JP2014140974A - 表皮付き製品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表皮が基材に密着して外観品質に優れた表皮付き製品を簡単に製造することのできる製造方法を提供する。
【解決手段】製造方法の適用対象となる表皮付き製品10は、基材11と、基材11上に配置された表皮15と、表皮15の表面15Aに沿って線状をなすように配列された複数の縫い目26からなるステッチライン25とを有する。表皮付き製品10の製造に際しては、成形体形成工程及びステッチライン形成工程が行なわれる。成形体形成工程では、表皮15を基材11に密着させた状態で一体化させることで成形体20を形成する。ステッチライン形成工程では、成形体形成工程の後に、表皮15の表面15Aに糸27を沿わせつつ、成形体20の互いに離間した箇所において糸27を、表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで埋め込んで成形体20に固定することにより、ステッチライン25を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ステッチラインを表皮の表面に有する表皮付き製品を製造する方法に関するものである。
基材上に表皮を配置してなる表皮付き製品の一形態として、表皮にパーツの縫い合わせを擬似的に再現したステッチラインを形成することで、本皮を使用しているような外観を持たせて高級感を演出したものが知られている。上記表皮付き製品では、基材は、曲面、屈曲面、凹凸面等といった非平面状の表面(三次元表面)を有する。表皮は、基材の表面形状に合わせて変形されて積層される。
こうした表皮付き製品は、例えば次の工程を経て製造される(例えば、特許文献1参照)。
表皮がヒータによって加熱される。加熱により軟化した表皮は、真空成形型に真空吸引されて密着されることで、製品の外形形状に賦形される。
続いて、賦形された上記表皮がミシンにより上糸及び下糸で縫われることで、表皮の表面に、線状をなすように配列された複数の縫い目からなるステッチラインが形成される。
上記表皮とは別に、基材が射出成形機等により成形される。この基材の表面に接着剤が塗布された後、乾燥される。そして、基材の表面に、ステッチラインの形成された上記表皮が貼り合わされる。
特開2008−18612号公報
ところが、上記従来の製造方法では、三次元形状に賦形されている表皮に対し縫製によりステッチラインが形成されることから、表皮の正規の箇所(ステッチラインの形成予定箇所)を糸で正確に縫うことが難しい。
また、表皮の収縮率が温度によってばらつきやすいこと等から、ステッチラインの位置を合わせた状態で表皮を基材に貼付けることが難しい。
このように、ステッチラインの位置がばらつく場面として、表皮を糸で縫ってステッチラインを形成するときと、ステッチラインの形成された表皮を基材に貼付けるときとがあるため、最終的に表皮付き製品に表われるステッチラインの位置のばらつきは大きなものとなるおそれがある。
そして、ステッチラインの位置が許容範囲を越えてずれると、表皮に皺が入り、表皮が基材から浮き上がって外観品質(見栄え)を損なう。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、表皮が基材に密着して外観品質に優れた表皮付き製品を簡単に製造することのできる方法を提供することにある。
上記課題を解決する表皮付き製品の製造方法は、基材と、前記基材上に配置された表皮と、前記表皮の表面に沿って線状をなすように配列された複数の縫い目からなるステッチラインとを有する表皮付き製品を製造する方法であって、前記表皮を前記基材に密着させた状態で一体化させることで成形体を形成する成形体形成工程と、前記成形体形成工程の後に、前記表皮の表面に糸を沿わせつつ、前記成形体の互いに離間した箇所において前記糸を、前記表皮の表面よりも深い箇所まで埋め込んで前記成形体に固定することにより、前記ステッチラインを形成するステッチライン形成工程とが行なわれる。
上記の製造方法によれば、表皮付き製品の製造に際し、成形体形成工程及びステッチライン形成工程が行なわれる。
成形体形成工程では、表皮が基材上に配置される。表皮が基材に密着させられた状態で一体化させられることで成形体が形成される。
ステッチライン形成工程では、成形体形成工程の後に、表皮の表面に糸が沿わされる。成形体の互いに離間した箇所において、糸が、表皮の表面よりも深い箇所まで埋め込まれて成形体に固定される。この固定により、表皮の表面に沿って線状をなすように配列された複数の縫い目からなるステッチラインが形成される。
このように、表皮が基材に一体化されてなる成形体に対し糸が埋め込まれてステッチラインが形成される。そのため、ステッチラインの形成(糸の埋め込み)に際し、表皮に皺が入り、表皮が基材から浮き上がる現象が起こりにくい。表皮が基材の表面に密着して外観品質に優れた表皮付き製品が簡単に得られる。
また、ステッチラインの形成された表皮を基材に貼付ける作業が不要となる。ステッチラインの位置を合わせる作業は、糸を成形体に埋め込むときに行なわれるだけである。ステッチラインの位置を合わせる場面が少なくなり、最終的に表皮付き製品に表われるステッチラインの位置のばらつきが小さくなる。
上記表皮付き製品の製造方法において、前記ステッチライン形成工程では、前記糸のうち前記成形体に埋め込まれた箇所を超音波溶着により前記基材に接合させることが好ましい。
上記の製造方法によれば、ステッチライン形成工程では、表皮の表面に沿って配置された糸のうち成形体に埋め込まれた箇所は、超音波溶着によって基材に接合される。すなわち、糸のうち成形体に埋め込まれた箇所が振動させられる。この振動により、基材と糸との境界面で摩擦熱が発生し、基材が溶融して糸に結合(接合)される。この結合(接合)により糸が、表皮の表面よりも深い箇所に位置する基材に固定される。
この場合には、糸のうち埋め込まれた箇所を成形体に固定するために、留め具等の別部材を用いなくてもすむ。
上記表皮付き製品の製造方法において、前記ステッチライン形成工程では、前記糸の埋め込み及び超音波溶着を、超音波溶着機の超音波ホーンにより行なうことが好ましい。
上記の製造方法によれば、ステッチライン形成工程では、表皮の表面に沿って配置された糸が、成形体の互いに離間した箇所において、超音波溶着機の超音波ホーンによって、表皮の表面よりも深い箇所まで押し込まれる。この押し込みにより、糸が成形体に埋め込まれた状態となる。この状態で、超音波ホーンが振動されて、基材と糸との境界面で摩擦熱が発生し、基材が溶融し糸に結合される。このように、超音波溶着だけでなく、糸の埋め込みも超音波ホーンによって行なわれるため、糸を埋め込むために別途装置を設けなくてもすむ。
上記表皮付き製品の製造方法において、前記ステッチライン形成工程での前記超音波ホーンによる前記糸の埋め込みは、その埋め込みに先立ち、前記成形体の少なくとも前記表皮にあけられた穴において行なわれることが好ましい。
ここで、穴があけられていない成形体に糸を埋め込む場合には、超音波ホーンによって成形体に穴をあけながら糸を埋め込む必要がある。
この点、上記の製造方法によれば、ステッチライン形成工程に先立ち、成形体の少なくとも表皮において糸が埋め込まれる予定の箇所に穴があけられる。
ステッチライン形成工程では、超音波ホーンによる糸の埋め込みが上記穴において行なわれる。すなわち、糸及び超音波ホーンが、既に形成されている穴に押し込まれる。従って、超音波ホーンによって穴をあけなくてすむ分、糸の成形体への押し込みがスムーズに行なわれる。
上記表皮付き製品の製造方法において、前記ステッチライン形成工程では、留め具を前記表皮の表面側から前記成形体に対し、同表皮の表面よりも深い箇所まで打ち込んで前記基材に係止することにより、前記糸を同成形体に埋め込んで固定することが好ましい。
上記の製造方法によれば、ステッチライン形成工程では、糸が配置された表皮の表面側から留め具が成形体に対し、同表皮の表面よりも深い箇所まで打ち込まれる。糸の一部(長さ方向に互いに離間した箇所)は、上記留め具により押圧され、成形体において表皮の表面よりも深い箇所に埋め込まれる。また、留め具が基材に係止されることで、糸の一部(長さ方向に互いに離間した箇所)が上記のように埋め込まれた箇所で成形体(基材)に固定される。
上記表皮付き製品の製造方法において、前記ステッチライン形成工程では、前記留め具として、一対の脚部と、前記両脚部の基端部を繋ぐ連結部とを備えるものを用い、前記両脚部により前記糸を挟み込み、かつ前記連結部を打ち込み方向について前記両脚部よりも後側に位置させた状態で、前記留め具を前記成形体に打ち込んで前記基材に係止することにより、前記糸を同成形体に埋め込んで固定することが好ましい。
上記の製造方法によれば、ステッチライン形成工程では、糸の埋め込み及び固定のために、一対の脚部と連結部とを備える留め具が用いられる。
この留め具は、両脚部が糸を挟み込み、かつ連結部が留め具の打ち込み方向について両脚部よりも後側となる姿勢にされて、成形体に打ち込まれる。糸は、上記打ち込みに伴い変位する連結部によって、成形体において表皮の表面よりも深い箇所(基材)まで埋め込まれる。そして、上記のように、打ち込まれた留め具が基材に係止されて成形体内に残ると、糸は両脚部及び連結部によって動きを規制された状態(固定状態)となる。
上記表皮付き製品の製造方法において、前記留め具として、前記成形体への打ち込みの直前に線材が二つに折り返されることにより形成されたものを用いることが好ましい。
上記の製造方法によれば、線材が二つに折り返されることで、一対の脚部と連結部とを備える留め具が形成される。この留め具の形成は、ステッチライン形成工程において、留め具を成形体に打ち込んで糸を同成形体に埋め込む直前に行なわれる。このように、糸の埋め込みに必要な留め具が打ち込みの直前に形成されるため、留め具を予め準備しなくてもよく、留め具にされる前の線材の状態で準備するのみですむ。
上記表皮付き製品の製造方法において、前記線材として、表面に凹凸部が形成されたものを用いることが好ましい。
上記の製造方法によれば、線材が二つに折り返されることにより形成された留め具は表面に凹凸部を有する。この留め具は成形体に打ち込まれることで、表面の凹凸部において成形体に接触する。この凹凸部での接触により、留め具は、表面が平滑に形成された場合よりも成形体から抜け出しにくくなる。そのため、留め具によって埋め込まれた糸は、表皮の表面よりも深い箇所に固定され続ける。
上記表皮付き製品の製造方法において、前記留め具として、前記両脚部と前記連結部とが一体に形成された薄片を用いることが好ましい。
上記の製造方法によれば、ステッチライン形成工程では、糸の埋め込み及び固定のために、薄片が留め具として用いられる。この薄片は、一対の脚部と連結部とが一体に形成されたものであるため、留め具を成形体へ打ち込む直前に、線材等の材料を曲げる等の加工は不要である。
上記表皮付き製品の製造方法によれば、表皮が基材に一体化された成形体に対し糸を埋め込んでステッチラインを形成するようにしたため、表皮が基材に密着して外観品質に優れた表皮付き製品を簡単に製造することができる。
表皮付き製品の製造方法の第1実施形態を示す図であり、同方法によって製造された表皮付き製品の部分斜視図。 図1の表皮付き製品の一部を拡大して示す部分断面図。 (A)〜(D)は、第1実施形態における成形体形成工程を説明する工程図。 第1実施形態におけるステッチライン形成工程を説明する図であり、表皮に穴をあける様子を示す部分断面図。 第1実施形態におけるステッチライン形成工程を説明する図であり、表皮及び穴に糸を沿わせて配置する様子を示す部分断面図。 第1実施形態におけるステッチライン形成工程を説明する図であり、糸を成形体の穴に埋め込んで固定する様子を示す部分断面図。 表皮付き製品の製造方法の第2実施形態を示す図であり、同方法のステッチライン形成工程の概要を示す部分斜視図。 第2実施形態において製造された表皮付き製品の一部を拡大して示す部分断面図。 第2実施形態におけるステッチライン形成工程を説明する図であり、線材を用いて留め具を形成する様子を示す部分断面図。 図9の線材を二つに折り返す途中の状態を示す部分断面図。 図10の線材を二つに折り返して留め具を形成した状態を示す部分断面図。 図11の留め具を成形体の孔に打ち込む前の状態を示す部分断面図。 図12の留め具を成形体の孔に打ち込んだ状態を示す部分断面図。 表皮付き製品の製造方法の第3実施形態を示す図であり、同方法によって製造された表皮付き製品の一部を拡大して示す部分断面図。 第3実施形態において、ステッチライン形成工程の概要を示す部分斜視図。 第3実施形態におけるステッチライン形成工程を説明する図であり、留め具を成形体に打ち込む前の状態を示す部分断面図。 図16の留め具を成形体に打ち込んで糸を成形体に埋め込んだ状態を示す部分断面図。
(第1実施形態)
以下、表皮付き製品の製造方法の第1実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
まず、製造方法が適用されて製造される表皮付き製品について説明する。第1実施形態では、インストルメントパネル、コンソール、ドアトリム、グローブボックス、ピラーガーニッシュ等の各種車両用内装品を、表皮付き製品の対象としている。
図1及び図2に示すように、表皮付き製品10は、基材11、表皮15及びステッチライン25を主要な構成部材としている。次に、表皮付き製品10の各構成部材について説明する。
<基材11>
基材11は、表皮付き製品10の骨格部分をなす部材であり、曲面、屈曲面、凹凸面等といった非平面状の表面(三次元表面)を有している。基材11は、樹脂材料を用い、射出成形等の樹脂成形を行なうことによって形成されている。本実施形態では、樹脂材料として熱可塑性樹脂が用いられている。熱可塑性樹脂としては、例えば、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)等が用いられるが、これ以外の樹脂が用いられてもよい。
なお、図示しないが、基材11の複数箇所には、同基材11を厚み方向に貫通する真空吸引用の孔があけられている。
<表皮15>
表皮15は、表皮付き製品10の外殻部分をなす部材であり、上記基材11上に配置されている。表皮15は、基材11の表面に沿って変形させられており、接着剤からなる接着層(図示略)を介して基材11の表面に密着させられている。
第1実施形態では、表皮15として、表皮層16と、その表皮層16の裏側に積層された軟質層17とからなるものが用いられている。軟質層17は表皮層16に貼着されていて同表皮層16と一体となっている。表皮層16は、合成皮革、樹脂シート等によって形成され、軟質層17は、ポリエチレンフォーム、発泡体等によって形成されている。表皮15は、皮革製品に見られるようなシボ(皺模様)18を、自身の表面15Aに有している。
上記基材11と、基材11に密着した状態で同基材11に一体化させられた表皮15とによって、成形体20が構成されている。
<ステッチライン25>
ステッチライン25は、表皮15において、その表皮15のパーツの縫い合わせを擬似的に再現することで、本皮を使用しているような外観を表皮付き製品10に持たせて高級感を演出するためのものであり、装飾(加飾)を目的として設けられている。
ステッチライン25は、表皮15の表面15Aに沿って線状をなすように配列された複数の縫い目26からなる。表現を変えると、糸27が断続的に表皮15の表面15Aに現出しており、この現出部分が縫い目26を構成している。
上記糸27としては、成形体20に押し込まれる際に切れない程度の強度を有するものが用いられている。この糸27は、上記成形体20の表面に沿う方向について互いに離間した箇所において、表皮15の表面15Aよりも深い箇所に位置する基材11まで埋め込まれている。そして、上記のように埋め込まれた糸27に基材11が溶着されることで、糸27が基材11に固定されている。なお、図2では、溶着部分11Aが太線で図示されている。
次に、第1実施形態の作用として、上記のように構成された表皮付き製品10を製造する方法について、図3〜図6を参照して説明する。
この製造方法では、成形体形成工程及びステッチライン形成工程が行なわれる。次に、各形成工程について説明する。
<成形体形成工程>
成形体形成工程は、表皮15を基材11に密着させた状態で一体化させることで成形体20を形成する工程である。
この成形体形成工程では、表皮15を基材11に密着させるために、図3(A)に示すように、表皮層16に軟質層17が積層されてなる表皮15がヒータ31によって加熱されて軟化させられる。
また、上記表皮15の加熱とは別に、基材11が射出成形等の樹脂成形によって、所定の三次元形状に形成される。この成形時には、真空吸引用の孔も一緒に形成される。図3(B)に示すように、接着剤塗布ガン32が用いられて、上記基材11の表面に接着剤33が塗布される。接着剤33が乾燥されることで、基材11の表面に接着層(図示略)が形成される。
続いて、表皮15を基材11に密着させた状態で一体化させるとともに、表皮15にシボ18を形成する作業が行なわれる。
この作業には、図3(C)に示す真空成形型が用いられる。真空成形型は、ここでは移動不能に設けられた下型34と、上下動することで上記下型34に接近及び離間する上型35とを備えている。下型34には成形突部34Aが設けられ、上型35には成形凹部35Aが設けられている。成形凹部35Aには、シボ18の反転形状が形成されている。なお、図3(C)では、シボ18の反転形状が太線で図示されている。下型34の複数箇所、及び上型35の複数箇所には、図示はしないが、真空吸引用の孔がそれぞれあけられている。
同図3(C)に示すように、上型35が下型34から上方へ離間させられた状態で、下型34の成形突部34Aに基材11が装着される。上記軟化状態の表皮15が上記基材11の上に配置される。下型34及び基材11の各真空吸引用の孔を通じて表皮15が下方へ真空吸引される。この真空吸引により表皮15が基材11に密着し、表皮15が基材11の表面形状に賦形される。
下方への真空吸引が止められた状態で上型35が下降させられる。上型35が下型34に接近したところで、上型35の真空吸引の孔を通じて表皮15が上方へ真空吸引されて、同表皮15が成形凹部35Aに密着させられる。この密着により、表皮15の表面15Aにシボ18が転写される。
上方への真空吸引が止められ、上型35の真空吸引の孔を通じて圧縮空気が下方へ噴出される。この圧縮空気により表皮15が下型34の成形突部34Aに押付けられる。また、下型34の真空吸引の孔を通じて表皮15が下方へ真空吸引される。これらの圧縮空気による押付け、及び真空吸引により、賦形された表皮15が、基材11に密着させられる。表皮15が接着層(図示略)を介して基材11に一体化させられた成形体20が形成される。
上型35が上昇させられて真空成形型が型開きされ、図3(D)に示すように、同真空成形型から成形体20が取り出される。
なお、図示しないが、表皮15の余剰部分はトリミング(切除)される。
<ステッチライン形成工程>
ステッチライン形成工程は、表皮15の表面15Aにステッチライン25を形成する工程である。
ステッチライン形成工程では、まず、図4に示すように、成形体20の表面に沿う方向について互いに離間した箇所に対し、より正確には、糸27が埋め込まれる予定の箇所に対し、針36により穴37があけられる。穴37があけられる対象は、ここでは表皮15である。
次に、図5に示すように、表皮15の表面15A及び穴37に糸27が沿わされる。この際、糸27にはプーリ38を介してテンションがかけられる。
成形体20の上記箇所(表面に沿う方向について互いに離間した箇所)において、糸27が、表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで埋め込まれて固定される。
より詳しくは、図6に示すように、超音波溶着機の超音波ホーン39が所定の穴37及び糸27の上方へ移動させられる。超音波ホーン39が下動させられ、穴37内に挿入される。糸27の一部(長さ方向に互いに離間した箇所)が、上記のように下動する超音波ホーン39によって、表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで押し込まれる。この押し込みにより、糸27の上記一部が成形体20に埋め込まれた状態となる。
ここで、仮に穴37があけられていない成形体20に糸27を埋め込む場合には、超音波ホーン39によって成形体20(少なくとも表皮15)に穴37をあけながら糸27を埋め込む必要がある。
この点、第1実施形態では、上述したようにステッチライン形成工程に先立ち、成形体20(表皮15)において糸27が埋め込まれる予定の箇所に穴37があけられている(図4参照)。
ステッチライン形成工程では、超音波ホーン39による糸27の埋め込みが上記穴37において行なわれる。すなわち、糸27の一部及び超音波ホーン39が、既に形成されている穴37内に押し込まれる。
糸27の上記一部が成形体20に埋め込まれた状態で、超音波ホーン39が上下方向へ振動される。この振動が、糸27のうち成形体20に埋め込まれた箇所に伝達されて、同箇所が振動する。この振動により、基材11と糸27との境界面で摩擦熱が発生し、基材11が溶融し糸27に結合(接合)される。この結合(接合)により糸27の上記一部が、表皮15の表面15Aよりも深い箇所に位置する基材11に固定される。このように、超音波溶着だけでなく、糸27の埋め込みも超音波ホーン39によって行なわれる。
上記超音波溶着を終えた後、超音波ホーン39は振動を停止されて上昇させられ、穴37から抜き出される。そして、超音波ホーン39は表皮15の表面15Aに沿って、次の押し込みの対象となる穴37の上方まで移動させられる。このような超音波ホーン39による糸27の押し込み及び振動が、穴37毎に繰り返されることで、表皮15の表面15Aに沿って線状をなすように配列された複数の縫い目26からなるステッチライン25が形成される。
第1実施形態では、糸27のうち埋め込まれた箇所を成形体20に固定するために、留め具等の別部材が用いられていない。従って、留め具等の別部材が成形体20内に残存することがない。
また、糸27を成形体20に固定するために、糸27を成形体20に埋め込んでいるにすぎず縫っていない。そのため、2種類の糸(上糸及び下糸)を用いて縫製する場合とは異なり、1種類の糸27を用いるだけですむ。
成形体20をミシンで縫製する場合には、縫製される箇所が平らであること等、成形体20が形状上の制約を受ける。しかし、糸27を成形体20に埋め込む第1実施形態では、成形体20は上記のような形状上の制約を受けにくい。従って、成形体20の形状についての自由度が増す。
また、第1実施形態では、特許文献1とは異なり、ステッチラインの形成された表皮を基材に貼付ける作業は不要である。ステッチライン25の位置を合わせる作業は、糸27を成形体20に埋め込むときに行なわれるだけである。ステッチライン25の位置を合わせる場面が少なくなり、最終的に表皮付き製品10に表われるステッチライン25の位置のばらつきが小さくなる。
上記ステッチライン25の形成に際しては、表皮15が基材11に一体化されてなる成形体20に対し糸27の上記一部が埋め込まれるため、表皮15に皺が入り、表皮15が基材11から浮き上がる現象が起こりにくい。表皮15が基材11に密着していて、表皮15に皺や浮きがないか、あったとしても小さい。
上記のようにして得られた表皮付き製品10では、ステッチライン25を構成する糸27の多くの部分が表皮15の表面15A上に位置する。これに対し、糸27のうち成形体20との固定部分は、同成形体20の互いに離間した箇所において、表皮15の表面15Aよりも深い箇所に位置する。そのため、この糸27の成形体20との固定部分は、外部からは見えにくい。
以上詳述した第1実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)成形体形成工程において、表皮15が基材11に一体となった成形体20を形成する(図3(A)〜(D))。ステッチライン形成工程において、表皮15の表面15Aに糸27を沿わせつつ、成形体20の表面に沿う方向について互いに離間した箇所において、糸27を表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで埋め込んで成形体20に固定することでステッチライン25を形成している(図5、図6)。
そのため、ステッチライン25の形成に際し、表皮15に皺や浮きが生ずるのを抑制し、表皮15が基材11に密着した外観品質に優れた表皮付き製品10を簡単に製造することができる。
(2)ステッチライン形成工程において、糸27のうち成形体20に埋め込まれた箇所を超音波溶着により基材11に接合させるようにしている(図6)。
そのため、糸27を成形体20に固定するために、留め具等の別部材を用いなくてもすむ。これに伴い、留め具等の別部材が成形体20内に残存することもない。
(3)ステッチライン形成工程において、糸27の埋め込み及び超音波溶着を、超音波溶着機の超音波ホーン39により行なうようにしている(図6)。
そのため、糸27の成形体20への埋め込みと超音波溶着とを別々の装置を用いて行なう場合に比べ、使用する装置の数を減らすことができる。
(4)ステッチライン形成工程での超音波ホーン39による糸27の埋め込みを、その埋め込みに先立ち、成形体20の表皮15にあけられた穴37において行なうようにしている(図4、図6)。
そのため、超音波ホーン39によって穴37をあけなくてすみ、糸27の成形体20への押し込みをスムーズに行なうことができる。
(5)ステッチラインを形成する方法として、擬似的に縫い目を表わす鋲を、列をなすように成形体に差し込むことも考えられる。しかし、この場合には、鋲によって糸のような外観や感触(手触り)を実現することが難しい。
この点、第1実施形態では、ミシンで縫っていないとはいえ、糸27を用いている。また、糸27の一部を成形体20の互いに離間した箇所に埋め込んでいることから、縫い目26が断続的に表皮15の表面15Aに出現する。そのため、ミシンで縫製したのと同様の外観や感触(手触り)を有する縫い目26を表現することができる。
(6)成形体形成工程では、真空成形型の下型34に装着された基材11の表面に、加熱されて軟化したシート状の表皮15を配置し、表皮15を真空吸引して基材11に密着させることにより成形体20を形成している(図3(C),(D))。
そのため、表皮15を、下型34を通じて真空吸引することにより、基材11に密着させ、同基材11の表面形状に賦形することができる。表皮15と基材11とが一体となった成形体20を形成することができる。
(7)表皮15として、表皮層16の裏側に軟質層17を積層したものを用いている(図2)。
そのため、軟質層17が設けられない場合よりも表皮付き製品10をクッション性に富み、感触(手触り)の優れたものにすることができる。
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<ステッチライン形成工程について>
・糸27を成形体20に押し込む際に、超音波ホーン39が、軸線の周りを回転させられながら同軸線に沿って上下方向へ振動されてもよい。このようにすると、糸27を成形体20にねじ込むことができる。
・穴37は、表皮15に加え、基材11の一部(少なくとも上部)にも設けられてもよい。
・糸27は、超音波ホーン39とは異なる装置によって穴37に押し込まれてもよい。
・表皮15の厚み、材質等によっては、超音波ホーン39によって穴37をあけることができる場合もあり得る。この場合には、穴37が割愛されるとともに、針36によって穴37をあける作業が割愛されてもよい。
(第2実施形態)
次に、表皮付き製品の製造方法の第2実施形態について、図7〜図13を参照して説明する。
第2実施形態は、成形体20に対する糸27の固定態様が第1実施形態と異なっている。これに伴い、ステッチライン形成工程の実施に際し、糸27を成形体20に埋め込んで固定する作業が第1実施形態と異なっている。
<糸27の固定態様>
図8は、第2実施形態の表皮付き製品10の一部について、糸27の縫い目26の延びる方向に対し直交する断面を示している。図8に示すように、成形体20には、第1実施形態での穴37に代えて、同成形体20の厚み方向に貫通する孔41が形成されている。成形体20を貫通していない第1実施形態と、貫通している第2実施形態とを区別するために、第1実施形態では「穴37」と表現し、第2実施形態では「孔41」と表現している。
第2実施形態では、超音波ホーン39に代えて留め具42が用いられて、糸27が成形体20に埋め込まれて固定されている。
留め具42としては、一対の脚部43と、両脚部43の基端部(図8の上端部)を繋ぐ連結部44とを備えるものが用いられている。この留め具42は、硬質の線材(金属線)45(図9参照)が二つに折り返されることにより形成されている。
上記留め具42は、成形体20に対し表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで打ち込まれて係止されている。留め具42の表面には、微細な凹凸部45Aが形成されており、留め具42の成形体20に対する係止強度が高められている。
糸27の一部(長さ方向に互いに離間した箇所)は、上記留め具42の連結部44により埋め込まれ、表皮15の表面15Aよりも深い箇所である基材11の直上に位置している。糸27の上記一部は、留め具42の両脚部43において連結部44との境界部分(基端部)よって挟み込まれている。これらの連結部44及び両脚部43によって、糸27が上記一部において成形体20に固定されている。
<ステッチライン形成工程>
図7は、ステッチライン形成工程の概要を示している。ステッチライン形成工程では、まず、図7に示すように、成形体20(表皮15)の表面上において互いに離間した箇所に対し、より正確には、糸27が埋め込まれる予定の箇所に対し、針(図示略)により孔41があけられる。次に、糸27がテンションをかけられた状態で表皮15の表面15A及び孔41に沿わされる。
続いて、成形体20の表面に沿う方向について互いに離間した箇所において、糸27が、留め具42によって表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで埋め込まれて固定される。
第2実施形態では、成形体20への打ち込みの直前に硬質の線材45が二つに折り返されることにより、留め具42が形成される。
詳しくは、硬質の線条体46、例えば金属線が、送り機構(図示略)により、ステッチライン25に交差(直交)する方向(図7の斜め左下方向)へ搬送される。この搬送の途中で、線条体46が一対のローラ47間を通過させられることで、同ローラ47の表面に形成された凹凸47Aが線条体46の表面に転写される。この転写により、線条体46の表面に凹凸部45Aが形成される。
線条体46が所定長さ搬送されたところで、その搬送が停止され、線条体46の端部が一対の把持部材48によって上下両側から把持される。線条体46において両把持部材48によって把持された部分は、後に、留め具42の連結部44にされる。両把持部材48と両ローラ47との間に配置された切断装置51によって、線条体46が所定長さに切断される。線条体46が切断されて所定の長さに短くされたもの(図7の二点鎖線参照)を、ここでは線材45という。切断装置51は、固定刃52と、固定刃52に対し上下動することにより、固定刃52と協働して線条体46を切断する可動刃53とを備えている。
上記両把持部材48は、図7において二点鎖線で示すように、上記線材45を把持した状態で、次に糸27が打ち込まれる予定の孔41の上方まで移動させられる。
図7及び図9に示すように、上記孔41の上方には、線材45に沿う方向(ステッチライン25に直交する方向)へ互いに離間した状態で、一対の曲げ加工片56が配置されている。これらの曲げ加工片56が、図9において矢印で示すように下降される。各曲げ加工片56において、対向する曲げ加工片56側の面には、上下方向に延びる溝部56Aが形成されている。
図10に示すように、両曲げ加工片56は、下降する過程で、両把持部材48によって把持された線材45に当たる。両曲げ加工片56の線材45との当接は溝部56Aにおいて行なわれる。両曲げ加工片56がさらに下降すると、両曲げ加工片56が移動しないことから、線材45において、両把持部材48によって把持された箇所(連結部44となる予定の箇所)を屈曲の起点として、線材45の長さ方向についての両側部分が下方へ折り曲げられる。
線材45の折り曲げの途中で、両把持部材48の間隔が広げられて、同両把持部材48による線材45の把持が解除される。さらに、両把持部材48は、両曲げ加工片56間から退避させられる。
上記線材45の折り曲げの途中で、上記下降に加え、両曲げ加工片56が図10において矢印で示すように、互いに接近する方向へ移動させられる。この移動により両溝部56Aの間隔が狭まり、両曲げ加工片56が単に下降する場合よりも線材45が大きく折り曲げられる。両溝部56Aの間隔が狭まるに従い、両脚部43のなす角が小さくなっていく。図11に示すように、線材45は、両脚部43が略平行となるまで二つに折り返されると、一対の脚部43と、両脚部43の基端部(上端部)を繋ぐ連結部44とを備える留め具42の形態となる。この留め具42では、両脚部43の先端部(図11の下端部)が表皮15の直上で糸27を挟み込んだ状態となる。
上記留め具42の形成は、ステッチライン形成工程において、留め具42を成形体20に打ち込んで糸27を基材11に埋め込む直前に行なわれる。このように、糸27の埋め込みに必要な留め具42が、打ち込みの直前に形成されるため、多くの留め具42を準備しなくてもすむ。
次に、図12に示すように留め具42の上方において、上下方向に延びる姿勢で配置された棒状の打ち込みパンチ57(図7参照)が下降される。この打ち込みパンチ57は、両溝部56A間を下降して留め具42を打ち込む。この打ち込みの途中で、連結部44が糸27に当接する。さらに、打ち込みパンチ57が下降されることで、連結部44が図13に示すように下方へ押圧される。すると、留め具42は、両脚部43により糸27を挟み込み、かつ連結部44を打ち込み方向について両脚部43よりも後側に位置させた姿勢で、成形体20に打ち込まれる。
糸27は、上記打ち込みに伴い変位する連結部44によって下方へ押圧され、成形体20において表皮15の表面15Aよりも深い箇所に埋め込まれる。また、留め具42が基材11に係止されて成形体20内に残ることで、糸27は、上記のように埋め込まれた箇所(基材11の直上)において、両脚部43及び連結部44によって動きを規制された状態(固定状態)となる。
特に、上記留め具42は成形体20に打ち込まれることで、表面の凹凸部45Aにおいて成形体20に接触する。この凹凸部45Aでの接触により、留め具42は、表面が平滑に形成された場合よりも成形体20から抜け出しにくくなる。
以上詳述した第2実施形態によれば、上記(1),(5)〜(7)に加え、次の効果が得られる。
(8)ステッチライン形成工程において、留め具42を表皮15の表面15A側から成形体20に対し、同表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで打ち込んで基材11に係止することにより、糸27を同成形体20に埋め込んで固定している(図9〜図13)。
そのため、超音波ホーン39を用いる第1実施形態とは異なり、基材11を溶融させることなく、糸27を成形体20に埋め込んで固定することができる。
(9)留め具42として、一対の脚部43と、両脚部43の基端部を繋ぐ連結部44とを備えるものを用いる(図8)。両脚部43により糸27を挟み込み、かつ連結部44を打ち込み方向について両脚部43よりも後側に位置させた状態で、留め具42を成形体20に打ち込んで基材11に係止することにより、糸27を成形体20に埋め込んで固定している(図11〜図13)。
そのため、打ち込まれた留め具42を基材11に係止して成形体20内に残存させることで、糸27を両脚部43及び連結部44によって動きを規制された状態にする(固定する)ことができる。
(10)留め具42として、成形体20への打ち込みの直前に線材45が二つに折り返されることにより形成されたものを用いている(図9〜図11)。
このように、糸27の埋め込みに必要な留め具42を打ち込みの直前に形成するため、留め具42を予め準備しなくてもよく、留め具42にされる前の線材45の状態で準備するだけですむ。
(11)線材45として、表面に凹凸部45Aが形成されたものを用いている(図7、図9)。
そのため、留め具42を、その表面の凹凸部45Aにおいて成形体20に接触させることで、同留め具42を成形体20から抜け出しにくくし、留め具42によって打ち込まれた糸27を、表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで埋め込まれた状態に維持することができる。
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<ステッチライン形成工程について>
・孔41は、成形体20を貫通しないものであってもよい。例えば孔41は、表皮15と基材11の一部(少なくとも上部)とに設けられてもよい。
・表皮15及び基材11の各厚み、各材質等によっては、留め具42を成形体20において表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで打ち込むことが可能な場合もあり得る。この場合には、孔41が割愛されてもよい。
・線条体46を切断する作業が割愛されてもよい。この場合には、予め必要な長さを有する線材45が複数本準備され、これらの線材45が順次二つに折り返されて、成形体20に打ち込まれる。
・線材45を二つに折り返す作業が割愛されてもよい。この場合には、予め二つに折り返された留め具42が複数準備され、これらの留め具42が順次成形体20に打ち込まれる。
(第3実施形態)
次に、表皮付き製品の製造方法の第3実施形態について、図14〜図17を参照して説明する。
第3実施形態は、留め具の形態が第2実施形態と異なっている。これに伴い、ステッチライン形成工程の実施に際し、糸27を成形体20に埋め込んで固定する作業が第2実施形態と異なっている。
<糸27の固定態様>
図14は、第3実施形態の表皮付き製品10の一部について、縫い目26の延びる方向に沿う断面を示している。この点で、縫い目26の延びる方向に直交する断面を示す図8とは異なっている。
図14に示すように、成形体20には、第1実施形態と同様に、表皮15に対し、針等により予め穴37があけられている。
留め具60は、第2実施形態と同様に、一対の脚部61と、両脚部61の基端部(図14の上端部)を繋ぐ連結部62とからなる(図15参照)。ただし、第3実施形態では、連結部62と両脚部61とが硬質の薄片(金属の薄片)によって一体に形成されている。そして、留め具60が成形体20に対し表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで打ち込まれている。両脚部61の先端部分が基材11の上部に対し、圧入により係止されている。
糸27の一部(長さ方向に互いに離間した箇所)は、上記留め具60の連結部62により成形体20に埋め込まれ、表皮15の表面15Aよりも深い箇所である基材11の直上に位置している。糸27の上記一部は、留め具60の両脚部61において連結部62との境界部分(基端部)よって挟み込まれている。これらの連結部62及び両脚部61によって、糸27が上記一部において成形体20に固定されている。
<ステッチライン形成工程>
図15は、ステッチライン形成工程の概要を示している。図15及び図16に示すように、ステッチライン形成工程では、まず、成形体20(表皮15)の互いに表面上において離間した箇所に対し、より正確には、糸27が埋め込まれる予定の箇所に対し、針(図示略)により穴37があけられる。次に、糸27がテンションをかけられた状態で表皮15の表面15A及び穴37に沿わされる。ここまでは、第1実施形態と同様である。
続いて、成形体20の互いに離間した箇所において、糸27が、留め具60によって表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで埋め込まれて固定される。
第3実施形態では、糸27の埋め込みの対象となる穴37の直上にガイド片63が配置される。ガイド片63には、留め具60の上下動をガイドするガイド溝63Aが形成されている。そして、予め形成された留め具60がガイド溝63A内に順次搬送される。
図16及び図17に示すように、ガイド片63の上方に配置された薄板状の打ち込みパンチ64が下降される。打ち込みパンチ64は、下降する過程で留め具60に当接する。当接後も打ち込みパンチ64が下降されることで、留め具60が連結部62において下方へ押圧される。すると、留め具60は、両脚部61により糸27を挟み込み、かつ連結部62を打ち込み方向について両脚部61よりも後側に位置させた姿勢で、成形体20に打ち込まれ係止される。なお、打ち込みパンチ64は、留め具60とともにガイド溝63A内を通過することで、下降をガイドされる。
糸27の一部(長さ方向に互いに離間した箇所)は、上記打ち込みに伴い変位する連結部62によって下方へ押圧され、成形体20において表皮15の表面15Aよりも深い箇所に埋め込まれる。また、留め具60が基材11に係止されて成形体20内に残ることで、糸27は、上記のように埋め込まれた箇所(基材11)において、両脚部61及び連結部62によって動きを規制された状態(固定状態)となる。
以上詳述した第3実施形態によれば、上記(1),(5)〜(9)に加え、次の効果が得られる。
(12)留め具60として、両脚部61と連結部62とが一体に形成された薄片を用いている(図15)。
そのため、上記第2実施形態とは異なり、留め具60を成形体20へ打ち込む直前に、線材等の材料を曲げる等の加工を行なわなくてもすむ。これに伴い、加工装置も不要である。
(第3実施形態の変形例)
第3実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<ステッチライン形成工程について>
・穴37は、表皮15に加え、基材11の一部に設けられてもよい。
・表皮15の厚み、材質等によっては、留め具60を同表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで打ち込むことが可能な場合もあり得る。この場合には、穴37が割愛されてもよい。
・留め具60として、第2実施形態と同様に、表面に凹凸部が形成されたものが用いられてもよい。この凹凸部により、留め具60の成形体20に対する係止強度を高めることができる。
(第1〜第3実施形態に共通する変形例)
なお、上述した第1〜第3実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<糸27について>
・糸27として、表皮15とは異なる色を有するものが用いられてもよい。このようすることで、ステッチライン25を強調することができ、表皮付き製品10の外観品質のさらなる向上を図ることができる。
<成形体形成工程について>
・上記第1〜第3実施形態とは異なる方法で、表皮15が基材11に一体となった成形体20が形成されてもよい。
・表皮15の表面15Aにシボ18を転写する作業が割愛されてもよい。
<ステッチライン形成工程について>
・複数本の針36が用いられて、成形体20の複数箇所に一度に穴37又は孔41があけられてもよい。
<適用対象について>
・上記製造方法は、車両用内装品に限らず、ステッチラインを表皮の表面に有する表皮付き製品に広く適用可能である。
その他、前記各実施形態から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに記載する。
(A)請求項1〜9のいずれか1つに記載の表皮付き製品の製造方法において、前記成形体形成工程では、真空成形型に装着された前記基材の表面に、加熱されて軟化したシート状の表皮を配置し、前記表皮を真空吸引して前記基材に密着させることにより前記成形体を形成する。
上記の製造方法によれば、成形体形成工程では、基材が真空成形型に装着される。一方、シート状の表皮が加熱されて軟化させられる。この軟化した表皮が上記基材の表面に配置される。表皮は真空成形型を通じて真空吸引されることにより、基材に密着させられることで、基材の表面形状に賦形される。表皮と基材とが一体となった成形体が形成される。
(B)請求項1〜9及び上記(A)のいずれか1つに記載の表皮付き製品の製造方法において、前記表皮として、表皮層の裏側に軟質層を積層したものを用いる。
上記のように、表皮層に加え軟質層が設けられた場合には、軟質層が設けられない場合よりも表皮付き製品がクッション性に富み、感触(手触り)の優れたものとなる。
10…表皮付き製品、11…基材、15…表皮、15A…表面、20…成形体、25…ステッチライン、26…縫い目、27…糸、37…穴、39…超音波ホーン、42,60…留め具、43,61…脚部、44,62…連結部、45…線材、45A…凹凸部。

Claims (9)

  1. 基材と、前記基材上に配置された表皮と、前記表皮の表面に沿って線状をなすように配列された複数の縫い目からなるステッチラインとを有する表皮付き製品を製造する方法であって、
    前記表皮を前記基材に密着させた状態で一体化させることで成形体を形成する成形体形成工程と、
    前記成形体形成工程の後に、前記表皮の表面に糸を沿わせつつ、前記成形体の互いに離間した箇所において前記糸を、前記表皮の表面よりも深い箇所まで埋め込んで前記成形体に固定することにより、前記ステッチラインを形成するステッチライン形成工程と
    が行なわれることを特徴とする表皮付き製品の製造方法。
  2. 前記ステッチライン形成工程では、前記糸のうち前記成形体に埋め込まれた箇所を超音波溶着により前記基材に接合させる請求項1に記載の表皮付き製品の製造方法。
  3. 前記ステッチライン形成工程では、前記糸の埋め込み及び超音波溶着を、超音波溶着機の超音波ホーンにより行なう請求項2に記載の表皮付き製品の製造方法。
  4. 前記ステッチライン形成工程での前記超音波ホーンによる前記糸の埋め込みは、その埋め込みに先立ち、前記成形体の少なくとも前記表皮にあけられた穴において行なわれる請求項3に記載の表皮付き製品の製造方法。
  5. 前記ステッチライン形成工程では、留め具を前記表皮の表面側から前記成形体に対し、同表皮の表面よりも深い箇所まで打ち込んで前記基材に係止することにより、前記糸を同成形体に埋め込んで固定する請求項1に記載の表皮付き製品の製造方法。
  6. 前記ステッチライン形成工程では、前記留め具として、一対の脚部と、前記両脚部の基端部を繋ぐ連結部とを備えるものを用い、前記両脚部により前記糸を挟み込み、かつ前記連結部を打ち込み方向について前記両脚部よりも後側に位置させた状態で、前記留め具を前記成形体に打ち込んで前記基材に係止することにより、前記糸を同成形体に埋め込んで固定する請求項5に記載の表皮付き製品の製造方法。
  7. 前記留め具として、前記成形体への打ち込みの直前に線材が二つに折り返されることにより形成されたものを用いる請求項6に記載の表皮付き製品の製造方法。
  8. 前記線材として、表面に凹凸部が形成されたものを用いる請求項7に記載の表皮付き製品の製造方法。
  9. 前記留め具として、前記両脚部と前記連結部とが一体に形成された薄片を用いる請求項6に記載の表皮付き製品の製造方法。
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