JP2014139533A - 放射線撮影装置およびそれにおける画像処理方法 - Google Patents

放射線撮影装置およびそれにおける画像処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】非線形最適化演算の収束精度を確保しつつ、計算を高速化することができる放射線撮影装置およびそれにおける画像処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】放射線照射手段、ステージ、放射線検出手段の幾何関係を表すパラメータの初期値A^P^M^…A^P^M^を推定し、特徴点3次元座標の最小二乗解(p^を推定し、再投影二乗誤差が収束するまで限定されたパラメータのみ更新する。このように既知の撮影条件に基づいて、パラメータの初期値を推定し、装置の機構や駆動特性から考えて、パラメータの初期値と実際に撮影したときのパラメータとの誤差が大きいと考えられるパラメータに限定して、非線形最適化演算を行う。その結果、撮影条件という断層撮影の情報を利用することで、非線形最適化演算の収束精度を確保しつつ、計算を高速化することができる。
【選択図】図9

Description

この発明は、放射線照射手段から照射されて対象物を透過した放射線を放射線検出手段で検出することにより得られた投影画像に基づいて放射線撮影を行う放射線撮影装置およびそれにおける画像処理方法に関する。
放射線として、X線を例に採って説明する。なお、対象物としては、実装基板、多層基板のスルーホール/パターン/はんだ接合部、パレット上に配置された集積回路(IC: Integrated Circuit)のような実装前の電子部品、金属などの鋳物、ビデオデッキのような成型品などがある。具体的には、電子部品の検査(例えば、基板の配線検査やBGA(Ball Grid Array)やはんだ接合部、ボイド(空隙)などの検査)やこれら対象物の内部欠陥の検査などに用いられる。
従来知られているCT(Computed Tomography)装置では、図10に示すように、互いに対向するように配置されたX線管T(放射線照射手段)とX線検出器D(放射線検出手段)との間に対象物Oを回転ステージS上に載置する。回転ステージSの面に直交する軸を回転軸Axとして回転ステージSを回転駆動することにより、回転ステージS上に載置された対象物Oを回転させる。このように回転軸Axの周りに対象物Oを回転させることで様々な角度からの対象物Oの投影画像を撮影し、それらの投影画像を再構成することで3次元画像を算出している。
Ball Grid Array(BGA)や配線などの非常に微細な構造を有する対象物に対する断層撮影によりX線検査を行う際には、拡大率を大きくして撮影する必要がある。しかし、拡大率を大きくするには、X線管に代表される放射線源と対象物とを近づけて撮影する必要があるので、対象物が平面に広い形状の場合にはX線管と対象物とが互いに干渉してしまう恐れがある。その結果、干渉を避けるために拡大率をあまり上げることができない。
そこで、図11に示すように、回転軸Axからラミノ角傾いた斜め方向にX線管TおよびX線検出器Dを配置して、斜め方向でX線管TからX線を照射することで、対象物Oが干渉しないように断層撮影を行うプレナーCT(PCT: Planar Computed Tomography)が知られている。また、ステージに回転機構のないX線透視装置でも、図12に示すように、対象物Oを載置したステージSを回転軸Axに垂直な平面(図12では水平面)で円軌道を描くように平行移動させ、ステージSの移動に同期させて同一の回転軸Axの軸心周りにX線検出器Dを回転駆動することで、PCTを実現する方法がある(例えば、特許文献1、2参照)。
図12の撮影方法では、ステージとX線検出器とが互いに独立した駆動機構となっているので、理想的な断層撮影の走査軌道を得るために、高精度な位置決め、同期が可能な機構と制御とが必要になり、高価になる。そこで、実際の走査軌道と理想走査軌道とのズレがある場合でも、校正用ファントムでキャリブレーション(校正)することで実際の走査軌道を高精度に算出し、再構成用の補正パラメータとして保持する方法がある(例えば、特許文献3参照)。このときの補正パラメータ算出は、コンピュータビジョンの分野で知られているカメラキャリブレーションと同一の問題設定であり、算出アルゴリズムとしてBundle Adjustmentなどの方法が知られている。
Bundle Adjustment法は、画像から抽出した特徴点から、非線形最適化演算により特徴点の3次元座標および撮影時の幾何学的なモデルのパラメータを算出する手法である。このとき繰り返し演算を行うために、初期値の設定方法や特徴点数やフレーム数や推定パラメータ数などの種々の条件によって計算時間が長くなることがある。そこで、計算時間を減らす方法が提案されている(例えば、特許文献4、5参照)。
特許文献4の特開2007−48068号公報では、従来のヤコビ行列が“0”を多く含む疎行列であることを利用した演算の高速化が、画像から抽出する特徴量の種類が2つ以上(点パターンと正方形パターンなど)ある場合に未知パラメータが増えることによって、直接に適用することができなくなるという問題に対して、以下のように対処している。すなわち、未知パラメータを3個以上に分割して高速化演算可能な行列の形にそれぞれ落とし込み、段階的に計算していくことで計算時間の短縮を図っている。
特許文献5の特開2009−14629号公報では、画像から抽出した特徴点のフレーム間での対応付けに誤りがある場合や、不適切な特徴点を抽出してしまった場合に、非線形最適化演算の収束性が悪くなり、パラメータ算出精度および計算時間に悪影響を及ぼすという問題に対して、以下のように対処している。すなわち、評価関数計算時に外れ値を除くようなロバスト推定法(LmedS法、RANSAC法など)を適用し外れ値の影響を抑えることで、非線形最適化演算の高精度化や高速化を図っている。
特開2010−2221号公報 特許第3694833号 特許第4415762号 特開2007−48068号公報 特開2009−14629号公報
しかしながら、特許文献4の特開2007−48068号公報では、特徴量の種類が2つ以上あるという特定の条件での高速化手法であり、画像から特徴点のみを抽出してBundle Adjustment法を実施する場合には無関係である。また、特許文献5の特開2009−14629号公報では、不適切な特徴点抽出や、フレーム間での特徴点の誤対応を前提としているが、校正用ファントムを用いてコントロールされた環境の下でキャリブレーションを実施する場合にはこのような影響(パラメータ算出精度および計算時間への悪影響)は少なく、高速化に結びつくとは言い難い。また、従来手法ではパラメータ数が増加するにつれて非線形最適化演算での計算時間が長くなるという問題に対する高速化手法については提案されていない。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、非線形最適化演算の収束精度を確保しつつ、計算を高速化することができる放射線撮影装置およびそれにおける画像処理方法を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、この発明の放射線撮影装置は、対象物を載置するステージと、そのステージを間に挟んで互いに対向するように配置された放射線照射手段および放射線検出手段とを備え、前記放射線照射手段から照射されて前記対象物を透過した放射線を前記放射線検出手段で検出することにより得られた投影画像に基づいて放射線撮影を行う放射線撮影装置であって、校正用ファントムもしくは前記対象物を前記ステージに載置した状態で、前記放射線照射手段、前記ステージの少なくともいずれかを駆動する駆動手段と、複数の前記校正用ファントムの投影画像に基づいて、放射線照射手段、ステージ、放射線検出手段の幾何関係を表すパラメータを非線形最適化演算により算出するパラメータ算出手段と、複数の前記対象物の投影画像および前記パラメータに基づいて、対象物の断層画像を算出し、当該算出時に前記対象物を撮影したときの撮影条件に適した前記パラメータを利用して再構成する断層画像算出手段とを備え、前記パラメータ算出時に、前記校正用ファントムを撮影したときの撮影条件に基づいて、非線形最適化演算によって算出するパラメータの数を減らして限定するパラメータ数限定手段を備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]この発明に係る放射線撮影装置によれば、パラメータ算出手段は、複数の校正用ファントムの投影画像に基づいて、放射線照射手段、ステージ、放射線検出手段の幾何関係を表すパラメータを非線形最適化演算により算出し、複数の対象物の投影画像および上述のパラメータ(補正パラメータ)に基づいて、断層画像算出手段は、対象物の断層画像を算出し、当該算出時に対象物を撮影したときの撮影条件に適したパラメータを利用して再構成する。このパラメータ算出時に、校正用ファントムを撮影したときの撮影条件に基づいて、パラメータ数限定手段は、非線形最適化演算によって算出するパラメータの数を減らして限定する。このように既知の撮影条件に基づいて、放射線照射手段、ステージ、放射線検出手段の幾何関係を表すパラメータの初期値を推定し、装置の機構や駆動特性から考えて、パラメータの初期値と実際に撮影したときのパラメータとの誤差が大きいと考えられるパラメータに限定して、非線形最適化演算を行う。その結果、撮影条件という断層撮影の情報を利用することで、非線形最適化演算の収束精度を確保しつつ、計算を高速化することができる。
上述したこの発明に係る放射線撮影装置において、上述したパラメータ数限定手段は、撮影条件を変更したときに変更された当該撮影条件に基づいて、非線形最適化演算によって算出するパラメータの数を減らして限定するのが好ましい。例えば、装置の出荷後や据え付け後に一度だけ非線形最適化演算を行い、撮影条件を変更したときに変更された当該撮影条件に基づいてパラメータの数を減らして限定する。駆動系の駆動誤差だけでなく、放射線撮影装置の各構成要素を出荷して据え付けるときの据え付け誤差も存在し、パラメータの初期値との誤差となる。そこで、装置の出荷後や据え付け後に一度だけ非線形最適化演算を行うことで据え付け誤差を含んだパラメータを算出し、撮影条件を変更したときには駆動系の駆動誤差が関係する部分のパラメータのみを推定する。
なお、パラメータの数を減らして限定するタイミングは、撮影条件を実際に変更したときのみに限定されない。例えば、装置の電源投入時に駆動系の駆動誤差が生じる可能性があるので、装置の電源投入後の度に当該電源投入時の撮影条件に基づいてパラメータの数を減らして限定してもよい。なお、パラメータの数を減らして限定する設定については、撮影条件が変更されたのを中央演算処理装置(CPU)などが判断して自動に行ってもよいし、オペレータが手動で行ってもよいし、自動と手動とを組み合わせて行ってもよい。
上述したこれらの発明に係る放射線撮影装置において、上述したパラメータ数限定手段は、非線形最適化演算によって算出するパラメータを、放射線照射手段とステージとの座標位置関係を表す3つのパラメータに限定するのが好ましい。例えば、3軸駆動において、拡大率を変更した場合や、放射線照射手段から放射線検出手段へ垂線を下ろした距離(SID: Source Image Distance)を変更する場合には、3つのパラメータに限定するのが可能となる。なお、放射線撮影は透視投影であるので、放射線検出手段では必ず拡大された像が投影される。したがって、放射線検出手段の駆動誤差が投影画像に及ぼす影響よりも、放射線照射手段やステージの駆動誤差が投影画像に及ぼす影響の方が大きい。そこで、影響の大きい放射線照射手段とステージとの座標位置関係を表す3つのパラメータに限定して算出することで、非線形最適化演算の収束精度を確保しつつ、演算の高速化が可能となる。
特に、駆動手段が、ステージの面に直交する軸を回転軸としてステージを回転駆動し、回転軸からラミノ角傾いた斜め方向で放射線照射手段から放射線を照射するプレナーCT(PCT: Planar Computed Tomography)を行う場合に適用することができる。プレナーCT(PCT)では通常のCTよりも高拡大率での放射線撮影が可能となる。高拡大率にすればするほど、放射線照射手段やステージの駆動誤差が投影画像に及ぼす影響が大きくなるので、3つのパラメータに限定することによる評価関数の収束精度への悪影響は小さくなる。
また、この発明の画像処理方法は、対象物を載置するステージと、そのステージを間に挟んで互いに対向するように配置された放射線照射手段および放射線検出手段とを備え、前記放射線照射手段から照射されて前記対象物を透過した放射線を前記放射線検出手段で検出することにより得られた投影画像に基づいて放射線撮影を行う放射線撮影装置における画像処理方法であって、複数の校正用ファントムの投影画像に基づいて、放射線照射手段、ステージ、放射線検出手段の幾何関係を表すパラメータを非線形最適化演算により算出する際に、前記校正用ファントムを撮影したときの撮影条件に基づいて、非線形最適化演算によって算出するパラメータの数を減らして限定するパラメータ数限定過程を備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]この発明に係る画像処理方法によれば、パラメータ算出時に、校正用ファントムを撮影したときの撮影条件に基づいて、非線形最適化演算によって算出するパラメータの数を減らして限定する。このように既知の撮影条件に基づいて、放射線照射手段、ステージ、放射線検出手段の幾何関係を表すパラメータの初期値を推定し、装置の機構や駆動特性から考えて、パラメータの初期値と実際に撮影したときのパラメータとの誤差が大きいと考えられるパラメータに限定して、非線形最適化演算を行う。その結果、撮影条件という断層撮影の情報を利用することで、非線形最適化演算の収束精度を確保しつつ、計算を高速化することができる。
具体的には、非線形最適化演算によって上述のパラメータを算出するパラメータ算出過程を備え、パラメータ算出過程は、特徴点3次元座標推定過程,再投影座標計算過程,再投影二乗誤差計算過程,収束判定過程およびパラメータ更新過程を備え、パラメータ更新過程では、上述のパラメータ数限定過程で限定されたパラメータのみ更新する。特徴点3次元座標推定過程では、校正用ファントムの投影画像から抽出された特徴点、およびパラメータの初期値に基づいて、特徴点の3次元座標を推定する。再投影座標計算過程では、特徴点3次元座標推定過程で推定した特徴点3次元座標に基づいて、再投影座標を計算する。再投影二乗誤差計算過程では、再投影座標計算過程で算出した再投影座標、および上述した特徴点に基づいて、再投影二乗誤差を算出する。収束判定過程では、再投影二乗誤差計算過程で算出した再投影二乗誤差の収束判定を行う。そして、パラメータ更新過程では、再投影二乗誤差の値が収束していない場合には、再投影二乗誤差の値が小さくなるようにパラメータを更新するが、その更新の際には上述のパラメータ数限定過程で限定されたパラメータのみ更新する。このようにパラメータの更新時には、算出すべきパラメータの数を撮影条件に基づいて予め限定しているので、パラメータ更新過程で更新するパラメータの数が少なくて済み、非線形最適化演算の収束精度を確保しつつ、計算を高速化することができる。
この発明に係る放射線撮影装置およびそれにおける画像処理方法によれば、パラメータ算出時に、校正用ファントムを撮影したときの撮影条件に基づいて、パラメータ数限定手段は、非線形最適化演算によって算出するパラメータの数を減らして限定する。このように既知の撮影条件に基づいて、放射線照射手段、ステージ、放射線検出手段の幾何関係を表すパラメータの初期値を推定し、装置の機構や駆動特性から考えて、パラメータの初期値と実際に撮影したときのパラメータとの誤差が大きいと考えられるパラメータに限定して、非線形最適化演算を行う。その結果、撮影条件という断層撮影の情報を利用することで、非線形最適化演算の収束精度を確保しつつ、計算を高速化することができる。
実施例に係るX線検査装置の概略構成図である。 実施例に係るX線検査装置の概略斜視図である。 校正用ファントムによるキャリブレーション法を併記した実施例に係るX線検査装置の概略斜視図である。 各座標系を併記した実施例に係るX線検査装置の概略斜視図である。 実施例に係るX線検査装置のブロック図である。 放射線撮影時に校正用ファントムを搭載可能にステージを構成する一例の概略図であり、(a)はステージにマーカを埋め込んで校正用ファントムとする場合の概略斜視図、(b)はその概略断面図である。 放射線撮影時に校正用ファントムを搭載可能にステージを構成する他の一例の概略図であり、(a)はステージの表面(上面)に、パターンをマーカとして設置したときの校正用ファントムの概略斜視図、(b)はステージの裏面(下面)に、パターンをマーカとして設置したときの概略斜視図である。 校正用ファントムの投影画像からパラメータを算出するまでの一連の処理を示すフローチャートである。 図8のパラメータ算出の具体的なフローチャートである。 従来の撮影の概略図である。 従来の斜め撮影の概略図である。 ステージを平行移動させ、ステージの移動に同期させてX線検出器を回転駆動させたときの従来の斜め撮影の概略図である。
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
図1は、実施例に係るX線検査装置の概略構成図であり、図2は、実施例に係るX線検査装置の概略斜視図であり、図3は、校正用ファントムによるキャリブレーション法を併記した実施例に係るX線検査装置の概略斜視図であり、図4は、各座標系を併記した実施例に係るX線検査装置の概略斜視図であり、図5は、実施例に係るX線検査装置のブロック図である。本実施例では、放射線撮影装置として、X線検査装置を例に採って説明する。
図1に示すように、X線検査装置1は、対象物Oを載置するステージ2と、そのステージ2を間に挟んで互いに対向するように配置されたX線管3およびX線検出器4とを備えている。X線検出器4については、イメージインテンシファイア(I.I)やフラットパネル型X線検出器(FPD: Flat Panel Detector)などに例示されるように、特に限定されない。本実施例では、X線検出器4としてフラットパネル型X線検出器(FPD)を例に採って説明する。ステージ2は、この発明におけるステージに相当し、X線管3は、この発明における放射線照射手段に相当し、X線検出器4は、この発明における放射線検出手段に相当する。
FPDは、画素に対応して縦横に並べられた複数の検出素子からなり、X線を検出素子が検出して、検出されたX線のデータ(電荷信号)をX線検出信号として出力する。このようにして、X線管3から照射されて対象物Oを透過したX線をFPDからなるX線検出器4が検出してX線検出信号を出力し、X線検出信号に基づく画素値を画素に対応してそれぞれ並べることで、X線検出器4の検出面に投影された投影画像を取得する。
その他に、X線検査装置1は、図1に示すように、X線検出器4を矢印R周りに回転駆動する検出器回転機構5と、X線検出器4を矢印R方向に傾動させる検出器傾動機構6とを備えている。検出器傾動機構6は、X線検出器4を支持する円弧状のガイド部6a、および回転モータ(図示省略)からなり、回転モータが回転駆動することで、ガイド部6aに沿ってX線検出器4が矢印R方向に傾動する。
検出器回転機構5は、回転モータ(図示省略)からなり、回転モータが検出器傾動機構6のガイド部6aを矢印R周りに回転駆動することで、ガイド部6aに支持されたX線検出器4も矢印R周りに回転駆動する。また、本実施例では、検出器回転機構5は、ステージ2の駆動に同期させてX線検出器4を矢印R周りに回転駆動する。特に、X線管3から照射されたX線が対象物Oの注目点を透過してX線検出器4の中心部分で検出されるように、検出器回転機構5はX線検出器4を矢印R周りに回転駆動する。
本実施例では、X線管3は装置筐体(図示省略)に固定されており、X線管3から広範囲に照射されたX線が対象物Oの注目点を通り、X線検出器4で検出される。
その他に、X線検査装置1は、図5に示すように、ステージ2を直交座標系であるワールド座標系X,Y,Z(図1、図4を参照)でそれぞれ矢印R,R,R(図1、図2を参照)方向に直進駆動するステージ駆動機構7と、校正用ファントムPh(図3、図5〜図7を参照)の投影画像に基づいて補正用のパラメータを算出するパラメータ算出部8と、パラメータ算出部8で算出されたパラメータを書き込んで記憶するパラメータ記憶部9と、複数の対象物Oの投影画像およびパラメータに基づいて、対象物Oの断層画像を算出して演算する断層画像算出部10と、これらを統括制御するコントローラ11と、断層画像算出部10で得られた断層画像を出力(モニタに表示出力あるいはプリンタに印刷出力)する画像出力部12とを備えている。上述の検出器回転機構5や検出器傾動機構6を含め、ステージ駆動機構7は、この発明における駆動手段に相当し、パラメータ算出部8は、この発明におけるパラメータ算出手段に相当し、パラメータ算出部8は、この発明におけるパラメータ数限定手段にも相当し、断層画像算出部10は、この発明における断層画像算出手段に相当する。
ステージ駆動機構7は、ステージ2をX(図1、図4を参照)に平行な矢印R(図1、図2を参照)方向に直進駆動(ここでは水平駆動)するX軸直進モータ(図示省略)、ステージ2をY(図1、図4を参照)に平行な矢印R(図2を参照)方向に直進駆動(ここでは水平駆動)するY軸直進モータ(図示省略)、およびステージ2をZ(図1、図4を参照)に平行な矢印R(図1、図2を参照)方向に直進駆動(ここでは昇降駆動)するZ軸直進モータ(図示省略)からなる。本実施例では、各々のX軸直進モータ,Y軸直進モータによる軌道の合成が円軌道で、かつ検出器回転機構5によるX線検出器4の回転駆動に同期するようにコントローラ11はステージ2を駆動する。
このようにステージ2を円軌道上に駆動しつつ、X線検出器4を回転駆動することで、ステージ2の向きを一定に固定することができる。また、図3に示すように、校正用ファントムPhをステージ2に載置し、実施する断層撮影条件に基づいて、実線で示されている回転軸Axを中心とした円軌道のようにステージ2およびX線検出器4を同期して駆動させて放射線撮影を行うことで、複数の校正用ファントムPhの投影画像を取得する。
なお、本実施例では、図3に示すような円軌道(従来の図12に示す円軌道と同じ)で動作させて断層撮影を行っているが、従来の図10〜図12のような断層撮影が可能な装置構成であればよく、図1〜図4以外の軌道でも様々な装置構成を採用することが可能である。また、ステージ2とX線管3とX線検出器4とが相対的に同じ軌道で動作すればよいので、例えば図10の場合では、ステージを回転駆動する替りにX線管およびX線検出器を駆動してもよい。また、図10〜図12に限らず直線断層撮影に例示されるように断層撮影であれば特に限定されない。このように、X線管に代表される放射線照射手段、ステージの少なくともいずれかを駆動する態様であれば、放射線照射手段およびステージの両方を駆動してもよいし、放射線照射手段のみを駆動してもよいし、ステージのみを駆動してもよい。
なお、図4に示すように、Wをワールド座標系とし、Cをカメラ座標系とし、Iを画像面座標系とし、Pをピクセル座標系とする。ワールド座標系は任意に設定した基準座標系であり、原点としては例えば対象物O(図1、図2を参照)や校正用ファントムPh(図3、図5〜図7を参照)の位置に設定してもよい。カメラ座標系はX線管3(いわゆる光源)を原点として、Z軸をX線管3からの照射軸(いわゆる光軸)方向とし、X軸およびY軸をX線検出器4の検出面の水平方向・垂直方向(画像面座標系のx軸・y軸に平行)に合わせた座標系である。画像面座標系は光軸と検出面とが交わる位置を原点として、x軸・y軸を検出面の水平方向・垂直方向に合わせた座標系である。さらに、ピクセル座標系は画像の左上を原点とした画素単位(ピクセル単位)の座標系である。
図5の説明に戻り、パラメータ算出部8は、校正用ファントムPh(図3、図6および図7も参照)の投影画像に基づいて補正用のパラメータを算出し、算出されたパラメータを撮影条件毎にパラメータ記憶部9に書き込んで記憶する。対象物Oの断層画像を補正する際に、パラメータ記憶部9に記憶されたパラメータを読み出して、その読み出されたパラメータを利用する。パラメータ記憶部9は、RAM(Random Access Memory)などに代表される記憶媒体で構成されている。
さらに、パラメータの初期値をパラメータ記憶部9に書き込んで記憶し、パラメータ記憶部9に記憶されたパラメータを読み出して、パラメータ算出部8はパラメータを更新して、更新されたパラメータをパラメータ記憶部9に書き込んで記憶する。パラメータの更新の際には限定されたパラメータのみ更新する。よって、パラメータ算出部8は、この発明におけるパラメータ数限定手段の機能を有する。パラメータ数限定手段の具体的な機能については後述する。
断層画像算出部10は、複数の対象物Oの投影画像および上述のパラメータに基づいて、対象物Oの断層画像を算出し、当該算出時に対象物Oを撮影したときの撮影条件に適したパラメータを利用して再構成する。コントローラ11は、X線検査装置1を構成する各部分を統括制御し、特に、検出器回転機構5の回転モータ(図示省略)、検出器傾動機構6の回転モータ(図示省略)、ステージ駆動機構7のX軸/Y軸/Z軸直進モータ(図示省略)をそれぞれ制御する。上述のパラメータ算出部8や断層画像算出部10やコントローラ11は、中央演算処理装置(CPU)などで構成されている。
図1に示すように、X線管3、対象物OおよびX線検出器4を配置することで、図12と同様に、ラミノ角傾いた斜め方向にX線管3とX線検出器4とを配置して斜め方向から撮影(プレナーCT)することができる。そして、X線管3と、ステージ2ひいては対象物Oとを近づけることができ、X線管3と対象物Oとが互いに干渉することなく高拡大率の投影画像を得ることができる。ステージ2を駆動する度に投影画像を取得することで複数の角度からの投影画像を取得し、図5に示す断層画像算出部10は、複数の投影画像に基づいて断層画像を算出して演算する。
次に、校正用ファントムPhについて、図6および図7を参照して説明する。図6は、放射線撮影時に校正用ファントムを搭載可能にステージを構成する一例の概略図であり、図6(a)は、ステージにマーカを埋め込んで校正用ファントムとする場合の概略斜視図であり、図6(b)は、その概略断面図であり、図7は、放射線撮影時に校正用ファントムを搭載可能にステージを構成する他の一例の概略図であり、図7(a)は、ステージの表面(上面)に、パターンをマーカとして設置したときの校正用ファントムの概略斜視図であり、図7(b)は、ステージの裏面(下面)に、パターンをマーカとして設置したときの校正用ファントムの概略斜視図である。
図6(a)の概略斜視図や図6(b)の概略断面図に示すように、ステージ2に校正用ファントムPhを埋め込んでもよいし、図7の概略斜視図に示すように、ステージ2の表面(上面)(図7(a)を参照)あるいは裏面(下面)(図7(b)を参照)にパターンからなるマーカを設置してもよい。また、図7(a)および図7(b)を組み合わせて、ステージ2の表裏面ともにマーカを設置してもよいし、その他の面(側面、正面あるいは背面)にマーカを設置してもよい。
一般に、ステージ2は放射線透過率が高い物質で形成されているので、マーカを放射線透過率が低い物質(例えば鉛)で形成して、ステージ2と区別する。図6の場合には、マーカMを放射線透過率が低い球状物質で形成し、その球状物質をステージ2に埋め込んだものを校正用ファントムPhとする。
また、図7の場合には、マーカを設置することで、マーカからなる校正用ファントムPhを搭載可能にステージ2を構成する。図7のマーカも、パターンの交点を特徴点とすることができるので、マーカの概念に包括されることに留意されたい。
また、対象物Oが校正用ファントムPhを兼用してもよい。例えば対象物OがBGAの場合には、対象物O中の球状物質(Ball)のいずれかにマーカを設置する。マーカを設置することで、マーカからなる校正用ファントムPhを対象物Oが兼用することができ、対象物Oとは別の校正用ファントムを用意する必要がなくなる。
以上のような校正用ファントムPhを予め搭載可能にステージ2を構成する構造に限定されない。図4に示すように、放射線撮影時(必要なとき)のみにステージ2に校正用ファントムPhを載置してもよい。
いずれの場合においても、校正用ファントムPhは、投影画像から画像処理により特徴点が抽出可能であり、さらに各投影画像間で特徴点の対応付けが可能であるようなパターンを有している必要がある。特徴点としては、例えば図6に示すような球形状の中心点や、図7に示すような格子形状の交点などが考えられる。また、非線形最適化演算(非線形的な最適化方法)によりパラメータを算出する場合には、「特徴点数×2×フレーム数>特徴点数×3+パラメータ数×フレーム数」が成り立つ数だけ、特徴点が3次元的に配置されている必要がある。
次に、校正用ファントムによるキャリブレーション(校正)について、図8および図9を参照して説明する。図8は、校正用ファントムの投影画像からパラメータを算出するまでの一連の処理を示すフローチャートであり、図9は、図8のパラメータ算出の具体的なフローチャートである。
(ステップS1)断層撮影
図3に示すように、校正用ファントムPhをステージ2上に載置し、放射線撮影を実施し、複数の校正用ファントムPhの断層画像を取得する。このときの走査軌道は、対象物O(図1、図2を参照)を断層撮影するときと同じ走査軌道で駆動すればよい。撮影フレーム数については、対象物Oを断層撮影するときのフレーム数以上取得するのが好ましい。
(ステップS2)特徴点算出
ステップS1で取得した校正用ファントムPhの投影画像から特徴点を抽出し、特徴点座標を算出する。特徴点抽出の方法については様々あり、特に限定されない。例えば、図6に示すように球形状のマーカを有する校正用ファントムPhを撮影した場合には、球の中心を特徴点として抽出することが考えられる。このときの球の中心としては、オープニング処理やエロージョン(erosion)処理などに代表されるモルフォロジー(morphology)演算を利用して球形状の中心位置を算出してもよいし、画素値(輝度値)の情報を利用して、例えば距離変換などにより距離画像の極大値座標を中心位置として算出してもよい。
(ステップS3)同一特徴点識別
ステップS2で算出された特徴点のフレーム間での対応付けを行う。対応付けの方法としては、時間的に連続するフレームでは対応する特徴点は画像上で近い位置に存在するという特徴を利用して、特徴点座標が互いに近い点を対応する特徴点とする方法などが考えられる。
(ステップS4)パラメータ算出
ステップS3で対応付けされた特徴点座標からパラメータを算出する。このときのパラメータ算出は、上述したように、コンピュータビジョンの分野で知られているカメラキャリブレーションと同一の問題設定であり、算出アルゴリズムとしてBundle Adjustmentなどの方法が知られている。Bundle Adjustment法は、上述したように、非線形最適化演算により特徴点の3次元座標および撮影時の幾何学的なモデルのパラメータを算出する手法である。
具体的には、透視投影モデルを考えた場合に、図4に示すような座標系をそれぞれ定義すると、特徴点に関するワールド座標系からピクセル座標系への変換は、斉次座標で下記(1)式のように表される。
Figure 2014139533
行列M中の行列Rは3行3列の回転行列であり、回転の3自由度(θ,θ,θ)を有する。また、ベクトルtは3行1列の並進ベクトルであり、並進3自由度(t,t,t)を有する。つまり、行列Mは6つのパラメータからなる。
行列Pは、X線管3(図1を参照)、いわゆる光源からX線検出器4(図1、図2を参照)へ垂線を下ろした距離(すなわちSID)を表すパラメータfからなる。
行列Aは、画素単位(ピクセル単位)へ変換するスケール変数k,k、画像面座標系とピクセル座標系との原点位置関係を表すσ,σ、ピクセル座標系のx軸・y軸がなる角度を表すskewの合計5つのパラメータからなる。
つまり、透視投影モデルでは、ワールド座標系からピクセル座標系への変換が12個の幾何関係を表すパラメータ(自由度は11)で表され、Bundle Adjustment法ではこれらのパラメータを算出する。
図9は、図8のパラメータ算出の具体的なフローチャートであり、Bundle Adjustment法によるパラメータ算出処理フローを示す。また、図9のステップT1〜T5は、この発明におけるパラメータ算出過程に相当する。パラメータの初期値については、断層撮影条件に基づいて設定してもよいし、以前のキャリブレーションで算出された、ある適切なパラメータをパラメータの初期値として設定してもよい。
(ステップT1)特徴点3次元座標推定
対応付けされた特徴点(図9では「対応付け特徴点座標群」で表記)(pim1,1…(pimm,n、パラメータの初期値A^P^M^…A^P^M^から、特徴点の3次元座標を推定する。このステップT1では、全てのパラメータの初期値A^P^M^…A^P^M^が入力される。このステップT1は、特徴点3次元座標推定過程に相当する。上記(1)式中の変換行列をz^=A^P^M^で書き直して、nフレームの場合に拡張すると、下記(2)式のようになる。
Figure 2014139533
上記(2)式より、擬似逆行列を計算することで、特徴点3次元座標の最小二乗解(p^が下記(3)式により求まる。
Figure 2014139533
(ステップT2)再投影座標計算
ステップT1で推定した特徴点3次元座標p^を上記(2)式に代入することで、再投影座標(p^im1,1…(p^imm,nが求まる。このステップT2は、再投影座標計算過程に相当する。
(ステップT3)再投影二乗誤差計算
ステップT2で算出した再投影座標(p^im1,1…(p^imm,n、対応付けされた特徴点(pim1,1…(pimm,nから、再投影二乗誤差Cを下記(4)式で算出する。このステップT3は、再投影二乗誤差計算過程に相当する。
Figure 2014139533
(ステップT4)収束判定
ステップT3で算出した再投影二乗誤差Cの値が収束したか否かを判定する。このステップT4は、収束判定過程に相当する。再投影二乗誤差Cの値が十分に収束している場合には、そのときのパラメータを、最終的に数が限定されたパラメータであるとして一連のフローを終了する。
(ステップT5)パラメータ更新
再投影二乗誤差Cの値が十分に収束していない場合には、Cの値が小さくなるようにパラメータを更新する。このステップT5は、パラメータ更新過程に相当する。パラメータ更新方法は、非線形最適化の分野で一般的に扱われている問題であり、レーベンバーグマーカート法など種々の方法がある。
全てのパラメータが未知であると考えた場合、Bundle Adjustment法によって推定する変数の数は、上述したように(特徴点数×3+パラメータ数×フレーム数)個である。「発明が解決しようとする課題」の欄でも述べたように、非線形最適化演算では、変数の数が多いほど計算時間が長くなるという問題がある。そこで、断層撮影の情報(撮影条件)を利用することで、収束精度を確保しつつ、推定する変数の数を減らして限定して計算を高速化する。したがって、ステップT5においてパラメータを更新する際には、撮影条件に基づいて予め限定されたパラメータのみ更新するので、更新するパラメータの数が少なくて済む。
非線形最適化演算において断層撮影条件から初期値を設定した場合、初期値と真値との誤差は、装置の設計図面と実際の装置との組み立て誤差および駆動系の駆動誤差が合わさったものであるといえる。組み立て誤差に起因して誤差が生じるパラメータについては、一度キャリブレーションを行えば、断層撮影条件を変更したときにも使用することができる。よって、一度だけ非線形最適化演算により全パラメータを推定し、断層撮影条件を変更してキャリブレーションを再び行う場合には、駆動誤差に起因して誤差が生じるパラメータに限定して非線形最適化演算を実施することで、収束精度を確保しつつ、変数の数を減らすことができる。
また、各駆動系で駆動誤差が生じている場合、それらの駆動誤差が投影画像に及ぼす影響が収束性に影響することが上記(4)式からわかる。放射線撮影は透視撮影であるので、拡大された像がX線検出器4に投影される。よって、ステージ2の駆動誤差の影響は拡大率の分だけ大きくなってX線検出器4上で現れる。その一方でX線検出器4の駆動誤差の影響は拡大されないので、収束性を向上させるためには、ステージ2の駆動精度がより重要である。そこで、例えば推定するパラメータを、ステージ2の駆動精度に関係するパラメータθ,θ,θ,t,t,tに限定することで、収束精度の悪化を抑えて、変数の数を減らすことができる。
また、ステージ2が直線駆動要素(直進駆動要素)で構成されている場合には、駆動軸が装置に強固に固定されていれば、座標系が傾くことはさほどにないと考えられる。そこで、推定するパラメータを並進パラメータであるt,t,tの3つに限定することにより、収束精度の悪化を抑えて、変数の数を減らすことができる。
上述したように、高拡大率で放射線撮影を行うほどステージ2の駆動精度が重要となるので、PCTで高拡大率で断層撮影を行う場合などは、X線検出器4の駆動精度に対するステージ2の駆動精度の重要性が増す。つまり、パラメータを上述の並進パラメータt,t,tに限定する場合と限定しない場合との収束性の差がより変わらなくなってくるので、さらに効果的に収束精度の悪化を抑えて、変数の数を減らすことができる。
図8のステップS2〜S4については、パラメータ算出部8(図5を参照)が行う。また、図9のステップT1〜T5についても、パラメータ算出部8が行う。パラメータ算出部8がパラメータを更新する際には、限定されたパラメータのみ更新する。また、パラメータの数を減らして限定する過程は、この発明におけるパラメータ数限定過程に相当する。
断層画像算出部10(図5を参照)は対象物Oの投影画像の逆投影を実施して、断層画像を算出する。断層画像算出アルゴリズムは公知の方法があり、例えばFBP法(Filtered Back Projection法)などが知られている。
上述の構成を備えた本実施例に係るX線検査装置およびそれにおける画像処理方法によれば、パラメータ算出部8は、複数の校正用ファントムPhの投影画像に基づいて、放射線照射手段(本実施例ではX線管3)、ステージ2、放射線検出手段(本実施例ではX線検出器4)の幾何関係を表すパラメータを非線形最適化演算により算出し、複数の対象物O投影画像および上述のパラメータ(補正パラメータ)に基づいて、断層画像算出部10は、対象物Oの断層画像を算出し、当該算出時に対象物Oを撮影したときの撮影条件に適したパラメータを利用して再構成する。このパラメータ算出時に、校正用ファントムPhを撮影したときの撮影条件に基づいて、パラメータ数限定手段(本実施例ではパラメータ算出部8)は、非線形最適化演算によって算出するパラメータの数を減らして限定する。このように既知の撮影条件に基づいて、放射線照射手段(X線管3)、ステージ2、放射線検出手段(X線検出器4)の幾何関係を表すパラメータの初期値を推定し、装置の機構や駆動特性から考えて、パラメータの初期値と実際に撮影したときのパラメータとの誤差が大きいと考えられるパラメータに限定して、非線形最適化演算を行う。その結果、撮影条件という断層撮影の情報を利用することで、非線形最適化演算の収束精度を確保しつつ、計算を高速化することができる。
好ましくは、本実施例において、上述したパラメータ数限定手段(パラメータ算出部8)は、撮影条件を変更したときに変更された当該撮影条件に基づいて、非線形最適化演算によって算出するパラメータの数を減らして限定している。例えば、装置の出荷後や据え付け後に一度だけ非線形最適化演算を行い、撮影条件を変更したときに変更された当該撮影条件に基づいてパラメータの数を減らして限定する。駆動系の駆動誤差だけでなく、放射線撮影装置(本実施例ではX線検査装置1)の各構成要素を出荷して据え付けるときの据え付け誤差も存在し、パラメータの初期値との誤差となる。そこで、装置の出荷後や据え付け後に一度だけ非線形最適化演算を行うことで据え付け誤差を含んだパラメータを算出し、撮影条件を変更したときには駆動系の駆動誤差が関係する部分のパラメータのみを推定する。
「課題を解決するための手段」の欄でも述べたように、パラメータの数を減らして限定するタイミングは、撮影条件を実際に変更したときのみに限定されない。例えば、装置の電源投入時に駆動系の駆動誤差が生じる可能性があるので、装置の電源投入後の度に当該電源投入時の撮影条件に基づいてパラメータの数を減らして限定してもよい。なお、パラメータの数を減らして限定する設定については、撮影条件が変更されたのを中央演算処理装置(CPU)など(本実施例ではコントローラ11)が判断して自動に行ってもよいし、オペレータが手動で行ってもよいし、自動と手動とを組み合わせて行ってもよい。
好ましくは、本実施例において、上述したパラメータ数限定手段(パラメータ算出部8)は、非線形最適化演算によって算出するパラメータを、放射線照射手段(X線管3)とステージ2との座標位置関係を表す3つのパラメータ(本実施例では並進パラメータt,t,t)に限定している。例えば、3軸駆動(本実施例ではX線管3に関しては固定、ステージ2に関しては水平および昇降駆動のみ)において、拡大率を変更した場合や、放射線照射手段(X線管3)から放射線検出手段(X線検出器4)へ垂線を下ろした距離(SID: Source Image Distance)を変更する場合には、3つのパラメータ(並進パラメータt,t,t)に限定するのが可能となる。なお、放射線撮影は透視投影であるので、放射線検出手段(X線検出器4)では必ず拡大された像が投影される。したがって、放射線検出手段(X線検出器4)の駆動誤差が投影画像に及ぼす影響よりも、放射線照射手段(X線管3)やステージ2の駆動誤差が投影画像に及ぼす影響の方が大きい。そこで、影響の大きい放射線照射手段(X線管3)やステージ2との座標位置関係を表す3つのパラメータ(並進パラメータt,t,t)に限定して算出することで、非線形最適化演算の収束精度を確保しつつ、演算の高速化が可能となる。
特に、本実施例のように駆動手段(本実施例ではステージ駆動機構7)が、ステージ2の面に直交する軸を回転軸Axとしてステージ2を回転駆動し、回転軸Axからラミノ角傾いた斜め方向で放射線照射手段(X線検出器4)から放射線(本実施例ではX線)を照射するプレナーCT(PCT: Planar Computed Tomography)を行う場合に適用することができる。プレナーCT(PCT)では通常のCTよりも高拡大率での放射線撮影が可能となる。高拡大率にすればするほど、放射線照射手段(X線検出器4)やステージ2の駆動誤差が投影画像に及ぼす影響が大きくなるので、3つのパラメータ(並進パラメータt,t,t)に限定することによる評価関数の収束精度への悪影響は小さくなる。
本実施例に係る画像処理方法の具体的は以下の通りである。具体的には、非線形最適化演算によって上述のパラメータを算出するパラメータ算出過程(図9のステップT1〜T5)を備え、パラメータ算出過程(ステップT1〜T5)は、特徴点3次元座標推定過程(ステップT1),再投影座標計算過程(ステップT2),再投影二乗誤差計算過程(ステップT3),収束判定過程(ステップT4)およびパラメータ更新過程(ステップT5)を備え、パラメータ更新過程(ステップT5)では、限定されたパラメータのみ更新する。特徴点3次元座標推定過程(ステップT1)では、校正用ファントムの投影画像から抽出された特徴点、およびパラメータの初期値に基づいて、特徴点の3次元座標を推定する。再投影座標計算過程(ステップT2)では、特徴点3次元座標推定過程(ステップT1)で推定した特徴点3次元座標に基づいて、再投影座標を計算する。再投影二乗誤差計算過程(ステップT3)では、再投影座標計算過程(ステップT2)で算出した再投影座標、および上述した特徴点に基づいて、再投影二乗誤差を算出する。収束判定過程(ステップT4)では、再投影二乗誤差計算過程(ステップT3)で算出した再投影二乗誤差の収束判定を行う。そして、パラメータ更新過程(ステップT5)では、再投影二乗誤差の値が収束していない場合には、再投影二乗誤差の値が小さくなるようにパラメータを更新するが、その更新の際には限定されたパラメータのみ更新する。このようにパラメータの更新時には、算出すべきパラメータの数を撮影条件に基づいて予め限定しているので、パラメータ更新過程(ステップT5)で更新するパラメータの数が少なくて済み、非線形最適化演算の収束精度を確保しつつ、計算を高速化することができる。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例では、放射線撮影装置として、X線検査装置を例に採って説明したが、放射線照射手段から照射されて対象物を透過した放射線を放射線検出手段で検出することにより得られた投影画像に基づいて放射線撮影を行う装置であれば、放射線についてはX線に限定されず、X線以外の放射線(α線、β線、γ線など)であってもよい。
(2)上述した実施例では、上述したように実装基板、多層基板のスルーホール/パターン/はんだ接合部、パレット上に配置された集積回路(IC)のような実装前の電子部品、金属などの鋳物、ビデオデッキのような成型品などに例示されるように、対象物に対する放射線撮影を行うのであればよい。
2 … ステージ
3 … X線管
4 … X線検出器
7 … ステージ駆動機構
8 … パラメータ算出部
10 … 断層画像算出部
,t,t … 並進パラメータ
O … 対象物

Claims (6)

  1. 対象物を載置するステージと、
    そのステージを間に挟んで互いに対向するように配置された放射線照射手段および放射線検出手段と
    を備え、
    前記放射線照射手段から照射されて前記対象物を透過した放射線を前記放射線検出手段で検出することにより得られた投影画像に基づいて放射線撮影を行う放射線撮影装置であって、
    校正用ファントムもしくは前記対象物を前記ステージに載置した状態で、前記放射線照射手段、前記ステージの少なくともいずれかを駆動する駆動手段と、
    複数の前記校正用ファントムの投影画像に基づいて、放射線照射手段、ステージ、放射線検出手段の幾何関係を表すパラメータを非線形最適化演算により算出するパラメータ算出手段と、
    複数の前記対象物の投影画像および前記パラメータに基づいて、対象物の断層画像を算出し、当該算出時に前記対象物を撮影したときの撮影条件に適した前記パラメータを利用して再構成する断層画像算出手段と
    を備え、
    前記パラメータ算出時に、前記校正用ファントムを撮影したときの撮影条件に基づいて、非線形最適化演算によって算出するパラメータの数を減らして限定するパラメータ数限定手段を備えることを特徴とする放射線撮影装置。
  2. 請求項1に記載の放射線撮影装置において、
    前記パラメータ数限定手段は、撮影条件を変更したときに変更された当該撮影条件に基づいて、非線形最適化演算によって算出するパラメータの数を減らして限定することを特徴とする放射線撮影装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の放射線撮影装置において、
    前記パラメータ数限定手段は、非線形最適化演算によって算出するパラメータを、前記放射線照射手段と前記ステージとの座標位置関係を表す3つのパラメータに限定することを特徴とする放射線撮影装置。
  4. 請求項3に記載の放射線撮影装置において、
    前記駆動手段は、前記ステージの面に直交する軸を回転軸としてステージを回転駆動し、
    前記回転軸からラミノ角傾いた斜め方向で前記放射線照射手段から放射線を照射するプレナーCTを行うことを特徴とする放射線撮影装置。
  5. 対象物を載置するステージと、
    そのステージを間に挟んで互いに対向するように配置された放射線照射手段および放射線検出手段と
    を備え、
    前記放射線照射手段から照射されて前記対象物を透過した放射線を前記放射線検出手段で検出することにより得られた投影画像に基づいて放射線撮影を行う放射線撮影装置における画像処理方法であって、
    複数の校正用ファントムの投影画像に基づいて、放射線照射手段、ステージ、放射線検出手段の幾何関係を表すパラメータを非線形最適化演算により算出する際に、前記校正用ファントムを撮影したときの撮影条件に基づいて、非線形最適化演算によって算出するパラメータの数を減らして限定するパラメータ数限定過程を備えることを特徴とする放射線撮影装置における画像処理方法。
  6. 請求項5に記載の放射線撮影装置における画像処理方法において、
    非線形最適化演算によって前記パラメータを算出するパラメータ算出過程を備え、
    前記パラメータ算出過程は、
    前記校正用ファントムの投影画像から抽出された特徴点、およびパラメータの初期値に基づいて、特徴点の3次元座標を推定する特徴点3次元座標推定過程と、
    前記特徴点3次元座標推定過程で推定した特徴点3次元座標に基づいて、再投影座標を計算する再投影座標計算過程と、
    前記再投影座標計算過程で算出した再投影座標、および前記特徴点に基づいて、再投影二乗誤差を算出する再投影二乗誤差計算過程と、
    前記再投影二乗誤差計算過程で算出した再投影二乗誤差の収束判定を行う収束判定過程と、
    前記再投影二乗誤差の値が収束していない場合には、前記再投影二乗誤差の値が小さくなるようにパラメータを更新するパラメータ更新過程と
    を備え、
    前記パラメータ更新過程では、前記パラメータ数限定過程で限定されたパラメータのみ更新することを特徴とする放射線撮影装置における画像処理方法。
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