JP2014133670A - 電気光学セラミックスの製造方法及び電気光学セラミックス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】化学式(1)(1−X)(Pb1−YLaY)(Mg1/3Nb2/3)O3−X(Pb1−YLaY)TiO3(0.05≦X≦0.15、0<Y≦0.05)、又は、化学式(2)(1−Z)Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−ZPbTiO3(0.05≦Z≦0.15)で表わされる電気光学セラミックスの製造方法であって、Mg、Nb酸化物粉末を用い、コロンバイト酸化物粉末製造工程と、得られたコロンバイト酸化物粉末にPb、Ti、Laの酸化物粉末又はPb、Tiの酸化物粉末を添加し、混合、粉砕した後、仮焼する工程と、前記仮焼粉末を直径が0.5mm以下のジルコニアボールを用いボールミルにより再粉砕する工程と、成形工程と、脱脂後、常圧下、酸素を含有する雰囲気中で本焼成する工程とを含む。
【選択図】図2
Description
下記化学式(1)
(1−X)(Pb1−YLaY)(Mg1/3Nb2/3)O3−X(Pb1−YLaY)TiO3・・・(1)(但し、0.05≦X≦0.15、0<Y≦0.05)、又は、下記化学式(2)
(1−Z)Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−ZPbTiO3・・・(2)(但し、0.05≦Z≦0.15)で表わされる電気光学セラミックスの製造方法であって、Mg及びNbの酸化物粉末を用いてコロンバイト酸化物を含む粉末を得るコロンバイト酸化物粉末製造工程と、得られた上記コロンバイト酸化物を含む粉末にPb、Ti及びLaの酸化物粉末、又は、Pb及びTiの酸化物粉末を添加し、得られた原料粉末を混合、粉砕した後、仮焼する粉砕・仮焼工程と、上記粉砕・仮焼工程を経た仮焼粉末を、直径が0.5mm以下のジルコニアボールを用いたボールミルにより再粉砕する再粉砕工程と、上記再粉砕工程を経た原料粉末を成形する成形工程と、上記成形工程を経た成形体を脱脂した後、常圧下、酸素を含有する雰囲気中で本焼成する本焼成工程とを含むことを特徴とする。
上記した本発明の電気光学セラミックスの製造方法によれば、得られた焼結体は、充分に緻密化されており、焼結体の内部に存在する気孔は走査型電子顕微鏡(以下、SEMともいう)等で観察しても測定できないほど充分に小さい。このため、透明性及び電気光学特性が、ホットプレス法で製造されたものと同等以上の優れた特性を有するPMN−PT系セラミックスを汎用性の高い常圧焼結法により安価に得ることができるという優れた効果を有する。
より理論密度に近いPMN−PT系セラミックスを得ることが、より透明性の高いセラミックスを得るのに重要であると考えられるが、本発明のPMN−PT系セラミックスの製造方法では、本焼成により得られたPMN−PT系セラミックスに、さらにHIPによる加熱処理を施すことにより、気孔径をより小さくすることができ、より透明性が高く、電気光学特性に優れたPMN−PT系セラミックスを得ることができる。
なお、本発明の電気光学セラミックスの製造方法では、上記本焼成によりセラミックス中に含まれる気孔は、ほぼ全て閉気孔となっていると考えられるので、HIP処理において、周囲の雰囲気を高圧にするのみで、焼結が進行し、相対密度がより高く、より気孔率の低いPMN−PT系セラミックスを得ることができる。
本発明の電気光学セラミックスの製造方法においては、ジルコニアボールの直径をより小さくすることにより、より粒径が均一で粒径が細かい易焼結性の粉末を得ることができ、本焼成工程において焼結が進行し、より電気光学特性に優れるPMN−PT系セラミックスを得ることができる。
本発明の電気光学セラミックスの製造方法においては、ボールミルによる再粉砕を行う際、粉砕時間及び容器の回転速度を上記のように設定することにより、より粒径が均一で粒径が細かい易焼結性の粉末を得ることができ、より電気光学特性に優れるPMN−PT系セラミックスを製造することができる。
本発明の電気光学セラミックスの製造方法においては、CIPによる加圧成形を行うことにより、成形体が高密度となり、本焼成の際に焼結が進行し易くなり、相対密度の高い電気光学セラミックスを製造することができる。
本発明の電気光学セラミックスの製造方法においては、粉砕・仮焼工程、本焼成工程において、Pbが蒸発により揮散し易いため、粉末中の酸化鉛の量を理論量よりも若干多くすることにより、Pbの蒸発によりPbが必要量よりも少なくなり、電気光学特性が低下することを防止することができる。
本発明の電気光学セラミックスの製造方法においては、本焼成の条件を上記のように設定することにより、より電気光学特性に優れるPMN−PT系セラミックスを製造することができる。
酸素を含有する雰囲気で行うことにより、安定な酸化物を得ることができ、より良好な特性を有するPMN−PT系セラミックスを製造することができる。
(1−X)(Pb1−YLaY)(Mg1/3Nb2/3)O3−X(Pb1−YLaY)TiO3・・・(1)(但し、0.05≦X≦0.15、0<Y≦0.05)、又は、下記化学式(2)
(1−Z)Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−ZPbTiO3・・・(2)(但し、0.05≦Z≦0.15)で表わされる電気光学セラミックスであって、
理論密度に対する相対密度が96%以上、上記電気光学セラミックスを構成する粒子の平均粒径が1μm以上、波長が800nmの光の透過率が30%以上であることを特徴とする。
下記化学式(1)
(1−X)(Pb1−YLaY)(Mg1/3Nb2/3)O3−X(Pb1−YLaY)TiO3・・・(1)(但し、0.05≦X≦0.15、0<Y≦0.05)、又は、下記化学式(2)
(1−Z)Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−ZPbTiO3・・・(2)(但し、0.05≦Z≦0.15)で表わされる電気光学セラミックスの製造方法であって、Mg及びNbの酸化物粉末を用いてコロンバイト酸化物を含む粉末を得るコロンバイト酸化物粉末製造工程と、得られた上記コロンバイト酸化物を含む粉末にPb、Ti及びLaの酸化物粉末、又は、Pb及びTiの酸化物粉末を添加し、得られた原料粉末を粉砕した後、仮焼する粉砕・仮焼工程と、上記粉砕・仮焼工程を経た仮焼粉末を直径が0.5mm以下のジルコニアボールを用いたボールミルにより再粉砕する再粉砕工程と、上記再粉砕工程を経た原料粉末を成形する成形工程と、上記成形工程を経た成形体を脱脂した後、常圧下、酸素を含有する雰囲気中で本焼成する本焼成工程とを含むことを特徴とする。
図1、図2は、本発明の上記した製造工程の詳細を各工程ごとに示した工程図である。以下、図1、図2に基づき、各製造工程について、詳しく説明する。
図1に示すように、本発明のコロンバイト酸化物粉末製造工程では、MgOを焼成した後、MgO粉末にNb2O5粉末を添加、混合・粉砕して混合粉末を作製し、該混合粉末を焼成することにより、コロンバイト酸化物(MgNb2O6)を含む粉末を製造する。
焼成温度が1000℃未満では、コロンバイト酸化物の生成が完全に進行しにくく、未反応の酸化物が残留するおそれがあり、一方、コロンバイト酸化物を合成するには、1250℃で充分であり、1250℃を超える温度で焼成すると、費用が増大するため経済的に不利である。また、コロンバイト酸化物の粒子が粒成長して粒子が大きくなるため、長時間の粉砕が必要となり、好ましくない。
次に、図1に示すように、得られた前記コロンバイト酸化物(MgNb2O6)を含む粉末に、PbO、TiO2及びLa2O3の粉末、又は、PbO及びTiO2を添加し、得られた原料粉末を混合、粉砕した後、仮焼し、PMN−PT系セラミックスの粉末を製造する。
このとき、下記化学式(1)
(1−X)(Pb1−YLaY)(Mg1/3Nb2/3)O3−X(Pb1−YLaY)TiO3・・・(1)(但し、0.05≦X≦0.15、0<Y≦0.05)、又は、下記化学式(2)
(1−Z)Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−ZPbTiO3・・・(2)(但し、0.05≦Z≦0.15)で表わされる焼結体が生成するように、PbO、TiO2及びLa2O3の各粉末、又は、PbO及びTiO2の各粉末を、コロンバイト酸化物(MgNb2O6)を含む粉末に添加する。
回転速度が400rpm未満では、粉砕に時間がかかってしまい、一方、技術的に見て、回転速度の上限への制約はないが、回転速度が1200rpmが装置の能力の限界であり、それ以上の回転速度で回転させることは現実的な装置では難しい。混合、粉砕の時間が10分未満では、粉砕効果が不充分であり、混合、粉砕の時間が2時間を超えても2時間の場合と余り変わらず、経済的に不利となる。ボールミル中に投入する分散媒としては、蒸留水が好ましい。回転速度は、450〜950rpmがより好ましく、混合、粉砕の時間は、10〜60分がより好ましい。
仮焼の際には、混合、粉砕された原料粉末をそのまま焼成してもよく、一軸加圧成形(金型成形)法等の方法を用いて軽く成形した後、仮焼してもよいが、軽く成形した後、仮焼することが望ましい。
仮焼の条件は、空気中等の酸素含有雰囲気で、最高温度800〜950℃で2〜6時間仮焼を行うことが望ましい。この仮焼により、目的とするPMN−PT系セラミックスが生成する。
ただし、仮焼工程で完全にPMN−PT系セラミックスが生成せず、少し未反応の原料が残っていても、本焼成工程により完全に反応させることができる。
次に、図2に示すように、上記粉砕・仮焼工程を経た仮焼粉末を、直径が0.5mm以下のジルコニアボールを用いたボールミルにより混合、粉砕する。
メディア式粉砕機としては、例えば、浅田鉄工株式会社製のピコグレンミル、エコミル、ナノグレンミル、ピュアグレンミル等が挙げられ、湿式微粉砕機・分散機(ビーズミル)としては、例えば、アシザワ・ファインテック株式会社製のスターミル等が挙げられる。
回転速度が400rpm未満では、所定の粒子径を有する粉末を得るには粉砕に時間がかかってしまい、一方、技術的に見て、回転速度の上限への制約はないが、回転速度が1200rpmが装置の能力の限界であり、それ以上の回転速度で回転させることは現実的な装置では難しい。
混合、粉砕の時間が10分未満では、粉砕効果が不充分であり、混合、粉砕の時間が2時間を超えても、粒子の粒度分布は、2時間の場合と余り変わらず、経済的に不利となる。
ボールミル中に投入する分散媒としては、蒸留水が好ましい。
次に、図2に示すように、上記再粉砕工程により得られた微粉末に対し、バインダを添加し、仮成形した後、例えば、冷間静水圧成形法(CIP)により成形する。
成形方法は特に限定されず、一軸加圧成形(金型成形)法、冷間静水圧成形法(CIP)、熱間静水圧成形法(HIP)、押出成形法、ドクターブレード法等、種々の方法をとることができるが、前記金型成形法による仮成形を行い、所定形状の一次成形体を得た後、この一次成形体をCIPにより周囲より加圧し、より高密度の成形体とする方法が望ましい。
バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、パラフィンワックス、アクリル樹脂等が挙げられる。これらのなかでは、PVAが好ましい。
上記微粉末に添加する他の添加剤としては、柔軟性や耐候性を改良するために用いる可塑剤、微粉末と金型、また粒子同士の摩擦を軽減させるために使用される滑材等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、アジピン酸エステル等が挙げられ、滑剤としては、例えば、脂肪酸系、高級アルコール系、脂肪族アマイド系、エステル系のものが挙げられる。これらの添加剤は、目的等に応じて、適宜使用することができる。
上記微粉末にバインダ等を添加した後、ライカイ機等の混合機を用いて混合した後、一軸加圧成形法等を用い、仮成形を行う。
次に、図2に示すように、上記成形工程を経た成形体を脱脂した後、常圧下、酸素を含有する雰囲気中で本焼成し、PMN−PT系セラミックス(焼結体)を得る。
すなわち、上記成形工程を経た成形体は、バインダ等を含有しているので、上記バインダ等を除去するための脱脂工程を行い、その後、焼成処理を行ってPMN−PT系セラミックス製品を得る。
また、連続焼成炉を用いる場合には、脱脂焼成炉と本焼成炉とを併設し、ベルトコンベア等に載置した成形体が脱脂炉を通過した後、そのまま本焼成炉を通過するようにしてもよい。
上記工程を経ることにより、下記化学式(1)
(1−X)(Pb1−YLaY)(Mg1/3Nb2/3)O3−X(Pb1−YLaY)TiO3・・・(1)(但し、0.05≦X≦0.15、0<Y≦0.05)、又は、下記化学式(2)
(1−Z)Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−ZPbTiO3・・・(2)(但し、0.05≦Z≦0.15)で表わされる電気光学セラミックスを得ることができる。
上記方法により化学式(1)で表わされるPMN−PT系セラミックスの焼結体を得ることができるが、本発明では、図2に示すように、本焼成で得られた焼結体に、さらに熱間等方圧加圧法(HIP)による処理を行ってもよい。
酸素濃度が5体積%未満では、酸素の含有量が低いため、得られるPMN−PT系セラミックスの酸素含有量が理論量よりも低下し、酸化物が不安定になり、光学的特性に悪影響を与える場合があり、一方、酸素濃度が25体積%を超えても得られる焼結体の特性に変化はなく、酸素を高濃度にするために費用が高くつくので、経済的でない。
加熱時間が30分未満では、本焼成で得られたものと比べてさらなる高密度化の効果が余りなく、20時間を超えても、焼結体の密度は、20時間の場合と殆ど変わらない。
次に、上記電気光学セラミックスの製造方法により得られる下記化学式(1)
(1−X)(Pb1−YLaY)(Mg1/3Nb2/3)O3−X(Pb1−YLaY)TiO3・・・(1)(但し、0.05≦X≦0.15、0<Y≦0.05)、又は、下記化学式(2)
(1−Z)Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−ZPbTiO3・・・(2)(但し、0.05≦Z≦0.15)で表わされるPMN−PT系セラミックス(電気光学セラミックス)について説明する。
一般的には、Laを添加することにより透光性が向上するが、Laを添加しなくても充分な透光性を有する。
Laのモル分率(La/(La+Pb))が0.05を超えても、透光性は余り向上せず、高価になるため、経済的に好ましくない。
PMN/PT(モル比)が0.85/0.15未満の(X、Zが0.15を超えた)場合、上記モル比が0.65/0.35〜0.67/0.33(X、Zが0.33〜0.35)の範囲においても、大きな圧電定数となるが、複屈折等が発生し易く、光学特性に劣るため、好ましくない。また、その他の範囲では、大きな圧電定数は得られない。一方、PMN/PT(モル比)が0.95/0.05を超えた(X、Zが0.05未満の)場合であっても、大きな圧電定数は得られず、強誘電体としての特性が低下するため、光シャッター等への応用の観点から好ましくない。
化学式(1)において、Xは、0.08〜0.12が望ましく、0.09〜0.11がより好ましい。化学式(2)において、Zは、0.08〜0.12が望ましく、0.09〜0.11がより好ましい。
以下、本発明の実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(A コロンバイト酸化物粉末製造工程)
酸化マグネシウム粉末を、焼成炉に入れ、空気中、最高温度1200℃で4時間焼成し、冷却した後、取り出した。この酸化マグネシウム(MgO)の粉末に対し、Nb2O5として等モルの酸化ニオブの粉末を添加し、得られた混合粉末をライカイ機(株式会社石川工場製 石川式撹拌擂潰機AGA)に投入し、1時間30分混合、粉砕した後、ライカイ機から取り出した。
得られたコロンバイト酸化物(MgNb2O6)の粉末に対し、酸化鉛(PbO)の粉末、及び、酸化チタン(TiO2)の粉末を、得られるPMN−PT系セラミックスを化学式(2)で表わした場合に、Zが下記の表1に示した割合になり、酸化鉛(PbO)が下記の表1に示した過剰量になるように配合した。なお、酸化鉛(PbO)に関し、2質量%過剰とは、例えば、酸化鉛(PbO)の表1の過剰量を除いた配合量が100重量部である場合に、2重量部をさらに過剰に配合したことを示している。なお、Laは添加していないので、表1においては、La=0となっている。
次に、仮焼が終了し、PMN−PT系セラミックスが合成された粉末をライカイ機で粗く粉砕した後、この粉末20gを遊星型ボールミルに投入し、蒸留水を20g加えた後、直径が0.5mmのジルコニアボール40gを用い、回転数500rpm、20分間の条件で再粉砕を行った。再粉砕の条件を表1に示す。なお、遊星型ボールミルを構成するポットの容量は、80ccであった。
上記再粉砕により得られた粉末の平均粒径を粒度分布測定装置(日機装株式会社製 MT3300EX−II)で測定したところ、平均粒径が0.49μmであった。なお、再粉砕前の粉末の平均粒径は、3.4μmであった。
再粉砕が終了した粉末を乾燥させて水分を除去した後、ポリビニルアルコール(PVA)の20%水溶液を、粉末の全体量に対して5質量%となるように添加し、ライカイ機で15分間混合、粉砕した後、一軸加圧成形機(NPAシステム株式会社製 NT−200H)を用い、1gの粉末を直径10mmのディスク状(円盤状)になるように圧力700kgf/cm2で仮成形を行った。
次に、上記一軸加圧成形により得られたディスク状の成形体をゴム型に入れて密封し、冷間等方加圧成形機(神戸製鋼所製 Dr.CIP)の圧力媒体中に浸漬し、圧力2000kgf/cm2で圧縮成形した。
冷間等方加圧成形機から取り出した成形体を焼成炉に入れたが、その際、サンプルとなる冷間等方加圧成形機から取り出した成形体の上下に同じ組成の成形体をダミーとして載置し、サンプルを挟むようにした。
再粉砕後の粉末の平均粒径、本焼成後の焼結体の相対密度、焼結体の800nmにおける光の透過率を表2に示す。
再粉砕工程におけるジルコニアボール(玉石)の直径、ボールミルの回転数、及び、粉砕時間を表1に示す条件にしたほかは、実施例1と同様にしてサンプルを得た。なお、X線回折(XRD)による測定の結果を表2に示す。表2に示している通り、目的のPMN−PT系セラミックスが得られていることを確認した。また、再粉砕後の粉末の平均粒径、本焼成後の焼結体の相対密度、焼結体の800nmにおける光の透過率を表2に示す。
下記する粉砕、仮焼工程、及び、再粉砕工程におけるジルコニアボール(玉石)の直径、ボールミルの回転数、及び、粉砕時間を表1に示す条件にしたほかは、実施例1と同様にしてサンプルを得た。なお、X線回折(XRD)による測定の結果を表2に示す。表2に示している通り、目的のPMN−PT系セラミックスが得られていることを確認した。
得られたコロンバイト酸化物(MgNb2O6)の粉末に対し、酸化鉛(PbO)の粉末、酸化チタン(TiO2)の粉末及び焼成処理した酸化ランタン(La2O5)の粉末を、得られるPMN−PT系セラミックスを化学式(1)で表わした場合に、X及びYが下記の表1に示した割合になり、酸化鉛(PbO)が下記の表1に示した過剰量になるように配合した。再粉砕後の粉末の平均粒径、本焼成後の焼結体の相対密度、焼結体の800nmにおける光の透過率を表2に示す。
実施例2と同様の製造方法によりサンプルを得た後、サンプルを、熱間等方圧加圧装置(神戸製鋼所製 O2−Dr.HIP)の内部に入れ、酸素を20%含有するArガスにより2000kPaの圧力をサンプルに印加し、最高温度1100℃で10時間、HIP処理を行った。再粉砕後の粉末の平均粒径、HIP処理後の焼結体の相対密度、焼結体の800nmにおける光の透過率を表2に示す。上記したように、表2に示す相対密度は、HIP処理後の相対密度である。
再粉砕工程におけるジルコニアボール(玉石)の直径等の条件を表1に示す条件に変えたほかは、実施例1と同様にしてサンプルを得た。ただし、これらの比較例では、成形体を作製する際に、バインダは添加していない。X線回折(XRD)による測定結果を表2に示す。表2に示している通り、目的のPMN−PT系セラミックスが得られていることを確認した。再粉砕後の粉末の平均粒径、本焼成後の焼結体の相対密度、焼結体の800nmにおける光の透過率を表2に示す。ただし、比較例1では、粉末の平均粒径を測定していない。
焼結体(サンプル)の重量と体積から密度を求め、理論密度との比(百分率)を計算することにより、相対密度を求めた。その結果を表2に示す。
分光光度計(日本分光社製 V−670ST)を用い、製品の波長300〜1900nmの領域における透過率を測定した。表2には、800nmの波長における光の透過率を示している。
図4に示すように、ジルコニアボールの直径が小さくなるにつれて得られたPMN−PT系セラミックスの透過率が上昇しており、ジルコニアボールの直径が0.5mm以下で、800nmにおける透過率が35%と大きく上昇しており、それ以降も光の透過率は上昇しているが、その上昇率は低下している。従って、ジルコニアボールの直径は、0.5mm以下が望ましいことが理解できる。一方、相対密度は、ジルコニアボールの直径を3.0〜0.3mmまで変化させても余り変わっていない。
Claims (9)
- 下記化学式(1)
(1−X)(Pb1−YLaY)(Mg1/3Nb2/3)O3−X(Pb1−YLaY)TiO3・・・(1)(但し、0.05≦X≦0.15、0<Y≦0.05)、
又は、下記化学式(2)
(1−Z)Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−ZPbTiO3・・・(2)(但し、0.05≦Z≦0.15)
で表わされる電気光学セラミックスの製造方法であって、
Mg及びNbの酸化物粉末を用いてコロンバイト酸化物を含む粉末を得るコロンバイト酸化物粉末製造工程と、
得られた前記コロンバイト酸化物を含む粉末にPb、Ti及びLaの酸化物粉末、又は、Pb及びTiの酸化物粉末を添加し、得られた原料粉末を混合、粉砕した後、仮焼する粉砕・仮焼工程と、
前記粉砕・仮焼工程を経た仮焼粉末を、直径が0.5mm以下のジルコニアボールを用いたボールミルにより再粉砕する再粉砕工程と、
前記再粉砕工程を経た原料粉末を成形する成形工程と、
前記成形工程を経た成形体を脱脂した後、常圧下、酸素を含有する雰囲気中で本焼成する本焼成工程と
を含むことを特徴とする電気光学セラミックスの製造方法。 - 前記本焼成工程を経ることにより得られた焼結体に、さらに熱間等方圧加圧法(HIP)による処理を行う請求項1に記載の電気光学セラミックスの製造方法。
- 前記再粉砕工程において、直径が0.3mm以下のジルコニアボールを用いる請求項1又は2に記載の電気光学セラミックスの製造方法。
- 前記再粉砕工程において、粉砕時間10分〜2時間、容器の回転速度400〜1200rpmの条件でボールミルによる粉砕を行う請求項1〜3のいずれかに記載の電気光学セラミックスの製造方法。
- 前記成形工程において、仮成形を行った後、さらに冷間等方加圧成形法(CIP)を用いて加圧成形を行う請求項1〜4のいずれかに記載の電気光学セラミックスの製造方法。
- 前記粉砕・仮焼工程において、Pbの酸化物粉末を添加する際、Pbの酸化物粉末を理論必要量よりも0.5〜5質量%多く添加する請求項1〜5のいずれかに記載の電気光学セラミックスの製造方法。
- 前記本焼成工程において、酸素を5体積%以上含有する雰囲気中、最高温度1200〜1300℃で、2〜30時間焼成を行う請求項1〜6のいずれかに記載の電気光学セラミックスの製造方法。
- 熱間等方圧加圧法(HIP)による処理を行う際、酸素を含有する雰囲気で行う請求項2に記載の電気光学セラミックスの製造方法。
- 下記化学式(1)
(1−X)(Pb1−YLaY)(Mg1/3Nb2/3)O3−X(Pb1−YLaY)TiO3・・・(1)(但し、0.05≦X≦0.15、0<Y≦0.05)、
又は、下記化学式(2)
(1−Z)Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−ZPbTiO3・・・(2)(但し、0.05≦Z≦0.15)
で表わされる電気光学セラミックスであって、
理論密度に対する相対密度が96%以上、前記電気光学セラミックスを構成する粒子の平均粒径が1μm以上、波長が800nmの光の透過率が30%以上であることを特徴とする電気光学セラミックス。
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