以下、本発明の実施形態に係るシート積載装置を備えた画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれら複合機器等、積載トレイに積載されたシートを整合処理可能なシート積載装置を備えた画像形成装置である。以下の実施形態においては、画像形成装置として、白黒/カラー複合機器(以下、「複合機器」という)1を用いて説明する。
以下、本発明の実施形態に係る複合機器1について、図1から図18を参照しながら説明する。まず、複合機器1の全体構成について、図1及び図2を参照しながらシートの動きに沿って説明する。図1は、本発明の実施形態に係る複合機器1の全体構造を模式的に示す断面図である。図2は、本実施形態に係るフィニッシャ100を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る複合機器1は、シートに画像を形成する複写機600と、シート積載装置としてのフィニッシャ100と、を備えている。本実施形態に係るフィニッシャ100は、複写機600に着脱自在に構成されており、単独でも使用可能な複写機600に対して、オプションとして使用することが可能となっている。
なお、本実施形態においては、上述した着脱自在のフィニッシャ100を用いて説明するが、本発明においては、フィニッシャ100と複写機600とが一体の複合機器であってもよい。また、以下においては、ユーザが複合機器1に対して各種入力/設定を行う操作部601に臨む位置を複合機器1の「手前」といい、複合機器の背面側を「奥」という。つまり、図1は、手前側から見た複合機器1の内部構成を示したものであり、フィニッシャ100は、複写機600の側部に接続されている。
複写機600は、操作部601と、原稿を給送可能な原稿給送装置602と、原稿給送装置602から給送された原稿の情報を読み取るイメージリーダ603と、シートに画像を形成する画像形成部604と、を備えている。また、複写機600は、シートを収納するシート収納部605と、シート収納部605に収納されたシートを画像形成部604に給送するシート給送部606と、を備えている。
複写機600の原稿給送装置602に原稿をセットすると、先頭頁から順に1枚ずつ給送され、イメージリーダ603によって原稿の画像情報が読み取られる。画像情報が読み取られると、読み取られた画像情報に基づいて、画像形成部604の感光ドラム914a〜914dに、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が形成される。トナー像の形成動作に並行して、シート給送部606により、シート収納部605の給送カセット909a,909bからシートが選択的に繰り出される。そして、所定のタイミングで、感光ドラム914a〜914dの各転写位置にシートが送り込まれ、感光ドラム914a〜914dに形成された各色のトナー像がシートに順次重畳転写される。その後、シートに形成された未定着のトナー像が定着器904で定着されて、シートは排出ローラ対907によりフィニッシャ100に送り込まれる。
なお、両面印刷の場合は、反転ローラ905でシートが反転された後、反転搬送路に設けられる搬送ローラ906a〜906fにより反転したシートが画像形成部604に再度搬送され、上述が繰り返される。
フィニッシャ100は、複写機600の下流側に接続されており、複写機600から送り込まれたシートを導入し、オンラインでサドル処理等ができるようになっている。図2に示すように、フィニッシャ100は、フィニッシャ本体400と、フィニッシャ本体400の内部の搬送パス109にシートを挿入可能なインサータ900と、を備えている。インサータ900は、フィニッシャ本体400の上部に設けられており、例えば、シート束の先頭ページ、最終ページ、又は複写機600にて画像が形成されたシート間に、インサートシートを挿入するためのものである。
複写機600から送り込まれたシートは、まず、フィニッシャ100の入口ローラ対102に受け渡される。このとき、入口センサ101によりシートの受渡しタイミングも同時に検知される。入口ローラ対102に受け渡されたシートは、搬送パスを通過中に、横レジ検知センサ104によりセンター位置に対するシート幅方向(以下、単に「幅方向」という)の横レジ誤差が検知される。横レジ検知センサ104で横レジ誤差が検知されると、シフトユニット108で横レジ検知処理が行われる。
シフトユニット108による横レジ検知処理が終了すると、シートは、搬送ローラ対110により搬送され、バッファローラ対115により更に下流側に搬送される。ここで、シートが上積載トレイ136に排出される場合は、上パス切換部材118を不図示のソレノイド等の駆動部により図2に示す破線の位置に移動させ、シートは上パス搬送路117を介して、上排出ローラ対120により上積載トレイ136に排出される。一方、シートが下積載トレイ137に排出される場合は、上パス切換部材118を図2に示す実線の位置に移動させ、シートは束搬送パス121に搬送される。
ここで、束搬送パス121に搬送されたシートを中綴じ処理(サドル処理)する場合は、不図示のソレノイド等の駆動部によりサドルパス切換部材125を図2に示す破線の位置に移動させる。これにより、シートはサドルパス133に導かれ、サドル入口ローラ対134によりサドルユニット135に搬送されて中綴じ処理が行われる。なお、中綴じ処理については、ここではその説明を省略する。一方、中綴じ処理を行わない場合は、サドルパス切換部材125を図2に示す実線の位置に移動させ、シートは、ステイプル部127の処理トレイ138上に順次搬送される。処理トレイ138上に搬送されたシートは、シート排出方向(以下、単に「排出方向」という)及び幅方向の整合処理が行われた後、ステイプラ132による綴じ処理が行われる。なお、ステイプル部127でのこれらシート処理については、ここではその説明を省略する。
ステイプル部127で所定のシート処理が行われたシートは、シート排出部としての束排出ローラ対130により積載トレイとしての下積載トレイ137に排出される。なお、ステイプル部127で所定のシート処理を施さない場合は、シートは、下排出ローラ対128から束排出ローラ対130へと受け渡され、下積載トレイ137へと排出される。下積載トレイ137へと排出されたシートは、その後、幅方向整合部200及び排出方向整合部300により下積載トレイ137上での幅方向及び排出方向の整合が行われる。なお、幅方向整合部200による幅方向の整合及び排出方向整合部300による排出方向の整合処理については、後に詳述する。また、下積載トレイ137は、後述のシート積載高さ検知センサ510によりシートの積載高さ(上面位置)が検知され、シートの上面が所定の高さとなるように、シート積載高さ検知センサ510の検知結果に応じて下降しつつシートを積載する。なお、下積載トレイ137、シート積載高さ検知センサ510及び突き当て部材170は、シート積載部を構成し、下積載トレイ137については、後に詳述する。
次に、本実施形態に係る複合機器1を制御する制御部6について、図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、本実施形態に係る複合機器1を制御する制御部6のブロック図である。図4は、本実施形態に係るフィニッシャ100を制御するフィニッシャ制御部618のブロック図である。
図3に示すように、制御部6は、CPU回路部610と、原稿給送装置制御部614と、イメージリーダ制御部615と、画像信号制御部616と、プリンタ制御部617と、フィニッシャ制御部618と、を備えている。本実施形態においては、CPU回路部610、原稿給送装置制御部614、イメージリーダ制御部615、画像信号制御部616及びプリンタ制御部617は、複写機600に搭載され、フィニッシャ制御部618は、フィニッシャ100に搭載されている。
CPU回路部610は、CPU611と、ROM612と、RAM613とを備えている。CPU611は、ROM612に格納されているプログラム及び操作部601から入力される指示情報に従って、原稿給送装置制御部614、イメージリーダ制御部615、画像信号制御部616、プリンタ制御部617及びフィニッシャ制御部618等を制御する。RAM613は、制御データを一時的に保持する領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。
原稿給送装置制御部614は、原稿給送装置602を制御し、イメージリーダ制御部615は、原稿給送装置602から給送された原稿の情報を読み取るイメージリーダ603を制御する(図1参照)。なお、イメージリーダ制御部615により読み取られた原稿のデータは、画像信号制御部616へ出力される。プリンタ制御部617は、複写機600を制御する。外部インターフェイス619は、外部のコンピュータ620と複写機600を接続させるためのインターフェイスであり、例えば、コンピュータ620から入力されたプリントデータを画像に展開して画像信号制御部616へ出力する。画像信号制御部616に出力された画像データは、プリンタ制御部617へ出力され、画像形成部604で画像が形成される。
図4に示すように、フィニッシャ制御部618は、CPU(マイコン)701と、RAM702と、ROM703と、入出力部(I/O)705a〜705eと、通信インターフェイス706と、ネットワークインターフェイス704と、を備えている。また、フィニッシャ制御部618は、搬送制御部707と、中間処理トレイ制御部708と、綴じ制御部709と、積載トレイ整合制御部710と、積載トレイ制御部711と、を備えている。フィニッシャ制御部618は、CPU回路部610との情報のやり取りを行うことによって、図4に示す様々な駆動モータ及びセンサを制御して、フィニッシャ100の全体の駆動制御を行う。例えば、フィニッシャ制御部618は、後述の近接制御を実行可能な積載トレイ整合制御部710に近接制御を実行させる。
次に、下積載トレイ137に排出されたシートの幅方向の整合処理を行う幅方向整合部200について、図2に加え、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係るフィニッシャ100に設けられる幅方向整合部200を示す斜視図である。なお、以下においては、幅方向を手前奥方向というものとする。
図2に示すように、幅方向整合部200は、下積載トレイ137の上方に設けられている。また、幅方向整合部200は、図5に示すように、手前側に配置された手前整合ユニット201bと、奥側に配置された奥整合ユニット201aと、上ステイ202と、整合部材昇降モータM11と、整合部材昇降HPセンサS11と、を備えている。手前整合ユニット201b及び奥整合ユニット201aは、上ステイ202に対して手前奥方向で対称になるように取り付けられており、上ステイ202は、フィニッシャ本体400に支持されている。
手前整合ユニット201bは、アーム状の手前整合部材203bと、プーリ支持板204bと、手前整合部材スライドモータM9と、手前整合部材HPセンサS9と、を備えている。奥整合ユニット201aは、アーム状の奥整合部材203aと、プーリ支持板204aと、奥整合部材スライドモータM10と、奥整合部材HPセンサS10と、を備えている。なお、手前整合ユニット201bと奥整合ユニット201aとは、基本的な構成が同じであるため、ここでは奥整合ユニット201aの構成について説明し、手前整合ユニット201bについては、同じ符号を付してその説明は省略する。
奥整合部材203aは、基端部がスライド部材206に支持されており、スライド部材206は、第1整合支軸205に回転自在、かつ、スライド自在に支持されている。また、スライド部材206は、スライド位置検知部材208とで第2スライド駆動伝達ベルト209を挟持しており、第2スライド駆動伝達ベルト209は、一対のスライド駆動伝達プーリ210a,210bに掛け渡されている。スライド駆動伝達プーリ210a,210bは、プーリ支持板204aにカシメ結合されたプーリ支軸211に支持されており、スライド駆動伝達プーリ210aは、第1スライド駆動伝達ベルト212を介して奥整合部材スライドモータM10と接続されている。
奥整合部材203aは、奥整合部材スライドモータM10の駆動によりスライド部材206が第1整合支軸205に沿ってスライドすることで手前奥方向に移動し、先端部をシートの幅方向の端部に当接させてシートを幅方向に整合する。このとき、整合位置検知支板214を介して上ステイ202に取り付けられた奥整合部材HPセンサS10により、奥整合部材203aの手前奥方向のホームポジションが検知される。そして、検知されたホームポジション等に基づいて、フィニッシャ制御部618の積載トレイ整合制御部710により手前奥方向の移動制御が行われる。なお、奥整合部材203aの手前奥方向のホームポジションは、シートを下積載トレイ137上に排出し得る手前奥方向の位置である。
また、第1整合支軸205は、整合部材昇降プーリ215a,215bに支持されており、整合部材昇降プーリ215aは、駆動伝達ベルト216を介して第2昇降プーリ217に接続されている。第2昇降プーリ217は、昇降伝達軸218にDカットで取り付けられており、昇降伝達軸218には、第3昇降プーリ219が接続されている。第3昇降プーリ219は、駆動伝達ベルト220を介して整合部材昇降モータM11に接続されている。
奥整合部材203aは、整合部材昇降モータM11の駆動により昇降伝達軸218を介して第1整合支軸205が回転することで昇降する。このとき、奥整合部材203aは、第2整合支軸207により回動量が規制されている。また、整合部材昇降プーリ215bに設けられたフラグ部215fが、奥整合部材203aの昇降方向でのホームポジションを検出する整合部材昇降HPセンサS11をオン、オフすることで、奥整合部材203aの昇降方向でのホームポジションが検出される。そして、検出された昇降方向でのホームポジション等に基づいて、フィニッシャ制御部618の積載トレイ整合制御部710により昇降位置の移動制御が行われる。なお、奥整合部材203aと手前整合部材203bとは、昇降伝達軸218を介して連結されているため、手前整合部材203bは、積載トレイ整合制御部710による奥整合部材203aの昇降位置の制御に同期する。また、昇降位置でのホームポジションは、シートを下積載トレイ137上に排出し得る昇降方向の位置である。
次に、下積載トレイ137に排出されたシートの排出方向の整合処理を行う排出方向整合部300について、図2に加え、図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、本実施形態に係るフィニッシャ100に設けられる排出方向整合部300を示す斜視図である。図7は、本実施形態に係る排出方向整合部300のトレイパドル301の待機位置及び移送位置を示す図である。
図2に示すように、排出方向整合部300は、下積載トレイ137の上方に設けられている。具体的には、排出方向整合部300は、束排出ローラ対130の上方に位置するように設けられた上部開閉ガイド149の略中央部に支持されている。排出方向整合部300は、束排出ローラ対130の上方から後述のトレイパドル301を回転させつつ下降させることで、束排出ローラ対130から排出されたシートを下積載トレイ137に落としながら突き当て部材170に突き当てさせる。なお、突き当て部材170は、下積載トレイ137にシートが排出されるシート排出方向上流側(以下、単に「上流側」という)の束排出ローラ対130の下方に設けられている(図11参照)。
図6に示すように、排出方向整合部300は、トレイパドル301と、パドルホルダ302と、を備えており、トレイパドル301とパドルホルダ302とは、シートを突き当て部材170に突き当てさせる移送部を構成している。
トレイパドル301は、複数枚のパドルを有しており、パドルホルダ302の先端部に回転自在に支持されている。トレイパドル301の回転軸315はトレイ戻しプーリ316aに接続されており、トレイ戻しプーリ316aは、駆動伝達ベルトを介してトレイ戻しプーリ316bに接続されている。トレイ戻しプーリ316bは、上部開閉ガイド149に回転自在に支持されたホルダ支軸303に接続されており、ホルダ支軸303は、ギア列317を介して束排出ローラ対130と駆動連結されている。つまり、トレイパドル301は、束排出モータM5の駆動により回転する束排出ローラ対130と同期して、回転するように構成されている。
パドルホルダ302の基端部は、ホルダ支軸303に支持されると共に、ホルダ支軸303に支持されたパドル昇降プーリ305と係合している。パドル昇降プーリ305には、昇降リンクプーリ306が接続されており、昇降リンクプーリ306は、駆動伝達ベルト307を介して昇降リンクプーリ309に接続されている。昇降リンクプーリ309は、駆動伝達ベルト310を介して昇降ギア312に接続されており、昇降ギア312はトレイパドル昇降モータM12に接続されている。これにより、トレイパドル昇降モータM12の駆動力がパドルホルダ302に伝わり、パドルホルダ302が回動(昇降)することで、パドルホルダ302の先端に支持されたトレイパドル301が昇降自在になる。なお、トレイパドル昇降モータM12は、昇降モータ支板313に取り付けられており、昇降モータ支板313は、上ステイ202(図5(a)及び)(b)参照)に取り付けられている。上述したパドル昇降プーリ305、昇降リンクプーリ306、駆動伝達ベルト307、昇降リンクプーリ309、駆動伝達ベルト310、昇降ギア312及びトレイパドル昇降モータM12は、トレイパドル301を昇降させるための駆動部を構成する。
パドルホルダ302のホームポジションは、上部開閉ガイド149に取り付けられたトレイパドルHPセンサS12をパドルホルダ302のフラグ部302fが遮断することで検知される。そして、検知したホームポジション等に基づいて、積載トレイ整合制御部710により回動位置の移動制御が行われる。例えば、パドルホルダ302は、束排出ローラ対130の上方でシートを受け入れる図7(a)に示す受け入れ位置と、下積載トレイ137上のシートを突き当て部材170に突き当てる図7(b)に示す第1移送位置との間を移動制御される。更に、パドルホルダ302は、第1移送位置から更に下方に回動し、下積載トレイ137に積載された最上位シートとの相対距離を小さくした図7(c)に示す第2移送位置に移動制御される。また、パドルホルダ302は、ジョブ終了後には、上部開閉ガイド149に収容されたホームポジションに移動する(例えば、図6(b)参照)。このように、本実施形態に係るパドルホルダ302(トレイパドル301)は、ホームポジション、受け入れ位置、第1移送位置及び第2移送位置に移動制御される。なお、これらの移動制御については、後に詳述する。
次に、排出されたシートを積載する下積載トレイ137の昇降機構及びシート積載高さ方向の移動制御について、図8から図10を参照しながら説明する。まず、下積載トレイ137の昇降機構について、図8及び図9を参照しながら説明する。図8は、本実施形態に係るフィニッシャ100に設けられる下積載トレイ137を示す斜視図である。図9は、本実施形態に係る下積載トレイ137のシート積載高さ方向の位置を検知する下トレイエリア検知センサS15〜S17を示す斜視図である。
図8(a)及び(b)に示すように、下積載トレイ137は、昇降ユニット500を備えており、昇降ユニット500に内蔵された一対のピニオンギア501a,501bが一対のラック509a,509bの上を移動することで昇降する。具体的には、図8(c)に示すように、ピニオンギア501aは、第2昇降ギア503及び第3昇降ギア504を介して第1昇降ギア502に接続されており、第1昇降ギア502は、昇降プーリ505に接続されている。昇降プーリ505は、昇降ベルト506を介して下トレイ昇降モータM13に接続されている。また、ピニオンギア501bは、昇降軸507を介して第3昇降ギア504に接続されている。このように、下積載トレイ137は、下トレイ昇降モータM13が駆動することで、ピニオンギア501aとピニオンギア501bとが同期して回転し、ラック509a,509b上を移動することで昇降するようになっている。
また、第1昇降ギア502には、エンコーダ520が取り付けられており、下トレイ位置検知センサS13がエンコーダ520のオン、オフを検知することで、下トレイ昇降モータM13の回転量を検出している。そして、下トレイ昇降モータM13の回転量から下積載トレイ137の下降量が検出され、下積載トレイ137が初期位置からどれだけ下降したかが検知可能になっている。なお、初期位置とは、ジョブが開始される際の下積載トレイ137が位置する位置であり、以下、ホームポジションという。また、エンコーダ520及び下トレイ位置検知センサS13は、積載トレイ位置検知部を構成すると共に、積載量検知部も構成し得る。
また、図9(a)に示すように、下積載トレイ137の奥側(昇降ユニット500側)には、上流側の端部に積載量検知部を構成し得る積載トレイ位置検知部としての下トレイエリア検知センサS15〜S17が排出方向に並んで取り付けられている。下トレイエリア検知センサS15〜S17は、エリア検知板515の所定位置に設けられた積載トレイ位置検知部としての複数のフラグ部が下トレイエリア検知センサS15〜S17のそれぞれを遮光することでオン、オフが切り替えられるようになっている。下積載トレイ137は、エリア検知板515の所定位置に設けられた複数のフラグ部により下トレイエリア検知センサS15〜S17のオン、オフが切り換えられることでシート積載高さ方向の位置が検知されるようになっている。
例えば、下積載トレイ137がホームポジションに位置している場合、下トレイエリア検知センサS15が図9(b)に示すフラグ部515aに遮光されてオンとなり、下トレイエリア検知センサS16、S17は遮光されない(オフ)ようになっている。つまり、下トレイエリア検知センサS15がオンで、下トレイエリア検知センサS16、S17がオフの場合、下積載トレイ137はホームポジションに位置していると判断される。その後、シートの積載量が増加し、第1高さまで下降すると、下トレイエリア検知センサS16がエリア検知板515に設けられた不図示のフラグ部に遮光されてオンとなり、下トレイエリア検知センサS17は遮光されない(オフ)ようになっている。つまり、下トレイエリア検知センサS15、S16がオンで、下トレイエリア検知センサS17がオフの場合、下積載トレイ137は第1高さに位置していると判断される。更に、シートの積載量が増加し、第2高さまで下降すると、下トレイエリア検知センサS17もエリア検知板515に設けられた不図示のフラグ部に遮光されてオンとなる。つまり、下トレイエリア検知センサS15、S16、S17がオンの場合、下積載トレイ137は第2高さに位置していると判断される。
このように、本実施形態に係るフィニッシャ100は、下積載トレイ137のシート積載高さ方向の位置を検知するセンサが2種類設けられている。例えば、エンコーダ520により検知することで、下積載トレイ137の移動量を細かく検知することができる。また、駆動部のガタ等により昇降を繰り返すと実際の移動量と検知量とがずれてしまうおそれがある場合においても、下トレイエリア検知センサS15〜S17により検知することで、下積載トレイ137が所定の位置まで下降したことを検知することができる。
なお、本実施形態においては、下トレイエリア検知センサS15〜S17を用いて下積載トレイ137の第1高さと第2高さとを検知するように構成したが、これに限らない。例えば、複数の下トレイエリア検知センサを用いることで複数のシート積載高さ方向の位置を段階的に検知するように構成してもよい。
次に、下積載トレイ137のシート積載高さ方向の制御動作について、図10を参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係る下積載トレイ137に積載されたシートの積載高さ(上面位置)を検知するシート積載高さ検知センサ510を示す図である。
下積載トレイ137のシート積載高さ方向の移動制御は、下積載トレイ137の積載面137a及び積載面137aに積載されたシートのシート積載高さ方向の上面位置をシート積載高さ検知センサ510で検知することにより行われる。シート積載高さ検知センサ510は、シートの排出に影響しないように、束排出ローラ対130の下方、かつ、下積載トレイ137の上流側(突き当て部材側)に設けられており、当該位置でのシート積載高さ方向の位置を検知している。
図10に示すように、シート積載高さ検知センサ510は、第1受光センサ510aと、第2受光センサ510bと、第3受光センサ510cと、発光センサ510dと、を備えている。シート積載高さ検知センサ510は、第1〜第3受光センサ510a〜510cが受光している発光センサ510dからの光が、積載されたシート等により遮光されることで各センサのオン、オフを検知する。下積載トレイ137は、シート積載高さ検知センサ510の検知結果に応じて昇降される。
例えば、下積載トレイ137にシートが積載されていないジョブ開始時の場合(例えば、ホームポジションに位置する場合)、第3受光センサ510cのみが下積載トレイ137に遮光され、オン状態になっている。つまり、第3受光センサ510cのみがオン状態の場合は、下積載トレイ137にシートが無い又は積載高さが低い状態と判断され、下積載トレイ137は下降させない。その後、シートが順次積載されていき、第2受光センサ510bが積載されたシートに遮光され、第2受光センサ510bがオン状態になると、下トレイ昇降モータM13を駆動して、第2受光センサ510bがオフ状態(受光状態)になるまで下降させる。このように、第2受光センサ510bがオン状態になる毎に下トレイ昇降モータM13を駆動して、下積載トレイ137の下降を繰り返すことで、下積載トレイ137を下降させつつシートを積載していく。なお、下積載トレイ137には、下トレイシート有無検知センサS21及びシート有無検知フラグ516が設けられており、下トレイシート有無検知センサS21のオン、オフによりシートの有無が検知される。
次に、本実施形態に係るフィニッシャ100による下積載トレイへのシートの積載動作について、図18に示すフローチャートに沿って、図11から図17を参照しながら説明する。図11は、手前整合部材203b、奥整合部材203a、パドルホルダ302及び下積載トレイ137がホームポジションに位置する状態を示す図である。図12は、手前整合部材203b、奥整合部材203a及びパドルホルダ302をシート受け入れ位置に移動させた状態を示す図である。図13は、第1移送位置でトレイパドル301がシートを排出方向に整合する状態を示す図である。図14は、手前整合部材203b及び奥整合部材203aがシートを幅方向に整合する状態を示す図である。図15は、下積載トレイ137の積載高さ(上面位置)に応じて手前整合部材203b及び奥整合部材203aを更に下降させてシートを幅方向に整合する状態を示す図である。図16は、下積載トレイ137に積載されたシートが増加して、下積載トレイ137が第2高さまで下降した状態を示す図である。図17は、トレイパドル301が第1移送位置から第2移送位置に下降する状態を示す図である。図18は、本実施形態に係るフィニッシャ100による下積載トレイ137へのシートの積載動作を示すフローチャートである。
ユーザにより、未綴じ下排出積載モードが設定され、未綴じ下排出積載モードが開始されると、手前整合部材203b及び奥整合部材203aをイニシャル動作させて、ホームポジションに移動させる(ステップS801)。同様に、パドルホルダ302をイニシャル動作させて、ホームポジションに移動させると共に、下積載トレイ137をイニシャル動作させて、ホームポジションに移動させる(ステップS802、S803)。手前整合部材203b、奥整合部材203a、パドルホルダ302及び下積載トレイ137をイニシャル動作させて、ホームポジション又は初期位置に移動させると、図11に示す状態になる。
次に、イニシャル動作完了後、手前整合部材203b、奥整合部材203a及びトレイパドル301を図12に示す受け入れ位置に移動させる。まず、操作部601により入力されたシートサイズ情報に応じて、手前整合部材203b及び奥整合部材203aを手前奥方向に所定量スライドさせた後、所定量回動させる。同様に、パドルホルダ302を所定量回動させる。なお、受け入れ位置とは、手前整合部材203bと奥整合部材203aとの間隔がシートの幅方向の長さよりも所定量大きく設定され、排出されるシートの妨げにならない位置である。また、トレイパドル301が排出中のシートと接触しない位置である。下積載トレイ137は、ホームポジションが受け入れ位置となっているため、シート受け入れ準備は完了している。
次に、上述の画像形成動作により画像が形成されたシートが複写機600の排出ローラ対907からフィニッシャ100に送り込まれ、束排出ローラ対130から下積載トレイ137に排出される(ステップS804)。シートの後端が束排出ローラ対130のニップを通過すると、トレイパドル301をシート受け入れ位置から第1移送位置まで下降させる。トレイパドル301が下降すると、トレイパドル301が束排出ローラ対130から排出されたシートに接触し、シートを下積載トレイ137に落とす。このとき、トレイパドル301は、束排出ローラ対130と同期して回転しているため、図13に示すように、シートSは下積載トレイ137に落とされながら突き当て部材170に突き当てられ、排出方向に整合される(ステップS805)。なお、パドルホルダ302を回動させるタイミングは、シートSの後端がニップを通過してから所定時間後に開始しており、トレイパドル301は、第1移送位置(図13に示す位置)で所定時間回転した後に、受け入れ位置(図12に示す位置)へと上昇する。
次に、図14に示すように、シートSの幅方向の長さよりも所定量(図14(b)に示すA)大きい位置で待機している手前整合部材203b及び奥整合部材203aをシート幅と同じ幅になるよう移動させて、シートSを幅方向に挟み整合する。シートSが幅方向に挟み整合されると、図14(c)に示す状態となり、下積載トレイ137上の所定の位置でシートSが幅方向に整合される(ステップS806)。シートSの幅方向の整合が完了すると、手前整合部材203b及び奥整合部材203aを図12に示す受け入れ位置に移動させて次のシートSの受け入れに備えさせる。
次に、第2受光センサ510bの状態を確認し、第2受光センサ510bがオンであると、第2受光センサ510bがオフになるまで下積載トレイ137を下降させる(ステップS807、S808)。一方、第2受光センサ510bがオフであれば、次のシートを受け入れ、これをシートが排出される毎に行う。このように、シートの排出、排出方向の整合、幅方向の整合、下積載トレイ137の下降を繰り返し、シートを下積載トレイ137上に順々に積載していく。
上述した制御を続けることで、下積載トレイ137がホームポジションから一定量下降した位置へと移動すると、下積載トレイ137が一定量下降したことを下トレイ位置検知センサS13が検出する(ステップS809)。すると、整合部材昇降モータM11を駆動して、手前整合部材203b及び奥整合部材203aを図15(a)に示す位置から図15(b)に示し位置に下降させ、シートを幅方向に整合可能な位置に移動させる(ステップS810)。手前整合部材203b及び奥整合部材203aは、下積載トレイ137に積載されるシートの積載量が所定量を超えたのに従い、シートを幅方向に整合可能な位置に下降されるように構成されている。これにより、例えば、シートの下流側が寝てしまった状態(図16参照)になっても、手前整合部材203b及び奥整合部材203aで幅方向に整合可能になる。なお、ここでいうシートが寝てしまう状態とは、下積載トレイ137に積載された最上位シートの傾斜が水平に近づいて、小さくなる状態をいう。
下積載トレイ137に積載されたシートSの積載量が増加して下積載トレイ137が第1高さまで下降すると、下トレイエリア検知センサS16がオンとなる(ステップS811)。下トレイエリア検知センサS16がオンになると、パドルホルダ302の回動量をトレイパドル301と下積載トレイ137に積載されたシートとの相対距離を小さくした第2移送位置に設定される(ステップS812)。つまり、シートの積載量が所定の積載量を超えた後は、トレイパドル301が第2移送位置でシートを移送するように設定されている。なお、第1移送位置と第2移送位置との切換えは、シートが排出される間に行われ、その間に画像形成等を待たせることがないようになっている。そして、シートが最終シートでなければ、ステップS804に進んで上述を繰り返し、シートが最終シートであれば、ジョブを終了させる(ステップS813)。
以上説明したように、本実施形態に係るフィニッシャ100は、下積載トレイ137に積載されるシートの積載量が所定の積載量を超えると、トレイパドル301を第1移送位置よりも下方の第2移送位置でシートを突き当て部材170に向かって移送させる。そのため、シートの積載量が増えることでシート上面(最上位シート)の傾斜が小さくなってしまい、第1移送位置でのシートの上面位置が低くなった場合においても、トレイパドル301とシートとの接触圧が小さくなることを防止することができる。これにより、シートが移送しきれなくなることから生じるシートの積載ずれの発生防止を図ることができる。また、第1移送位置よりも下方に位置する第2移送位置で移送するため、移送力を増加させることができる。
また、本実施形態に係るフィニッシャ100は、シートの後端が束排出ローラ対130のニップを通過すると、パドルホルダ302を回動させて、トレイパドル301を下降させている。そのため、シートの積載量が増えることでシート上面の傾斜が小さくなり、シートが束排出ローラ対130から排出された際の飛び量が増加し得る場合でもトレイパドル301がシートを落としながら移送するため、シートを移動できなくなることを防止できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
例えば、本実施形態においては、シートの積載量が所定の積載量を超えるとパドルホルダ302を下降させて、トレイパドル301と下積載トレイ137に積載されたシートと近づける制御をおこなったが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、トレイパドル301と下積載トレイ137に積載されたシートとの相対距離に基づいて、下積載トレイ137の下降量を調節又は下積載トレイを所定量上昇させる制御であってもよい。つまり、下積載トレイ137を移動させて、下積載トレイ137に積載されたシートとトレイパドル301とを近づけるように構成してもよい。
また、本実施形態においては、下積載トレイ137が第1高さまで下降すると、トレイパドル301を下降させて下積載トレイ137に積載されたシートとを近づけたが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、下積載トレイに積載されたシートの上流側の紙面高さに応じて連続的にトレイパドルを下降させる構成であってもよい。また、複数の下トレイエリア検知センサ及び複数のフラグ部を設け、より細かく段階的に下降させるように構成してもよい。つまり、下積載トレイ137に積載されるシートの積載量が増えるほどトレイパドル301を下降させるようにしてもよい。
また、本実施形態においては、積載トレイ位置検知部を用いて積載トレイのシート積載高さ方向の位置に基づいてシートの積載量を検知したが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、束排出ローラ対130から排出されたシートの枚数をカウントするシートカウント部を設け、シートカウント部によりカウントされたシートの枚数に基づいて、上述の制御を行うように構成してもよい。また、エンコーダ520のオン、オフと下トレイ位置検知センサS13とによりトレイの下降量を検出し、小刻みにトレイパドル301の移送位置を下げるよう制御してもよい。つまり、下積載トレイ137に積載されるシートの積載量が増えるほどトレイパドル301を下降させるようにしてもよい。
また、本実施形態においては、下積載トレイ137に積載されたシートを用いて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。上積載トレイ136を下積載トレイと同様に構成して、上積載トレイ136に積載されたシートに上述と同様の制御を行うように構成してもよい。
また、本実施形態においては、フィニッシャ制御部618をフィニッシャ100に搭載させ、オンライン接続された複写機600に搭載されたCPU回路部610でフィニッシャ制御部618を制御する構成としたが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、フィニッシャ制御部618をCPU回路部610と一体的に複写機600に搭載させ、複写機600側からフィニッシャ100を制御する構成であってもよい。
また、本実施形態においては、A4、LTRサイズのような排出方向に短いシート(以下ハーフサイズ)を主体に説明したが、A3、LDRのような長いシート(ラージサイズ)においても実施することができる。ラージサイズで行う場合は、サイズが大きい分だけ戻し力はハーフサイズよりも大きい方がよいので、同じ第1移送位置でもハーフサイズの位置よりも下げる方が望ましい。例えば、ハーフサイズの第1移送位置、ラージサイズの第1移送位置、ハーフサイズの第2移送位置、ラージサイズの第2移送位置という順に下げて強く戻すのが望ましい。