JP2014137988A - 二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱層を有する扁平形状の捲回電極体を用いる構成において、捲回電極体の捲き緩みを原因とする生産効率の低下を回避し得る二次電池を提供すること。
【解決手段】本発明により、扁平形状の捲回電極体が電池ケース内に収容されてなる二次電池が提供される。この二次電池では、前記捲回電極体は、正極シートと、負極シートと、該正負極シートの間に配置されたセパレータシートと、を備える。また、前記正極シートおよび前記負極シートの少なくとも一方と前記セパレータシートとの間には、耐熱層が配置されている。そして、前記耐熱層は、フィラーと、アクリル系バインダと、ロジンエステル系粘着付与剤と、を含む。
【選択図】図5

Description

本発明は二次電池に関する。詳しくは車両搭載用電源に適用可能な二次電池に関する。
リチウム二次電池やニッケル水素電池等の二次電池は、電気を駆動源とする車両搭載用電源、あるいはパソコンおよび携帯端末その他の電気製品等に搭載される電源として好ましく用いられている。このような二次電池のなかには、高温状態における内部短絡の防止等を目的として正負極間に耐熱層が設けられているものがある。この種の従来技術として特許文献1および2が挙げられる。
特開2005−302634号公報 特開2007−027100号公報
上記のように耐熱層を有する二次電池において、扁平形状の捲回電極体を用いるものは、所定の形状を有する電極体となるように成形した後に、捲回状態に緩みが生じることがある。この現象を、以下、捲き緩み(スプリングバック)という。巻き緩みの程度が大きいと、例えば、そのままの状態では捲回電極体を電池ケース内に収容しにくい、集電端子接続作業がしにくい等の不都合が発生することがある。このような不都合が生じた場合、再成形や成形後の形状保持工程等の追加工程が必要となり、生産効率が低下する虞がある。
本発明は、上述の問題に鑑みて創出されたものであり、その目的は、耐熱層を有する扁平形状の捲回電極体を用いる構成において、捲回電極体の捲き緩みを原因とする生産効率の低下を回避し得る二次電池を提供することである。
上記の目的を達成するため、本発明により、扁平形状の捲回電極体が電池ケース内に収容されてなる二次電池が提供される。この二次電池では、前記捲回電極体は、正極シートと、負極シートと、該正負極シートの間に配置されたセパレータシートと、を備える。また、前記正極シートおよび前記負極シートの少なくとも一方と前記セパレータシートとの間には、耐熱層が配置されている。そして、前記耐熱層は、フィラーと、アクリル系バインダと、ロジンエステル系粘着付与剤と、を含む。
かかる構成によると、耐熱層は、アクリル系バインダとロジンエステル系粘着付与剤とを含むので、良好な接着性(典型的には初期タック、接着強度)を有することとなり、耐熱層が、正負の電極シートおよび/またはセパレータシートと良好に接着する。これにより、耐熱層と、電極シートおよび/またはセパレータシートとが離れることに起因する捲き緩みが抑制されて、上記捲き緩みを原因とする生産効率の低下が回避され得る。すなわち、本発明によると生産性に優れた二次電池が提供される。
ここに開示される二次電池の好適な一態様では、前記耐熱層における前記ロジンエステル系粘着付与剤の含有量は、前記アクリル系バインダと前記ロジンエステル系粘着付与剤の合計量100質量部に対して5〜20質量部である。ロジンエステル系粘着付与剤の含有量を上記の範囲とすることで、耐熱層がより優れた接着性を発揮する。これにより、捲回電極体の捲き緩みが好適に抑制される。
ここに開示される二次電池の好適な一態様では、前記ロジンエステル系粘着付与剤の軟化点は85℃以上120℃以下である。このようなロジンエステル系粘着付与剤を用いることで、良好な電池性能を実現しつつ、優れた初期タックが耐熱層に付与され、捲回電極体の捲き緩みが好適に抑制される。
ここに開示される二次電池の好適な一態様では、前記フィラーは無機フィラーである。無機フィラーを含む耐熱層は、その性質(剛性、低接着性等)ゆえ電極シートおよび/またはセパレータシートと離れやすく、捲き緩みが生じやすい傾向がある。このような電池に対して本発明の構成を適用して耐熱層の接着性を向上させることで、捲回電極体の捲き緩みが効果的に抑制される。
ここに開示される二次電池の好適な一態様では、前記捲回電極体は、扁平部の厚さが10mm以上である。このように捲回量(あるいは捲回数としても把握され得る。)の大きい捲回電極体において、捲き緩みは生じやすい傾向がある。このような電池に対して本発明の構成を適用して耐熱層の接着性を向上させることで、捲回電極体の捲き緩みが効果的に抑制される。
また、本発明によると、二次電池を製造する方法が提供される。この製造方法は:正極シートと負極シートとセパレータシートとを用意すること;前記正極シートと前記負極シートとの間に前記セパレータシートを配置して捲回することにより捲回電極体を作製すること;前記作製した捲回電極体をプレスして扁平形状に成形すること;および前記扁平形状に成形した捲回電極体を電池ケース内に収容すること;を包含する。また、前記捲回電極体の作製において、前記正極シートおよび前記負極シートの少なくとも一方と前記セパレータシートとの間に耐熱層を配置することをさらに包含する。そして、前記耐熱層は、フィラーと、アクリル系バインダと、ロジンエステル系粘着付与剤と、を含む。このような工程を含む製造方法によると、耐熱層に良好な接着性が付与されることで、耐熱層と電極シートおよび/またはセパレータシートとが離れることに起因する捲き緩みが抑制される。その結果、上記捲き緩みを原因とする生産効率の低下が回避され得る。
ここに開示される二次電池は、捲回電極体作製後の捲き緩みが抑制されている。上記捲き緩みはより大型の電池で起こりやすいことを考慮すると、より大型の電池が適用され得る車両の駆動電源(例えば、ハイブリッド自動車(HV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等の車両の駆動電源)として好適に利用され得る。本発明によると、ここに開示されるいずれかの二次電池(複数の電池が接続された組電池の形態であり得る。)を搭載した車両が提供される。
一実施形態に係るリチウム二次電池の構成を模式的に示す斜視図である。 図1のII−II線における断面図である。 一実施形態に係る電極体を捲回して作製する状態を模式的に示す斜視図である。 図2の捲回電極体の捲回軸に直交する断面を模式的に示す図である。 図2の捲回電極体の正負極間の一部を拡大して示す模式断面図である。 一実施形態に係るリチウム二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による一実施形態を説明する。なお、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、正極および負極を備えた電極体の構成および製法、セパレータの構成および製法、電池(ケース)の形状等、電池の構築に係る一般的技術等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
ここに開示される二次電池に係る好適な実施形態として、リチウム二次電池を例にして説明するが、本発明の適用対象を当該電池に限定することを意図したものではない。例えば、リチウムイオン(Liイオン)以外の金属イオン(例えばナトリウムイオン)を電荷担体とする非水電解質二次電池に本発明を適用することも可能である。なお、本発明の適用対象は、扁平形状を有する捲回電極体を用いる電池であればよく、非水電解質二次電池に限定されるものでもない。また、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な電池一般をいい、リチウム二次電池等の蓄電池(すなわち化学電池)のほか、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(すなわち物理電池)を包含する。また、本明細書において「リチウム二次電池」とは、電解質イオンとしてLiイオンを利用し、正負極間におけるLiイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。一般にリチウムイオン二次電池と称される電池は、本明細書におけるリチウム二次電池に包含される典型例である。
図1,2に示すように、リチウム二次電池100は、箱状の電池ケース10と、電池ケース10内に収容される捲回電極体20とを備える。電池ケース10は上面に開口部12を有している。この開口部12は、捲回電極体20を開口部12から電池ケース10内に収容した後、蓋体14によって封止される。電池ケース10内にはまた、非水電解液25が収容されている。蓋体14には、外部接続用の外部正極端子38と外部負極端子48とが設けられており、それら端子38,48の一部は蓋体14の表面側に突出している。また、外部正極端子38の一部は電池ケース10内部で内部正極端子37に接続されており、外部負極端子48の一部は電池ケース10内部で内部負極端子47に接続されている。なお、電池ケースは、所定以上の剛性を有する金属(アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼等)製の部材であることが好ましい。好適例としては、厚さ0.3mm以上(例えば0.3〜3mm、典型的には0.5〜2mm)の軽金属製(例えばアルミニウム製)電池ケースが挙げられる。
図3に示すように、捲回電極体20は、長尺シート状の正極(正極シート)30と、長尺シート状の負極(負極シート)40とを備える。正極シート30は、長尺状の正極集電体32とその少なくとも一方の表面(典型的には両面)に形成された正極活物質層34とを備える。負極シート40は、長尺状の負極集電体42とその少なくとも一方の表面(典型的には両面)に形成された負極活物質層44とを備える。捲回電極体20はまた、長尺シート状の2枚のセパレータ(セパレータシート)50A,50Bを備える。正極シート30および負極シート40は、2枚のセパレータシート50A,50Bを介して積層されている。具体的には、正極シート30、セパレータシート50A、負極シート40、セパレータシート50Bの順に積層されている。該積層体は、長尺方向に捲回されることによって捲回体とされ、さらにこの捲回体を側面方向からプレスして拉げさせることによって扁平形状に成形されている。得られた扁平形状の捲回電極体20は、例えば図4に示すように、捲回軸に直交する断面において、略角丸長方形状を有しており、中央側に位置する扁平部21と、扁平部21の両側に位置する半円形状のR部22とを有する。なお、プレス前の捲回体の形状は特に限定されず、その断面において円形状、楕円形状、矩形状等であり得る。
捲回電極体20の幅方向(捲回方向に直交する方向)の中心部には、正極集電体32の表面に形成された正極活物質層34と、負極集電体42の表面に形成された負極活物質層44とが重なり合って密に積層された部分が形成されている。また、正極シート30の幅方向の一方の端部には、正極活物質層34が形成されずに正極集電体32が露出した部分(正極活物質層非形成部36)が設けられている。この正極活物質層非形成部36は、セパレータシート50A,50Bおよび負極シート40からはみ出た状態となっている。すなわち、捲回電極体20の幅方向の一端には、正極集電体32の正極活物質層非形成部36が重なり合った正極集電体積層部35が形成されている。また、捲回電極体20の幅方向の他端にも、上記一端の正極シート30の場合と同様に、負極集電体42の負極活物質層非形成部46が重なり合った負極集電体積層部45が形成されている。なお、セパレータシート50A,50Bは、正極活物質層34および負極活物質層44の積層部分の幅より大きく、捲回電極体20の幅より小さい幅を有する。これを正極活物質層34および負極活物質層44の積層部分に挟むように配することで、正極活物質層34および負極活物質層44が互いに接触して内部短絡が生じることを防いでいる。
セパレータシート50Aは多孔質の樹脂層から構成されており、図5に示すように、セパレータシート50Aの正極シート30側表面(典型的には活物質層に対向する表面)には耐熱層51が形成されている。耐熱層51はセパレータシート50Aの表面全体に、すなわちセパレータシート50Aの長手方向(捲回方向)および幅方向の全体に亘って形成されている。
なお、耐熱層は、正極シートおよび負極シートの少なくとも一方とセパレータシートとの間に配置されていればよく、セパレータシート上に形成されたものに限定されない。例えば、正極シートおよび負極シートの少なくとも一方の表面に耐熱層を形成してもよい。さらに、正負の電極シート間に2層以上の耐熱層が配置されていてもよい。その典型例としては、セパレータシートの両面に耐熱層が形成されたものが挙げられる。その場合、複数の耐熱層の構成(例えば組成や厚さ)は同じであってもよく異なっていてもよい。セパレータシート50Bの構成もセパレータシート50Aと基本的に同じであるため、説明は繰り返さない。
次に、上述のリチウム二次電池を構成する各構成要素について説明する。リチウム二次電池の正極(正極シート)を構成する正極集電体としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。そのような導電性部材としては、例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金を用いることができる。正極集電体の形状は、シート状、箔状、メッシュ状等の形態であり得る。正極集電体の厚さは特に限定されず、例えば5〜30μmとすることができる。正極活物質層は、正極活物質の他、必要に応じて導電材、結着剤(バインダ)等の添加材を含有し得る。
正極活物質としては、リチウム(Li)および少なくとも1種の遷移金属元素(好ましくはニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種)を含むリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。上記複合酸化物としては、例えば、上記遷移金属元素を1種含むいわゆる一元系リチウム遷移金属複合酸化物、上記遷移金属元素を2種含むいわゆる二元系リチウム遷移金属複合酸化物、遷移金属元素としてNi、CoおよびMnを構成元素として含むいわゆる三元系リチウム遷移金属複合酸化物、固溶型のリチウム過剰遷移金属複合酸化物が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、正極活物質として、一般式がLiMAO(ここでMは、Fe,Co,NiおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Aは、P,Si,SおよびVからなる群から選択される元素である。)で表されるポリアニオン型化合物も好ましく用いられる。なかでも、遷移金属元素としてNi、CoおよびMnを構成元素として含む三元系リチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。この三元系リチウム遷移金属複合酸化物の典型例としては、一般式:
Li(LiNiCoMn)O
(上記一般式中のa、x、y、zはa+x+y+z=1を満足する実数);で表される三元系リチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。
また、正極活物質は、Al,Cr,V,Mg,Ca,Ti,Zr,Nb,Mo,Cu,Zn,Ga,In,Sn,La,WおよびCeからなる群から選択される1種または2種以上の金属元素がさらに添加されたものであってもよい。これらの金属元素の添加量(配合量)は特に限定されないが、0.01〜5質量%(例えば0.05〜2質量%、典型的には0.1〜0.8質量%)とするのが適当である。
導電材としては、カーボン粉末やカーボンファイバー等の導電性粉末材料が好ましく用いられる。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック、例えばアセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、グラファイト粉末が好ましい。また、炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル等の金属粉末類およびポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料等を、1種を単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。
結着剤としては、各種のポリマー材料が挙げられる。例えば、水系の組成物(活物質粒子の分散媒として水または水を主成分とする混合溶媒を用いた組成物)を用いて正極活物質層を形成する場合には、水溶性または水分散性のポリマー材料を結着剤として好ましく採用し得る。水溶性または水分散性のポリマー材料としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂;酢酸ビニル重合体;スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等のゴム類;が例示される。
あるいは、溶剤系の組成物(活物質粒子の分散媒が主として有機溶媒である組成物)を用いて正極活物質層を形成する場合には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)等のハロゲン化ビニル樹脂;ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイド;等のポリマー材料を用いることができる。このような結着剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、上記で例示したポリマー材料は、結着剤として用いられる他に増粘剤その他の添加剤として使用されることもあり得る。
正極活物質層に占める正極活物質の割合は、凡そ50質量%を超え、例えば70〜97質量%(典型的には75〜95質量%)であることが好ましい。また、正極活物質層に占める添加材の割合は特に限定されないが、導電材の割合は、正極活物質100質量部に対して凡そ1〜20質量部(例えば2〜10質量部、典型的には3〜7質量部)とすることが好ましい。結着剤の割合は、正極活物質100質量部に対して凡そ0.8〜10質量部(例えば1〜7質量部、典型的には2〜5質量部)とすることが好ましい。
正極シートの作製方法は特に限定されず、従来の方法を適宜採用することができる。例えば以下の方法によって作製することができる。まず、正極活物質、必要に応じて導電材、結着剤等を適当な溶媒(水系溶媒、非水系溶媒またはこれらの混合溶媒)で混合してペースト状またはスラリー状の正極活物質層形成用組成物を調製する。混合操作は、例えば適当な混練機(プラネタリーミキサー、ホモディスパー、クレアミックス、フィルミックス等)を用いて行うことができる。上記組成物を調製するために用いられる溶媒としては、水系溶媒および非水系溶媒のいずれも使用可能である。水系溶媒は全体として水性を示すものであればよく、水または水を主体とする混合溶媒を好ましく用いることができる。非水系溶媒の好適例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン、トルエン等が例示される。
こうして調製した上記組成物を正極集電体に塗付し、乾燥により溶媒を揮発させた後、必要に応じて圧縮(プレス)する。正極集電体に上記組成物を塗付する方法としては、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、スリットコーター、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の適当な塗付装置を使用することにより、正極集電体に該組成物を好適に塗付することができる。また、溶媒を乾燥するにあたっては、自然乾燥、熱風、低湿風、真空、赤外線、遠赤外線および電子線を、単独でまたは組み合わせて用いることにより良好に乾燥し得る。さらに、圧縮方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧縮方法を採用することができる。厚さを調整するにあたり、膜厚測定器で該厚さを測定し、プレス圧を調整して所望の厚さになるまで複数回圧縮してもよい。このようにして正極活物質層が正極集電体上に形成された正極シートが得られる。
正極集電体上への正極活物質層の単位面積当たりの目付量(正極活物質層形成用組成物の固形分換算の塗付量)は特に限定されるものではないが、充分な導電経路(導電パス)を確保する観点から、正極集電体の片面当たり3mg/cm以上(例えば6mg/cm以上、典型的には12mg/cm以上)であり、45mg/cm以下(例えば28mg/cm以下、典型的には22mg/cm以下)とすることが好ましい。正極活物質層の密度も特に限定されないが、電池性能や対向する部材(例えばセパレータシート、耐熱層)との接着性等を考慮して、1.0g/cm以上(例えば1.5g/cm以上、典型的には2.0g/cm以上)、3.8g/cm以下(例えば3.5g/cm以下、典型的には3.0g/cm以下)とすることが好ましい。正極活物質層の多孔度(空孔率)も特に限定されず、上記密度と同様の観点から、20%以上(例えば25%以上、典型的には35%以上)とすることが適当であり、60%以下(例えば50%以下、典型的には40%以下)程度とすることが好ましい。上記多孔度は、正極活物質層の見かけの体積、質量、真密度から算出したものを採用すればよい。正極活物質層の密度や多孔度は、構成成分の組成、塗付方法、乾燥方法、圧縮方法等により調整し得る。正極活物質層の密度および多孔度の少なくとも一つ(好ましくは両方)が上記の範囲となるように正極シートを作製することが好ましい。
負極(負極シート)を構成する負極集電体としては、従来のリチウム二次電池と同様に、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。そのような導電性部材としては、例えば銅または銅を主成分とする合金を用いることができる。負極集電体の形状は、シート状、箔状、メッシュ状等の形態であり得る。負極集電体の厚さは特に限定されず、例えば5〜30μm程度とすることができる。
負極活物質層には、電荷担体となるLiイオンを吸蔵および放出可能な負極活物質が含まれる。負極活物質の組成や形状に特に制限はなく、従来からリチウム二次電池に用いられる物質の1種または2種以上を使用することができる。そのような負極活物質としては、例えばリチウム二次電池で一般的に用いられる炭素材料が挙げられる。上記炭素材料の代表例としては、グラファイトカーボン(黒鉛)、アモルファスカーボン等が挙げられる。少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が好ましく用いられる。なかでも天然黒鉛を主成分とする炭素材料の使用が好ましい。上記天然黒鉛は鱗片状の黒鉛を球形化したものであり得る。また、黒鉛の表面にアモルファスカーボンがコートされた炭素質粉末を用いてもよい。その他、負極活物質として、チタン酸リチウム等の酸化物、ケイ素材料、スズ材料等の単体、合金、化合物、上記材料を併用した複合材料を用いることも可能である。負極活物質として金属リチウムを用いてもよい。負極活物質層に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%を超え、凡そ90〜99質量%(例えば95〜99質量%、典型的には97〜99質量%)であることが好ましい。
負極活物質層は、負極活物質の他に、一般的なリチウム二次電池の負極活物質層に配合され得る1種または2種以上の結着剤や増粘剤その他の添加剤を必要に応じて含有することができる。結着剤としては各種のポリマー材料が挙げられる。例えば、水系の組成物または溶剤系の組成物に対して、正極活物質層に含有され得るものを好ましく用いることができる。そのような結着剤は、結着剤として用いられる他に増粘剤その他の添加剤として使用されることもあり得る。負極活物質層に占めるこれら添加剤の割合は特に限定されないが、凡そ0.8〜10質量%(例えば凡そ1〜5質量%、典型的には1〜3質量%)であることが好ましい。
負極シートの作製方法は特に限定されず、従来の方法を採用することができる。例えば以下の方法によって作製することができる。まず、負極活物質を結着剤等とともに上記適当な溶媒(水系溶媒、有機溶媒またはこれらの混合溶媒)で混合して、ペースト状またはスラリー状の負極活物質層形成用組成物を調製する。こうして調製した上記組成物を負極集電体に塗付し、乾燥により溶媒を揮発させた後、必要に応じて圧縮(プレス)する。このようにして負極活物質層が負極集電体上に形成された負極シートを得ることができる。なお、混合、塗付、乾燥および圧縮方法は、上述の正極シートの作製と同様の手段を採用することができる。
負極集電体上への負極活物質層の単位面積当たりの目付量(負極活物質層形成用組成物の固形分換算の塗付量)は特に限定されるものではないが、充分な導電経路(伝導パス)を確保する観点から、負極集電体の片面当たり2mg/cm以上(例えば3mg/cm以上、典型的には4mg/cm以上)であり、40mg/cm以下(例えば22mg/cm以下、典型的には10mg/cm以下)とすることが好ましい。負極活物質層の密度も特に限定されないが、電池性能や対向する部材(例えばセパレータシート、耐熱層)との接着性等を考慮して、1.0g/cm以上(例えば1.2g/cm以上、典型的には1.3g/cm以上)、3.0g/cm以下(例えば2.0g/cm以下、典型的には1.5g/cm以下)とすることが好ましい。負極活物質層の多孔度(空孔率)も特に限定されず、上記密度と同様の観点から、20%以上(例えば25%以上、典型的には35%以上)とすることが適当であり、55%以下(例えば50%以下、典型的には40%以下)程度とすることが好ましい。なお、負極活物質層の多孔度は正極活物質層の多孔度と同様の手法により算出すればよい。また、負極活物質層の密度や多孔度は、構成成分の組成、塗付方法、乾燥方法、圧縮方法等により調整し得る。負極活物質層の密度および多孔度の少なくとも一つ(好ましくは両方)が上記の範囲となるように負極シートを作製することが好ましい。
正極シートと負極シートとを隔てるように配置されるセパレータ(セパレータシート)は、正極活物質層と負極活物質層とを絶縁するとともに、電解質の移動を許容する部材であればよい。上記セパレータシートとしては、従来のリチウム二次電池におけるセパレータシートと同様のものを用いることができる。そのような部材としては、例えば、多孔質体や不織布状体、布状体等が挙げられる。なかでも、樹脂からなる多孔性シート(多孔性樹脂シート)を好ましく用いることができる。
上記多孔性樹脂シートの好適例としては、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を主体に構成されたシートが挙げられる。一好適例として、1種または2種以上のポリオレフィン系樹脂を主体に構成された単層または多層構造のシート(ポリオレフィン系シート)が挙げられる。例えば、PEシート、PPシート、PE層の両側にPP層が積層された3層構造(PP/PE/PP構造)のシート等を好適に使用し得る。上記PEは、一般に高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)と称されるいずれのポリエチレンであってもよく、これらの混合物であってもよい。また、上記セパレータシートは、必要に応じて、各種可塑剤、酸化防止剤等の添加剤を含有することもできる。
セパレータシートの多孔度(空孔率)は、概ね20〜70%程度であることが好ましく、例えば30〜60%程度であることがより好ましい。セパレータシートの多孔度が大きすぎると、強度が不足したり、熱収縮が著しくなったりすることがあり得る。一方、上記多孔度が小さすぎると、セパレータシートに保持可能な電解液量が少なくなり、イオン通過性が低下して、充放電特性が低下傾向となることがあり得る。なお、セパレータシートの多孔度は以下の方法により算出することができる。単位面積(表面積)のセパレータシートが占める見かけの体積をV1[cm]とし、上記単位面積のセパレータシートの質量をW[g]とする。この質量Wと上記セパレータシートを構成する樹脂材料の真密度ρ[g/cm]との比、すなわちW/ρをV0とする。なお、V0は質量Wの樹脂材料の緻密体が占める体積である。セパレータシートの多孔度は、[(V1−V0)/V1]×100から算出することができる。セパレータシートの多孔度は樹脂の材質、延伸強度等により調整し得る。
セパレータシートの厚さは特に限定されるものではないが、5〜40μm(例えば10〜30μm、典型的には15〜25μm)程度が好ましい。セパレータシートの厚さが上記の範囲内であることにより、セパレータシートのイオン通過性がより良好となり、また、破膜がより生じにくくなる。
正負の電極シートの間にはまた、耐熱層が配置されている。この耐熱層は、無機フィラーや有機フィラー等のフィラーを含むものであり得る。典型例としては、フィラーを主成分として含む耐熱層が挙げられる。なお、本明細書において「主成分」とは、配合成分のなかで配合割合(質量基準)の最も大きい成分を指し、典型的には、配合割合が50質量%以上の成分であり得る。上記耐熱層に含まれ得るフィラーは、有機フィラー、無機フィラー、有機フィラーと無機フィラーの併用のいずれであってもよいが、耐熱性や分散性、安定性を考慮すると、無機フィラーを用いることが好ましい。また一般的に、無機フィラーを主成分とする耐熱層は、その性質(剛性、低接着性等)ゆえ成形後に元の形状に戻ろうとする傾向があり、該耐熱層に起因する捲き緩みが生じやすい傾向がある。したがって、ここに開示される技術における耐熱層の捲き緩み抑制作用は、無機フィラーを主成分とする耐熱層において好適に発揮され得る。
無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば金属酸化物、金属水酸化物等が挙げられる。具体的には、アルミナ、ベーマイト、シリカ、チタニア、ジルコニア、カルシア、マグネシア、酸化鉄等の無機酸化物、窒化アルミニウム等の無機窒化物、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム等の硫酸塩、塩化マグネシウム等の塩化物、フッ化バリウム等のフッ化物、シリコン等の共有結合性結晶、タルク、クレー、マイカ、ベントナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、セリサイト等の鉱物系材料あるいはこれらの人造物等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、電気化学的安定性が高く、耐熱性および機械的強度にも優れるという理由から、アルミナ、ベーマイト、シリカ、チタニア、ジルコニア、カルシア、マグネシアが好ましく、ベーマイト、アルミナ、チタニアが特に好ましい。
有機フィラーとしては、例えば、アラミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド等の高耐熱性樹脂粒子が挙げられる。
また、無機フィラーと有機フィラーとを併用する場合、その配合比(無機フィラー:有機フィラー)は特に限定されないが、質量基準で、10:90〜90:10(例えば20:80〜70:30、典型的には30:70〜60:40)とすることが好ましい。
フィラーの形態は特に限定されず、例えば粒子状、繊維状、板状(フレーク状)等であり得る。フィラーの平均粒径は特に限定されないが、分散性等を考慮して0.1〜15μm(例えば0.1〜5μm、典型的には0.2〜1.5μm)とするのが適当である。フィラーの平均粒径としては、レーザー散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布から導き出せるメジアン径(平均粒径D50:50%体積平均粒径)を採用することができる。
耐熱層全体に占めるフィラー(例えば無機フィラー)の割合は特に限定されないが、凡そ50質量%以上(例えば70〜99.5質量%、典型的には90〜99質量%)であることが好ましい。フィラーの割合が上記の範囲内であることにより、所望の耐熱効果を発揮することができ、耐熱層の投錨性や耐熱層自体の強度(保形性)が向上する。また、耐熱層をセパレータシート上に形成する場合には、セパレータシートの強度や伸び率を好適な範囲に調整しやすい。
ここに開示される技術における耐熱層は、結着剤としてアクリル系バインダを含む。アクリル系バインダは、典型的にはアクリル系樹脂からなる。特に限定されないが、水系の溶媒に分散または溶解するポリマー(水分散性または水溶性ポリマー)であることが好ましい。アクリル系樹脂としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート(好ましくはアルキル基の炭素原子数が1〜14(典型的には2〜10)のアルキル(メタ)アクリレート)を主成分とするモノマー成分を重合したアクリル系樹脂が挙げられる。アクリル系樹脂の重合に用いられるモノマー成分には、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有ビニルモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニルモノマー、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含有ビニルモノマー等の公知のモノマーが含まれていてもよい。それらモノマーの配合割合は特に限定されないが、全モノマー成分の50質量%未満(例えば30質量%以下、典型的には10質量%以下)であり得る。アクリル系樹脂はモノマーを1種類で重合した単独重合体、モノマーの2種以上を重合した共重合体、上記単独重合体および共重合体の2種類以上を混合したもののいずれであってもよい。また、アクリル系樹脂は、その一部が変性された変性アクリル系樹脂であってもよい。
耐熱層全体に占めるアクリル系バインダの割合は特に限定されないが、凡そ15質量%以下(例えば0.5〜10質量%、典型的には1〜8質量%)とすることが好ましい。アクリル系バインダの割合が上記の範囲内であることにより、耐熱層の投錨性や耐熱層自体の強度(保形性)が向上する。なお、耐熱層はまた、アクリル系バインダ以外の従来公知の結着剤(増粘剤としても把握され得る。)の1種または2種以上を含有してもよい。アクリル系バインダ以外の結着剤の割合は、後述する捲き緩み抑制作用を阻害しない範囲において特に限定されない。例えば、アクリル系バインダの配合量の30質量%以下(典型的には10質量%以下)程度であり得る。耐熱層は、実質的にアクリル系バインダ以外の結着剤を含まないことが好ましい。
ここに開示される技術における耐熱層は、ロジン系粘着付与剤を含有することを特徴とする。ロジン系粘着付与剤としては、例えばロジンエステル樹脂やロジンフェノール樹脂からなる粘着付与剤が挙げられる。一般に、粘着付与剤はバインダより分子量が小さく、粘着付与剤単体では良好な粘着性を発揮しないが、バインダと相溶することで可塑化し、良好な粘着性を発揮し得る成分である。そのような粘着付与剤としては、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、スチレン樹脂等が挙げられるが、種々の粘着付与剤のなかで、ここに開示される技術における耐熱層にはロジン系粘着付与剤を選択して使用する。なかでも、ロジンエステル系粘着付与剤を選択して使用することが好ましい。ロジン系樹脂(好適にはロジンエステル樹脂)は、結着剤として用いられるアクリル系バインダとの相溶性に優れるため、アクリル系バインダと併用することで良好な接着性を発揮する。したがって、ロジン系粘着付与剤(好適にはロジンエステル系粘着付与剤)を添加することにより、電池性能を低下させることなく、耐熱層に良好な接着性(典型的には初期タック、接着強度)が付与され、捲回電極体の捲き緩みを抑制することができる。なお、相溶性の観点から、アクリル系バインダが水分散性または水溶性である場合、併用して用いられる粘着付与剤もエマルションの形態であることが好ましい。
上記粘着付与剤の軟化点は特に限定されないが、軟化点が低すぎると電池が高温状態になったときに軟化して電池性能を劣化させることが懸念される。また、所望の接着強度が得られない虞がある。良好な電池性能を実現する観点から、上記軟化点は80℃以上(例えば85℃以上、典型的には90℃以上)であることが好ましい。また、軟化点が高すぎると初期タックが不足して捲き緩みを有効に抑制できない虞がある。優れた初期タックを付与する観点から、上記軟化点は140℃以下(例えば130℃以下、典型的には120℃以下)であることが好ましい。
ロジン系粘着付与剤の市販品としては、荒川化学工業(株)製の「スーパーエステルシリーズ」や「ペンセルシリーズ」、「タマノルシリーズ」、ハリマ化成(株)製の「ハリエスターシリーズ」や「ネオトールシリーズ」、「ハリタックシリーズ」等が挙げられるが、これらに限定されない。このような粘着付与剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
耐熱層における上記粘着付与剤の含有量(配合割合)は特に限定されないが、固形分基準で、アクリル系バインダとロジン系粘着付与剤(好適にはロジンエステル系粘着付与剤)の合計量100質量部に対して凡そ1〜30質量部とすることが適当である。ロジン系粘着付与剤(好適にはロジンエステル系粘着付与剤)の含有量は、アクリル系バインダとロジン系粘着付与剤(好適にはロジンエステル系粘着付与剤)の合計量100質量部に対して3質量部以上(例えば4質量部以上、典型的には5質量部以上)とすることが好ましく、25質量部以下(例えば22質量部以下、典型的には20質量部以下)とすることが好ましい。上記粘着付与剤の含有量を上記の範囲とすることで、耐熱層により優れた接着性が付与されて、捲回電極体の捲き緩みが好適に抑制される。なお、耐熱層は、ロジン系粘着付与剤の作用を阻害しない範囲でロジン系粘着付与剤以外の粘着付与剤を含んでもよいが、その配合割合はロジン系粘着付与剤より少ないことが好ましく、耐熱層中に0.1質量部以下とすることがより好ましい。耐熱層はロジン系粘着付与剤以外の粘着付与剤を実質的に含まないことが特に好ましい。
耐熱層の多孔度(空孔率)は特に限定されないが、電池性能や対向する部材(例えば電極シート、セパレータシート)との接着性等を考慮して、40%以上(例えば45%以上、典型的には50%以上)とすることが適当であり、70%以下(例えば65%以下、典型的には60%以下)程度とすることが好ましい。上記多孔度は、セパレータシートの多孔度の算出方法を適宜準用して求めることができる。耐熱層の多孔度は、構成成分の組成、塗付方法、乾燥方法、圧縮方法等により調整し得る。
耐熱層の厚さは特に限定されないが、凡そ1〜12μm(例えば2〜10μm、典型的には3〜8μm)であることが好ましい。耐熱層の厚さが上記の範囲内であることにより、充分な短絡防止効果が得られ、かつ、ここに開示される耐熱層の接着性が好適に発揮され得る。また、セパレータシート上に耐熱層を設ける場合には、セパレータシートの強度や伸び率を好適な範囲に調整しやすい。耐熱層の厚さは、SEM(Scanning Electron Microscope)により撮影した画像を解析することにより求めることができる。
ここに開示される技術における耐熱層の形成方法は特に限定されず、例えば以下の方法が採用される。まず、上述のフィラー、アクリル系バインダ、粘着付与剤を適当な溶媒中に混合、分散させ、ペースト状(またはスラリー状)の耐熱層形成用組成物を調製する。混合、分散操作は、ディスパーミル、クレアミックス、フィルミックス、ボールミル、ホモディスパー、超音波分散機等の適当な混練機を用いて行うことができる。得られたペースト状(またはスラリー状)の耐熱層形成用組成物におけるフィラー、アクリル系バインダ、粘着付与剤の配合割合は、固形分換算において上述した耐熱層に占める各成分の割合と同じとすることができる。
耐熱層形成用組成物に用いられる溶媒としては、水または水を主体とする混合溶媒が好ましい。混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(エタノール等の低級アルコール、低級ケトン等)の1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。あるいは、N‐メチル−2−ピロリドン(NMP)、ピロリドン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクサヘキサノン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の有機系溶媒の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。耐熱層形成用組成物における溶媒の含有率は特に限定されないが、組成物全体の30〜90質量%(例えば40〜60質量%)であり得る。
次いで、得られたペースト状(またはスラリー状)の耐熱層形成用組成物を、セパレータシート、正極シートおよび負極シートのうちの少なくとも1つのシートの表面に適当量塗付し、さらに乾燥することによって、耐熱層を形成することができる。耐熱層形成用組成物を塗付する操作は、従来の一般的な塗付手段を特に限定することなく使用することができる。例えば、適当な塗付装置(グラビアコーター、スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、ディップコート等)を使用して、塗付対象部材の表面に所定量の上記耐熱層形成用組成物を均一な厚さに塗付する。その後、適当な乾燥手段で塗付物を乾燥することによって、耐熱層形成用組成物中の溶媒を除去する。上記の乾燥は、例えば、セパレータシート上に耐熱層を形成する場合、セパレータシートを構成する材料の融点よりも低い温度、例えば110℃以下(典型的には30〜80℃)で行われ得る。あるいは低温減圧下に保持して乾燥させてもよい。このようにして耐熱層が形成され得る。
ここに開示される技術における耐熱層は、正極シートおよび負極シートの少なくとも一方とセパレータシートとの間に配置されていることが好ましい。この配置では、耐熱層は、正負の電極シートの少なくとも一方とセパレータシートと接触した状態であり得るため、耐熱層の接着性を利用して、耐熱層と正負の電極シートおよび/またはセパレータシートとが離れることに起因する捲き緩みを好適に抑制することができる。典型的には、耐熱層は、セパレータシート、正極シートおよび負極シートの少なくとも1つの表面(片面または両面)に配置(例えば形成)されていることがより好ましい。また、捲回電極体の捲き緩みは、セパレータシート表面に形成された耐熱層と電極シートとの間に充分な接着状態が得られない場合に発生する傾向が大きいと考えられるため、耐熱層はセパレータシート表面に形成されていることが特に好ましい。これにより、耐熱層は正負の電極シートの少なくとも一方(典型的には正負の活物質層)と対向するように配置されることとなる。耐熱層はセパレータシートの正極側表面、負極側表面のいずれに形成されていてもよい。
ここに開示される技術における扁平形状の捲回電極体は、耐熱層と正負の電極シートおよび/またはセパレータシートとが良好に接着したものであり得るため、捲回電極体の捲き緩みが充分に抑制されている。具体的には、上記捲回電極体は、後述する実施例における方法で測定されるスプリングバック率が0〜15%(例えば0〜10%、典型的には0〜5%)であることが好ましい。上記スプリングバック率は、実質的に0%であることが特に好ましい。
捲回電極体の大きさは特に限定されない。しかし、捲回電極体のサイズが大きいほど、それに比例して捲回量(あるいは捲回数としても把握され得る。)も多くなるため、捲き緩みが生じやすい傾向がある。そのようなことから、扁平部の厚さが10mm以上(例えば12mm以上、典型的には15mm以上)の捲回電極体に本発明の構成を適用することが好ましい。また、同様の理由で、電池サイズ(典型的には電池容量)が大きいほど捲き緩みの発生が懸念される。これを効果的に回避する観点から、定格容量(設計容量)が5Ah以上(例えば10Ah以上、典型的には15Ah以上)の二次電池に本発明の構成を適用することが好ましい。なお、本明細書において「捲回電極体の扁平部の厚さ」とは、扁平形状の捲回電極体の扁平部の最大厚さを指すものとする。具体的には、図4に模式的に示す捲回電極体の断面において、符号Tで示される厚さを指すものとする。
ここに開示される非水電解質を構成する非水溶媒と支持塩としては、従来からリチウム二次電池に用いられるものを特に限定なく使用することができる。上記非水電解質は、典型的には適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する電解液(典型的には、25℃程度の室温において液状を呈する電解質、すなわち電解液)である。
非水溶媒としては、一般的なリチウム二次電池の電解液と同様、各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等を用いることができる。上記カーボネート類とは、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを包含する意味である。また、上記エーテル類とは、環状エーテルおよび鎖状エーテルを包含する意味である。
非水溶媒として使用し得る化合物の具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、これらのフッ素化物(好ましくは、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)のようなフッ素化カーボネート)等が例示される。これらは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。なかでも、EC、DMCおよびEMCの混合溶媒が好ましい。
また、支持塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI等のリチウム化合物(リチウム塩)の1種または2種以上を用いることができる。なお、支持塩の濃度は特に限定されないが、凡そ0.1〜5mol/L(例えば0.5〜3mol/L、典型的には0.8〜1.5mol/L)の濃度とすることができる。
また、非水電解液は、本発明の目的を大きく損なわない限度で、必要に応じて任意の添加剤を含んでもよい。上記添加剤は、例えば、電池の出力性能の向上、保存性の向上(保存中における容量低下の抑制等)、サイクル特性の向上、初期充放電効率の向上等の目的で使用され得る。好ましい添加剤の例として、フルオロリン酸塩(好ましくはジフルオロリン酸塩。例えば、LiPOで表されるジフルオロリン酸リチウム)や、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)等が挙げられる。また例えば、過充電対策で用いられ得るシクロヘキシルベンゼン、ビフェニル等の添加剤が使用されていてもよい。
次に、ここに開示される二次電池の製造方法の好適例として、リチウム二次電池の製造方法について説明するが、本発明の適用対象を当該製造方法に限定することを意図したものではない。この製造方法は、正極シートと負極シートとセパレータシートとを用意すること、正極シートと負極シートとの間にセパレータシートを配置して捲回することにより捲回電極体を作製すること(捲回工程)、作製した捲回電極体をプレスして扁平形状に成形すること(成形工程)、および扁平形状に成形した捲回電極体を電池ケース内に収容すること、を包含する。なお、この製造方法における扁平形状の捲回電極体の作製工程は、少なくとも上述の捲回工程と成形工程とを含むものであり得る。この製造方法は、その他にも、例えば、正極シート、負極シート、セパレータシート、電池ケースを作製すること等の工程を包含し得るが、これらについては従来から用いられている手法を適宜採用して行うことができるので、ここでは特に説明しない。また、捲回電極体の作製一般、二次電池の構築一般についても上記と同様であるので、ここでは特に説明しない。
ここに開示される技術では、上記捲回電極体の作製において、耐熱層を、正極シートおよび負極シートの少なくとも一方とセパレータシートとの間に配置することが好ましい。この耐熱層は、アクリル系バインダとロジン系粘着付与剤とを含むので、良好な接着性を有する。そのため、捲回電極体の捲き緩みを効果的に抑制することができる。例えば、耐熱層を、セパレータシート、正極シートおよび負極シートの少なくとも1つの表面(片面または両面)に形成することにより上記の配置とすることができる。なかでも、セパレータシート表面に耐熱層を形成することが特に好ましい。その組成等については上述のとおりであるので、ここでは特に説明しない。
ここに開示される技術では、正極シートと負極シートとの間にセパレータシートを配置して捲回することにより捲回電極体を作製した後、作製した捲回電極体をプレスすることで扁平形状に成形する。プレス条件は電池サイズ等によって異なり得るため、特に制限はないが、例えば、1つの捲回電極体に対して常温にて側面から凡そ100〜100000kgf(例えば500〜50000kgf、典型的には1000〜10000kgf)で凡そ5〜600秒(例えば10〜300秒)の条件でプレスを行えばよい。
このようにして成形された扁平形状の捲回電極体は、少なくとも扁平部において、正極シート、負極シート、セパレータシートの少なくとも1つと耐熱層とが接触した状態で保持されている。好適には、上記扁平部(典型的にはプレスによって扁平形状となった扁平部)において、正極シートおよび負極シートの一方と耐熱層とが密着したものであり得る。例えば、セパレータシート表面に耐熱層を形成した構成では、セパレータシートと耐熱層とが密着し、耐熱層と対向して接触し得る正負の電極シートと耐熱層とが密着したものとなり得る。このような捲回電極体は、典型的には上述のスプリングバック率を有するものとなり得る。
また、ここに開示される製造方法は、捲回電極体が扁平形状に成形された後、再成形工程や形状保持工程を有しないものであり得る。ここに開示される耐熱層を備える捲回電極体は、耐熱層が良好な接着性を有することから捲き緩みが抑制されている。したがって、捲き緩みが生じた場合に行われ得る再成形工程や形状保持工程を必要としない。ここで再成形工程とは、上述の成形工程と同様の工程(例えば同条件のプレスを行う工程)であり得る。形状保持工程とは、捲き緩みが生じないようにプレス後の形状に保持する工程であり、その条件等については特に限定されない。例えば、凡そ40℃以上(例えば50〜90℃、典型的には60〜80℃)で1時間以上(例えば2〜8時間)、必要に応じて所定のプレス圧を付与することにより上記プレス後の形状に保持する工程であり得る。
その後、扁平形状に成形された捲回電極体を電池ケース内に収容する。ここに開示される耐熱層は良好な接着性を示すことから、捲き緩みが防止または抑制されている。そのため、巻き緩みの程度が大きいことにより捲回電極体を電池ケース内に収容できないというような不都合が生じにくい。また、捲き緩みの程度が大きいと捲回電極体の捲回中心の空隙が小さくなるため、集電端子溶接用の治具が入らず集電端子接続作業に支障を来たす場合があるが、上記耐熱層を適用することにより、そのような不都合が生じにくい。そのため、上記捲き緩みを原因とする生産効率の低下が回避され得る。その前後の適切なタイミング(例えば電極体を電池ケース内に収容した後)で非水電解液を電池ケース内に収容(典型的には注入)し、電池ケース内部を封止することによりリチウム二次電池は構築され得る。
上述のように、ここに開示される技術におけるリチウム二次電池は、捲回電極体作製後の捲き緩みが抑制されているので生産性に優れる。そのため、各種用途向けの電池として好ましく利用され得る。また、上記捲き緩みはより大型の電池で起こりやすいことを考慮すると、上記捲き緩みを抑制する効果は、より大型の電池においてより好適に発揮され得る。そのような理由から、例えば図6に示すように、リチウム二次電池100は、自動車等の車両1に搭載され、車両1を駆動するモータ等の駆動源用の電源として好適に利用され得る。したがって、本発明は、上記リチウム二次電池(典型的には複数直列接続してなる組電池)100を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)1を提供することができる。
次に、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をこれらの実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
<例1>
[正極シートの作製]
正極活物質としてニッケルマンガンコバルト酸リチウム(Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O)粉末と、導電材としてアセチレンブラック(AB)と、結着剤としてPVdFとを、これらの材料の質量比が93:4:3となるようにNMPで混合して、ペースト状の正極活物質層形成用組成物を調製した。この組成物を、長尺シート状のアルミニウム箔(厚さ15μm)の両面に、片面当たりの塗付量が15mg/cm(固形分基準)となるように均一に塗付し、乾燥後、圧縮することによって、シート状の正極(正極シート)を作製した。正極活物質層の密度は2.8g/cmであった。
[負極シートの作製]
負極活物質として、天然黒鉛粉末にアモルファスカーボンがコートされた球形化黒鉛粒子(炭素被覆球形化黒鉛粒子)を用意した。この黒鉛粒子と、結着剤としてSBRと、増粘材としてCMCとを、これらの材料の質量比が98:1:1となるようにイオン交換水で混合して、ペースト状の負極活物質層形成用組成物を調製した。この組成物を、長尺シート状の銅箔(厚さ10μm)の両面に均一に塗付し、乾燥後、圧縮することによって、片面当たりの目付量(固形分基準)が7.5mg/cmのシート状の負極(負極シート)を作製した。負極活物質層の密度は1.4g/cmであった。
[耐熱層付きセパレータシートの作製]
セパレータシートとして、PEからなる長尺シート状の単層フィルム(厚さ:16μm)を用いた。このセパレータシートの片面に耐熱層を形成した。すなわち、フィラーとしてベーマイトと、結着剤としてアクリル系バインダと、粘着付与剤としてロジンエステル樹脂(軟化点100℃)とをイオン交換水で混合することによってペースト状の組成物を調製した。フィラーとアクリル系バインダの質量比は95:5とし、ロジンエステル樹脂の配合割合は、アクリル系バインダと粘着付与剤(ロジンエステル樹脂)の合計量100部に対して4部とした。混合は、エム・テクニック(株)製の超音波分散機「クレアミックス」を用いて、予備分散を15000rpmで5分行い、本分散を20000rpmで15分行った。得られた耐熱層形成用組成物を、セパレータシートの片面全体を覆うようにグラビア塗工方法により塗付し、温度70℃で乾燥させて耐熱層を形成した。このようにして厚さ5μmの耐熱層が片面に形成された耐熱層付きセパレータシートを作製した。
[扁平形状の捲回電極体の作製]
作製した正極シートと負極シートとを、2枚の耐熱層付きセパレータシートが正極シートと負極シートの間に1枚づつ配置されるように積層し、この積層体を捲回することにより捲回体を作製した(捲回工程)。セパレータシートは、耐熱層が正極シートと対向するように配置した。得られた捲回体を側面方向からプレスして拉げさせることにより、例1に係る扁平形状の捲回電極体(扁平部の厚さ:12mm)を作製した(成形工程)。上記プレスは、常温にて1000kgfで300秒間行った。
[スプリングバック率の測定]
上記捲回電極体の作製の際に、プレス直後の捲回電極体扁平部の厚さTとプレス終了(プレス開放)から5分後の捲回電極体扁平部の厚さTとを測定した。測定した厚さは、具体的には、図4に模式的に示す捲回電極体20の扁平部21の厚さTである。式:スプリングバック率(%)=(T−T)/T×100;からスプリングバック率を求めた。その結果を表1に示す。
<例2〜6>
ロジンエステル樹脂の配合割合を、アクリル系バインダと粘着付与剤の合計量100部に対して5部、10部、15部、20部、22部にそれぞれ変更した他は例1と同様にして例2〜6に係る扁平形状の捲回電極体を作製し、スプリングバック率を測定した。その結果を表1に示す。
[角型リチウム二次電池の作製]
例1〜6に係る扁平形状の捲回電極体について、正負の電極集電体の端部にそれぞれ電極端子を接合し、非水電解液とともにアルミ製の角型電池ケースに収容した後、電池ケースを密封した。非水電解液としては、ECとEMCとDMCとを3:3:4の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを約1モル/Lの濃度で含有させたものを使用した。このようにして例1〜6に係る角型リチウム二次電池(設計容量:5Ah)を作製した。これらのリチウム二次電池は、粘着付与剤が添加されていない従来の角型リチウム二次電池と同程度以上の電池性能(IV抵抗、容量維持率)を示すことが確認された。
<例7>
フィラーとしてベーマイトに代えてアルミナを用いたこと、粘着付与剤を添加しなかったこと以外は例1と同様にして例7に係る扁平形状の捲回電極体を作製し、スプリングバック率を測定した。その結果を表1に示す。
<例8〜27>
粘着付与剤として、ロジンエステル樹脂に代えて、表1に記載の配合割合の粘着付与剤を使用した他は例1と同様にして例8〜27に係る扁平形状の捲回電極体を作製し、スプリングバック率を測定した。その結果を表1に示す。これらの例で使用した粘着付与剤の軟化点はいずれも100〜135℃の範囲内である。なお、表1中、粘着付与剤の配合割合は、アクリル系バインダと粘着付与剤の合計量100質量部に対する部数である。
Figure 2014137988
<例28〜29>
フィラーをベーマイトからアルミナ(例28)またはチタニア(例29)に代えた他は例3と同様にしてセパレータシート表面に耐熱層を形成して耐熱層付きセパレータシートを作製した。得られた耐熱層付きセパレータシートを用いた他は例1と同様にして扁平形状の捲回電極体を作製し、スプリングバック率を測定した。その結果を表2に示す。
<例30〜32>
セパレータシートとして、PP/PE/PPからなる長尺シート状の三層構造フィルム(厚さ:20μm)を用いた。このセパレータシートの片面に、表2に示すフィラーを用いた他は例3と同様にして耐熱層を形成した。得られた耐熱層付きセパレータシートを用いた他は例1と同様にして例30〜32に係る扁平形状の捲回電極体を作製し、スプリングバック率を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2014137988
表1に示されるように、アクリル系バインダとともにロジンエステル系粘着付与剤を含む耐熱層を用いた例1〜6に係る捲回電極体は、スプリングバック率が13%以下と低い値であった。なかでも、耐熱層におけるロジンエステル系粘着付与剤の配合割合が、アクリル系バインダとロジンエステル系粘着付与剤の合計量100部に対して5〜20部である例2〜5では、スプリングバック率は0%であり、捲き緩みが発生しなかった。一方、粘着付与剤を含まない耐熱層を用いた例7に係る捲回電極体は、スプリングバック率が33%と大きく、捲回電極体が所定の扁平形状を維持することができなかった。
また、粘着付与剤としてロジンフェノール樹脂を用いた例8〜11では、スプリングバック率は17%であり、ロジンエステル樹脂よりは劣るものの比較的低い値であった。粘着付与剤として、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、スチレン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を用いた例12〜27では、スプリングバック率は33%と高い値であり、粘着付与剤を添加した効果は認められなかった。また、表2に示されるように、ロジンエステル樹脂を含む耐熱層を用いた例29〜32では、フィラーやセパレータシートの構成を変更してもスプリングバック率は0%であった。この結果から、フィラーやセパレータシート等を変更した場合においても、所定の粘着付与剤を含有する耐熱層を採用することにより、捲き緩みを防止または抑制し得ることがわかる。
このように、本発明によると、電池性能を低下させることなく、扁平形状の捲回電極体のスプリングバック率を低い値とすることができる。したがって、本発明によると、捲き緩みを原因とする生産効率の低下を回避することができ、二次電池の生産性を向上させることができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。ここに開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれ得る。
1 自動車(車両)
10 電池ケース
12 開口部
14 蓋体
20 捲回電極体
21 扁平部
25 非水電解液
30 正極(正極シート)
32 正極集電体
34 正極活物質層
35 正極集電体積層部
36 正極活物質層非形成部
37 内部正極端子
38 外部正極端子
40 負極(負極シート)
42 負極集電体
44 負極活物質層
45 負極集電体積層部
46 負極活物質層非形成部
47 内部負極端子
48 外部負極端子
50A,50B セパレータ(セパレータシート)
51 耐熱層
100 リチウム二次電池

Claims (7)

  1. 扁平形状の捲回電極体が電池ケース内に収容されてなる二次電池であって、
    前記捲回電極体は、正極シートと、負極シートと、該正負極シートの間に配置されたセパレータシートと、を備えており、
    前記正極シートおよび前記負極シートの少なくとも一方と前記セパレータシートとの間には、耐熱層が配置されており、
    前記耐熱層は、フィラーと、アクリル系バインダと、ロジンエステル系粘着付与剤と、を含む、二次電池。
  2. 前記耐熱層における前記ロジンエステル系粘着付与剤の含有量は、前記アクリル系バインダと前記ロジンエステル系粘着付与剤の合計量100質量部に対して5〜20質量部である、請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記ロジンエステル系粘着付与剤の軟化点は85℃以上120℃以下である、請求項1または2に記載の二次電池。
  4. 前記フィラーは無機フィラーである、請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池。
  5. 前記捲回電極体は、扁平部の厚さが10mm以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池。
  6. 二次電池を製造する方法であって、
    正極シートと負極シートとセパレータシートとを用意すること、
    前記正極シートと前記負極シートとの間に前記セパレータシートを配置して捲回することにより捲回電極体を作製すること、
    前記作製した捲回電極体をプレスして扁平形状に成形すること、および
    前記扁平形状に成形した捲回電極体を電池ケース内に収容すること、
    を包含し、
    前記捲回電極体の作製において、前記正極シートおよび前記負極シートの少なくとも一方と前記セパレータシートとの間に耐熱層を配置することをさらに包含し、
    前記耐熱層は、フィラーと、アクリル系バインダと、ロジンエステル系粘着付与剤と、を含む、二次電池の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の二次電池を備える車両。
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