JP2004070328A - 干渉縞フィルターを含む光学要素 - Google Patents

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Abstract

【課題】正反射光源の拡散と照明光源の濾光とを同時に行ないながら、改善された光透過率を与える光学要素を提供する。
【解決手段】光源、空気、80〜200nmの厚さを有する少なくとも一層の薄い層、および厚い層をこの順で含み、各層が、交互に、隣接層と少なくとも0.05だけ屈折率(RI)を異にする光学要素。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正反射光用の拡散体に関する。更に詳細には、本発明は、背面投射型液晶表示装置用の光ダイレクタを含むバックライト拡散体に関する。
【0002】
【従来の技術】
光を散乱または拡散させる光学構造は、一般に、二つの方法:(a)多くの方向に光を屈折または散乱させるために表面粗さを利用する表面拡散体として、または、(b)平坦な表面と埋め込まれた光散乱性要素とを有する塊状拡散体として、の一方で機能する。
【0003】
前者の種類の拡散体は、普通、その粗面を大気に曝して用いられ、拡散体材料と周囲の媒体との間の屈折率に可能な最大の差を与え、結果として入射光に対して最大の角拡散を与える。しかしながら、このタイプの先行技術のある光拡散体では、空気との接触が必要であるいう大きな障害を受ける。正確に操作するためにはその粗面が空気と接触していなければならないという要件によって、結果的に低効率となってしまう。仮に、拡散体の入力および出力表面が両方ともその他の材料、例えば接着剤内に埋め込まれていると、その拡散体の光分散能が、望ましくないレベルまで落ちてしまうことにもなりかねない。
【0004】
第2のタイプの拡散体、塊状拡散体の一つの変形では、第2の屈折率からなる小粒体または小球体が、拡散体の第1の材料内に埋め込まれている。塊状拡散体のその他の変形では、拡散体材料の屈折率が拡散体の母体にわたって変化し、それによって、当該材料を通過する光を、異なる地点で屈折または散乱させる。また、塊状拡散体には、いくつかの実際上の問題がある。仮に、高角度の出力分布を得ようとすると、その拡散体は、一般に、同じ散乱能を有する表面拡散体よりも厚くなる。しかし、仮に、その塊状拡散体が薄くされるならば、大部分の用途のための望ましい特性、当該拡散体の散乱能が、低くなり過ぎることがある。
【0005】
上記の困難性にも拘わらず、表面拡散体の方が望ましく、塊状拡散体は適当でないという用途がある。例えば、表面拡散体は、現存するフィルムまたは基体に貼り付けることができ、それによって個別のフィルムに係る要求を排除することが可能である。液晶表示(LCD)での光の操作の場合には、これは、干渉(光の反射および喪失を起す)を取り除くことによって効率が増大する。
【0006】
典型的に、先行技術の液晶表示装置用の光拡散体は、光が典型的にLCDのフレームに吸収される当該表示装置の端部から出る光を導くために、光拡散体の端部または周辺プリントを利用している。LCDのフレームに吸収される光は光エネルギーを失うから、その吸収された照明光エネルギーは、LC画像を照らすために使用できない。先行技術のLCD装置用の拡散体は、周辺光の一部が視野計から出る照明部材によって「再利用」できるように、周辺光の正反射を与える視野計の周囲の反射ドットを典型的に白色でプリントしている。白色の反射ドットをプリントすると、LCDのフレームによって吸収される光エネルギーを減少させないが、周辺印刷は、それが付加的なプリント操作を必要とするという点で非常に高価につく。更に、光拡散体の周辺印刷は、一般に、エッジ吸収を30%だけ減らすことも分っている。入射照明光のエネルギーを装置の中心部に向けて再び戻して、光拡散体を用いる装置のフレームにより吸収される無駄な証明光のエネルギー量を更に減らすことが望まれている。
【0007】
米国特許第6,270,697号(Meyers 等)明細書には、曇りフィルムが、その山と谷形状の繰返しパターンを用いて特定波長バンドの透過赤外エネルギーに使用されることが記載されている。これは可視光を拡散させるが、そのパターンが表示装置を通して見えるので、かかる形状の周期性は、バックライト型LC装置には受入れられない。
【0008】
米国特許第6,266,476号(Shie 等)明細書には、光拡散用のポリマーシートの表面における微細構造について開示されている。この微細構造は、基体表面にフレネルレンズを成形することによって作られ、光源からの出力光の方向を、所望の分布、パターンまたはエンベロープに付形するようにコントロールする。米国特許第6,266,476号明細書に開示される材料は、光を付形し、平行にするが、そのため、特に液晶表示装置用の効果的な光の拡散体とはならない。
【0009】
一方の表面に表面テキスチャーを有する樹脂で被覆された樹脂を有する透明ポリマーフィルムを作製することは知られている。この種の透明ポリマーフィルムでは、生の(未被覆の)透明ポリマーフィルムがポリエチレンのような湿潤樹脂で被覆される際に熱可塑的に型押し処理することによって作製される。表面に湿潤樹脂をもつ透明ポリマーフィルムが、表面模様を有する冷却ローラと接触する。冷却水が、樹脂から熱を奪うようにローラを通して供給され、それを固化し、透明ポリマーフィルムに付着させる。この処理の間に、冷却ローラ表面の表面テキスチャーが、樹脂被覆された透明ポリマーフィルムに型押される。よって、冷却ローラ上の表面パターンは、被覆された透明ポリマーフィルム上の樹脂に作られる表面にとって重要である。
【0010】
冷却ロールを作製する公知の先行方法の一つには、機械式型彫り法を用いて主要な表面パターンを作ることが含まれる。その型彫り法には、表面に工具の縦筋を引き起こす心狂い、高価格、および非常に長い処理といったことを含む多くの制約を有する。したがって、冷却ロールを製造するには機械式型彫りを使用しないことが望ましい。
【0011】
米国特許第6,285,001号(Fleming 等)明細書には、融触した基体上の繰返し微細構造の均一性を改善し、あるいは融触した基体上に3次元微細構造を作るため、基体の融触にエキシマレーザを用いる暴露処理が述べられている。この方法では、複雑なランダム3次元構造体を製造するためにマスター冷却ロールを作ることは困難であり、また法外なコストもかかる。
【0012】
米国特許第6,124,974号(Burger)明細書では、基体は、リトグラフ法によって作られる。このリトグラフ法では、フォトマスクが連続して繰り返されて、所望の小レンズに相当する3次元レリーフ構造が作られる。プラスチックフィルム内に3次元形状を作るためにマスターを形成するこの手順は、時間の浪費であり、コスト的にも法外なものである。
【0013】
米国特許第6,030,756号(Bourdelais 等)明細書では、写真要素に、透明なポリマーシート、少なくとも一層の二軸延伸ポリオレフィンシートと少なくとも一層の画像層が含まれるが、当該ポリマーシートは、20〜100mNの剛性を有し、その二軸延伸ポリオレフィンシートは、35〜90%の分光透過率を有し、そしてその二軸延伸ポリオレフィンシートは、65%未満の反射濃度を有する。米国特許第6,030,756号明細書の写真要素では、前後のハロゲン化銀画像を分けているが、その孔質ポリオレフィン層が光を大量に拡散し過ぎて、暗い液晶表示画像を形成してしまう。また、当該シートに白色顔料を加えると、バックライトに許容できない程の散乱が生じてしまう。
【0014】
米国特許第5,223,383号明細書には、反射性、即ち拡散透過性の支持体を含む写真要素が開示されている。この特許に開示される材料および方法は、反射写真製品には好適であるが、40%未満の光透過率であるとLC装置の明るさを容認できない程下げてしまうので、その光エネルギー透過率(40%未満)では、液晶表示に適していない。
【0015】
米国特許第4,912,333号明細書では、X線増感紙が微孔質ポリマー層を使用して、画像感度や鮮明さの改善のための反射小レンズを作ることが開示されている。米国特許第4,912,333号明細書に開示される材料は、X線エネルギーに透過性であるが、当該材料は、非常に低い可視光エネルギー透過率しか有さず、LC装置に適合しない。
【0016】
米国特許第6,177,153号明細書には、液晶表示装置での光の視角を広げる空孔を含む延伸ポリマーフィルムが開示されている。米国特許第6,177,153号明細書における空孔は、二次延伸時に溶媒キャストポリマーを強く破砕することによって形成される。これら材料のアスペクト比は、入射光を付形させてその視角を拡大するが、均一な光の拡散を与えず、液晶形成画像に不均一な照明効果が生じてしまう。また、開示される空孔の形成方法では、結果として、光の拡散および光の透過の最適値を与えない空孔の大きさと空孔分布になってしまう。この特許の実施例1では、報告される90%の透過率には、可視波長および非可視波長を積算して400〜1500nmの波長が含まれるが、500nmでの透過率は入射光の30%未満である。かかる値では、液晶表示のような画像表示に有用ないかなる拡散フィルムにも受入れられない。
【0017】
米国特許第5,882,774号明細書では、二つの隣接層の厚さ方向における屈折率が実質的に対等である複屈折多層光学フィルムは、非常に大きいか、あるいは全く存在しないブルースター角(偏光の反射率がゼロになる角度)を有している。これによって、多層ミラーおよび偏光子の構築が可能となるが、その偏光に対する反射能は、通常とは異なって、入射角と共にゆっくりと減少するか、入射角とは独立しているか、または入射角と共に増加する。結果として、広い帯域幅にわたって高い反射能(ミラーの場合にはいずれかの入射方向に係る、そして偏光子の場合には選択される方向に係る、両偏光面に関して)を有する多層フィルムが、開示されている。米国特許第5,882,774号明細書におけるウェブ材料は、そのウェブ材料の光透過率が約10%〜40%であるので、反射材料としての用途を有している。更に、この材料は、当該ウェブ材料を装飾目的に有用となす入射光の角度と視角の関数としての色差を含有している。
【0018】
典型的に、液晶表示(LCD)装置には、LCDマトリクスを照らすためのCCFLバックライトが含まれている。その光のカラー温度は、単色光かまたは白色光のいずれかを与えるために、バックライトの製作者によって慎重に調節される。CCFL光源のカラーは、典型的に、CCFLにおける顔料の添加によって調節される。より安定な照明光源を与え、不要な光の波長を濾光し、また、表示の明るさを維持するために高い光の透過率を与えつつ、白色のバック光源を用いて単色照明を与えるように、CCFLの光源をカラー濾光できる光学要素が提供されれば、それは、望ましいことである。
【0019】
【特許文献1】
米国特許第5,882,774号明細書
【特許文献2】
米国特許第6,030,756号明細書
【特許文献3】
米国特許第6,177,153号明細書
【特許文献4】
米国特許第6,266,476号明細書
【特許文献5】
米国特許出願10/095,204号明細書
【特許文献6】
米国特許出願10/147,659号明細書
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、照明光源のカラー濾光を提供することを目的とする。更に、本発明では、正反射光源の拡散と照明光源の濾光を同時に行ないながら、改善された拡散光透過率を与える画像の照明光源用の改良された光拡散体を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、順に、光源、空気、80〜200μmの厚さを有する少なくとも一層の薄い層、および厚い層を含み、各層が、交互に、隣接層と少なくとも0.05だけ屈折率(RI)が異なる光学要素が提供される。
【0022】
本発明によれば、正反射光源の拡散と照明光源の濾光とを同時に行ないながら、改善された光透過率が与えられる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明では、当該分野における先行実施を超える多くの利点を有する。本発明では、白色の照明光源に対してカラー濾光を与え、白色光源から単色光を与え、あるいは、カラー照明光源を改善する。照明光源、主にCCFLタイプのものでは、均一な白色光を与えないことが周知である。光の不要な波長を濾光する光学要素、または白色光の赤、緑または青成分のピーク強度を平坦にする光学要素を提供することによって、照明画像の画質が改善される。本発明の光学フィルターは、ノッチフィルターというよりはむしろカラー補正フィルターである。本発明の光学要素は、特定波長の透過率を90%以上減らすノッチフィルターと比較して、白色光の特定波長の透過率を25%だけ選択的に減らすことが分っている。
したがって、本発明の光学要素は、表示装置用の白色光源のカラー補正に理想的であり、白色光が画素アレーに入る前にその照明光源のカラーバランスを調整する。
【0024】
カラーフィルターを含む本発明の光学要素には、光を散乱させる傾向がある顔料剤を含んでいない。むしろ、本発明のカラーフィルターは、半透明で、高度の光透過率を許容する。高度の光透過率は、光の透過率が高いほどより明るい画像が得られ、LCD色素を発光させるためにより高いエネルギーが利用できるという点で、LCD装置にとって重要な要素である。また、本発明の光学要素は、一般に光エネルギーおよび紫外光エネルギーに長期に曝されることによって退色する色素剤を用いること無しに、カラー濾光を与える。退色しないカラーフィルターを光学要素に提供することによって、時間が経過しても劣化しない安定なカラーを光学要素に与えることを可能とする。
【0025】
また、本発明では、液晶表示装置のような背面投射型表示装置に通常使用される正反射光源のカラー濾光および拡散の両者を提供する。LCD装置において典型的に光源と偏光スクリーンとの間に位置する光拡散体は、偏光前に光を拡散しかつ濾光する機会が与えられる。更に、本発明では、光源に拡散を与える一方、高い光透過率を有する。光拡散体に対する高い透過率は、その高い透過値により、液晶表示がより明るくて、その明るさを同じレベルに保持することを可能とし、バックライト用の電力消費を減らすことを可能とし、それによって、ノートブック型コンピュータに共通であるバッテリーで動く液晶装置の寿命を延ばすので、特に、液晶表示装置に重要である。本発明の表面小レンズ構造のポリマー層は、多くの液晶装置に係る所望の拡散および光透過率要件を達成するように速やかに変化でき、それによって、本発明材料を、液晶表示の市場における急速に変化する製品要求に対する応答を可能とする。これらおよび他の利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0026】
用語「LCD」は、画像形成に液晶を用いるいかなる背面投射型表示装置をも意味する。用語「拡散体」は、正反射性の光(一次方向の光)を拡散光(ランダム方向の光)に拡散できるいずれかの材料を意味する。用語「光」は、可視光を意味する。用語「拡散光透過率」は、500nmの光源での全体の光量と比較したときの500nmでの拡散透過した光の割合を意味する。用語「全体の光透過率」は、500nmの光源での全体の光量と比較したときの500nmでのサンプルを通って透過した光の割合を意味する。これには、光の分光および拡散透過の両者が含まれる。用語「拡散光透過効率」は、500nmでの全体の透過光の%に対する拡散透過光の%に100の係数を掛けた比率を意味する。用語「ポリマーフィルム」は、ポリマーを含むフィルムを意味する。用語「ポリマー」は、単独重合体および共重合体を意味する。用語「平均」は、レンズの大きさおよび度数に関しては、全体のフィルム表面積にわたる算術平均を意味する。
【0027】
「透明」とは、500nmで50%以上の全体の光透過率をもつフィルムを意味する。「いずれかの方向」とは、フィルム上の小レンズの配置に関しては、フィルム平面におけるxおよびy方向におけるいずれかの方向を意味する。用語「パターン」は、規則的またはランダムのいずれでも、所定のレンズ配置を意味する。「カラー濾光」とは、他よりも多くある波長を吸収する実質的に透明な光学要素を意味する。
【0028】
バックライトのより良いコントロールおよび管理は、液晶表示(LCD)に係る影響力のある技術的進歩である。LCDスクリーンと他の電子的ソフト表示媒体は、主として正反射性の(高度の方向性の)蛍光灯で背後から照らされている。拡散フィルムは、全体の表示域にわたって光を均等に分配し、そして当該光を正反射性から拡散性に変えるために使われている。表示スタックの液晶部分を励起する光は、狭い円柱として放散し、再分散されなければならない。拡散体は、高められた視角に向けて選択的に水平に光を放散させるために、表示のこの部分に使われる。
【0029】
拡散は、それが屈折率を変えて材料を通過する際に光を散乱させることによって達成される。この散乱によって、光エネルギー用の拡散媒体が生ずる。光の透過率と拡散との間には相反関係があり、これら二つのパラメーターの最適組み合わせは、それぞれの用途で見出されなければならない。
【0030】
その背後の拡散体は、光源の直ぐ前に配置されて、正反射性の光を拡散光に変えることによって表示の全体にわたって光を一様にするために用いられる。拡散フィルムは、ウェッブ材料上の複数の小レンズから作られて、入射光を広げ、拡散させる。LCDの背後の光を拡散させる先行方法には、異なる屈折率をもつポリマーフィルム、微孔質ポリマーフィルムを層状に重ねること、または艶消樹脂もしくは艶消ビーズをもつフィルムを被覆することが含まれる。前方の拡散体の役割は、方向選択性をもつ液晶(LCD)から来る光を放散させることである。
光は、密に集光されたビームとなって最高効率でLCに入り、そしてそれが出るときは狭い円柱光として現れる。拡散体では、光を選択的に広げるために光学的構造が用いられる。多くの会社では、一つの軸に沿って光を選択的に伸ばすために、楕円形の微細レンズを形成している。また、この方向性は、化学的または物理的手段によって形成されるポリマーマトリクスおよび表面の微細レンズにおける楕円形状のポリマーによっても達成される。本発明の拡散フィルムは、慣用のフィルム製造設備を用いて高い生産性をもって得ることができる。
【0031】
このポリマー拡散フィルムは、少なくとも一方の面に、多数のランダムな微小レンズ、即ち小レンズの形態で模様付けされた表面を有する。用語「小レンズ」は、小さいレンズを意味するが、本議論の目的に関しては、用語のレンズおよび小レンズは同じものであると解されてよい。小レンズは、複合レンズを形成するように重なり合っている。「複合レンズ」は、その表面に多数の小さい方のレンズを有する大きい方のレンズを意味する。「大きい方のレンズ」は、小さい方のレンズがその表面にランダムに形成されている大きい方の小レンズを意味する。
「小さい方のレンズ」は、大きい方のレンズ上に形成されている大きい方のレンズより小さいレンズを意味する。全てが異なる大きさと形からなる複数のレンズが互いの上部に形成されて、カリフラワーに類似する複合レンズの形状が作製される。小レンズによって形成される小レンズまたは複合レンズは、透明ポリマーフィルムの内方に凹状としてもよいし、あるいは透明ポリマーフィルムの外方に凸状にしてもよい。用語「凹」は、フィルム表面に最も近い球体の外面をもつ球体表面のように湾曲していることを意味する。用語「凸」は、フィルム表面に最も近い球体の内面をもつ球体表面のように湾曲していることを意味する。用語「上面」は、光源から離れた方のフィルム表面を意味する。用語「底面」は、光源に近い方のフィルム表面を意味する。
【0032】
各小レンズの表面は、レンズを通過するエネルギーの光線路を変える小型のレンズとして働く局部的な球体断片である。各小レンズの形態は、各小レンズの表面が球体の扇形であるが、必ずしも半球体ではないことを意味する「半球形」である。その曲面は、透明ポリマーフィルムに平行な第1の軸(x)に関して測定される曲率半径、透明ポリマーフィルムに平行で、かつ第1の軸と直行する第2の軸(y)に関して測定される曲率半径を有する。一連のフィルム内のレンズは、xおよびy方向で同じ寸法を有する必要はない。レンズの寸法、例えば、xまたはy方向の長さは、一般にフィルムの長さおよび幅よりもかなり小さい。「高さ/直径比」は、複合レンズの直径に対する複合レンズの高さの比を意味する。
「直径」は、xおよびy平面における複合レンズの最大の寸法である。その高さ/直径比の値は、光の拡散量、または各複合レンズが作る拡散の主たる原因の一つである。小さな高さ/直径比は、その直径が、より平らで、より幅広の複合レンズを作るレンズの高さよりもはるかに大きいことを示している。大きい高さ/直径値は、より高くて、より薄い膜の複合レンズであることを示している。複合レンズは、大きさ、形態、光学軸からの偏り、および焦点距離が異なってもよい。
【0033】
曲率、深さ、大きさ、間隔、構成材料(これらは、ポリマーフィルムおよび基体の基本的屈折率を決める)、および小レンズの位置決めは、拡散の程度を決定し、そしてこれらのパラメーターは、本発明による製造時に確定される。
【0034】
レンズを通る光の発散は、「非対称」と呼んでもよいが、それは、水平方向の発散が垂直方向の発散と相違していることを意味している。その発散曲線は、非対称、即ち、ピークの光透過の方向がθ=0°の方向に沿ってなく、表面に対して非法線方向にあることである。小レンズの拡散フィルムから光を非対称的に拡散させることを可能にするには、少なくとも三つのアプローチ、即ち、直交方向に関する一方向のレンズの寸法を変化させること、レンズの中心からレンズの光学軸を偏らせること、および乱視レンズを用いること、がある。
【0035】
光学軸がそれぞれのレンズの中心から偏っているレンズを有する拡散フィルムを用いることの成果は、非対称な方法でフィルムから光を拡散させる結果となる。しかしながら、レンズ表面は、その光学軸がxおよびyの両方向におけるレンズの中心から偏るように形成されてもよいことが理解されよう。
【0036】
光源、空気、100〜200μmの厚さを有する少なくとも一層の薄い層、および厚い層を順に含み、その隣接層が二層以上の薄い層の場合には、RIが交互に異なることを条件として、相互に少なくとも0.05だけRIが異なる光学要素が好ましい。屈折率が交互に正と負の方向で異なる交互層を与えることによって、その光学要素は選択的に透過光を濾光する。交互層の厚さおよび交互層の屈折率は、透過光を濾光するように選定される。
【0037】
隣接層が相互に少なくとも0.10だけ屈折率を異にする本発明の光学要素は、好ましい。隣接層の屈折率を変えることによって、本発明の光学縞フィルターは80%未満の特定波長の透過率を与えるが、これによって結果的にLCDのような背面投射型表示装置用の効果的なカラー濾光となる。
【0038】
本発明の好ましい実施態様では、当該光学装置には、3〜30層が含まれる。
3層未満の光学要素では、不十分な濾光しか与えないことが分っている。35層以上の層を有する光学要素では、製造が困難であり、それ故、適正な価格とはならない。また、層の数が増えるに連れて、透過関数としての波長の振幅が増して、より均一な透過率となる。本発明のその他の好ましい実施態様では、光学要素には3〜8層が含まれる。3層より少ない光学要素では、不十分な濾光しか与えないことが分っている。3〜8層を含む光学要素では、十分な濾光を与え、かつ、3〜8層では、スロットダイ塗工法を用いて同時に塗布できるので価格的にも低いことが分っている。
【0039】
その他の好ましい実施態様では、その厚い層は、1000〜5000nmの層厚を有していることが好ましい。より好ましくは、厚い層は、80〜1000nmの厚さを有する。70nm未満の層厚では、基体への塗布が難しくなり、また光の透過に伴い干渉が起こり始める。5000nmより大きい層厚では、高価になり、本発明の濾光効率が低下する。材料コスト、層の塗工効率および濾光性能をバランスさせることによって、最も好ましい透過光フィルターでは、80〜1000nmの厚い層厚を有する。
【0040】
本発明の光学要素は、カラー濾光を与えることが好ましい。カラー濾光、つまり400〜700nmの光エネルギーの濾光は、透過光の可視濾光を与える。透過光の濾光は、光源の色を補正し、または特定の色、例えば白色光源に赤色を与えるための液晶装置のような透過型表示装置に有用である。
【0041】
好ましくは、本発明の光学要素の着色透過は、10〜70nm幅のカラー波長帯域に相当する。これによって、特定の非常に狭いカラー帯域をもつ着色可変拡散体が創製される。狭いカラー帯域を有すると、極めて選択的に透過させることができ、また当該光に適応する可変波長の光を遮断することができる。狭いカラー帯域の光が得られると、より「単一な」光の色が得られ、かつ、それによって赤色、緑色、および青色のフィルターが特定波長の光だけを透過させるので、液晶表示のカラーマトリクスでの使用により効率的となる。
【0042】
有彩透過が570〜620nmでのイエロー光を含む光学要素は、好ましい。
本発明のその他の実施態様では、有彩透過には、630〜690nmおよび425〜480nmでのマゼンタ光が含まれる。好ましくは、有彩透過には、480〜520nmでのシアン光が含まれる。本発明のその他の実施態様では、有彩透過には、630〜690nmでの赤色光が含まれる。好ましい拡散透過には、525〜590nmでの緑色光が含まれる。その他の用途の場合には、好ましい拡散透過には、425〜480nmでの青色光が含まれる。その望ましい有彩透過色は、その用途および使用に依存する。
【0043】
本発明の光学要素は、300〜3000nmの厚さを有することが好ましい。
200nm未満の光学要素では、製造が難しく、LC装置のような携帯装置に見出せる振動に強くない。3500nmを超える光学要素では、製造が高価になり、かつ著しく光エネルギーの透過を低下させて、それにより背面投射型表示装置のシステムの明るさを低減させることによって本発明の有用性を少なくしてしまう。
【0044】
本発明の光学要素の層には、ポリマーが含まれることが好ましい。ポリマーは廉価であり、複数スロットを有する塗工ダイを用いて塗布でき、それによって多層が同時に塗布可能となる、別個の高度に精密な薄い層を容易に成形できる。更に、ポリマーは、典型的に耐候性であり、透過型表示装置の寿命を超える半減期を有している。
【0045】
本発明の好ましい実施態様では、交互層は、PEN、シリコーンおよびポリカーボネートを含む。図3には、ポリカーボネートのベース上に塗布されたPENとシリコーンとの交互層に関する波長対透過率のグラフが説明されている。カラーフィルターを作製するためのPENとシリコーンからなる交互層は、図3におけるグラフが、青色光は、赤味を有する透過光を与える赤色光よりも多く濾光されていることを示しているので、好ましい。曲線40は、可視光のスペクトルにわたる波長と透過率との関係を示している。両者とも550nmの光で測定されて、図3におけるシリコーンの屈折率は1.41であり、PENの屈折率は1.765であった。図3におけるグラフは、6層の交互層に関するもので、そのPENの厚さは1500オングストロームであった。PENとシリコーンとの交互層は、低複屈折性のポリカーボネートの基材上に塗布された。図3における本発明材料の光学性能は、700nmで有彩透過率のピークを与えている。
【0046】
本発明のその他の好ましい実施態様では、当該交互層には、ポリカーボネート、アセテートおよびポリエステルが含まれる。図2には、ポリエステルの基材上に塗布されたアセテートとポリカーボネートに関する波長対透過率のグラフが説明されている。図2には、ポリエステル上のアセテートとポリカーボネートとからなる6層の交互層に関する波長と透過率%との関係が示されている。曲線50は、交互層が400〜700nmで高い光透過率を与え、510nmで濾光の最大値を与えていることを示している。アセテートとポリカーボネートの交互層は、900オングストロームの厚さであった。図2における本発明材料の光学性能は、650nmで有彩透過率のピークを与えている。
【0047】
シリコーンとPENの交互層およびアセテートとポリカーボネートの交互層は、その屈折率の差が0.10を超えるので、好ましい。また、シリコーン、PEN、アセテートおよびポリカーボネートは、当該ポリマーの溶媒分散液を用いて容易に精密塗工され、好ましい当該ポリマーがスロットダイ塗工される。また、他のポリマーの組み合わせも、その交互層間の屈折率が0.05を超えるならば、好ましい。
【0048】
本発明の好ましい実施態様では、当該光学要素がガラスに適用される。ガラスは、典型的に表示装置に用いられている硬い基体を与える。更に、ガラスは低い湿気および酸素浸透性を有し、それによって、本発明の光学材料を、OLEDまたは燐光体のような湿気感受性薬剤を用いる表示装置に用いることを可能にする。
【0049】
本発明のその他の好ましい実施態様では、光学要素は、導波管の表面に適用される。導波管に当該光学要素を適用すると、その光学導波管が光を導き、かつカラー濾光された光を与えることを可能とする。具体例では、液晶表示装置に現在使用されているアクリル系導波管となろう。アクリル系導波管に本発明の光学要素を使用すると、LC装置におけるCCFL光源の色味付けに取って代わり、あるいは「白色」光に濾光を与えて、赤色、緑色および青色の光量をより均一にすることとなる。
【0050】
本発明の更なる実施態様では、光学要素は、LC装置における偏光シートに先立って光を選択的に平行にするポリマーのプリズムシートの表面に適用される。
プリズムシートにカラー濾光を与えると、プリズムシートは、LCの明るさを改善すると共に、より高画質の表示を与えるために不要な光を濾光する。
【0051】
本発明のその他の実施態様では、光学要素は、反射表面に適用される。本発明の光学要素をもつ反射表面は、着色した反射光を与える。着色反射光は、例えば、着色バーコード、装飾材料または導波管に対する着色反射背面を与えるために用いることができる。反射材料の具体例には、蒸着されたアルミニウム、金、銀、ニッケルなどのような平滑な金属面が含まれる。他の反射表面の具体例には、シリコン、白色着色ポリマーおよびPETまたはポリオレフィンのような平滑ポリマーが含まれる。
【0052】
本発明の更なる実施態様では、光学要素は、半透過板の表面に適用される。半透過板は、光を透過しかつ反射する光学装置である。半透過板は、LC装置のような携帯表示装置を、周囲の光がLC画像を照らすために使用される周囲の太陽光下で用いることを可能となすために有用である。本発明の光学要素を半透過板に適用すると、反射周囲光および透過光が共にカラー濾光される。特殊な場合には、当該光学要素を選択的に半透過板の一面に適用すると、透過光または反射光のいずれかを濾光することが可能となる。透過様式または反射様式のいずれかで選択濾光すると、透過様式での透過光に比して、携帯装置に反射様式で周囲光が用いられているときは、カラーシフトが可能となる。
【0053】
本発明のその他の好ましい実施態様では、光学装置は、白熱電球の表面に適用される。本発明の光学要素を白熱電球の表面に適用することによって、例えば、光源、タングステンフィラメントまたは蛍光材料は、カラー濾光されて単色光源になるか、またはカラー濾光されてより心地よい、例えば青色相の光を与えるようになる。この光学要素は、白熱電球の内部または白熱電球の外部のいずれかに使用されてもよい。特別な場合として、仮に光学要素がタングステンフィラメント電球の内部または外部に適用されるならば、電球の温度が上がるに連れて、本発明の交互層の間隙が変化して快いカラーシフトが生じる。例えば、当該光は青色光として始まり、交互層の熱膨張のため、交互層間の間隙が増大するにつれて赤色光に変わる。
【0054】
本発明の更なる実施態様では、光学要素は、偏光フィルムに適用される。この光学要素を偏光フィルムに適用することによって、偏光が、例えば表示装置またはサングラス用にカラー濾光されてもよい。
【0055】
本発明の更なる実施態様では、光学要素は、低複屈折性のアセテートに適用される。本発明の光学要素を低複屈折性のアセテートに適用すると、当該光学要素は低複屈折性を有して、当該材料を、低複屈折性が重要であるLC装置に用いることを可能とする。また、本発明の光学要素と結合した低複屈折性のアセテートは、プリントの光エネルギーの不要な波長を選択的に濾光するためのカラーネガフィルム剤用のベースとしても使用できる。
【0056】
本発明の更なる実施態様では、光学要素は、光拡散体の表面に適用される。光拡散体の表面に光学要素を適用すると、当該光拡散体が光を拡散すると共に光を選択的に濾光することを可能とする。その応用には、LC装置、温室、前面投射装置、重複ラミネート材料およびフラッシュライト用のカバーが含まれる。複合レンズは、照明入射光の優れた拡散性を与えることが分っている。複合レンズには、多数の拡散面を有する凹および凸形状が含まれる。光ダイレクタを使用する複合レンズの光拡散体は、優れた光拡散体であると共に、周辺の光エネルギーが光拡散体の中心域に向けて焦点を結ぶようなヘッドライトでもある。更に、複合レンズは、典型的にポリマーから形成されており、それによって、複合レンズが形成される際に光ダイレクタの形成が起こり、LC装置の明るさを改善する低コストの方法が提供される。透明なポリマーフィルムの表面に複数の凸または凹の複合レンズを含む上面および下面を有する透明なポリマーフィルムは、光拡散体用に好ましい。曲面が凹および凸のポリマーレンズは、非常に効率的な光の拡散体を与えることが分っている。更に、本発明のポリマーレンズは透明であり、その高い光の透過率によって、より多くの光を照射してLC装置を明るくすることを可能とする。
【0057】
ポリマーフィルム光拡散体表面の凹レンズ、即ち複合レンズは、ランダムに配置されることが好ましい。レンズをランダムに配置すると、本発明材料の拡散効率を増大させる。更に、秩序のある凹または凸レンズの配置を避けることによって、望ましくない光学干渉パターンが回避される。
【0058】
本発明の実施態様では、凹または凸レンズは、透明ポリマーシートの両側に配置される。透明シートの両側にレンズを配置すると、片側にある本発明のレンズに比して、より効率のよい光拡散が得られる。また、透明シートの両側にレンズを配置すると、LC表示装置における明るさ強化フィルムから最も離れたレンズの焦点距離が増大する。
【0059】
本発明の一実施態様では、凸レンズが透明ポリマーフィルムの上面にあり、そして凸レンズが透明ポリマーフィルムの底面にある。ポリマーフィルムの両側に凸レンズを配置すると、レンズによる効率のよい拡散のために要求される必要な空隙を与える他の隣接フィルムから離れた表面が形成される。
【0060】
本発明のその他の実施態様では、凸レンズが透明ポリマーフィルムの上面にあり、そして凹レンズが透明ポリマーフィルムの底面にある。ポリマーフィルムの上面に凸レンズを配置すると、レンズによる効率のよい拡散のために要求される必要な空隙を与える他の隣接フィルムから離れた表面が形成される。ポリマーフィルムの底面に凹レンズを配置すると、隣接フィルムと光学的に接触させることができ、なおかつ効率よく光を拡散する表面が形成される。
【0061】
本発明のその他の実施態様では、凹レンズが透明ポリマーフィルムの上面にあり、そして凹レンズが透明ポリマーフィルムの底面にある。ポリマーフィルムの両側に凹レンズを配置すると、いずれの側にも隣接フィルムと光学的に接することができ、なおかつ効率よく光を拡散する表面が形成される。
【0062】
本発明のその他の実施態様では、凹レンズが透明ポリマーフィルムの上面にあり、そして凸レンズが透明ポリマーフィルムの底面にある。ポリマーフィルムの上面に凹レンズを配置すると、隣接フィルムと光学的に接することができ、なおかつ光を効率的に拡散する表面が形成される。ポリマーフィルムの底面に凸レンズを配置すると、レンズによる効率のよい拡散のために要求される必要な空隙を与える他の隣接フィルムから離れた表面が形成される。
【0063】
凹または凸レンズは、いずれの方向にも4〜250個の複合レンズ/mmの平均度数を有していることが好ましい。フィルムが285個の複合レンズ/mmの平均度数を有するときは、レンズの幅は光の波長に接近する。当該レンズは、レンズを通過する光に色を与え、表示の色温度を変化させる。4個未満の複合レンズ/mmでは大きすぎて、光を効果的に拡散しないレンズとなる。いずれの方向にも22〜66個の複合レンズ/mmの平均度数をもつ凹または凸レンズは、最も好ましい。22〜66個の平均度数の複合レンズでは、効率的な拡散を与え、しかも、ランダムにパターン化されたロールに対するキャスト塗布ポリマーを用いて効率よく製造できることが分っている。
【0064】
好ましい透明ポリマーフィルムでは、xおよびy方行に3〜60μmの平均幅で凹または凸レンズを有する。レンズが1μm未満のサイズを有するときは、当該レンズは、そのレンズの寸法が光の波長に類似するため、通過する光に色ずれを与える。当該レンズがxおよびy方向に68μmを超える平均幅を有するときは、そのレンズは、大き過ぎて光を効率よく拡散しない。より好ましくは、凹または凸レンズは、xおよびy方向に15〜40μmの平均幅を有する。このレンズ寸法は、最も効率のよい拡散を生ずることが分っている。
【0065】
小さい方のレンズを含む凹または凸レンズでは、その小さい方のレンズが大きい方のレンズ直径の平均して80%未満であることが好ましい。小さい方のレンズの直径が大きい方のレンズの80%を超えるときは、その拡散効率は、レンズの複合率が下がるので減少する。
【0066】
小さい方のレンズを含む凹または凸の複合レンズでは、その小さい方のレンズのxおよびy方向の幅は2〜20μmであることが好ましい。小さい方のレンズが1μm未満の大きさを有するときは、当該レンズは、そのレンズ寸法が光の波長に類似するので通過する光に色ずれを与える。小さい方のレンズが25μmを超える大きさを有するときは、その拡散効率は、レンズの複合率が下がるので減少する。小さい方のレンズが、xおよびy方向に3〜8μmの幅を有することが最も好ましい。この範囲は、最も効率の良い拡散を生ずることがわかっている。
【0067】
凹または凸の複合レンズには、オレフィンの繰返し単位が含まれることが好ましい。ポリオレフィンは、コスト的に低くて、光の透過率が高い。また、ポリオレフィンポリマーは、効率よく溶融押出しされ、それ故、ロール形態で光拡散体を作るのに用いられる。
【0068】
本発明のその他の実施態様では、凹または凸の複合レンズには、カーボネートの繰返し単位が含まれる。ポリカーボネートは、高い光学透過値を有し、そのため、高い光の透過と拡散が可能となる。高い光透過率のため、低い光透過値を有する拡散材料よりも一層明るいLC装置が提供される。
【0069】
本発明のその他の実施態様では、凹または凸の複合レンズには、エステルの繰返し単位が含まれる。ポリエステルは、コスト的に低くて、良好な強度と表面特性を有する。また、ポリエステルポリマーは、80〜200℃の温度で寸法的に安定であり、それ故、表示の光源で発生する熱に耐えることができる。
【0070】
透明なポリマーフィルムは、そのポリマーフィルムにエステルの繰返し単位が含まれることが好ましい。ポリエステルは、コスト的に低くて、良好な強度と表面特性を有する。また、ポリエステルのポリマーフィルムは、密封された表示装置が遭遇する温度の電流範囲にわたって寸法的に安定である。ポリエステルポリマーは容易に破砕され、それによって表示装置内に組み込まれる拡散体シートの打抜きが可能となる。
【0071】
本発明のその他の実施態様では、透明なポリマーフィルムは、そのポリマーフィルムにカーボネートの繰返し単位が含まれる。ポリカーボネートは、ポリオレフィンポリマーに比して高い光学透過値を有し、それ故、表示装置の明るさを改善できる。
【0072】
本発明のその他の実施態様では、透明なポリマーフィルムは、そのポリマーフィルムにオレフィンの繰返し単位が含まれる。ポリオレフィンは、コスト的に低くて、良好な強度と表面特性を有する。
【0073】
本発明のその他の実施態様では、透明なポリマーフィルムは、そのポリマーフィルムにトリアセチルセルロースが含まれる。トリアセチルセルロースは、高い光学透過率と低い光学複屈折性の両特性を有し、それによって本発明の拡散体が光を拡散し、かつ不要な光学パターンを減じることを可能とする。
【0074】
本発明の拡散体材料の好ましい拡散光透過率は、50%より大きいことである。拡散体が45%未満の光透過率であると、拡散体を通過する光量が十分でなく、そのため拡散体を非効率にしてしまう。小レンズフィルムのより好ましい拡散光透過率は、80〜95%である。80%の拡散透過率では、LC装置の蓄電池の寿命を改善し、スクリーンの明るさを増すことが可能となる。透明ポリマーフィルムの最も好ましい拡散透過率は、92%よりも大きい。92%の拡散透過率では、バックライト光源の拡散を可能とし、かつLC装置の明るさを最大なものとし、それによって、LCスクリーンが自然の太陽光と競争せざるを得ない戸外で使用されるLC装置での画質が改善される。
【0075】
凹または凸レンズは、その各小レンズの表面が球体のセクターであるが、必ずしも半球体である必要はないという意味で、半球形であることが好ましい。これによれば、xy平面にわたって優れた平坦な拡散が与えられる。半球形状のレンズは、入射光を均一に散乱し、表示領域が均一に照らされることが必要なバックライト表示の用途に理想的である。
【0076】
本発明のその他の実施態様では、凹または凸レンズは、レンズの幅がxおよびy方向で異なるという意味で非球面である。これによれば、xy表面にわたって選択的に光を散乱させる。例えば、特定のxyアスペクト比であれば、楕円形の散乱パターンが生じる可能性がある。このことは、拡大された視角に向けて垂直方向よりも水平方向により多くの光を拡散する、LC表示の前面において有用となる。
【0077】
凸または凹レンズは、0.03〜1.0の高さ/直径比を有することが好ましい。0.01未満の高さ/直径比(非常に広角で浅いレンズ)であると、そのレンズが光を効率的に拡散するための十分な曲率を有しないレンズであるため、拡散性に制限がある。2.5を超える高さ/直径比であると、レンズの側面と基体との間の角度が大きいレンズが形成される。これによると、レンズの拡散能力を制限する内部反射が発生する。0.25〜0.48の高さ/直径比の凸または凹レンズが、最も好ましい。最も効率の良い拡散は、この範囲で起こることが分っている。
【0078】
大きい方のレンズ当たりの小さい方のレンズの数は、2〜60個であることが好ましい。大きい方のレンズが1個または0個の小さい方のレンズを有するときは、その複合率は減少して、それ故、効率的に拡散しない。大きい方のレンズがその上に70個を超える小さい方のレンズを有するときは、数個の小さい方のレンズの幅が、光の波長に接近して透過光に対して色を与える。大きい方のレンズ当たり5〜18個の小さい方のレンズであることが、最も好ましい。この範囲は、最も効率的な拡散を生じることが分っている。
【0079】
透明ポリマーフィルムの厚さは、250μm未満であることが好ましく、12.5〜50μmであることがより好ましい。現在のLC装置に係るデザイン傾向は、より軽く、より薄い装置に向かっている。250μm未満まで光拡散体の厚さを減らすことによって、そのLC装置を、より軽く、より薄くすることができる。また、光拡散体の厚さを減らすことによって、LC装置の明るさを、光の透過率を減少させて改善することができる。光拡散体のより好ましい厚さは、12.5〜50μmであるが、それは、また、当該光拡散体をLC装置における他の光学材料、例えば明るさ強化フィルムと適宜組み合わせることも可能である。更に、光拡散体の厚さを減らすことによって、当該拡散体の材料含量が軽減する。
【0080】
本発明の熱可塑性光拡散体は、典型的に他の光学ウェブ材料と組み合わせて用いられるから、500MPaより大きい弾性率をもつ光拡散体であることが好ましい。500MPaより大きい弾性率であれば、その光拡散体は、他の光学ウェブ装置との組み合わせのために感圧接着剤を用いて積層することが可能となる。
また、当該光拡散体は機械的に強靭であるため、繊細で組立てが難しい先行技術のキャスト拡散フィルムと比較して、その光拡散体は、組立て処理の厳しさによりよく耐えることが可能である。
【0081】
表面に複数の凸および/または凹の複合レンズを含む透明ポリマーフィルム用のポリマーシートは、一般に、寸法的に安定であり、光学的に透明であって滑らかな表面を含む。二軸延伸されたポリマーシートは、キャスト塗布されたポリマーシートに比して、それが薄くて、弾性率が高いので好ましい。二軸延伸されたシートは、普通、シートを共押出することによって製造されるが、それには数層の層が含まれてよく、引き続いて二軸延伸される。かかる二軸延伸シートは、例えば、米国特許第4,764,425号明細書に開示されている。
【0082】
透明ポリマーフィルム用に好適な種類の熱可塑性ポリマーには、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、セルロースエステル、ポリスチレン、ポリビニル樹脂、ポリスルホンアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリビニリデンフロリド、ポリウレタン、ポリフェニレンスルフィド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタール、ポリスルホネート、ポリエステルイオノマー、およびポリオレフィンイオノマーが含まれる。これらポリマーのコポリマーおよび/または混合物も使用することができる。
【0083】
ポリオレフィン、特にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、およびこれらの混合物が好ましい。また、ポリオレフィンコポリマーも、プロピレンとヘキセン、ブテンおよびオクテンのようなエチレンとのコポリマーを含め、好ましい。ポリプロピレンは、それがコスト的に低く、そして良好な強度と表面特性を有するため、最も好ましい。
【0084】
本発明の透明ポリマーフィルム用の好ましいポリエステルには、4〜20個の炭素原子の芳香族、脂肪族または脂環式のジカルボン酸と2〜24個の炭素原子を有する脂肪族もしくは脂環式グリコールとから得られるものが含まれる。好適なジカルボン酸の具体例には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、酒石酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸およびそれらの混合物が含まれる。好適なグリコールの具体例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、他のポリエチレングリコールおよびそれらの混合物が含まれる。かかるポリマーは、当該分野で周知であり、そして周知な技術、例えば、米国特許第2,465,319号および同第2,901,466号明細書に記載されるものによって作られてよい。好ましい連続マトリクスのポリエステルは、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれる少なくとも1個のグリコールとの繰返し単位を有するものである。ポリ(エチレンテレフタレート)が、これは少量の他のモノマーで変性されてもよいが、特に好ましい。他の好適なポリエステルには、スチルベンジカルボン酸のような協力酸成分の好適な量を含めることによって形成される液晶コポリエステルが含まれる。かかる液晶コポリエステルの具体例は、米国特許第4,420,607号、同第4,459,402号および同第4,468,510号明細書に開示されるものである。
【0085】
透明なポリマーフィルム用の有用なポリアミドには、ナイロン6、ナイロン66、およびこれらの混合物が含まれる。また。ポリアミドのコポリマーも好適な連続相のポリマーである。有用なポリカーボネートの具体例は、ビスフェノール−Aポリカーボネートである。複合シートの連続相ポリマーとして用いられる好適なセルロースエステルには、硝酸セルロース、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、およびこれらの混合物またはコポリマーが含まれる。有用なポリビニル樹脂には、ポリ塩化ビニル、ポリ(ビニルアセタール)、およびこれらの混合物が含まれる。また、ビニル樹脂のコポリマーも、使用できる。
【0086】
本発明の複合レンズには、好ましくはポリマーが含まれる。ポリマーは、それが先行技術のガラスレンズと比較して、一般にコストが低く、優れた光学特性を有していて、かつ溶融押出、真空成形および射出成型のような公知の方法を用いて効率的にレンズに成形できるので、好ましい。複合レンズの形成に好適なポリマーには、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、セルロースエステル、ポリスチレン、ポリビニル樹脂、ポリスルホンアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリビニリデンフロリド、ポリウレタン、ポリフェニレンスルフィド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタール、ポリスルホネート、ポリエステルイオノマー、およびポリオレフィンイオノマーが含まれる。これらポリマーのコポリマーおよび/または混合物は、機械的または光学的特性を改善するために用いることができる。透明な複合レンズ用の好ましいポリアミドには、ナイロン6、ナイロン66、およびこれらの混合物が含まれる。また、ポリアミドのコポリマーも、好適な連続相のポリマーである。有用なポリカーボネートの具体例は、ビスフェノール−Aポリカーボネートである。複合レンズの連続相ポリマーとしての使用に好適なセルロースエステルには、硝酸セルロース、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、およびこれらの混合物またはコポリマーが含まれる。好適なポリビニル樹脂には、ポリ塩化ビニル、ポリ(ビニルアセタール)、およびこれらの混合物が含まれる。また、ビニル樹脂のコポリマーも、使用できる。本発明の複合レンズ用に好ましいポリエステルには、4〜20個の炭素原子の芳香族、脂肪族または脂環式ジカルボン酸と2〜24個の炭素原子を有する脂肪族または脂環式グリコールとから得られるものが含まれる。好適なジカルボン酸の具体例には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、酒石酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸およびこれらの混合物が含まれる。好適なグリコールの具体例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、他のポリエチレングリコールおよびこれらの混合物が含まれる。
【0087】
画像形成要素の色を変えるために、ポリエステルスキン層に添加剤を加えることが好ましい。添加できる本発明の添化剤は、蛍光増白剤である。蛍光増白剤は、実質的に、無色で、蛍光性の、有機化合物であり、それは、紫外光を吸収して可視青色光としてそれを放射する。具体例には、4,4´−ジアミノスチルベン−2,2´−ジスルホン酸の誘導体、4−メチル−7‐ジエチルアミノクマリンのようなクマリン誘導体、1−4−ビス(o−シアノスチリル)ベンゾールおよび2−アミノ−4−メチルフェノールが含まれるが、これらに限定されない。この効率のよい蛍光増白剤の使用についての望ましい特徴は、期待していない。透過表示材料用の紫外線源は画像の反対側にあるので、その紫外線の光強度は、画像形成層に普通の紫外線フィルターによっては減少しない。その結果、所望の背景色を達成するためには、より少ない蛍光増白剤が必要となるだけである。
【0088】
拡散体シートは、熱可塑性小レンズのキャスティングの前または後に、印刷適正を含むシートの特性を改良するため、蒸気のバリアを与えるため、それを熱シール性とするため、あるいは接着性を改良するために使用されてよいある数の塗膜で被覆され、処理されてよい。これの具体例には、印刷適正用のアクリル塗膜、熱シール特性用のポリ塩化ビニリデン塗膜がある。更に、具体例には、印刷適正または接着性を改良するための、火炎、プラズマまたはコロナ放電処理が含まれる。
【0089】
図1には、液晶表示装置の使用に好適な可変光拡散体フィルムの断面図が示される。可変光拡散体フィルム12には、大きい方のレンズ22が透明ポリマー基材26の表面に貼られた透明ポリマー基材20が含まれる。小さい方のレンズ24は、大きい方のレンズ22の表面にある。複雑な複合レンズ30では、大きな高さ対幅比を有し、単一な複合レンズ32よりも、大きい方のレンズ当たりの小さい方のレンズの数が多く、その単一な複合レンズ32では、より小さい高さ対幅比を有し、大きい方のレンズ当たりの小さい方のレンズの数も少ない。大きい方のレンズ当たりの小さい方のレンズの形状寸法および数におけるこれらの変形は、複合レンズの度数と共に、非常に大きな拡散体の効率変化を生み出す。本発明では、大きい方のレンズ22の表面に多くの小さい方のレンズ24が含まれる。本発明の光拡散体は、大きい方のレンズ22および小さい方のレンズ24からの多くの拡散表面が含まれる。複合レンズ30の反対側に位置する、透明なポリマー基材20上には、ポリマー2、4、6、および8の交互層が塗布されて、本発明の光学濾光要素が形成される。層2および6は、略同じ厚さおよび屈折率を有する。層4および8は、略同じ厚さおよび屈折率を有する。層2と4間の屈折率の差は0.08であり、白色光に対して青の色相を与えるカラーフィルターが得られる。本発明によって達成されるカラー濾光は、交互層2および4の数、その交互層間の屈折率の差および交互層の対2および4の厚さによって決められる。
【0090】
また、微孔質の光拡散体は、照明光のエネルギーに優れた拡散を与えることが分っている。微孔質拡散体材料は、塊状拡散体であり、特に、当該拡散体が付加的な光学部材と光学的に接触させる必要があるときに、有用である。本発明の光拡散体の場合には、微孔質の複合二軸延伸ポリオレフィンシートが好ましく、これは、コアと表面層が共押出され、次いで二軸延伸されることによって空孔がコア層に含まれる空孔開始材料の周りに形成されることで製造される。二軸延伸層の場合には、好ましい複合体シートの二軸延伸シートおよびコアマトリクスポリマー用の好適な種類の熱可塑性ポリマーには、ポリオレフィンが含まれる。好適なポリオレフィンには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリブチレンおよびそれらの混合物が含まれる。また、プロピレンとヘキセン、ブテン、およびオクテンのようなエチレンとのコポリマーを含む、ポリオレフィンコポリマーも有用である。ポリエチレンは、それがコスト的に低く、望ましい強度特性を有するので、好ましい。かかる複合体シートは、例えば、米国特許第4,377,616号、同第4,758,462号および同第4,632,869号明細書に開示されているが、これを開示したことにより、これらを本明細書中に含める。光拡散体フィルムには、少なくとも一層の孔質ポリマー層をもつポリマーシートが含まれ、それには非孔質のポリエステルポリマー層が含まれてもよい。それには、前記ポリマーシートの前記孔質層からなる約2〜60容量%の空孔スペースが含まれていなければならない。かかる空孔濃度は、バックライトおよびフィラメントを隠すに適当な拡散能を与えつつ、透過性および反射特性を最適にするために望ましい。本発明の微細空孔含有延伸フィルムの厚さは、好ましくは約1μm〜400μm、より好ましくは5μm〜200μmである。ポリマーシートは、65%を超える透過率を有することが望ましい。
【0091】
本発明の熱可塑性拡散体には、その孔質層に隣接して一層以上の非孔質スキン層が与えられることが好ましい。複合体シートの非孔質スキン層は、コアマトリクス用に前掲されたと同じポリマー材料から作られてよい。複合体シートは、コアマトリクスと同じポリマー材料のスキンで作られてよく、あるいは、コアマトリクスと異なるポリマー組成物のスキンで作られてもよい。一体化のためには、コアに対するスキン層の付着を促進するために、補助層が使われてもよい。好適なポリエステルシートであれば、延伸されることを条件として、当該部材用に使用されてもよい。延伸によって当該多層構造に強さを与え、ディスプレーの組立て時における取扱い性を向上させる。微孔質の延伸シートは、その空孔によってTiOを用いなくても不透明性が与えられるので、好ましい。微孔質層は、コア層と薄膜層を適宜共押出し、次いで二軸延伸することによって製造され、それによって、空孔が、薄膜層に含有する空孔開始材料の周囲に形成される。
【0092】
また、ポリエステル微孔質光拡散体は、その延伸ポリエステルが優れた強度、耐衝撃性および耐薬品性を有しているので好ましい。本発明で用いられるポリエステルは、約50℃〜約150℃、好ましくは約60〜100℃にガラス転移温度を有し、延伸可能で、少なくとも0.50、好ましくは0.6〜0.9の固有粘度を有しなければならない。好適なポリエステルには、4〜20個の炭素源原子の芳香族、脂肪族、または環状脂肪族ジカルボン酸、および2〜24個の炭素原子を有する脂肪族または脂環式グリコールから得られるものが含まれる。好適なジカルボン酸の具体例には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸およびそれらの混合物が含まれる。好適なグリコールの具体例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、他のポリエチレングリコールおよびそれらの混合物が含まれる。かかるポリエステルは、当該分野で周知であり、そして周知な技術、例えば、米国特許第2,465,319号および同第2,901,466号明細書に記載されるものによって作られてよい。好ましい連続マトリクスのポリマーは、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれる少なくとも1個のグリコールとの繰返し単位を有するものである。ポリ(エチレンテレフタレート)が、これは少量の他のモノマーで変性されてもよいが、特に好ましい。また、ポリプロピレンは有用である。他の好適なポリエステルには、スチルベンジカルボン酸のような協力酸成分の好適な量を含めることによって形成される液晶コポリエステルが含まれる。かかる液晶コポリエステルの具体例は、米国特許第4,420,607号、同第4,459,402号および同第4,468,510号明細書に開示されるものである。
【0093】
ポリエステル拡散体シートの共押出、冷却、延伸、および熱硬化は、当該延伸シートを得るために公知である、例えば、平面シート法、またはバブルもしくは平板法のいかなる方法によって達成されてもよい。その平面シート法には、ブレンドをスリットダイに通して押出して、シートのコアマトリクスポリマー成分とスキン成分がそれらのガラス転移温度以下で冷却されるように、速やかにその押出されたウェブを冷却キャスティングドラム上で冷却することが含まれる。次いで、その冷却されたシートは、マトリクスポリマーのガラス転移温度以上、融点温度以下の温度で、相互に直角方向に延伸することによって延伸される。当該シートは、一方の方向に延伸され、次いで第2の方向に延伸されてよく、あるいは同時に両方向に延伸されてもよい。当該シートは、延伸された後、ある程度まで両延伸方向における収縮を抑えながら当該ポリマーを結晶化しまたはアニールするのに十分な温度まで加熱することによって熱硬化される。
【0094】
異なる効果を達成する付加的な層が、微孔質ポリエステル拡散シートに加えられることが好ましい。かかる層には、特異な特性を有するシートを作るために、着色剤、帯電防止材料、または異なる空孔形成材料が含まれてよい。二軸延伸シートは、改善された接着を与える表面層に形成されてよい。当該二軸延伸の押出は、所望の場合には、ある特定の所望の特性を達成するために、10層のような多くの層で実施されてよい。
【0095】
本発明の拡散体シートは、光学補償フィルム、偏光フィルムおよび基体構造の液晶層から選ばれる一以上の層と組み合わせて用いられてよい。本発明の拡散フィルムは、好ましくは、拡散フィルム/偏光フィルム/光学補償フィルムをこの順に組み合わせることによって用いられる。液晶表示装置に上記フィルムの組み合わせを用いる場合には、そのフィルム同士は、例えば、反射損失などを最小限にするため粘着接着剤によって相互に結合されてよい。その粘着接着剤は、界面での光の反射損失を抑制するため、延伸フィルムのそれに近い屈折率を有するものであることが好ましい。
【0096】
また、小レンズ拡散体フィルムは、その他の拡散体、例えば、バルク拡散体、微小凸レンズで型押しされた層、ビーズ層、表面拡散体、ホログラフ拡散体、微細構造拡散体、その他のレンズ配列、またはそれらの種々の組み合わせと関連させて用いてもよい。この小レンズ拡散体フィルムは、光を分散、または拡散して、それによって、整列された周期的レンズ配列から起こる回折パターンを消滅させる。小レンズ拡散体フィルムは、いかなる拡散体またはレンズ配列の前または後に配置されてもよい。
【0097】
本発明の拡散シートは、透明ポリマーから作られたフィルムまたはシートと組み合わせて用いられてよい。かかるポリマーの具体例には、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートのようなポリエステル、ポリメチルメタクリレートのようなアクリルポリマー、およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアクリレートおよび三酢酸セルロースがある。バルク拡散体の層は、支持体用のガラスシートに固定されてよい。
【0098】
また、本発明の透明ポリマーフィルムには、他の態様で、1個以上の小レンズの光路を通る光学透過率を改善するために、一層以上の光学塗膜が含まれてもよい。それには、当該拡散体の効率を上げるために、反射防止(AR)膜の層で拡散体を塗付することが、屡、望ましい。
【0099】
本発明の拡散体シートには、入射角で光の散乱特性を変えるために、光学特性を悪化させない範囲で、例えば、フィルムの表面滑性を改善させるための添化剤、即ちシリカのような滑剤が含まれてもよい。かかる添化剤の具体例は、キシレン、アルコールまたはケトンのような有機溶媒、アクリル樹脂、シリコーン樹脂または金属酸化物の微細粒子またはフィラーである。
【0100】
本発明の小レンズ拡散体フィルムは、通常、光学的異方性を有している。ウェブ材料およびキャストされた熱可塑性樹脂は、一般に、引張方向に光軸を有する光学的異方性を示す光学的に異方性の材料である。光学的異方性は、フィルム厚dと複屈折Δnとの積、即ち、Δn×d(減速度)で表わされる。ここで、Δnは、フィルム平面における遅い光軸方向における屈折率と速い光軸方向における屈折率との差である。延伸方向は、本発明フィルムにおける引張軸と一致している。引張軸は、正の固有複屈折を有する熱可塑性ポリマーの場合には遅い光軸方向であり、負の固有複屈折を有する熱可塑性ポリマーの場合には速い光軸方向である。Δn×d値の必要なレベルに関しては、そのレベルがフィルムの用途に依存しているので、その確定的な要件は全くない。
【0101】
本発明に係る製造方法では、好ましいレンズポリマーは、スリットダイから溶融押出される。一般に、Tダイまたはコートハンガーダイが好ましく用いられる。当該方法には、ポリマーまたはポリマーブレンドをスリットダイに通して押出し、その押出されたウェブを、透明シートのレンズポリマー成分がそのガラス凝固温度以下に冷却されて拡散レンズの形状が保持されるように、好ましいレンズの幾何学模様をもつ冷却されたキャスティングドラム上で、急冷することが含まれる。
【0102】
拡散フィルム集成体の製造法は発展した。その好ましいアプローチには、複数の複合体レンズを有する凸状のマスター冷却ロールを提供する工程が含まれる。
当該拡散フィルムは、溶融ポリマー材料を冷却ロール表面にキャスティングすることによってそのマスター冷却ローラから型取され、次いでその小レンズ構造体をもつポリマー材料が透明ポリマーフィルム上に移される。
【0103】
冷却ロールは、ローラ表面に銅の層を電気メッキし、次いでガラスまたは二酸化ケイ素のようなビーズでその銅層の表面を研磨噴射仕上げし、半球形の形状をもつ表面テキスチャーを形成する工程を含む方法によって製作される。その得られた噴射仕上げ表面は、結果としてロール内方に凹形状かあるいはロール外方に凸形状のいずれかをもつ表面テキスチャーとなる厚みまで、光沢ニッケルメッキされるか、あるいはクロムメッキされる。冷却ロール表面の離型特性のため、樹脂が、ロール表面に付着することはない。
【0104】
ビーズ噴射仕上げ操作が、噴射仕上げ操作時におけるノズルの供給速度、ローラ表面からのノズル距離、ローラの回転速度および粒子の速度が正確にコントロールされる自動直圧方式を用いて実施されて、所望の小レンズ構造が形成される。
【0105】
面積あたりの冷却ロールにおける形状部の数は、ビーズの大きさおよびパターンの深さによって決まる。より大きなビーズ直径とより深いパターンであると、結果として、所定面積における形状部の数はより少なくなる。それ故、形状部の数は、ビーズの大きさとパターンの深さによって必然的に決まる。
【0106】
また、本発明の複合レンズは、パターン周辺を真空成形すること、レンズを射出成型することおよびポリマーウェブにレンズを型押しすることによって製造されてもよい。これらの製造技術では、効率的に光を拡散できる満足のいくレンズが得られるが、パターン化されたロール上にポリマーを溶融キャスト塗布し、引き続いて透明ポリマーウェブ上に移動させると、本発明のレンズをロール内に形成することが可能となり、それによって拡散レンズの製造コストが下がる。更に、キャスト塗布ポリマーでは、型押しおよび真空成形に比較して、より効率よく所望の複合レンズの幾何学模様を複製できることが分っている。
【0107】
本発明は、いかなる液晶表示装置との関連で用いられてもよく、その典型的な配列は以下に記載されている。液晶(LC)は、広く電子表示装置用に使われている。これらの表示方式では、LC層は偏光子層と検光子層の間に配置され、そして法線軸に対して層を旋回して進む方位を示す配向ベクトルを有している。検光子は、その吸収軸が偏光子のそれと垂直であるように配置される。液晶セルを通過する偏光子によって偏光された入射光は、液晶内の分子配向に影響されるが、それはセルを横切る電圧を印加することによって変えることができる。この原理を用いることによって、周囲の光を含む外部光源からの光の透過率をコントロールすることができる。このコントロールの達成に必要なエネルギーは、一般に、陰極線管のような他の表示タイプに使われる蛍光材料に必要なそれよりもはるかに少ない。したがって、LC技術は、軽量化、低電力消費および長期の操作寿命を重要な特徴としている、ディジタル時計、計算機、ポータブルコンピュータ、電子ゲーム機を含むがそれらに限定されない多くの用途に使われている。
【0108】
能動マトリクス液晶表示(LCD)は、各液晶画素の駆動用スイッチ装置として薄膜トランジスター(TFT)を用いている。これらのLCDは、そのそれぞれの液晶画素が選択的に駆動されるため、混信無しに高精細度の画像を表示することができる。光学モード干渉(OMI)表示は、液晶表示であり、それは、「通常は白色」、つまり、光がオフ状態の表示層を透過する。ねじれネマティック液晶を用いるLCDの動作モードは、大雑把に、複屈折モードと旋光モードに分かれる。「フィルム補償型超ねじれネマティック」(FSTN)LCDは、通常は黒色、つまり、電圧が印加されないときはオフ状態で光の透過を禁止する。OMI表示は、報告によれば、より速い応答時間とより広い動作温度範囲を有している。
【0109】
白熱電球または太陽からの通常光は、ランダムに偏光されている、つまり、それには、可能なあらゆる方向に向かう波が含まれている。偏光子は、ランダムに偏光された(「偏光されていない」)光ビームを、入射光ビームから二つの垂直平面に偏光された成分の一方を選択的に除去することによって偏光されたものに変換するように機能する二色材料である。線形偏光子は、液晶表示(LCD)装置の基本的な成分である。
【0110】
LCD装置に使用するために十分な光学的性能をもつ高二色性比率の偏光子には、いくつかのタイプがある。これらの偏光子は、一方の偏光成分を透過し、他方の互に直交する成分を吸収する(この効果は、二色性として知られている)薄いシート状材料から作られる。最も普通に用いられるプラスチックシート偏光子は、薄い、一軸延伸されたポリビニルアルコール(PVA)フィルム(これは、PVAポリマー鎖が、多少平行状態で一列に並んでいる)からなる。この一列に並んだPVAは、次いで、沃素分子または着色二色性色素の組み合わせでドープされて(例えば、住友化学社の欧州特許第0182632号明細書を参照のこと)、これらは、中性のグレー着色された高異方性のマトリクスを得るように吸収され、そして一軸延伸されたPVAとなる。脆いPVAフィルムを機械的に支持するために、次いでそれは、三酢酸セルロース(TAC)、または類似の支持体からなる剛性の層で両面にラミネートされる。
【0111】
コントラスト、カラー再現性、および安定なグレースケール強度は、電子表示に係る重要な品質特性であり、これらは液晶技術に採用されている。液晶表示のコントラストを制約する主要な因子は、光が、液晶要素またはセルを通る際に「漏れる」傾向であり、そうなると、暗黒、即ち「黒色」画素状態となる。更に、漏洩およびそれによる液晶表示のコントラストは、表示スクリーンが見られる角度にも左右される。典型的に、最適なコントラストは、表示に対する法線入射を略中心とした狭い視角内でのみ観察され、視角が大きくなると急速に落ちる。カラー表示では、この漏洩の問題は、コントラストを悪化させるばかりでなく、カラー再現の減退と関連して色ずれまたは色相ずれの原因となる。黒色状態の光の漏洩に加えて、典型的なねじれネマティック液晶表示における狭い視角の問題は、液晶材料の光学的異方性のために、視角関数としての明るさ−電圧曲線におけるシフトによって悪化する。
【0112】
本発明の透明ポリマーフィルムは、当該フィルムがバックライト方式における光散乱フィルムとして用いられるときは、輝度を平準化できる。ポータブルコンピュータに使われるような、バックライト型LCD表示スクリーンでは、光源に相当する個々の「ホットスポット」が検出されるように、LCDスクリーンに比較的近くに配置された比較的集中した光源(例えば、蛍光)または比較的集中した一連の光源を有していてよい。拡散体フィルムは、表示装置にわたる照度を平準化するのに役立つ。液晶表示装置には、例えば、能動マトリクス駆動および単純マトリクス駆動から選択される駆動法と、例えば、ねじれネマティック液晶モード、超ねじれネマティック液晶モード、強誘電性液晶モードおよび反強誘電性液晶モードから選択される液晶モードとの組み合わせを有する表示装置が含まれるが、しかし、本発明では、上記組み合わせによって限定されない。液晶表示装置では、本発明の延伸フィルムは、バックライトの前面に配置されることが必要である。本発明の小レンズ拡散体フィルムでは、当該フィルムがあらゆる方向に優れた可視性を与えるように光を拡散するという優れた光散乱性を有しているので、液晶表示装置の明るさを表示全体にわたって平準化することができる。上記の効果は、このような小レンズ拡散体フィルムを単独使用しても達成できるが、複数枚のフィルムが組み合わされて用いられてもよい。この均質化する小レンズ拡散体フィルムは、透過モードでLCD材料の前に置いて、光を分配し、それを更によく均質化させるようにしてもよい。本発明には、光源を有意破壊する装置としての重要な用途も有している。多くの用途では、試料全体に分散した光が変化するが、これは望ましくないので、ある用途に問題があるフィラメント構造それ自体を光源の出力装置から除いてしまうことが望ましい。また、光源が置換された後に光源のフィラメントやアークの位置に変動があると、誤った、誤解を招きかねない読みが生じる。光源と検出器との間に置かれた本発明の均質化小レンズ拡散体フィルムでは、光源の出力装置からいかなる痕跡量のフィラメント構造をも除くことができるので、したがって、光源から光源へと全く同一の均質化した出力が生じる。
【0113】
小レンズ拡散体フィルムは、所望の場所に向けた快い均質化した光を与えることによって舞台用の照明をコントロールするために用いられてもよい。舞台およびテレビの製作では、広範な種類の舞台光を用いて、適当な照明に必要なあらゆる異なる効果を達成しなければならない。これには、不都合で経費を要する多くの異なるランプを用いることが要求される。ランプを覆って置かれる本発明のフィルムによって、必要とされる殆ど無制限の柔軟性のある分散光を与えることが可能となる。その結果として、殆どあらゆる対象、動くものであれ動かないものであれ、いかなる形態からなるものであっても、正確に照明することができる。
【0114】
本発明の小レンズ拡散体フィルムに金属フィルム等からなる反射層を貼付して形成される反射フィルムは、例えば、交通信号用の逆反射性部材として使用できる。それは、自動車、二輪車、人などに貼付けた状態で使用することができる。
【0115】
また、本発明の小レンズ拡散体フィルムは、法の施行と安全システムの分野において、赤外(IR)検出器に一層高いコントラストを与えるために、全体の安全確保地域にわたるレーザダイオード(LD)または発光ダイオード(LED)からの出力を均質化するために用いられてもよい。また、本発明の当該フィルムは、紙幣読取機または皮膚治療装置のようなLEDまたはLD源を用いる装置から構造物を取り除くために使用されてもよい。これにより、結果として精度が増すことになる。
【0116】
外科医の頭部に取り付けられる光ファイバー集成装置によって、仮に手術時に光ファイバー要素の一部が破壊しても、手術部位に散漫性の光度変化を放つことができる。ファイバー束の末端に配置された本発明の小レンズ拡散体フィルムは、残りのファイバーから来る光を均質化して、患者に放つ光から破壊したファイバーの痕跡を排除してしまう。標準の擦りガラス製の拡散体では、著しい背後散乱によって処理量に損失が生じるため、この用途には効果的でない。
【0117】
また、本発明の小レンズ拡散体フィルムは、光源のフィラメントまたはアークを有意破壊することによって顕微鏡下の試料を均質に照らして、均質的に照らされた視野を得ることができる。また、当該フィルムは、ファイバーを伝わる種々のモード、例えば、螺旋状ファイバーから来る光の出力を均質化するために使用することができる。
【0118】
また、本発明の小レンズ拡散体フィルムは、仕事および生活空間に好適な光を与えるような重要な建築的な用途も有している。典型的な商業上の用途では、廉価な透明ポリマー拡散体フィルムが、部屋全体に光を拡散させることを助けるために用いられる。これら慣用の拡散体の一つと置き換わる本発明のホモジナイザーでは、光が部屋全体にわたって一様でかつ全くホットスポットが無く、あらゆる角度に拡散されるように、より均一な光出力が与えられる。
【0119】
また、本発明の小レンズ拡散体フィルムは、芸術品を照らす光を拡散するために用いられてもよい。この透明なポリマーフィルム拡散体は、最も望ましい様式で芸術品を描写するため、適宜な大きさと方向性をもつ好適な絞りを与える。
【0120】
更に、本発明の小レンズ拡散体フィルムは、表示装置のような光学装置の一部として広く使うことができる。例えば、それは、液晶表示装置のバックライト方式について先に記載した光散乱板に加えて、反射型液晶表示装置における金属フィルムのような反射フィルムで積層された光反射板として、あるいは当該装置の裏面側(観察者と反対側)に金属フィルムを置く場合に当該フィルムを前面側(観察者側)に向ける前面散乱性フィルムとして用いることができる。本発明の小レンズ拡散体フィルムは、ITOフィルムによって示される酸化イリジウムからなる透明導電層を積層させることによって電極として用いられてもよい。仮に、当該材料を用いて反射スクリーン、例えば前面投射スクリーンが形成されるならば、光反射層が透明ポリマーフィルム拡散体に貼付される。
【0121】
透明ポリマー拡散体フィルムのその他の用途には、後部投射スクリーンがあるが、それは、大画面のスクリーン上に光源から画像を投射することが望ましい。
テレビ用の視角は、典型的に、水平方向よりも縦方向に小さい。当該拡散体は、視角を増大させるように光を拡散させるために役立つ。
【0122】
拡散フィルムのサンプルは、積分球を備えた日立U4001UV/Vis/NIR分光光度計を用いて測定された。全体の透過スペクトルは、複合レンズの前面を積分球に向けたビームポートにサンプルを置いて測定された。検量された99%拡散反射性の標準(NIST−痕跡量)は、標準のサンプルポートに置かれた。拡散透過スペクトルは、同様に測定されたが、その99%タイルを取り除いた。拡散反射スペクトルは、塗布側を積分球に向けたサンプルポートにサンプルを置いて測定された。サンプルの裏張り材からの反射を排除するために、サンプルの背後には何も置かれなかった。得られたスペクトルの全ては、350〜800nmであった。拡散反射率の結果は、99%タイルについて引用されるので、その値は絶対ではなく、99%タイルの検量報告によって修正されることが必要となる。
【0123】
全透過光のパーセンテージは、全ての角度でサンプルを透過する光のパーセントを指している。拡散透過率は、入射光から2.5°の角度を除くサンプルの透過光パーセントとして定義される。拡散光透過率は、拡散透過によってサンプルを透過した光のパーセントである。拡散反射率は、サンプルによって反射される光のパーセントとして定義される。実施例に引用したパーセンテージは、500nmで測定された。これらの値は、サンプルの吸収性または測定されたサンプルの僅かな変化のため、合計で100%にはならない。
【0124】
本発明の実施態様によれば、光の拡散性および透過性が改善されるのみならず、厚さを薄くした拡散フィルムも提供され、しかもこの拡散フィルムは、光の散乱性を低減している。
【0125】
本発明は、いくつかの好ましい実施態様に言及して詳細に述べてきたが、その変形および変更についても、本発明の技術的思想並びに技術的範囲に入ることが理解されよう。
【0126】
【実施例】
実施例
この実施例では、本発明の光学濾光要素を含む複合レンズ光拡散体を、複合レンズの幾何学形状を含むパターン化された冷却ロールに対して、押出級のポリオレフィンポリマーを押出注型し、そしてその光拡散体レンズの反対側に光学濾光要素を塗付することによって作製した。この実施例では、透明ポリマーのウェブ材料上に形成した複合表面レンズが、アクリルマトリクス中へ球状ビーズを分散させることを利用するランダムな先行技術の光拡散体に比して、非常に優れた光拡散性を与えることを示す。更に、本発明の光学要素は、拡散CCFL光源の濾光を与えることを明らかにする。
【0127】
パターン化された冷却ロールは、ローラの表面に銅層を電気メッキし、次いでその銅層の表面をガラスビーズで研磨噴射仕上げして、半球形の形状をもつ表面テキスチャーを作製する工程を含む方法によって製作した。その得られた噴射仕上げした表面に、結果としてロールの内側に凹形状か、あるいはロールの外側に凸形状かのいずれかをもつ表面テキスチャーとなる深さまで光沢ニッケルメッキを施した。ビーズ噴射仕上げ操作は、自動直圧方式を用いて行なったが、そこでは、噴射操作時のノズル供給速度、ロール表面からのノズル距離、ロールの回転速度および粒子速度を正確にコントロールして、所望の複合レンズ構造を作製した。表面積当たりの冷却ロールにおける形状の数はビーズの大きさおよびパターンの深さによって決まる。ビーズの直径が大きく、そしてパターンが深くなる程、所定面積における形状の数は少なくなる。
【0128】
複合レンズをパターン化したロールは、スチールのロール形板から始まって、447MPaの圧力下で、サイズ14のグリットでグリットブラスト仕上げすることによって製作した。次いで、このロールにクロムメッキした。ロール表面に得られた複合レンズは、凸であった。単一のレンズをパターン化したロール(対照)は、銅のロール形板から始まって、310MPaの圧力下で、サイズ14の球形グリットでグリットブラスト仕上げすることによって製作した。ロール表面に得られた単一レンズは、凹であった。光ダイレクタを、15μmの深さまで均一に45度の楔に機械加工した。
【0129】
複合拡散レンズと光ダイレクタの両者を有するパターン化した冷却ロールを使用して、コートハンガースロットダイから、97.2%の光透過率をもつ100μm厚の延伸されたウェブの透明なポリエステルウェブの上に、実質的に96.5%のLDPE(Eastman Chemical 級の D4002P)、3%の酸化亜鉛および0.5%のステアリン酸カルシウムを含むポリオレフィンポリマーを押出塗布することによって光拡散シートを作製した。このポリオレフィンキャスト塗膜の付着量は、25.88g/mであった。
【0130】
複合レンズを含む本発明の材料は、27.1μmの平均直径をもつ大きい方のレンズとその大きい方のレンズの表面に6.7μmの平均直径をもつ小さい方のレンズとがランダムに分布して含まれるレンズを有していた。小さい方のレンズ対大きい方のレンズの平均比率は、17.2:1であった。対照の拡散シートは、25.4μmの平均直径をもつ単一レンズがランダムに分布して含まれていた。光拡散レンズの反対側を、1.55屈折率のポリプロピレンと1.65屈折率のPET(両者は、550nmの光を用いて屈折率を測定した)からなる交互層で塗付した。その光学濾光要素の厚さを、以下の表1に示した。
【0131】
【表1】
Figure 2004070328
【0132】
本発明の光学濾光要素を含むキャスト塗工した拡散シートの構造は、以下のとおりである。
成形されたポリオレフィン複合拡散レンズ
透明ポリエステル基材
光学濾光要素
【0133】
次いで、本発明の材料に、光ダイレクタが30平方cmのシートの周辺にあるようにスリットを入れた。上記の本発明材料およびポリエステルウェブ材料に塗布されたアクリルバインダー層中に8μmのポリマービーズを含む先行技術のポリマー光拡散体の両者を、光透過率%、拡散光透過率%、正反射光透過率%、拡散反射率%、400,500,600よび700nmでの光透過率%に関して測定した。
【0134】
拡散フィルムのサンプルを、積分球を備えた日立U4001UV/Vis/NIR分光光度計を用いて測定した。全体の透過スペクトルは、複合レンズの前面を積分球に向けたビームポートにサンプルを置いて測定した。検量された99%拡散反射性の標準(NIST−痕跡量)を標準のサンプルポートに置いた。拡散透過スペクトルを同様にして測定したが、99%タイルは取り去った。拡散反射スペクトルは、塗布側を積分球に向けたサンプルポートにサンプルを置いて測定した。サンプルの裏張り材からの反射を排除するために、サンプルの背後には何も置かなかった。得られたスペクトルの全てが、350〜800nmであった。
拡散反射率の結果は、99%タイルについて引用されるので、その値は絶対ではなく、99%タイルの検量報告によって修正されることが必要となる。
【0135】
全透過光のパーセンテージは、全ての角度でサンプルを透過する光のパーセントを指している。拡散透過率は、入射光の角度から2.5°の角度を除く、サンプルを通過する光のパーセントとして定義される。拡散光透過率は、拡散透過によってサンプルを透過する光のパーセントである。拡散反射率は、サンプルによって反射される光のパーセントとして定義される。実施例に引用したパーセンテージは、500nmで測定した。これらの値は、サンプルの吸収性または測定されたサンプルの僅かな変化のため、合計で100%にならない。
【0136】
本発明、対照および先行技術の材料に係る測定値を、以下の表2に挙げる。
【表2】
Figure 2004070328
【0137】
上記データが明らかに示すように、透明ポリマーの表面に形成された複合ポリマーレンズは、より明るい液晶表示装置を可能とする、優れた光拡散および透過率%を与える。本発明材料に係る88.2%の拡散光透過率は、先行技術材料(65.7%)より著しく良好である。本発明の複合レンズは、単一レンズ(一つの曲面)および先行技術材料(一つの曲面)に比して、極めて多くの透過光拡散に係る曲面を与えている。拡散光透過率は、その拡散シートがLC装置に共通な導光器のパターンをマスクしなければならないという点で、LC装置の品質における重要な因子である。本発明の92.6%という全体の光透過率は、先行技術材料(66.7)よりもかなり改善されている。内部散乱および光源に向かうバック反射を低下させるレンズを提供することによって、本発明の材料では、92.6%の光エネルギーを拡散体に通過させることが可能となり、その結果、明るい液晶表示となる。
【0138】
本発明では、高い全透過率と高い拡散光透過率とを合体した。これにより、フィルムを通して殆どの光を通過させて、LC表示を一層明るくすることを可能としつつ、導光器のパターンをマスクする拡散フィルムを創製した。先行技術のサンプルでも、存在する光は殆ど全て散乱し、それによって導光路のパターンをマスキングする。存在する光は全て散乱するとはいえ、その全透過率の測定値は低ブロック性の光であり、受入れ難い灰色表示を呈してしまう。また、先行技術のサンプルを通過する光も、大きな割合の反射によって消失してしまう。
【0139】
本発明材料では、波長により異なる透過率を与える光学フィルターを含んでいるが、一方、対照材料では、波長関数として一定の透過率を有している。屈折率を異にするポリマーを含む交互層の結果としての、当該濾光では、より多くの青色光を透過し、そしてより多くの赤色光を濾光することができる。本発明の材料では、より多くの青色光を透過できるため、照明光源に快い青色相を与え、それによって、イエローまたは赤を含有する光に比して消費者が好む青色相をもつ光として表示装置の画質を改善する。このカラー濾光を光の拡散と組み合わせたことによって、本発明の材料は、背面投射型装置における光の質を改善するための理想の材料となった。
【0140】
本実施例では、主として、LC装置用の熱可塑性光拡散材料としての使用を指向したが、本発明の材料は、他の拡散用途、例えば、バックライト表示、拡散層を含む画像形成要素、正反射性の家庭照明および私的スクリーン用の拡散体、前面投射ディスプレー、画像捕獲の拡散レンズおよび温室光の拡散、白熱電球、偏光フィルム、導光器、半透過板および画像捕獲フィルムにも価値を有する。
【0141】
本発明の更なる実施態様を列記すると、以下のとおりである。
1.光源、空気、80〜200nmの厚さを有する少なくとも一層の薄い層、および厚い層をこの順で含み、各層が、交互に、隣接層と少なくとも0.05だけ屈折率(RI)を異にする光学要素。
2.前記光学要素が3〜30層を含む、1に記載の光学要素。
3.前記厚い層が1000〜5000nmの厚さを有する、1に記載の光学要素。
4.前記光学要素が着色光を与える、1に記載の光学要素。
5.前記着色光が10〜70nmの半値帯域幅を含む、4に記載の光学要素。6.前記光学要素が570〜620nmで有彩透過率のピークを与える、1に記載の光学要素。
7.前記光学要素が630〜690nmおよび425〜480nmで有彩透過率のピークを与える、1に記載の光学要素。
8.前記光学要素が480〜520nmで有彩透過率のピークを与える、1に記載の光学要素。
9.前記光学要素が630〜690nmで有彩透過率のピークを与える、1に記載の光学要素。
10.前記光学要素が525〜590nmで有彩透過率のピークを与える、1に記載の光学要素。
11.前記光学要素が425〜480nmで有彩透過率のピークを与える、1に記載の光学要素。
12.前記光学要素が300〜3000nmの厚さを有する、1に記載の光学要素。
13.前記交互層がPEN、シリコーンおよびポリカーボネートを含む、1に記載の光学要素。
14.前記交互層がポリカーボネート、酢酸セルロースおよびポリエステルを含む、1に記載の光学要素。
15.前記光学要素がガラス表面に適用されてなる、1に記載の光学要素。
16.前記光学要素が更に光拡散体を含む、1に記載の光学要素。
17.前記光拡散体が90%を超える透過率を有する、16に記載の光学要素。
18.前記光拡散体が85%を超える透過率を有する、16に記載の光学要素。
19.前記光拡散体が微孔質ポリマーを含む、16に記載の光学要素。
20.少なくとも片面に複数の複合レンズを含む上面および底面を有する透明なポリマーフィルムを更に含む、16に記載の光学要素。
21.表面にランダムに配置された複合レンズを更に含む、16に記載の光学要素。
22.光源、空気、80〜200nmの厚さを有する少なくとも一層の薄い層、および厚い層をこの順で含み、その各層が交互に、隣接層と少なくとも0.05だけ屈折率(RI)を異にする交互層を、透明なポリマーシート上に同時に塗布することからなる、光学要素の形成方法。
23.光源と、光源、空気、80〜200nmの厚さを有する少なくとも一層の薄い層、および厚い層をこの順で含み、その各層が、交互に、隣接層と少なくとも0.05だけ屈折率(RI)を異にし、そして透明ポリマーフィルムが光源と偏光フィルムとの間に位置して、少なくとも75%の拡散光透過率を有する光学要素とを、含む液晶装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、液晶表示装置での使用に好適な干渉縞フィルターを利用する光学濾光要素の断面図である。
【図2】図2は、ポリエステル基材に塗付されたアセテートとポリカーボネートに係る波長対透過率の関係を示すグラフである。
【図3】図3は、ポリカーボネート基材に塗布されたPENとシリコーンに係る波長対透過率の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2…高屈折率ポリマー
4…低屈折率ポリマー
6…高屈折率ポリマー
8…低屈折率ポリマー
12…可変光拡散体フィルム
20…透明ポリマー基材
22…大きい方のレンズ
24…小さい方のレンズ
26…透明ポリマー基材の表面
30…複雑な複合レンズ
32…単一な複合レンズ
40…可視光のスペクトルに渡る波長対透過率曲線
50…可視光のスペクトルに渡る波長対透過率曲線

Claims (8)

  1. 光源、空気、80〜200nmの厚さを有する少なくとも一層の薄い層、および厚い層をこの順で含み、各層が、交互に、隣接層と少なくとも0.05だけ屈折率(RI)を異にする光学要素。
  2. 前記隣接層が相互に少なくとも0.10だけRIを異にする、請求項1に記載の光学要素。
  3. 前記光学要素が3〜8層を含む、請求項1または2に記載の光学要素。
  4. 前記厚い層が200〜1000nmの厚さを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学要素。
  5. 前記各層がポリマーを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学要素。
  6. 前記光学要素が導光器、ポリマープリズムシート、反射表面、半透過表面、白熱電球、透明ポリマーシート、偏光フィルム、または低複屈折性酢酸セルロースの表面に適用されてなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学要素。
  7. 前記光学要素が更に光拡散体を含んでなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学要素。
  8. 光源と、光源、空気、80〜200nmの厚さを有する少なくとも一層の薄い層、および厚い層をこの順で含み、各層が、交互に、隣接層と少なくとも0.05だけ屈折率(RI)を異にする光学要素とを含み、かつ、少なくとも75%の拡散透過率を有してなるバックライト型装置。
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