JP6963918B2 - 二チタン酸バリウム系複合酸化物及びその製造方法 - Google Patents

二チタン酸バリウム系複合酸化物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、二チタン酸バリウム系複合酸化物及びその製造方法に関する。
二チタン酸バリウムは組成式BaTiで表される強誘電性非鉛材料であり、実用化が期待されている。実用化のために、BaまたはTiの一部を他元素で置換することで、種々の物性を改良し、さらには安価な多結晶として得ることが嘱望されている。
例えば、特許文献1には、BaまたはTiの一部をそれぞれ2価または4価の他元素で置換した二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法が開示されている。ここで、二チタン酸バリウム系複合酸化物とは、BaTi自体、またはBaTi中のBa又はTiの少なくともいずれかの一部を、他元素で置換した酸化物の多結晶をいう。特許文献1では、原料である炭酸バリウム(BaCO)の粉末、二酸化チタン(TiO)の粉末、及び2価の他種元素の炭酸塩または4価の他種元素の二酸化物の粉末を混合すると同時に微粉砕した後、固相反応により製造する手法が記載されている。得られた二チタン酸バリウム系複合酸化物中に結晶格子のわずかな歪みが生じることにより、誘電特性の変化が期待される。
例えば、非特許文献1には、Baの0.5〜3%をSrで置換した二チタン酸バリウム系複合酸化物が報告されている。この二チタン酸バリウム系複合酸化物は、原料である炭酸バリウム粉末、二酸化チタン粉末、及び炭酸ストロンチウム(SrCO)の粉末を混合すると同時に圧縮した後、アーク溶解により多結晶として得られることが記載されている。またこの置換された二チタン酸バリウム系複合酸化物が、無置換の場合とは異なるキュリー温度や最大誘電率を示すことが非特許文献1には記載されている。
また、二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法としては、特許文献1や非特許文献1に記載の製造方法以外にも知られている。例えば、特許文献2には、BaTi粉末に二酸化マンガン(MnO)粉末を添加し、混合・粉砕後に焼成する方法が記載されている。
特開2011−219351号公報 特開2011−006266号公報
X.Yue、外2名、Materials Transactions、公益社団法人日本金属学会、2007年4月25日、第48巻、第5号、p.984―989.
二チタン酸バリウム系複合酸化物は、電圧を印加すると大きいリーク電流を生じる場合がある。強誘電体における電流のリークは誘電正接を指標として扱うことができ、この値の低減が望まれている。特に誘電正接は、0.1以下まで低減することが望まれている。
非特許文献1には、アーク溶解法により得たBaTi、および、その0.1%Sr置換体(Ba0.99Sr0.01Ti)について、誘電正接の測定結果が報告されている。室温下での0.1MHz交流電圧における誘電正接は、いずれも約0.1であることが、非特許文献1の図に示されている。しかしながら、より低い周波数の商用周波数電圧下での値は記載されていないが、周波数が低くなると一般に長い緩和時間の電気伝導成分が応答するため、誘電正接は約0.1より大きくなると推測される。
また、特許文献1及び非特許文献1に記載の二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法は、以下の二つの要求を満たすことができなかった。一つは、電流リークの充分な抑制を目的とした元素置換を、二チタン酸バリウム系複合酸化物を製造した後に行うことができないことである。もう一つは、添加した置換元素の全量を二チタン酸バリウム系複合酸化物中に置換できないことである。
特許文献1と非特許文献1に記載された二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法は、2価または4価の置換元素を、BaTiの原料であるBaCOおよびTiOと同時に混合し、化学反応する方法である。つまり、元素置換を、二チタン酸バリウム系複合酸化物を製造した後に行うことはできない。よって、すでに作製した二チタン酸バリウム系複合酸化物の電流リークが充分に抑制されなかった場合、初めから作り直す必要が生じる。すなわち、電流リークを充分に抑制できない試料を作製するために要した原材料及び作製時間が無駄になってしまう。
一方で、特許文献2に記載された二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法では、すでに作製したBaTi粉末に後から二酸化マンガン粉末を添加している。しかし、Mnは主にTi4+サイトに置換されると考えられ、BaとTiに対するMnのモル比が非化学量論的になる。つまり、置換元素が二チタン酸バリウム系複合酸化物中にすべて置換されず、不純物が生じる可能性がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電流リークを抑制した二チタン酸バリウム系複合酸化物を得ることを目的とする。また二チタン酸バリウム系複合酸化物を作製後に置換元素を添加しても、添加した置換元素の全量が二チタン酸バリウム系複合酸化物中に置換できる二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
本発明の一態様にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物は、一般式:(Ba1−x(A))(Ti1−y1−y2(B1)y1(B2)y25+zで示される組成物からなる多結晶を含み、前記一般式において(A)はCa、Rb、Sr、Cs、FrおよびRaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、(B1)はNb、Ta、VおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、(B2)はFe、Co、Ni、Ge、Se、Zr、Pd、SnおよびHfからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、xは0以上0.5未満であり、yは0以上0.1未満であり、yは0より大きく0.5未満であり、y+yは0より大きく0.5未満であり、zは0以上y以下である。
上記態様にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物は、(B1)がNb、Ta、V、またはMnから選ばれる1種類以上の元素である。これらの元素は、Ti4+イオンと同じ配位数(配位数6)を持ち、かつイオン半径も近い。そのためTi4+と効果的に置換できる。また、これらの置換された元素が、酸化物中で5価の価数をとることで、二チタン酸バリウム系複合酸化物の電流リーク傾向が低減される。
上記の一般式において、前記(B1)はNbまたはTaを少なくとも含み、y=0.001±0.0005であってもよい。当該構成であると、Ti4+サイトにおける価数変化に対して必要充分な程度の電荷が効果的に補償可能であるため、二チタン酸バリウム系複合酸化物の電流リークをより効果的に低減できる。
上記二チタン酸バリウム系複合酸化物は、真密度に対して相対密度が95%以上であって、平均グレイン直径が1μm未満であってもよい。当該構成であると十分な粒界密度により粒界抵抗が確保でき、かつ表面電流・沿面電流等のリーク電流の要因を低減可能であるため、二チタン酸バリウム系複合酸化物の電流リークをより効果的に低減できる。
本発明の別の態様にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物は、一般式(Ba1−x(A))(Ti1−y1(B1)y15+zで示される組成物からなる多結晶を含み、前記一般式において、(A)はCa、Rb、Sr、Cs、FrおよびRaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、(B1)はNb、Ta、VおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、xは0以上0.5未満であり、yは0以上0.1未満であり、zは0以上y以下である。
上記態様にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物も、(B1)が所定の元素で置換されており、これらの置換された元素が、酸化物中で5価の価数をとることで、二チタン酸バリウム系複合酸化物の電流リーク傾向が低減される。
本発明の一態様にかかる二チタン酸バリウムの製造方法は、上記態様にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法であって、Ba(B1)と(Ba1−x(A))(Ti1−y2(B2)y2とを、y:1−yのモル比で固相反応させる工程を含む。
当該方法によれば、二チタン酸バリウム系複合酸化物を作製後に、後から元素置換をさらに行うことができる。また当該方法では、添加する置換元素の全量を二チタン酸バリウム系複合酸化物中に置換できるように設計できる。また得られる二チタン酸バリウム系複合酸化物は、電流リークが低減されている。
上記態様にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法において、前記Ba(B1)の結晶構造が斜方晶系に属してもよい。当該方法によると、Ba(B1)と、(Ba1−x(A))(Ti1−y2(B2)y2とが、より反応しやすくなる。そのため、添加する置換元素の全量を二チタン酸バリウム系複合酸化物中に置換しやすくなる。
本発明の一態様にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法は、上記態様にかかる二チタン酸バリウム酸化物の製造方法であって、Ba(B1)と(Ba1−x(A))(Ti1−y1とを、y:1−yのモル比で固相反応させる工程を含む。
当該方法によれば、二チタン酸バリウム系複合酸化物を作製後に、後から元素置換をさらに行うことができる。また当該方法では、添加する置換元素の全量を二チタン酸バリウム系複合酸化物中に置換できるように設計できる。また得られる二チタン酸バリウム系複合酸化物は、電流リークが低減されている。
上記態様にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物は、電流リークを抑制することができ、種々の用途に用いることができる。また上記態様にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物によれば、電流リーク抑制した二チタン酸バリウム系複合酸化物を低いコストで製造できる。また得られる二チタン酸バリウム系複合酸化物の純度を高めることができる。
本発明の一態様に係る二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法の一例を示すフロー図である。 本発明の比較例1に係る二チタン酸バリウムの分極(P)−電場(E)曲線の一例を示す図である。 本発明の参考例3に係る二チタン酸バリウム系複合酸化物の分極(P)−電場(E)曲線の一例を示す図である。
以下、本実施形態について、図面を用いてその構成を説明する。以下の説明において例示される材料、方式等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではない。
「第1実施形態」
(二チタン酸バリウム系複合酸化物)
第1実施形態に係る二チタン酸バリウム系複合酸化物は、一般式:(Ba1−x(A))(Ti1−y1−y2(B1)y1(B2)y25+zで示される多結晶を含む。
(A)は、Ca、Rb、Sr、Cs、FrおよびRaからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。また(B1)は、Nb、Ta、VおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、より好ましくは、Nb又はTaの少なくともいずれかの元素である。さらに(B2)は、Fe、Co、Ni、Ge、Se、Zr、Pd、SnおよびHfからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
(B1)に列挙される元素の配位数はTi4+イオンと同じ6であり、かつ、イオン半径も近い。このため、(B1)に列挙される元素は、Ti4+と効果的に置換することが可能である。また(B1)に列挙される元素は二チタン酸バリウム系複合酸化物中で5価の価数をとる。この5価の価数を選択する元素でTi4+イオンを置換することで、電流リークが抑制される。これは、電流リークの主要因と考えられる酸素欠損とそれに伴うTi4+イオンの価数変化が、置換した5価の価数の元素の価数変化で補われる(原子価補償)ためと考えられる。(B1)として置換される元素として、NbまたはTaの場合、最も電流リークが抑制されることを確認した。
また(A)に列挙される元素の価数は2であり、また配位数は12である。この価数及び配位数は、Ba2+イオンと同じである。また、(A)に列挙される元素はBa2+イオンに近いイオン半径を持つ。このため、(A)に列挙される元素はBa2+と効果的に置換する。Baイオンが(A)に列挙される元素と置換すると、二チタン酸バリウム系複合酸化物の誘電率やキュリー温度等の誘電特性が変化する。
(B2)に列挙される元素の価数は4であり、また配位数は6である。この価数と配位数は、Ti4+イオンと同じである。また、(B2)に列挙される元素はTi4+イオンにイオン半径が近い。このため、Ti4+と効果的に置換でき、誘電率やキュリー温度等の誘電特性を効果的に変化させることができる。
上記組成式における下付き添字yは、Ti4+サイトにおける(B1)元素の置換率を表す。(B1)元素の置換率は、0以上0.1(すなわち10%)未満であることが好ましく、0.001±0.0005(すなわち0.1±0.05%)の範囲であることがより好ましい。yは、(B2)元素の置換率を表す。(B2)元素の置換率は、0より大きく0.5未満の範囲である。ただし、y+yは、0より大きく0.5(すなわち50%)未満である。xはBa2+サイトにおける(A)元素の置換率を表し、0以上0.5未満である。zは0以上y以下である。
(B1)元素の置換率yが0以上0.1未満であることにより、電流リークが抑制される。特に置換率yが0.001±0.0005の範囲をとると、最も高い電流リークの抑制効果が得られる。これは、Ti4+サイトにおける価数変化に対して必要充分な程度の電荷が効果的に補償可能であるためと考えられる。
一方で、yが0.1以上であると、5価の置換元素の置換量が酸素欠損の生成率を超えてしまう。その結果、置換元素(B1)が電流のリークに寄与するおそれがある。
また(B2)元素の置換率yが0より大きく0.5未満であり、かつy+yが0より大きく0.5未満であると、Ti4+サイトに存在する元素の主元素がTiとなる。ただし、置換率の上限値は元素の種類によって変わりうる。また、誘電特性の変化を必要としない場合は、yを0としてもよい。
第1実施形態に係る二チタン酸バリウム系複合酸化物は、上記の組成式に応じて決まる真密度に対する相対密度が95%以上であり、平均グレイン直径が1μm未満であることが好ましい。真密度に対する相対密度及び平均グレイン直径が上記範囲内であると、電流リークがより確実に抑制される。これは十分な粒界密度により粒界抵抗が確保でき、かつ表面電流・沿面電流等のリーク電流の要因を低減可能であるためと考えられる。
ここで「真密度」は、物質自身が占める体積だけを密度算定用の体積とした密度を意味する。そのため、「真密度に対する相対密度」とは、表面に凹凸がある粒子の外周を体積とする粒子密度の真密度に対する相対値を意味する。また「平均グレイン直径」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)で二チタン酸バリウム系複合酸化物の任意の断面を測定した際におけるグレインの平均直径を意味する。「平均グレイン直径」は、25000倍の画像で撮影した断面における任意のグレインの粒径を5箇所測定し、その平均値から求める。
「第2実施形態」
第2実施形態に係る二チタン酸バリウム系複合酸化物は、一般式:(Ba1−x(A))(Ti1−y1(B1)y15+zで示される組成物からなる多結晶を含む。第2実施形態にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物は、第1実施形態にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物のy=0の場合に対応する。
上記の一般式において、(B1)は、Nb、Ta、VおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。そのため、第1実施形態にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物と同様に、電流リークの主要因と考えられる酸素欠損とそれに伴うTi4+イオンの価数変化を、置換した5価の価数の元素の価数変化で補うこと(原子価補償)ができる。そのため、第2実施形態にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物は、電流リークを抑制できる。また(B1)として置換される元素として、NbまたはTaの場合、最も電流リークが抑制される。
また上記一般式において、(A)は、Ca、Rb、Sr、Cs、FrおよびRaからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。第1実施形態にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物と同様に、(A)に列挙される元素は、Ba2+と効果的に置換できる。またyの範囲、組成物の新密度に対する相対密度、平均グレイン径についても、第1実施形態にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物と同様の範囲をとることが好ましい。
(二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法)
本実施形態に係る二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法について、図1を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法の一例を示す工程フロー図である。この製造方法は、第1秤量工程S1、第1混合工程S2、第1熱処理工程S3、第2秤量工程S4、第2混合工程S5、第2熱処理工程S6、粉砕工程S7、圧粉工程S8、焼結工程S9、およびアニール工程S10を有する。また第1秤量工程S1〜第1熱処理工程S3で得るBa(B1)を外部から入手して代用する場合は、第1秤量工程S1〜第1熱処理工程S3は省くことができる。また、第2熱処理工程で得られる二チタン酸バリウム系複合酸化物が相対密度95%以上である場合は、粉砕工程S7〜アニール工程S10を省くことができる。
第1秤量工程S1では、Ba元素を含む化合物と(B1)を含む酸化物を、Baに対する(B1)の原子数比(B1)/Baが2±0.2の範囲内になるように秤量する。原子数比(B1)/Baは、2となるように秤量することがより好ましい。Ba元素を含む化合物は、Ba以外にO、H、または/およびCを含んでもよい。例えば、BaCO、Ba(OH)、BaOがBa元素を含む化合物として挙げられる。Ba元素を含む化合物は、Ba以外の元素がO、H、または/およびCのみであることが好ましく、Ba以外の元素がこれらの元素のみであると生成物に不純物が生じない。(B1)を含む酸化物は、Nb、Ta、VおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素(B1)を含む酸化物の単体または混合物である。たとえば、(B1)としてNb又はTaのいずれかを採用した場合には、Nb、Ta、またはこれらの複合酸化物や混合物が挙げられる。これらの原料の量は、後述する第1混合工程S2においてBaまたは(B1)が不足するおそれがある場合は、(B1)/Baが2±0.2を満たす範囲内で、(B1)やBaの量を適宜調整できる。また、生成物の組成に影響しない量の範囲内で、必要に応じて固体または液体状の添加物を原料に混合させてもよい。
第1混合工程S2では、第1秤量工程S1で得た秤量物の均一混合を行う。混合操作としては、乾式または湿式でもよく、手動または機械操作でもよい。例えば、容器回転型、容器揺動型、リボン型、スクリュー型、パドル型、高速流動型、回転円板型、ホイール型、気流型、液流型、重量型、撹拌子型等の混合操作を用いることができる。
第1混合工程S2は、原料が粉末である場合には、粒子の粉砕も伴う。この工程で最終的に得る混合粉末の平均粒径は、10〜700nmとすることが好ましい。平均粒径を700nm以下とすることにより、後述する第1熱処理工程S3での処理効率が向上する。その結果、ごく標準的な電気炉の使用が可能になる。また、平均粒径を10nm以上とすることにより、格子定数より充分大きい粒子とすることができ、原料の結晶構造を保つことができる。
粒子の粉砕を伴う混合方法としては、ミル型、ブレード型、らいかい型、石臼型、乳鉢型、クラッシャー型等が挙げられる。湿式で行う場合、分散媒または溶媒として、粒子同士の固着を防ぐ液体状態の媒質を用いることが好ましく、さらに低粘度の媒質を用いることがより好ましい。例えば、液体状態の媒質として、水、アルカン類、アルコール類、ケトン類、芳香族などの有機溶媒、またはこれらを混合ないし相互溶解したもの等を好適に使用できる。
第1熱処理工程S3では、第1混合工程S2で得られる混合物を加熱して反応させ、(B1)を1種類以上含む組成式Ba(B1)で表される化合物を得る。Ba(B1)の例として、(B1)にNbを採用した場合の二ニオブ酸バリウム(組成式BaNb)、(B1)にTaを採用した場合の二タンタル酸バリウム(組成式BaTa)、あるいはこれらの複合酸化物が挙げられる。また、第1熱処理工程S3で得るBa(B1)の結晶構造は、斜方晶または単斜晶であることが好ましく、斜方晶であることがより好ましい。Ba(B1)の結晶構造が斜方晶または単斜晶、特に斜方晶であることにより、後述する第2熱処理工程S6において二チタン酸バリウム系複合酸化物を得やすくなる。Ba(B1)の結晶構造を単斜晶とすると、後述する第2熱処理工程S6において同じ単斜晶である二チタン酸バリウム系複合酸化物に取り込まれやすくなる。またBa(B1)の結晶構造を斜方晶とすると、高温で活性化しやすくなり、その他の結晶構造をとる場合よりも二チタン酸バリウム系複合酸化物に取り込まれやすくなる。
熱処理条件としては、雰囲気をたとえば空気や酸素のように酸素含有雰囲気とすることが好ましい。また、熱処理温度は、800〜1150℃とすることが好ましく、800〜1050℃とすることがより好ましい。熱処理温度を800〜1050℃とすることにより、斜方晶を主成分とする組成式Ba(B1)で表される化合物を得ることができ、1050℃〜1150℃とすることにより単斜晶を主成分とする組成式Ba(B1)で表される化合物を得ることができる。熱処理に伴う反応が、一般に極めて遅い固相反応の場合には、収率は原料の種類ないし粒径によって変わりうる。収率を最大化するには、上記範囲内で処理温度ないし処理時間を調整することが好ましい。一方で、(B1)に選択される元素は限定されており、第1混合工程S2において平均粒径を10〜700nmの範囲に調整しておけば、上記温度範囲でも充分な収率を得ることができる。特に(B1)がNb又はTaの場合は、処理温度・処理時間に大きな差は生じない。処理時間は概ね数時間、長くとも数日以内であり、産業上ごく標準的な範囲である。
第2秤量工程S4では、第1熱処理工程S3で得られる組成式Ba(B1)で表される化合物と、二チタン酸バリウム系複合酸化物を秤量する。この工程S4において秤量する二チタン酸バリウム系複合酸化物は、組成式が(Ba1−x(A))(Ti1−y2(B2)y2で表わされる。(A)は、Ca、Rb、Sr、Cs、FrおよびRaからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。xは0以上0.5未満である。(B2)は、Fe、Co、Ni、Ge、Se、Zr、Pd、SnおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。yは、0以上0.5未満である。yは、yとの和を考慮して設定し、y+yは0より大きく0.5未満の範囲にする。ただし、置換率yの上限は(B2)の種類によって異なる。たとえばZrの場合、経験的にyは約0.08である。(Ba1−x(A))(Ti1−y2(B2)y2の例として、BaTiや(Ba0.99Sr0.01)Ti、Ba(Ti0.94Zr0.06などが挙げられる。これらは従来の二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法で得られる。
秤量する2種類の化合物の総和に対する組成式Ba(B1)で表される化合物のモル分率を、製造目的である二チタン酸バリウム系複合酸化物中のTi4+サイトにおける(B1)の置換率yに対応させて秤量する。たとえば、最終的にBa(Ti1−y1Nby15+zを得る場合、BaNbとBaTiを第2秤量工程S4での原料とし、BaNb:BaTi=y:1−yとして秤量する。ただし、yは0以上0.1未満であり、0.001±0.0005(すなわち0.1±0.05%)の範囲の値とすることが好ましい。yが0.1未満であることにより、(B1)がTi4+サイトへの仕込み量分の(B2)の置換が可能になる。さらに、yを0.001±0.0005の範囲とすることにより、後述する第2熱処理工程S6で得られる二チタン酸バリウム系複合酸化物の電流リークの抑制効果が最大化される。
第2混合工程S5では、第2秤量工程S4で得られる秤量物を均一に混合する。混合方法としては、第1混合工程S2で挙げた方法を採用できる。原料が粉末である場合も同様であり、この工程で最終的に得る混合粉末の平均粒径を10〜500nmとすることが好ましい。平均粒径を500nm以下とすることにより、後述の第2熱処理工程S6での処理効率が向上する。また得られる生成物の密度を所望の密度にできる。一方で、平均粒径は格子定数より充分大きい10nm以上とすることが好ましい。
第2熱処理工程S6では、第2混合工程S5で得られる混合物を加熱し、二チタン酸バリウム系複合酸化物を得る。第2熱処理工程S6において、組成式(Ba1−x(A))(Ti1−y1−y2(B1)y1(B2)y25+zで表される二チタン酸バリウム系複合酸化物が主成分として得られる。yとyは第2秤量工程S4で決めた値である。zはおおむねyと等しい。
熱処理装置については、数百℃以上に加熱でき、原料間の反応を起こしうる装置であればよく、電気炉や釜を好適に使用できる。また、同様の効果が得られる以外に、焼結などの試料高密化を伴う効果が生じてもよく、スパーク・プラズマ焼結装置や熱間プレス装置などを採用してもよい。処理雰囲気については、常圧空気でも、真空でも、窒素やアルゴンなどの不活性ガスでも、水蒸気雰囲気でもよいが、空気や酸素のように酸素含有雰囲気であることがより好ましい。真空または不活性ガス等の酸素が不足した雰囲気を採用し、焼結を伴う熱処理をした場合は、充分な電流リーク抑制のために、処理後に後述するアニール工程S10を追加する必要が生じる。
熱処理温度は、750〜1100℃とすることが好ましい。当該温度範囲を選択することで、二チタン酸バリウム系複合酸化物を主成分として得られる。収率は原料粒径、元素置換率によって変わりうる。そのため、収率を最大化するにあたり、上記範囲内で処理温度・処理時間を調整してもよい。特にyが0.001±0.0005の場合、大差なく処理温度・処理時間を上記範囲内で調整しやすい。処理時間は概ね数時間、長くとも数日以内、といった、産業上、ごく標準的な範囲である。
第2熱処理工程S6で焼結を伴わない処理をした場合、後述する焼結工程S9を追加することが好適である。焼結工程S9に付随して、必要に応じて粉砕工程S7、圧粉工程S8、アニール工程S10を追加してもよい。焼結後の相対密度は真密度の95%以上とすることが好ましく、グレインの平均直径は大きくとも1μm未満とすることが好ましい。これにより電流リーク抑制効果が確保されやすくなる。
必要に応じて追加される粉砕工程S7では、第2熱処理工程S6で得られる二チタン酸バリウム系複合酸化物を粉砕することができる。粉砕装置・条件は第2混合工程S5と同様である。粉砕後に得られる平均粒径についても同様であり、10〜500nmとすることが好ましい。これにより、後述する焼結工程S9において真密度に対して95%以上の相対密度を得やすくなる。
必要に応じて追加される圧粉工程S8では、第2熱処理工程S6ないし粉砕工程S7において粉末として得られた場合の二チタン酸バリウム系複合酸化物を圧粉する。これにより、後述する焼結工程S9における処理効率が向上する。圧粉法としては、等方圧縮法、バインダー法を用いることができ、等方圧縮法が特に好ましい。また圧粉工程S8において焼結助剤を添加してもよい。等方圧縮法による場合、数百MPaの圧力を掛けることができ、冷間か熱間か、湿式か乾式かは問わない。圧粉工程S8における圧力が数十MPa以下では、後述する焼結工程S9において、処理効率が低下する。また、バインダー法による場合、表面張力または粘度が高い結着剤を数体積%以下で混合する。混合割合が数体積%より多くなると、後述する焼結工程S9における高密化が困難になる、又は不純物を生じやすくなる。焼結助剤を添加する場合、混合する焼結助剤の量は数質量%以下とすることが好ましい。焼結助剤としては、二酸化ジルコニウム(ZrO)または酸化ホウ素(B)が例として挙げられる。焼結助剤の量が数質量%より多い場合、後述する焼結工程S9における高密化が困難になる、また不純物を生じやすくなる。また上述の圧粉方法を組み合わせてもよい。
必要に応じて追加される焼結工程S9では、前工程(S6〜S8)のいずれかで得られる二チタン酸バリウム系複合酸化物を焼結し、真密度に対する相対密度を95%以上にする。熱処理装置については、電気炉や釜、スパーク・プラズマ焼結装置、熱間プレス装置などを好適に使用できる。処理雰囲気については、空気でも、真空でも、窒素やアルゴンなどの不活性ガスでも、水蒸気雰囲気でもよい。真空または不活性ガス等の酸素が不足した雰囲気を採用した場合は、電流リーク抑制効果を確保するために、処理後に後述するアニール工程S10を追加する。
焼結処理温度は、950〜1300℃が好ましく、1000℃〜1250℃がより好ましい。焼結処理温度を950〜1230℃とすることにより、二チタン酸バリウム系複合酸化物を主成分とし、かつ、真密度に対する相対密度を95%以上にできる。950℃未満では高密化が難しく、また、1300℃以上では、二チタン酸バリウム系複合酸化物を主成分として保つことが難しくなる。また、圧力の印加により処理効率が向上してもよい。焼結処理温度が950〜1150℃の場合、数十〜数百MPaの圧力をかけることが好ましい。また、BaTiは1150℃〜1200℃および1230℃以上で不安定化しうることが報告されている。この温度付近で処理を行う場合は、常圧下で数十時間以内で処理するか、処理効率が向上する圧力下では数十分以内に処理することが好ましい。処理効率を最適化できる焼結処理温度は元素置換率や添加物によって変わりうるため、上記範囲内で処理温度・処理時間を調整してもよい。
必要に応じて追加されるアニール工程S10では、前工程(S6〜S9)において得られる二チタン酸バリウム系複合酸化物をアニールすることで欠損した酸素を補うことができる。アニール処理装置として、たとえば、電気炉や釜などを好適に使用できる。処理雰囲気については、酸素を含む気体を使えばよく、空気を好適に使用でき、空気より酸素分圧の高い気体をより好適に使用できる。さらに処理効率を向上する場合、酸素流入雰囲気とすることが好ましい。アニール処理温度については、800〜1150℃が好ましく、1000℃±50℃とすることがより好ましい。処理温度を1000℃±50℃とすることにより、組成変化のリスクを最小にして、十分な酸素を補給できる。処理時間は概ね数時間、長くとも数日以内、といった、産業上ごく標準的な範囲である。
参考例1)
第1秤量工程S1として、炭酸バリウム(BaCO)粉末および酸化ニオブ(Nb)粉末を秤量した。それぞれ300℃以下および700℃以下で乾燥処理した後に秤量を行った。炭酸バリウム(BaCO)粉末を74.00g、酸化ニオブ(Nb)粉末78.12g秤量した。
第1秤量工程S1で秤量した2種類の原料粉末を、硬質セラミックス製ビーズおよび水とともに、硬質セラミックス製のポットに入れ、遊星型ボールミルにより混合・粉砕した(第1混合工程S2)。そして混合後の試料をふるいにかけてビーズを除去した後、乾燥した。得られた試料の粒径は、10nm〜700mmであった。
次いで、第1混合工程S2で得られた混合粉末を空気中で800〜1150℃で加熱し、二ニオブ酸バリウム(BaNb)を主成分として得た(第1熱処理工程S3)。第1熱処理工程S3における温度条件を変更したところ、450〜1250℃の範囲の一定温度で熱処理して得た試料の粉末X線回折(XRDと略記)パターンから、800〜1050℃において二ニオブ酸バリウムが主成分として得られることを確認した。また800〜1050℃で斜方晶が得られ、1050〜1150℃で単斜晶として得られることを確認した。
次いで第2秤量工程S4において、作製した二ニオブ酸バリウムと、二チタン酸バリウム(BaTi)とを、700℃以下で乾燥処理した後、それぞれ秤量した。二ニオブ酸バリウムを8.80g秤量し、二チタン酸バリウム(BaTi)を125.0g秤量した。
第2秤量工程S4で秤量した粉末を硬質セラミックス製ビーズおよび水とともに、硬質セラミックス製のポットに入れ、遊星型ボールミルにより混合・粉砕した(第2混合工程S5)。そして混合後の試料を、ふるいにかけてビーズを除去し、乾燥した。得られた試料の粒径は、10nm〜500mmであった。
次いで、第2混合工程S5で得られた混合粉末を、電気炉を使って空気中で750〜1100℃で加熱し、二チタン酸バリウム系複合酸化物(Ba(Ti0.95Nb0.055+z)を主成分とする粉末を得た(第2熱処理工程S6)。第2熱処理工程S6における温度条件を変更したところ、750〜1100℃の範囲の一定温度で熱処理して得た試料の粉末XRDパターンからは二チタン酸バリウム系複合酸化物が主成分として得られており、900〜925℃で熱処理して得られた試料は、特に高純度であった。
その後、焼結処理工程S9において、スパーク・プラズマ焼結炉を使って二チタン酸バリウム系複合酸化物粉末を真空中で1050℃・30MPaで処理し、熱分解なく真密度に対する相対密度が95%以上の試料を得た。
最後に、アニール工程S10において、電気炉を使って二チタン酸バリウム系複合酸化物焼結体を空気中で800〜1000℃でアニールし、熱分解なく真密度に対する相対密度95%以上の白色試料を得た。
参考例1で作製したBa(Ti0.95Nb0.055+zの組成で表記される二チタン酸バリウム系複合酸化物の焼結体の誘電正接を求めた。誘電正接はインピーダンスの測定から求めた。その結果を表1に示す。
参考例2)
参考例2では、第2秤量工程S4において、二ニオブ酸バリウムと、二チタン酸バリウム(BaTi)との秤量比を変えた点以外は、参考例1と同様の条件で二チタン酸バリウム系複合酸化物を作製した。得られた二チタン酸バリウム系複合酸化物の組成式は、Ba(Ti0.999Nb0.0015+zであった。そして得られた二チタン酸バリウム系複合酸化物の焼結体の誘電正接を求めた。その結果を表1に示す。
参考例3)
参考例3では、第2秤量工程S4において、二ニオブ酸バリウムと、二チタン酸バリウム(BaTi)との秤量比を変えた点以外は、参考例1と同様の条件で二チタン酸バリウム系複合酸化物を作製した。得られた二チタン酸バリウム系複合酸化物の組成式は、Ba(Ti0.9995Nb0.00055+zであった。そして得られた二チタン酸バリウム系複合酸化物の焼結体の誘電正接を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例4では、第2秤量工程S4において、二チタン酸バリウム(BaTi)の代わりに従来の二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法により作製した(Ba1−10/999Ca10/999)(Ti1−59/999Zr59/999を用い、該物質と二ニオブ酸バリウムとの秤量比を変えた点以外は、参考例1と同様の条件で二チタン酸バリウム系複合酸化物を作製した。得られた二チタン酸バリウム系複合酸化物の組成式は、(Ba0.99Ca0.01)(Ti0.94Zr0.059Nb0.0015+zであった。そして得られた二チタン酸バリウム系複合酸化物の焼結体の誘電正接を求めた。その結果を表1に示す。
(比較例1)
比較例1では、第1秤量工程S1と第1混合工程S2のみを行い、二チタン酸バリウムを作製した。得られた二チタン酸バリウム系複合酸化物の組成式は、BaTiであった。得られた二チタン酸バリウム系複合酸化物の焼結体の誘電正接を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0006963918
この結果から、参考例1〜3、実施例4に係る二チタン酸バリウム系複合酸化物はいずれも、比較例1に係る二チタン酸バリウム系複合酸化物に比べて低い誘電正接を示した。すなわち、参考例1〜3、実施例4に示す二チタン酸バリウム系複合酸化物は、電流リークが抑制されている。また参考例1〜3、実施例4に係る二チタン酸バリウム系複合酸化物は、いずれも室温下での100Hz交流電圧における体積抵抗率はいずれの試料も数十MΩ・cmオーダーであり、電流リークは充分抑制されていた。
また参考例1〜3、実施例4及び比較例1に係る二チタン酸バリウム系複合酸化物の焼結体について、強誘電特性評価のために電場(E)に対する分極(P)の変化(以下、P−E曲線)を測定した。比較例1および参考例3に係る試料について二重波法で測定したP−E曲線を、それぞれ図2と図3に示した。比較例1に係る試料に比べて円曲状の湾曲が大きく軽減し、強誘電性を特徴付けるヒステリシス形状の曲線が得られた。この結果からも、参考例1〜3、実施例4にかかる二チタン酸バリウム系複合酸化物の電流リークが、比較例1の二チタン酸バリウム系複合酸化物に比べ、抑制されていることが示されている。
S1…第1秤量工程、S2…第1混合工程、S3…第1熱処理工程、S4…第2秤量工程、S5…第2混合工程、S6…第2熱処理工程、S7…粉砕工程、S8…圧粉工程、S9…焼結処理工程、S10…アニール工程

Claims (7)

  1. 一般式:(Ba1−x(A))(Ti1−y1−y2(B1)y1(B2)y25+zで示される組成物からなる多結晶を含み、
    前記一般式において(A)はCa、Rb、Sr、Cs、FrおよびRaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    (B1)はNb、Ta、VおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    (B2)はFe、Co、Ni、Ge、Se、Zr、Pd、SnおよびHfからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    xは0.01以上0.5未満であり、yは0以上0.1未満であり、yは0より大きく0.5未満であり、y+yは0より大きく0.5未満であり、zは0以上y以下であることを特徴とする二チタン酸バリウム系複合酸化物。
  2. 一般式:(Ba1−x(A))(Ti1−y1−y2(B1)y1(B2)y25+zで示される組成物からなる多結晶を含み、
    前記一般式において(A)はCa、Rb、Sr、Cs、FrおよびRaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    (B1)はNbまたはTaを少なくとも含み、
    (B2)はFe、Co、Ni、Ge、Se、Zr、Pd、SnおよびHfからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    xは0以上0.5未満であり、y =0.001±0.0005であり、yは0より大きく0.5未満であり、y+yは0より大きく0.5未満であり、zは0以上y以下であることを特徴とする二チタン酸バリウム系複合酸化物。
  3. 一般式:(Ba1−x(A))(Ti1−y1−y2(B1)y1(B2)y25+zで示される組成物からなる多結晶を含み、
    前記一般式において(A)はCa、Rb、Sr、Cs、FrおよびRaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    (B1)はNb、Ta、VおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    (B2)はFe、Co、Ni、Ge、Se、Zr、Pd、SnおよびHfからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    xは0以上0.5未満であり、yは0以上0.1未満であり、yは0より大きく0.5未満であり、y+yは0より大きく0.5未満であり、zは0以上y以下であり、
    前記組成物は、真密度に対して相対密度が95%以上であり、平均グレイン直径が1μm未満であることを特徴とする二チタン酸バリウム系複合酸化物。
  4. 一般式(Ba1−x(A))(Ti1−y1(B1)y15+zで示される組成物からなる多結晶を含み、
    前記一般式において、(A)はCa、Rb、Sr、Cs、FrおよびRaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    (B1)はNb、Ta、VおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    xは0.01以上0.5未満であり、yは0以上0.1未満であり、zは0以上y以下であることを特徴とする二チタン酸バリウム系複合酸化物。
  5. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法であって、
    Ba(B1)と(Ba1−x(A))(Ti1−y2(B2)y2とを、y:1−yのモル比で固相反応させる工程を含むことを特徴とする二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法。
  6. 前記Ba(B1)の結晶構造が斜方晶系に属することを特徴とする請求項5に記載の二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法。
  7. 請求項4に記載の二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法であって、
    Ba(B1)と(Ba1−x(A)Ti とを、y:1−yのモル比で固相反応させる工程を含むことを特徴とする二チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法。
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