<第1実施形態>
まず、本発明に係る物品収納容器の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、物品収納容器1は、互いに対向配置される一対の面部2,3を備えている。そして、一対の面部2,3は、それらの一端同士が連結されている。具体的には、熱可塑性の透明な合成樹脂(例えば、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等)を材料として、図1のような展開された板状部材を成形する。その成形された板状部材の長手方向略中央部に長手方向と直交する方向に断続する切れ目4(図1では3個)を形成する。その形成された切れ目4を中心として一方の面部2を折り曲げることによって、他方の面部3に重ね合わせることができる(図2及び図3参照)。このように両面部2,3を重ね合わせて一体化した封状態で両面部2,3間に物品を収納可能で、封状態から両面部2,3を引き離して開封した開封状態とすることで物品(図示せず)を取り出すことができるように構成されている。また、一対の面部2,3は、互いに重ね合わされて嵌合する嵌合構造を備えている。尚、両面部2,3が非常に薄いため、両面部2,3を重ね合わせた状態において、図3では、後述する第1面部2の第1縁部7と第2面部2の第2縁部10とが一枚のように見えている。
一方の面部2(以下において第1面部という)は、上下方向に2つの突出部5A,5Bが形成された縦長状で板状の第1本体部5と、第1本体部5の外周縁から第1本体部5に対して垂直な方向である後方へ延出する第1側板部6と、第1側板部6の後端から垂直な方向、つまり第1本体部5と平行となるように延出する第1縁部7とを備えている。
他方の面部3(以下において第2面部という)は、前記第1面部2の下側の突出部5Bに対応する位置に形成された突出部8Aを有する縦長状で板状の第2本体部8と、第2本体部8の外周縁から第2本体部8に対して垂直な方向である後方へ延出する第2側板部9と、第2側板部9の後端から垂直な方向、つまり第2本体部8と平行となるように延出する第2縁部10とを備えている。
第2側板部9は、第1側板部6よりも少し小さな外形寸法に設定されており、第1側板部6の内側に第2側板部9が嵌まり込むことができるようになっている。従って、一対の面部2,3を重ね合わせることによって、第1側板部6と第2側板部9とが嵌合する嵌合構造を構成している。
また、第1面部2の第1側板部6の左側の板部分6Aの上下方向2箇所、右側の板部分6Bの上下方向2箇所、上側の板部分6Cの左右方向2箇所の合計6箇所に、内側に凹んだ凹部11A〜11Fが形成されている。これら凹部11A〜11Fに対応する第2面部3の第2側板部9の左側の板部分9Aの上下方向2箇所、右側の板部分9Bの上下方向2箇所、上側の板部分9Cの左右方向2箇所の合計6箇所に、凹部11A〜11Fに入り込んで係止する凸部12A〜12Fが形成されている。従って、前記のように一対の面部2,3を重ね合わせて嵌合することによって、凹部11A〜11Fに凸部12A〜12Fが係止して、両面部2,3を嵌合した状態で係止固定することができる。特に、後述する持ち手部分13a,14aの近傍の開放操作する部分に、凹部11Eと凸部12Eとからなる係止手段を備えて開け難くすることによって、収納した物品の盗難防止に役立つとともに、凹部11Eと凸部12Eとの嵌合で両面部2,3の剛性を高めることができ、封状態から開封状態にする場合に面部2,3の変形を招くことを回避し易い利点がある。
更に、第1面部2の遊端部に位置する第1縁部7の上側の縁部7Aの左端部に、上方に突出する板状の延出部13が延出されている。また、第2面部3の遊端部に位置する第2縁部10の下側(第1縁部7と同一側)の縁部10Aの左端部に、下方に突出する板状の延出部14が形成されている。第1面部2の延出部13の左端に、左側へ突出する持ち手部分13aが形成されている。この持ち手部分13aは、図2に示すように、重ね合わせられた第2面部3の延出部14の左端から左側に突出して内側面(図では後側面)が露出する非対向縁部分を形成するため、この突出した持ち手部分13aを一方の指で持つことによって、第2面部3の左端の持ち手部分14aを持ち易くなっている。これら持ち手部分13a,14aを持って両面部2,3を引き離すことによって、封状態の面部2,3を開封状態にすることができる。第2面部3の延出部14の右端に、延出部13,14を上方側に配置した状態で吊り下げる為の吊り下げ部としての吊り下げ用の孔14Aが形成されている。かかる構成によれば、第1面部2と第2面部3とを一体化してなる後述の包装体21を陳列棚に吊り下げる際あるいは陳列棚から取り外す際に使用者が誤って落下させた場合でも、上方側に位置する延出部13,14から地面に衝突する可能性は低く、落下の衝撃によって後述する破断領域16Aが破断することを回避し易い。
また、前記持ち手部分13a,14aのうちの一方の持ち手部分13aは、縁部において部分的に対向しない非対向縁部分を形成した持ち手部分としている。具体的には、両面部2,3の縁部形状(図1では左端の形状)を互いに異ならしめることにより、両面部2,3を重ね合わせて一体化した封状態において、一方の縁部の内側面と他方の縁部の内側面とが部分的に対向することなく、一方の縁部の内側面が露出する構成として非対向縁部分(図2の拡大図において実線で示す斜線部分)を形成し、この非対向縁部分を持ち手部分13aとすることができる。かかる構成によれば、双方の面部2,3を引き離す際に一方の持ち手部分13aを手で持つ際に指で摘み易いので、容易に開封することができる。
更にまた、封状態の面部2,3を開封する開封時に、両面部2,3を一体化した部分、つまり両面部2,3の縁部7A,10Aの溶着予定部分15が溶着された溶着部22(図2参照)を含む所定の領域で破断する破断領域16Aを画定する切断部16を第1面部2に形成している。破断領域16Aは、溶着部22よりも一回り大きな小判状の領域になっている。
切断部16は、図2の拡大図にも示すように、縁部7を部分的に外方(図2では左側方)へ延出させた延出部13において、破断領域16Aと破断領域16Aを除いた他の領域である周囲領域とを画する境界を構成するものであり、切り込み部17と、繋ぎ部18と、破断部19とを備えている。
前記持ち手部分13a及び切断部16を、前記縁部7Aの一部を延出させて形成した延出部13に設けている。具体的には、前記縁部7Aの一部を隣接する他の部分よりも大きく外方(図1では上方)に延出させて形成した延出部13に、前記持ち手部分13a及び切断部16を設けている。かかる構成によれば、持ち手部分13a及び切断部16を視覚的あるいは知覚的に認識し易く、面部2,3の開封作業が容易になる。
切り込み部17は、第1面部2の縁部7Aを切刃等で厚さ方向に貫通するように切り込んで所定長さの弧状に形成されている。この切り込み部17の両端のうちの一方の端には、破断領域16Aと周囲領域とを一体的に繋ぐ第1繋ぎ部18Aが形成され、他方の端にも、破断領域16Aと周囲領域とを一体的に繋ぐ第2繋ぎ部18Bが形成され、前記繋ぎ部18を構成している。そして、一方の端に形成した繋ぎ部18Aの切り込み部17と反対側、つまり持ち手部分13aから離れる側に、破断部19が形成されている。
また、切り込み部17は、破断領域16Aの中央部16aと持ち手部分13aとを結ぶ仮想線Xを横切るように、中央部16aと持ち手部分13aとの間に形成されている。仮想線Xは、中央部16aを始点とする一方、包装体21を開封する際に指で摘むことができる任意の所定領域内に位置する任意点を終点とする直線であればよい。本実施例における所定領域としては、図2の拡大図に示す持ち手部分13a,14aの所定領域(実線で示されている斜線領域と破線で示されている斜線領域)を挙げることができる。
破断部19は、切り込み部17の一方の端に形成された第1繋ぎ部18Aと、切り込み部17の他方の端に形成された第2繋ぎ部18Bとを結ぶように形成され、また、破断部19は、仮想線Xを中央部16aから持ち手部分13aとは反対方向に延ばした仮想延長直線を横切るように形成されている。具体的には、第1繋ぎ部18Aと第2繋ぎ部18Bとの間に形成された第3繋ぎ部20Cと、第1繋ぎ部18Aと第3繋ぎ部20Cとの間に形成されて上記仮想延長直線を横切る破断用第1切り込み部20Aと、第2繋ぎ部18Bと第3繋ぎ部20Cとの間に形成された破断用第2切り込み部20Bとから、弧状の破断部19が形成されている。ここでは、破断用第1切り込み部20Aが破断用第2切り込み部20Bよりも長く設定されているが、同一長さであってもよいし、破断用第1切り込み部20Aが破断用第2切り込み部20Bよりも短く設定されていてもよい。尚、3つの繋ぎ部18A,18B,20Cをわかり易くするために、切り込み部間に縦線を描いたが、これら合計6本の縦線は、切り込みではない。また、3つの繋ぎ部18A,18B,20Cの長さは、比較的容易に破断できるように面部2の厚み等も考慮しながら設定することになる。
上記のように構成された物品収納容器1に物品を入れてから、破断領域16A内を溶着により連結して一体化した包装体について説明する。包装体は、例えば店頭等に吊り下げられて陳列される。
まず、図1に示す物品収納容器1を準備し、その物品収納容器1の第1面部2の下側の突出部5Bに例えば化粧品等の物品(図示せず)を入れる。尚、上側の突出部5Aにも物品や宣伝用の印刷物等を入れることもできる。この状態から第2面部3を第1面部2に重ね合わせることによって、第1面部2の突出部5Bと第2面部3の突出部8Aとで物品を挟み込んだ状態で収納する。このとき、前述したように第1面部2と第2面部3とが嵌合するとともに係止固定される。このように物品が収納された封状態から、溶着予定部分15を例えば超音波により溶着して、溶着部22(図2参照)を形成する。これによって、破断領域16A内が連結され、第1面部2と第2面部3とを一体化し、図2及び図3に示す包装体21が完成する。
完成した包装体21を例えば店頭に陳列台等に吊り下げて販売する。包装体21を購入した購入者は、包装体21の内部に収納された物品を取り出すことができるように、封状態の包装体21を開封して開封状態にする。次に、封状態から開封状態になるまでの一連の流れを説明する。
まず、持ち手部分13a,14aを持って第1面部2と第2面部3を互いに離間するように引き離す。しかし、破断領域16A内は溶着部22で溶着されて一体化されているから、引き離れないので、切り込み部17から裂け始める。そして、切り込み部17まで裂けると、繋ぎ部18の第1繋ぎ部18A及び第2繋ぎ部18Bにせん断力が集中的に作用するから、2つの繋ぎ部18A,18Bは容易に裂ける。その後、破断部19を構成する第3繋ぎ部20Cで裂けることが誘導され、最終的に破断領域16Aが破断して両面部2,3が開封状態となり、物品を取り出すことができる。尚、破断した小判状の破断領域16Aは、他方の延出部14側で溶着部22にくっ付いた状態で残り、一方の延出部13は、破断領域16Aがくり抜かれて小判状の孔が形成される。
<第二実施形態>
次に、本発明に係る物品収納容器の第二実施形態について説明する。
図4に示すように、物品収納容器100は、図1の物品収納容器1と基本的な構成は同一であり、異なる部分は、大きさ及び形状並びに持ち手部と切断部の数である。尚、物品を収納する部分の外形のみを、二点鎖線で示し、物品収納容器100の上下の遊端部のみ図示している。物品収納容器100は、一対の面部23,24を備えている。そして、一対の面部23,24は、それらの一端同士が図1同様に連結されている。具体的には、熱可塑性の透明な合成樹脂(例えば、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等)を材料として、図4のような展開された板状部材を成形する。成形された板状部材の長手方向略中央部に図1と同様に長手方向と直交する方向に断続する切れ目(図示していない)を形成することによって、切れ目を中心として一方の面部23を折り曲げることで他方の面部24に重ね合わせることができる(図5(a)参照)。このように両面部23,24を重ね合わせて一体化した封状態で両面部23,24間に物品を収納可能で、封状態から両面部23,24を引き離して開封した開封状態とすることで物品(図示せず)を取り出すことができるように構成されている。また、一対の面部23,24は、図1同様に、互いに重ね合わされて嵌合する嵌合構造を備えている。尚、図1と同様な構成の説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
両面部23,24の遊端部には、上下方向に延出した縁部25,26を備え、縁部25,26の左右方向略中央部に縁部25,26を上方側に配置した状態で吊り下げる為の吊り下げ部としての吊り下げ用の孔25A,26Aを形成している。第一実施形態と同様に、両面部23,24を一体化してなる後述する包装体110を陳列棚に吊り下げる際あるいは陳列棚から取り外す際に使用者が誤って落下させた場合でも、上方側に位置する後述する縁部(延出部)25,26から地面に衝突する可能性は低く、落下の衝撃によって後述する破断領域31A,32Aが破断することを回避し易い。一方の孔25Aは、他方の孔26Aよりも少し大きな孔に形成されている(図5(a)参照)。また、一方の縁部25の吊り下げ用の孔25Aの左側に弧状の切欠き部25Kを形成し、他方の縁部26の吊り下げ用の孔26Aの右側に円弧状の切欠き部26Kを形成している。従って、図5(a)に示すように、両面部23,24を重ね合わされた封状態において、吊り下げ用の孔25A,26Aの左右方向両側に持ち手部分27,28が形成される。
一方(図5(a),(b)の左側)の持ち手部分27は、表側(前側)に位置する面部24の縁部26の左側の切欠き部26Kの左側上端部分26a(図5(b)のドット部分で示している。この左側上端部分26aに代えて中央部左側上端部分26cでもよい)と、裏側(後側)に位置する面部23の縁部25における表側(前側)の縁部26の切欠き部26Kから前側に露出する第一実施形態で言う非対向縁部分である左側の弧状部分25a(図5(b)の実線で示す斜線部分)とから、左側の持ち手部分27が構成されている。また、他方(図5(a),(b)の右側)の持ち手部分28は、裏側(後側)に位置する面部23の縁部25の切欠き部25Kの右側上端部分25b(図5(b)のドット部分で示している。この右側上端部分25bに代えて中央部右側上端部分25cでもよい)と、表側(前側)に位置する面部24の縁部26における裏側(後側)の縁部25の切欠き部25Kから裏側(後側)に露出する第一実施形態で言う非対向縁部分である右側の弧状部分26b(図5(b)の破線で示す斜線部分)とから、右側の持ち手部分28が構成されている。これら2つの持ち手部分27,28のいずれか一方を持って封状態の両面部23,24を引き離して開封状態にすることができる。つまり、左側の持ち手部分27を持つ場合には、左側上端部分26aと左側の弧状部分25aとを持つことになり、右側の持ち手部分28を持つ場合には、右側上端部分25bと右側の弧状部分26bとを持つことになる。また、2つの持ち手部分27,28の両方を持って封状態の両面部23,24を引き離して開封状態にすることもできる。この場合、左側の持ち手部分27を構成する左側の弧状部分25aと右側の持ち手部分28を構成する右側の弧状部分26bとを持って封状態の両面部23,24を引き離して開封状態にすることになる。
図4において裏側(後側)に位置する面部23の縁部25の左右両端部に溶着予定部分29A,29Bが示され、それら溶着予定部分29A,29Bの外周に、開封時に溶着予定部分29A,29Bを溶着してなる溶着部36,36(図5(a)参照)を含む所定の領域で破断する破断領域31A,32Aを画定する切断部31,32が形成されている。尚、表側(前側)に位置する面部24の縁部26の左右両端部の溶着予定部分29A,29Bの外周には、前記切断部31,32は形成されていない。
左右の切断部31,32は、両面部23,24の周囲に形成されて上下左右方向に形成される縁部のうち上下縁部を左右縁部よりも相対的に延出させて形成した縁部25(延出部)において、破断領域31A,32Aと破断領域31A,32Aを除いた他の領域である周囲領域とを画する境界を構成するものであり、切り込み部33と、繋ぎ部34と、破断部35とを備えている。そして、左右の切断部31,32は、破断部35の位置が異なるだけで、その他の構成は同一であるため、以下において、右側の切断部32について説明する。
切り込み部33は、面部23の縁部25を切刃等で厚さ方向に貫通するように略270度切り込んだ弧状に形成されている。この切り込み部33の両端のうちの一方の端には、破断領域31A,32Aと周囲領域とを一体的に繋ぐ第1繋ぎ部34Aが形成され、他方の端にも、破断領域31A,32Aと周囲領域とを一体的に繋ぐ第2繋ぎ部34Bが形成されている。これら2つの繋ぎ部34A,34Bから前記繋ぎ部34を構成している。そして、一方の端に形成した繋ぎ部34Aの切り込み部33と反対側、つまり持ち手部分27,28から離間する側に、破断部35が形成されている。
右側の切り込み部33は、切断部32の破断領域32Aの中央部32aと一方(左側)の持ち手部分27とを結ぶ仮想線Xを横切るように、中央部32aと持ち手部分27との間に形成されている。仮想線Xは、中央部32aを始点とする一方、包装体110を開封する際に指で摘むことができる任意の所定領域内に位置する任意点を終点とする直線であればよい。本実施例における所定領域としては、左側上端部分26a(図5(b)に示されている左側のドット部分)、中央部左側上端部分26c(図5(b)に示されている略中央のドット部分)、左側の弧状部分25a(図5(b)に実線で示されている斜線部分)、右側上端部分25b(図5(b)の右側に示されているドット部分)、中央部右側上端部分25c(図5(b)に示されている略中央のドット部分)、右側の弧状部分26b(図5(b)に破線で示されている斜線部分)を挙げることができる。尚、右側の持ち手部分28と左側の切り込み部33においても同様であるため、説明は省略する。また、前述したように、2つの持ち手部分27,28の両方を持って封状態の両面部23,24を引き離して開封状態にする場合について図5(b)に基づいて説明する。左側の切り込み部33は、左側の切断部31の破断領域31Aの中央部31aとこれの近傍に位置する左側の持ち手部分27を構成する左側の弧状部分25a(実線の斜線で示す部分)とを結ぶ仮想線Xを横切るように、中央部31aと弧状部分25aとの間に形成されている。これに対して、右側の切り込み部33は、右側の切断部32の破断領域32Aの中央部32aとこれの近傍に位置する右側の持ち手部分28を構成する右側の弧状部分26b(破線の斜線で示す部分)とを結ぶ仮想線Xを横切るように、中央部32aと弧状部分26bとの間に形成されている。
破断部35は、切り込み部33の一方の端に形成された第1繋ぎ部34Aと、切り込み部33の他方の端に形成された第2繋ぎ部34Bとを結ぶように形成され、また、破断部35は、仮想線Xを中央部32aから持ち手部分27とは反対方向に延ばした仮想延長直線を横切るように形成されている。具体的には、第1繋ぎ部34Aと第2繋ぎ部34Bとの間に形成された第3繋ぎ部35Cと、第1繋ぎ部34Aと第3繋ぎ部35Cとの間に形成されて上記仮想延長直線を横切る破断用第1切り込み部35Aと、第2繋ぎ部34Bと第3繋ぎ部35Cとの間に形成された破断用第2切り込み部35Bとから、破断部35が形成されている。ここでは、破断用第1切り込み部35Aと破断用第2切り込み部35Bとが同一長さに設定されているが、異なる長さであってもよい。右側の破断部35は、円を左右上下で四等分した状態において右下部分(略90度の範囲)に形成されている。また、左側の破断部35は、円を左右上下で四等分した状態において左下部分(略90度の範囲)に形成されている。
前記持ち手部分27,28及び切断部31,32を、前記縁部(延出部)25,26に設けている。具体的には、前記縁部の一部である上下縁部を隣接する他の部分である左右縁部よりも大きく外方に延出させて形成した延出部25,26に、前記持ち手部分27,28を設けるとともに、一方の延出部25に左右の切断部31,32を設けている。かかる構成によれば、持ち手部分27,28及び切断部31,32を視覚的あるいは知覚的に認識し易く、面部2,3の開封作業が容易になる。
上記のように構成された物品収納容器100に物品を入れてから破断領域31A,32A内を溶着により連結して一体化した包装体について説明する。包装体は、例えば店頭等に吊り下げられて陳列される。
まず、図4に示す物品収納容器100を準備し、その物品収納容器100で形成される収納室(図示せず)に例えば化粧品等の物品(図示せず)を入れる。この状態から両面部23,24を重ね合わせることによって、両面部23,24間に物品を挟み込んだ状態で収納する。このとき、第一実施形態と同様に、両面部23,24が嵌合するとともに係止固定される。このように物品が収納された封状態から、溶着予定部分29A,29Bを例えば超音波により溶着する。これにより、図5(a)に示すように、左右両端に溶着部36が形成されることによって、破断領域31A,32A内を連結して両面部23,24を一体化し、包装体110が完成する。
完成した包装体110を例えば店頭に陳列台等に吊り下げて販売する。販売されている包装体110を購入した購入者は、包装体110の内部に収納された物品を取り出すことができるように、封状態の包装体110を開封して開封状態にする。次に、封状態から開封状態になるまでの一連の流れを説明する。
まず、持ち手部分27又は/及び28を持って一対の面部23,24を互いに離間するように引き離す。しかし、破断領域31A,32A内は溶着されて一体化されているから、引き離れないので、切り込み部33,33から裂け始める。そして、切り込み部33,33まで裂けると、繋ぎ部34の第1繋ぎ部34A及び第2繋ぎ部34Bにせん断力が集中的に作用するから、2つの繋ぎ部34A,34Bは容易に裂ける。その後、破断部35を構成する第3繋ぎ部35Cで裂けることが誘導され、最終的に破断領域31A,32Aが破断して開封状態となり、物品を取り出すことができる。尚、破断した2つの破断領域31A,32Aは、前側の面部24の縁部26側で溶着部36,36にくっ付いた状態で残り、後側の面部23の縁部25の両側には、破断領域31A,32Aがくり抜かれて円形状の孔が形成される。
前記切断部16の他の3つの実施形態を、図6(a),(b),(c)に示している。図6(a),(b),(c)の共通点は、切断部16が第一実施形態及び第二実施形態のようなループ状ではなく、切断部16の両端が延出部13の端まで達しているUの字形状である。
まず、図6(a)について説明すれば、切断部16が、切り込み部17と、繋ぎ部18と、破断部19とを備えている。切り込み部17は、延出部13を弧状に切り込んで形成されている。繋ぎ部18は、切り込み部17の一端に形成された第1繋ぎ部18Aと、切り込み部17の他端に形成された第2繋ぎ部18Bとから構成されている。破断部19は、第1繋ぎ部18Aから延出部13の横側端まで切り込まれた破断用第1切り込み部20aと、第2繋ぎ部18Bと延出部13の横側端との間に形成された第3繋ぎ部20bと、第2繋ぎ部18Bと第3繋ぎ部20bとの間に形成された破断用第2切り込み部20cと、第3繋ぎ部20bから延出部13の横側端まで切り込まれた破断用第3切り込み部20dとから構成されている。また、切り込み部17は、破断領域16Aの中央部16aと持ち手部分13aとを結ぶ仮想線Xを横切るように、中央部16aと持ち手部分13aとの間に形成されている。
また、図6(b)に示すように、切断部16が、切り込み部17と、繋ぎ部18と、破断部19とを備えている。切り込み部17は、延出部13を曲線状に切り込んで形成されている。切り込み部17の一端が延出部13の上端まで達しており、切り込み部17の他端に、第1繋ぎ部18Aが形成されている。つまり、繋ぎ部18は、切り込み部17の一端にのみ形成された第1繋ぎ部18Aから構成されている。破断部19は、第1繋ぎ部18Aから延出部13の横側端までの間に形成された第2繋ぎ部20eと、第1繋ぎ部18Aと第2繋ぎ部20eとの間に切り込まれた破断用第1切り込み部20fと、第3繋ぎ部20eから延出部13の横側端まで切り込まれた破断用第2切り込み部20gとから構成されている。また、切り込み部17は、破断領域16Aの中央部16aと持ち手部分13aとを結ぶ仮想線Xを横切るように、中央部16aと持ち手部分13aとの間に形成されている。
また、図6(c)に示すように、切断部16が、切り込み部17と、繋ぎ部18と、破断部19とを備えている。切り込み部17は、延出部13を略直線状に切り込んで形成されている。切り込み部17の一端が延出部13の上端まで達しており、切り込み部17の他端に、第1繋ぎ部18Aが形成されている。つまり、繋ぎ部18は、切り込み部17の一端にのみ形成された第1繋ぎ部18Aから構成されている。破断部19は、第1繋ぎ部18Aと延出部13の上端との間に形成された第2繋ぎ部20h及び第3繋ぎ部20iと、第1繋ぎ部18Aと第2繋ぎ部20hとの間に切り込まれた破断用第1切り込み部20jと、第2繋ぎ部20hと第3繋ぎ部20iとの間に切り込まれた破断用第2切り込み部20kと、第3繋ぎ部20iから延出部13の上端まで切り込まれた破断用第3切り込み部20lとから構成されている。また、切り込み部17は、破断領域16Aの中央部16aと持ち手部分13aとを結ぶ仮想線Xを横切るように、中央部16aと持ち手部分13aとの間に形成されている。尚、図6(a),(b),(c)で示した合計8個の繋ぎ部18A,18B,20a〜20lをわかり易くするために、切り込み部間に縦線を描いたが、第一実施形態と同様に、これら合計16本の縦線は、切り込みではない。
尚、本発明に係る物品収納容器及び包装体は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
前記切断部16,31,32の形状は、円形、楕円形、小判形状、Uの字形状の他、ハート形状、矩形状、多角形状等、どのような形状であってもよい。
また、前記第一実施形態及び第二実施形態では、1又は2の切断部16,31,32を形成しているが、切断部の数は任意であって、物品収納容器の形状等に対応して適宜増減してもよい。
また、前記第一実施形態及び第二実施形態では、切断部16,31,32を一対の面部の一方の面部にのみ形成したが、他方の面部にも切断部を形成して実施することもできる。切断部を両面部に形成することによって、一方の面部のみに形成した場合に比べて、破断領域を小さな力で容易に破断することができる利点があるだけでなく、一方の切断部に製作不良等が発生して、一方の切断部が切断不良となっても、他方の切断部で確実に破断することができる利点もある。
また、前記第一実施形態及び第二実施形態で示した切断部16,31,32を構成する切り込み部17,33,33の切り込み範囲を、360度の切断部16,31,32に対して90度以上に設定することが好ましい。また、180度以上に設定すれば、小さな力で切断部16,31,32を切断することができる。切り込み範囲を形成する角度は、切断部の中央部と切り込み部の両端とを各々結ぶ各線分(2つの線分)によって形成される角度である。換言すれば、前記角度は、前記角度を形成する一方の線分と、持ち手部分と中央部とを結ぶ仮想線Xとで形成される一方の角度と、前記角度を形成する他方の線分と、同仮想線Xとで形成される他方の角度との和である。一方の角度及び他方の角度の和は90度以上、特に180度以上であることが好ましく、より具体的には、一方の角度及び他方の角度が各々40度以上であり且つ両角度の和が90度以上、一方の角度及び他方の角度が各々80度以上であり且つ両角度の和が180度以上であることがより好ましい。
また、前記第一実施形態及び第二実施形態では、破断部19,35における破断用第1切り込み部20A,35Aと破断用第2切り込み部20B,35Bを、切刃等を用いて厚さ方向に貫通した切り込み部としているが、例えばハーフカット等のように、厚さ方向に部分的に切り込んで強度を弱めた脆弱部としてもよい。
また、前記第一実施形態及び第二実施形態では、切り込み部17,33の端に各々形成された第1繋ぎ部18A,34Aと第2繋ぎ部18B,34Bの間に位置する中間繋ぎ部として第3繋ぎ部20C,35Cを形成しているが、中間繋ぎ部の数は任意であって、複数の中間繋ぎ部を形成してもよく、また、中間繋ぎ部を形成しなくてもよい。
また、前記第一実施形態及び第二実施形態では、両縁部において内側面同士が部分的に対向しない非対向縁部分13a,25a,26bを形成して持ち手部分を構成しているが、必ずしも非対向縁部分を形成する必要はなく、開封時に双方の面部を引き離すべく持つことができるように対応して縁部に配置される持ち手部分であればよい。
また、前記第二実施形態においては、持ち手部分27,28を構成する左側上端部分26a、中央部左側上端部分26c、左側の弧状部分25a、右側上端部分25b、中央部右側上端部分25cおよび右側の弧状部分26bの各所定領域における各任意点と、切断部31,32の各中央部とを結ぶ複数の仮想線の全てが切り込み部33を横切るよう形成されているが、必ずしも全ての仮想線が切り込み部を横切る必要はなく、一の切り込み部を横切る一の仮想線を備えればよい。
また、前記第一実施形態及び第二実施形態では、両面部を重ね合わせて一体化する手段として超音波による溶着を例示したが、これに限るものではなく、例えば、熱溶着など他の溶着手段はもちろん、接着剤やステープルを用いて一体化してもよい。
また、前記第一実施形態及び第二実施形態では、吊り下げ部として吊り下げ用の孔14A,25A,26Aを設けているが、孔に限るものではなく、鍵状のフック等のように陳列棚などの什器に対して包装体を吊り下げることができる構成であればよい。
また、前記第一実施形態及び第二実施形態では、一対の面部の一端同士を連結してなる包装体の一例であるクラムシェルパックを示したが、一端同士が連結されていない一対の面部を重ね合わせて一体にした包装体であってもよい。また、包装体の形状は、正面視において矩形状の他、円形状、楕円形状、多角形状、ハート形状等、どのような形状であってもよい。