JP2014136402A - 微細構造体の形成方法およびインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

微細構造体の形成方法およびインクジェットヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高精度な微細構造体を安定して形成できる方法を提供する。
【解決手段】第一の基板上にポジ型感光性樹脂層を形成し、該ポジ型感光性樹脂層をパターニングする工程と、光を透過可能な第二の基板を用意する工程と、前記第二の基板上に、波長の異なる光照射により撥水/非撥水の可逆反応が進行する撥水/非撥水樹脂層を形成する工程と、前記撥水/非撥水樹脂層上に、前記撥水/非撥水樹脂層と直接接触するようにネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、前記パターニングされたポジ型感光性樹脂層が前記ネガ型感光性樹脂層内に埋没するように、前記第二の基板に対して第一の基板をプレスする工程と、前記第二の基板越しに光を照射する工程と、前記撥水/非撥水樹脂層および前記第二の基板を、前記ネガ型感光性樹脂層から剥離する工程と、を含む微細構造体の形成方法。
【選択図】図1

Description

本発明は微細構造体の形成方法およびインクジェットヘッドの製造方法に関する。
近年、科学技術の発展に伴い、様々な分野で微細構造体の形成技術に対する要求が高まっている。特に、マイクロアクチュエータ、電子デバイス、光学デバイス等の分野で研究が盛んに行われており、例えば、各種小型センサー、マイクロプローブ、薄膜磁気ヘッド、インクジェットヘッドにおいて研究が進んでいる。そのような微細構造体の形成方法には、スタンパー、ドライエッチング、フォトリソグラフィーなど種々の方法が応用されている。これらの中でも、感光性樹脂材料を用いたフォトリソグラフィーによるパターン形成によれば、高アスペクト比を有する良好な形状を高精度かつ簡便に形成することができる。
代表的な例として、特許文献1には、フォトリソグラフィーを用いたインクジェットヘッドの製造方法が開示されている。この方法では、以下の工程によりインクジェットヘッドを製造する。まず、エネルギー発生素子が形成された基板上に、溶解可能な樹脂にてインク流路パターンをフォトリソグラフィーの手法で形成する。次に、インク流路パターン上に、インク流路壁となるエポキシ樹脂及び光カチオン重合開始剤を含む被覆樹脂層を形成し、フォトリソグラフィーによりエネルギー発生素子と対向する位置に吐出口を形成する。次に、前記溶解可能な樹脂を溶出し、インク流路壁となる被覆樹脂層を硬化させる。
特公平6−45242号公報 特開2006−137065号公報 特開2003−272998号公報 特開2004−304097号公報 特開2005−354017号公報
S.Y.Chou等著、"Nanoimprint lithography"、ジャーナル オブ バキューム サイエンス テクノロジー(J. Vac. Sci. Technol.) B14(6)巻、4129−4133頁、1996年11月/12月 T. Bailey等著、"Step and flash imprint lithography:Template surface treatment and defect analysis"、ジャーナル オブ バキューム サイエンス テクノロジー(J. Vac. Sci. Technol.)、B18(6)巻、3572−3577頁、2000年11月/12月
しかしながら、上述の方法では、基板上のインク流路パターンに被覆樹脂層を形成するため、被覆樹脂層の表面が凹凸にうねり、基板からのインク流路の高さにばらつきが生じ、結果としてインクの吐出量が安定しない課題があった。こうした課題を解決する方法として、被覆樹脂層にドライフィルムを用い、インク流路パターン上に真空ラミネートを施し、加圧することによって被覆樹脂層の平坦化を行う方法が開示されている(特許文献2)。しかしながら、この方法では、ドライフィルムの膜厚分布がベースフィルムやカバーフィルムの精度に依存するため、数μm〜数十μmというインク流路高さの精度に対して、ドライフィルムの精度が十分に確保できない課題がある。さらに、ラミネート後に加圧工程を行うため、露光直前のベースフィルム剥離工程で、剥離不良が生じる場合がある。こうした課題を解決する方法として、例えば以下の方法が考えられる。
1.高精度基板上に樹脂層を形成し、支持基板の分布の影響を排除する
2.支持基板にあらかじめ剥離層を設け、加圧による支持基板と樹脂層との密着を抑制する
3.樹脂そのものが高い離型性を有する樹脂を使用する。
3の場合は微細構造体の内部も高い撥水性を有してしまうため、用途に制限がかかり、特にインクジェットヘッドのような構造内部に液体を流動させて使用するデバイスには不向きである。1と2の場合は、近年提案されているインプリント法という微細パターンの転写技術を応用することができる。
インプリント法の転写技術については、その一例が非特許文献1および2に開示されている。また、インプリント法の転写樹脂層として紫外線硬化樹脂を使用した技術も広く知られている(特許文献3から5)。紫外線硬化樹脂を用いる場合、モールドに石英等の透明基材を用い、転写樹脂層にモールドを押し付けた後、モールド越しに紫外線照射を行い、樹脂を硬化させ、モールドの剥離を行う。この時、モールドの表面に樹脂が付着することを防止する目的で、モールド表面に離型処理を施しておくことが一般的である。しかしながら、離型材を塗布すると、剥離工程が容易になる一方で、モールドに対する樹脂の濡れ性が低下するため、しばしば濡れ性不足により泡などが発生し、転写不良を引き起こす場合がある。すなわち、あらかじめ基板上に付与された樹脂にモールドを押し付け、後に基板を剥離するインプリント法では、樹脂を付与する際には基板の濡れ性が高く、樹脂から基板を剥離する際には基板の濡れ性が低い状態であることが望ましいと考えられる。
そこで、本発明は、高精度な微細構造体を安定して形成できる方法を提供することを目的とする。
本発明に係る微細構造体の形成方法は、
(1)第一の基板上にポジ型感光性樹脂層を形成し、該ポジ型感光性樹脂層をパターニングする工程と、
(2)光を透過可能な第二の基板を用意する工程と、
(3)前記第二の基板上に、波長の異なる光照射により撥水/非撥水の可逆反応が進行する撥水/非撥水樹脂層を形成する工程と、
(4)前記撥水/非撥水樹脂層上に、前記撥水/非撥水樹脂層と直接接触するようにネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、
(5)前記パターニングされたポジ型感光性樹脂層が前記ネガ型感光性樹脂層内に埋没するように、前記第二の基板に対して第一の基板をプレスする工程と、
(6)前記第二の基板越しに光を照射する工程と、
(7)前記撥水/非撥水樹脂層および前記第二の基板を、前記ネガ型感光性樹脂層から剥離する工程と、を含む。
本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、
インクを吐出するためのエネルギー発生素子を備える基板と、
インクを吐出するための吐出口を有し、該基板と接合して該吐出口と連通するインク流路を形成するインク流路形成部材と、を備えるインクジェットヘッドの製造方法であって、
(1)エネルギー発生素子を備える第一の基板上にポジ型感光性樹脂層を形成し、該ポジ型感光性樹脂層をパターニングしてインク流路パターンを形成する工程と、
(2)光を透過可能な第二の基板を用意する工程と、
(3)前記第二の基板上に、波長の異なる光照射により撥水/非撥水の可逆反応が進行する撥水/非撥水樹脂層を形成する工程と、
(4)前記撥水/非撥水樹脂層上に、前記撥水/非撥水樹脂層と直接接触するように、インク流路形成部材となるネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、
(5)前記インク流路パターンがパターニングされたポジ型感光性樹脂層が、前記ネガ型感光性樹脂層内に埋没するように、前記第二の基板に対して前記第一の基板をプレスする工程と、
(6)前記第二の基板越しに光を照射する工程と、
(7)前記撥水/非撥水樹脂層および前記第二の基板を、前記ネガ型感光性樹脂層から剥離する工程と、を含む。
本発明に係るインクジェットヘッドは、本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法により製造される。
本発明によれば、高精度な微細構造体を安定して形成することができる。また、高精度なインクジェットヘッドを安定して製造することができる。
本発明に係る微細構造体の形成方法の実施形態の一例を示す断面図である。 本発明に係る方法により製造されるインクジェットヘッドの一例を示す模式断面図である。 本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法の実施形態の一例を示す断面図である。
(A)微細構造体の形成方法
本発明に係る微細構造体の形成方法は、
(1)第一の基板上にポジ型感光性樹脂層を形成し、該ポジ型感光性樹脂層をパターニングする工程と、
(2)光を透過可能な第二の基板を用意する工程と、
(3)前記第二の基板上に、波長の異なる光照射により撥水/非撥水の可逆反応が進行する撥水/非撥水樹脂層を形成する工程と、
(4)前記撥水/非撥水樹脂層上に、前記撥水/非撥水樹脂層と直接接触するようにネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、
(5)前記パターニングされたポジ型感光性樹脂層が前記ネガ型感光性樹脂層内に埋没するように、前記第二の基板に対して第一の基板をプレスする工程と、
(6)前記第二の基板越しに光を照射する工程と、
(7)前記撥水/非撥水樹脂層および前記第二の基板を、前記ネガ型感光性樹脂層から剥離する工程と、を含む。
以下、図1を用いて本発明に係る微細構造体の形成方法の実施形態の一例を示す。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
(A)−1.第一の基板の準備
まず、第一の基板1を準備する。第一の基板1は、基板上に形成する微細構造体の支持体として機能し得るものであれば、その形状、材質等は特に限定されない。例えば、第一の基板1にはシリコン基板を用いることができる。
(A)−2.ポジ型感光性樹脂層の形成(図1(a)および(b))
次に、第一の基板1上にポジ型感光性樹脂層2を形成する(図1(a))。
ポジ型感光性樹脂層2に含まれるポジ型感光性樹脂は特に限定されない。例えば、ポジ型感光性樹脂としては、ポリメチルイソプロペニルケトンやメタクリル酸エステルを主成分とする高分子の主鎖分解型ポジ型感光性樹脂が挙げられる。メタクリル酸エステルを主成分とする高分子の主鎖分解型ポジ型感光性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート等のホモポリマー、メタクリル酸メチルとメタクリル酸、アクリル酸、グリシジルメタクリレート、フェニルメタクリレート等との共重合体が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらのメタクリル酸エステルを主成分とする高分子の主鎖分解型ポジ型感光性樹脂は、一般的に200〜240nm付近に感光波長を有する。また、ポリメチルイソプロペニルケトンを主成分とする高分子の主鎖分解型ポジ型感光性樹脂は、260〜320nm付近に感光波長を有する。
ポジ型感光性樹脂層2の形成方法としては、特に限定されないが、例えばポジ型感光性樹脂を溶媒に溶解した溶液をスピンコート法等により塗布し、ベークすることで形成することができる。
形成されたポジ型感光性樹脂層2に対し、最適な露光波長によって露光することで、所望のパターンを形成する(図1(b))。例えばマスクを介して露光装置により露光し、その後現像することで所望のパターンを形成することができる。
(A)−3.第二の基板の準備と表面処理(図1(c))
次に、第二の基板3を準備する。第二の基板3としては、樹脂を塗布でき、かつ光を透過できるものであれば、その形状、材質は特に限定されない。第二の基板3としては例えば石英基板等を用いることができるが、後に第二の基板3上に形成されるネガ型感光性樹脂層5をパターニングすることを考慮して、第二の基板3は、ネガ型感光性樹脂層5にパターンを潜像する際のフォトマスクであることが好ましい。第二の基板3がネガ型感光性樹脂層5にパターンを潜像する際のフォトマスクであることにより、後述する第二の基板3越しに光を照射する際に、同時にネガ型感光性樹脂層5にパターンを潜像させることができる。
次いで、第二の基板3上に波長の異なる光照射により撥水/非撥水の可逆反応が進行する撥水/非撥水樹脂層4を形成する(図1(c))。撥水/非撥水樹脂層4としては特に限定されないが、例えば紫外光を照射することによって撥水性が向上し、可視光を照射することにより撥水性が低下する可逆反応が進行する化合物を含む樹脂層が挙げられる。このような化合物の具体例としては、フォトクロミック化合物が挙げられる。フォトクロミック化合物としてはジアリールエテン化合物が好ましく、下記式(I)で示されるジアリールエテン化合物がより好ましい。
(式(I)において、R1およびR2はそれぞれ独立に、鎖状もしくは環状のアルキル基、またはアルコキシル基を表す。X1、X2、Y1およびY2はそれぞれ独立に下記式(a)〜(h)のいずれかで示される置換基を表す。環Dは、X1、Y1およびこれらと結合する2つの炭素原子とともに形成された、置換されていてもよい5員環または6員環の芳香族環を表す。環EはX2、Y2およびこれらと結合する2つの炭素原子とともに形成された、置換されていてもよい5員環または6員環の芳香族環を表す。)
(式(a)において、R3は水素原子、置換されていてもよい鎖状もしくは環状のアルキル基、または置換されていてもよいアリール基を表す。式(h)おいて、R4は水素原子、または置換されていてもよい鎖状もしくは環状のアルキル基を示し、他の環の原子と結合して縮合環を形成してもよい。)
1およびR2のアルキル基としては、炭素数1〜3の鎖状または環状のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基等が挙げられる。R1およびR2のアルコキシル基としては、炭素数1〜3のアルコキシル基が挙げられる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
3およびR4のアルキル基としては、炭素数1〜3の鎖状または環状のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基等が挙げられる。R3のアリール基としては、具体的にはフェニル等が挙げられる。なお、R4が他の環の原子と結合して縮合環を形成する場合には、R4の構造は特に限定されない。
前記式(I)で示されるジアリールエテン化合物としては、例えば、1,2−ビス(2−メチルベンゾ[b]チオフェン−3−イル)パーフルオロシクロペンテン、1,2−ビス(2−メトキシ−5−トリメチルシリルチエン−3−イル)パーフルオロシクロペンテン等が挙げられる。これらの化合物は一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
用いるフォトクロミック化合物によっても異なるが、撥水/非撥水樹脂層4を撥水性とするために照射する紫外線の波長としては、例えば200〜400nmとすることができる。また、撥水/非撥水樹脂層4を非撥水性とするために照射する可視光の波長としては、例えば450〜750nmとすることができる。
撥水/非撥水樹脂層4の形成方法としては、特に限定されないが、例えばスピンコート法、スプレーコート法、スリットコート法等により形成することができる。
撥水/非撥水樹脂層4の形成後、ネガ型感光性樹脂層5を形成する前に、撥水/非撥水樹脂層4に対して光を照射し、撥水/非撥水樹脂層4を非撥水性とすることができる。このようにすることで、後述するネガ型感光性樹脂層5の形成の際に、撥水/非撥水樹脂層4上にネガ型感光性樹脂を均一に塗布することができる。なお、該光は後述する第二の基板3越しに照射される光とは波長が異なり、例えば前記フォトクロミック化合物を用いた場合には可視光を照射することができる。
(A)−4.ネガ型感光性樹脂層の形成(図1(d))
次に、撥水/非撥水樹脂層4上に、撥水/非撥水樹脂層4と直接接するようにネガ型感光性樹脂5を形成する(図1(d))。ネガ型感光性樹脂層5に含まれるネガ型感光性樹脂は、光照射によって高分子化することで、エッチング材料または構造材料としての高い機械的強度、下地との密着性、後の工程での耐溶剤性等を有することが好ましい。また、ネガ型感光性樹脂は常温(5℃以上、35℃以下)において固体であることが、後の工程でポジ型感光性樹脂との相溶を抑制する観点から好ましい。これらの特性を満足する樹脂としては、例えばカチオン重合型のエポキシ樹脂化合物が挙げられる。カチオン重合型のエポキシ樹脂化合物としては、例えばビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応物のうち分子量が900以上の反応物、含ブロモビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応物、フェノールノボラックまたはo−クレゾールノボラックとエピクロロヒドリンとの反応物、特開昭60−161973号公報、特開昭63−221121号公報、特開昭64−9216号公報、特開平2−140219号公報等に記載のオキシシクロヘキサン骨格を有する多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、ネガ型感光性樹脂層5は光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、ネガ型感光性樹脂層5に含まれるネガ型感光性樹脂がエポキシ樹脂化合物のようにカチオン重合可能な基を有する場合には、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等が挙げられる。市販品では、アデカオプトマーSP−170、SP−150(商品名、(株)ADEKA製)、BBI−103、BBI−102(商品名、みどり化学(株)製)、Rhodorsil Photoinitiator 2074(商品名、Rhodia製)、IBPF、IBCF、TS−01、TS−91(商品名、(株)三和ケミカル製)等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、ネガ型感光性樹脂層5に含まれるネガ型感光性樹脂が固体のエポキシ樹脂化合物の場合には、ネガ型感光性樹脂を有機溶剤に溶解させて塗布することが好ましい。このような有機溶剤としては、特に限定されないが、例えばメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどの極性溶媒が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ネガ型感光性樹脂層5の形成方法としては、特に限定されないが、例えばスピンコート法、スリットコート法、スプレーコート法等により形成することができる。前述したように撥水/非撥水樹脂層4に対して光を照射し、撥水/非撥水樹脂層4を非撥水性とすることにより、ネガ型感光性樹脂の塗りむらや、はじきといった塗布不良が発生せず、均一にネガ型感光性樹脂層5を形成することができる。
(A)−5.第二の基板に対する第一の基板のプレス(図1(e)および(f))
次に、所望のパターンがパターニングされたポジ型感光性樹脂層2がネガ型感光性樹脂層5内に埋没するように、第二の基板3に対して第一の基板1をプレスする(図1(e)、(f))。プレスの際の圧力を低下させる観点から、プレスの際加熱を行ってもよい。しかし、ポジ型感光性樹脂の溶解性や、ネガ型感光性樹脂の解像性の観点から、120℃以下でプレスを行うことが好ましい。
(A)−6.光照射、第二の基板の剥離、およびネガ型感光性樹脂層のパターニング(図1(g)、(h)、(i)および(j))
次に、第二の基板3を剥離するために、第二の基板3越しに光を照射する(図1(g))。これにより、撥水/非撥水樹脂層4を撥水性として、第二の基板3表面の撥水性を向上させる。撥水/非撥水樹脂層4が前記フォトクロミック化合物を含む場合、照射する光の波長域としては200〜400nmの紫外光を用いることができる。しかし、後の工程でネガ型感光性樹脂層5をパターニングするため、ネガ型感光性樹脂層5に含まれる光重合開始剤の感光波長を避けることが好ましい。感光波長を選択して光を照射する方法としては、バンドパスフィルターなどを用いる方法が挙げられる。また、第二の基板3がフォトマスクである場合には、バンドパスフィルターを用いることなく紫外光を照射し、第二の基板3表面の撥水性の向上と、ネガ型感光性樹脂層5のパターンの潜像とを同時に行うことができる。
光の照射によって第二の基板3表面の撥水性が向上すると、これまでインプリントで課題となっていた離型不良の発生を抑制することができる。撥水/非撥水樹脂層4がジアリールエテン化合物を含む場合、ジアリールエテン化合物は紫外線の照射により撥水性の低い開環体から撥水性の高い閉環体へ変化する。開環体は平滑な結晶面であるが、閉環体に変化すると被膜面から針状に結晶が成長し、平滑な結晶面は消失する。このように結晶単位で構造が大きく変化するため、表面の撥水性を制御することができる。また、第二の基板3を離型後、再度波長の異なる光を照射することにより表面の撥水性を低下させることができるため、第二の基板3を繰り返し使用することができる。特に第二の基板3がフォトマスクである場合に有効である。
撥水/非撥水樹脂層4および第二の基板3を、ネガ型感光性樹脂層5から剥離した後(図1(h))、第二の基板3がフォトマスクでない場合には、所望のパターンを有するフォトマスクを用いてネガ型感光性樹脂層5に対して露光を行う(図1(i))。露光後、現像工程を経て、ネガ型感光性樹脂のパターンを得る(図1(j))。
(A)−7.ポジ型感光性樹脂層の除去(図1(k))
次に、ポジ型感光性樹脂層2の現像除去を行う。現像除去に用いる現像液としては、ポジ型感光性樹脂を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルイソブチルケトン等を用いることができる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。また、現像液で現像した後、イソプロピルアルコール(IPA)等でリンス処理を行ってもよい。
以上の工程により、高精度な微細構造体を安定して製造することができる。
(B)インクジェットヘッドの製造方法
本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、インクを吐出するためのエネルギー発生素子を備える基板と、インクを吐出するための吐出口を有し、該基板と接合して該吐出口と連通するインク流路を形成するインク流路形成部材と、を備えるインクジェットヘッドの製造方法であって、
(1)エネルギー発生素子を備える第一の基板上にポジ型感光性樹脂層を形成し、該ポジ型感光性樹脂層をパターニングしてインク流路パターンを形成する工程と、
(2)光を透過可能な第二の基板を用意する工程と、
(3)前記第二の基板上に、波長の異なる光照射により撥水/非撥水の可逆反応が進行する撥水/非撥水樹脂層を形成する工程と、
(4)前記撥水/非撥水樹脂層上に、前記撥水/非撥水樹脂層と直接接触するように、インク流路形成部材となるネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、
(5)前記インク流路パターンがパターニングされたポジ型感光性樹脂層が、前記ネガ型感光性樹脂層内に埋没するように、前記第二の基板に対して前記第一の基板をプレスする工程と、
(6)前記第二の基板越しに光を照射する工程と、
(7)前記撥水/非撥水樹脂層および前記第二の基板を、前記ネガ型感光性樹脂層から剥離する工程と、を含む。
本発明に係る方法では高精度なインクジェットヘッドが得られるため、インク吐出量が安定した、印字特性の良好なインクジェットヘッドを安定して製造することができる。
図2に本発明に係る方法により製造されるインクジェットヘッドの一例の模式断面図を示す。図2において、基板7は、液体を吐出するために用いられるエネルギー発生素子としての発熱素子6を備える。また、基板7にはインク流路81にインクを供給するインク供給口9が形成されている。また、基板7上には、複数の吐出口10を有し、吐出口10に連通するインク流路81の壁11を有するインク流路形成部材12が設けられている。
以上の構成において、インクはインク供給口9からインク流路81に供給され、保持される。記録信号に応じた電気が発熱素子6に通電されることにより発生する熱エネルギーにより、充填されていたインク中に気泡を瞬間的に発生させる。該気泡の成長によって生じる圧力変化を利用し、インク滴を吐出口10から吐出させ、記録媒体に記録する。吐出口10の形状は四角、円形に限らず、中央がくびれた形状、多角形でもよい。
以下、図3を用いて本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法の実施形態の一例を示す。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
(B)−1.基板の準備(図3(a))
まず、第一の基板7を準備する(図3(a))。第一の基板7は、インク流路を構成する部材の一部として機能し、また、後述するインク流路形成部材12の支持体として機能し得るものであれば、その形状、材質等は特に限定されない。第一の基板7としては例えばシリコン基板を用いることができる。
第一の基板7上には、電気熱変換素子、圧電素子等のエネルギー発生素子6を所望の個数配置することができる。エネルギー発生素子6によって、インク液滴を吐出させるための吐出エネルギーがインクに与えられ、記録が行われる。例えば、エネルギー発生素子6として電気熱変換素子が用いられる場合、該素子が近傍のインクを加熱することによりインクに状態変化が生じ、吐出エネルギーが発生する。また、例えばエネルギー発生素子6として圧電素子が用いられる場合、該素子の機械的振動によって吐出エネルギーが発生する。
なお、エネルギー発生素子6には、素子を動作させるための制御信号入力用電極(不図示)が接続されている。また、エネルギー発生素子6には、エネルギー発生素子6の耐用性の向上を目的とした保護層(不図示)や、後述するインク流路形成部材12と第一の基板7との密着性の向上を目的とした密着向上層(不図示)等の各種機能層が設けられていてもよい。
(B)−2.ポジ型感光性樹脂層の形成(図3(b))
次いで、第一の基板7上にポジ型感光性樹脂層13を形成する。ポジ型感光性樹脂層13に含まれるポジ型感光性樹脂としては、上述したように、ポリメチルイソプロペニルケトンやメタクリル酸エステルを主成分とする高分子の主鎖分解型感光性樹脂を用いることができる。
(B)−3.インク流路パターンの形成(図3(c))
上述した(A)微細構造体の形成方法と同様の方法で、ポジ型感光性樹脂層13のパターニングを行い、インク流路パターン82を形成する。
(B)−4.フォトマスクの表面処理(図3(d))
次いで、吐出口パターンの形成されたフォトマスク14上に、(A)微細構造体の形成方法と同様の方法でジアリールエテン化合物を含む撥水/非撥水樹脂層4を形成する。本実施形態では、第二の基板として吐出口パターンの形成されたフォトマスク14を用いる。撥水/非撥水樹脂層4を形成後、可視光を照射することによりフォトマスク14表面の撥水性を低下させる。
(B)−5.ネガ型感光性樹脂層の形成(図3(e))
次いで、撥水/非撥水樹脂層4上に、撥水/非撥水樹脂層4と直接接触するようにネガ型感光性樹脂層5を形成する(図3(e))。ネガ型感光性樹脂層5はインク流路形成部材12として機能するため、ネガ型感光性樹脂層5に含まれるネガ型感光性樹脂としては、構造材料としての高い機械的強度、密着性、耐インク性、吐出口の微細パターンをパターニングできる解像性等が求められる。これらの特性を満足する樹脂としては、上述したカチオン重合型のエポキシ樹脂化合物が挙げられる。
前記エポキシ樹脂化合物のエポキシ当量は2000以下が好ましく、1000以下がより好ましい。エポキシ当量が2000以下であることにより、硬化反応の際に架橋密度が低下せず、密着性、耐インク性が向上する。
また、ネガ型感光性樹脂層5は光重合開始剤を含有することが好ましい。ネガ型感光性樹脂が前記エポキシ樹脂化合物である場合、エポキシ樹脂化合物を硬化させるための光カチオン重合開始剤としては、光照射により酸を発生する化合物を用いることができる。光照射により酸を発生する化合物としては、特に限定されないが、例えば、芳香族スルフォニウム塩、芳香族ヨードニウム塩などを用いることができる。芳香族スルフォニウム塩としては、市販品では、例えばTPS−102、103、105、MDS−103、105、205、305、DTS−102、103(商品名、みどり化学(株)製)、SP−170、172(商品名、(株)ADEKA製)等を用いることができる。芳香族ヨードニウム塩としては、市販品では、例えばDPI−105、MPI−103、105、BBI−101、102、103、105(商品名、みどり化学(株)製)等を用いることができる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、光重合開始剤の添加量としては、目標とする感度となるように任意の添加量を選択することができるが、ネガ型感光性樹脂が前記エポキシ樹脂化合物である場合には、例えばエポキシ樹脂化合物に対して、0.5〜5質量%の範囲とすることができる。また、必要に応じて波長増感剤として、例えば(株)ADEKAより市販されているSP−100等を添加してもよい。
さらに、必要に応じて他の添加剤を適宜添加することができる。例えば、ネガ型感光性樹脂が前記エポキシ樹脂化合物である場合、エポキシ樹脂化合物の弾性率を下げる目的で可撓性付与剤を添加したり、基板との更なる密着力を得るためにシランカップリング剤を添加したりすることができる。
ネガ型感光性樹脂の塗布方法としては、スピンコート法、スプレーコート法、スリットコート法等が挙げられる。
(B)−6.フォトマスクに対する第一の基板のプレス(図3(f))
次いで、インク流路パターン82がネガ型感光性樹脂層5内に埋没するように、フォトマスク14に対して第一の基板7をプレスする(図3(f))。この時、プレス圧力を低下させる目的で、フォトマスク14を加熱することが好ましい。しかしながら、後にインク流路パターン82を溶解除去することを考えて、インク流路パターン82に含まれるポジ型感光性樹脂が変性しない温度範囲で加熱することが好ましい。ポジ型感光性樹脂が変性しない温度範囲としては、ポジ型感光性樹脂の種類にもよるが、ポジ型感光性樹脂のガラス転移温度(Tg)を超えない温度範囲である、60〜140℃であることが好ましい。
(B)−7.吐出口の形成とフォトマスクの剥離(図3(g)および(h))
次いで、フォトマスク14越しに光を照射する(図3(g))。光としては、撥水/非撥水樹脂層4を撥水性とすることができれば特に限定されないが、例えば紫外線を用いることができる。本実施形態ではi線ステッパーによりi線露光を行う。また、本実施形態では第二の基板としてフォトマスクを用いているため、光の照射により同時にネガ型感光性樹脂層5に対して吐出口パターンを潜像することができる。この時、フォトマスク14の表面は高撥水表面となるため、ネガ型感光性樹脂層5から容易にフォトマスク14を剥離することができる。撥水/非撥水樹脂層4およびフォトマスク14をネガ型感光性樹脂層5から剥離した後、現像処理を行い、未露光のネガ型感光性樹脂を溶解除去することにより、吐出口10の形成を行う(図3(h))。
(B)−8.インク供給口およびインク流路の形成(図3(i)および(j))
次いで、エネルギー発生素子6を備える第一の基板7を貫通するインク供給口9を形成する(図3(i))。インク供給口9の形成方法としては、サンドブラスト、ドライエッチング、ウエットエッチング等の手法、またはこれらの手法の組み合わせにより行うことができる。
例えばアルカリ系のエッチング液である水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の水溶液を用いた異方性エッチングを行うことができる。結晶方位として、<100>、<110>の方位を持つシリコン基板は、アルカリ系の化学エッチングを行うことにより、エッチングの進行方向に関して、深さ方向と幅方向の選択性ができ、これによりエッチングの異方性を得ることができる。特に、<100>の結晶方位を持つシリコン基板は、エッチングを行う幅によってエッチングされる深さが幾何学的に決定されるため、エッチング深さを制御することができる。例えば、エッチングの開始面から深さ方向に54.7°の傾斜を持って狭くなる孔を形成することができる。エッチング液に対して耐性を有する適当な樹脂材料をマスクとして前記異方性エッチングを行うことで、第一の基板7を貫通するインク供給口9を形成することができる。
次いで、必要に応じてインク流路形成部材12の上面からポジ型感光性樹脂の感光波長を照射し(不図示)、インク流路パターン82を溶解除去することで、インク流路81を形成する(図3(j))。さらに切断分離工程を経た後(不図示)、必要に応じて加熱処理を施すことによりインク流路形成部材12を完全に硬化させる。その後、インク供給のための部材(不図示)の接合、エネルギー発生素子6を駆動するための電気的接合(不図示)を行い、インクジェットヘッドを完成させることができる。
以下に、本発明に係る方法をインクジェットヘッドの製造方法により示す。
[実施例1]
図3に示す工程に従って、インクジェットヘッドを作製した。まず、図3(a)に示すように、エネルギー発生素子6を備える基板7を準備した。具体的には、エネルギー発生素子6としての電気熱変換素子(TaSiNからなるヒーター)と、インク流路およびインク流路形成部材の形成部位にSiN+Taの積層膜(不図示)とを有する8インチのシリコン基板を準備した。
次いで、図3(b)に示すように、エネルギー発生素子6を備える基板7上にポリメチルイソプロペニルケトンをスピンコートし、120℃で6分間ベークを行った。これにより、ポジ型感光性樹脂層13を形成した。
次いで、ポジ型感光性樹脂層13に対し、マスクを介してDeep−UV露光装置(商品名:UX−3000、ウシオ電機(株)製)を用いて14J/cm2の露光量で露光した。その後、メチルイソブチルケトンによりポジ型感光性樹脂層13の現像を行い、インク流路パターン82を形成した(図3(c))。
次いで、吐出口パターンが形成されたフォトマスク14上に、以下の組成からなる表面処理剤をスピンコートした。これにより、撥水/非撥水樹脂層4を形成した(図3(d))。
1,2−ビス(2−メチルベンゾ[b]チオフェン−3−イル)パーフルオロシクロペンテン 50質量部
イソプロパノール 50質量部
その後、撥水/非撥水樹脂層4に対して可視光を照射し、撥水/非撥水樹脂層4を非撥水性とした。
引き続き、撥水/非撥水樹脂層4上に、以下の組成からなるネガ型感光性樹脂組成物をスピンコートし(平板上膜厚15μm)、90℃で2分間、ホットプレートによりプリベークを行った。これにより、ネガ型感光性樹脂層5を形成した(図3(e))。
EHPE(商品名、(株)ダイセル製、5〜35℃において固体) 100質量部
SP−172(商品名、(株)ADEKA製) 5質量部
A−187(商品名、東レ・ダウコーニング(株)製) 5質量部
メチルイソブチルケトン 100質量部
次いで、インク流路パターン82が、ネガ型感光性樹脂層5内に埋没するように、フォトマスク14に対して基板7をプレスした(図3(f))。プレス圧力は0.4MPaであった。また、フォトマスク14を100℃に加熱してプレスした。
次いで、i線ステッパー(商品名:i5、キヤノン(株)製)を用いて、フォトマスク14越しに4000J/m2の露光量にてi線露光した(図3(g))。その後、ホットプレートにて90℃で240秒PEB(Post Exposure Bake)を行った。この時、ジアリールエテン化合物はi線によって閉環体に変化するため、撥水/非撥水樹脂層4は撥水性となり、ネガ型感光性樹脂層5からフォトマスク14を容易に離型することが可能となった。
次いで、撥水/非撥水樹脂層4およびフォトマスク14をネガ型感光性樹脂層5から剥離した。その後、メチルイソブチルケトンにて現像し、イソプロピルアルコールにてリンス処理を行い、140℃で60分間熱処理を行うことにより、吐出口10を形成した(図3(h))。なお、本実施例では直径8μmの吐出口を形成した。
次いで、Deep−UV露光装置(商品名:UX−3000、ウシオ電機(株)製)を用い、インク流路形成部材12越しに250000mJ/cm2の露光量で全面露光を行い、インク流路パターン82を可溶化した。引き続き、乳酸メチル中に超音波を付与しつつ浸漬してインク流路パターン82を溶解除去することで、インク流路81を形成した。これにより、インクジェットヘッドを製造した。なお、本実施例においてはインク供給口の形成に関する説明は省略した。
本実施例に係る方法では、ネガ型感光性樹脂組成物をスピンコートする際に、均一にネガ型感光性樹脂組成物を塗布することができた。また、撥水/非撥水樹脂層4およびフォトマスク14をネガ型感光性樹脂層5からスムーズに剥離することができた。したがって、所望の形状を有する高精度のインクジェットヘッドを安定して製造することができた。
[実施例2]
撥水/非撥水樹脂層4の材料として1,2−ビス(2−メトキシ−5−トリメチルシリルチエン−3−イル)パーフルオロシクロペンテンを用いた以外は実施例1と同様にインクジェットヘッドを作製した。この結果、ネガ型感光性樹脂組成物をスピンコートする際に、均一にネガ型感光性樹脂組成物を塗布することができた。また、撥水/非撥水樹脂層4およびフォトマスク14をネガ型感光性樹脂層5からスムーズに剥離することができた。したがって、所望の形状を有する高精度のインクジェットヘッドを安定して製造することができた。
[比較例1]
フォトマスク14上に撥水/非撥水樹脂層4を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にインクジェットヘッドを製造した。本比較例に係る方法では、ネガ型感光性樹脂組成物をスピンコートする際に塗布不良が発生した。また、撥水/非撥水樹脂層4およびフォトマスク14をネガ型感光性樹脂層5から剥離する際の剥離性が不十分であった。したがって、所望の形状を有するインクジェットヘッドを製造することができなかった。
[比較例2]
フォトマスク14の代わりに石英基板を用いた。また、i線露光を行わずに撥水/非撥水樹脂層4および石英基板をネガ型感光性樹脂層5から剥離し、その後にフォトマスクを用いてネガ型感光性樹脂層5をパターニングした以外は実施例1と同様にインクジェットヘッドを製造した。本比較例に係る方法では、撥水/非撥水樹脂層4およびフォトマスク14をネガ型感光性樹脂層5から剥離する際の剥離性が不十分であった。したがって、所望の形状を有するインクジェットヘッドを製造することができなかった。
以上より、表面処理により撥水性と非撥水性を制御した実施例に係る方法では、所望の形状を有するインクジェットヘッドを製造することができた。しかし、表面処理により撥水性および/または非撥水性を制御しなかった比較例に係る方法では、塗布工程および/または剥離工程において塗布性および/または剥離性が不十分であり、所望の形状を有するインクジェットヘッドを製造することができなかった。
以上説明したように、本発明に係る微細構造体の形成方法を用いることにより、高精度な微細構造体を安定して製造することが可能となる。更に、本発明に係る方法をインクジェットヘッドの製造方法に用いることにより、インクジェットヘッドの製造タクトが向上し、エネルギー発生素子と、インク流路および吐出口との位置関係を高精度かつ再現性良く制御することが可能となる。その結果、印字特性の良好な信頼性の高いインクジェットヘッドを安定して製造することができる。
1 第一の基板
2 ポジ型感光性樹脂層
3 第二の基板
4 撥水/非撥水樹脂層
5 ネガ型感光性樹脂層
6 エネルギー発生素子(発熱素子)
7 第一の基板(基板)
81 インク流路
82 インク流路パターン
9 インク供給口
10 吐出口
11 壁
12 インク流路形成部材
13 ポジ型感光性樹脂層
14 フォトマスク
15 光

Claims (11)

  1. (1)第一の基板上にポジ型感光性樹脂層を形成し、該ポジ型感光性樹脂層をパターニングする工程と、
    (2)光を透過可能な第二の基板を用意する工程と、
    (3)前記第二の基板上に、波長の異なる光照射により撥水/非撥水の可逆反応が進行する撥水/非撥水樹脂層を形成する工程と、
    (4)前記撥水/非撥水樹脂層上に、前記撥水/非撥水樹脂層と直接接触するようにネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、
    (5)前記パターニングされたポジ型感光性樹脂層が前記ネガ型感光性樹脂層内に埋没するように、前記第二の基板に対して第一の基板をプレスする工程と、
    (6)前記第二の基板越しに光を照射する工程と、
    (7)前記撥水/非撥水樹脂層および前記第二の基板を、前記ネガ型感光性樹脂層から剥離する工程と、
    を含む微細構造体の形成方法。
  2. 前記撥水/非撥水樹脂層が、下記式(I)で表されるジアリールエテン化合物を含む請求項1に記載の微細構造体の形成方法。
    (式(I)において、R1およびR2はそれぞれ独立に、鎖状もしくは環状のアルキル基、またはアルコキシル基を表す。X1、X2、Y1およびY2はそれぞれ独立に下記式(a)〜(h)のいずれかで示される置換基を表す。環Dは、X1、Y1およびこれらと結合する2つの炭素原子とともに形成された、置換されていてもよい5員環または6員環の芳香族環を表す。環EはX2、Y2およびこれらと結合する2つの炭素原子とともに形成された、置換されていてもよい5員環または6員環の芳香族環を表す。)
    (式(a)において、R3は水素原子、置換されていてもよい鎖状もしくは環状のアルキル基、または置換されていてもよいアリール基を表す。式(h)おいて、R4は水素原子、または置換されていてもよい鎖状もしくは環状のアルキル基を示し、他の環の原子と結合して縮合環を形成してもよい。)
  3. 前記工程(6)が、前記第二の基板越しに光を照射することにより前記ネガ型感光性樹脂層にパターンを潜像する工程であり、
    前記第二の基板が、前記ネガ型感光性樹脂層にパターンを潜像する際のフォトマスクである請求項1または2に記載の微細構造体の形成方法。
  4. 前記ネガ型感光性樹脂層に含まれるネガ型感光性樹脂が、5℃以上、35℃以下において固体である請求項1から3のいずれか1項に記載の微細構造体の形成方法。
  5. 前記工程(4)の前に、前記撥水/非撥水樹脂層に対して前記工程(6)で照射される前記光と波長の異なる光を照射することで、前記撥水/非撥水樹脂層を非撥水性とする工程を含み、
    前記工程(6)における光の照射より、前記撥水/非撥水樹脂層を撥水性とする請求項1から4のいずれか1項に記載の微細構造体の製造方法。
  6. インクを吐出するためのエネルギー発生素子を備える基板と、
    インクを吐出するための吐出口を有し、該基板と接合して該吐出口と連通するインク流路を形成するインク流路形成部材と、を備えるインクジェットヘッドの製造方法であって、
    (1)エネルギー発生素子を備える第一の基板上にポジ型感光性樹脂層を形成し、該ポジ型感光性樹脂層をパターニングしてインク流路パターンを形成する工程と、
    (2)光を透過可能な第二の基板を用意する工程と、
    (3)前記第二の基板上に、波長の異なる光照射により撥水/非撥水の可逆反応が進行する撥水/非撥水樹脂層を形成する工程と、
    (4)前記撥水/非撥水樹脂層上に、前記撥水/非撥水樹脂層と直接接触するように、インク流路形成部材となるネガ型感光性樹脂層を形成する工程と、
    (5)前記インク流路パターンがパターニングされたポジ型感光性樹脂層が、前記ネガ型感光性樹脂層内に埋没するように、前記第二の基板に対して前記第一の基板をプレスする工程と、
    (6)前記第二の基板越しに光を照射する工程と、
    (7)前記撥水/非撥水樹脂層および前記第二の基板を、前記ネガ型感光性樹脂層から剥離する工程と、
    を含むインクジェットヘッドの製造方法。
  7. 前記撥水/非撥水樹脂層が、下記式(I)で表されるジアリールエテン化合物を含む請求項6に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
    (式(I)において、R1およびR2はそれぞれ独立に、鎖状もしくは環状のアルキル基、またはアルコキシル基を表す。X1、X2、Y1およびY2はそれぞれ独立に下記式(a)〜(h)のいずれかで示される置換基を表す。環Dは、X1、Y1およびこれらと結合する2つの炭素原子とともに形成された、置換されていてもよい5員環または6員環の芳香族環を表す。環EはX2、Y2およびこれらと結合する2つの炭素原子とともに形成された、置換されていてもよい5員環または6員環の芳香族環を表す。)
    (式(a)において、R3は水素原子、置換されていてもよい鎖状もしくは環状のアルキル基、または置換されていてもよいアリール基を表す。式(h)おいて、R4は水素原子、または置換されていてもよい鎖状もしくは環状のアルキル基を示し、他の環の原子と結合して縮合環を形成してもよい。)
  8. 前記工程(6)が、前記第二の基板越しに光を照射することにより前記ネガ型感光性樹脂層に吐出口パターンを潜像する工程であり、
    前記第二の基板が、前記ネガ型感光性樹脂層に吐出口パターンを潜像する際のフォトマスクである請求項6または7に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  9. 前記ネガ型感光性樹脂層に含まれるネガ型感光性樹脂が、5℃以上、35℃以下において固体である請求項6から8のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  10. 前記工程(4)の前に、前記撥水/非撥水樹脂層に対して前記工程(6)で照射される前記光と波長の異なる光を照射することで、前記撥水/非撥水樹脂層を非撥水性とする工程を含み、
    前記工程(6)における光の照射により、前記撥水/非撥水樹脂層を撥水性とする請求項6から9のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  11. 請求項6から10のいずれか1項に記載の方法により製造されるインクジェットヘッド。
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