JP2014141534A - イソプロピルウノプロストンの分解抑制方法 - Google Patents

イソプロピルウノプロストンの分解抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】イソプロピルウノプロストンを含有する点眼液において、イソプロピルウノプロストンの分解を抑制し、点眼液を安定化すること。
【解決手段】イソプロピルウノプロストンを含有する点眼液にトロメタモールを配合すれば、点眼液中のイソプロピルウノプロストンの分解を効果的に抑制でき、安定に保存できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、イソプロピルウノプロストンを含有する点眼液にトロメタモールを配合することにより、点眼液中のイソプロピルウノプロストンの分解を抑制する方法、およびイソプロピルウノプロストンを含有する点眼液にトロメタモールを配合することにより、点眼液中のイソプロピルウノプロストンの分解が抑制された点眼液組成物に関する。
点眼液には、例えばラタノプロスト、イソプロピルウノプロストン、タフルプロスト、トラボプロスト等のプロスタグランジン誘導体、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、酢酸プレドニゾロン等のエステル化されたステロイド、パラオキシ安息香酸エチル、アミノ安息香酸エチル、プロカイン、アスピリン等のカルボン酸エステルなど熱に不安定な薬物を配合することがある。
しかし、流通過程や貯蔵過程で、点眼液の保管温度が上昇することがあり、点眼液に熱的に不安定な薬物が含まれている場合には、保管温度が上昇して該薬物が分解すると所望の薬効が発揮されず、さらに、浮遊物が発生したり、点眼液が白濁することもある。冷所で保管すれば、熱に不安定な薬物の分解を効果的に抑制できるが、点眼液は様々な環境に晒されるので、冷所での保管以外の方法で該薬物の分解を抑制する必要がある。
ところで、点眼液には、水溶性の有機アミンを緩衝剤として添加するのが一般的であるが、それ以外の目的で水溶性の有機アミンを配合することもある。
特許文献1は、抗アレルギー眼科用剤に関する発明を開示したものであり、ペミロラストカリウム(薬物)に有機アミンを配合することによって、ペミロラストカリウムの結晶析出を防止できることが記載されている。また、特許文献2は、テトラゾール誘導体を含有する点眼剤に関する発明を開示したものであり、塩基性アミン化合物を配合すればカチオン系防腐剤の防腐効果を増強できることが記載されている。
しかしながら、イソプロピルウノプロストンを含有する点眼液にトロメタモールを配合することによって、該薬物を安定化し、その分解を抑制する報告はない。
特開2003−146881号公報 特開2003−327530号公報
流通過程や貯蔵過程で点眼液の保管温度が上昇しても、点眼液に含まれるイソプロピルウノプロストンの分解を抑制し、該点眼液を安定化することが望まれている。
本発明者らは、イソプロピルウノプロストンの分解を抑制するために鋭意研究したところ、イソプロピルウノプロストンを含有する点眼液にトロメタモールを配合すれば、点眼液中のイソプロピルウノプロストンの分解を効果的に抑制でき、点眼液を安定に保存できることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)イソプロピルウノプロストンを含有する点眼液にトロメタモールを配合することにより、点眼液中のイソプロピルウノプロストンの分解を抑制する方法、
(2)イソプロピルウノプロストンを含有する点眼液にトロメタモールを配合し、かつ、pHを4〜8の範囲とすることにより、点眼液中のイソプロピルウノプロストンの分解を抑制する方法、
(3)イソプロピルウノプロストンを含有する点眼液にトロメタモールを配合することにより、点眼液中のイソプロピルウノプロストンの分解が抑制された点眼液組成物、および
(4)イソプロピルウノプロストンを含有する点眼液にトロメタモールを配合し、かつ、pHを4〜8の範囲とすることにより、点眼液中のイソプロピルウノプロストンの分解が抑制された点眼液組成物、である。
点眼液中のイソプロピルウノプロストンの濃度は、イソプロピルウノプロストンが所望の薬効を奏する濃度であれば特に制限されないが、例えば0.00001〜10%(W/V)である。
点眼液中のトロメタモールの濃度は特に制限されないが、0.001〜5%(W/V)が好ましく、より好ましくは0.005〜3%(W/V)である。
本発明の点眼液は汎用されている方法によって調製することができ、必要に応じて等張化剤、緩衝剤、pH調節剤、可溶化剤、増粘剤等を添加することができる。
等張化剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリハロース、シュクロース、ソルビトール、マンニトール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等を挙げることができる。
緩衝剤としては、例えばリン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム等のリン酸塩;ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等のホウ酸塩;クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等のクエン酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩等を挙げることができる。
pH調節剤としては、例えば塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を挙げることができる。
可溶化剤としては、例えばポリソルベート80、ポリエキシエチレン硬化ヒマシ油60、マクロゴール4000等を挙げることができる。
増粘剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
本発明の点眼液のpHは3〜9、特に4〜8とするのが好ましい。
イソプロピルウノプロストンを含有する点眼液にトロメタモールを配合すれば、点眼液中のイソプロピルウノプロストンの分解を効果的に抑制できるので、安定な点眼液を提供することができる。
[熱安定性試験]
熱的に不安定な薬物として、ラタノプロスト(化学名:イソプロピル−(Z)−7[(1R,2R,3R,5S)3,5−ジヒドロキシ−2−[(3R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル]シクロペンチル]−5−ヘプタノエート)を用いて、熱安定性試験を行った。
(1)試料調製
処方1
トロメタモール1gを精製水約80mLに溶解し、希塩酸でpHを7.0に調整し、精製水で全量100mLとし、基剤とした。ラタノプロスト5mgに基剤100mLを加え、約80℃の水浴中で加温しながら撹拌し、ラタノプロストを溶解させた。これを室温に戻した後pHが7.0であることを確認した。
比較処方1
リン酸二水素ナトリウム(緩衝剤)1gを精製水約80mLに溶解し、1N水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整し、精製水で全量100mLとし、基剤とした。ラタノプロスト5mgに基剤100mLを加え、約80℃の水浴中で加温しながら撹拌し、ラタノプロストを溶解させた。これを室温に戻した後pHが7.0であることを確認した。
(2)試験方法及び結果
処方1および比較処方1を5mLずつガラスアンプルに充填し、それぞれについて80℃で4週間および50℃で8週間保存した後、ラタノプロストの含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量し、残存率を求めた。試験結果を表1に示す。
Figure 2014141534
(3)考察
表1から明らかなように、トロメタモールを配合した点眼液(試料1)のラタノプロストの残存率は、リン酸二水素ナトリウムを配合した点眼液(比較試料1)の残存率よりも大きい。したがって、熱的に不安定な薬物(ラタノプロスト)を含有する点眼液にトロメタモールを配合すれば、点眼液中の熱的に不安定な薬物の分解を効果的に抑制し、安定に保存できる。

Claims (6)

  1. イソプロピルウノプロストンを含有する点眼液にトロメタモールを配合することにより、点眼液中のイソプロピルウノプロストンの分解を抑制する方法であって、該点眼液がベンゾ[g]キノリン誘導体を含まない、方法。
  2. イソプロピルウノプロストンを含有する点眼液にトロメタモールを配合し、かつ、pHを4〜8の範囲とすることにより、点眼液中のイソプロピルウノプロストンの分解を抑制する方法であって、該点眼液がベンゾ[g]キノリン誘導体を含まない、方法。
  3. トロメタモールの濃度が0.001〜5%(W/V)である、請求項1または2記載の方法。
  4. イソプロピルウノプロストンを含有する点眼液にトロメタモールを配合することにより、点眼液中のイソプロピルウノプロストンの分解が抑制された点眼液組成物であって、該点眼液がベンゾ[g]キノリン誘導体を含まない、点眼液組成物。
  5. イソプロピルウノプロストンを含有する点眼液にトロメタモールを配合し、かつ、pHを4〜8の範囲とすることにより、点眼液中のイソプロピルウノプロストンの分解が抑制された点眼液組成物であって、該点眼液がベンゾ[g]キノリン誘導体を含まない、点眼液組成物。
  6. トロメタモールの濃度が0.001〜5%(W/V)である、請求項4または5記載の点眼液組成物。
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