JP2014140898A - 形鋼の曲がり矯正方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】正確且つ効率良く形鋼の曲がりを矯正することができる形鋼の曲がり矯正方法を提供する。
【解決手段】ウェブと該ウェブの高さ方向端部に設けられたフランジとを有する形鋼の前記ウェブ高さ方向での曲がりを矯正する方法であって、形鋼の長手方向にわたり、該形鋼の前記ウェブ高さ方向の曲がり形状曲線を得る曲がり形状測定工程と、該曲がり形状測定工程で得られた曲がり形状曲線に基づいて、フランジの圧延条件を決定する圧延条件決定工程と、該圧延条件決定工程により決定された圧延条件にしたがい、前記長手方向にわたって前記形鋼のフランジを圧延する圧延矯正工程と、を備える、形鋼の曲がり矯正方法とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ウェブと該ウェブの高さ方向の端部に設けられたフランジとを有する形鋼(例えばH形鋼)の曲がりを矯正する形鋼の曲がり矯正方法に関する。
図12に示すように、H形鋼100は、ウェブ101と、ウェブ101の高さ方向両側にそれぞれ設けられた2つのフランジ102,102と、を有している。このようなH形鋼は、被圧延材を加熱炉で加熱した後、通常、ユニバーサル圧延によって製造される。ユニバーサル圧延機は、上下一対の水平ロールと、左右一対の垂直ロールとを備えた圧延機であり、被圧延材であるH形鋼のウェブとフランジとをこれらのロールで圧下することによってH形鋼の製品形状としていく。
成型されたH形鋼は、熱間圧延時のフランジの圧下率差や冷却時の温度差などによって、曲がりや反りが生じる場合がある。すなわち、H形鋼を圧延製造する場合には、図12の(a)に示すように、H形鋼100に、ウェブ101の高さ方向での曲がり(曲がり量を符号δで示す)や、あるいは、図13の(a)に示すように、ウェブ101の厚さ方向での反り(反り量を符号Sで示す)が、長手方向の全体又は一部に生じる場合がある。そのため、成型したH形鋼を冷却床で冷却後に、曲がりや反りを所望の形状に矯正して製品とされる。
このような曲がりや反りを減少させる方法として、ユニバーサル圧延での圧延条件を調整する方法が知られている。しかしながら、H形鋼の曲がりや反りの発生には、ユニバーサル圧延での圧下のアンバランスや被圧延材の形状不良などが影響している。すなわち、H形鋼の曲がりや反りの発生には、ユニバーサル圧延機や被圧延材が有する種々の上下左右方向の非対称圧延要素が影響している。よって、これら全ての要因に対応してユニバーサル圧延機の圧延条件を微妙に調整することは非常に困難である。
そのため、圧延条件の調整でも曲がりや反りを防止できない場合は、圧延後にH形鋼を温間又は冷間で矯正することが不可欠となる。このような反りに対しては、通常、ローラー矯正機によってオンラインで矯正を行っているが、曲がりに対しては、反りと比較して矯正荷重が多大となることから、精整工程においてオフラインでプレス機による矯正を行っている。
曲がりをプレス矯正する方法としては、プレス機によりH形鋼に対して3点曲げを行って矯正する方法が知られている(例えば特許文献1を参照)。しかしながら、プレス機による3点曲げ矯正においては、曲げ加工の支点間(受け金と当て金のピッチ)の機械的な制約により、H形鋼の先尾端の局所的な曲がりが矯正されにくいという問題や、曲げ矯正によってウェブの高さが変化するなどして寸法が規格から外れ格落ちしてしまうという問題があった。また、プレス機による3点曲げ矯正は、H形鋼の搬送を停止した状態で行われることから、曲がり矯正の処理能率が低いという問題があった。
これに対して、H形鋼が有する2つのフランジのうち、曲がりの曲率半径方向内側のフランジを圧延することにより、曲がりを矯正する方法が知られている(例えば特許文献2を参照)。
この方法は、フランジをウェブとは反対側の面から支持する支持ロールと、ウェブの高さ方向端部からウェブの両面側にそれぞれ張り出す両フランジ部(ここでは右フランジ部及び左フランジ部と言う)を有するフランジをウェブ側の面から押圧して、右フランジ部と左フランジ部とをそれぞれ支持ロールとの間で挟圧する一対の矯正ロールと、を用い、フランジ内外の対向する両ロール間の距離を所定の間隔に設定して、あるいは所定の圧延荷重を負荷して、フランジを挟圧する曲がり矯正方法である。
この圧延矯正方法は、H形鋼を搬送しながら曲がり矯正することができるので、前述のプレス矯正方法に比べると曲がり矯正の処理能率の面では有利である。すなわち、この圧延方式の曲がり矯正設備を既存のH形鋼製造設備のオンライン工程に組み入れてH形鋼の曲がりを矯正すれば、オフライン設備の場合と比べて材料の取り込みや払い出し、その他付帯の材料ハンドリングが省略できるとともに、リードタイムを短縮することができる。
特開2008−030090号公報 特公平2−50812号公報
前述した従来のプレス矯正方法では、H形鋼における曲がり矯正を施す位置(以下、「矯正位置」と記すこともある)や矯正量は、作業員が目視により判断していた。そのため、正確で効率の良い曲がり矯正を行うことができない場合があった。
また、前述した従来の圧延矯正方法では、曲がりの曲率半径方向内側のフランジを圧延することにより、H形鋼を搬送しながら曲がり矯正することができるが、曲がり矯正を行う上での矯正ロールの圧下量をどのように制御すればよいかについて、具体的に開示された例はなく、この方法による曲がり矯正の具現化のためには、さらなる工夫が必要であった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、正確且つ効率良く形鋼の曲がりを矯正することができる形鋼の曲がり矯正方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の態様は、次のような構成からなる。すなわち、本発明の一態様に係る形鋼の曲がり矯正方法は、ウェブと該ウェブの高さ方向端部に設けられたフランジとを有する形鋼の前記ウェブ高さ方向での曲がりを矯正する方法であって、形鋼の長手方向にわたり、該形鋼の前記ウェブ高さ方向の曲がり形状曲線を得る曲がり形状測定工程と、該曲がり形状測定工程で得られた曲がり形状曲線に基づいて、フランジの圧延条件を決定する圧延条件決定工程と、該圧延条件決定工程により決定された圧延条件にしたがい、前記長手方向にわたって前記形鋼のフランジを圧延する圧延矯正工程と、を備えることを特徴とする。
この形鋼の曲がり矯正方法によれば、形鋼製造ライン上で形鋼の曲がりを長手方向にわたって測定し、前記形鋼製造ラインに設置された曲がり矯正機で、曲がり形状に応じた圧延条件にしたがって圧延を行い、前記形鋼の曲がりを矯正することができる。
ここで、形鋼の曲がり形状は、形鋼の長手方向位置によって変化していることもある。長手方向の各位置毎の単位長さ当たりの曲がり量を曲がり形状曲線から算出し、長手方向位置に対応する圧延条件は、形鋼の長手方向位置に対応する単位長さ当たりの曲がり量と、予め設定してある曲がり量と該曲がり量での曲がりを矯正するための圧延条件との関係とから決定することで、長手方向位置によって曲がり形状が変化している場合であっても、長手方向位置に応じた適正な圧延条件にてフランジの圧延を実施することができる。
したがって、前記圧延条件決定工程は、前記曲がり形状測定工程で得られた曲がり形状曲線から、前記形鋼の長手方向位置に対応する単位長さ当たりの曲がり量を算出し、前記形鋼の長手方向位置に対応する単位長さ当たりの曲がり量と、予め設定してある曲がり量と該曲がり量での曲がりを矯正するための圧延条件との関係とから、前記長手方向位置に対応する圧延条件を決定することが好ましい。
また、単位長さ当たりの曲がり量は、長手方向に沿って変化する場合がある。単位長さ当たりの曲がり量が大きい程、圧延条件として圧下率を大きくあるいは圧延荷重を大きく設定する必要がある。このため、単位長さ当たりの曲がり量の長手方向に沿った変化が激しい場合には、フランジを圧延する圧延矯正工程において、圧延条件の変化も長手方向に沿って激しくしなければならないが、変化量の激しさによっては、圧延条件をこの変化に追従させることができない場合がある。
この場合に対応するため、圧延条件決定工程は、曲がり形状測定工程で得られた曲がり形状曲線から、形鋼の長手方向位置に対応する単位長さ当たりの曲がり量を算出し、形鋼の長手方向にわたり、前記形鋼の長手方向位置に対応する単位長さ当たりの曲がり量を示す曲がり量曲線を得る曲がり量曲線作成工程と、得られた曲がり量曲線を複数の長手方向の単位領域に分割し、各単位領域における単位長さ当たりの曲がり量の平均値をそれぞれ算出する曲がり量曲線分割工程と、各単位領域における前記平均値と、予め設定してある曲がり量と該曲がり量での曲がりを矯正するための圧延条件との関係とから、長手方向の前記各単位領域についての圧延条件を決定する単位領域圧延条件決定工程と、を有するようにすることが好ましい。
このようにすることで、圧延条件の変化を形鋼の長手方向に沿って段階的に行うことができ、この領域内の曲がり量の平均値に基づいた圧延条件の設定を行えば、各単位領域内について少なくとも必要最小限の形状矯正は行うことができる。
また、曲がり量曲線を複数の長手方向の単位領域に分割するにあたっては、分割は、各単位領域内における単位長さ当たりの曲がり量の最大値と最小値との差が所定の基準値以下となるように行うことが好ましい。このようにすることで、各単位領域内では、単位長さ当たりの曲がり量の範囲が所定の範囲内となるので、単位領域内において圧延条件が適正量から大きく外れることを防止できる。
なお、単位長さ当たりの曲がり量は、曲がり形状曲線上の任意の1点と他の1点とを結ぶ単位長さの直線から前記曲がり形状曲線に至るまで垂線を引き、この垂線の長さの最大値を前記任意の1点における単位長さ当たりの曲がり量として算出することが好ましい。
本発明に係る形鋼の曲がり矯正方法は、正確且つ効率良く形鋼の曲がりを矯正することができる。
本発明に係る形鋼の曲がり矯正方法の一実施形態を説明する曲がり矯正設備の模式図である。 曲がり矯正機の構造を説明する図である。 H形鋼の曲がり形状パターンと圧延領域を説明する図である。 H形鋼の曲がり形状曲線を示すグラフである。 曲がり量曲線を示すグラフである。 フィルタリング処理を施した曲がり量曲線を示すグラフである。 分割処理を施した曲がり量曲線を示すグラフである。 図7の場合とは異なる基準値を用いて分割処理を施した曲がり量曲線を示すグラフである。 長手方向に均等に分割する分割処理を施した曲がり量曲線を示すグラフである。 曲がり矯正設備の変形例を説明する模式図である。 曲がり矯正設備の別の変形例を説明する模式図である。 H形鋼の曲がりを説明する図である。 H形鋼の反りを説明する図である。
本発明に係る形鋼の曲がり矯正方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る形鋼の曲がり矯正方法の一実施形態を説明する曲がり矯正設備の模式図である。また、図2は、図1の曲がり矯正設備が備える曲がり矯正機の構造を説明する図である。
なお、本発明における「曲がり」とは、図12に示すように、ウェブと該ウェブの高さ方向端部に設けられたフランジとを有する形鋼における、ウェブの高さ方向での曲がりを意味する。
図1に示す曲がり矯正設備は、ウェブと該ウェブの高さ方向端部に設けられたフランジとを有する形鋼であるH形鋼10のウェブ11の高さ方向での曲がりを矯正する設備であり、H形鋼10を製造するH形鋼製造設備のオンライン工程に組み入れられている。すなわち、曲がり矯正設備は、H形鋼10の製造に係る他の設備と直列をなして配置されている。
H形鋼製造設備の図示しない圧延機(例えばユニバーサル圧延機)で成型されたH形鋼10は、図示しない冷却床で冷却された後に、H形鋼製造設備の搬送ライン9により曲がり矯正設備に導入される。そして、例えば冷間で曲がりが矯正されて所望の形状の製品とされた後、搬送ライン9により下流側に送られる。
この曲がり矯正設備は、曲がりを矯正する前のH形鋼10の曲がりを測定する曲がり測定装置2と、曲がり測定装置2の測定結果に対して演算処理を行う図示しない演算処理装置と、前記演算処理装置による演算処理結果に基づいてH形鋼10のフランジ12を圧延しH形鋼10の曲がりを矯正する2つの曲がり矯正機3(3A,3B)と、曲がりが矯正されたH形鋼10の曲がりを測定する曲がり測定装置4と、を備えている。
曲がり測定装置2,4の種類や測定方法は特に限定されるものではないが、例えばH形鋼10を搬送中にH形鋼10のウェブ11とは反対側のフランジ側面(フランジ外面)あるいは、H形鋼10のウェブ11側のフランジ側面(フランジ内面)に対向するように配置したレーザ距離計にて、フランジ外面あるいはフランジ内面までの距離を測定することで実施できる。H形鋼10を搬送ライン上で停止させた状態として、レーザ距離計をH形鋼10のフランジ外面あるいはフランジ内面に対向配置しつつ、レーザ距離計をH形鋼10の長手方向に走行させることで、H形鋼10の長手方向に沿ってレーザ距離計からフランジ外面あるいはフランジ内面までの距離を計測するようにしてもよい。
H形鋼10に生じる曲がりには種々のパターンがあり、例えば、図3の(a),(b),(c)に示すように、長手方向の全体の領域に曲がりが生じている曲がり形状パターンや、長手方向の一部の領域のみ(例えば端部のみ)に曲がりが生じている曲がり形状パターンがある。また、図3の(a),(b)に示すように、一方向の曲がりのみが生じる曲がり形状パターン(皿形、逆皿形)や、図3の(c)に示すように、二方向の曲がりが生じる曲がり形状パターン(S字形)がある。さらに、いずれの曲がり形状パターンにおいても、その曲がり量は種々異なる場合もある。曲がり測定装置2,4においては、H形鋼10における曲がりが生じている長手方向領域、曲がり方向、及び曲がり量が測定されるようになっている。
また、曲がり矯正機3(3A,3B)の種類や圧延方法は、ロールを用いてフランジをH形鋼の長手方向に圧延する方式の矯正機を用いることができる。すなわち、図2に示すように、曲がり矯正機3(3A,3B)は、フランジ12のウェブ11とは反対側の面(フランジ外面)に対向して配され、フランジ12をフランジ外面側から支持する支持ロール21と、フランジ12のウェブ11側の面(フランジ内面)に対向して配され、ウェブ11の高さ方向端部からそれぞれウェブ11の高さ方向と垂直に張り出す両フランジ部(ここでは右フランジ部及び左フランジ部と言う)をそれぞれ押圧する一対の矯正ロール22,22と、を備えている。曲がりの曲率半径方向内側のフランジ12を支持ロール21と矯正ロール22,22とで挟圧し、所定の圧延条件で圧延すれば、曲がりの曲率半径方向内側のフランジ12が延伸されるため、曲がりが矯正される。
2つの曲がり矯正機3A,3Bのうち一方の曲がり矯正機3Aは、2つのフランジ12,12のうち一方に対して圧延を行うものであり、他方の曲がり矯正機3Bは、他方のフランジ12に対して圧延を行うものである。H形鋼10に生じる曲がりには、上記のように種々のパターンがあるが、2台の曲がり矯正機3A,3Bを組み合わせた設備構成であれば、どのような曲がり形状パターンのH形鋼であっても、曲がりを矯正することができる。
例えば、図3の(a),(b)のような弓形状(皿形、逆皿形)に湾曲したH形鋼であれば、その曲がりの向きがいずれであっても、2台の曲がり矯正機3A,3Bのいずれか一方を用いて矯正することができるし、図3の(c)のようなS字状に湾曲したH形鋼であれば、2台の曲がり矯正機3A,3Bの両方を用いて矯正することができる。
なお、曲がり矯正設備及びH形鋼製造設備におけるH形鋼10の姿勢は、特に限定されるものではないが、搬送時の安定性から、ウェブ11が水平をなしフランジ12,12が鉛直をなす姿勢(以下「H姿勢」と記すこともある)とすることが好ましい。したがって、曲がり矯正時もH姿勢で圧延することが、オンライン設備としての信頼性から好ましい。ただし、ウェブ11が鉛直をなしフランジ12,12が水平をなす姿勢(いわゆるI姿勢)とすることもできる。
以下に、H形鋼製造設備で製造されたH形鋼10の曲がりを、曲がり矯正設備によってオンラインで矯正する方法について説明する。
冷却床(図示せず)で冷却されたH形鋼10は、H形鋼製造設備の搬送ライン9によって精整工程の曲がり矯正設備に搬送される。曲がり矯正設備に搬送されたH形鋼10は、まず曲がり矯正機3(3A)の入側に設置された曲がり測定装置2に送られ、長手方向全域(全長)についての曲がりが測定され、曲がりが生じている長手方向領域、曲がり方向、及び曲がり量が測定される。そして、この測定結果に対して前記演算処理装置によって演算処理が施され、その演算処理結果が前記演算処理装置から曲がり矯正機3に送られる。なお、この演算処理の詳細については、後述する。また、曲がり測定及び曲がり矯正は、通常はH形鋼10の全長について行われるが、長手方向の一部の領域のみ(例えば端部のみ)について行ってもよい。
曲がりの測定が終了したら、H形鋼10は曲がり矯正機3A,3Bに送られ、曲がり矯正機3Aにおいて一方のフランジ12に対して圧延が施され、続いて曲がり矯正機3Bにおいて他方のフランジ12に対して圧延が施される。これらの圧延は、前記演算処理結果に基づいて設定された矯正条件で行われるようになっている。すなわち、曲がりが生じている長手方向領域、曲がり方向、及び曲がり量に応じて、圧延を施す長手方向領域、圧延条件が逐次変更されるようになっている。よって、曲がりが生じていない長手方向領域には圧延は施されないし、曲がりが生じていても、曲がりの曲率半径方向外側のフランジ12に対しては圧延は施されない。
このようにして曲がりが矯正され所望の形状の製品とされたH形鋼10は、搬送ライン9によって、曲がり矯正機3(3B)の出側に設置された曲がり測定装置4に送られる。そして、曲がり測定装置4によって、品質保証、フィードバック、フィードフォワードのための測定が行われるようになっている。すなわち、曲がり矯正機3による曲がり矯正の評価を行うことにより、曲がり矯正の内容をレベルアップさせて以降の曲がり矯正に反映させることができる。曲がり測定装置4による測定は、曲がり測定装置2で行った測定と同様のものである。ただし、この曲がり測定装置4による品質保証等を目的とする測定は、行わなくてもよい。このようにして曲がり矯正が施されたH形鋼10は、搬送ライン9によって出荷工程に搬送される。
このように、本実施形態の曲がり矯正設備は、既存のH形鋼製造設備に設置することが可能であり、H形鋼製造設備のオンライン工程に組み入れてオンラインでH形鋼10の曲がりを矯正することが可能であるので、効率良く形鋼の曲がりを矯正することができる。また、オフラインで曲がり矯正を行う場合と比べて、材料(H形鋼)の取り込みや払い出し、その他付帯の材料ハンドリング(例えばクレーン作業)が省略できるとともに、製品出荷までのリードタイムを短縮することができる。さらに、材料ハンドリングに伴う当て疵も低減することができる。さらに、矯正位置及び矯正量(圧延条件)の設定は、目視による曲がり量の判断結果に基づくものではなく、曲がり測定装置2を用いた曲がり測定に基づいて矯正位置と矯正量を決定するので、曲がり矯正の正確性や効率が優れている。
次に、前述の演算処理装置による演算処理について、以下に詳細に説明する。曲がり測定装置2によってH形鋼10の曲がりを測定すると、曲がりが生じている長手方向領域、曲がり方向、及び曲がり量が測定され、これを前記演算処理装置で処理すると、図4に示す曲がり形状曲線が得られる(曲がり形状測定工程)。この曲がり形状曲線とは、H形鋼10の形状を写し取った曲線、いわゆるプロフィールデータである。図4の例の場合は、H形鋼10の全長が10.7mであり、全長における曲がり量は24.5mmである。なお、曲がり測定装置2による曲がり測定においては、異常値等が測定される場合があるので、必要により、異常値等の除去処理を施してから曲がり形状曲線を得ることが好ましい。
次に、得られた曲がり形状曲線からフランジの圧延条件を決定する(圧延条件決定工程)。本実施形態においては、圧延条件決定工程では、曲がり量曲線作成工程と曲がり量曲線分割工程と単位領域圧延条件決定工程との3つの工程が順次実施される。曲がり量曲線作成工程では、曲がり量曲線を作成する。まず、曲がり量曲線の作成において使用する単位長さを決定し、前記演算処理装置に入力する。単位長さの数値は特に限定されるものではなく、H形鋼10の全長、材質等に応じて適宜設定すればよい。本実施形態においては、単位長さを1mとした例を説明する。そして、曲がり形状曲線上の任意の1点と他の1点とを結ぶ単位長さの直線(すなわち、長さ1mの直線)を引き、さらに、この直線に直交する線(垂線)を前記直線から曲がり形状曲線に至るまで引く。長さ1mの直線に対して多数の垂線を引くことが可能であるが、これらの垂線のうち長さが最大の垂線に着目し、この垂線の長さの最大値を前記任意の1点における単位長さ当たりの曲がり量(本実施形態の場合は、1m当たりの曲がり量)とする。
前記任意の1点を曲がり形状曲線の全領域内(両端間)で移動させると、曲がり形状曲線の全領域内の各点における単位長さ当たりの曲がり量がそれぞれ得られるので、曲がり形状曲線の長手方向位置をX、得られた単位長さ当たりの曲がり量をYとしてXYプロットすると、H形鋼10の長手方向位置に対応する単位長さ当たりの曲がり量を示す曲がり量曲線が得られる(図5を参照)。
なお、得られた曲がり量曲線は、誤差等を含んでがたついている場合があるので、必要により、フィルタリング処理を施して円滑性を高めてもよい。フィルタリング処理の種類は特に限定されるものではなく、移動平均等の一般的な手法を用いることができる。図5の曲がり量曲線に対してフィルタリング処理を施して円滑性を高めた曲がり量曲線を、図6に示す。
次に、曲がり量曲線分割工程では、得られた曲がり量曲線に対して分割処理を行う。まず、分割処理において使用する基準値を決定し、前記演算処理装置に入力する。基準値の数値は特に限定されるものではないが、本実施形態においては0.1mmとした例を説明する。曲がり量曲線を複数の単位領域に分割するが、その際には、各単位領域内における単位長さ当たりの曲がり量の最大値と最小値との差が前記基準値以下となるように行う。
図7の例を参照しながら説明する。曲がり量曲線の一端(長手方向位置0mm)をスタート位置とし、他端(長手方向位置9700mm)に向かって曲がり量曲線上を移動しながら、スタート位置から現位置までの領域における単位長さ当たりの曲がり量の最大値と最小値を記録する。そして、最大値と最小値との差が前記基準値(0.1mm)となった位置(図7の例では長手方向位置1100mm)をエンド位置とし、スタート位置からエンド位置までの領域を単位領域1として分割する。さらに、単位領域1における単位長さ当たりの曲がり量の平均値を算出し、この平均値を単位領域1の曲がり平均値とする(図7の例では0.55mm)。
続いて、単位領域1のエンド位置をスタート位置とし、他端(長手方向位置9700mm)に向かって曲がり量曲線上を移動しながら、スタート位置から現位置までの領域における単位長さ当たりの曲がり量の最大値と最小値を記録する。そして、最大値と最小値との差が前記基準値(0.1mm)となった位置(図7の例では長手方向位置2100mm)をエンド位置とし、スタート位置からエンド位置までの領域を単位領域2として分割する。さらに、単位領域2における単位長さ当たりの曲がり量の平均値を算出し、この平均値を単位領域2の曲がり平均値とする(図7の例では0.417mm)。
このようにして、他端(長手方向位置9700mm)に至るまで曲がり量曲線を分割していくと、図7の例では単位領域1から単位領域7まで7つの単位領域に分割される。最後の単位領域については、単位長さ当たりの曲がり量の最大値と最小値との差が前記基準値未満となる場合があるが、差し支えない。また、本実施形態では、単位長さ当たりの曲がり量の最大値と最小値との差が前記基準値と同値となった長手方向位置をエンド位置として分割したが、一部の単位領域については、単位長さ当たりの曲がり量の最大値と最小値との差が前記基準値未満である長手方向位置をエンド位置として分割しても差し支えない。
なお、基準値を0.2mmとして同一の曲がり量曲線を分割した例を、図8に示す。前記演算処理装置によって前述の場合と同様に分割処理を行うと、単位領域1から単位領域4までの4つの単位領域に分割される。
また、分割処理を、各単位領域内における単位長さ当たりの曲がり量の最大値と最小値との差が基準値以下となるように行うのではなく、例えば曲がり量曲線を長手方向に均等に分割するようにしてもよい。長手方向に均等に6分割する分割処理を施した曲がり量曲線の例を、図9に示す。この例の場合、長さがそれぞれ1616.7mmである6つの単位領域(単位領域1〜6)に分割される。そして、各単位領域についてそれぞれ単位長さ当たりの曲がり量の平均値を算出し、この平均値を各単位領域の曲がり平均値とする。図9中には、各単位領域の曲がり平均値をあわせて示した。
このように、分割処理を長手方向に均等に分割する処理とすることにより、図7や図8に例示した場合に比べて演算処理の負荷が低減し、これにより曲がり量曲線分割工程の短時間化も可能となる。よって、曲がり形状測定工程から圧延矯正工程までの時間を短縮でき、生産性の観点から実用的となる。なお、長手方向に均等に分割するのではなく、例えば、単位長さ当たりの曲がり量の変化が大きい領域(例えば図9においては単位領域3)については、単位領域の長手方向長さが小さくなるようにさらに細かく分割する等の処理を施してもよい。
続く単位領域圧延条件決定工程では、得られた曲がり平均値並びにH形鋼10の形状、寸法、及び材質(鋼種)に基づいて、曲がり矯正に必要な圧延条件を算出し、各単位領域に対する圧延条件をそれぞれ得る。曲がり量曲線の各単位領域はH形鋼10の長手方向領域に対応するから、各単位領域に対する圧延条件が得られれば、H形鋼10に施す曲がり矯正(圧延)の矯正位置及び矯正量が決定する。
ここで、圧延条件とは、フランジを圧延する場合の圧延荷重条件あるいは圧下率条件や、H形鋼のようにウェブの両端にそれぞれフランジを有する形鋼である場合には、いずれのフランジを圧延するかの条件等、曲げを矯正する上で影響因子となるフランジの圧延条件のことである。これらの条件は、実際に既知の曲がりを有する形鋼についてフランジを圧延して曲がりを矯正してみて得られた実験データから、曲がり量と該曲がり量での曲がりを矯正するための条件(圧延荷重や圧下率の値)との関係を関係式あるいは参照テーブルに予め設定しておき、各単位領域における曲がり量の平均値をこの関係式あるいは参照テーブルに照らし合わせて求めるようにすればよい。
なお、矯正するH形鋼材の鋼種やサイズの種類が多い場合には、同じ曲がり量でも種類に応じて最適圧延条件は変化する。よって、上記の関係式あるいは参照テーブルには、H形鋼のサイズや鋼種を考慮するようにしておくことが好ましい。すなわち、関係式を予め設定しておく場合には、曲がり量と圧延条件との関係式の係数が、H形鋼の鋼種やサイズに応じて異なるようにしておき、参照テーブルを設定しておく場合には、H形鋼の鋼種やサイズに応じてそれぞれテーブルを作成するようにすることが好ましい。
このような演算処理結果が前記演算処理装置から曲がり矯正機3A,3Bに送られて、圧延を施す長手方向領域、圧延条件が逐次変更されつつ曲がり矯正が行われる(圧延矯正工程)。すなわち、単位領域1に対応するH形鋼10の長手方向領域のフランジは、単位領域1の曲がり平均値に基づいて算出された圧延条件で圧延され、その長手方向領域の曲がりが矯正される。続いて、単位領域2に対応するH形鋼10の長手方向領域のフランジは、単位領域2の曲がり平均値に基づいて算出された圧延条件で圧延され、その長手方向領域の曲がりが矯正される。このようにして、H形鋼10の長手方向全領域に対して適切な曲がり矯正が行われる。
このように、本実施形態の曲がり矯正方法は、曲がり測定装置2の測定結果に対して前記演算処理装置により演算処理を施し、その演算処理結果に基づいて曲がり矯正を施すので、曲がり矯正の正確性や効率が優れている。よって、曲がり矯正設備をH形鋼製造設備のオンライン工程に組み入れてオンラインでH形鋼の曲がりを矯正する場合には、H形鋼製造設備の製造能率と曲がり矯正設備の矯正能率とを整合させることが容易となるので、H形鋼製造設備全体の処理能力を低下させることなくH形鋼を製造することができる。
また、本実施形態の曲がり矯正方法においては、H形鋼10の長手方向全領域を複数に分割し、各領域毎に適切な圧延条件で圧延して曲がり矯正を行うので、長手方向全領域の各点毎に圧延条件を細かく変更する必要がない。よって、単位長さ当たりの曲がり量の長手方向に沿った変化が激しい場合でも、曲がり矯正機3A,3Bを適切に制御しつつ円滑に曲がり矯正を行うことができる。H形鋼10の長手方向全領域を複数に分割しない場合は、曲がり形状曲線から直接的に算出した曲がり量に基づいて圧延条件を細かく変更しながら曲がり矯正を行うこととなるので、曲がり矯正機3A,3Bを適切に制御しつつ円滑に曲がり矯正を行うことが困難となる場合もある。
よって、前記基準値が小さすぎると、前記単位領域が小さくなり、曲がり矯正時に圧延条件を細かく変更することとなるので、前記基準値は、曲がり矯正機3A,3Bを適切に制御しつつ円滑に曲がり矯正を行うことができる程度に設定することが好ましい。ただし、前記基準値が大きすぎると、前記単位領域が大きくなり、曲がり矯正の正確性が不十分となるおそれがある。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明を適用できるH形鋼のサイズは特に限定されるものではなく、大型や小型など、あらゆるサイズのH形鋼に対して適用可能である。また、本実施形態は圧延機(例えばユニバーサル圧延機)で成型されたH形鋼10の曲がりを矯正するものであるが、フランジとウェブとを溶接することでH断面形状とされる溶接H形鋼の曲がり矯正にも適用可能である。
また、本実施形態においては、H形鋼を例にして形鋼の曲がり矯正方法を説明したが、ウェブと該ウェブの高さ方向端部に設けられたフランジとを有する形鋼であれば、本発明を適用することが可能であり、例えばT形鋼にも適用可能である。ただし、T形鋼は、フランジがウェブの高さ方向一端にのみ設けられたものであり、本発明は曲がりの曲率半径方向内側のフランジを圧延することによりフランジを圧延させて曲がりを矯正するものであるため、T形鋼の場合には、フランジのある側が曲がりの曲率半径方向内側となる場合にのみ適用可能である。
また、本実施形態においては、圧延条件決定工程は、曲がり量曲線作成工程と、曲がり量曲線分割工程と、単位領域圧延条件決定工程とを有するもの、すなわち、曲がり量曲線を分割して、分割された単位領域毎に曲がり量の平均値を求め、単位領域毎の曲がり量の平均値に基づいて単位領域毎に圧延条件を決定するものを例として説明したが、必ずしも、曲がり量曲線を分割して、分割された単位領域毎に圧延条件を設定せずに、曲がり形状曲線から曲がり位置と曲がり量を直接的に算出して矯正位置及び矯正量を決定するようにしてもよい。本実施形態において、圧延条件を形鋼の長手方向に分割し、分割された単位領域毎に圧延条件を決定しているのは、長手方向全領域の各点毎に圧延条件を細かく変更する必要性を回避するためであるので、長手方向に沿った曲がり量の変化がさほど激しくなく、曲がり矯正機3に対して長手方向に沿った圧延条件の変更が矯正機側で十分追従できる場合には、曲がり形状曲線から曲がり位置と曲がり量を直接的に算出して圧延条件(矯正位置及び矯正量)を決定するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、圧延条件決定工程では、曲がり形状測定工程で得られた曲がり形状曲線から、形鋼の長手方向位置に対応する単位長さ当たりの曲がり量を算出することにより、長手方向の各位置毎の曲がりを矯正するための、長手方向位置に対応する適正な圧延条件を決定できるようにしているが、形鋼の曲がりが均一に生じている場合、すなわち、長手方向位置によらず曲がり量が一定範囲内に収まっている場合には、必ずしも、形鋼の長手方向位置に対応する単位長さ当たりの曲がり量を算出する必要はない。形鋼の曲がりは、前述の通り、ユニバーサル圧延での圧下のアンバランスや被圧延材の形状不良などが影響して発生するものであるが、曲がりの方向が一方向であり、かつ、単位長さ当たりの曲がり量が長手方向でさほど変化していないような曲がりを発生させている場合には、圧延条件は長手方向で変化させる必要はなく、曲がり形状曲線から直接圧延条件を決めるようにしてもよい。
この場合、例えば曲がり形状曲線から全長曲がり量を求め(図4を参照)、全長曲がりを矯正するための圧延条件を決定するようにすればよい。この場合においても、圧延条件は、実際に既知の全長曲がりを有する形鋼についてフランジを圧延して曲がりを矯正してみて得られた実験データから、曲がり量と該曲がり量での曲がりを矯正するための条件(圧延荷重や圧下率の値)との関係を関係式あるいは参照テーブルに予め設定しておき、全長曲がり量をこの関係式あるいは参照テーブルに照らし合わせて求めるようにすればよい。なお、全長曲がり量が同じでも、H形鋼の長さが異なれば矯正に必要な圧延条件は異なるので、上記の関係式あるいは参照テーブルには、H形鋼の長さを考慮するようにしておく必要があるのは言うまでもない。
さらに、本実施形態においては、曲がり矯正設備は、H形鋼10の製造に係る他の設備と直列をなして配置されていたが、図10に示す変形例のように並列をなして配置されていてもよい。H形鋼製造における曲がりの発生割合はさほど高いものではなく、図10に示すように曲がり矯正設備を主ラインに並列に設置し、搬送ライン9で搬送されてくるH形鋼のうち曲がり矯正が必要な物のみを曲がり矯正設備に移載して、曲がり矯正後に主ラインに戻すという構成にすれば、H形鋼製造設備全体の処理能力がより高くなる。
また、曲がり矯正設備は、図11に示す別の変形例のように、H形鋼10を製造するH形鋼製造設備に隣接して併設することができる。すなわち、H形鋼製造設備の図示しない圧延機(例えばユニバーサル圧延機)で成型されたH形鋼10は、図示しない冷却床で冷却された後に、H形鋼製造設備の搬送ライン9から曲がり矯正設備に導入される。そして、曲がりが矯正されて所望の形状の製品とされた後、搬送ライン9に戻される。
図11の曲がり矯正設備は、H形鋼10の曲がりを測定する曲がり測定装置2と、曲がり測定装置2の測定結果に対して演算処理を行う図示しない演算処理装置と、前記演算処理装置による演算処理結果に基づいてH形鋼10のフランジ12を圧延しH形鋼10の曲がりを矯正する曲がり矯正機3と、H形鋼10を180°転回させる反転機6と、H形鋼10を搬送して曲がり測定装置2、曲がり矯正機3、反転機6の順に送り、さらに反転機6から再び曲がり矯正機3に送る搬送装置5と、を備えている。
そして、この曲がり矯正設備の搬送装置5とH形鋼製造設備の搬送ライン9とが、H形鋼10をH形鋼製造設備の搬送ライン9から曲がり矯正設備に移載する機能、及び、曲がりが矯正されたH形鋼10を曲がり矯正設備からH形鋼製造設備の搬送ライン9に移載する機能を有する移載装置7によって連結されている。よって、曲がりが生じているH形鋼10は、移載装置7により、H形鋼製造設備の搬送ライン9から曲がり矯正設備の搬送装置5に移載(受け入れ)されるようになっているとともに、曲がりが矯正されたH形鋼10は、移載装置7により、曲がり矯正設備の搬送装置5からH形鋼製造設備の搬送ライン9に移載(払い出し)されるようになっている。
反転機6の種類や転回方法は、H形鋼10を180°転回させることができるならば特に限定されるものではないが、例えば下記のような反転機6を用いることができる。すなわち、H姿勢のH形鋼10の両フランジ12,12を左右から挟み込んで、H形鋼10の長手方向に沿う中心軸を回転軸として180°転回させる(裏返す)反転機6を用いることができる。あるいは、ウェブ面に直交する中心軸を回転軸として180°転回させる(旋回させる)反転機6を用いることもできる。
以下に、H形鋼製造設備で製造されたH形鋼10の曲がりを、図11の曲がり矯正設備によってオンラインで矯正する方法について説明する。
冷却床(図示せず)で冷却されたH形鋼10は、H形鋼製造設備の搬送ライン9によって精整工程に搬送される。ここで、曲がり矯正設備による小幅な曲がり矯正の前にプレスによる大幅な曲がり矯正が必要か否か、及び、曲がり矯正が全く不要であるか否かを、例えば目視で判断する。大幅な曲がり矯正が必要であると判断された場合には、H形鋼10を搬送ライン9によって曲がり矯正プレス機(図示せず)に搬送し、曲がり矯正が全く不要であると判断された場合には、H形鋼10を搬送ライン9によって出荷工程に搬送する。
そして、大幅な曲がり矯正は必要ないが、曲がり矯正設備による小幅な曲がり矯正が必要であると判断された場合には、移載装置7によって、H形鋼10を搬送ライン9から曲がり矯正設備の搬送装置5に移載する。このように、搬送ライン9を搬送されてくるH形鋼10のうち曲がり矯正設備による曲がり矯正が必要な物のみを曲がり矯正設備に移載して、曲がり矯正を行う。
曲がり矯正設備に受け入れされたH形鋼10は、搬送装置5によって曲がり測定装置2に送られ、曲がりが生じている長手方向領域、曲がり方向、及び曲がり量が測定される。そして、この測定結果に対して前記演算処理装置によって演算処理が施され、その演算処理結果が前記演算処理装置から曲がり矯正機3に送られる。測定が終了したら、H形鋼10は搬送装置5によって曲がり矯正機3に送られ、2つのフランジ12のうち一方のフランジ12Aに対して圧延が施される。この圧延は、前記演算処理結果に基づいて行われるようになっている。
すなわち、曲がりが生じている長手方向領域、曲がり方向、及び曲がり量に応じて、圧延を施す長手方向領域、圧延条件が逐次変更されるようになっている。よって、曲がりが生じていない長手方向領域には圧延は施されないし、曲がりが生じていても、曲がりの曲率半径方向外側のフランジ12に対しては圧延は施されない。
曲がり矯正機3を通ったH形鋼10は、搬送装置5によって反転機6に送られ、180°転回される。そして、転回されたH形鋼10は、搬送装置5によって再び曲がり矯正機3に送られ、2つのフランジ12のうち他方のフランジ12Bに対して圧延が施される。この際にも、前記演算処理結果に基づいて圧延が行われるようになっている。すなわち、曲がりが生じている長手方向領域、曲がり方向、及び曲がり量に応じて、圧延を施す長手方向領域、圧延条件が逐次変更されるようになっている。
このようにして曲がりが矯正され所望の形状の製品とされたH形鋼10は、搬送装置5によって曲がり測定装置2を経由しつつ移載装置7に送られる。そして、移載装置7によって曲がり矯正設備からH形鋼製造設備の搬送ライン9に払い出しされ、搬送ライン9によって出荷工程に搬送される。なお、反転機6から移載装置7へ戻る復路においては、曲がり測定装置2において曲がりを測定する必要はないが、品質確認等を目的として、移載装置7から反転機6へ向かう往路と同様に曲がりを測定しても差し支えない。
このように、本変形例の曲がり矯正設備は、既存のH形鋼製造設備に併設することが可能であり、H形鋼製造設備のオンライン工程に組み入れてオンラインでH形鋼10の曲がりを矯正することが可能である。また、H形鋼製造設備の搬送ライン9を搬送されてくるH形鋼10のうち曲がり矯正が必要な物のみを曲がり矯正設備に移載して曲がり矯正を行い、曲がり矯正後に搬送ライン9に戻すようになっている。
本変形例の曲がり矯正設備は、反転機6を備えていることから、曲がり測定装置2及び曲がり矯正機3をそれぞれ1台しか必要としないので、それぞれ2台必要とする前述の曲がり矯正設備と比較して設置スペース及び設置費用が小さく、さらにメンテナンス負荷も小さい。また、本変形例の曲がり矯正設備を併設するために既存のH形鋼製造設備を改造する必要があるが、この改造の程度を小さい程度に抑えることができる。
〔実施例〕
ここで、図3の(a),(b),及び(c)に示す曲がり形状パターンを有するH形鋼10の曲がりを矯正する実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。本実施例は、図11の曲がり矯正設備を用いて曲がり矯正した例である。
図3の(a)に示すH形鋼10は、長手方向の全体の領域に一方向の曲がりが生じている曲がり形状パターン(皿形)を有しているので、往路での曲がり矯正機3において、曲がりの曲率半径方向内側のフランジ12の長手方向全領域に対して圧延が施されて、曲がりの矯正が完了する。よって、復路での曲がり矯正機3においては、曲がりの曲率半径方向外側のフランジ12に対して圧延は施されないので、反転機6においてはH形鋼10を転回させる必要はない。もちろんH形鋼10を転回させても差し支えないが、H形鋼10の転回を省略することにより省電力及びリードタイム短縮を実現することができる。
したがって、図11の曲がり矯正設備を用いて曲がり矯正する場合には、前記演算処理が、H形鋼10の曲がり形状パターンを判定する曲がり形状パターン判定工程を備えていることが好ましい。曲がり形状パターン判定工程においてH形鋼10の曲がり形状パターンが図3の(a)に示す皿形と判定された場合には、復路での曲がり矯正機3で圧延は施されないので、H形鋼10を転回させない旨の命令を前記演算処理装置から反転機6に送って、省電力及びリードタイム短縮を実現する。
図3の(b)に示すH形鋼10は、長手方向の全体の領域に図3の(a)とは逆方向の一方向の曲がりが生じている曲がり形状パターン(逆皿形)を有している。よって、往路での曲がり矯正機3においては、曲がりの曲率半径方向外側のフランジ12が支持ロール21と矯正ロール22,22との間を通るので、フランジ12に対して圧延は施されない。反転機6においてH形鋼が転回されるため、復路での曲がり矯正機3においては、曲がりの曲率半径方向内側のフランジ12が支持ロール21と矯正ロール22,22との間を通り、フランジ12の長手方向全領域に対して圧延が施されて、曲がりの矯正が完了する。
さらに、図3の(c)に示すH形鋼10は、長手方向の全体の領域に二方向の曲がりが生じている曲がり形状パターン(S字形)を有しており、長手方向略中央位置において曲がり方向が逆方向に変化している。よって、いずれのフランジ12においても、長手方向略半分の領域は、曲がりの曲率半径方向内側のフランジに該当し、残部の領域は曲がりの曲率半径方向外側のフランジに該当することとなる。
したがって、往路での曲がり矯正機3においては、支持ロール21と矯正ロール22,22との間を通るフランジのうち、曲がりの曲率半径方向内側のフランジに該当する長手方向領域のみに対して圧延が施され、曲がりの曲率半径方向外側のフランジに該当する領域に対しては圧延は施されない。そして、反転機6においてH形鋼が転回されるため、復路での曲がり矯正機3においては、他方のフランジ12が支持ロール21と矯正ロール22,22との間を通るが、そのフランジ12のうち、曲がりの曲率半径方向外側のフランジに該当する領域に対しては圧延は施されず、曲がりの曲率半径方向内側のフランジに該当する長手方向領域のみに対して圧延が施されることにより、曲がりの矯正が完了する。
2 曲がり測定装置
3 曲がり矯正機
4 曲がり測定装置
5 搬送装置
7 移載装置
9 搬送ライン
10 H形鋼
11 ウェブ
12 フランジ

Claims (5)

  1. ウェブと該ウェブの高さ方向端部に設けられたフランジとを有する形鋼の前記ウェブ高さ方向での曲がりを矯正する方法であって、
    形鋼の長手方向にわたり、該形鋼の前記ウェブ高さ方向の曲がり形状曲線を得る曲がり形状測定工程と、
    該曲がり形状測定工程で得られた曲がり形状曲線に基づいて、フランジの圧延条件を決定する圧延条件決定工程と、
    該圧延条件決定工程により決定された圧延条件にしたがい、前記長手方向にわたって前記形鋼のフランジを圧延する圧延矯正工程と、
    を備えることを特徴とする形鋼の曲がり矯正方法。
  2. 前記圧延条件決定工程は、前記曲がり形状測定工程で得られた曲がり形状曲線から、前記形鋼の長手方向位置に対応する単位長さ当たりの曲がり量を算出し、前記形鋼の長手方向位置に対応する単位長さ当たりの曲がり量と、予め設定してある曲がり量と該曲がり量での曲がりを矯正するための圧延条件との関係とから、前記長手方向位置に対応する圧延条件を決定することを特徴とする請求項1に記載の形鋼の曲がり矯正方法。
  3. 前記圧延条件決定工程は、前記曲がり形状測定工程で得られた曲がり形状曲線から、前記形鋼の長手方向位置に対応する単位長さ当たりの曲がり量を算出し、前記形鋼の長手方向にわたり、前記形鋼の長手方向位置に対応する単位長さ当たりの曲がり量を示す曲がり量曲線を得る曲がり量曲線作成工程と、
    得られた曲がり量曲線を複数の長手方向の単位領域に分割し、各単位領域における単位長さ当たりの曲がり量の平均値をそれぞれ算出する曲がり量曲線分割工程と、
    各単位領域における前記平均値と、予め設定してある曲がり量と該曲がり量での曲がりを矯正するための圧延条件との関係とから、長手方向の前記各単位領域についての圧延条件を決定する単位領域圧延条件決定工程と、
    を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の形鋼の曲がり矯正方法。
  4. 前記分割は、各単位領域内における単位長さ当たりの曲がり量の最大値と最小値との差が所定の基準値以下となるように行うことを特徴とする請求項3に記載の形鋼の曲がり矯正方法。
  5. 前記曲がり形状曲線上の任意の1点と他の1点とを結ぶ単位長さの直線から前記曲がり形状曲線に至るまで垂線を引き、この垂線の長さの最大値を前記任意の1点における単位長さ当たりの曲がり量として算出し、これを前記単位長さ当たりの曲がり量とすることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の形鋼の曲がり矯正方法。
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