JP2014140974A - 表皮付き製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】製造方法の適用対象となる表皮付き製品10は、基材11と、基材11上に配置された表皮15と、表皮15の表面15Aに沿って線状をなすように配列された複数の縫い目26からなるステッチライン25とを有する。表皮付き製品10の製造に際しては、成形体形成工程及びステッチライン形成工程が行なわれる。成形体形成工程では、表皮15を基材11に密着させた状態で一体化させることで成形体20を形成する。ステッチライン形成工程では、成形体形成工程の後に、表皮15の表面15Aに糸27を沿わせつつ、成形体20の互いに離間した箇所において糸27を、表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで埋め込んで成形体20に固定することにより、ステッチライン25を形成する。
【選択図】図2
Description
表皮がヒータによって加熱される。加熱により軟化した表皮は、真空成形型に真空吸引されて密着されることで、製品の外形形状に賦形される。
上記表皮とは別に、基材が射出成形機等により成形される。この基材の表面に接着剤が塗布された後、乾燥される。そして、基材の表面に、ステッチラインの形成された上記表皮が貼り合わされる。
このように、ステッチラインの位置がばらつく場面として、表皮を糸で縫ってステッチラインを形成するときと、ステッチラインの形成された表皮を基材に貼付けるときとがあるため、最終的に表皮付き製品に表われるステッチラインの位置のばらつきは大きなものとなるおそれがある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、表皮が基材に密着して外観品質に優れた表皮付き製品を簡単に製造することのできる方法を提供することにある。
成形体形成工程では、表皮が基材上に配置される。表皮が基材に密着させられた状態で一体化させられることで成形体が形成される。
上記表皮付き製品の製造方法において、前記ステッチライン形成工程では、前記糸の埋め込み及び超音波溶着を、超音波溶着機の超音波ホーンにより行なうことが好ましい。
この点、上記の製造方法によれば、ステッチライン形成工程に先立ち、成形体の少なくとも表皮において糸が埋め込まれる予定の箇所に穴があけられる。
この留め具は、両脚部が糸を挟み込み、かつ連結部が留め具の打ち込み方向について両脚部よりも後側となる姿勢にされて、成形体に打ち込まれる。糸は、上記打ち込みに伴い変位する連結部によって、成形体において表皮の表面よりも深い箇所(基材)まで埋め込まれる。そして、上記のように、打ち込まれた留め具が基材に係止されて成形体内に残ると、糸は両脚部及び連結部によって動きを規制された状態(固定状態)となる。
上記の製造方法によれば、線材が二つに折り返されることで、一対の脚部と連結部とを備える留め具が形成される。この留め具の形成は、ステッチライン形成工程において、留め具を成形体に打ち込んで糸を同成形体に埋め込む直前に行なわれる。このように、糸の埋め込みに必要な留め具が打ち込みの直前に形成されるため、留め具を予め準備しなくてもよく、留め具にされる前の線材の状態で準備するのみですむ。
上記の製造方法によれば、線材が二つに折り返されることにより形成された留め具は表面に凹凸部を有する。この留め具は成形体に打ち込まれることで、表面の凹凸部において成形体に接触する。この凹凸部での接触により、留め具は、表面が平滑に形成された場合よりも成形体から抜け出しにくくなる。そのため、留め具によって埋め込まれた糸は、表皮の表面よりも深い箇所に固定され続ける。
上記の製造方法によれば、ステッチライン形成工程では、糸の埋め込み及び固定のために、薄片が留め具として用いられる。この薄片は、一対の脚部と連結部とが一体に形成されたものであるため、留め具を成形体へ打ち込む直前に、線材等の材料を曲げる等の加工は不要である。
以下、表皮付き製品の製造方法の第1実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
基材11は、表皮付き製品10の骨格部分をなす部材であり、曲面、屈曲面、凹凸面等といった非平面状の表面(三次元表面)を有している。基材11は、樹脂材料を用い、射出成形等の樹脂成形を行なうことによって形成されている。本実施形態では、樹脂材料として熱可塑性樹脂が用いられている。熱可塑性樹脂としては、例えば、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)等が用いられるが、これ以外の樹脂が用いられてもよい。
<表皮15>
表皮15は、表皮付き製品10の外殻部分をなす部材であり、上記基材11上に配置されている。表皮15は、基材11の表面に沿って変形させられており、接着剤からなる接着層(図示略)を介して基材11の表面に密着させられている。
<ステッチライン25>
ステッチライン25は、表皮15において、その表皮15のパーツの縫い合わせを擬似的に再現することで、本皮を使用しているような外観を表皮付き製品10に持たせて高級感を演出するためのものであり、装飾(加飾)を目的として設けられている。
この製造方法では、成形体形成工程及びステッチライン形成工程が行なわれる。次に、各形成工程について説明する。
成形体形成工程は、表皮15を基材11に密着させた状態で一体化させることで成形体20を形成する工程である。
この作業には、図3(C)に示す真空成形型が用いられる。真空成形型は、ここでは移動不能に設けられた下型34と、上下動することで上記下型34に接近及び離間する上型35とを備えている。下型34には成形突部34Aが設けられ、上型35には成形凹部35Aが設けられている。成形凹部35Aには、シボ18の反転形状が形成されている。なお、図3(C)では、シボ18の反転形状が太線で図示されている。下型34の複数箇所、及び上型35の複数箇所には、図示はしないが、真空吸引用の孔がそれぞれあけられている。
なお、図示しないが、表皮15の余剰部分はトリミング(切除)される。
ステッチライン形成工程は、表皮15の表面15Aにステッチライン25を形成する工程である。
成形体20の上記箇所(表面に沿う方向について互いに離間した箇所)において、糸27が、表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで埋め込まれて固定される。
(1)成形体形成工程において、表皮15が基材11に一体となった成形体20を形成する(図3(A)〜(D))。ステッチライン形成工程において、表皮15の表面15Aに糸27を沿わせつつ、成形体20の表面に沿う方向について互いに離間した箇所において、糸27を表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで埋め込んで成形体20に固定することでステッチライン25を形成している(図5、図6)。
そのため、糸27を成形体20に固定するために、留め具等の別部材を用いなくてもすむ。これに伴い、留め具等の別部材が成形体20内に残存することもない。
そのため、糸27の成形体20への埋め込みと超音波溶着とを別々の装置を用いて行なう場合に比べ、使用する装置の数を減らすことができる。
(5)ステッチラインを形成する方法として、擬似的に縫い目を表わす鋲を、列をなすように成形体に差し込むことも考えられる。しかし、この場合には、鋲によって糸のような外観や感触(手触り)を実現することが難しい。
そのため、軟質層17が設けられない場合よりも表皮付き製品10をクッション性に富み、感触(手触り)の優れたものにすることができる。
第1実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<ステッチライン形成工程について>
・糸27を成形体20に押し込む際に、超音波ホーン39が、軸線の周りを回転させられながら同軸線に沿って上下方向へ振動されてもよい。このようにすると、糸27を成形体20にねじ込むことができる。
・糸27は、超音波ホーン39とは異なる装置によって穴37に押し込まれてもよい。
次に、表皮付き製品の製造方法の第2実施形態について、図7〜図13を参照して説明する。
図8は、第2実施形態の表皮付き製品10の一部について、糸27の縫い目26の延びる方向に対し直交する断面を示している。図8に示すように、成形体20には、第1実施形態での穴37に代えて、同成形体20の厚み方向に貫通する孔41が形成されている。成形体20を貫通していない第1実施形態と、貫通している第2実施形態とを区別するために、第1実施形態では「穴37」と表現し、第2実施形態では「孔41」と表現している。
留め具42としては、一対の脚部43と、両脚部43の基端部(図8の上端部)を繋ぐ連結部44とを備えるものが用いられている。この留め具42は、硬質の線材(金属線)45(図9参照)が二つに折り返されることにより形成されている。
図7は、ステッチライン形成工程の概要を示している。ステッチライン形成工程では、まず、図7に示すように、成形体20(表皮15)の表面上において互いに離間した箇所に対し、より正確には、糸27が埋め込まれる予定の箇所に対し、針(図示略)により孔41があけられる。次に、糸27がテンションをかけられた状態で表皮15の表面15A及び孔41に沿わされる。
詳しくは、硬質の線条体46、例えば金属線が、送り機構(図示略)により、ステッチライン25に交差(直交)する方向(図7の斜め左下方向)へ搬送される。この搬送の途中で、線条体46が一対のローラ47間を通過させられることで、同ローラ47の表面に形成された凹凸47Aが線条体46の表面に転写される。この転写により、線条体46の表面に凹凸部45Aが形成される。
図7及び図9に示すように、上記孔41の上方には、線材45に沿う方向(ステッチライン25に直交する方向)へ互いに離間した状態で、一対の曲げ加工片56が配置されている。これらの曲げ加工片56が、図9において矢印で示すように下降される。各曲げ加工片56において、対向する曲げ加工片56側の面には、上下方向に延びる溝部56Aが形成されている。
(8)ステッチライン形成工程において、留め具42を表皮15の表面15A側から成形体20に対し、同表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで打ち込んで基材11に係止することにより、糸27を同成形体20に埋め込んで固定している(図9〜図13)。
(9)留め具42として、一対の脚部43と、両脚部43の基端部を繋ぐ連結部44とを備えるものを用いる(図8)。両脚部43により糸27を挟み込み、かつ連結部44を打ち込み方向について両脚部43よりも後側に位置させた状態で、留め具42を成形体20に打ち込んで基材11に係止することにより、糸27を成形体20に埋め込んで固定している(図11〜図13)。
このように、糸27の埋め込みに必要な留め具42を打ち込みの直前に形成するため、留め具42を予め準備しなくてもよく、留め具42にされる前の線材45の状態で準備するだけですむ。
そのため、留め具42を、その表面の凹凸部45Aにおいて成形体20に接触させることで、同留め具42を成形体20から抜け出しにくくし、留め具42によって打ち込まれた糸27を、表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで埋め込まれた状態に維持することができる。
第2実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<ステッチライン形成工程について>
・孔41は、成形体20を貫通しないものであってもよい。例えば孔41は、表皮15と基材11の一部(少なくとも上部)とに設けられてもよい。
次に、表皮付き製品の製造方法の第3実施形態について、図14〜図17を参照して説明する。
図14は、第3実施形態の表皮付き製品10の一部について、縫い目26の延びる方向に沿う断面を示している。この点で、縫い目26の延びる方向に直交する断面を示す図8とは異なっている。
留め具60は、第2実施形態と同様に、一対の脚部61と、両脚部61の基端部(図14の上端部)を繋ぐ連結部62とからなる(図15参照)。ただし、第3実施形態では、連結部62と両脚部61とが硬質の薄片(金属の薄片)によって一体に形成されている。そして、留め具60が成形体20に対し表皮15の表面15Aよりも深い箇所まで打ち込まれている。両脚部61の先端部分が基材11の上部に対し、圧入により係止されている。
図15は、ステッチライン形成工程の概要を示している。図15及び図16に示すように、ステッチライン形成工程では、まず、成形体20(表皮15)の互いに表面上において離間した箇所に対し、より正確には、糸27が埋め込まれる予定の箇所に対し、針(図示略)により穴37があけられる。次に、糸27がテンションをかけられた状態で表皮15の表面15A及び穴37に沿わされる。ここまでは、第1実施形態と同様である。
第3実施形態では、糸27の埋め込みの対象となる穴37の直上にガイド片63が配置される。ガイド片63には、留め具60の上下動をガイドするガイド溝63Aが形成されている。そして、予め形成された留め具60がガイド溝63A内に順次搬送される。
(12)留め具60として、両脚部61と連結部62とが一体に形成された薄片を用いている(図15)。
第3実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<ステッチライン形成工程について>
・穴37は、表皮15に加え、基材11の一部に設けられてもよい。
なお、上述した第1〜第3実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
・糸27として、表皮15とは異なる色を有するものが用いられてもよい。このようすることで、ステッチライン25を強調することができ、表皮付き製品10の外観品質のさらなる向上を図ることができる。
・上記第1〜第3実施形態とは異なる方法で、表皮15が基材11に一体となった成形体20が形成されてもよい。
<ステッチライン形成工程について>
・複数本の針36が用いられて、成形体20の複数箇所に一度に穴37又は孔41があけられてもよい。
・上記製造方法は、車両用内装品に限らず、ステッチラインを表皮の表面に有する表皮付き製品に広く適用可能である。
(A)請求項1〜9のいずれか1つに記載の表皮付き製品の製造方法において、前記成形体形成工程では、真空成形型に装着された前記基材の表面に、加熱されて軟化したシート状の表皮を配置し、前記表皮を真空吸引して前記基材に密着させることにより前記成形体を形成する。
上記のように、表皮層に加え軟質層が設けられた場合には、軟質層が設けられない場合よりも表皮付き製品がクッション性に富み、感触(手触り)の優れたものとなる。
Claims (9)
- 基材と、前記基材上に配置された表皮と、前記表皮の表面に沿って線状をなすように配列された複数の縫い目からなるステッチラインとを有する表皮付き製品を製造する方法であって、
前記表皮を前記基材に密着させた状態で一体化させることで成形体を形成する成形体形成工程と、
前記成形体形成工程の後に、前記表皮の表面に糸を沿わせつつ、前記成形体の互いに離間した箇所において前記糸を、前記表皮の表面よりも深い箇所まで埋め込んで前記成形体に固定することにより、前記ステッチラインを形成するステッチライン形成工程と
が行なわれることを特徴とする表皮付き製品の製造方法。 - 前記ステッチライン形成工程では、前記糸のうち前記成形体に埋め込まれた箇所を超音波溶着により前記基材に接合させる請求項1に記載の表皮付き製品の製造方法。
- 前記ステッチライン形成工程では、前記糸の埋め込み及び超音波溶着を、超音波溶着機の超音波ホーンにより行なう請求項2に記載の表皮付き製品の製造方法。
- 前記ステッチライン形成工程での前記超音波ホーンによる前記糸の埋め込みは、その埋め込みに先立ち、前記成形体の少なくとも前記表皮にあけられた穴において行なわれる請求項3に記載の表皮付き製品の製造方法。
- 前記ステッチライン形成工程では、留め具を前記表皮の表面側から前記成形体に対し、同表皮の表面よりも深い箇所まで打ち込んで前記基材に係止することにより、前記糸を同成形体に埋め込んで固定する請求項1に記載の表皮付き製品の製造方法。
- 前記ステッチライン形成工程では、前記留め具として、一対の脚部と、前記両脚部の基端部を繋ぐ連結部とを備えるものを用い、前記両脚部により前記糸を挟み込み、かつ前記連結部を打ち込み方向について前記両脚部よりも後側に位置させた状態で、前記留め具を前記成形体に打ち込んで前記基材に係止することにより、前記糸を同成形体に埋め込んで固定する請求項5に記載の表皮付き製品の製造方法。
- 前記留め具として、前記成形体への打ち込みの直前に線材が二つに折り返されることにより形成されたものを用いる請求項6に記載の表皮付き製品の製造方法。
- 前記線材として、表面に凹凸部が形成されたものを用いる請求項7に記載の表皮付き製品の製造方法。
- 前記留め具として、前記両脚部と前記連結部とが一体に形成された薄片を用いる請求項6に記載の表皮付き製品の製造方法。
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