JP2014137942A - 直下型面光源装置、並びにそれを用いた表示装置及び照明装置 - Google Patents

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勝朗 久世
Kenji Kawai
兼次 河井
Akifumi Yasui
章文 安井
Akira Matsuda
明 松田
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Abstract

【課題】正面の輝度や照度が高く、斑が小さくできる多重反射拡散方式の直下型面光源装置を提供する。
【解決手段】指向性の点光源を配設したハウジング底板2、ハウジング側板3、出光部4を含み、第一光拡散部材6と、レンズフィルム7と、第二光拡散部材8とを、第一光拡散部材6とレンズフィルム7のレンズ面の反対面が接し、第二光拡散部材8とレンズフィルム7のレンズ面が接するように積層された光拡散積層体を、第二光拡散部材8側の表面が外側になるように出光部4の出光面側に設置した直下型面光源装置において、(i)第一光拡散部材6の全光線透過率/平行光線透過率比が8〜110であること、(ii)レンズフィルム7のレンズ面に第二光拡散部材8を重ね合わせた状態の第二光拡散部材8側の表面の表面光沢度が5〜80%であること、及び(iii)第二光拡散部材8の全光線透過率/平行光線透過率比が1.0〜30であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、直下型面光源装置、並びにそれを用いた表示装置及び照明装置に関する。詳しくは、出射光の指向性が高い点光源を用いた直下型面光源装置において、輝度や照度が高く、かつ出光面の輝度斑が抑制された出光面の輝度の均質度が高い上に、さらにレンズフィルムにより引き起こされる外観のぎらつきや干渉斑等の外観不良や出射光の照度斑に起因する明度斑等を改善できる、直下型面光源装置、並びにそれを用いた表示装置及び照明装置に関する。
液晶表示モジュール(LCD)は、薄型、軽量、低消費電力等の特徴を活かしてフラットパネルディスプレイとして多用され、その用途は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ、テレビなどの情報用表示デバイスとして年々拡大している。
液晶表示装置には、光源からパネルに至る光伝達路でのロスを抑え、パネル上の輝度を向上させるために、液晶ユニットの下面側に面光源装置が装備されている。
近年、面光源装置は、液晶表示装置のみでなく灯具や電飾看板等の広い分野に使用されてきている。
面光源装置としては、導光板を使用した出光面のサイド側に光源が設置されたエッジライト方式と、出光面の背面側に光源が設置された直下型ライト方式に大別される。
面光源装置には、面光源装置の基本ユニットとレンズフィルム、光拡散フィルム及び輝度向上フィルム等の各種の光学フィルムや光拡散板等の光学部材が組み合わされて面光源装置の輝度や照度を上げることや、輝度や照度の均一性の向上が図られている。普通は2〜4枚の光学部材が使用されている(例えば、非特許文献1参照)。
直下型ライト方式を用いた直下型面光源装置は、エッジライト方式に比べて光の取り出し効率が高いので有用である。しかしながら、最近実用化が進んでいるLED光源等の点光源の場合は、出射光の配光分布プロファイルに強い指向性があるために、配光分布が発光面の正面方向に偏っている。従って、直下型面光源装置の光源として用いた場合は、輝度斑が大きくなるので、上記の方式を適用しても輝度斑を抑制することが難しく、出光面の輝度の均質度を高めるには光源間距離を小さくするとか、あるいは光源と光学部材の間の距離(光源/光学部材間距離とも称する)を大きくするという方法を取る必要があった。
光源間距離を小さくする方法は、面光源装置の単位面積当たりの光源数が多くなるので、経済性に劣り、かつ省エネルギーの観点においても好ましくない。また、光源/光学部材間距離を大きくする方法は、出光効率が低下して輝度や照度が低くなり、省エネルギーの観点より劣り好ましくない。また、面光源装置の厚みが厚くなるので、薄型化の市場要求を満たすことができない。
上記問題を解決する方法として、指向性の強い点光源と、上記点光源を配設したハウジング底板、上記ハウジング底板の周囲から所定高さに立設されたハウジング側板、及び前記ハウジング底板と対向する側に部分的に開口部が設けられて内壁面を反射面で形成したハウジングよりなる直下型面光源装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。該方法は、点光源より出射された指向性の強い光がハウジング内において反射を繰り返すことにより指向性が弱められ、均質性の高い光として取り出すことができるので有用である。該方式は、以下、多重反射拡散方式とも称する。
上記多重反射拡散方式の直下型面光源装置においては、出光側に部分的な開口部のパターンが見えるので、そのパターンを隠蔽するために出光面上部に光拡散板、マイクロレンズ及びマイクロプリズムレンズ等の光拡散部材が設置されている(例えば、特許文献2及び特許文献3等)。しかし、該光拡散部材の特性や光拡散部材とレンズフィルムとの複合効果については、全く言及されていない。
一方、面光源装置では、出射光の集光性を上げて正面輝度や照度を上げる目的でレンズフィルムが汎用されている。直下型面光源装置においては、ビーズコート法光拡散フィルム、プリズムレンズフィルム、及び輝度向上フィルムでは面光源の面内の輝度の均一性(以下、輝度斑と称する)が劣るという課題を有している。一方、拡散性の高い光拡散板を用いることにより輝度斑を抑制することができるが、正面輝度が低下するという課題を有する。すなわち、正面輝度と輝度斑の関係は二律背反事象になる。この両特性の両立を図る方法として、例えば、光拡散板、異方性光拡散フィルム、及びプリズムレンズフィルムの3枚の光学部材を組み合わせた方法が開示されている(特許文献4参照)。この方法では、60%という低い非分光全光線透過率の光拡散板が用いられているうえに、さらに異方性光拡散フィルムが組み合わされており、光拡散材のトータルの非分光全光線透過率がさらに低くなるので、輝度斑の抑制効果は良好であるが正面輝度低下が大きくなるという課題を有している。
特開2008−27886号公報 特開2011−210719号公報 特開2011−150861号公報 特開2009−43639号公報
内田龍男監修「図解 電子ディスプレイのすべて」(工業調査会刊)P47〜48
本発明は、上記の従来技術における課題を解決するためになされたものであり、その目的は、多重反射拡散方式の直下型面光源装置において、特定の光学特性を有する光拡散部材と特定の特性を有するレンズフィルムという最低枚数の光学部材の組み合わせで正面の輝度や照度が高く、かつ該輝度や照度の斑が小さくでき、さらにレンズフィルムにより引き起こされる外観のぎらつきや干渉斑等の外観不良や出射光の照度斑に起因する明度斑等を抑制できる直下型面光源装置を提供することにある。また、本発明の目的は、それを用いた表示装置及び照明装置を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するために、従来技術にはない新しいコンセプトを取り入れることにより完成したものである。すなわち、従来技術においては光拡散度の高い光拡散板の使用や複数枚の光拡散部材の組み合わせにより輝度斑の抑制がなされてきたために、輝度斑を低くすると正面輝度が低下するという問題を有しており、いわゆる二律背反事象が打破出来ていなかった。
そこで、本発明者等は、この課題解決のための方法について鋭意検討し、単独では光拡散度が低く輝度斑を小さくする効果が少ない中程度の光拡散度を有する光拡散部材を用い、特定の特性を有するレンズフィルムと組み合わせることにより、両者の相乗効果及び多重反射拡散方式による光拡散部材に入光する光の均一性の向上効果との多重相乗効果で輝度斑を小さくし、高い正面輝度や正面照度と低い輝度斑の両立が図れることを見出した。
さらに、レンズフィルムのレンズ面に別の光拡散部材を重ね合わせることでレンズフィルムのレンズ構造により引き起こされる出光表面のぎらつきや干渉斑等の外観不良や出射光の照度斑に起因する明度斑等を抑制することを、正面輝度や正面照度の低下を抑制した形で達成できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(14)の構成よりなるものである。
(1)指向性の点光源を配設したハウジング底板、前記ハウジング底板の周囲から立設されたハウジング側板、及び前記ハウジング底板の点光源の指向方向と対向する側に部分的に開口部が設けられて内壁面を反射面で形成した出光部を含み、第一光拡散部材(A)と、レンズフィルム(B)と、第二光拡散部材(C)とを、第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)のレンズ面の反対面が接し、第二光拡散部材(C)とレンズフィルム(B)のレンズ面が接するように積層された光拡散積層体を、第二光拡散部材(C)側の表面が外側になるように出光部の出光面側に設置した直下型面光源装置において、第一光拡散部材(A)、レンズフィルム(B)及び第二光拡散部材(C)が下記(i)〜(iii)の特性を有することを特徴とする直下型面光源装置。
(i)第一光拡散部材(A)の全光線透過率/平行光線透過率比が8〜110であること、
(ii)レンズフィルム(B)のレンズ面に第二光拡散部材(C)を重ね合わせた状態の第二光拡散部材(C)側の表面の表面光沢度が5〜80%であること、
(iii)第二光拡散部材(C)の全光線透過率/平行光線透過率比が1.0〜30であること。
(2)レンズフィルム(B)のレンズ面の中心面粒度(SGr)が1500〜30000μmであることを特徴とする(1)に記載の直下型面光源装置。
(3)第二光拡散部材(C)を積層しない状態での光拡散積層体の全光線透過率/平行光線透過率比と全光線透過率との複合特性が2200〜4300であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の直下型面光源装置。
(4)第一光拡散部材(A)のヘーズが80〜98%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の直下型面光源装置。
(5)第一光拡散部材(A)の非分光全光線透過率が68〜90%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の直下型面光源装置。
(6)第一光拡散部材(A)の拡散光線透過率が60〜98%であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の直下型面光源装置。
(7)第一光拡散部材(A)が、微粒子を含有する層の積層によりあるいは賦型により表面凹凸が付けられている表面光拡散部材(A1)であり、表面光拡散部材(A1)の全光線透過率/平行光線透過率比が10〜110であり、かつ第二光拡散部材(C)を積層しない状態での光拡散積層体の全光線透過率/平行光線透過率比と全光線透過率との複合特性が2800〜4300であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の直下型面光源装置。
(8)第一光拡散部材(A)が、互いに相溶しない少なくとも2種の熱可塑性樹脂の混合物からなる層を少なくとも一層含む内部光拡散部材(A2)であり、内部光拡散部材(A2)の全光線透過率/平行光線透過率比が8〜100であり、かつ第二光拡散部材(C)を積層しない状態での光拡散積層体の全光線/平行光線透過率比と全光線透過率との複合特性が2200〜4200であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の直下型面光源装置。
(9)内部光拡散部材(A2)が、溶融押し出し成型法で成型されていることを特徴とする(8)に記載の直下型面光源装置。
(10)熱可塑性樹脂の混合物の中の島構造を構成する熱可塑性樹脂成分量が全熱可塑性樹脂量の11〜50重量%であることを特徴とする(8)又は(9)に記載の直下型面光源装置。
(11)第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)との間に一方向に配向した山脈タイプの構造からなるレンズフィルム(D)が存在し、レンズフィルム(D)のレンズ面がレンズフィルム(B)のレンズ面とは反対の面と接することを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の直下型面光源装置。
(12)出光部と光拡散積層体の間が0.1〜50mmの距離を有するように空間部が設けられていることを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の直下型面光源装置。
(13)(1)〜(12)のいずれかに記載の直下型面光源装置を含むことを特徴とする表示装置。
(14)(1)〜(12)のいずれかに記載の直下型面光源装置を含むことを特徴とする照明装置。
本発明の直下型面光源装置は、多重反射拡散方式の直下型面光源装置の出光面に、特定の光拡散度を有する光拡散部材と特定の特性を有するレンズフィルムを組み合わせた光拡散積層体を設置することにより、光拡散部材とレンズフィルムをそれぞれ1枚のみという最少枚数の光学部材での組み合わせで高い出光効率や出光効率の均一性が高められるので、面状光源装置の高輝度化や高照度化ができ、かつ輝度や照度の均質性を高めることができる。
さらに、本発明の直下型面光源装置は、レンズフィルムのレンズ面に別の光拡散部材を重ね合わせることでレンズフィルムのレンズ構造により引き起こされる出光表面のぎらつきや干渉斑等の外観不良や出射光の照度斑に起因する明度斑等を抑制した形で、直下型面光源装置の高輝度化や高照度化ができ、かつ輝度や照度の均質性を高めることができる。また、上記直下型面光源装置の使用により、表示装置及び照明装置の性能や経済性を向上させることができる。
本発明における直下型面光源装置の一例の断面を示した図である。 本発明における直下型面光源装置のハウジングの出光部の部分的に開口され た開口部のパターンの一例を示した図である。 表3の実施例及び比較例の数値を用いて第一表面光拡散部材(A1)の全光線透過率/平行光線透過率比と正面照度や輝度斑との関係を示した図である。 表3の実施例及び比較例の数値を用いて第一表面光拡散部材(A1)の全光線透過率/平行光線透過率比と正面輝度や輝度斑との関係を示した図である。 表3の実施例及び比較例の数値を用いて光拡散積層体の全光線/平行光線透過率比と全光線透過率との複合特性(二次函数光拡散度)と正面照度や輝度斑との関係を示した図である。 表3の実施例及び比較例の数値を用いて光拡散積層体の全光線/平行光線透過率比と全光線透過率との複合特性(二次函数光拡散度)と正面輝度や輝度斑との関係を示した図である。 表4の実施例及び比較例の数値を用いて第一内部光拡散部材(A2)の全光線透過率/平行光線透過率比と正面照度や輝度斑との関係を示した図である。 表4の実施例及び比較例の数値を用いて第一内部光拡散部材(A2)の全光線透過率/平行光線透過率比と正面輝度や輝度斑との関係を示した図である。 表4の実施例及び比較例の数値を用いて光拡散積層体の全光線/平行光線透過率比と全光線透過率との複合特性(二次函数光拡散度)と正面照度や輝度斑との関係を示した図である。 表4の実施例及び比較例の数値を用いて光拡散積層体の全光線/平行光線透過率比と全光線透過率との複合特性(二次函数光拡散度)と正面輝度や輝度斑との関係を示した図である。 表5の実施例及び比較例の数値を用いて第二光拡散部材(C)の全光線透過率/平行光線透過率比と正面照度や表面光沢度との関係を示した図である。 表4の実施例及び比較例の数値を用いて第二光拡散部材(C)の全光線透過率/平行光線透過率比と正面輝度や表面光沢度との関係を示した図である。 表6の実施例及び比較例の数値を用いてレンズフィルム(B)のレンズ面の中心面粒度(SGr)と正面輝度や輝度斑との関係を示した図である。
(直下型面光源装置の基本構成)
本発明の直下型面光源装置は、指向性の点光源を配設したハウジング底板、前記ハウジング底板の周囲から立設されたハウジング側板、及び前記ハウジング底板の点光源の指向方向と対向する側に部分的に開口部が設けられて内壁面を反射面で形成した出光部を含み、出光部の出光面側に、第一光拡散部材(A)と、レンズフィルム(B)と、第二光拡散部材(C)とを、第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)のレンズ面の反対面が接し、第二光拡散部材(C)とレンズフィルム(B)のレンズ面が接するように積層された光拡散積層体を、第二光拡散部材(C)側の表面が外側になるように設置したものであり、第一光拡散部材(A)、レンズフィルム(B)及び第二光拡散部材(C)が下記(i)〜(iii)の特性を有することを特徴とする。
(i)第一光拡散部材(A)の全光線透過率/平行光線透過率比が8〜110であること、
(ii)レンズフィルム(B)のレンズ面に第二光拡散部材(C)を重ね合わせた状態の第二光拡散部材(C)側の表面の表面光沢度が5〜80%であること、
(iii)第二光拡散部材(C)の全光線透過率/平行光線透過率比が1.0〜30であること。
(直下型面光源装置)
本発明の直下型面光源装置は、上記構成からなり、点光源より出射された指向性の強い光がハウジング内において反射を繰り返すことにより指向性が弱められ均質性の高い光として取り出すことができる構造であれば、点光源の種類、出力及び点光源の数や配置方法、反射部材の材質、ハウジングの材質、大きさ、厚さ、ハウジング上部の出射光を取り出す部分的な開口部のパターン等は限定されない。例えば、特許文献2〜特許文献4で記載されている構造や構成等を適宜採用することができる。
本発明の直下型面光源装置の一例の断面図を図1に示す。また、ハウジング上部の出射光を取り出す部分的な開口部のパターンの一例を図2に示すが、これらの形状には限定されない。直下型面光源装置は、点光源数を多く用いた大型のサイズで対応しても良いし、例えば図1に例示したような小型サイズの直下型面光源装置を複数個ビルドアップして大型化しても良い。
(第一光拡散部材(A)の特性)
本発明の第一光拡散部材(A)は、実施例に記載した方法で測定される全光線透過率/平行光線透過率比が8〜110であり、好ましくは9〜100である。
全光線透過率/平行光線透過率比が8未満の場合は光拡散度が不足するために輝度斑が大きくなる。そのために、出射光度が極端に低い部分が生ずるので平均値の輝度が低くなる。一方、全光線透過率/平行光線透過率比が110を超えた場合は、光拡散度が大きく成り過ぎるために正面への出射光度が低くなり正面輝度が低下する。また、光拡散度が大きく成り過ぎるので角度の大きな方向に出光される光量が過度となり、この高角度でレンズフィルム(B)に入光する光量が増えることによりレンズフィルム(B)による光の変曲効果との相乗効果が変化することにより輝度斑を抑制する方向の光量が少なくなり、そのために輝度斑がむしろ増大する。
全光線透過率/平行光線透過率比は、本発明者等が本発明を完成するために確立した光拡散度の新規な尺度である。
前述のごとく、面光源装置において高輝度化と輝度斑の両立を図るには、高い光拡散度の光拡散材が必要とされている。該光拡散度の大きさは、例えば、変角光度計により測定される出射光の変角配光分布プロファイルの広がりを数値化することにより表示されている。一般に、最高出射光強度の半分の強度の時の角度幅である、いわゆる半値幅法光拡散度で示されることが多い。また、出射光の変角配光分布プロファイルの立ち上がりの角度からゼロ点に戻るまでの角度や出射角0度における出射光強度と所定出射角における出射光強度との比で表示されている。本発明者等は該光拡散度を裾広がり光拡散度と称している。
本発明者等は、後述のごとくレンズフィルムと光拡散部材を積層した系の光拡散部材の光拡散度は必ずしも高い光拡散度のものが良いのではなく、適度な光拡散度のものを用いてレンズフィルムの光拡散度との相乗効果で所望の光拡散度を確保するのが良いと考えた。しかし、本発明の光拡散積層体の光拡散部材については、上記の半値幅法光拡散度や裾広がり光拡散度では最適範囲は示せないことが判った。これは、これらの従来公知の方法で測定される光拡散度は出射光の変角配光分布プロファイルのパターンの影響を受けるためである。そのために、本発明の光拡散積層体の基本構成である第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)とを積層した系における第一光拡散部材(A)の光拡散度の表示法としては適合していないと考えた。
一方、該変角光度特性でなく非分光全光線透過率、拡散透過率、平行光線透過率あるいはヘーズ等のヘーズメータで測定される変角配光分布プロファイルのパターンの影響を受けない特性値で光拡散度を規定している特許もある。しかし、これらの特性値も上記した新しいコンセプトに基づく技術を完成することに対しては適切でないことが判った。
そこで、本発明者らはさらに鋭意検討した結果、実施例において詳述する全光線透過率/平行光線透過率比が上記目的の光拡散度の評価パラメータ値として適切であることを見出した。
全光線透過率は平行光線透過率と拡散透過率が合算された特性値であるので、該全光線透過率を平行光線透過率で除した値である全光線透過率/平行光線透過率比が光拡散度の尺度になると考えた。すなわち、該全光線透過率/平行光線透過率比が大きい程、拡散透過率の寄与が大きいので、光拡散度が大きいことになる。一方、汎用されているヘーズは、拡散透過率/全光線透過率×100であるので、両特性値は全く異なっている。
このような極めて単純な方法で光拡散度が表示できることが明確化されていなかったことは驚くべきことである。一般に光拡散度はヘーズや拡散透過度等の規格化された特性値で評価できるという考えが定着しているために盲点となっていたためと推察している。
また、該全光線透過率/平行光線透過率比は、広く用いられているヘーズメータでなくダブルビーム法の分光器を用いて、かつ550nmの波長の光に注目して確立した。このことも重要な要素である。550nmの波長の光に注目したのは、人間の目に対して波長550nm付近の光が分光視感効率が最も高いとされていることに基づいている。
一方、従来技術で用いられてきている非分光の光を用いたヘーズメータで測定した非分光全光線透過率や平行光線透過率を用いた場合は好結果が得られない。この原因は、分光と非分光の差異のみでなく、両測定方法で平行光線透過率の測定方法が異なることの寄与も大きいと推察している。というのは、ヘーズメータで測定される平行光線透過率は、積分球に入光した光が直進した部分に開口部を設けて、該開口部を通過した光量を測定することで求められるのに対して、ダブルビーム法の分光器で測定される平行光線透過率は、積分球を用いることなく純粋な直進光の光量が測定されるという測定方法に差異がある。従って、この測定方法の違いも影響していると推察している。
本発明の第一光拡散部材(A)は、ヘーズが80〜98%であることが好ましく、85〜98%がより好ましい。90〜98%であることがさらに好ましい。80%未満では輝度斑が大きくなるので好ましくない。逆に、98%を超えるものは製造することが困難である。
本発明の第一光拡散部材(A)は、非分光全光線透過率が68〜90%であることが好ましい。70〜85%がより好ましい。68%未満では正面輝度が低下し、かつ輝度斑が大きくなるので好ましくない。逆に、90%を超えるものは輝度斑が大きくなるので好ましくない。
本発明の第一光拡散部材(A)は、拡散光線透過率が60〜98%であることが好ましい。68〜90%がより好ましく、70〜85%がさらに好ましい。60%未満では正面輝度が低下し、かつ輝度斑が大きくなるので好ましくない。逆に、98%を超えるものは製造することが困難である。
(第一光拡散部材(A)の構成及び製造方法)
本発明の第一光拡散部材(A)は、上記全光線透過率/平行光線透過率比を満たせば、その構成や製造方法は問わない。光拡散層は、例えば光拡散層の表面の凹凸により光拡散させる表面光拡散部材であっても良いし、光拡散層の内部に光拡散成分が配合されてなる内部光拡散部材でも良い。また、これらの内部光拡散と表面光拡散の方式を組み合わせた方式等いずれの構造のものでも良い。
以下に、第一光拡散部材(A)の代表例として表面光拡散部材(A1)と内部光拡散部材(A2)について説明する。
(表面光拡散部材(A1)の構成)
表面光拡散部材は、基材の表面に微粒子を含有した層を積層することにより、あるいは基材の表面に対して賦型することにより表面凹凸が付けられていることにより光拡散部材の表面で光が散乱されるものを言い、特に全光線透過率/平行光線透過率比が8〜110であることを満たせば、その構成、表面粗さ特性、及び製造方法は何ら制限を受けない。
以下に、透明フィルムを基材として、微粒子を含有した層の積層による表面光拡散部材、及び賦型による表面凹凸による表面光拡散部材について説明する。
(微粒子を含有した層よりなる光拡散層を含む表面光拡散部材(A1)の製造方法)
表面光拡散部材は、透明な基材フィルムに、微粒子を含有した層よりなる光拡散層を積層することにより製造することができる。透明な基材フィルムは、例えばポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリプロピレン樹脂や環状オレフィン樹脂などのポリオレフィン系樹脂等の1種もしくは2種以上を混合した透明プラスチックフィルムを使用することができる。このうち、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエチレンテレフタレートフィルムが、機械的強度や寸法安定性に優れる点で好ましい。また、光拡散層との接着性を向上させるために、表面にコロナ放電処理を施したり、易接着層を設けたものも好適に用いられる。なお、基材フィルムの厚みは、通常0.1〜5mm程度であることが好ましい。
光拡散層は、主に、表面凹凸形状を形成する粒子を高分子樹脂に配合した層を積層することにより形成するのが好ましい。高分子樹脂としては、光学的透明性に優れた樹脂を用いることができ、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などを用いることができる。これらの中でも耐光性や光学特性に優れるアクリル系樹脂が好適に使用される。
表面凹凸形状を形成する粒子としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、合成ゼオライト、アルミナ、スメクタイトなどの無機微粒子の他、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂などからなる有機微粒子を用いることができる。これらのうち、球状粒子が得やすく所望の凹凸形状に制御しやすい観点から、有機微粒子を用いることが好ましい。粒子は、1種だけでなく、複数種を組み合わせて使用することもできる。樹脂を用いる場合は、例えば、ポリマービーズ等のビーズ状の粒子を用いることができる。
高分子樹脂に対する粒子成分の含有割合は、用いる粒子の平均粒子径や光拡散層の厚みによって一概には言えないが、高分子樹脂100重量部に対し70〜220重量部とすることが好ましく、120〜220重量部とすることがより好ましい。
粒子の形状は、特に限定されるものではないが、凹凸形状を得易くする観点から球状粒子であることが好ましい。また、粒子の平均粒径としては、同様の観点から1〜30μmとすることが好ましい。
凹凸層中には、上述した高分子樹脂や凹凸形状を形成する粒子の他、光重合開始剤、光重合促進剤、レベリング剤・消泡剤などの界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤や、上述した以外の樹脂や粒子を添加してもよい。これらは、市販品より選択しても良いし、新規に開発したものでも良い。コストパフォーマンスで適宜選択すれば良い。
上記の微粒子を含有した層よりなる光拡散層を含む表面光拡散部材の製造方法としては、例えば、上述したバインダー樹脂や粒子などの材料を適当な溶媒に溶解させた光拡散層用塗布液を、従来から公知の方法、例えば、バーコーター、ブレードコーター、スピンコーター、ロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、ダイコーター、スプレー、スクリーン印刷等により支持体上に塗布し、乾燥することにより作製することができる。また、共押し出し法で多層構造として表層に粒子を配合する方法で製造しても良い。上記の光拡散層は片面に形成したものでも良いし、両面に形成したものであっても良い。
(表面賦型法で製造される表面光拡散部材の製造方法)
表面光拡散部材は、透明基材フィルムに対してエンボス加工法等のような転写賦型技術で表面凹凸を形成することにより製造することができる。転写賦型技術は、例えば、後述するレンズフィルムの製造方法と同様の方法を採用することができる。
(内部光拡散部材(A2)の構成)
内部光拡散部材は、互いに相溶しない少なくとも2種の樹脂の混合物からなる層を少なくとも一層含み、全光線透過率/平行光線透過率比が8〜110であるものであれば限定されない。
内部光拡散部材(A2)とは、上述の非相溶混合物からなる光拡散成分からなる光拡散層を含むことにより光拡散性を発現する光学部材を指す。内部光拡散部材(A2)には、後述のごとく、光拡散層が表層になる構成や内層になる構成も含まれる。
光拡散部材中に上記の互いに相溶しない少なくとも2種の樹脂の混合物からなる層が存在すると、該層を光が通過する際にそれぞれの樹脂の界面の屈折率差により光が散乱される。そして、それぞれの樹脂の屈折率差、それぞれの樹脂の割合及び層厚み等によりこの層の光拡散度が変わる。また、それぞれの樹脂の割合等により一方の樹脂が粒子状で存在することが多い。該粒子は光拡散成分を構成するが、該光拡散成分の大きさによっても光拡散度が変わる。前記した全光線透過率/平行光線透過率比が上記の範囲になるようにするには、これらの構成要件を適宜調整するのが好ましい。
例えば、屈折率差は0.003〜0.07の範囲にするのが好ましく、0.005〜0.06の範囲がより好ましく、0.01〜0.05がさらに好ましい。また、層の厚みは5μm〜10mmが好ましく、10μm〜5mmがより好ましく、20μm〜4mmがさらに好ましい。また、それぞれの樹脂の割合は、上記構成要素の組み合わせ等で適宜設定するのが好ましい。
光拡散成分の大きさは樹脂の種類や割合及び製膜条件等の多くの要因の影響を受ける。前記した全光線透過率/平行光線透過率比は、互いに相溶しない少なくとも2種の樹脂の混合物からなる層を光が通過する際に、光拡散成分による散乱を受ける回数である、いわゆる多重散乱回数の影響を大きく受けると推察されるので、光拡散成分の層の厚み方向の平均径が重要となる。フィルムの厚みの少なくとも1/2以下であることが好ましい。1/3以下がより好ましく、1/10以下がさらに好ましい。また、フィルムの断面を電子顕微鏡で観察した場合に、厚み方向に任意の直線を引いた場合にその線状に存在する光拡散成分の粒子の数が5個以上であることが好ましい。10個以上がより好ましく、30個以上がさらに好ましい。該構成要因を好ましい範囲にするには層厚み、樹脂の種類や配合割合及び製膜条件等の要件を最適化するのが良い。例えば、後述の好ましい実施態様が重要要因となる。
また、上記内部光拡散部材(A2)は、面内の光学特性の均一性が重要であるので、光拡散成分は面内に出来るだけ均一に存在することが好ましい。しかし、面内の光学特性の均一性が確保されれば、厚み方向に関しての光拡散成分の均一性は問わない。例えば、厚み方向の特定部分に光拡散成分が局在して存在しても構わない。
互いに相溶しない少なくとも2種の樹脂の混合物を構成する樹脂としては、非溶融性の微粒子状の樹脂である、いわゆる樹脂ビーズを用いても良い。ただし、該樹脂ビーズを用いた場合は、製膜工程における濾過において、濾過フィルタの目詰まりが発生する場合等があり生産性に問題が生ずることがある。また、得られる光学部材の清澄度が劣る場合があるので、全種の樹脂が熱可塑性樹脂の混合物からなり、かつ溶融押し出し成型法で製膜されてなることが好ましい。
さらに、上記態様において、少なくとも2種の熱可塑性樹脂の混合物の中の島構造を構成する熱可塑性樹脂成分の量が、全熱可塑性樹脂量に対して11〜50質量%であることがより好ましい。
また、内部光拡散部材(A2)は単層構成であってもよいし、2層以上の多層構成であっても構わない。多層構成の場合は、少なくとも一層が互いに相溶しない少なくとも2種の樹脂の配合物からなれば良い。例えば、光拡散層のみよりなる単層構成や、光拡散層/光拡散層、光拡散層/非光拡散層(例えば、単なる透明層)/光拡散層、非光拡散層/光拡散層/非光拡散層、光拡散層/光拡散層、光拡散層/光拡散層/非光拡散層、光拡散層/光拡散層/非光拡散層、及び光拡散層/非光拡散層/光拡散層等の多層構成が挙げられる。さらに、層数をこれらより増やした構成でも良い。上記多層構成の場合は、多層共押出し法で製造してもよいし、押出しラミネート法やドライラミネート法で実施してもよい。
(少なくとも二種の互いに非相溶性の熱可塑性樹脂の混合物)
少なくとも二種の互いに非相溶性の熱可塑性樹脂の混合物に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂及びポリメチルペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂から非相溶性(互いに溶け合わない)の熱可塑性樹脂の少なくとも二種類を選択すればよいが、上記特性を安定して発現させることができること及び経済性の点から、少なくとも1種がポリオレフィン系樹脂からなることが好ましい。
2種類の樹脂のもう一方の樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びフッ素系樹脂等が好適であり、光学特性以外の要求特性や経済性等を勘案して適宜選択される。
特に、耐光性や経済性の点から、二種類ともにポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましい。2種の樹脂の屈折率差は限定されないが、屈折率差を0.003〜0.07の範囲にするのが好ましい。0.05〜0.005の範囲がより好ましく、0.01〜0.02がさらに好ましい。
上記の少なくとも二種の非相溶性の熱可塑性樹脂として用いる熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、例えば、海/島法の場合は、それぞれのメルトフローレートの組み合わせにより大きく変化し、光学特性が変化するので、求められる光学特性や、島相のサイズや形状に応じて適宜選択すれば良い。例えば、上記の2種類ともにポリオレフィン系樹脂を用いる場合は、それぞれ230℃で測定したメルトフローレートが0.1〜100の範囲で適宜組み合わせて実施すれば良い。
本発明においては、光拡散度に異方性を付与するのが好ましい場合がある。該特性を付与するには島構造に異方性を持たせるのが好ましい。このような形状の島構造を形成するためには、海成分樹脂と島成分樹脂の溶融粘度に差を付けるのが好ましい。特に、海成分よりも島成分の溶融粘度を低くするのが好ましい。このためには、例えば、メルトフローレートの差を付けるのが好ましく、海成分より、島成分の方のメルトフローレートを高くするのが好ましい。また、海成分樹脂と島成分樹脂の剛性に差を付けるのも好ましい。特に、海成分よりも島成分の剛性を低くするのが好ましい。
また、島成分のメルトフローレートが低い場合には、ダイ内でのシェアやドラフトにより島成分が細くなる力がかかりにくくなり、異方性が低下することがある。質量比が50/50から離れるほど、この傾向は強くなる。これらの傾向を考慮して、各特性の調整を行う。
上記屈折率差が満たされれば2種の樹脂の種類は限定されないが、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂の組み合わせが、本発明の光学特性が安定して得られやすく、かつ経済性に優れているので好ましい。また、耐紫外線安定性に優れているという特徴もある。
環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ノルボルネンやテトラシクロドデセン等環状のポリオレフィン構造を有するものが挙げられる。具体的には、例えば、(1)ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体に、必要に応じてマレイン酸付加、シクロペンタジエン付加などのポリマー変性を行なった後に、水素添加して得られる樹脂、(2)ノルボルネン系モノマーを付加型重合させて得られる樹脂、(3)ノルボルネン系モノマーとエチレンやα−オレフィンなどのオレフィン系モノマーと付加型共重合させて得られる樹脂などを挙げることができる。重合方法及び水素添加方法は、常法により行なうことができる。
ポリエチレン系樹脂は、単一重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。共重合体の場合は50モル%以上がエチレン成分であるのが好ましい。該樹脂の密度や重合方法等も限定されないが、密度が0.909以下の共重合体の使用が好ましい。例えば、プロピレン、ブテン、ヘキセン及びオクテン等との共重合体が挙げられる。重合方法はメタロセン触媒法及び非メタロセン触媒法のいずれでも構わない。特に、高い拡散性が安定に付与できる点で、エチレンとオクテンのブロック共重合体の使用が好ましい。該樹脂としては、例えば、ダウケミカル社製のINFUSE(TM)が挙げられる。該エチレンとオクテンのブロック共重合体の使用が好ましい理由は定かでないが、環状ポリオレフィン系樹脂との馴染みが他のポリオレフィン系樹脂より優れていることが寄与していると推察している。
環状ポリオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂との組み合わせの場合は、ポリエチレン系樹脂を海相として、かつ該海相のポリエチレン系樹脂のメルトフローレートを島相の環状ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレートよりも高くすることが好ましい。
環状ポリオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂の組み合わせの場合は、全樹脂量中に環状ポリオレフィン系樹脂が10〜60質量%配合されているのが好ましく、さらに好ましくは10〜50質量%である。
上記樹脂は、一般に市販されている汎用性の高い樹脂の中から選択すれば良いが、より安定した生産ができる等の対応のために特注品を使用しても良い。
上記において詳述した部分はあくまでも例示であり、これらには限定されない。上記光学特性を満たす範囲で適宜選択すれば良い。
(内部光拡散部材(A2)の製造方法)
内部光拡散部材(A2)の製造方法も特に限定されないが、経済性の点で溶融押し出し成型により製膜する方法が好ましい。該製膜方法としては、特に制限されず、例えば、Tダイ法及びインフレーション法のいずれでもよい。また、未延伸のままのフィルムでもよく、延伸処理を行ってもよい。二層以上含む構成の場合は、共押し出し法で製膜するのが好ましいが、限定はされない。例えば、押し出しラミネート法で製造しても良いし、2枚以上のフィルムを接着剤等で貼り合わせても良い。
本発明においては、光拡散度の等方性の高いものが好ましいが、限定はされない。等方性に近づけるには、押し出し機で溶融した樹脂をダイからシート状に押し出して、該シートを冷却ロールに押し圧ロールで圧接して密着させ、冷却固化させて製膜することが好ましい。冷却ロールに押し圧ロールで圧接して密着させるということを満たせば、その具体的な方法は限定されない。例えば、一般的に実施されている冷却ロールに比べて径の細い押し圧ロールで圧接しても良いし、径の同じ2個の冷却ロールの間にシートを押し出して、冷却ロール同士で圧接しても良い。また、この方法において、該押し圧ロール及び/または冷却ロール表面を粗面化処理したロールを用いて、前記した賦型処理による粗面化を同時に行っても良い。
等方性を求める場合は、無延伸でかつ、溶融押し出しの際にドラフトをかけないで製造するのが好ましいが、下記のように異方性のフィルムを複数使用することでも可能である。即ち、内部光拡散層にポリエステル系樹脂を用い、一方向に2〜10倍延伸することで島相が延伸方向に引き伸ばされ細長い構造になり、該島相の配向方向と直交した方向の光拡散性が著しく向上して、本発明の目指す高い拡散性が確保できる。二枚以上のフィルムを主光拡散方向が直交するように重ね合わせて使用するのが好ましい。
上記の少なくとも二種の非相溶性の熱可塑性樹脂の混合物は、それぞれの熱可塑性樹脂を製膜工程の押出し機などで配合してもよいし、予め混練法等で事前に混合物とした形で用いてもよい。
(第一光拡散部材(A)の光拡散方式による好ましい光学特性)
本発明において、第一光拡散部材(A)が微粒子を含有した層あるいは賦型により表面凹凸が付けられてなる表面光拡散部材(A1)よりなる場合と、第一光拡散部材(A)が互いに相溶しない樹脂の混合物よりなる層を含む内部光拡散部材(A2)よりなる場合とでは、好ましい光学特性が微妙に異なる。以下にその差異を述べる。
第一光拡散部材(A)が微粒子を含有した層あるいは賦型により表面凹凸が付けられてなる表面光拡散部材よりなる場合、その全光線透過率/平行光線透過率比は10〜110であり、第二光拡散部材(C)を積層しない状態での表面光拡散積層体の全光線透過率/平行光線透過率比と全光線透過率との複合特性が2800〜4300の特性を有することが好ましい。全光線透過率/平行光線透過率比は11〜100がより好ましく、12〜90がさらに好ましい。全光線透過率/平行光線透過率比が10〜110であることにより、初めて高い正面輝度と低い輝度斑の両立を図ることができる。上記範囲を超えた場合、あるいは上記範囲未満の場合のいずれにおいても、正面輝度が低くなり、しかも輝度斑も大きくなる。全光線透過率/平行光線透過率比と全光線透過率との複合特性は3000〜4100がより好ましく、3100〜4100がさらに好ましい。上記範囲を満たすことにより高輝度化と低輝度斑の両立を図ることができ、高輝度で、かつ輝度斑を小さくすることが達成できる。上記範囲を超えた高い光拡散度の場合あるいは上記範囲未満の低い光拡散度のいずれにおいても輝度が低くなり、しかも輝度斑も大きくなる。
第一光拡散部材(A)が互いに相溶しない少なくとも2種の樹脂の混合物よりなる層を含む内部光拡散部材(A2)よりなる場合、その全光線透過率/平行光線透過率比は8〜100であり、第二光拡散部材(C)を積層しない状態での内部光拡散積層体の二次函数光拡散度が2200〜4200の特性を有することが好ましい。全光線透過率/平行光線透過率比は、9〜100がより好ましく、10〜100がさらに好ましい。上記範囲を満たすことにより、初めて高い正面輝度と低い輝度斑の両立を図ることができる。上記範囲を超えた場合、あるいは上記範囲未満の場合のいずれにおいても、正面輝度や正面照度が低くなり、しかも輝度斑も大きくなる。二次函数光拡散度性は2200〜4000であることがより好ましく、2300〜3800がさらに好ましい。
表面光拡散部材の全光線透過率/平行光線透過率比を前記した好ましい範囲に制御する方法は限定されず、以上述べたような方法を適宜採用すれば良い。
内部光拡散部材の全光線透過率/平行光線透過率比を前記した好ましい範囲に制御する方法は限定されず、以上述べたような樹脂の種類、該組成比や製造条件を適宜採用すれば良いが、内部光拡散部材の全光線透過率/平行光線透過率比は単層構造の場合は内部光拡散部材の厚みの影響を受け、また、多層構造の場合は光拡散層の厚みの影響を受けるので、光拡散部材や光拡散層の厚みで制御するのが好ましい。
(第二光拡散部材(C))の光拡散度)
本発明の第二光拡散部材(C)は、全光線透過率/平行光線透過率比が1.0〜30であることが必要である。1.0〜10が好ましく、1.1〜9がより好ましい。全光線透過率/平行光線透過率比が1.0未満ではレンズフィルム表面の表面光沢度が高くなり、外観不良が悪化するので好ましくない。逆に、全光線透過率/平行光線透過率比が30を超えた場合は、表面光沢度や外観不良の改善効果が飽和し、照度や輝度が低下するので好ましくない。
(第二光拡散部材(C)の構成及び製造方法)
本発明の第二光拡散部材(C)の構成及び製造方法は、全光線透過率/平行光線透過率比を上記範囲であることを満たせば、特に限定されない。例えば、上述した第一光拡散部材(A)の構成及び製造方法の中から選択をすれば良い。
(光拡散積層体の構成)
本発明の光拡散積層体の構成は、レンズフィルム(B)をレンズフィルム(B)のレンズ面の反対面(光拡散層面)と第一光拡散部材(A)が接し、さらにレンズフィルム(B)のレンズ面に第二光拡散部材(C)が接するように積層していることが必要である。本構成により初めて本発明の効果を発現することができる。レンズフィルム(B)のレンズ面と第一光拡散部材(A)が接するように積層した場合は、第一光拡散部材(A)が面光源装置の透明基板上に接するように設置すると、レンズフィルム(B)による集光効果が低くなり、正面輝度向上効果が低くなる。第一光拡散部材(A)及び第二光拡散部材(C)が、片面の表面光拡散タイプ等の光拡散部材に光が入光する面に応じて光拡散度が変わる光拡散部材の場合、第一光拡散部材(A)及び第二光拡散部材(C)のそれぞれレンズフィルム(B)と接する面はどちら側であっても良い。
さらに、本発明においては、上記光拡散積層体の第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)が接する界面に空気層が存在することが好ましい。界面に空気層を存在させるためには、第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)を単に重ね合わせて積層すればよい。また、第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)との使用時のずれを防止するためには、積層体のコーナー部分やへりの部分等を部分的に接着したり、積層体の全面に例えば、ドット状に分散した形で接着剤を用いて部分接着しても良い。
一方、接着剤や粘着剤で全面的に貼り合わせると、界面の空気層が排除されてしまい、レンズフィルム(B)による集光効果が低下して、正面輝度や正面照度向上効果が低下するおそれがあるので避けるのが好ましい。
(光拡散積層体の全光線透過率/平行光線透過率比と全光線透過率の複合特性)
本発明の光拡散積層体は、第二光拡散部材(C)を積層しない状態での光拡散積層体の全光線透過率/平行光線透過率比と全光線透過率との複合特性(以下、二次函数光拡散度と称することもある)が2200〜4300であることが好ましい。2300〜4300がより好ましい。上記範囲を満たすことにより高輝度化と低輝度斑の両立を図ることができ、高輝度で、かつ輝度斑を小さくすることが達成できる。上記範囲を超えた高い光拡散度の場合あるいは上記範囲未満の低い光拡散度のいずれにおいても輝度が低くなり、しかも輝度斑も大きくなる。
(レンズフィルム(B)のレンズ面の中心面粒度(SGr))
本発明のレンズフィルム(B)のレンズ面は、中心面粒度(SGr)が1500〜30000μmであることが好ましい。中心面粒度(SGr)は、三次元表面粗さ計で測定されるレンズ表面の表面積に相関した値である。すなわち、レンズ構造による表面突起の最小二乗法により求められる平均高さの位置で表面突起を水平にスライスした時の突起のスライス面の面積の総和で示される値である。
本発明者等は、例えば、光拡散部材とレンズフィルムを重ね合わせて面光源装置の出光面に設置し、レンズフィルム表面を仔細に観察するとレンズフィルム表面があたかも発光しているがごとく輝いて見えることにより、本発明の構成のように、レンズフィルム(B)が最表層に設置された場合の正面輝度はレンズフィルム(B)のレンズ面の表面積の支配を大きく受けていると考えて、正面輝度と相関のある新たな尺度として中心面粒度(SGr)を確立した。
中心面粒度(SGr)が1500μm未満ではレンズフィルム(B)の表面積が不足し、正面輝度が低くなり、また、輝度斑が大きくなる傾向がある。逆に、30000μmを超えたレンズフィルム(B)を製造することは経済的に困難である。中心面粒度(SGr)は、1800〜30000μmがより好ましい。
上記の中心面粒度(SGr)の最適範囲は、中心面平均粗さ(SRa)が1μm以上である時に成り立つ。従って、中心面平均粗さ(SRa)が1μm以上であることが好ましい。本発明のレンズフィルム(B)レンズ面の中心面平均粗さ(SRa)は3〜30μmがより好ましい。
(レンズフィルム(B)のレンズ構造)
本発明のレンズフィルム(B)のレンズの構造は、特に限定されない。例えば、プリズム構造、レンチキュラー構造等の一方向に配向した山脈タイプの構造や、ドーム型、ピラミッド形等多角錘型、円柱型、多角柱型の凸レンズ構造が配列された非山脈タイプの単峰タイプの構造、該単峰タイプの構造と山脈タイプの構造を組み合わせた構造、及び山脈タイプの構造を直交あるいは交差した形で組み合わせた複合構造のものが挙げられる。
レンズ構造の高さ、幅及び間隔等も限定されない。レンズ構造を構成するプリズムの頂部が丸みを帯びても本発明の趣旨を逸脱するものではない。また、傾斜面を有する構造の場合の傾斜角や円弧構造を有する場合の曲率も限定されない。上記表面構造特性を満たすように適宜設定すれば良い。
本発明のレンズフィルム(B)においては、上述の形状を反転させた凹型の形状であっても良い。該凹型形状であっても上記効果が発現できる。
(レンズフィルム(B)の製造方法)
本発明のレンズフィルム(B)の製造方法は、上記特性を満たせば限定されないが、例えば、透光性の基材上にUV硬化樹脂や放射線硬化樹脂を用いて、紫外線賦型法や放射線賦型法によって成形する方法、或いは、基材上にPET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、PAN(ポリアクリロニトリル共重合体)、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体)等を用いて、当該技術分野では良く知られている押出成形法、射出成型法、あるいは熱プレス成型法によって形成する方法が挙げられる。
(レンズフィルム(B)と第二光拡散部材(C)とを重ね合わせた状態の表面光沢度)
本発明においては、レンズフィルム(B)のレンズ面に第二光拡散部材(C)を重ね合わせた状態の第二光拡散部材(C)側の表面の表面光沢度が5〜80%であることが必要である。
一般に使用されているレンズフィルムは、表面に形成されたレンズ構造のため表面光沢度が高く、外観のぎらつきや干渉斑等の外観不良や出射光照度斑に起因する明度斑等が発生するので、例えば、照明用装置として用いた場合は、これらの欠点を解消することが必要である。
本発明では、レンズフィルム(B)のレンズ面に第二光拡散部材(C)をさらに重ね合わせて表面光沢度を5〜80%という特定の低い範囲にすることにより、上記欠点を解消している。表面光沢度は、5〜70%がより好ましい。表面光沢度が80%を超えた場合は外観不良や明度斑が発生するので好ましくない。逆に5%未満では外観不良や明度斑の改善効果が飽和し、かつ正面輝度や照度が低下する場合があるので好ましくない。
表面光沢度を上記範囲にするためには、後述するごとく第二光拡散部材(C)の全光線透過率/平行光線透過率比を適正な範囲にすることが好ましい。該方法により、前述した本発明の効果の悪化を抑制した形で、外観不良を改善することができる。
(レンズフィルム2枚構成)
本発明においては、光拡散積層体の第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)との間に一方向に配向した山脈タイプの構造よりなるレンズフィルム(D)を、そのレンズ面がレンズフィルム(B)のレンズ面と反対の面と接するように重ね合わせて積層されてなることが好ましい。
レンズフィルム(D)として一方向に配向した山脈タイプの構造のレンズフィルムを用いることにより、他のレンズ構造のレンズフィルムを用いるより高い集光性が発現できる。
一方向に配向した山脈タイプの構造のレンズフィルム(D)としては、プリズムレンズフィルムあるいはレンチキュラーレンズフィルムが挙げられる。
レンズフィルム(B)とレンズフィルム(D)はそれぞれの主配向方向が直交する方向で重ね合せるのが好ましい。主配向方向が平行方向になるように重ね合せた場合はモアレが発生することがある。
該対応により以下の効果が発現される。
(1)レンズフィルム(B)のみの構成よりも正面輝度や正面照度をさらに高めることができる。さらに、輝度斑を低下させることができる。
(2)レンズフィルム(D)として一方向に配向した山脈タイプの構造のレンズフィルムであるプリズムレンズフィルム等を用いることにより、上記効果が大きくなる。
(3)レンズフィルム(D)に関しては、レンズフィルム(B)とは異なり、表面光沢度を特定範囲にすることなく汎用の製品を用いても外観不良の悪化は起こらない。レンズフィルム(B)とレンズフィルム(D)との積層の順番を変えて、レンズフィルム(D)を最表面にすると外観不良が発生する。
(4)レンズフィルム(D)として、0度で入光した時の出射光の配光分布プロファイルにおける出射角度45度における出射光度の落ち込みが3.0以下であることや等方性度が0.72〜1.0であることを満たすレンズ構造のレンズフィルムを用いることにより、レンズフィルム(B)として、上記特性が外れるプリズムレンズフィルムあるいはレンチキュラーレンズフィルムを用いても、輝度や照度の落ち込み及び等方性が改善される。
(作用機構)
本発明は、二律背反事象になると言われている正面輝度や正面照度と輝度斑の関係を新しいコンセプトにより打破し、高い正面輝度や正面照度と低い輝度斑の両立を図ったものである。すなわち、従来技術においては光拡散度の高い光拡散板の使用や複数枚の光拡散部材の組み合わせにより輝度斑の抑制がなされてきたために、輝度斑を低くすると正面輝度が低下し、いわゆる二律背反事象が完全に打破出来ていなかった。
本発明者等は、第一光拡散部材(A)として単独では光拡散度が低く輝度斑を小さくする効果が小さくても、レンズフィルム(B)との組み合わせによる光拡散度の相乗効果及び多重反射拡散方式による光拡散部材に入光する光の均一性の向上効果との多重相乗効果で輝度斑を小さくしてやれば、指向性の高い点光源を用いた直下型面光源装置においても、正面輝度の低下を抑制した形で輝度斑を小さくすることができ、従来技術では実現出来なかった高い正面照度や正面輝度と低い輝度斑の両立が図れるものと考えた。すなわち、第一光拡散部材(A)の光拡散度は適度な範囲として、輝度斑を小さくするのに必要な光拡散度はレンズフィルム(B)との相乗効果を利用して達成する方法が好ましいという仮説を立てた。
本発明者らは、さらに鋭意検討を行った結果、多重反射拡散方式により光拡散部材に入光する光の均一性を高めれば指向性の高い点光源を用いた直下型面光源装置においても、正面輝度と輝度斑との関係は、第一光拡散部材(A)の光拡散度に対して二律背反でなくそれぞれ極大値が存在し、かつ両極大値と極小値を示す第一光拡散部材(A)の光拡散度がほぼ一致するので、この点を中心とした適度な範囲を選ぶことにより、従来技術では達し得なかった高い正面輝度と低い輝度斑の両立を図ることができることを見出した。
上記仮説の正しさが実証できたのは、前述した従来公知の光拡散度評価の課題であった出射光の変角配光分布プロファイルのパターンの影響を無くすることができる全光線透過率/平行光線透過率比や二次函数光拡散度という新規な光拡散度評価法を確立することによって初めて成し得たものである。
上記のごとく本発明においては、第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)の光拡散度の相乗効果を利用して高い正面輝度と低い輝度斑の両立を図っているので、光拡散積層体の光拡散度も重要であると言える。例えば、実施例1において用いた光拡散部材1及びレンズフィルム1のそれぞれ単独での全光線透過率/平行光線透過率比は19.8及び46.8であり、どちらも光拡散度は中レベルである。これに対して、これらの光拡散部材1とレンズフィルム1との積層体の全光線透過率/平行光線透過率比は105.2であり、両部材の相乗効果で光拡散度が大きくなっており、上記仮説の妥当性が示される。
レンズフィルム(B)をレンズフィルム1に限定し、全光線透過率/平行光線透過率比の異なる各種の第一光拡散部材(A)と組み合わせた系においては、光拡散積層体の全光線透過率/平行光線透過率比の適切な範囲は83〜120である。しかし、該適切な範囲はレンズフィルム(B)のレンズ構造の影響を受けることが判った。従って、レンズフィルム(B)のレンズ構造の影響を受けない普遍的な積層体の光拡散度の評価尺度の確立が必要となった。
本発明者等は全光線透過率/平行光線透過率比では、レンズ構造による影響を受けるのは光拡散積層体の光拡散度については拡散透過光の寄与が一次函数として作用するのではなく多次函数として作用するために生じた結果であると推察した。そこで、全光線透過率/平行光線透過率比にさらに拡散透過光の寄与が含まれる全光線透過率を掛け算した複合特性が有効であると考えて検証を行った。その結果、想定通りの結果を得た。そして、高い正面輝度と低い輝度斑の両立を図るには、前述した特定の範囲が適切であることを見出した。上記複合特性は、拡散透過光の寄与が含まれた全光線透過率の2乗を平行光線透過率で除した値であるので、拡散透過光の寄与が多次函数的に作用した尺度となっていると考えており、上記仮説を支持していると推察している。従って、以下、本尺度を二次函数光拡散度と称することもある。
なお、第一光拡散部材(A)の光拡散度は、一次函数光拡散度である全光線透過率/平行光線透過率比で十分であり、二次函数光拡散度を用いる必要はない。光拡散積層体の場合に二次函数光拡散度が好ましいのは、光拡散積層体の場合は、第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)の相乗効果により光拡散度が支配されることに起因していると推察している。
すなわち、輝度斑は、ある角度から面照明を観察した際に、明るい領域と暗い領域とが視認される現象である。このような輝度斑を抑制するには通常、高い光拡散度の光拡散板や光拡散シートが用いられる。このような手段で輝度斑を抑制することが出来る前提としては、明るく見える領域と暗く見える領域とから射出される光量自体には大きな差が無いということである。つまり、面照明を観察する角度方向に射出される光量が多い領域は、明るく観察され、他方、暗く見える領域は、面照明を観察する角度方向への射出光量が相対的に少ない。一方で、当該角度以外へ射出される光量については、この関係が逆転する。すなわち、高い光拡散度の光拡散板や光拡散シートは、明るく見える領域の観察方向へ射出される光を拡散することで低減し、一方で暗く見える領域の観察方向以外へ射出される光を拡散することでその一部を観察方向へと射出角度を変え、観察方向の光量を増加させる。この結果として、輝度斑が抑制されることとなる。ここで一般的に観察方向とは、面照明の法線(正面)方向である場合が多い。
光拡散積層体のレンズフィルムのレンズ面に第二光拡散部材(C)を積層することにより外観不良が改善される理由は定かでないが、光拡散積層体より出光される出射光が第二光拡散部材(C)を通過する際に散乱され、拡散されることにより外観不良を引き起こす方向の光の強度が抑制されていると推察している。ただし、該効果と正面輝度や正面照度とは二律背反事象となる。該課題の解決においても、前述の課題である正面輝度や正面照度と輝度斑の両立と同様に、前述した従来公知の光拡散度評価の課題であった出射光の変角配光分布プロファイルのパターンの影響を無くすることができる全光線透過率/平行光線透過率比という新規な光拡散度評価法を確立することによって初めて成し得たものである。この点は図13において明確に示されている。
(光拡散積層体の使用方法)
本発明の光拡散積層体は、前記した多重反射拡散方式の直下型面光源装置の出光面側に、第二光拡散部材(C)側の表面が外側になるように設置されることが必要である。この場合、片面のみに光拡散層が形成されたものを用いる場合は、第一光拡散部材(A)の設置方向は問わない。光拡散層面がレンズフィルム(B)と接する方向であってもよいし、光拡散層面が面光源装置と接する方向であっても良い。例えば、本発明の光拡散積層体を、上記直下型面光源装置の出光面側に第二光拡散部材(C)側の表面が接するように上記方法と逆向きに設置した場合は、レンズフィルムによる集光効果が低くなり、正面輝度向上効果が低くなるので好ましくない。
本発明においては、光拡散積層体の第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)とが接する界面に空気層が存在することが好ましい。界面に空気層を存在させるためには、第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)を単に重ね合わせて積層すればよい。また、第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)との使用時のずれを防止するためには、積層体のコーナー部分やへりの部分等を部分的に接着したり、積層体の全面に例えば、ドット状に分散した形で接着剤を用いて部分接着しても良い。一方、接着剤や粘着剤で全面的に貼り合わせると、界面の空気層が排除されてしまい、レンズフィルム(B)による集光効果が低下して、正面輝度や正面照度向上効果が低下する。
レンズ構造によって面照明の輝度斑を抑制するには、レンズフィルム(B)へと入射する光の法線方向の光量と法線方向以外の光量とのバランスが重要となる。本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、先述したような光拡散性能を持つ第一光拡散部材(A)を面光源との間に挿入することで、輝度斑の抑制と高輝度との両立が可能である。
一方、レンズフィルム(B)によるバックライト装置の光源により発せられる光の取り出し効率は、レンズ面の表面積に支配を受け、表面積が高い方が取り出し効率が高くなるので、より高い正面輝度が得られる。従って、レンズフィルム(B)のレンズ表面の表面積と相関を有する中心面粒度(SGr)を高くすることが好ましい。
本発明においては、光拡散積層体は多重反射拡散方式の直下型面光源装置のハウジングの出光面に直接接触させて設置してもよいが、離して設置する方が本発明の効果を大きく出せるので好ましい実施態様である。該空間距離は限定されないが、0.1〜50mm程度が好ましい。0.2〜30mmがより好ましく、0.3〜20mmがさらに好ましい。ハウジングの出光面に直接接触させて設置させずにハウジン表面と光拡散積層体との間に空間を設けることにより、前述したハウジングの出光面に設けられた開口部のパターンの隠蔽性を向上させることができるので好ましい。ただし、空間距離が50mmを超えた場合は、上記隠蔽性の効果が飽和し、正面照度や正面輝度が低下するので好ましくない。また、面光源装置の厚みが厚くなるという課題にも繋がる。
光拡散積層体の厚みが薄い場合は、透明なシートや板よりなる支持体を用いてフラッター方式の直下型面光源装置の出光面に設置しても良い。該透明支持体の厚みも限定されないが、0.5〜5mm程度が好ましい。
(面光源装置の輝度あるいは照度特性)
本発明の面光源装置は、実施例において記載した輝度分布プロファイルの等方性や輝度分布プロファイルの中間角度における輝度の落ち込みのランクの数値ができる限り小さいことが好ましい。このようにすることにより、本発明の面光源装置を一般の照明用として用いた時に、方向性のない均一な照明を達成することができる。また、表示装置の光源として用いた場合に特定方向の視野角の低下や特定角度での輝度低下の発生を抑制することができる。
(表示装置)
本発明においては、上記面光源装置を表示装置用の光源として用いることができる。上記面光源装置は、高い輝度及び輝度斑が低減できるので、表示装置用の光源として用いた場合に、表示装置の明るさや明るさの均一性が向上し、表示画面の視認性を向上させることができる。あるいは、高度な輝度が必要でない使用方法においては、ランプの光量を低減できるので、表示装置の製造コストや表示装置の使用時のエネルギー消費量を低減することができ、経済的効果や環境負荷を低減することが可能となる。該表示装置としては、面光源装置により発せられる光により、何らかの情報を伝達する機能を有した装置であれば限定されない。例えば、パソコン、TV及び車両等の輸送装置用のLCD表示装置が挙げられる。また、広告や案内板等の非動画の表示装置が挙げられる。
(照明装置)
本発明においては、上記面光源装置を照明用の光源として用いることができる。上記面光源装置は、高い輝度、すなわち高い照度及び照度の斑を低減できるので、照明用の光源として用いた場合に、照明装置の明るさ及び均一性を向上させることができる。また、本発明の面光源装置は輝度斑が小さいので照明装置として用いた場合に照明装置を直視した時の明るさの斑が小さく見えるので、見ための品位を高めることができる。あるいは、高度な照度が必要でない使用方法においては、ランプの光量を低減できるので、照明装置の製造コストや照明装置の使用時のエネルギー消費量を低減することができ、経済的効果や環境負荷を低減することが可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、実施例で採用した測定・評価方法は次の通りである。また、実施例中で「部」とあるのは断りのない限り「質量部」を意味し、「%」とあるのは断りのない限り「質量%」を意味する。
1、全光線透過率/平行光線透過率比及び全光線透過率/平行光線透過率比と全光線透過率の複合特性(二次函数光拡散度)
(全光線透過率)
自記分光光度計(UV−3150:島津製作所社製)に積分球付属装置(ISR−3100:島津製作所社製)をセットして、スリット幅12nmで波長300〜800nmの範囲を高速でスキャンして分光スペクトルの測定を行い、550nmにおける透過率で表示した。
(平行光線透過率)
自記分光光度計(UV−3150;島津製作所社製)を用いて、スリット幅12nmで波長300〜800nmの範囲を高速でスキャンして分光スペクトルの測定を行い、550nmにおける透過率で表示した。
上記測定においては、光拡散部材、レンズフィルム及び光拡散積層体のいずれの場合も、試料の主光拡散方向が水平方向になるように試料固定器具に固定して測定をした時の値を用いた。
主光拡散方向は以下の方法で検出した。
光拡散部材の場合は、試料にレーザーマーカーで光を当て、出射光の拡散方向を検知して決定した。レンズフィルムの場合は、レンズフィルムあるいはレンズフィルムと光拡散フィルム(きもと社製ライトアップフィルム(商標登録)100DX2)とをレンズフィルムのレンズ面の反対面と光拡散フィルムが接するように重ね合わせて、光拡散フィルム側よりレーザーマーカーで光を当てて暗所の約3cm程度の距離の白板にレーザーマーカーの出射光のパターンを投影し、そのパターンより判定した。
光拡散部材については、実際に使用する場合の光の透過方向が一致する向きで試料を固定して測定するのが良い。本発明においては、反光拡散層側から入光する向きで固定して測定した。
レンズフィルムの場合はレンズ面の反対面より入光して測定した。
光拡散部材とレンズフィルムを積層した光拡散積層体の場合はレンズフィルムのレンズ面との反対面と光拡散部材を重ね合わせて光拡散部材側から入光する方向で試料固定器具に固定して測定した。
光拡散部材において、試料の両面で表面粗度が異なる場合は、実際に使用する場合の光の透過方向が一致する向きで試料を固定して測定するのが良い。本発明においては、表面粗度が低い方から入光する向きで固定して測定した。
(全光線透過率/平行光線透過率比)
上記方法で測定された全光線透過率を平行光線透過率で除して算出した。該全光線透過率/平行光線透過率比の値が高い程、光拡散度が高い。
(二次函数光拡散度)
上記方法で求めた全光線透過率/平行光線透過率比と全光線透過率を掛け合わせて求めた。
2、非分光全光線透過率及びヘーズ
日本電色工業株式会社製ヘーズ測定器「NDH−2000」を用いて、JIS K 7136に準拠して測定した。
上記測定においては、試料の主光拡散方向が水平方向になるように試料固定器具に固定して測定をした時の値を用いた。主光拡散方向は、試料にレーザーマーカーで光を当て、出射光の拡散方向を検知して決定した。
試料の両面で表面粗度が異なる場合は、実際に使用する場合の光の透過方向が一致する向きで試料を固定して測定するのが良い。本発明においては、表面粗度が低い方から入光する向きで固定して測定した。
3、拡散透過率
株式会社村上色彩研究所製ヘーズ・透過率計「HR−100」を用いて、JIS K 7361に準拠して測定した。
上記測定においては、試料の主光拡散方向が水平方向になるように試料固定器具に固定して測定をした時の値を用いた。主光拡散方向は、試料にレーザーマーカーで光を当て、出射光の拡散方向を検知して決定した。
試料の両面で表面粗度が異なる場合は、実際に使用する場合の光の透過方向が一致する向きで試料を固定して測定するのが良い。本発明においては、表面粗度が低い方から入光する向きで固定して測定した。
4、中心面粒度(SGr)
接触式の三次元表面粗さ測定装置((株)小坂研究所製 二次元、三次元表面粗さ解析システム TDA−21)により、以下に示す条件で測定して求めた。
(測定条件)
TABLE PITCH :0.005
REC PITCH :1
H.MAGNIFICATIN :200
MEASURING LENGTH :1mm
V.MAGNIFICATION :500
CUT OFF :0.25
TRAVERSING LENGTH :REC
本数 :100本
なお、触針は2μmで90度のものを用いた。
5、表面光沢度
日本電色工業株式会社製光沢計「VG2000」を用いて、JIS Z 8741に準じ、第二光拡散部材(C)の表面の角度60度の光沢度を測定した。測定は主配光方向及び主配光方向と直交する方向の両方向の値を測定して、光沢度の高い方の値を表面光沢とした。
6、直下型面光源装置における輝度及び輝度斑
(1)直下型面光源装置
図1に示した模式図に準じ、以下の仕様の多重反射拡散方式の直下型面光源装置を用いた。
ハウジング高さ:5mm
ハウジングの内径:100×100mm
LED光源:出力2Wの二次光学レンズなしのLED光源4個
光源間距離:各50mm4灯がハウジングと相似形の正方形の各正方形の直線が交わる交点上に設置
外枠(図1の9)の高さ:8mm
透明アクリル板(図1の5:第一光拡散部材、レンズフィルム、第二光拡散部材等の光学部材設置の支持体)の厚み:2mm
ハウジング(図1の2〜4)の材質:発泡タイプ(古河電工社製のMC−PET)
外枠(図1の9)の材質:白色樹脂
ハウジング出光部の部分的な開口部のパターン:図2に示したパターンに準ずる。
(2)正面輝度及び輝度斑
上記の直下型面光源装置の透明アクリル板上に光学部材を設置して、RISA−COLOR/ONE−II(ハイランド社製)を用いて測定を行った。
すなわち、光学部材表面の輝度をRISA−COLOR/ONE−II(ハイランド社製)を用いて直上から観察し、ピクセル設定によるライン解析により輝度のプロファイルをピクセ法で測定した。該ライン解析は2個の光源の中心部を結ぶ直線上の直下型面光源装置の端から端までのプロファイルを測定した。
上記測定は透明アクリル板表面から輝度計までの距離500mmで測定した。
正面輝度は上記プロファイルの平均輝度で表示した。輝度斑は上記プロファイルの最大輝度、最少輝度及び平均輝度より、下記式で求めた。
[(最大輝度―最少輝度)÷平均輝度]×100
上記測定はレンズフィルムの主配向方向と平行方向で測定した。該レンズフィルムの光拡散特性の主配向方向は、レンズフィルムの半レンズ面にきもと社製の光拡散フィルムであるライトアップフィルム100DX2の光拡散層側が接するように重ねあわせてライトアップフィルム側よりレーザーマーカの光を当て約2cm離した壁に出射光のパターンを投影して判定できる。該投影光パターンの長手方向が主光拡散方向である。該判定は暗所で行った。測定は暗室で行った。
7、直下型面光源装置の正面照度
上記直下型面光源装置の中心部輝度と輝度斑測定に用いたRISA−COLOR/ONE−II(ハイランド社製)を変角照度計ZERO−ONE(ハイランド社製)に変更して、正面照度(出光角度0度)を測定した。
透明アクリル板表面と照度計までの距離が500mmになる位置で測定した。測定は暗室下で行った。
8、外観不良及び明度斑
上記の輝度及び輝度斑測定時に測定試料の表面の輝度状況を全方位において、観察角度を変えて肉眼で観察して、ぎらつきの有無を判定した。ぎらつきの見えない場合を○で、見える場合を×で表示した。
また、暗室の電灯を消灯して暗室の壁面を肉眼で観察して、明度の斑の有無を観察し、斑のない場合を○、ある場合を×で表示した。
9、熱可塑性樹脂のメルトフローレート
JIS K 7210 A法に準拠して、2.16kgfの条件で測定した。
(光拡散部材の製造例)
1、光拡散部材1
厚み100μmの高透明性ポリエステルフィルム(東洋紡績社製 コスモシャインA4300)の片面に、平均粒径が3μmの真球状のアクリル樹脂粒子(東洋紡績社製 タフチック(TM)FHーS300)50質量部とポリウレタン樹脂50質量部の混合物を、乾燥後厚みで30μmになるように、塗工機を用いて、塗布および乾燥をすることにより光拡散部材1を得た。その特性を表1に示す。
2、光拡散部材2
厚み100μmの高透明性ポリエステルフィルム(東洋紡績社製 コスモシャインA4300)の片面に、下記方法で調製した共重合ポリエステル樹脂7.0重量%、平均粒径2.0μmの有機粒子(ベンゾクアナミンホルムアルデヒド縮合物)4.0重量%、帯電防止剤(カチオン系第4級アンモニウム塩)0.32重量%、溶媒として水50重量%、IPA(イソプロピルアルコール)40重量%よりなるコート液組成物を乾燥重量で1.0g/mとなるように、リバースロール法で塗布、乾燥後、160℃で30秒熱処理をし、表面光拡散層を形成して表面光拡散部材2を得た。その特性を表1に示す。
(共重合ポリエステル樹脂の調製)
撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブに、テレフタル酸747部、イソフタル酸664部、セバシン酸202部,フマル酸58部,エチレングリコール744部、ネオペンチルグリコール720部を仕込み、160℃から220℃まで、3時間かけてエステル化反応を行った。次いで、テトラ−n−ブチルチタネート0.7部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、0.22mmHgの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステルを得た。得られたポリエステルは、重量平均分子量20000であり、淡黄色透明であった。
3、光拡散部材3
表面光拡散部材1の製造方法において、光拡散層の厚みを35μmに変更する以外は、表面光拡散部材1の製造方法と同じ方法で表面光拡散部材3を得た。その特性を表1に示す。
4、光拡散部材4
厚み188μmの高透明性ポリエステルフィルム(東洋紡績社製 コスモシャインA4300)の片面に、透明アクリル系光硬化型樹脂組成物(ダイセルサイテック(株)製、商品名「PETIA」)を塗布し、ロール金型で賦型し、紫外線を照射する紫外線賦型法により、三次元平均表面粗さ(SRa)が1.5μmのランダムな表面突起が賦型された表面光拡散部材4を得た。その特性を表1に示す。
5、光拡散部材5
厚み100μmの高透明性ポリエステルフィルム(東洋紡績社製 コスモシャインA4300)の片面に、表面光拡散フィルム4に用いたのと同じ共重合ポリエステル樹脂10質量%、平均粒径0.9μmの炭酸カルシューム(丸尾カルシューム社製 カルテックス5)1.0質量%、帯電防止剤(カチオン系第4級アンモニウム塩)0.32重量%、溶媒として水50重量%、IPA(イソプロピルアルコール)40質量%よりなるコート液組成物を、乾燥重量で1.0g/mとなるように、リバースロール法で塗布、乾燥後、160℃で30秒熱処理をし、表面光拡散層を形成して表面光拡散部材5を得た。その特性を表1に示す。
6、光拡散部材6
光拡散部材1の製造方法において、表面光拡散層を高透明性ポリエステルフィルム(東洋紡績社製 コスモシャインA4300)の両面に積層するように変更する以外は、光拡散部材1の製造方法と同じ方法で光拡散部材6を得た。その特性を表1に示す。
7、光拡散部材7
ポリプロピレン樹脂(住友化学社製、住友ノーブレン FS2011DG3)50質量部、エチレン・ブテン共重合体(三井化学社製、タフマー A0585X)30質量部及びナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(三井化学社製、ノティオ PN3560)20質量部を予め2軸の押し出し機で溶融押し出しすることにより得た混練されたポリオレフィン系樹脂組成物を、60mmφ単軸押出機(L/D;22)内で樹脂温度240℃にて溶融混合してTダイで押出した後、20℃のキャスティングロールで冷却することにより未延伸シートを得た。次いでこの未延伸シートを縦延伸機のロール周速差を利用して延伸温度118℃で4.5倍に延伸し、更に横方向に145℃で8.2倍に延伸をし、158度で熱セットをした。引き続きその片面にコロナ処理をして厚み25μmの光拡散部材7を得た。その特性を表1に示す。
8、光拡散部材8
2台の溶融押し出し機を用い、第1の押し出し機にて、環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))35質量部とエチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))65質量部を光拡散層とし、第2の押し出し機にて、ポリプロピレン系の接着性樹脂(アドマー(TM)SE800 三井化学社製 メルトフローレート:5.7(190℃))が両表層となるように、Tダイ方式にて溶融共押出し後、鏡面の冷却ロールで冷却することにより、総厚み56μmの両面に熱密着層が積層された光拡散部材8を得た。その特性を表1に示す。なお、上記冷却時の冷却ロールへのフィルムの密着はバキュームチャンバーを用いて行った。層厚み構成は8/40/8(μm)であった。
第1の押し出し機の押し出し温度は230℃とし、第2の押し出し機温度は250℃とした。
9、光拡散部材9
(1)結晶性ホモポリエステル樹脂(M1)の製造
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸(86.4質量部)及びエチレングリコール(64.4質量部)からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモン(0.017質量部)及びトリエチルアミン(0.16質量部)を添加した。次いで、加圧昇温を行いゲージ圧3.5kgf/cm、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、酢酸マグネシウム4水和物(0.071質量部)、次いでリン酸トリメチル(0.014質量部)を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル(0.012質量部)、次いで酢酸ナトリウム(0.0036質量部)を添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、減圧下260℃から280℃へ徐々に昇温し、所定の固有粘度になるまで、285℃で重縮合反応を行った。
重縮合反応終了後、濾過粒子サイズ5μm(初期濾過効率:95%)のナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットした。得られた結晶性ホモポリエステル樹脂(M1)は、結晶融解熱が35mJ/mg、融点が256℃、固有粘度が0.56dl/g、溶融粘度が91Pa・s、Sb含有量が144ppm、Mg含有量が58ppm、P含有量が40ppm、カラーL値が56.2、カラーb値が1.6であった。また、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった。
(2)共重合ポリエステル樹脂(M2)の製造
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位70モル%及びネオペンチルグリコール単位30モル%を構成成分とする、固有粘度が0.59dl/g、溶融粘度が121Pa・s、の共重合ポリエステル樹脂(M2)を(M1)の作製方法に準じて作製した。
(3)ポリスチレン(M3)
溶融粘度が147Pa・sのポリスチレン樹脂(PS)を使用した。
(4)塗布液(M4)の調製
ジメチルテレフタレート(95質量部)、ジメチルイソフタレート(95質量部)、エチレングリコール(35質量部)、ネオペンチルグリコール(145質量部)、酢酸亜鉛(0.1質量部)および三酸化アンチモン(0.1質量部)を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(6.0質量部)を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)、2時間かけて重縮合反応を行い、数平均分子量19,500の共重合ポリエステル系樹脂を得た。
得られた共重合ポリエステル系樹脂の30質量%水分散液を7.5質量部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン系樹脂の20質量%水溶液を11.3質量部、有機スズ系触媒を0.3質量部、水を39.8質量部およびイソプロピルアルコールを37.4質量部、それぞれ混合した。
さらに、フッ素系ノニオン型界面活性剤の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加した。次いで、5質量%の重曹水溶液で塗布液のpHを6.2に調整し、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が10μmのフェルト型ポリプロピレン製フィルターで精密濾過し、塗布液(M4)を調整した。
(5)フィルムの製造
光拡散層の原料として、結晶性ホモポリエステル(M1)57質量部、共重合ポリエステル(M2)38質量部と、ポリスチレン(M3)5質量部とを、それぞれ135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、混合し、第1の押出機に供給した。また、支持層(A)の原料として結晶性ホモポリエステル(M1)76.7質量部、共重合ポリエステル(M2)23.3質量部を、それぞれ6時間減圧乾燥(1Torr)した後、混合し、第2の押出機に供給した。
各押出機の溶融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの設定温度を275℃、フィルターの後のポリマー管の設定温度を270℃とし、第1の押出機、及び第2の押出機から供給された各原料を、2層合流ブロックを用いて積層し、口金よりシート状に溶融押し出した。
なお、(A)層と(B)層との厚み比率は、90対10となるように、各層のギアポンプを用いて制御した。また、上記のフィルターには、いずれもステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm粒子を95%カット)を用いた。また、口金の温度は、押出された樹脂温度が275℃になるように制御した。
押し出した樹脂を、表面温度30℃の冷却ドラムに静電印加法を用いて密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作成した。このとき、(A)層面を冷却ドラムに接する面とした。また、冷却ドラムによる未延伸フィルムの引き取り速度は、12m/分とした。
得られた未延伸フィルムを、予熱ロールを用いて79℃に加熱し、周速が異なるロール間で、縦方向に3.4倍に延伸した。このとき、赤外線放射温度計にてフィルムの温度をモニターし、フィルムの最高温度が100℃になるように、ヒーター温度を制御した。
縦延伸完了後、得られた一軸延伸フィルムを50℃まで冷却した後、フィルムの片面(A層側)に塗布液(M4)を塗布した。塗布液はウェット塗布量が約15g/mとなるように制御した。その後、乾燥炉にて塗布面を乾燥した。
塗布層を有する一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持して、テンターに導き、120℃に予熱した後、135℃で横方向に2.5倍延伸したのち、140℃で横方向に1.6倍延伸し、さらに240℃で10秒間熱処理し、60℃まで冷却する過程で横方向に3.3%の緩和処理を行い、全厚み100μmの光拡散部材9を作成した。その特性を表1に示す。
10、光拡散部材10
環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))35質量部とエチレンとオクテンからなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))65質量部を池貝鉄工社製PCM45押出機を用いて樹脂温度250℃で溶融混合してTダイで押出し、冷却ロール面にシリコーン処理されたポリエステルフィルム(厚み50μm)を通過させながら、該ポリエステルフィルムの表面に積層し、シリコーンゴム製の押さえロールで冷却ロールに押さえつけ冷却することにより、上記の樹脂組成からなる、層厚み100μmの光拡散層が積層されたポリエステルフィルムベースの光拡散部材10を得た。その特性を表1に示す。
11、光拡散部材11
環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6015 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:0.41(230℃))50質量部とエチレンとオクテンからなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))50質量部を、池貝鉄工社製PCM45押出機を用いて樹脂温度250℃で溶融混合してTダイで押出し、梨地加工した冷却ロール(Ra=0.55)で冷却することにより、厚み200μmの光拡散部材11を得た。その特性を表1に示す。なお、上記冷却ロールの反対面は表面に離型処理をした(Ra=1.0)押さえロールを用いた。
12、光拡散部材12
2台の溶融押し出し機を用い、第1の押し出し機にて、環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))35質量部とエチレンとオクテンからなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))65質量部を光拡散層とし、第2の押し出し機にて、ポリプロピレン系の接着性樹脂(アドマー(TM)SE800 三井化学社製 メルトフローレート:5.7(190℃))が両表層となるように、Tダイ方式にて溶融共押出し後、鏡面の冷却ロールで冷却することにより、総厚み126μmの両面に熱密着層が積層された光拡散部材12を得た。その特性を表1に示す。なお、上記冷却時の冷却ロールへのフィルムの密着はバキュームチャンバーを用いて行った。層厚み構成は18/90/18(μm)であった。第1の押し出し機の押し出し温度は230℃として、第2の押し出し機温度は250℃とした。
13、光拡散部材13
光拡散部材11の製造方法において、フィルム厚みを400μmに変更する以外は、光拡散部材11の製造方法と同様の方法で光拡散部材13を得た。その特性を表1に示す。
14、光拡散部材14
帝人化成社製のポリカーボネート系樹脂系の光拡散板(パンライト(TM)65HLW1.5mm)を使用した。その特性を表1に示す。
15、光拡散部材15
2台の溶融押し出し機を用い、基層として第1の押し出し機にて、ポリプロピレン樹脂FLX80E4(住友化学社製、住友ノーブレン、メルトフローレート:7(230℃))を供給し、表層として第2の押し出し機にて、ポリプロピレン系の接着性樹脂(三井化学社製、アドマーQF551、メルトフローレート:5.7(230℃))を供給して、Tダイ方式にて溶融共押出し後、梨地の表面温度50℃冷却ロールで冷却することにより、厚み80μmの光拡散部材15を得た。その特性を表1に示す。なお、上記冷却時の冷却ロールへのフィルムの密着はバキュームチャンバーを用いて行った。第1押し出し機および第2押し出し機共に一軸方式であり、出口温度はともに250℃とした。また、冷却ロールの表面温度は50℃に設定した。フィルムは21m/分の速度で巻き取った。層厚み構成は11/57/11(μm)であった。
16、光拡散部材16
3台の溶融押し出し機を用い、基層として第1の押し出し機(PCM60押し出し機:池貝工社製)で、ポリプロピレン樹脂FLX80E4(住友化学社製、住友ノーブレン、メルトフローレート:7(230℃))を供給し、冷却ロール側の表層として第2の押し出し機(PCM65押し出し機:池貝工社製)で、ポリプロピレン系の接着性樹脂(三井化学社製、アドマーQF551、メルトフローレート:5.7(230℃))を供給し、冷却ロールと反対側の表層として第3の押し出し機(PCM45押し出し機:池貝工社製)で、環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6015S−04 Topas Advanced Polymers社製メルトフローレート:0.4(230℃))2質量部とポリプロピレン樹脂FLX80E4(住友化学社製、住友ノーブレン、メルトフローレート:7(230℃))98質量部とを供給して、樹脂温度250℃で、Tダイ方式にて溶融共押出し後、鏡面の冷却ロールで冷却することにより、光拡散部材16を得た。その特性を表1に示す。なお、上記冷却時の冷却ロールへのフィルムの密着は静電気密着法で行った。冷却ロールの表面温度は20℃に設定した。フィルムは5m/分の速度で巻き取った。層厚み構成は11/57/11(μm)であった。
17、光拡散部材17
光拡散部材15の製造方法において、鏡面の冷却ロールに替え、かつ表面温度を20℃にする以外は、光拡散部材15と同様の方法で光拡散部材17を得た。その特性を表1に示す。
(レンズフィルムの製造例)
以下、レンズ面の反対面に拡散層が積層されたレンズフィルム複合体を含めてレンズフィルムと称する。
1、レンズフィルム1
厚み188μmの高透明性ポリエステルフィルム(東洋紡績社製 コスモシャインA4300)の片面に、透明アクリル系光硬化型樹脂組成物(ダイセルサイテック(株)製、商品名「PETIA」)を塗布し、ロール金型で賦型し、紫外線を照射する紫外線賦型法により、頂角90度、プリズム高さ25μm、プリズム底辺の幅51μmのレンズフィルム1を得た。
得られたレンズフィルムの特性を表2に示す。
2、レンズフィルム2
レンズフィルム1の製造方法においてレンズ構造を半径40μmの半円状に変更したレンチキュラータイプに変更する以外は、レンズフィルム1と同様の方法でレンズフィルム2を得た。
得られたレンズフィルム2の特性を表2に示す。
3、レンズフィルム3
厚み188μmの高透明性ポリエステルフィルム(東洋紡績社製 コスモシャインA4300)の片面に、透明アクリル系光硬化型樹脂組成物(ダイセルサイテック(株)製、商品名「PETIA」)を塗布し、ロール金型で賦型し、紫外線を照射する紫外線賦型法により、高さが25μmで直径が50μmの半球状のドーム形状の突起が最密充填された形で賦型されたレンズフィルム3を得た。
得られたレンズフィルム3の特性を表2に示す。
(実施例1〜4及び比較例1〜5)
測定・評価方法の6、に記載される直下型面光源装置を用いて、第一光拡散部材(A)、レンズフィルム(B)、及び第二光拡散部材(C)としてそれぞれ、表3に示したものを使用して、測定・評価方法の6、に記載される正面輝度及び輝度斑に準じた方法で、その特性を評価した。第一光拡散部材(A)、レンズフィルム(B)、及び第二光拡散部材(C)は、第一光拡散部材(A)と、レンズフィルム(B)と、第二光拡散部材(C)とを、第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)のレンズ面の反対面が接し、第二光拡散部材(C)とレンズフィルム(B)のレンズ面が接するように積層された光拡散積層体を、第二光拡散部材(C)側の表面が外側になるように出光部の出光面側に設置した。なお、該実施例に用いた第一光拡散部材(A)はいずれもが表面光拡散部材(A1)より選んで評価したものである。
評価結果を表3に示す。
表3の数値を用いて、表面光拡散タイプの第一光拡散部材(A1)の全光線透過率/平行光線透過率比と正面照度や輝度斑との関係を図3に、表面光拡散タイプの第一光拡散部材(A1)の全光線透過率/平行光線透過率比と正面輝度や輝度斑との関係を図4に、表面光拡散タイプの光拡散積層体の二次函数光拡散度と正面照度や輝度斑との関係を図5に、表面光拡散タイプの光拡散積層体の二次函数光拡散度と正面輝度や輝度斑との関係を図6に示す。
表面光拡散タイプの第一光拡散部材(A1)の全光線透過率/平行光線透過率比や表面光拡散タイプの第一光拡散部材積層体(A1)の二次函数光拡散度が適度な範囲においてのみ、初めて高い正面照度や正面輝度と低い輝度斑を両立できることが判る。また、これらの関係は臨界的であることも示される。
(実施例5〜7及び比較例6、7)
実施例1において、第一光拡散部材(A)の種類をそれぞれ表4に示したものに変更する以外は、実施例1と同様の方法で評価した。なお、該実施例に用いた第一光拡散部材(A)はいずれもが内部光拡散部材(A2)より選んで評価したものである。
評価結果を比較例3〜5(表面光拡散部材)の結果と共に表4に示す。
表4の数値を用いて、内部光拡散タイプの第一光拡散部材(A2)の全光線透過率/平行光線透過率比と正面照度や輝度斑との関係を図7に、内部光拡散タイプの第一光拡散部材(A2)の全光線透過率/平行光線透過率比と正面輝度や輝度斑との関係を図8に、内部光拡散タイプの第一光拡散積層体の二次函数光拡散度と正面照度や輝度斑との関係を図9に、内部光拡散タイプの第一光拡散積層体の二次函数光拡散度と正面照度や輝度斑との関係を図10に示す。該比較例データには一部、表面光拡散タイプの第一光拡散部材(A1)の結果も含まれている。
上記の表面光拡散タイプと同様に、内部光拡散タイプの第一光拡散部材においても、第一光拡散部材の全光線透過率/平行光線透過率比や光拡散積層体の二次函数光拡散度が適度な範囲においてのみ、初めて高い正面照度や正面輝度と低い輝度斑を両立できることが判る。また、これらの関係は臨界的であることも示される。
ただし、好ましい特性範囲は、表面光拡散タイプの光拡散部材と内部光拡散タイプの光拡散部材とでは微妙な差異がある。
(実施例8〜11及び比較例8〜12)
実施例1において、第二光拡散部材(C)の種類をそれぞれ表5に示したものに変更する以外は、実施例1と同様の方法で評価した。
評価結果を実施例1の結果と共に表5に示す。
表5の数値を用いて、第二光拡散部材(C)の全光線透過率/平行光線透過率比と正面照度と表面光沢度との関係を図11に、第二光拡散部材(C)の全光線透過率/平行光線透過率比と正面輝度と表面光沢度との関係を図12に示す。
第二光拡散部材(C)の全光線透過率/平行光線透過率比が本発明の範囲において、正面照度や正面輝度と表面光沢度との両立ができることが判る。また、これらの関係は臨界的であることも示される。
(実施例12、13及び比較例13〜16)
実施例1に準じて、第一光拡散部材(A)を光拡散部材1に、第二光拡散部材(C)を光拡散部材9に限定し、各種レンズフィルムを用いた場合及び第一光拡散部材及びレンズフィルム単独系で評価した評価結果を実施例1の結果と共に、表6に示す。
表6の結果より以下のことが言える。
(1)第一光拡散部材及びレンズフィルムのみでは外観不良や明度斑が大きく、かつ輝度斑が大きく、それぞれ単独使用では高い正面照度や正面輝度と低い外観不良や明度斑、輝度斑の両立ができない。第一光拡散部材とレンズフィルムの組み合わせ使用で初めて高い正面照度や正面輝度と低い外観不良や明度斑、輝度斑の両立が図れる。
(2)上記相乗効果はレンズフィルム種を変えても発現されるが、レンズフィルムのレンズ面の中心面粒度(SGr)が低くなると正面照度や正面輝度が低くなる。また、レンズフィルムのレンズ面の中心面粒度(SGr)が低くなると輝度斑が大きくなり、レンズフィルムのレンズ面の中心面粒度(SGr)が1500μm以上であることが好ましいことが判る。中心面粒度(SGr)と正面輝度や輝度斑との関係を図13に示す。
(3)第二光拡散部材を積層することにより、正面照度、正面輝度及び輝度斑等の基本的な特性の低下を抑制した形で外観不良や明度斑が改善できる。
(比較例17)
実施例1において、第一光拡散部材である光拡散部材1とレンズフィルム1との重ね合わせの順番を変更して、直下型面光源装置の透明アクリル板の上にレンズフィルム1のレンズ面の反対面が透明アクリル板と接するように重ね合せて設置し、このレンズフィルム1のレンズ面の上に光拡散部材1の光拡散層の反対面が接するように重ね合せて設置するように変更する以外は、実施例1と同様の方法で評価した。
結果を表7に示す。
(比較例18)
実施例1において、レンズフィルム1の設置向きを反対として、レンズ面が第一光拡散部材である光拡散部材1と接するように重ね合せるように変更する以外は、実施例2と同様の方法で評価した。
結果を表7に示す。
外観不良や明度斑は改善できるが、実施例1の方法に比べて正面輝度及び輝度斑共に大幅に劣る。
以上より、光拡散積層体は、本発明の構成において初めて本発明の効果が発現でき、高い正面輝度と低い輝度斑の両立が図れることが示される。
(実施例14〜17、比較例19、20及び参考例1)
実施例1に準じて、表8に示した光学部材の組み合わせでレンズフィルムを2枚用いた構成での評価をした。ここで、レンズフィルム(B)とレンズフィルム(D)はそれぞれの主配向方向が直行する方向で、かつレンズフィルム(D)のレンズ面がレンズフィルム(B)のレンズ面の反対面とが接するように重ね合せて積層した。
結果を表8に示す。
表8より以下のことが言える。
(1)第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)の間にレンズフィルム(D)を積層することにより、レンズフィルム(B)のみの構成よりも正面輝度や正面照度をさらに高めることができる。さらに、輝度斑を低下させる事ができる。
(2)レンズフィルム(D)として一方向に配向した山脈タイプの構造のレンズフィルムであるプリズムレンズフィルムやレンチキュラーレンズフィルムを用いることにより、他の構造のレンズフィルムを用いた場合より上記効果が大きくなる。
(3)本構成においても、第二光拡散部材(C)を積層しないと外観不良や明度斑が発生する。
本発明の直下型面光源装置は、多重反射拡散方式の直下型面光源装置の出光面に、特定の光拡散度を有する光拡散部材と特定構造と特定特性を有するレンズフィルムを特定構成で組み合わせた光拡散積層体を設置することにより光拡散部材とレンズフィルムをそれぞれ1枚のみという最少枚数の光学部材での組み合わせで高い出光効率や出光効率の均一性が高められるので、面状光源装置の高輝度化や高照度化ができ、かつ輝度や照度の均質性を高めることができる。
さらに、本発明のレンズフィルムは、レンズフィルムの表面光沢度が特定範囲に限定されているので、レンズフィルムのレンズ構造による引き起こされる出光表面のぎらつきや干渉斑等の外観不良や出射光の照度斑に起因する明度斑等を抑制することができる。従って、レンズフィルムのレンズ構造による引き起こされる外観不良や明度斑を抑制した形で、直下型面光源装置の高輝度化や高照度化ができ、かつ輝度や照度の均質性を高めることができる。また、上記直下型面光源装置の使用により、表示装置及び照明装置の性能向上や経済性の向上を図ることができる。
従って、産業界への寄与は大きい。

Claims (14)

  1. 指向性の点光源を配設したハウジング底板、前記ハウジング底板の周囲から立設されたハウジング側板、及び前記ハウジング底板の点光源の指向方向と対向する側に部分的に開口部が設けられて内壁面を反射面で形成した出光部を含み、第一光拡散部材(A)と、レンズフィルム(B)と、第二光拡散部材(C)とを、第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)のレンズ面の反対面が接し、第二光拡散部材(C)とレンズフィルム(B)のレンズ面が接するように積層された光拡散積層体を、第二光拡散部材(C)側の表面が外側になるように出光部の出光面側に設置した直下型面光源装置において、第一光拡散部材(A)、レンズフィルム(B)及び第二光拡散部材(C)が下記(i)〜(iii)の特性を有することを特徴とする直下型面光源装置。
    (i)第一光拡散部材(A)の全光線透過率/平行光線透過率比が8〜110であること、
    (ii)レンズフィルム(B)のレンズ面に第二光拡散部材(C)を重ね合わせた状態の第二光拡散部材(C)側の表面の表面光沢度が5〜80%であること、
    (iii)第二光拡散部材(C)の全光線透過率/平行光線透過率比が1.0〜30であること。
  2. レンズフィルム(B)のレンズ面の中心面粒度(SGr)が1500〜30000μmであることを特徴とする請求項1に記載の直下型面光源装置。
  3. 第二光拡散部材(C)を積層しない状態での光拡散積層体の全光線透過率/平行光線透過率比と全光線透過率との複合特性が2200〜4300であることを特徴とする請求項1又は2に記載の直下型面光源装置。
  4. 第一光拡散部材(A)のヘーズが80〜98%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の直下型面光源装置。
  5. 第一光拡散部材(A)の非分光全光線透過率が68〜90%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の直下型面光源装置。
  6. 第一光拡散部材(A)の拡散光線透過率が60〜98%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の直下型面光源装置。
  7. 第一光拡散部材(A)が、微粒子を含有する層の積層によりあるいは賦型により表面凹凸が付けられている表面光拡散部材(A1)であり、表面光拡散部材(A1)の全光線透過率/平行光線透過率比が10〜110であり、かつ第二光拡散部材(C)を積層しない状態での光拡散積層体の全光線透過率/平行光線透過率比と全光線透過率との複合特性が2800〜4300であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の直下型面光源装置。
  8. 第一光拡散部材(A)が、互いに相溶しない少なくとも2種の熱可塑性樹脂の混合物からなる層を少なくとも一層含む内部光拡散部材(A2)であり、内部光拡散部材(A2)の全光線透過率/平行光線透過率比が8〜100であり、かつ第二光拡散部材(C)を積層しない状態での光拡散積層体の全光線/平行光線透過率比と全光線透過率との複合特性が2200〜4200であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の直下型面光源装置。
  9. 内部光拡散部材(A2)が、溶融押し出し成型法で成型されていることを特徴とする請求項8に記載の直下型面光源装置。
  10. 熱可塑性樹脂の混合物の中の島構造を構成する熱可塑性樹脂成分量が全熱可塑性樹脂量の11〜50重量%であることを特徴とする請求項8又は9に記載の直下型面光源装置。
  11. 第一光拡散部材(A)とレンズフィルム(B)との間に一方向に配向した山脈タイプの構造からなるレンズフィルム(D)が存在し、レンズフィルム(D)のレンズ面がレンズフィルム(B)のレンズ面とは反対の面と接することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の直下型面光源装置。
  12. 出光部と光拡散積層体の間が0.1〜50mmの距離を有するように空間部が設けられていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の直下型面光源装置。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の直下型面光源装置を含むことを特徴とする表示装置。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載の直下型面光源装置を含むことを特徴とする照明装置。
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