JP2014139649A - プラスチック光ファイバの切断方法およびプラスチック光ファイバ用カッタ - Google Patents

プラスチック光ファイバの切断方法およびプラスチック光ファイバ用カッタ Download PDF

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博次 吉田
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Abstract

【課題】 作業者によらずに簡単かつ安定した切断が可能であり、しかも、切断方向に作用する力を減少することで切断面の荒れを抑えて、伝送損失の低減を可能としたプラスチック光ファイバの切断方法およびプラスチック光ファイバ用カッタを提供する。
【解決手段】 光ファイバ保持具2を使用してプラスチック光ファイバ4の切断位置の両側でプラスチック光ファイバ4を径方向から保持する。切り落とされる部分4bの長さが0.1〜1mmとなるようにして、切り落とされた部分4bがプラスチック光ファイバ4の長さ方向に移動可能な状態でプラスチック光ファイバ4を切断する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、プラスチック光ファイバ(POF)を切断するための方法およびプラスチック光ファイバ用カッタに関し、特に、プラスチック光ファイバの配線を行う作業現場において、追加の設備を使用せずに、簡単にプラスチック光ファイバを切断することができるプラスチック光ファイバの切断方法およびプラスチック光ファイバ用カッタに関する。
プラスチック光ファイバ端部を切断するプラスチック光ファイバ用カッタとして、種々のものが知られているが、大別すると、ケース部に設けられた軸部に刃保持具が回転可能に取り付けられた回転タイプ(例えば特許文献1)と、ケース部に対して刃保持具がスライド可能に取り付けられたスライドタイプ(例えば特許文献2)とに分けられる。
そして、例えば、図30に示すように、光ファイバ保持具(61)を使用してプラスチック光ファイバ(63)の切断位置の両側でプラスチック光ファイバ(63)を径方向から保持しておいて、プラスチック光ファイバ(63)の長さ方向に対して直交する方向に刃(62)を移動させて、プラスチック光ファイバ(63)を切断している。
特開平10−307213号公報 特開2002−71967号公報
プラスチック光ファイバについては、種々のものが実用化されているが、その切断面がきれいな面となることが伝送損失を損なわないために重要である。SI−POFと称されているプラスチック光ファイバでは、コア径が1.0mm程度であり、切断面が荒れていても、伝送損失への影響が小さいが、GI−POFと称されているプラスチック光ファイバでは、コア径が50〜300μm程度であり、伝送損失への影響を受けやすい。切断面の荒れは、コア層、クラッド層、被覆層の材質によっても、大きなバラツキがあり、また、作業者によってもバラツキが出る。例えばコア層が硬くて径が小さいプラスチック光ファイバは、切断面の荒れが生じやすいが、このような不利な形状のプラスチック光ファイバに対し、図30に示した切断方法では、切断面の荒れを抑えることが難しかった。
切断面の荒れの原因として、図30において、プラスチック光ファイバ(63)が長さ方向に移動できない状態で刃(62)が押し当てられることで、切断面に圧壊(コアの砕け)が生じやすいためと考えられる。
この発明の目的は、作業者によらずに簡単かつ安定した切断が可能であり、しかも、切断面の荒れを抑えて、伝送損失の低減を可能としたプラスチック光ファイバの切断方法およびプラスチック光ファイバ用カッタを提供することにある。
この発明によるプラスチック光ファイバの切断方法は、光ファイバ保持具を使用してプラスチック光ファイバを径方向から保持し、切り落とされる部分の長さが0.1〜1mmとなるようにして、切り落とされた部分がプラスチック光ファイバの長さ方向に移動可能な状態でプラスチック光ファイバを切断することを特徴とするものである。
従来のプラスチック光ファイバの切断において、プラスチック光ファイバの切り落とされる部分の長さについては、特に考慮されることはなく、数mm〜数cm程度切り落とされている。すなわち、切り落とされた部分が長さ方向に移動できない状態で刃が押し当てられている。これに対し、この発明のプラスチック光ファイバの切断方法では、プラスチック光ファイバの切り落とされる部分の長さが0.1〜1mm(より好ましくは、0.3〜0.7mm)となるようにして、切り落とされた部分がプラスチック光ファイバの長さ方向に移動可能な状態でプラスチック光ファイバを切断する。これにより、プラスチック光ファイバの切断方向への力が低減されて、圧壊が生じにくくなり、平滑な切断断面が得られる。
上記の切断を行うに際し、1枚の刃を使用し、切り落とされる部分の長さが0.1〜1mmとなるようにプラスチック光ファイバの保持位置を調整して切断するようにしてもよく、2枚の刃を使用し、2枚の刃の間隔が0.1〜1mmとなるようにしてプラスチック光ファイバを切断するようにしてもよい。
刃は、刃先の片側に傾斜面を有する片刃とされて、刃先の傾斜面がプラスチック光ファイバの端面に近い側に位置しかつ刃の中心面(刃先の傾斜面を2分割するように刃全体を2分割する面)とプラスチック光ファイバの長さ方向とが直交するようにして切断することがある。また、刃は、刃先の両側に傾斜面を有する両刃とされて、刃先のプラスチック光ファイバの端面から遠い側の傾斜面がプラスチック光ファイバの長さ方向と直交するように、刃の中心面(刃先を対称に分割するように刃全体を2分割する面)をプラスチック光ファイバの長さ方向と直交する方向に対して傾斜させて切断することがある。
プラスチック光ファイバを切断する際には、プラスチック光ファイバを径方向に移動できないように保持することが好ましい。径方向への移動可能量が大きいと、切断時の変形が大きくなることによる切断断面の荒れが生じやすくなる。プラスチック光ファイバを径方向に移動できないように保持することで、切断時の変形が抑えられて、切断断面の荒れも抑えられる。
上記の切断方法は、コア素材が硬質である場合に有効である。例えば、耐熱性を有するプラスチック光ファイバは、コア素材にガラス転移温度(Tg)が高い素材が使用されることがあり、そうした素材に対して特に有効である。
この発明によるプラスチック光ファイバ用カッタは、プラスチック光ファイバを保持する光ファイバ保持具と、プラスチック光ファイバの長さ方向に対して直交する方向または傾斜する方向に移動可能な刃とを備えているプラスチック光ファイバ用カッタであって、光ファイバ保持具は、プラスチック光ファイバの先端部が突出するようにプラスチック光ファイバが嵌め入れられる光ファイバ挿通部を有しており、プラスチック光ファイバが切断された際に切り落とされた部分が移動できるようになされていることを特徴とするものである。
この発明によるプラスチック光ファイバ用カッタによると、切断された際に切り落とされた部分が移動できるようになされていることにより、プラスチック光ファイバの切断方向への力が低減されて、圧壊が生じにくくなる。したがって、このカッタを使用することで、平滑な切断断面を有するプラスチック光ファイバを得ることができる。
プラスチック光ファイバの切り落とされる部分の長さは、0.1〜1mmとなることが好ましく、これが可能となるように、光ファイバ挿通部に嵌め入れられるプラスチック光ファイバの先端部の長さが調整される。
プラスチック光ファイバ用カッタは、上方に開口する凹所を有するケース部と、下部がケース部内に嵌め入れられてケース部に対して移動可能な刃保持部とを備えており、ケース部の前壁に、前壁を貫通するように光ファイバ挿通部が設けられ、ケース部の凹所内に、光ファイバ挿通部にプラスチック光ファイバを挿通する際のプラスチック光ファイバの光ファイバ挿通部からの後方への突出量を規制する位置決め部が設けられていることがある。
このプラスチック光ファイバ用カッタによると、位置決め部によって、プラスチック光ファイバの光ファイバ挿通部からの突出量、すなわち、切り落とし量が規制されるので、切り落とされる部分の長さが例えば1mm以下の薄切りを確実に実施することができる。
また、第1の刃と第2の刃とを有しており、第1の刃がプラスチック光ファイバを第1の位置で切断した後に、第2の刃がプラスチック光ファイバの残っている部分の端部を第2の位置で切断するようになされていることがある。
第1の刃と第2の刃との間隔は、0.1〜1mm(より好ましくは、0.3〜0.7mm)とされる。
このようにすることで、光ファイバ挿通部に嵌め入れられるプラスチック光ファイバの先端部の長さを調整しなくても、第2の刃による切断時には、プラスチック光ファイバの切り落とされる部分の長さが1mm以下(薄切り)となり、切り落とされた部分がプラスチック光ファイバの長さ方向に移動できるようになり、平滑な切断断面を確実に得ることができる。
プラスチック光ファイバ用カッタは、上方に開口する凹所を有するケース部と、下部がケース部内に嵌め入れられてケース部に対して移動可能な刃保持部とを備えており、刃保持部には、第1の刃を収容する第1凹所と、第2の刃を収容する第2凹所とが設けられており、第2凹所の上部は、刃保持部の表面に対し、第2の刃の厚さに対応する分凹まされており、第2凹所の下部は、上部よりも深く凹まされており、第2凹所の下部下面に連なって、刃保持部の表面に対し0.1〜1mm凹まされた第1凹所基準面が形成されており、第1凹所の上部は、第1凹所基準面に対し、第1の刃の厚さに対応する分凹まされており、第1凹所の下部は、上部よりも深く凹まされていることがある。
このプラスチック光ファイバ用カッタによると、カッタの構成が簡単なものとなり、しかも、薄切りの切断を簡単にかつ精度よく実施することができる。
プラスチック光ファイバ用カッタは、ケース部に対して刃保持部を移動させる送りねじ機構を備えていることがある。
このようにすると、より一層平滑な切断断面が得られるとともに、バラツキを小さくすることができる。プラスチック光ファイバの切断に際して、ゆっくりした速度で切断する方が切断断面の状態がよい。作業者の手で刃保持部を移動させた場合、切断速度が速いことによって、切断断面に荒れが生じやすく、また、作業者の熟練度によってバラツキが生じやすいが、送りねじ機構を使用することで、刃の移動を遅くすることができ、送りねじ機構を使用しない場合に比べて、よりきれいな切断断面を得ることができる。送りねじ機構におけるねじのピッチは、特に限定されるものではなく、例えば、市販されているM6などのねじを利用することで、必要な性能を得ることができる。
送りねじ機構を備えている場合に、ケース部に対して刃保持部を送りねじ機構の送り方向と逆向きに付勢する付勢部材を備えていることがある。
このようにすると、切断後には、付勢部材の付勢作用によって、刃保持部が切断前位置に正しく復帰するので、次の切断を容易にかつ確実に行うことができる。
送りねじ機構に代えて、ケース部に対して刃保持部を切断時の送り方向と逆向きに付勢する付勢部材を備えていることがある。
このようにすると、切断時には、付勢部材の付勢作用によって、刃保持部の移動が抑制されて、ゆっくりした切断になり、また、手で刃保持部を押す力が逆向きの付勢力によって弱められることで、切断時にプラスチック光ファイバに作用する力が小さくなり、送りねじ機構を備えているものと同程度に平滑な切断断面が得られる。
刃は両刃であり、プラスチック光ファイバが嵌め入れられる光ファイバ挿通部の軸方向は、刃の中心面と直交する方向に対して傾斜させられていることがある。
刃は片刃および両刃のいずれであってもよく、刃を片刃として、傾斜面が切断時におけるプラスチック光ファイバの端面に近い側に位置させられるようにすることで、切断面に対してプラスチック光ファイバの長さ方向の力が作用することがないものとなる。両刃の場合、光ファイバ挿通部の軸方向と刃の中心面とが直交するようにして切断すると、傾斜面から切断面に対してプラスチック光ファイバの長さ方向の力が作用する。両刃であっても、プラスチック光ファイバが嵌め入れられる光ファイバ挿通部の軸方向が刃の中心面と直交する方向に対して傾斜させられているようにすることで、切断面に対してプラスチック光ファイバの長さ方向の力が作用することがないものとできる。
プラスチック光ファイバの外周面と光ファイバ挿通部の内周面とのクリアランスがゼロとされていることが好ましい。このようにすると、プラスチック光ファイバを径方向に移動できないように保持することができ、切断時の変形が抑えられて、切断断面の荒れも抑えられる。
この発明によると、切り落とされた部分がプラスチック光ファイバの長さ方向に移動可能な状態でプラスチック光ファイバを切断することにより、プラスチック光ファイバの切断方向への力が低減されて、圧壊が生じにくくなり、平滑な切断断面が得られる。したがって、作業者やプラスチック光ファイバの材質によることなく、荒れのないプラスチック光ファイバ端面が得られ、これにより、プラスチック光ファイバの伝送損失の低減が可能となる。
図1は、この発明によるプラスチック光ファイバ用カッタの第1実施形態を示す縦断面図である。 図2は、この発明によるプラスチック光ファイバ用カッタの第2実施形態を示す縦断面図である。 図3は、この発明によるプラスチック光ファイバ用カッタの第3実施形態のケース部の前側の半部が取り外された状態を示す斜視図である。 図4は、第3実施形態のケース部の前側の半部が取り付けられた状態を示す斜視図である。 図5は、図4のV-V線に沿う断面図である。 図6は、この発明によるプラスチック光ファイバ用カッタの刃の他の例を示す図である。 図7は、この発明によるプラスチック光ファイバ用カッタの第4実施形態を示す縦断面図である。 図8は、この発明によるプラスチック光ファイバ用カッタの第5実施形態のケース部の前側の半部が取り外された状態を示す斜視図である。 図9は、第5実施形態のケース部の前側の半部が取り付けられた状態を示す斜視図である。 図10は、図9のX-X線に沿う断面図である。 図11は、図10の状態から、刃を移動させてプラスチック光ファイバを切断した状態を示す断面図である。 図12は、この発明によるプラスチック光ファイバ用カッタの第6実施形態のケース部の前側の半部が取り外された状態を示す斜視図である。 図13は、第6実施形態のケース部の前側の半部が取り付けられた状態を示す斜視図である。 図14は、図10のXIV-XIV線に沿う断面図である。 図15は、この発明によるプラスチック光ファイバ用カッタの第7実施形態のケース部の前側の半部が取り付けられた状態を示す斜視図であり、切断前の状態を示している。 図16は、第7実施形態のケース部の前側の半部が取り付けられた状態を示す斜視図であり、切断後の状態を示している。 図17は、第7実施形態のケース部の前側の半部が取り外された状態を示す斜視図であり、切断前の状態を示している。 図18は、第7実施形態のケース部の前側の半部が取り外された状態を示す斜視図であり、切断後の状態を示している。 図19は、第7実施形態のケース部の後側の半部を示す正面図である。 図20は、第7実施形態の刃保持部を示す正面図である。 図21は、第7実施形態のケース部の前側の半部を示す背面図である。 図22は、第7実施形態のケース部の前側の半部の変形例を示す背面図である。 図23は、この発明によるプラスチック光ファイバ用カッタの第8実施形態のケース部の前側の半部が取り付けられた状態を示す斜視図であり、切断前の状態を示している。 図24は、第8実施形態のケース部の前側の半部が取り付けられた状態を示す斜視図であり、切断後の状態を示している。 図25は、この発明によるプラスチック光ファイバ用カッタの第9実施形態のケース部の前側の半部が取り付けられた状態を示す斜視図であり、切断前の状態を示している。 図26は、第9実施形態のケース部の前側の半部が取り付けられた状態を示す斜視図であり、切断後の状態を示している。 図27は、第9実施形態のケース部の前側の半部が取り外された状態を示す斜視図であり、切断前の状態を示している。 図28は、この発明によるプラスチック光ファイバ用カッタを使用して得られるプラスチック光ファイバの切断面を模式的に示す図である。 図29は、従来のプラスチック光ファイバ用カッタを使用して得られるプラスチック光ファイバの切断面を模式的に示す図である。 図30は、従来のプラスチック光ファイバ用カッタを示す縦断面図である。
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、図1の上下を上下といい、図1の左を前、同右を後というものとする。
図1に、この発明によるプラスチック光ファイバ用カッタ(1)の第1実施形態を示す。
この実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(1)は、プラスチック光ファイバ(4)を保持する光ファイバ保持具(2)と、プラスチック光ファイバ(4)の長さ方向に対して直交する方向に移動可能な刃(3)とを備えている
光ファイバ保持具(2)は、第1光ファイバ挿通部(11)と、刃(3)を挿入可能な隙間(13)をおいて第1光ファイバ挿通部(11)と長さ方向に対向する第2光ファイバ挿通部(12)とを有している。
各光ファイバ挿通部(11)(12)は、外周面が断面方形で、内周面が断面円形とされている。プラスチック光ファイバ(4)は、断面が円形で、先端部(4a)が突出するように第1光ファイバ挿通部(11)に嵌め入れられて、先端部(4a)の先が第2光ファイバ挿通部(12)に嵌め入れられる。
第1光ファイバ挿通部(11)と第2光ファイバ挿通部(12)とは、別体であってもよく、刃(3)が挿入される隙間(13)を避けて設けられた連結部(図示略)を介して一体に形成されていてもよい。
このプラスチック光ファイバ用カッタ(1)を使用してプラスチック光ファイバ(4)を切断する際には、図1(a)に示す状態で、第1光ファイバ挿通部(11)から突出しているプラスチック光ファイバ(4)の先端部(4a)の長さが調整されて、図1(b)に示す状態において切り落とされる部分(4b)がわずかだけとされる。具体的には、プラスチック光ファイバ(4)の切り落とされる部分(4b)の長さは、0.5mm程度とされる。このようにすることで、切り落とされた部分(4b)がプラスチック光ファイバ(4)の長さ方向に移動可能な状態でプラスチック光ファイバ(4)が切断される。
図30に示した従来のプラスチック光ファイバ用カッタでは、切断面を顕微鏡で観察すると、図29(a)(b)に示すように、コア層(F1)に内部方向への亀裂(C)が生じたり、表面に雲母状の割れ(D)が生じたりするという問題があった。これに対し、上記実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(1)による切断では、切断面を顕微鏡で観察すると、図28(a)(b)に示すように、亀裂や割れがないきれいな切断面となる。なお、図28(a)(b)および図29(a)(b)において、(F)はプラスチック光ファイバを、(F1)はコア層を、(F2)はクラッド層を、(F3)は1次被覆層を、(F4)は2次被覆層をそれぞれ示している。
すなわち、図30に示した切断方法では、プラスチック光ファイバ(63)が長さ方向に移動できない状態で刃(62)が押し当てられることで、切断面に圧壊(コアの砕け)が生じやすいものとなっており、上記第1実施形態によると、切り落とされる部分(4b)の長さを1mm以下とすることで、従来の問題が解決されている。ここで、切り落とされる部分(4b)の長さは、小さすぎると、切断が困難となり、また、大きすぎると、荒れが生じやすくなるので、好ましくは、0.1〜1mm、より好ましくは、0.3〜0.7mmとされる。
図1においては、両刃の刃(3)が示されているが、図6に示すような刃先の一側に傾斜面を有する片刃の刃(30)としてもよい。片刃の刃(30)を使用する場合、傾斜面(30a)が前側(切断時におけるプラスチック光ファイバ(4)の端面に近い側)に位置させられる。このようにすることで、切断面に対してプラスチック光ファイバ(4)の長さ方向の力が作用することがないものとなり、よりきれいな切断面となる。
刃(3)として、両刃を使用した場合、切断面には、刃(3)の刃先の傾斜面によって、プラスチック光ファイバ(4)の長さ方向の力が作用する。図1では、刃(3)が厚く示されているが、実際に使用される刃(3)の厚みを薄く(例えば0.3mm以下)することで、刃(3)の刃先の傾斜面による影響を小さいものとできる。
図2に示す第2実施形態のように、刃先の後側(切断時におけるプラスチック光ファイバ(4)の端面から遠い側)および前側(切断時におけるプラスチック光ファイバ(4)の端面に近い側)に傾斜面(3a)(3b)を有する両刃の刃(3)を使用する場合、図1に示す光ファイバ挿通部(11)の軸方向と刃(3)の中心面(刃先を対称に分割するように刃全体を2分割する面)との関係(光ファイバ挿通部(11)の軸方向と刃(3)の中心面とが直交している)に代えて、光ファイバ挿通部(14)の軸方向と刃(3)の中心面とがちょうど直交する配置から刃(3)の後側の傾斜面(3a)の角度に相当する分だけ傾斜するようになされてもよい。
図2(a)において、刃(3)が図1の場合と同様の配置とされているのに対し、刃(3)の中心面と光ファイバ挿通部(14)の軸方向(プラスチック光ファイバ(4)の長さ方向)とが、図1のように直交するのではなく、直交配置から傾斜させられており、光ファイバ挿通部(14)の軸方向と刃(3)の後側の傾斜面(3a)とが直交している。この場合、プラスチック光ファイバ(4)の光ファイバ挿通部(14)で保持されている部分は、光ファイバ挿通部(14)に保持されていない先端部分に比べて動きにくいため、プラスチック光ファイバ(4)から刃(3)に作用する力が、後側の傾斜面(3a)と前側の傾斜面(3b)とでは、前側の傾斜面(3b)において相対的に小さく(ほぼゼロに)なっている。したがって、刃(3)の先は、破線で示されているプラスチック光ファイバ(4)の長さ方向と直交する方向に移動する。
図2(b)において、光ファイバ挿通部(15)は、刃(3)の移動方向と直交しており、刃(3)は、後側の傾斜面(3a)が刃(3)の移動方向(光ファイバ挿通部(15)の軸方向と直交する方向)に一致した状態で(刃(3)が図1に比べて傾斜した状態で)、移動させられている。したがって、図2(a)と同様に、刃(3)の先は、破線で示されているプラスチック光ファイバ(4)の長さ方向と直交する方向に移動する。
図2(a)(b)に示す第2実施形態の切断方法によると、両刃の刃(3)を使用しても、片刃の刃(30)を使用する場合と同様に、切断面にプラスチック光ファイバ(4)の長さ方向の力が作用しないようにして切断することができる。
図3から図5までに、図2(a)に示す切断方法を実施するのに好適なカッタの実施形態(第3実施形態)を示す。
第3実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(5)は、上方に開口する凹所(6a)を有する直方体状の合成樹脂製ケース部(6)と、下部がケース部(6)内に嵌め入れられてケース部(6)に対して上下移動可能な刃保持部(7)とを備えている。刃(3)は、刃保持部(7)と一体でケース部(6)内を上下移動するように刃保持部(7)に取り付けられている。
ケース部(6)は、光ファイバ保持具を構成しており、ケース部(6)の前壁(6b)には、これを前後に貫通する光ファイバ挿通孔(光ファイバ挿通部)(8)が設けられている。
刃保持部(7)には、光ファイバ挿通孔(8)に挿通されたプラスチック光ファイバ(4)の光ファイバ挿通孔(8)からの後方への突出量を規制する位置決め部(9)が設けられている。位置決め部(9)は、刃保持部(7)と一体で上下移動するようになされている。
この実施形態では、ケース部(6)および刃保持部(7)は、従来と同じ構成とされており、刃(3)の中心面は、従来と同じように、刃保持部(7)の移動方向である上下方向に一致している。これに対し、光ファイバ挿通孔(8)の軸方向は、従来、前後方向(刃保持部(7)の移動方向と直交する方向)であったのに対し、前後方向に対して傾斜した方向とされている。この実施形態では、また、従来なかった位置決め部(9)が設けられている。
図5においては、刃保持部(7)は、ケース部(6)に対して上方に移動させられた状態となっており、この状態が刃保持部(7)の切断前位置となっている。刃保持部(7)が切断前位置にあるときには、刃先は、光ファイバ挿通孔(8)よりも上方にあり、刃保持部(7)が切断位置に移動させられることにより、光ファイバ挿通孔(8)内に挿通されたプラスチック光ファイバ(4)が切断されるようになされている。光ファイバ挿通孔(8)にプラスチック光ファイバ(4)を挿通する際には、位置決め部(9)によって、プラスチック光ファイバ(4)の光ファイバ挿通孔(8)からの後方への突出量、すなわち、切り落とし量が規制され、切り落とされる部分の長さが1mm以下の薄切りが実現される。プラスチック光ファイバ(4)の切り落とされた部分は、落下して凹所(6a)の下部に溜められる。
こうして、第3実施形態のカッタ(5)を使用することで、図2(a)に示す切断が実施できる。
図7に、この発明によるプラスチック光ファイバ用カッタ(21)の第4実施形態を示す。
第4実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(21)は、プラスチック光ファイバ(4)を保持する光ファイバ保持具(22)と、プラスチック光ファイバ(4)の長さ方向に対して直交する方向に移動可能な2枚の刃(23)(24)とを備えている。
光ファイバ保持具(22)は、第1光ファイバ挿通部(31)と、2枚の刃(23)(24)を挿入可能な隙間(33)をおいて第1光ファイバ挿通部(31)と長さ方向に対向する第2光ファイバ挿通部(32)とを有している。
各光ファイバ挿通部(31)(32)は、外周面が断面方形で、内周面が断面円形とされている。プラスチック光ファイバ(4)は、断面が円形で、先端部(4a)が突出するように第1光ファイバ挿通部(31)に嵌め入れられて、先端部の先が第2光ファイバ挿通部(32)に嵌め入れられる。
第1光ファイバ挿通部(31)と第2光ファイバ挿通部(32)とは、別体であってもよく、2枚の刃(23)(24)が挿入される隙間(33)を避けて設けられた連結部(図示略)を介して一体に形成されていてもよい。
2枚の刃(23)(24)は、プラスチック光ファイバ(4)の長さ方向に0.5mm程度の間隔をおいて配置されている。2枚の刃(23)(24)の刃先(23a)(24a)の位置については、プラスチック光ファイバ(4)の長さ方向の先端側に位置する第1の刃(23)の刃先(23a)の方が、第2の刃(24)の刃先(24a)よりも下側に配置されている。また、2枚の刃(23)(24)は、一体的に移動するようになされている。
したがって、図7(a)の位置から2枚の刃(23)(24)を下降させると、図7(b)に示すように、第1の刃(23)がプラスチック光ファイバ(4)を先端側(第1の位置)で切断した後に、第2の刃(24)がプラスチック光ファイバ(4)の残っている部分の端部を第2の位置で切断するようになされている。
すなわち、第4実施形態によると、第1光ファイバ挿通部(31)から突出しているプラスチック光ファイバ(4)の先端部(4a)の長さを調整することなく、切り落とされる部分(4b)の長さを1mm以下とすることができる。これにより、図28(a)(b)に示すように、亀裂や割れがないきれいな切断面となり、従来の問題が解決されている。
第1の刃(23)の刃先(23a)と第2の刃(24)の刃先(24a)との距離は、0.1〜1mm(より好ましくは、0.3〜0.7mm)とされる。
図8から図11までに、図7に示す切断方法を実施するのに好適なカッタの実施形態(第5実施形態)を示す。
第5実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(25)は、上方に開口する凹所(26a)を有する直方体状の合成樹脂製ケース部(26)と、下部がケース部(26)内に嵌め入れられてケース部(26)に対して上下移動可能な刃保持部(27)とを備えている。刃(23)(24)は、刃保持部(27)と一体でケース部(26)内を上下移動するように刃保持部(27)に取り付けられている。
第1の刃(23)および第2の刃(24)は、いずれも、ひげそり用などに使用されているもので、左右方向が長く上下方向の高さが左右方向の長さの1/5程度で、厚さが0.2mm程度の長方形板状とされている。
ケース部(26)は、前側の半部(28)と後側の半部(29)とからなる。後側の半部(29)の前面の左右縁部および下縁部は、後側の半部(29)の前面の他の部分より突出させられており、前側の半部(28)の後面の左右縁部および下縁部は、前側の半部(28)の後面の他の部分より突出させられている。図8に示すように、後側の半部(29)の前面の左右縁部および下縁部に、それぞれ2つずつの凸部(30)が設けられており、前側の半部(28)には、これらの凸部(30)に嵌め合わされる凹部(図示略)が設けられている。複数の凸部(30)と凹部との嵌め合わせによって、前側の半部(28)と後側の半部(29)とが着脱可能に結合され、後側の半部(29)の前面の左右縁部および下縁部と前側の半部(28)の後面の左右縁部および下縁部とが突き合わされることにより、前側の半部(28)と後側の半部(29)との間に、上方に開口する凹所(26a)が形成されている。
ケース部(26)は、光ファイバ保持具を構成しており、ケース部(26)の前側の半部(28)には、これを前後に貫通する光ファイバ挿通孔(図7の第1光ファイバ挿通部(31)に相当)(34)が設けられている。
刃保持部(27)は、方形状とされており、下部には、各刃(23)(24)の左右端部がそれぞれ差し込み可能な左右1対の差し込み部(36)が設けられている。刃保持部(27)の上端部には、刃保持部(27)が下方に移動させられた際にケース部(26)の上面に当接する左右に長い略四角柱状のストッパ部(37)が設けられている。ストッパ部(37)の前後面および左右面は、ケース部(26)の前後面および左右面と面一に形成されている。
図10に示すように、刃保持部(27)の前面(表面)(27a)には、第1の刃(23)を収容する第1凹所(38)と、第2の刃(24)を収容する第2凹所(39)とが設けられている。
第2凹所(39)の上部(39a)は、刃保持部(27)の前面(27a)に対し、第2の刃(24)の厚さに対応する分(第2の刃(24)の厚さ+0.1mm程度)凹まされている。第2凹所(39)の下部(39b)は、上部(39a)よりも深く(第2の刃(24)によって切断されたプラスチック光ファイバ(4)の部分が収容できる程度の深さに)凹まされている。第2凹所(39)の下部(39b)下面に連なって、第1凹所(38)の基準面となる第1凹所基準面(38c)が形成されている。第1凹所(38)の上部(38a)は、第1凹所基準面(38c)に対し、第1の刃(23)の厚さに対応する分(第1の刃(23)の厚さ+0.1mm程度)凹まされている。第1凹所(38)の下部(38b)は、上部(38a)よりも深く(第1の刃(23)によって切断されたプラスチック光ファイバ(4)の部分が収容できる程度の深さに)凹まされている。
第1凹所(38)の上部(38a)の底面の第2凹所(39)の上部(39a)の底面からの凹み量(刃保持部(27)の前面(27a)と第1凹所基準面(38c)との距離に同じ)は、第1の刃(23)と第2の刃(24)との間隔が0.1〜1mmとなるように、0.6mmとされている。
第1凹所(38)の上面と第2凹所(39)の下面との間に、第1凹所基準面(38c)があることにより、2枚の刃(23)(24)は、第1(下側)の刃(23)の上面と第2(上側)の刃(24)の下面(刃先(24a)の先端)との間に所定の間隔が存するように上下に間隔をおいて配置されている。
図10においては、刃保持部(27)は、ケース部(26)に対して上方に移動させられた状態となっており、この状態が刃保持部(27)の切断前位置となっている。刃保持部(27)が切断前位置にあるときには、第1の刃(23)の刃先(23a)は、光ファイバ挿通孔(34)よりも上方にあり、刃保持部(27)が下側(切断終了位置)に移動させられることにより、光ファイバ挿通孔(34)内に挿通されたプラスチック光ファイバ(4)が切断される。
図11には、切断後の状態、すなわち、刃保持部(27)がケース部(26)に対して下方に移動させられた状態を示している。この状態では、第2の刃(24)の刃先(24a)は、光ファイバ挿通孔(34)よりも下方にあり、光ファイバ挿通孔(34)内に挿通されたプラスチック光ファイバ(4)が切断されている。プラスチック光ファイバ用カッタ(25)が下側の第1の刃(23)と上側の第2の刃(24)とを有していることにより、刃保持部(27)がケース部(26)に対して下方に移動させられる際には、まず、第1の刃(23)による切断が行われ、次いで、第2の刃(24)による切断が行われる。切断前において、光ファイバ挿通孔(34)から突出しているプラスチック光ファイバ(4)の部分は、特に規定されることなく、数mm程度であり、第1の刃(23)によって、光ファイバ挿通孔(34)から突出しているプラスチック光ファイバ(4)の部分のほとんどが切り落とされる。第1の刃(23)によって切り落とされたプラスチック光ファイバ(4)の部分(4c)は、第1凹所(38)の下部(38b)に落ち込むことになる。第1の刃(23)による切断によって、光ファイバ挿通孔(34)から突出しているプラスチック光ファイバ(4)の部分は、第1凹所(38)の上部(38a)の底面の第2凹所(39)の上部(39a)の底面からの凹み量に規定された分だけとなり、第2の刃(24)による切断は、この分だけの薄切りとなる。第2の刃(24)によって切り落とされたプラスチック光ファイバ(4)の部分(4d)は、第2凹所(39)の下部(39b)に落ち込むことになる。
こうして、第5実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(25)によると、図7に模式的に示した原理に基づいた切断を簡単にかつ精度よく実施することができる。
図12から図14までに、図7に示す切断方法を実施するのに好適なカッタの別の実施形態(第6実施形態)を示す。この実施形態のものは、図8から図11までの第5実施形態のものと、刃保持部(47)における刃(23)(24)の配置状態が相違している。
第6実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(45)は、上方に開口する凹所(46a)を有する直方体状の合成樹脂製ケース部(46)と、下部がケース部(46)内に嵌め入れられてケース部(46)に対して上下移動可能な刃保持部(47)とを備えている。刃(23)(24)は、刃保持部(47)と一体でケース部(46)内を上下移動するように刃保持部(47)に取り付けられている。
第1の刃(23)および第2の刃(24)は、いずれも、ひげそり用などに使用されているもので、左右方向が長く上下方向の高さが左右方向の長さの1/5程度で、厚さが0.2mm程度の長方形板状とされている。
ケース部(46)は、前側の半部(48)と後側の半部(49)とからなる。後側の半部(49)の前面の左右縁部および下縁部は、後側の半部(49)の前面の他の部分より突出させられており、前側の半部(48)の後面の左右縁部および下縁部は、前側の半部(48)の後面の他の部分より突出させられている。図12に示すように、後側の半部(49)の前面の左右縁部および下縁部に、それぞれ2つずつの凸部(50)が設けられており、前側の半部(48)には、これらの凸部(50)に嵌め合わされる凹部(図示略)が設けられている。複数の凸部(50)と凹部との嵌め合わせによって、前側の半部(48)と後側の半部(49)とが着脱可能に結合され、後側の半部(49)の前面の左右縁部および下縁部と前側の半部(48)の後面の左右縁部および下縁部とが突き合わされることにより、前側の半部(48)と後側の半部(49)との間に、上方に開口する凹所(46a)が形成されている。
ケース部(46)は、光ファイバ保持具を構成しており、ケース部(46)の前側の半部(48)には、これを前後に貫通する光ファイバ挿通孔(図7の第1光ファイバ挿通部(31)に相当)(54)が設けられている。
刃保持部(47)は、略方形状とされており、下部には、第1の刃(23)の左右端部がそれぞれ差し込み可能な左右1対の差し込み部(56)が設けられている。刃保持部(47)の上端部には、刃保持部(47)が下方に移動させられた際にケース部(46)の上面に当接する左右に長い略四角柱状のストッパ部(57)が設けられている。ストッパ部(57)の前後面および左右面は、ケース部(46)の前後面および左右面と面一に形成されている。
図14に示すように、刃保持部(47)の前面(表面)(47a)には、第1の刃(23)を収容する第1凹所(58)と、第2の刃(24)を収容する第2凹所(59)とが設けられている。
第2凹所(59)の上部(59a)は、刃保持部(47)の前面(47a)に対し、第2の刃(24)の厚さに対応する分(第2の刃(24)の厚さ+0.1mm程度)凹まされている。第2凹所(59)の下部(59b)は、上部(59a)よりも深く(第2の刃(24)によって切断されたプラスチック光ファイバ(4)の部分が収容できる程度の深さに)凹まされている。第2凹所(59)の下部(59b)下面に連なって、第1凹所(58)の基準面となる第1凹所基準面(58c)が形成されている。第1凹所(58)の上部(58a)は、第1凹所基準面(58c)に対し、第1の刃(23)の厚さに対応する分(第1の刃(23)の厚さ+0.1mm程度)凹まされている。第1凹所(58)の下部(58b)は、上部(58a)よりも深く(第1の刃(23)によって切断されたプラスチック光ファイバ(4)の部分が収容できる程度の深さに)凹まされている。
第1凹所(58)の上部(58a)の底面の第2凹所(59)の上部(59a)の底面からの凹み量(刃保持部(47)の前面(47a)と第1凹所基準面(58c)との距離に同じ)は、第1の刃(23)と第2の刃(24)との間隔が0.1〜1mmとなるように、0.6mmとされている。
第1凹所(58)の上面と第2凹所(59)の下面との間に、第1凹所基準面(58c)があることにより、2枚の刃(23)(24)は、第1(下側)の刃(23)の上面と第2(上側)の刃(24)の下面(刃先(24a)の先端)との間に所定の間隔が存するように上下に間隔をおいて配置されている。
図14においては、刃保持部(47)は、ケース部(46)に対して上方に移動させられた状態となっており、この状態が刃保持部(47)の切断前位置となっている。刃保持部(47)が切断前位置にあるときには、第1の刃(23)の刃先(23a)は、光ファイバ挿通孔(54)よりも上方にあり、刃保持部(47)が下側(切断終了位置)に移動させられることにより、光ファイバ挿通孔(54)内に挿通されたプラスチック光ファイバ(4)が切断される。
図11に対応する切断後の状態は図示省略するが、刃保持部(47)がケース部(46)に対して下方に移動させられた状態では、第2の刃(24)の刃先(24a)は、光ファイバ挿通孔(54)よりも下方にあり、光ファイバ挿通孔(54)内に挿通されたプラスチック光ファイバが切断される。プラスチック光ファイバ用カッタ(45)が下側の第1の刃(23)と上側の第2の刃(24)とを有していることにより、刃保持部(47)がケース部(46)に対して下方に移動させられる際には、まず、第1の刃(23)による切断が行われ、次いで、第2の刃(24)による切断が行われる。切断前において、光ファイバ挿通孔(54)から突出しているプラスチック光ファイバの部分は、特に規定されることなく、数mm程度であり、第1の刃(23)によって、光ファイバ挿通孔(54)から突出しているプラスチック光ファイバの部分のほとんどが切り落とされる。第1の刃(23)によって切り落とされたプラスチック光ファイバの部分は、第1凹所(58)の下部(58b)に落ち込むことになる。第1の刃(23)による切断によって、光ファイバ挿通孔(54)から突出しているプラスチック光ファイバの部分は、第1凹所(58)の上部(58a)の底面の第2凹所(59)の上部(59a)の底面からの凹み量に規定された分だけとなり、第2の刃(24)による切断は、この分だけの薄切りとなる。第2の刃(24)によって切り落とされたプラスチック光ファイバの部分は、第2凹所(59)の下部(59b)に落ち込むことになる。
こうして、第6実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(45)によると、図7に模式的に示した原理に基づいた切断を簡単にかつ精度よく実施することができる。
図8と図12との比較から分かるように、第6実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(45)では、第1の刃(23)および第2の刃(24)は、いずれも、斜めに取り付けられている。すなわち、第5実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(25)では、各刃(23)(24)の刃先(23a)(24a)が左右方向(すなわち各刃(23)(24)の移動方向である上下方向に直交する方向)にのびているのに対し、第6実施形態のものでは、各刃(23)(24)の刃先(23a)(24a)が左右方向に対し60°程度傾斜させられている。これに対応して、光ファイバ挿通孔(54)も左右方向に対し60°程度傾斜させられている。
したがって、第6実施形態のものでは、切断時に各刃(23)(24)からプラスチック光ファイバ(4)に作用する力の方向と刃(23)(24)の移動方向とが異なるものとなっている。第5実施形態のものでは、切断時に各刃(23)(24)からプラスチック光ファイバ(4)に作用する力の方向と各刃(23)(24)の移動方向とが一致していることで、プラスチック光ファイバ(4)の1点に切断における力がかかるという点で、切断面に荒れが生じる恐れがある。これに対し、第6実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(45)では、切断時に各刃(23)(24)からプラスチック光ファイバ(4)に作用する力の方向と各刃(23)(24)の移動方向とが異なることで、各刃(23)(24)からプラスチック光ファイバ(4)に作用する力が分散され、プラスチック光ファイバ(4)に大きな力がかからないようにして切断することができる。このため、切断面の荒れ(コアの亀裂や割れなど)を抑えるという点でより一層有利なものとなっている。
刃(23)(24)の角度(刃(23)(24)の移動方向と刃先とがなす角度)は、力を分散させることができるように20°〜70°とすることが好ましい。
第5および第6実施形態において、刃(23)(24)は、両刃であってもよく、図6に示した片刃の刃(30)としてもよい。また、両刃の場合に、光ファイバ挿通孔(34)(54)の軸方向は、図10、図14などに示したように、刃(23)(24)の移動方向と直交していてもよく、図5に示したものと同様に、刃(23)(24)の移動方向と直交する方向から刃(23)(24)の傾斜面分だけ傾斜していてもよい。
上記第6実施形態においては、斜めにした刃(23)(24)が2枚使用されているが、図3から図5までに示す第3実施形態を参照して、斜めにした刃を1枚だけ使用するようにしてもよい。すなわち、2枚の刃(23)(24)のうちの下側の刃(23)を取り除いた1枚刃構造として、薄切りを行うようにしてもよい。
このようにすると、切断時に刃からプラスチック光ファイバ(4)に作用する力の方向と刃の移動方向とが異なることで、刃からプラスチック光ファイバ(4)に作用する力が分散され、プラスチック光ファイバ(4)に大きな力がかからないようにして切断することができる。したがって、同じ1枚刃構造であっても、第3実施形態のものに比べると、切断面の荒れ(コアの亀裂や割れなど)を抑えるという点で有利なものとなる。
図1、図2および図7などに示すプラスチック光ファイバ(4)の切断において、刃(3)(23)(24)を一定速度でゆっくり移動させて、切断することが好ましい。
図15から図21までに、第7実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタを示す。この実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(65)は、図2に示す切断方法を実施するのに好適なカッタの別の実施形態となっており、刃(3)を一定速度でゆっくり移動させることができるものとなっている。
図15および図16は、プラスチック光ファイバ用カッタ(65)全体の斜視図を示し、図17および図18は、ケース部(66)の前側の半部(68)を取り除いた部分の斜視図を示し、ケース部(66)の前側の半部(68)に設けられている光ファイバ挿通孔(73)を一点鎖線で示している。図15および図17は、切断前の状態、図16および図18は、切断後の状態をそれぞれ示している。また、図19は、ケース部(66)の後側の半部(69)の正面図を示し、図20は、刃保持部(67)の正面図を示し、図21は、ケース部(66)の前側の半部(68)の背面図を示している。第7実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(65)の説明において、上下および左右は、図15から図18までの上下および左右をいうものとする。
第7実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(65)は、上方に開口する凹所(66a)を有する直方体状の合成樹脂製ケース部(66)と、下部がケース部(66)内に嵌め入れられてケース部(66)に対して移動可能な刃保持部(67)と、刃保持部(67)を移動させる送りねじ機構(70)とを備えている。
刃(3)は、刃保持部(67)と一体でケース部(66)内を左右移動するように刃保持部(67)に取り付けられている。刃(3)は、1枚だけ使用されており、図3から図5までに示す第3実施形態を基準にすると、刃(3)の移動方向と直角の方向に対し刃(3)が斜めに取り付けられている点で相違しており、図12から図14までに示す第6実施形態を基準にすると、下側の刃(23)が取り除かれて1枚の刃(3)とされている点で相違している。
ケース部(66)は、前側の半部(68)と後側の半部(69)とからなる。後側の半部(69)は、左右に長い長方形の右下の角部分が斜めに削除された形状の平板状とされている。前側の半部(68)は、左右に長い長方形の右下の角部分が斜めに削除された形状とされて、その後面の左縁部(68a)、右縁部(68b)、右斜め下縁部(68c)および下縁部(68d)は、後面の他の部分より突出させられている。後側の半部(69)の周縁部に、所定間隔で計4つの凸部(71)が設けられており、前側の半部(68)の周縁部(68a)(68b)(68c)(68d)には、これらの凸部(71)に嵌め合わされる凹部(72)が設けられている。複数の凸部(71)と凹部(72)との嵌め合わせによって、前側の半部(68)と後側の半部(69)とが着脱可能に結合され、後側の半部(69)の周縁部と前側の半部(68)の周縁部(68a)(68b)(68c)(68d)とが突き合わされることにより、前側の半部(68)と後側の半部(69)との間に、前側の半部(68)の周縁部(68a)(68b)(68c)(68d)によって囲まれた上方に開口する凹所(66a)が形成されている。
ケース部(66)は、光ファイバ保持具を構成しており、ケース部(66)の前側の半部(68)には、これを前後に貫通する複数の光ファイバ挿通孔(図2の光ファイバ挿通部(14)に相当)(73)が設けられている。複数の光ファイバ挿通孔(73)は、水平方向に対して30°程度傾斜した方向に所定間隔で配置されている。
断面図による図示は省略するが、光ファイバ挿通孔(73)は、図5に示されているのと同様に、前後方向に対して5°傾斜する(前側が下がる)ようになされている。
刃保持部(67)は、左右に長い長方形の右下の角部分が斜めに削除された形状の板状部(75)と、板状部(75)の上面に一体に設けられて左右にのびる断面方形の柱状部(76)とからなる。
板状部(75)は、ケース部(66)の凹所(66a)内に嵌め入れられており、柱状部(76)は、ケース部(66)から露出させられている。刃(3)は、水平方向に対して30°程度傾斜して、板状部(75)に設けられた凹所(77)に嵌め入れられている。図20に示すように、凹所(77)には、刃(3)が取り付けられる部分(77a)の下側に、刃(3)が取り付けられる部分(77a)よりも0.2mm程度深い部分(77b)が形成されている。刃(3)が取り付けられる部分(77a)よりも0.2mm程度深い部分(77b)は、刃(3)によって切り落とされたプラスチック光ファイバの部分が落ち込むポケットとなっている。
ケース部(66)の凹所(66a)は、刃保持部(67)が左右方向に移動可能なように、左右寸法が、刃保持部(67)の左右寸法よりも大きくなされている。
ケース部(66)には、さらに、プラスチック光ファイバ(4)を適当な長さに切断する際に使用される光ファイバ挿通溝(74)が設けられている。この光ファイバ挿通溝(74)は、一端が下面に開口し、他端が図18に示す刃先(3a)位置を越えるようにのびる円弧状で、かつ、前側の半部(68)および後側の半部(69)の両方を貫通するように形成されている。この光ファイバ挿通溝(74)を使用することによって、プラスチック光ファイバ(4)の中間部(先端部でなく)での切断を容易に行うことができる。
送りねじ機構(70)は、刃保持部(67)の柱状部(76)に設けられためねじ部(81)と、めねじ部(81)にねじ合わされたおねじ部材(82)と、おねじ部材(82)を支持するおねじ部材支持板(おねじ部材支持部)(83)と、おねじ部材(82)を回転させるハンドル(84)とを備えている。
めねじ部(81)は、柱状部(76)にインサートナットを熱圧入することによって設けられており、柱状部(76)の右端面から左方にのびるように形成されている。
おねじ部材(82)は、市販の六角ボルトであり、おねじが形成された軸部(82a)と、軸部(82a)の上端部に一体に設けられた六角柱状の頭部(82b)とからなる。
おねじ部材支持板(83)は、上下に長い方形の板状とされている。おねじ部材支持板(83)の上端部には、おねじ部材(82)の軸部を挿通させるためのおねじ部材挿通孔が設けられている。おねじ部材支持板(83)は、その下半部を貫通する2本のボルト(85)がケース部(66)の右縁部(68b)に設けられたインサートナット(90)にねじ合わされることによって、ケース部(66)に固定(一体化)されている。
おねじ部材(82)は、その頭部(82b)の左面がおねじ部材支持板(83)の右面に当接することで、左方への移動が阻止された状態で、その軸部(82a)が回転可能におねじ部材支持板(83)のおねじ部材挿通孔に挿通されている。
ハンドル(84)は、おねじ部材支持板(83)よりもさらに上下に長い方形の板状で、おねじ部材支持板(83)と平行に配置されている。ハンドル(84)の上端部に六角柱状の貫通孔が設けられており、この六角柱状の貫通孔がおねじ部材(82)の頭部(82b)に嵌め合わせられている状態で、ハンドル(84)の下端部を手で保持してハンドル(84)を回転させることにより、おねじ部材(82)を回転させることができる。
刃保持部(67)の前面には、左右および上下にそれぞれ所定の間隔をおいて1対の円柱状の案内突起(86)(87)が設けられており、前側の半部(68)の後面には、各案内突起(86)(87)に対応して、左右にのびる案内溝(88)(89)が設けられている。各案内突起(86)(87)の径と各案内溝(88)(89)の上下幅とは略等しくなされている。各案内突起(86)(87)は、各案内溝(88)(89)に嵌め入れられることで、左右方向の移動可能範囲が規制された状態で左右方向に移動可能とされるとともに、上下方向には移動ができないようになされている。これにより、刃保持部(67)は、各案内突起(86)(87)と各案内溝(88)(89)との嵌め合いに案内されて、図15および図17に示す左端位置(切断前の状態)と図16および図18に示す右端位置(切断後の状態)との間を往復移動可能とされている。
おねじ部材(82)を刃保持部(67)のめねじ部(81)に対して締め付ける方向に回転させた場合、おねじ部材(82)の直線移動がおねじ部材支持板(83)で阻止されていることによって、おねじ部材(82)は、直線移動せずに回転し、これにより、刃保持部(67)は、おねじ部材(82)に引き寄せられる方向に直線移動する。
図15において、刃保持部(67)は、切断前位置にあり、ハンドル(84)を回転させるのに伴って、右方に、すなわち、おねじ部材(82)の軸線に沿っておねじ部材支持板(83)に近づくように直線移動する。直線移動は、図16に示す状態で停止させられる。図15に対応する図17に示すように、刃保持部(67)が切断前位置にある状態では、一点鎖線で示す光ファイバ挿通孔(73)の位置は、刃(3)の刃先(3a)の位置よりも右方にあり、この状態から刃保持部(67)がケース部(66)に対して右方に移動することで、刃(3)は、図16に対応する図18に示すように、一点鎖線で示す光ファイバ挿通孔(73)の位置を刃先(3a)が越えた位置に到達する。これにより、光ファイバ挿通孔(73)に挿通されたプラスチック光ファイバ(4)の先端部が薄切りされる。
上記の切断において、ハンドル(84)を1回転させると、おねじ部材(82)は、1回転して、めねじ部(81)に対して1ピッチ移動し、これに伴って、刃保持部(67)に保持された刃(3)は、おねじ部材(82)の1ピッチ分移動する。1ピッチを例えば0.2mmとすると、おねじ部材(82)を2秒で1回転させることで、刃保持部(67)の移動速度は、0.1mm/secとなる。すなわち、この速度で、プラスチック光ファイバ(4)を切断すれば、0.1mm/secの切断速度が得られる。
ここで、切断速度に関し、その好ましい範囲は、0.04〜0.2mm/sec(φ2.2mmのプラスチック光ファイバの切断に要する時間が10〜60sec)であり、さらに好ましい範囲は、0.05〜0.1mm/sec(φ2.2mmのプラスチック光ファイバの切断に要する時間が20〜40sec)である。人の手で刃(3)を動かした場合には、切断速度が速くなりすぎる傾向があるが、送りねじ機構(70)を使用することで、熟練度を必要とせずに、好ましい切断速度での切断が可能となる。
上記の送りねじ機構(70)は、第3,第5および第6実施形態に示したプラスチック光ファイバ用カッタ(5)(25)(45)にも適用することができる。
上記の各実施形態では、プラスチック光ファイバ(4)は、図28に示すような被覆された状態で切断されるが、プラスチック光ファイバ(4)は、図28のプラスチック光ファイバ(F)から被覆層(F3)(F4)が剥がされた素線の状態で切断されることもある。素線を切断する場合には、各プラスチック光ファイバ用カッタ(5)(25)(45)(65)において、光ファイバ挿通孔(34)(54)(73)の孔径を小さくすることで、同様のプラスチック光ファイバ用カッタを使用することができる。
図22には、第7実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(65)をプラスチック光ファイバ(4)の素線の切断用として使用する際のケース部(66)の前側の半部(68)を示している。
図22に示す前側の半部(68)においては、光ファイバ挿通孔(91)の孔径が、図21に示した前側の半部(68)における光ファイバ挿通孔(73)の孔径よりも小さくなされて、プラスチック光ファイバ(4)の素線を嵌め入れるのに適したものとされている。光ファイバ挿通孔(91)の孔径以外の形状は、図21に示した前側の半部(68)と同じとされており、同じ構成に対して同じ符号を付すことでその説明を省略する。
図22に示す前側の半部(68)によると、後側の半部(69)および刃保持部(67)については、第7実施形態のものを流用し、前側の半部(68)だけを図22に示すものとすることによって、被覆ありのプラスチック光ファイバ(4)用のカッタ(65)をプラスチック光ファイバ(4)の素線用のカッタに変更することができる。
図23および図24に、第8実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタを示す。この実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(95)は、図15から図21までに示した第7実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(65)を基準にして、送りねじ機構(96)に付勢部材(97)が付加されたものとなっている。
以下の説明において、第7実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(65)と同一の構成には、同じ符号を付して、その説明は省略し、相違点のみを説明する。
この実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(95)では、送りねじ機構(96)は、刃保持部(67)の柱状部(76)に設けられためねじ部(81)と、めねじ部(81)にねじ合わされたおねじ部材(82)と、おねじ部材(82)を支持するおねじ部材支持板(83)と、おねじ部材(82)を回転させるハンドル(84)と、おねじ部材(82)の軸部(82a)に嵌められた円筒状の圧縮コイルばね(付勢部材)(97)とを備えている。
柱状部(76)の上面およびおねじ部材支持板(83)の下面には、圧縮コイルばね(97)の上下端部が嵌め入れられる座ぐりが設けられており、圧縮コイルばね(97)は、柱状部(76)の上面とおねじ部材支持板(83)の下面との間に挟持されている。
図23において、刃保持部(67)は、切断前位置にあり、ハンドル(84)を回転させることで、右方に、すなわち、おねじ部材(82)の軸線に沿っておねじ部材支持板(83)に近づくように直線移動する。これに伴って、圧縮コイルばね(97)は、図24に示すように、圧縮変形させられ、この変形によって生じる付勢力がめねじ部(81)とおねじ部材(82)とのねじ合わせ部分に作用することで、ねじ合わせのがたつきが防止される。
圧縮変形によって生じる付勢力は、ハンドル(84)を回転させることに対して抵抗する力となるので、ハンドル(84)の回転を妨げるほどの大きい力とはならないように、圧縮コイルばね(97)の弾性率が調整される。これにより、第7実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(65)と同様にして切断することができ、光ファイバ挿通孔(73)に挿通されたプラスチック光ファイバ(4)の先端部が薄切りされる。こうして、人の手で刃(3)を動かした場合には、切断速度が速くなりすぎる傾向があるが、送りねじ機構(96)を使用することで、熟練度を必要とせずに、好ましい切断速度での切断が可能となる。
切断後は、ハンドル(84)を逆に回転させることで、刃保持部(67)が切断前位置に復帰させられる。この際、圧縮コイルばね(97)に生じている付勢力は、刃保持部(67)を復帰位置に付勢する方向に作用し、刃保持部(67)は適正な切断前位置に確実に復帰させられる。
上記第7および第8の実施形態において、おねじ部材支持板(83)は、ボルト(85)を使用して、ケース部(66)の前側の半部(68)に固定されているが、おねじ部材支持板(83)をケース部(66)の前側の半部(68)に一体に設けるようにしてもよい。一体に設けることで、インサートナット(90)およびボルト(85)を使用した固定が不要となり、プラスチック光ファイバ用カッタ(65)(95)の構成を簡素化することができる。
図25から図27までに、第9実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタを示す。この実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(101)は、図23および図24に示した第8実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(95)を基準にして、送りねじ機構(96)が省略されたものとなっている。
以下の説明において、第8実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(95)と同一の構成には、同じ符号を付して、その説明は省略する。
この実施形態のプラスチック光ファイバ用カッタ(101)では、円筒状の圧縮コイルばね(付勢部材)(102)は、送りねじ機構(96)の構成要素として使用されているのではなく、圧縮コイルばね(102)単体で、送りねじ機構(96)と同等の効果を得ることができる機構として使用されている。
ケース部(66)の前側の半部(68)には、おねじ部材支持板(83)に相当する部分が一体に設けられており、これにより、刃保持部(67)の柱状部(76)に所定の間隙(ばね配置空間)をおいて対向するばね受け部(103)が形成されている。
柱状部(76)の上面およびばね受け部(103)の下面には、圧縮コイルばね(102)の上下端部が嵌め入れられる座ぐりが設けられており、圧縮コイルばね(102)は、柱状部(76)の上面とばね受け部(103)の下面との間に挟持されている。
図25において、刃保持部(67)は、切断前位置にあり、これを手で右方に移動させることで、光ファイバ挿通孔(73)に挿通されたプラスチック光ファイバ(4)の先端部が薄切りされる。刃保持部(67)の右方への移動に伴って、圧縮コイルばね(102)は、図26に示すように、圧縮変形させられる。この変形によって生じる付勢力は、刃保持部(67)を切断方向に移動させることに対して抵抗する力となる。これにより、人の手で刃(3)を動かした場合には、切断速度が速くなりすぎる傾向があるが、熟練度を必要とせずに、好ましい切断速度での切断が可能となる。しかも、手で刃保持部(67)を押す力が圧縮コイルばね(102)の付勢力によって弱められることで、切断時にプラスチック光ファイバ(4)に作用する力が小さくなり、圧縮コイルばね(102)の追加だけで、送りねじ機構(70)を備えているものと同程度の極めて平滑な切断断面が得られる。
切断後は、圧縮コイルばね(102)の付勢力によって、刃保持部(67)が切断前位置に復帰させられ、これにより、刃保持部(67)は適正な切断前位置に確実に復帰させられる。
上記各実施形態において、刃(3)(23)(24)(30)の厚みは、特に限定されるものではなく、0.1mm〜0.3mm程度のものを適宜使用することができる。刃保持部(7)(27)(47)(67)の形状は、使用される刃(3)(23)(24)(30)に合わせて適宜変更される。
また、プラスチック光ファイバ(4)の外周面と第1光ファイバ挿通部(11)または光ファイバ挿通孔(34)(54)(73)の内周面とのクリアランスは、適当な大きさに設定することができる。より好ましくは、第1光ファイバ挿通部(11)または光ファイバ挿通孔(34)(54)(73)の内径がプラスチック光ファイバ(4)の外径に等しくなされて、プラスチック光ファイバ(4)の外周面と第1光ファイバ挿通部(11)または光ファイバ挿通孔(34)(54)(73)の内周面とのクリアランスがゼロとされる。第2光ファイバ挿通部(12)の内径は、第1光ファイバ挿通部(11)の内径に等しくてもよいし、第1光ファイバ挿通部(11)の内径より大きくてもよい。
また、光ファイバ挿通孔(34)(54)(73)(91)は、プラスチック光ファイバ(4)を1本ごとに切断するのに適した形状(断面が円形)とされているが、光ファイバ挿通孔は、2心のプラスチック光ファイバを切断するのに適した形状(断面円形の2つの孔同士を接触させて1つの孔とした形状)とされてもよい。
上記において、刃(3)(23)(24)(30)をプラスチック光ファイバ(4)の長さ方向に対して直交する方向(刃の傾斜面に相当する分だけ傾斜する方向でも可)に移動させるには、刃(3)(23)(24)(30)を保持する保持具が軸部に回転可能に取り付けられた回転タイプとしてもよく、各実施形態に示したもの(スライドタイプの1例)に限定されるものではなく、適宜な方式が使用される。
(1) プラスチック光ファイバ用カッタ
(2) 光ファイバ保持具
(3) 両刃(刃)
(3a)(3b) 傾斜面
(4) プラスチック光ファイバ
(5) プラスチック光ファイバ用カッタ
(6) ケース部(光ファイバ保持具)
(7) 刃保持部
(8) 光ファイバ挿通孔(光ファイバ挿通部)
(9) 位置決め部
(11) 第1光ファイバ挿通部(光ファイバ挿通部)
(13) 隙間
(14)(15) 光ファイバ挿通部
(21) プラスチック光ファイバ用カッタ
(22) 光ファイバ保持具
(23) 第1の刃
(24) 第2の刃
(25) プラスチック光ファイバ用カッタ
(26) ケース部(光ファイバ保持具)
(26a) 凹所
(27) 刃保持部
(27a) 前面(表面)
(30) 片刃(刃)
(30a) 傾斜面
(31) 第1光ファイバ挿通部(光ファイバ挿通部)
(33) 隙間
(34) 光ファイバ挿通孔(光ファイバ挿通部)
(38) 第1凹所
(38a) 上部
(38b) 下部
(38c) 第1凹所基準面
(39) 第2凹所
(39a) 上部
(39b) 下部
(45) プラスチック光ファイバ用カッタ
(46) ケース部(光ファイバ保持具)
(46a) 凹所
(47) 刃保持部
(47a) 前面(表面)
(54) 光ファイバ挿通孔(光ファイバ挿通部)
(58) 第1凹所
(58a) 上部
(58b) 下部
(58c) 第1凹所基準面
(59) 第2凹所
(59a) 上部
(59b) 下部
(65) プラスチック光ファイバ用カッタ
(66) ケース部(光ファイバ保持具)
(67) 刃保持部
(70) 送りねじ機構
(73) 光ファイバ挿通孔(光ファイバ挿通部)
(95) プラスチック光ファイバ用カッタ
(96) 送りねじ機構
(97) 圧縮コイルばね(付勢部材)
(101) プラスチック光ファイバ用カッタ
(102) 圧縮コイルばね(付勢部材)

Claims (15)

  1. 光ファイバ保持具を使用してプラスチック光ファイバを径方向から保持し、切り落とされる部分の長さが0.1〜1mmとなるようにして、切り落とされた部分がプラスチック光ファイバの長さ方向に移動可能な状態でプラスチック光ファイバを切断することを特徴とするプラスチック光ファイバの切断方法。
  2. 1枚の刃を使用し、切り落とされる部分の長さが0.1〜1mmとなるようにプラスチック光ファイバの保持位置を調整して切断することを特徴とする請求項1のプラスチック光ファイバの切断方法。
  3. 2枚の刃を使用し、2枚の刃の間隔が0.1〜1mmとなるようにしてプラスチック光ファイバを切断することを特徴とする請求項1のプラスチック光ファイバの切断方法。
  4. 刃は、刃先の片側に傾斜面を有する片刃とされて、刃先の傾斜面がプラスチック光ファイバの端面に近い側に位置しかつ刃の中心面とプラスチック光ファイバの長さ方向とが直交するようにして切断することを特徴とする請求項2または3に記載のプラスチック光ファイバの切断方法。
  5. 刃は、刃先の両側に傾斜面を有する両刃とされて、刃先のプラスチック光ファイバの端面から遠い側の傾斜面がプラスチック光ファイバの長さ方向と直交するように、刃の中心面をプラスチック光ファイバの長さ方向と直交する方向に対して傾斜させて切断することを特徴とする請求項2または3に記載のプラスチック光ファイバの切断方法。
  6. プラスチック光ファイバを径方向に移動できないように保持することを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載のプラスチック光ファイバの切断方法。
  7. プラスチック光ファイバを保持する光ファイバ保持具と、プラスチック光ファイバの長さ方向に対して直交する方向または傾斜する方向に移動可能な刃とを備えているプラスチック光ファイバ用カッタであって、
    光ファイバ保持具は、プラスチック光ファイバの先端部が突出するようにプラスチック光ファイバが嵌め入れられる光ファイバ挿通部を有しており、プラスチック光ファイバが切断された際に切り落とされた部分が移動できるようになされていることを特徴とするプラスチック光ファイバ用カッタ。
  8. 上方に開口する凹所を有するケース部と、下部がケース部内に嵌め入れられてケース部に対して移動可能な刃保持部とを備えており、ケース部の前壁に、前壁を貫通するように光ファイバ挿通部が設けられ、ケース部の凹所内に、光ファイバ挿通部にプラスチック光ファイバを挿通する際のプラスチック光ファイバの光ファイバ挿通部からの後方への突出量を規制する位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項7のプラスチック光ファイバ用カッタ。
  9. 第1の刃と第2の刃とを有しており、第1の刃がプラスチック光ファイバを第1の位置で切断した後に、第2の刃がプラスチック光ファイバの残っている部分の端部を第2の位置で切断するようになされていることを特徴とする請求項8のプラスチック光ファイバ用カッタ。
  10. 上方に開口する凹所を有するケース部と、下部がケース部内に嵌め入れられてケース部に対して移動可能な刃保持部とを備えており、刃保持部には、第1の刃を収容する第1凹所と、第2の刃を収容する第2凹所とが設けられており、第2凹所の上部は、刃保持部の表面に対し、第2の刃の厚さに対応する分凹まされており、第2凹所の下部は、上部よりも深く凹まされており、第2凹所の下部下面に連なって、刃保持部の表面に対し0.1〜1mm凹まされた第1凹所基準面が形成されており、第1凹所の上部は、第1凹所基準面に対し、第1の刃の厚さに対応する分凹まされており、第1凹所の下部は、上部よりも深く凹まされていることを特徴とする請求項9のプラスチック光ファイバ用カッタ。
  11. ケース部に対して刃保持部を移動させる送りねじ機構を備えていることを特徴とする請求項8から10までのいずれかに記載のプラスチック光ファイバ用カッタ。
  12. ケース部に対して刃保持部を送りねじ機構の送り方向と逆向きに付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする請求項11に記載のプラスチック光ファイバ用カッタ。
  13. ケース部に対して刃保持部を切断時の送り方向と逆向きに付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする請求項8から10までのいずれかに記載のプラスチック光ファイバ用カッタ。
  14. 刃は両刃であり、プラスチック光ファイバが嵌め入れられる光ファイバ挿通部の軸方向は、刃の中心面と直交する方向に対して傾斜させられていることを特徴とする請求項7から13までのいずれかに記載のプラスチック光ファイバ用カッタ。
  15. プラスチック光ファイバの外周面と光ファイバ挿通部の内周面とのクリアランスがゼロとされていることを特徴とする請求項7から14までのいずれかに記載のプラスチック光ファイバ用カッタ。
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