JP2014134223A - 密栓装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】流体管の側面に設けられた分岐口を密栓できるとともに、取り扱いが容易で作業を簡単にできる密栓装置を提供する。
【解決手段】押圧部材6が、頂板部を貫通して雄ねじ部41に螺合する雌ねじ部62と、シール部材20の後方に配置される外筒部63とを有する。本体部材7は、外筒部63に嵌入される内筒部72と、内筒部72から外周側に突出してシール部材20の前方に配置される突出部73と、シール部材20よりも前方に設けられた抜け止め部74とを有する。軸方向ADに対して傾斜して延びるガイド突起54が拡張部材5に設けられるとともに、それに嵌合するガイド溝が抜け止め部74に設けられる。抜け止め部74は、本体部材7に対する拡張部材5の相対的な軸方向移動に応じて、分岐口の管内面に係止しうる位置と係止しない位置との間を変位する。
【選択図】図6

Description

本発明は、流体管の側面に設けられた分岐口を密栓するための密栓装置に関する。
既設の水道管(流体管の一例)を更新する工事では、水道水の利用者に対する利便性を考慮し、通水状態を保持しながら施工できる不断水工法が有用である。この種の不断水工法としては、既設の水道管の途中に仕切弁を介して分岐管を接続し、それによりバイパスを形成して通水状態を保持する手法が知られている。従来、かかる手法を用いた工事では、施工後に分岐管を撤去するに際して仕切弁を残置させていたため、将来同じ場所を掘削したときに重機で仕切弁を引っ掛けてしまう恐れがあった。
上記のような工事では、分岐管と一緒に仕切弁を撤去することが望ましいが、水道管の側面に設けられた分岐口に対して、通水状態を保持しながら密栓を施す必要があるため、作業が煩雑となる。この問題を解決するべく、特許文献1,2では、通水状態を保持したまま分岐口を密栓し、分岐管を仕切弁ごと撤去するための手法が提案されている。しかし、これらの手法では簡便且つ確実に分岐口を密栓できるものの、分岐口を構成する管分岐部にバヨネット溝を設ける必要があるため、汎用性に優れているとは言えない。
一方、特許文献3では、係止部材を突出させて分岐口の管内面に係止できるようにした閉塞装置が提案されている。しかしながら、この装置では、分岐口を密栓するに際して、装置自身の軸方向への移動に加え、係止部材を突出させるために軸状の操作部材を後退、前進(押圧)又は回転させ、更にはシール部材を圧縮するためにナットを回転する必要がある。かかる多様な動作を実現するため、装置とその操作機具には複雑な機構が設けられ、それらの取り扱いや密栓の作業が煩雑になる。
特開2010−96241号公報 特開2010−117029号公報 特開平7−217784号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、流体管の側面に設けられた分岐口を密栓できるとともに、取り扱いが容易で作業を簡単にできる密栓装置を提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。即ち、本発明に係る密栓装置は、流体管の側面に設けられた分岐口に挿入され、前記分岐口の端面に環状のシール部材を対向させた状態で装着される密栓装置において、雄ねじ部を有する軸部材と、前記軸部材に対して相対的に回転しうる態様で前記軸部材の前方に取り付けられた拡張部材と、盤状の頂板部と、前記頂板部を貫通して前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部と、前記頂板部から前方に延びて前記シール部材の後方に配置される外筒部とを有する押圧部材と、前記外筒部に嵌入されるとともに前記拡張部材が挿入される内筒部と、前記内筒部から外周側に突出して前記シール部材の前方に配置される突出部と、前記シール部材よりも前方に設けられて前記分岐口の内側に配置される抜け止め部とを有する本体部材と、を備え、軸方向に対して傾斜して延びるガイド突起又はガイド溝が前記拡張部材に設けられるとともに、それに嵌合するガイド溝又はガイド突起が前記抜け止め部に設けられ、前記本体部材に対する前記拡張部材の相対的な軸方向移動に応じて、前記分岐口の管内面に係止しうる位置と係止しない位置との間を前記抜け止め部が変位するものである。
この密栓装置は、流体管の側面に設けられた分岐口に挿入され、その分岐口の端面に環状のシール部材を対向させた状態で装着される。シール部材よりも前方には、分岐口の内側に配置される抜け止め部が設けられる。本体部材に対して拡張部材を相対的に軸方向移動させると、分岐口の管内面に係止しうる位置と係止しない位置との間で抜け止め部が変位し、その抜け止め部を分岐口の管内面に係止させることにより、分岐口に挿入した密栓装置の抜け出しを防止できる。
押圧部材を軸方向に位置決めした状態で軸部材を回転させると、雄ねじ部と雌ねじ部との作用によって、軸部材とそれに取り付けられた拡張部材が軸方向に移動する。これにより、本体部材に対して拡張部材が相対的に軸方向へ移動し、抜け止め部が変位する。また、分岐口の管内面に抜け止め部を係止させた状態で軸部材を回転させると、本体部材に対して押圧部材が相対的に軸方向へ移動し、シール部材が圧縮される。このように、抜け止め部の変位もシール部材の圧縮も、軸部材の回転によって操作できる。
拡張部材と抜け止め部には、互いに嵌合するガイド突起及びガイド溝が設けられる。拡張部材は軸部材に対して相対的に回転しうるため、軸部材を回転しても拡張部材は回転しない。拡張部材に設けられるガイド突起又はガイド溝が軸方向に対して傾斜して延びることから、本体部材に対する拡張部材の相対的な軸方向移動に応じて、抜け止め部を上記の如く変位させることができる。以上のように、本発明の密栓装置によれば、分岐口を密栓できるとともに、その取り扱いが容易となり、密栓の作業を簡単にできる。
この密栓装置では、前記内筒部に、前記拡張部材が挿入される軸孔と、その軸孔に交差して前記抜け止め部を支持する支持孔とが形成され、前記拡張部材が、前記軸孔と前記支持孔との交差箇所に配置されて軸方向に延びる一対の側板部を有し、その側板部の内壁に前記ガイド突起又はガイド溝が形成され、前記抜け止め部が、前記一対の側板部の間に配置されるものが好ましい。かかる場合には、一対の側板部の間に抜け止め部が配置されることで、密栓装置をコンパクトに構成できる。
上記においては、前記一対の側板部の内壁に形成された前記ガイド突起又はガイド溝が互いに逆向きに傾斜し、その側板部の各々に対応して設けられた一対の前記抜け止め部が、前記流体管の管軸方向に沿って互いに逆向きに変位するものが好ましい。逆向きに変位した一対の抜け止め部を分岐口の管内面に係止させることにより、密栓装置を安定的に装着できる。
この密栓装置では、前記内筒部の後方に鉤形突起が形成され、前記頂板部に前記鉤形突起が通過しうる通過孔が形成され、前記鉤形突起が前記通過孔を通過した状態で前記押圧部材と前記本体部材との相対的な角度をずらすことにより、両者が軸方向に係止するとともに、後方に向けて開口した凹部が前記通過孔に形成されるものが好ましい。かかる構成では、操作機具の突起を凹部に挿入することで、押圧部材に対する本体部材の角度ずれを妨げ、延いては作業時に本体部材の脱落を防止できる。また、軸部材を回転する際に、本体部材や押圧部材が共廻りすることを防止できる。
水道管の分岐口の周辺を概略的に示す平面視断面図 水道管の管軸方向に沿って見た密栓装置の断面図 図2のA−A矢視断面図 軸部材と拡張部材と抜け止め部を示す斜視図 抜け止め部の(A)正面図、(B)軸方向から見た図、及び(C)変位を示す斜視図 図3の抜け止め部を変位させた様子を示す断面図 図4の抜け止め部を変位させた様子を示す斜視図 押圧部材の(A)軸方向から見た図、及び(B)要部斜視図 操作機具の先端部を示す断面図 連結部の(A)窓孔のない位置、(B)窓孔のある位置、(C)窓孔にピースを嵌めた状態、及び(D)窓孔からピースが少し抜け出た状態を示す断面図 ピースの斜視図 分岐口に密栓装置を挿入した様子を示す平面視断面図 分岐口の管内面に抜け止め部を係止した様子を示す平面視断面図 図6のシール部材を圧縮した様子を示す断面図 密栓後に蓋を装着した様子を示す平面視断面図 本発明の別実施形態における密栓装置の断面図
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、流体管の一例である水道管を不断水工法により更新する工事において、分岐管と一緒に仕切弁を撤去する例を示す。
図1に示した水道管1は、管路の一部を構成し、その内部は通水状態にある。水道管1の側面には分岐口10が設けられており、その周囲を割りT字管11によって取り囲まれている。この分岐口10は、仕切弁12を介して接続される分岐管によりバイパスを形成する過程で、水道管1に穿孔を施して設けられたものである。図1では、既に水道管の更新を終えて分岐管を撤去した段階にあり、これから仕切弁12を撤去するために、通水状態を保持したまま分岐口10を密栓する作業が行われる。
仕切弁12の一方の端部は割りT字管11に接続され、その仕切弁12の他方の端部は合フランジ13に接続されている。合フランジ13には、分岐口10を密栓するための密栓装置2が収容されている。操作機具3は、密栓装置2を分岐口10に挿入して操作する機能を有し、その先端部に密栓装置2を着脱することができる。操作機具3は、合フランジ13を貫通して軸方向に摺動自在に構成された筒状の主軸31と、主軸31に挿入された棒状の中軸32とを有する。
図2,3は、密栓装置2の内部構造を示している。密栓装置2は、後述するように分岐口10に挿入され、その分岐口10の端面に環状のシール部材20を対向させた状態で装着される。本明細書において、前方とは、密栓装置2の挿入方向の前方、即ち図2,3における下方向を指し、後方とは、密栓装置2の挿入方向の後方、即ち図2,3における上方向を指す。
密栓装置2は、軸部材4と、拡張部材5と、シール部材20と、押圧部材6と、本体部材7とを備える。軸部材4は、雄ねじ部41を有するとともに、更に、その雄ねじ部41の後方に設けられた後端部42と、雄ねじ部41の前方に設けられた先端部43とを有している。先端部43は、図2〜4のように拡張部材5の後方部分に嵌合され、その先端部43に形成された環状溝に拡張部材5の突起51が係合することにより、軸部材4と拡張部材5とが連結される。
拡張部材5は、軸部材4に対して相対的に回転しうる態様で、軸部材4の前方に取り付けられている。即ち、軸部材4の回転は拡張部材5に伝達されず、軸部材4を回転しても先端部43が空転して拡張部材5は回転しない。拡張部材5は、全体として直方体状に形成され、先端部43が嵌合される後方部分において突起51を有するとともに、その前方部分では軸方向ADに延びる一対の側板部53を有する。側板部53には、軸方向ADに対して傾斜して延びるガイド突起54が設けられている。
シール部材20は、本体部材7を取り囲むようにして装着され、押圧部材6の外筒部63と本体部材7の突出部73との間に配置されている。シール部材20は、分岐口10の端面に沿うように、湾曲しながらリング状に延びている。図2,3に示したシール部材20、押圧部材6の外筒部63、及び、本体部材7の突出部73は、それぞれ分岐口10よりも小さい外径を有している。
押圧部材6は、盤状の頂板部61と、頂板部61を貫通して雄ねじ部41に螺合する雌ねじ部62と、頂板部61から前方に延びて、シール部材20の後方に配置される外筒部63とを有する。頂板部61は、軸方向ADから見て円形をなし(図8参照)、その外周縁には分岐口10よりも大径の鍔部64が形成されている。外筒部63は円筒状に形成されており、その内部には、軸方向ADに延びる軸部材4及び拡張部材5と、本体部材7の内筒部72が収容されている。
本体部材7は、外筒部63に嵌入されるとともに拡張部材5が挿入される内筒部72と、内筒部72から外周側に突出してシール部材20の前方に配置される突出部73と、シール部材20よりも前方に設けられた抜け止め部74とを有する。拡張部材5が挿入される軸孔71は、拡張部材5に対応した角孔として形成されており、その後方には軸部材4が貫通する丸孔が形成されている。この丸孔には雌ねじが形成されておらず、軸部材4の雄ねじ部41は本体部材7に螺合していない。
図5に示すように、抜け止め部74には、拡張部材5に設けられたガイド突起54に嵌合するガイド溝76が設けられている。図3,6では、ガイド突起54とガイド溝76の位置が分かる態様で抜け止め部74を描いている。分岐口10を密栓する際、抜け止め部74は分岐口10の内側に配置される(図12,13参照)。抜け止め部74は、本体部材7に対する拡張部材5の相対的な軸方向移動に応じて、分岐口10の管内面に係止しうる位置と係止しない位置との間を変位する。
即ち、図3,4において、押圧部材6(図4では不図示)を軸方向に位置決めした状態で軸部材4を回転し、雄ねじ部41と雌ねじ部62との作用により軸部材4を上昇させると、本体部材7に対して拡張部材5が相対的に軸方向へ移動し、ガイド溝76がガイド突起54に沿って摺動して、図6,7のように抜け止め部74が外周側に突出する。また、その状態から軸部材4を下降させると、図3,4のように抜け止め部74は元の位置に戻る。軸方向ADに延びる側板部53にガイド突起54を設けていることで、摺動ストロークを確保して抜け止め部74を十分に拡張できる。
内筒部72には、拡張部材5が挿入される軸孔71に加え、その軸孔71に交差して抜け止め部74を支持する支持孔77が形成されている。一対の側板部53は、その軸孔71と支持孔77との交差箇所に配置されている。ガイド突起54は側板部53の内壁に形成され、一対の側板部53の間に抜け止め部74が配置されている。一対の側板部53の内壁に形成されたガイド突起54は、互いに逆向きに且つ軸方向ADに対して抜け止め部74の変位方向に傾斜している。その側板部53の各々に対応して設けられた一対の抜け止め部74は、水道管1の管軸方向に沿って互いに逆向きに変位する(図13参照)。
内筒部72の後方には鉤形突起78が形成されており、図8に示すように頂板部61には鉤形突起78が通過しうる通過孔65が形成されている。鉤形突起78が通過孔65を通過した状態で押圧部材6と本体部材7との相対的な角度をずらすことにより、両者は軸方向に係止するとともに、後方に向けて開口した凹部66が通過孔65に形成される。後述する操作機具3の突起81を凹部66に挿入することで、押圧部材6に対する本体部材7の角度ずれを妨げ、延いては作業時に本体部材7の脱落を防止できる。
図1のように、操作機具3の後端部には、主軸31に外嵌固定されたバー33と、中軸32に連結されたハンドル34と、主軸31に対する中軸32の相対的な軸方向移動を規制するプランジャ35とが設けられている。また、図9のように、操作機具3の先端部には、主軸31の先端に取り付けられた筒状部80と、中軸32の先端に取り付けられた筒状の連結部90とが設けられている。筒状部80の後端側における主軸31と中軸32との間には、中軸32の心出しを行うための調心部材36が装着されている。
筒状部80は、先端から突出して凹部66に挿入される一対の突起81(図示は片方のみ)と、相対的に内径が大きいソケット部82と、ソケット部82よりも内径が小さい円筒状の小径部83とを有する。連結部90は筒状部80に挿入され、ソケット部82に対する隙間が相応の大きさを有するのに対し、小径部83に対する隙間は微小である。連結部90には、図4,7に示される俵形状の後端部42が嵌入され、それらが軸方向に係合可能に構成されている。このように、主軸31は押圧部材6に連結され、中軸32は軸部材4に連結される。
図10のように、連結部90には、後端部42に対応した俵形状の嵌入孔92が軸方向に形成され、その後端部42の窪み44(図2〜4参照)に対向する位置では、(B)のような窓孔93が設けられている。窓孔93には図11に示したピース94が嵌め込まれ、(C)のように連結部90の外面が揃っている状態では、嵌入孔92の上下部分を隠すようにピース94が侵入する。これによってピース94が窪み44に入り込み、後端部42に連結部90が係合する。一方、(D)のようにピース94が少し抜け出ると、後端部42が嵌入孔92内を移動可能となり、後端部42に連結部90が係合しない。
操作機具3に密栓装置2を取り付けるには、まず、図9の中軸32を少し前進させてピース94をソケット部82内に配置し、軸部材4の後端部42を連結部90の嵌入孔92に嵌入する。このとき、図10(D)の如くピース94が外側に移動するため、後端部42が嵌入孔92の奥まで到達し、窪み44にピース94が入り込む。続いて、中軸32を少し後退させて、図9のようにピース94を小径部83内に配置する。これによりピース94が図10(C)の状態で位置決めされ、連結部90に軸部材4を連結固定できる。
以下、この密栓装置2によって分岐口10を密栓する手順について説明する。まずは密栓装置2を操作機具3に取り付け、図1のように組み立てる。主軸31に対する中軸32の相対的な軸方向移動は、プランジャ35によって規制される。次に、図12のように仕切弁12を開放して操作機具3を押し込み、前方に移動させた密栓装置2を分岐口10に挿入する。このとき、押圧部材6の鍔部64が水道管1の外面に当接し、密栓装置2が軸方向に位置決めされる。この例では、レバーブロック(登録商標)などの連結具14によりバー33を合フランジ13に連結して、水圧による反力を受け止めている。
続いて、ハンドル34の操作により中軸32を回転し、密栓装置2の軸部材4を回転させる。押圧部材6が軸方向に位置決めされているため、雄ねじ部41と雌ねじ部62との作用によって軸部材4が後方に移動する。これにより、本体部材7に対して拡張部材5が相対的に軸方向へ移動し、それに応じて抜け止め部74が分岐口10の管内面に係止しうる位置に変位する(図6,7参照)。抜け止め部74を変位させるのに必要な力は、シール部材20の圧縮に対する抵抗力よりも小さいため、この段階ではシール部材20は圧縮されない。
抜け止め部74を拡張させたら、図13のように連結具14を解除して操作機具3を後方に移動させる。このとき、抜け止め部74が分岐口10の管内面に係止し、それにより密栓装置2が軸方向に位置決めされるとともに、分岐口10の端面にシール部材20が対向する。その後、ブレーキ15によって主軸31を固定し、密栓装置2を安定させる。バー33の向きと密栓装置2の向きとの関係を予め定めておけば、管内でのシール部材20の向きを把握できて都合がよい。
次に、ハンドル34の操作により中軸32を回転し、密栓装置2の軸部材4を再び回転させる。軸部材4は本体部材7と拡張部材5を介して軸方向に位置決めされているため、雄ねじ部41と雌ねじ部62との作用によって押圧部材6が前方に移動する。これにより、図14のように外筒部63が突出部73に近付いて、それらの間に介在するシール部材20が圧縮される。圧縮されたシール部材20は外周側に拡張変形し、分岐口10の端面に押し当たって、密栓装置2と分岐口10との隙間を密封する。
上記のように、抜け止め部74の変位もシール部材20の圧縮も、軸部材4の回転によって操作できる。このため、密栓装置2によって分岐口10を密栓するに際しては、装置自身の軸方向への移動と、ハンドル34の操作による中軸32の回転のみで事足り、操作機具3の操作が簡便化される。よって、密栓装置2によれば、分岐口10を密栓できるとともに、取り扱いが容易で作業を簡単にできる。また、この密栓装置2は汎用性にも優れる。
分岐口10を密栓したら、ブレーキ15による主軸31の固定を解除するとともに、プランジャ35による規制を解除し、密栓装置2から操作機具3を取り外す。このとき、中軸32の位置を固定したまま主軸31を少し後退させることで、押圧部材6から筒状部80を離脱させ、次いで軸部材4の後端部42から連結部90を離脱させることができる。そして、仕切弁12と合フランジ13を撤去し、分岐口10に密栓装置2を残置させた状態で、図15のように蓋16を被せて作業を終了する。
諸般の事情により密栓した分岐口10を再び利用する場合には、上記の手順を逆に行えばよい。即ち、蓋16を取り外して仕切弁12や合フランジ13を接続し、密栓装置2に連結した操作機具3を操作して、シール部材20の圧縮を解除するとともに、分岐口10の管内面に係止しない位置に抜け止め部74を変位させ、分岐口10から密栓装置2を取り出せばよい。上記と同様に、シール部材20の圧縮解除も抜け止め部74の変位も、軸部材4の回転によって操作される。
[別実施形態]
(1)前述の実施形態では、割りT字管11で包囲された水道管1に穿設した分岐口10を密栓する例を示したが、本発明はこれに限られず、例えば一体構造のT字管に対して、その分岐口を密栓する場合にも適用できる。また、T字状に分岐する流路に限られず、十字状など他の形状で分岐する流路の分岐口にも適用できる。
(2)前述の実施形態では、ガイド突起54が拡張部材5に設けられ、それに嵌合するガイド溝76が抜け止め部74に設けられる例を示したが、これらは逆でも構わない。したがって、軸方向に対して傾斜して延びるガイド溝を拡張部材に設け、それに嵌合するガイド突起を抜け止め部に設けてもよい。ガイド突起とガイド溝の形状は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
(3)図16の例では、押圧部材6の外筒部63が、シール部材20に対向する前方外筒部63aと、その後方に位置する後方外筒部63bとに分割され、これらは相対的に回転可能に接している。この場合、密栓装置2を組み立てる際に、本体部材7に対して押圧部材6を相対的に回転させてもシール部材20を捩じることがなく、外筒部63の外周面からシール部材20が飛び出る不具合を防止できる。本体部材7に対する押圧部材6の相対的な回転は、例えば鉤形突起78を通過孔65に引っ掛けるときに行われる。前方外筒部63aは、例えば樹脂により作製される。
(4)本発明の密栓装置は、水道管を更新する工事で分岐管を撤去する場合に限らず、その他の事情により流体管の分岐口を密栓する場合において適用できる。また、流体管としては水道管に限定されるものではなく、水以外の各種の液体や気体などの流体に用いる流体管に適用できる。
1 水道管(流体管の一例)
2 密栓装置
3 操作機具
4 軸部材
5 拡張部材
6 押圧部材
7 本体部材
10 分岐口
20 シール部材
41 雄ねじ部
53 側板部
54 ガイド突起
61 頂板部
62 雌ねじ部
63 外筒部
64 鍔部
65 通過孔
66 凹部
71 軸孔
72 内筒部
73 突出部
74 抜け止め部
76 ガイド溝
77 支持孔
78 鉤形突起

Claims (4)

  1. 流体管の側面に設けられた分岐口に挿入され、前記分岐口の端面に環状のシール部材を対向させた状態で装着される密栓装置において、
    雄ねじ部を有する軸部材と、
    前記軸部材に対して相対的に回転しうる態様で前記軸部材の前方に取り付けられた拡張部材と、
    盤状の頂板部と、前記頂板部を貫通して前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部と、前記頂板部から前方に延びて前記シール部材の後方に配置される外筒部とを有する押圧部材と、
    前記外筒部に嵌入されるとともに前記拡張部材が挿入される内筒部と、前記内筒部から外周側に突出して前記シール部材の前方に配置される突出部と、前記シール部材よりも前方に設けられて前記分岐口の内側に配置される抜け止め部とを有する本体部材と、を備え、
    軸方向に対して傾斜して延びるガイド突起又はガイド溝が前記拡張部材に設けられるとともに、それに嵌合するガイド溝又はガイド突起が前記抜け止め部に設けられ、前記本体部材に対する前記拡張部材の相対的な軸方向移動に応じて、前記分岐口の管内面に係止しうる位置と係止しない位置との間を前記抜け止め部が変位することを特徴とする密栓装置。
  2. 前記内筒部に、前記拡張部材が挿入される軸孔と、その軸孔に交差して前記抜け止め部を支持する支持孔とが形成され、
    前記拡張部材が、前記軸孔と前記支持孔との交差箇所に配置されて軸方向に延びる一対の側板部を有し、その側板部の内壁に前記ガイド突起又はガイド溝が形成され、
    前記抜け止め部が、前記一対の側板部の間に配置される請求項1に記載の密栓装置。
  3. 前記一対の側板部の内壁に形成された前記ガイド突起又はガイド溝が互いに逆向きに傾斜し、その側板部の各々に対応して設けられた一対の前記抜け止め部が、前記流体管の管軸方向に沿って互いに逆向きに変位する請求項2に記載の密栓装置。
  4. 前記内筒部の後方に鉤形突起が形成され、前記頂板部に前記鉤形突起が通過しうる通過孔が形成され、
    前記鉤形突起が前記通過孔を通過した状態で前記押圧部材と前記本体部材との相対的な角度をずらすことにより、両者が軸方向に係止するとともに、後方に向けて開口した凹部が前記通過孔に形成される請求項1〜3いずれか1項に記載の密栓装置。
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