4−19)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物との混合物である、項17に記載の液晶組成物。
19. 液晶組成物の重量に基づいて、第三成分の割合が10重量%から90重量%の範囲である、項16から19のいずれか1項に記載の液晶組成物。
20. ネマチック相の上限温度が70℃以上であり、25℃で測定した波長589nmにおける光学異方性が0.07以上である、項1から19のいずれか1項に記載の液晶組成物
21. 項1から20のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
22. 液晶表示素子の動作モードが、TNモード、ECBモード、OCBモード、VAモード、IPSモード、PSAモード、FFSモード、またはFPAモードであり、液晶表示素子の駆動方式がアクティブマトリックス方式である、項21に記載の液晶表示素子。
23. 項1から20のいずれか1項に記載の液晶組成物の液晶表示素子における使用。
24. 式(1−1−a)または式(1−2−a)で表される化合物。
Figure 2014141648

式(1−1−a)または式(1−2−a)において、
、LおよびLは独立して、水素、フッ素または−CHであり;Wは水素または炭素数1から10のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、1つまたは2つの−CH−CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
は−(CH−CH(CH(ここで、jは0から17の整数である)または炭素数2から20のアルケニルであり、この−(CH−CH(CHまたはアルケニルにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
11は炭素数1から5のアルキレンまたは単結合であり;
12は炭素数1から5のアルキレンである。
25. 項24に記載の式(1−1−a)または式(1−2−a)において、Vが−(CH−CH(CH(ここで、jは0から5の整数である)である、項24に記載の化合物。
26. 項24または25に記載の化合物の酸化防止剤としての使用。
27. 液晶組成物に、項24または25に記載の化合物を添加することによって、液晶組成物の劣化を防止する方法。
本発明は、次の項も含む。(a)式(1)で表される化合物とは異なる少なくとも1つの酸化防止剤を含有する、上記の組成物。(b)下記の式(5)で表される酸化防止剤を含有する、上記の組成物、ここでkは1から9の整数である。(c)下記の式(5)において、kが1である酸化防止剤を含有する、上記の組成物。(d)下記の式(5)において、kが7である酸化防止剤を含有する、上記の組成物。
Figure 2014141648

(e)光学活性な化合物を含有する上記の組成物、(f)重合可能な化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性な化合物、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消泡剤、および/または色素のような添加物を含有する上記の組成物。
(g)上記の組成物を含有するAM素子、(h)上記の組成物を含有し、そしてTN、ECB、OCB、VA、IPS、FFS、PSA、FPAのモードを有する素子、(i)上記の組成物を含有する透過型の素子、(j)上記の組成物を、ネマチック相を有する組成物としての使用、(k)上記の組成物に光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用、(l)第一成分として、式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第二成分として、式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第三成分として、式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1に記載の組成物。
本発明の組成物を次の順で説明する。第一に、組成物における成分化合物の構成を説明する。第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物に及ぼす主要な効果を説明する。第三に、組成物における成分の組み合わせ、成分の好ましい割合およびその根拠を説明する。第四に、成分化合物の好ましい形態を説明する。第五に、成分化合物の具体的な例を示す。第六に、組成物に混合してもよい添加物を説明する。第七に、成分化合物の合成法を説明する。最後に、組成物の用途を説明する。
第一に、組成物における成分化合物の構成を説明する。本発明の組成物は、組成物Aと組成物Bに分類される。組成物Aは、化合物(1)を含有し、化合物(2)、化合物(3)、および化合物(4)から選択された液晶性化合物の他に、その他の液晶性化合物、添加物、不純物などをさらに含有してもよい。「その他の液晶性化合物」は、化合物(2)、化合物(3)、および化合物(4)とは異なる液晶性化合物である。このような化合物は、特性をさらに調整する目的で組成物に混合される。添加物は、重合可能な化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性な化合物、化合物(1)とは異なる酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消泡剤、色素などである。不純物は成分化合物の合成などの工程において混入した化合物などである。
組成物Bは、実質的に、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)、および化合物(4)から選択された化合物のみからなる。「実質的に」は、組成物が添加物および不純物を含有してもよいが、化合物(2)、化合物(3)、および化合物(4)から選択された化合物と異なる液晶性化合物を含有しないことを意味する。組成物Bは組成物Aに比較して成分の数が少ない。コストを下げるという観点から、組成物Bは組成物Aよりも好ましい。その他の液晶性化合物を混合することによって特性をさらに調整できるという観点から、組成物Aは組成物Bよりも好ましい。
第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果を説明する。液晶性化合物の主要な特性を本発明の効果に基づいて表2にまとめる。表2の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。記号L、M、Sは、成分化合物のあいだの定性的な比較に基づいた分類であり、0(ゼロ)は、値がほぼゼロであることを意味する。
Figure 2014141648
成分化合物を組成物に混合したとき、成分化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果は次のとおりである。化合物(1)は、液晶組成物の劣化を防止するために有用である。この化合物は、紫外線または熱に対する安定性を上げる。化合物(2)の誘電率異方性は小さい。この化合物は上限温度を上げ、また粘度を下げる。化合物(3)の誘電率異方性は正に大きい。この化合物は誘電率異方性を上げ、下限温度を下げる。化合物(4)の誘電率異方性は負に大きい。この化合物は誘電率異方性を上げ、下限温度を下げる。誘電率異方性が正である組成物に、誘電率異方性が負の化合物を少量添加することによって、この組成物の誘電率(ε‖またはε⊥)を調整することができる。誘電率異方性が負である組成物に、誘電率異方性が正の化合物を少量添加することによって、この組成物の誘電率(ε‖またはε⊥)を調整することができる。
第三に、組成物における成分の組み合わせ、成分の好ましい割合およびその根拠を説明する。組成物における成分の組み合わせは、化合物(1)、化合物(1)+第一成分、化合物(1)+第二成分、化合物(1)+第三成分、化合物(1)+第一成分+第二成分、化合物(1)+第一成分+第三成分、化合物(1)+第二成分+第三成分、および化合物(1)+第一成分+第二成分+第三成分である。組成物における成分の好ましい組み合わせは、化合物(1)+第一成分+第二成分および化合物(1)+第一成分+第三成分である。組成物の誘電率を調整するためには、化合物(1)+第一成分+第二成分+第三成分の組み合わせが好ましい。
化合物(1)の好ましい割合は、紫外線または熱に対する安定性を上げるために約0.005重量%以上であり、下限温度を下げるために約3重量%以下である。さらに好ましい割合は約0.01重量%から約1.0重量%の範囲である。特に好ましい割合は約0.03重量%から約0.5重量%の範囲である。
第一成分の好ましい割合は、上限温度を上げるために、または粘度を下げるために約10重量%以上であり、誘電率異方性を上げるために約90重量%以下である。さらに好ましい割合は約20重量%から約80重量%の範囲である。特に好ましい割合は約30重量%から約70重量%の範囲である。
第二成分の好ましい割合は、誘電率異方性を上げるために約10重量%以上であり、下限温度を下げるために約90重量%以下である。さらに好ましい割合は約20重量%から約80重量%の範囲である。特に好ましい割合は約30重量%から約60重量%の範囲である。
第三成分の好ましい割合は、誘電率異方性を上げるために約10重量%以上であり、粘度を下げるために約90重量%以下である。さらに好ましい割合は約20重量%から約80重量%の範囲である。特に好ましい割合は約30重量%から約70重量%の範囲である。
第四に、成分化合物の好ましい形態を説明する。
化合物(1)において、L、L、L、およびWは独立して、水素、ハロゲン、−COOH、または炭素数1から10のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。好ましいL、L、L、またはWは、下限温度を下げるために炭素数1から10のアルキルである。さらに好ましいL、L、L、またはWは、炭素数1から3のアルキルである。特に好ましいL、L、L、またはWは、メチルである。
は炭素数1から30のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、または−NH−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CHCH−は−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CHは、−OH、−SH、−C≡N、−COOH、−NO、または−NHで置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。好ましいVは、紫外線または熱に対する安定性を上げるために少なくとも1つの−CH−が−COO−で置き換えられてもよい炭素数1から20のアルキルである。さらに好ましいVは、1つの−CH−が−COO−で置き換えられた炭素数1から20のアルキルである。特に好ましいVは、−COO−(CH−CH(CHである。ここで、jは1から17の整数であり、好ましいjは1から10の整数であり、さらに好ましいjは1から5整数である。
化合物(2)から化合物(4)において、R、R、R、およびRは独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。Rは、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルである。好ましいR、R、R、またはRは、紫外線または熱に対する安定性を上げるために、炭素数1から12のアルキルであり、下限温度を下げるために、および粘度を下げるために炭素数2から12のアルケニルである。好ましいRは、誘電率異方性を上げるために炭素数1から12のアルコキシであり、紫外線または熱に対する安定性を上げるために、炭素数1から12のアルキルである。さらに好ましいR、RおよびRは粘度を下げるために炭素数2から12のアルケニルである。
好ましいアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルである。さらに好ましいアルキルは、粘度を下げるために、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘプチルである。
好ましいアルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、またはヘプチルオキシである。さらに好ましいアルコキシは、粘度を下げるために、メトキシまたはエトキシである。
好ましいアルケニルは、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルである。さらに好ましいアルケニルは、粘度を下げるために、ビニル、1−プロペニル、3−ブテニル、または3−ペンテニルである。これらのアルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。粘度を下げるために、1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランスが好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシスが好ましい。
少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられたアルケニルの好ましい例は、2,2−ジフルオロビニル、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル、4,4−ジフルオロ−3−ブテニル、5,5−ジフルオロ−4−ペンテニル、および6,6−ジフルオロ−5−ヘキセニルである。さらに好ましい例は、粘度を下げるために2,2−ジフルオロビニル、および4,4−ジフルオロ−3−ブテニルである。
環Aおよび環Bは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。nが2または3である時、任意の2つの環Aが表す2つの基は同じであっても、異なってもよい。好ましい環Aまたは環Bは、粘度を下げるために1,4−シクロヘキシレンであり、光学異方性を上げるために1,4−フェニレンである。
環Cは、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルである。pが2または3である時、任意の2つの環Cが表す2つの基は同じであっても、異なってもよい。好ましい環Cは、粘度を下げるために1,4−シクロヘキシレンであり、光学異方性を上げるために1,4−フェニレンであり、誘電率異方性を上げるためにテトラヒドロピラン−2,5−ジイルである。
環Dおよび環Fは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、またはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルである。qが2または3である時、任意の2つの環Dが表す2つの基は同じであっても、異なってもよい。少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレンの好ましい例は、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレンである。好ましい環Dまたは環Fは、粘度を下げるために1,4−シクロヘキシレンであり、光学異方性を上げるために1,4−フェニレンであり、誘電率異方性を上げるためにテトラヒドロピラン−2,5−ジイルである。
環Eは、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、または7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルである。好ましい環Eは誘電率異方性を上げるために2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンおよび7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルである。
は、単結合、エチレン(−CHCH−)、水素がフッ素で置き換えられたビニレン(−CF=CF−)、メチレンオキシ(−CHO−、−OCH−)、またはカルボニルオキシ(−COO−、−OCO−)である。nが2または3である時、任意の2つのZが表す2つの基は同じであっても、異なってもよい。好ましいZは、粘度を下げるために単結合であり、上限温度を上げるためにカルボニルオキシである。
は、単結合、エチレン、カルボニルオキシ、またはジフルオロメチレンオキシ(−CFO−、−OCF−)である。pが2または3である時、任意の2つのZが表す2つの基は同じであっても、異なってもよい。好ましいZは、粘度を下げるために単結合であり、誘電率異方性を上げるためにジフルオロメチレンオキシである。
およびZは独立して、単結合、エチレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシである。qが2または3である時、任意の2つのZが表す2つの基は同じであっても、異なってもよい。好ましいZまたはZは粘度を下げるために単結合であり、誘電率異方性を上げるためにメチレンオキシである。
およびXは独立して、水素またはフッ素である。好ましいXまたはXは、誘電率異方性を上げるためにフッ素であり、粘度を下げるために水素である。
は、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシである。好ましいYは、粘度を下げるためにフッ素である。
nは、1、2または3である。好ましいnは、粘度を下げるために1であり、上限温度を上げるために2または3である。
pは、1、2または3である。好ましいpは、下限温度を下げるために1であり、上限温度を上げるために2または3である。
qは、1、2または3であり、rは、0または1であり、そしてqとrとの和は、1、2または3である。好ましいqは、下限温度を下げるために1である。好ましいrは、粘度を下げるために0である。
化合物(2)から化合物(4)において、アルキルは、直鎖状または分岐状であり、環状アルキルを含まない。直鎖状アルキルは、分岐状アルキルよりも好ましい。これらのことは、アルコキシ、アルケニル、および水素がフッ素で置き換えられたアルケニルについても同様である。1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度を上げるために、シスよりもトランスが好ましい。2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンは、化学式において、下記の左向き(L)と右向き(R)を意味し、誘電率異方性を上げるために、左向き(L)よりも右向き(R)の方が好ましい。
Figure 2014141648
第五に、成分化合物の具体的な例を示す。
好ましい化合物(1)は、項2に記載した化合物(1−1)から化合物(1−5)である。これらの化合物においてWなどの記号の定義は、項2の記載と同一である。さらに好ましい化合物(1)は、下記の化合物(1−1−1)から化合物(1−5−1)である。これらの化合物の中では、化合物(1−1−1)および化合物(1−2−1)が好ましい。化合物(1−1−1)はより好ましい。
Figure 2014141648
これらの化合物において、Wは、水素、フッ素、塩素、メチル、または−(CH−CH(CH(ここで、jは0から17の整数である)であり、この−(CH−CH(CHにおいて、1つから3つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、1つの−CH−CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
は、炭素数1から20のアルキルまたは炭素数2から20のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
は−NOまたは−NHであり;
は炭素数1から5のアルキレンまたは単結合であり;
は0または1である。
好ましい化合物(1−1−1)は項24に記載した化合物(1−1−a)である。好ましい化合物(1−1−2)は項24に化合物(1−2−a)である。これらの化合物においてWなどの記号の定義は、項24の記載と同一である。さらに好ましい化合物(1−1−1)は、化合物(1−1−1−3)または化合物(1−1−1−4)である。
Figure 2014141648

Figure 2014141648
好ましい化合物(2)は、化合物(2−1−1)から化合物(2−13−1)である。さらに好ましい化合物(2)は、化合物(2−1−1)から化合物(2−3−1)、化合物(2−5−1)から化合物(2−13−1)である。特に好ましい化合物(2)は、化合物(2−1−1)、化合物(2−2−1)、化合物(2−8−1)および化合物(2−13−1)である。好ましい化合物(3)は、化合物(3−1−1)から化合物(3−18−1)、化合物(3−10−2)、および化合物(3−17−2)である。さらに好ましい化合物(3)は、化合物(3−1−1)から化合物(3−11−1)である。特に好ましい化合物(3)は、化合物(3−2−1)から化合物(3−11−1)である。好ましい化合物(4)は、化合物(4−1−1)から化合物(4−19−1)である。さらに好ましい化合物(4)は、化合物(4−1−1)から化合物(4−14−1)である。特に好ましい化合物(4)は、化合物(4−4−1)、化合物(4−8−1)、および化合物(4−11−1)である。
これらの好ましい化合物において、RおよびRは独立して、炭素数1から12の直鎖状アルキル、炭素数1から12の直鎖状アルコキシ、炭素数2から12の直鎖状アルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12の直鎖状アルケニルである。Rは、炭素数1から12の直鎖状アルキルまたは炭素数2から12の直鎖状のアルケニルである。RおよびR10は独立して、炭素数1から12の直鎖状アルキル、炭素数1から12の直鎖状アルコキシ、または炭素数2から12の直鎖状アルケニルである。XおよびXは独立して、水素またはフッ素である。
Figure 2014141648
Figure 2014141648
Figure 2014141648
Figure 2014141648
Figure 2014141648
第六に、組成物に混合してもよい添加物を説明する。このような添加物は、重合可能な化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性な化合物、化合物(1)とは異なる酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消泡剤、色素などである。
PSA(polymer sustained alignment)モードの素子に適合させるために、重合可能な化合物が用いられる。まず、少量の重合可能な化合物を添加した液晶組成物を素子に注入する。次に、この素子の基板間に電圧を印加しながら、組成物に紫外線を照射する。重合可能な化合物は重合して、組成物中に重合体のネットワークを生成する。この組成物では、重合体によって液晶分子の配向を制御することが可能になるので、素子の応答時間が短縮され、画像の焼き付きが改善される。このような重合体の効果は、TN、ECB、OCB、IPS、FFS、VAのようなモードを有する素子にも期待できる。
重合可能な化合物の好ましい例は、アクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、ビニルオキシ化合物、プロペニルエーテル、エポキシ化合物(オキシラン、オキセタン)、ビニルケトンである。さらに好ましい例は、アクリレートまたはメタクリレートの誘導体である。重合可能な化合物の例は、化合物(M−1)から化合物(M−12)である。これらの化合物において、R20、R21およびR22は独立して、水素またはメチルであり;sは0または1であり;tおよびuは独立して、1から10の整数である。かっこに入れた記号Fは、水素またはフッ素を意味する。
Figure 2014141648
重合可能な化合物の好ましい割合は、その効果を得るために、約0.03重量%以上であり、表示不良を防ぐために約10重量%以下である。さらに好ましい割合は、約0.1重量%から約2重量%の範囲である。
重合可能な化合物は、好ましくは光重合開始剤などの適切な開始剤存在下でUV照射などにより重合する。重合のための適切な条件、開始剤の適切なタイプ、および適切な量は、当業者には既知であり、文献に記載されている。例えば、BASF社から市販されているIrgacure651、Irgacure184またはDarocure1173は光開始剤であり、がラジカル重合に対して適切である。好ましい光重合開始剤の割合は、重合可能な化合物の約0.1重量%から約5重量%の範囲であり、さらに好ましくは約1重量%から約3重量%の範囲である。
液晶表示素子における2つの基板の間に、重合可能な化合物を含む液晶組成物を配置し、これらの基板の相対する電極層の間に電圧を印加しながら重合可能な化合物を重合してもよい。液晶表示素子における2つの基板の間に予め重合させた化合物を含む液晶組成物を配置してもよい。
重合禁止剤の例は、ヒドロキノン、メチルヒドロキノンのようなヒドロキノン誘導体、4-tert-ブチルカテコール、4-メトキシフェノ−ル、フェノチアジンなどである。
光学活性な化合物は、液晶分子にらせん構造を誘起して必要なねじれ角を与えることによって逆ねじれを防ぐ、という効果を有する。光学活性な化合物を添加することによって、らせんピッチを調整することができる。らせんピッチの温度依存性を調整する目的で2つ以上の光学活性な化合物を添加してもよい。光学活性な化合物の好ましい例として、下記の化合物(Op−1)から化合物(Op−18)を挙げることができる。化合物(Op−18)において、環Jは1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、R24は炭素数1から10のアルキルである。光学活性な化合物の好ましい割合は約5重量%以下である。さらに好ましい割合は約0.01重量%から約2重量%の範囲である。
Figure 2014141648
酸化防止剤は、大きな電圧保持率を維持するために有効である。化合物(1)は、液晶組成物への溶解度が高いので、最も好ましい。化合物(1)とその他の酸化防止剤を組み合わせてもよい。その他の酸化防止剤の好ましい例として、下記の化合物(AO−1)および化合物(AO−2);BASF社から市販されているIRGANOX 415、IRGANOX 565、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 3114、およびIRGANOX 1098を挙げることができる。化合物(AO−1)において、R25が−CHである場合は、揮発性が大きいので、大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するときに有効である。R25が−C15である場合は、揮発性が小さいので、素子を長時間使用したあと、室温だけではなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を維持するのに有効である。酸化防止剤の好ましい割合は、その効果を得るために約50ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないように約600ppm以下である。さらに好ましい割合は、約100ppmから約300ppmの範囲である。
紫外線吸収剤は、上限温度の低下を防ぐために有効である。紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などである。具体例として下記の化合物(AO−3)および化合物(AO−4);BASF社から市販されているTINUVIN 329、TINUVIN P、TINUVIN 326、TINUVIN 234、TINUVIN 213、TINUVIN 400、TINUVIN 328、およびTINUVIN 99−2;および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を挙げることができる。立体障害のあるアミンのような光安定剤は、大きな電圧保持率を維持するために好ましい。光安定剤の好ましい例として、下記の化合物(AO−5)および(AO−6);BASF社から市販されているTINUVIN 144、TINUVIN 765およびTINUVIN 770DFを挙げることができる。これらの吸収剤や安定剤における好ましい割合は、その効果を得るために約50ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないように約10000ppm以下である。さらに好ましい割合は約100ppmから約10000ppmの範囲である。
熱安定剤も大きな電圧保持率を維持するために有効であり、好ましい例としてIRGAFOS 168(商品名;BASF)を挙げることができる。消泡剤は、泡立ちを防ぐために有効である。消泡剤の好ましい例は、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどである。消泡剤の好ましい割合は、その効果を得るために約1ppm以上であり、表示の不良を防ぐために約1000ppm以下である。さらに好ましい割合は、約1ppmから約500ppmの範囲である。
Figure 2014141648
化合物(AO−1)において、R25は炭素数1から20のアルキル、炭素数1から20のアルコキシ、−COOR26、または−CHCHCOOR26であり;R26は炭素数1から20のアルキルである。化合物(AO−2)および化合物(AO−5)において、R27は炭素数1から20のアルキルである。化合物(AO−5)において、環Kおよび環Lは独立して、1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり;vは、0、1、または2であり;R28は、水素、メチルまたはO(酸素ラジカル)である。
GH(guest host)モードの素子に適合させるためにアゾ系色素、アントラキノン系色素などのような二色性色素(dichroic dye)が組成物に混合される。色素の好ましい割合は、約0.01重量%から約10重量%の範囲である。
第七に、成分化合物の合成法を説明する。化合物(1)は有機合成化学における手法を適切に組み合わせることにより合成できる。例えば、次の反応式(a)から反応式(d)に従って化合物(1)を合成することができる。出発物質のトロロックス(商品名)は東京化成工業株式会社から市販されている。


Figure 2014141648
化合物(2)から化合物(4)は既知の方法によって合成できる。合成法を例示する。化合物(2−1−1)および化合物(2−5−1)は、特開昭59−176221号公報に記載された方法で合成する。化合物(3−3−1)、化合物(3−6−2)、化合物(3−7−1)、および化合物(3−10−1)は、特開平10−251186号公報に記載された方法で合成する。化合物(3−14−1)、および化合物(3−16−1)は、特開平2−233626号公報に記載された方法で合成する。化合物(4−1−1)は、特開2000−053602号公報に記載された方法で合成する。
合成法を記載しなかった化合物は、オーガニック・シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載された方法によって合成できる。組成物は、このようにして得た化合物から公知の方法によって調製される。例えば、成分化合物を混合し、そして加熱によって互いに溶解させる。
最後に、組成物の用途を説明する。大部分の組成物は、約−10℃以下の下限温度、約70℃以上の上限温度、そして約0.07から約0.20の範囲の光学異方性を有する。この組成物を含有する素子は大きな電圧保持率を有する。この組成物はAM素子に適する。この組成物は透過型のAM素子に特に適する。成分化合物の割合を制御することによって、またはその他の液晶性化合物を混合することによって、約0.08から約0.25の範囲の光学異方性を有する組成物、さらには約0.10から約0.30の範囲の光学異方性を有する組成物を調製してもよい。この組成物は、ネマチック相を有する組成物としての使用が可能である。この組成物は、光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用が可能である。
この組成物はAM素子への使用が可能である。さらにPM素子への使用も可能である。この組成物は、PC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、FFS、VA、PSA、FPAなどのモードを有するAM素子およびPM素子への使用が可能である。TN、OCB、IPSモードまたはFFSモードを有するAM素子への使用は特に好ましい。IPSモードまたはFFSモードを有するAM素子において、電圧が無印加状態での液晶分子の配列がガラス基板に対して並行または垂直であってもよい。これらの素子が反射型、透過型または半透過型であってもよい。透過型の素子への使用は好ましい。非結晶シリコン−TFT素子または多結晶シリコン−TFT素子への使用も可能である。この組成物をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)型の素子や、組成物中に三次元の網目状高分子を形成させたPD(polymer dispersed)型の素子にも使用できる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されない。合成した化合物は、プロトン核磁気共鳴分光法(H−NMR)などの方法で同定した。化合物の融点は、示差走査熱量測定(DSC)により決定した。まず、各分析方法について説明をする。
H−NMR分析:測定には、DRX−500(ブルカーバイオスピン製)を用いた。試料を、CDClなどの重水素化溶媒に溶解させ、室温で、500MHz、積算回数24回などの条件で測定した。内部標準としてはテトラメチルシランを用いた。NMRスペクトルの説明において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、mはマルチプレットであることを意味する。
紫外可視分光分析:測定には、島津製作所製のPharmaSpec UV‐1700を用いた。検出波長は190nmから700nmとした。試料はアセトニトリルに溶解させて、0.01mmol/Lの溶液を調製し、石英セル(光路長1cm)に入れて測定した。
示差走査熱量測定:パーキンエルマー社製走査熱量計DSC−7システム、またはDiamond DSCシステムを用いた。試料を3℃/分の速度で昇降温した。試料の相変化に伴う吸熱ピーク、または発熱ピークの開始点を外挿により求め、融点を決定した。
HPLC分析:測定には、島津製作所製のProminence(LC−20AD;SPD−20A)を用いた。カラムはワイエムシー製のYMC−Pack ODS−A(長さ150mm、内径4.6mm、粒子径5μm)を用いた。溶出液はアセトニトリル/水(容量比:80/20)を用い、流速は1mL/分に調整した。検出器としてはUV検出器、RI検出器、CORONA検出器などを適宜用いた。UV検出器を用いた場合、検出波長は254nmとした。試料はアセトニトリルに溶解させ、この溶液(0.1重量%)の1μLを試料室に注入した。記録計としては島津製作所製のC−R7Aplusを用いた。得られたクロマトグラムは、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積を示した。
HPLCより得られたクロマトグラムにおけるピークの面積比は成分化合物の割合に関連する。一般には、成分化合物の重量%は、成分化合物の面積%と同一ではない。しかしながら、上述したカラムを用いる場合には、成分化合物の重量%をピークの面積%から算出してよい。本発明においては、成分化合物の補正係数の間に大きな差異がないからである。
ガスクロマトグラフ分析:測定には島津製作所製のGC−2014型ガスクロマトグラフを用いた。キャリアーガスはヘリウム(2mL/分)である。試料気化室を280℃に、検出器(FID)を300℃に設定した。成分化合物の分離には、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm;固定液相はジメチルポリシロキサン;無極性)を用いた。このカラムは、200℃で2分間保持したあと、5℃/分の割合で280℃まで昇温した。試料はトルエン溶液(0.1重量%)に調製したあと、その1μLを試料気化室に注入した。記録計は島津製作所製のC−R7A型Chromatopac、またはその同等品である。得られたガスクロマトグラムは、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積を示した。
試料を希釈するための溶媒は、クロロホルム、ヘキサンなどを用いてもよい。成分化合物を分離するために、次のキャピラリカラムを用いてもよい。Agilent Technologies Inc.製のHP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation製のRtx−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE International Pty. Ltd製のBP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)。化合物ピークの重なりを防ぐ目的で島津製作所製のキャピラリカラムCBP1−M50−025(長さ50m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いてもよい。
組成物に含有される液晶性化合物の割合は、次のような方法で算出する。液晶性化合物はガスクロマトグラフで検出できる。ガスクロマトグラムにおけるピークの面積比は液晶性化合物の割合(モル比)に相当する。上に記載したキャピラリカラムを用いたときは、各々の液晶性化合物の補正係数を1とみなしてよい。したがって、液晶性化合物の割合(重量百分率)は、モル比で補正することによってピークの面積比から算出できる。
[実施例1]
Figure 2014141648

化合物(1−1−1−3)は次のように合成した。6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(1.00g)、濃硫酸(0.55g)、イソブタノール(10ml)の混合物を80℃で5時間かくはんした。反応混合物を冷却した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン)で精製した後、ヘプタンから再結晶してイソブチルエステル体(1.00g)を得た。融点:86.1℃。
プロトンNMR(δppm;CDCl):0.80(dd,6H),1.60(s,3H),1.78−1.89(m,1H),2.05(s,3H),2.15(s,3H),2.18(s,3H),2.41−2.46(m,1H),2.48−2.53(m,1H),2.61−2.67(m,1H),3.77−3.81(m,1H),3.85−3.88(m,1H),4.20(s,1H).
[実施例2]
Figure 2014141648

化合物(1−1−1−4)は次のように合成した。6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(1.00g)、トリフェニルホスフィン(1.36g)、イソプロパノール(0.36ml)、テトラヒドロフラン(20ml)の混合物にビス(2−メトキシエチル)アゾジカルボキシレート(1.22g)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液を5℃で滴下した後、室温にもどして5時間かくはんした。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン:酢酸エチル=9:1(容量比))で精製した後、ヘプタンで2回再結晶してイソプロピルエステル体(0.49g)を得た。融点:120.5℃。
プロトンNMR(δppm;CDCl):0.07(d,3H),1.19(d,3H),1.58(s,3H),1.82−1.88(m,1H),2.05(s,3H),2.15(s,3H),2.18(s,3H),2.39−2.43(m,1H),2.48−2.55(m,1H),2.61−2.66(m,1H),4.22(s,1H),4.91−4.96(m,1H).
[実施例3]
Figure 2014141648

化合物(1−1−1−2)は次のように合成した。6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(1g)、濃硫酸(0.55g)、メタノール(10ml)の混合物を5時間還流した。反応混合物を冷却した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン:酢酸エチル=9:1(容量比))で精製した後、ヘプタンで再結晶してメチルエステル体(0.95g)を得た。融点:155℃。
プロトンNMR(δppm;CDCl):1.59(t,3H),1.83−1.89(m,1H),2.06(s,3H),2.15(s,3H),2.18(s,3H),2.40−2.45(m,1H),2.48−2.55(m,1H),2.61−2.66(m,1H),3.66(s,3H),4.24(s,1H).
[実施例4]
Figure 2014141648

化合物(1−1−1−1)は次のように合成した。6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(1g)、濃硫酸(0.55g)、ブタノール(10ml)の混合物を80℃で5時間かくはんした。反応混合物を冷却した後、水と酢酸エチルを加えて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン)で精製した後、ヘプタンで再結晶してブチルエステル体(1.14g)を得た。融点:107.9℃。
プロトンNMR(δppm;CDCl):0.83(t,3H),1.17−1.24(m,2H),1.47−1.55(m,2H),1.59(s,3H),1.83−1.89(m,1H),2.05(s,3H),2.15(s,3H),2.18(s,3H),2.40−2.45(m,1H),2.48−2.55(m,1H),2.61−2.66(m,1H),3.99−4.09(m,2H),4.20(s,1H).
[実施例5]
Figure 2014141648

化合物(1−2−1−1)は次のように合成した。化合物(1−1−1−2)(8g)をジクロロメタン(80ml)に溶解させた。0℃まで氷冷し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(6ml)を加え、その後クロロメチルメチルエーテル(2.5ml)を加えた。6時間かくはんした後、水とトルエンを加えて抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン:酢酸エチル=9:1(容量比))で精製してメトキシメチル体(9g)を得た。
LAH(0.7g)をTHF(90ml)に溶解させ、−10℃まで冷却した。そこにメトキシメチル体(9g)のTHF溶液を滴下した。5時間かくはんした後、酢酸エチルを滴下した。塩化アンモニウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン:酢酸エチル=9:1(容積比))で精製してアルコール体(8g)を得た。
アルコール体(8g)をTHF(80ml)に溶解させ、0℃まで氷冷した。水素化ナトリウム(1.5g)を加え、1時間かくはんした。ヨウ化メチル(4.8g)を加え、4時間かくはんした。塩化アンモニウム水溶液を加え酢酸エチルを加えて抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン:酢酸エチル=19:1(容量比))で精製してエーテル体(8g)を得た。
エーテル体(8g)をTHF(80ml)に溶解させ、3N−HCl(10ml)を加えた。室温で24時間かくはんした。反応終了後、水と酢酸エチルを加えて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン:酢酸エチル=9:1(容量比))で精製した後、ヘプタンで再結晶して化合物(1−2−1−1)(7g)を得た。融点:101.0℃。
プロトンNMR(δppm;CDCl):1.26(t,3H),1.72−1.77(m,1H),1.93−1.99(m,1H),2.10(s,3H),2.11(s,3H),2.15(s,3H),2.61(t,2H),3.34−3.45(m,2H),3.41(s,3H),4.20(s,1H).
測定試料:液晶性化合物の上限温度などの特性を測定するときには、この化合物を母液晶に混合して、測定用の試料を調製した。化合物の誘電率異方性がゼロまたは正であるときは、下記の母液晶(A)を用いた。各成分の割合は、重量%である。一方、液晶組成物は、そのまま測定に供した。
Figure 2014141648
化合物の誘電率異方性がゼロまたは負であるときは、下記の母液晶(B)を用いた。各成分の割合は、重量%である。
Figure 2014141648
特性は下記の方法にしたがって測定した。それらの多くは、社団法人電子情報技術産業協会(Japan Electronics and Information Technology Industries Association;JEITAという)で審議制定されるJEITA規格(JEITA ED−2521B)に記載された方法、またはこれを修飾した方法である。
(1)ネマチック相の上限温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
(2)ネマチック相の下限温度(T;℃):ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、Tを<−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
(3)粘度(バルク粘度;η;20℃で測定;mPa・s):測定には東京計器株式会社製のE型回転粘度計を用いた。
(4)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s):測定は、M. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。
誘電率異方性が正の組成物については、ツイスト角が0°であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。この素子に16Vから19.5Vの範囲で0.5V毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文中の40頁に記載の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算で必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度を測定した素子を用い、下に記載した方法で求めた。
誘電率異方性が負の組成物については、ツイスト角が0°であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmであるVA素子に試料を入れた。この素子に39Vから50Vの範囲で1V毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。回転粘度の値は、上の段落に記載した手順に従って求めた。
(5)光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定):測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n‖は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
(6)誘電率異方性(Δε;25℃で測定):誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。誘電率(ε‖およびε⊥)は次のように測定した。
誘電率異方性が正の組成物については、2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。
誘電率異方性が負の組成物については、次のように測定した。
1)誘電率(ε‖)の測定:よく洗浄したガラス基板にオクタデシルトリエトキシシラン(0.16mL)のエタノール(20mL)溶液を塗布した。ガラス基板をスピンナーで回転させたあと、150℃で1時間加熱した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであるVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤で密閉した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。
2)誘電率(ε⊥)の測定:よく洗浄したガラス基板にポリイミド溶液を塗布した。このガラス基板を焼成した後、得られた配向膜にラビング処理をした。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、ツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。
(7)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。
誘電率異方性が正の組成物については、2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が0.45 / Δn (μm)であり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(32Hz、矩形波)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧で表した。
誘電率異方性が負の組成物については、2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のVA素子に試料を入れた。この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。この素子に印加する電圧(60Hz、矩形波)は0Vから20Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が10%になったときの電圧で表した。
(8)電圧保持率(VHR−i;25℃;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線で硬化する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率で表した。
(9)電圧保持率(VHR−u;25℃;%):紫外線を照射したあと、電圧保持率を測定し、紫外線に対する安定性を評価した。測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そしてセルギャップは5μmである。この素子に試料を注入し、光を20分間照射した。光源は超高圧水銀ランプUSH−500D(ウシオ電機製)であり、素子と光源の間隔は20cmである。VHR−uの測定では、減衰する電圧を16.7ミリ秒のあいだ測定した。大きなVHR−uを有する組成物は紫外線に対して大きな安定性を有する。VHR−uは90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
(10)電圧保持率(VHR−h;25℃;%):試料を注入したTN素子を150℃の恒温槽内で1時間加熱したあと、電圧保持率を測定し、熱に対する安定性を評価した。VHR−hの測定では、減衰する電圧を16.7ミリ秒のあいだ測定した。大きなVHR−hを有する組成物は熱に対して大きな安定性を有する。
(11)応答時間(τ;25℃で測定;ms):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。
誘電率異方性が正の組成物については、2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5.0μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に矩形波(60Hz、5V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である。立ち上がり時間(τr:rise time;ミリ秒)は、透過率が90%から10%に変化するのに要した時間である。立ち下がり時間(τf:fall time;ミリ秒)は透過率10%から90%に変化するのに要した時間である。応答時間は、このようにして求めた立ち上がり時間と立ち下がり時間との和で表した。
誘電率異方性が負の組成物については、2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のVA素子に試料を入れ、この素子をUV硬化の接着剤を用いて密閉した。この素子に矩形波(60Hz、10V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である。応答時間は透過率90%から10%に変化するのに要した時間(立ち下がり時間;fall time;ミリ秒)で表した。
(12)弾性定数(K;25℃で測定;pN):誘電率異方性が正の組成物について、測定には横河・ヒューレットパッカード株式会社製のHP4284A型LCRメータを用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmである水平配向素子に試料を入れた。この素子に0ボルトから20ボルト電荷を印加し、静電容量および印加電圧を測定した。測定した静電容量(C)と印加電圧(V)の値を『液晶デバイスハンドブック』(日刊工業新聞社)、75頁にある式(2.98)、式(2.101)を用いてフィッティングし、式(2.99)からK11およびK33の値を得た。次に同171頁にある式(3.18)に、先ほど求めたK11およびK33の値を用いてK22を算出した。弾性定数は、このようにして求めたK11、K22、およびK33の平均値で表した。
(13)弾性定数(K11:広がり(splay)弾性定数、K33:曲げ(bend)弾性定数;25℃で測定;pN):誘電率異方性が負の組成物について、測定には株式会社東陽テクニカ製のEC−1型弾性定数測定器を用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmである垂直配向素子に試料を入れた。この素子に20ボルトから0ボルト電荷を印加し、静電容量および印加電圧を測定した。測定した静電容量(C)と印加電圧(V)の値を『液晶デバイスハンドブック』(日刊工業新聞社)、75頁にある式(2.98)、式(2.101)を用いてフィッティングし、式(2.100)から弾性定数の値を得た。
(14)比抵抗(ρ;25℃で測定;Ωcm):電極を備えた容器に試料1.0mLを注入した。この容器に直流電圧(10V)を印加し、10秒後の直流電流を測定した。比抵抗は次の式から算出した。(比抵抗)={(電圧)×(容器の電気容量)}/{(直流電流)×(真空の誘電率)}。
(15)らせんピッチ(P;室温で測定;μm):らせんピッチはくさび法にて測定した(液晶便覧196頁(2000年発行、丸善))。試料をくさび形セルに注入し、室温で2時間静置した後、ディスクリネーションラインの間隔(d2−d1)を偏光顕微鏡(ニコン(株)、商品名MM40/60シリーズ)にて観察した。らせんピッチ(P)は、くさびセルの角度をθと表した次の式から算出した。
P=2×(d2−d1)×tanθ
(16)ORAC分析(ORAC値;μmolTE/g;TE:Trolox Equivalent):活性酸素吸収能力(Oxygen Radical Absorbance Capacity)は、米国農務省で開発された方法に従って測定した。ORAC値は、試料1g当りのトロロックス相当のマイクロモル数として表した。
液晶組成物の比較例および実施例において、化合物は下記の表3の定義に基づいて記号により表した。表3において、1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。記号の後にあるかっこ内の番号は化合物の番号に対応する。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、添加物を含まない液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、組成物の特性値をまとめた。
Figure 2014141648
[実施例M1]比較実験−1
誘電率異方性が正である液晶組成物aを調製した。成分と割合(重量%)は下記のとおりである。この組成物を大気中、150℃に加熱し、上限温度(NI)を測定した。
液晶組成物a:
Figure 2014141648
また、液晶組成物aに、本発明の化合物(1−1−1−1)を0.05重量%の割合で添加した。この組成物も同じ条件で加熱した。2つの組成物の上限温度の経時変化を表4にまとめた。表4から分かるように、組成物aの上限温度は、時間と共に低下したが、化合物(1−1−1−1)を添加した組成物の場合は、上限温度は低下しなかった。この結果は、化合物(1−1−1−1)が組成物の劣化を防止するために有効であることを示す。
Figure 2014141648
表4.上限温度(℃)の経時変化
Figure 2014141648
[実施例M2]比較実験−2
誘電率異方性が負である液晶組成物bを調製した。成分と割合(重量%)は下記のとおりであった。
液晶組成物b:
Figure 2014141648
化合物(5−1)は、BHTと略称される酸化防止剤である。液晶組成物bに化合物(5−1)を0.05重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

また、液晶組成物bに本発明の化合物(1−1−1−1)を0.05重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648
液晶組成物b、液晶組成物bに化合物(5−1)を添加した組成物、および液晶組成物bに化合物(1−1−1−1)を添加した組成物の3種類の試料を前記の測定法(8)から(10)に従って電圧保持率を測定した。VHR−iは、初期の状態(未処理)で測定した。VHR−uは、紫外線を25℃で20分照射した後で測定した。VHR−hは、150℃で1時間加熱した後で測定した。測定結果を表5に示す。液晶組成物bおよび液晶組成物bに化合物(5−1)を添加した組成物では、紫外線または熱によって電圧保持率が低下した。加熱した場合には、電圧保持率が大きく低下した。一方、液晶組成物bに化合物(1−1−1−1)を添加した組成物では、紫外線による低下はなかった。加熱した場合でも低下は4.0%であった。この結果は、化合物(1−1−1−1)が組成物の劣化を防止するために有効であることを示す。
したがって、表4と表5の結果から本発明の液晶組成物は、熱および紫外線に対して高い安定性を有すると結論できる。
表5.紫外線照射および加熱による電圧保持率(%)の変化
Figure 2014141648
[実施例M3]
3−HH−V (2−1−1) 46%
V−HHB−1 (2−5−1) 11%
1−BB(F)B−2V (2−8−1) 7%
2−BB(F)B−2V (2−8−1) 9%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3−1) 5%
3−GB(F,F)XB(F,F)−F (3−4−1) 5%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (3−10−1) 3%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (3−10−1) 6%
3−BB(F)B(F,F)XB(F)−F (3−10−2) 3%
3−HBB−F (3−14) 5%
上記の組成物に化合物(1−1−1−1)を0.05重量%の割合で、
Figure 2014141648

および化合物(1−1−1−2)を0.05重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=78.7℃;Tc<−20℃;Δε=4.3;Δn=0.118;η=13.4mPa・s;Vth=2.11V.
[実施例M4]
3−HH−V (2−1−1) 21%
3−HB−O2 (2−2−1) 6%
V−HHB−1 (2−5−1) 7%
2−BB(F)B−3 (2−8−1) 3%
5−HBBH−3 (2−11−1) 5%
5−HB(F)BH−3 (2−12−1) 3%
5−HBB(F)B−2 (2−13−1) 4%
5−HXB(F,F)−F (3−1−1) 5%
3−BBXB(F,F)−F (3−2−1) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3−1) 6%
3−HHXB(F,F)−F (3−5−1) 8%
4−HBB(F,F)XB(F,F)−F (3−6−1) 3%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (3−10−1) 8%
5−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (3−10−1) 3%
3−HBB(F,F)−F (3−14−1) 6%
3−BB(F)B(F,F)−CF3 (3−17−2) 4%
3−HHBB(F,F)−F (3−18−1) 3%
上記の組成物に化合物(1−1−1−2)を0.05重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=89.1℃;Tc<−20℃;Δε=7.8;Δn=0.116;η=15.3mPa・s;Vth=1.88V.
[実施例M5]
2−HH−3 (2−1−1) 19%
3−HH−4 (2−1−1) 9%
3−HHB−1 (2−5−1) 6%
2−BB(F)B−5 (2−8−1) 3%
5−HBB(F)B−2 (2−13−1) 6%
5−HBB(F)B−3 (2−13−1) 6%
3−BBXB(F,F)−F (3−2−1) 6%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3−1) 7%
3−dhB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (3−9−1) 3%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (3−10−1) 4%
3−HB−CL (3−12−1) 10%
3−HHB−CL (3−13) 3%
5−HHB−CL (3−13) 4%
3−HBB(F,F)−F (3−14−1) 8%
3−HHBB(F,F)−F (3−18−1) 3%
4−HHBB(F,F)−F (3−18−1) 3%
上記の組成物に化合物(1−1−1−1)を0.1重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=97.2℃;Tc<−20℃;Δε=5.7;Δn=0.121;η=15.5mPa・s;Vth=2.25V.
[実施例M6]
2−HH−5 (2−1−1) 8%
3−HH−4 (2−1−1) 10%
7−HB−1 (2−2−1) 5%
5−HBB−2 (2−6−1) 5%
3−HHEBH−3 (2−9−1) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3−1) 14%
3−HHXB(F,F)−CF3 (3−5) 5%
3−HB−CL (3−12−1) 8%
2−HHB(F,F)−F (3−13−1) 10%
3−HHB−CL (3−13) 3%
3−HHB−F (3−13) 4%
3−HBB−F (3−14) 3%
3−HBB(F)−F (3−14) 10%
5−HBB(F)−F (3−14) 10%
上記の組成物に化合物(1−1−1−2)を0.05重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=76.4℃;Tc<−20℃;Δε=6.2;Δn=0.096;η=18.1mPa・s;Vth=1.84V.
[実施例M7]
3−HH−V (2−1−1) 34%
3−HH−V1 (2−1−1) 10%
4−HH−V1 (2−1−1) 3%
1V2−HHB−1 (2−5−1) 6%
3−BB(F)B−5 (2−8−1) 5%
1−BB(F)B−2V (2−8−1) 6%
2−BB(F)B−2V (2−8−1) 7%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3−1) 13%
3−BB(F,F)XB(F)−OCF3 (3−3) 3%
4−HHB(F,F)XB(F,F)−F (3−7−1) 4%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (3−10−1) 3%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (3−10−1) 6%
上記の組成物に化合物(1−1−1−3)を0.05重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=75.3℃;Tc<−20℃;Δε=5.3;Δn=0.119;η=13.4mPa・s;Vth=1.95V.
[実施例M8]
3−HH−V (2−1−1) 18%
5−HB−O2 (2−2−1) 5%
V2−BB−1 (2−3−1) 5%
V−HHB−1 (2−5−1) 14%
V2−HHB−1 (2−5−1) 5%
5−B(F)BB−2 (2−7−1) 5%
5−HBB(F)B−2 (2−13−1) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3−1) 10%
3−BB(F,F)XB(F)−OCF3 (3−3) 5%
3−HHXB(F,F)−F (3−5−1) 7%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (3−10−1) 5%
4−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F (3−11−1) 4%
3−HBB(F,F)−F (3−14−1) 3%
3−GHB(F,F)−F (3−15−1) 5%
3−HHBB(F,F)−F (3−18−1) 4%
上記組成物に化合物(1−1−1−4)を0.15重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=87.6℃;Tc<−20℃;Δε=8.5;Δn=0.125;η=16.5mPa・s;Vth=1.80V.
[実施例M9]
3−HH−V (2−1−1) 32%
1V2−BB−1 (2−3−1) 4%
3−HHB−O1 (2−5−1) 4%
2−BB(F)B−3 (2−8−1) 7%
2−BB(F)B−5 (2−8−1) 8%
3−BBXB(F,F)−F (3−2−1) 5%
3−BB(F)B(F,F)XB(F)−F (3−10−2) 5%
3−HBB(F)−F (3−14) 10%
3−HHEB(F,F)−F (3−16−1) 10%
4−HHEB(F,F)−F (3−16−1) 4%
3−BB(F)B(F,F)−F (3−17−1) 6%
1O1−HBBH−3 (−) 5%
上記組成物に化合物(1−1−1−1)を0.1重量%の割合で、
Figure 2014141648

および化合物(5−7)を0.05重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=90.4℃;Tc<−20℃;Δε=4.2;Δn=0.128;η=13.1mPa・s;Vth=2.45V.
[実施例M10]
3−HH−V (2−1−1) 37%
3−HH−VFF (2−1−1) 8%
3−HHEH−3 (2−4−1) 3%
3−HHB−O1 (2−5−1) 3%
2−BB(F)B−3 (2−8−1) 5%
3−HB(F)HH−5 (2−10−1) 5%
3−GB(F,F)XB(F,F)−F (3−4−1) 3%
3−HBBXB(F,F)−F (3−6−1) 5%
4−GB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (3−8−1) 7%
3−BB(F)B(F,F)XB(F)−F (3−10−2) 10%
3−HHB(F)−F (3−13) 3%
3−BB(F)B(F,F)−F (3−17−1) 8%
3−HHBB(F,F)−F (3−18−1) 3%
上記組成物に化合物(1−1−1−2)を0.1重量%の割合で、
Figure 2014141648

および化合物(5−7)を0.05重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=91.1℃;Tc<−20℃;Δε=7.2;Δn=0.109;η=15.2mPa・s;Vth=2.00V.
[実施例M11]
V−HH−3 (2−1−1) 28%
1−BB−3 (2−3−1) 5%
3−HHB−1 (2−5−1) 3%
3−HHB−3 (2−5−1) 3%
5−B(F)BB−2 (2−7−1) 5%
5−B(F)BB−3 (2−7−1) 3%
3−BB(2F,3F)−O2 (4−4−1) 9%
5−BB(2F,3F)−O2 (4−4−1) 4%
V−HHB(2F,3F)−O2 (4−6−1) 11%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (4−8−1) 12%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (4−8−1) 14%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (4−11−1) 3%
上記組成物に化合物(1−1−1−1)を0.1重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=83.6℃;Tc<−20℃;Δε=−3.3;Δn=0.108;η=17.7mPa・s;Vth=2.31V.
[実施例M12]
2−HH−3 (2−1−1) 25%
3−HB−O2 (2−2−1) 8%
3−HHEH−4 (2−4−1) 3%
3−HHB−1 (2−5−1) 3%
V−HHB−1 (2−5−1) 5%
3−HHEBH−3 (2−9−1) 4%
3−HB(F)HH−5 (2−10−1) 3%
3−H2B(2F,3F)−O2 (4−2−1) 15%
5−H2B(2F,3F)−O2 (4−2−1) 7%
3−HBB(2F,3F)−O2 (4−13−1) 8%
4−HBB(2F,3F)−O2 (4−13−1) 8%
3−dhBB(2F,3F)−O2 (4−14−1) 6%
3−HH1OCro(7F,8F)−5 (4−19−1) 5%
上記組成物に化合物(1−1−1−2)を0.1重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=85.1℃;Tc<−20℃;Δε=−3.1;Δn=0.093;η=20.4mPa・s;Vth=2.46V.
[実施例M13]
V−HH−3 (2−1−1) 30%
VFF−HH−3 (2−1−1) 5%
V2−BB−1 (2−3−1) 5%
1−BB(F)B−2V (2−8−1) 3%
3−HB(2F,3F)−O2 (4−1−1) 11%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (4−3−1) 3%
3−HHB(2F,3F)−O2 (4−6−1) 10%
5−HHB(2F,3F)−O2 (4−6−1) 8%
2−BB(2F,3F)B−3 (4−9−1) 6%
3−HBB(2F,3F)−O2 (4−13−1) 10%
4−HBB(2F,3F)−O2 (4−13−1) 4%
5−HBB(2F,3F)−O2 (4−13−1) 5%
上記組成物に化合物(1−1−1−3)を0.1重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=84.3℃;Tc<−20℃;Δε=−2.9;Δn=0.109;η=15.4mPa・s;Vth=2.52V.
[実施例M14]
3−HH−4 (2−1−1) 5%
3−HH−O1 (2−1−1) 6%
V−HH−3 (2−1−1) 29%
3−HHB−1 (2−5−1) 3%
3−HHB−3 (2−5−1) 3%
2−BB(F)B−3 (2−8−1) 7%
3−HHEBH−3 (2−9−1) 4%
3−HHEBH−4 (2−9−1) 3%
3−H2B(2F,3F)−O2 (4−2−1) 12%
5−H2B(2F,3F)−O2 (4−2−1) 8%
3−HBB(2F,3F)−O2 (4−13−1) 10%
4−HBB(2F,3F)−O2 (4−13−1) 5%
3−HH1OCro(7F,8F)−5 (4−19−1) 5%
上記組成物に化合物(1−1−1−1)を0.05重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=79.7℃;Tc<−20℃;Δε=−2.3;Δn=0.094;η=15.1mPa・s;Vth=2.62V.
[実施例M15]
2−HH−3 (2−1−1) 24%
1V−HH−3 (2−1−1) 6%
5−HB−O2 (2−2−1) 7%
3−HHB−1 (2−5−1) 3%
3−HBB−2 (2−6−1) 3%
3−HB(F)HH−5 (2−10−1) 3%
5−HBB(F)B−2 (2−13−1) 4%
3−HB(2F,3F)−O2 (4−1−1) 15%
5−HB(2F,3F)−O2 (4−1−1) 9%
2O−B(2F,3F)B(2F,3F)−O6 (4−5−1) 3%
3−DhHB(2F,3F)−O2 (4−10−1) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (4−13−1) 10%
4−HBB(2F,3F)−O2 (4−13−1) 5%
5−HBB(2F,3F)−O2 (4−13−1) 5%
上記組成物に化合物(1−1−1−2)を0.05重量%の割合で、
Figure 2014141648

および化合物(1−1−1−3)を0.05重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=77.4℃;Tc<−20℃;Δε=−2.9;Δn=0.100;η=17.2mPa・s;Vth=2.37V.
[実施例M16]
V−HH−3 (2−1−1) 32%
V−HH−5 (2−1−1) 7%
5−HBBH−3 (2−11−1) 3%
3−HB(F)BH−3 (2−12−1) 3%
V−HB(2F,3F)−O2 (4−1−1) 11%
V−HB(2F,3F)−O4 (4−1−1) 3%
3−HH2B(2F,3F)−O2 (4−7−1) 3%
3−DhH1OB(2F,3F)−O2 (4−12−1) 5%
3−HBB(2F,3F)−O2 (4−13−1) 8%
4−HBB(2F,3F)−O2 (4−13−1) 4%
5−HBB(2F,3F)−O2 (4−13−1) 6%
3−HEB(2F,3F)B(2F,3F)−O4 (4−15−1) 3%
3−HHB(2F,3CL)−O2 (4−16−1) 3%
5−HHB(2F,3CL)−O2 (4−16−1) 3%
3−HBB(2F,3CL)−O2 (4−17−1) 3%
V−HBB(2F,3CL)−O2 (4−17−1) 3%
上記組成物に化合物(1−1−1−2)を0.05重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=85.0℃;Tc<−20℃;Δε=−3.0;Δn=0.094;η=19.1mPa・s;Vth=2.49V.
[実施例M17]
V−HH−3 (2−1−1) 33%
3−HB−O2 (2−2−1) 5%
3−HHB−1 (2−5−1) 3%
V−HHB−1 (2−5−1) 5%
1V−HBB−2 (2−6−1) 3%
1−BB(F)B−2V (2−8−1) 3%
3−HB(2F,3F)−O2 (4−1−1) 8%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (4−3−1) 5%
3−HHB(2F,3F)−O2 (4−6−1) 6%
3−HHB(2F,3F)−1 (4−6−1) 5%
1V2−HHB(2F,3F)−O2 (4−6−1) 5%
2−BB(2F,3F)B−3 (4−9−1) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (4−13−1) 10%
3−H1OCro(7F,8F)−5 (4−18−1) 3%
1O1−HBBH−5 (−) 3%
上記組成物に化合物(1−1−1−1)を0.05重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=88.1℃;Tc<−20℃;Δε=−2.5;Δn=0.103;η=13.7mPa・s;Vth=2.57V.
[実施例M18]
V−HH−3 (2−1−1) 30%
V2−HB−1 (2−2−1) 4%
3−HHB−1 (2−5−1) 3%
3−HHB−O1 (2−5−1) 3%
5−HB(F)HH−V (2−10−1) 3%
3−BB(2F,3F)−O2 (4−4−1) 10%
2O−BB(2F,3F)−O2 (4−4−1) 3%
V−HHB(2F,3F)−O2 (4−6−1) 10%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (4−8−1) 10%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (4−8−1) 14%
2−BB(2F,3F)B−3 (4−9−1) 5%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (4−11−1) 5%
上記組成物に化合物(1−1−1−1)を0.05重量%の割合で、
Figure 2014141648

および化合物(5−7)を0.05重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=88.2℃;Tc<−20℃;Δε=−3.5;Δn=0.099;η=18.5mPa・s;Vth=2.33V.
[実施例M19]
V−HH−3 (2−1−1) 21%
3−HB−O2 (2−2−1) 3%
V−HHB−1 (2−5−1) 7%
2−BB(F)B−3 (2−8−1) 3%
5−HBBH−3 (2−11−1) 5%
5−HB(F)BH−3 (2−12−1) 3%
5−HBB(F)B−2 (2−13−1) 4%
5−HXB(F,F)−F (3−1−1) 5%
3−BBXB(F,F)−F (3−2−1) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−3−1) 9%
3−HHXB(F,F)−F (3−5−1) 8%
4−HBB(F,F)XB(F,F)−F (3−6−1) 3%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (3−10−1) 8%
5−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (3−10−1) 3%
3−HBB(F,F)−F (3−14−1) 6%
3−BB(F)B(F,F)−CF3 (3−17−2) 4%
3−HHBB(F,F)−F (3−18−1) 3%
上記の組成物に化合物(1−2−1−1)を0.05重量%の割合で添加した。

Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=88.1℃;Tc<−20℃;Δε=8.7;Δn=0.117;η=16.5mPa・s;Vth=1.79V.
[実施例M20]
V−HH−3 (2−1−1) 31%
3−HB−O2 (2−2−1) 5%
3−HHB−1 (2−5−1) 3%
V−HHB−1 (2−5−1) 5%
1V−HBB−2 (2−6−1) 3%
1−BB(F)B−2V (2−8−1) 3%
3−HB(2F,3F)−O2 (4−1−1) 9%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (4−3−1) 6%
3−HHB(2F,3F)−O2 (4−6−1) 6%
3−HHB(2F,3F)−1 (4−6−1) 5%
1V2−HHB(2F,3F)−O2 (4−6−1) 5%
2−BB(2F,3F)B−3 (4−9−1) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (4−13−1) 10%
3−H1OCro(7F,8F)−5 (4−18−1) 3%
1O1−HBBH−5 (−) 3%
上記組成物に化合物(1−2−1−1)を0.05重量%の割合で添加した。
Figure 2014141648

この添加後の組成物の特性は次のとおりであった。
NI=87.4℃;Tc<−20℃;Δε=−2.6;Δn=0.103;η=14.6mPa・s;Vth=2.50V.
本発明の液晶組成物は、高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、大きな弾性定数、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性などの特性において、少なくとも1つの特性を充足する、または少なくとも2つの特性に関して適切なバランスを有する。この組成物を含有する液晶表示素子は、液晶プロジェクター、液晶テレビなどに用いることができる。

Claims (27)

  1. 添加物として、式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、ネマチック相を有する液晶組成物。
    Figure 2014141648

    式(1)において、
    、L、L、およびWは独立して、水素、ハロゲン、−COOH、または炭素数1から10のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
    は炭素数1から30のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、または−NH−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CHCH−は−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CHは、−OH、−SH、−C≡N、−COOH、−NO、または−NHで置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
  2. 添加物が、式(1−1)から式(1−5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項1に記載の液晶組成物。
    Figure 2014141648

    式(1−1)から式(1−5)において、
    、L、L、およびWは独立して、水素、フッ素、塩素、−COOH、または炭素数1から10のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
    は炭素数1から20のアルキルまたは炭素数2から20のアルケニルであり、このアルキルまたはアルケニルにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
    は−NOまたは−NHであり;
    は炭素数1から5のアルキレンまたは単結合であり;
    は0または1である。
  3. 添加物が、L、LおよびLが独立して、水素、フッ素、または−CHであり;Wが水素または炭素数1から10のアルキルであり;Vが炭素数1から20のアルキルまたは炭素数2から20のアルケニルであり、このアルキルまたはアルケニルにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;Vが−NOまたは−NHであり;Zが炭素数1から5のアルキレンまたは単結合であり;mが0または1である;式(1−1)から式(1−5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項2に記載の液晶組成物。
  4. 添加物が、L、LおよびLが−CHであり;Wが−CHであり;Vが−(CH−CH(CH(ここで、jは0から17の整数である)であり;Zが単結合である;式(1−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項2に記載の液晶組成物。
  5. 添加物が、L、LおよびLが−CHであり;Wが−CHであり;Vが炭素数1から20のアルキルまたは炭素数2から20のアルケニルであり;Zが単結合である;式(1−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項2に記載の液晶組成物。
  6. 請求項1に記載の式(1)で表される化合物とは異なる少なくとも1つの酸化防止剤を添加物として含有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  7. 液晶組成物の重量に基づいて、請求項1に記載の式(1)で表される化合物の割合が0.005重量%から3重量%の範囲である、請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  8. 式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を第一成分として含有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の液晶組成物。
    Figure 2014141648

    式(2)において、
    およびRは独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;
    環Aおよび環Bは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;
    は、単結合、エチレン、水素がフッ素で置き換えられたビニレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;
    nは、1、2、または3である。
  9. 第一成分が、式(2−1)から式(2−13)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項8に記載の液晶組成物。
    Figure 2014141648

    式(2−1)から式(2−13)において、RおよびRは独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。
  10. 第一成分が、請求項9に記載の式(2−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物と、式(2−2)から式(2−13)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物との混合物である、請求項9に記載の液晶組成物。
  11. 液晶組成物の重量に基づいて、第一成分の割合が10重量%から90重量%の範囲である、請求項8から10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  12. 式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を第二成分として含有する、請求項8に記載の液晶組成物。
    Figure 2014141648

    式(3)において、
    は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり;
    環Cは、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり;
    およびXは独立して、水素またはフッ素であり;
    は、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり;
    は、単結合、エチレン、カルボニルオキシ、またはジフルオロメチレンオキシであり;
    pは、1、2または3である。
  13. 第二成分が、式(3−1)から式(3−18)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項12に記載の液晶組成物。
    Figure 2014141648

    Figure 2014141648

    式(3−1)から式(3−18)において、
    は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり;
    、X、X、X、X、X、X、およびXは独立して、水素またはフッ素であり;
    は、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシである。
  14. 第二成分が、請求項13に記載の式(3−6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物と、式(3−1)から式(3−5)および式(3−7)から式(3−18)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物との混合物である請求項13に記載の液晶組成物。
  15. 液晶組成物の重量に基づいて、第二成分の割合が10重量%から90重量%の範囲である、請求項12から14のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  16. 式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を第三成分として含有する、請求項8に記載の液晶組成物。
    Figure 2014141648

    式(4)において、
    およびRは独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;
    環Dおよび環Fは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、またはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり;
    環Eは、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、または7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルであり;
    およびZは独立して、単結合、エチレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;
    qは、1、2または3であり、rは0または1であり、そしてqとrとの和は、1、2または3である。
  17. 第三成分が、式(4−1)から式(4−19)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項16に記載の液晶組成物。
    Figure 2014141648

    Figure 2014141648

    式(4−1)から式(4−19)において、RおよびRは独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。
  18. 第三成分が、請求項17に記載の式(4−4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物と、式(4−1)から式(4−3)および式(4−5)から式(4−19)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物との混合物である、請求項17に記載の液晶組成物。
  19. 液晶組成物の重量に基づいて、第三成分の割合が10重量%から90重量%の範囲である、請求項16から19のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  20. ネマチック相の上限温度が70℃以上であり、25℃で測定した波長589nmにおける光学異方性が0.07以上である、請求項1から19のいずれか1項に記載の液晶組成物
  21. 請求項1から20のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
  22. 液晶表示素子の動作モードが、TNモード、ECBモード、OCBモード、VAモード、IPSモード、PSAモード、FFSモード、またはFPAモードであり、液晶表示素子の駆動方式がアクティブマトリックス方式である、請求項21に記載の液晶表示素子。
  23. 請求項1から20のいずれか1項に記載の液晶組成物の液晶表示素子における使用。
  24. 式(1−1−a)または式(1−2−a)で表される化合物。
    Figure 2014141648

    式(1−1−a)または式(1−2−a)において、
    、LおよびLは独立して、水素、フッ素または−CHであり;Wは水素または炭素数1から10のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、1つまたは2つの−CH−CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
    は−(CH−CH(CH(ここで、jは0から17の整数である)または炭素数2から20のアルケニルであり、この−(CH−CH(CHまたはアルケニルにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
    11は炭素数1から5のアルキレンまたは単結合であり;
    12は炭素数1から5のアルキレンである。
  25. 請求項24に記載の式(1−1−a)または式(1−2−a)において、Vが−(CH−CH(CH(ここで、jは0から5の整数である)である、請求項24に記載の化合物。
  26. 請求項24または25に記載の化合物の酸化防止剤としての使用。
  27. 液晶組成物に、請求項24または25に記載の化合物を添加することによって、液晶組成物の劣化を防止する方法。
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